JP2004150872A - 舶用機器のネットワークシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の超音波探知機同士が超音波干渉することなく、さらに探知情報の減少を抑制することができる、舶用機器のネットワークシステムを提供する。
【解決手段】複数の魚群探知機1,2,3と表示器4,5,6とがネットワーク100により接続されており、さらに魚群探知機1,2,3はそれぞれ送信パルス信号専用回線101で接続されている。この舶用機器のネットワークが動作中は、動作している魚群探知機の内の一つをマスター魚群探知機に設定する。該マスター魚群探知機は、全ての魚群探知機の送信パルス周期の内、最も長い周期を検出し、この送信パルス周期に基づいた送信パルス信号を他の魚群探知機に出力する。そして、全ての魚群探知機はマスター送信パルス信号を用いて同期化が行われ、超音波信号を水中に送信する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、魚群探知機やソナー装置などの物標を探知する探知機と、これらの探知機による探知結果を表示する表示器とをネットワークで接続した舶用機器のネットワークシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
船舶に取り付けられた魚群探知機やソナー装置は、トランスデューサから水中に超音波信号を送信し、そのエコー信号を受信して、水中の物標を探知する。このトランスデューサが送信する超音波信号の周波数は、トランスデューサの形状等により決定されており、探知対象や探知深度に応じて複数種類設定することができないので、周波数別に魚群探知機を備える場合が多い。
【0003】
このような魚群探知機を備えた船舶同士が、互いに近傍で探知を行った場合、それぞれの超音波信号同士が干渉しあうという問題が生じる。すなわち、一方の船舶が水中に送信した超音波信号やそのエコー信号が、他方の船舶により受信されることで、虚像を映し出してしまう可能性が生じる。
【0004】
この問題は、一隻の船舶に複数の魚群探知機やソナー装置が設置されている場合にも発生し、例えば、船首に取り付けられた魚群探知機と、船尾に取り付けられた魚群探知機とが干渉し合うように、自船に備えられた複数の魚群探知機やソナー装置同士が超音波干渉してしまう。
【0005】
このような問題を解決するために、動作中の魚群探知機同士で、超音波信号を送信するタイミングを同期化する方法が用いられてきた。
【0006】
すなわち、超音波信号の送信タイミングを指示する送信パルス信号をすべての魚群探知機で同期化することにより、送信パルス信号の相互干渉をなくし、互いに魚群探知機のエコー信号の影響を小さくする方法である。この方法を用いると、全く同一の周波数である場合を除けば、他機からの超音波信号によるエコー信号の受信レベルが、自機のエコー信号の受信レベルよりも小さくなる。また、同一の物標に反射して得られるエコー信号は自機、他機ともに同一の距離に発生することから、他機のエコー信号は自機のエコー信号にマスクされ、その影響は低減される(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−166055号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来のような魚群探知機間の干渉を抑制する方法には、以下に示す解決すべき課題が存在した。
【0009】
すなわち、複数の魚群探知機で同期を行うためには、この同期を行うための送信パルス信号を発生する必要がある。従来では、送信パルス信号を発生する装置を設置し、複数の魚群探知機に専用の回線で接続して該魚群探知機に送信パルス信号を与える方法が採用されていた。
【0010】
しかし、この方法では、同期化することはできるものの、送信パルス信号発生装置が新たに必要となるため、ネットワーク機器の占めるスペースの割合が増加してしまうとともに、コストが増加してしまう。
【0011】
この課題を解決するため、複数の魚群探知機の内、予め一つの魚群探知機の送信パルス信号をマスター送信パルス信号に設定し、他の魚群探知機に与える方法が考えられている。この方法では、予め複数の表示部付きの魚群探知機を設置する際にマスターとなる前記魚群探知機を設定しておく。そして、これら魚群探知機の電源を入れるとマスター魚群探知機から送信パルス信号が他のスレーブ魚群探知機に出力され、全ての魚群探知機が同期されて超音波を水中に送信する。
