JP2004150540A - ダストレス断熱材及びその製造方法 - Google Patents

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Tadahiro Omi
忠弘 大見
Osamu Suenaga
修 末永
Yoshiyuki Motoyoshi
芳之 本吉
Mitsuyuki Wadasako
三志 和田迫
Takahiro Omura
高弘 大村
Tsutomu Kobayashi
強 小林
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Abstract

【課題】耐熱性が高く、低発塵性に優れ、アウトガスが防止でき、また複雑な突出形状の配管などに対応でき、静電気による外層材表面へのゴミ付着がない、ダストレス断熱材及びその製造方法の提供。
【解決課題】芯材4と、芯材を被覆する外層材2,3とを備え、外層材の周縁部5,5は、縫製加工50と熱融着加工51とが施されている。また配管に取り付けるダストレス断熱材であって、配管を保温するための無機質成形体からなる断熱層は、発塵防止のために耐熱樹脂にて被覆されている。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、断熱材から発生する発塵を防止して、クリーン性の高いダストレス断熱材に関するものである。
【従来の技術】
【0002】
従来、この種のダストレス断熱材には、各種構造のものが開発されている。例えば、外層材として合成樹脂シートを使用し、芯材として無機繊維を使用し、前記外層材の接着方法は、外層材の周縁部を熱融着または縫製或いは接着剤を使用して接着している(特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
ところで、これら従来の断熱材には、次のような課題がある。
▲1▼ 耐熱性について課題がある。つまり通常は150℃程で十分であるが、使用条件により温度が不足し、耐熱条件も300℃程度の耐熱性が望まれている。
▲2▼ 芯材に起因するパーティクル(細かい塵)は、発塵による汚染を嫌い、粉塵量の管理が必要であり、その発生が防止できない。
▲3▼ アウトガスの発生があり、その防止ができない。
▲4▼ 柔軟性が不足しているため、チャンバーまわりのような配管など複雑な突出形状には対応できない。
▲5▼ 静電気による外層材表面へのゴミの付着が防止できない。
【0004】
また、半導体,液晶,電子部品などの製造においては、そのプロセス工程、エッティング工程などに熱を帯びた反応ガスや液体などといった熱流体を使用する。このため、これら半導体工場、電子材料工場などでは、熱流体の熱損失を防ぐために熱流体用の配管に断熱材を施している。
【0005】
従来、この熱流体用の配管の断熱構造としては、配管の外周をロックウール、ガラスウールなどの無機繊維で被覆し、さらにその表面を金属外層材にて被覆した構造や、配管の外周をシリコーンやフッ素樹脂などの耐熱性樹脂製の発泡体にて被覆した構造が知られている。
【0006】
しかし、半導体工場や電子材料工場などでは、よりクリーン性が要求されるところ、前記従来技術の前者においては、無機繊維が配管に露出した構造であるため、発塵があり、好ましくない。仮に、金属材料にて全面を被覆せしめた場合でも、金属の熱伝導性が良いため、断熱性能に劣るなどの問題があった。
【0007】
前記従来技術の後者においては、発塵性を低減させるため、耐熱性樹脂製の発泡体にて被覆しているが、その場合も高温の配管で使用されることで発泡体の内部から揮発ガスの発生があり、好ましくない。
【0008】
また、配管の断熱構造に関する技術が、特許文献3『断熱保温チューブ』に開示されている。これは、被保温管を保温するために被着される断熱保温チューブに関する技術であるが、この断熱保温チューブは、軟質断熱性管状体の外周面を軟質合成樹脂シートで被覆したものである。
【0009】
