JP2004152573A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】早期に燃料ガスの燃焼を開始させてシステムの暖機を行うことができる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】冷機時に排水素燃焼器5を用いて暖機を行う燃料電池システムにおいて、燃料電池スタック3と、排水素燃焼器5と、水素ガスを供給する燃料系50と、空気を供給する酸化剤系51を備える。また、供給する水素ガス流量を決定する水素ガス供給制御ブロック201と、水素ガスの供給流量を調整する水素圧力制御弁14を備える。また、燃料系50の水素ガス圧力を検出する水素入口圧力センサ9と、水素圧力制御弁14の操作量と水素ガスの圧力から排水素燃焼器5に供給する水素ガスの濃度を推定する水素ガス濃度推定ブロック202を備える。
【選択図】 図1
【解決手段】冷機時に排水素燃焼器5を用いて暖機を行う燃料電池システムにおいて、燃料電池スタック3と、排水素燃焼器5と、水素ガスを供給する燃料系50と、空気を供給する酸化剤系51を備える。また、供給する水素ガス流量を決定する水素ガス供給制御ブロック201と、水素ガスの供給流量を調整する水素圧力制御弁14を備える。また、燃料系50の水素ガス圧力を検出する水素入口圧力センサ9と、水素圧力制御弁14の操作量と水素ガスの圧力から排水素燃焼器5に供給する水素ガスの濃度を推定する水素ガス濃度推定ブロック202を備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、燃料電池システムに関する。特に、冷機時に、燃焼器で発生した熱を用いた暖機を行う燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、水素イオン交換膜形燃料電池(PEM形燃料電池)を電源とした電気自動車の開発が行われている。このREM形燃料電池で発電を行うためには、燃料ガスと酸化剤ガスを純水で加湿することが必要であるが、自動車などの屋外で使用される場合には低温時に循環水が凍結する可能性があり、純水を解凍するシステムが必要となる。
【0003】
例えば、固体高分子形燃料電池システムにおいては、不凍液が流通する冷却経路の途中に、燃焼器により燃料ガスを酸化剤ガスと共に燃焼させてその反応熱で不凍液を加熱する不凍液加熱手段を備えたものが知られている。これにはさらに、不凍液加熱手段から排出される燃焼排ガスを固体高分子形燃料電池スタックの燃料ガス供給経路または酸化剤ガス供給経路の少なくとも一方に供給する燃焼排ガス供給手段を備える。このように、燃料ガスと酸化剤ガスを燃焼器において燃焼させることにより発生した熱を利用して、燃料電池システムを暖機している(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−164233号公報
【0005】
【発明が解決しようとしている問題点】
上述したような従来技術において、燃料電池システムを短時間で暖機するためには、可能な限り早期に燃料ガスの燃焼を開始させる必要がある。このためには、可燃混合気を燃焼器に可能な限り早期に供給する必要がある。しかしながら、システムを停止する際に、燃料ガスを燃焼器に供給するための流路内に空気を充填した燃料電池システムにおいては、上記流路内の空気を燃料ガスで置換させるまでは燃料ガス濃度が未知である。従って、燃焼器に対して早期に可燃混合気を供給することができないという問題がある。
【0006】
そこで本発明は、燃料ガスと酸化剤ガスを燃焼させて暖機する燃料電池システムにおいて、早期に燃料ガスの燃焼を開始させてシステムの暖機を行うことができる燃料電池システムを提供することを目的とする。
【0007】
【問題点を解決するための手段】
本発明は、燃料ガスと酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池スタックと、燃料ガスと酸化剤ガスを燃焼させる燃焼器と、前記燃焼器に燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段と、前記燃焼器に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段と、を備える。このような燃料電池システムにおいて、冷機時に前記燃焼器で発生した熱を利用してシステムの暖機を行う。さらに、燃料電池システム冷機時に、少なくとも前記燃焼器に供給する燃料ガス流量を決定する燃料ガス供給制御手段と、前記燃料ガス供給制御手段により決定された流量となるように燃料ガスの供給流量を調整する燃料ガス供給調整手段とを備える。さらに、前記燃料ガス供給手段における燃料ガスの圧力を検出する燃料ガス圧力検出手段と、前記燃料ガス供給調整手段の操作量と、前記燃料ガス供給手段における燃料ガスの圧力と、に基づいて、前記燃焼器に供給される燃料ガスの濃度を推定する燃料ガス濃度推定手段と、を備える。
【0008】
または、少なくとも燃料電池システム冷機時に暖機に用いる熱を生じる燃焼器を備えた燃料電池システムにおいて、前記燃焼器に供給する燃料ガスの流量を調整する燃料ガス供給調整手段と、燃料ガスの圧力を検出する燃料ガス圧力検出手段を備える。さらに、酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段と、燃料ガスの流量と圧力とから燃料ガスの濃度を推定する燃料ガス濃度推定手段と、を備え、前記濃度推定手段により推定された燃料ガス濃度が可燃濃度となったら前記燃焼器に空気の供給を開始する。
【0009】
【作用及び効果】
燃料ガス供給調整手段の操作量と、燃料ガス供給手段における燃料ガスの圧力と、に基づいて、燃焼器に供給される燃料ガスの濃度を推定する燃料ガス濃度推定手段を備える。これにより、燃料ガスの濃度を検出するためのセンサを設置することなく、燃料ガスの濃度を推定することができるようになる。したがって、簡易な構成で燃料ガスの濃度を推定できる。
【0010】
また、燃料ガスの流量と圧力とから燃料ガスの濃度を推定する濃度推定手段を備え、濃度推定手段により推定された燃料ガス濃度が可燃濃度となったら燃焼器に空気の供給を開始する。これにより、燃料ガス濃度が上昇するのに必要な時間を短縮し得ることができるので、早期に燃焼を開始することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
第1の実施形態で用いる燃料電池システムの概略構成を図1に示す。
【0012】
燃料極3aに供給された燃料ガスと酸化剤極3bに供給された酸化剤ガスとを用いた電気化学反応により起電力を生じる燃料電池スタック3を備える。ここでは、燃料ガスとして水素ガスを、酸化剤ガスとして空気を用いる。
【0013】
燃料電池システムの燃料系50を、以下のように構成する。
【0014】
水素ガスを貯蔵する水素タンク23、水素タンク23に貯蔵された水素ガスを燃料極3aに供給する際の流路となる水素供給流路24、燃料極3aに供給する水素の圧力を調整する水素圧力制御弁14を備える。さらに、燃料電池スタック3において反応に用いられなかった水素を再び燃料極3aの供給側に循環させる水素循環流路2、水素循環流路2により循環する水素を供給側に混入するエゼクタ1を備える。さらに、燃料極3aの水素ガスを選択的にパージする水素パージ弁4、燃料極3aから後述する排水素燃焼器5に排水素を供給する際の流通路となる排水素流路25を備える。なお、ここでは燃料電池システム停止時には、燃料系50に空気や窒素等を充填させる。
【0015】
一方、酸化剤系51としては、酸化剤ガスとしての空気をシステム内に取り込むコンプレッサ6、コンプレッサ6により取り込んだ空気を酸化剤極3bに流通する空気供給流路7を備える。また、酸化剤極3bの下流側には燃料電池スタック3に供給する空気の圧力を調整する空気圧力制御バルブ12を備える。さらに、酸化剤極3bから後述する排水素燃焼器5に排空気を供給する際の排空気の流通路となる排空気流路11を備える。
【0016】
また、排水素流路25を介して供給される排水素と、排空気流路11を介して供給される排空気とを燃焼する排水素燃焼器5を備える。ここで通常時には、燃料極3aの水素ガス中の不純物が増大して出力が低下した場合や、燃料極3に水溢れ(フラッディング)が生じた場合等に、水素パージ弁4を開くことにより燃料極3aの水素ガスをパージして排水素燃焼器5に排水素を供給する。排水素燃焼器5でこの排水素を燃焼することにより排出処理を行ってから、システム外部に排出される。また起動時、特に冷機時には、排水素燃焼器5に水素ガスと空気を供給して燃焼することにより熱を生じて燃料電池システムの暖機を行う。
【0017】
