JP2004148752A - 配合設計装置および配合設計方法 - Google Patents

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JP2004148752A JP2002318715A JP2002318715A JP2004148752A JP 2004148752 A JP2004148752 A JP 2004148752A JP 2002318715 A JP2002318715 A JP 2002318715A JP 2002318715 A JP2002318715 A JP 2002318715A JP 2004148752 A JP2004148752 A JP 2004148752A
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Takeyuki Kimijima
健之 君島
Yoshio Uchida
美生 内田
Yoshinobu Edamatsu
良展 枝松
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  • Preparation Of Clay, And Manufacture Of Mixtures Containing Clay Or Cement (AREA)

Abstract

【課題】配合設計の精度の向上を図ることを目的とする。
【解決手段】コンピュータは、入力された複数の構成材料についての材料情報、配合条件情報およびコンクリートの目標性能情報を取得し、配合条件情報、材料情報、コンクリートの目標性能情報に基づいて、第一の配合設計を行う。入力された第一の配合設計に基づく試験材料の性能情報を取得し、試験材料の性能情報が、コンクリートの目標性能情報を満たすか否かを判別する。試験材料の性能情報がコンクリートの目標性能情報を満たさない場合に、コンクリートの目標性能情報および試験材料の性能情報に基づいて、配合条件情報を修正し、修正した配合条件情報に基づいて、第二の配合設計を行う。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、配合設計の精度の向上および配合設計処理の効率化を図る配合設計装置および配合設計方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
様々な種類の構成材料を混合して生成される一般的な複合物の配合設計を行うにあたり、複合物の目標とする性能を満たすために、暫定的に配合を決定し、その配合に基づいて試験的に生成した試験材料の性能試験を繰り返し行う。そして、その性能試験の結果を考慮しながら、試験材料が目標性能を満たすように、適当な配合を決定する。
【0003】
例えば、「セメント、混和材、混和剤(高性能AE減水剤、AE助剤)、細骨材、粗骨材、練混ぜ水」を混合して高流動コンクリートを生成しようとする場合、目標品質(所定の充填高さ、スランプフローなど)を満たすように暫定配合「液体量(練混ぜ水量+混和剤量)、粉体量(セメント量+混和材量)、細骨材量、粗骨材量」を決定する。そして、暫定配合にしたがって試し練りを行い、生成された高流動コンクリートの特性を測定する。例えば、ボックス形またはU形充填装置を用いた間隙通過性試験により充填高さを測定し、また、所定規格のスランプコーンによるスランプフロー試験により、スランプフローを測定する。
【0004】
なお、コンクリートの配合設計における「粗骨材量、細骨材量、細骨材容積比、水粉体容積比」などの算出式、特性について、特開平07−60742号公報、セメント・コンクリート論文集、土木学会第52回年次学術講演会などに開示されている(特許文献1、非特許文献1、非特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平07−60742号公報(請求項1)
【非特許文献1】
セメント・コンクリート論文集、NO.52、1998、「高流動コンクリートの細骨材料の設定方法に関する一考察」
【非特許文献2】
土木学会第52回年次学術講演会、平成9年9月、「自己充填コンクリートの配合設計法に関する一提案」。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、複合物および構成材料は、それぞれ材料特有の特性を有し、その特性が、配合設計の精度に影響を及ぼす場合が多く、その精度の悪化を招く。特に、高流動コンクリートの配合設計では、フレッシュコンクリートの状態において、流動性が高く、自重のみで型枠の隅々まで充填する自己充填性を有するという特殊性により、高精度の配合設計が必要である。また、目標性能を満たす配合設計を迅速に行うこと、つまり、配合設計処理の効率化が要求される。
【0007】
この発明は、このような問題を解決し、配合設計の精度の向上および効率的な配合設計処理を実現する配合設計装置および配合設計方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
(1)(2)(9) この発明の配合設計装置は、目的とする複合物を構成する構成材料についての配合条件情報、当該構成材料の構成材料基本情報および複合物の目標性能情報を受けて、これらに基づいて第一の配合設計情報を決定する第一の配合設計手段と、複合物の目標性能情報および前記第一の配合設計情報に基づく試験材料の性能情報に基づいて、第二の配合設計情報を決定する第二の配合設計手段とを備えたことを特徴としている。
【0009】
したがって、複合物の目標性能情報を配合設計装置に与えることにより、第一の配合設計情報を得ることができ、さらに、試験材料の性能情報を与えることにより、第二の配合設計情報を得ることができる。つまり、一回目の配合設計(第一の配合設計)では、目標性能を有する複合物を生成することができない場合に、試験材料の性能に基づく二回目の配合設計(第二の配合設計)を行うことにより、目標性能を満たす(または目標性能に近づく)配合設計情報を得ることができる。
