JP2004151593A - グランド型ピアノの支持装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ピアノ全体として従来ほど剛性を高めることなく、ペダルの踏込み時や強打演奏時におけるピアノ本体の揺動を防止でき、製造コストを削減することができるグランド型ピアノの支持装置を提供する。
【解決手段】下方に延びるペダルユニット4を取り付けたピアノ本体2を設置面F上で支持するためのグランド型ピアノの支持装置16であって、ピアノ本体2の下面に設けられ、設置面Fとの間に上下方向に延び、ピアノ本体2を支持する複数の脚3と、ペダルユニット4に上下方向に移動自在に設けられ、下方への移動によって設置面Fに圧接される圧接部14aを有するペダルユニット圧接機構15と、を備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】下方に延びるペダルユニット4を取り付けたピアノ本体2を設置面F上で支持するためのグランド型ピアノの支持装置16であって、ピアノ本体2の下面に設けられ、設置面Fとの間に上下方向に延び、ピアノ本体2を支持する複数の脚3と、ペダルユニット4に上下方向に移動自在に設けられ、下方への移動によって設置面Fに圧接される圧接部14aを有するペダルユニット圧接機構15と、を備えている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
本発明は、ペダルユニットを有するグランド型ピアノを支持するグランド型ピアノの支持装置に関する。
【発明の属する技術分野】
【0002】
【従来の技術】
本出願人による調査の結果、本発明に関連する技術を記載した先行技術文献を発見することはできなかった。そのため、本項においては、従来、一般に実施されている技術について説明する。
【0003】
従来の電子ピアノとして、アコースティックなグランドピアノの外形を模したグランド型電子ピアノ(以下、単に「電子ピアノ」という)が知られている。このような電子ピアノは、一般に、ピアノ本体と、これを支持する3本の脚を備え、各脚の下端には、移動用のキャスターが取り付けられている。また、各脚は、それぞれ笠木を介して、ピアノ本体の下面の棚板または座板に固定されている。また、この電子ピアノは、ペダル効果を付与するためのペダルを備えており、ピアノ本体には、このペダルを含むペダルユニットが、下方に延びるとともに設置面との間に間隔を存した状態で取り付けられている。また、ペダルユニットを支持するための複数のペダル支えが、ペダルユニットと棚板との間に取り付けられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の電子ピアノには、以下のような問題がある。前述したように、ペダルユニットは、一端部がピアノ本体に取り付けられるとともに、他端部が設置面との間に間隔を存した状態になっているため、ペダルの踏込み操作に伴って、ピアノ本体が揺動することがあり、それが演奏の妨げとなってしまうことがある。また、鍵を強く押鍵する強打演奏を行う際にも、同様にピアノ本体が揺動してしまうことがある。このようなピアノ本体の揺動を防止するために、一般に、電子ピアノ全体として十分な剛性を確保する方法が採用されている。しかし、その場合には、ピアノ本体の構造部材である棚板、座板や側板、および3本の脚や笠木などの各構成部材として、高い剛性のものを用いるとともに、これらの構成部材間を強固に接合する必要がある。その結果、各構成部材のサイズが大きくなったり、加工や組立てにより多くの労力が必要になったりすることによって、製造コストが上昇するとともに、電子ピアノ全体の重量が大きくなってしまう。このような問題は、アコースティックなグランドピアノにもある程度、共通するものである。
【0005】
また、電子ピアノは、アコースティックなグランドピアノと比較してかなり軽量であるため、ペダル踏込み時や強打演奏時のように、ピアノ本体に大きな力を加えたときに、電子ピアノ全体が滑動しやすい。そのため、各キャスターにストッパがさらに設けられており、それが、さらに製造コストを上昇させてしまう。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、ピアノ全体として従来ほど剛性を高めることなく、ペダルの踏込み時や強打演奏時におけるピアノ本体の揺動を防止でき、製造コストを削減することができるグランド型ピアノの支持装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明の請求項1に係る発明は、下方に延びるペダルユニットを有するピアノ本体を設置面上で支持するためのグランド型ピアノの支持装置であって、ピアノ本体の下面に設けられ、設置面との間に上下方向に延び、ピアノ本体を支持する複数の脚と、ペダルユニットに上下方向に移動自在に設けられ、下方への移動によって設置面に圧接される圧接部を有するペダルユニット圧接機構と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
このグランド型ピアノの支持装置(以下、単に「支持装置」という)によれば、ピアノ本体は、複数の脚によって設置面上で支持されている。また、ピアノ本体から下方に延びるペダルユニットに設けられたペダルユニット圧接機構の圧接部を下方に移動させることによって、圧接部が設置面に圧接される。すなわち、ペダルユニットおよび圧接部は、ピアノ本体および設置面をそれぞれ押圧し、両者間に突っ張った状態で支持される。
【0009】
このように、設置面への圧接部の圧接によって、ペダルユニットおよび圧接部が突っ張った状態で存在するので、ペダルユニットのペダルの踏込み操作や強打演奏が行われた際にも、ピアノ本体のたわみを防止でき、それにより、ピアノ本体の揺動を防止することができる。
【0010】
以上の結果、ピアノ本体の揺動を防止するのに、ピアノ本体の構造部材や複数の脚などの構成部材に高い剛性が要求されないとともに、これらの構成部材同士を強固に連結する必要がなくなる。したがって、各構成部材を小サイズ化することや、笠木などの一部の構成部材の省略が可能になり、その加工や組立てに要する労力を軽減できることによって、製造コストを削減することができる。また、ピアノ全体の重量を軽減することができる。さらに、電子ピアノの場合には特に、圧接部と設置面との間に作用する摩擦力によって、ピアノ本体の滑動を防止でき、それにより、キャスターのストッパが不要になることによって、製造コストをさらに削減することができる。また、ピアノを移動させる際には、圧接部を上方に移動させ、圧接状態を解除することによって、ピアノの移動を支障なく行うことができる。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のグランド型ピアノの支持装置において、ペダルユニット圧接機構は、圧接部から上方に延び、ペダルユニットに上下方向に進退自在にねじ込まれたねじ部をさらに有していることを特徴とする。
【0012】
この支持装置によれば、圧接部の上方に延びるねじ部を所定の方向に回し、ねじ部をペダルユニットに対し、下方に最大限移動させることによって、圧接部を設置面に圧接させることができる。また、ねじ部を上記と逆方向に回すことによって、圧接状態を解除することができる。このように、ねじ部を回すだけの簡単な操作で、圧接部の圧接およびその解除を容易に行うことができる。また、圧接部から延びるねじ部を有するだけでよいので、構成も非常に単純である。
【0013】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載のグランド型ピアノの支持装置において、圧接部は、ねじ部に着脱自在にねじ込まれていることを特徴とする。
【0014】
この支持装置によれば、圧接部をねじ部に対して所定の方向に回すことによって、圧接部のみを、ねじ部から、したがってペダルユニットから容易に取り外すことができる。それにより、圧接部のメンテナンスや交換を、容易に行うことができる。
【0015】
請求項4に係る発明は、請求項1に記載のグランド型ピアノの支持装置において、ペダルユニット圧接機構は、圧接部から上方に延び、ペダルユニットに上下方向にスライド自在に取り付けられ、上下方向に並んで形成された多数の歯を有するスライダと、スライダを上方に付勢するばねと、ペダルユニットに回動自在に取り付けられ、多数の歯の1つに係合することによって、圧接部を設置面に圧接した状態で保持するストッパと、をさらに有していることを特徴とする。
