JP2004150983A - 異常事象検出機能付電子メータ - Google Patents
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Abstract
【課題】コスト高を招くことなく、確実に異常事象を検出できるようにした異常事象検出機能付電子メータを提供する。
【解決手段】所定のタイミングで所定の観察期間だけ、流体管路10に設けられた遮断弁9が制御されて流体管路10が遮断される。そして、この観察期間における流量が遮断時流量として取得され、この遮断時流量と、流体管路10を遮断された場合に想定される予め定められた基準流量と、の比較に基づき異常事象が検出され、異常事象が検出された場合には所定の異常処理が行われる。このように、本来、流量無状態に対応した流量であるべき遮断時流量を、異常事象検出に利用することにより、新たに異常事象検出用素子を設けることなく、ソフトウエアの変更だけで、正確に異常事象を検出することができるようになる。
【選択図】 図1
【解決手段】所定のタイミングで所定の観察期間だけ、流体管路10に設けられた遮断弁9が制御されて流体管路10が遮断される。そして、この観察期間における流量が遮断時流量として取得され、この遮断時流量と、流体管路10を遮断された場合に想定される予め定められた基準流量と、の比較に基づき異常事象が検出され、異常事象が検出された場合には所定の異常処理が行われる。このように、本来、流量無状態に対応した流量であるべき遮断時流量を、異常事象検出に利用することにより、新たに異常事象検出用素子を設けることなく、ソフトウエアの変更だけで、正確に異常事象を検出することができるようになる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス等の流量を検出する電子メータに関し、特に、電磁波ノイズ等による異常事象を検出する機能を有する電子メータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の電子メータとして、例えば、下記特許文献1に示される超音波信号振動子を用いたガスメータがある。このガスメータにおいては、流体管路に一対の超音波信号振動子が配設され、両超音波信号振動子間の信号伝搬時間差に基づいて流量が算出される。
【0003】
なお、本明細書中で引用する特許文献及び非特許文献は、以下の通りである。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−122117号公報
【非特許文献1】
「流量計測A to Z」工業技術社、平成7年11月1日初版、130頁〜132頁
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、近年、携帯電話等の普及により多くの基地局が建設され、その近辺では強い電磁波が発生していることがある。また、近年、鉄筋のビルの建設も多く、電子メータは、その反射により予期しない強電界を受けることもある。更に、違法改造した送受信器を搭載した車両も走行しており、電子メータはこれらの影響を受けることも多い。このような強磁界や予期しない電界等の異常事象の影響により、上記超音波信号振動子間の信号伝搬に乱れが生じ、これに伴い流量検出に利用する流速センサ出力も乱れるという問題が発生している。上記異常事象を検出する検出素子を新たに追加装備したり、上記異常事象としての強磁界や電界にも耐えうる電子メータを再設計すればよいが、そうすればコスト高になる。
【0006】
よって本発明は、上述した現状に鑑み、コスト高を招くことなく、確実に異常事象を検出できるようにした異常事象検出機能付電子メータを提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の異常事象検出機能付電子メータは、図1の基本構成図に示すように、流体管路を通過する流体の流速の検出動作をし、この流速に応じた電気信号を生成する流速検出手段31と、前記電気信号に基づいて前記流体管路を通過する流体の流量を算出する流量算出手段32と、所定のタイミングで所定の観察期間だけ、前記流体管路に設けられた遮断弁を制御して前記流体管路を遮断する遮断制御手段33と、前記観察期間において、流量算出手段32にて算出される流量を遮断時流量として取得する遮断時流量取得手段34と、この遮断時流量と、前記流体管路を遮断された場合に想定される予め定められた基準流量との比較に基づき、異常事象を検出する異常事象検出手段35と、この異常事象検出手段35により前記異常事象が検出された場合、所定の異常処理を行う異常処理手段36と、を含むことを特徴とする。
【0008】
請求項1記載の発明によれば、所定のタイミングで所定の観察期間だけ、流体管路に設けられた遮断弁が制御されて流体管路が遮断される。そして、この観察期間における流量が遮断時流量として取得され、この遮断時流量と、流体管路を遮断された場合に想定される予め定められた基準流量と、の比較に基づき異常事象が検出され、異常事象が検出された場合には所定の異常処理が行われる。このように、本来、流量無状態に対応した流量であるべき遮断時流量を、異常事象検出に利用することにより、新たに異常事象検出用素子を設けることなく、ソフトウエアの変更だけで、正確に異常事象を検出することができる。
【0009】
上記課題を解決するためになされた請求項2記載の異常事象検出機能付電子メータは、図1の基本構成図に示すように、請求項1記載の異常事象検出機能付電子メータにおいて、前記遮断制御手段33は、予め定められた周期毎に前記観察期間だけ、前記流体管路を遮断する周期的遮断手段331を含む、ことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、予め定められた周期毎に流体管路が遮断されるので、周期的に異常事象の検出が行なわれる。したがって、異常事象の検出により、本来の流量算出処理に支障をきたすことがない。
【0011】
