JP2004151910A - 車両走行支援装置および方法 - Google Patents

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Tetsuhiro Kondo
哲啓 近藤
Yasunori Katayama
恭紀 片山
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Abstract

【課題】走行している車両側での制御処理を軽減でき、走行している路面状態を予測して車両の制御が行える車両走行支援装置および方法を提供する。
【解決手段】先行車両の制御用センサ情報で、路面状態が計測できることに着目し、先行車両の計測した情報を路側処理装置に通信し、絶対位置に紐付けした路面の状態を推定し、制御対象車両の前方道路状態を予測して、車両側に制御方法を通信して自動変速機のギヤ変更のタイミングや、ショックアブソーバのバネ定数などを調整する。
【選択図】 図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は道路状態検出方法および装置に係わり、特に路面の状態を計測して、走行している車両に提供することにより走行車両の適切な制御を可能とする車両走行支援装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
乗り心地や運動性能の良い自走車両を実現するために、自走車両に各種センサ
を設置して、
【特許文献1】に記載のように乗り心地を改善するショックアブソ
ーバや、
【特許文献2】に記載のように運動性能を改善する自動変速機を開発してきた。
【0003】
又、
【特許文献3】に記載のように、地図情報と車両走行モデル情報に基づき推定した車両の第1の走行状態推定情報と車両のセンサ情報に基づき判定した走行実績情報の走行差分情報を求め、同一の地図情報及び車両走行モデル情報に基づき推定した車両の第2の走行状態推定情報を求め、第2の走行状況推定情報を走行差分情報で修正した修正走行状況推定情報に基づいて次回の車両の走行状況推定を行う車両走行支援装置がある。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−155219号公報
【特許文献2】
特開平7−167272号公報
【特許文献3】
特開2001−109998号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
【特許文献1】,
【特許文献2】に記載の従来の技術は、走行している車両の走行位置での路面状態を検出して制御を行うために、応答性の良いセンサや路面の状態を認識するための複雑なロジックが必要となり、高速な処理装置が必要であった。
【0006】
【特許文献3】に記載の従来の技術は、車両のセンサ情報に基づき判定した走行実績情報を路側処理装置に送信し、地図情報をより予測した予測値と走行実績値の差が閾値を超えた時、車両側に送信するようにしているので、車両側での高速な処理が必要であり、予測値と走行実績値の差が少ないときは車両の制御の支援は行われないものであった。又、過去の路面状態から、これから起こるであろう状態を推定しているので、予測が外れる欠点がある。
【0007】
本発明の第1の目的は、走行している車両側での制御処理を軽減でき、走行している路面状態を予測して車両の制御が行える車両走行支援装置および方法を提供することにある。
【0008】
本発明の第2の目的は、走行している車両から収集した路面情報から正確な路面状態を推定でき、後続車両のリアルタイムで適切な制御が行える車両走行支援装置および方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の車両走行支援方法は、先行車両の制御用センサ情報で、路面状態が計測できることに着目し、先行車両の計測した情報を路側処理装置に通信し、絶対位置に紐付けした路面の状態を推定し、制御対象車両の前方道路状態を予測して、車両側に制御データを通信して自動変速機のギヤ変更のタイミングや、ショックアブソーバのバネ定数などを調整するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施例を図1から図8により説明。図1は、本実施例の車両走行支援システムの構成図である。
【0011】
