JP2004151218A - 液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】液晶素子1の前側に、入射光の互いに直交する2つの直線偏光成分のうち、一方の偏光成分の光を吸収し、他方の偏光成分を透過させる吸収偏光板12を配置し、前記液晶素子1の後側に、入射光の互いに異なる2つの偏光成分のうち、一方の偏光成分の光を反射し、他方の偏光成分を透過させる偏光分離素子13を配置するとともに、前記吸収偏光板12の前側に、前記液晶素子1に向けて照明光を出射し、且つ前側及び後側から入射した光を透過させる面光源17を配置した。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、両面表示型の液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば携帯電話機等の両面表示機能をもった携帯機器に用いられる両面表示型の液晶表示装置としては、2つの液晶素子をそれぞれの表示面を反対方向に向けて背中合わせ状態に配置し、その間に、両方の液晶素子に向けて照明光を出射する面光源を配置した構成のものがある(特許文献1、2参照)。
【0003】
しかし、このように2つの液晶素子を用いるのではコスト高となるため、1つの液晶素子を用いて両面表示することが望まれている。
【0004】
1つの液晶素子を用いて両面表示する液晶表示装置としては、従来、液晶素子の画面領域を第1の画面部と第2の画面部とに分割し、前記第1の画面部により前側から観察される画像を表示し、前記第2の画面部により後側から観察される画像を表示するようにしたものが提案されている(特許文献3、4参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−90678号公報
【0006】
【特許文献2】
特開2001−290445号公報
【0007】
【特許文献3】
特開2000−193946号公報
【0008】
【特許文献4】
特開2001−305525号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、液晶素子の画面領域を第1と第2の画面部に分割した両面表示型液晶表示装置は、前記液晶素子の表示エリアが、前側の表示画面と後側の表示画面とを横に並べた大きさであるため、液晶表示装置の占有面積が前側及び後側の表示画面に比べてはるかに大きく、したがって、液晶表示装置の実装スペースが限られた携帯電話機等の携帯機器には使用できない。
【0010】
この発明は、1つの液晶素子を用いて両面表示することができ、しかも占有面積を小さくすることができるとともに、一方の面側から観察される画像と他方の面側から観察される画像をそれぞれ、面光源からの照明光を利用する表示と、外部環境の光である外光を利用する表示とにより表示することができる液晶表示装置を提供することを目的としたものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明の液晶表示装置は、対向配置された前側基板と後側基板との間に液晶層が設けられ、前記前側基板と後側基板の対向する内面の一方に少なくとも1つの電極が、他方の内面に前記少なくとも1つの電極と対向する領域によりマトリックス状に配列する複数の画素を形成する複数の電極が設けられた液晶素子と、前記液晶素子の前側に配置され、入射光の互いに直交する2つの直線偏光成分のうち、一方の偏光成分の光を吸収し、他方の偏光成分を透過させる吸収偏光板と、前記液晶素子の後側に配置され、入射光の互いに異なる2つの偏光成分のうち、一方の偏光成分の光を反射し、他方の偏光成分を透過させる偏光分離素子と、前記吸収偏光板の前側に配置され、前記液晶素子に向けて照明光を出射し、且つ前側及び後側から入射した光を透過させる面光源とを備えたことを特徴とする。
【0012】
この液晶表示装置は、前記液晶素子の前側の吸収偏光板の前側に配置された面光源からの照明光を前記吸収偏光板により直線偏光にして前記液晶素子に入射させ、その複数の画素をそれぞれ透過して前記液晶素子の後側に出射した光の互いに異なる2つの偏光成分のうち、一方の偏光成分を前記偏光分離素子により反射して前記面光源の前側に出射し、他方の偏光成分を前記偏光分離素子を透過させて後側に出射することにより、前側から観察される画像と後側から観察される画像とを表示する。
【0013】
この液晶表示装置は、前記液晶素子にその前側から入射して前記複数の画素をそれぞれ透過した光のうち、前記偏光分離素子により反射された光を前側に出射し、前記偏光分離素子を透過した光を後側に出射することにより、前側から観察される画像と後側から観察される画像とを表示するため、前記前側から観察される画像と後側から観察される画像の両方を、前記液晶素子の表示エリア全体で表示することができ、したがって、前記液晶素子の表示エリアは、前側と後側の一方の表示画面に相当する大きさでよい。
【0014】
したがって、この液晶表示装置によれば、1つの液晶素子を用いて両面表示することができるとともに、その占有面積を小さくすることができる。
【0015】
しかも、この液晶表示装置は、前記液晶素子の前側に配置された前記吸収偏光板の前側に、前記液晶素子に向けて照明光を出射し、且つ前側及び後側から入射した光を透過させる面光源を配置しているため、前記面光源の前側から入射する外光(外部環境の光)を、前記面光源を透過させて前記吸収偏光板により直線偏光にして前記液晶素子に入射させ、この液晶素子の複数の画素をそれぞれ透過して前記液晶素子の後側に出射した光のうち、前記偏光分離素子により反射された光を前記面光源の前側に出射し、前記偏光分離素子を透過した光を後側に出射するとともに、前記偏光分離素子の後側から入射する外光を、前記偏光分離素子により偏光させて前記液晶素子に入射させ、この液晶素子の複数の画素をそれぞれ透過して前記液晶素子の前側に出射した光のうち、前記吸収偏光板を透過した光を前記面光源を透過させて前側に出射することができ、したがって、前側から観察される画像を、前記面光源からの照明光を利用する反射表示と、前記面光源の前側から入射した外光を利用する反射表示及び前記偏光分離素子の後側から入射した外光を利用する透過表示とにより表示するとともに、後側から観察される画像を、前記面光源からの照明光を利用する透過表示と、前記面光源の前側から入射した外光を利用する透過表示とにより表示することができる。
【0016】