上記課題を解決するためになされた請求項3記載の異常事象検出機能付電子メータは、図1の基本構成図に示すように、請求項2記載の異常事象検出機能付電子メータにおいて、前記異常事象検出手段35は、前記観察期間において前記遮断時流量が前記基準流量を超えた累積時間に基づき、前記異常事象を検出する、ことを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、所定の観察期間において遮断時流量が基準流量を超えた累積時間に基づき異常事象を検出するようにしているので、偶発的なノイズには反応しない実用的な異常事象検出機能付電子メータが得られる。
【0013】
上記課題を解決するためになされた請求項4記載の異常事象検出機能付電子メータは、図1の基本構成図に示すように、請求項2記載の異常事象検出機能付電子メータにおいて、前記異常事象検出手段35は、前記観察期間において前記遮断時流量が前記基準流量を上下した繰り返し回数に基づき、前記異常事象を検出する、ことを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、所定の観察期間において遮断時流量が基準流量を繰り返し上下した回数に基づき、異常事象を検出するようにしているので、偶発的なノイズには反応しない実用的な異常事象検出機能付電子メータが得られる。
【0015】
上記課題を解決するためになされた請求項5記載の異常事象検出機能付電子メータは、図1の基本構成図に示すように、請求項3又は4記載の異常事象検出機能付電子メータにおいて、前記異常処理手段36は、前記異常事象が検出された場合、その旨を可視表示する異常事象表示手段361を含む、ことを特徴とする。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、異常事象が検出された場合、その旨を可視表示するようにしているので、これによりユーザはガス業者に連絡する等の適切な対応がとれる。
【0017】
上記課題を解決するためになされた請求項6記載の異常事象検出機能付電子メータは、図1の基本構成図に示すように、請求項5記載の異常事象検出機能付電子メータにおいて、前記流体は、燃料ガスであり、前記異常処理手段36は、前記異常事象が検出された場合、前記観察期間の経過後も前記遮断弁を制御して前記流体管路を遮断し続ける遮断継続手段362を更に含む、ことを特徴とする。
【0018】
請求項6記載の発明によれば、流体は燃料ガスであり、異常事象が検出された場合流体管路を継続して遮断するようにしているので、異常事象により、電子メータが万が一、破損又は故障した場合でも安全性が確保される。
【0019】
上記課題を解決するためになされた請求項7記載の異常事象検出機能付電子メータは、図1の基本構成図に示すように、請求項1〜6のいずれか一項に記載の異常事象検出機能付電子メータにおいて、前記流速検出手段31は、前記流体管路に設けられ超音波信号を交互に発信受信する一対の超音波振動子4、5を含み、前記流量算出手段32は、前記超音波信号の前記振動子間の信号伝搬時間差に基づいて、前記流量を算出する、ことを特徴とする。
【0020】
請求項7記載の発明によれば、強電界や電磁波等の影響を受けやすい超音波振動子4、5間の超音波信号伝搬時間差に基づいて流量を算出するタイプの電子メータに適用されるので、上記1〜6の発明がより有効に作用する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の異常事象検出機能付電子メータの一実施形態を図2〜図4を用いて説明する。
【0022】
図2は、本発明の一実施形態に関わる異常事象検出機能付電子メータを示すブロック図である。図2に示すように、流体管路10の途中には、一対の超音波信号振動子4、5が流体管路10に所定の角度をもって配設されている。これらの超音波信号振動子4、5は、切替スイッチ13、14を介して超音波信号振動子駆動回路1に接続されており、マイクロコンピュータ3(以下、単にマイコンともよぶ)に指令されて、波線矢印で示すように交互に流速測定用の超音波信号を送信する。
【0023】
超音波信号振動子4、5はまた、切替スイッチ11、12を介して超音波信号受信増幅回路2にも接続されており、マイコン3に指令されて、上記交互に送信される超音波信号の送信タイミングに同期して、交互に超音波信号を受信する。すなわち、超音波信号振動子4、5は共に、流速測定用の超音波信号の送受信機能を備えており、一方が送信機として機能しているとき他方は受信機として機能し、一方が受信機として機能しているとき他方は送信機として機能するように、送受信動作を交互に行うように制御されている。
【0024】
超音波信号受信増幅回路2は、上記超音波信号振動子4、5から供給される流速に応じた電気信号を受けて増幅する。この増幅された電気信号はここではアナログ信号なので、A/D変換器8でマイコン3のCPUで処理できるようなディジタル信号に変換されて、CPUに供給される。
【0025】
マイコン3は、CPU、ROM及びRAMを含む。ROMには流速検出及び流量算出のための基本プログラムや後述の実施形態に関わる制御プログラムが予め格納される。CPUはROMに格納されるプログラムにしたがって動作する。RAMは、基本的にCPUが行う処理の過程で発生する変数、データを一時的に格納するワークエリアとして機能する。なお、マイコン3は、後述する経過時間を計時するためのタイマ機能も含む。
【0026】
後述するが、マイコン3は、例えば、1秒毎に上記超音波信号振動子4、5が送受信動作をするように制御し、これに基づいて流量の算出及び積算処理を行っているが、更に、1時間に1度程度の割合で異常事象の検出も行っている。すなわち、マイコン3は、1時間に1度程度、上記流速測定を行っていないタイミングで、上記異常事象の検出を行う。これに関しては、図3及び図4を用いて再度説明する。
【0027】
そして、異常事象が検出されると異常処理として、表示部6から異常警報が出されたり、遮断弁制御機構7により遮断弁9が継続的に遮断制御される。この表示部6は、公知のLCDやLEDが用いられる。遮断弁制御機構7も公知のガス管路遮断機構が用いられる。
【0028】
なお、超音波信号を利用して、流体管路10を通過する太線矢印で示す燃料ガス等の流体の流量を、両超音波信号振動子4、5間の上り下りの信号伝搬時間差を利用して測定する方法は、例えば、上記特許文献1や非特許文献1等に記載される公知の方法が採用されるので、ここでは説明を省略する。
【0029】
