JP2004149669A - ドライクリーニング溶剤清浄剤及びその製造方法並びにドライクリーニング溶剤清浄方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた脱酸性能及び脱水性能を有するドライクリーニング溶剤清浄剤を提供する。
【解決手段】(1)ケイ酸カルシウム水和物を主成分とするドライクリーニング溶剤清浄剤であって、清浄剤中のカルシウム含有率がCaOに換算して40〜70質量%であることを特徴とする清浄剤、及び(2)ケイ酸カルシウム水和物を主成分とし、水酸化カルシウムを40質量%以下の割合で含むドライクリーニング溶剤清浄剤であって、清浄剤中のカルシウム含有率がCaOに換算して40〜70質量%であることを特徴とする清浄剤に係る。
【選択図】なし
【解決手段】(1)ケイ酸カルシウム水和物を主成分とするドライクリーニング溶剤清浄剤であって、清浄剤中のカルシウム含有率がCaOに換算して40〜70質量%であることを特徴とする清浄剤、及び(2)ケイ酸カルシウム水和物を主成分とし、水酸化カルシウムを40質量%以下の割合で含むドライクリーニング溶剤清浄剤であって、清浄剤中のカルシウム含有率がCaOに換算して40〜70質量%であることを特徴とする清浄剤に係る。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドライクリーニング溶剤清浄剤及びその製造方法並びにドライクリーニング溶剤清浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ドライクリーニングは、フロン系溶剤、塩素系溶剤(トリクロロエタン、パークロロエチレン等)、石油系溶剤(ミネラルターペン等)等の溶剤を用いた衣類の洗濯法であり、比較的簡単な設備で実施できるため、その規模を問わず広く営業的に実施されている。
【0003】
ドライクリーニングでは、衣類の汚れ成分の脂肪酸を上記の溶剤に溶解させて除去するため、繰り返し使用により、溶剤中には脂肪酸が徐々に蓄積される。また、衣類に含まれる水分も溶剤中に徐々に蓄積される。そして、蓄積された脂肪酸はドライクリーニング中に衣類を汚すいわゆる逆汚染の原因となり、蓄積された水分は衣類の縮み、色泣き(衣類の脱色現象)等の原因となる。
【0004】
従って、ドライクリーニング溶剤は、定期的に取替えるか又は溶剤を清浄化して汚染物質である脂肪酸及び水分を除去する必要がある。具体的には、脂肪酸及び水分を除去する方法としては、溶剤を蒸留して精製する方法、汚染物質及び水分を除去するフィルターに溶剤を通過させる方法等が知られている。
【0005】
しかしながら、溶剤を蒸留して精製する方法では、溶剤中に共沸化合物が存在すると、比較的簡単な設備では汚染物質及び水分のみを選択的に分離することは困難である。しかも石油系溶剤を蒸留する場合には、簡単な設備では発火、爆発等の危険性もある。
【0006】
フィルターを通過させる方法では、一般にフィルター構成物質として、脱色剤(活性炭等)、脂肪酸を除去する脱酸剤(活性アルミナ等)、脱水剤(イオン交換樹脂、粘土鉱物等)の少なくとも一種を含む清浄剤が用いられている。具体的には、アニオン交換樹脂を活性炭100容量部に対して5〜50容量部添加した清浄剤(特許文献1参照)、スメクタイト族粘土鉱物の懸濁水にカルシウムイオン含有液を添加混合し、加熱処理して得られる低結晶性又は結晶性のケイ酸カルシウムとスメクタイト族粘土鉱物との複合体からなる清浄剤(特許文献2参照)等が知られている。しかしながら、既存の清浄剤では、活性炭の脱色性能は優れていても、脱酸性能及び脱水性能は必ずしも満足できていない。
【0007】
従って、清浄方法の安全性も考慮して、フィルターを通過させる方法に使用できる、優れた脱酸性能及び脱水性能を有するドライクリーニング溶剤清浄剤の開発が望まれている。
【0008】
【特許文献1】
特開昭57−78500号公報
【0009】
【特許文献2】
特開平11−137994号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、優れた脱酸性能及び脱水性能を有するドライクリーニング溶剤清浄剤を提供することを主な目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ケイ酸カルシウム水和物を主成分とし、Ca含有率が特定範囲に制御された無機材料が上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明は、下記のドライクリーニング溶剤清浄剤及びその製造方法並びにドライクリーニング溶剤清浄方法に係るものである。
【0013】
1.ケイ酸カルシウム水和物を主成分とするドライクリーニング溶剤清浄剤であって、清浄剤中のカルシウム含有率がCaOに換算して40〜70質量%であることを特徴とする清浄剤。
【0014】
2.ケイ酸カルシウム水和物を主成分とし、水酸化カルシウムを40質量%以下の割合で含むドライクリーニング溶剤清浄剤であって、清浄剤中のカルシウム含有率がCaOに換算して40〜70質量%であることを特徴とする清浄剤。
【0015】
3.ケイ酸カルシウム水和物が、細孔体積量0.8〜3cm3/gのケイ酸カルシウム水和物である上記項1又は2に記載のドライクリーニング溶剤清浄剤。
【0016】
4.ケイ酸カルシウム水和物生成原料100重量部及び水100〜1000重量部からなる原料スラリーを、40〜100℃で湿式粉砕してケイ酸カルシウムを水和させた後、スラリーを造粒し、固化させることを特徴とする上記項1に記載のドライクリーニング溶剤清浄剤の製造方法。
【0017】
