JP2004153032A - 露光用の相補形マスク、その製造方法及びその製造プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】露光マスクの破損や変形を防止して、露光精度を向上させることのできる、露光用の相補形マスク、その製造方法及びその製造プログラムを提供することにある。
【解決手段】露光用ビームによって所定パターンに露光するのに用いる相補形マスクであって、主マスク4Aのマスクパターン2Aの内周角部に丸み形状4を付けているために、この内周角部に生じる主マスク内の応力の集中を防ぐことができ、応力の集中による主マスクの破損や変形を防止することができる。また、丸み形状4が必要なサイズを既にデータベース10として保持し、ここから丸み形状の寸法を読み出して、丸み形状を有する主マスクパターン2Aと補助マスクパターン2Bとを決定するので、丸み形状を有する主マスクパターン2Aと補助マスクパターン2Bとについての判定データを容易にかつ短時間で読み出し、決定することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】露光用ビームによって所定パターンに露光するのに用いる相補形マスクであって、主マスク4Aのマスクパターン2Aの内周角部に丸み形状4を付けているために、この内周角部に生じる主マスク内の応力の集中を防ぐことができ、応力の集中による主マスクの破損や変形を防止することができる。また、丸み形状4が必要なサイズを既にデータベース10として保持し、ここから丸み形状の寸法を読み出して、丸み形状を有する主マスクパターン2Aと補助マスクパターン2Bとを決定するので、丸み形状を有する主マスクパターン2Aと補助マスクパターン2Bとについての判定データを容易にかつ短時間で読み出し、決定することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、例えば電子線による露光処理に好適な、露光用の相補形マスク、その製造方法及びその製造プログラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体素子の微細化は、光リソグラフィの解像限界を超えるために、電子線又はイオンビーム等の荷電粒子線を用いて微細な回路パターンを露光して描画する微細加工技術が開発されている。
【0003】
しかし、従来の電子線露光による直描方式においては、微細パターンになるほどデータの規模が大きくなり、その結果、描画時間が長くなり、生産性(スループット)が低くなってしまう。
【0004】
そこで、所定の回路パターンを有する転写マスクに電子線又はイオンビーム等を照射し、転写マスクの貫通孔(パターン開口)を通して電子線等をウェーハ上に照射することによってウェーハ上に回路パターンを形成する、電子線露光装置又はイオンビーム露光装置が提案されている。
【0005】
これらの露光技術には、例えば、高エネルギーの電子線を使用する電子線転写リソグラフィ(EPL;Electron−beam Proximity Lithography,H. C. Pfeiffer, Jpn. J. Appl. Phys. 34, 6658 (1995) 参照。)、低エネルギーの電子線を使用する低速電子線近接転写リソグラフィ(LEEPL;Low Energy Electron−beam Proximity Projection Lithography,T. Utsumi, U. S. Patent No. 5831272 (3 November 1998) 参照。)、イオンビームを使用するイオンビーム転写リソグラフィ(IPL;Ion−beam Lithography,H. Loeschner et al., J. Vac. Sci. Technol. B19,2520 (2001) 参照。)等がある。
【0006】
ここで、上記の低速電子線近接転写リソグラフィは、100nm以下の高スループットの電子線露光技術の一つであり、例えば、ウェーハとステンシルマスクとの間隔を約50μmに近接配置した状態で、平行低加速電圧電子線をウェーハに照射することにより、マスクパターンを等倍転写するものである。使用されるステンシルマスクは厚さ100nm〜10μm程度であり、Si、SiC又はダイアモンド等の薄膜(メンブレン)にビーム貫通孔を開けたものである。
【0007】
図10の平面図(a)及びこの平面図のX−X’線断面図(b)に示すように、ステンシルマスク67は例えば、電子線を透過するための幅0.03〜0.04μmの複数の貫通孔(パターン開口部)59が形成された厚さ0.4〜0.5μmのメンブレン(薄膜)51を有している(パターン開口部59は理解容易のために、数個分を簡略に図示している)。このメンブレン51は、パターン開口部59の周囲に形成された20〜40mm径の開口部61を有するSiO2膜55を介して、SiO2膜55の開口部61より大きいサイズの開口部60を有するSiウェーハ56に支持されている。ステンシルマスク67の全厚は例えば725μmである。
【0008】
このステンシルマスク67の作製工程を図11〜図12に示すが、まず、図11(a)に示すように、Siウェーハ56にSiO2膜55及びSi又はSiCからなるメンブレン51をそれぞれ所定の厚さで順次形成する。
【0009】
次に、図11(b)に示すように、Siウェーハ56上にレジスト57を所定パターンに設け、Siウェーハ56の一部をSiO2膜55の表面に至るまで、ドライエッチングで除去して開口部60を形成する。
【0010】
次に、図11(c)に示すように、レジスト57を除去した後に、Siウェーハ56をマスクとしてSiO2膜55の一部をメンブレン51の表面に至るまで、ドライエッチングで除去して開口部61を形成する。
【0011】
次に、図11(c)の状態を上下反転させた図12(d)に示すように、メンブレン51上に新たなレジスト57を設け、このレジスト57を所定のパターンに加工する。
【0012】
次に、図12(e)に示すように、レジスト57をマスクとして、メンブレン51をドライエッチングして貫通孔を形成し、パターン開口部59を形成する。その後に、メンブレン51上のレジスト57を除去することによって、図10に示すステンシルマスク67を作製することができる。
【0013】
ステンシルマスクとして、図10に示した微細なパターン開口部59を微細配線等の加工用として有するもの以外にも、図13に簡略に図示するように、電源ラインやトランジスタの容量部分等の加工用の大きな開口面積のパターン開口部69を有するステンシルマスク67も存在する。
【0014】
このステンシルマスク67を用いた電子線による露光処理工程を説明すると、まず、図14(a)に示すように、Si基板70上にSiO2膜75及び電源ライン等となる金属層74がそれぞれ所定の厚さに順次形成された被加工物を用意し、図14(b)に示すように、金属層74上に電子線レジスト77を設ける。
【0015】
次に、図14(c)に示すように、レジスト77上に、図13に示した大開口パターン69を有するステンシルマスク67を配置し、電子線71を照射し、ステンシルマスク67のメンブレン51側からパターン開口部69を通過させ、レジスト77を大開口パターンに露光する。
【0016】
次に、図15(d)に示すように、上記のレジスト77は例えばネガ型であれば、電子線が照射されたレジスト部分のみが現像後に残り、その他の非照射部分のレジスト部分は除去される。
【0017】
次に、図15(e)に示すように、所定のパターンに加工されたレジスト77をマスクとして、金属層74をSiO2膜75の表面に至るまでドライエッチングで除去する。
【0018】
次に、図15(f)に示すように、レジスト77を除去することによって、所望のパターン形状の金属薄膜74を例えば電源ラインとして形成することができる。
【0019】
ここで、上記のようなステンシルマスク67においては、その構造上例えばドーナッツ状の開口パターンの場合には、電子線を透過させない部分である中心部が脱落してしまって開口パターンを保持することができず、また、リーフ状の開口パターンの場合には、片持ち梁構造なので形状保持が不安定になる等、これらの開口パターンは形成が不可能か或いは困難である。
【0020】
そこで、こうした開口パターンを幾何学的に分割し、分割後の複数の開口パターンをウェーハ上で重ね合わせて補足することによって、目的の開口パターンをウェーハ上に形成する、いわゆる相補分割方法が用いられている。
【0021】
その一方で、図13に示したような、大面積の矩形パターン開口部69を有するステンシルマスク67については、図16(a)に改めて示すように、マスクパターンを分割せずにそのままの形状で用いることは可能である。
【0022】
ところが、図16(b)に示すように、大開口のパターン開口部69の各角部(頂点)63においては、メンブレン51に内在する引張り応力が集中することによって、パターン開口部69の各角部63からメンブレン51の外側に向かって亀裂(クラック)53が生じ、最悪の場合にはメンブレン51が破壊するという問題が指摘されている。
【0023】
更に、大開口のパターン開口部69の存在により内部応力分布が急激に変化することにより、パターン開口部69の周辺パターン(図示せず)の位置が変位(変形)してしまうという問題もある。
【0024】
しかしながら、例えば、トランジスタのゲート酸化膜を用いた容量部分や、電源ライン等の大電流を必要とする配線部分の形成については、大開口のマスクパターンを用いた露光処理が必要であるため、ステンシルマスク67のサイズデータから大開口のパターン開口部69等の大開口のマスクパターンのデータをなくすことはできない。従って、この大開口のマスクパターンも相補分割方法の対象図形とせざるをえない。
【0025】
例えば、図17(a)に示すように、非露光部51内の露光パターン69をマスクパターン69A及び69Bに分け、図17(b)及び図17(c)に示すように、露光パターンを交互に配置してマスクパターン69Aと69Bとが相補することによって、元の大開口の露光パターン69の占める領域をすべて露光することができる。
【0026】
そして、実際に大開口の露光パターン69に露光処理を行うには、マスクパターン69A及び69Bをそれぞれ有するメンブレン51A及び51Bを重ね合せて露光処理を行うことによって、2つのマスクパターン69A及び69Bで相補された大開口の露光パターン69の露光処理を行うことができる。
【0027】
また、図20(a)、(b)に示すように、矩形の露光パターン69の角部(頂点部分)を三角形状に切除したマスクパターン69Cと、三角形のマスクパターン69Dとに相補分割する方法がある(例えば、特許文献1参照)。これらのマスクパターンを重ね合せて、図20(c)に示すような正方形の正規の大開口露光パターン69とすることができる。
【0028】
【特許文献1】
特開2000−91191号公報(第5頁の左欄、第7頁の図3)
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図17に示した相補分割方法においては、メンブレン51A、51Bに、縦横比(アスペクト比)の大きな長方形のラインアンドスペース(L&S:Line and Space)パターン69A及び69Bが形成されるため、物理的に不安定な状態が生じて、マスクパターン69A及び69Bの主に長辺部分に歪みが発生してしまう。
【0030】
例えば、図18に示すように、ほぼ正方形のマスクパターン69を有するメンブレン51からなるステンシルマスク67においては、アスペクト比が小さいためにマスクパターン69の歪みによる変形は生じにくいが、アスペクト比が大きくなって、マスクパターン69の短辺と長辺との長さの差が大きくなるにつれて、マスクパターン69の長辺部分に歪が生じて形状が変化し、図に破線で示したような湾曲部54が生じてしまい、マスクパターン69の形状が変形して、所望の露光パターン形状を維持することが難しくなってしまう。
【0031】
この相補分割方法は、応力集中を緩和するという観点では効果が小さいということが、材料力学的な考察や有限要素法(FEM:Finite Element Method)シミュレーション等により明らかになっている。このことを、図19の表1及びグラフ(a)及び(b)によって説明する。