次に図3及び図4を用いて、本発明の一実施形態に関わる処理手順及び異常事象の判断方法を説明する。図3は、本発明の一実施形態に関わる処理手順を示すフローチャートである。図4(A)、(B)及び(C)は、異常事象検出時の遮断時流量を例示するグラフである。
【0030】
まず、図3のステップS1において、上り超音波送信処理が行われる。すなわち、ここでは、マイコン3に制御されて、切替スイッチ13が閉、切替スイッチ14が開とされて、超音波振動子4から超音波信号が送信される。これと共にステップS2において、下り超音波受信増幅処理が行われる。すなわち、ここでは、超音波振動子5が受信動作を行うべく、マイコン3に制御されて、切替スイッチ12が閉、切替スイッチ11が開とされて、超音波振動子4からの超音波信号が受信される。
【0031】
また、ステップS3において、下り超音波送信処理が行われる。すなわち、ここでは、マイコン3に制御されて、切替スイッチ14が閉、切替スイッチ13が開とされて、超音波振動子5から超音波信号が送信される。これと共にステップS4において、上り超音波受信増幅処理が行われる。すなわち、ここでは、超音波振動子4が受信動作を行うべく、マイコン3に制御されて、切替スイッチ11が閉、切替スイッチ12が開とされて、超音波振動子5からの超音波信号が受信される。
【0032】
次に、ステップS5及びステップS6において到達時間差算出及び流量換算が行われる。すなわち、ステップS5においては、上記ステップS1〜ステップS4により得られたデータから、上り及び下り方向の超音波到達時間差が算出される。そして、ステップS6においては、上記上り及び下り方向の超音波到達時間を利用して、以下に示す公知の方法によって流量が算出される。
【0033】
すなわち、伝搬経路上の平均流速をv、超音波振動子4、5間距離をL、両超音波振動子4、5を結ぶ線と流体管路10の中心軸とがなす角度をθ、超音波信号の上り及び下りの到達時間をそれぞれtu及びtdとすると、
v=L/2COSθ(1/td−1/tu)となる。
そして、流量をQ、通過面積をS、補正計数をKとすると、
Q=KSvと表せるので、これにより流体管路10を通過する流体の流量が算出されることになる。
【0034】
このように算出された流量は、ステップS7において積算された後、その積算値がステップS8において表示部6に表示される。なお、これらステップS1〜ステップS8は、公知の流量計測方法であり、請求項の流速検出手段及び流量算出手段に対応する。
【0035】
この実施形態では、上記ステップS1〜ステップS8で示す処理を1秒ごとに行うこととしているので、ステップS9において、前回の流速測定からの経過時間Δtが1秒に到達するのが待機されており(ステップS9のN)、1秒経過すると再度経過時間Δtを計測すべくステップS10に移行する(ステップS9のY)。ステップS10においては、経過時間Δtがリセットされて、再度計時動作が開始されて、ステップS11に移行する。
【0036】
ステップS11においては、60分毎に、異常事象を検出するための経過時間ΔTが監視されている。すなわち、このステップS11においては、前回の異常事象測定からの経過時間ΔTが60分に到達するのが待機されており(ステップS11のN)、経過時間ΔTが60分に到達すると、異常事象を計測すべくステップS12以降に移行する(ステップS11のY)。このように、60分毎に異常事象の検出を行うようにしているので、より確実に異常事象を検出できるようになる。本来の流量算出処理に支障をきたすこともない。
【0037】
次に、ステップS12においては、異常事象検出のために、遮断弁閉制御が行われる。すなわち、図2の遮断弁制御機構7が閉指令されて遮断弁9が遮断制御されて、これにより流体管路10が遮断される。但し、超音波振動子駆動回路1及び超音波受信増幅回路2も稼働しており、ステップS13において、流速計測が継続される。なお、ステップS11及びステップS12は、請求項の遮断制御手段及び周期的遮断手段に対応する。
【0038】
ステップS13においては、上記ステップS1〜ステップS6と同等の処理が行われる。すなわち、切替スイッチ13及び14が開閉制御されて超音波信号の送受信が行なわれ、超音波信号の上り下りの到達時間差に基づき上述したように流量が求められる。ここで、この流量は、上記異常事象を検出するための遮断時流量として取得される。この遮断時流量は、実際に流れた流量というよりも、この期間において、上記算出方式に基づいて計算された仮想的な流量のようなものである。
【0039】
次に、ステップS14においては、上記遮断時流量と予め定められた基準流量との比較が行われる。基準流量とは、流体管路10が遮断された場合に想定される予め定められた流量であり、基本的には零である。但し、超音波振動子4及び5の性能等に依存して多少変動する。実際的には、基準流量は、流量無しのときに、上記算出方式に基づいて計算される流量を、所定量だけオフセットさせた値となる。ここでは、図4(A)〜(C)に示すように、一定の観察期間G、例えば、1分間、上記比較がおこなわれる。
【0040】
観察期間G中、メータに対して、強電界や電磁波等の異常事象の影響がなく、図4(A)に示すように遮断時流量が、基準流量を超えない範囲内に収まっていれば異常事象無と判断する(ステップS14の異常事象無)。また、観察期間G中、図4(B)に示すように遮断時流量が、基準流量を一度だけ、或いは、突発的と想定される回数だけ、上下した場合には、これは突発的なノイズによるものと判断し、これも異常事象無と判断する(ステップS14の異常事象無)。
【0041】
一方、観察期間G中、図4(C)のP1〜P5で示すように、遮断時流量が、基準流量を、複数回、例えば、3回以上、上下した場合には、異常事象有りと判断する(ステップS14の異常事象無)。なお、この判断回数は、メータの使用環境等に基づき適宜変更可能である。また、例えば、観察期間G中、遮断時流量が基準流量を超えた累積時間に基づき異常事象を検出するようにしてもよいし(請求項2に対応)、上下回数と累積時間との組み合わせて異常事象を検出するようにしてもよい。
【0042】
