JP2004152370A - 光記録媒体の光記録再生方法 - Google Patents

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Tatsuya Tomura
辰也 戸村
Tsutomu Sato
勉 佐藤
Yasunobu Ueno
泰伸 植野
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宗 野口
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Abstract

【課題】半導体レーザーを用いる追記型DVDシステムにおいて、色素系光記録媒体を高線速で記録、再生しても、低ジッタで、かつデータエラを生じず、アシンメトリが確保され、良好な記録波形が得られる光記録媒体の光記録再生方法を提供する。
【解決手段】高周波ウオブルを設けた案内溝を有する基板上に少なくとも有機色素を主成分とする記録層を設け、この記録層に対しマルチパルス記録光を照射し、0.1mW以下の照射光量でパルス列の各パルス間部を形成する。また、再生光量の0.7〜1.7倍の照射光量でマーク間の未記録部であるスペースを形成する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光記録媒体の光記録方法に関するものであって、特にレーザ光を照射することにより、記録材料の透過率、反射率等の光学的な変化を生じさせ、情報の記録、再生を行ない、かつ追記が可能な大容量の光記録媒体の光記録方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、次世代大容量光ディスクとしてDVD−Rの開発が進められている。このような大容量の光記録媒体の記録容量を向上させる要素技術として、記録ピット微少化のための記録材料開発、MPEG2に代表される、いわゆる画像圧縮技術の適用、記録ピット(マーク)読み取り用半導体レーザの短波長化等の技術開発等が要請されている。
【0003】
一方、光ディスクの高密度化に伴って、最近赤色レーザが本格的に光ストレージ市場で使用されつつある。これまで赤色波長域の半導体レーザとしては、バーコードリーダ、計測器用として670nm帯のAlGaInPレーザダイオードが商品化されているのみであったが、光ディスク分野にも浸透し、DVDドライブの場合、635nm帯及び650nm帯の波長のレーザダイオードが光源として規格化されている。なお、再生専用のDVD−ROMドライブでは、波長650nmまでのレーザダイオードが光源として商品化されている。
【0004】
一般的にヒートモードによってピット(マーク)が形成される色素系追記型DVDでは、記録時のレーザ発光(レーザパルス)により記録パルス列を形成する際のパルス幅と記録パワー、すなわち照射光量とが特定の記録速度に対して最適化されており、この最適条件でマークが形成されて記録される。
【0005】
光ディスクの記録トラック上に記録パルスの幅に応じた長さのピットを形成する方法として、記録パルスを複数のマルチパルスに分解してマルチパルスとし、そのマルチパルスの中央部におけるレーザビームの出力エネルギを小さく制御することが知られている(例えば、特許文献1参照。)。この方法によれば、形成されるピット(マーク)の光ディスク半径方向の幅が必要以上に大きくなることを防ぐことができる。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−63721号公報
【0007】
しかし、記録時のレーザパルスにより記録パルス列を形成する際のパルス幅と記録パワー、いわゆる照射光量とが特定の記録速度に対して最適化した場合、特定の記録速度にない、いわゆる違った記録線速度の場合には、形成されるマークや未記録部、すなわちスペースの状態が変化する。
【0008】
すなわち、レーザ光照射によるマークの形成に必要なパルス列における先頭加熱パルス(先頭パルス)の熱容量不足が生じたり、記録材料の最適な分解温度に対して到達加熱温度がずれてマークの平均長がばらついたり、あるいは最適な加熱パルスのデューティ比が設定通りとならないために均一なマーク幅が得られず、マーク長によって太りや細りが生じたりするなどの問題が生じ、ジッタ特性などが悪化してしまう。
【0009】
線速の違い、面ぶれあるいは周囲温度の変化に対して記録補償を行う方法として、光ディスクの特性(チルト量、記録半径位置、光学ヘッド近傍の温度のいずれか2つ)に基づいて、マーク列の形成開始位置と形成終了位置を変更してデータを記録する光ディスク装置が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。しかし、DVDのフォーマットがランドプリピット(LPP)の場合には、ノイズ及びデータエラー発生の心配がある。
【0010】
【特許文献2】
特開2001−143264号公報
【0011】
上記のようにDVD−Rメディア(記録媒体)のフォーマットとしてランドプリピット(LPP)が知られている。このランドプリピット(LPP)は、DVD記録系メディアのフォーマットとしてランド部の一部をカットした物理フォーマットで規格化されているものであるが、DVD−Rメディアのフォーマットとしてランドプリピット(LPP)を採用した場合、ランドプリピット信号(LPPb)が0.16以下ではプリピットアドレス等のプリピット情報が良好に再生出来ず、一方0.32以上であるとLPPb自体がデータ領域においてノイズ的な振る舞いをし、データエラーが多く発生するという問題がある。
【0012】
このため、LPPはその光記録媒体基板用の記録材に適合したカット幅をスタンパにより微調整して、LPPbが0.16〜0.32の範囲になるようにランドカット幅を厳密に制御し、高度なランドカット技術を必要とするという難しさがある。
【0013】
このDVD−RのLPP方式における加工制御やLPP信号のデータ部への漏れ出しによるデータエラー等の問題に対処するため、ウオブルを設けると共に屈折率と消衰係数を規定した有機色素からなる記録層を有する記録媒体により回避する方法(例えば、特許文献3参照。)、あるいは更に、基盤溝深さとウオブル周波数とを制御パラメータに加えた方法(例えば、特許文献4参照。)が開示されている。
