JP2004150123A6 - 多層ラーメン高架橋の鋼板巻き補強工事における急速施工方法及び治具 - Google Patents
多層ラーメン高架橋の鋼板巻き補強工事における急速施工方法及び治具 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】安全に、効率良く、しかも短期間で多層ラーメン高架橋の補強工事を行う。
【解決手段】既設の多層ラーメン高架橋の橋脚Pに補強鋼板Sを巻立て、モルタルM注入することにより橋脚Pの耐震性を増大させるための工事において、橋脚P間の梁材B上に設置させる支持フレーム12に鋼板Sを橋脚Pに巻立てる受け台22を傾倒自在に配してなる施工用治具を、地面Gに設置した後、受け台22を傾倒させた施工用治具を一対、梁材B上にそれぞれ設置した後、各受け台22上に補強鋼板Sを固定した後、受け台22を垂直に起立させ、補強鋼板Sを橋脚P外周両側に立設させた後、両補強鋼板Sを溶着させ、補強鋼板Sと橋脚P外周面との間にモルタルMを注入することを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】既設の多層ラーメン高架橋の橋脚Pに補強鋼板Sを巻立て、モルタルM注入することにより橋脚Pの耐震性を増大させるための工事において、橋脚P間の梁材B上に設置させる支持フレーム12に鋼板Sを橋脚Pに巻立てる受け台22を傾倒自在に配してなる施工用治具を、地面Gに設置した後、受け台22を傾倒させた施工用治具を一対、梁材B上にそれぞれ設置した後、各受け台22上に補強鋼板Sを固定した後、受け台22を垂直に起立させ、補強鋼板Sを橋脚P外周両側に立設させた後、両補強鋼板Sを溶着させ、補強鋼板Sと橋脚P外周面との間にモルタルMを注入することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、道路、鉄道の多層ラーメン高架橋等の橋脚の耐震性を増大させるための補強工事における急速施工方法及び治具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
元来、道路、鉄道の多層ラーメン高架橋等の鉄筋コンクリート製橋脚の耐震性を増大させるために、図7に示すように、橋脚の断面が矩形状である場合には、橋脚外周面に両側から、L型またはコ字型の2個の補強鋼板を巻立て(取囲み)、両補強鋼板を溶接させた後、この補強鋼板と橋脚外周との間にモルタルを注入して補強工事が行われている。
【0003】
この工事を行う場合、大型車両により運搬されてきた大重量の補強鋼板を、その荷台から、クレーン等の吊上装置により垂直にして吊上げ、高所作業車の搭乗部に搭乗した作業者が手作業により位置調整し、橋脚の片側外周面に仮止めした後、再び別の補強鋼板を橋脚の他方の片側外周面に仮止めした後、高所作業車の搭乗部に搭乗した作業者が仮止めした両補強鋼板を溶接した後、補強鋼板と橋脚外周面との間にモルタルを注入していた(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0004】
【特許文献1】
特許第3079124号公報(第2−3頁、図1−4)
【特許文献2】
特許第3032716号公報(第4−5頁、図1)
【特許文献3】
特開平9−302627号公報(第2−3頁、図1−4)
【特許文献4】
特開平9−177036号公報(第3−4頁、図1、6、7)
【0005】
なお、図7中Pは橋脚、Sは補強鋼板、Mはモルタルを示す。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の橋脚補強工事は、補強鋼板を吊上装置により垂直にして吊上げる都合上、吊上げスペースを広く必要とし、橋脚の高さが低い場合には補強鋼板吊上げ作業が不可能となるため、補強鋼板を分割して作業を行う必要があり、工程遅延の要因となっていた。