しかし、この軟質合成樹脂シートは、断熱保温チューブを被保温管へ被着する被着作業の施工性を高めるために用いられるものであって、被保温管へ被着された断熱保温チューブの使用時におけるクリーン性という課題を解決するものではない。
【0010】
【特許文献1】
特開平6−79849号公報
【特許文献2】
特開2000−336793号公報
【特許文献3】
特開平8−93989号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、断熱材から発生する発塵を防止して、クリーン性の高いダストレス断熱材の提供を目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、第1の発明は、芯材と、前記芯材を被覆する外層材とを備え、該外層材の周縁部は、縫製及び熱融着させていることを特徴とする。
【0013】
なお、第1の発明は、以下のことを特徴としてもよい。
▲1▼ 前記芯材の熱伝導率は、200℃で1W/m・K以下、好ましくは0.5W/m・K以下、より好ましくは0.1W/m・K以下であることを特徴とする。▲2▼ 前記芯材が、加熱により揮発ガスを発生させる揮発ガス発生成分を含まないことを特徴とする。例えば、前記芯材は、200℃加熱条件下でのパージアンドトラップガスクロマトグラフ質量分析法(P&T−GC/MS法)により検出される揮発成分が500ppm以下、好ましくは200ppm以下、より好ましくは100ppm以下であることを特徴とする。
▲3▼ 前記外層材の周縁部は、芯材と略同じ厚みを維持するための案内材が介在させてあることを特徴とする。
▲4▼ 前記外層材は、フッ素樹脂製であることを特徴とする。
▲5▼ 前記外層材の周縁部は、該外層材に比べて融点が低いフィルムを介在させて熱融着させていることを特徴とする。
【0014】
また、上記目的を達成するため、第2の発明は、配管に取り付けるダストレス断熱材であって、配管を保温するための無機質成形体からなる断熱層を、発塵防止のために耐熱性樹脂にて被覆したことを特徴とする。
【0015】
ここで、「無機質成形体」とは、例えば、ロックウール、ガラス繊維、ムライト繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維などの繊維質成形体が挙げられる。また、セラミックス粉体(例えば、アルミナ、ムライト、コーディライト、シリカなど)からなる成形体も挙げられる。さらには、上記繊維とセラミックス粉体とを2種以上組み合わせてなる成形体も挙げられる。なお、その他にも、けい酸カルシウムなど無機質の成形体であればこれに含まれる。
【0016】
「耐熱性樹脂」には、200℃加熱条件で、パージアンドトラップ・ガスクロマトグラフ質量分析法(P&T−GC/MS法)により検出される揮発ガス発生成分の値が、通常は500ppm以下、好ましくは200ppm以下、より好ましくは100ppm以下であることが必要である。このような耐熱性樹脂として、例えば、PTFE,PFAなどのフッ素樹脂、変性フッ素樹脂、シリコーン、変性シリコーンの一種、またはこれらの何れかを組み合わせたものが挙げられる。
【0017】
ここで、「P&T−GC/MS法」とは、微量揮発性成分の分析に用いられる技術であり、捕集・濃縮技術と分離分析技術とからなる。捕集・濃縮技術がパージアンドトラップ法(P&T法)であり、分離分析技術がガスクロマトグラフ質量分析法(GC/MS法)である。具体的には、試料(今回は、断熱層としての無機質成形体、被覆材としての耐熱性樹脂)を加熱(今回は、200℃)して、揮発性成分を発生させ、それをパージガスで追い出して冷却した吸着剤にトラップ・濃縮した後、熱脱着させて、GC/MSに導入・分析する。P&T法は、パージガスを使用し、強制的に揮発性成分を追い出すため、分子量の大小を問わず、微量揮発性成分の分析に適している。
【0018】
なお、第2の発明は、以下のことを特徴としてもよい。
▲1▼ 配管を保温する無機質成形体からなる断熱層が、加熱により揮発ガスを発生させる揮発ガス発生成分を含まないことを特徴とする。