車両1(走行車両1ともいう)は、路面の状態を検出するために特別に作成されたセンサ機能11,センサ機能11の情報に含まれるノイズのフィルタ処理等を行う情報処理機能12,情報処理機能12を通して得られた検出情報をネットワーク機能2に送信するための又は無線通信するための通信機能13を備えたプローブカーである。
【0012】
車両5(走行車両5ともいう)は、走行している一般の車両であり、後述する路側処理装置3からの路面情報,中央処理装置6からの経路選択情報を受信する通信機能51,路面情報,車両の速度,加速度,エンジン回転数等の車両動作状態を検出するセンサ機能52,路面情報や経路選択情報や車両動作状態を用いて、車両の乗り心地や運動性能を制御する制御機能53,制御機能53からの制御指令を受けて動作するアクチュエータ54を備えている。なお、以下車両1はプローブカーとして説明するが、車両5のように一般車両であってもよく、路面の情報を収集できる車両であればよい。
【0013】
道路状態の検出,周辺の道路状態を収集するセンシング機能を有する車両1、あるいは車両5の情報,道路状況センサ7により検出される道路の状況,絶対位置計測機能4により検知される位置情報は、ネットワーク機能2又は無線通信装置を介して路側処理装置3や経路選択を行う中央処理装置6に送信される。路側処理装置3,中央処理装置6では、後述するように絶対位置,絶対位置に紐付けされた路面状態等のデータベースを作成し、このデータベースを用いて得られる車両の乗り心地や運動性能を良好にするための制御方法をネットワーク機能2又は無線通信装置を介して後続車両に送信し、車両5の制御を行うようになっている。
【0014】
路側処理装置3は、ネットワーク機能2を介して又は無線通信により情報を送受信する通信機能33,通信機能33により受信された情報をフィルタリングやスムーズイングや統計処理で各種のノイズを除去するとともに、走行車両の絶対位置に紐付いた情報に変換する情報変換機能32,情報変換機能32で検出した走行車両毎の車両情報,道路の地点毎の情報を格納するデータベース31を備えている。
【0015】
中央処理装置6は、ネットワーク機能2を介して又は無線通信により路側処理装置3からの車両毎の情報を受信する通信機能63,通信機能63で受信した車両毎の情報から発生消滅のOD表を作成したり、経路情報として道路交差点の方向選択確率を求めたりして経路選択情報データベースとして格納したり、この経路選択情報データベースを用いて、最短時間や最短走行距離などの評価指標で経路を選択する情報処理機能62,情報処理機能62で用いるデータベース61を備えている。
【0016】
又、道路の路側には、道路の状況を検出する道路状況センサ7が設置され、車両の位置を検出する絶対位置計測機能4が設けられ、道路状況センサ7,絶対位置計測機能4で検出した情報は、ネットワーク機能2又は無線通信装置を介して路側処理装置3に送信される。
【0017】
図2は、本実施例のセンサ機能11,52の詳細を示す構成図である。センサ機能11,52は、基準となる直交座標系をベースとしたx,y,z方向の車両1,5の運動に伴う速度を検出する速度計測機能111,アンチスキッドブレーキなどのブレーキ力を制御する時に路面摩擦を計測する路面摩擦計測機能112,車両の位置を計測するGPS等で構成される車両位置計測機能113,エンジンの状態等を計測するエンジン回転数計測機能114,前方,後方,側方の障害物までの距離を測定する障害物計測機能115,排ガスの状態を計測する排ガス計測機能116,車両の振動加速度を計測する加速度計測機能117,情報処理機能12と接続するためのインタフェース機能118で構成される。
【0018】
図3は、車両1の情報処理機能12のより詳細を示す構成図である。情報処理機能12は、センサ機能11から受け取るセンサ情報を格納するセンサ情報ワークファイル121,計測ノイズを含むセンサ情報を平滑するフィルタ機能122,センサ情報ワークファイル121やフィルタ機能122で平滑されたセンサ情報の単位系を合致させたり、関連情報を集めて整理する単位変換・関連情報整理機能123,整理された情報を格納する車両情報データベース124,車両情報データベース124を通信機能13に出力するための通信出力生成機能125で構成される。
【0019】