【0012】
ところが、このような方法では、マスター送信パルス信号が固定されているため、次に示す問題が生じる。
【0013】
すなわち、マスター送信パルス信号を発生する魚群探知機が固定されているので、この魚群探知機が動作していない場合には、マスター送信パルス信号を発生することができない。
【0014】
また、図5に示すように、マスター送信パルス信号が、スレーブ魚群探知機の超音波送信周期(送信パルス信号の周期)よりも短い場合、スレーブ魚群探知機の超音波送信周期が非常に長くなってしまう。これは、スレーブ魚群探知機が探知レンジ範囲内に入力された送信パルスを受けつけない処理を行っているからである。
【0015】
例えば、マスター送信パルス信号周期が100msec.であり、スレーブ送信パルス信号周期が120msec.であった場合、スレーブ魚群探知機は、受信したマスター送信パルス信号に従い、自機の送信パルス信号を同期化する。この場合、スレーブ魚群探知機は、120msec.周期で超音波信号を送信しているため、同期を行うマスター送信パルス信号におけるパルス▲1▼の直後のパルス▲2▼を受信する時点では、まだ探知レンジ範囲内の超音波信号を受信していることがあり、その直後のパルス▲3▼に同期化して超音波を送信しなければならない場合が生じる。この場合、スレーブ魚群探知機は、200msec.周期で超音波信号を送信することとなる。
【0016】
このように、120msec.周期から200msec.周期に変更して超音波信号を送信しなければならなくなると、探知情報が大幅に減少してしまう。
【0017】
この発明の目的は、複数の魚群探知機同士が超音波干渉することなく、さらに探知情報の減少を抑制することができる複数の魚群探知機等の探知機を備えた舶用機器のネットワークシステムを提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
この発明に示す舶用機器のネットワークシステムは、該ネットワークに接続された探知機のうち一つを任意にマスターに設定し、他の探知機をスレーブに設定する。さらに、マスター探知機は、超音波信号の送信周期を設定する送信パルス情報を全ての探知機から収集し、送信周期が最も長い送信パルス情報に基づいて送信パルス信号を生成して、スレーブ探知機に出力する。スレーブ探知機は、マスター探知機から入力した送信パルス信号に基づいて超音波信号を探知領域に送信することを特徴としている。
【0019】
この構成では、マスター探知機(魚群探知機等)を表示器側(ユーザ)の設定で任意に設定することにより、マスター探知機が常に存在する。すなわち、動作している探知機からマスター探知機が設定され、常にマスター送信パルス信号が出力される。さらに、マスター探知機が、動作中の複数の探知機の送信パルス周期を検知し、最も長い周期の送信パルス信号を自機で生成し、他の探知機に出力することで、動作中の全ての探知機において、互いの超音波干渉を抑制した上で、最も効率の良い周期で超音波が水中に送信され、探知が行われる。
【0020】
また、この発明に示す舶用機器のネットワークシステムは、送信パルス信号のみを入出力する専用回線を複数の探知機間に備えたことを特徴としている。
【0021】
この構成では、複数の探知機間で、送信パルス信号のみが入出力されるので、遅れを生じることなく同期化が行われる。
【0022】
また、この発明に示す舶用機器のネットワークシステムは、マスター探知機が送信パルス信号を出力しなくなった場合に、スレーブ探知機のいずれかをマスター探知機に設定することを特徴としている。
【0023】
この構成では、マスター探知機の電源がOFFになる等の理由により、マスター送信パルス信号が出力されなくなった場合に、動作中の他の探知機の一つを自動的にマスター探知機に設定し、この新たなマスター探知機が他の探知機の送信パルス周期を検知して、最も長い周期の送信パルス信号を生成し、他の探知機に出力する。
【0024】
また、この発明に示す舶用機器のネットワークシステムは、複数の探知機および表示器に、それぞれ異なるIPアドレスを設定し、IPアドレスの最も小さい探知機をマスター探知機に設定することを特徴としている。
【0025】