▲2▼ 200℃加熱条件で、パージアンドトラップ・ガスクロマトグラフ質量分析法により検出される断熱層の揮発ガス発生成分の値が500ppm以下であることを特徴とする。
【0019】
ここで、「断熱層が、加熱により揮発ガスを発生させる揮発ガス発生成分を含まない」とは、当該成分が断熱層に含まれていた場合であっても、これをベーキング処理などによって除去することで含まれなくなった場合もこれに該当する。具体的には、200℃加熱条件で、パージアンドトラップ・ガスクロマトグラフ質量分析法(P&T−GC/MS法)により検出される断熱層の揮発ガス発生成分の値が、通常は500ppm以下、好ましくは200ppm以下、より好ましくは100ppm以下であることが必要である。
【0020】
さらに、第2の発明であるダストレス断熱材の製造方法に関する発明として、以下のものが考えられる。
▲1▼ 配管に取り付けるダストレス断熱材の製造方法であって、配管を保温するための無機質成形体からなる断熱層に、耐熱性樹脂からなるコーティング液又は粉体を塗布し、加熱により硬化させて断熱層を被覆することを特徴とする。
▲2▼ 配管に取り付けるダストレス断熱材の製造方法であって、配管を保温するための無機質成形体からなる断熱層を、耐熱性樹脂シートで包み、シートの重なり部を熱接着して断熱層を被覆することを特徴とする。
▲3▼ 前記▲1▼▲2▼にあって、耐熱性樹脂による被覆前の断熱層を焼成し、加熱により揮発ガスを発生させる揮発ガス発生成分を除去することを特徴とする。
▲4▼ 前記▲3▼にあって、本発明の第七は、200℃加熱条件で、パージアンドトラップ・ガスクロマトグラフ質量分析法により検出される断熱層の揮発ガス発生成分の値を500ppm以下、好ましくは200ppm以下、より好ましくは100ppm以下に除去することを特徴とする。
【0021】
【作用】
上記した第1の発明によれば、以下のような作用を奏する。
▲1▼ 芯材を被覆する外層材の周縁部は、縫製及び熱融着であるため、その接着強度が高まる。特に縫製及び熱融着が施してあるので、接着強度が増し、その熱により溶けた樹脂が縫い目に入り込み、より完全な密封ができる。
▲2▼ 芯材の熱伝導率が200℃で1W/m・K以下であるため、熱伝導を抑制でき、その耐熱性が高まる。
▲3▼ 使用中に揮発ガスの発生が防止される。例えば200℃の高温に晒されてもアウトガスの発生は、500ppm以下に抑えることができる。
▲4▼ 周縁部は芯材と略同じ厚みに維持されるため、図3のように周縁部同士を直接熱融着する場合に比べ、その熱融着の融着部分の接着度が安定し、強度が増す。
▲5▼ ふっ素樹脂製であるため、低熱伝導性で柔軟性があり、複雑な突出形状の配管などへの密着性が高くなり加工性がよくなる。
▲6▼ 外層材の周縁部は、外層材に比べ融点が低いフィルムが介在させてあるため、外層材とは溶融温度が低くなり、低い温度で短時間に熱融着できる。
【0022】
上記した第2の発明によれば、配管に取り付けるダストレス断熱材であって、配管を保温するための無機質成形体からなる断熱層が、発塵防止のために耐熱性樹脂にて被覆されることで、断熱材からの材料の飛散(発塵)がなくなる。
【0023】
また、断熱層及びそれを被覆する耐熱性樹脂が、加熱により揮発ガスを発生させる揮発ガス発生成分を含まないことで、断熱材が高温の配管に使用されても、断熱材からの揮発ガスの発生がなくなる。
【0024】
【発明の実施の形態】
第1の発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は、第1の発明に係るダストレス断熱材を分解した第1例の説明図、図2は、同第1例を示す断面図、図3は、同第2例を示す断面図、図4は、同第3例を示す断面図である。
【0025】