【0014】
【特許文献3】
特開2002−83444号公報
【0015】
【特許文献4】
特開2002−117589号公報
【0016】
上記方法により、ジッタやデータエラーは改善されるが、DVD分野における高密度化、高速化の進歩は著しく、更に追記型DVDシステムにおいて色素系記録媒体を高速で記録、再生しても良好な記録波形が得られ、一層ジッタやデータエラーの少ない光記録媒体とその記録、再生方法の開発が要求されている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、半導体レーザーを用いる追記型DVDシステムにおいて、色素系光記録媒体を高線速で記録、再生しても、低ジッタで、かつデータエラーを生じず、アシンメトリが確保され、良好な記録波形が得られる光記録媒体の光記録再生方法を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、高周波ウオブルを設けた案内溝を有する基板上に形成された有機色素を主成分とする記録層に対し、複数のパルスに分割されたマルチパルス記録光を照射してパルス列からなるマークを記録し、該記録を再生光により再生するようにした光記録媒体の光記録再生方法であって、前記マーク記録時において、前記パルス列の各パルス間部の照射光量を0.1mW以下とすることを特徴とする光記録媒体の光記録再生方法である。
【0019】
請求項1の光記録再生方法によれば、良好な記録波形が得られアシンメトリが確保されて、ジッタ及びデータエラが向上する。これによって、書き足しデータ部先頭の未記録領域を低減でき、低エラー率なDVD追記型ディスクが得られる。また、DVD−Rで用いているランドプリピットフォーマットよりも簡単に製造可能な高周波ウオブルフォッマットでデータ部の書き足しを効率良く実施でき、しかも現在、大量に製造されているCD−R、DC−RWとほぼ同一フォーマットでの記録媒体の提供が可能となる。
【0020】
請求項2の発明は、前記マークとマーク間の未記録部であるスペースを形成するマルチパルス記録光の照射光量を前記再生光量の0.7〜1.7倍の範囲とすることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体の光記録再生方法である。
【0021】
請求項2の光記録再生方法によれば、請求項1におけるジッタ及びデータエラーが更に向上する。
【0022】
請求項3の発明は、前記高周波ウオブルは記録クロック周波数において形成される記録ピット長(T)を基準として4T〜96T相当の周波長であることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体の光記録再生方法である。
【0023】
請求項3の光記録再生方法によれば、データの書き換えが効率良く実施でき、高密度記録が可能となる。
【0024】
請求項4の発明は、前記高周波ウオブルの変調における該高周波ウオブルの振幅(Wo)と2分割光検出器によりトラックエラーを検出制御する該トラックエラー検出信号のプッシュプル振幅(PP)との比(Wo/PP)を0.1≦Wo/PP≦0.4の範囲として同期合わせをすることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体の光記録再生方法である。
【0025】
請求項4の光記録再生方法によれば、LPP方式の場合のように高度なカット技術を必要とせず、ウオブルを変調して同期を取る方式であるため、ウォブルの振り量を信号特性から最適化した範囲とすることにより、データエラーを少なくすることが可能となる。
【0026】
請求項5の発明は、前記マークの記録において、該マーク長と直前のスペース長とが最短長であるとき、最短マーク長のパルス列における先頭パルス幅を他の長いマーク長におけるよりも短く補正し、かつ直前のスペース長が最短長でなくマーク長が最短長であるとき、最短マーク長の先頭パルス幅を他の長いマーク長におけるよりも長く補正して記録することを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体の光記録再生方法である。
【0027】
請求項5の光記録再生方法によれば、熱干渉を回避することが可能となり、高線速記録においても低ジッタの良好な記録波形が得られ、データエラーも向上する。
【0028】
請求項6の発明は、前記マルチパルス記録光の波長が600〜720nmであることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体の光記録再生方法である。
【0029】
請求項6の光記録再生方法において、マルチパルス記録光の波長を600〜720nmとすることにより、追記型DVDシステムでの高線速記録、再生が可能となり、色素系光記録媒体の高密度記録が達成できる。
【0030】
請求項7の発明は、前記記録層単層の屈折率nが、前記記録光及び再生光の波長±5nm波長域における光に対して1.5≦n≦3.0であり、消衰係数kが0.02≦k≦0.2であることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体の光記録再生方法である。
【0031】
請求項7の光記録再生方法において、記録層単層の屈折率n及び消衰係数kを適切なものとすることにより、記録変調度を適性とし、また波長依存によるエラーの発生を低く抑えることができる。これによって良好な高密度記録が可能となる。
【0032】
請求項8の発明は、前記記録層の分解開始温度が360℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体の光記録再生方法である。
【0033】
請求項8の光記録再生方法において、記録層の分解開始温度を360℃以下とすることにより、記録ピット(マーク)の形成が好適に行われ、良好な記録波形が形成される。
【0034】