このように、この発明の液晶表示装置は、液晶素子の前側に、入射光の互いに直交する2つの直線偏光成分のうち、一方の偏光成分の光を吸収し、他方の偏光成分を透過させる吸収偏光板を配置し、前記液晶素子の後側に、入射光の互いに異なる2つの偏光成分のうち、一方の偏光成分の光を反射し、他方の偏光成分を透過させる偏光分離素子を配置するとともに、前記吸収偏光板の前側に、前記液晶素子に向けて照明光を出射し、且つ前側及び後側から入射した光を透過させる面光源を配置することにより、1つの液晶素子を用いて両面表示し、しかも占有面積を小さくするとともに、一方の面側(前側)から観察される画像と他方の面側(後側)から観察される画像をそれぞれ、前記面光源からの照明光を利用する表示と、外部環境の光である外光を利用する表示とにより表示することができるようにしたものである。
【0017】
この発明の液晶表示装置において、前記偏光分離素子は、入射光の互いに直交する2つの直線偏光成分のうち、一方の偏光成分を反射し、他方の偏光成分を透過させる反射偏光素子が好ましい。
【0018】
また、この液晶表示装置は、前記偏光分離素子の後側に、光散乱層をさらに配置した構成とするのが望ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1〜図5はこの発明の第1の実施例を示しており、図1は液晶表示装置の分解斜視図、図2は前記液晶表示装置の一部分の断面図である。
【0020】
この実施例の液晶表示装置は、図1及び図2に示したように、1つの液晶素子1と、この液晶素子1の前側に配置された偏光板12と、前記液晶素子1の後側に配置された偏光分離素子13と、前記前側の偏光板12の前側に配置された面光源17とを備えている。
【0021】
前記液晶素子1は、図2に示したように、対向配置された前側(図において上側)の透明基板2と後側(図において下側)の透明基板3との間に液晶層4が設けられ、前側基板2と後側基板3の対向する内面の一方に少なくとも1つの透明電極5が、他方の内面に前記少なくとも1つの電極5と対向する領域によりマトリックス状に配列する複数の画素Aを形成する複数の透明電極6が設けられている。
【0022】
なお、この液晶素子1は、アクティブマトリックス型のものであり、前側基板2の内面に設けられた電極5は一枚膜状の対向電極、後側基板3の内面に設けられた電極6は、行方向及び列方向にマトリックス状に配列形成された複数の画素電極である。
【0023】
前記複数の画素電極6は、これらの画素電極6にそれぞれ対応させて前記後側基板3の内面に設けられた複数のTFT(薄膜トランジスタ)7にそれぞれ接続されており、さらに前記複数のTFT7は、後側基板3の内面に設けられた図示しないゲート配線及びデータ配線に接続されている。
【0024】
また、この液晶素子1は、前記複数の画素Aにそれぞれ対応する複数の色、例えば赤、緑、青の3色のカラーフィルタ8R,8G,8Bを備えており、これらのカラーフィルタ8R,8G,8Bは、いずれか一方の基板、例えば前側基板2の内面に、各画素Aの全域にそれぞれ対応させて形成され、前記対向電極5は、前記カラーフィルタ8R,8G,8Bの上に形成されている。
【0025】
さらに、前記液晶素子1の前側基板2と後側基板3の内面にはそれぞれ、前記電極5,6を覆って配向膜9,10が設けられている。
【0026】
そして、前記前側基板2と後側基板3は、前記複数の画素Aがマトリックス状に配列した表示エリアを囲む枠状シール材11(図1参照)を介して接合されており、前記前側基板2と後側基板3の間の前記枠状シール材11により囲まれた領域に液晶層4が設けられている。
【0027】
前記液晶層4の液晶分子は、前記配向膜9,10により前後の基板2,3の近傍における配向方向を規定され、前記基板2,3間において予め定められた初期配向状態に配向している。
【0028】
前記液晶素子1の前側に配置された偏光板12は、吸収偏光板であり、互いに直交する方向に吸収軸(図示せず)と透過軸12aを有し、入射光の互いに直交する2つの直線偏光のうち、前記吸収軸に平行な振動面をもった一方の偏光成分を吸収し、前記透過軸12aに平行な振動面をもった他方の偏光成分を透過させる。
【0029】
また、前記液晶素子1の後側に配置された偏光分離素子13は、入射光の互いに異なる2つの偏光成分のうち、一方の偏光成分の光を反射し、他方の偏光成分を透過させる偏光分離特性をもっている。
【0030】
この偏光分離素子13は、例えば、入射光の互いに直交する2つの直線偏光成分のうち、一方の偏光成分を反射し、他方の偏光成分を透過させる反射偏光素子であり、この実施例では、互いに直交する方向に透過軸13aと反射軸13bを有し、入射光の互いに直交する2つの直線偏光成分のうち、前記反射軸13bに平行な振動面をもった一方の偏光成分を反射し、前記透過軸13aに平行な振動面をもった他方の偏光成分を透過させる反射偏光板を用いている。以下、前記偏光分離素子13を反射偏光板と言う。
【0031】
なお、この実施例の液晶表示装置は、前側から見た表示がノーマリーホワイトモードのTN型液晶表示装置であり、前記液晶素子1の液晶層4の液晶分子は、前後の基板2,3間において実質的に90度のツイスト角でツイスト配向しており、前側の吸収偏光板12は、その透過軸12aを前記液晶素子1の前側基板の近傍における液晶分子の配向方向と実質的に直交させるか或いは実質的に平行にして配置され、後側の反射偏光板13は、その透過軸13aを前記吸収偏光板12の透過軸12aと実質的に平行にし、反射軸13bを前記吸収偏光板12の透過軸12aと実質的に直交させて配置されている。
【0032】
さらに、この実施例では、前記液晶素子1とその前側の吸収偏光板12との間に、表示のコントラスト及び視野角を向上させるための位相差板14を配置するとともに、前記液晶素子1と前記位相差板14との間に光散乱層(以下、散乱層と言う)15を配置している。
【0033】
一方、前記吸収偏光板12の前側に配置された面光源17は、前記液晶素子1の複数の画素Aが配列する表示エリアの全域に向けて照明光を出射し、且つ前側及び後側から入射した光を透過させるものである。
【0034】
図3及び図4は前記面光源17の平面図及び側面図、図5は前記面光源17の導光部材と位相差板と導光板からの出射光の直線偏光成分を示す模式図である。
【0035】
この実施例の面光源17は、図3及び図4に示したように、導光板18と、この導光板18の側方に配置された導光部材23と、前記導光板18と導光部材23との間に配置された位相差板28と、前記導光部材23の側方に配置された1つの発光素子30とを備えている。
【0036】
前記導光板18は、前記液晶素子1の表示エリアの全域に対向する面積を有するアクリル系樹脂板等の透明板からなっており、その一つの端面が光が入射される入射端面19を形成し、前記透明板の2つの板面の一方が前記透明板に導かれた光を出射する平坦な出射面20を、他方の板面が前記入射端面19から入射した光を内面反射して前記出射面20から出射させる反射面21を形成している。
【0037】
この導光板18の反射面21は、前記導光板18の他方の板面の全域に密に並べて互いに平行に形成され、前記導光板18の入射端面19から入射した光を前記出射面20の法線に対する角度が小さくなる方向に向けて内面反射する複数のプリズム部22からなっている。