【0016】
この支持装置によれば、スライダの上端部を、例えば踏み込んで下方に押圧すると、スライダは、ばねの付勢力に抗して下方にスライドする。そして、圧接部が設置面に当接すると、スライダのスライドが停止し、圧接部が、設置面に圧接された状態になる。その際、ストッパがスライダの多数の歯の1つに係合するとともに、ばねによる上方への付勢力によって、圧接状態が維持されることにより、スライダおよび圧接部は、その状態に保持される。このように、スライダの上端部を下方に押圧するだけで、圧接部を設置面に容易に圧接させることができる。一方、ストッパを係合していた歯から外すだけで、ばねの付勢力によって、スライダが上方に移動するため、圧接状態の解除を容易に行うことができる。
【0017】
請求項5に係る発明は、請求項1に記載のグランド型ピアノの支持装置において、ペダルユニット圧接機構は、圧接部から上方に延び、ペダルユニットに上下方向にスライド自在に取り付けられ、ガイドピンを有するスライダと、一端部がペダルユニットに支点を介して回動自在に取り付けられ、長さ方向に沿って形成されるとともに前記ガイドピンが移動自在に係合する溝を有する操作レバーと、支点とガイドピンとの間に設けられ、ガイドピンを操作レバーの他端部側に付勢する伸縮自在のばねと、をさらに有していることを特徴とする。
【0018】
この支持装置によれば、操作レバーの他端部を押し下げると、操作レバーは、支点を中心として下方に回動する。また、スライダのガイドピンが、操作レバーの溝に移動自在に係合していることによって、スライダは、操作レバーの回動に伴い、支点とガイドピンの間に設けられたばねを圧縮させながら下方にスライドする。その際、ガイドピンは、ばねの反力により、操作レバーの他端部側に付勢される。この付勢力の一部は、ガイドピンを介してスライダをスライドさせる力として作用する。それにより、圧接部が設置面に当接すると、圧接部は、スライダに作用するばねの付勢力の一部によって下方に押圧され、設置面に圧接されるとともに、圧接された状態に維持される。このように、操作レバーの他端部を押し下げることによって回動させるだけで、圧接部を設置面に容易に圧接させることができる。また、操作レバーの他端部を持ち上げると、上記とまったく逆の動作によって、スライダが上方にスライドするので、圧接状態の解除を容易に行うことができる。
【0019】
【発明の実施形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1および2は、本発明の第1実施形態を適用したグランド型電子ピアノ(グランド型ピアノ)(以下、単に「電子ピアノ」という)を示している。この電子ピアノ1は、アコースティックなグランドピアノの外形を模したものであり、水平な床面F(設置面)上に設置されている。また、この電子ピアノ1は、ピアノ本体2、設置面F上でピアノ本体2を支持する例えば3本の脚3、3、3、およびピアノ本体2から下方に延びるペダルユニット4などを備えている。
【0020】
ピアノ本体2は、アコースティックなグランドピアノと同様の所定の形状に形成された側板5を有しており、その上端部には、ピアノ本体2を開閉する大屋根6が設けられている。また、側板5の下端部には、ピアノ本体2の下面全体を覆うように、棚板7が設けられている。この棚板7は、木製の合板によって、従来よりも薄く構成されている。この棚板7の裏面には、3本の脚3およびペダルユニット4が、後述するように取り付けられている。また、棚板7の上面前端部には、鍵盤8が設けられ、ピアノ本体2内には、鍵盤8の押鍵状態に応じて、電子ピアノ1の発音を制御するための多数の電子部品およびスピーカ(ともに図示せず)などが取り付けられており、鍵盤8の鍵8aを押鍵することによって、スピーカから演奏音が発音される。
【0021】
3本の脚3は、互いに同じ構成であり、それらの上端部が、棚板7の左右の端部および後端部に、脚取付ボルト(図示せず)によって、それぞれ強固に取り付けられている。また、各脚3は、矩形の断面を有し、下方に向かうにつれて、断面がテーパ状に小さくなるように構成されている。また、各脚3の下端には、電子ピアノ1を移動させるためのキャスター3aが取り付けられている。すなわち、ピアノ本体2は、3本の脚3を介して、床面F上に支持されている。
【0022】
ペダルユニット4は、その上端部が、棚板7の左右の脚3、3間の中央に取り付けられている。このペダルユニット4は、ペダル桁10、2本のペダル柱11、11、およびペダルボックス12などを有している。ペダル桁10は、棚板7にペダル取付ボルト(図示せず)によって固定されており、このペダル桁10には、左右2つの上取付孔10a、10aが、上下方向に延びるように形成されている。2本のペダル柱11、11は、それらの上端部が、これら上取付孔10a、10aに下方から嵌め込まれた状態で、それぞれ取り付けられている。各ペダル柱11は、矩形の断面を有し、上下方向に延びており、その下端部には、ペダルボックス12が取り付けられている。
【0023】
ペダルボックス12の上端部には、上取付孔10aと同様の左右2つの下取付孔12a、12aが形成されており、これらの下取付孔12a、12aに、ペダル柱11の下端部が嵌め込まれることによって、ペダルボックス12が、床面Fとの間に間隙を存した状態で取り付けられている。
【0024】
ペダルボックス12の内部には、例えば3つのペダル13、13、13が左右方向に並んで取り付けられている。各ペダル13は、例えばアルミダイカストの表面に真鍮を溶着したもので構成されており、その前端部の踏込み部13aが、ペダルボックス12の前方に突出している。また、各ペダル13の踏込み状態は、ペダルセンサ(図示せず)で検出され、その検出信号が、ピアノ本体2の電子部品に出力されるようになっており、演奏時に踏込み部13aを踏み込むことによって、演奏音の音色を変化させるなどのペダル効果が付与される。
【0025】
図3に示すように、ペダルボックス12の底面の中央には、ねじ受け12cが設けられている。このねじ受け12cには、アジャスタ14が下方から取り付けられており、このアジャスタ14は、圧接部14aおよびねじ部14bを有している。
【0026】
圧接部14aは、高い強度を有する材料、例えばABSによって、円板状に形成されており、ねじ部14bは、圧接部14aの上面の中央から上方に延びている。このねじ部14bが、ペダルボックス12のねじ受け12cにねじ込まれることによって、アジャスタ14が、ペダルボックス12に、上下方向に進退自在に取り付けられている。すなわち、これらのねじ受け12cおよびアジャスタ14によって、ペダルユニット圧接機構15が構成されており、前述した3本の脚3およびペダルユニット圧接機構15によって、電子ピアノ1の支持装置(以下、単に「支持装置」という)16が構成されている。
【0027】
次いで、このペダルユニット圧接機構15の動作を説明する。まず、圧接部14aを持ち、アジャスタ14を、ねじ部14bがペダルボックス12から外れる方向に回転させる。それにより、アジャスタ14が下方に移動し、圧接部14aの底面が床面Fに当接する。アジャスタ14を同じ方向にさらに回転させると、圧接部14aが床面Fに圧接された圧接状態になる。一方、この圧接状態から、アジャスタ14を上述した場合と逆の方向に回転させると、アジャスタ14が上方に移動し、圧接部14aが床面Fから離れることによって、圧接状態が解除される。
【0028】
このように、床面Fへの圧接部14aの圧接によって、ペダルユニット4および圧接部14aが突っ張った状態で存在するので、ペダルユニット4のペダル13の踏込み操作や強打演奏が行われた際にも、ピアノ本体2のたわみを防止でき、それにより、ピアノ本体2の揺動を防止することができる。
【0029】
また、以上の結果、ピアノ本体2の揺動を防止するのに、側板5や棚板7などのピアノ本体2の構造部材、および脚3などに高い剛性が要求されないとともに、棚板7と脚3を従来ほど強固に連結する必要がなくなる。したがって、棚板7を軽薄化することや、従来用いられていた笠木および複数のペダル支えを省略することができ、その分、これらの加工や組立てに要する労力、および材料コストを削減でき、それにより、製造コストを削減することができる。また、電子ピアノ1全体の重量を軽減することができる。また、圧接部14aと床面Fとの間に作用する摩擦力によって、電子ピアノ1の滑動を防止でき、それにより、キャスター3aのストッパが不要になることによって、製造コストをさらに削減することができる。
