JP2004152513A - 抵抗発熱体およびそれを用いた電気抵抗炉 - Google Patents

抵抗発熱体およびそれを用いた電気抵抗炉 Download PDF

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Abstract

【課題】電気抵抗炉用のジルコニア質発熱体等の耐熱温度が高く、熱的な歪みに強く、また周囲に設ける予熱発熱体への熱的な損傷が小さな、抵抗発熱体およびそれを用いた電気抵抗炉を提供する。
【解決手段】筒状の発熱部2の外周面に、一対の端子部3a,3bが外周面に一体に形成されており、端子部には該外周面と間隔を設けて、発熱部からの輻射熱を遮断する熱遮蔽部4a1,4a2,4b1,4b2が結合されており、極性が異なる熱遮蔽部は絶縁空間6a,6bを設けて対向し、絶縁空間に面する熱遮蔽部の外周面の端部と、絶縁空間に面する熱遮蔽部の内周面の同極側、対極側の端部を結ぶ直線の両端部以外の部分に熱遮蔽部が存在するとともに、少なくともいずれか一方の絶縁空間に面する熱遮蔽部の外周面の端部と内周面の端部とを結ぶ直線上に対向する熱遮蔽部が存在する抵抗発熱体およびそれを中心部に配置して周囲に予熱発熱体を配置した電気抵抗炉。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通電によって発熱する高温発熱体に関し、とくにジルコニア質発熱体等の酸化性雰囲気において耐熱性が大きな抵抗発熱体、およびそれを用いた高温度で使用可能なの電気抵抗炉に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電気炉には各種のものが知られているが、抵抗発熱体を用いた電気抵抗炉は、取り扱いが容易で、炉内の雰囲気の設定も容易であるという特徴を有している。特に、物質の高温度での耐熱性試験の場合に要求されるような酸化性雰囲気において高温度に加熱可能な電気抵抗炉の発熱体としては、ジルコニア発熱体、ランタンクロマイト発熱体等が知られている。これらのなかでもジルコニアは1700℃ないし2200℃までの極めて高い温度まで加熱することができるという特徴を有している。
【0003】
ジルコニアの比抵抗は、負の温度係数を有するとともに、低温度での電気抵抗が大きいので、ジルコニア質発熱体を使用するためには、あらかじめジルコニア質発熱体を所定の温度に加熱する予熱手段を設けることが不可欠である。
一方、ジルコニア質発熱体が動作をし、電気抵抗炉が高温度に達した後には、予熱手段は不要なものとなり、ジルコニア質発熱体からの輻射熱の処理や、高温のジルコニア質発熱体に対しても安定に通電する手段の確保等が必要となる。
例えば、ジルコニア質発熱体として、中空ジルコニア質発熱体を用いた電気抵抗炉が知られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
図7は、従来のジルコニア質発熱体の一例を説明する図であり、上面から見た図である。
図7(A)、あるいは図7(B)に示すように、ジルコニア質発熱体1の中央部には、中空で角筒状の発熱部2が形成されており、発熱部の外周面には軸に対称に端子部3a、3bが設けられており、端子部3a、3bから発熱部の外周面を覆う熱遮蔽部4a1、4a2、4b1および4b2が設けられたものである。熱遮蔽部4a1と4b1、4a2と4b2の間には、それぞれ両者の間で短絡を生じたり、アークを発生しないように絶縁空間6a、6bが設けられている。
また、図7(C)は、発熱部2が角筒状で、熱遮蔽部4a1、4a2、4b1および4b2は、内周および外周が円筒面を形成し、同様に絶縁空間6a、6bが設けられている。
また、図7(D)は、発熱部2が円筒状であり、熱遮蔽部4a1、4a2、4b1および4b2も、その内周および外周が円筒面を形成している。
このように、熱遮蔽部4a1、4a2、4b1および4b2を発熱部の周囲に配置し、発熱部から周囲に輻射される熱を遮蔽することによって加熱を効率的に行うとともに、周囲に配置する断熱部材をなくしたり、あるいは少なくすることを可能としている。
【0005】