図1は、第1の発明のフレキシブルなダストレス断熱材1の基本構成を示す説明図であり、断熱材1は、上・下の外層材2,3と芯材4とで構成されている。この外層材2,3は、低熱伝導性に優れ、柔軟性のある材料、例えば、ふっ素樹脂製シートを選択でき、その形状は、使用目的により異なるが、通常は長方形のシート状に構成されている。そして、外層材2,3の場合、200℃加熱条件下でのパージアンドトラップガスクロマトグラフ質量分析法により検出される揮発成分が、通常は500ppm以下、好ましくは200ppm以下のものがよく、さらに好ましくは100ppm以下のものが挙げられる。
【0026】
前記芯材4は、無機繊維製が好ましく、マット状に形成されている。その形状は、使用目的により異なるが、通常は所定厚みを備える立方体状に構成されている。芯材4として、200℃加熱条件下でのパージアンドトラップガスクロマトグラフ質量分析法により検出される揮発成分が500ppm以下、好ましくは200ppm以下のものがよく、さらに好ましくは100ppm以下のものが挙げられる。
【0027】
図1及び図2に示すように、第1例の断熱材1は、外層材2,3としてふっ素樹脂製シートであり、芯材4として無機繊維のロックウールで構成されている。この外層材2,3のそれぞれの周縁部5,5,…は、例えばふっ素樹脂糸で縫製50と熱融着51とが施されている。
【0028】
図3に示す第2例の断熱材1aは、その周縁部5,5,…の接着が外層材2,3に比べて融点が低いフィルム52、例えば、フェノール樹脂やエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂といった熱硬化性樹脂や、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミドといった熱可塑性樹脂を使用して熱融着させている。
【0029】
図4に示す第3例の断熱材1bは、その周縁部5,5,…に芯材4の厚みと略同幅を維持するための案内材55が介在させてあり、前記と同じ融点が低いフィルム52を使用して熱融着させている。
【0030】
なお、図示を省略するが、複雑な突出形状の配管など湾曲管には、その湾曲形状に芯材を形成させ、この芯材に合わせて外層材2枚を形成して芯材を被覆するようにすればよい。
【0031】
次に、第2の発明の実施形態を図面を参照して説明する。図5は、第2の発明の断熱材の断面図、図6は、第2の発明の断熱材の被覆方法の一例を示す説明図、図7は、第2の発明の断熱材の被覆方法の一例を示す説明図である。
【0032】
図5は、第2の発明の実施形態である配管用の断熱材9を示す断面図である。配管30は、熱を帯びたガスや液体など熱流体を輸送するための配管である。そして、その配管30を保温し、輸送中の液体やガスの温度低下を防止するために、配管30の外周に断熱材9が取り付けられている。断熱材9は、高温下の配管30に取り付けて使用されるものであるために、安全使用温度の低い有機質のものではなく、安全使用温度の高い無機質を一種もしくは複数種組合せた無機質成形体からなる断熱層10を使用する。
【0033】
この断熱層10は、配管30からの加熱により、揮発ガスを発生させる場合もある。これを防止するために、断熱層10の材質には、加熱により揮発ガスを発生させ得る有機物などの揮発ガス発生成分は含まれないようにする。かりに、その成形した断熱層10の中に、揮発ガスの原因となり得る有機物などが認められる場合には、あらかじめ断熱層10の無機質成形体を焼成することにより、これを除去する。
【0034】
また、断熱層10は耐熱性樹脂20で被覆されている。耐熱性樹脂20は耐熱性であるから、断熱層10が高温となってもその被覆機能は損なわれず、断熱層10からの発塵を防止できる。また、200℃加熱条件で、パージアンドトラップ・ガスクロマトグラフ質量分析法(P&T−GC/MS法)により検出される揮発ガス発生成分の値が、通常は500ppm以下、好ましくは200ppm以下、より好ましくは100ppm以下とすることで、耐熱性樹脂20からの揮発ガス発生も抑えることができる。
【0035】