5.ケイ酸カルシウム水和物生成原料と水酸化カルシウムとの混合物100重量部及び水100〜1000重量部からなる原料スラリーを、40〜100℃で湿式粉砕してケイ酸カルシウムを水和させた後、スラリーを造粒し、固化させることを特徴とする上記項2に記載のドライクリーニング溶剤清浄剤の製造方法。
【0018】
6.ドライクリーニング溶剤を上記項1〜3のいずれかに記載のドライクリーニング溶剤清浄剤と接触させることを特徴とするドライクリーニング溶剤清浄方法。
【0019】
【発明の実施の形態】
ドライクリーニング溶剤清浄剤
本発明のドライクリーニング溶剤清浄剤は、ケイ酸カルシウム水和物を主成分とする清浄剤であって、清浄剤中のカルシウム含有率がCaOに換算して40〜70質量%であることを特徴とするものである。
【0020】
本発明の清浄剤は、カルシウムを含有しているため、ドライクリーニング溶剤と接触した際に、カルシウムイオンと溶剤中の脂肪酸とが反応してスライム状の金属セッケンを形成する。溶剤中に含まれる脂肪酸としては、例えば、オレイン酸、ラウリン酸、シリスチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグソセリン酸、リノール酸、アラキドン酸等が挙げられる。金属セッケンは、多孔質なケイ酸カルシウム水和物の表面又は細孔内に吸着されることにより溶剤中から除去される。以上の過程を経て、溶剤中から脂肪酸が除去できる。
【0021】
このようにスライム状の金属セッケンを多孔質なケイ酸カルシウム水和物の表面又は細孔内に吸着させて除去する方法では、スライム状の金属セッケンによるフィルター外周の濾紙の目詰まりが生じ難く、溶剤を循環させるポンプの圧力損失も生じ難い点において、非常に有用性が高いものである。
【0022】
また、本発明の清浄剤は、ケイ酸カルシウム水和物が親水性であり、その表面及び細孔内に水分を容易に吸着できるため、溶剤中の水分を除去する性能にも優れている。即ち、本発明の清浄剤では、溶剤中の脂肪酸及び水分を同時に除去できる。このようにして脂肪酸及び水分が除去されて清浄化された溶剤は、ドライクリーニング溶剤として再利用することができる。
【0023】
本発明の清浄剤の主成分であるケイ酸カルシウム水和物の含有率は、清浄剤中に通常60質量%以上が適当であり、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、上限は特に限定されない。
【0024】
ケイ酸カルシウム水和物としては、合成ケイ酸カルシウム水和物及び天然ケイ酸カルシウム水和物のどちらでもよい。合成ケイ酸カルシウム水和物としては、例えば、石灰原料及びケイ酸原料から水熱反応により得られるゾノトライト、トバモライト、フォシャジャイト、ジャイロライト、ヒレブランダイト、ローゼンハナイト、トラスコタイト、リエライト、カルシオコンドロダイト、アフィライト等を水和させて得られるケイ酸カルシウム水和物、準結晶質珪酸カルシウム水和物(CSHn)等が挙げられる。
【0025】
本発明の清浄剤では、主成分であるケイ酸カルシウム水和物だけでは、清浄剤中のカルシウム含有率がCaOに換算して40質量%に満たない場合には、水酸化カルシウムをカルシウム供給源として添加することにより、清浄剤中のカルシウム含有率をCaOに換算して40〜70質量%の範囲内となるように調整できる。但し、水酸化カルシウムの含有率は、清浄剤中40質量%以下となるように留意する必要がある。カルシウム含有率から換算されるCaO含有率は、化学分析により清浄剤中のカルシウムのモル量を測定し、その値にCaOの質量数を掛けることによりCaOの質量を算出し、これを清浄剤の質量に対する百分率で表すことにより求めることができる。
【0026】
水酸化カルシウムは、ケイ酸カルシウム水和物の製造原料に添加しておき、ケイ酸カルシウム水和物中に取り込まれた状態で存在してもよく、0.1〜5μm程度に微粉砕された状態でケイ酸カルシウム水和物の表面に付着した状態で存在してもよい。
【0027】
本発明の清浄剤では、ケイ酸カルシウム水和物は多孔質が好ましく、細孔体積量としては、通常0.8〜3cm3/gが適当であり、1.2〜3cm3/g程度が好ましい。細孔体積量が0.8〜3cm3/gの範囲内であれば、金属セッケン及び水分の吸着性が良好である。細孔体積量は、水銀圧入ポロシメーターで測定した0.003〜500μmの範囲の細孔体積量である。
【0028】
なお、ケイ酸カルシウム水和物の細孔体積量は、粒子状、ペレット状等に加工された清浄剤中のケイ酸カルシウム水和物一次粒子の細孔体積量と、ケイ酸カルシウム二次粒子における一次粒子どうしの間隙を細孔とみなした細孔体積量の合算値である。これは、二次粒子における一次粒子どうしの間隙にも、金属セッケン及び水分の吸着性が認められることに基づくものである。
【0029】
また、ケイ酸カルシウム水和物の比表面積としては、通常60〜300m2/gが適当であり、120〜200m2/g程度が好ましい。比表面積が60〜300m2/gの範囲内であれば、金属セッケン及び水分の吸着性が良好である。比表面積は、ケイ酸カルシウム水和物一次粒子の比表面積であり、窒素を吸着させることを特徴とするBET法により測定した値である。
【0030】
本発明の清浄剤の形状は特に限定されないが、例えば、粒子状、粉末状、ペレット状等が挙げられる。これらは、実際の使用態様を考慮して選択できるが、取扱いが容易な点から粒子状が好ましい。
【0031】
また、清浄剤の大きさも特に限定されず、実際の使用態様を考慮して適宜設定できるが、例えば、粒子状で用いる場合には、粒子の平均粒子径は、通常1〜10mmが適当であり、2〜5mm程度が好ましい。粉末状で用いる場合には、粉末の平均粒子径は、通常0.1〜2mmが適当であり、0.5〜1mm程度が好ましい。また、ペレット状で用いる場合には、縦10mm、横10mm、高さ10mmまでが適当であり、縦3mm、横3mm、高さ3mm程度が好ましい。