【0038】
前記複数のプリズム部22は、前記導光板18の入射端面19と平行で、且つ前記導光板18の全幅にわたる長さを有する断面形状が台形状の細長プリズム部であり、これらのプリズム部22の両側面のうち、前記入射端面19側の側面は、出射面20に対して略垂直な急角度面に形成され、他方の側面は、前記反射面21の外面側に向かって入射端面19の方向に前記出射面20に対し30〜60度(好ましくは略45度)の角度で傾いた傾斜面に形成されており、これらの側面(急角度面と傾斜面)の間の頂面部は、出射面20と平行な平坦面に形成されている。
【0039】
なお、図3及び図4では前記複数のプリズム部22を大きく誇張して示しているが、これらのプリズム部22は、前記液晶素子1の画素ピッチよりも小さいピッチで形成されている。
【0040】
すなわち、前記導光板18は、その入射端面19から入射した光を導いて出射面20から出射するものであり、この導光板18に前記入射端面19から入射した光は、図3に矢線で示したように、導光板18内を直進するか、あるいは前記出射面20で外気(空気)との界面での全反射により内面反射されて前記反射面21の複数の細長プリズム部22のいずれかの傾斜面に入射し、その傾斜面で外気との界面での全反射により出射面20の法線に対する角度が小さくなる方向に向けて内面反射され、前記出射面20から出射する。
【0041】
一方、前記導光板18の側方に配置された導光部材23は、前記導光板18の入射端面19に対応する長さを有する角棒状の細長透明材(例えばアクリル系樹脂材)からなっており、その一つの側面が光を出射する細長出射面25を形成し、前記細長透明材の前記細長出射面25と交差する2つの端面の一方が光が入射される入射端面24を、前記細長出射面25と対峙する他の側面が前記入射端面24から入射した光を内面反射して前記細長出射面25から出射させる反射面26を形成している。
【0042】
この導光部材23の他側面の反射面26は、前記他側面の全域に密に並べて互いに平行に形成され、前記導光部材23の入射端面24から入射した光を前記導光部材23の一側面の細長出射面25の法線に対する角度が小さくなる方向に向けて内面反射する複数のプリズム部27からなっている。
【0043】
前記複数のプリズム部27は、前記導光部材23の入射端面24と平行で、且つ前記導光部材23の他側面の全幅にわたる長さを有する断面形状が三角形状の細長プリズム部であり、これらのプリズム部27の両側面のうち、前記入射端面24側の側面は、前記細長出射面25に対して略垂直な急角度面に形成され、他方の側面は、前記反射面26の外面側に向かって入射端面24の方向に前記細長出射面25に対し30〜60度(好ましくは略45度)の角度で傾いた傾斜面に形成されている。
【0044】
なお、図3では前記複数のプリズム部27を大きく誇張して示しているが、これらのプリズム部27は、前記導光板18の反射面21の細長プリズム部22のピッチと同程度のピッチで形成されている。
【0045】
すなわち、前記導光部材23は、その入射端面24から入射した光を導いて一側面の細長出射面25から出射するものであり、この導光部材23に前記入射端面24から入射した光は、図4に矢線で示したように、導光部材23内を直進するか、あるいは前記細長出射面25で外気との界面での全反射により内面反射されて前記反射面26の複数の細長プリズム部27のいずれかの傾斜面に入射し、その傾斜面で外気との界面での全反射により前記細長出射面25の法線に対する角度が小さくなる方向に向けて内面反射され、前記細長出射面25の全域から均一な強度分布で出射する。
【0046】
そして、この導光部材23は、その細長出射面25を前記導光板18の入射端面19に対向させるとともに、前記導光部材23の細長出射面25と前記導光板18の入射端面19とを互いに平行にして配置されている。
【0047】
なお、この実施例では、前記導光部材23の反射面26の後側に、前記反射面26を透過して導光部材23の後側に漏れた光を前記導光部材23に戻すためのリフレクタ29を配置している。
【0048】
また、前記導光板18と導光部材23との間に配置された位相差板28は、透過光の常光と異常光との間に1/2波長の位相差を与えるλ/2位相差板であり、前記導光部材23の細長出射面25から出射した光の直線偏光成分の偏光面を、実質的に90度回転させて前記導光板18の入射端面19に入射させる。
【0049】
このλ/2位相差板28は、前記導光板18の入射端面19及び前記導光部材23の細長出射面25の全域に対応する細長形状を有しており、前記導光板18の入射端面19と前記導光部材23の細長出射面25との間に、一方の面を前記導光板18の入射端面19に透明な粘着剤により貼付けられ、他方の面を前記導光部材23の細長出射面25に透明な粘着剤により貼付けられて配置されている。
【0050】
また、前記導光部材23の入射端面24に対向させて配置された発光素子30は、LED(発光ダイオード)等からなる白色光を出射する固体発光素子であり、例えば、赤色LEDと緑色LEDと青色LEDとを透明樹脂によりモールドし、これらのLEDが発する赤、緑、青の光を混色させた白色光を出射するものである。
【0051】
この面光源17は、前記固体発光素子30からの出射光を前記導光部材23にその入射端面24から入射させ、その光を前記導光部材23の細長出射面25とは反対側の反射面26により内面反射して前記導光部材23の細長出射面25の全域から均一な強度分布で前記導光板18の入射端面19に向けて出射させることにより、前記導光板18にその入射端面19の全域から均一な強度分布の光を入射させ、その光を前記導光板18の反射面21により内面反射して前記導光板18の出射面20の全域から出射させるようにしたものであり、この面光源17によれば、少ない発光素子数で、前記導光板18の出射面20の全域から均一な強度分布の光を出射することができる。
【0052】
しかも、この面光源17は、前記導光部材23の細長出射面25から出射した光を、前記導光板18の入射端面19と前記導光部材23の細長出射面25との間に配置されたλ/2位相差板28により、その光の直線偏光成分の偏光面を実質的に90度回転させて前記導光板18の入射端面19に入射させるようにしているため、前記導光部材23にその入射端面24から入射してこの導光部材23の他側面の反射面26により内面反射され、前記導光部材23の細長出射面25から出射して前記導光板18にその入射端面19から入射した光のうちの高強度の直線偏光成分を、前記導光板18の反射面21により高い反射強度で内面反射させ、この導光板18の出射面20から充分な強度の光を出射させることができる。
【0053】