請求項9の発明は、前記光記録媒体は、前記基板上に設けられる記録層以外の構成層として、金属反射層、保護層、接着層、保護基板、基板面ハードコート層から選ばれる少なくとも一つの層を設けたことを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体の光記録再生方法である。
【0035】
請求項10の発明は、前記反射層が金または銀あるいはアルミニウム、もしくはこれらを主成分とした他の金属との合金であることを特徴とする請求項9に記載の光記録媒体の光記録再生方法である。
【0036】
請求項11の発明は、前記保護層が紫外線硬化樹脂であることを特徴とする請求項9に記載の光記録媒体の光記録再生方法である。
【0037】
請求項12の発明は、前記接着層は2枚の基板を貼り合わせて両面構成の記録媒体となすように該基板間に介在して設けられ、かつ該接着層に用いられる接着剤が紫外線硬化樹脂であることを特徴とする請求項9に記載の光記録媒体の光記録再生方法である。
【0038】
請求項9〜12の記録媒体構成とすることにより、前記のようにDVD−Rで用いているランドプリピットフォーマットよりも容易に製造可能な高周波ウオブルフォッマットでデータ部の書き足しを効率良く実施でき、しかも現在大量に製造されているCD−R、DC−RWとほぼ同一フォーマットでの記録媒体が適用できるので、色素系DVD用光記録媒体を始めとして、通常の追記型光記録媒体及びCD−R用光記録媒体に適用される層構成の記録媒体が適用可能である。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明は、前述のように高周波ウオブルを設けた案内溝を有する基板上に少なくとも有機色素を主成分とする記録層を設けてなる光記録媒体の該記録層に対し、複数のパルスに分割されたマルチパルス記録光を照射してパルス列からなるマークを記録し、再生光により再生するようにした光記録再生する方法に関するものであり、前記マーク記録時において、前記パルス列の各パルス間部を形成する前記マルチパルス記録光の照射光量を0.1mW以下とする光記録媒体の光記録再生方法である。更に、前記マークとマーク間の未記録部であるスペースを形成するマルチパルス記録光の照射光量を前記再生光量の0.7〜1.7倍の範囲とする光記録媒体の光記録再生方法である。
【0040】
上記パルス列の各パルス間部を形成する前記マルチパルス記録光の照射光量を0.1mW以下(0〜0.1mW)とすることにより、特に高線速記録においても良好な記録波形が得られアシンメトリが確保されて、低ジッタでデータエラが少ない良好な記録が可能となる。また、マークとマーク間の未記録部であるスペースを形成するマルチパルス記録光の照射光量を前記再生光量の0.7〜1.7倍の範囲とすることにより、更に、更に良好な記録波形が得られ、アシンメトリ、ジッタ及びデータエラが一層向上する。なお、上記アシンメトリは、記録パワーを変化させて試し書きを行い、この試し書きエリアを再生してRF信号の非対称性を算出した値である。
【0041】
通常、色素系の光記録媒体を用いた場合に、高線速化を実現させようとすると照射光量、すなわち記録パワーを大きくしなければならない。このように記録パワーを大きくすると、高線速による高速記録では光照射によって形成されるピット(マーク)間の熱干渉が一層起きやすくなる。そのため、記録を実施するとマークを形成する際のマークエッジ切れが悪くなり、最も低ジッタが得られる記録パワーとエラーが最小となる記録パワーにズレが生じてパワーマージンが減少し、良好な記録が行えなくなる。
【0042】
すなわち、高線速記録においては、最も低いジッタが得られるように記録パワーを設定した場合、記録信号のアシンメトリがマイナス側になる傾向が現れ、たとえ低ジッタが得られたとしても、エラー測定においてはエラーが出やすくなってしまう。また、低ジッタ、低エラーであっても、アシンメトリがマイナスの場合、光記録媒体及びドライブの径年変化等により、アシンメトリがゼロ付近で記録された光記録媒体に較べて、エラーが出やすいという問題がある。しかし、本発明の光記録再生法によれば、上記のような低アシンメトリ問題を解決することが可能である。
【0043】
検討の結果、前記複数のパルスに分割されたマルチパルス記録光でパルス列からなるマークを記録する、いわゆる書き込みの場合には、前記パルス列の各パルス間部を形成する際のマルチパルス記録光の記録パワー、すなわち照射光量のレベルを0.1mW以下(0〜0.1mW)とすることが必要であることが分かった。この範囲に制御しないと良好な記録波形が得られず、アシンメトリが確保されない。また、低ジッタでデータエラが少ない記録ができなくなる。
【0044】
また、各マーク間のスペース部でのレーザーパワーが大きすぎると前記同様の低アシンメトリ問題が生じてしまう。検討の結果、この低アシンメトリ問題を解決するには、通常再生光の照射光量0.7mWに対して0.7〜1.7倍、すなわち0.5〜1.2mWにすることが望ましいことが分かった。照射光量を0.5mWよりも小さくすると低アシンメトリ問題に対しては良好となるが、実際のドライブを用いてデータを書き込む際に、アドレス検出が困難となる。一方、照射光量を1.2mWよりも大きくすると、前記のような低アシンメトリ問題を招く事態となる。
【0045】
本発明の前記書き込みの場合におけるパルス列の各パルス間部を形成する際のマルチパルス記録光の記録パワー(照射光量)のレベルを0.1mW以下(0〜0.1mW)とし、また各マーク間のスペース部でのレーザーパワー(照射光量)を通常再生光の照射光量の0.7〜1.7倍とするマルチパルス波形の概念図を図1に示す。なお、参考としてパルス列の各パルス間部を形成する際のマルチパルス記録光の記録パワーレベルを0.1mW以下に制御しない従来のマルチパルス波形の概念図を図2に示す。
【0046】
前記光記録媒体の記録層に対してレーザ光、いわゆる複数のパルスに分割されたマルチパルス記録光を照射し、記録層にパルス列からなるマークを記録する場合の、1マーク当りのマルチパルスの数に関しては、データマーク長をnTとした時に(n−1)本か、もしくは(n−2)本のパルス数が好ましく、更に好ましくは(n−2)本のパルス数がより好ましい。なお、Tは下記に示すように記録クロック周波数で記録したときの記録ピット長を表す。