【0032】
これらはいずれも、マスクパターン69のアスペクト比の変化に対応して、メンブレン51内の応力を表すミーゼス降伏応力の値と、メンブレン51内の歪み(変形)の度合いを表す歪み量とが、どのように変化するかを示したものである。グラフ(a)、(b)中の値は表1の数値をプロットしたものである。
【0033】
表1によれば、マスクパターン69がアスペクト比9:9(1:1)の正方形である時には、ミーゼス降伏応力の値が131.99(MPa)であり、歪み量の値が0.16155(μm)であって、メンブレン51に生じる応力及び歪み量が小さい。
【0034】
しかし、マスクパターン69のアスペクト比が1:1よりも大きくなり、例えば1:9となると、ミーゼス降伏応力の値が174.27(MPa)となり、歪み量の値が0.21656(μm)にもなってしまう。
【0035】
従って、アスペクト比が大きくなるにつれて、メンブレン51に生じる応力及び歪み量が増大し、破損及び変形しやすくなってマスクパターン69の形状維持が難しくなる。
【0036】
ここで、上記のように大開口パターンを2つではなく3つのパターンに相補分割する方法も提案されている(第61回応用物理学会講演予稿集 p618「EPL用ステンシルマスクのマスク分割に関する検討」H.morinaga, A.Ikeda, Y.Kuroki, H.Yamashita 参照。)。しかし、この分割方法は、マスク構造が複雑になりマスクコストが増大してしまうために、マスクパターンの構造上現実的な方法とはならず、実際のマスクパターンの作製工程には採用されていない。
【0037】
また、図20に示した相補分割方法の場合、露光パターン69を八角形の1つのマスクパターン69Cと三角形の4つのマスクパターン69Dとに分割しているが、2重露光される部分がほとんど無いために、図20(b)に一部分を拡大図示するように、マスクパターン69Dの鋭角な角部Aにおいては空間が狭くて電子線が通り難くなり、この部分が解像されずに露光処理されない可能性がある。
【0038】
更に、この相補分割方法においては、矩形であれば様々な形状のマスクパターンが対象となるために、相補分割処理後の開口パターンのデータの規模が大きくなり、データ処理に対する生産効率(スループット)の低下を招く可能性がある。
【0039】
本発明は、上記のような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、露光マスクの破損や変形を防止して、露光精度を向上させることのできる、露光用の相補形マスク、その製造方法及びその製造プログラムを提供することにある。
【0040】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、露光ビームによって所定パターンに露光するのに用いる相補形マスクであって、
第1の露光ビーム透過部を有し、この第1の露光ビーム透過部の内周角部に丸み形状が付けられた主マスクと、
前記丸み形状によって生じた非露光部を補い、前記第1の露光ビーム透過部と相加して前記所定パターンの露光領域を形成するための第2の露光ビーム透過部を有する補助マスクと
を具備する露光用の相補形マスク、及びこの相補形マスクの製造方法に係るものである。
【0041】
本発明は又、前記露光用の相補形マスクの製造プログラムであって、
前記丸み形状の必要なサイズをデータベースとして保持する段階と、
前記丸み形状の形成が必要と判定されたパターンに対して前記データベースから前記丸み形状の寸法を読み出す段階と、
前記丸み形状を有する前記主マスクのパターンを決定する段階と、
前記第2の露光ビーム透過部を有する前記補助マスクを決定する段階と
を有する、露光用の相補形マスクの製造プログラムに係るものである。
【0042】
本発明によれば、前記主マスクの第1の露光ビーム透過部の内周角部に丸み形状を付けているために、この内周角部に生じる主マスク内の応力の集中を防ぐことができ、応力の集中による主マスクの破損や変形を防止することができる。
【0043】
また、前記丸み形状が必要なサイズを既にデータベースとして保持し、ここから前記丸み形状の寸法を読み出して、前記丸み形状を有する主マスクパターンと補助マスクパターンとを決定するので、前記丸み形状を有する主マスクパターンと補助マスクパターンとについての判定データを容易にかつ短時間で読み出し、決定することができる。
【0044】
【発明の実施の形態】
本発明においては、前記主マスクの破損を防止するために、前記丸み形状が、前記主マスクの前記角部における応力を低減させるように形成されているのが望ましい。
【0045】
また、前記主マスクの前記丸み形状が半径Rの円弧をなし、前記主マスクの前記角部を成す隣接辺に重なるか或いは平行に近接する隣接辺が前記補助マスクに形成され、この補助マスクの前記隣接辺の長さをX、前記主マスクの前記角部のなす角度をθとした時、
R×((1−sin(θ/2))/tan(θ/2))≦X≦R/tan(θ/2)
を満足するのが、より効果的な露光処理のために望ましい。
【0046】
また、露光精度の向上のために、前記主マスクが第1の露光に、前記補助マスクが前記第1の露光とは別の第2の露光に用いられる相補形マスクとして構成されているのが望ましい。
【0047】
また、効果的な電子線露光処理(EPL、LEEPLを含む。)やイオンビーム露光処理のために、上述の主マスク及び補助マスクがステンシルマスクとして用いられるのが望ましい。但し、本発明は、通常の露光処理にも適用可能である。
【0048】
次に、本発明の好ましい実施の形態を図面参照下に具体的に説明する。
【0049】
相補形マスクの形状
本実施の形態は、図1に示すように、ステンシルマスクの大開口の露光パターン2を2枚のマスクパターン2A及び2Bに分割し、この際に、図17に示した従来例のように、アスペクト比が大きいL&Sマスクパターンとして形成するのではなく、メンブレンに内在する応力の集中によるメンブレンの破壊を効果的に回避することができる主マスクパターン2Aと、この非露光域を十分に補う補助マスクパターン2Bとに分割するものである。
【0050】
即ち、まず、図1(a)に示すように、図1(c)に示すような四角形の大図形の露光パターン2の4隅の角部に、適当な半径Rの丸み形状4を有する主マスクパターン2Aを形成することによって、この主マスクパターン2Aを有するメンブレン1Aに内在する応力が各角部に集中することを緩和して、メンブレン1Aの破壊を防止することができる。
【0051】
他方、図1(b)に示すように、主マスクパターン2Aの4隅に相当する位置に、主マスクパターン2Aの非露光域を補い、一辺の長さがRの正方形の補助マスクパターン2Bをメンブレン1Bに4箇所形成する。これらの補助マスクパターン2Bにおいては、一辺の長さRが小さいので、メンブレン1Bに内在する応力の集中は問題とならない程度に小さい。
【0052】
そして、これらの2つのマスクパターン2A及び2Bを露光処理にそれぞれ用い、一部分の重ね合わせ露光(2重露光)を伴いながら、ウェーハ(図示せず)上に正方形の大開口露光パターン2を転写するものである(なお、図中の5は非露光部を示す)。
【0053】
本実施の形態による相補分割方法は、大別して2つのステップからなる。その第1のステップは、マスクパターンの角部に対して丸みを付けるための丸め処理を行う際の最小図形サイズを決定し、それ以上の図形サイズにおける適切なRの値についてのデータベースを作成することである。
【0054】
また、第2のステップとして、マスクパターンのデータの相補分割処理と同時に行われる大図形マスクパターンの抽出、実際の丸め処理、及び丸めに対応した補助マスクパターンを決定することである。
【0055】
以下、これらのステップを順を追って説明する。
データベースの作成
まず、実験又は力学的なシミュレーションを行うことにより、大開口の露光パターンの角部における応力の値を、図形のサイズデータ及び丸め処理時の半径Rの関数の値として求め、メンブレン1が破壊しないような応力の閾値から各図形のマスクパターンサイズにおける適切なRの値を収集したデータベースを作製する。また、丸め処理が必要となる図形の最小のマスクパターンサイズも定義する必要がある。
【0056】
図2は、シミュレーション等を用いてデータベースを作成する方法を説明するものである。
【0057】
ここで、図2(a)は、電子線(又はイオンビーム)照射によりレジストを選択的に露光して電源ライン、容量等を形成するためのステンシルマスクのマスクパターンについて、例えば、50μm×120μm(Lx×Ly)、アスペクト比1:2.4、厚さ0.4μmの大開口マスクパターン2Aを有するメンブレン1Aからなる1.05mm角のステンシルマスク4Aを表すものである。また、図2(b)は、この大開口マスクパターン2Aについて、四隅の角部に付けた丸み形状4のR値に対するX又はY方向でのステンシルマスク4Aの引張応力(Sx又はSy)とせん断応力(Sz)をそれぞれプロットしたものである。
【0058】
このステンシルマスク4Aを構成するメンブレン1Aは、例えば材質がSiであり、ヤング率が160GPa、ポアッソン比が0.2及び内部応力が10MPaであるが、これらの物性値はメンブレン1Aの材質によって適切な値としてよい。これは、メンブレン1Aの厚さは極めて薄いので、平面応力状態のみを仮定しており、厚さが応力の計算結果に影響しないものと考えられるからである。但し、メンブレン1Aの厚さを考慮した応力のシミュレーションも勿論可能である。
【0059】
そして、メンブレン1Aの応力のシミュレーションについては、例えば、有限要素法(FEM)等に基づく適切なシミュレーションにより、正確なデータが得られることが知られているが、可能ならば、実験データと比較することにより、シミュレーションを最適化又はスケーリングすることもできる。
【0060】
図2(b)に示すように、メンブレン1Aの3種類の応力(単位:MPa)はいずれも、丸み形状4の半径R(単位:μm)の値が減少すると共に増加し、特に半径Rの値が0.5μm又はその近傍から急激に増大することが分かる。
【0061】
即ち、応力が急激に増大するR=0.5μmを閾値(Rc)とし、Rが0.5μm以下では、大図形のマスクパターン2Aの角部に応力が集中し、メンブレン1Aが破損する可能性がある。この閾値(Rc)は、マスクパターン2Aの図形サイズである短辺Lx及び長辺Lyの長さに依存している。
【0062】
ここで、閾値(Rc)は、一意的に決まるものではなく、後述する例に示されるように種々の基準に基づいて決めるのがよい。即ち、この基準は、シミュレーション又は実験等に基づいて作成された適切な閾値のデータベースを用いて決めることが重要である。そして、実際のマスクパターンの作製に適用する過程において、この閾値のデータベースを修正又は改良することもできる。
【0063】
例えば、閾値(Rc)を決定する一つの基準として、ミーゼスの降伏条件が挙げられる。これは、応力の集中によってメンブレンが破損する時の降伏応力をYとすると、下記の式1によって求められる。
Y2=3/2[(Sxx 2+Syy 2+Szz 2)+2(Sxy 2+Syz 2+Szx 2)]・・・式1
(但し、Sxx、Syy、Szzは垂直応力、Sxy、Syz、Szxはせん断応力を表す。)
【0064】
上記の式1は、右辺の合計値がY2の値を超えた時点で、メンブレンの降伏による破損が生じるという条件を示すものである。
【0065】
これ以外にも、メンブレンの破損を予測する様々な条件式が提案されているが、あらゆる場合に適用可能な絶対的な基準というのはないのが現状である。また、降伏応力の値が既知でないメンブレンの材質に対しては、その測定を改めて行わなくてはならないが、これは、降伏応力を計算によって求めることも原理的には不可能ではないが、極めて困難であるためである。
【0066】
そこで、上述の式1の右辺の合計値を半径Rの関数として計算し、図2(b)に示したようにその値が急激に増大する半径Rの値の右側に、閾値(Rc)を設定する方法が考えられる。