【0007】
また、補強鋼板の橋脚外周への位置調整を作業者が手作業により行うため、作業に多大な労力と時間を必要とするばかりか、非常に危険であった。
【0008】
本発明は、このような欠点に鑑み、安全に、効率良く、しかも短期間で多層ラーメン高架橋の補強工事を行うことができる多層ラーメン高架橋の鋼板巻き補強工事における急速施工方法及び治具を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、既設の橋脚に補強鋼板を巻立て、この鋼板と橋脚外周面との間にモルタルを注入することにより、橋脚の耐震性を増大させるための工事において、隣接する橋脚間に配設された梁材上に設置させる支持フレームの前後方向の一側縁に、鋼板を橋脚外周に立設させる受け台を起倒自在に配してなる治具を、受け台を傾倒させ、高さを低くした状態とし、この治具を一対、補強すべき橋脚の両側の梁材上に、吊上手段を介してそれぞれ設置した後、各治具の受け台上に鋼板を固定した後、各治具の受け台を垂直に起立させ、受け台に固定した鋼板を橋脚外周両側に立設させた後、両鋼板を溶着させ、鋼板と橋脚外周面との間にモルタルを注入することを特徴とするもの、
または受け台を支持フレームに対して前後、横移動自在とし、橋脚に巻立てる鋼板の位置調整を可能としたことを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に係る多層ラーメン高架橋の鋼板巻き補強工事における急速施工用治具(以下単に治具という)は、既設の道路、鉄道等の多層ラーメン高架橋等の橋脚Pに補強鋼板(以下単に鋼板という)Sを巻立て、この鋼板Sと橋脚P外周面との間にモルタルMを注入することにより、橋脚Pの耐震性を増大させるための工事において、隣接する橋脚P間に配設させた梁材B上に設置し、橋脚Pに鋼板Sを巻立てるものであり、図1〜図6に示すように、以下の構成からなるものである。
【0011】
本例において、鋼板Sは、コンクリート製の断面矩形状の橋脚Pに巻立てるため、この橋脚Pに対応するコ字型形状のものを一対、橋脚Pの両側から巻立て補強工事が行われる。
【0012】
隣接する橋脚P間に配設された梁材B上に設置させる支持フレーム12に、前後、横方向に移動自在に移動フレーム14を、配してある。
【0013】
本例において、支持フレーム12は、梁材Bの底面とジャッキ等の固定具16を介して固定するため、下端を下方に延出させてある。
【0014】
また、移動フレーム14の前後、横移動は、支持フレーム12に移動フレーム14を前後、横方向にスライド自在に配設させ、移動手段である前後移動用伸縮シリンダー18および横移動用伸縮シリンダー20を伸縮させることにより、行う。
【0015】
このため、橋脚Pに巻立てる鋼板Sの位置調整を極めて容易に行うことができる。
【0016】
移動フレーム14の前後方向の一側縁(図1左側の治具においては右側縁、図1右側の治具においては左側縁)に、鋼板Sを橋脚P外周に立設させる受け台22を起倒自在に配してある。
【0017】
本例において、受け台22の起倒は、受け台22を移動フレーム14の一側縁に起倒自在に軸支させ、起倒手段である伸縮ジャッキ24を伸縮させることにより、行う。
【0018】
なお、図中26は受け台22に鋼板Sを固定するためのレバーブロック、28は支持フレーム12の下端間に装着する固定アングル、30は固定アングル28を梁材Bに固定するためのジャッキ等の固定具、32は受け台22に装着する足場、34は橋脚Pの両側の梁材Bに設置した一対の治具間に装着する足場、Cはクレーン等の吊上手段、Gは地面、Hは作業者、Mはモルタルを示す。
【0019】
本発明に係る治具を使用して多層ラーメン高架橋の鋼板巻き補強工事における急速施工する工程を、以下に詳述する。
【0020】