このように、観察期間Gにおいて遮断時流量が基準流量を超えた累積時間、或いは、遮断時流量が基準流量を繰り返し上下した回数に基づき、異常事象を検出するようにしているので、偶発的なノイズには反応しない実用的な異常事象検出機能付電子メータが得られる。なお、ステップS14は、請求項の異常事象検出手段に対応する。
【0043】
ステップS14で異常事象有と判断された場合には、ステップS15において、異常事象表示及び警報処理が行われる。例えば、図2の表示部6に、異常事象を示すメッセージが表示される。また、図示しないブザー等により、異常事象を音声により警報するようにしてもよい。これにより、ユーザはガス業者に連絡する等の適切な対応がとれるようになる。そして、ガス業者はシールドケース取り付けや機械式ガスメータへの交換等の対策をとることにより、早期に正確なガス流量計測ができるようになる。なお、異常事象有と判断された場合には、安全のために、観察期間Gの経過後も遮断弁9を制御して流体管路10を遮断し続ける。なお、このステップS15は、請求項の異常処理手段、異常事象表示手段及び遮断継続手段に対応する。
【0044】
また、ステップS14で異常事象無と判断された場合には、ステップS16において、図2の遮断弁制御機構7が開指令されて遮断弁9が開かれ、ステップS17において、上記経過時間ΔTをリセットして再度計数を開始してステップS1に戻る。
【0045】
このように、本実施形態によれば、遮断時流量を異常事象検出に利用することにより、新たに異常事象検出用素子を設けることなく、ソフトウエアの変更だけで、正確に異常事象を検出することができるようになる。したがって、コストアップを招くことなく、確実に、電子メータの流速検出に対する異常事象を検出できる。また、この実施形態に例示する両超音波振動子間の超音波信号伝搬時間に基づいて流量を算出するタイプの電子メータは、強電界や電磁波等の影響を受けやすいが、このようなタイプの電子メータに適用されて、本発明は特に有効となる。
【0046】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、その主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本発明は、マイクロヒータを備える熱式フローセンサにも同様に適用可能である。また、異常事象検出結果を通信回線を介して保安センタ等に自動送信するようにしてもよい。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、本来、流量無状態に対応した流量であるべき遮断時流量を、異常事象検出に利用することにより、新たに異常事象検出用素子を設けることなく、ソフトウエアの変更だけで、正確に異常事象を検出することができるようになる。したがって、コストアップを招くことなく、確実に、電子メータの流速検出に対する異常事象を検出できる。
【0048】
請求項2記載の発明によれば、予め定められた周期毎に流体管路が遮断されるので、周期的に異常事象の検出が行なわれる。したがって、本来の流量算出処理に支障をきたすことなく、確実に異常事象を検出できる。
【0049】
請求項3記載の発明によれば、所定の観察期間において遮断時流量が基準流量を超えた累積時間に基づき異常事象を検出するようにしているので、偶発的なノイズには反応しない実用的な異常事象検出機能付電子メータが得られる。
【0050】
請求項4記載の発明によれば、所定の観察期間において遮断時流量が基準流量を繰り返し上下した回数に基づき、異常事象を検出するようにしているので、偶発的なノイズには反応しない実用的な異常事象検出機能付電子メータが得られる。
【0051】
請求項5記載の発明によれば、異常事象が検出された場合、その旨を可視表示するようにしているので、これによりユーザはガス業者に連絡する等の適切な対応がとれるようになる。
【0052】
請求項6記載の発明によれば、流体は燃料ガスであり、異常事象が検出された場合流体管路を継続して遮断するようにしているので、異常事象により、電子メータが万が一、破損又は故障した場合でも安全性が確保される。
【0053】
請求項7記載の発明によれば、強電界や電磁波等の影響を受けやすい超音波振動子4、5間の超音波信号伝搬時間差に基づいて流量を算出するタイプの電子メータに適用されるので、上記1〜6の効果がより顕著に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の異常事象検出機能付電子メータの基本構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に関わる異常事象検出機能付電子メータを示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に関わる処理手順を示すフローチャートである。
【図4】図4(A)、(B)及び(C)は、異常事象検出時の遮断時流量を例示するグラフである。
【符号の説明】
1 超音波振動子駆動回路
2 超音波受信増幅回路
3 マイクロコンピュータ(マイコン)
4、5 超音波振動子
6 表示部
7 遮断弁制御機構
8 A/D変換器
9 遮断弁
10 流体管路
11〜14 切替スイッチ
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス等の流量を検出する電子メータに関し、特に、電磁波ノイズ等による異常事象を検出する機能を有する電子メータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の電子メータとして、例えば、下記特許文献1に示される超音波信号振動子を用いたガスメータがある。このガスメータにおいては、流体管路に一対の超音波信号振動子が配設され、両超音波信号振動子間の信号伝搬時間差に基づいて流量が算出される。
【0003】
なお、本明細書中で引用する特許文献及び非特許文献は、以下の通りである。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−122117号公報
【非特許文献1】
「流量計測A to Z」工業技術社、平成7年11月1日初版、130頁〜132頁