半導体工場や電子材料工場などで使用される熱流体用配管の温度は、通常150℃程度になるが、将来的には250℃程度にまで上がる可能性がある。従って、本発明で用いる耐熱性樹脂20は、300℃程度の高い耐熱性を有するフッ素樹脂、変性フッ素樹脂ならびにシリコーン、変性シリコーンから選ばれた一種または複数種類の耐熱性樹脂を用いることが好ましい。やや耐熱性が低いことを許容するのであれば、上記耐熱性樹脂にエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、さらには、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂を加えることができる。
【0036】
図6及び図7に断熱層10に耐熱性樹脂20を被覆する方法の一例を示す。
図6は、耐熱性樹脂コーティング液又は粉体を用いたものである。すなわち、耐熱性樹脂からなるコーティング液又は粉体21を断熱層10の全面に塗布する。そして、所定時間加熱により硬化させて、断熱層10を被覆せしめる方法である。
【0037】
図7は、耐熱性樹脂シートを用いたものである。耐熱性樹脂シート26,26にて、断熱層10の円弧状の外周面11と凹部を有する内周面12とを包み、重なり部を所定温度のヒートシーラーによって熱接着する。また、断熱層10の側面13,13には、耐熱性樹脂板27,27をはめ込んで、耐熱性樹脂シート26,26との重なり部を同様にヒートシーラーによって熱接着し、断熱層10を被覆せしめる方法である。
【0038】
【実施例】
以下、第2の発明の耐熱性樹脂にて被覆された断熱材の実施例を示す。
【0039】
(実施例1)
断熱層の製造工程は次の通りである。
▲1▼アルミナシリカファイバ、無機バインダ、有機バインダからなるスラリーを作製する。
▲2▼それを吸引脱水成形せしめることにより、所望の無機質成形体を得る。
▲3▼成形体を乾燥させ、揮発成分の環因となり得る有機物を800℃にて焼失する。
【0040】
耐熱性樹脂による断熱層の被覆工程は次の通りである。
▲1▼断熱層である無機質成形体の全面にPFA静電粉体(デュポン社製MP−10)を塗布する。
▲2▼塗布後、360℃×20minの条件にて加熱し、PFAの被膜を作製する。
▲3▼これにより全面を耐熱性樹脂にて被覆した断熱材を得る。
【0041】
(実施例2)
断熱層の製造工程は、上記実施例1と同じである。
【0042】
耐熱性樹脂による断熱層の被覆工程は次の通りである。
▲1▼断熱層である無機質成形体の周囲を厚み50〜125/μmのPFAシートにて包む。
▲2▼その後、シートの重なり部をヒートシーラーにより300℃程度の温度にて加熱せしめることにより、接着させる。
▲3▼さらに、無機質成形体の両端部に厚み1〜2mmのPFA板をはめ込み、同様にPFA板とPFAシートの重なり部をヒートシーラーにより接着する。
▲4▼これにより全面を耐熱性樹脂にて被覆した断熱材を得る。
【0043】
【発明の効果】
第1の発明は、上記構成であれば、次のような効果がある。
▲1▼ 芯材を被覆する外層材の周縁部は、縫製及び熱融着が施してあるため、その接着強度が高まり、特にその熱により溶けた樹脂が縫い目に入り込み、縫製と熱融着とが相俟ってより完全な密封が可能となる。
▲2▼ 芯材の熱伝導率が200℃で1W/m・K以下であるため、熱伝導を抑制でき、その耐熱性が高まる。
▲3▼ 使用中に揮発ガスの発生を防止できる。例えば200℃の高温に晒されてもアウトガスの発生は、500ppm以下に抑えることができる。
▲4▼ 周縁部は芯材と略同じ厚みに維持されるため、周縁部同士を直接熱融着する場合に比べ、その熱融着の融着部分の接着度が安定し、強度が増す。
▲5▼ ふっ素樹脂製であるため、低熱伝導性で柔軟性があり、複雑な突出形状の配管などへの密着性が高くなり加工性がよくなる。
▲6▼ 外層材の周縁部は、外層材に比べ融点が低いフィルムが介在させてあるため、外層材とは溶融温度が低くなり、低い温度で短時間に熱融着できる。
【0044】
第2の発明は、上記構成であれば、以下のような効果がある。
▲1▼ 配管に取り付けた断熱材からの発塵や揮発ガスの発生がない、極めてクリーン性の高い配管用断熱構造が得られる。
