JP2004148885A - 自動車内装材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】経時で黄変することなく、生産性に優れ、軽量な自動車内装材の製造方法を提供する。
【解決手段】多孔質基材と表層材を25℃の粘度が800mPa・s以下である有機ポリイソシアネート(A)を介して積層接着して得られる自動車内装材の製造方法において、該有機ポリイソシアネートが脂肪族ジイソシアネートのアロファネート変性体(A1)及び脂肪族ジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(A2)であって、その質量混合比が(A1):(A2)=50:50〜95:5であることを特徴とする自動車内装材の製造方法により解決する。なお、(A1)は、ヘキサメチレンジイソシアネートを炭素数1〜5の脂肪族モノオールをアロファネート変性させたものであることが好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】多孔質基材と表層材を25℃の粘度が800mPa・s以下である有機ポリイソシアネート(A)を介して積層接着して得られる自動車内装材の製造方法において、該有機ポリイソシアネートが脂肪族ジイソシアネートのアロファネート変性体(A1)及び脂肪族ジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(A2)であって、その質量混合比が(A1):(A2)=50:50〜95:5であることを特徴とする自動車内装材の製造方法により解決する。なお、(A1)は、ヘキサメチレンジイソシアネートを炭素数1〜5の脂肪族モノオールをアロファネート変性させたものであることが好ましい。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車内装材の製造方法に関する。更に詳しくは、特定のポリイソシアネート及びアミンを用いた自動車内装材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車内装材の製造方法の一つとして、多孔質基材と表層材とを接着剤を用いて積層させて得られる方法が知られており、得られた内装材はドアトリムや天井材等に用いられている。具体的製造方法としては、例えば特許文献1には、軟質ウレタンフォームや硬質ウレタンフォームにイソシアネートを含浸し、その上へ水とウレタン化触媒を加え、両面をガラスマットで補強した成形品が提案されている。また、特許文献2には、連続気泡の常温成型しうるポリウレタンフォームを接着剤が施されている2枚のガラスマットの間に挟み込み熱成形した成形品が提案されている。更に本出願人は、特願2002−127122において、無黄変ポリイソシアネートを介して積層接着して得られる自動車内装材の製造方法を既に報告している。
【0003】
【特許文献1】
特開昭58−5346号公報
【特許文献2】
特開平4−211416号公報
【0004】
【本発明が解決しようとする課題】
そして、これらの接着剤は、強度や硬化性等の面から、芳香族系のポリイソシアネートを用いる場合が多い。しかし、芳香族系ポリイソシアネートは経時により黄変するという欠点があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、このような従来の問題点を改善するため鋭意研究検討を重ねた結果、生産性に優れ、強度や硬化性がほぼ同等であり、かつ、外観上優れる無黄変イソシアネートを使用することにより、上記問題点を改善できることを見出し、本発明に到達した。
【0006】
すなわち本発明は、多孔質基材と表層材を25℃の粘度が800mPa・s以下である有機ポリイソシアネート(A)を介して積層接着して得られる自動車内装材の製造方法において、該有機ポリイソシアネートが脂肪族ジイソシアネートのアロファネート変性体(A1)及び脂肪族ジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(A2)であって、その質量混合比が(A1):(A2)=50:50〜95:5であることを特徴とする自動車内装材の製造方法である。
【0007】
また本発明は、脂肪族ジイソシアネートのアロファネート変性体(A1)が、ヘキサメチレンジイソシアネートを炭素数1〜5の脂肪族モノオールをアロファネート変性させたものであることを特徴とする、前記の自動車内装材の製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる有機ポリイソシアネート(A)は、脂肪族ジイソシアネートのアロファネート変性体(A1)及び脂肪族ジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(A2)であって、その質量混合比が(A1):(A2)=50:50〜95:5(好ましくは60:40〜90:10)である。また、(A)の25℃の粘度が800mPa・s以下(好ましくは50〜600mPa・s)である。(A1)が多すぎる場合は、接着強度が不足しやすい。また、(A2)が多すぎる場合は、粘度が高くなりすぎて、多孔質基材に含浸しにくい。(A)の粘度が高すぎる場合は多孔質基材に含浸しにくい。また、(A)のイソシアネート含量は、10〜25質量%が好ましく、12〜22質量%が特に好ましい。
【0009】