【0030】
また、電子ピアノ1を移動させる際には、圧接部14aを上方に移動させ、圧接状態を解除することによって、電子ピアノ1の移動を支障なく行うことができる。このように、アジャスタ14を回すだけの簡単な操作で、圧接部14aの圧接およびその解除を容易に行うことができる。また、本実施形態のペダルユニット圧接機構15は、アジャスタ14と、これを取り付けるためのねじ受け12cだけで非常に単純に構成することができる。
【0031】
図4は、上述した第1実施形態の第1変形例による電子ピアノ1のペダルユニット圧接機構20を示している。なお、その他の構成部分については、上述した第1実施形態と同様であるので、同じ符号を用いるとともに、その説明は省略する。
【0032】
この変形例によれば、ペダルボックス12は、その背面の下端部から後方に突出する支持板12dを有している。この支持板12dの中央には、これを上下方向に貫通するねじ受け12eが形成されている。また、このねじ受け12eには、上方からアジャスタ21のねじ部21aが、例えば図4のA方向(時計方向)にねじ込まれることによって取り付けられている。
【0033】
アジャスタ21は、ねじ部21aと、その上端部に一体に設けられた円板状の操作ノブ21bと、ねじ部21aの下端部に取り付けられた圧接部21cとを有している。圧接部21cは、例えば硬質ゴムによって、前述した第1実施形態の圧接部14aと同様の円板状に形成されており、その上面の中央に、ねじ孔21dが形成されている。このねじ孔21dに、ねじ部21aがねじ込まれることによって圧接部21cが着脱自在に取り付けられ、それにより、支持板12dの上下に操作ノブ21bおよび圧接部21cが位置した状態になっている。
【0034】
このようなペダルユニット圧接機構20および前述した3本の脚3(図示せず)によって、支持装置22が構成されている。
【0035】
次いで、このペダルユニット圧接機構20の動作を説明する。まず、操作ノブ21bを時計方向に回転操作すると、アジャスタ21が下方に移動する。そして、圧接部21cの底面が、床面Fに当接する。そして、操作ノブ21bをさらに回転させると、圧接部21cが床面Fに圧接された圧接状態になる。一方、この圧接状態から、操作ノブ21bを反時計方向に回転操作すると、アジャスタ21が上方に移動し、圧接部21cが床面Fから離れることによって、圧接状態が解除される。
【0036】
以上のように、この支持装置22によれば、操作ノブ21bが、ペダルボックス12の後方に突出する支持板12dの上方に配置されていることによって、アジャスタ21の操作を後方からより容易に行うことができる。また、支持板12dにねじ込まれたねじ部21aに、圧接部21cがさらに着脱自在にねじ込まれているので、圧接部21cのみをペダルユニット4から容易に取り外すことができ、それにより、圧接部21cの交換やペダルユニット圧接機構20のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0037】
また、圧接部21cが硬質ゴムによって構成されていることにより、圧接部21cと床面Fとの間に作用する摩擦力がより大きくなるため、電子ピアノ1の滑動を、より確実に防止することができる。
【0038】
図5は、上述した第1実施形態の第2変形例による電子ピアノ1のペダルユニット圧接機構60を示している。なお、その他の構成部分については、上述した第1実施形態と同様であるので、同じ符号を用いるとともに、その説明は省略する。
【0039】
この変形例によれば、ペダルボックス12に、アジャスタボックス61が取り付けられている。このアジャスタボックス61は、取付ボルト62を、アジャスタボックス61を介してペダルボックス12に後方からねじ込むことによって、ペダルボックス12に着脱自在に取り付けられている。また、アジャスタボックス61の底面の中央には、ねじ受け61aが設けられており、このねじ受け61aに、アジャスタ14のねじ部14bがねじ込まれることによって、アジャスタ14が上下方向に進退自在に取り付けられている。このアジャスタ14は、前述した第1実施形態のアジャスタ14と同じ構成のものであり、その動作もまた同じである。
【0040】
このようなペダルユニット圧接機構60および前述した3本の脚3(図示せず)によって、支持装置63が構成されている。
【0041】
以上のように、この支持装置63によれば、アジャスタボックス61がペダルボックス12に対して着脱自在に取り付けられていることによって、アジャスタボックス61を、ペダルユニット4から後方に容易に取り外すことができる。さらに、アジャスタ14をアジャスタボックス61から取り外すこともでき、それにより、アジャスタ14の交換やペダルユニット圧接機構60のメンテナンスを、容易に行うことができる。
【0042】
図6は、本発明の第2実施形態を適用した電子ピアノ1のペダルユニット圧接機構30を示している。なお、その他の構成部分については、上述した第1実施形態と同様であるので、同じ符号を用いるとともに、その説明は省略する。
【0043】
このペダルユニット圧接機構30は、例えばペダルボックス12の右側面に取り付けられており、前後2つの板状のガイド板34、34(一方のみ図示)を有している。各ガイド板34は、ペダルボックス12の右側面に垂直に立設するように取り付けられており、その内面には、上下方向に延びるレール34aが形成されている。また、これらのガイド板34、34の右端部間には、軸34bが回動自在に取り付けられている。この軸34bには、その軸線方向に対して直交するように、棒状のストッパ35が一体に設けられている。また、軸34bと一方のガイド板34との間には、軸34bを図5(a)の時計方向に付勢するばね(図示せず)が設けられている。それにより、軸34bと一体のストッパ35も時計方向に付勢されている。
【0044】
ガイド板34、34の間には、スライダ37が設けられている。このスライダ37は矩形の断面を有し、上下方向に延びている。スライダ37の前面および背面には、上下方向に延びるレール溝37a、37a(一方のみ図示)が形成されており、これらのレール溝37a、37aが、上述したガイド板34、34のレール34a、34aにそれぞれ係合することによって、スライダ37は、上下方向にスライド自在になっている。
【0045】
また、スライダ37の外面には、多数の歯36が上下方向に並ぶように形成されている。各歯36は、ほぼ水平な水平面36aと、水平面の先端部から所定の角度で斜め下方に延びる傾斜面36bによって構成されている。また、多数の歯36の1つには、前述したストッパ35の一端部が、歯36側に付勢された状態で、下方から係合している。
【0046】
また、スライダ37の下端には、圧接部38が一体に連結されている。この圧接部38は、前述した第1実施形態の圧接部14aと同様に、例えばABSなどの高い強度を有する材料によって円板状に形成されており、その底面には、例えば軟質ゴムによって構成された弾性を有する接地シート38aが貼り付けられている。また、スライダ37の上端には、同じくABSなどによって構成された円板状の押圧部39が一体に連結されている。この押圧部39と2つのガイド板34、34の間には、ばね40が取り付けられており、このばね40によって、押圧部39ならびにこれと一体のスライダ37および圧接部38が、上方に付勢されている。
【0047】
このようなペダルユニット圧接機構30および前述した3本の脚3(図示せず)によって、支持装置41が構成されている。
【0048】
次いで、このペダルユニット圧接機構30の動作について説明する。まず、図6(a)に示す解除状態において、押圧部39を、例えば踏み込んで下方に押圧すると、押圧部39が、これと一体のスライダ37および圧接部38と一緒に、ばね40の付勢力に抗して下方にスライドする。その際、図示しないばねによって付勢されたストッパ35が、歯36に当接するが、歯36が、前述したような水平面36aおよび傾斜面36bで構成されていることによって、スライダ37のスライドが歯36によって妨げられることがない。そして、圧接部38の接地シート38aが床面Fに当接すると、スライダ37のスライドが停止し、接地シート38aが床面Fに押し付けられて圧縮され、圧接部38が床面Fに圧接された状態になる。次いで、押圧部39への押圧を解除すると、ストッパ35の一端部が、多数の歯36の1つと係合する。そして、この状態では、ストッパ35が時計方向に付勢されていること、および歯36が前述した構成を有していることによって、歯36からのストッパ35の外れが阻止され、それにより、圧接部38が図6(b)に示す圧接状態に保持される。