本工程で補強する橋脚Pは、道路、鉄道の多層ラーメン高架橋等の断面矩形状の橋脚Pであり、この橋脚Pに巻立てる鋼板Sは橋脚Pの両側から巻立て可能な断面コ字型のものである。
【0021】
まず、地面Gに治具を設置する(図3参照)。
【0022】
次に、治具の受け台22を傾倒させ、クレーン等の吊上手段Cにより吊上げ、隣接する橋脚P間に配した梁材B上に設置する(図4参照)。
【0023】
この受け台22を傾倒させるのは、高さを低くした状態とし、治具を吊上手段Cにより吊上げ、梁材B上に設置する際、地面Gおよび隣接する別の橋脚P、梁材Bとの高さ、距離に左右されることなく、吊上手段Cを橋脚Pに近接させて作業を行うことを可能とし、作業性を向上させるためである。
【0024】
次に、治具を梁材Bに固定する。
【0025】
この際、鋼板Sの受け台22への固定時に鋼板Sの重量および起倒動作により治具の重心が移動するため、治具が梁材Bから脱落し易くなり、この脱落を防止することを目的とし、支持フレーム12の下端を固定具16により、支持フレーム12の下端間に固定アングル28を装着し、この固定アングル28を固定具30により、それぞれ梁材Bの底面に固定することにより、治具を梁材Bに確実に固定する。
【0026】
この治具の梁材Bへの固定において、支持フレーム12の両側部を梁材B側面に固定することが望ましい。
【0027】
次に、治具の傾倒させた受け台22に、鋼板Sを吊上手段Cを介して吊上げ、載置させ、レバーブロック26により固定する(図5参照)。
【0028】
次に、受け台22を垂直に起立させ、受け台22に固定した鋼板Sを橋脚Pの片側外周に立設させる(図6参照)。
【0029】
この際、受け台22の起立は、起倒手段である伸縮ジャッキ24を伸長させることにより行う。
【0030】
次に、前後移動用伸縮シリンダー18を介して支持フレーム12に対して移動フレーム14を前後に、横移動用伸縮シリンダー20を介して支持フレーム12に対して移動フレーム14を横方向に、移動させることにより、起立させた鋼板Sの橋脚Pへの位置調整を必要に応じて行う。
【0031】
このため、作業者の手作業による鋼板Sの橋脚Pへの位置調整に比べ、極めて安全かつ容易に位置調整作業を行うことができる。
【0032】
次に、橋脚Pの他の片側外周にも鋼板Sを立設させるため、別の治具の受け台22を傾倒させて梁材B上に吊上手段Cを介して吊上げ、設置し、受け台22上に鋼板Sを固定させ、橋脚P外周に鋼板Sを立設させる。
【0033】
以上の工程により、橋脚Pの両側へ鋼板Sを巻立てる。
【0034】
この巻立てた両鋼板Sは、レバーブロック等の緊締具により緊締、固定することが望ましい。
【0035】
次に、橋脚Pの両側へ巻立てた両鋼板Sを溶着する。
【0036】
この際、一対の治具間に足場34を配設させ、この足場34を使用して作業者が溶着作業を行う。
【0037】
次に、溶着した両鋼板Sと橋脚P外周面との間にモルタルMを充填する。
【0038】
以上の工程により、多層ラーメン高架橋の橋脚Pへの鋼板巻き補強工事における急速施工が完了する。
【0039】
このように、本発明に係る治具による鋼板巻き補強工事における急速施工方法によれば、受け台22を傾倒させた状態にした治具を一対、吊上手段Cにより橋脚P間に配した梁材B上に吊上げ、設置した後、受け台22上に鋼板Sを固定し、起立させて鋼板Sを橋脚Pに巻立てるため、受け台22を傾倒させて高さを低くした状態で治具の吊上げ、設置が可能となり、地面Gおよび隣接する別の橋脚P、梁材Bとの高さ、距離に左右されることなく、吊上手段Cを橋脚Pに近接させて作業を行うことができ、安全、容易、かつスムーズに、効率良く、しかも短期間で作業を行うことができる。
【0040】
また、受け台22を支持フレーム12に対して前後、横方向に移動させることにより、起立させた鋼板Sの橋脚Pへの位置調整を安全、かつ容易に行うことができ、鋼板の位置調整にかかる作業負担を激減させることができる。