本発明に用いられる脂肪族ジイソシアネートのアロファネート変性体(A1)は、ヘキサメチレンジイソシアネート(以後HDIと略称する)を炭素数1〜5の脂肪族モノオールをアロファネート変性させたものが好ましい。ここで炭素数1〜5の脂肪族モノオールとしては、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、sec−ブタノール、ter−ブタノール、ノルマルペンタノール、ネオペンタノール等が挙げられる。本発明では、炭素数1〜3の脂肪族モノオールがより好ましく、メタノール、イソプロパノールが特に好ましい。
【0010】
本発明に用いられる脂肪族ジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(A2)としては、脂肪族ジイソシアネート単品をイソシアヌレート化触媒の存在下で、イソシアヌレート化反応を経て得られるポリイソシアネートや、脂肪族ジイソシアネートと水酸基含有化合物と反応させたウレタン変性体をイソシアヌレート化触媒の存在下で、イソシアヌレート化反応を経て得られるポリイソシアネート等が挙げられる。ここで脂肪族ジイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、HDI、デカメチレンジイソシアネート等が挙げられる。本発明においてこの脂肪族ジイソシアネートとしてはHDIが好ましい。
【0011】
HDIのアロファネート変性ポリイソシアネート(A1)の製造方法は、HDIの一部を炭素数1〜5の脂肪族モノオールでウレタン変性した後、アロファネート化触媒の存在下でアロファネート化反応を行い、所定の反応率又はウレタン基が消失した時点で触媒毒を添加して触媒を失活させるという方法等が挙げられる。
【0012】
HDIのイソシアヌレート変性ポリイソシアネートの製造方法は、HDI単品、又はHDIの一部をポリオール(分子量500以下のジオールが好ましい)でウレタン変性した後、イソシアヌレート化触媒の存在下でイソシアヌレート化反応を行い、所定の反応率に達した時点で触媒毒を添加してイソシアヌレート化反応を停止するという方法等が挙げられる。
【0013】
なお、いずれの場合も、反応停止後に未反応のHDIを薄膜蒸留等により、未反応HDI含有量1%以下になるまで除去すると、内装材製造時において刺激臭がほとんどないので好ましい。
【0014】
本発明では、必要に応じて(A1)、(A2)以外の有機ポリイソシアネートを併用してもよい。(A1)、(A2)以外の有機ポリイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、HDI、デカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリエチレングリコールジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート(モノマー)、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水素添加トルエンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、テトラメチル水素添加キシレンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、キシレン−1,3−ジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジフェニルプロパン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルプロパンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニル−4,4′−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートの他、その重合体やそのポリメリック体、ウレタン変性体、ウレア変性体、ビウレット変性体、カルボジイミド変性体、ウレトンイミン変性体、ウレトジオン変性体、イソシアヌレート変性体、脂肪族ジイソシアネート以外のアロファネート変性体、更にこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0015】
なお、本発明に用いる有機ポリイソシアネートには、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、可塑剤、顔料・染料、抗菌剤・抗カビ剤等の公知の各種添加剤や助剤を添加することもできる。
【0016】
本発明における「表層材」とは、表皮材や裏面材といった内装材の最外部に用いられる部材の総称である。この表層材としては、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリアミド系等のシート、不織布、トリコット等が挙げられる。
【0017】
本発明に用いられる多孔質基材は、内装材の芯材に用いられるものであり、イソシアネートを塗布又は含浸させ、熱成形することにより成形性を有するものであれば何でもよく、例えば、布、紙、フェルト、ウール、樹脂繊維、硬質発泡プラスチック、軟質発泡プラスチック、フォームチップを固めたリボンデッドフォーム等が挙げられる。本発明において特に好ましい多孔質基材は、ウレタンフォームである。更に内装材の強度付与等のため、表層材と多孔質基材の間にガラス繊維等の強化材を用いるのが好ましい。
【0018】