【0047】
次に、案内溝に予め設けられた蛇行したウォブル特性について説明する。
通常、ウオブルは150T〜400Tの周波長が用いられてフォーマットが形成されている。このような周波長でのウオブルフォーマットであると、周波数変調にしろ、位相変調にしろデータの書き足しをする場合、このウオブルの周波長に相応する周波数が低すぎて、前データと書き足しデータとの間がかなり空いてしまい高密度記録には向かない。すなわち、本発明における高周波ウオブルは、下記記録クロック周波数において形成される記録ピット長(T)を基準とした場合に、4T〜96T相当の周波長とすることにより上記問題を解決した。
ここで、上記Tは、記録クロック周波数で記録したときの記録ピット長(マーク長:μm)を表し、DVD(4.7GB)メディアであれば、約0.133μmであり、時間で定義すれば約38nsecである。
【0048】
一方、上記ウオブル方式に対して、DVD−Rではランドプリピット(LPP)を設け、このLPP信号(LPPb)によりデータの書き込む位置を制御している。しかし、LPP方式の場合には、LPPの信号振幅が小さすぎてはLPPが良好に読み出せず、逆にLPPが大きすぎるとLPP信号自体が書き込みデータへ漏れ込んでデータエラーが多発するという不具合が生じる。このためLPPでは、0.16≦LPPb≦0.32の範囲、好ましくは0.18≦LPPb≦0.26の範囲に信号を制御する必要があるという制約が生じ、記録媒体基板を作製するために用いるスタンパを作製する際に厳密性が要求され、ランドのカット幅を微細に制御する高度なカット幅制御技術を必要とする。このため、データエラーが多発しやすいという難点がある。
【0049】
他方、本発明における高周波ウオブルによれば、上記LPPのような微細に制御する高度なカット技術を必要とせず、ウオブルを変調して同期を取る方式であるため、LPP方式の場合のようにデータエラーが多発するような事態には至らない。
ウオブルを変調して同期を取る条件として、光記録媒体で反射されたレーザ光を光検出器上で強度分布を検出(光検出領域が2分割され、各検出領域から得られた検出信号の差を取る)し、トラックエラーを検出制御する、いわゆるプッシュプル法を用いる場合には、本発明における高周波ウオブルの適当なフィルターを通した後のウオブル振幅(Wo)と、上記プッシュプル法における適当なフィルターを通した後のプシュプル振幅(PP)の比(Wo/PP)が0.1≦Wo/PP≦0.4の範囲であれば同期合わせが可能である。更に好ましいWo/PPの値は0.15≦Wo/PP≦0.30の範囲である。
【0050】
上記Wo/PP(以下、NW0と略す。)の値が0.1よりも小さいとと同期を取るには不十分な信号強度であり、一方NW0が0.4よりも大きいとデータ部のエラーが増えてくる傾向がある。但し、前記LPP方式においてデータエラーが大きいのに較べて、本発におけるデータエラー発生の影響度は小さく、ウオブル振幅の増加に伴うデータエラーは緩やかである。
【0051】
更に、LPP方式ではスタンパを作製する際、高度なカット幅制御技術を必要とするが、本発明の高周波ウオブル方式においては、ウオブル振り量を制御する回路により、振り量を任意に再現性良く実現できるため、このウオブルの振り量の大きさと高周波発生源とだけを管理しさえすれば目的が達成される。このため、スタンパの歩留まりや、メディア(記録媒体)の歩留まりが飛躍的に向上できる。
【0052】
本発明においては、上記のウオブル方式のフォーマットを有した高周波ウオブルを設けた案内溝を有する基板上に、有機色素を主成分とする記録層を溶剤塗工法などによって形成し設ける。その場合の最適溝深さは、1000Å〜2500Åであり、更に好ましくは1500Å〜2000Åである。溝深さが1000Å以下であると前記プシュプル信号が十分に取れずトラッキング制御ができない。一方、溝深さが2500Å以上であると基板成形の際に転写性が甘くなり、転写精度が低下して好ましくない。
【0053】
更に、有機色素を主成分とする記録層を設けた場合の色素溝深さは、高周波ウオブルをmTとし、色素溝深さをd1とした時に1200≦d1×m≦160000の範囲にあることが必要である。なお、Tは前述の記録クロック周波数における記録ピット長である。
d1×mの値が1200を下回ると検出時における差信号が十分に得られず、また記録再生時において十分なトッラキングが実施できない。一方、d1×mが160000を上回ると逆に発振してトラッキングには好ましくない。更に、成形時における転写限界による基板溝深さのの制約もあり、実質的には160000を上回ることは出来ない。
【0054】
なお、光記録媒体の記録密度を4GB〜5GBの容量に確保するための案内溝のトラクピッチとして、0.64μm〜0.8μm程度が必要である。溝幅に関しては、記録材料によって異なるが、ほぼ全ての有機材料において、半値幅0.18〜0.40μmの幅が適用できる。
【0055】
また、熱干渉の影響を回避するため、マークの記録において、該マーク長と直前のスペース長とが最短長であるとき、最短マーク長のパルス列における先頭加熱パルス幅(先頭パルス幅)を他の長いマーク長におけるよりも短く補正し、かつ直前のスペース長が最短長でなくマーク長が最短長であるとき、最短マーク長の先頭パルス幅を他の長いマーク長におけるよりも長く補正して記録することで、より低ジッタな記録が実現できる。
【0056】
上記形成されるマーク長と直前のスペース長とが最短長であるとき、その最短マーク長のパルス列における先頭パルス幅を他の長いマーク長におけるよりも短く補正する具体的な長さであるが、0.02T〜0.10Tの範囲が特に好ましい。
【0057】
直前のスペース長が最短長であるとき、そのマークを形成するパルス列の先頭パルス幅が略等しい場合、熱干渉により記録マーク直前のスペース長が短くなり、ジッタが若干悪化する。そこで、形成されるマークの直前のスペース長が最短の場合のみ、そのマークを記録するための先頭パルス幅を短くすると効果があり、更に短くする場合は先頭パルスのパルス幅である前エッジを短くすることによって達成できる。