【0041】
また、橋脚Pの両側に設置した一対の治具間に足場34を配設させることにより、この足場34を使用して鋼板Sの溶着作業を行うことができ、従来のように高所作業車を使用する必要が皆無となり、作業性が向上するばかりか、作業コストを激減することができる。
【0042】
なお、本例において、受け台22の支持フレーム12に対する前後、横移動は、支持フレーム12に前後、横移動自在に配した移動フレーム14によるものであるが、移動フレーム14を省略し、受け台22を直接支持フレーム12に前後、横移動自在に配してもよく、その他の前後、横移動自在の機構を採用することは自由である。
【0043】
また、受け台22の前後、横移動機構を省略し、鋼板Sを巻立てる治具を、補強すべき橋脚Pの両側の梁材Bに正確に設置することにより、本発明特有の安全、容易、かつスムーズに、しかも効率良く鋼板巻き補強作業を行う効果を奏する。
【0044】
また、支持フレーム12に対する移動フレーム14の移動手段、受け台22の起倒手段は、前後移動用伸縮シリンダー18、横移動用伸縮シリンダー20、伸縮ジャッキ24であるが、他の機構を採用することは自由である。
【0045】
また、橋脚Pに巻立てる鋼板Sに対応させて、受け台22を交換使用することは自明である。
【0046】
また、受け台22を長さ方向に伸縮自在とすることにより、橋脚Pに巻立てる鋼板Sに対応させて、受け台22の長さを伸縮させ、種々の鋼板Sを固定することが可能となり、より多くの現場に転用できることは自明である。
【0047】
また、橋脚Pの断面形状は矩形状であるが、円形である場合には鋼板Sを半円型のものとすればよく、橋脚Pの断面形状および鋼板Sの形状は本例に限定されることはない。
【0048】
また、本工法における受け台22への鋼板Sの固定は、治具の梁材B上への設置後行うものであるが、予め受け台22へ鋼板Sを固定後、この治具を梁材B上に設置することは自明である。
【0049】
【発明の効果】
本発明に係る多層ラーメン高架橋の鋼板巻き補強工事における急速施工方法及び治具によれば、受け台を傾倒させた状態で治具を一対、吊上手段により橋脚間に配した梁材上に吊上げ、設置した後、受け台に鋼板を固定し、受け台を起立させて鋼板を橋脚に巻立てるため、受け台を傾倒させて高さを低くした状態で治具の吊上げ、設置が可能となり、地面および隣接する別の橋脚、梁材との高さ、距離に左右されることなく、吊上手段を橋脚により近接させて作業を行うことが可能となり、安全、容易、かつスムーズに、効率良く、しかも短期間で作業を行うことができる。
【0050】
また、受け台を支持フレームに対して前後、横方向に移動させることにより、起立させた鋼板の橋脚への位置調整を安全、かつ容易に行うことができ、鋼板の位置調整にかかる作業負担を激減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る多層ラーメン高架橋の鋼板巻き補強工事における急速施工用治具の使用状態を示す正面図。
【図2】同、側面図。
【図3】第1作業工程を示す、(イ)は正面図、(ロ)は側面図。
【図4】第2作業工程を示す、(イ)は正面図、(ロ)は側面図
【図5】第3作業工程を示す、(イ)は正面図、(ロ)は側面図。
【図6】第4作業工程を示す、(イ)は正面図、(ロ)は側面図
【図7】補強された橋脚を示す(イ)は正面図、(ロ)は断面図。
【符号の説明】
P 橋脚
B 梁材
S 補強鋼板
M モルタル
C 吊上手段
12 支持フレーム
18 前後移動用伸縮シリンダー
20 横移動用伸縮シリンダー
22 受け台
24 伸縮ジャッキ
【発明の属する技術分野】
本発明は、道路、鉄道の多層ラーメン高架橋等の橋脚の耐震性を増大させるための補強工事における急速施工方法及び治具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