【0067】
例えば、多くの大図形サイズの露光パターンに対して自動的に系統的な計算を行って、図2(b)に示すような応力曲線の変曲点の半径Rの値を求め、この値に適当な安全係数(1以上が好ましい。)を掛けて閾値(Rc)としてもよい。
【0068】
或いは、実験的にパターンサイズ又は半径Rの値を変化させた大開口の露光パターンを含むステンシルマスク4Aを複数枚作製し、各ステンシルマスク4Aについてパターン開口部2Aの角部が破損しているか否かを、光学顕微鏡又は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning electron microscope)等によって判定することにより、閾値(Rc)のデータベースを作成することができる。
【0069】
なお、露光パターンの図形サイズが小さくなるにつれて、パターン開口部2Aの角部に生じる応力集中の絶対値が小さくなるので、その角部での丸め処理は不要になる。そこで、丸め処理が必要な最小の図形サイズLmin(Lx及びLyの最小値)も同様の方法で決定しておく必要がある。
【0070】
マスクパターンの設定
次に、この閾値データベースに基づいて、大開口の露光パターンの角部(頂点)部分に半径Rを持たせることによって応力の集中を回避するデータ処理を行う。
【0071】
そして、この半径Rを持たせた大開口の露光パターンを有する相補形マスクの主マスクパターンを2Aとすると共に、半径Rの長さを1辺とする正方形の補助マスクパターンを2Bとし、この補助マスクパターン2Bを主マスクパターン2Aの角部を補う形で配置する。
【0072】
主マスクパターン2Aと補助マスクパターン2Bとを組み合わせて、露光処理する時の状態を図3について説明する。
【0073】
ここで、図3(a)、(b)及び(c)に示すように、補助マスクパターン2Bは、目的とする最終露光パターン図形において半径Rの丸め処理を持たせた頂点と同じ角度θを有し、この角度θを挟む隣接2辺の長さをXとする。
【0074】
図3(a)に示すマスクパターンでは、主マスクパターン2Aの角部において、主マスクパターン2Aの丸み形状が半径Rの円弧をなしており、目的の露光パターンの角度θ=90度の直角部の隣接辺と重なるように、一辺の長さX=Rであって角部が角度θの正方形の補助マスクパターン2Bを配置する。
【0075】
そして、これらのマスクパターン2A及び2Bの占める領域においては露光処理がそれぞれ行われると同時に、マスクパターン2A及び2Bが重なる領域は2重露光されることによって、目的とする所定形状の露光パターンを得ることができる。
【0076】
この場合、各マスクパターンによる2重露光領域のうち主マスクパターン2Aの開口内周辺においては、露光エネルギーのにじみ出しによって、露光領域が主マスクパターン2Aによる露光領域よりも外側へ拡がるおそれがある。これを防止するには、主マスクパターン2Aの開口内周辺に破線で示すように凸部3を形成しておくことによって、凸部3の領域が2重露光されることがないようにすると共に、その凸部の領域を埋めるように内側から露光領域をにじみ出しにより拡げて本来の露光パターンを得るようにすることができる。
【0077】
図3(b)は、図3(a)と比べて、主マスクパターン2Aの補助マスクパターン2Bとして一辺の長さXが半径Rの直角三角形の補助マスクパターン2Bを配置する例を示す。
【0078】
この例においては、補助マスクパターン2Bの形状が直角三角形であって図3(b)と比べてパターン面積が半分となるために、2重露光部分が減少する。これに伴って、上記した凸部3の大きさを小さくしてよい。
【0079】
図3(c)は、目的とする露光パターンの角部が90度未満の鋭角をなし、その角部における主マスクパターン2Aの丸み形状が半径Rの円弧をなしており、角度θを挟む隣接2辺を有する二等辺三角形の補助マスクパターン2Bを配置する例を示す。
【0080】
このように、補助マスクパターン2Bの形状については、主マスクパターン2Aによる露光時の非露光部を埋める(補償する)ために用いられるので、図3に示すような矩形(正方形)だけではなく、図3(b)及び(c)のような直角三角形または二等辺三角形等でもよい。
【0081】
なお、上記した各例においては必ず2重露光される領域が存在することになるが、補助マスクパターンの面積が比較的小さいために、周囲のパターンに与える影響は少ない。
【0082】
本実施の形態では、例えば低エネルギーの電子線を使用する低速電子線近接転写リソグラフィ(LEEPL)によって露光処理を行うが、例えば、高エネルギーの電子線を使用する電子線転写リソグラフィ(EPL)を用いると、ウェーハに入射する電子線(荷電粒子)のエネルギーが高くなり、2重露光による露光パターンの変形量が大きくなってしまう。
【0083】
そこで、必要に応じて、公知のドーズ量補正アルゴリズムを用いることによって、2重露光による露光パターンの変形量を容易に低減することができる(F. Murai et al., J. Vac. Sci. Technol., B 10, 3072 (1992) 参照)。
【0084】
次に、図4に示すように、図3(a)〜図3(c)に示した主マスクパターン2Aと補助マスクパターン2Bとの組み合わせにおいて、効果的に露光処理のできる補助マスクパターン2Bについて更に詳細に説明する。
【0085】
ここで、補助マスクパターン2Bの一辺の長さをXとし、補助マスクパターン2Bの隣接2辺がなす角度をθとし、角部における主マスクパターン2Aの丸み形状の半径をRとする。
【0086】
この時に、Xの値は、下記の式2に示された範囲内にあることが望ましい。
R×((1−sin(θ/2))/tan(θ/2))≦X≦R/tan(θ/2) ・・・式2
【0087】
図4(a)に示すように、正方形の補助マスクパターン2Bを使用する際のXの最小値(Xmin)であるR×((1−sin(θ/2))/tan(θ/2))は、補助マスクパターン2Bが主マスクパターン2Aとほぼ点接触し、2重露光が実質的に生じない状態を意味する。
【0088】
Xの値がXminより小さくなると、主マスクパターン2Aによる露光処理時の非露光部分が、補助マスクパターン2Bによる露光処理によっても十分に露光されることがないために、目的の露光パターンが得られないことがある。
【0089】
また、Xの最大値(Xmax)であるR/tan(θ/2)は、主マスクパターン2Aの丸み形状の半径Rに相当する正方形の補助マスクパターン2Bの一辺である。
【0090】
Xの値がXmaxより大きくなると、補助マスクパターン2Bのサイズがより大きくなって、2重露光部分を増加させてしまい、露光パターンの精度が低下し易くなるので、XはXmax以下とするのがよい。これは、LEEPLではあまり問題とはならないが、EPLでは必要な条件である。
【0091】
好ましいXの値の範囲をまとめると、下記の式で表される。
R×((1−sin(θ/2))/tan(θ/2))≦X≦R/tan(θ/2) ・・・式2
【0092】
図4(b)は、図4(a)と同様にして、主マスクパターン2Aの丸み形状に対応したマスクパターン2Bを使用する際に、パターン角部を挟む補助マスクパターンの隣接辺の長さXの最小値(Xmin)であるR×((1−sin(θ/2))/tan(θ/2))は、角度θを有する角部の頂点と半径Rの丸み形状の中心とを結ぶ直線と半径Rの円弧との交点での接線によって形成される直角三角形の一辺に相当する。
【0093】
そして、Xの値がXminより小さくなると、主マスクパターン2Aによる露光処理時の非露光部分が、補助マスクパターン2Bによる露光処理によっても十分に露光されることがないために、目的の露光パターンが得られないことがある。
【0094】
なお、図4(b)において、補助パターン2Bとして、角部に対する対向辺がXmaxのときの対向辺と平行であってより短かく(Xもより短かく)してよい。このときのXの範囲は、
2×((1−sin(θ/2)/sinθ))×R≦X≦R
/tan(θ/2)
が望ましい。
【0095】
また、上述の露光処理においては、低エネルギーの電子線を使用した露光処理方法(LEEPL)を用いるが、同じ露光処理において、高エネルギーの電子線を使用した露光処理方法(EPL)を用いる場合には、2重露光の際ににじみにより拡大する露光領域が大きくなるので、Xの値をそれに対応して小さくし、補助マスクパターンを小さくすることができる。
【0096】
次に、低速電子線近接転写リソグラフィ(LEEPL)のように低エネルギーの荷電粒子(低エネルギーの電子線)を露光処理工程で用いる場合に、粒子(電子線)のレジスト中での飛程は小さいので、レジストにおける2重露光の影響は極めて小さく、特別な補正は必要ないと考えられる。これを以下に定量的に示す。
【0097】
図5に示すように、低速電子線近接転写リソグラフィ(LEEPL)方式を使用し、入射(露光用)エネルギーが2keVである電子線を、Si基板上に塗布された厚さ70nmのレジストに照射(入射)する場合、x=−2000nm(−2μm)〜2000nm(2μm)の範囲に、レジストに対して最適露光量に相当する電子線を入射して1回目の露光を行うと、レジスト底面におけるエネルギー蓄積量は任意単位で(以下、同様)約1.0となる。
【0098】
ここで、低エネルギーの電子線を用いると、基板側からの電子線の後方散乱による影響をほとんど無視することができると共に、前方散乱径も約30nmとなるので、周囲のレジスト部分を余分に露光してしまう可能性は低い。
【0099】
次に、第1回目の露光領域の右側半分の領域(x=0nm〜+2000nm)のレジストに対して、最適露光量に相当する電子線を入射して2回目の露光を行うと、レジストの底面におけるエネルギー蓄積量は約2.0となる。
【0100】
ここで例えば、レジストがポジ型である場合は、ある閾値以上の照射エネルギーが付与された部分のレジストは現像で除去される。レジストがネガ型である場合は、ある閾値以上の照射エネルギーが付与された部分にはレジストが残留し、その他の部分は現像で除去される。
【0101】
図5に示す露光エネルギー分布において、2重露光により、露光パターンが、設計値のxの値(±2000nm(±2μm))から外側へどの程度拡がるかを調べるために、図5中のxの値が+2000nm(+2μm)付近を拡大して示したのが図6である。
【0102】
仮に、1回目の露光処理によって、レジストにx=−2000nm(−2μm)〜2000nm(2μm)の4000nm(4μm)幅の露光パターンを形成すると、レジスト底面におけるエネルギー蓄積量は、x=1960nmの付近から減少し、2000nmの付近でエネルギー蓄積量がレジスト感光の閾値である0.5となり、それより外側では更に減少していく。
【0103】
なお、エネルギー蓄積量の閾値(0.5)は規格化され、任意単位で表わしたが、エネルギー蓄積量が0.5以下になると、エネルギー不足となってレジストが露光によっても実質的に感光されない。
【0104】
図6に示すように、1回目の露光においては、xの値が2000nm付近でエネルギー蓄積量の閾値である0.5となるので、露光が十分になされていると同時に露光パターンも適切なものとなっている。
【0105】
次に、2回目の露光の結果、レジスト底面におけるエネルギー蓄積量が、x=1960nm付近から減少し、2000nm付近では約1.0となり、エネルギー蓄積量が閾値である0.5に達するのは、x=2015nm付近である。
【0106】
従って、LEEPLによる2回目の露光後の露光パターンは、1回目の露光による露光パターンよりもd1=15nmだけ拡大するが、この増大分は僅かであるため、露光精度に支障がほとんど無く、また設計上の許容範囲内の値である。このことは、低エネルギーの電子線を使用する低速電子線近接転写リソグラフィ(LEEPL)を用いて1回目の露光後に2回目の露光を重ねて行う場合には、2重露光によるレジストの露光パターン精度に対する影響は実質的にないものと言える。
【0107】
なお、上記の1回目及び2回目の露光よりも大きなエネルギー量の電子線を使用する場合、図6中に破線で示すように、エネルギー蓄積量は例えばx=1960nm付近から減少し、2000nm付近では約1.4となり、更に減少して、エネルギー蓄積量が閾値である0.5に達するのはx=2030nm付近になることがある。
