JP2004149897A5 - - Google Patents

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Description

【0005】
【発明が解決しようとする課題】
発明者の検討によると、例えばNi、Fe、Coなどの強磁性を有する金属やその合金などを、上記還元析出法によって液中に還元析出させる際の条件等を調整することによって、析出した微細な金属粒が多数、鎖状に繋がった形状を有する金属粉末を製造することができる。
すなわち強磁性を有する金属や合金からなる、析出初期の段階の、サブミクロンオーダーの微細な金属粒は、単結晶構造か、もしくはそれに近い構造を有するため単純に2極に分極する。そして分極した多数個の金属粒が、磁力によって次々と鎖状に繋がって鎖状金属粉末を生成する。
このため鎖状金属粉末を、例えば前述した導電性フィラーとして使用した場合には、これまでよりも導電性に優れた導電膜を形成し得る導電ペーストや、高い導電性を有する導電シート、集電特性に優れた電池用活物質複合体などを製造することができる。
また、強磁性の金属を含む上記の鎖状金属粉末は、磁場をかけるとそれに応じて一定方向に配向するため、例えば製膜時の鎖状金属粉末に磁場をかけて一定方向に配向させた状態で結着剤を固化させて、鎖状金属粉末の配向を固定することで、異方導電膜の異方導電特性をさらに向上することもできる。
【0010】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
請求項1記載の発明は、強磁性を有する金属のイオンを含む水溶液中で、還元剤の作用によって金属のイオンを還元させて、微細な金属粒として析出させるとともに、析出させた金属粒の持つ磁力によって、当該金属粒を多数、鎖状に繋がらせて鎖状金属粉末を製造する方法であって、上記還元析出反応を、磁場を印加しながら行うことを特徴とする鎖状金属粉末の製造方法である。
したがって請求項4の構成によれば、より枝分かれや屈曲の少ない鎖状金属粉末を製造することが可能となる。
請求項5記載の発明は、請求項1の製造方法を実施するための製造装置であって、還元析出反応を行うための反応槽と、当該反応槽に磁場を印加するためのコイルとを備えることを特徴とする鎖状金属粉末の製造装置である。
請求項5の構成によれば、反応槽内に供給した、強磁性を有する金属のイオンを含む水溶液と還元剤との混合溶液に、コイルに通電して発生させた磁場を印加しながら還元析出反応させることによって、前記の機構により、これまでよりも枝分かれや屈曲の少ない鎖状金属粉末を製造することができる。
請求項7記載の発明は、反応槽の器壁に直接に導体を巻き付けてコイルを形成したことを特徴とする請求項5記載の鎖状金属粉末の製造装置である。
請求項7の構成によれば、反応槽が、導体を巻き付けてコイルを形成するコアを兼ねているため、製造装置の構造を簡略化できる。
請求項8記載の発明は、請求項1の製造方法を実施するための製造装置であって、強磁性を有する金属のイオンを含む水溶液と還元剤との混合溶液を連続的に流通させるための流路と、当該流路に磁場を印加するためのコイルとを備えることを特徴とする鎖状金属粉末の製造装置である。
請求項8の構成によれば、流路内を連続的に流れる、強磁性を有する金属のイオンを含む水溶液と還元剤との混合溶液に、コイルに通電して発生させた磁場を印加しながら還元析出反応させることによって、前記の機構により、これまでよりも枝分かれや屈曲の少ない鎖状金属粉末を、連続的に製造することができる。
請求項9記載の発明は、筒状に形成したコアに導体を巻き付けてコイルを形成するとともに、当該コアの筒内を通過するように流路を配設したことを特徴とする請求項8記載の鎖状金属粉末の製造装置である。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明を説明する。
〔鎖状金属粉末の製造方法〕
この発明の製造方法は、前記のように強磁性を有する金属のイオンを含む水溶液(以下「反応液」と記す)中で、還元剤の作用によって金属のイオンを還元させて、微細な金属粒として析出させるとともに、析出させた金属粒の持つ磁力によって、当該金属粒を多数、鎖状に繋がらせて鎖状金属粉末を製造する工程を、磁場を印加しながら行うことを特徴とするものである。
金属粒のもとになる、強磁性を有する金属としては、前記のようにNi、Fe、Coなどを挙げることができる。金属粒は、これらの金属単体で形成してもよいし、これらの金属の、2種以上の合金にて形成してもよい。またこれらの金属と、強磁性を有するあるいは有しない他の金属との合金にて形成することもできる。
この発明の製造方法においては、まず上記金属の1種または2種以上のイオンを含む反応液を調製する。詳しくは、金属粒を形成する1種または2種以上の金属の、水溶性の化合物を用意し、それを水に所定の濃度および比率でもって溶解して反応液を調製する。
図の例の製造装置は、上記のように反応槽2と、導体を巻き付けてコイル10を形成するコア11とを別体に形成してあるため、組み立てやメンテナンス等が容易である。
図1の例の製造装置を用いた鎖状金属粉末の製造においては、まず反応槽2に、強磁性を有する金属のイオンを含む反応液、もしくは還元剤水溶液のうちの一方を所定量、供給する。
反応槽2の上方には、当該反応槽2に、強磁性を有する金属のイオンを含む反応液を供給するための第1の供給手段21と、還元剤水溶液を供給するための第2の供給手段22とを配設してある。
これらの供給手段21、22はそれぞれ、図示しない弁などを作動させることで、一定温度に加熱した反応液や還元剤水溶液を所定量ずつ、反応槽2に供給する機能を有する。また供給手段21、22はそれぞれ、図示しないヒーターに通電することで、反応液や還元剤水溶液を一定温度に加熱する機能を有してもよい。また、ヒーターは別に設けてもよい。
図の例の製造装置は、先の図1〜3の例と違って、強磁性を有する金属のイオンを含む水溶液と還元剤との混合溶液を、図中に実線の矢印で示す方向に連続的に流通させながら還元析出反応させるための流路6を備えた連続式のものである。
具体的には、同図に示すように筒状に形成したコア11に導体を巻き付けてコイル10を形成するとともに、流路6を、コイル10に通電して発生させた磁場を印加するために、コア11の筒内を通過するように配設したものである。
また鎖状金属粉末を、前述した各種の触媒として使用する場合は、同様にその表面を、触媒機能を有する金属の被膜で被覆すればよい。
鎖状金属粉末の表面に、これら金属の被膜を被覆する方法としては、例えば無電解めっき法、電気めっき法、還元析出法、真空蒸着法などの種々の製膜方法を採用することができる。
あるいはまた、還元析出反応による鎖状金属粉末の製造時に、強磁性を有する金属とともに、上記各種の金属をも析出させて、鎖状金属粉末自体に高い導電性や触媒機能を付与することもできる。