【0049】
一方、この圧接状態にあるときに、再度、押圧部39を下方に押圧しながら、ストッパ35をばねの付勢力に抗して反時計方向に回動させることにより、ストッパ35と歯36との係合が解除される。それにより、ばね40の付勢力によってスライダ37が上方にスライドし、圧接状態が解除される。
【0050】
以上のように、本実施形態の支持装置41によれば、ペダルユニット圧接機構30の押圧部39を踏み込むだけで、圧接部38を床面Fに容易に圧接させることができるとともに、圧接状態を確実に保持できる。また、ストッパ35を、係合していた歯36から外すだけで、ばね40の付勢力によって圧接状態の解除を容易に行うことができる。
【0051】
図7は、本発明の第3実施形態による電子ピアノ1のペダルユニット圧接機構50を示している。なお、その他の構成部分については、上述した第1実施形態と同様であるので、同じ符号を用いるとともに、その説明は省略する。
【0052】
このペダルユニット圧接機構50は、例えばペダルボックス12の左側面に取り付けられており、スライダ51、操作レバー52および伸縮自在のばね53などを有している。ペダルボックス12の左側面の下端部には、第2実施形態のガイド板34と同様の、レール54aを有する左右2つの板状のガイド板54、54(一方のみ図示)が取り付けられている。
【0053】
スライダ51は、ガイド板54、54の間に設けられており、矩形の断面を有し、上下方向に延びている。このスライダ51の前面および背面には、その中央部から下端部にわたって上下方向に延びるレール溝51a、51a(一方のみ図示)がそれぞれ形成されており、これらのレール溝51a、51aと、上述したガイド板54、54のレール54a、54aとの係合によって、スライダ51は、上下方向にスライド自在になっている。また、スライダ51の背面の上端部には、円柱状のガイドピン55が取り付けられている。
【0054】
スライダ51の下端には、圧接部56が一体に連結されている。この圧接部56は、前述した第1実施形態の圧接部14aと同様に、例えばABSなどの高い強度を有する材料によって、例えば円板状に形成されている。
【0055】
ペダルボックス12の背面の左端部には、その上下方向のほぼ中央に、前記操作レバー52が取り付けられている。この操作レバー52は、一端部がペダルボックス12の支点12bに回動自在に取り付けられている。この操作レバー52には、その長さ方向に沿って延びるガイド溝52aが形成されており、このガイド溝52a内に、前述したガイドピン55が移動自在に係合している。また、この操作レバー52の他端部は、その他の部分よりも、やや幅の狭い操作部52bになっている。また、ペダルボックス12の支点12bとガイドピン55の間には、ガイドピン55を介してスライダ51を操作レバー52の他端部側に付勢する伸縮自在の前記ばね53が設けられている。
【0056】
このようなペダルユニット圧接機構50および前述した3本の脚3(図示せず)によって、支持装置57が構成されている。
【0057】
次いで、このペダルユニット圧接機構50の動作について説明する。まず、図7(a)に示す解除状態において、操作レバー52の操作部52bを押し下げると、操作レバー52は、支点12bを中心として下方に回動する。また、スライダ51のガイドピン55が、操作レバー52のガイド溝52aに移動自在に係合していることによって、スライダ51は、操作レバー52の回動に伴って、支点12bとガイドピン55の間に設けられたばね53を圧縮させながら、下方にスライドする。その際、スライダ51は、ガイドピン55を介し、ばね53の反力によって、操作レバー52の他端部側に付勢される。この付勢力の上下方向の分力が、スライダ51をスライドさせる力として作用する。具体的には、操作レバー52が水平になるまでは、スライダ51を上方に付勢する力として、それ以降は、スライダ51を下方に付勢する力として作用する。そして、圧接部56が床面Fに当接すると、操作部52bを押し下げる操作を停止しても、圧接部56は、スライダ51に作用するばね53の下向きの分力によって下方に押圧され、床面Fに圧接されるとともに、図7(b)に示す圧接状態に維持される。
【0058】
一方、操作レバー52の操作部52bを、ばね53の付勢力に抗して押し上げると、上記とまったく逆の動作によって、スライダ51および圧接部56が上方にスライドすることにより、圧接状態が解除される。そして、操作レバー52が、上方に回動し、水平になる角度を超えると、スライダ51は、ばね53の上向きの付勢力によって、所定の位置まで上方にスライドし、解除状態に戻る。
【0059】
以上のように、本実施形態の支持装置57によれば、操作レバー52の操作部52bを下方に押し下げることにより、操作レバー52を下方に回動させるだけで、圧接部56を床面Fに容易に圧接させることができるとともに、圧接状態を確実に保持することができる。また、操作レバー52の操作部52bを持ち上げると、上記とまったく逆の動作によって、スライダ51が上方にスライドするので、圧接状態の解除を容易に行うことができる。
【0060】
なお、本発明の各実施形態は、グランド型の電子ピアノに適用した例であるが、これに限定されることなく、アコースティックなグランドピアノにも適用することができる。また、特に、第1実施形態は、アップライト型ピアノなど、ペダルを有するすべての鍵盤楽器に適用することができる。
【0061】
【発明の効果】
以上のように、本発明のグランド型ピアノの支持装置は、ピアノ全体として従来ほど剛性を高めることなく、ペダルの踏込み時や強打演奏時におけるピアノ本体の揺動を防止でき、製造コストを削減することができるなどの効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した支持装置を備えたグランド型電子ピアノを示す斜視図である。
【図2】図1の電子ピアノを示す正面図である。
【図3】本発明の第1実施形態によるペダルユニット圧接機構を後方から示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態の第1変形例によるペダルユニット圧接機構を後方から示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態の第2変形例によるペダルユニット圧接機構を左方から示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態によるペダルユニット圧接機構の(a)解除状態および(b)圧接状態を前方から示す図である。
【図7】本発明の第3実施形態によるペダルユニット圧接機構の(a)解除状態および(b)圧接状態を後方から示す図である。
【符号の説明】
1 電子ピアノ(グランド型ピアノ)
2 ピアノ本体
3 脚
4 ペダルユニット
12b 支点
14a 圧接部
14b ねじ部
15 ペダルユニット圧接機構
16 支持装置
20 ペダルユニット圧接機構
21a ねじ部
21c 圧接部
22 支持装置
30 ペダルユニット圧接機構
35 ストッパ
36 歯
37 スライダ
38 圧接部
40 ばね
41 支持装置
50 ペダルユニット圧接機構
51 スライダ
52 操作レバー
52a ガイド溝(溝)
53 ばね
55 ガイドピン
56 圧接部
57 支持装置
60 ペダルユニット圧接機構
63 支持装置
F 床面(設置面)
本発明は、ペダルユニットを有するグランド型ピアノを支持するグランド型ピアノの支持装置に関する。
【発明の属する技術分野】
【0002】
【従来の技術】
本出願人による調査の結果、本発明に関連する技術を記載した先行技術文献を発見することはできなかった。そのため、本項においては、従来、一般に実施されている技術について説明する。
【0003】