本発明の自動車内装材の具体的な製造方法は、以下に示す方法が挙げられる。
1)前述の有機ポリイソシアネートを、多孔質基材及び/又は表層材の片面あるいは両面に含浸又は塗布した後、水及び/又は触媒をイソシアネート塗布面に噴霧して、積層する。
2)前述の有機ポリイソシアネート、又は有機ポリイソシアネート及び触媒を水に乳化・分散させて、この分散液を多孔質基材及び/又は表層材の片面あるいは両面に含浸又は塗布して、積層する。
3)多孔質基材及び/又は表層材の片面あるいは両面に、水及び/又は触媒を噴霧した後、前述の有機ポリイソシアネートを、多孔質基材及び/又は表層材の片面あるいは両面に含浸又は塗布して、積層する。
4)多孔質基材及び/又は表層材の一方の面に前述の有機ポリイソシアネートを含浸又は塗布し、他方の面に水及び/又は触媒を噴霧し、その後積層する。
なお積層後又は同時に、熱成形することが好ましい。
【0019】
なお、接着強度向上等の目的で、水以外の活性水素基含有化合物を併用してもよい。この活性水素基含有化合物としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、イソホロンジアミン、ジエチレントリアミン等の低分子ポリオールや低分子ポリアミンが挙げられる。水以外の活性水素基含有化合物を用いる場合、その使用量は、ポリイソシアネートの2〜10質量%が好ましい。
【0020】
前記触媒としては、例えばトリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N−メチルモルホリン、ジメチルベンジルアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N′,N′,N″−ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチレンジアミン、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、1,2−ジメチルイミダゾール、1−ブチル−2−メチルイミダゾール等の三級アミン、またはこれらの有機酸塩、スタナスオクトエート、ジブチルチンジラウレート、ナフテン酸亜鉛等の有機金属化合物が挙げられる。更には、2,4,6,−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N′,N″−トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロートリアジン、オクチル酸カリウムとジエチレングリコールの混合物、3級アミンとオクチル酸カリウムとジエチレングリコールの混合物、カリウムフェノラート、ナトリウムメトキシド等のフェノラート、アルコラート、更に特に有効な2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4−ビス(ジメミルアミノメチル)フェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−ジメチルアミノトリメチルシランフェノール、トリエチルアミン、ナフテン酸鉛、オクテン酸鉛等のイソシアヌレート化触媒が挙げられる。触媒の使用量は触媒単独の場合、有機ポリイソシアネートに対して2〜20質量%が好ましい。水と触媒を併用する場合は、水/触媒の使用質量比率は、1/1〜15/1が好ましい。この場合における触媒/水混合物の使用量は、有機ポリイソシアネートに対して2〜80質量%が好ましい。
【0021】
熱成形する場合の条件は、金型温度:85〜150℃、時間:10〜150秒が好ましく、特に、金型温度:90〜140℃、時間:20〜120秒が好ましい。なお、圧力は0.1〜10MPa、特に0.2〜5MPaが好ましい。
【0022】
なお、85℃未満の金型温度(例えば80℃)で熱成形した直後は、十分に接着していない場合が多いが、更に30〜70℃で0.5〜48時間熟成することによって強度をアップさせることが可能である。しかし、低温での熱成形は、このような熟成工程が必要となり、生産性に劣るものであるため好ましくない。
【0023】
このようにして得られる自動車内装材の単位体積当たりの全見掛け密度は、100〜150kg/m3 が好ましい。単位面積当たりの全見掛け密度は0.5〜1kg/m2 が好ましい。また、内装材の厚さは3〜7mmが好ましい。
【0024】
【発明の効果】
本発明により、長期に渡り変色のない自動車内装材が得られる。なお、本発明によって得られた自動車内装材は、軽量で生産性に優れ、成形天井用として好適である。なお本発明は、船舶用内装材や建築材料(複合パネル)等の分野にも応用できるものである。
【0025】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。例における「%」は、断りのない限り「質量%」である。
【0026】
〔アロファネート変性ポリイソシアネートの合成〕
合成例1