この構成では、探知機の識別を予め各装置に設定しておいたIPアドレスで行い、例えば、IPアドレスの最も小さい探知機をマスターに登録しておくことで、舶用機器のネットワークシステムに接続された各装置の電源をONにした場合に、自動的にIPアドレスの最も小さい探知機をマスター探知機に設定する。さらに、このマスター探知機の電源がOFFになると、自動的にIPアドレスが次に小さい探知機(動作中の探知機のなかで最もIPアドレスの小さい探知機)を新たなマスター探知機に設定する。
【0026】
また、この発明に示す舶用ネットワークシステムは、前述の探知機を魚群探知機またはソナー装置等の超音波探知装置で構成することを特徴としている。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態に係る舶用機器のネットワークシステムについて、図を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る舶用機器のネットワークシステムの主要部を示すブロック図である。
図2は、魚群探知機1,2,3のそれぞれにおいて、同期化を行う前の送信パルス信号および水中から受信される超音波反射信号を示す概要波形図である。
図3は、魚群探知機1,2,3のそれぞれにおいて、同期化を行った場合の送信パルス信号および水中から受信される超音波反射信号を示す概要波形図である。
図4は、マスター魚群探知機の動作を示すフローチャートである。
【0028】
図1において、1,2,3はそれぞれ本発明の探知機に対応する魚群探知機であり、魚群探知機1,2,3は、それぞれ制御部11,21,31と、探知部12,22,32と、トランスデューサ13,23,33とを備えている。また、4,5,6はそれぞれ表示器であり、表示器4,5,6はそれぞれ制御部41,51,61と、操作部42,52,62と、表示部43,53,63とを備える。これら魚群探知機1,2,3と表示器4,5,6とがそれぞれの制御部でEthernet(登録商標)等のネットワーク100に接続されている。また、魚群探知機1,2,3はネットワーク100とは別の専用の回線101により接続されている。
【0029】
それぞれの制御部11,21,31,41,51,61は各装置(魚群探知機や表示器)のネットワーク接続の制御を行うと共に、各装置間での、探知データや操作データ等の送受信を行っている。
【0030】
また、魚群探知機1,2,3の制御部11,21,31は、各魚群探知機間で専用回線101を介して送信パルス信号の入出力を行っている。
【0031】
魚群探知機1,2,3の探知部12,22,32は、表示器から受信した操作データに基づいて、トランスデューサ13,23,33を駆動する駆動信号を発生するとともに、トランスデューサ13,23,33で受信したエコー信号から探知データを生成する。トランスデューサ13,23,33には複数の振動子が配列設置されており、これらの振動子が探知部12,22,32からの駆動信号により、超音波信号を外部(水中)に送信する。また、水中のエコー信号を前記振動子が受信して、探知部12,22,32に出力する。
【0032】
表示器4,5,6の操作部42,52,62はユーザがキーなどの操作手段を操作することにより入力された命令に基づいて、操作データを生成する。また、表示部43,53,63は探知データや操作データを表示画面に表示する。
【0033】
ここで、例えば、全ての魚群探知機1,2,3および表示器4,5,6が動作した状態で、表示器4が魚群探知機1を制御している場合について示す。
【0034】
ユーザーは、得たい魚群の情報や探知深度を操作部42に入力すると、操作部42は入力に応じた探知レンジや強度等からなる探知部制御情報等の操作データを生成して、制御部41に出力する。制御部41は操作データをネットワーク100を介して、魚群探知機1の制御部11に出力する。この際、各装置にはIPアドレスが予め設定されており、表示器4の制御部41は魚群探知機1のIPアドレス(本実施形態の場合IPアドレス=1)および自機のIPアドレス(本実施形態の場合IPアドレス=4)を前記操作データに添付して送信する。
【0035】
そして、魚群探知機1の制御部11は、該操作データを受信して、探知部12に出力する。探知部12は、入力した操作データの探知部制御情報と他の探知部の送信周期とに基づいて、後述する所定の送信周期、強度等となるように駆動信号を生成して、トランスデューサ13に出力する。トランスデューサ13は駆動信号により励振され、表面に配列設置された振動子を振動させることで、水中等の探知領域に超音波信号を送信する。