【0010】
また、二回目の配合設計によっても、目標性能を満たす配合設計情報を得ることができない場合には、その配合設計情報に基づく試験材料の性能情報を用いて、再度配合設計を行うことにより、目標性能を満たす(または目標性能に近づく)配合設計情報を得ることができる。このように、試験材料の性能を考慮しながら、配合設計を繰り返し実行するため、配合設計処理の効率化および配合設計の精度の向上を図ることができる。
【0011】
(3) この発明の配合設計装置では、前記第二の配合設計手段は、複合物の目標性能情報と試験材料の性能情報との関係に基づいて修正配合条件情報を設定し、当該修正配合条件情報に基づいて、前記第二の配合設計情報を決定することを特徴としている。これにより、修正配合条件情報は、複合物の目標性能と試験材料の性能に基づいた情報になるため、第二の配合設計情報が、より精度の高い配合設計情報となり得る。
【0012】
(4) この発明の配合設計装置では、さらに、前記第一の配合設計情報に基づく試験材料の性能情報を取得する性能情報取得手段を備えていることを特徴としている。これにより、第一の配合設計情報に基づいて試験材料を生成して、その性能試験を行い、試験材料の性能情報を配合設計装置に与えることにより、第二の配合設計情報を得ることができる。
【0013】
(5) この発明の配合設計装置では、さらに、前記第一の配合設計情報に基づく試験材料の性能情報が、複合物の目標性能情報を満たすか否かを判別する性能判別手段を備え、前記第二の配合設計手段は、前記性能判別手段により、試験材料の性能情報が複合物の目標性能情報を満たさないと判別された場合に、前記第二の配合設計情報を決定することを特徴としている。これにより、試験材料の性能が目標性能を満たさない場合に、第二の配合設計情報を得ることができる。
【0014】
(6) この発明の配合設計装置では、複合物の前記目標性能情報は、あらかじめ設定された数値範囲で表され、試験材料の前記性能情報は、数値で表され、前記性能判別手段は、前記目標性能情報の数値範囲内に、試験材料の前記性能情報である数値が含まれるか否かを判断することにより、試験材料の性能情報が複合物の目標性能情報を満たすか否かを判別することを特徴としている。ゆえに、複合物の目標性能値として数値範囲を設定することにより、その数値範囲に基づいた判別処理を行うことができる。
【0015】
(7) この発明の配合設計装置では、前記修正配合条件情報は、複合物の目標性能情報と試験材料の性能情報間の性能値差に応じて変動することを特徴としている。これにより、複合物の目標性能値と試験材料の性能値の差に応じた第二の配合設計情報を得ることができる。
【0016】
(8) この発明の配合設計装置では、第一の目標性能情報および第二の目標性能情報と関連性を有する配合条件情報についての修正配合条件情報を設定するための修正配合条件調整値を取得する修正配合条件調整値取得手段であって、第一の目標性能情報に関する性能値範囲情報および第二の目標性能情報に関する性能値範囲情報を関連付けて、操作者に対して提示し、操作者からの入力操作により、前記修正配合条件調整値を取得する修正配合条件調整値取得手段を備えたことを特徴としている。
【0017】
ゆえに、適当な修正配合条件調整値を配合設計装置に与えることにより、この調整値に基づく修正配合条件情報が設定され、有用な第二の配合設計情報を得ることができる。また、第一の目標性能情報および第二の目標性能情報に関する性能値範囲情報が関連付けて提示されるため、修正配合条件調整値の設定を容易に行うことができる。
【0018】
(10) この発明の配合設計方法は、目的とするコンクリートを構成する構成材料についての配合条件情報、当該構成材料の構成材料基本情報およびコンクリートの目標性能情報を取得するステップと、前記配合条件情報、コンクリートの目標性能情報および前記構成材料基本情報に基づいて、第一の配合設計を行うステップと、第一の配合設計に基づく試験材料の性能情報を取得するステップと、試験材料の性能情報が、コンクリートの目標性能情報を満たすか否かを判別するステップと、試験材料の性能情報がコンクリートの目標性能情報を満たさない場合に、コンクリートの目標性能情報および試験材料の性能情報に基づいて、前記配合条件情報を修正するステップと、修正した配合条件情報および前記構成材料基本情報に基づいて、第二の配合設計を行うステップとを実行することを特徴としている。
【0019】
したがって、配合条件情報、構成材料基本情報およびコンクリートの目標性能情報をコンピュータに与えることにより、第一の配合設計を行うことができ、さらに、試験材料の性能情報を与えることにより、第二の配合設計を行うことができる。つまり、一回目の配合設計では、目標性能を有するコンクリートを生成することができない場合に、試験材料の性能に基づく二回目の配合設計を行うことにより、目標性能を満たす(または目標性能に近づく)コンクリートを得ることができる。このように、試験材料の性能を考慮しながら、コンクリートの配合設計を繰り返し実行するため、配合設計処理を効率化および配合設計の精度の向上を図ることができる。
【0020】
この発明において、「複合物」とは、構成材料から構成される材料であり、下記の実施形態では、高流動コンクリートに該当する。なお、「複合物」は、2以上の材料から生成されるものであり、物理的に生成されるものに限らず、化学反応を伴って生成されるものも含む概念である。「構成材料」とは、複合物を構成する材料であり、下記の実施形態では、「セメント、混和材、混和剤(高性能AE減水剤、AE助剤)、細骨材、粗骨材、練混ぜ水」に該当する。「試験材料」とは、第一の配合設計情報に基づいた材料であり、下記の実施形態では、試し練りにより生成された高流動コンクリートに該当する。