攪拌機、温度計、冷却器及び窒素ガス導入管のついた容量:1Lの反応器内を窒素置換した後、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を975g、メタノールを25g仕込み、90℃で2時間ウレタン化反応を行った。反応生成物をFT−IRにて分析したところ、水酸基は消失していた。次に2−エチルヘキサン酸ジルコニウムを0.2g仕込み、90℃にて3時間反応させた。反応生成物をFT−IR及び13C−NMRにて分析したところ、ウレタン基は消失していた。次いで、リン酸を0.1g仕込み50℃で1時間停止反応を行った。停止反応後の反応生成物のイソシアネート含量は42.1%であった。この反応生成物を130℃・0.04kPaにて薄膜蒸留を行い、イソシアネート含量が21.1%、25℃の粘度が120mPa・s、遊離のHDI含有量が0.1%、色数が20APHA、平均官能基数が2のポリイソシアネートAを得た。ポリイソシアネートAをFT−IR、13C−NMRにて分析したところ、ウレタン基はその存在が認められず、アロファネート基の存在が確認された。また、ウレトジオン基及びイソシアヌレート基は痕跡程度認められた。
【0027】
合成例2
合成例1と同様な反応器内を窒素置換した後、HDIを950g、イソプロパノールを50g仕込み、90℃で2時間ウレタン化反応を行った。反応生成物をFT−IRにて分析したところ、水酸基は消失していた。次に2−エチルヘキサン酸ジルコニウムを0.2g仕込み、90℃にて3時間反応させた。反応生成物をFT−IR及び13C−NMRにて分析したところ、ウレタン基は消失していた。次いで、リン酸を0.1g仕込み50℃で1時間停止反応を行った。停止反応後の反応生成物のイソシアネート含量は40.5%であった。この反応生成物を130℃・0.04kPaにて薄膜蒸留を行い、イソシアネート含量が19.4%、25℃の粘度が100mPa・s、未反応のHDI含有量が0.2%、色数が20APHA、平均官能基数が2のポリイソシアネートBを得た。ポリイソシアネートBをFT−IR、13C−NMRにて分析したところ、ウレタン基はその存在が認められず、アロファネート基の存在が確認された。また、ウレトジオン基及びイソシアヌレート基は痕跡程度認められた。
【0028】
〔イソシアヌレート変性ポリイソシアネートの合成〕
合成例3
合成例1と同様な反応器内を窒素置換した後、HDIを600g、1,3−ブタンジオールを4.8gを仕込み、撹拌しながら80℃で2時間ウレタン化反応させた。反応液のイソシアネート含量を測定したところ、48.8%であった。次に、触媒としてカプリン酸カリウム0.12g、助触媒としてフェノール0.6gを加え、60℃で4.5時間イソシアヌレート化反応を行った。この反応液に停止剤としてリン酸を0.084g加え、60℃で1時間撹拌後、この反応生成物を130℃・0.04kPaにて薄膜蒸留を行い、淡黄色透明液体で、イソシアネート含量が21.1%、25℃の粘度が2,200mPa・s、遊離HDI含有量が0.4%、色数が20APHA、平均官能基数が3.8のポリイソシアネートCを得た。ポリイソシアネートCをFT−IR、13C−NMRにて分析したところ、イソシアヌレート基及びウレタン基の存在が確認された。また、ウレトジオン基は痕跡程度認められ、アロファネート基は確認されなかった。
【0029】
合成例4
合成例1と同様な反応器に、HDIを600g仕込んだ後、該反応器内を窒素置換して、カプリン酸カリウム0.12g、フェノ−ル0.6gを加え、60℃で6時間イソシアヌレート化反応を行った。この反応液にリン酸を0.084g加え、反応温度で1時間攪拌後、この反応生成物を130℃・0.04kPaにて薄膜蒸留を行い、淡黄色透明液体で、イソシアネート含量が23.5%、25℃の粘度が1,500mPa・s、遊離HDI含有量が0.2%、色数が20APHA、平均官能基数が3.7のポリイソシアネートDを得た。ポリイソシアネートDをFT−IR、13C−NMRにて分析したところ、イソシアヌレート基の存在が確認された。また、ウレトジオン基は痕跡程度認められ、ウレタン基及びアロファネート基は確認されなかった。
【0030】
〔内装材の製造〕
実施例1〜6、比較例1〜4
熱成形可能な硬質ウレタンフォーム(密度=35kg/m3 、長さ=200mm、幅=100mm、厚み=5mm)に表1に示すイソシアネートを片面当たり60g/m2 塗布し、表1に示す濃度7%の触媒水溶液を30g/m2 噴霧し、ガラスマット、ポリエステル不織布を上下面に順次積層し、120℃に加熱した金型で2.8MPaで120秒成形して、厚さ6mmの成形品を得た。なお、内装材の構成は、不織布/ガラスマット/硬質ウレタンフォーム/ガラスマット/不織布である。得られた成形品は表1に示す通り非常に軽量であった。
【0031】
【表1】
【0032】
実施例1〜6、比較例1〜4、表1において、ポリイソシアネートA〜D以外に用いたポリイソシアネートを以下に示す。
コロネート1130:
ポリメリックMDI
日本ポリウレタン工業(株)製品
イソシアネート含量=31.3%
25℃の粘度 =120mPa・s
※「コロネート」は日本ポリウレタン工業(株)の登録商標である。
※MDI:ジフェニルメタンジイソシアネート
※コロネート1130は、アニリンとホルムアルデヒドとの縮合反応で得られたポリアミンを、ホスゲンと反応させて得られる低粘度ポリイソシアネートであ
る。
【0033】
評価方法
<接着外観>
脱型直後、表層材に浮き(接着していない部分)を比較した。
○;表層材の浮きが全くないこと。
△;表層材の浮いている面積が、総面積の10%以下。
×;表層材の浮いている面積が、総面積の10%を越える。
<初期硬度>
脱型直後の表面硬度(C硬度)を測定した。
○;70以上
△;50〜70未満
×;50未満
<耐候性>
成形した翌日から、屋内のやや日の当たる場所に一ヶ月間放置し、黄変の度合いを比較した。
○;変化なし。
△;わずかに黄変する。