【0036】
このように水中に送信された超音波信号が海底や物標等に反射することでエコー信号が発生する。トランスデューサ13は振動子にて所定のエリアのエコー信号を受信して受信ビームを生成し、探知部12に出力する。探知部12はエコー信号の受信ビームに基づいて、探知データを生成して制御部11に出力し、制御部11はネットワーク100を介し表示器4の制御部41に送信する。この場合にも前述のようにIPアドレスを用いることで、発信元の魚群探知機1と受信先の表示器4とを識別する。
【0037】
制御部41で受信した探知データは表示部43に出力され、画面に所定形式で表示される。ユーザは表示された探知データを見ることで、水中等の探知結果を確認することができる。
【0038】
このような舶用機器のネットワークシステムにおいて、各魚群探知機1,2,3の超音波信号(駆動信号)の送信を同期化する方法を図2、図3、図4を参照して説明する。
【0039】
本説明では、魚群探知機1,2,3のそれぞれの送信パルス周期を150msec.,200msec.,120msec.とし、動作中で最もIPアドレスが小さい魚群探知機をマスター魚群探知機とする場合について説明する。
【0040】
本説明の場合で、各魚群探知機1,2,3を同期しなかった場合、それぞれの送信パルス信号およびレンジ相当の受信信号は図2に示す通りとなる。図2に示すように、魚群探知機1は150msec.で送信パルス信号を発信し、これに応じて所定長Tの受信信号を得る。また、魚群探知機2は200msec.で送信パルス信号を発信し、これに応じて所定長Tの受信信号を得る。また、魚群探知機3は120msec.で送信パルス信号を発信し、これに応じて所定長Tの受信信号を得る。
【0041】
一方、各魚群探知機を同期させる場合、IPアドレスが最も小さい魚群探知機1をマスター魚群探知機とし、該マスター魚群探知機は、各魚群探知機の送信パルス信号の周期を検知し、これらの送信パルス信号の内から最も送信周期が長い信号をマスター送信パルス信号として生成し、他のスレーブ魚群探知機2,3に出力する。スレーブ魚群探知機2,3は、マスター送信パルス信号に基づいて同期化することで、図3に示すよう、全ての魚群探知機1,2,3で200msec.の送信周期で、それぞれ長さがT,T,Tの受信信号を得ることができる。
【0042】
ここで、マスター魚群探知機1は、電源投入の際に自動的に設定される。本実施形態では、各魚群探知機1,2,3の電源が投入されると、各制御部11,21,31はそれぞれのIPアドレスを確認して、最も小さいIPアドレスの魚群探知機1をマスター魚群探知機として設定する。
【0043】
次に、前述の同期を行う際のマスター魚群探知機1の動作について、図4のフローチャートを用いて説明する。
【0044】
電源が投入されると、魚群探知機1は、ネットワークに接続された他の魚群探知機と通信し、IPアドレスを比較して自機がマスター魚群探知機であることを確認する(s1)。魚群探知機1がマスター魚群探知機であると確認されると、魚群探知機1は、他の魚群探知機(スレーブ魚群探知機)の送信パルス信号の周期を収集し、自機の送信パルス信号の周期と比較する(s2)。次に、自機の送信パルス信号の周期が最も長ければ、該送信パルス信号をマスター送信パルス信号としてスレーブ魚群探知機2,3に回線101を用いて出力する(s3→s4)。スレーブ魚群探知機2,3は前述のようにマスター魚群探知機1から出力された送信パルス信号を入力する。そして、各魚群探知機1,2,3は前記送信パルス信号に基づいて超音波信号を水中に送信し、探知範囲相当の超音波反射信号を受信する(s5)。
【0045】