元来、道路、鉄道の多層ラーメン高架橋等の鉄筋コンクリート製橋脚の耐震性を増大させるために、図7に示すように、橋脚の断面が矩形状である場合には、橋脚外周面に両側から、L型またはコ字型の2個の補強鋼板を巻立て(取囲み)、両補強鋼板を溶接させた後、この補強鋼板と橋脚外周との間にモルタルを注入して補強工事が行われている。
【0003】
この工事を行う場合、大型車両により運搬されてきた大重量の補強鋼板を、その荷台から、クレーン等の吊上装置により垂直にして吊上げ、高所作業車の搭乗部に搭乗した作業者が手作業により位置調整し、橋脚の片側外周面に仮止めした後、再び別の補強鋼板を橋脚の他方の片側外周面に仮止めした後、高所作業車の搭乗部に搭乗した作業者が仮止めした両補強鋼板を溶接した後、補強鋼板と橋脚外周面との間にモルタルを注入していた(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0004】
【特許文献1】
特許第3079124号公報(第2−3頁、図1−4)
【特許文献2】
特許第3032716号公報(第4−5頁、図1)
【特許文献3】
特開平9−302627号公報(第2−3頁、図1−4)
【特許文献4】
特開平9−177036号公報(第3−4頁、図1、6、7)
【0005】
なお、図7中Pは橋脚、Sは補強鋼板、Mはモルタルを示す。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の橋脚補強工事は、補強鋼板を吊上装置により垂直にして吊上げる都合上、吊上げスペースを広く必要とし、橋脚の高さが低い場合には補強鋼板吊上げ作業が不可能となるため、補強鋼板を分割して作業を行う必要があり、工程遅延の要因となっていた。
【0007】
また、補強鋼板の橋脚外周への位置調整を作業者が手作業により行うため、作業に多大な労力と時間を必要とするばかりか、非常に危険であった。
【0008】
本発明は、このような欠点に鑑み、安全に、効率良く、しかも短期間で多層ラーメン高架橋の補強工事を行うことができる多層ラーメン高架橋の鋼板巻き補強工事における急速施工方法及び治具を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、既設の橋脚に補強鋼板を巻立て、この鋼板と橋脚外周面との間にモルタルを注入することにより、橋脚の耐震性を増大させるための工事において、隣接する橋脚間に配設された梁材上に設置させる支持フレームの前後方向の一側縁に、鋼板を橋脚外周に立設させる受け台を起倒自在に配してなる治具を、受け台を傾倒させ、高さを低くした状態とし、この治具を一対、補強すべき橋脚の両側の梁材上に、吊上手段を介してそれぞれ設置した後、各治具の受け台上に鋼板を固定した後、各治具の受け台を垂直に起立させ、受け台に固定した鋼板を橋脚外周両側に立設させた後、両鋼板を溶着させ、鋼板と橋脚外周面との間にモルタルを注入することを特徴とするもの、
または受け台を支持フレームに対して前後、横移動自在とし、橋脚に巻立てる鋼板の位置調整を可能としたことを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に係る多層ラーメン高架橋の鋼板巻き補強工事における急速施工用治具(以下単に治具という)は、既設の道路、鉄道等の多層ラーメン高架橋等の橋脚Pに補強鋼板(以下単に鋼板という)Sを巻立て、この鋼板Sと橋脚P外周面との間にモルタルMを注入することにより、橋脚Pの耐震性を増大させるための工事において、隣接する橋脚P間に配設させた梁材B上に設置し、橋脚Pに鋼板Sを巻立てるものであり、図1〜図6に示すように、以下の構成からなるものである。
【0011】
本例において、鋼板Sは、コンクリート製の断面矩形状の橋脚Pに巻立てるため、この橋脚Pに対応するコ字型形状のものを一対、橋脚Pの両側から巻立て補強工事が行われる。