すなわち、前記導光板18は、上述したように、その入射端面19から入射し、導光板18内を直進するか、あるいは出射面20により内面反射されて反射面21に入射した光を、この反射面21により内面反射して出射面20から出射させるが、前記反射面21による反射強度は、その光に含まれる直線偏光成分によって異なるため、前記反射面26への入射光線とその反射光線とを含む面に垂直な方向に振動する直線偏光成分(以下、S波と言う)が、前記面内で振動する直線偏光成分(以下、P波と言う)よりも高い強度で内面反射される。
【0054】
また、前記導光部材23は、上述したように、その入射端面24から入射し、導光部材23内を直進するか、あるいは一側面の細長出射面25により内面反射されて他側面の反射面26に入射した光を、この反射面26により内面反射して前記細長出射面25から出射させるが、前記反射面26による反射強度もその光に含まれる直線偏光成分によって異なり、前記反射面26への入射光線とその反射光線とを含む面に垂直な方向に振動する直線偏光成分のS波が、前記面内で振動する直線偏光成分のP波よりも高い強度で内面反射される。
【0055】
そのため、前記導光部材23の細長出射面25から出射する光は、前記P波の偏光成分よりもS波の偏光成分の強度が高い。
【0056】
そして、前記導光板18の反射面21と前記導光部材23の反射面26とは互いに90度で交差する位置に配置されているため、前記導光部材23の細長出射面25から出射した光をそのまま前記導光板18に入射させた場合は、その光のうち、前記導光部材23の反射面26で反射した反射強度の低いP波が、前記導光板18の反射面21に対して反射強度が高いS波として入射し、前記導光部材23の反射面26で反射した反射強度の高いS波が、前記導光板18の反射面21に対して反射強度が低いP波として入射するため、前記導光板18の出射面20から出射する光の強度が低い。
【0057】
それに対し、前記面光源17では、前記導光板18の入射端面19と前記導光部材23の細長出射面25との間にλ/2位相差板28を配置しているため、図5に示したように、前記導光部材23の細長出射面25から出射したS波S1及びP波P1が前記λ/2位相差板28により偏光面を90度回転されて前記導光板18にその入射端面19から入射する。
【0058】
そのため、前記導光部材23の細長出射面25から出射した光のうち、強度の高いS波S1が、前記導光板18の反射面21に、この反射面21による反射強度が高いS波S2となって入射し、強度の低いP波は、前記導光板18の反射面21に、この反射面21による反射強度が低いP波となって入射する。
【0059】
したがって、この面光源17によれば、前記導光部材23の細長出射面25から出射した光の強度の高い偏光成分の光を、前記導光板18の反射面21により、高い反射強度で内面反射させることができ、そのために、前記導光板18の出射面20から充分な強度の光を出射させることができる。
【0060】
このように、前記面光源17は、透明板の一端面が光が入射される入射端面19を形成し、前記透明板の2つの板面の一方が前記透明板内を導かれた光を出射する出射面20を、他方の板面が前記入射端面19から入射した光を内面反射して前記出射面20から出射させる反射面21を形成する導光板と、細長透明材の一側面が光を出射する細長出射面25を形成し、前記細長透明材の前記細長出射面25と交差する2つの端面の一方が光が入射される入射端面24を、前記細長出射面25と対峙する他側面が前記入射端面24から入射した光を内面反射して前記細長出射面25から出射させる反射面26を形成してなり、前記細長出射面25を前記導光板18の入射端面19に対向させて配置された導光部材23と、前記導光板18の入射端面19と前記導光部材23の細長出射面25との間に配置され、前記導光部材23の細長出射面25から出射した光の直線偏光成分の偏光面を実質的に90度回転させて前記導光板18の入射端面19に入射させる位相差板28と、前記導光部材23の入射端面24に対向させて配置された固体発光素子30とを備えたものであるため、少ない発光素子数で、導光板18の出射面20の全域から均一な強度分布でしかも充分な強度の光を出射することができる。
【0061】
この実施例の面光源17は、発光素子として、LED等からなる1つの固体発光素子30を備えたものであるため、コストを低減するとともに、消費電極も少なくすることができる。
【0062】
また、前記固体発光素子30は、その駆動電圧を制御することにより発光強度を変化させることができるため、前記導光板18の出射面20から出射する光の強度を任意に調整することができる。
【0063】
しかも、前記面光源17は、前記導光部材23の他側面の反射面26を、前記導光部材23の入射端面24から入射した光を前記導光部材23の細長出射面25の法線に対する角度が小さくなる方向に向けて内面反射する複数のプリズム部27により形成しているため、この導光部材23の細長出射面25から出射した光を、前記導光板18にその入射端面19に垂直な方向の付近から入射させ、その光を前記導光板18の全域に均等に行き渡らせて、前記導光板18の出射面20の全域から、より強度分布が均一な光を出射することができる。
【0064】
さらに、前記面光源17は、前記導光板18の後面の反射面21を、前記導光板18の入射端面19から入射した光を前記導光板18の出射面20の法線に対する角度が小さくなる方向に向けて内面反射する複数のプリズム部22により形成しているため、前記導光板18の出射面20から、正面輝度(導光板18の出射面20の法線付近の方向に出射する光の輝度)の高い光を出射することができる。
【0065】
前記面光源17は、その導光板18の出射面20を前記液晶素子1の前側に配置された吸収偏光板12の前面に対向させるとともに、前記導光板18の出射面20から出射する光のうち、強度の高いS波S2の偏光面に平行な方向、つまり導光板18の反射面21の複数の細長プリズム部22の長さ方向を、前記吸収偏光板12の透過軸12aと実質的に平行にして配置されている。
【0066】
この液晶表示装置は、液晶素子1の前側の吸収偏光板12の前側に配置された面光源17からの照明光を前記吸収偏光板12により直線偏光にして前記液晶素子1に入射させ、その複数の画素Aをそれぞれ透過して前記液晶素子1の後側に出射した光の互いに異なる2つの直線偏光成分のうち、一方の偏光成分を前記反射偏光板13により反射して前記面光源17の前側に出射し、他方の偏光成分を前記反射偏光板13を透過させて後側に出射することにより、前側から観察される画像と後側から観察される画像とを表示する。
【0067】
すなわち、前記面光源17の導光板18の出射面20から出射した光は、図2に矢線で示したように、前記吸収偏光板12によりその透過軸12aに平行な直線偏光とされ、前記位相差板14を透過し、さらに散乱層15により散乱されて液晶素子1にその前側から入射する。
【0068】