【0021】
「第一の配合設計手段」とは、第一の配合設計情報を決定する手段であり、下記の実施形態では、CPU120が実行する図11ステップS102の処理に該当する。「第二の配合設計手段」とは、第二の配合設計情報を決定する手段であり、下記の実施形態では、CPU120が実行する図11ステップS117の処理に該当する。なお、第一の配合設計手段と第二の配合設計手段は、共用してもよい。
【0022】
「性能情報取得手段」とは、試験材料の性能情報を取得する手段であり、下記の実施形態では、入力された試し練り結果(基本性能値)をCPU120が取得する処理に該当する(図13ステップS122参照)。「性能判別手段」とは、試験材料の性能が複合物の目標性能情報を満たすか否かを判別する手段であり、下記の実施形態では、CPU120が実行する試し練り結果の品質判定処理(図13、図14)に該当する。「修正配合条件調整値取得手段」とは、修正配合条件情報を設定するための調整値であり、下記の実施形態では、CPU120が実行する修正配合調整値の設定処理(図2ステップS12)に該当する。
【0023】
「構成材料基本情報」とは、構成材料についての材料情報(例えば、材料の物理的または化学的特性など)であり、下記の実施形態では、図4に示す材料情報記憶部に登録される材料情報に該当する。「配合条件情報」とは、配合に関する情報であり、下記の実施形態では、使用材料(セメント、混和剤など)、その各材料に関する情報(混合割合、添加率など)に該当する。また、その各材料に関する情報から算出される情報(水粉体容積比など)も該当する。
【0024】
「目標性能情報」とは、複合物の目標とする性能に関する情報であり、下記の実施形態では、目標品質「充填高さ、空気量、スランプフロー、500mmフロー到達時間、圧縮強度」に該当する。
【0025】
「第一の配合設計情報」とは、配合条件情報、構成材料基本情報および目標性能情報に基づいて決定された配合に関する情報であり、下記の実施形態では、基本配合に該当する。「第二の配合設計情報」とは、目標性能情報および試験材料の性能情報に基づいて決定された配合に関する情報であり、下記の実施形態では、修正配合に該当する。
【0026】
「修正配合条件情報」とは、複合物の目標性能情報と試験材料の性能情報との関係に基づいて設定される情報であり、下記の実施形態では、混合剤(高性能AE減水剤、AE助剤)添加率、水粉体容積比の修正値(図13ステップS126にて算出)に該当する。
【0027】
「第一の目標性能情報」、「第二の目標性能情報」とは、それぞれ配合条件情報と関連性を有する目標性能情報であり、下記の実施形態では、充填高さ、500mmフロー到達時間に該当する。なお、「第一の目標性能情報の性能値範囲情報」、「第二の目標性能情報の性能値範囲情報」は、下記の実施形態では、図10に示す修正配合調整値パネルの充填高さ、500mmフロー到達時間の性能値情報(300mm未満、5秒以上10秒以下など)に該当する。
【0028】
「プログラム」とは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、一旦他の記録媒体(ハードディスク等)にインストールすることによって実行可能となるようなプログラム、ソース形式のプログラム、圧縮処理がされたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む概念である。
【0029】
【発明の実施の形態】
1. 配合計算コンピュータのハードウエア構成
この発明の一実施形態である配合設計装置について、「セメント、混和材、混和剤(高性能AE減水剤、AE助剤)、細骨材、粗骨材、練混ぜ水」を混合して生成される高流動コンクリートの配合設計を実行する配合計算コンピュータ100を一例として説明する。なお、高流動コンクリートは、フレッシュコンクリートの状態において、良好な材料分離抵抗性を維持し、また、流動性が高く、自重のみで型枠の隅々まで充填する自己充填性を有するものである。
【0030】
図1に、配合計算コンピュータ100のハードウエア構成例を示す。CPU120は、バスラインを介してハードディスク122、マウス・キーボード124、ディスプレイ126、メモリ128、フレキシブルディスク・ドライブ(FDD)130、CD−ROMドライブ132などに接続されている。ハードディスク122には、配合処理プログラム、配合基本条件記憶部、使用材料記憶部、配合情報記憶部、修正配合調整値記憶部、材料情報記憶部、材料登録プログラム、オペレーティングシステム(OS)などが記憶されている。CPU120は、配合処理プログラムおよび材料登録プログラムにしたがい、図2に示す各処理(ステップS10〜S14)を実行する。各処理の内容については、後述する。
【0031】
配合処理プログラムは、図2に示すステップS12、S14の処理を実行するためのものである。図3Aに示す配合基本条件記憶部には、配合処理プログラムにより、配合基本条件(配合名称、計算方法、目標品質など)が記憶される。目標品質とは、目標とするコンクリートの品質(充填性レベル、空気量、スランプフロー、500mmフロー到達時間、圧縮強度)のことである。図3Bに示す使用材料記憶部には、使用材料に関する情報(使用材料の名称、混合割合、添加率など)が記憶される。
【0032】
図3Cに示す配合情報記憶部には、配合処理プログラムにより算出された配合情報(単位粉体量、単位液体量など)が記憶される。修正配合調整値記憶部には、後述する修正配合調整値が記憶される(図示せず)。図4に示す材料情報記憶部には、材料登録プログラムにより各材料(セメント、混和材、混和剤、細骨材、粗骨材)の材料情報(材料の名称、特性)が記憶される。