【0012】
隣接する橋脚P間に配設された梁材B上に設置させる支持フレーム12に、前後、横方向に移動自在に移動フレーム14を、配してある。
【0013】
本例において、支持フレーム12は、梁材Bの底面とジャッキ等の固定具16を介して固定するため、下端を下方に延出させてある。
【0014】
また、移動フレーム14の前後、横移動は、支持フレーム12に移動フレーム14を前後、横方向にスライド自在に配設させ、移動手段である前後移動用伸縮シリンダー18および横移動用伸縮シリンダー20を伸縮させることにより、行う。
【0015】
このため、橋脚Pに巻立てる鋼板Sの位置調整を極めて容易に行うことができる。
【0016】
移動フレーム14の前後方向の一側縁(図1左側の治具においては右側縁、図1右側の治具においては左側縁)に、鋼板Sを橋脚P外周に立設させる受け台22を起倒自在に配してある。
【0017】
本例において、受け台22の起倒は、受け台22を移動フレーム14の一側縁に起倒自在に軸支させ、起倒手段である伸縮ジャッキ24を伸縮させることにより、行う。
【0018】
なお、図中26は受け台22に鋼板Sを固定するためのレバーブロック、28は支持フレーム12の下端間に装着する固定アングル、30は固定アングル28を梁材Bに固定するためのジャッキ等の固定具、32は受け台22に装着する足場、34は橋脚Pの両側の梁材Bに設置した一対の治具間に装着する足場、Cはクレーン等の吊上手段、Gは地面、Hは作業者、Mはモルタルを示す。
【0019】
本発明に係る治具を使用して多層ラーメン高架橋の鋼板巻き補強工事における急速施工する工程を、以下に詳述する。
【0020】
本工程で補強する橋脚Pは、道路、鉄道の多層ラーメン高架橋等の断面矩形状の橋脚Pであり、この橋脚Pに巻立てる鋼板Sは橋脚Pの両側から巻立て可能な断面コ字型のものである。
【0021】
まず、地面Gに治具を設置する(図3参照)。
【0022】
次に、治具の受け台22を傾倒させ、クレーン等の吊上手段Cにより吊上げ、隣接する橋脚P間に配した梁材B上に設置する(図4参照)。
【0023】
この受け台22を傾倒させるのは、高さを低くした状態とし、治具を吊上手段Cにより吊上げ、梁材B上に設置する際、地面Gおよび隣接する別の橋脚P、梁材Bとの高さ、距離に左右されることなく、吊上手段Cを橋脚Pに近接させて作業を行うことを可能とし、作業性を向上させるためである。
【0024】
次に、治具を梁材Bに固定する。
【0025】
この際、鋼板Sの受け台22への固定時に鋼板Sの重量および起倒動作により治具の重心が移動するため、治具が梁材Bから脱落し易くなり、この脱落を防止することを目的とし、支持フレーム12の下端を固定具16により、支持フレーム12の下端間に固定アングル28を装着し、この固定アングル28を固定具30により、それぞれ梁材Bの底面に固定することにより、治具を梁材Bに確実に固定する。
【0026】
この治具の梁材Bへの固定において、支持フレーム12の両側部を梁材B側面に固定することが望ましい。
【0027】
次に、治具の傾倒させた受け台22に、鋼板Sを吊上手段Cを介して吊上げ、載置させ、レバーブロック26により固定する(図5参照)。
【0028】
次に、受け台22を垂直に起立させ、受け台22に固定した鋼板Sを橋脚Pの片側外周に立設させる(図6参照)。
【0029】
この際、受け台22の起立は、起倒手段である伸縮ジャッキ24を伸長させることにより行う。
【0030】
次に、前後移動用伸縮シリンダー18を介して支持フレーム12に対して移動フレーム14を前後に、横移動用伸縮シリンダー20を介して支持フレーム12に対して移動フレーム14を横方向に、移動させることにより、起立させた鋼板Sの橋脚Pへの位置調整を必要に応じて行う。
【0031】