なお、前記面光源17の導光板18の出射面20から出射する光は、前記導光板18の反射面21の複数の細長プリズム部22の長さ方向に平行な偏光面をもったS波S2の偏光強度が高く、それと直交するP波P2の偏光強度が弱い光であるが、この液晶表示装置では、前記面光源17を、前記導光板18の出射面20から出射する光のうち、強度の高いS波S2の偏光面に平行な方向を前記液晶素子1の前側の吸収偏光板12の透過軸12aと実質的に平行にして配置しているため、前記面光源17の導光板18の出射面20から出射した光の強度の高いS波S2を、前記吸収偏光板12を透過させて液晶素子1に入射させることができる。
【0069】
前記液晶素子1にその前側から入射した光は、この液晶素子1の各画素Aにそれぞれ対応するカラーフィルタ8R,8G,8Bにより着色されて液晶層4に入射し、この液晶層4を透過する間に各画素Aの電極5,6間に印加される電界により変化する液晶分子の配向状態に応じた複屈折作用を受けて液晶素子1の後側に出射する。
【0070】
前記液晶素子1の後側に出射した光は、前記液晶素子1の後側に配置された反射偏光板13に入射し、その光のうち、前記反射偏光板13の反射軸13bに平行な振動面をもった直線偏光成分がこの反射偏光板13により反射され、前記反射偏光板13の透過軸13aに平行な振動面をもった直線偏光成分がこの反射偏光板13を透過する。
【0071】
この実施例の液晶表示装置は、前側から見た表示がノーマリーホワイトモードのTN型液晶表示装置であり、上述したように、前記反射偏光板13の透過軸13aが前記吸収偏光板12の透過軸12aと実質的に平行、反射軸13bが前記吸収偏光板12の透過軸12aと実質的に直交しているため、前記液晶素子1の複数の画素Aのうち、電極5,6間に電界が印加されない無電界画素(液晶分子が初期の配向状態にある画素)を液晶層4により偏光面を実質的に90度旋光されて透過した光が前記反射偏光板13により反射され、前記電極5,6間に液晶分子が基板2,3面に対して実質的に垂直に立ち上がり配向する電界が印加された電界印加画素を偏光状態を変えずに透過した光が前記反射偏光板13を透過する。
【0072】
そして、反射偏光板13により反射された光は、前記液晶素子1を再び透過して前記散乱層15により散乱され、前記位相差板14と吸収偏光板12と前記面光源17の導光板18とを透過してその前側に出射し、また、前記反射偏光板13を透過した光は、この反射偏光板13の後側に出射する。
【0073】
そのため、前記面光源17の前側から、前記液晶素子1の無電界画素に対応する部分が明表示(赤、緑、青の着色表示)になり、電界印加画素に対応する部分が黒の暗表示になった画像が観察され、反射偏光板13の後側から、前記液晶素子1の無電界画素に対応する部分が暗表示になり、電界印加画素に対応する部分が明表示になった画像が観察される。
【0074】
この液晶表示装置は、前記液晶素子1にその前側から入射して前記複数の画素Aをそれぞれ透過した光のうち、前記反射偏光板13により反射された光を前側に出射し、前記反射偏光板13を透過した光を後側に出射することにより、前側から観察される画像と後側から観察される画像とを表示するため、前記前側から観察される画像と後側から観察される画像の両方を、前記液晶素子1の表示エリア全体で表示することができ、したがって、前記液晶素子1の表示エリアは、前側と後側の一方の表示画面に相当する大きさでよい。
【0075】
したがって、この液晶表示装置によれば、1つの液晶素子1を用いて両面表示することができるとともに、その占有面積を小さくすることができる。
【0076】
また、この液晶表示装置は、上述したように導光板18の出射面20の全域から均一な強度分布でしかも充分な強度の光を出射する面光源17を、その導光板18の出射面20から出射する光のうち、強度の高いS波S2の振動面に平行な方向を前記吸収偏光板12の透過軸12aと実質的に平行にして配置しているため、前記面光源17の導光板18の出射面20から出射した光の強度の高いS波S2を、前記吸収偏光板12を透過させて液晶素子1に入射させ、前側から観察される画像と後側から観察される画像の両方を、明るく、しかも輝度むらの無い高品質の画像とすることができる。
【0077】
しかも、この液晶表示装置は、前記液晶素子1の前側に配置された吸収偏光板12の前側に、前記液晶素子1の表示エリアの全域に向けて照明光を出射し、且つ前側及び後側から入射した光を透過させる面光源17を配置しているため、図2に破矢線で示したように、前記面光源17の前側から入射する外光(外部環境の光)を、前記面光源17を透過させて前記吸収偏光板12により直線偏光にして前記液晶素子1に入射させ、この液晶素子1の複数の画素Aをそれぞれ透過して前記液晶素子1の後側に出射した光のうち、前記反射偏光板13により反射された光を前記面光源17の前側に出射し、前記反射偏光板13を透過した光を後側に出射するとともに、前記反射偏光板13の後側から入射する外光を、前記反射偏光板13により偏光させて、つまり前記反射偏光板13の透過軸13aに平行な直線偏光にして前記液晶素子1に入射させ、この液晶素子1の複数の画素Aをそれぞれ透過して前記液晶素子1の前側に出射した光のうち、前記吸収偏光板12を透過した光を前記面光源17を透過させて前側に出射することができる。
【0078】
したがって、この液晶表示装置によれば、前側から観察される画像を、前記面光源17からの照明光を利用する反射表示と、前記面光源17の前側から入射した外光を利用する反射表示及び前記反射偏光板13の後側から入射した外光を利用する透過表示とにより表示するとともに、後側から観察される画像を、前記面光源17からの照明光を利用する透過表示と、前記面光源17の前側から入射した外光を利用する透過表示とにより表示することができる。
【0079】
また、この液晶表示装置によれば、前記反射偏光板13の後側から入射した外光のうち、反射偏光板13の反射軸13bに平行な振動面をもった偏光成分が図2に破矢線で示したように後側に反射され、その反射光により後側の画面全体の背景が鏡面のように見えるため、その鏡面背景中に、前側から入射し、前記反射偏光板13を透過した光により後側から観察される画像を表示することができる。
【0080】
なお、前記外光を利用する表示の場合、前側から観察される画像は、前記前側と後側の両方から外光が入射する環境下では、前側から入射した外光の反射と、後側から入射した外光の透過との両方により表示され、後側からは外光が入射しない環境下では、前側から入射した外光の反射により表示される。
【0081】
また、前記外光を利用する表示の場合、入射する外光の強度が不足して充分な明るさの表示が得られないときは、前記面光源17を補助光源として利用し、この面光源17から外光の強度の不足を補う強度の照明光を出射させることにより、充分な明るさの表示を得ることができる。
【0082】