【0033】
ハードディスク122に記憶されている配合処理プログラム等は、CD−ROMドライブ132を介してCD−ROM134等からインストールされたものである。なお、この配合処理プログラム等は、FDDを介して、フレキシブルディスクから取り込んでもよく、ネットワーク等を介して他のコンピュータから得たものであってもよい。また、配合処理プログラム等は、それぞれオペレーティングシステムと共同して上記処理を実行する。
【0034】
なお、高流動コンクリートの「自己充填性」は、フレッシュコンクリートの状態で、ボックス形またはU形充填装置を用いた間隙通過性試験による「充填高さ」で評価されるものである。また、その「流動性」は、フレッシュコンクリートの特性である「スランプフロー、500mmフロー到達時間」で評価されるものである。この「スランプフロー」とは、所定規格のスランプコーンによるスランプフロー試験を行ったときの、試料の水平的な広がりの程度を示すものである。
【0035】
また、以下の記載において、「粉体量」は、セメント量と混和材量の和であり、「液体量」は、練混ぜ水量と混和剤量(高性能AE減水剤量+AE助剤量)の和である。
【0036】
2. フローチャート
以下に、図2に示す配合計算コンピュータ100が実行する各処理について説明する。
【0037】
(1) 材料情報の登録処理
図5に、材料情報の登録処理を示す。CPU120は、操作者により材料登録の指令を受けて、各種材料の登録画面を表示する(図5ステップS30、S32)。例えば、図6に示すセメントの登録画面において、操作者は、「セメントの名称(セメントA、セメントB)、密度、拘束水比」を入力する(図5ステップS34)。CPU120は、セメントA、セメントBの材料情報を、図4に示す材料情報記憶部に登録する(図5ステップS36)。同様に、各種材料の登録画面において、「混和材の名称、密度、拘束水比」、「混和剤の名称、希釈倍率」、「細骨材の名称、表乾密度」、「粗骨材の名称、表乾密度」が入力され、これらの材料情報が図4に示す材料情報記憶部に登録される。
【0038】
(2) 配合基本条件、使用材料・混合割合、修正配合調整値の設定処理
図7に、配合基本条件、使用材料・混合割合の設定処理、修正配合調整値の設定処理を示す。CPU120は、操作者により配合設計の指令を受けて、図8に示す配合設計画面の配合基本条件パネルを表示する(図7ステップS40、S42)。この配合設計画面は、配合基本条件パネル、材料表パネル、修正配合調整値パネルを備える。操作者は、「配合名称、計算方法(自己充填性に基づく方法)」と、目標品質として「充填性レベル:レベル2、スランプフロー:675mm、スランプフロー範囲:±25mm(スランプフロー:650〜700mm)、空気量:2%、空気量範囲:±1%(空気量:1〜3%)、圧縮強度測定材齢:28日」を設定する(図7ステップS44)。CPU120は、これらの配合基本条件を図3Aに示す配合基本条件記憶部に登録する(図7ステップS46)。
【0039】
ここで、充填性レベルは、ボックス型またはU型充填装置を用いた間隙通過性試験によるコンクリートの充填高さのレベルであり、障害鉄筋5本の条件下で300mm以上のものをレベル1、障害鉄筋3本の条件下で300mm以上のものをレベル2、障害鉄筋3本の条件下で300mm未満のものをレベル3としている。また、計算方法には、自己充填性に重点をおいた方法(自己充填性に基づく方法)と、設計基準強度に重点をおいた方法(圧縮強度に基づく方法)がある。この実施形態では、「自己充填性に基づく方法」が選択されるものとする。
【0040】
次に、操作者により「材料表」タブがクリックされると、CPU120は、図4に示す材料情報記憶部に登録された材料情報に基づいて、図9に示す材料表パネルを表示する(図7ステップS40、S48)。操作者は、「使用材料(セメント、混和材、混和剤、細骨材、粗骨材)、各材料の混合割合または添加率」などを設定する(図7ステップS50)。
【0041】
例えば、セメント欄のプルダウンメニューにて、図4に示す材料情報記憶部に登録された「セメントA、セメントB」から、使用するセメントを選択する。この実施形態では、使用する材料として、「セメントA、混和剤E(高性能AE減水剤)、混和剤F(AE助剤)、細骨材G、粗骨材I」が選択され、混和材は混合されないものとする(セメントの混合割合100%、混和材の混合割合0%)。また、操作者は、セメント、混和材、細骨材、粗骨材の混合割合と、混和剤の添加率などを、数値を入力することにより設定する(図9の各数値参照)。CPU120は、使用材料、各材料の混合割合または添加率などを、図3Bに示す使用材料記憶部に登録する(図7ステップS52)。
【0042】
次に、操作者により「修正配合調整値」タブがクリックされると、CPU120は、図10に示す修正配合調整値パネルを表示する(図7ステップS40、S54)。このパネルでは、後述する試し練り結果が目標品質を満たさない場合に、どれだけ混和剤量(高性能AE減水剤、AE助剤)や水粉体容積比を修正するかを設定する(図7ステップS56)。
【0043】
図10に示すような各調整値が設定された場合に、例えば、試し練りの結果として得られたスランプフロー値が、目標品質「スランプフロー設定範囲(650〜700mm)」未満である場合には、その差に応じて高性能AE減水剤量の添加率を増加修正させる(10mmごとに+0.1%)。また、目標品質「スランプフロー設定範囲(650〜700mm)」を超える場合には、その差に応じて高性能AE減水剤量の添加率を減少修正させる(10mmごとに−0.1%)。同様に、水粉体容積比、AE助剤についても、試し練り結果と目標品質との関係で、その調整値を設定する。CPU120は、各調整値を修正配合調整値記憶部(図示せず)に登録し、終了指令を受けて、配合基本条件の設定処理等を終了する(図7ステップS58、S60)。