Claims (15)

  1. 強磁性を有する金属のイオンを含む水溶液中で、還元剤の作用によって金属のイオンを還元させて、微細な金属粒として析出させるとともに、析出させた金属粒の持つ磁力によって、当該金属粒を多数、鎖状に繋がらせて鎖状金属粉末を製造する方法であって、上記還元析出反応を、磁場を印加しながら行うことを特徴とする鎖状金属粉末の製造方法。
  2. コイルに電流を流して発生させた磁場を利用することを特徴とする請求項1記載の鎖状金属粉末の製造方法。
  3. 永久磁石の磁場を利用することを特徴とする請求項1記載の鎖状金属粉末の製造方法。
  4. 磁場の強度を0.0005T以上、磁場を印加する時間を1秒間以上とすることを特徴とする請求項1記載の鎖状金属粉末の製造方法。
  5. 請求項1の製造方法を実施するための製造装置であって、還元析出反応を行うための反応槽と、当該反応槽に磁場を印加するためのコイルとを備えることを特徴とする鎖状金属粉末の製造装置。
  6. 筒状に形成したコアに導体を巻き付けてコイルを形成するとともに、当該コアの筒内に反応槽を配設したことを特徴とする請求項5記載の鎖状金属粉末の製造装置。
  7. 反応槽の器壁に直接に導体を巻き付けてコイルを形成したことを特徴とする請求項5記載の鎖状金属粉末の製造装置。
  8. 請求項1の製造方法を実施するための製造装置であって、強磁性を有する金属のイオンを含む水溶液と還元剤との混合溶液を連続的に流通させるための流路と、当該流路に磁場を印加するためのコイルとを備えることを特徴とする鎖状金属粉末の製造装置。
  9. 筒状に形成したコアに導体を巻き付けてコイルを形成するとともに、当該コアの筒内を通過するように流路を配設したことを特徴とする請求項8記載の鎖状金属粉末の製造装置。
  10. 流路を、1つのコア中を複数回、繰り返し通過するように配設したことを特徴とする請求項9記載の鎖状金属粉末の製造装置。
  11. 流路の、コア中に配設した部分をコイル状に形成したことを特徴とする請求項9記載の鎖状金属粉末の製造装置。
  12. 流路の、コア中に配設した部分の内部に、インライン式ミキサーを配設したことを特徴とする請求項9記載の鎖状金属粉末の製造装置。
  13. 流路の管壁に直接に導体を巻き付けてコイルを形成したことを特徴とする請求項8記載の鎖状金属粉末の製造装置。
  14. 流路に、当該流路の一部を、一定量の混合溶液を循環させるための閉じられた環状に切り換えるための切り換え弁を設けるとともに、この切り換え弁を切り換えることで形成した環状の流路の途中に、当該流路内で混合溶液を循環させるためのポンプを設け、かつコイルを、環状の流路に磁場を印加しうる位置に設けたことを特徴とする請求項8記載の鎖状金属粉末の製造装置。
  15. 請求項1の製造方法によって製造した鎖状金属粉末であって、鎖の長さLが0.5〜100μm、鎖の径Dが20〜500nmで、かつ長さLと径Dとの比L/Dで表されるアスペクト比が10〜1000であることを特徴とする鎖状金属粉末。
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