図4に車両データベース124の一例を示す。データによってデータ収集のサンプリング周期が異なるので、車両データベース124のデータ収集は、最小サンプリング時間を基準にしてサンプリング時刻を設定してサンプリングする。車両データベース124は、データ収集毎に最小サンプリング時間で正規化されたタイムスタンプを紐付けし、タイムスタンプの順番に時刻でソートしてデータを整理している。図4の例では、データ収集ができたところは***で、データ収集ができないところは空白で示している。なお、これらのデータは、時刻に紐付いたデータであり、車両制御に必要なデータが含まれており、必ずしも絶対位置に紐付いたデータではなく、計測した時点の車両位置からの相対的位置を示すデータの場合もある。
【0020】
図5は、路側処理装置3の情報変換機能32のより詳細を示す構成図である。情報変換機能32は、通信機能33から受信した情報が、車両運動方程式に基づくフィルタリングでスムージングするデータか、単純なフィルタでスムージングするデータかを判定して処理をフィルタリング機能322かフィルタリング機能324かに振り分けるデータハンドリング機能321,後述するカルマンフィルタのように、車両運動方程式に基づくフィルタリング機能で経過時間毎の推定値と誤差分散を求めるフィルタリング機能322,フィルタリング機能322で求めた推定値と誤差分散を用いて、経過時間の逆方向から推定値を滑らかにして誤差分散が最小となるようにスムージングするスムージング機能323,フィルタリングする時刻のデータを過去の値と未来の値を使って平滑するフィルタリング機能324,平滑されたデータを、車両に関するデータと、道路に関するデータとに振り分けるデータハンドリング機能325,データハンドリング機能325で振り分けられた車両に関するデータから車両毎のデータベースを作成する車両毎のデータベース生成機能326,データベース生成機能326で生成されたデータを記憶する車両毎データベース328,データハンドリング機能325で振り分けられた道路に関するデータから地点(緯度経度等)に紐付いた情報を生成する地点毎のデータベース生成機能327,データベース生成機能327で生成されたデータを記憶する地点毎の路面情報データベース329で構成される。
【0021】
ここで、車両毎のデータベース生成機能326は、車両に割り振られたIDをキーに走行経路,地点通過時刻,平均リンク速度等の車両毎のデータを整理したデータベースを作成する。又、地点毎のデータベース生成機能327は、車両の絶対位置に紐付けて、道路の勾配,摩擦係数,凹凸を示す係数,カーブの傾き角,カーブの曲率,始点,終点などの車両1で直接計測できる時変形データや、道路舗装時,改良時に入力できる舗装の種類等の固定データ,道路に設置された道路状況センサ7で計測された気温,雨量,積雪量等の地点毎のデータをもとに、地点(緯度経度等)に紐付いた情報を生成する。
【0022】
ここで簡単に、フィルタリング機能324の具体的計算法を数1から数22により説明する。フィルタをかけるデータはサンプリング周期毎に収集され、一時記憶部に格納されている。記憶されているn個のデータをx(1),……,x(n)とする。
【0023】
ここで、i番目のデータのフィルタリングは数1で行い、出力をx(i)とする。
【0024】
【数1】
Figure 2004151910
【0025】
ここで、m の値の選び方でフィルタの特性が調整できるようになっている。m の値を1にすると、いわゆる単純な移動平均フィルタになる。
【0026】
図6は、運動方程式に基づくフィルタリング機能322を説明する図である。運動方程式に基づくフィルタリング機能322は、データハンドリング機能321から振り分けられた車両データの実測値データベース3221,実測値データベース3221と後述する推定誤差評価機能3225を入力し、車両状態方程式
3224の入力するゲインを生成するカルマンフィルタゲイン3223,カルマンフィルタゲイン3223の出力を用いて車両状態方程式でシミュレーションを行い、車両の位置や速度,加速度を推定する車両状態方程式3224,車両状態方程式3224の推定値と実測で得られる計測量の差から求められる推定誤差と誤差分散を生成する推定誤差評価機能3225,推定状態ベクトルと誤差分散を記憶する状態推定データベース3226で構成される。
【0027】
ここで、カルマンフィルタゲイン3223,車両状態方程式3224,推定誤差評価機能3225は次のようにして求めることができる。
【0028】
以下、フィルタリング作業について説明する。ここで、車両の離散型状態方程式はサンプリング周期をΔとする。
【0029】
座標原点からの距離をx,y、車両速度をv,v、加速度をα,α、加加速度をp,p、加速度バイアスをb,bとすると、車輌位置は数2で、速度は数3で、加速度は数4で表すことができる。