直前のスペース長が最短長であるとき、そのマークを形成するパルス列の先頭パルス幅が0.10Tよりも短い場合はマーク長自身が短くなりすぎてしまう。
【0058】
また、直前のスペース長が最短長でなくマーク長が最短長であるとき、最短マーク長の先頭パルス幅を他の長いマーク長におけるよりも長く補正して記録する具体的な長さであるが、0.05T〜0.25Tが好ましい。これは、特に記録線速度が大きくなった場合に最短マークが形成しにくくなるため、上記の範囲で最短マーク長の先頭パルス幅を長くするものである。
【0059】
上記のような熱干渉の影響を回避するための制御は、記録するマーク長とそのマークの直前のスペース長との関係において最適となるように行われる。例えば、下記表1に示すように記録するマーク長(最短3T、〜それ以上のマーク長)と直前のスペース長(最短3T、〜それ以上のスペース長)とに応じて、マーク長を形成するパルス列における先頭パルスのパルス幅(前エッジ)を最適な補正量により補正して制御を行う。
【0060】
【表1】
Figure 2004152370
【0061】
次に、本発明において用いられる、有機色素を主成分とする記録層を設けてなる光記録媒体の構成について下記に説明する。
光記録媒体における記録層を構成するのに必要な特性として、光学特性が挙げられる。光学特性に要求される条件として、記録、再生波長近傍の波長域光(特に、600〜720nm)に対する記録層単層での屈折率nが1.5以上、3.0以下であり、また消衰係数kが0.02以上、0.2以下の範囲にあることが好ましい。
【0062】
上記屈折率nが1.5未満の場合には、十分な光学的変化が得られにくく記録変調度が低くなるため好ましくない。一方、屈折率nが3.0を越える場合には、波長依存性が高くなり過ぎて記録再生波長領域であってもエラーとなってしまうため好ましくない。また、消衰係数kが0.02未満の場合には、記録感度が悪くなり、一方、消衰係数kが0.2を越える場合には、50%以上の反射率を得ることが困難となるので好ましくない。
【0063】
本発明において用いられる光記録媒体の有機色素を主成分とする記録層に使用可能な有機色素材料の具体例としては、アゾ(金属キレート)色素、ホルマザン(金属キレート)色素、ジピロメテン(金属キレート)色素、ポリメチン色素、スクアリリウム色素、アザアヌレン色素等が挙げられる。中でも特に、金属キレート色素、トリメチンシアニン色素、スクアリリウム色素、テトラアザポルフィリン色素が好ましい。
【0064】
本発明の光記録媒体の記録層としての熱分解特性、すなわち上記有機色素材料の、分解開始温度として360℃以下であることが好ましい。特に、100〜350℃が好ましい。分解開始温度が360℃よりも高いと記録時のピット形成(マーク形成)がうまく行われず、このためジッタ特性が悪くなる。一方、100℃よりも低いと光記録媒体(ディスク)の保存安定性が悪化する。
【0065】
本発明に用いられる光記録媒体としては、いわゆる色素系DVD用あるいは通常の追記型光ディスクもしくはCD−R用メディアにそれぞれ適用されている構成を備えた記録媒体が使用できる。例えば、DVD用として使用される記録媒体の概略構成を図3(a)、(b)、(c)に示す。また、通常の追記型光ディスク用として使用される記録媒体の概略構成を図4(a)、(b)、(c)、(d)に、更にCD−R用メディア用として使用される記録媒体の概略構成を図5(a)、(b)、(c)に示す。なお、追記型ディスクの別の構成として、図5の構成のディスクを2枚貼合わせた、いわゆるエアーサンドイッチ、または密着貼合わせ構造としてもよく、あくまでも図3、図4及び図5に示す光記録媒体は例であってこれらの構成に限定されるものではない。
【0066】
本発明に用いられる光記録媒体を構成する各構成層について以下に説明する。本発明に用いられる光記録媒体は、基板上に少なくとも有機色素を主成分とする記録層を設けた記録媒体であり、その構成として例えば上記図3(a)、(b)、(c)あるいは上記図4(a)、(b)、(c)、(d)もしくは図5(a)、(b)、(c)に示す各種の構成から選択できる。
【0067】
すなわち、図3(a)では、基板1面上に記録層2、金属反射層6、保護層4が順次設けられ、図3(b)では、基板1面上に記録層2、金属反射層6、保護層4、接着層8、保護基板7が順次設けられ、図3(c)では、基板1面上に下引き層3、記録層2、金属反射層6、保護層4、接着層8、保護基板7が順次設けられ、かつこれら各層が設けられた側と反対の基板1面上に更にハードコート層5を設けた構成となっている。
【0068】
また、通常の追記型デイスク用として使用されている図4(a)では、基板1面上に記録層2が設けられており、図4(b)では、基板1面上に下引き層3が形成されその上に記録層2が設けられた構成となっている。また、図4(c)では、基板1面上に下引き層3、記録層2、保護層4が順次設けられ、図4(d)では、図4(c)において各層が設けられた側と反対の基板1面上に更にハードコート層5を設けた構成となっている。
【0069】
更に、CD−R用として使用されている図5(a)では、図3(a)と同様に基板1面上に記録層2、金属反射層6、保護層4が順次設けられ、図5(b)では、基板1面上に下引き層3、記録層2、金属反射層6、保護層4が順次設けられた構成となっている。図5(c)では、図5(b)において各層が設けられた側と反対の基板1面上に更にハードコート層5を設けた構成となっている。
【0070】
前記各構成において記録層は単層の有機色素層でもよく、反射率を高めるため有機色素層と金属反射層とを積層してもよい。前記図示したように記録層2と基板1の間に下引き層3あるいは保護層4を介して層構成してもよく、機能向上のため更にそれらを積層化した構成でもよい。最も一般的に用いられる代表的なものとしては、図3(b)に示すような、基板1/記録層2/金属反射層6/保護層4/接着層8/保護基板7から構成されるものである。
【0071】