ここで、マスター魚群探知機1の送信パルス信号の周期が他のスレーブ魚群探知機2,3の送信パルス信号の周期よりも短かった場合には(例えば図2における魚群探知機1と魚群探知機2との送信パルス信号の周期の関係)、マスター魚群探知機1は、送信パルス信号の周期をスレーブ魚群探知機における最も周期の長い送信パルス信号の周期に変換する。そして、変換された送信パルス信号は、マスター送信パルス信号としてスレーブ魚群探知機2,3に出力される(s3→s9→s4)。この動作は、自機の設定が変更されるか、他機(スレーブ魚群探知機)の設定が変更され、最も長い送信パルス周期が変更されるまで繰り返される。すなわち、送信パルス信号が生成、出力されている時点で、表示器4の操作部42により、探知深度の変更等の超音波信号の送信周期が変更されると、魚群探知機1の制御部11は新たな送信パルス信号の周期と、スレーブ魚群探知機2,3の送信パルス信号の周期とを比較し、前述のような送信パルス信号の生成、出力を行う(s6→s2)。また、スレーブ魚群探知機2,3の設定が変更された場合には、その変更による送信パルス信号の周期の変更が魚群探知機1の制御部11により確認され、それぞれの魚群探知機1,2,3の送信パルス信号の周期が比較されて、新たなマスター送信パルス信号が設定される(s7→s2)。このような一連の動作は、マスター魚群探知機1の電源がOFFなるまで繰り返される(s8→s4)。
【0046】
なお、マスター魚群探知機1の電源がOFFとなると、他の魚群探知機2,3は魚群探知機1から送信パルス信号が出力されないことを検出して、魚群探知機2,3の内のIPアドレスの小さい魚群探知機をマスター魚群探知機として設定する。本実施形態の場合では、魚群探知機2を新たなマスター魚群探知機に設定し、マスター魚群探知機2は前述の魚群探知機1と同様の動作を行い、基準となる送信パルスを生成し、魚群探知機3に出力する。
【0047】
一方、新たな魚群探知機がネットワークに接続された場合や、ネットワークに物理的に接続されているが電源がONされていなかった魚群探知機の電源がONされた場合には、各魚群探知機はそれぞれのIPアドレスを確認し、最もIPアドレスの小さい魚群探知機をマスター魚群探知機に設定する。
【0048】
このような構成とすることで、舶用機器のネットワークシステムに接続されている、複数の魚群探知機は、同期化されて、同じ送信周期で超音波信号を水中に送信する。これにより、各魚群探知機間での超音波干渉を抑制するとともに、選択し得る最も短い周期の送信パルス信号で同期化を行うことができ、探知情報の減少を抑制することができる。
【0049】
また、マスター魚群探知機が電源OFF等で送信パルス信号を送信できなくなってしまっても、自動で新たなマスター魚群探知機を設定することができるので、ネットワークの状況変化が生じても、常に複数の魚群探知機を同期化しておくことができる。
【0050】
また、このようなマスター魚群探知機の設定に、ネットワークで各装置を識別するIPアドレスを用いることにより、容易にマスター魚群探知機を設定することができる。さらに、ネットワークに新たに探知機が接続された場合でも、IPアドレスのみで識別されるので、新たにネットワーク全体の設定変更を行う必要が無く、容易にマスター魚群探知機を設定することができる。
【0051】
また、前述のように、送信パルス信号の入出力を専用回線で行うことにより、操作データや探知データの送受信によるネットワークのデータ通信状況に関係なく、遅れを生じることなく送信パルス信号を入出力することができる。
【0052】
なお、本実施形態では、探知機として魚群探知機の場合を示したが、探知機として、魚群探知機の他にソナー装置等の超音波探知装置を用いてもよく、ネットワークに魚群探知機とソナー装置とが両方接続されている場合についても、前記の方法および効果を適用することができる。
【0053】
また、本実施形態では、送信パルス信号の入出力に専用回線を用いたが、送信パルス信号をネットワークを介して入出力してもよい。この場合、送信パルス信号専用回線を設ける必要がなくなるため、ネットワークを簡略化することができる。
【0054】
また、本実施形態では、電源投入と同時にIPアドレスを参照して、マスター探知機を設定したが、ネットワークに接続されている表示器により、任意にマスター探知機を変更することができるようにしてもよい。
【0055】
【発明の効果】
この発明によれば、マスター探知機を表示器側(ユーザ)で任意に設定することにより、マスター探知機を常に存在させることができ、常にマスター送信パルス信号を発生し、各探知機を同期化することができる。さらに、マスター探知機が、動作中の複数の探知機の送信パルス周期を収集し、最も長い周期の送信パルス信号を自機で生成し、他の探知機に出力することで、動作中の全ての探知機において、互いの超音波干渉を抑制した上で、最も効率の良い周期で同期化し、探知を行うことができる。