このため、作業者の手作業による鋼板Sの橋脚Pへの位置調整に比べ、極めて安全かつ容易に位置調整作業を行うことができる。
【0032】
次に、橋脚Pの他の片側外周にも鋼板Sを立設させるため、別の治具の受け台22を傾倒させて梁材B上に吊上手段Cを介して吊上げ、設置し、受け台22上に鋼板Sを固定させ、橋脚P外周に鋼板Sを立設させる。
【0033】
以上の工程により、橋脚Pの両側へ鋼板Sを巻立てる。
【0034】
この巻立てた両鋼板Sは、レバーブロック等の緊締具により緊締、固定することが望ましい。
【0035】
次に、橋脚Pの両側へ巻立てた両鋼板Sを溶着する。
【0036】
この際、一対の治具間に足場34を配設させ、この足場34を使用して作業者が溶着作業を行う。
【0037】
次に、溶着した両鋼板Sと橋脚P外周面との間にモルタルMを充填する。
【0038】
以上の工程により、多層ラーメン高架橋の橋脚Pへの鋼板巻き補強工事における急速施工が完了する。
【0039】
このように、本発明に係る治具による鋼板巻き補強工事における急速施工方法によれば、受け台22を傾倒させた状態にした治具を一対、吊上手段Cにより橋脚P間に配した梁材B上に吊上げ、設置した後、受け台22上に鋼板Sを固定し、起立させて鋼板Sを橋脚Pに巻立てるため、受け台22を傾倒させて高さを低くした状態で治具の吊上げ、設置が可能となり、地面Gおよび隣接する別の橋脚P、梁材Bとの高さ、距離に左右されることなく、吊上手段Cを橋脚Pに近接させて作業を行うことができ、安全、容易、かつスムーズに、効率良く、しかも短期間で作業を行うことができる。
【0040】
また、受け台22を支持フレーム12に対して前後、横方向に移動させることにより、起立させた鋼板Sの橋脚Pへの位置調整を安全、かつ容易に行うことができ、鋼板の位置調整にかかる作業負担を激減させることができる。
【0041】
また、橋脚Pの両側に設置した一対の治具間に足場34を配設させることにより、この足場34を使用して鋼板Sの溶着作業を行うことができ、従来のように高所作業車を使用する必要が皆無となり、作業性が向上するばかりか、作業コストを激減することができる。
【0042】
なお、本例において、受け台22の支持フレーム12に対する前後、横移動は、支持フレーム12に前後、横移動自在に配した移動フレーム14によるものであるが、移動フレーム14を省略し、受け台22を直接支持フレーム12に前後、横移動自在に配してもよく、その他の前後、横移動自在の機構を採用することは自由である。
【0043】
また、受け台22の前後、横移動機構を省略し、鋼板Sを巻立てる治具を、補強すべき橋脚Pの両側の梁材Bに正確に設置することにより、本発明特有の安全、容易、かつスムーズに、しかも効率良く鋼板巻き補強作業を行う効果を奏する。
【0044】
また、支持フレーム12に対する移動フレーム14の移動手段、受け台22の起倒手段は、前後移動用伸縮シリンダー18、横移動用伸縮シリンダー20、伸縮ジャッキ24であるが、他の機構を採用することは自由である。
【0045】
また、橋脚Pに巻立てる鋼板Sに対応させて、受け台22を交換使用することは自明である。
【0046】
また、受け台22を長さ方向に伸縮自在とすることにより、橋脚Pに巻立てる鋼板Sに対応させて、受け台22の長さを伸縮させ、種々の鋼板Sを固定することが可能となり、より多くの現場に転用できることは自明である。
【0047】
また、橋脚Pの断面形状は矩形状であるが、円形である場合には鋼板Sを半円型のものとすればよく、橋脚Pの断面形状および鋼板Sの形状は本例に限定されることはない。
【0048】
また、本工法における受け台22への鋼板Sの固定は、治具の梁材B上への設置後行うものであるが、予め受け台22へ鋼板Sを固定後、この治具を梁材B上に設置することは自明である。
【0049】
【発明の効果】