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、近年、携帯電話等の普及により多くの基地局が建設され、その近辺では強い電磁波が発生していることがある。また、近年、鉄筋のビルの建設も多く、電子メータは、その反射により予期しない強電界を受けることもある。更に、違法改造した送受信器を搭載した車両も走行しており、電子メータはこれらの影響を受けることも多い。このような強磁界や予期しない電界等の異常事象の影響により、上記超音波信号振動子間の信号伝搬に乱れが生じ、これに伴い流量検出に利用する流速センサ出力も乱れるという問題が発生している。上記異常事象を検出する検出素子を新たに追加装備したり、上記異常事象としての強磁界や電界にも耐えうる電子メータを再設計すればよいが、そうすればコスト高になる。
【0006】
よって本発明は、上述した現状に鑑み、コスト高を招くことなく、確実に異常事象を検出できるようにした異常事象検出機能付電子メータを提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の異常事象検出機能付電子メータは、図1の基本構成図に示すように、流体管路を通過する流体の流速の検出動作をし、この流速に応じた電気信号を生成する流速検出手段31と、前記電気信号に基づいて前記流体管路を通過する流体の流量を算出する流量算出手段32と、所定のタイミングで所定の観察期間だけ、前記流体管路に設けられた遮断弁を制御して前記流体管路を遮断する遮断制御手段33と、前記観察期間において、流量算出手段32にて算出される流量を遮断時流量として取得する遮断時流量取得手段34と、この遮断時流量と、前記流体管路を遮断された場合に想定される予め定められた基準流量との比較に基づき、異常事象を検出する異常事象検出手段35と、この異常事象検出手段35により前記異常事象が検出された場合、所定の異常処理を行う異常処理手段36と、を含むことを特徴とする。
【0008】
請求項1記載の発明によれば、所定のタイミングで所定の観察期間だけ、流体管路に設けられた遮断弁が制御されて流体管路が遮断される。そして、この観察期間における流量が遮断時流量として取得され、この遮断時流量と、流体管路を遮断された場合に想定される予め定められた基準流量と、の比較に基づき異常事象が検出され、異常事象が検出された場合には所定の異常処理が行われる。このように、本来、流量無状態に対応した流量であるべき遮断時流量を、異常事象検出に利用することにより、新たに異常事象検出用素子を設けることなく、ソフトウエアの変更だけで、正確に異常事象を検出することができる。
【0009】
上記課題を解決するためになされた請求項2記載の異常事象検出機能付電子メータは、図1の基本構成図に示すように、請求項1記載の異常事象検出機能付電子メータにおいて、前記遮断制御手段33は、予め定められた周期毎に前記観察期間だけ、前記流体管路を遮断する周期的遮断手段331を含む、ことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、予め定められた周期毎に流体管路が遮断されるので、周期的に異常事象の検出が行なわれる。したがって、異常事象の検出により、本来の流量算出処理に支障をきたすことがない。
【0011】
上記課題を解決するためになされた請求項3記載の異常事象検出機能付電子メータは、図1の基本構成図に示すように、請求項2記載の異常事象検出機能付電子メータにおいて、前記異常事象検出手段35は、前記観察期間において前記遮断時流量が前記基準流量を超えた累積時間に基づき、前記異常事象を検出する、ことを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、所定の観察期間において遮断時流量が基準流量を超えた累積時間に基づき異常事象を検出するようにしているので、偶発的なノイズには反応しない実用的な異常事象検出機能付電子メータが得られる。
【0013】
上記課題を解決するためになされた請求項4記載の異常事象検出機能付電子メータは、図1の基本構成図に示すように、請求項2記載の異常事象検出機能付電子メータにおいて、前記異常事象検出手段35は、前記観察期間において前記遮断時流量が前記基準流量を上下した繰り返し回数に基づき、前記異常事象を検出する、ことを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、所定の観察期間において遮断時流量が基準流量を繰り返し上下した回数に基づき、異常事象を検出するようにしているので、偶発的なノイズには反応しない実用的な異常事象検出機能付電子メータが得られる。
【0015】
上記課題を解決するためになされた請求項5記載の異常事象検出機能付電子メータは、図1の基本構成図に示すように、請求項3又は4記載の異常事象検出機能付電子メータにおいて、前記異常処理手段36は、前記異常事象が検出された場合、その旨を可視表示する異常事象表示手段361を含む、ことを特徴とする。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、異常事象が検出された場合、その旨を可視表示するようにしているので、これによりユーザはガス業者に連絡する等の適切な対応がとれる。
【0017】
上記課題を解決するためになされた請求項6記載の異常事象検出機能付電子メータは、図1の基本構成図に示すように、請求項5記載の異常事象検出機能付電子メータにおいて、前記流体は、燃料ガスであり、前記異常処理手段36は、前記異常事象が検出された場合、前記観察期間の経過後も前記遮断弁を制御して前記流体管路を遮断し続ける遮断継続手段362を更に含む、ことを特徴とする。
【0018】
請求項6記載の発明によれば、流体は燃料ガスであり、異常事象が検出された場合流体管路を継続して遮断するようにしているので、異常事象により、電子メータが万が一、破損又は故障した場合でも安全性が確保される。
【0019】
上記課題を解決するためになされた請求項7記載の異常事象検出機能付電子メータは、図1の基本構成図に示すように、請求項1〜6のいずれか一項に記載の異常事象検出機能付電子メータにおいて、前記流速検出手段31は、前記流体管路に設けられ超音波信号を交互に発信受信する一対の超音波振動子4、5を含み、前記流量算出手段32は、前記超音波信号の前記振動子間の信号伝搬時間差に基づいて、前記流量を算出する、ことを特徴とする。
【0020】