【0056】
また、この発明によれば、送信パルス信号専用回線を用いることで、複数の探知機間で、送信パルス信号を探知データ等に影響されることなく入出力することができ、遅れを生じることなく同期化することができる。
【0057】
また、この発明によれば、マスター探知機が送信パルスを送信できなくなった場合に、動作中の他の探知機の一つを自動的にマスター探知機に設定し、該マスター探知機が他の探知機の送信パルス周期を収集して、最も長い周期の送信パルス信号を生成し、他の探知機に出力することにより、ネットワークの接続状況が変化しても、常に基準となる送信パルス信号を入出力することができ、各探知機を常に同期化することができる。
【0058】
また、この発明によれば、探知機の識別を予め各装置に設定しておいたIPアドレスで行うことで、舶用機器のネットワークシステムに接続されている各装置の電源をONにした時点で、自動的にIPアドレスの最も小さい探知機をマスター探知機に設定したり、マスター探知機の電源がOFFになると、自動的にIPアドレスが次に小さい探知機(動作中の探知機のなかで最もIPアドレスの小さい探知機)を新たなマスター探知機に設定することができ、容易にマスター探知機を設定することができる。
【0059】
前記探知機を魚群探知機やソナー装置で構成することにより、複数の魚群探知機やソナー装置を同時に動作させても、それぞれの装置間で超音波干渉することなく、魚群の探知や、海底地形、水中の探知を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る舶用機器のネットワークシステムの主要部を示すブロック図
【図2】図1に示した舶用機器のネットワークシステムに接続された魚群探知機を同期化を行わずに使用した場合の送信パルス信号および受信信号を示した波形図
【図3】図1に示した舶用機器のネットワークシステムに接続された魚群探知機を同期化して使用した場合の送信パルス信号および受信信号を示した波形図
【図4】マスター魚群探知機の動作を示すフローチャート
【図5】従来の同期化方法を示す波形図
【符号の説明】
1,2,3−魚群探知機
11,21,31−魚群探知機の制御部
12,22,32−魚群探知機の探知部
13,23,33−魚群探知機のトランスデューサ
4,5,6−表示器
41,51,61−表示器の制御部
42,52,62−表示器の操作部
43,53,63−表示器の表示部
100−ネットワーク
101−送信パルス信号専用回線

Claims (6)

  1. 探知領域へ超音波信号を送信し、物標による前記超音波信号のエコー信号を受信することで、前記物標の探知を行う探知機と、該探知機で探知された結果を表示する表示器とをそれぞれ複数備え、前記探知機と前記表示器とをネットワーク接続した舶用機器のネットワークシステムにおいて、
    前記探知機のうち一つをマスター探知機に、他の探知機をスレーブ探知機に設定し、
    前記マスター探知機は、送信パルス信号を生成して前記スレーブ探知機に出力し、
    前記スレーブ探知機は、前記マスター探知機から入力した送信パルス信号に基づいて前記超音波信号を前記探知領域に送信することを特徴とする舶用機器のネットワークシステム。
  2. 前記マスター探知機は、前記超音波信号の送信周期を設定する送信パルス情報を全ての探知機から収集し、送信周期が最も長い送信パルス情報に基づいて送信パルス信号を生成する請求項1に記載の舶用機器のネットワークシステム。
  3. 前記送信パルス信号のみを入出力する専用回線を前記複数の探知機間に備えた請求項1または請求項2に記載の舶用機器のネットワークシステム。
  4. 前記マスター探知機が送信パルス信号を出力しなくなった場合に、前記スレーブ探知機のいずれかをマスター探知機に設定する請求項1〜3のいずれかに記載の舶用機器のネットワークシステム。
  5. 前記複数の探知機および前記複数の表示器に、それぞれ異なるIPアドレスを設定し、動作中の探知機の内、特定の探知機を前記マスター探知機に設定する請求項1〜4のいずれかに記載の舶用機器のネットワークシステム。
  6. 前記探知機が魚群探知機またはソナー装置等の超音波探知装置である請求項1〜5のいずれかに記載の舶用機器のネットワークシステム。
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