【0030】
【数2】
Figure 2004151910
【0031】
【数3】
Figure 2004151910
【0032】
【数4】
Figure 2004151910
【0033】
なお、外力はエンジン出力であるトルクまたはブレーキング力とハンドル操作角であるが、これらは直接計測できない。しかし、何らかの外力で加減速をなされるので入力として定常的なバイアスと、瞬時的な入力とすることにより、操作量は加速度バイアスと、加加速度に入力される。瞬時的な入力を考えて加速度の微分値である加加速度は数5で、加速度バイアスは数6で表される。
【0034】
【数5】
Figure 2004151910
【0035】
【数6】
Figure 2004151910
【0036】
以上の式を次に状態方程式として整理すると、状態ベクトルは数7となる。
【0037】
【数7】
Figure 2004151910
【0038】
システム行列,操作行列、および観測行列等は数2から数6を変形して、システム行列は数8で、操作ベクトルは数9で、操作行列は数10で、観測行列は数11で、観測推定値ベクトルは数12で、計測ベクトルは数13でそれぞれ得られる。
【0039】
【数8】
Figure 2004151910
【0040】
【数9】
Figure 2004151910
【0041】
【数10】
Figure 2004151910
【0042】
【数11】
Figure 2004151910
【0043】
【数12】
Figure 2004151910
【0044】
【数13】
Figure 2004151910
【0045】
なお、数14で表される誤差ベクトルは、状態方程式の出力である観測量推定ベクトルと計測ベクトルの差となる。
【0046】
【数14】
Figure 2004151910
【0047】
次に、数15で、Qの入力項の共分散行列,Rの共分散行列を求め、共分散行列からフィルタゲイン3223Pの初期値を求める。
【0048】
【数15】
Figure 2004151910
【0049】
又、時変型カルマンフィルタは以下の繰り返しで求める。車両状態方程式の計算3224には数16に示す計算を行い、観測値を更新する。
【0050】
【数16】
Figure 2004151910
【0051】
ここで、観測状態を纏めてXで表し、数17として記憶しておく。但し、繰り返しの回数はn回である。又、数17として記憶したデータは、後述するスムーズイング機能323で利用する。
【0052】
【数17】
Figure 2004151910
【0053】
次に、推定誤差評価機能3225の処理は、数18で行われる。
【0054】
【数18】
Figure 2004151910
【0055】
ここで、ercov は推定出力誤差分散である。時刻の更新は数19により行われ、これにより推定状態の更新と、カルマンフィルタゲインPの更新が行われる。
【0056】
【数19】
Figure 2004151910
【0057】
数19の更新が行われると、数17の操作に戻り、収集データが無くなるまで繰り返される。なお、ここでは繰り返して行う際のi番目の出力は数19では区別して記載していないが、実際にはメモリ上にはx(i),P(i)として記録される。
【0058】
次に、図5に示すスムージング機能323の具体的数式展開を述べる。数19の計算をデータ個数であるn回繰り返すので、これらのn個の出力を並べて数20の行列にする。
【0059】
【数20】
Figure 2004151910
【0060】
数20で求められたスムージングを数21で示すようにn−1回繰り返して出力xout,youtを得る。ここで、iは繰り返し回数を示す。
【0061】
【数21】
Figure 2004151910
【0062】
図7に地点毎のデータベース生成機能327の構成図を示す。地点毎のデータベース生成機能327は、データハンドリング機能325から出力された道路に関するデータを絶対位置データ3272,車両収集データ3273として一時保管する保管データ3271,そのデータを用いて路面の凹凸の波長成分を分析する空間フーリエ変換機能3274,複数の車両から得られた同じ地点のデータを統計処理して真値を推定する統計処理機能3275,収集時点の車両位置を基準とした相対的位置情報等を収集して絶対位置を求め、絶対位置に紐付けた道路の地点情報として車両データ道路位置紐付け機能3276で構成される。絶対位置は、統計処理をして推定された真値のことを言う。この場合、真値からずれても制御に使用可能な範囲は便宜上絶対位置と言う。