通常運転時には、水素タンク23から供給される水素は水素圧力制御弁14を介してエゼクタ1に供給される。エゼクタ1で水素循環路2を通過した水素と混合されて燃料極3aに供給される。このとき、燃料極3aに供給される水素ガスの圧力は、後述する水素入口圧力センサ9の出力に応じて水素圧力制御弁14で調整する。通常は水素パージ弁4は閉じており、燃料極3aから排出される水素を水素循環流路2を介して循環させる。一方、酸化剤極3bにはコンプレッサ6により空気が供給され、この空気と水素ガスを用いて燃料電池スタック3において発電を行う。
【0018】
次に、このような燃料電池システムを制御するために備えた各部センサについて説明する。ここで、各センサの出力はコントローラ13に送られる。コントローラ13からは、水素パージ弁4のアクチュエータ駆動信号等を出力して燃料電池システムの制御を行う。
【0019】
水素タンク23内の温度Ttを検出するタンク温度センサ21と、圧力Ptを検出するタンク圧力センサ22を備える。また、水素タンク23から供給される水素の流量Qhを検出するタンク出口水素流量センサ20を備える。また、燃料極3aの入口上流側には、供給される水素の温度Thを検出する水素入口温度センサ8、供給される水素ガスの圧力Phを検出する水素入口圧力センサ9を備える。コンプレッサ6の下流側には、システムに取り入れた空気の流量Qaを検出する空気流量センサ16と、酸化剤極3bに供給される空気の圧力Paを検出する空気入口圧力センサ15を備える。また、燃料電池スタック3には、運転状態を検出するための電流センサ17と電圧センサ18を備える。さらに排水素燃焼器5の温度Tburnを検出する燃焼器温度センサ10を備える。
【0020】
このような燃料電池システムにおいて、燃料電池スタック3の運転圧力を可変圧とし、燃料電池スタック3から取り出す出力が高いときには運転圧力を高め、出力が低い時には運転圧力を低くする。
【0021】
次に、本実施形態におけるコントローラ13の概略を図2に示す。
【0022】
水素ガス供給制御ブロック201にはタンク出口水素流量センサ20からの信号と水素入口圧力センサ9からの信号が入力される。これらの信号から、水素出口流量Qh、水素入口圧力Phが求められ、水素パージ弁4の駆動信号、水素圧力制御弁14の駆動信号が演算される。この結果に基づいて、水素パージ弁4および水素圧力制御弁14の開度が調整される。また、水素圧力制御弁14の操作量を演算する。
【0023】
水素ガス濃度推定ブロック202には、水素入口圧力センサ9からの信号と、水素ガス供給制御ブロック201で求めた水素圧力制御弁14の操作量が入力される。ここで、水素入口圧力Phと水素圧力制御弁14の操作量とから、水素ガス濃度の推定値Chが演算される。
【0024】
空気供給制御ブロック203には、水素ガス濃度推定ブロック202で求めた水素ガス濃度の推定値Chと、水素入口圧力センサ9からの信号、空気流量センサ16からの信号、空気入口圧力センサ15からの信号が入力される。水素ガス濃度推定値Ch、水素入口圧力Ph、空気流量Qa、空気圧力Paを用いて、コンプレッサ6の駆動信号と、空気圧力制御弁12の駆動信号を演算する。
【0025】
次に、燃料電池システムの水素・空気供給制御を図3のフローチャートを用いて説明する。ここでは本フローを、燃料電池システム起動時に周期ΔT(例えばΔT=0.001[sec])毎に実行する。また、例えば、水素圧力制御弁14の開駆動信号を出力し、燃料系50への水素ガスの供給が開始した時点で本制御を開始する。さらに、燃料電池スタック3の温度を検出する等により起動運転が終了し、通常運転に移行したら本制御を終了し、通常運転制御を開始する。
【0026】
ステップS301において、排水素燃焼器5で水素ガスの燃焼を実行するか否かを判断する。ここでは、水素入口温度センサ8により燃料電池システムの温度(ここでは水素ガス温度Th)を検出し、その温度が所定値以下(例えば、0℃以下)であるかどうかを判断する。ここで、所定値を冷機時であるかどうかを判断する基準温度として、冷機時(温度が所定値以下)であると判断された場合には排水素燃焼器5を用いたシステムの暖機運転を行う。所定値以下である場合には燃料電池システムが冷機状態であると判断して水素の燃焼を実行すると判断する。この場合には、水素燃焼実行フラグF_burnをセットする(F_burn=1)。一方、水素燃焼を実行しないと判断されたら、F_burn=0とする。なお、酸化剤極3bの入口付近に、空気入口温度センサ等が設けられている場合には、この出力に応じて水素の燃焼を行うかどうかを判断してもよい。
【0027】
水素燃焼を実行すると判断されたらステップS302に進み、水素を排水素燃焼器5へ供給する際の燃料系50における水素ガス濃度の推定を行う。この水素ガス濃度の推定方法を、図4のフローチャートを用いて説明する。
【0028】
まず、ステップS401において、水素圧力制御弁14の操作量を読み込む。ここでは、後述する水素圧力制御弁14の制御方法における駆動デューティ比Duty_h[%]を読み込む。ステップS402において、水素圧力制御弁14の操作量変化が所定範囲内か否かを判断する。ここでは、前記駆動デューティ比Duty_hの変化量(前回値との差)の絶対値が、所定時間(例えば、100[msec])継続して所定値以下(例えば、3[%]以下)である場合に、水素圧力制御弁14の操作量変化が所定範囲内であると判断する。ステップS402において、水素圧力制御弁14の操作量変化が所定範囲内であると判断された場合にはステップS403に進む。一方、所定範囲内でないと判断された場合には水素ガス濃度の推定を終了し、水素ガス濃度の更新を中止する。つまり、水素圧力制御弁14の操作量変化が所定範囲内ではないときには、水素ガス濃度の変化が大きく正確な推定が難しいので、この操作量が安定していると判断された時点から水素ガス濃度の推定を行う。なお、水素濃度の初期値は0に設定しておく。
【0029】
ステップS403では、水素入口圧力Ph[Pa]の読み込みを行う。ここでは、水素入口圧力センサ9の出力信号に基づいて水素入口圧力Phを算出する。次に、ステップS404において、水素圧力制御弁14の駆動デューティ比Duty_hと、水素入口圧力Phとに基づいて、水素ガス濃度推定値Ch[%]の算出を行う。ここでは、図7に示したマップデータを用いて水素ガス濃度推定値Chの算出を行う。このマップデータは、実験等により解析した、水素圧力制御弁14の駆動デューティ比Duty_hと水素入口圧力Phと水素ガス濃度Chの関係に基づいて作成することができる。図7に示すように、水素圧力制御弁14の駆動デューティ比Duty_hが一定の場合には、水素入口圧力Phが大きいほど水素濃度推定値Chが小さくなる。また、水素入口圧力Phが一定の場合には、水素圧力制御弁14の駆動デューティ比Duty_hが小さいほど水素ガス濃度推定値Chが小さくなる。このような特性は、水素ガスを排水素燃焼器5へ供給する排水素流路25からの出口流量が、空気の混合により減少する現象の結果である。この原因は、水素に空気が混合することにより平均分子量が増加し、音速が低下するためである。
【0030】
このように排水素燃焼器5へ供給する水素ガスの濃度の推定を行ったら、図3のステップS303に進む。ステップS303では水素供給制御を行う。この水素供給の制御方法を図5に示したフローチャートを用いて説明する。
【0031】
ステップS501において、水素燃焼実行フラグF_burnの値を判定し、F_burn=1である場合、つまり水素燃焼を実行する場合にはステップS502に進む。一方、F_burn=0である場合、つまり水素燃焼を実行しない場合には、ステップS505へ進む。
【0032】
ステップS502では水素パージ弁4を開駆動して排水素燃焼器5への供給を行う。ステップS503において、水素燃焼を実行する場合の水素流量目標値tQh[kg/sec]の算出を行う。ここでは、燃焼器温度センサ10の信号から検出した燃焼器温度Tburnに基づいて水素流量目標値tQhを求める。例えば、燃焼器温度Tburnに対する水素流量目標値tQhを予め実験等により求めておき、図8に示すようなマップデータを作成することにより水素流量目標値tQhを求める。
【0033】
ステップS504では、水素圧力制御弁14の制御を行う。ここでは、ステップS503において算出した水素流量目標値tQhと、タンク出口水素流量センサ20の信号から検出した水素出口流量Qhとに基づいて、水素圧力制御弁14の駆動デューティ比Duty_hを算出する。駆動デューティ比Duty_hは、PID制御を用いて算出し、PWM駆動信号を出力する。なお、PID制御の実現方法は、一般的に知られている方法のいずれを用いても良い。
【0034】