また、図7(E)は、発熱部2が角筒状で、熱遮蔽部4a1、4a2、4b1および4b2は、内周および外周が円筒面を形成しており、熱遮蔽部4a1および4b1、4a2および4b2の対向する部分に形成された絶縁空間6a、6bの中心を通る面は、中心軸と交わらないようにしたものであり、図7(F)も、図7(E)と同様に発熱部2を円筒状としたものであり、図7(E)および図7(F)に示したものでは、絶縁空間からの熱の遮蔽をより効率的に行うことが可能であるとするものである。
【0006】
ところが、ジルコニア質発熱体は、あらかじめ予熱を行って電気抵抗が小さくなった後に通電をするために、周囲に予熱発熱体等を備えた予熱手段を設けることが必要である。ところが、絶縁空間からの輻射熱が大きくなると予熱手段の温度も高くなり、予熱手段の温度が耐熱温度以上に上昇して予熱発熱体の劣化、溶断、耐久回数の減少等のおそれがあった。
【0007】
また、端子部の温度が高くなると端子部に取り付けた白金等のリード線が溶断の可能性が大きくなり、また、内部の加熱空間から絶縁空間を通じて放散される熱によって加熱空間の温度分布に不均一が生じることがあった。
【0008】
とりわけ、予熱手段の絶縁空間の内周側から外周側へ投影した面はとくに高温となり、当該部分に位置する予熱発熱体が早期に劣化することがあった。
また、熱遮蔽部を端子部に形成した部分の構造が複雑なものとなり、熱遮蔽部と端子部との接続部等において亀裂が生じる等の問題点があった。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−44490号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ジルコニア発熱体等の耐熱温度が高い発熱体において、中心部の発熱部から周囲に輻射される輻射熱を小さくし、必要とする断熱部材の量を少なくするとともに、発熱体の周囲に配置する予熱手段に対する熱的な障害を小さくした発熱体、およびそれを使用した耐久性に優れた電気抵抗炉を提供することを課題とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、抵抗発熱体において、筒状の発熱部の外周面に、一対の端子部が該外周面に一体に形成されており、端子部には該外周面と間隔を設けて、発熱部からの輻射熱を遮断する熱遮蔽部が結合されており、極性が異なる熱遮蔽部は絶縁空間を設けて対向し、絶縁空間に面する熱遮蔽部の外周面の端部と、絶縁空間に面する熱遮蔽部の内周面の同極側、対極側の端部を結ぶ直線の両端部以外に熱遮蔽部が存在するとともに、少なくともいずれか一方の絶縁空間に面する熱遮蔽部の外周面の端部と内周面の端部とを結ぶ直線上に対向する熱遮蔽部が存在する抵抗発熱体によって解決することができる。
【0012】
このような構成とすることによって、発熱体に一体に設けた熱遮蔽部の間に形成した絶縁空間からは、外部を見通せなくなり、発熱体で発生した熱が直接的に熱遮蔽部の外側へ輻射することを防止することが可能となるので、発熱体による発熱を効率的に利用することが可能となるとともに温度分布の均一性を高め、さらに発熱体の周囲に設けた予熱発熱体に対する熱的な悪影響も小さなものとすることができ、予熱発熱体として用いる発熱手段の耐熱温度を比較的低くすることも可能となる。
また、発熱体が円筒状体であり、その外周面が発熱部と同心円筒状面上に位置する熱遮蔽部を有したものである前記の抵抗発熱体である。
このように、発熱体を円筒状とすることによって、加熱空間の中心部までの距離を一定とするとともに、発熱体による熱的な歪みを小さなものとすることができる。
【0013】
また、少なくとも発熱部の外周部と端子部との会合部には、平面部を有さない前記のいずれかに記載の抵抗発熱体である。
また、中心部の発熱体とその周囲の端子部と熱遮蔽部の間には大きな温度差が生じるが、発熱部の外周部と端子部とが交わる部分である会合部には平面部を形成しないようにすることにより、温度差を小さくすると共に端子部の内周部と外周部の間の大きな温度差によって生じる歪みによって発熱体にひび割れ等が生じる可能性を小さなものとすることが可能となるので、温度変化による耐久性を大きなものとすることができる。