×;明らかに黄変する。
【0034】
表1から示されるように、本発明によって得られた内装材は、軽量であり、良好な接着性や耐候性を示した。一方、ポリメリックMDIを用いた比較例1は、耐候性が悪く、他の比較例は接着性に劣っていた。比較例2、4は粘度が高すぎて、多孔質基材への含浸が不十分なためと思われる。比較例3は、低官能ポリイソシアネートが多いため、強度が不足しているためと思われる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車内装材の製造方法に関する。更に詳しくは、特定のポリイソシアネート及びアミンを用いた自動車内装材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車内装材の製造方法の一つとして、多孔質基材と表層材とを接着剤を用いて積層させて得られる方法が知られており、得られた内装材はドアトリムや天井材等に用いられている。具体的製造方法としては、例えば特許文献1には、軟質ウレタンフォームや硬質ウレタンフォームにイソシアネートを含浸し、その上へ水とウレタン化触媒を加え、両面をガラスマットで補強した成形品が提案されている。また、特許文献2には、連続気泡の常温成型しうるポリウレタンフォームを接着剤が施されている2枚のガラスマットの間に挟み込み熱成形した成形品が提案されている。更に本出願人は、特願2002−127122において、無黄変ポリイソシアネートを介して積層接着して得られる自動車内装材の製造方法を既に報告している。
【0003】
【特許文献1】
特開昭58−5346号公報
【特許文献2】
特開平4−211416号公報
【0004】
【本発明が解決しようとする課題】
そして、これらの接着剤は、強度や硬化性等の面から、芳香族系のポリイソシアネートを用いる場合が多い。しかし、芳香族系ポリイソシアネートは経時により黄変するという欠点があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、このような従来の問題点を改善するため鋭意研究検討を重ねた結果、生産性に優れ、強度や硬化性がほぼ同等であり、かつ、外観上優れる無黄変イソシアネートを使用することにより、上記問題点を改善できることを見出し、本発明に到達した。
【0006】
すなわち本発明は、多孔質基材と表層材を25℃の粘度が800mPa・s以下である有機ポリイソシアネート(A)を介して積層接着して得られる自動車内装材の製造方法において、該有機ポリイソシアネートが脂肪族ジイソシアネートのアロファネート変性体(A1)及び脂肪族ジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(A2)であって、その質量混合比が(A1):(A2)=50:50〜95:5であることを特徴とする自動車内装材の製造方法である。
【0007】
また本発明は、脂肪族ジイソシアネートのアロファネート変性体(A1)が、ヘキサメチレンジイソシアネートを炭素数1〜5の脂肪族モノオールをアロファネート変性させたものであることを特徴とする、前記の自動車内装材の製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる有機ポリイソシアネート(A)は、脂肪族ジイソシアネートのアロファネート変性体(A1)及び脂肪族ジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(A2)であって、その質量混合比が(A1):(A2)=50:50〜95:5(好ましくは60:40〜90:10)である。また、(A)の25℃の粘度が800mPa・s以下(好ましくは50〜600mPa・s)である。(A1)が多すぎる場合は、接着強度が不足しやすい。また、(A2)が多すぎる場合は、粘度が高くなりすぎて、多孔質基材に含浸しにくい。(A)の粘度が高すぎる場合は多孔質基材に含浸しにくい。また、(A)のイソシアネート含量は、10〜25質量%が好ましく、12〜22質量%が特に好ましい。
【0009】
本発明に用いられる脂肪族ジイソシアネートのアロファネート変性体(A1)は、ヘキサメチレンジイソシアネート(以後HDIと略称する)を炭素数1〜5の脂肪族モノオールをアロファネート変性させたものが好ましい。ここで炭素数1〜5の脂肪族モノオールとしては、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、sec−ブタノール、ter−ブタノール、ノルマルペンタノール、ネオペンタノール等が挙げられる。本発明では、炭素数1〜3の脂肪族モノオールがより好ましく、メタノール、イソプロパノールが特に好ましい。
【0010】
本発明に用いられる脂肪族ジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(A2)としては、脂肪族ジイソシアネート単品をイソシアヌレート化触媒の存在下で、イソシアヌレート化反応を経て得られるポリイソシアネートや、脂肪族ジイソシアネートと水酸基含有化合物と反応させたウレタン変性体をイソシアヌレート化触媒の存在下で、イソシアヌレート化反応を経て得られるポリイソシアネート等が挙げられる。ここで脂肪族ジイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、HDI、デカメチレンジイソシアネート等が挙げられる。本発明においてこの脂肪族ジイソシアネートとしてはHDIが好ましい。