【0044】
なお、この実施形態では、目標品質「充填高さ:300mm以上、500mmフロー到達時間:5〜10秒」としている。ゆえに、図10に示す修正配合調整値パネルにおいて、「充填高さ:300mm超え、500mmフロー到達時間:5秒以上10秒以下」のとき水粉体容積比を修正する必要がないため、この条件下での修正配合調整値を設定していない。この水粉体容積比の修正配合調整値については、後述する。
【0045】
また、この実施形態では、「配合基本条件、使用材料・混合割合の設定処理、修正配合調整値の設定処理」の順に実行しているが、この順序に限られるものではない。
【0046】
(3) 配合処理(基本配合の計算)
以下に、配合処理(基本配合の計算)について説明する。CPU120は、例えば、図10に示す配合設計画面にて、操作者により「配合計算」ボタンがクリックされると、CPU120は、配合計算を実行し、配合計算画面を表示する(図11ステップS100、S102)。なお、「配合計算」ボタンは、上述の配合基本条件パネル、材料表パネル、修正配合調整値パネルの各パネルに配置されている。また、配合計算画面は、配合設定値パネル、示方配合パネル、容積配合パネル、試し練り結果・配合修正パネル、試し練り配合計算パネルを備える。
【0047】
つまり、下記に示すように、(イ)単位粗骨材量、(ロ)単位細骨材量、(ハ)水粉体容積比、(ニ)単位粉体量、(ホ)単位液体量、(ヘ)混和剤量を算出する。
【0048】
(イ)単位粗骨材量
下記の数式1に基づいて、単位粗骨材絶対容積Vgを算出する。コンクリート中の空気量「2%」、粗骨材の実積率「65.0%」であるため(図3Aの配合基本条件記憶部、図3Bの使用材料記憶部参照)、単位粗骨材絶対容積Vg「0.319m/m」が算出され、CPU120は、図3Cに示す配合情報記憶部にこれを記憶する。
【0049】
数式(1)
【数1】
Figure 2004148752
【0050】
下記の数式2に基づいて、単位粗骨材重量Gを算出する。表乾密度「2.65g/cm」、単位粗骨材絶対容積Vg「0.319m/m」であるため(図4の材料情報記憶部参照)、単位粗骨材重量G「845kg/m」が算出され、CPU120は、図3Cに示す配合情報記憶部にこれを記憶する。
【0051】
数式(2)
【数2】
Figure 2004148752
【0052】
(ロ)単位細骨材量
下記の数式3に基づいて、「空気量を除いたコンクリート中のモルタル容積Vm」を算出する。単位粗骨材絶対容積Vg「0.319m/m」、コンクリート中の空気量「2%」であるため、空気量を除いたコンクリート中のモルタル容積Vm「0.661m/m」が算出され、CPU120は、図3Cに示す配合情報記憶部にこれを記憶する。
【0053】
数式(3)
【数3】
Figure 2004148752
【0054】
下記の数式4に基づいて、「単位細骨材絶対容積(90μm以下の微粒子を含まない)Vs」を算出する。細骨材の実積率「61.0%」、細骨材の粒形判定実積率「56.0%」、細骨材の粗粒率「2.60」、空気量を除いたコンクリート中のモルタル容積「Vm:0.661m/m」であるため(図3Bの使用材料記憶部参照)、単位細骨材絶対容積(90μm以下の微粒子を含まない)Vs「0.304m/m」が算出され、CPU120は、図3Cに示す配合情報記憶部にこれを記憶する。なお、Vs/Vmが0.4未満のときは、Vs=0.4×VmによりVsを算出する。
【0055】
数式(4)
【数4】
Figure 2004148752
【0056】
下記の数式5に基づいて、「単位細骨材絶対容積(90μm以下の微粒子を含む)Vs’」を算出する。洗い試験における洗い損失量「1.0%」であるため(図3Bの使用材料記憶部参照)、単位細骨材絶対容積(90μm以下の微粒子を含む)Vs’「0.304m/m(=Vs)」が算出され、CPU120は、図3Cに示す配合情報記憶部にこれを記憶する。
【0057】
数式(5)
【数5】
Figure 2004148752
【0058】
下記の数式6に基づいて、単位細骨材重量Sを算出する。表乾密度「2.62g/cm」、単位細骨材絶対容積Vs’「0.304m/m」であるため、単位細骨材重量S「796kg/m」が算出され、CPU120は、図3Cに示す配合情報記憶部にこれを記憶する。
【0059】
数式(6)
【数6】
Figure 2004148752
【0060】
(ハ)水粉体容積比
下記の数式7に基づいて、水粉体容積比Vw/Vcを算出する。表乾密度「2.62g/cm」、単位細骨材絶対容積(90μm以下の微粒子を含まない)Vs「0.304m/m」、空気量を除いたコンクリート中のモルタル容積Vm「0.661m/m」、使用するセメントAの拘束水比「0.95」であるため(図4の材料情報記憶部参照)、水粉体容積比Vw/Vc「1.02」が算出され、CPU120は、図3Cに示す配合情報記憶部にこれを記憶する。
【0061】
数式(7)
【数7】
Figure 2004148752
【0062】
(ニ)単位粉体量
下記の数式8に基づいて、単位粉体容積Vcを算出する。コンクリート中の空気量「2%」、単位粗骨材絶対容積Vg「0.319m/m」、単位細骨材絶対容積(90μm以下の微粒子を含む)Vs’「0.304m/m」、水粉体容積比Vw/Vc「1.02」であるため、単位粉体量Vc「0.177m/m」が算出され、CPU120は、図3Cに示す配合情報記憶部にこれを記憶する。
【0063】
数式(8)
【数8】
Figure 2004148752
【0064】
下記の数式9に基づいて、単位粉体量Cを算出する。セメントの密度「3.23」、単位粉体量Vc「0.177」、Vs=Vs’であるため、単位粉体量C「572kg/m」が算出され、CPU120は、図3Cに示す配合情報記憶部にこれを記憶する。