従来の電子ピアノとして、アコースティックなグランドピアノの外形を模したグランド型電子ピアノ(以下、単に「電子ピアノ」という)が知られている。このような電子ピアノは、一般に、ピアノ本体と、これを支持する3本の脚を備え、各脚の下端には、移動用のキャスターが取り付けられている。また、各脚は、それぞれ笠木を介して、ピアノ本体の下面の棚板または座板に固定されている。また、この電子ピアノは、ペダル効果を付与するためのペダルを備えており、ピアノ本体には、このペダルを含むペダルユニットが、下方に延びるとともに設置面との間に間隔を存した状態で取り付けられている。また、ペダルユニットを支持するための複数のペダル支えが、ペダルユニットと棚板との間に取り付けられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の電子ピアノには、以下のような問題がある。前述したように、ペダルユニットは、一端部がピアノ本体に取り付けられるとともに、他端部が設置面との間に間隔を存した状態になっているため、ペダルの踏込み操作に伴って、ピアノ本体が揺動することがあり、それが演奏の妨げとなってしまうことがある。また、鍵を強く押鍵する強打演奏を行う際にも、同様にピアノ本体が揺動してしまうことがある。このようなピアノ本体の揺動を防止するために、一般に、電子ピアノ全体として十分な剛性を確保する方法が採用されている。しかし、その場合には、ピアノ本体の構造部材である棚板、座板や側板、および3本の脚や笠木などの各構成部材として、高い剛性のものを用いるとともに、これらの構成部材間を強固に接合する必要がある。その結果、各構成部材のサイズが大きくなったり、加工や組立てにより多くの労力が必要になったりすることによって、製造コストが上昇するとともに、電子ピアノ全体の重量が大きくなってしまう。このような問題は、アコースティックなグランドピアノにもある程度、共通するものである。
【0005】
また、電子ピアノは、アコースティックなグランドピアノと比較してかなり軽量であるため、ペダル踏込み時や強打演奏時のように、ピアノ本体に大きな力を加えたときに、電子ピアノ全体が滑動しやすい。そのため、各キャスターにストッパがさらに設けられており、それが、さらに製造コストを上昇させてしまう。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、ピアノ全体として従来ほど剛性を高めることなく、ペダルの踏込み時や強打演奏時におけるピアノ本体の揺動を防止でき、製造コストを削減することができるグランド型ピアノの支持装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明の請求項1に係る発明は、下方に延びるペダルユニットを有するピアノ本体を設置面上で支持するためのグランド型ピアノの支持装置であって、ピアノ本体の下面に設けられ、設置面との間に上下方向に延び、ピアノ本体を支持する複数の脚と、ペダルユニットに上下方向に移動自在に設けられ、下方への移動によって設置面に圧接される圧接部を有するペダルユニット圧接機構と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
このグランド型ピアノの支持装置(以下、単に「支持装置」という)によれば、ピアノ本体は、複数の脚によって設置面上で支持されている。また、ピアノ本体から下方に延びるペダルユニットに設けられたペダルユニット圧接機構の圧接部を下方に移動させることによって、圧接部が設置面に圧接される。すなわち、ペダルユニットおよび圧接部は、ピアノ本体および設置面をそれぞれ押圧し、両者間に突っ張った状態で支持される。
【0009】
このように、設置面への圧接部の圧接によって、ペダルユニットおよび圧接部が突っ張った状態で存在するので、ペダルユニットのペダルの踏込み操作や強打演奏が行われた際にも、ピアノ本体のたわみを防止でき、それにより、ピアノ本体の揺動を防止することができる。
【0010】
以上の結果、ピアノ本体の揺動を防止するのに、ピアノ本体の構造部材や複数の脚などの構成部材に高い剛性が要求されないとともに、これらの構成部材同士を強固に連結する必要がなくなる。したがって、各構成部材を小サイズ化することや、笠木などの一部の構成部材の省略が可能になり、その加工や組立てに要する労力を軽減できることによって、製造コストを削減することができる。また、ピアノ全体の重量を軽減することができる。さらに、電子ピアノの場合には特に、圧接部と設置面との間に作用する摩擦力によって、ピアノ本体の滑動を防止でき、それにより、キャスターのストッパが不要になることによって、製造コストをさらに削減することができる。また、ピアノを移動させる際には、圧接部を上方に移動させ、圧接状態を解除することによって、ピアノの移動を支障なく行うことができる。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のグランド型ピアノの支持装置において、ペダルユニット圧接機構は、圧接部から上方に延び、ペダルユニットに上下方向に進退自在にねじ込まれたねじ部をさらに有していることを特徴とする。
【0012】
この支持装置によれば、圧接部の上方に延びるねじ部を所定の方向に回し、ねじ部をペダルユニットに対し、下方に最大限移動させることによって、圧接部を設置面に圧接させることができる。また、ねじ部を上記と逆方向に回すことによって、圧接状態を解除することができる。このように、ねじ部を回すだけの簡単な操作で、圧接部の圧接およびその解除を容易に行うことができる。また、圧接部から延びるねじ部を有するだけでよいので、構成も非常に単純である。
【0013】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載のグランド型ピアノの支持装置において、圧接部は、ねじ部に着脱自在にねじ込まれていることを特徴とする。
【0014】
この支持装置によれば、圧接部をねじ部に対して所定の方向に回すことによって、圧接部のみを、ねじ部から、したがってペダルユニットから容易に取り外すことができる。それにより、圧接部のメンテナンスや交換を、容易に行うことができる。
【0015】
請求項4に係る発明は、請求項1に記載のグランド型ピアノの支持装置において、ペダルユニット圧接機構は、圧接部から上方に延び、ペダルユニットに上下方向にスライド自在に取り付けられ、上下方向に並んで形成された多数の歯を有するスライダと、スライダを上方に付勢するばねと、ペダルユニットに回動自在に取り付けられ、多数の歯の1つに係合することによって、圧接部を設置面に圧接した状態で保持するストッパと、をさらに有していることを特徴とする。
【0016】
この支持装置によれば、スライダの上端部を、例えば踏み込んで下方に押圧すると、スライダは、ばねの付勢力に抗して下方にスライドする。そして、圧接部が設置面に当接すると、スライダのスライドが停止し、圧接部が、設置面に圧接された状態になる。その際、ストッパがスライダの多数の歯の1つに係合するとともに、ばねによる上方への付勢力によって、圧接状態が維持されることにより、スライダおよび圧接部は、その状態に保持される。このように、スライダの上端部を下方に押圧するだけで、圧接部を設置面に容易に圧接させることができる。一方、ストッパを係合していた歯から外すだけで、ばねの付勢力によって、スライダが上方に移動するため、圧接状態の解除を容易に行うことができる。
【0017】
請求項5に係る発明は、請求項1に記載のグランド型ピアノの支持装置において、ペダルユニット圧接機構は、圧接部から上方に延び、ペダルユニットに上下方向にスライド自在に取り付けられ、ガイドピンを有するスライダと、一端部がペダルユニットに支点を介して回動自在に取り付けられ、長さ方向に沿って形成されるとともに前記ガイドピンが移動自在に係合する溝を有する操作レバーと、支点とガイドピンとの間に設けられ、ガイドピンを操作レバーの他端部側に付勢する伸縮自在のばねと、をさらに有していることを特徴とする。
【0018】
この支持装置によれば、操作レバーの他端部を押し下げると、操作レバーは、支点を中心として下方に回動する。また、スライダのガイドピンが、操作レバーの溝に移動自在に係合していることによって、スライダは、操作レバーの回動に伴い、支点とガイドピンの間に設けられたばねを圧縮させながら下方にスライドする。その際、ガイドピンは、ばねの反力により、操作レバーの他端部側に付勢される。この付勢力の一部は、ガイドピンを介してスライダをスライドさせる力として作用する。それにより、圧接部が設置面に当接すると、圧接部は、スライダに作用するばねの付勢力の一部によって下方に押圧され、設置面に圧接されるとともに、圧接された状態に維持される。このように、操作レバーの他端部を押し下げることによって回動させるだけで、圧接部を設置面に容易に圧接させることができる。また、操作レバーの他端部を持ち上げると、上記とまったく逆の動作によって、スライダが上方にスライドするので、圧接状態の解除を容易に行うことができる。