【0011】
HDIのアロファネート変性ポリイソシアネート(A1)の製造方法は、HDIの一部を炭素数1〜5の脂肪族モノオールでウレタン変性した後、アロファネート化触媒の存在下でアロファネート化反応を行い、所定の反応率又はウレタン基が消失した時点で触媒毒を添加して触媒を失活させるという方法等が挙げられる。
【0012】
HDIのイソシアヌレート変性ポリイソシアネートの製造方法は、HDI単品、又はHDIの一部をポリオール(分子量500以下のジオールが好ましい)でウレタン変性した後、イソシアヌレート化触媒の存在下でイソシアヌレート化反応を行い、所定の反応率に達した時点で触媒毒を添加してイソシアヌレート化反応を停止するという方法等が挙げられる。
【0013】
なお、いずれの場合も、反応停止後に未反応のHDIを薄膜蒸留等により、未反応HDI含有量1%以下になるまで除去すると、内装材製造時において刺激臭がほとんどないので好ましい。
【0014】
本発明では、必要に応じて(A1)、(A2)以外の有機ポリイソシアネートを併用してもよい。(A1)、(A2)以外の有機ポリイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、HDI、デカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリエチレングリコールジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート(モノマー)、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水素添加トルエンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、テトラメチル水素添加キシレンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、キシレン−1,3−ジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジフェニルプロパン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルプロパンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニル−4,4′−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートの他、その重合体やそのポリメリック体、ウレタン変性体、ウレア変性体、ビウレット変性体、カルボジイミド変性体、ウレトンイミン変性体、ウレトジオン変性体、イソシアヌレート変性体、脂肪族ジイソシアネート以外のアロファネート変性体、更にこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0015】
なお、本発明に用いる有機ポリイソシアネートには、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、可塑剤、顔料・染料、抗菌剤・抗カビ剤等の公知の各種添加剤や助剤を添加することもできる。
【0016】
本発明における「表層材」とは、表皮材や裏面材といった内装材の最外部に用いられる部材の総称である。この表層材としては、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリアミド系等のシート、不織布、トリコット等が挙げられる。
【0017】
本発明に用いられる多孔質基材は、内装材の芯材に用いられるものであり、イソシアネートを塗布又は含浸させ、熱成形することにより成形性を有するものであれば何でもよく、例えば、布、紙、フェルト、ウール、樹脂繊維、硬質発泡プラスチック、軟質発泡プラスチック、フォームチップを固めたリボンデッドフォーム等が挙げられる。本発明において特に好ましい多孔質基材は、ウレタンフォームである。更に内装材の強度付与等のため、表層材と多孔質基材の間にガラス繊維等の強化材を用いるのが好ましい。
【0018】
本発明の自動車内装材の具体的な製造方法は、以下に示す方法が挙げられる。
1)前述の有機ポリイソシアネートを、多孔質基材及び/又は表層材の片面あるいは両面に含浸又は塗布した後、水及び/又は触媒をイソシアネート塗布面に噴霧して、積層する。
2)前述の有機ポリイソシアネート、又は有機ポリイソシアネート及び触媒を水に乳化・分散させて、この分散液を多孔質基材及び/又は表層材の片面あるいは両面に含浸又は塗布して、積層する。
3)多孔質基材及び/又は表層材の片面あるいは両面に、水及び/又は触媒を噴霧した後、前述の有機ポリイソシアネートを、多孔質基材及び/又は表層材の片面あるいは両面に含浸又は塗布して、積層する。
4)多孔質基材及び/又は表層材の一方の面に前述の有機ポリイソシアネートを含浸又は塗布し、他方の面に水及び/又は触媒を噴霧し、その後積層する。
なお積層後又は同時に、熱成形することが好ましい。
【0019】
なお、接着強度向上等の目的で、水以外の活性水素基含有化合物を併用してもよい。この活性水素基含有化合物としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、イソホロンジアミン、ジエチレントリアミン等の低分子ポリオールや低分子ポリアミンが挙げられる。水以外の活性水素基含有化合物を用いる場合、その使用量は、ポリイソシアネートの2〜10質量%が好ましい。