【0032】
なお、本発明の清浄剤では、ケイ酸カルシウム水和物(必要に応じて水酸化カルシウムを含む)にバインダーを添加して粒子状、ペレット状等に成形してもよい。バインダーを添加する場合には、粒子の強度を高めることができる。
【0033】
バインダーとしては特に限定されず、例えば、ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント等の混合セメント、基材中の水酸化カルシウムの刺激で水和硬化する高炉水砕スラグ等の水硬性材料;水酸化カルシウム等の気硬性材料;エポキシ樹脂、アクリルゴム、ニトリルゴム等の耐溶剤性の樹脂・ゴム等が使用できる。バインダーの添加量は特に限定されず、所望の清浄剤の強度となるように適宜調整すればよい。
【0034】
なお、セメント、水酸化カルシウム等のカルシウム含有物をバインダーとして用いる場合には、これらのカルシウムも含めて、清浄剤中のカルシウム含有率がCaOに換算して40〜70質量%となるように添加量を設定する。特に水酸化カルシウムをバインダーとして用いる場合には、バインダーとしての水酸化カルシウムも含めて、清浄剤中の水酸化カルシウム含有率が40質量%以下となるように添加量を設定する。
【0035】
ドライクリーニング溶剤清浄剤の製造方法
本発明の清浄剤の製造方法は特に限定されず、ケイ酸カルシウム水和物を主成分とし、カルシウム含有率がCaOに換算して40〜70質量%である無機材料が製造できる方法であればよい。例えば、水和反応によりケイ酸カルシウム水和物を生成する原料及び水からなる原料スラリーを、加温下で湿式粉砕してケイ酸カルシウム水和物を生成させた後、スラリーを所望の形状及び大きさに加工した後、固化させることにより製造できる。
【0036】
ケイ酸カルシウム水和物生成原料としては、例えば、ケイ酸カルシウム、ポルトランドセメント、高炉水砕スラグ等のケイ酸カルシウム含有原料の少なくとも1種が使用できる。この中でも、得られる清浄剤に不純物が混入し難い点を考慮するとケイ酸カルシウムが好ましいが、一般にはポルトランドセメントを好適に使用できる。
【0037】
なお、ケイ酸カルシウム水和物生成原料の種類によっては、ケイ酸カルシウム水和物生成原料だけでは、得られた清浄剤中のカルシウム含有率がCaOに換算して40質量%に満たない場合もあるが、その場合には、例えば、下記▲1▼〜▲3▼のような方法により、水酸化カルシウムを添加することにより、清浄剤中のカルシウム含有率が所定範囲となるように調整すればよい。
▲1▼ケイ酸カルシウム水和物生成原料に水酸化カルシウムを添加する方法、
▲2▼粉砕水和後のスラリーに水酸化カルシウムを添加する方法、
▲3▼スラリーを所望の形状及び大きさに加工し、固化させた後に水酸化カルシウムを添加する方法。
【0038】
但し、いずれの方法においても、水酸化カルシウムの含有率は、清浄剤中40質量%以下となるように留意する必要がある。水酸化カルシウム含有率が40質量%を超えると、ケイ酸カルシウム含有率が不十分となり、清浄剤の金属セッケン及び水の吸着性能が低下して、フィルター外周の濾紙の目詰まりを生じさせたり、衣類の逆汚染を生じさせたりする可能性がある。
【0039】
このようなケイ酸カルシウム水和物生成原料と水との配合割合は特に限定されないが、ケイ酸カルシウム水和物生成原料(必要に応じて、水酸化カルシウムを含む)100重量部に対して、通常100〜1000重量部、好ましくは300〜700重量部程度の水を加えて原料スラリーを調製すればよい。
【0040】
原料スラリーを加温下で湿式粉砕してケイ酸カルシウム水和物を生成させる方法は特に限定されず、例えば、スラリーを40〜100℃、好ましくは80〜95℃に加温して湿式粉砕すればよい。湿式粉砕には、例えば、媒体撹拌ミル、振動ミル、タワーミル、ボールミル等が使用できる。
【0041】
ケイ酸カルシウム水和物が生成した後は、必要に応じてバインダーを添加してスラリーを所望の形状及び大きさに加工した後、固化させることにより本発明の清浄剤が得られる。例えば、押出し造粒機、パンペンタイザー、ブリケッティングマシン等により所望の形状及び大きさに加工できる。好ましい形状及び大きさについては、前記で説明した通りである。固化させる際の乾燥条件は特に限定されず、自然乾燥でも加熱乾燥でもよい。加熱乾燥の場合には、通常100〜400℃が適当であり、100〜200℃程度が好ましい。乾燥時間は乾燥方法に応じて適宜設定すればよい。必要に応じて、固化させる前に、ケイ酸カルシウム水和物が生成したスラリーを養生させてもよい。
【0042】
このような清浄剤の製造方法の中では、ケイ酸カルシウム水和物生成原料としてポルトランドセメントを用いる下記の製造方法が好ましい。下記(1)の方法において、ポルトランドセメントの種類によって、得られた清浄剤中のカルシウム含有率が40質量%に満たない場合には、下記(2)の製造方法を採用して清浄剤中のカルシウム含有率を所定範囲となるように調整すればよい。
(1)ポルトランドセメント100重量部及び水100〜1000重量部からなる原料スラリーを、40〜100℃で湿式粉砕してケイ酸カルシウムを水和させた後、スラリーを造粒し、固化させることを特徴とする請求項1に記載のドライクリーニング溶剤清浄剤の製造方法。
(2)ポルトランドセメントと水酸化カルシウムとの混合物100重量部及び水100〜1000重量部からなる原料スラリーを、40〜100℃で湿式粉砕してケイ酸カルシウムを水和させた後、スラリーを造粒し、固化させることを特徴とする請求項2に記載のドライクリーニング溶剤清浄剤の製造方法。