本発明に係る多層ラーメン高架橋の鋼板巻き補強工事における急速施工方法及び治具によれば、受け台を傾倒させた状態で治具を一対、吊上手段により橋脚間に配した梁材上に吊上げ、設置した後、受け台に鋼板を固定し、受け台を起立させて鋼板を橋脚に巻立てるため、受け台を傾倒させて高さを低くした状態で治具の吊上げ、設置が可能となり、地面および隣接する別の橋脚、梁材との高さ、距離に左右されることなく、吊上手段を橋脚により近接させて作業を行うことが可能となり、安全、容易、かつスムーズに、効率良く、しかも短期間で作業を行うことができる。
【0050】
また、受け台を支持フレームに対して前後、横方向に移動させることにより、起立させた鋼板の橋脚への位置調整を安全、かつ容易に行うことができ、鋼板の位置調整にかかる作業負担を激減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る多層ラーメン高架橋の鋼板巻き補強工事における急速施工用治具の使用状態を示す正面図。
【図2】同、側面図。
【図3】第1作業工程を示す、(イ)は正面図、(ロ)は側面図。
【図4】第2作業工程を示す、(イ)は正面図、(ロ)は側面図
【図5】第3作業工程を示す、(イ)は正面図、(ロ)は側面図。
【図6】第4作業工程を示す、(イ)は正面図、(ロ)は側面図
【図7】補強された橋脚を示す(イ)は正面図、(ロ)は断面図。
【符号の説明】
P 橋脚
B 梁材
S 補強鋼板
M モルタル
C 吊上手段
12 支持フレーム
18 前後移動用伸縮シリンダー
20 横移動用伸縮シリンダー
22 受け台
24 伸縮ジャッキ
Claims (4)
- 既設の多層ラーメン高架橋の橋脚(P) に補強鋼板(S) を巻立て、この補強鋼板(S) と橋脚(P) 外周面との間にモルタル(M) を注入することにより、橋脚(P) の耐震性を増大させるための工事において、
隣接する橋脚(P) 間に配設された梁材(B) 上に設置させる支持フレーム(12)の一側縁に、鋼板(S) を橋脚(P) 外周に立設させる受け台(22)を起倒自在に配してなる施工用治具を、地面(G) に設置した後、
各施工用治具の受け台(22)を傾倒させ、高さを低くした状態とし、この施工用治具を一対、補強すべき橋脚(P) の両側の梁材(B) 上に、吊上手段(C) を介してそれぞれ設置した後、
各施工用治具の受け台(22)上に補強鋼板(S) を固定した後、
各施工用治具の受け台(22)を垂直に起立させ、受け台(22)に固定した補強鋼板(S) を橋脚(P) 外周両側に立設させた後、
両補強鋼板(S) を溶着させ、補強鋼板(S) と橋脚(P) 外周面との間にモルタル(M) を注入することを特徴とする多層ラーメン高架橋の鋼板巻き補強工事における急速施工方法。 - 受け台(22)を支持フレーム(12)に対して前後、横移動自在とし、橋脚(P) に巻立てる補強鋼板(S) の位置調整を可能としたことを特徴とする請求項1記載の多層ラーメン高架橋の鋼板巻き補強工事における急速施工方法。
- 既設の多層ラーメン高架橋の橋脚(P) に補強鋼板(S) を巻立て、この補強鋼板(S) と橋脚(P) 外周面との間にモルタル(M) を注入することにより、橋脚(P) の耐震性を増大させるための工事において、
隣接する橋脚(P) 間に配設された梁材(B) 上に設置させる支持フレーム(12)の前後方向の一側縁に、補強鋼板(S) を橋脚(P) 外周に立設させる受け台(22)を起倒自在に配してなることを特徴とする多層ラーメン高架橋の鋼板巻き補強工事における急速施工用治具。 - 受け台(22)を支持フレーム(12)に対して前後、横移動自在とし、橋脚(P) に巻立てる補強鋼板(S) の位置調整を可能としたことを特徴とする請求項3記載の多層ラーメン高架橋の鋼板巻き補強工事における急速施工用治具。
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