【0020】
前記触媒としては、例えばトリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N−メチルモルホリン、ジメチルベンジルアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N′,N′,N″−ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチレンジアミン、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、1,2−ジメチルイミダゾール、1−ブチル−2−メチルイミダゾール等の三級アミン、またはこれらの有機酸塩、スタナスオクトエート、ジブチルチンジラウレート、ナフテン酸亜鉛等の有機金属化合物が挙げられる。更には、2,4,6,−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N′,N″−トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロートリアジン、オクチル酸カリウムとジエチレングリコールの混合物、3級アミンとオクチル酸カリウムとジエチレングリコールの混合物、カリウムフェノラート、ナトリウムメトキシド等のフェノラート、アルコラート、更に特に有効な2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4−ビス(ジメミルアミノメチル)フェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−ジメチルアミノトリメチルシランフェノール、トリエチルアミン、ナフテン酸鉛、オクテン酸鉛等のイソシアヌレート化触媒が挙げられる。触媒の使用量は触媒単独の場合、有機ポリイソシアネートに対して2〜20質量%が好ましい。水と触媒を併用する場合は、水/触媒の使用質量比率は、1/1〜15/1が好ましい。この場合における触媒/水混合物の使用量は、有機ポリイソシアネートに対して2〜80質量%が好ましい。
【0021】
熱成形する場合の条件は、金型温度:85〜150℃、時間:10〜150秒が好ましく、特に、金型温度:90〜140℃、時間:20〜120秒が好ましい。なお、圧力は0.1〜10MPa、特に0.2〜5MPaが好ましい。
【0022】
なお、85℃未満の金型温度(例えば80℃)で熱成形した直後は、十分に接着していない場合が多いが、更に30〜70℃で0.5〜48時間熟成することによって強度をアップさせることが可能である。しかし、低温での熱成形は、このような熟成工程が必要となり、生産性に劣るものであるため好ましくない。
【0023】
このようにして得られる自動車内装材の単位体積当たりの全見掛け密度は、100〜150kg/m3 が好ましい。単位面積当たりの全見掛け密度は0.5〜1kg/m2 が好ましい。また、内装材の厚さは3〜7mmが好ましい。
【0024】
【発明の効果】
本発明により、長期に渡り変色のない自動車内装材が得られる。なお、本発明によって得られた自動車内装材は、軽量で生産性に優れ、成形天井用として好適である。なお本発明は、船舶用内装材や建築材料(複合パネル)等の分野にも応用できるものである。
【0025】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。例における「%」は、断りのない限り「質量%」である。
【0026】
〔アロファネート変性ポリイソシアネートの合成〕
合成例1
攪拌機、温度計、冷却器及び窒素ガス導入管のついた容量:1Lの反応器内を窒素置換した後、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を975g、メタノールを25g仕込み、90℃で2時間ウレタン化反応を行った。反応生成物をFT−IRにて分析したところ、水酸基は消失していた。次に2−エチルヘキサン酸ジルコニウムを0.2g仕込み、90℃にて3時間反応させた。反応生成物をFT−IR及び13C−NMRにて分析したところ、ウレタン基は消失していた。次いで、リン酸を0.1g仕込み50℃で1時間停止反応を行った。停止反応後の反応生成物のイソシアネート含量は42.1%であった。この反応生成物を130℃・0.04kPaにて薄膜蒸留を行い、イソシアネート含量が21.1%、25℃の粘度が120mPa・s、遊離のHDI含有量が0.1%、色数が20APHA、平均官能基数が2のポリイソシアネートAを得た。ポリイソシアネートAをFT−IR、13C−NMRにて分析したところ、ウレタン基はその存在が認められず、アロファネート基の存在が確認された。また、ウレトジオン基及びイソシアヌレート基は痕跡程度認められた。
【0027】
合成例2
合成例1と同様な反応器内を窒素置換した後、HDIを950g、イソプロパノールを50g仕込み、90℃で2時間ウレタン化反応を行った。反応生成物をFT−IRにて分析したところ、水酸基は消失していた。次に2−エチルヘキサン酸ジルコニウムを0.2g仕込み、90℃にて3時間反応させた。反応生成物をFT−IR及び13C−NMRにて分析したところ、ウレタン基は消失していた。次いで、リン酸を0.1g仕込み50℃で1時間停止反応を行った。停止反応後の反応生成物のイソシアネート含量は40.5%であった。この反応生成物を130℃・0.04kPaにて薄膜蒸留を行い、イソシアネート含量が19.4%、25℃の粘度が100mPa・s、未反応のHDI含有量が0.2%、色数が20APHA、平均官能基数が2のポリイソシアネートBを得た。ポリイソシアネートBをFT−IR、13C−NMRにて分析したところ、ウレタン基はその存在が認められず、アロファネート基の存在が確認された。また、ウレトジオン基及びイソシアヌレート基は痕跡程度認められた。