【0043】
ドライクリーニング溶剤清浄方法
本発明のドライクリーニング溶剤清浄方法は、ドライクリーニング溶剤を本発明の清浄剤と接触させることを特徴とする。
【0044】
例えば、本発明の清浄剤を既存のカートリッジ式フィルター内に充填し、ポンプを用いてフィルター内にドライクリーニング溶剤を循環させることにより溶剤を清浄化できる。本発明の清浄剤に加えて、既存の脱色剤(粒状活性炭等)も充填すれば、溶剤の脱色も同時に行える。脱色剤の添加量は特に限定されず、溶剤の種類等に応じて適宜設定できる。脱色剤の形状及び大きさも特に限定されないが、本発明の清浄剤と同程度とすればよい。
【0045】
【発明の効果】
本発明の清浄剤は、溶剤中に含まれる脂肪酸及び水分を吸着して除去する性能が優れており、溶剤清浄力が高い。更に粒状活性炭等の脱色剤を併用すれば、溶剤の脱色も同時に行える。清浄化された溶剤は、ドライクリーニング溶剤として有効に再利用できる。
【0046】
本発明の清浄剤の製造方法は、本発明の清浄剤を容易に且つ確実に製造することができる。
【0047】
本発明の清浄方法によれば、溶剤を容易且つ確実に清浄化できる。また、フィルターを通過させて溶剤清浄を行うため、安全性が高く、簡易な設備で実施できる。
【0048】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は実施例の記載に限定されるものではない。
【0049】
実施例1
普通ポルトランドセメント1Kgに80℃の熱水3Kgを添加してなるスラリーを、φ2mm高クロム球を媒体とした媒体撹拌ミルにより3時間撹拌して粉砕水和させた。
【0050】
粉砕水和後のスラリー1Kgに普通ポルトランドセメント0.2Kgを混合したものをバット上に厚さ5mm程度に敷き詰めて30℃で3日間湿空養生させた後、100℃で乾燥させ、次いで平均粒子径が3〜5mmとなるように粉砕してドライクリーニング溶剤清浄剤を得た。
【0051】
得られた清浄剤中のケイ酸カルシウム水和物の細孔体積量は1.2cm3/gであり、比表面積は140m2/gであった。
【0052】
得られたドライクリーニング溶剤清浄剤に含まれるCa含有率は、CaOに換算すると65質量%であった。
【0053】
得られたドライクリーニング溶剤清浄剤の脱水性能及び脱酸性能を確認するため、下記の2種の試験を行った。
【0054】
試験例1
実施例1で得られたドライクリーニング溶剤清浄剤の脱水性能を確認した。
【0055】
試験法としては、水分0.1%に調整したミネラルターペンを100mlビーカーに40ml入れたものを5つ用意し、実施例1で得られたドライクリーニング溶剤清浄剤を、表1に示された添加量づつ添加して30分間撹拌後、濾別し、濾液中の残存水分量(%)をカールフィッシャー法により測定する方法とした。測定結果を表1に示す。
【0056】
比較例1として、市販のドライクリーニング用脱水剤(主成分:アパタルジャイト、中国産、平均粒子径3〜5mm)を、試験例1と同量づつ添加して30分間撹拌後、濾別し、濾液中の残存水分量(%)をカールフィッシャー法により測定した。測定結果を表1に示す。
【0057】
また、清浄剤/脱水剤の添加量と試験後の溶剤の残存水分量との関係を示したグラフを図1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
試験例2
実施例1で得られたドライクリーニング溶剤清浄剤の脱酸性能を確認した。
【0060】
試験法としては、オレイン酸を添加し、酸価1mgKOH/mlに調整したミネラルターペンを100mlビーカーに40ml入れたものを5つ用意し、実施例1で得られたドライクリーニング溶剤清浄剤を、表1に示された添加量づつ添加して30分間撹拌後、濾別し、濾液中の残存オレイン酸量を、フェノールフタレインを指示薬として0.1mol/lKOHエタノール溶液にて中和滴定して求め、これを初期量から差し引いて、オレイン酸除去率を算出した。測定結果を表2に示す。
【0061】
比較例2として、市販のドライクリーニング用脱酸剤(活性アルミナ、平均粒子径1〜2mm、商標名「KHD−12」住友化学株式会社製)を試験例2と同量づつ添加して30分間撹拌後、濾別し、濾液中の残存オレイン酸量を、フェノールフタレインを指示薬として0.1mol/lKOHエタノール溶液にて中和滴定して求め、これを初期量から差し引いて、オレイン酸除去率を算出した。測定結果を表2に示す。
【0062】
また、清浄剤/脱水剤の添加量と試験後の溶剤のオレイン酸除去率との関係を示したグラフを図2に示す。
【0063】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】試験例1において、清浄剤/脱水剤の添加量と試験後の溶剤の残存水分量との関係を表したグラフである。
【図2】試験例2において、清浄剤/脱水剤の添加量と試験後の溶剤のオレイン酸除去率との関係を表したグラフである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドライクリーニング溶剤清浄剤及びその製造方法並びにドライクリーニング溶剤清浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ドライクリーニングは、フロン系溶剤、塩素系溶剤(トリクロロエタン、パークロロエチレン等)、石油系溶剤(ミネラルターペン等)等の溶剤を用いた衣類の洗濯法であり、比較的簡単な設備で実施できるため、その規模を問わず広く営業的に実施されている。
【0003】