このように、前記液晶表示装置は、液晶素子1の前側に、入射光の互いに直交する2つの直線偏光成分のうち、一方の偏光成分の光を吸収し、他方の偏光成分を透過させる吸収偏光板12を配置し、前記液晶素子1の後側に、入射光の互いに異なる2つの偏光成分のうち、一方の偏光成分の光を反射し、他方の偏光成分を透過させる偏光分離素子13を配置するとともに、前記吸収偏光板12の前側に、前記液晶素子1の表示エリアの全域に向けて照明光を出射し、且つ前側及び後側から入射した光を透過させる面光源17を配置したものであるため、1つの液晶素子1を用いて両面表示し、しかも占有面積を小さくするとともに、一方の面側(前側)から観察される画像と他方の面側(後側)から観察される画像をそれぞれ、前記面光源17からの照明光を利用する表示と、外部環境の光である外光を利用する表示とにより表示することができる。
【0083】
しかも、この実施例では、前記偏光分離素子13を、互いに直交する方向に透過軸13aと反射軸13bを有し、入射光の互いに直交する2つの直線偏光成分のうち、前記反射軸13bに平行な振動面をもった一方の偏光成分を反射し、前記透過軸13aに平行な振動面をもった他方の偏光成分を透過させる反射偏光板としているため、前記液晶素子1にその前側から入射して複数の画素Aを透過した光の互いに直交する2つの直線偏光成分のうち、一方の偏光成分を前記反射偏光板13により反射して前側に出射し、他方の偏光成分を前記反射偏光板13を透過させて後側に出射することができる。
【0084】
さらに、前記液晶表示装置は、前記液晶素子1とその前側の吸収偏光板12との間に表示のコントラスト及び視野角を向上させるための位相差板14と散乱層15とを配置しているため、前側と後側とにそれぞれ前記散乱層15により散乱されて輝度分布が均一になった光を出射させることができ、したがって、前側から観察される画像と後側から観察される画像の両方を、コントラスト及び視野角が充分で、しかも輝度むらの無い高品質の画像とすることができる。
【0085】
なお、上記実施例では、液晶素子1と位相差板14との間に散乱層15を配置しているが、前記散乱層15は、前記吸収偏光板12と位相差板14との間に配置してもよい。
【0086】
図6はこの発明の第2の実施例を示す液晶表示装置の一部分の断面図であり、この実施例の液晶表示装置は、液晶素子1の後側に配置された反射偏光板13の後側に、光散乱層(以下、散乱層と言う)16を配置したものであり、他の構成は上述した第1の実施例の液晶表示装置と同じである。
【0087】
すなわち、この液晶表示装置は、液晶素子1の後側から入射した外光を前記散乱層16により散乱させて前記反射偏光板13に入射させるとともに、前記反射偏光板13により反射されて後側に戻る光(反射偏光板13の反射軸13bに平行な振動面をもった偏光成分)と、前記液晶素子1の前側から入射して後側に出射する光とを、前記散乱層16によりさらに散乱させるようにしたものである。
【0088】
この液晶表示装置によれば、後側から入射し、前記反射偏光板13により反射された反射光による後側の画面の背景を、上述した第1の実施例における鏡面背景から前記反射光の散乱により白色の背景にすることができるとともに、前記反射光の散乱により後側から観察される画像の暗表示レベルの浮き上がりを抑制し、後側から観察される画像のコントラストを良くすることができる。
【0089】
なお、上記第1及び第2の実施例では、液晶素子1の後側に、偏光分離素子として、反射偏光板13を設けているが、前記液晶素子1の後側に配置する偏光分離素子は、入射光の互いに異なる2つの偏光成分のうち、一方の偏光成分を反射し、他方の偏光成分を透過させる偏光分離特性を有するものであれば、例えば、入射光の右回りと左回りの2つの円偏光成分のうち、一方の円偏光成分を反射し、他方の円偏光成分を透過させる円偏光分離板(例えばコレステリック液晶フィルム)を挟んで、入射する直線偏光を円偏光にして前記円偏光分離板に入射させ、前記円偏光分離板から出射した円偏光を直線偏光にして出射する一対の位相差板(λ/4板)を積層してなり、入射光の互いに直交する2つの直線偏光成分のうち、一方の偏光成分を反射し、他方の偏光成分を透過させる反射偏光素子でもよい。
【0090】
また、上記実施例の液晶表示装置はTN型のものであるが、TN型に限らず、STN(スーパーツイステッドネマティック)型、非ツイストのホモジニアス配向型の液晶表示装置や、強誘電性または反強誘電性液晶素子を用いた液晶表示装置でもよく、さらに液晶素子1は、アクティブマトリックス型に限らず、単純マトリックス型のものでもよい。
【0091】
また、上記実施例の液晶表示装置の面光源17は、導光部材23の他側面の反射面26を、前記導光部材23の入射端面24から入射した光を前記導光部材23の一側面の細長出射面25の法線に対する角度が小さくなる方向に向けて内面反射する複数のプリズム部27により形成したものであるが、前記導光部材23の他側面の反射面は、例えば、導光部材23の入射端面24側から他端側に向かって前記細長出射面25に近くなる方向に傾いた連続した傾斜面としてもよい。
【0092】
また、上記実施例の面光源17は、前記導光板18の反射面21を、前記導光板18の入射端面19から入射した光を前記導光板18の出射面20の法線に対する角度が小さくなる方向に向けて内面反射する複数のプリズム部22により形成したものであるが、前記導光板18の反射面21は、例えば、導光板18の入射端面19側から他端側に向かって出射面20に近くなる方向に傾いた連続した傾斜面としてもよい。
【0093】
さらに、上記実施例の面光源17は、前記導光部材23の入射端面24に対向させて1つの固体発光素子30を配置したものであるが、前記導光部材23の入射端面24の面積が前記固体発光素子30よりも大きい場合は、前記導光部材23の入射端面24に対向させて複数の固体発光素子30を配置してもよい。
【0094】
また、上記実施例の面光源17は、導光板18の一端面を入射端面19に形成し、その入射端面19に対向させて一端面が入射端面24に形成された導光部材23を配置するとともに、この導光部材23の入射端面24に対向させて固体発光素子30を配置したものであるが、前記導光部材23の両端面をそれぞれ入射端面24に形成し、その両方の入射端面24にそれぞれ対向させて固体発光素子30を配置してもよく、また、前記導光板18の両端面をそれぞれ入射端面19に形成し、その両方の入射端面19にそれぞれ対向させてλ/2位相差板28と導光部材23とを配置するとともに、これらの導光部材23の入射端面24にそれぞれ対向させて固体発光素子30を配置してもよい。
【0095】
さらに、前記液晶素子1の前側に配置する面光源は、前記液晶素子1に向けて照明光を出射し、且つ前側及び後側から入射した光を透過させるものであれば、例えば前記導光部材23を省略し、前記導光板18の入射端面19に対向させて直管状の冷陰極管等からなる発光素子を配置したものでもよい。