【0019】
【発明の実施形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1および2は、本発明の第1実施形態を適用したグランド型電子ピアノ(グランド型ピアノ)(以下、単に「電子ピアノ」という)を示している。この電子ピアノ1は、アコースティックなグランドピアノの外形を模したものであり、水平な床面F(設置面)上に設置されている。また、この電子ピアノ1は、ピアノ本体2、設置面F上でピアノ本体2を支持する例えば3本の脚3、3、3、およびピアノ本体2から下方に延びるペダルユニット4などを備えている。
【0020】
ピアノ本体2は、アコースティックなグランドピアノと同様の所定の形状に形成された側板5を有しており、その上端部には、ピアノ本体2を開閉する大屋根6が設けられている。また、側板5の下端部には、ピアノ本体2の下面全体を覆うように、棚板7が設けられている。この棚板7は、木製の合板によって、従来よりも薄く構成されている。この棚板7の裏面には、3本の脚3およびペダルユニット4が、後述するように取り付けられている。また、棚板7の上面前端部には、鍵盤8が設けられ、ピアノ本体2内には、鍵盤8の押鍵状態に応じて、電子ピアノ1の発音を制御するための多数の電子部品およびスピーカ(ともに図示せず)などが取り付けられており、鍵盤8の鍵8aを押鍵することによって、スピーカから演奏音が発音される。
【0021】
3本の脚3は、互いに同じ構成であり、それらの上端部が、棚板7の左右の端部および後端部に、脚取付ボルト(図示せず)によって、それぞれ強固に取り付けられている。また、各脚3は、矩形の断面を有し、下方に向かうにつれて、断面がテーパ状に小さくなるように構成されている。また、各脚3の下端には、電子ピアノ1を移動させるためのキャスター3aが取り付けられている。すなわち、ピアノ本体2は、3本の脚3を介して、床面F上に支持されている。
【0022】
ペダルユニット4は、その上端部が、棚板7の左右の脚3、3間の中央に取り付けられている。このペダルユニット4は、ペダル桁10、2本のペダル柱11、11、およびペダルボックス12などを有している。ペダル桁10は、棚板7にペダル取付ボルト(図示せず)によって固定されており、このペダル桁10には、左右2つの上取付孔10a、10aが、上下方向に延びるように形成されている。2本のペダル柱11、11は、それらの上端部が、これら上取付孔10a、10aに下方から嵌め込まれた状態で、それぞれ取り付けられている。各ペダル柱11は、矩形の断面を有し、上下方向に延びており、その下端部には、ペダルボックス12が取り付けられている。
【0023】
ペダルボックス12の上端部には、上取付孔10aと同様の左右2つの下取付孔12a、12aが形成されており、これらの下取付孔12a、12aに、ペダル柱11の下端部が嵌め込まれることによって、ペダルボックス12が、床面Fとの間に間隙を存した状態で取り付けられている。
【0024】
ペダルボックス12の内部には、例えば3つのペダル13、13、13が左右方向に並んで取り付けられている。各ペダル13は、例えばアルミダイカストの表面に真鍮を溶着したもので構成されており、その前端部の踏込み部13aが、ペダルボックス12の前方に突出している。また、各ペダル13の踏込み状態は、ペダルセンサ(図示せず)で検出され、その検出信号が、ピアノ本体2の電子部品に出力されるようになっており、演奏時に踏込み部13aを踏み込むことによって、演奏音の音色を変化させるなどのペダル効果が付与される。
【0025】
図3に示すように、ペダルボックス12の底面の中央には、ねじ受け12cが設けられている。このねじ受け12cには、アジャスタ14が下方から取り付けられており、このアジャスタ14は、圧接部14aおよびねじ部14bを有している。
【0026】
圧接部14aは、高い強度を有する材料、例えばABSによって、円板状に形成されており、ねじ部14bは、圧接部14aの上面の中央から上方に延びている。このねじ部14bが、ペダルボックス12のねじ受け12cにねじ込まれることによって、アジャスタ14が、ペダルボックス12に、上下方向に進退自在に取り付けられている。すなわち、これらのねじ受け12cおよびアジャスタ14によって、ペダルユニット圧接機構15が構成されており、前述した3本の脚3およびペダルユニット圧接機構15によって、電子ピアノ1の支持装置(以下、単に「支持装置」という)16が構成されている。
【0027】
次いで、このペダルユニット圧接機構15の動作を説明する。まず、圧接部14aを持ち、アジャスタ14を、ねじ部14bがペダルボックス12から外れる方向に回転させる。それにより、アジャスタ14が下方に移動し、圧接部14aの底面が床面Fに当接する。アジャスタ14を同じ方向にさらに回転させると、圧接部14aが床面Fに圧接された圧接状態になる。一方、この圧接状態から、アジャスタ14を上述した場合と逆の方向に回転させると、アジャスタ14が上方に移動し、圧接部14aが床面Fから離れることによって、圧接状態が解除される。
【0028】
このように、床面Fへの圧接部14aの圧接によって、ペダルユニット4および圧接部14aが突っ張った状態で存在するので、ペダルユニット4のペダル13の踏込み操作や強打演奏が行われた際にも、ピアノ本体2のたわみを防止でき、それにより、ピアノ本体2の揺動を防止することができる。
【0029】
また、以上の結果、ピアノ本体2の揺動を防止するのに、側板5や棚板7などのピアノ本体2の構造部材、および脚3などに高い剛性が要求されないとともに、棚板7と脚3を従来ほど強固に連結する必要がなくなる。したがって、棚板7を軽薄化することや、従来用いられていた笠木および複数のペダル支えを省略することができ、その分、これらの加工や組立てに要する労力、および材料コストを削減でき、それにより、製造コストを削減することができる。また、電子ピアノ1全体の重量を軽減することができる。また、圧接部14aと床面Fとの間に作用する摩擦力によって、電子ピアノ1の滑動を防止でき、それにより、キャスター3aのストッパが不要になることによって、製造コストをさらに削減することができる。
【0030】
また、電子ピアノ1を移動させる際には、圧接部14aを上方に移動させ、圧接状態を解除することによって、電子ピアノ1の移動を支障なく行うことができる。このように、アジャスタ14を回すだけの簡単な操作で、圧接部14aの圧接およびその解除を容易に行うことができる。また、本実施形態のペダルユニット圧接機構15は、アジャスタ14と、これを取り付けるためのねじ受け12cだけで非常に単純に構成することができる。
【0031】
図4は、上述した第1実施形態の第1変形例による電子ピアノ1のペダルユニット圧接機構20を示している。なお、その他の構成部分については、上述した第1実施形態と同様であるので、同じ符号を用いるとともに、その説明は省略する。
【0032】
この変形例によれば、ペダルボックス12は、その背面の下端部から後方に突出する支持板12dを有している。この支持板12dの中央には、これを上下方向に貫通するねじ受け12eが形成されている。また、このねじ受け12eには、上方からアジャスタ21のねじ部21aが、例えば図4のA方向(時計方向)にねじ込まれることによって取り付けられている。
【0033】
アジャスタ21は、ねじ部21aと、その上端部に一体に設けられた円板状の操作ノブ21bと、ねじ部21aの下端部に取り付けられた圧接部21cとを有している。圧接部21cは、例えば硬質ゴムによって、前述した第1実施形態の圧接部14aと同様の円板状に形成されており、その上面の中央に、ねじ孔21dが形成されている。このねじ孔21dに、ねじ部21aがねじ込まれることによって圧接部21cが着脱自在に取り付けられ、それにより、支持板12dの上下に操作ノブ21bおよび圧接部21cが位置した状態になっている。
【0034】
このようなペダルユニット圧接機構20および前述した3本の脚3(図示せず)によって、支持装置22が構成されている。
【0035】
次いで、このペダルユニット圧接機構20の動作を説明する。まず、操作ノブ21bを時計方向に回転操作すると、アジャスタ21が下方に移動する。そして、圧接部21cの底面が、床面Fに当接する。そして、操作ノブ21bをさらに回転させると、圧接部21cが床面Fに圧接された圧接状態になる。一方、この圧接状態から、操作ノブ21bを反時計方向に回転操作すると、アジャスタ21が上方に移動し、圧接部21cが床面Fから離れることによって、圧接状態が解除される。