請求項7記載の発明によれば、強電界や電磁波等の影響を受けやすい超音波振動子4、5間の超音波信号伝搬時間差に基づいて流量を算出するタイプの電子メータに適用されるので、上記1〜6の発明がより有効に作用する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の異常事象検出機能付電子メータの一実施形態を図2〜図4を用いて説明する。
【0022】
図2は、本発明の一実施形態に関わる異常事象検出機能付電子メータを示すブロック図である。図2に示すように、流体管路10の途中には、一対の超音波信号振動子4、5が流体管路10に所定の角度をもって配設されている。これらの超音波信号振動子4、5は、切替スイッチ13、14を介して超音波信号振動子駆動回路1に接続されており、マイクロコンピュータ3(以下、単にマイコンともよぶ)に指令されて、波線矢印で示すように交互に流速測定用の超音波信号を送信する。
【0023】
超音波信号振動子4、5はまた、切替スイッチ11、12を介して超音波信号受信増幅回路2にも接続されており、マイコン3に指令されて、上記交互に送信される超音波信号の送信タイミングに同期して、交互に超音波信号を受信する。すなわち、超音波信号振動子4、5は共に、流速測定用の超音波信号の送受信機能を備えており、一方が送信機として機能しているとき他方は受信機として機能し、一方が受信機として機能しているとき他方は送信機として機能するように、送受信動作を交互に行うように制御されている。
【0024】
超音波信号受信増幅回路2は、上記超音波信号振動子4、5から供給される流速に応じた電気信号を受けて増幅する。この増幅された電気信号はここではアナログ信号なので、A/D変換器8でマイコン3のCPUで処理できるようなディジタル信号に変換されて、CPUに供給される。
【0025】
マイコン3は、CPU、ROM及びRAMを含む。ROMには流速検出及び流量算出のための基本プログラムや後述の実施形態に関わる制御プログラムが予め格納される。CPUはROMに格納されるプログラムにしたがって動作する。RAMは、基本的にCPUが行う処理の過程で発生する変数、データを一時的に格納するワークエリアとして機能する。なお、マイコン3は、後述する経過時間を計時するためのタイマ機能も含む。
【0026】
後述するが、マイコン3は、例えば、1秒毎に上記超音波信号振動子4、5が送受信動作をするように制御し、これに基づいて流量の算出及び積算処理を行っているが、更に、1時間に1度程度の割合で異常事象の検出も行っている。すなわち、マイコン3は、1時間に1度程度、上記流速測定を行っていないタイミングで、上記異常事象の検出を行う。これに関しては、図3及び図4を用いて再度説明する。
【0027】
そして、異常事象が検出されると異常処理として、表示部6から異常警報が出されたり、遮断弁制御機構7により遮断弁9が継続的に遮断制御される。この表示部6は、公知のLCDやLEDが用いられる。遮断弁制御機構7も公知のガス管路遮断機構が用いられる。
【0028】
なお、超音波信号を利用して、流体管路10を通過する太線矢印で示す燃料ガス等の流体の流量を、両超音波信号振動子4、5間の上り下りの信号伝搬時間差を利用して測定する方法は、例えば、上記特許文献1や非特許文献1等に記載される公知の方法が採用されるので、ここでは説明を省略する。
【0029】
次に図3及び図4を用いて、本発明の一実施形態に関わる処理手順及び異常事象の判断方法を説明する。図3は、本発明の一実施形態に関わる処理手順を示すフローチャートである。図4(A)、(B)及び(C)は、異常事象検出時の遮断時流量を例示するグラフである。
【0030】
まず、図3のステップS1において、上り超音波送信処理が行われる。すなわち、ここでは、マイコン3に制御されて、切替スイッチ13が閉、切替スイッチ14が開とされて、超音波振動子4から超音波信号が送信される。これと共にステップS2において、下り超音波受信増幅処理が行われる。すなわち、ここでは、超音波振動子5が受信動作を行うべく、マイコン3に制御されて、切替スイッチ12が閉、切替スイッチ11が開とされて、超音波振動子4からの超音波信号が受信される。
【0031】
また、ステップS3において、下り超音波送信処理が行われる。すなわち、ここでは、マイコン3に制御されて、切替スイッチ14が閉、切替スイッチ13が開とされて、超音波振動子5から超音波信号が送信される。これと共にステップS4において、上り超音波受信増幅処理が行われる。すなわち、ここでは、超音波振動子4が受信動作を行うべく、マイコン3に制御されて、切替スイッチ11が閉、切替スイッチ12が開とされて、超音波振動子5からの超音波信号が受信される。
【0032】
次に、ステップS5及びステップS6において到達時間差算出及び流量換算が行われる。すなわち、ステップS5においては、上記ステップS1〜ステップS4により得られたデータから、上り及び下り方向の超音波到達時間差が算出される。そして、ステップS6においては、上記上り及び下り方向の超音波到達時間を利用して、以下に示す公知の方法によって流量が算出される。
【0033】
すなわち、伝搬経路上の平均流速をv、超音波振動子4、5間距離をL、両超音波振動子4、5を結ぶ線と流体管路10の中心軸とがなす角度をθ、超音波信号の上り及び下りの到達時間をそれぞれtu及びtdとすると、
v=L/2COSθ(1/td−1/tu)となる。
そして、流量をQ、通過面積をS、補正計数をKとすると、
Q=KSvと表せるので、これにより流体管路10を通過する流体の流量が算出されることになる。
【0034】
このように算出された流量は、ステップS7において積算された後、その積算値がステップS8において表示部6に表示される。なお、これらステップS1〜ステップS8は、公知の流量計測方法であり、請求項の流速検出手段及び流量算出手段に対応する。
【0035】
この実施形態では、上記ステップS1〜ステップS8で示す処理を1秒ごとに行うこととしているので、ステップS9において、前回の流速測定からの経過時間Δtが1秒に到達するのが待機されており(ステップS9のN)、1秒経過すると再度経過時間Δtを計測すべくステップS10に移行する(ステップS9のY)。ステップS10においては、経過時間Δtがリセットされて、再度計時動作が開始されて、ステップS11に移行する。