【0108】
この場合、露光パターンは、1回目の露光による露光パターンよりもd2=30nmも拡大し、この値が設計上の許容範囲外の値であれば、この増大分によって露光精度に支障が生じるので、これを予め考慮したマスクパターンを例えば図3中に破線3で示したように修正しておくのがよい。
【0109】
データ処理のフロー
図7〜図8は、主マスクパターンの丸み形状の半径Rの決定、補助マスクパターンの形状及びサイズ、更には露光条件の決定等を含む実際のデータ処理の流れをフローチャートで説明するものである。
【0110】
まず、図7のフローチャートに示すように、マスクパターンがメンブレン内にある場合(Step701)、このマスクパターンをデータとして取得し(Step702)、この取得したマスクパターンのデータが、閾値データベース10に登録されているマスクパターンのデータと合致するかどうかを判定する(Step703)。
【0111】
次に、大図形のマスクパターンのデータとして閾値データベース10に登録があれば、その情報に基づいて主マスクパターンの丸み形状の半径Rの値が決定される(Step704)。仮にデータベースに登録されていなければ、丸め処理が不要な小図形のマスクパターンであることを示し、通常のマスクパターンとして相補分割を行う(Step707)。
【0112】
次に、閾値データベース10に登録されているマスクパターンであると判定されれば、判定された半径Rの情報に従って、大開口のマスクパターン2Aの角部(頂点)部分に半径Rの丸み処理を施す(Step705)。更に、大開口マスクパターンの角部の形状を補う一辺の長さXの正方形を補助マスクパターンとして配置する(Step706)。
【0113】
次に、図8のフローチャートに示すように、図7に示した処理により半径Rの値及びXの値をそれぞれ決定する工程(Step801)を経た後、必要あれば、これらの半径Rの値及びXの値に基づいてマスク設計パターンの修正(Step802)を行う。
【0114】
即ち、マスク設計パターンの修正が必要でなければ、ステンシルマスクの作製1(Step803)を経て露光条件の制御(Step805)に移行し、マスク設計パターンの修正が必要であれば、ステンシルマスクの作製2(Step804)を経て露光条件の制御(Step805)に移行する。
【0115】
次に、ステンシルマスクの形状等の条件によって露光条件の制御(Step805)において露光条件の修正が必要でなければ、露光条件1の設定(Step806)を経てレジスト露光(Step808)に移行し、露光条件の修正が必要であれば、露光条件2の設定(Step807)を経てレジスト露光(Step808)に移行する。
【0116】
更に、レジスト現像(Step809)を行って、レジストのパターニングを終了する。
【0117】
このように、上記のフローチャートによれば、露光パターンの相補分割処理工程を行うと同時に、大図形パターンにおける半径Rの値等を判定する処理工程を行うことができる。更に、上述の各種判定工程が既定値を収めたデータベースを参照して判定する方式であり、かつ、露光パターンの形状の幾何学的な処理も比較的単純に行えるので、露光用のデータ処理に費やす時間が増大することがない。
【0118】
なお、図9(a)、(b)、(c)に示すように、図3に示した正方形、直角三角形及び二等辺三角形の補助マスクパターン2Bを変形し、それぞれの形状の主マスクパターン2Aの露光処理部分を補うために部分的に重ねられるように、目的の露光パターンの角部を挟んだ隣接2辺から適切な距離だけ離れた隣接2辺を有する補助マスクパターン2Bとすることもできる。
【0119】
ここで、2重露光による露光領域の拡大量は露光量のデータ等によって予め判定されているので、これに基づいて補助マスクパターン2Bの位置、パターン、サイズを決め、露光を行うことができる。
【0120】
上記したように、本実施の形態によれば、メンブレン1Aの主マスクパターン2Aの内周角部に半径Rの丸み形状を付けているために、この内周角部に生じるメンブレン1Aの応力集中を防ぐことができ、応力集中によるメンブレン1Aの破損や変形を防止することができる。従って、主マスクパターン2Aを用いて常に所望のパターンに容易にかつ確実に露光を行うことができ、また、このメンブレン1Aからなるステンシルマスクの歩留を向上させることができる。
【0121】
また、半径Rの丸み形状が必要なサイズを既にデータベースとして保持し、ここから半径Rの丸み形状の寸法を読み出して、丸み形状を有する主マスクパターン2Aと補助マスクパターン2Bとの大きさ等を決定するので、丸み形状を有する主マスクパターン2Aと補助マスクパターン2Bとについての判定データを容易にかつ短時間で読み出すことができる。
【0122】
また、大開口の露光パターンについては、これをアスペクト比の大きいパターンに分割せず、露光パターンの各角部に簡単な丸め処理を施しかつ補助マスクパターンを用いるのみであるから、露光用のデータ処理時間の増大を招くことなく、より簡易に応力集中の問題を解決することができる。
【0123】
また、実験又はシミュレーション等を用いることにより、物理的な根拠のある基準で半径Rのデータベースを作成することができ、判定を的確に行うことができるために、丸め処理工程の信頼度が向上する。
【0124】
また、大開口の露光パターンの露光にかかわる既述した問題を解決できることによって、ステンシルマスクを用いた露光技術を適用できる対象を拡大することができる。
【0125】
また、大開口の露光パターンの判定にデータベースを用いることにより、不必要な分割を避けて最適な分割を行うことができ、その結果、データ処理全体の生産効率が向上し、データ量も軽減することができる。
【0126】
以上に説明した実施の形態は、本発明の技術的思想に基づいて種々に変形が可能である。
【0127】
例えば、主マスクパターン2Aの半径Rの値、補助マスクパターン2Bの形状、個数、大きさ、設置位置及びパターン等は、任意に選択することができる。補助マスクパターン2B又は補助マスク1Bは、1種類であるのがよいが、2種類以上の組み合せとしてもよい。
【0128】
また、上述の大開口パターンの露光処理の際に、電子線の走査又は/及び電子線のエネルギー調整を行いながら、露光を行ってもよい。
【0129】
また、1回目の露光時に所定強度又はエネルギーの電子線を照射し、続く2回目の露光時にそれ以上の強度又はエネルギーの電子線を照射してもよいし、この逆であってもよい。また、各露光時に同じ強度又はエネルギーの電子線を照射してもよい。
【0130】
また、使用する電子ビームはLEEPL用、EPL用としてよく、IPL用のイオンビームで露光してもよい。
【0131】
また、本発明は、コンデンサーの電極、誘電体膜、電源ライン等の形成に適用してよく、また、LEEPL用、EPL用、IPL用のステンシルマスク以外の他の種類の露光マスクに適用してもよく、露光対象のレジストの種類も様々であってよい。
【0132】
【発明の作用効果】
上述したように、本発明によれば、前記主マスクの第1の露光ビーム透過部の内周角部に丸み形状を付けているために、この内周角部に生じる主マスク内の応力の集中を防ぐことができ、応力の集中による主マスクの破損や変形を防止することができる。
【0133】
また、前記丸み形状が必要なサイズを既にデータベースとして保持し、ここから前記丸み形状の寸法を読み出して、前記丸み形状を有する主マスクパターンと補助マスクパターンとを決定するので、前記丸み形状を有する主マスクパターンと補助マスクパターンとについての判定データを容易にかつ短時間で読み出し、決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による相補形露光マスクの主マスクパターンの平面図(a)、補助マスクパターンの平面図(b)、及び目的とする最終露光パターンの平面図(c)である。
【図2】同、主マスクパターンの平面図(a)、及び半径Rと応力との相関特性を示すグラフ(b)である。
【図3】同、各種の主マスクパターンと補助マスクパターンとを重ねて示す平面図(a)、(b)及び(c)である。
【図4】同、各種の主マスクパターンと補助マスクパターンとを重ねて示す平面図(a)、(b)及びである。
【図5】同、露光エネルギー蓄積分布と露光幅との相関特性を示すグラフである。
【図6】同、エネルギー蓄積分布と露光幅との相関特性を一部拡大して示すグラフである。
【図7】同、露光処理工程のフローチャートである。
【図8】同、露光処理工程のフローチャートである。
【図9】同、種々の主マスクパターンと補助マスクパターンとを重ねて示す平面図(a)、(b)及び(c)である。
【図10】従来例によるステンシルマスクの平面図(a)及びX−X’線断面図(b)である。
【図11】同、ステンシルマスクの作製工程を順次示す断面図である。
【図12】同、ステンシルマスクの作製工程を順次示す断面図である。
【図13】同、大開口パターンを有するステンシルマスクの平面図(a)及びそのX−X’線断面図(b)である。
【図14】同、大開口パターンを有するステンシルマスクによる露光処理工程を順次示す断面図である。
【図15】同、露光処理工程及びエッチング工程を順次示す断面図である。
【図16】同、露光パターンの平面図(a)及びステンシルマスクの平面図(b)である。
【図17】同、露光パターンの平面図(a)、マスクパターンの平面図(b)及び(c)である。
【図18】同、マスクパターンのアスペクト比を示す平面図である。
【図19】同、アスペクト比とミーゼス降伏応力及び歪み量との相関関係を示す表1及びグラフ(a)、(b)である。
【図20】同、主マスクパターンの平面図(a)、補助マスクパターンの平面図(b)及び露光パターンの平面図(c)である。
【符号の説明】
1A、1B…メンブレン、2…露光パターン、2A…主マスクパターン、
2B…補助マスクパターン、3…凸部、4…丸み形状、
4A、4B…ステンシルマスク、5…非露光部
【発明が属する技術分野】
本発明は、例えば電子線による露光処理に好適な、露光用の相補形マスク、その製造方法及びその製造プログラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体素子の微細化は、光リソグラフィの解像限界を超えるために、電子線又はイオンビーム等の荷電粒子線を用いて微細な回路パターンを露光して描画する微細加工技術が開発されている。
【0003】
しかし、従来の電子線露光による直描方式においては、微細パターンになるほどデータの規模が大きくなり、その結果、描画時間が長くなり、生産性(スループット)が低くなってしまう。
【0004】
そこで、所定の回路パターンを有する転写マスクに電子線又はイオンビーム等を照射し、転写マスクの貫通孔(パターン開口)を通して電子線等をウェーハ上に照射することによってウェーハ上に回路パターンを形成する、電子線露光装置又はイオンビーム露光装置が提案されている。
【0005】
これらの露光技術には、例えば、高エネルギーの電子線を使用する電子線転写リソグラフィ(EPL;Electron−beam Proximity Lithography,H. C. Pfeiffer, Jpn. J. Appl. Phys. 34, 6658 (1995) 参照。)、低エネルギーの電子線を使用する低速電子線近接転写リソグラフィ(LEEPL;Low Energy Electron−beam Proximity Projection Lithography,T. Utsumi, U. S. Patent No. 5831272 (3 November 1998) 参照。)、イオンビームを使用するイオンビーム転写リソグラフィ(IPL;Ion−beam Lithography,H. Loeschner et al., J. Vac. Sci. Technol. B19,2520 (2001) 参照。)等がある。
【0006】