特に、熱的な歪みの影響が大きな、発熱部と接合部との会合部を曲面として平面部を形成しないようにすることが好ましい。
【0014】
また、電気抵抗炉において、軸方向を垂直に配置した中空の発熱体の上下に、発熱体の端子部の最大径を外径とする断熱部材からなる保持部材が配置された中心炉体と、中心炉体の表面から空隙を設けて、断熱性部材の筒状体内壁面に予熱発熱体を備えた予熱手段が配置され、中空の発熱体の外周面に一対の端子部が該外周面に一体に形成されており、端子部には該外周面と間隔を設けて発熱体の輻射熱を遮断する熱遮蔽部が設けられており、極性が異なる熱遮蔽部は、絶縁空間を設けて対向し、絶縁空間に面する熱遮蔽部の外周面の端部と、絶縁空間に面する熱遮蔽部の内周面の同極側、対極側の端部を結ぶ直線の両端部以外の部分に熱遮蔽部が存在するとともに、少なくともいずれか一方の絶縁空間に面する熱遮蔽部の外周面の端部と内周面の端部とを結ぶ直線上に対向する熱遮蔽部が存在するものである電気抵抗炉ある電気抵抗炉である。
このように、発熱体の熱遮蔽部の間の絶縁空間を通じて、中心部の発熱体から直接的に輻射される熱を小さなものとすることによって、予熱発熱手段に設けた予熱発熱体への熱的な損傷を小さなものとすることが可能となるので、信頼性、耐久性が大きな電気抵抗炉を提供することができる。
【0015】
また、発熱部の外周部と端子部との会合部には、平面を有さない筒状の発熱体を有する前記の電気抵抗炉である。
これによって、発熱体に生じる温度差によって加わる歪みを小さなものとすることが可能となるので、発熱体の耐久性がより大きな電気抵抗炉を提供することができる。
また、発熱体が中空のジルコニア質発熱体である前記の電気抵抗炉である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明は、ジルコニア質発熱体等の耐熱温度が高い発熱体を中心発熱体を用いるとともに、筒状の発熱部の外周面に、一対の端子部が該外周面に一体に形成されており、端子部には該外周面と間隔を設けて、発熱部からの輻射熱を遮断する熱遮蔽部が結合されており、極性が異なる熱遮蔽部は絶縁空間を設けて対向し、絶縁空間に面する熱遮蔽部の外周面の端部と、絶縁空間に面する熱遮蔽部の内周面の同極側、対極側の端部を結ぶ直線の両端部以外の部分に熱遮蔽部が存在するとともに、少なくともいずれか一方の絶縁空間に面する熱遮蔽部の外周面の端部と内周面の端部とを結ぶ直線上に対向する熱遮蔽部が存在するものとしたので、発熱部の温度の遮断効果が大きなものとなり、通電手段として使用される白金製の導電接続部材の断線の防止、予熱手段の発熱体の断線等がなく、更にジルコニア質発熱体の損傷の防止が可能であって、しかも予熱手段の発熱体としては高温度用の発熱体に限らず比較的耐熱温度が低い合金製の発熱体を使用することが可能であることを見出したものである。
【0017】
以下、図面を参照して本発明について説明する。
図1は、本発明の一実施例の抵抗発熱体を説明する斜視図である。
図1(A)には、ジルコニア質発熱体1の中央部には、中空角筒状の発熱部2が形成されており、発熱部の外周面には一対の端子部3a、3bが設けられており、端子部には、導電接続リード5a、5bが接合されて給電される。また、端子部3aからは発熱部2の外周面を覆い、発熱部2で発生する輻射熱を遮蔽する熱遮蔽部4a1、4a2が一体に設けられて、発熱部2から輻射される発熱を遮蔽しており、同様に端子部3bからは、発熱部2を覆うように熱遮蔽部4b1、4b2が伸びて、発熱部2を覆っている。
そして、熱遮蔽部4a1と4b1の間には、両者の間で短絡を生じたり、アークを発生しないように絶縁空間6aが設けられており、同様に、熱遮蔽部4a2と4b2の間には、両者の間で短絡を生じたり、アークを発生しないように絶縁空間6bが設けられている。
【0018】
また、熱遮蔽部の間に形成される絶縁空間6a、6bは、いずれも一直線状ではなく、絶縁空間に面する熱遮蔽部の外周面の端部と、絶縁空間に面する熱遮蔽部の内周面の同極側、対極側の端部を結ぶ直線は両端部以外の部分にも熱遮蔽部が存在している。さらに、少なくともいずれか一方の絶縁空間に面する熱遮蔽部の外周面の端部と内周面の端部とを結ぶ直線上に対向する熱遮蔽部が存在している。