【0065】
数式(9)
【数9】
Figure 2004148752
【0066】
(ホ)単位液体量
下記の数式10に基づいて、単位液体量Wを算出する。コンクリート中の空気量「2%」、単位粗骨材絶対容積Vg「0.319m/m」、単位細骨材絶対容積(90μm以下の微粒子を含まない)Vs「0.304m/m」、単位粉体容積Vc「0.177m/m」であるため、単位液体量W「180kg/m」が算出され、CPU120は、図3Cに示す配合情報記憶部にこれを記憶する。
【0067】
数式(10)
【数10】
Figure 2004148752
【0068】
(ヘ)単位混和剤量(単位高性能AE減水剤量、単位AE助剤量)
単位高性能AE減水剤量は、単位粉体量C「572kg/m」と高性能AE減水剤添加率「1%」の積により算出される。単位AE助剤量は、単位粉体量C「572kg/m」とAE助剤添加率「0.5%」の積により算出される。また、単位練混ぜ水量(=単位液体量−単位高性能AE減水剤量−単位AE助剤量)も算出され、CPU120は、これらを図3Cに示す配合情報記憶部に記憶する。
【0069】
以上から算出した基本配合「単位粗骨材量、単位細骨材量、単位粉体量、単位液体量(練混ぜ水量+高性能AE減水剤量+AE助剤量)」を、図12に示す試し練り配合計算パネルの示方配合欄に表示する。
【0070】
(4) 配合処理(試し練り、試し練り結果の品質判定処理、修正値の算出処理)図11、図13、図14を用いて、配合処理(試し練り、試し練り結果の品質判定処理、修正値の算出処理)を説明する。まず、示方配合(上記の基本配合)に基づいて、試し練り配合を算出する。つまり、図12に示す試し練り配合計算パネルにて、操作者は、「バッチ容量(リットル)、骨材の表面水率」を入力し、再計算ボタンをクリックする(図11ステップS106、S108)。CPU120は、骨材の表面水率を考慮したバッチあたりの試し練り配合「液体量、粉体量、細骨材量、粗骨材量」を算出し、試し練り配合欄に表示する(図11ステップS110)。
【0071】
操作者は、図12に示す試し練り配合「液体量、粉体量、細骨材量、粗骨材量」にしたがって、試し練りを行い、フレッシュコンクリートの特性を測定する。例えば、ボックス形またはU形充填装置を用いた間隙通過性試験により充填高さを測定し、また、所定規格のスランプコーンによるスランプフロー試験により、スランプフロー、500mmフロー到達時間を測定する。
【0072】
ここで、試し練り結果として、基本性能「充填高さ:270mm、スランプフロー:600mm、500mmフロー到達時間:5秒、空気量:2%」が得られた場合について、試し練り結果の品質判定処理を説明する。
【0073】
次に、操作者は、試し練り結果・配合修正パネル(図示せず)にて、試し練り結果の品質判定指令を入力する(図11ステップS112、S114、S116、図13へ)。CPU120は、図15に示す試し練り結果入力画面を表示する(図13ステップS120)。この画面において、試し練りにより得られた上述の基本性能値を入力する(図13ステップS122)。
【0074】
操作者は、試し練り結果の入力を終えると、「自動判定」ボタンをクリックする(図13ステップS124)。CPU120は、上述の試し練り結果が、目標品質「充填性レベル:300mm以上、スランプフロー:650〜700mm、500mmフロー到達時間:5〜10秒、空気量:1〜3%」を満たしているか否かを判別し、満たしていない場合には、混和剤添加率(高性能AE減水剤添加率、AE助剤添加率)、水粉体容積比の修正値を算出する(図13ステップS126)。この品質判定処理および修正値の算出処理を、図14を用いて説明する。
【0075】
まず、CPU120は、試し練り結果「スランプフロー:600mm」が、目標品質「スランプフロー:650〜700mm」を満たしているか否かを判別する(図14ステップS200)。スランプフローについて品質を満たしていないため、修正配合調整値記憶部に登録された混和剤(高性能AE減水剤)添加率の修正配合調整値に基づいて、高性能AE減水剤添加率の修正値を算出する(図14ステップS202)。つまり、スランプフローが50mm足りないため、修正配合調整値「スランプフロー設定範囲未満のとき、10mmごとに+0.1%(図10の修正配合調整値パネル参照)」に基づいて、高性能AE減水剤添加率の修正値「0.1%×5=0.5%」の修正値が算出される。なお、試し練り結果の性能値と目標品質との差に対する修正配合調整値が設定されているため、混和剤添加率の修正値は、その差に応じた値となる。
【0076】
次に、CPU120は、試し練り結果「空気量:2%」が、目標品質「空気量:1〜3%」を満たしているか否かを判別する(図14ステップS204)。空気量について品質を満たしていると判別する。なお、空気量について品質を満たしていないと判別すると、修正配合調整値記憶部に登録された混和剤(AE助剤)添加率の修正配合調整値に基づいて、AE助剤添加率の修正値を算出する(図14ステップS206)。
【0077】
次に、CPU120は、試し練り結果「充填高さ:270mm、500mmフロー到達時間:5秒」が、目標品質「充填高さ:300mm以上、500mmフロー到達時間:5〜10秒」を満たしているか否かを判別する(図14ステップS208)。充填高さについて品質を満たしていないため、修正配合調整値記憶部に登録された水粉体容積比の修正配合調整値に基づいて、水粉体容積比の修正値を算出する(図14ステップS210)。つまり、充填高さが30mm足りないため、修正配合調整値「充填高さ300mm未満、500mmフロー到達時間5秒以上10秒以下のとき、充填高さ10mmごとに−0.1%(図10の修正配合調整値パネル参照)」に基づいて、水粉体容積比の修正値「−0.1%×3=−0.3%」が算出される。このように算出した高性能AE減水剤添加率、水粉体容積比の修正値を、図15に示す試し練り結果入力画面下欄に表示する(図14ステップS212)。なお、水粉体容積比は、単位細骨材量および単位粗骨材量を変更しないで、単位液体量および単位粉体量の割合だけを変更させることにより、修正される。なお、この実施形態では、「高性能AE減水剤添加率、AE助剤添加率、水粉体容積比」の順に修正配合調整値を算出しているが、この順序に限られるものではない。