ここで、上記の低速電子線近接転写リソグラフィは、100nm以下の高スループットの電子線露光技術の一つであり、例えば、ウェーハとステンシルマスクとの間隔を約50μmに近接配置した状態で、平行低加速電圧電子線をウェーハに照射することにより、マスクパターンを等倍転写するものである。使用されるステンシルマスクは厚さ100nm〜10μm程度であり、Si、SiC又はダイアモンド等の薄膜(メンブレン)にビーム貫通孔を開けたものである。
【0007】
図10の平面図(a)及びこの平面図のX−X’線断面図(b)に示すように、ステンシルマスク67は例えば、電子線を透過するための幅0.03〜0.04μmの複数の貫通孔(パターン開口部)59が形成された厚さ0.4〜0.5μmのメンブレン(薄膜)51を有している(パターン開口部59は理解容易のために、数個分を簡略に図示している)。このメンブレン51は、パターン開口部59の周囲に形成された20〜40mm径の開口部61を有するSiO2膜55を介して、SiO2膜55の開口部61より大きいサイズの開口部60を有するSiウェーハ56に支持されている。ステンシルマスク67の全厚は例えば725μmである。
【0008】
このステンシルマスク67の作製工程を図11〜図12に示すが、まず、図11(a)に示すように、Siウェーハ56にSiO2膜55及びSi又はSiCからなるメンブレン51をそれぞれ所定の厚さで順次形成する。
【0009】
次に、図11(b)に示すように、Siウェーハ56上にレジスト57を所定パターンに設け、Siウェーハ56の一部をSiO2膜55の表面に至るまで、ドライエッチングで除去して開口部60を形成する。
【0010】
次に、図11(c)に示すように、レジスト57を除去した後に、Siウェーハ56をマスクとしてSiO2膜55の一部をメンブレン51の表面に至るまで、ドライエッチングで除去して開口部61を形成する。
【0011】
次に、図11(c)の状態を上下反転させた図12(d)に示すように、メンブレン51上に新たなレジスト57を設け、このレジスト57を所定のパターンに加工する。
【0012】
次に、図12(e)に示すように、レジスト57をマスクとして、メンブレン51をドライエッチングして貫通孔を形成し、パターン開口部59を形成する。その後に、メンブレン51上のレジスト57を除去することによって、図10に示すステンシルマスク67を作製することができる。
【0013】
ステンシルマスクとして、図10に示した微細なパターン開口部59を微細配線等の加工用として有するもの以外にも、図13に簡略に図示するように、電源ラインやトランジスタの容量部分等の加工用の大きな開口面積のパターン開口部69を有するステンシルマスク67も存在する。
【0014】
このステンシルマスク67を用いた電子線による露光処理工程を説明すると、まず、図14(a)に示すように、Si基板70上にSiO2膜75及び電源ライン等となる金属層74がそれぞれ所定の厚さに順次形成された被加工物を用意し、図14(b)に示すように、金属層74上に電子線レジスト77を設ける。
【0015】
次に、図14(c)に示すように、レジスト77上に、図13に示した大開口パターン69を有するステンシルマスク67を配置し、電子線71を照射し、ステンシルマスク67のメンブレン51側からパターン開口部69を通過させ、レジスト77を大開口パターンに露光する。
【0016】
次に、図15(d)に示すように、上記のレジスト77は例えばネガ型であれば、電子線が照射されたレジスト部分のみが現像後に残り、その他の非照射部分のレジスト部分は除去される。
【0017】
次に、図15(e)に示すように、所定のパターンに加工されたレジスト77をマスクとして、金属層74をSiO2膜75の表面に至るまでドライエッチングで除去する。
【0018】
次に、図15(f)に示すように、レジスト77を除去することによって、所望のパターン形状の金属薄膜74を例えば電源ラインとして形成することができる。
【0019】
ここで、上記のようなステンシルマスク67においては、その構造上例えばドーナッツ状の開口パターンの場合には、電子線を透過させない部分である中心部が脱落してしまって開口パターンを保持することができず、また、リーフ状の開口パターンの場合には、片持ち梁構造なので形状保持が不安定になる等、これらの開口パターンは形成が不可能か或いは困難である。
【0020】
そこで、こうした開口パターンを幾何学的に分割し、分割後の複数の開口パターンをウェーハ上で重ね合わせて補足することによって、目的の開口パターンをウェーハ上に形成する、いわゆる相補分割方法が用いられている。
【0021】
その一方で、図13に示したような、大面積の矩形パターン開口部69を有するステンシルマスク67については、図16(a)に改めて示すように、マスクパターンを分割せずにそのままの形状で用いることは可能である。
【0022】
ところが、図16(b)に示すように、大開口のパターン開口部69の各角部(頂点)63においては、メンブレン51に内在する引張り応力が集中することによって、パターン開口部69の各角部63からメンブレン51の外側に向かって亀裂(クラック)53が生じ、最悪の場合にはメンブレン51が破壊するという問題が指摘されている。
【0023】
更に、大開口のパターン開口部69の存在により内部応力分布が急激に変化することにより、パターン開口部69の周辺パターン(図示せず)の位置が変位(変形)してしまうという問題もある。
【0024】
しかしながら、例えば、トランジスタのゲート酸化膜を用いた容量部分や、電源ライン等の大電流を必要とする配線部分の形成については、大開口のマスクパターンを用いた露光処理が必要であるため、ステンシルマスク67のサイズデータから大開口のパターン開口部69等の大開口のマスクパターンのデータをなくすことはできない。従って、この大開口のマスクパターンも相補分割方法の対象図形とせざるをえない。
【0025】
例えば、図17(a)に示すように、非露光部51内の露光パターン69をマスクパターン69A及び69Bに分け、図17(b)及び図17(c)に示すように、露光パターンを交互に配置してマスクパターン69Aと69Bとが相補することによって、元の大開口の露光パターン69の占める領域をすべて露光することができる。
【0026】
そして、実際に大開口の露光パターン69に露光処理を行うには、マスクパターン69A及び69Bをそれぞれ有するメンブレン51A及び51Bを重ね合せて露光処理を行うことによって、2つのマスクパターン69A及び69Bで相補された大開口の露光パターン69の露光処理を行うことができる。
【0027】
また、図20(a)、(b)に示すように、矩形の露光パターン69の角部(頂点部分)を三角形状に切除したマスクパターン69Cと、三角形のマスクパターン69Dとに相補分割する方法がある(例えば、特許文献1参照)。これらのマスクパターンを重ね合せて、図20(c)に示すような正方形の正規の大開口露光パターン69とすることができる。
【0028】
【特許文献1】
特開2000−91191号公報(第5頁の左欄、第7頁の図3)
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図17に示した相補分割方法においては、メンブレン51A、51Bに、縦横比(アスペクト比)の大きな長方形のラインアンドスペース(L&S:Line and Space)パターン69A及び69Bが形成されるため、物理的に不安定な状態が生じて、マスクパターン69A及び69Bの主に長辺部分に歪みが発生してしまう。
【0030】
例えば、図18に示すように、ほぼ正方形のマスクパターン69を有するメンブレン51からなるステンシルマスク67においては、アスペクト比が小さいためにマスクパターン69の歪みによる変形は生じにくいが、アスペクト比が大きくなって、マスクパターン69の短辺と長辺との長さの差が大きくなるにつれて、マスクパターン69の長辺部分に歪が生じて形状が変化し、図に破線で示したような湾曲部54が生じてしまい、マスクパターン69の形状が変形して、所望の露光パターン形状を維持することが難しくなってしまう。
【0031】
この相補分割方法は、応力集中を緩和するという観点では効果が小さいということが、材料力学的な考察や有限要素法(FEM:Finite Element Method)シミュレーション等により明らかになっている。このことを、図19の表1及びグラフ(a)及び(b)によって説明する。
【0032】
これらはいずれも、マスクパターン69のアスペクト比の変化に対応して、メンブレン51内の応力を表すミーゼス降伏応力の値と、メンブレン51内の歪み(変形)の度合いを表す歪み量とが、どのように変化するかを示したものである。グラフ(a)、(b)中の値は表1の数値をプロットしたものである。
【0033】
表1によれば、マスクパターン69がアスペクト比9:9(1:1)の正方形である時には、ミーゼス降伏応力の値が131.99(MPa)であり、歪み量の値が0.16155(μm)であって、メンブレン51に生じる応力及び歪み量が小さい。
【0034】
しかし、マスクパターン69のアスペクト比が1:1よりも大きくなり、例えば1:9となると、ミーゼス降伏応力の値が174.27(MPa)となり、歪み量の値が0.21656(μm)にもなってしまう。
【0035】
従って、アスペクト比が大きくなるにつれて、メンブレン51に生じる応力及び歪み量が増大し、破損及び変形しやすくなってマスクパターン69の形状維持が難しくなる。
【0036】
ここで、上記のように大開口パターンを2つではなく3つのパターンに相補分割する方法も提案されている(第61回応用物理学会講演予稿集 p618「EPL用ステンシルマスクのマスク分割に関する検討」H.morinaga, A.Ikeda, Y.Kuroki, H.Yamashita 参照。)。しかし、この分割方法は、マスク構造が複雑になりマスクコストが増大してしまうために、マスクパターンの構造上現実的な方法とはならず、実際のマスクパターンの作製工程には採用されていない。
【0037】
また、図20に示した相補分割方法の場合、露光パターン69を八角形の1つのマスクパターン69Cと三角形の4つのマスクパターン69Dとに分割しているが、2重露光される部分がほとんど無いために、図20(b)に一部分を拡大図示するように、マスクパターン69Dの鋭角な角部Aにおいては空間が狭くて電子線が通り難くなり、この部分が解像されずに露光処理されない可能性がある。
【0038】
更に、この相補分割方法においては、矩形であれば様々な形状のマスクパターンが対象となるために、相補分割処理後の開口パターンのデータの規模が大きくなり、データ処理に対する生産効率(スループット)の低下を招く可能性がある。
【0039】
本発明は、上記のような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、露光マスクの破損や変形を防止して、露光精度を向上させることのできる、露光用の相補形マスク、その製造方法及びその製造プログラムを提供することにある。
【0040】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、露光ビームによって所定パターンに露光するのに用いる相補形マスクであって、
第1の露光ビーム透過部を有し、この第1の露光ビーム透過部の内周角部に丸み形状が付けられた主マスクと、
前記丸み形状によって生じた非露光部を補い、前記第1の露光ビーム透過部と相加して前記所定パターンの露光領域を形成するための第2の露光ビーム透過部を有する補助マスクと
を具備する露光用の相補形マスク、及びこの相補形マスクの製造方法に係るものである。
【0041】
本発明は又、前記露光用の相補形マスクの製造プログラムであって、
前記丸み形状の必要なサイズをデータベースとして保持する段階と、
前記丸み形状の形成が必要と判定されたパターンに対して前記データベースから前記丸み形状の寸法を読み出す段階と、
前記丸み形状を有する前記主マスクのパターンを決定する段階と、
前記第2の露光ビーム透過部を有する前記補助マスクを決定する段階と
を有する、露光用の相補形マスクの製造プログラムに係るものである。
【0042】