本発明に用いられる光記録媒体を構成する基板1としては、基板1側より記録再生を行なう場合のみ使用レーザーに対して透明でなければならず、記録層1側から記録、再生を行なう場合基板1は透明である必要はない。基板材料としては、例えば、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミドなどのプラスチック、またはガラス、セラミック、あるいは金属などを用いることができる。尚、基板1の表面にトラッキング用の案内溝や、案内ピット、更にアドレス信号などのプリフォーマットなどが形成されていてもよい。
【0072】
本発明に用いられる光記録媒体を構成する記録層2は、レーザー光の照射によって何らかの光学的変化を生じさせ、その光学的変化により情報を記録するものである。この記録層中には前記色素材料が含有されていることが必要であり、本発明に用いられる光記録媒体では記録層2の形成に当たって2種以上の組み合わせで用いるのが好ましい。更に、記録層2の形成には、光学特性、記録感度、信号特性などを向上させる目的から、上記色素材料と他の有機色素、あるいは金属、金属化合物と混合または積層化して用いてもよい。
【0073】
上記他の有機色素の例としては、(ポリ)メチン色素、ナフタロシアニン系、フタロシアニン系、テトラアザポルフィリン系、スクアリリウム系、クロコニウム系、ピリリウム系、ナフトキノン系、アントラキノン系(インダンスレン系)、キサンテン系、トリフェニルメタン系、アズレン系、テトラヒドロコリン系、フェナンスレン系、トリフェノチアジン系染料及び金属錯体化合物などが挙げられる。
【0074】
更に、上記染料中に高分子材料、例えばアイオノマー樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル系樹脂、天然高分子、シリコーン、液状ゴムなどの種々の材料もしくはシランカップリング剤などを分散混合してもよいし、特性改良の目的で安定剤(例えば遷移金属錯体)、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤などを一緒に用いることができる。
【0075】
また、前記色素材料と混合または積層化して用いられてもよい金属、金属化合物の例としては、In、Te、Bi、Se、Sb、Ge、Sn、Al、Be、TeO、SnO、As,Cdなどが挙げられ、それぞれを分散混合あるいは積層の形態で用いることができる。
【0076】
前記光記録媒体を構成する記録層の形成方法としては、蒸着、スパッタリング、CVDまたは溶剤塗布などの通常の手段によって行うことができる。塗布法を用いる場合には、前記染料などを有機溶剤に溶解して、スプレー、ローラーコーティグ、ディピング及びスピンコーティングなどの慣用のコーティング法によって行うことができる。
【0077】
塗布法に用いられる有機溶媒としては、一般にメタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、四塩化炭素、トリクロロエタンなどの脂肪族ハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、キシレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの芳香族類、メトキシエタノール、エトキシエタノールなどのセロソルブ類、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの炭化水素類などが挙げられる。
形成される記録層の膜厚は100Å〜10μm、好ましくは200Å〜2000Åが適当である。
【0078】
本発明に用いる光記録媒体の構成層として下引き層を設けてもよい。すなわち、下引き層は、(1)接着性の向上、(2)水またはガスなどのバリアー、(3)記録層の保存安定性の向上、(4)反射率の向上、(5)溶剤からの基板の保護、(6)案内溝、案内ピット、プレフォーマットの形成などを目的として使用される。
【0079】
(1)の目的に対しては、高分子材料、例えばアイオノマー樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル樹脂、天然樹脂、天然高分子、シリコーン、液状ゴムなどの種々の高分子化合物、及びシランカップリング剤などを用いることができる。
【0080】
また、(2)及び(3)の目的に対しては、上記高分子材料以外に無機化合物、例えばSiO、MgF、SiO、TiO、ZnO、TiN、SiNなどが用いられ、更に金属または半金属、例えばZn、Cu、Ni、Cr、Ge、Se、Au、Ag、Alなどを用いることができる。
【0081】
上記(4)の目的に対しては、金属、例えばAl、Au、Agなどや、金属光沢を有する有機薄膜、例えばメチン染料、キサンテン系染料などを用いることができる。
【0082】
また、(5)及び(6)の目的に対しては紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、熱可塑性樹脂等を用いることができる。下引き層の膜厚としては、0.01〜30μm好ましくは、0.05〜10μmが適当である。
【0083】
次に、本発明に用いる光記録媒体の構成層として金属反射層を設ける場合には、単体で高反射率が得られ、しかも腐食されにくい金属あるいは半金属等が用いられる。このような材料として、例えばAu、Ag、Cr、Ni、Al、Fe、Snなどが挙げられるが、反射率、生産性の点からAu、Ag、Alが最も好ましく、これらの金属、半金属は単独で使用してもよく、2種の合金としてもよい。金属反射層の膜形成法としては蒸着、スッパタリングなどが用いられ、膜厚としては50〜5000Å、好ましくは100〜3000Åである。
【0084】
更に、本発明に用いる光記録媒体の構成層として保護層4、基板面ハードコート層5を設けてもよい。保護層4及び基板面ハードコート層5は、記録層2を傷、ホコリ、汚れ等から保護する、あるいは記録層の保存安定性を向上する、または反射率を向上する等を目的として設けられる。
【0085】