【0096】
前記液晶表示装置は、両面表示型の携帯機器に使用される。なお、前記液晶表示装置は、上述したように、後側から入射し、前記反射偏光板13により反射された反射光により、後側の画面の背景が、第1の実施例のような鏡面または第2の実施例のような白色背景になり、その背景中に、前側から入射し、前記反射偏光板13を透過した光により後側から観察される画像が表示されるため、表示画像のコントラストは、前側から観察される画像の方が高い。
【0097】
したがって、前記液晶表示装置は、その前面、つまり面光源17の導光板18の前面をメイン表示面とし、後面、つまり液晶素子1の後側に配置された偏光分離素子(上記実施例では反射偏光板)13の後面をサブ表示面として使用するのが好ましい。
【0098】
図7〜図10はそれぞれ前記液晶表示装置を実装した両面表示型携帯機器の斜視図である。
【0099】
図7に示した携帯機器は、折りたたみ型携帯電話機40であり、上面にキーボード42を有する本体部41と、互いに逆向きの2つの外面にそれぞれ表示部44a,44bを有し、前記本体部41に対して回動開閉される蓋部43とからなっている。
【0100】
この携帯電話機40は、図7(a)のように蓋部43が開かれた状態で、前記蓋部43の内面(蓋部43を開いたときに電話機の使用者に向く面)のメイン表示部44aに、送信先データや送受信メール等のメイン情報を表示し、図7(b)のように蓋部43が閉じられた状態で、前記蓋部43の外面のサブ表示部44bに、時計や発信元データ等のサブ情報を表示するものであり、両面の表示部44a,44bは、前記蓋部43の内面と外面とにそれぞれ表示窓45a,45bを設け、前記蓋部43の内部に、上記液晶表示装置を、その前面(メイン表示面)を蓋部内面の表示窓45aに対向させ、後面(サブ表示面)を蓋部外面の表示窓45bに対向させて実装することにより構成されている。
【0101】
なお、この携帯電話機40は、前記液晶表示装置の液晶素子1を、前記蓋部43が開かれたときと、閉じられたときとで、左右を反転させた画像を表示するように駆動する表示駆動手段を備えており、したがって、前記蓋部43の内面のメイン表示部44aと外面のサブ表示部44bとにそれぞれ、左右反転の無い正しい画像を表示することができる。
【0102】
図8に示した携帯機器は、薄型デジタルカメラ50であり、撮像レンズ52及びファインダ53等が設けられたカメラ本体51の互いに逆向きの2つの外面、つまり、図8(a)に示した後面(撮像者側の面)と、図8(b)に示した前面(被写体側の面)の互いに背中合わせ対応する箇所にそれぞれ表示部44a,44bを有している。
【0103】
このデジタルカメラ50は、撮像中の画像や撮像済みの記憶画像を、後面のメイン表示部54aと前面のサブ表示部54bとに表示するものであり、両面の表示部54a,54bは、前記カメラ本体51の後面と前面とにそれぞれ表示窓55a,55bを設け、前記カメラ本体51の内部に、上記液晶表示装置を、その前面(メイン表示面)を前記カメラ本体51の後面の表示窓55aに対向させ、後面(サブ表示面)を前記カメラ本体51の前面の表示窓55bに対向させて実装することにより構成されている。
【0104】
なお、このデジタルカメラ50は、撮像中の画像や撮像済みの記憶画像を、メイン表示部54aとサブ表示部54bのいずれか一方を選択して表示することも、また、前記メイン表示部54aとサブ表示部54bの両方に同時に表示することもできるものであり、前記メイン表示部54aとサブ表示部54bのいずれか一方を選択して表示する場合は、前記液晶表示装置の液晶素子1を、メイン表示部54aに表示するときとサブ表示部54bに表示するときとで左右を反転させた画像を表示するように駆動することにより、いずれの表示部54a,54bにも左右反転の無い正しい画像を表示し、また、メイン表示部54aとサブ表示部54bの両方に同時に表示するときは、両方の54a,54bの一方、例えばサブ表示部54bに、メイン表示部54aの表示画像が左右反転した画像を表示することができる。
【0105】
図9に示した携帯機器は、ノート型パソコン60であり、上面にキーボード62を有する本体部61と、互いに逆向きの2つの外面にそれぞれ表示部64a,64bを有し、前記本体部61に対して回動開閉される蓋部63とからなっている。
【0106】
このノート型パソコン60は、図9(a)のように蓋部63が開かれた状態で、前記蓋部63の内面(蓋部63を開いたときにパソコンの使用者に向く面)のメイン表示部64aにメイン情報を表示し、図9(b)のように蓋部63が閉じられた状態で、前記蓋部63の外面のサブ表示部64bにサブ情報を表示するものであり、両面の表示部64a,64bは、前記蓋部63の内面と外面とにそれぞれ表示窓65a,65bを設け、前記蓋部63の内部に、上記液晶表示装置を、その前面(メイン表示面)を蓋部内面の表示窓65aに対向させ、後面(サブ表示面)を蓋部外面の表示窓65bに対向させて実装することにより構成されている。
【0107】
このノート型パソコン60は、蓋部63を閉じた状態でも、その外面のサブ表示部64bの一部に時計やイラストを部分的に表示したり、前記サブ表示部64bの全体にテレビジョン画像を表示したりすることができるようにしたものであり、前記液晶表示装置の液晶素子1を、前記蓋部63が開かれたときと閉じられたときとで左右を反転させた画像を表示するように駆動することにより、前記蓋部63の内面のメイン表示部64aと外面のサブ表示部64bとにそれぞれ、左右反転の無い正しい画像を表示することができる。
【0108】
なお、このノート型パソコン60は、前記蓋部63の外面のサブ表示部64bに、前記液晶表示装置の後面に重ねて透明なタッチ入力パネルを配置した構成としてもよく、このようにすることにより、蓋部63を閉じた状態でも、前記タッチ入力パネルから入力し、前記サブ表示部64bに情報を表示させて使用することができる。
【0109】
図10に示した携帯機器は、ビデオカメラ70であり、撮像レンズ72及びファインダ73等が設けられ、一側面にモニタ格納部74が形成されたカメラ本体71と、互いに逆向きの2つの外面にそれぞれ表示部76a,76bを有し、前記カメラ本体71のモニタ格納部74から引き起して使用されるモニタ部75とからなっている。
【0110】
このビデオカメラ70は、撮像中の画像や撮像済みの記憶画像を、図10(b)に示したモニタ部後面のメイン表示部76aと、図10(a)に示したモニタ部前面のサブ表示部76bとに表示するものであり、前記モニタ部75の両面の表示部76a,76bは、前記モニタ部75の後面と前面とにそれぞれ表示窓77a,77bを設け、前記モニタ部75の内部に、上記液晶表示装置を、その前面(メイン表示面)を前記モニタ部75の後面の表示窓77aに対向させ、後面(サブ表示面)を前記モニタ部75の前面の表示窓77bに対向させて実装することにより構成されている。