ドライクリーニングでは、衣類の汚れ成分の脂肪酸を上記の溶剤に溶解させて除去するため、繰り返し使用により、溶剤中には脂肪酸が徐々に蓄積される。また、衣類に含まれる水分も溶剤中に徐々に蓄積される。そして、蓄積された脂肪酸はドライクリーニング中に衣類を汚すいわゆる逆汚染の原因となり、蓄積された水分は衣類の縮み、色泣き(衣類の脱色現象)等の原因となる。
【0004】
従って、ドライクリーニング溶剤は、定期的に取替えるか又は溶剤を清浄化して汚染物質である脂肪酸及び水分を除去する必要がある。具体的には、脂肪酸及び水分を除去する方法としては、溶剤を蒸留して精製する方法、汚染物質及び水分を除去するフィルターに溶剤を通過させる方法等が知られている。
【0005】
しかしながら、溶剤を蒸留して精製する方法では、溶剤中に共沸化合物が存在すると、比較的簡単な設備では汚染物質及び水分のみを選択的に分離することは困難である。しかも石油系溶剤を蒸留する場合には、簡単な設備では発火、爆発等の危険性もある。
【0006】
フィルターを通過させる方法では、一般にフィルター構成物質として、脱色剤(活性炭等)、脂肪酸を除去する脱酸剤(活性アルミナ等)、脱水剤(イオン交換樹脂、粘土鉱物等)の少なくとも一種を含む清浄剤が用いられている。具体的には、アニオン交換樹脂を活性炭100容量部に対して5〜50容量部添加した清浄剤(特許文献1参照)、スメクタイト族粘土鉱物の懸濁水にカルシウムイオン含有液を添加混合し、加熱処理して得られる低結晶性又は結晶性のケイ酸カルシウムとスメクタイト族粘土鉱物との複合体からなる清浄剤(特許文献2参照)等が知られている。しかしながら、既存の清浄剤では、活性炭の脱色性能は優れていても、脱酸性能及び脱水性能は必ずしも満足できていない。
【0007】
従って、清浄方法の安全性も考慮して、フィルターを通過させる方法に使用できる、優れた脱酸性能及び脱水性能を有するドライクリーニング溶剤清浄剤の開発が望まれている。
【0008】
【特許文献1】
特開昭57−78500号公報
【0009】
【特許文献2】
特開平11−137994号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、優れた脱酸性能及び脱水性能を有するドライクリーニング溶剤清浄剤を提供することを主な目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ケイ酸カルシウム水和物を主成分とし、Ca含有率が特定範囲に制御された無機材料が上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明は、下記のドライクリーニング溶剤清浄剤及びその製造方法並びにドライクリーニング溶剤清浄方法に係るものである。
【0013】
1.ケイ酸カルシウム水和物を主成分とするドライクリーニング溶剤清浄剤であって、清浄剤中のカルシウム含有率がCaOに換算して40〜70質量%であることを特徴とする清浄剤。
【0014】
2.ケイ酸カルシウム水和物を主成分とし、水酸化カルシウムを40質量%以下の割合で含むドライクリーニング溶剤清浄剤であって、清浄剤中のカルシウム含有率がCaOに換算して40〜70質量%であることを特徴とする清浄剤。
【0015】
3.ケイ酸カルシウム水和物が、細孔体積量0.8〜3cm3/gのケイ酸カルシウム水和物である上記項1又は2に記載のドライクリーニング溶剤清浄剤。
【0016】
4.ケイ酸カルシウム水和物生成原料100重量部及び水100〜1000重量部からなる原料スラリーを、40〜100℃で湿式粉砕してケイ酸カルシウムを水和させた後、スラリーを造粒し、固化させることを特徴とする上記項1に記載のドライクリーニング溶剤清浄剤の製造方法。
【0017】
5.ケイ酸カルシウム水和物生成原料と水酸化カルシウムとの混合物100重量部及び水100〜1000重量部からなる原料スラリーを、40〜100℃で湿式粉砕してケイ酸カルシウムを水和させた後、スラリーを造粒し、固化させることを特徴とする上記項2に記載のドライクリーニング溶剤清浄剤の製造方法。
【0018】
6.ドライクリーニング溶剤を上記項1〜3のいずれかに記載のドライクリーニング溶剤清浄剤と接触させることを特徴とするドライクリーニング溶剤清浄方法。
【0019】
【発明の実施の形態】
ドライクリーニング溶剤清浄剤
本発明のドライクリーニング溶剤清浄剤は、ケイ酸カルシウム水和物を主成分とする清浄剤であって、清浄剤中のカルシウム含有率がCaOに換算して40〜70質量%であることを特徴とするものである。
【0020】
本発明の清浄剤は、カルシウムを含有しているため、ドライクリーニング溶剤と接触した際に、カルシウムイオンと溶剤中の脂肪酸とが反応してスライム状の金属セッケンを形成する。溶剤中に含まれる脂肪酸としては、例えば、オレイン酸、ラウリン酸、シリスチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグソセリン酸、リノール酸、アラキドン酸等が挙げられる。金属セッケンは、多孔質なケイ酸カルシウム水和物の表面又は細孔内に吸着されることにより溶剤中から除去される。以上の過程を経て、溶剤中から脂肪酸が除去できる。
【0021】
このようにスライム状の金属セッケンを多孔質なケイ酸カルシウム水和物の表面又は細孔内に吸着させて除去する方法では、スライム状の金属セッケンによるフィルター外周の濾紙の目詰まりが生じ難く、溶剤を循環させるポンプの圧力損失も生じ難い点において、非常に有用性が高いものである。
【0022】