【0028】
〔イソシアヌレート変性ポリイソシアネートの合成〕
合成例3
合成例1と同様な反応器内を窒素置換した後、HDIを600g、1,3−ブタンジオールを4.8gを仕込み、撹拌しながら80℃で2時間ウレタン化反応させた。反応液のイソシアネート含量を測定したところ、48.8%であった。次に、触媒としてカプリン酸カリウム0.12g、助触媒としてフェノール0.6gを加え、60℃で4.5時間イソシアヌレート化反応を行った。この反応液に停止剤としてリン酸を0.084g加え、60℃で1時間撹拌後、この反応生成物を130℃・0.04kPaにて薄膜蒸留を行い、淡黄色透明液体で、イソシアネート含量が21.1%、25℃の粘度が2,200mPa・s、遊離HDI含有量が0.4%、色数が20APHA、平均官能基数が3.8のポリイソシアネートCを得た。ポリイソシアネートCをFT−IR、13C−NMRにて分析したところ、イソシアヌレート基及びウレタン基の存在が確認された。また、ウレトジオン基は痕跡程度認められ、アロファネート基は確認されなかった。
【0029】
合成例4
合成例1と同様な反応器に、HDIを600g仕込んだ後、該反応器内を窒素置換して、カプリン酸カリウム0.12g、フェノ−ル0.6gを加え、60℃で6時間イソシアヌレート化反応を行った。この反応液にリン酸を0.084g加え、反応温度で1時間攪拌後、この反応生成物を130℃・0.04kPaにて薄膜蒸留を行い、淡黄色透明液体で、イソシアネート含量が23.5%、25℃の粘度が1,500mPa・s、遊離HDI含有量が0.2%、色数が20APHA、平均官能基数が3.7のポリイソシアネートDを得た。ポリイソシアネートDをFT−IR、13C−NMRにて分析したところ、イソシアヌレート基の存在が確認された。また、ウレトジオン基は痕跡程度認められ、ウレタン基及びアロファネート基は確認されなかった。
【0030】
〔内装材の製造〕
実施例1〜6、比較例1〜4
熱成形可能な硬質ウレタンフォーム(密度=35kg/m3 、長さ=200mm、幅=100mm、厚み=5mm)に表1に示すイソシアネートを片面当たり60g/m2 塗布し、表1に示す濃度7%の触媒水溶液を30g/m2 噴霧し、ガラスマット、ポリエステル不織布を上下面に順次積層し、120℃に加熱した金型で2.8MPaで120秒成形して、厚さ6mmの成形品を得た。なお、内装材の構成は、不織布/ガラスマット/硬質ウレタンフォーム/ガラスマット/不織布である。得られた成形品は表1に示す通り非常に軽量であった。
【0031】
【表1】
【0032】
実施例1〜6、比較例1〜4、表1において、ポリイソシアネートA〜D以外に用いたポリイソシアネートを以下に示す。
コロネート1130:
ポリメリックMDI
日本ポリウレタン工業(株)製品
イソシアネート含量=31.3%
25℃の粘度 =120mPa・s
※「コロネート」は日本ポリウレタン工業(株)の登録商標である。
※MDI:ジフェニルメタンジイソシアネート
※コロネート1130は、アニリンとホルムアルデヒドとの縮合反応で得られたポリアミンを、ホスゲンと反応させて得られる低粘度ポリイソシアネートであ
る。
【0033】
評価方法
<接着外観>
脱型直後、表層材に浮き(接着していない部分)を比較した。
○;表層材の浮きが全くないこと。
△;表層材の浮いている面積が、総面積の10%以下。
×;表層材の浮いている面積が、総面積の10%を越える。
<初期硬度>
脱型直後の表面硬度(C硬度)を測定した。
○;70以上
△;50〜70未満
×;50未満
<耐候性>
成形した翌日から、屋内のやや日の当たる場所に一ヶ月間放置し、黄変の度合いを比較した。
○;変化なし。
△;わずかに黄変する。
×;明らかに黄変する。
【0034】
表1から示されるように、本発明によって得られた内装材は、軽量であり、良好な接着性や耐候性を示した。一方、ポリメリックMDIを用いた比較例1は、耐候性が悪く、他の比較例は接着性に劣っていた。比較例2、4は粘度が高すぎて、多孔質基材への含浸が不十分なためと思われる。比較例3は、低官能ポリイソシアネートが多いため、強度が不足しているためと思われる。
Claims (2)
- 多孔質基材と表層材を25℃の粘度が800mPa・s以下である有機ポリイソシアネート(A)を介して積層接着して得られる自動車内装材の製造方法において、該有機ポリイソシアネートが脂肪族ジイソシアネートのアロファネート変性体(A1)及び脂肪族ジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(A2)であって、その質量混合比が(A1):(A2)=50:50〜95:5であることを特徴とする自動車内装材の製造方法。
- 脂肪族ジイソシアネートのアロファネート変性体(A1)が、ヘキサメチレンジイソシアネートを炭素数1〜5の脂肪族モノオールをアロファネート変性させたものであることを特徴とする、請求項1に記載の自動車内装材の製造方法。
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