【0111】
このビデオカメラ70は、撮像中の画像や撮像済みの記憶画像を、前記モニタ部75の両面のメイン表示部76aとサブ表示部76bのいずれか一方を選択して表示することも、また、前記メイン表示部76aとサブ表示部76bの両方に同時に表示することもできるものであり、前記メイン表示部76aとサブ表示部76bのいずれか一方を選択して表示する場合は、前記液晶表示装置の液晶素子1を、メイン表示部76aに表示するときとサブ表示部76bに表示するときとで左右を反転させた画像を表示するように駆動することにより、いずれの表示部76a,76bにも左右反転の無い正しい画像を表示し、また、メイン表示部76aとサブ表示部76bの両方に同時に表示するときは、両方の76a,76bの一方、例えばサブ表示部76bに、メイン表示部76aの表示画像が左右反転した画像を表示することができる。
【0112】
上記図7〜図10に示した各携帯機器40,50,60,70は、その内部に実装された前記液晶表示装置が1つの液晶素子1を用いて両面表示するものであるため、機器内の液晶表示装置の占有面積及び体積が前記液晶素子1の略1個分で足り、したがって、機器の小型化が可能となり、また両面の表示を充分大きい画面サイズで表示することができるとともに、2つの液晶素子を備えた両面表示型液晶表示装置を実装したものに比べて、低コストに製造することができる。
【0113】
しかも、この携帯機器40,50,60,70は、前記液晶表示装置が前側と後側から観察される画像をそれぞれ面光源17からの照明光を利用する表示と外光を利用する表示とにより表示するため、前記両面の表示の両方を、前記液晶表示装置の面光源17からの照明光を利用する表示と、外光を利用する表示とにより表示することができる。
【0114】
なお、この発明の液晶表示装置は、上述した携帯電話機40、デジタルカメラ50、ノート型パソコン60及びビデオカメラ70に限らず、他の両面表示型携帯機器にも使用できるものであり、その場合も、互いに逆向きの2つの機器外面にそれぞれ表示窓を設け、内部に、前記液晶表示装置を、その前面を前記2つの機器外面の一方の表示窓に対向させ、後面を他方の表示窓に対向させて実装すればよい。
【0115】
【発明の効果】
この発明の液晶表示装置は、液晶素子の前側に、入射光の互いに直交する2つの直線偏光成分のうち、一方の偏光成分の光を吸収し、他方の偏光成分を透過させる吸収偏光板を配置し、前記液晶素子の後側に、入射光の互いに異なる2つの偏光成分のうち、一方の偏光成分の光を反射し、他方の偏光成分を透過させる偏光分離素子を配置するとともに、前記吸収偏光板の前側に、前記液晶素子に向けて照明光を出射し、且つ前側及び後側から入射した光を透過させる面光源を配置したものであるため、1つの液晶素子を用いて両面表示し、しかも占有面積を小さくするとともに、一方の面側(前側)から観察される画像と他方の面側(後側)から観察される画像をそれぞれ、前記面光源からの照明光を利用する表示と、外部環境の光である外光を利用する表示とにより表示することができる。
【0116】
この発明の液晶表示装置において、前記偏光分離素子は、入射光の互いに直交する2つの直線偏光成分のうち、一方の偏光成分を反射し、他方の偏光成分を透過させる反射偏光素子が好ましく、このようにすることにより、前記液晶素子にその前側から入射して複数の画素を透過した光の互いに直交する2つの直線偏光成分のうち、一方の偏光成分を前記反射偏光素子により反射して前側に出射し、他方の偏光成分を前記反射偏光素子を透過させて後側に出射することができる。。
【0117】
また、この液晶表示装置は、前記偏光分離素子の後側に、光散乱層をさらに配置した構成とするのが望ましく、このようにすることにより、後側から入射し、前記偏光分離素子により反射された反射光による後側の画面の背景を、前記反射光の散乱により白色の背景にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施例を示す液晶表示装置の分解斜視図。
【図2】前記液晶表示装置の一部分の断面図。
【図3】前記液晶表示装置の面光源の平面図。
【図4】前記面光源の側面図。
【図5】前記面光源の導光部材と位相差板と導光板からの出射光の直線偏光成分を示す模式図。
【図6】この発明の第2の実施例を示す液晶表示装置の一部分の断面図。
【図7】この発明の液晶表示装置を実装した携帯電話機の斜視図。
【図8】この発明の液晶表示装置を実装したデジタルカメラの斜視図。
【図9】この発明の液晶表示装置を実装したノート型パソコンの斜視図。
【図10】この発明の液晶表示装置を実装したビデオカメラの斜視図。
【符号の説明】
1…液晶素子
2,3…基板
4…液晶層
5,6…電極
A…画素
7…TFT
8R,8G,8B…カラーフィルタ
12…吸収偏光板
12a…透過軸
13…反射偏光板(偏光分離素子)
13a…透過軸
13b…反射軸
14…位相差板
15,16…散乱層
17…面光源
Claims (3)
- 対向配置された前側基板と後側基板との間に液晶層が設けられ、前記前側基板と後側基板の対向する内面の一方に少なくとも1つの電極が、他方の内面に前記少なくとも1つの電極と対向する領域によりマトリックス状に配列する複数の画素を形成する複数の電極が設けられた液晶素子と、
前記液晶素子の前側に配置され、入射光の互いに直交する2つの直線偏光成分のうち、一方の偏光成分の光を吸収し、他方の偏光成分を透過させる吸収偏光板と、
前記液晶素子の後側に配置され、入射光の互いに異なる2つの偏光成分のうち、一方の偏光成分の光を反射し、他方の偏光成分を透過させる偏光分離素子と、
前記吸収偏光板の前側に配置され、前記液晶素子に向けて照明光を出射し、且つ前側及び後側から入射した光を透過させる面光源と、
を備えたことを特徴とする液晶表示装置。 - 偏光分離素子は、入射光の互いに直交する2つの直線偏光成分のうち、一方の偏光成分を反射し、他方の偏光成分を透過させる反射偏光素子であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
- 偏光分離素子の後側に、光散乱層がさらに配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
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Cited By (2)
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-
2002
- 2002-10-29 JP JP2002314389A patent/JP2004151218A/ja active Pending
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