また、本発明の清浄剤は、ケイ酸カルシウム水和物が親水性であり、その表面及び細孔内に水分を容易に吸着できるため、溶剤中の水分を除去する性能にも優れている。即ち、本発明の清浄剤では、溶剤中の脂肪酸及び水分を同時に除去できる。このようにして脂肪酸及び水分が除去されて清浄化された溶剤は、ドライクリーニング溶剤として再利用することができる。
【0023】
本発明の清浄剤の主成分であるケイ酸カルシウム水和物の含有率は、清浄剤中に通常60質量%以上が適当であり、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、上限は特に限定されない。
【0024】
ケイ酸カルシウム水和物としては、合成ケイ酸カルシウム水和物及び天然ケイ酸カルシウム水和物のどちらでもよい。合成ケイ酸カルシウム水和物としては、例えば、石灰原料及びケイ酸原料から水熱反応により得られるゾノトライト、トバモライト、フォシャジャイト、ジャイロライト、ヒレブランダイト、ローゼンハナイト、トラスコタイト、リエライト、カルシオコンドロダイト、アフィライト等を水和させて得られるケイ酸カルシウム水和物、準結晶質珪酸カルシウム水和物(CSHn)等が挙げられる。
【0025】
本発明の清浄剤では、主成分であるケイ酸カルシウム水和物だけでは、清浄剤中のカルシウム含有率がCaOに換算して40質量%に満たない場合には、水酸化カルシウムをカルシウム供給源として添加することにより、清浄剤中のカルシウム含有率をCaOに換算して40〜70質量%の範囲内となるように調整できる。但し、水酸化カルシウムの含有率は、清浄剤中40質量%以下となるように留意する必要がある。カルシウム含有率から換算されるCaO含有率は、化学分析により清浄剤中のカルシウムのモル量を測定し、その値にCaOの質量数を掛けることによりCaOの質量を算出し、これを清浄剤の質量に対する百分率で表すことにより求めることができる。
【0026】
水酸化カルシウムは、ケイ酸カルシウム水和物の製造原料に添加しておき、ケイ酸カルシウム水和物中に取り込まれた状態で存在してもよく、0.1〜5μm程度に微粉砕された状態でケイ酸カルシウム水和物の表面に付着した状態で存在してもよい。
【0027】
本発明の清浄剤では、ケイ酸カルシウム水和物は多孔質が好ましく、細孔体積量としては、通常0.8〜3cm3/gが適当であり、1.2〜3cm3/g程度が好ましい。細孔体積量が0.8〜3cm3/gの範囲内であれば、金属セッケン及び水分の吸着性が良好である。細孔体積量は、水銀圧入ポロシメーターで測定した0.003〜500μmの範囲の細孔体積量である。
【0028】
なお、ケイ酸カルシウム水和物の細孔体積量は、粒子状、ペレット状等に加工された清浄剤中のケイ酸カルシウム水和物一次粒子の細孔体積量と、ケイ酸カルシウム二次粒子における一次粒子どうしの間隙を細孔とみなした細孔体積量の合算値である。これは、二次粒子における一次粒子どうしの間隙にも、金属セッケン及び水分の吸着性が認められることに基づくものである。
【0029】
また、ケイ酸カルシウム水和物の比表面積としては、通常60〜300m2/gが適当であり、120〜200m2/g程度が好ましい。比表面積が60〜300m2/gの範囲内であれば、金属セッケン及び水分の吸着性が良好である。比表面積は、ケイ酸カルシウム水和物一次粒子の比表面積であり、窒素を吸着させることを特徴とするBET法により測定した値である。
【0030】
本発明の清浄剤の形状は特に限定されないが、例えば、粒子状、粉末状、ペレット状等が挙げられる。これらは、実際の使用態様を考慮して選択できるが、取扱いが容易な点から粒子状が好ましい。
【0031】
また、清浄剤の大きさも特に限定されず、実際の使用態様を考慮して適宜設定できるが、例えば、粒子状で用いる場合には、粒子の平均粒子径は、通常1〜10mmが適当であり、2〜5mm程度が好ましい。粉末状で用いる場合には、粉末の平均粒子径は、通常0.1〜2mmが適当であり、0.5〜1mm程度が好ましい。また、ペレット状で用いる場合には、縦10mm、横10mm、高さ10mmまでが適当であり、縦3mm、横3mm、高さ3mm程度が好ましい。
【0032】
なお、本発明の清浄剤では、ケイ酸カルシウム水和物(必要に応じて水酸化カルシウムを含む)にバインダーを添加して粒子状、ペレット状等に成形してもよい。バインダーを添加する場合には、粒子の強度を高めることができる。
【0033】
バインダーとしては特に限定されず、例えば、ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント等の混合セメント、基材中の水酸化カルシウムの刺激で水和硬化する高炉水砕スラグ等の水硬性材料;水酸化カルシウム等の気硬性材料;エポキシ樹脂、アクリルゴム、ニトリルゴム等の耐溶剤性の樹脂・ゴム等が使用できる。バインダーの添加量は特に限定されず、所望の清浄剤の強度となるように適宜調整すればよい。
【0034】
なお、セメント、水酸化カルシウム等のカルシウム含有物をバインダーとして用いる場合には、これらのカルシウムも含めて、清浄剤中のカルシウム含有率がCaOに換算して40〜70質量%となるように添加量を設定する。特に水酸化カルシウムをバインダーとして用いる場合には、バインダーとしての水酸化カルシウムも含めて、清浄剤中の水酸化カルシウム含有率が40質量%以下となるように添加量を設定する。
【0035】
ドライクリーニング溶剤清浄剤の製造方法
本発明の清浄剤の製造方法は特に限定されず、ケイ酸カルシウム水和物を主成分とし、カルシウム含有率がCaOに換算して40〜70質量%である無機材料が製造できる方法であればよい。例えば、水和反応によりケイ酸カルシウム水和物を生成する原料及び水からなる原料スラリーを、加温下で湿式粉砕してケイ酸カルシウム水和物を生成させた後、スラリーを所望の形状及び大きさに加工した後、固化させることにより製造できる。