本発明によれば、前記主マスクの第1の露光ビーム透過部の内周角部に丸み形状を付けているために、この内周角部に生じる主マスク内の応力の集中を防ぐことができ、応力の集中による主マスクの破損や変形を防止することができる。
【0043】
また、前記丸み形状が必要なサイズを既にデータベースとして保持し、ここから前記丸み形状の寸法を読み出して、前記丸み形状を有する主マスクパターンと補助マスクパターンとを決定するので、前記丸み形状を有する主マスクパターンと補助マスクパターンとについての判定データを容易にかつ短時間で読み出し、決定することができる。
【0044】
【発明の実施の形態】
本発明においては、前記主マスクの破損を防止するために、前記丸み形状が、前記主マスクの前記角部における応力を低減させるように形成されているのが望ましい。
【0045】
また、前記主マスクの前記丸み形状が半径Rの円弧をなし、前記主マスクの前記角部を成す隣接辺に重なるか或いは平行に近接する隣接辺が前記補助マスクに形成され、この補助マスクの前記隣接辺の長さをX、前記主マスクの前記角部のなす角度をθとした時、
R×((1−sin(θ/2))/tan(θ/2))≦X≦R/tan(θ/2)
を満足するのが、より効果的な露光処理のために望ましい。
【0046】
また、露光精度の向上のために、前記主マスクが第1の露光に、前記補助マスクが前記第1の露光とは別の第2の露光に用いられる相補形マスクとして構成されているのが望ましい。
【0047】
また、効果的な電子線露光処理(EPL、LEEPLを含む。)やイオンビーム露光処理のために、上述の主マスク及び補助マスクがステンシルマスクとして用いられるのが望ましい。但し、本発明は、通常の露光処理にも適用可能である。
【0048】
次に、本発明の好ましい実施の形態を図面参照下に具体的に説明する。
【0049】
相補形マスクの形状
本実施の形態は、図1に示すように、ステンシルマスクの大開口の露光パターン2を2枚のマスクパターン2A及び2Bに分割し、この際に、図17に示した従来例のように、アスペクト比が大きいL&Sマスクパターンとして形成するのではなく、メンブレンに内在する応力の集中によるメンブレンの破壊を効果的に回避することができる主マスクパターン2Aと、この非露光域を十分に補う補助マスクパターン2Bとに分割するものである。
【0050】
即ち、まず、図1(a)に示すように、図1(c)に示すような四角形の大図形の露光パターン2の4隅の角部に、適当な半径Rの丸み形状4を有する主マスクパターン2Aを形成することによって、この主マスクパターン2Aを有するメンブレン1Aに内在する応力が各角部に集中することを緩和して、メンブレン1Aの破壊を防止することができる。
【0051】
他方、図1(b)に示すように、主マスクパターン2Aの4隅に相当する位置に、主マスクパターン2Aの非露光域を補い、一辺の長さがRの正方形の補助マスクパターン2Bをメンブレン1Bに4箇所形成する。これらの補助マスクパターン2Bにおいては、一辺の長さRが小さいので、メンブレン1Bに内在する応力の集中は問題とならない程度に小さい。
【0052】
そして、これらの2つのマスクパターン2A及び2Bを露光処理にそれぞれ用い、一部分の重ね合わせ露光(2重露光)を伴いながら、ウェーハ(図示せず)上に正方形の大開口露光パターン2を転写するものである(なお、図中の5は非露光部を示す)。
【0053】
本実施の形態による相補分割方法は、大別して2つのステップからなる。その第1のステップは、マスクパターンの角部に対して丸みを付けるための丸め処理を行う際の最小図形サイズを決定し、それ以上の図形サイズにおける適切なRの値についてのデータベースを作成することである。
【0054】
また、第2のステップとして、マスクパターンのデータの相補分割処理と同時に行われる大図形マスクパターンの抽出、実際の丸め処理、及び丸めに対応した補助マスクパターンを決定することである。
【0055】
以下、これらのステップを順を追って説明する。
データベースの作成
まず、実験又は力学的なシミュレーションを行うことにより、大開口の露光パターンの角部における応力の値を、図形のサイズデータ及び丸め処理時の半径Rの関数の値として求め、メンブレン1が破壊しないような応力の閾値から各図形のマスクパターンサイズにおける適切なRの値を収集したデータベースを作製する。また、丸め処理が必要となる図形の最小のマスクパターンサイズも定義する必要がある。
【0056】
図2は、シミュレーション等を用いてデータベースを作成する方法を説明するものである。
【0057】
ここで、図2(a)は、電子線(又はイオンビーム)照射によりレジストを選択的に露光して電源ライン、容量等を形成するためのステンシルマスクのマスクパターンについて、例えば、50μm×120μm(Lx×Ly)、アスペクト比1:2.4、厚さ0.4μmの大開口マスクパターン2Aを有するメンブレン1Aからなる1.05mm角のステンシルマスク4Aを表すものである。また、図2(b)は、この大開口マスクパターン2Aについて、四隅の角部に付けた丸み形状4のR値に対するX又はY方向でのステンシルマスク4Aの引張応力(Sx又はSy)とせん断応力(Sz)をそれぞれプロットしたものである。
【0058】
このステンシルマスク4Aを構成するメンブレン1Aは、例えば材質がSiであり、ヤング率が160GPa、ポアッソン比が0.2及び内部応力が10MPaであるが、これらの物性値はメンブレン1Aの材質によって適切な値としてよい。これは、メンブレン1Aの厚さは極めて薄いので、平面応力状態のみを仮定しており、厚さが応力の計算結果に影響しないものと考えられるからである。但し、メンブレン1Aの厚さを考慮した応力のシミュレーションも勿論可能である。
【0059】
そして、メンブレン1Aの応力のシミュレーションについては、例えば、有限要素法(FEM)等に基づく適切なシミュレーションにより、正確なデータが得られることが知られているが、可能ならば、実験データと比較することにより、シミュレーションを最適化又はスケーリングすることもできる。
【0060】
図2(b)に示すように、メンブレン1Aの3種類の応力(単位:MPa)はいずれも、丸み形状4の半径R(単位:μm)の値が減少すると共に増加し、特に半径Rの値が0.5μm又はその近傍から急激に増大することが分かる。
【0061】
即ち、応力が急激に増大するR=0.5μmを閾値(Rc)とし、Rが0.5μm以下では、大図形のマスクパターン2Aの角部に応力が集中し、メンブレン1Aが破損する可能性がある。この閾値(Rc)は、マスクパターン2Aの図形サイズである短辺Lx及び長辺Lyの長さに依存している。
【0062】
ここで、閾値(Rc)は、一意的に決まるものではなく、後述する例に示されるように種々の基準に基づいて決めるのがよい。即ち、この基準は、シミュレーション又は実験等に基づいて作成された適切な閾値のデータベースを用いて決めることが重要である。そして、実際のマスクパターンの作製に適用する過程において、この閾値のデータベースを修正又は改良することもできる。
【0063】
例えば、閾値(Rc)を決定する一つの基準として、ミーゼスの降伏条件が挙げられる。これは、応力の集中によってメンブレンが破損する時の降伏応力をYとすると、下記の式1によって求められる。
Y2=3/2[(Sxx 2+Syy 2+Szz 2)+2(Sxy 2+Syz 2+Szx 2)]・・・式1
(但し、Sxx、Syy、Szzは垂直応力、Sxy、Syz、Szxはせん断応力を表す。)
【0064】
上記の式1は、右辺の合計値がY2の値を超えた時点で、メンブレンの降伏による破損が生じるという条件を示すものである。
【0065】
これ以外にも、メンブレンの破損を予測する様々な条件式が提案されているが、あらゆる場合に適用可能な絶対的な基準というのはないのが現状である。また、降伏応力の値が既知でないメンブレンの材質に対しては、その測定を改めて行わなくてはならないが、これは、降伏応力を計算によって求めることも原理的には不可能ではないが、極めて困難であるためである。
【0066】
そこで、上述の式1の右辺の合計値を半径Rの関数として計算し、図2(b)に示したようにその値が急激に増大する半径Rの値の右側に、閾値(Rc)を設定する方法が考えられる。
【0067】
例えば、多くの大図形サイズの露光パターンに対して自動的に系統的な計算を行って、図2(b)に示すような応力曲線の変曲点の半径Rの値を求め、この値に適当な安全係数(1以上が好ましい。)を掛けて閾値(Rc)としてもよい。
【0068】
或いは、実験的にパターンサイズ又は半径Rの値を変化させた大開口の露光パターンを含むステンシルマスク4Aを複数枚作製し、各ステンシルマスク4Aについてパターン開口部2Aの角部が破損しているか否かを、光学顕微鏡又は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning electron microscope)等によって判定することにより、閾値(Rc)のデータベースを作成することができる。
【0069】
なお、露光パターンの図形サイズが小さくなるにつれて、パターン開口部2Aの角部に生じる応力集中の絶対値が小さくなるので、その角部での丸め処理は不要になる。そこで、丸め処理が必要な最小の図形サイズLmin(Lx及びLyの最小値)も同様の方法で決定しておく必要がある。
【0070】
マスクパターンの設定
次に、この閾値データベースに基づいて、大開口の露光パターンの角部(頂点)部分に半径Rを持たせることによって応力の集中を回避するデータ処理を行う。
【0071】
そして、この半径Rを持たせた大開口の露光パターンを有する相補形マスクの主マスクパターンを2Aとすると共に、半径Rの長さを1辺とする正方形の補助マスクパターンを2Bとし、この補助マスクパターン2Bを主マスクパターン2Aの角部を補う形で配置する。
【0072】
主マスクパターン2Aと補助マスクパターン2Bとを組み合わせて、露光処理する時の状態を図3について説明する。
【0073】
ここで、図3(a)、(b)及び(c)に示すように、補助マスクパターン2Bは、目的とする最終露光パターン図形において半径Rの丸め処理を持たせた頂点と同じ角度θを有し、この角度θを挟む隣接2辺の長さをXとする。
【0074】
図3(a)に示すマスクパターンでは、主マスクパターン2Aの角部において、主マスクパターン2Aの丸み形状が半径Rの円弧をなしており、目的の露光パターンの角度θ=90度の直角部の隣接辺と重なるように、一辺の長さX=Rであって角部が角度θの正方形の補助マスクパターン2Bを配置する。
【0075】
そして、これらのマスクパターン2A及び2Bの占める領域においては露光処理がそれぞれ行われると同時に、マスクパターン2A及び2Bが重なる領域は2重露光されることによって、目的とする所定形状の露光パターンを得ることができる。
【0076】
この場合、各マスクパターンによる2重露光領域のうち主マスクパターン2Aの開口内周辺においては、露光エネルギーのにじみ出しによって、露光領域が主マスクパターン2Aによる露光領域よりも外側へ拡がるおそれがある。これを防止するには、主マスクパターン2Aの開口内周辺に破線で示すように凸部3を形成しておくことによって、凸部3の領域が2重露光されることがないようにすると共に、その凸部の領域を埋めるように内側から露光領域をにじみ出しにより拡げて本来の露光パターンを得るようにすることができる。
【0077】
図3(b)は、図3(a)と比べて、主マスクパターン2Aの補助マスクパターン2Bとして一辺の長さXが半径Rの直角三角形の補助マスクパターン2Bを配置する例を示す。
【0078】
この例においては、補助マスクパターン2Bの形状が直角三角形であって図3(b)と比べてパターン面積が半分となるために、2重露光部分が減少する。これに伴って、上記した凸部3の大きさを小さくしてよい。
【0079】
図3(c)は、目的とする露光パターンの角部が90度未満の鋭角をなし、その角部における主マスクパターン2Aの丸み形状が半径Rの円弧をなしており、角度θを挟む隣接2辺を有する二等辺三角形の補助マスクパターン2Bを配置する例を示す。
【0080】