【0063】
ここで、空間フーリエ変換機能3271により空間フーリエ変換を行って得られる路面の凹凸の波長成分を分析することにより、次のように後続車両の走行制御が行える。
【0064】
すなわち、地点毎のデータベース329の進行方向をx軸として上下方向をz軸とする。x軸方向の等間隔で抽出した複数点(例えば1024点)を基準にz軸方向の対応する値で高速フーリエ変換を実施する。その結果、波長x を基本周波数として整数倍の周波数成分の振幅が得られる。即ち、制御の対象とする車両5の速度をvとすると、数22で示される周期の振動が車両5に加わることになる。
【0065】
【数22】
Figure 2004151910
【0066】
周期の逆数が周波数であり、これら基本周波数v/x の高調波成分と、車両5の固有振動数が一致しないように、ショックアブソーバのばね定数を制御することで、車両が共振して、運動性能が劣化することが防止できる。また乗り心地も改善できるのである。
【0067】
又、統計処理機能は、例えば、地点毎の傾きを収集する。このデータは車両のバネなどの影響を受けるので多数集めて平均と、分散を取り、データ検定を行うことでその確かさを一緒に出力する。分散が大きい場合は、その確かさも低下しているので、制御性能は落ちるが、ゲインを下げてロバスト性を重視する、または検定結果確かさが良好ならば、制御性能を重視して制御系のゲインを決めることが可能になる。このようにすることにより、地図情報,路面情報がなくても路面情報の真値を推定することができ、誤差分布も分かるので、後続車両の正確な走行制御を行うことができる。又、車両データ道路位置紐付け機能3276で絶対位置に紐付けされた地点情報を得ることができるので、たとえば、カーブに入る前に、自動変速機のギアを落として、運動性能を高めておき、ハンドル操作に専念できることで安全でかつ速やかな挙動が得られるという効果がある。
【0068】
図8に車両制御機構の構成を示す。地点毎のデータベース生成機能327により生成された地点毎の路面情報データベース329を用いて車両制御を次のようにして行う。
【0069】
車両の乗り心地や運動性能を良好にするための制御を行う車両5の制御機能53は、ネットワーク機能2を介して路側処理装置3からの情報を通信機能51で受信した路面情報531,車両5に設置されたセンサ機能52からの情報であるセンシング情報532,路面情報531とセンシング情報532から車両5がこれから走行する路面の摩擦係数を算出する路面摩擦係数算定機能533,求められた摩擦係数と車両速度からブレーキ強度を制御するブレーキ強度制御機能536,路面情報531とセンシング情報532を用いて道路勾配,カーブ開始位置,曲率,カーブ終了位置,規制速度等の道路勾配形状を抽出する道路勾配・形状認識機能534,道路勾配・形状認識機能534の結果を用いて自動変速機の減速比(ギア比)を制御する自動変速制御機能537,路面情報531とセンシング情報532を用いて、路面の凹凸の周期成分である空間周波数の波長と車両5の速度から、車両5が受ける路面からの振動周波数成分を抽出する空間フーリエ通常フーリエ変換機能535,抽出した振動周波数成分と車両5の固有振動数から共振周波数を避けて乗り心地のよいショックアブソーバの弾性係数を決定するショックアブソーバ制御機能538で構成される。
【0070】
車両5のアクチュエータ54は、ブレーキ強度制御機能536の出力で制御される制動機構544,自動変速機制御機能537の出力であるギア選択情報で制御される自動変速機構542,ショックアブソーバ制御機能538の出力である弾性係数を有するように制御される制振機構543で構成される。
【0071】
図9に中央処理装置6のデータベースの一例を示す。この情報は、路側処理装置3に車両毎データベース328の経路に関する情報を収集したものである。車両IDは車両毎に割り振られたもので、ユニークに付けられる。車両kが動作を開始するポイントから地図データベースの出発地コードが割り振られる。例えばセンサスのBゾーンのようなコードo(i)を想定する。車両kが渋滞以外である時間以上路上に停車した場合や、道路から外れた駐車場に停車した場合の位置を着地コードd(i)として記憶する。この時、出発時刻to(i)と、到着時刻td(i)も紐付けして記憶する。又、その車両の経路を決定するのに必要な情報である交差点などを表した経路情報h(1),h(2),……とその通過時刻th(1),th(2),……をリンクして記憶する。