【0036】
ケイ酸カルシウム水和物生成原料としては、例えば、ケイ酸カルシウム、ポルトランドセメント、高炉水砕スラグ等のケイ酸カルシウム含有原料の少なくとも1種が使用できる。この中でも、得られる清浄剤に不純物が混入し難い点を考慮するとケイ酸カルシウムが好ましいが、一般にはポルトランドセメントを好適に使用できる。
【0037】
なお、ケイ酸カルシウム水和物生成原料の種類によっては、ケイ酸カルシウム水和物生成原料だけでは、得られた清浄剤中のカルシウム含有率がCaOに換算して40質量%に満たない場合もあるが、その場合には、例えば、下記▲1▼〜▲3▼のような方法により、水酸化カルシウムを添加することにより、清浄剤中のカルシウム含有率が所定範囲となるように調整すればよい。
▲1▼ケイ酸カルシウム水和物生成原料に水酸化カルシウムを添加する方法、
▲2▼粉砕水和後のスラリーに水酸化カルシウムを添加する方法、
▲3▼スラリーを所望の形状及び大きさに加工し、固化させた後に水酸化カルシウムを添加する方法。
【0038】
但し、いずれの方法においても、水酸化カルシウムの含有率は、清浄剤中40質量%以下となるように留意する必要がある。水酸化カルシウム含有率が40質量%を超えると、ケイ酸カルシウム含有率が不十分となり、清浄剤の金属セッケン及び水の吸着性能が低下して、フィルター外周の濾紙の目詰まりを生じさせたり、衣類の逆汚染を生じさせたりする可能性がある。
【0039】
このようなケイ酸カルシウム水和物生成原料と水との配合割合は特に限定されないが、ケイ酸カルシウム水和物生成原料(必要に応じて、水酸化カルシウムを含む)100重量部に対して、通常100〜1000重量部、好ましくは300〜700重量部程度の水を加えて原料スラリーを調製すればよい。
【0040】
原料スラリーを加温下で湿式粉砕してケイ酸カルシウム水和物を生成させる方法は特に限定されず、例えば、スラリーを40〜100℃、好ましくは80〜95℃に加温して湿式粉砕すればよい。湿式粉砕には、例えば、媒体撹拌ミル、振動ミル、タワーミル、ボールミル等が使用できる。
【0041】
ケイ酸カルシウム水和物が生成した後は、必要に応じてバインダーを添加してスラリーを所望の形状及び大きさに加工した後、固化させることにより本発明の清浄剤が得られる。例えば、押出し造粒機、パンペンタイザー、ブリケッティングマシン等により所望の形状及び大きさに加工できる。好ましい形状及び大きさについては、前記で説明した通りである。固化させる際の乾燥条件は特に限定されず、自然乾燥でも加熱乾燥でもよい。加熱乾燥の場合には、通常100〜400℃が適当であり、100〜200℃程度が好ましい。乾燥時間は乾燥方法に応じて適宜設定すればよい。必要に応じて、固化させる前に、ケイ酸カルシウム水和物が生成したスラリーを養生させてもよい。
【0042】
このような清浄剤の製造方法の中では、ケイ酸カルシウム水和物生成原料としてポルトランドセメントを用いる下記の製造方法が好ましい。下記(1)の方法において、ポルトランドセメントの種類によって、得られた清浄剤中のカルシウム含有率が40質量%に満たない場合には、下記(2)の製造方法を採用して清浄剤中のカルシウム含有率を所定範囲となるように調整すればよい。
(1)ポルトランドセメント100重量部及び水100〜1000重量部からなる原料スラリーを、40〜100℃で湿式粉砕してケイ酸カルシウムを水和させた後、スラリーを造粒し、固化させることを特徴とする請求項1に記載のドライクリーニング溶剤清浄剤の製造方法。
(2)ポルトランドセメントと水酸化カルシウムとの混合物100重量部及び水100〜1000重量部からなる原料スラリーを、40〜100℃で湿式粉砕してケイ酸カルシウムを水和させた後、スラリーを造粒し、固化させることを特徴とする請求項2に記載のドライクリーニング溶剤清浄剤の製造方法。
【0043】
ドライクリーニング溶剤清浄方法
本発明のドライクリーニング溶剤清浄方法は、ドライクリーニング溶剤を本発明の清浄剤と接触させることを特徴とする。
【0044】
例えば、本発明の清浄剤を既存のカートリッジ式フィルター内に充填し、ポンプを用いてフィルター内にドライクリーニング溶剤を循環させることにより溶剤を清浄化できる。本発明の清浄剤に加えて、既存の脱色剤(粒状活性炭等)も充填すれば、溶剤の脱色も同時に行える。脱色剤の添加量は特に限定されず、溶剤の種類等に応じて適宜設定できる。脱色剤の形状及び大きさも特に限定されないが、本発明の清浄剤と同程度とすればよい。
【0045】
【発明の効果】
本発明の清浄剤は、溶剤中に含まれる脂肪酸及び水分を吸着して除去する性能が優れており、溶剤清浄力が高い。更に粒状活性炭等の脱色剤を併用すれば、溶剤の脱色も同時に行える。清浄化された溶剤は、ドライクリーニング溶剤として有効に再利用できる。
【0046】
本発明の清浄剤の製造方法は、本発明の清浄剤を容易に且つ確実に製造することができる。
【0047】
本発明の清浄方法によれば、溶剤を容易且つ確実に清浄化できる。また、フィルターを通過させて溶剤清浄を行うため、安全性が高く、簡易な設備で実施できる。
【0048】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は実施例の記載に限定されるものではない。
【0049】
実施例1
普通ポルトランドセメント1Kgに80℃の熱水3Kgを添加してなるスラリーを、φ2mm高クロム球を媒体とした媒体撹拌ミルにより3時間撹拌して粉砕水和させた。
【0050】
粉砕水和後のスラリー1Kgに普通ポルトランドセメント0.2Kgを混合したものをバット上に厚さ5mm程度に敷き詰めて30℃で3日間湿空養生させた後、100℃で乾燥させ、次いで平均粒子径が3〜5mmとなるように粉砕してドライクリーニング溶剤清浄剤を得た。