このように、補助マスクパターン2Bの形状については、主マスクパターン2Aによる露光時の非露光部を埋める(補償する)ために用いられるので、図3に示すような矩形(正方形)だけではなく、図3(b)及び(c)のような直角三角形または二等辺三角形等でもよい。
【0081】
なお、上記した各例においては必ず2重露光される領域が存在することになるが、補助マスクパターンの面積が比較的小さいために、周囲のパターンに与える影響は少ない。
【0082】
本実施の形態では、例えば低エネルギーの電子線を使用する低速電子線近接転写リソグラフィ(LEEPL)によって露光処理を行うが、例えば、高エネルギーの電子線を使用する電子線転写リソグラフィ(EPL)を用いると、ウェーハに入射する電子線(荷電粒子)のエネルギーが高くなり、2重露光による露光パターンの変形量が大きくなってしまう。
【0083】
そこで、必要に応じて、公知のドーズ量補正アルゴリズムを用いることによって、2重露光による露光パターンの変形量を容易に低減することができる(F. Murai et al., J. Vac. Sci. Technol., B 10, 3072 (1992) 参照)。
【0084】
次に、図4に示すように、図3(a)〜図3(c)に示した主マスクパターン2Aと補助マスクパターン2Bとの組み合わせにおいて、効果的に露光処理のできる補助マスクパターン2Bについて更に詳細に説明する。
【0085】
ここで、補助マスクパターン2Bの一辺の長さをXとし、補助マスクパターン2Bの隣接2辺がなす角度をθとし、角部における主マスクパターン2Aの丸み形状の半径をRとする。
【0086】
この時に、Xの値は、下記の式2に示された範囲内にあることが望ましい。
R×((1−sin(θ/2))/tan(θ/2))≦X≦R/tan(θ/2) ・・・式2
【0087】
図4(a)に示すように、正方形の補助マスクパターン2Bを使用する際のXの最小値(Xmin)であるR×((1−sin(θ/2))/tan(θ/2))は、補助マスクパターン2Bが主マスクパターン2Aとほぼ点接触し、2重露光が実質的に生じない状態を意味する。
【0088】
Xの値がXminより小さくなると、主マスクパターン2Aによる露光処理時の非露光部分が、補助マスクパターン2Bによる露光処理によっても十分に露光されることがないために、目的の露光パターンが得られないことがある。
【0089】
また、Xの最大値(Xmax)であるR/tan(θ/2)は、主マスクパターン2Aの丸み形状の半径Rに相当する正方形の補助マスクパターン2Bの一辺である。
【0090】
Xの値がXmaxより大きくなると、補助マスクパターン2Bのサイズがより大きくなって、2重露光部分を増加させてしまい、露光パターンの精度が低下し易くなるので、XはXmax以下とするのがよい。これは、LEEPLではあまり問題とはならないが、EPLでは必要な条件である。
【0091】
好ましいXの値の範囲をまとめると、下記の式で表される。
R×((1−sin(θ/2))/tan(θ/2))≦X≦R/tan(θ/2) ・・・式2
【0092】
図4(b)は、図4(a)と同様にして、主マスクパターン2Aの丸み形状に対応したマスクパターン2Bを使用する際に、パターン角部を挟む補助マスクパターンの隣接辺の長さXの最小値(Xmin)であるR×((1−sin(θ/2))/tan(θ/2))は、角度θを有する角部の頂点と半径Rの丸み形状の中心とを結ぶ直線と半径Rの円弧との交点での接線によって形成される直角三角形の一辺に相当する。
【0093】
そして、Xの値がXminより小さくなると、主マスクパターン2Aによる露光処理時の非露光部分が、補助マスクパターン2Bによる露光処理によっても十分に露光されることがないために、目的の露光パターンが得られないことがある。
【0094】
なお、図4(b)において、補助パターン2Bとして、角部に対する対向辺がXmaxのときの対向辺と平行であってより短かく(Xもより短かく)してよい。このときのXの範囲は、
2×((1−sin(θ/2)/sinθ))×R≦X≦R
/tan(θ/2)
が望ましい。
【0095】
また、上述の露光処理においては、低エネルギーの電子線を使用した露光処理方法(LEEPL)を用いるが、同じ露光処理において、高エネルギーの電子線を使用した露光処理方法(EPL)を用いる場合には、2重露光の際ににじみにより拡大する露光領域が大きくなるので、Xの値をそれに対応して小さくし、補助マスクパターンを小さくすることができる。
【0096】
次に、低速電子線近接転写リソグラフィ(LEEPL)のように低エネルギーの荷電粒子(低エネルギーの電子線)を露光処理工程で用いる場合に、粒子(電子線)のレジスト中での飛程は小さいので、レジストにおける2重露光の影響は極めて小さく、特別な補正は必要ないと考えられる。これを以下に定量的に示す。
【0097】
図5に示すように、低速電子線近接転写リソグラフィ(LEEPL)方式を使用し、入射(露光用)エネルギーが2keVである電子線を、Si基板上に塗布された厚さ70nmのレジストに照射(入射)する場合、x=−2000nm(−2μm)〜2000nm(2μm)の範囲に、レジストに対して最適露光量に相当する電子線を入射して1回目の露光を行うと、レジスト底面におけるエネルギー蓄積量は任意単位で(以下、同様)約1.0となる。
【0098】
ここで、低エネルギーの電子線を用いると、基板側からの電子線の後方散乱による影響をほとんど無視することができると共に、前方散乱径も約30nmとなるので、周囲のレジスト部分を余分に露光してしまう可能性は低い。
【0099】
次に、第1回目の露光領域の右側半分の領域(x=0nm〜+2000nm)のレジストに対して、最適露光量に相当する電子線を入射して2回目の露光を行うと、レジストの底面におけるエネルギー蓄積量は約2.0となる。
【0100】
ここで例えば、レジストがポジ型である場合は、ある閾値以上の照射エネルギーが付与された部分のレジストは現像で除去される。レジストがネガ型である場合は、ある閾値以上の照射エネルギーが付与された部分にはレジストが残留し、その他の部分は現像で除去される。
【0101】
図5に示す露光エネルギー分布において、2重露光により、露光パターンが、設計値のxの値(±2000nm(±2μm))から外側へどの程度拡がるかを調べるために、図5中のxの値が+2000nm(+2μm)付近を拡大して示したのが図6である。
【0102】
仮に、1回目の露光処理によって、レジストにx=−2000nm(−2μm)〜2000nm(2μm)の4000nm(4μm)幅の露光パターンを形成すると、レジスト底面におけるエネルギー蓄積量は、x=1960nmの付近から減少し、2000nmの付近でエネルギー蓄積量がレジスト感光の閾値である0.5となり、それより外側では更に減少していく。
【0103】
なお、エネルギー蓄積量の閾値(0.5)は規格化され、任意単位で表わしたが、エネルギー蓄積量が0.5以下になると、エネルギー不足となってレジストが露光によっても実質的に感光されない。
【0104】
図6に示すように、1回目の露光においては、xの値が2000nm付近でエネルギー蓄積量の閾値である0.5となるので、露光が十分になされていると同時に露光パターンも適切なものとなっている。
【0105】
次に、2回目の露光の結果、レジスト底面におけるエネルギー蓄積量が、x=1960nm付近から減少し、2000nm付近では約1.0となり、エネルギー蓄積量が閾値である0.5に達するのは、x=2015nm付近である。
【0106】
従って、LEEPLによる2回目の露光後の露光パターンは、1回目の露光による露光パターンよりもd1=15nmだけ拡大するが、この増大分は僅かであるため、露光精度に支障がほとんど無く、また設計上の許容範囲内の値である。このことは、低エネルギーの電子線を使用する低速電子線近接転写リソグラフィ(LEEPL)を用いて1回目の露光後に2回目の露光を重ねて行う場合には、2重露光によるレジストの露光パターン精度に対する影響は実質的にないものと言える。
【0107】
なお、上記の1回目及び2回目の露光よりも大きなエネルギー量の電子線を使用する場合、図6中に破線で示すように、エネルギー蓄積量は例えばx=1960nm付近から減少し、2000nm付近では約1.4となり、更に減少して、エネルギー蓄積量が閾値である0.5に達するのはx=2030nm付近になることがある。
【0108】
この場合、露光パターンは、1回目の露光による露光パターンよりもd2=30nmも拡大し、この値が設計上の許容範囲外の値であれば、この増大分によって露光精度に支障が生じるので、これを予め考慮したマスクパターンを例えば図3中に破線3で示したように修正しておくのがよい。
【0109】
データ処理のフロー
図7〜図8は、主マスクパターンの丸み形状の半径Rの決定、補助マスクパターンの形状及びサイズ、更には露光条件の決定等を含む実際のデータ処理の流れをフローチャートで説明するものである。
【0110】
まず、図7のフローチャートに示すように、マスクパターンがメンブレン内にある場合(Step701)、このマスクパターンをデータとして取得し(Step702)、この取得したマスクパターンのデータが、閾値データベース10に登録されているマスクパターンのデータと合致するかどうかを判定する(Step703)。
【0111】
次に、大図形のマスクパターンのデータとして閾値データベース10に登録があれば、その情報に基づいて主マスクパターンの丸み形状の半径Rの値が決定される(Step704)。仮にデータベースに登録されていなければ、丸め処理が不要な小図形のマスクパターンであることを示し、通常のマスクパターンとして相補分割を行う(Step707)。
【0112】
次に、閾値データベース10に登録されているマスクパターンであると判定されれば、判定された半径Rの情報に従って、大開口のマスクパターン2Aの角部(頂点)部分に半径Rの丸み処理を施す(Step705)。更に、大開口マスクパターンの角部の形状を補う一辺の長さXの正方形を補助マスクパターンとして配置する(Step706)。
【0113】
次に、図8のフローチャートに示すように、図7に示した処理により半径Rの値及びXの値をそれぞれ決定する工程(Step801)を経た後、必要あれば、これらの半径Rの値及びXの値に基づいてマスク設計パターンの修正(Step802)を行う。
【0114】
即ち、マスク設計パターンの修正が必要でなければ、ステンシルマスクの作製1(Step803)を経て露光条件の制御(Step805)に移行し、マスク設計パターンの修正が必要であれば、ステンシルマスクの作製2(Step804)を経て露光条件の制御(Step805)に移行する。
【0115】
次に、ステンシルマスクの形状等の条件によって露光条件の制御(Step805)において露光条件の修正が必要でなければ、露光条件1の設定(Step806)を経てレジスト露光(Step808)に移行し、露光条件の修正が必要であれば、露光条件2の設定(Step807)を経てレジスト露光(Step808)に移行する。
【0116】
更に、レジスト現像(Step809)を行って、レジストのパターニングを終了する。
【0117】
このように、上記のフローチャートによれば、露光パターンの相補分割処理工程を行うと同時に、大図形パターンにおける半径Rの値等を判定する処理工程を行うことができる。更に、上述の各種判定工程が既定値を収めたデータベースを参照して判定する方式であり、かつ、露光パターンの形状の幾何学的な処理も比較的単純に行えるので、露光用のデータ処理に費やす時間が増大することがない。
【0118】
なお、図9(a)、(b)、(c)に示すように、図3に示した正方形、直角三角形及び二等辺三角形の補助マスクパターン2Bを変形し、それぞれの形状の主マスクパターン2Aの露光処理部分を補うために部分的に重ねられるように、目的の露光パターンの角部を挟んだ隣接2辺から適切な距離だけ離れた隣接2辺を有する補助マスクパターン2Bとすることもできる。
【0119】
ここで、2重露光による露光領域の拡大量は露光量のデータ等によって予め判定されているので、これに基づいて補助マスクパターン2Bの位置、パターン、サイズを決め、露光を行うことができる。