【0078】
また、試し練りの結果の圧縮強度が、目標品質を満たさない場合には、使用材料(例えば、混和剤)を変更し、上述の配合処理(基本配合の計算、試し練り等)を繰り返し実行することにより、目標品質を満たす示方配合を決定する。
【0079】
以上のように、混和剤(高性能AE減水剤、AE助剤)添加率、水粉体容積比の修正値が表示されると、再度試し練りを行うために、以下に示す修正配合を決定するための処理を行う。
【0080】
操作者は、図15に示す試し練り結果入力画面において「新しい修正配合を作る」をチェックし、OKボタンをクリックする。CPU120は、修正後の配合設定値(高性能AE減水剤添加率:1.50%、水粉体容積比:0.72%)に基づいて、修正配合「単位液体量、単位粉体量、単位細骨材量、単位粗骨材量」を算出し(図11ステップS117)、配合計算画面に戻る。CPU120は、修正後の配合設定値(混和剤の添加率、水粉体容積比など)を、配合設定値パネル(図示せず)に表示する(図11ステップS104、S118)。また、CPU120は、試し練り配合計算パネルにて、上記の修正配合を示方配合欄に表示する(図11ステップS104、S106)。
【0081】
上記と同様に、CPU120は、操作者から指令を受けて、示方配合(上記の修正配合)に基づいて試し練り配合を計算し(図11ステップS108、S110)、操作者は、その試し練り配合にしたがって試し練りを行う。2回目の試し練り結果として得られた基本性能値が、目標品質を満たす場合には、配合設計を終了する(図11ステップS124)。また、目標品質を満たさない場合には、再度、上述の試し練り結果の品質判定処理、修正値の算出処理を実行する。つまり、「試し練り、試し練り結果の品質判定処理、修正値の算出処理」を繰り返し、目標品質を満たしたときの試し練り配合を、示方配合と決定し、配合設計を終了する。
【0082】
以上のように、上記の機能を備えた配合計算コンピュータ100を用いれば、材料情報、目標品質などを入力することにより配合情報を得ることができ、さらに、その配合情報に基づく試し練りを行うことにより得られた性能情報を入力することにより、より有用な配合情報(改良された配合情報)を得ることができる。つまり、一回目の配合設計では、目標品質を有する高流動コンクリートを生成できない場合に、試し練り結果を利用した二回目の配合設計を行うことにより、目標品質を満たす(または目標品質に近づく)配合情報を得ることができる。また、試し練り結果に基づく性能情報を利用して、配合設計を繰り返し実行するため、配合設計処理の効率化および配合設計の精度の向上を図ることができる。
【0083】
なお、配合計算画面の容積配合パネルにおいて、容積配合「単位液体容積Vw、単位粉体容積Vc、単位細骨材絶対容積Vs、単位粗骨材絶対容積Vg」を表示する(図示せず、図11ステップS122)。また、示方配合パネルにおいて、重量配合(上述の基本配合、修正配合)を表示する(図示せず、図11ステップS120)。
【0084】
3. 水粉体容積比の修正について
以下に、水粉体容積比の修正配合調整値および修正値の算出処理について説明する(図2ステップS14、図13ステップS126)。図16に、水粉体容積比と充填高さの関係、および水粉体容積比と500mmフロー到達時間の関係を示す。上述の水粉体容積比の修正値の算出処理(図14ステップS208、S210)により、目標品質「充填高さ:300mm以上、500mmフロー到達時間:5〜10秒」を満たすように、水粉体容積比が修正される。例えば、1回目の試し練り結果であるA状態から、水粉体容積比が修正されて、2回目の試し練り(または2回目以降の試し練り)結果においてB状態に移行される。
【0085】
これは、図10に示す修正配合調整値パネルにおいて、充填高さおよび500mmフロー到達時間に関する性能値を相互に関連付けて、修正配合調整値を設定するようにしているため、両者の品質を同時に満たすような配合設計を効率的に実行することができる。
【0086】
なお、上述の実施形態では、目標品質「充填高さ:300mm以上、500mmフロー到達時間:5〜10秒」としているため、図10に示す修正配合調整値パネルにおいて、「充填高さ:300mm超え、500mmフロー到達時間:5秒以上10秒以下」のとき修正する必要がないため、この条件下での修正配合調整値を設定していない。
【0087】
例えば、500mmフロー到達時間を目標品質として設定せず、目標品質「充填高さ:300mm以上」である場合、図10に示す修正配合調整値パネルにおいて、「充填高さ:300mm超え、500mmフロー到達時間:5秒未満」および「充填高さ:300mm超え、500mmフロー到達時間:10秒超え」のとき、水粉体容積比を修正する必要がないため、これらの条件下での修正配合調整値「0」が設定される。つまり、目標品質「500mmフロー到達時間」については、図10に示す修正配合調整値パネルにおいて、「設定なし」、「5秒未満」、「5秒以上10秒以下」、「10秒超過」が設定できる。なお、これは一実施例であり、具体的な時間を数値入力することにより、目標品質「500mmフロー到達時間」を設定できるようにしてもよい。
【0088】
4. 他の実施例