一方、ステップS501で水素燃焼を実行しないと判断されたら、排水素燃焼器5における燃焼を必要としないので、ステップS505において、水素パージ弁4を閉駆動する。これにより、燃料電池スタック3から排出された水素はエゼクタ1に供給され、排水素燃焼器5への水素の供給は行われない。ステップS506においては、水素燃焼を実行しない場合の水素ガス圧力の目標値tPh[Pa]を算出する。これは、例えば燃料電池スタック3自身の発電に伴う熱を用いた暖機を行うために求められる燃料極3a内の圧力を示している。ここでは燃料電池スタック3に要求される出力に基づいて、図9に示すような特性テーブルデータを用いて水素ガス圧力の目標値tPhを算出する。
【0035】
ステップS507において、水素圧力制御弁14の制御を行う。ここでは、ステップS506で算出した水素ガス圧力の目標値tPhと、前記水素入口圧力Phに基づいて、ステップS504と同様にPID制御を用いて水素圧力制御弁14の駆動デューティ比Duty_hを算出し、PWM駆動信号を出力する。
【0036】
このように、ステップS504またはS507において、水素圧力制御弁14を制御することにより、水素供給制御を行ったら、図3のフローにおいてステップS304に進む。
【0037】
ステップS304においては、空気の供給制御を行う。空気供給制御を図6のフローチャートを用いて説明する。
【0038】
ステップS601において、水素燃焼実行フラグF_burnの値を判定する。F_burn=1、つまり水素燃焼を実行する場合にはステップS602に進む。一方、F_burn=0、つまり水素燃焼を実行しない場合にはステップS610に進む。
【0039】
ステップS602において、ステップS302の水素ガス濃度推定において求めた水素ガス濃度推定値Chが所定値以上であるか否かを判定する。ここで、この所定値は、排水素燃焼器5において水素と空気の混合気が燃焼可能となる水素ガス濃度(例えば、5%)とする。水素ガス濃度推定値Chが所定値以上である場合にはステップS603へ、所定値未満である場合にはステップS607へ進む。
【0040】
ステップS603では、水素燃焼を実行するために排水素燃焼器5へ空気を供給する場合の空気圧力の目標値tPa[Pa]を算出する。ここでは、空気圧力の目標値tPaをステップS403において水素入口圧力センサ9により検出した水素入口圧力Phとする。次に、ステップS604において、空気圧力制御弁12の制御を行う。ここでは、ステップS603で算出した空気圧力の目標値tPaと、空気入口圧力センサ15の信号から検出した空気入口圧力Pa[Pa]とに基づいて空気圧力制御弁12の駆動デューティ比Duty_aを算出する。ここでは、駆動デューティ比Duty_aをPID制御を用いて算出し、PWM駆動信号を出力する。なお、PID制御の実現方法は、一般的に知られている方法のいずれを用いても良い。
【0041】
ステップS605において、水素燃焼を実行するために排水素燃焼器5へ空気を供給する場合の空気流量の目標値tQa[kg/s]を算出する。ここでは、燃焼器温度センサ10からの信号により検出した燃焼器温度Tburnと、水素ガス濃度推定値Chと、に基づいて、空気流量目標値tQaを求める。例えば、燃焼器温度Tburnと水素ガス濃度推定値Chに対する空気流量目標値tQaを予め実験等により求めて図10に示すようなマップデータを作成し、これを用いることにより目標空気量目標値tQaを求める。つまり、水素ガス濃度が小さいほど排水素燃焼器5へ供給する空気量を減少させて、排水素燃焼器5における水素ガスの濃度を可燃範囲に維持させる。
【0042】
ステップS606では、コンプレッサ6の制御を行う。ここでは、ステップS605で算出した空気流量の目標値tQaと、空気流量センサ16の信号から検出した空気流量Qa[kg/s]に基づいて、PID制御を用いてコンプレッサ6の駆動デューティ比Duty_comp[%]を算出し、PWM駆動信号を出力する。なお、PID制御の実現方法は、一般的に知られている方法のいずれを用いても良い。
【0043】
一方、ステップS602において、水素濃度推定値Chが所定値未満の場合には、水素ガス濃度が燃焼可能な程度にまで達していないと判断できる。そこでステップS607に進み、排水素燃焼器5への空気の供給を行わないように、空気圧力制御弁12を閉駆動(Duty_a=0)する。ステップS608では、排水素燃焼器5への空気の供給を行わない場合の空気圧力の目標値tPa[Pa]を算出する。ここでは空気圧力の目標値tPaを前記水素入口圧力Phとする。次に、ステップS609において、コンプレッサ6の制御を行う。ここでは、ステップS608で算出した空気圧力の目標値tPaと、空気入口圧力センサ15の信号から検出した空気入口圧力Pa[Pa]とに基づいて、PID制御を用いてコンプレッサ6の駆動デューティ比Duty_compを算出し、PWM駆動信号を出力する。
【0044】
一方、ステップS601において、水素燃焼が実行されないと判定された場合には、ステップS610に進み、空気圧力目標値tPa[Pa]を算出する。水素燃焼を実行しない場合の空気圧力の目標値tPaを算出する。ここでは、燃料電池スタック3に要求される出力に基づいて、図9に示すような特性のテーブルデータを用いて空気ガス圧力の目標値tPaを算出する。
【0045】
次に、ステップS611において、空気圧力制御弁12の制御を行う。ここでは、ステップS610で算出した空気圧力の目標値tPaと、空気入口圧力センサ15の信号から求めた空気入口圧力Pa[Pa]とに基づいて、空気圧力制御弁12の駆動デューティ比Duty_aを算出する。空気圧力制御弁12の駆動デューティ比Duty_aをPID制御を用いて算出し、PWM駆動信号を出力する。
【0046】
ステップS612において、水素燃焼を実行しない場合の空気ガス流量の目標値tQa[kg/s]を算出する。ここでは、燃料電池スタック3に要求される出力に基づいて、図11に示したような特性のテーブルデータを用いて空気ガス流量の目標値tQaを算出する。
【0047】
次に、ステップS613で、コンプレッサ6の制御を行う。ここでは、ステップS612で算出した空気流量の目標値tQaと、空気流量センサ16の信号から検出した空気流量Qa[Pa]とに基づいて、PID制御を用いてコンプレッサ6の駆動デューティ比Duty_compを算出し、PWM駆動信号を出力する。
【0048】
このように、水素ガスの排水素燃焼器5への供給状態に応じて空気流量、または、空気圧力の目標値tQa、tPaを決定し、この値となるようにコンプレッサ6を制御することにより空気供給制御を行う。
【0049】
ステップS304において空気供給制御が終了したら、図3に示した燃料電池スタック3に供給する水素と空気の供給制御を終了する。
【0050】
次に本実施形態の効果を説明する。
【0051】
冷機時に、排水素燃焼器5で発生した熱を利用してシステムの暖機を行う燃料電池システムを次のように構成する。水素ガスと空気を用いて発電を行う燃料電池スタック3と、水素ガスと空気を燃焼させる排水素燃焼器5と、排水素燃焼器5に水素ガスを供給する燃料系50と、空気を供給する酸化剤系51と、を備える。また、排水素燃焼器5に供給する水素ガス流量を決定する水素ガス供給制御手段(水素ガス供給制御ブロック201)と、水素ガス供給制御手段により求められた流量tQhとなるように水素ガスの供給流量を調整する水素圧力制御弁14とを備える。また、燃料系50における水素ガスの圧力Phを検出する水素入口圧力センサ9と、水素圧力制御弁14の操作量と燃料系50における水素ガスの圧力Phとに基づいて排水素燃焼器5に供給される水素ガスの濃度を推定する水素ガス濃度推定手段(水素ガス濃度推定ブロック202)と、を備える。
【0052】
これにより、水素ガスの濃度を検出するためのセンサを設置することなく、水素ガス濃度の推定値Chを求めることができる。従って簡単な構成で水素ガス濃度を推定することができる。また、水素ガス濃度を推定することができるため、適切な時点で排水素燃焼器5における燃焼を開始することができ、燃料電池システムの暖機を行うことができる。
【0053】
排水素燃焼器5に供給する空気流量を決定する空気供給制御手段(空気供給制御ブロック203)と、空気供給制御手段により求められた流量となるように空気の供給流量を調整するコンプレッサ6と、を備える。水素ガス濃度推定手段により推定された水素ガスの濃度が所定値未満の場合には、排水素燃焼器5に対して空気の供給を行わない。これにより、燃料系50における水素ガスの濃度が所定値まで上昇する時間を短縮することができる。従って、排水素燃焼器5へ供給する混合気が可燃濃度になるまでの時間を短縮することができる。よって、燃料電池システムの暖機を早期に開始して、暖機時間を短縮することができる。