【0051】
得られた清浄剤中のケイ酸カルシウム水和物の細孔体積量は1.2cm3/gであり、比表面積は140m2/gであった。
【0052】
得られたドライクリーニング溶剤清浄剤に含まれるCa含有率は、CaOに換算すると65質量%であった。
【0053】
得られたドライクリーニング溶剤清浄剤の脱水性能及び脱酸性能を確認するため、下記の2種の試験を行った。
【0054】
試験例1
実施例1で得られたドライクリーニング溶剤清浄剤の脱水性能を確認した。
【0055】
試験法としては、水分0.1%に調整したミネラルターペンを100mlビーカーに40ml入れたものを5つ用意し、実施例1で得られたドライクリーニング溶剤清浄剤を、表1に示された添加量づつ添加して30分間撹拌後、濾別し、濾液中の残存水分量(%)をカールフィッシャー法により測定する方法とした。測定結果を表1に示す。
【0056】
比較例1として、市販のドライクリーニング用脱水剤(主成分:アパタルジャイト、中国産、平均粒子径3〜5mm)を、試験例1と同量づつ添加して30分間撹拌後、濾別し、濾液中の残存水分量(%)をカールフィッシャー法により測定した。測定結果を表1に示す。
【0057】
また、清浄剤/脱水剤の添加量と試験後の溶剤の残存水分量との関係を示したグラフを図1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
試験例2
実施例1で得られたドライクリーニング溶剤清浄剤の脱酸性能を確認した。
【0060】
試験法としては、オレイン酸を添加し、酸価1mgKOH/mlに調整したミネラルターペンを100mlビーカーに40ml入れたものを5つ用意し、実施例1で得られたドライクリーニング溶剤清浄剤を、表1に示された添加量づつ添加して30分間撹拌後、濾別し、濾液中の残存オレイン酸量を、フェノールフタレインを指示薬として0.1mol/lKOHエタノール溶液にて中和滴定して求め、これを初期量から差し引いて、オレイン酸除去率を算出した。測定結果を表2に示す。
【0061】
比較例2として、市販のドライクリーニング用脱酸剤(活性アルミナ、平均粒子径1〜2mm、商標名「KHD−12」住友化学株式会社製)を試験例2と同量づつ添加して30分間撹拌後、濾別し、濾液中の残存オレイン酸量を、フェノールフタレインを指示薬として0.1mol/lKOHエタノール溶液にて中和滴定して求め、これを初期量から差し引いて、オレイン酸除去率を算出した。測定結果を表2に示す。
【0062】
また、清浄剤/脱水剤の添加量と試験後の溶剤のオレイン酸除去率との関係を示したグラフを図2に示す。
【0063】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】試験例1において、清浄剤/脱水剤の添加量と試験後の溶剤の残存水分量との関係を表したグラフである。
【図2】試験例2において、清浄剤/脱水剤の添加量と試験後の溶剤のオレイン酸除去率との関係を表したグラフである。
Claims (6)
- ケイ酸カルシウム水和物を主成分とするドライクリーニング溶剤清浄剤であって、清浄剤中のカルシウム含有率がCaOに換算して40〜70質量%であることを特徴とする清浄剤。
- ケイ酸カルシウム水和物を主成分とし、水酸化カルシウムを40質量%以下の割合で含むドライクリーニング溶剤清浄剤であって、清浄剤中のカルシウム含有率がCaOに換算して40〜70質量%であることを特徴とする清浄剤。
- ケイ酸カルシウム水和物が、細孔体積量0.8〜3cm3/gのケイ酸カルシウム水和物である請求項1又は2に記載のドライクリーニング溶剤清浄剤。
- ケイ酸カルシウム水和物生成原料100重量部及び水100〜1000重量部からなる原料スラリーを、40〜100℃で湿式粉砕してケイ酸カルシウムを水和させた後、スラリーを造粒し、固化させることを特徴とする請求項1に記載のドライクリーニング溶剤清浄剤の製造方法。
- ケイ酸カルシウム水和物生成原料と水酸化カルシウムとの混合物100重量部及び水100〜1000重量部からなる原料スラリーを、40〜100℃で湿式粉砕してケイ酸カルシウムを水和させた後、スラリーを造粒し、固化させることを特徴とする請求項2に記載のドライクリーニング溶剤清浄剤の製造方法。
- ドライクリーニング溶剤を請求項1〜3のいずれかに記載のドライクリーニング溶剤清浄剤と接触させることを特徴とするドライクリーニング溶剤清浄方法。
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JP2002316429A JP2004149669A (ja) | 2002-10-30 | 2002-10-30 | ドライクリーニング溶剤清浄剤及びその製造方法並びにドライクリーニング溶剤清浄方法 |
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US10144673B2 (en) * | 2015-04-21 | 2018-12-04 | Basf Se | Method for producing a calcium silicate hydrate-comprising hardening accelerator in powder form |
-
2002
- 2002-10-30 JP JP2002316429A patent/JP2004149669A/ja active Pending
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