【0120】
上記したように、本実施の形態によれば、メンブレン1Aの主マスクパターン2Aの内周角部に半径Rの丸み形状を付けているために、この内周角部に生じるメンブレン1Aの応力集中を防ぐことができ、応力集中によるメンブレン1Aの破損や変形を防止することができる。従って、主マスクパターン2Aを用いて常に所望のパターンに容易にかつ確実に露光を行うことができ、また、このメンブレン1Aからなるステンシルマスクの歩留を向上させることができる。
【0121】
また、半径Rの丸み形状が必要なサイズを既にデータベースとして保持し、ここから半径Rの丸み形状の寸法を読み出して、丸み形状を有する主マスクパターン2Aと補助マスクパターン2Bとの大きさ等を決定するので、丸み形状を有する主マスクパターン2Aと補助マスクパターン2Bとについての判定データを容易にかつ短時間で読み出すことができる。
【0122】
また、大開口の露光パターンについては、これをアスペクト比の大きいパターンに分割せず、露光パターンの各角部に簡単な丸め処理を施しかつ補助マスクパターンを用いるのみであるから、露光用のデータ処理時間の増大を招くことなく、より簡易に応力集中の問題を解決することができる。
【0123】
また、実験又はシミュレーション等を用いることにより、物理的な根拠のある基準で半径Rのデータベースを作成することができ、判定を的確に行うことができるために、丸め処理工程の信頼度が向上する。
【0124】
また、大開口の露光パターンの露光にかかわる既述した問題を解決できることによって、ステンシルマスクを用いた露光技術を適用できる対象を拡大することができる。
【0125】
また、大開口の露光パターンの判定にデータベースを用いることにより、不必要な分割を避けて最適な分割を行うことができ、その結果、データ処理全体の生産効率が向上し、データ量も軽減することができる。
【0126】
以上に説明した実施の形態は、本発明の技術的思想に基づいて種々に変形が可能である。
【0127】
例えば、主マスクパターン2Aの半径Rの値、補助マスクパターン2Bの形状、個数、大きさ、設置位置及びパターン等は、任意に選択することができる。補助マスクパターン2B又は補助マスク1Bは、1種類であるのがよいが、2種類以上の組み合せとしてもよい。
【0128】
また、上述の大開口パターンの露光処理の際に、電子線の走査又は/及び電子線のエネルギー調整を行いながら、露光を行ってもよい。
【0129】
また、1回目の露光時に所定強度又はエネルギーの電子線を照射し、続く2回目の露光時にそれ以上の強度又はエネルギーの電子線を照射してもよいし、この逆であってもよい。また、各露光時に同じ強度又はエネルギーの電子線を照射してもよい。
【0130】
また、使用する電子ビームはLEEPL用、EPL用としてよく、IPL用のイオンビームで露光してもよい。
【0131】
また、本発明は、コンデンサーの電極、誘電体膜、電源ライン等の形成に適用してよく、また、LEEPL用、EPL用、IPL用のステンシルマスク以外の他の種類の露光マスクに適用してもよく、露光対象のレジストの種類も様々であってよい。
【0132】
【発明の作用効果】
上述したように、本発明によれば、前記主マスクの第1の露光ビーム透過部の内周角部に丸み形状を付けているために、この内周角部に生じる主マスク内の応力の集中を防ぐことができ、応力の集中による主マスクの破損や変形を防止することができる。
【0133】
また、前記丸み形状が必要なサイズを既にデータベースとして保持し、ここから前記丸み形状の寸法を読み出して、前記丸み形状を有する主マスクパターンと補助マスクパターンとを決定するので、前記丸み形状を有する主マスクパターンと補助マスクパターンとについての判定データを容易にかつ短時間で読み出し、決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による相補形露光マスクの主マスクパターンの平面図(a)、補助マスクパターンの平面図(b)、及び目的とする最終露光パターンの平面図(c)である。
【図2】同、主マスクパターンの平面図(a)、及び半径Rと応力との相関特性を示すグラフ(b)である。
【図3】同、各種の主マスクパターンと補助マスクパターンとを重ねて示す平面図(a)、(b)及び(c)である。
【図4】同、各種の主マスクパターンと補助マスクパターンとを重ねて示す平面図(a)、(b)及びである。
【図5】同、露光エネルギー蓄積分布と露光幅との相関特性を示すグラフである。
【図6】同、エネルギー蓄積分布と露光幅との相関特性を一部拡大して示すグラフである。
【図7】同、露光処理工程のフローチャートである。
【図8】同、露光処理工程のフローチャートである。
【図9】同、種々の主マスクパターンと補助マスクパターンとを重ねて示す平面図(a)、(b)及び(c)である。
【図10】従来例によるステンシルマスクの平面図(a)及びX−X’線断面図(b)である。
【図11】同、ステンシルマスクの作製工程を順次示す断面図である。
【図12】同、ステンシルマスクの作製工程を順次示す断面図である。
【図13】同、大開口パターンを有するステンシルマスクの平面図(a)及びそのX−X’線断面図(b)である。
【図14】同、大開口パターンを有するステンシルマスクによる露光処理工程を順次示す断面図である。
【図15】同、露光処理工程及びエッチング工程を順次示す断面図である。
【図16】同、露光パターンの平面図(a)及びステンシルマスクの平面図(b)である。
【図17】同、露光パターンの平面図(a)、マスクパターンの平面図(b)及び(c)である。
【図18】同、マスクパターンのアスペクト比を示す平面図である。
【図19】同、アスペクト比とミーゼス降伏応力及び歪み量との相関関係を示す表1及びグラフ(a)、(b)である。
【図20】同、主マスクパターンの平面図(a)、補助マスクパターンの平面図(b)及び露光パターンの平面図(c)である。
【符号の説明】
1A、1B…メンブレン、2…露光パターン、2A…主マスクパターン、
2B…補助マスクパターン、3…凸部、4…丸み形状、
4A、4B…ステンシルマスク、5…非露光部
Claims (18)
- 露光ビームによって所定パターンに露光するのに用いる相補形マスクであって、
第1の露光ビーム透過部を有し、この第1の露光ビーム透過部の内周角部に
丸み形状が付けられた主マスクと、
前記丸み形状によって生じた非露光部を補い、前記第1の露光ビーム透過部と相加して前記所定パターンの露光領域を形成するための第2の露光ビーム透
過部を有する補助マスクと
を具備する、露光用の相補形マスク。 - 前記丸み形状が、前記主マスクの前記角部における応力を低減させるように形成されている、請求項1に記載の露光用の相補形マスク。
- 前記主マスクの前記丸み形状が半径Rの円弧をなし、前記主マスクの前記角部をなす隣接辺に重なるか或いは平行に近接する隣接辺が前記補助マスクに形成され、この補助マスクの前記隣接辺の長さをX、前記主マスクの前記角部のなす角度をθとした時、
R×((1−sin(θ/2))/tan(θ/2))≦X≦R/tan(θ/2)
を満足する、請求項1に記載の露光用の相補形マスク。 - 前記主マスクが第1の露光に、前記補助マスクが前記第1の露光とは別の第2の露光に用いられる相補形マスクとして構成されている、請求項1に記載の露光用の相補形マスク。
- ステンシルマスクとして用いられる、請求項4に記載の露光用の相補形マスク。
- 主マスクと補助マスクとを組み合わせ、露光ビームによって所定パターンに露光するのに用いる相補形マスクの製造方法であって、
前記主マスクの第1の露光ビーム透過部の内周角部に、応力を低減させるた
めの丸み形状を形成する工程と、
前記丸み形状によって生じた非露光部を補い、前記第1の露光ビーム透過部と相加して前記所定パターンの露光領域を形成するための第2の露光ビーム透
過部を有する前記補助マスクを作製する工程と
を具備する、露光用の相補形マスクの製造方法。 - 前記丸み形状の必要なサイズをデータベースとして保持し、前記丸み形状の形成が必要と判定されたパターンに対して前記データベースから前記丸み形状の寸法を読み出し、前記丸み形状を有する主マスクパターンと補助マスクパターンとを決定する、請求項6に記載の露光用の相補形マスクの製造方法。
- 前記データベースの作製において、有限要素法等のシミュレーションにより、前記主マスクの前記第1の露光ビーム透過部に生じる応力を前記丸み形状の関数として算定し、適切な前記丸み形状を決定する、請求項7に記載の露光用の相補形マスクの製造方法。
- 前記主マスクの前記丸み形状を半径Rの円弧とし、前記主マスクの前記角部をなす隣接辺に重なるか或いは平行に近接する隣接辺を前記補助マスクに形成し、この補助マスクの前記隣接辺の長さをX、前記主マスクの前記角部のなす角度をθとした時、
R×((1−sin(θ/2))/tan(θ/2))≦X≦R/tan(θ/2)
を満足するように、前記補助マスクの前記第2の露光ビーム透過部のパターン及びサイズを決める、請求項7に記載の露光用の相補形マスクの製造方法。 - 前記主マスク及び前記補助マスクの各露光ビーム透過部のパターン及びサイズの決定後に、前記主マスク及び前記補助マスクの少なくとも一方の形状の修正を行う、請求項7に記載の露光用の相補形マスクの製造方法。
- 前記主マスクが第1の露光に、前記補助マスクが前記第1の露光とは別の第2の露光に用いられる相補形マスクを製造する、請求項6に記載の露光用の相補形マスクの製造方法。
- ステンシルマスクを製造する、請求項11に記載の露光用相補形マスクの製造方法。
- 主マスクと補助マスクとを組み合わせ、露光ビームによって所定パターンに露光するのに用いる補相形マスクの製造プログラムであって、
前記主マスクの第1の露光ビーム透過部の内周角部に、応力を低減させるために形成されるべき丸み形状の必要なサイズをデータベースとして保持する段階と、
前記丸み形状の形成が必要と判定されたパターンに対して前記データベースから前記丸み形状の寸法を読み出す段階と、
前記丸み形状を有する前記主マスクのパターンを決定する段階と、
前記丸み形状によって生じた非露光部を補い、前記第1の露光ビーム透過部と相加して前記所定パターンの露光領域を形成するための第2の露光ビーム透過部を有する前記補助マスクのパターンを決定する段階と
を有する、露光用の相補形マスクの製造プログラム。 - 前記データベースの作製において、有限要素法等のシミュレーションにより、前記主マスクの前記第1の露光ビーム透過部に生じる応力を前記丸み形状の関数として算定し、適切な前記丸み形状を決定する、請求項13に記載の露光用の相補形マスクの製造プログラム。
- 前記主マスクの前記丸み形状が半径Rの円弧をなし、前記主マスクの前記角部をなす隣接辺に重なるか或いは平行に近接する隣接辺が前記補助マスクに形成され、この補助マスクの前記隣接辺の長さをX、前記主マスクの前記角部のなす角度をθとした時、
R×((1−sin(θ/2))/tan(θ/2))≦X≦R/tan(θ/2)
を満足する、請求項13に記載の露光用の相補形マスクの製造プログラム。 - 前記主マスク及び前記補助マスクの各露光ビーム透過部のパターン及びサイズの決定後に、前記主マスク及び前記補助マスクの少なくとも一方の形状の修正を行う段階を有する、請求項13に記載の露光用の相補形マスクの製造プログラム。
- 前記主マスクが第1の露光に、前記補助マスクが前記第1の露光とは別の第2の露光に用いられる相補形マスクを製造するのに用いられる、請求項13に記載の露光用の相補形マスクの製造プログラム。
- ステンシルマスクの製造に用いられる、請求項17に記載の露光用の相補形マスクの製造プログラム。
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-
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- 2002-10-31 JP JP2002316933A patent/JP2004153032A/ja active Pending
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