【0019】
なお、本発明において、端部は点を意味するものではなく、熱遮蔽部の外周面と絶縁空間との間で形成される線を意味する。したがって、端部を結ぶ直線は発熱体の上面の端部を結ぶ4本の直線のみではなく、直線、あるいは曲線で構成される端部を形成する線を結ぶ直線を意味し、軸に垂直な平面に含まれるもののみではなく、軸に垂直な平面と交わるものも意味する。
【0020】
このような構造を有することによって、内周面と外周面の間は絶縁空間を通じて見通せない構造を有している。そして、発熱部で発生した熱は、熱遮蔽部において遮断されるとともに、発熱部から輻射される熱は、一直線状ではない絶縁空間を直接的には通過することはできないので、熱エネルギーが大きな一次輻射熱が発熱体の周囲に達することはなく、発熱体の周囲に配置した予熱発熱体に熱的な障害を与えることを防止することができる。
【0021】
図1(B)には、ジルコニア質発熱体1の中央部には、中空円筒状の発熱部2が形成されており、発熱部の外周面には一対の端子部3a、3bが設けられており、端子部には導電接続リード5a、5bが接合されて給電される。また、端子部3aからは発熱部2から間隔を設けて外周面を覆うように熱遮蔽部4a1、4a2が一体に設けられて、発熱部2から輻射される発熱を遮蔽しており、同様に、端子部3bからは、発熱部2を覆うように中空円筒状の発熱部2と同様の円周状の熱遮蔽部4b1、4b2が伸びて、発熱部2を覆っている。
そして、熱遮蔽部4a1と4b1の間には、両者の間で短絡を生じたり、アークを発生しないように絶縁空間6aが設けられており、同様に、熱遮蔽部4a2と4b2の間には、両者の間で短絡を生じたり、アークを発生しないように絶縁空間6bが設けられている。
【0022】
また、熱遮蔽部の間に形成される絶縁空間6a、6bは、いずれも一直線状ではなく、絶縁空間に面する熱遮蔽部の外周面の端部と、絶縁空間に面する熱遮蔽部の内周面の同極側、対極側の端部を結ぶ直線の両端部以外の部分に熱遮蔽部が存在するとともに、少なくともいずれか一方の絶縁空間に面する熱遮蔽部の外周面の端部と内周面の端部とを結ぶ直線上に対向する熱遮蔽部が存在するしている。このような構造をとることによって、内周面と外周面の間は絶縁空間を通じて見通せない構造を有している。
これによって、発熱部で発生した熱は、熱遮蔽部において遮断されるとともに、発熱部から輻射される熱は、一直線状ではない絶縁空間を直接的には通過することはできないので、熱エネルギーの大きな一次輻射熱が発熱体の周囲に達することはなく、発熱体の周囲に配置した予熱発熱体に熱的な障害を与えることを防止することができる。
【0023】
図2は、本発明の他の実施例の抵抗発熱体を説明する斜視図であり、図2(A)は、角筒状の発熱部を有する抵抗発熱体に関するものであり、図2(B)は、円筒状の発熱部を有する抵抗発熱体に関するものである。
図2(A)に示す抵抗発熱体は、ジルコニア質発熱体1の中央部には、中空角筒状の発熱部2が形成されており、発熱部の外周面には一対の端子部3a、3bが設けられており、端子部には、導電接続リード5a、5bが接合されて給電される。また、端子部3aからは発熱部の外周面を覆うように熱遮蔽部4a1、4a2が一体に設けられて、発熱部から輻射される発熱を遮蔽しており、同様に端子部3bからは、発熱部2を覆うように発熱部2から間隔を設けて熱遮蔽部4b1、4b2が伸びて発熱部2を覆っている。
そして、熱遮蔽部4a1と4b1の間には、両者の間で短絡を生じたり、アークを発生しないように絶縁空間6aが設けられており、同様に、熱遮蔽部4a2と4b2の間には、両者の間で短絡を生じたり、アークを発生しないように絶縁空間6bが設けられている。
【0024】
また、熱遮蔽部の間に形成される絶縁空間6a、6bは、絶縁空間に面する熱遮蔽部の外周面の端部と、絶縁空間に面する熱遮蔽部の内周面の同極側、対極側の端部を結ぶ直線の両端部以外の部分に熱遮蔽部が存在するとともに、少なくともいずれか一方の絶縁空間に面する熱遮蔽部の外周面の端部と内周面の端部とを結ぶ直線上に対向する熱遮蔽部が存在するしている。すなわち、内周面と外周面の間は絶縁空間を通じて見通せない構造を有している。