【0036】
ステップS11においては、60分毎に、異常事象を検出するための経過時間ΔTが監視されている。すなわち、このステップS11においては、前回の異常事象測定からの経過時間ΔTが60分に到達するのが待機されており(ステップS11のN)、経過時間ΔTが60分に到達すると、異常事象を計測すべくステップS12以降に移行する(ステップS11のY)。このように、60分毎に異常事象の検出を行うようにしているので、より確実に異常事象を検出できるようになる。本来の流量算出処理に支障をきたすこともない。
【0037】
次に、ステップS12においては、異常事象検出のために、遮断弁閉制御が行われる。すなわち、図2の遮断弁制御機構7が閉指令されて遮断弁9が遮断制御されて、これにより流体管路10が遮断される。但し、超音波振動子駆動回路1及び超音波受信増幅回路2も稼働しており、ステップS13において、流速計測が継続される。なお、ステップS11及びステップS12は、請求項の遮断制御手段及び周期的遮断手段に対応する。
【0038】
ステップS13においては、上記ステップS1〜ステップS6と同等の処理が行われる。すなわち、切替スイッチ13及び14が開閉制御されて超音波信号の送受信が行なわれ、超音波信号の上り下りの到達時間差に基づき上述したように流量が求められる。ここで、この流量は、上記異常事象を検出するための遮断時流量として取得される。この遮断時流量は、実際に流れた流量というよりも、この期間において、上記算出方式に基づいて計算された仮想的な流量のようなものである。
【0039】
次に、ステップS14においては、上記遮断時流量と予め定められた基準流量との比較が行われる。基準流量とは、流体管路10が遮断された場合に想定される予め定められた流量であり、基本的には零である。但し、超音波振動子4及び5の性能等に依存して多少変動する。実際的には、基準流量は、流量無しのときに、上記算出方式に基づいて計算される流量を、所定量だけオフセットさせた値となる。ここでは、図4(A)〜(C)に示すように、一定の観察期間G、例えば、1分間、上記比較がおこなわれる。
【0040】
観察期間G中、メータに対して、強電界や電磁波等の異常事象の影響がなく、図4(A)に示すように遮断時流量が、基準流量を超えない範囲内に収まっていれば異常事象無と判断する(ステップS14の異常事象無)。また、観察期間G中、図4(B)に示すように遮断時流量が、基準流量を一度だけ、或いは、突発的と想定される回数だけ、上下した場合には、これは突発的なノイズによるものと判断し、これも異常事象無と判断する(ステップS14の異常事象無)。
【0041】
一方、観察期間G中、図4(C)のP1〜P5で示すように、遮断時流量が、基準流量を、複数回、例えば、3回以上、上下した場合には、異常事象有りと判断する(ステップS14の異常事象無)。なお、この判断回数は、メータの使用環境等に基づき適宜変更可能である。また、例えば、観察期間G中、遮断時流量が基準流量を超えた累積時間に基づき異常事象を検出するようにしてもよいし(請求項2に対応)、上下回数と累積時間との組み合わせて異常事象を検出するようにしてもよい。
【0042】
このように、観察期間Gにおいて遮断時流量が基準流量を超えた累積時間、或いは、遮断時流量が基準流量を繰り返し上下した回数に基づき、異常事象を検出するようにしているので、偶発的なノイズには反応しない実用的な異常事象検出機能付電子メータが得られる。なお、ステップS14は、請求項の異常事象検出手段に対応する。
【0043】
ステップS14で異常事象有と判断された場合には、ステップS15において、異常事象表示及び警報処理が行われる。例えば、図2の表示部6に、異常事象を示すメッセージが表示される。また、図示しないブザー等により、異常事象を音声により警報するようにしてもよい。これにより、ユーザはガス業者に連絡する等の適切な対応がとれるようになる。そして、ガス業者はシールドケース取り付けや機械式ガスメータへの交換等の対策をとることにより、早期に正確なガス流量計測ができるようになる。なお、異常事象有と判断された場合には、安全のために、観察期間Gの経過後も遮断弁9を制御して流体管路10を遮断し続ける。なお、このステップS15は、請求項の異常処理手段、異常事象表示手段及び遮断継続手段に対応する。
【0044】
また、ステップS14で異常事象無と判断された場合には、ステップS16において、図2の遮断弁制御機構7が開指令されて遮断弁9が開かれ、ステップS17において、上記経過時間ΔTをリセットして再度計数を開始してステップS1に戻る。
【0045】
このように、本実施形態によれば、遮断時流量を異常事象検出に利用することにより、新たに異常事象検出用素子を設けることなく、ソフトウエアの変更だけで、正確に異常事象を検出することができるようになる。したがって、コストアップを招くことなく、確実に、電子メータの流速検出に対する異常事象を検出できる。また、この実施形態に例示する両超音波振動子間の超音波信号伝搬時間に基づいて流量を算出するタイプの電子メータは、強電界や電磁波等の影響を受けやすいが、このようなタイプの電子メータに適用されて、本発明は特に有効となる。
【0046】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、その主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本発明は、マイクロヒータを備える熱式フローセンサにも同様に適用可能である。また、異常事象検出結果を通信回線を介して保安センタ等に自動送信するようにしてもよい。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、本来、流量無状態に対応した流量であるべき遮断時流量を、異常事象検出に利用することにより、新たに異常事象検出用素子を設けることなく、ソフトウエアの変更だけで、正確に異常事象を検出することができるようになる。したがって、コストアップを招くことなく、確実に、電子メータの流速検出に対する異常事象を検出できる。
【0048】