【0054】
空気供給制御手段は、水素ガス濃度推定手段により推定した水素ガス濃度推定値Chに基づいて、排水素燃焼器5における水素ガスの濃度が所定値以上となるように空気の供給流量を制御する。これにより、燃料系50における水素ガスの濃度を所定値以上に維持することができるようになる。従って、排水素燃焼器5へ供給する混合気を可燃濃度に維持し、排水素燃焼器5における水素ガスの燃焼を維持することができる。
【0055】
燃料系50は、燃料電池スタック3内部を経由してから排水素燃焼器5に水素ガスを供給する手段とする。また、酸化剤系51は、燃料電池スタック3内部を経由してから排水素燃焼器5に空気を供給する手段とする。燃料電池スタック3内部における水素ガスと空気の圧力差が所定値以内となるように空気供給制御手段により空気の供給流量を制御する。これにより、水素ガスと空気の差圧を所定範囲以内に抑えることができる。従って、燃料電池スタック3内で、水素ガスと空気の差圧が許容値を超えるのを防止することができる。
【0056】
水素ガス濃度推定手段は、水素圧力制御弁14の操作量が略一定である場合に、燃料系50における水素ガスの圧力Phが大きいほど、水素ガス濃度の推定値Chを小さくする。これにより、検出することが容易な信号に基づいて、水素ガスの濃度推定を容易に行うことができる。
【0057】
水素ガス濃度推定手段は、燃料系50における水素ガスの圧力Phが略一定である場合に、水素圧力制御弁の操作量が小さいほど、水素ガス濃度の推定値Chを小さくする。これにより、検出することが容易な信号に基づいて、水素ガスの濃度推定を容易に行うことができる。
【0058】
水素ガス濃度推定手段は、水素圧力制御弁14の操作量の変化速度が所定範囲内である場合に、水素圧力制御弁14の操作量と、燃料系50における水素ガスの圧力Phとに基づいて、水素ガスの濃度を推定する。これにより、水素ガスの圧力が安定した状態で、水素ガスの濃度を推定することができるようになる。水素圧力制御弁14の操作量が急変した場合には、水素ガスの圧力の応答遅れのために、水素ガスの濃度推定を正確に行うことができない。これに対して水素圧力制御弁14の操作量の変化速度が所定範囲内である場合に、水素ガスの濃度を推定することで、水素ガスの濃度の推定精度を向上させることができる。
【0059】
このように、少なくとも燃料電池システム冷機時に暖機に用いる熱を生じる排水素燃焼器5を備えた燃料電池システムにおいて、排水素燃焼器5に供給する水素ガスの流量を調整する水素圧力制御弁14と、水素ガスの圧力を測定する水素入口圧力センサ9を備える。また、空気を供給する酸化剤系51と、水素ガスの流量と圧力とから水素ガスの濃度を推定する水素濃度推定手段(202)と、を備える。水素濃度推定手段により推定された水素ガス濃度が可燃濃度となったら排水素燃焼器5に空気の供給を開始する。これにより、簡単な構成で水素ガス濃度を推定することができ、水素ガス濃度が可燃濃度に達するまで空気を供給しないので、短時間で水素ガスを可燃濃度にまで上昇させることができる。よって、早期にシステムの暖機を開始することができ、燃料電池システムの起動時間を短縮することができる。
【0060】
次に、第2の実施形態について説明する。水素ガス濃度推定(図3S302)を図12に示したフローチャートを用いて説明する。なお、その他の構成および制御は、第1の実施形態と同様とする。
【0061】
ステップS121において、ステップS401と同様に水素圧力制御弁14の操作量を読み込む。次に、ステップS122において、水素ガスの供給を開始してから所定時間(例えば、0.5[sec])が経過したか否かを判定する。所定時間が経過したと判定された場合には、ステップS123に進む。一方、所定時間が経過したと判断されなかった場合には、水素ガス濃度の推定を終了し、水素ガス濃度の更新を中止する(初期の水素ガス濃度は0に設定しておく。)。つまり、所定時間が経過していない場合には、水素ガス濃度の変化が大きく正確な推定が難しいので、この操作量が安定していると判断された時点から水素ガス濃度の推定を行う。
【0062】
ステップS123においては、ステップS403と同様に水素入口圧力の読み込みを行う。ステップS124において、ステップS404と同様に、水素ガス濃度推定値Chの算出を行うことにより水素ガス濃度推定を終了する。
【0063】
次に、本実施形態の効果を説明する。ここでは、第1の実施形態に加えて、以下のような効果を得ることができる。
【0064】
水素ガス濃度推定手段は、水素ガスの供給を開始してから所定時間経過した後に、水素圧力制御弁14の操作量と、燃料系50における水素ガスの圧力Phとに基づいた水素ガスの濃度の推定を開始する。これにより、水素ガスの供給を開始した直後に、水素圧力制御弁14の操作量が急変し、水素ガスの圧力応答の遅れのために水素ガスの濃度推定が正確に行えない可能性がある状態において、水素ガスの推定を行わないようにすることができる。従って水素ガスの濃度の推定精度を向上させることができる。
【0065】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術思想の範囲以内で、様々な変更が為し得ることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に用いる燃料電池システムの構成図である。
【図2】第1の実施形態におけるコントローラの概略を示す図である。
【図3】第1の実施形態における水素・空気供給制御のフローチャートである。
【図4】第1の実施形態における水素ガス濃度推定制御のフローチャートである。
【図5】第1の実施形態における水素供給制御のフローチャートである。
【図6】第1の実施形態における空気供給制御のフローチャートである。
【図7】水素ガス濃度の求めるためのマップである。
【図8】水素燃焼を行う場合の水素流量目標値を求めるためのマップである。
【図9】水素燃焼を行わない場合の目標圧力を求めるためのマップである。
【図10】水素燃焼を行う場合の空気流量目標値を求めるためのマップである。
【図11】水素燃焼を行わない場合の空気流量目標値を求めるためのマップである。
【図12】第2実施形態における水素ガス濃度推定制御のフローチャートである。
【符号の説明】
3 燃料電池スタック
5 排水素燃焼器(燃焼器)
6 コンプレッサ(酸化剤ガス供給調整手段)
9 水素入口圧力センサ(燃料ガス圧力検出手段)
14 水素圧力制御弁(燃料ガス供給調整弁)
201 水素ガス供給制御ブロック(燃料ガス供給制御手段)
202 水素ガス濃度推定ブロック(燃料ガス濃度推定手段)
203 空気供給制御ブロック(酸化剤ガス供給制御手段)
50 燃料系(燃料ガス供給手段)
51 酸化剤系(酸化剤ガス供給手段)
【産業上の利用分野】
本発明は、燃料電池システムに関する。特に、冷機時に、燃焼器で発生した熱を用いた暖機を行う燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、水素イオン交換膜形燃料電池(PEM形燃料電池)を電源とした電気自動車の開発が行われている。このREM形燃料電池で発電を行うためには、燃料ガスと酸化剤ガスを純水で加湿することが必要であるが、自動車などの屋外で使用される場合には低温時に循環水が凍結する可能性があり、純水を解凍するシステムが必要となる。
【0003】
例えば、固体高分子形燃料電池システムにおいては、不凍液が流通する冷却経路の途中に、燃焼器により燃料ガスを酸化剤ガスと共に燃焼させてその反応熱で不凍液を加熱する不凍液加熱手段を備えたものが知られている。これにはさらに、不凍液加熱手段から排出される燃焼排ガスを固体高分子形燃料電池スタックの燃料ガス供給経路または酸化剤ガス供給経路の少なくとも一方に供給する燃焼排ガス供給手段を備える。このように、燃料ガスと酸化剤ガスを燃焼器において燃焼させることにより発生した熱を利用して、燃料電池システムを暖機している(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−164233号公報
【0005】
【発明が解決しようとしている問題点】
上述したような従来技術において、燃料電池システムを短時間で暖機するためには、可能な限り早期に燃料ガスの燃焼を開始させる必要がある。このためには、可燃混合気を燃焼器に可能な限り早期に供給する必要がある。しかしながら、システムを停止する際に、燃料ガスを燃焼器に供給するための流路内に空気を充填した燃料電池システムにおいては、上記流路内の空気を燃料ガスで置換させるまでは燃料ガス濃度が未知である。従って、燃焼器に対して早期に可燃混合気を供給することができないという問題がある。
【0006】