【0025】
更に、端子部3a、3bと、発熱部2の外面と熱遮蔽部の内面の間で形成される空間に面する結合部7a1、7a2、および7b1、7b2は、いずれも円筒面で形成されており平面では形成されていない。その結果、発熱部の外面と端子部との会合部3eには、発熱部の内部と結合部との温度変化によって加わる熱的な歪みが小さなものとなり、温度変化に対する耐久性が大きな発熱体とすることができる。
【0026】
図2(B)に示す抵抗発熱体は、ジルコニア質発熱体1の中央部には、中空円筒状の発熱部2が形成されており、発熱部2の外周面には一対の端子部3a、3bが設けられており、端子部には、導電接続リード5a、5bが接合されて給電される。また、端子部3aからは発熱部2の外周面を覆うように熱遮蔽部4a1、4a2が一体に設けられて、発熱部2から輻射される発熱を遮蔽しており、同様に端子部3bからは、発熱部2を覆うように熱遮蔽部4b1、4b2が伸びて発熱部2を覆っている。
そして、熱遮蔽部4a1と4b1の間には、両者の間で短絡を生じたり、アークを発生しないように絶縁空間6aが設けられており、同様に、熱遮蔽部4a2と4b2の間には、両者の間で短絡を生じたり、アークを発生しないように絶縁空間6bが設けられている。
【0027】
また、熱遮蔽部の間に形成される絶縁空間6a、6bは、いずれも一直線状ではなく、絶縁空間に面する熱遮蔽部の外周面の端部と、絶縁空間に面する熱遮蔽部の内周面の同極側、対極側の端部を結ぶ直線の両端部以外の部分に熱遮蔽部が存在するとともに、少なくともいずれか一方の絶縁空間に面する熱遮蔽部の外周面の端部と内周面の端部とを結ぶ直線上に対向する熱遮蔽部が存在するしている。すなわち、内周面と外周面の間は絶縁空間を通じて見通せない構造を有している。
【0028】
更に、端子部3a、3bと、発熱部2の外面と熱遮蔽部の間で形成される空間における発熱部と端子部とが結合する結合部7a1、7a2、および7b1、7b2は、いずれも円筒面等の曲面で形成されており、平面では形成されていない。その結果、発熱部の外面と端子部との会合部3eには、発熱部の内部と端子部との温度変化によって加わる熱的な歪みが小さなものとなり、温度変化による耐久性が大きな発熱体とすることができる。
【0029】
本発明においては、絶縁空間の形状は、発熱部から一次輻射熱が直接外部へ放射されないものであれば任意の形状とするすることができる。以下に、その形状の一例を示す。
図3は、端子部と熱遮蔽部の関係を説明する図である。
図3(A)は、角筒状の発熱部を有したものであり、図3(B)は、円筒状の発熱部を有したものである。
端子部3の内面3cおよび外面3dの間は、ジルコニア質発熱体において他の部分に比べて厚みが厚く、内面3cと外面3dとの間には、大きな温度差が生じるので、端子部3には、大きな熱的な歪みが生じる。
【0030】
とくに、発熱部2の外周部と端子部3とが交わる部分である会合部3eにおいて大きな熱的な歪みを生じる。したがって、発熱部2の外周部と端子部3とが交わる会合部3eは曲面で構成されていることが好ましい。会合部3eが曲面で構成されていると、熱的な歪みの集中が避けられるので、ひび割れ等の発生を防止することができる。
曲面部の形成は、発熱部2の外周部と端子部との会合部のみではなく、熱遮蔽部と端子部とが交わる部分も同様に曲面で構成することが好ましい。
【0031】
図4は、絶縁空間の形状を説明する図であり、一部を示す平面図である。
図4(A)は、図1および図2で示した絶縁空間6aを説明する図であり、絶縁空間6aは、二つの傾斜面6cから形成されており、絶縁空間と熱遮蔽部の内周面との交点と、絶縁空間と熱遮蔽部の外周面との交点とを結ぶ直線8a、8b、8cは、いずれも熱遮蔽部と交わるので、発熱部から一次輻射熱が絶縁空間を通じて外部へ到達することはない。
図4(B)は、他の絶縁空間6aを説明する図であり、絶縁空間6aは、いずれも波状の曲面6dから形成されており、絶縁空間と熱遮蔽部の内周面との交点と、絶縁空間と熱遮蔽部の外周面との交点とを結ぶ直線8a、8b、8c、8dは、いずれも熱遮蔽部と交わるので、発熱部から一次輻射熱が絶縁空間を通じて外部へ到達することはない。