【0072】
これらの情報を用いて情報処理機能62は交通流シミュレーションを実施して、道路上のリンクを移動する時間を求め、最短時間の評価指標で目的地を入力した車両に対するガイダンスと目的地までの所要時間を推定して経路ガイダンスが行える。
【0073】
以上説明したように、本実施例によれば、制御の対象となる車両5よりも先行して走行する複数台の車両により得られる絶対位置に紐付けされた収集情報により、これから走行する数秒から数分先の路面の摩擦係数,勾配等の道路形状,路面の凹凸の変化が事前に分かるので、例えば、曲線に入る前のスローインファーストアウトを効率的に実施するための適切なギア選択を行う自動変速機,路面の凹凸の状況に合わせて共振周波数を避けて運動性能を損なわない程度のやわらかさを実現する弾性係数を選択できる制振機構や、路面摩擦係数からスリップしないで前方を走行する車両に衝突しない車間距離を選択する制動機構などの運動性能が良好で、乗り心地が良く、かつ安全性が高い車両制御方式を実現できる効果がある。
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば、先行車両により実測された道路状況から、制御対象車両の前方の道路状況を入手することで、制御対象車両の良好な運動性能,良好な乗り心地を実現でき、安全性の高い車両制御を行える効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である車両走行支援システムの構成図である。
【図2】本実施例のセンサ機能の詳細を示す構成図である。
【図3】車両の情報処理機能のより詳細を示す構成図である。
【図4】車両データベースの一例を示す図である。
【図5】路側処理装置の情報変換機能のより詳細を示す構成図である。
【図6】運動方程式に基づくフィルタリング機能を説明する図である。
【図7】地点毎のデータベース生成機能の構成図である。
【図8】車両制御機構の構成図である。
【図9】中央処理装置のデータベースの例を示す図である。
【符号の説明】
1,5…車両、2…ネットワーク機能、3…路側処理装置、4…絶対位置計測機能、6…中央処理装置、7…道路状況センサ、11,52…センサ機能、12,62…情報処理機能、13,33,51,63…通信機能、31,61…データベース、32…情報変換機能、53…制御機能、54…アクチュエータ。

Claims (6)

  1. 道路を走行する複数の車両のそれぞれに搭載されたセンサ機能により検出された道路状態情報を通信機能によって受信し、受信した道路状態情報を情報変換機能によりフィルタリング,スムージング,統計処理でノイズを除去して絶対位置に紐付いた路面情報データベースを作成して記憶し、該路面情報データベースの路面情報を前記通信機能を介して後続車両に送信する路側処理装置を備えた車両走行支援装置。
  2. 前記後続車両に送信する路面情報が、後続車両がこれから走行する道路の路面の凹凸の空間周波数,路面の摩擦係数,道路勾配形状のいずれか少なくと1つを含む請求項1に記載の車両走行支援装置。
  3. 道路を走行する複数の車両のそれぞれに搭載されたセンサ機能により検出された道路状態情報を通信機能によって路側処理装置が受信し、該路側処理装置は、受信した道路状態情報を情報変換機能によりフィルタリング,スムージング,統計処理でノイズを除去して絶対位置に紐付いた路面情報データベースを作成して記憶し、該路面情報データベースの路面情報を前記通信機能により後続車両に送信し、前記路面情報を受信した後続車両は、車両に設置されたセンサ機能からのセンシング情報と前記受信した路面情報によりアクチュエータの制御を行う車両走行支援方法。
  4. 前記後続車両の受信する路面情報が、後続車両がこれから走行する道路の路面の摩擦係数であってブレーキを制御するものである請求項3に記載の車両走行支援方法。
  5. 前記後続車両の受信する路面情報が、後続車両がこれから走行する道路の路面の凹凸の空間周波数であってショックアブソーバを制御するものである請求項3に記載の車両走行支援方法。
  6. 前記後続車両の受信する路面情報が、後続車両がこれから走行する道路の道路勾配形状であって自動変速機を制御するものである請求項3に記載の車両走行支援方法。
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