そこで本発明は、燃料ガスと酸化剤ガスを燃焼させて暖機する燃料電池システムにおいて、早期に燃料ガスの燃焼を開始させてシステムの暖機を行うことができる燃料電池システムを提供することを目的とする。
【0007】
【問題点を解決するための手段】
本発明は、燃料ガスと酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池スタックと、燃料ガスと酸化剤ガスを燃焼させる燃焼器と、前記燃焼器に燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段と、前記燃焼器に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段と、を備える。このような燃料電池システムにおいて、冷機時に前記燃焼器で発生した熱を利用してシステムの暖機を行う。さらに、燃料電池システム冷機時に、少なくとも前記燃焼器に供給する燃料ガス流量を決定する燃料ガス供給制御手段と、前記燃料ガス供給制御手段により決定された流量となるように燃料ガスの供給流量を調整する燃料ガス供給調整手段とを備える。さらに、前記燃料ガス供給手段における燃料ガスの圧力を検出する燃料ガス圧力検出手段と、前記燃料ガス供給調整手段の操作量と、前記燃料ガス供給手段における燃料ガスの圧力と、に基づいて、前記燃焼器に供給される燃料ガスの濃度を推定する燃料ガス濃度推定手段と、を備える。
【0008】
または、少なくとも燃料電池システム冷機時に暖機に用いる熱を生じる燃焼器を備えた燃料電池システムにおいて、前記燃焼器に供給する燃料ガスの流量を調整する燃料ガス供給調整手段と、燃料ガスの圧力を検出する燃料ガス圧力検出手段を備える。さらに、酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段と、燃料ガスの流量と圧力とから燃料ガスの濃度を推定する燃料ガス濃度推定手段と、を備え、前記濃度推定手段により推定された燃料ガス濃度が可燃濃度となったら前記燃焼器に空気の供給を開始する。
【0009】
【作用及び効果】
燃料ガス供給調整手段の操作量と、燃料ガス供給手段における燃料ガスの圧力と、に基づいて、燃焼器に供給される燃料ガスの濃度を推定する燃料ガス濃度推定手段を備える。これにより、燃料ガスの濃度を検出するためのセンサを設置することなく、燃料ガスの濃度を推定することができるようになる。したがって、簡易な構成で燃料ガスの濃度を推定できる。
【0010】
また、燃料ガスの流量と圧力とから燃料ガスの濃度を推定する濃度推定手段を備え、濃度推定手段により推定された燃料ガス濃度が可燃濃度となったら燃焼器に空気の供給を開始する。これにより、燃料ガス濃度が上昇するのに必要な時間を短縮し得ることができるので、早期に燃焼を開始することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
第1の実施形態で用いる燃料電池システムの概略構成を図1に示す。
【0012】
燃料極3aに供給された燃料ガスと酸化剤極3bに供給された酸化剤ガスとを用いた電気化学反応により起電力を生じる燃料電池スタック3を備える。ここでは、燃料ガスとして水素ガスを、酸化剤ガスとして空気を用いる。
【0013】
燃料電池システムの燃料系50を、以下のように構成する。
【0014】
水素ガスを貯蔵する水素タンク23、水素タンク23に貯蔵された水素ガスを燃料極3aに供給する際の流路となる水素供給流路24、燃料極3aに供給する水素の圧力を調整する水素圧力制御弁14を備える。さらに、燃料電池スタック3において反応に用いられなかった水素を再び燃料極3aの供給側に循環させる水素循環流路2、水素循環流路2により循環する水素を供給側に混入するエゼクタ1を備える。さらに、燃料極3aの水素ガスを選択的にパージする水素パージ弁4、燃料極3aから後述する排水素燃焼器5に排水素を供給する際の流通路となる排水素流路25を備える。なお、ここでは燃料電池システム停止時には、燃料系50に空気や窒素等を充填させる。
【0015】
一方、酸化剤系51としては、酸化剤ガスとしての空気をシステム内に取り込むコンプレッサ6、コンプレッサ6により取り込んだ空気を酸化剤極3bに流通する空気供給流路7を備える。また、酸化剤極3bの下流側には燃料電池スタック3に供給する空気の圧力を調整する空気圧力制御バルブ12を備える。さらに、酸化剤極3bから後述する排水素燃焼器5に排空気を供給する際の排空気の流通路となる排空気流路11を備える。
【0016】
また、排水素流路25を介して供給される排水素と、排空気流路11を介して供給される排空気とを燃焼する排水素燃焼器5を備える。ここで通常時には、燃料極3aの水素ガス中の不純物が増大して出力が低下した場合や、燃料極3に水溢れ(フラッディング)が生じた場合等に、水素パージ弁4を開くことにより燃料極3aの水素ガスをパージして排水素燃焼器5に排水素を供給する。排水素燃焼器5でこの排水素を燃焼することにより排出処理を行ってから、システム外部に排出される。また起動時、特に冷機時には、排水素燃焼器5に水素ガスと空気を供給して燃焼することにより熱を生じて燃料電池システムの暖機を行う。
【0017】
通常運転時には、水素タンク23から供給される水素は水素圧力制御弁14を介してエゼクタ1に供給される。エゼクタ1で水素循環路2を通過した水素と混合されて燃料極3aに供給される。このとき、燃料極3aに供給される水素ガスの圧力は、後述する水素入口圧力センサ9の出力に応じて水素圧力制御弁14で調整する。通常は水素パージ弁4は閉じており、燃料極3aから排出される水素を水素循環流路2を介して循環させる。一方、酸化剤極3bにはコンプレッサ6により空気が供給され、この空気と水素ガスを用いて燃料電池スタック3において発電を行う。
【0018】
次に、このような燃料電池システムを制御するために備えた各部センサについて説明する。ここで、各センサの出力はコントローラ13に送られる。コントローラ13からは、水素パージ弁4のアクチュエータ駆動信号等を出力して燃料電池システムの制御を行う。
【0019】
水素タンク23内の温度Ttを検出するタンク温度センサ21と、圧力Ptを検出するタンク圧力センサ22を備える。また、水素タンク23から供給される水素の流量Qhを検出するタンク出口水素流量センサ20を備える。また、燃料極3aの入口上流側には、供給される水素の温度Thを検出する水素入口温度センサ8、供給される水素ガスの圧力Phを検出する水素入口圧力センサ9を備える。コンプレッサ6の下流側には、システムに取り入れた空気の流量Qaを検出する空気流量センサ16と、酸化剤極3bに供給される空気の圧力Paを検出する空気入口圧力センサ15を備える。また、燃料電池スタック3には、運転状態を検出するための電流センサ17と電圧センサ18を備える。さらに排水素燃焼器5の温度Tburnを検出する燃焼器温度センサ10を備える。
【0020】
このような燃料電池システムにおいて、燃料電池スタック3の運転圧力を可変圧とし、燃料電池スタック3から取り出す出力が高いときには運転圧力を高め、出力が低い時には運転圧力を低くする。
【0021】
次に、本実施形態におけるコントローラ13の概略を図2に示す。
【0022】
水素ガス供給制御ブロック201にはタンク出口水素流量センサ20からの信号と水素入口圧力センサ9からの信号が入力される。これらの信号から、水素出口流量Qh、水素入口圧力Phが求められ、水素パージ弁4の駆動信号、水素圧力制御弁14の駆動信号が演算される。この結果に基づいて、水素パージ弁4および水素圧力制御弁14の開度が調整される。また、水素圧力制御弁14の操作量を演算する。
【0023】
水素ガス濃度推定ブロック202には、水素入口圧力センサ9からの信号と、水素ガス供給制御ブロック201で求めた水素圧力制御弁14の操作量が入力される。ここで、水素入口圧力Phと水素圧力制御弁14の操作量とから、水素ガス濃度の推定値Chが演算される。
【0024】
空気供給制御ブロック203には、水素ガス濃度推定ブロック202で求めた水素ガス濃度の推定値Chと、水素入口圧力センサ9からの信号、空気流量センサ16からの信号、空気入口圧力センサ15からの信号が入力される。水素ガス濃度推定値Ch、水素入口圧力Ph、空気流量Qa、空気圧力Paを用いて、コンプレッサ6の駆動信号と、空気圧力制御弁12の駆動信号を演算する。
【0025】
次に、燃料電池システムの水素・空気供給制御を図3のフローチャートを用いて説明する。ここでは本フローを、燃料電池システム起動時に周期ΔT(例えばΔT=0.001[sec])毎に実行する。また、例えば、水素圧力制御弁14の開駆動信号を出力し、燃料系50への水素ガスの供給が開始した時点で本制御を開始する。さらに、燃料電池スタック3の温度を検出する等により起動運転が終了し、通常運転に移行したら本制御を終了し、通常運転制御を開始する。