図4(C)は、他の絶縁空間6aを説明する図であり、絶縁空間6は、いずれも円筒面の一部である曲面6eから形成されており、絶縁空間と熱遮蔽部の内周面との交点と、絶縁空間と熱遮蔽部の外周面との交点とを結ぶ直線8a、8b、8c、8dはいずれも熱遮蔽部と交わるので、発熱部から一次輻射熱が絶縁空間を通じて外部へ到達することはない。
【0032】
なお、図4(A)ないし(C)は、平面図であるために、絶縁空間と熱遮蔽部の内周面あるいは外周面の交わる部分は、交点として説明をしたが、本発明の発熱体は立体であるので、本発明における端部は、発熱体を軸に垂直な面で切断した場合の交点を結ぶ線を意味している。
このように、発熱部から輻射される熱は、一直線では見通せない絶縁空間を直接的には通過することはできないので、熱エネルギーが大きな一次輻射熱が発熱体の周囲に達することはなく、発熱体の周囲に配置した予熱発熱体に熱的な障害を与えることを防止することができる。
また、絶縁空間の間隔は、発熱体の大きさに応じて変化するが、2mmないし10mmとすることが好ましい。
【0033】
図5は、本発明の一実施例の電気抵抗炉を説明する縦断面図である。
電気抵抗炉11は、中空のジルコニア質耐火物からなる扁平な円筒形状のジルコニア質発熱体1を有し、ジルコニア質発熱体1は中央部の円筒形状からなる発熱部2と円筒形状の発熱部につながった円柱状の端子部3a,3bを有しており、端子部3a,3bには白金線のような導電接続リード5a,5bが接続され、加熱用の電源回路に接続されている。
ジルコニア質発熱体1の上下にジルコニア質耐火物12a、12bが配置されており、また、ジルコニア質発熱体1から間隔を設けて同心円状に、円筒状断熱部材13が配置され、円筒状耐火物の内面には、耐熱性合金からなる予熱発熱体14が設けられている。断熱部材は、円筒面の内面に螺旋状に巻きつけられたものでも、あるいは棒状、板状の部材を設けたものであっても良い。更にこれらの外周部および上面下面は、外周部断熱部材15によって包囲されている。
【0034】
図4に示した電気抵抗炉では、中空のジルコニア質発熱体は、円筒形状部の外面に円柱状の端子部3a,3bが設けられている。更に、ジルコニア質発熱体には、端子部と一体に熱遮蔽部が設けられており、極性が異なる熱遮蔽部の間の絶縁空間には、図1、図2で示したように、ジルコニア質発熱体の一次輻射熱が外部へ到達しない構造を有しているので、予熱発熱体にはジルコニア質発熱体の発熱部からは直接的な一次輻射熱が輻射されず、予熱発熱体をジルコニア質発熱体から所定の間隔を設ければ予熱発熱体の熱的な損傷を防止することができ、長期間にわたる予熱発熱体の使用が可能となる。
【0035】
また、電気抵抗炉11の上面には、予熱発熱体14を投影した部分よりも中心軸側に上部断熱部材16が設けられており、電気抵抗炉11の底面にも同様に予熱発熱体14を投影した部分よりも中心軸側に下部断熱部材17が配置されている。
また、電気抵抗炉1の下部には、ジルコニア質発熱体の円筒状の内部空間に対して、加熱される試料18を導入する昇降手段19が設けられており、試料18は、高温度に加熱された加熱空間20へと導入される。
【0036】
本発明の電気抵抗炉1は、予熱発熱体14に対して通電を行うことによってジルコニア質発熱体の電気抵抗が小さくなって充分に通電が可能となった後に、予熱発熱体14への通電をジルコニア質発熱体1への通電に切り替えて、ジルコニア質発熱体への通電によって加熱空間の温度を所定の温度に加熱を行うことができる。
また、本発明の電気抵抗炉11においては、上部断熱部材16、および下部断熱部材17は、それぞれ予熱発熱体14の投影部よりも中心軸側には配置されていないので、ジルコニア質発熱体への通電によって高温度に加熱された際にも、電気抵抗炉から周囲への熱の放散が適切に行われることとなり、予熱発熱体の温度が大きく上昇することはないので、予熱発熱体としては一般的なフェライト系抵抗合金、例えばカンタル線であっても充分に耐えることができるとともに、電気抵抗炉には、水などの熱媒体を用いた冷却手段を設ける必要はない。
【0037】