上記目的に対しては、前記下引き層で示した材料を用いることができほか、更に無機材料としてSiO、SiOなどを用いることができ、有機材料としてポリメチルアクリレート、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、ポリスチレン、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、セルロース、脂肪族炭化水素樹脂、天然ゴム、スチレンブタジエン樹脂、クロロプレンゴム、ワックス、アルキッド樹脂、乾性油、ロジン等の熱軟化性、熱溶融性樹脂を用いることができる。上記材料の中で最も好ましい例としては生産性に優れた紫外線硬化樹脂が挙げられる。
【0086】
上記保護層4または基板面ハードコート層5の膜厚は、0.01〜30μm、好ましくは0.05〜10μmが適当である。前記下引き層3、保護層4及び基板面ハードコート層5には、記録層2の場合と同様に、安定剤、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤等を含有させることができる。
【0087】
本発明に用いる光記録媒体の構成層として保護基板7を設けてもよい。
保護基板7は、この保護基板7側からレーザー光を照射する場合、使用レーザー光に対し透明でなくてはならず、一方、単なる保護板として用いる場合には透明性は問わない。使用可能な基板材料としては、前記基板材料と全く同様であり、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミドなどのプラスチックまたはガラス、セラミック、あるいは金属などを用いることができる。
【0088】
本発明に用いる光記録媒体の構成層として接着剤を用い、接着層8を設けてもよい。接着層8には接着剤が用いられ、保護層4と保護基板7を接着したり、前記図3の構成の光記録媒体2枚を貼り合わせたりする役割を担う。この接着剤としては、本発明の主旨に沿う材料であるならいずれでもよく、生産性を考慮した場合には、特に紫外線硬化型もしくはホットメルト型接着剤が好ましい。
【0089】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。ただし、本発明はなんら実施例に限定されるものではない。
【0090】
〈光記録媒体の作製〉
まず、溝深さ1750Å、半値幅0.33μm、トラックピッチ0.74μm、高周波ウォブル32T相当を有する、厚さ0.6mm、外径120mmの射出成形ポリカーボネート基板を作製した。この基板上に、下記構造式(I)に示す化合物と下記構造式(II)に示す化合物とを重量比で60:40となるように秤量し、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールで溶解した溶液をスピンナー塗布した。溶液を塗布後、85℃で30分乾燥して厚さ1200Åの有機色素層からなる記録層を形成した。
【0091】
【化1】
Figure 2004152370
【0092】
【化2】
Figure 2004152370
【0093】
次いで、有機色素層(記録層)上にスパッタ法により銀を蒸着し、1100Åの反射層を設けた。更に、この反射層上にアクリル系フォトポリマーを塗布して5μmの保護層を設けた後、厚さ0.6mm、外径120mmの射出成形ポリカーボネート平板基板(保護基板)をアクリル系フォトポリマーにより接着(接着層)し、光記録媒体とした。
【0094】
実施例1〜7、参考例1〜4
<記録・再生/評価>
上記で得た光記録体に発振波長660nm、ビーム径0.9μmの半導体レーザー光を用い、トラッキングしながらEFM信号を下記表2に示すマルチパルス記録条件と記録線速にてBottom Jitterが極小となるような照射光量、すなわち記録パワーで記録し、その個所を再生してジッタ(Jitter)値、アシンメトリ、データエラー(PIエラー)数を求め評価した。なお、必要の場合に、先頭加熱パルス幅(前エッジ)の補正を、前記表1に記載の補正量により行った。補正を行った場合を「有り」とし、行わない場合を「無し」として表2に記載した。
【0095】
【表2】
Figure 2004152370
【0096】
以上の評価結果から、本発明の光記録再生方法により記録、再生した場合には、ジッタ(Jitter)値、アシンメトリ、データエラー(PIエラー)いずれも良好であり、本発明の効果が十分示されることが確認された。
一方、1マーク内のパルス列におけるパルス間記録パワーを0.1よりも大きくした比較例1〜3の場合には、PIエラー値が大きくなった。また、1マーク内のパルス列におけるパルス間記録パワーは0.1とし、未記録部のスペースにおける記録パワーを0.5mWよりも小さい0.3mWとした場合には、ジッタ及びPIエラーは共に良好な値を示したが、実際のドライブにより上記条件で実装したところ、記録中のアドレス検出が不可能となり実データの記録ができなかった。
【0097】
実施例8、参考例5〜7
次に、参考例用として、DVD−Rで実施されている前記LPP(ランドプリピット)方式のフォーマットを設けた光記録媒体を作製した。すなわち、LPPb(ランドプリピット信号)の大きさを0.10、0.24及び0.37に振った各スタンパを作製し、このスタンパによりLPPフォーマットを設けた成形基板をそれぞれ製作した。これら各基板上に前記実施例で用いた光記録媒体と同じ作製条件で各構成層を形成して参考例5(LPPb:0.10)、参考例6(LPPb:0.24)、参考例7(LPPb:0.37)の光記録媒体を作製した。
【0098】
これらの各参考例用光記録媒体と前記実施例で用いた光記録媒体とをサンプルとして用い、それぞれの光記録媒体に対して前記同様に発振波長660nm、ビーム径0.9μmの半導体レーザー光により、トラッキングしながらEFM信号を下記表3に示すマルチパルス記録条件と記録線速にてBottom Jitterが極小となるような照射光量、すなわち記録パワーで記録し、その個所を再生してジッタ(Jitter)値、アシンメトリ、データエラー(PIエラー)数を求め評価した。なお、マルチパルス数は全てn−1であり、先頭加熱パルス幅(前エッジ)の補正を、前記表1に記載の補正量により行った。