【0026】
ステップS301において、排水素燃焼器5で水素ガスの燃焼を実行するか否かを判断する。ここでは、水素入口温度センサ8により燃料電池システムの温度(ここでは水素ガス温度Th)を検出し、その温度が所定値以下(例えば、0℃以下)であるかどうかを判断する。ここで、所定値を冷機時であるかどうかを判断する基準温度として、冷機時(温度が所定値以下)であると判断された場合には排水素燃焼器5を用いたシステムの暖機運転を行う。所定値以下である場合には燃料電池システムが冷機状態であると判断して水素の燃焼を実行すると判断する。この場合には、水素燃焼実行フラグF_burnをセットする(F_burn=1)。一方、水素燃焼を実行しないと判断されたら、F_burn=0とする。なお、酸化剤極3bの入口付近に、空気入口温度センサ等が設けられている場合には、この出力に応じて水素の燃焼を行うかどうかを判断してもよい。
【0027】
水素燃焼を実行すると判断されたらステップS302に進み、水素を排水素燃焼器5へ供給する際の燃料系50における水素ガス濃度の推定を行う。この水素ガス濃度の推定方法を、図4のフローチャートを用いて説明する。
【0028】
まず、ステップS401において、水素圧力制御弁14の操作量を読み込む。ここでは、後述する水素圧力制御弁14の制御方法における駆動デューティ比Duty_h[%]を読み込む。ステップS402において、水素圧力制御弁14の操作量変化が所定範囲内か否かを判断する。ここでは、前記駆動デューティ比Duty_hの変化量(前回値との差)の絶対値が、所定時間(例えば、100[msec])継続して所定値以下(例えば、3[%]以下)である場合に、水素圧力制御弁14の操作量変化が所定範囲内であると判断する。ステップS402において、水素圧力制御弁14の操作量変化が所定範囲内であると判断された場合にはステップS403に進む。一方、所定範囲内でないと判断された場合には水素ガス濃度の推定を終了し、水素ガス濃度の更新を中止する。つまり、水素圧力制御弁14の操作量変化が所定範囲内ではないときには、水素ガス濃度の変化が大きく正確な推定が難しいので、この操作量が安定していると判断された時点から水素ガス濃度の推定を行う。なお、水素濃度の初期値は0に設定しておく。
【0029】
ステップS403では、水素入口圧力Ph[Pa]の読み込みを行う。ここでは、水素入口圧力センサ9の出力信号に基づいて水素入口圧力Phを算出する。次に、ステップS404において、水素圧力制御弁14の駆動デューティ比Duty_hと、水素入口圧力Phとに基づいて、水素ガス濃度推定値Ch[%]の算出を行う。ここでは、図7に示したマップデータを用いて水素ガス濃度推定値Chの算出を行う。このマップデータは、実験等により解析した、水素圧力制御弁14の駆動デューティ比Duty_hと水素入口圧力Phと水素ガス濃度Chの関係に基づいて作成することができる。図7に示すように、水素圧力制御弁14の駆動デューティ比Duty_hが一定の場合には、水素入口圧力Phが大きいほど水素濃度推定値Chが小さくなる。また、水素入口圧力Phが一定の場合には、水素圧力制御弁14の駆動デューティ比Duty_hが小さいほど水素ガス濃度推定値Chが小さくなる。このような特性は、水素ガスを排水素燃焼器5へ供給する排水素流路25からの出口流量が、空気の混合により減少する現象の結果である。この原因は、水素に空気が混合することにより平均分子量が増加し、音速が低下するためである。
【0030】
このように排水素燃焼器5へ供給する水素ガスの濃度の推定を行ったら、図3のステップS303に進む。ステップS303では水素供給制御を行う。この水素供給の制御方法を図5に示したフローチャートを用いて説明する。
【0031】
ステップS501において、水素燃焼実行フラグF_burnの値を判定し、F_burn=1である場合、つまり水素燃焼を実行する場合にはステップS502に進む。一方、F_burn=0である場合、つまり水素燃焼を実行しない場合には、ステップS505へ進む。
【0032】
ステップS502では水素パージ弁4を開駆動して排水素燃焼器5への供給を行う。ステップS503において、水素燃焼を実行する場合の水素流量目標値tQh[kg/sec]の算出を行う。ここでは、燃焼器温度センサ10の信号から検出した燃焼器温度Tburnに基づいて水素流量目標値tQhを求める。例えば、燃焼器温度Tburnに対する水素流量目標値tQhを予め実験等により求めておき、図8に示すようなマップデータを作成することにより水素流量目標値tQhを求める。
【0033】
ステップS504では、水素圧力制御弁14の制御を行う。ここでは、ステップS503において算出した水素流量目標値tQhと、タンク出口水素流量センサ20の信号から検出した水素出口流量Qhとに基づいて、水素圧力制御弁14の駆動デューティ比Duty_hを算出する。駆動デューティ比Duty_hは、PID制御を用いて算出し、PWM駆動信号を出力する。なお、PID制御の実現方法は、一般的に知られている方法のいずれを用いても良い。
【0034】
一方、ステップS501で水素燃焼を実行しないと判断されたら、排水素燃焼器5における燃焼を必要としないので、ステップS505において、水素パージ弁4を閉駆動する。これにより、燃料電池スタック3から排出された水素はエゼクタ1に供給され、排水素燃焼器5への水素の供給は行われない。ステップS506においては、水素燃焼を実行しない場合の水素ガス圧力の目標値tPh[Pa]を算出する。これは、例えば燃料電池スタック3自身の発電に伴う熱を用いた暖機を行うために求められる燃料極3a内の圧力を示している。ここでは燃料電池スタック3に要求される出力に基づいて、図9に示すような特性テーブルデータを用いて水素ガス圧力の目標値tPhを算出する。
【0035】
ステップS507において、水素圧力制御弁14の制御を行う。ここでは、ステップS506で算出した水素ガス圧力の目標値tPhと、前記水素入口圧力Phに基づいて、ステップS504と同様にPID制御を用いて水素圧力制御弁14の駆動デューティ比Duty_hを算出し、PWM駆動信号を出力する。
【0036】
このように、ステップS504またはS507において、水素圧力制御弁14を制御することにより、水素供給制御を行ったら、図3のフローにおいてステップS304に進む。
【0037】
ステップS304においては、空気の供給制御を行う。空気供給制御を図6のフローチャートを用いて説明する。
【0038】
ステップS601において、水素燃焼実行フラグF_burnの値を判定する。F_burn=1、つまり水素燃焼を実行する場合にはステップS602に進む。一方、F_burn=0、つまり水素燃焼を実行しない場合にはステップS610に進む。
【0039】
ステップS602において、ステップS302の水素ガス濃度推定において求めた水素ガス濃度推定値Chが所定値以上であるか否かを判定する。ここで、この所定値は、排水素燃焼器5において水素と空気の混合気が燃焼可能となる水素ガス濃度(例えば、5%)とする。水素ガス濃度推定値Chが所定値以上である場合にはステップS603へ、所定値未満である場合にはステップS607へ進む。
【0040】
ステップS603では、水素燃焼を実行するために排水素燃焼器5へ空気を供給する場合の空気圧力の目標値tPa[Pa]を算出する。ここでは、空気圧力の目標値tPaをステップS403において水素入口圧力センサ9により検出した水素入口圧力Phとする。次に、ステップS604において、空気圧力制御弁12の制御を行う。ここでは、ステップS603で算出した空気圧力の目標値tPaと、空気入口圧力センサ15の信号から検出した空気入口圧力Pa[Pa]とに基づいて空気圧力制御弁12の駆動デューティ比Duty_aを算出する。ここでは、駆動デューティ比Duty_aをPID制御を用いて算出し、PWM駆動信号を出力する。なお、PID制御の実現方法は、一般的に知られている方法のいずれを用いても良い。
【0041】
ステップS605において、水素燃焼を実行するために排水素燃焼器5へ空気を供給する場合の空気流量の目標値tQa[kg/s]を算出する。ここでは、燃焼器温度センサ10からの信号により検出した燃焼器温度Tburnと、水素ガス濃度推定値Chと、に基づいて、空気流量目標値tQaを求める。例えば、燃焼器温度Tburnと水素ガス濃度推定値Chに対する空気流量目標値tQaを予め実験等により求めて図10に示すようなマップデータを作成し、これを用いることにより目標空気量目標値tQaを求める。つまり、水素ガス濃度が小さいほど排水素燃焼器5へ供給する空気量を減少させて、排水素燃焼器5における水素ガスの濃度を可燃範囲に維持させる。