【0036】
以上のように、この支持装置22によれば、操作ノブ21bが、ペダルボックス12の後方に突出する支持板12dの上方に配置されていることによって、アジャスタ21の操作を後方からより容易に行うことができる。また、支持板12dにねじ込まれたねじ部21aに、圧接部21cがさらに着脱自在にねじ込まれているので、圧接部21cのみをペダルユニット4から容易に取り外すことができ、それにより、圧接部21cの交換やペダルユニット圧接機構20のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0037】
また、圧接部21cが硬質ゴムによって構成されていることにより、圧接部21cと床面Fとの間に作用する摩擦力がより大きくなるため、電子ピアノ1の滑動を、より確実に防止することができる。
【0038】
図5は、上述した第1実施形態の第2変形例による電子ピアノ1のペダルユニット圧接機構60を示している。なお、その他の構成部分については、上述した第1実施形態と同様であるので、同じ符号を用いるとともに、その説明は省略する。
【0039】
この変形例によれば、ペダルボックス12に、アジャスタボックス61が取り付けられている。このアジャスタボックス61は、取付ボルト62を、アジャスタボックス61を介してペダルボックス12に後方からねじ込むことによって、ペダルボックス12に着脱自在に取り付けられている。また、アジャスタボックス61の底面の中央には、ねじ受け61aが設けられており、このねじ受け61aに、アジャスタ14のねじ部14bがねじ込まれることによって、アジャスタ14が上下方向に進退自在に取り付けられている。このアジャスタ14は、前述した第1実施形態のアジャスタ14と同じ構成のものであり、その動作もまた同じである。
【0040】
このようなペダルユニット圧接機構60および前述した3本の脚3(図示せず)によって、支持装置63が構成されている。
【0041】
以上のように、この支持装置63によれば、アジャスタボックス61がペダルボックス12に対して着脱自在に取り付けられていることによって、アジャスタボックス61を、ペダルユニット4から後方に容易に取り外すことができる。さらに、アジャスタ14をアジャスタボックス61から取り外すこともでき、それにより、アジャスタ14の交換やペダルユニット圧接機構60のメンテナンスを、容易に行うことができる。
【0042】
図6は、本発明の第2実施形態を適用した電子ピアノ1のペダルユニット圧接機構30を示している。なお、その他の構成部分については、上述した第1実施形態と同様であるので、同じ符号を用いるとともに、その説明は省略する。
【0043】
このペダルユニット圧接機構30は、例えばペダルボックス12の右側面に取り付けられており、前後2つの板状のガイド板34、34(一方のみ図示)を有している。各ガイド板34は、ペダルボックス12の右側面に垂直に立設するように取り付けられており、その内面には、上下方向に延びるレール34aが形成されている。また、これらのガイド板34、34の右端部間には、軸34bが回動自在に取り付けられている。この軸34bには、その軸線方向に対して直交するように、棒状のストッパ35が一体に設けられている。また、軸34bと一方のガイド板34との間には、軸34bを図5(a)の時計方向に付勢するばね(図示せず)が設けられている。それにより、軸34bと一体のストッパ35も時計方向に付勢されている。
【0044】
ガイド板34、34の間には、スライダ37が設けられている。このスライダ37は矩形の断面を有し、上下方向に延びている。スライダ37の前面および背面には、上下方向に延びるレール溝37a、37a(一方のみ図示)が形成されており、これらのレール溝37a、37aが、上述したガイド板34、34のレール34a、34aにそれぞれ係合することによって、スライダ37は、上下方向にスライド自在になっている。
【0045】
また、スライダ37の外面には、多数の歯36が上下方向に並ぶように形成されている。各歯36は、ほぼ水平な水平面36aと、水平面の先端部から所定の角度で斜め下方に延びる傾斜面36bによって構成されている。また、多数の歯36の1つには、前述したストッパ35の一端部が、歯36側に付勢された状態で、下方から係合している。
【0046】
また、スライダ37の下端には、圧接部38が一体に連結されている。この圧接部38は、前述した第1実施形態の圧接部14aと同様に、例えばABSなどの高い強度を有する材料によって円板状に形成されており、その底面には、例えば軟質ゴムによって構成された弾性を有する接地シート38aが貼り付けられている。また、スライダ37の上端には、同じくABSなどによって構成された円板状の押圧部39が一体に連結されている。この押圧部39と2つのガイド板34、34の間には、ばね40が取り付けられており、このばね40によって、押圧部39ならびにこれと一体のスライダ37および圧接部38が、上方に付勢されている。
【0047】
このようなペダルユニット圧接機構30および前述した3本の脚3(図示せず)によって、支持装置41が構成されている。
【0048】
次いで、このペダルユニット圧接機構30の動作について説明する。まず、図6(a)に示す解除状態において、押圧部39を、例えば踏み込んで下方に押圧すると、押圧部39が、これと一体のスライダ37および圧接部38と一緒に、ばね40の付勢力に抗して下方にスライドする。その際、図示しないばねによって付勢されたストッパ35が、歯36に当接するが、歯36が、前述したような水平面36aおよび傾斜面36bで構成されていることによって、スライダ37のスライドが歯36によって妨げられることがない。そして、圧接部38の接地シート38aが床面Fに当接すると、スライダ37のスライドが停止し、接地シート38aが床面Fに押し付けられて圧縮され、圧接部38が床面Fに圧接された状態になる。次いで、押圧部39への押圧を解除すると、ストッパ35の一端部が、多数の歯36の1つと係合する。そして、この状態では、ストッパ35が時計方向に付勢されていること、および歯36が前述した構成を有していることによって、歯36からのストッパ35の外れが阻止され、それにより、圧接部38が図6(b)に示す圧接状態に保持される。
【0049】
一方、この圧接状態にあるときに、再度、押圧部39を下方に押圧しながら、ストッパ35をばねの付勢力に抗して反時計方向に回動させることにより、ストッパ35と歯36との係合が解除される。それにより、ばね40の付勢力によってスライダ37が上方にスライドし、圧接状態が解除される。
【0050】
以上のように、本実施形態の支持装置41によれば、ペダルユニット圧接機構30の押圧部39を踏み込むだけで、圧接部38を床面Fに容易に圧接させることができるとともに、圧接状態を確実に保持できる。また、ストッパ35を、係合していた歯36から外すだけで、ばね40の付勢力によって圧接状態の解除を容易に行うことができる。
【0051】
図7は、本発明の第3実施形態による電子ピアノ1のペダルユニット圧接機構50を示している。なお、その他の構成部分については、上述した第1実施形態と同様であるので、同じ符号を用いるとともに、その説明は省略する。
【0052】
このペダルユニット圧接機構50は、例えばペダルボックス12の左側面に取り付けられており、スライダ51、操作レバー52および伸縮自在のばね53などを有している。ペダルボックス12の左側面の下端部には、第2実施形態のガイド板34と同様の、レール54aを有する左右2つの板状のガイド板54、54(一方のみ図示)が取り付けられている。
【0053】
スライダ51は、ガイド板54、54の間に設けられており、矩形の断面を有し、上下方向に延びている。このスライダ51の前面および背面には、その中央部から下端部にわたって上下方向に延びるレール溝51a、51a(一方のみ図示)がそれぞれ形成されており、これらのレール溝51a、51aと、上述したガイド板54、54のレール54a、54aとの係合によって、スライダ51は、上下方向にスライド自在になっている。また、スライダ51の背面の上端部には、円柱状のガイドピン55が取り付けられている。
【0054】