【0099】
【表3】
Figure 2004152370
【0100】
表3に示すように、本発明による高周波フアブルを設けた場合には、ジッタ(Jitter)値、アシンメトリ、データエラー(PIエラー)いずれも良好であり、本発明の効果が十分に示された。一方、LPPフォーマットを設けた参考例の光記録媒体(サンプル)の場合には、LPPbが大きくなると、ジッタが良好であってもPIエラーが増加してしまう。また、上述したように参考例5のようにLPPbが0.16を下回るようなレベルであると実機でのアドレス検出が不可能となってしまうことが確認された。
【0101】
【発明の効果】
本発明の光記録媒体の光記録再生方法によれば、DVD−Rで用いているランドプリピット(LPP)フォーマットよりも簡単に製造可能な高周波ウオブルフォーマット方式を採用して、LPP方式の前記問題を回避しつつ、追記型DVDシステムにおける高線速記録においても良好な記録波形が得られアシンメトリが確保されて、低ジッタ及び低データエラーの高密度記録、再生が可能となる。これにより、データ部の書き足しを未記録領域をなくするように効率良く実施することができ、高記録密度を達成することができる。また、光記録媒体として、色素系DVD用光記録媒体を始め、通常の追記型光記録媒体、CD−R用光記録媒体における各種構成の記録媒体が幅広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の記録マーク形成時におけるパルス列のパルス間及びマーク間の照射光量が制御された(n−2)Tマルチパルス波形を説明するための概念図である。
【図2】従来型の記録マーク形成時におけるパルス列のパルス間及びマーク間の照射光量が同じ(n−2)Tマルチパルス波形を説明するための概念図である。
【図3】(a)〜(c)は色素系DVD用光記録媒体の構成層例を示す概略断面図である。
【図4】(a)〜(d)は通常の追記型光記録媒体の構成層例を示す概略断面図である。
【図5】(a)〜(c)はCD−R用光記録媒体の構成層例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 記録層
3 下引き層
4 保護層
5 ハードコート層
6 金属反射層
7 保護基板
8 接着層

Claims (12)

  1. 高周波ウオブルを設けた案内溝を有する基板上に形成された有機色素を主成分とする記録層に対し、複数のパルスに分割されたマルチパルス記録光を照射してパルス列からなるマークを記録し、該記録を再生光により再生するようにした光記録媒体の光記録再生方法であって、
    前記マーク記録時において、前記パルス列の各パルス間部の照射光量を0.1mW以下とすることを特徴とする光記録媒体の光記録再生方法。
  2. 前記マークとマーク間の未記録部であるスペースを形成するマルチパルス記録光の照射光量を前記再生光量の0.7〜1.7倍の範囲とすることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体の光記録再生方法。
  3. 前記高周波ウオブルは記録クロック周波数において形成される記録ピット長(T)を基準として4T〜96T相当の周波長であることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体の光記録再生方法。
  4. 前記高周波ウオブルの変調における該高周波ウオブルの振幅(Wo)と2分割光検出器によりトラックエラーを検出制御する該トラックエラー検出信号のプッシュプル振幅(PP)との比(Wo/PP)を0.1≦Wo/PP≦0.4の範囲として同期合わせをすることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体の光記録再生方法。
  5. 前記マークの記録において、該マーク長と直前のスペース長とが最短長であるとき、最短マーク長のパルス列における先頭パルス幅を他の長いマーク長におけるよりも短く補正し、かつ直前のスペース長が最短長でなくマーク長が最短長であるとき、最短マーク長の先頭パルス幅を他の長いマーク長におけるよりも長く補正して記録することを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体の光記録再生方法。
  6. 前記マルチパルス記録光の波長が600〜720nmであることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体の光記録再生方法。
  7. 前記記録層単層の屈折率nが、前記記録光及び再生光の波長±5nm波長域における光に対して1.5≦n≦3.0であり、消衰係数kが0.02≦k≦0.2であることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体の光記録再生方法。
  8. 前記記録層の分解開始温度が360℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体の光記録再生方法。
  9. 前記光記録媒体は、前記基板上に設けられる記録層以外の構成層として、金属反射層、保護層、接着層、保護基板、基板面ハードコート層から選ばれる少なくとも一つの層を設けたことを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体の光記録再生方法。
  10. 前記反射層が金または銀あるいはアルミニウム、もしくはこれらを主成分とした他の金属との合金であることを特徴とする請求項9に記載の光記録媒体の光記録再生方法。
  11. 前記保護層が紫外線硬化樹脂であることを特徴とする請求項9に記載の光記録媒体の光記録再生方法。
  12. 前記接着層は2枚の基板を貼り合わせて両面構成の記録媒体となすように該基板間に介在して設けられ、かつ該接着層に用いられる接着剤が紫外線硬化樹脂であることを特徴とする請求項9に記載の光記録媒体の光記録再生方法。
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