本発明のジルコニア質発熱体と予熱発熱体との間に設ける空隙は、10mmないし100mmとすることが好ましく、20mmないし60mmとすることがより好ましい。
空隙の大きさが10mmよりも小さい場合には、予熱発熱体への輻射熱が大きくなるので好ましくない。また、100mmよりも大きい場合には、予熱発熱体による加熱効率が低下するので好ましくない。
【0038】
本発明に用いるジルコニア質発熱体は、イットリア、カルシア、マグネシア等を安定化剤として添加した安定化ジルコニアによって作製することができ、安定化ジルコニアとしては、イットリアで安定化したものが好ましく、安定化剤は、全体の5〜20質量%とすることが好ましい。
また、ジルコニアとしては、ジルコニア粉末を焼成したものでも良いが、ジルコニア粉末とジルコニアファイバーとを混合したものは、熱応力に対して強度を大きなものとすることができる。ジルコニアファイバーとしては、直径0.1μm〜20μm、長さ0.1mm〜50mmの範囲のものが好ましい。また、ジルコニア粉末としては、0.1μm〜1000μmのものを含有したものが好ましい。
ジルコニア粉末とイットリアジルコニアファイバーを、ポリビニルアルコール、メチルセルロース等を結着剤とし混合して成形して焼成することができる。また、ジルコニア粉末、ジルコニアファイバーに加えてジルコニアゾル、ジルコニウム塩水溶液等を加えても良い。
端子部には、通電リードとして使用する白金線、白金ロジウム合金線を接合するが、通電リードの接合部には、ジルコニアモルタルを充填して接合することが好ましい。
【0039】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を示し、本発明を説明する。
実施例1
イットリア安定化ジルコニア粉末100重量部、直径5μmのイットリア安定化ジルコニアファイバー100重量部をメチルセルロース5重量部と水70重量部を配合して、プレス成形によって100MPaの圧力で成形した。100℃において24時間乾燥後、1800℃で焼成し、図6(A)に示すような空間の幅が6mmでV字状の絶縁空間を形成した発熱体を作製した。発熱部の外径48mm、内径40mm、発熱部の長さ40mm、端子部の長さ25mmであった。
【0040】
このジルコニア質発熱体を用いて、図5に示す電気抵抗炉を作製した。
図5において、ジルコニア質発熱体の端子部の先端部から40mmの空間を設けて、内径180mmの円筒の内面に予熱発熱体を配置した直径240mmの断熱部材を配置し、その周囲には一辺が325mm、厚さ42mmの角柱状の断熱部材を配置し、また上部および下部には、b1=25mmのアルミナ・シリカファイバーからなる断熱部材を配置し、上部および下部の断熱部材の外側には、予熱発熱体の投影部の中心軸側には、更に厚さb2=25mmの上部および下部の断熱部材を配置し、ジルコニア質発熱体の周囲に予熱炉を設けた電気抵抗炉を作製した。
その周囲を直径4mmの開口を多数配置した厚さ1.2mmの軟鋼製のパンチングメタルで覆った。
【0041】
予熱発熱体に通電してジルコニア質発熱体の温度が1100℃に達した後に、予熱発熱体への通電をジルコニア質発熱体への通電に切替て、ジルコニア質発熱体の加熱空間の温度を2000℃まで加熱したところ、予熱炉内の温度は、最高1300℃に達したが、使用した予熱発熱体の耐熱温度以下であった。
また、本実施例の電気抵抗炉は、昇温速度5℃/minで加熱を行って、2000℃において1時間保持し、5℃/minで降下するサイクル試験を150回まで安定に行うことができた。
【0042】
実施例2
発熱部外径130mm、発熱部内径120mm、発熱部長さ150mm、端子部長さ40mmとし、CIP成形によって150MPaの圧力で成形した点を除き、実施例1と同様にしてジルコニア質発熱体を製造し、内径300mmの円筒の内面に予熱発熱体を装着した予熱発熱手段の内部に設置して、実施例1に比べて大型の電気抵抗炉を作製して運転したところ、実施例1と同様に長期間運転することができた。
【0043】
比較例1
発熱体として、図6(B)に記載のような、間隔が6mm直線状の絶縁空間を設けたものを用いた点を除き、実施例1と同様に電気抵抗炉を作製し、実施例1と同様のサイクル試験を行ったところ、20回で予熱手段の発熱体が断線をした。