▲2▼ 配管への設置における衝撃に対する外部保護層の役割を果たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の発明に係るダストレス断熱材を分解した第1例の説明図。
【図2】第1の発明の第1例を示す断面図。
【図3】第1の発明の第2例を示す断面図。
【図4】第1の発明の第3例を示す断面図。
【図5】第2の発明の断熱材の断面図。
【図6】第2の発明の断熱材の被覆方法の一例を示す説明図。
【図7】第2の発明の断熱材の被覆方法の一例を示す説明図。
【符号の説明】
2,3 外層材
4 芯材
5,5,… 周縁部
50 縫製
51 熱融着

Claims (14)

  1. 芯材と、該芯材を被覆する外層材とを備え、
    該外層材の周縁部は、縫製及び熱融着させていることを特徴とするダストレス断熱材。
  2. 請求項1記載のダストレス断熱材において、
    前記芯材の熱伝導率は、200℃で1W/m・K以下であることを特徴とするダストレス断熱材。
  3. 請求項1又は2記載のダストレス断熱材において、
    前記芯材が、加熱により揮発ガスを発生させる揮発ガス発生成分を含まないことを特徴とするダストレス断熱材。
  4. 請求項3記載のダストレス断熱材において、
    前記芯材は、200℃加熱条件下でのパージアンドトラップガスクロマトグラフ質量分析法により検出される揮発成分が500ppm以下であることを特徴とするダストレス断熱材。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載のダストレス断熱材において、前記外層材の周縁部は、芯材と略同じ厚みを維持するための案内材が介在させてあることを特徴とするダストレス断熱材。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載のダストレス断熱材において、
    前記外層材は、フッ素樹脂製であることを特徴とするダストレス断熱材。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載のダストレス断熱材において、前記外層材の周縁部は、該外層材に比べて融点が低いフィルムを介在させて熱融着させていることを特徴とするダストレス断熱材。
  8. 配管に取り付けるダストレス断熱材であって、
    配管を保温するための無機質成形体からなる断熱層を、発塵防止のために耐熱性樹脂にて被覆したことを特徴とするダストレス断熱材。
  9. 配管を保温する無機質成形体からなる断熱層が、加熱により揮発ガスを発生させる揮発ガス発生成分を含まないことを特徴とする請求項8記載のダストレス断熱材。
  10. 200℃加熱条件で、パージアンドトラップ・ガスクロマトグラフ質量分析法により検出される断熱層の揮発ガス発生成分の値が500ppm以下であることを特徴とする請求項9記載のダストレス断熱材。
  11. 配管に取り付けるダストレス断熱材の製造方法であって、
    配管を保温するための無機質成形体からなる断熱層に、耐熱性樹脂からなるコーティング液又は粉体を塗布し、加熱により硬化させて断熱層を被覆することを特徴とするダストレス断熱材の製造方法。
  12. 配管に取り付けるダストレス断熱材の製造方法であって、
    配管を保温するための無機質成形体からなる断熱層を、耐熱性樹脂シートで包み、シートの重なり部を熱接着して断熱層を被覆することを特徴とするダストレス断熱材の製造方法。
  13. 耐熱性樹脂による被覆前の断熱層を焼成し、加熱により揮発ガスを発生させる揮発ガス発生成分を除去することを特徴とする請求項11又は12記載のダストレス断熱材の製造方法。
  14. 200℃加熱条件で、パージアンドトラップ・ガスクロマトグラフ質量分析法により検出される断熱層の揮発ガス発生成分の値を500ppm以下に除去することを特徴とする請求項13記載のダストレス断熱材の製造方法。
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