請求項2記載の発明によれば、予め定められた周期毎に流体管路が遮断されるので、周期的に異常事象の検出が行なわれる。したがって、本来の流量算出処理に支障をきたすことなく、確実に異常事象を検出できる。
【0049】
請求項3記載の発明によれば、所定の観察期間において遮断時流量が基準流量を超えた累積時間に基づき異常事象を検出するようにしているので、偶発的なノイズには反応しない実用的な異常事象検出機能付電子メータが得られる。
【0050】
請求項4記載の発明によれば、所定の観察期間において遮断時流量が基準流量を繰り返し上下した回数に基づき、異常事象を検出するようにしているので、偶発的なノイズには反応しない実用的な異常事象検出機能付電子メータが得られる。
【0051】
請求項5記載の発明によれば、異常事象が検出された場合、その旨を可視表示するようにしているので、これによりユーザはガス業者に連絡する等の適切な対応がとれるようになる。
【0052】
請求項6記載の発明によれば、流体は燃料ガスであり、異常事象が検出された場合流体管路を継続して遮断するようにしているので、異常事象により、電子メータが万が一、破損又は故障した場合でも安全性が確保される。
【0053】
請求項7記載の発明によれば、強電界や電磁波等の影響を受けやすい超音波振動子4、5間の超音波信号伝搬時間差に基づいて流量を算出するタイプの電子メータに適用されるので、上記1〜6の効果がより顕著に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の異常事象検出機能付電子メータの基本構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に関わる異常事象検出機能付電子メータを示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に関わる処理手順を示すフローチャートである。
【図4】図4(A)、(B)及び(C)は、異常事象検出時の遮断時流量を例示するグラフである。
【符号の説明】
1 超音波振動子駆動回路
2 超音波受信増幅回路
3 マイクロコンピュータ(マイコン)
4、5 超音波振動子
6 表示部
7 遮断弁制御機構
8 A/D変換器
9 遮断弁
10 流体管路
11〜14 切替スイッチ
Claims (7)
- 流体管路を通過する流体の流速の検出動作をし、この流速に応じた電気信号を生成する流速検出手段と、
前記電気信号に基づいて前記流体管路を通過する流体の流量を算出する流量算出手段と、
所定のタイミングで所定の観察期間だけ、前記流体管路に設けられた遮断弁を制御して前記流体管路を遮断する遮断制御手段と、
前記観察期間において、流量算出手段にて算出される流量を遮断時流量として取得する遮断時流量取得手段と、
この遮断時流量と、前記流体管路を遮断された場合に想定される予め定められた基準流量との比較に基づき、異常事象を検出する異常事象検出手段と、
この異常事象検出手段により前記異常事象が検出された場合、所定の異常処理を行う異常処理手段とを含む、
ことを特徴とする異常事象検出機能付電子メータ。 - 請求項1記載の異常事象検出機能付電子メータにおいて、
前記遮断制御手段は、予め定められた周期毎に前記観察期間だけ、前記流体管路を遮断する周期的遮断手段を含む、
ことを特徴とする異常事象検出機能付電子メータ。 - 請求項2記載の異常事象検出機能付電子メータにおいて、
前記異常事象検出手段は、前記観察期間において前記遮断時流量が前記基準流量を超えた累積時間に基づき、前記異常事象を検出する、
ことを特徴とする異常事象検出機能付電子メータ。 - 請求項2記載の異常事象検出機能付電子メータにおいて、
前記異常事象検出手段は、前記観察期間において前記遮断時流量が前記基準流量を上下した繰り返し回数に基づき、前記異常事象を検出する、
ことを特徴とする異常事象検出機能付電子メータ。 - 請求項3又は4記載の異常事象検出機能付電子メータにおいて、
前記異常処理手段は、前記異常事象が検出された場合、その旨を可視表示する異常事象表示手段を含む、
ことを特徴とする異常事象検出機能付電子メータ。 - 請求項5記載の異常事象検出機能付電子メータにおいて、
前記流体は、燃料ガスであり、
前記異常処理手段は、前記異常事象が検出された場合、前記観察期間の経過後も前記遮断弁を制御して前記流体管路を遮断し続ける遮断継続手段を更に含む、
ことを特徴とする異常事象検出機能付電子メータ。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載の異常事象検出機能付電子メータにおいて、
前記流速検出手段は、前記流体管路に設けられ超音波信号を交互に発信受信する一対の超音波振動子を含み、
前記流量算出手段は、前記超音波信号の前記振動子間の信号伝搬時間差に基づいて、前記流量を算出する、
ことを特徴とする異常事象検出機能付電子メータ。
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JP (1) | JP2004150983A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007248363A (ja) * | 2006-03-17 | 2007-09-27 | Toshiba Corp | 電子式水道メータ |
WO2020010531A1 (zh) * | 2018-07-10 | 2020-01-16 | 北京中电普华信息技术有限公司 | 故障检测方法、设备 |
-
2002
- 2002-10-31 JP JP2002317452A patent/JP2004150983A/ja not_active Abandoned
Cited By (2)
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JP2007248363A (ja) * | 2006-03-17 | 2007-09-27 | Toshiba Corp | 電子式水道メータ |
WO2020010531A1 (zh) * | 2018-07-10 | 2020-01-16 | 北京中电普华信息技术有限公司 | 故障检测方法、设备 |
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