【0042】
ステップS606では、コンプレッサ6の制御を行う。ここでは、ステップS605で算出した空気流量の目標値tQaと、空気流量センサ16の信号から検出した空気流量Qa[kg/s]に基づいて、PID制御を用いてコンプレッサ6の駆動デューティ比Duty_comp[%]を算出し、PWM駆動信号を出力する。なお、PID制御の実現方法は、一般的に知られている方法のいずれを用いても良い。
【0043】
一方、ステップS602において、水素濃度推定値Chが所定値未満の場合には、水素ガス濃度が燃焼可能な程度にまで達していないと判断できる。そこでステップS607に進み、排水素燃焼器5への空気の供給を行わないように、空気圧力制御弁12を閉駆動(Duty_a=0)する。ステップS608では、排水素燃焼器5への空気の供給を行わない場合の空気圧力の目標値tPa[Pa]を算出する。ここでは空気圧力の目標値tPaを前記水素入口圧力Phとする。次に、ステップS609において、コンプレッサ6の制御を行う。ここでは、ステップS608で算出した空気圧力の目標値tPaと、空気入口圧力センサ15の信号から検出した空気入口圧力Pa[Pa]とに基づいて、PID制御を用いてコンプレッサ6の駆動デューティ比Duty_compを算出し、PWM駆動信号を出力する。
【0044】
一方、ステップS601において、水素燃焼が実行されないと判定された場合には、ステップS610に進み、空気圧力目標値tPa[Pa]を算出する。水素燃焼を実行しない場合の空気圧力の目標値tPaを算出する。ここでは、燃料電池スタック3に要求される出力に基づいて、図9に示すような特性のテーブルデータを用いて空気ガス圧力の目標値tPaを算出する。
【0045】
次に、ステップS611において、空気圧力制御弁12の制御を行う。ここでは、ステップS610で算出した空気圧力の目標値tPaと、空気入口圧力センサ15の信号から求めた空気入口圧力Pa[Pa]とに基づいて、空気圧力制御弁12の駆動デューティ比Duty_aを算出する。空気圧力制御弁12の駆動デューティ比Duty_aをPID制御を用いて算出し、PWM駆動信号を出力する。
【0046】
ステップS612において、水素燃焼を実行しない場合の空気ガス流量の目標値tQa[kg/s]を算出する。ここでは、燃料電池スタック3に要求される出力に基づいて、図11に示したような特性のテーブルデータを用いて空気ガス流量の目標値tQaを算出する。
【0047】
次に、ステップS613で、コンプレッサ6の制御を行う。ここでは、ステップS612で算出した空気流量の目標値tQaと、空気流量センサ16の信号から検出した空気流量Qa[Pa]とに基づいて、PID制御を用いてコンプレッサ6の駆動デューティ比Duty_compを算出し、PWM駆動信号を出力する。
【0048】
このように、水素ガスの排水素燃焼器5への供給状態に応じて空気流量、または、空気圧力の目標値tQa、tPaを決定し、この値となるようにコンプレッサ6を制御することにより空気供給制御を行う。
【0049】
ステップS304において空気供給制御が終了したら、図3に示した燃料電池スタック3に供給する水素と空気の供給制御を終了する。
【0050】
次に本実施形態の効果を説明する。
【0051】
冷機時に、排水素燃焼器5で発生した熱を利用してシステムの暖機を行う燃料電池システムを次のように構成する。水素ガスと空気を用いて発電を行う燃料電池スタック3と、水素ガスと空気を燃焼させる排水素燃焼器5と、排水素燃焼器5に水素ガスを供給する燃料系50と、空気を供給する酸化剤系51と、を備える。また、排水素燃焼器5に供給する水素ガス流量を決定する水素ガス供給制御手段(水素ガス供給制御ブロック201)と、水素ガス供給制御手段により求められた流量tQhとなるように水素ガスの供給流量を調整する水素圧力制御弁14とを備える。また、燃料系50における水素ガスの圧力Phを検出する水素入口圧力センサ9と、水素圧力制御弁14の操作量と燃料系50における水素ガスの圧力Phとに基づいて排水素燃焼器5に供給される水素ガスの濃度を推定する水素ガス濃度推定手段(水素ガス濃度推定ブロック202)と、を備える。
【0052】
これにより、水素ガスの濃度を検出するためのセンサを設置することなく、水素ガス濃度の推定値Chを求めることができる。従って簡単な構成で水素ガス濃度を推定することができる。また、水素ガス濃度を推定することができるため、適切な時点で排水素燃焼器5における燃焼を開始することができ、燃料電池システムの暖機を行うことができる。
【0053】
排水素燃焼器5に供給する空気流量を決定する空気供給制御手段(空気供給制御ブロック203)と、空気供給制御手段により求められた流量となるように空気の供給流量を調整するコンプレッサ6と、を備える。水素ガス濃度推定手段により推定された水素ガスの濃度が所定値未満の場合には、排水素燃焼器5に対して空気の供給を行わない。これにより、燃料系50における水素ガスの濃度が所定値まで上昇する時間を短縮することができる。従って、排水素燃焼器5へ供給する混合気が可燃濃度になるまでの時間を短縮することができる。よって、燃料電池システムの暖機を早期に開始して、暖機時間を短縮することができる。
【0054】
空気供給制御手段は、水素ガス濃度推定手段により推定した水素ガス濃度推定値Chに基づいて、排水素燃焼器5における水素ガスの濃度が所定値以上となるように空気の供給流量を制御する。これにより、燃料系50における水素ガスの濃度を所定値以上に維持することができるようになる。従って、排水素燃焼器5へ供給する混合気を可燃濃度に維持し、排水素燃焼器5における水素ガスの燃焼を維持することができる。
【0055】
燃料系50は、燃料電池スタック3内部を経由してから排水素燃焼器5に水素ガスを供給する手段とする。また、酸化剤系51は、燃料電池スタック3内部を経由してから排水素燃焼器5に空気を供給する手段とする。燃料電池スタック3内部における水素ガスと空気の圧力差が所定値以内となるように空気供給制御手段により空気の供給流量を制御する。これにより、水素ガスと空気の差圧を所定範囲以内に抑えることができる。従って、燃料電池スタック3内で、水素ガスと空気の差圧が許容値を超えるのを防止することができる。
【0056】
水素ガス濃度推定手段は、水素圧力制御弁14の操作量が略一定である場合に、燃料系50における水素ガスの圧力Phが大きいほど、水素ガス濃度の推定値Chを小さくする。これにより、検出することが容易な信号に基づいて、水素ガスの濃度推定を容易に行うことができる。
【0057】
水素ガス濃度推定手段は、燃料系50における水素ガスの圧力Phが略一定である場合に、水素圧力制御弁の操作量が小さいほど、水素ガス濃度の推定値Chを小さくする。これにより、検出することが容易な信号に基づいて、水素ガスの濃度推定を容易に行うことができる。
【0058】
水素ガス濃度推定手段は、水素圧力制御弁14の操作量の変化速度が所定範囲内である場合に、水素圧力制御弁14の操作量と、燃料系50における水素ガスの圧力Phとに基づいて、水素ガスの濃度を推定する。これにより、水素ガスの圧力が安定した状態で、水素ガスの濃度を推定することができるようになる。水素圧力制御弁14の操作量が急変した場合には、水素ガスの圧力の応答遅れのために、水素ガスの濃度推定を正確に行うことができない。これに対して水素圧力制御弁14の操作量の変化速度が所定範囲内である場合に、水素ガスの濃度を推定することで、水素ガスの濃度の推定精度を向上させることができる。
【0059】
このように、少なくとも燃料電池システム冷機時に暖機に用いる熱を生じる排水素燃焼器5を備えた燃料電池システムにおいて、排水素燃焼器5に供給する水素ガスの流量を調整する水素圧力制御弁14と、水素ガスの圧力を測定する水素入口圧力センサ9を備える。また、空気を供給する酸化剤系51と、水素ガスの流量と圧力とから水素ガスの濃度を推定する水素濃度推定手段(202)と、を備える。水素濃度推定手段により推定された水素ガス濃度が可燃濃度となったら排水素燃焼器5に空気の供給を開始する。これにより、簡単な構成で水素ガス濃度を推定することができ、水素ガス濃度が可燃濃度に達するまで空気を供給しないので、短時間で水素ガスを可燃濃度にまで上昇させることができる。よって、早期にシステムの暖機を開始することができ、燃料電池システムの起動時間を短縮することができる。
【0060】
次に、第2の実施形態について説明する。水素ガス濃度推定(図3S302)を図12に示したフローチャートを用いて説明する。なお、その他の構成および制御は、第1の実施形態と同様とする。
【0061】