【0044】
【発明の効果】
本発明の抵抗発熱体は、中心部の発熱部を覆う熱遮蔽部を発熱部に接続した端子部に一体に形成するとともに、極性が異なる熱遮蔽部に形成される絶縁空間には、内側と外側とを見通せる通路を設けないことによって、発熱部で発生する熱の一次輻射熱を熱遮蔽部の外部へ直接的に輻射することがないので、熱遮蔽が充分なものとなり、発熱体の周囲に配置する予熱発熱体等への熱的な損傷を及ぼすことがなく、予熱発熱手段の劣化が小さくなり、繰り返し使用回数が増加し、また端子部の温度上昇が小さくなったので、端子部に接続した白金線等のリード線の耐久性が高まり、耐熱耐久性が大きな電気抵抗炉を製造することができる。また、発熱部の外周部と端子部との会合部に平面部を形成しない場合には、熱的な歪みが生じにくく耐久性が大きな抵抗発熱体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施例の抵抗発熱体を説明する斜視図である。
【図2】図2は、本発明の他の実施例の抵抗発熱体を説明する斜視図である。
【図3】図3は、端子部と熱遮蔽部の関係を説明する図である。
【図4】図4は、絶縁空間の形状を説明する図である。
【図5】図5は、本発明の一実施例の電気抵抗炉を説明する縦断面図である。
【図6】図6は、実施例、比較例のジルコニア質発熱体を説明する図である。
【図7】図7は、従来のジルコニア質発熱体の一例を説明する図であり、上面から見た図である。
【符号の説明】
1…ジルコニア質発熱体、2…発熱部、3,3a,3b…端子部、3c…内面、3d…外面、3e…会合部、4a1,4a2,4b1,4b2…熱遮蔽部、5a,5b…導電接続リード、6,6a,6b…絶縁空間、6c…傾斜面、6d…波状の曲面、6e…円筒面の一部である曲面、7a1,7a2,7b1,7b2…結合部、8a,8b,8c,8d…直線、11…電気抵抗炉、12a、12b…ジルコニア質耐火物、13…円筒状断熱部材、14…予熱発熱体、15…外周部断熱部材、16…上部断熱部材、17…下部断熱部材、18…試料、19…昇降手段、20…加熱空間

Claims (4)

  1. 抵抗発熱体において、筒状の発熱部の外周面に、一対の端子部が該外周面に一体に形成されており、端子部には該外周面と間隔を設けて、発熱部からの輻射熱を遮断する熱遮蔽部が結合されており、極性が異なる熱遮蔽部は絶縁空間を設けて対向し、絶縁空間に面する熱遮蔽部の外周面の端部と、絶縁空間に面する熱遮蔽部の内周面の同極側、対極側の端部を結ぶ直線の両端部以外に熱遮蔽部が存在するとともに、少なくともいずれか一方の絶縁空間に面する熱遮蔽部の外周面の端部と内周面の端部とを結ぶ直線上に対向する熱遮蔽部が存在することを特徴とする抵抗発熱体。
  2. 発熱体が円筒状体であり、その外周面が発熱部と同心円筒状の熱遮蔽部を有したものであることを特徴とする請求項1記載の抵抗発熱体。
  3. 少なくとも発熱部の外周部と端子部との会合部には、平面部を有さないことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の抵抗発熱体。
  4. 電気抵抗炉において、軸方向を垂直に配置した中空の発熱体の上下に、発熱体の端子部の最大径を外径とする断熱部材からなる保持部材が配置された中心炉体と、中心炉体の表面から空隙を設けて、断熱性部材の筒状体内壁面に予熱発熱体を備えた予熱手段が配置され、中空の発熱体の外周面に一対の端子部が該外周面に一体に形成されており、端子部には該外周面と間隔を設けて発熱体の輻射熱を遮断する熱遮蔽部が設けられており、極性が異なる熱遮蔽部は、絶縁空間を設けて対向し、絶縁空間に面する熱遮蔽部の外周面の端部と、絶縁空間に面する熱遮蔽部の内周面の同極側、対極側の端部を結ぶ直線の両端部以外に熱遮蔽部が存在するとともに、少なくともいずれか一方の絶縁空間に面する熱遮蔽部の外周面の端部と内周面の端部とを結ぶ直線上に対向する熱遮蔽部が存在することを特徴とする電気抵抗炉。
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