スライダ51の下端には、圧接部56が一体に連結されている。この圧接部56は、前述した第1実施形態の圧接部14aと同様に、例えばABSなどの高い強度を有する材料によって、例えば円板状に形成されている。
【0055】
ペダルボックス12の背面の左端部には、その上下方向のほぼ中央に、前記操作レバー52が取り付けられている。この操作レバー52は、一端部がペダルボックス12の支点12bに回動自在に取り付けられている。この操作レバー52には、その長さ方向に沿って延びるガイド溝52aが形成されており、このガイド溝52a内に、前述したガイドピン55が移動自在に係合している。また、この操作レバー52の他端部は、その他の部分よりも、やや幅の狭い操作部52bになっている。また、ペダルボックス12の支点12bとガイドピン55の間には、ガイドピン55を介してスライダ51を操作レバー52の他端部側に付勢する伸縮自在の前記ばね53が設けられている。
【0056】
このようなペダルユニット圧接機構50および前述した3本の脚3(図示せず)によって、支持装置57が構成されている。
【0057】
次いで、このペダルユニット圧接機構50の動作について説明する。まず、図7(a)に示す解除状態において、操作レバー52の操作部52bを押し下げると、操作レバー52は、支点12bを中心として下方に回動する。また、スライダ51のガイドピン55が、操作レバー52のガイド溝52aに移動自在に係合していることによって、スライダ51は、操作レバー52の回動に伴って、支点12bとガイドピン55の間に設けられたばね53を圧縮させながら、下方にスライドする。その際、スライダ51は、ガイドピン55を介し、ばね53の反力によって、操作レバー52の他端部側に付勢される。この付勢力の上下方向の分力が、スライダ51をスライドさせる力として作用する。具体的には、操作レバー52が水平になるまでは、スライダ51を上方に付勢する力として、それ以降は、スライダ51を下方に付勢する力として作用する。そして、圧接部56が床面Fに当接すると、操作部52bを押し下げる操作を停止しても、圧接部56は、スライダ51に作用するばね53の下向きの分力によって下方に押圧され、床面Fに圧接されるとともに、図7(b)に示す圧接状態に維持される。
【0058】
一方、操作レバー52の操作部52bを、ばね53の付勢力に抗して押し上げると、上記とまったく逆の動作によって、スライダ51および圧接部56が上方にスライドすることにより、圧接状態が解除される。そして、操作レバー52が、上方に回動し、水平になる角度を超えると、スライダ51は、ばね53の上向きの付勢力によって、所定の位置まで上方にスライドし、解除状態に戻る。
【0059】
以上のように、本実施形態の支持装置57によれば、操作レバー52の操作部52bを下方に押し下げることにより、操作レバー52を下方に回動させるだけで、圧接部56を床面Fに容易に圧接させることができるとともに、圧接状態を確実に保持することができる。また、操作レバー52の操作部52bを持ち上げると、上記とまったく逆の動作によって、スライダ51が上方にスライドするので、圧接状態の解除を容易に行うことができる。
【0060】
なお、本発明の各実施形態は、グランド型の電子ピアノに適用した例であるが、これに限定されることなく、アコースティックなグランドピアノにも適用することができる。また、特に、第1実施形態は、アップライト型ピアノなど、ペダルを有するすべての鍵盤楽器に適用することができる。
【0061】
【発明の効果】
以上のように、本発明のグランド型ピアノの支持装置は、ピアノ全体として従来ほど剛性を高めることなく、ペダルの踏込み時や強打演奏時におけるピアノ本体の揺動を防止でき、製造コストを削減することができるなどの効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した支持装置を備えたグランド型電子ピアノを示す斜視図である。
【図2】図1の電子ピアノを示す正面図である。
【図3】本発明の第1実施形態によるペダルユニット圧接機構を後方から示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態の第1変形例によるペダルユニット圧接機構を後方から示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態の第2変形例によるペダルユニット圧接機構を左方から示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態によるペダルユニット圧接機構の(a)解除状態および(b)圧接状態を前方から示す図である。
【図7】本発明の第3実施形態によるペダルユニット圧接機構の(a)解除状態および(b)圧接状態を後方から示す図である。
【符号の説明】
1 電子ピアノ(グランド型ピアノ)
2 ピアノ本体
3 脚
4 ペダルユニット
12b 支点
14a 圧接部
14b ねじ部
15 ペダルユニット圧接機構
16 支持装置
20 ペダルユニット圧接機構
21a ねじ部
21c 圧接部
22 支持装置
30 ペダルユニット圧接機構
35 ストッパ
36 歯
37 スライダ
38 圧接部
40 ばね
41 支持装置
50 ペダルユニット圧接機構
51 スライダ
52 操作レバー
52a ガイド溝(溝)
53 ばね
55 ガイドピン
56 圧接部
57 支持装置
60 ペダルユニット圧接機構
63 支持装置
F 床面(設置面)
Claims (5)
- 下方に延びるペダルユニットを取り付けたピアノ本体を設置面上で支持するためのグランド型ピアノの支持装置であって、
前記ピアノ本体の下面に設けられ、前記設置面との間に上下方向に延び、前記ピアノ本体を支持する複数の脚と、
前記ペダルユニットに上下方向に移動自在に設けられ、下方への移動によって前記設置面に圧接される圧接部を有するペダルユニット圧接機構と、
を備えていることを特徴とするグランド型ピアノの支持装置。 - 前記ペダルユニット圧接機構は、前記圧接部から上方に延び、前記ペダルユニットに上下方向に進退自在にねじ込まれたねじ部をさらに有していることを特徴とする請求項1に記載のグランド型ピアノの支持装置。
- 前記圧接部は、前記ねじ部に着脱自在にねじ込まれていることを特徴とする請求項2に記載のグランド型ピアノの支持装置。
- 前記ペダルユニット圧接機構は、
前記圧接部から上方に延び、前記ペダルユニットに上下方向にスライド自在に取り付けられるとともに、上下方向に並んで形成された多数の歯を有するスライダと、
前記スライダを上方に付勢するばねと、
前記ペダルユニットに回動自在に取り付けられ、前記スライダの前記多数の歯の1つに係合することによって、前記圧接部を前記設置面に圧接した状態に保持するストッパと、
をさらに有していることを特徴とする請求項1に記載のグランド型ピアノの支持装置。 - 前記ペダルユニット圧接機構は、
前記圧接部から上方に延び、前記ペダルユニットに上下方向にスライド自在に取り付けられ、ガイドピンを有するスライダと、
一端部が前記ペダルユニットに支点を介して回動自在に取り付けられ、長さ方向に沿って延び且つ前記ガイドピンが移動自在に係合する溝を有する操作レバーと、
前記支点と前記ガイドピンとの間に設けられ、前記ガイドピンを前記操作レバーの他端部側に付勢する伸縮自在のばねと、
をさらに有していることを特徴とする請求項1に記載のグランド型ピアノの支持装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2006117976A1 (ja) * | 2005-04-28 | 2006-11-09 | Kabushiki Kaisha Kawai Gakki Seisakusho | 鍵盤楽器のペダル装置 |
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CN104637467A (zh) * | 2014-12-19 | 2015-05-20 | 苏州公爵琴业有限公司 | 一种钢琴外壳 |
CN107731203A (zh) * | 2017-11-20 | 2018-02-23 | 青岛理工大学 | 一种儿童钢琴辅助脚踏 |
-
2002
- 2002-10-31 JP JP2002318955A patent/JP2004151593A/ja not_active Withdrawn
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