ステップS121において、ステップS401と同様に水素圧力制御弁14の操作量を読み込む。次に、ステップS122において、水素ガスの供給を開始してから所定時間(例えば、0.5[sec])が経過したか否かを判定する。所定時間が経過したと判定された場合には、ステップS123に進む。一方、所定時間が経過したと判断されなかった場合には、水素ガス濃度の推定を終了し、水素ガス濃度の更新を中止する(初期の水素ガス濃度は0に設定しておく。)。つまり、所定時間が経過していない場合には、水素ガス濃度の変化が大きく正確な推定が難しいので、この操作量が安定していると判断された時点から水素ガス濃度の推定を行う。
【0062】
ステップS123においては、ステップS403と同様に水素入口圧力の読み込みを行う。ステップS124において、ステップS404と同様に、水素ガス濃度推定値Chの算出を行うことにより水素ガス濃度推定を終了する。
【0063】
次に、本実施形態の効果を説明する。ここでは、第1の実施形態に加えて、以下のような効果を得ることができる。
【0064】
水素ガス濃度推定手段は、水素ガスの供給を開始してから所定時間経過した後に、水素圧力制御弁14の操作量と、燃料系50における水素ガスの圧力Phとに基づいた水素ガスの濃度の推定を開始する。これにより、水素ガスの供給を開始した直後に、水素圧力制御弁14の操作量が急変し、水素ガスの圧力応答の遅れのために水素ガスの濃度推定が正確に行えない可能性がある状態において、水素ガスの推定を行わないようにすることができる。従って水素ガスの濃度の推定精度を向上させることができる。
【0065】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術思想の範囲以内で、様々な変更が為し得ることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に用いる燃料電池システムの構成図である。
【図2】第1の実施形態におけるコントローラの概略を示す図である。
【図3】第1の実施形態における水素・空気供給制御のフローチャートである。
【図4】第1の実施形態における水素ガス濃度推定制御のフローチャートである。
【図5】第1の実施形態における水素供給制御のフローチャートである。
【図6】第1の実施形態における空気供給制御のフローチャートである。
【図7】水素ガス濃度の求めるためのマップである。
【図8】水素燃焼を行う場合の水素流量目標値を求めるためのマップである。
【図9】水素燃焼を行わない場合の目標圧力を求めるためのマップである。
【図10】水素燃焼を行う場合の空気流量目標値を求めるためのマップである。
【図11】水素燃焼を行わない場合の空気流量目標値を求めるためのマップである。
【図12】第2実施形態における水素ガス濃度推定制御のフローチャートである。
【符号の説明】
3 燃料電池スタック
5 排水素燃焼器(燃焼器)
6 コンプレッサ(酸化剤ガス供給調整手段)
9 水素入口圧力センサ(燃料ガス圧力検出手段)
14 水素圧力制御弁(燃料ガス供給調整弁)
201 水素ガス供給制御ブロック(燃料ガス供給制御手段)
202 水素ガス濃度推定ブロック(燃料ガス濃度推定手段)
203 空気供給制御ブロック(酸化剤ガス供給制御手段)
50 燃料系(燃料ガス供給手段)
51 酸化剤系(酸化剤ガス供給手段)
Claims (9)
- 燃料ガスと酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池スタックと、
燃料ガスと酸化剤ガスを燃焼させる燃焼器と、
前記燃焼器に燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段と、
前記燃焼器に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段と、を備え、
冷機時に前記燃焼器で発生した熱を利用してシステムの暖機を行う燃料電池システムにおいて、
燃料電池システム冷機時に、少なくとも前記燃焼器に供給する燃料ガス流量を決定する燃料ガス供給制御手段と、
前記燃料ガス供給制御手段により決定された流量となるように燃料ガスの供給流量を調整する燃料ガス供給調整手段と、
前記燃料ガス供給手段における燃料ガスの圧力を検出する燃料ガス圧力検出手段と、
前記燃料ガス供給調整手段の操作量と、前記燃料ガス供給手段における燃料ガスの圧力と、に基づいて、前記燃焼器に供給される燃料ガスの濃度を推定する燃料ガス濃度推定手段と、を備えたことを特徴とする燃料電池システム。 - 前記燃焼器に供給する酸化剤ガス流量を決定する酸化剤ガス供給制御手段と、前記酸化剤ガス供給制御手段により決定した流量となるように酸化剤ガスの供給流量を調整する酸化剤ガス供給調整手段と、を備え、
前記燃料ガス濃度推定手段により推定された燃料ガスの濃度が所定値未満の場合には、前記燃焼器に対して酸化剤ガスの供給を行わない請求項1に記載の燃料電池システム。 - 前記酸化剤ガス供給制御手段は、前記燃料ガス濃度推定手段により推定した燃料ガス濃度に基づいて、前記燃焼器における燃料ガスの濃度が所定値以上となるように前記酸化剤ガスの供給流量を制御する請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記燃料ガス供給手段は、前記燃料電池内部を経由してから前記燃焼器に燃料ガスを供給する手段であり、
前記酸化剤ガス供給手段は、前記燃料電池内部を経由してから前記燃焼器に酸化剤ガスを供給する手段であり、
前記燃料電池内部における燃料ガスと酸化剤ガスの圧力差が所定値以内となるように前記酸化剤ガス供給制御手段により酸化剤ガスの供給流量を制御する請求項1に記載の燃料電池システム。 - 前記燃料ガス濃度推定手段は、前記燃料ガス供給調整手段の操作量が略一定である場合に、前記燃料ガス供給手段における燃料ガスの圧力が大きいほど、燃料ガスの濃度が小さいと推定する請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記燃料ガス濃度推定手段は、前記燃料ガス供給手段における燃料ガスの圧力が略一定である場合に、前記燃料ガス供給調整手段の操作量が小さいほど、燃料ガスの濃度が小さいと推定する請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記燃料ガス濃度推定手段は、燃料ガス供給制御手段の操作量の変化速度が所定範囲内である場合に、前記燃料ガス供給調整手段の操作量と、前記燃料ガス供給手段における燃料ガスの圧力とに基づいて、燃料ガスの濃度を推定する請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記燃料ガス濃度推定手段は、
燃料ガスの供給を開始してから所定時間経過した後に、前記燃料ガス供給調整手段の操作量と、前記燃料ガス供給手段における燃料ガスの圧力とに基づいた燃料ガスの濃度の推定を開始する請求項1に記載の燃料電池システム。 - 少なくとも燃料電池システム冷機時に暖機に用いる熱を生じる燃焼器を備えた燃料電池システムにおいて、
前記燃焼器に供給する燃料ガスの流量を調整する燃料ガス供給調整手段と、
燃料ガスの圧力を検出する燃料ガス圧力検出手段と、
酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段と、
燃料ガスの流量と圧力とから燃料ガスの濃度を推定する燃料ガス濃度推定手段と、を備え、
前記燃料ガス濃度推定手段により推定された燃料ガス濃度が可燃濃度となったら前記燃焼器に空気の供給を開始することを特徴とする燃料電池システム。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002315578A JP2004152573A (ja) | 2002-10-30 | 2002-10-30 | 燃料電池システム |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008103189A (ja) * | 2006-10-19 | 2008-05-01 | Toyota Motor Corp | 燃料電池システム |
JP2008103167A (ja) * | 2006-10-18 | 2008-05-01 | Toyota Motor Corp | 燃料電池システム |
WO2013080414A1 (ja) * | 2011-11-30 | 2013-06-06 | パナソニック株式会社 | 直接酸化型燃料電池システム |
-
2002
- 2002-10-30 JP JP2002315578A patent/JP2004152573A/ja active Pending
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