上述の実施形態では、セメントの混合割合100%、混和材の混合割合0%の場合(混和材を混合しない場合)を一例として説明している(図9の材料パネル参照)。しかしながら、混和材を混合する場合も、この発明を適用できる。図9の材料表パネルにおいて、例えば、「セメントの混合割合80%、混和材の混合割合20%」が設定された場合に、上述の数式9で算出された単位粉体量Cを用いて、「セメント量=C×0.8、混和材量=C×0.2」が算出される。
【0089】
上述の実施形態では、使用する細骨材として、1種の材料(細骨材G)を設定した場合を一例として説明している(図9の材料表パネル参照)。しかしながら、何種類の材料を設定してもよい。例えば、使用する細骨材として「粗砂(混合割合:65%)、細砂(混合割合:35%)」が設定された場合に、上述の数式6で算出された単位細骨材重量Sを用いて、「粗砂量=S×0.65、細砂量=S×0.35」が算出される。同様に、使用する粗骨材として、何種類の材料を設定してもよい。
【0090】
上述の実施形態では、数式1〜10に基づいて、「単位液体量、単位粉体量、単位細骨材量、単位粗骨材量」などを算出している。しかしながら、上記の数式に限られるものではない。また、特性グラフなどにより「単位液体量、単位粉体量、単位細骨材量、単位粗骨材量」を決定してもよい。
【0091】
上述の実施形態では、配合の計算方法として、自己充填性に重点をおいた方法(自己充填性に基づく方法)を一例として説明している。しかしながら、設計基準強度に重点をおいた方法(圧縮強度に基づく方法)を用いたときでも、この発明を適用することができる。
【0092】
上述の実施形態では、一次水比や水結合材比などを設定しない場合を一例として説明している。なお、一次水比とは、「練混ぜ水」を分割する場合(一次水と二次水に分割する場合)の、単位液体量に対する一次水の割合のことである。水結合材比は、計算方法「圧縮強度に基づく方法」が選択された場合に設定され、目標とする圧縮強度に基づいて算出されるものである。
【0093】
上述の実施形態では、フレッシュコンクリートの性能である「充填高さ、スランプフロー、500mmフロー到達時間、空気量」、および硬化コンクリートの特性である「圧縮強度」を目標品質の一例として説明している。しかしながら、これらに限られるものではなく、例えば、硬化コンクリートの性能である「凍結融解作用に対する抵抗性(耐凍害性)」を、目標品質としてもよい。
【0094】
上述の実施形態では、図2ステップS12にて、使用材料、その混合割合等を設定している。しかしながら、図2ステップS10にて、それらを設定してもよい。また、上述の実施形態では、材料情報記憶部を備える場合を一例として説明しているが、これに限られるものではなく、図2ステップS12の使用材料・混合割合の設定処理にて、材料情報(例えば、セメントの密度、拘束水比など)を設定してもよい。
【0095】
上述の実施形態では、試し練り結果の品質を測定するための試験として、ボックス形またはU形充填装置を用いた間隙通過性試験やスランプフロー試験などを一例として説明しているが、これらに限られるものではなく、例えば、ロート流下試験や回転翼型粘度計(Two−Point試験装置)を用いた試験により、品質を測定してもよい。
【0096】
上述の実施形態では、配合処理プログラム等は、オペレーティングシステム(OS)と共同してその各機能を実現している。しかし、その一部または全部を、配合処理プログラム等が単独で実現するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】配合計算コンピュータ100のハードウエア構成を示す図である。
【図2】配合計算コンピュータ100が実行する処理の概要を示す図である。
【図3】配合基本条件記憶部、使用材料記憶部、配合情報記憶部を示す図である。
【図4】材料情報記憶部を示す図である。
【図5】材料情報の登録処理を示すフローチャートである。
【図6】材料情報登録画面の一例であるセメントの登録画面を示す図である。
【図7】配合基本条件、使用材料・混合割合、修正配合調整値の設定処理を示すフローチャートである。
【図8】配合設計画面の配合基本条件パネルを示す図である。
【図9】配合設計画面の材料表パネルを示す図である。
【図10】配合設計画面の修正配合調整値パネルを示す図である。
【図11】配合処理を示すフローチャートである。
【図12】配合計算画面の試し練り配合計算パネルを示す図である。
【図13】試し練り結果の品質判定処理を示すフローチャートである。
【図14】品質判定処理、修正値の算出処理を示すフローチャートである。
【図15】試し練り結果入力画面を示す図である。
【図16】水粉体容積比と充填高さの関係、および水粉体容積比と500mmフロー到達時間の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
100・・・・配合計算コンピュータ
120・・・・CPU
122・・・・ハードディスク
124・・・・マウス・キーボード
126・・・・ディスプレイ
128・・・・メモリ
130・・・・フレキシブルディスク・ドライブ
132・・・・CD−ROMドライブ

Claims (10)

  1. 目的とする複合物を構成する構成材料についての配合条件情報、当該構成材料の構成材料基本情報および複合物の目標性能情報を受けて、これらに基づいて第一の配合設計情報を決定する第一の配合設計手段と、
    複合物の目標性能情報および前記第一の配合設計情報に基づく試験材料の性能情報に基づいて、第二の配合設計情報を決定する第二の配合設計手段とを備えたことを特徴とする配合設計装置。
  2. コンピュータを、
    目的とする複合物を構成する構成材料についての配合条件情報、当該構成材料の構成材料基本情報および複合物の目標性能情報を受けて、これらに基づいて第一の配合設計情報を決定する第一の配合設計手段、
    複合物の目標性能情報および前記第一の配合設計情報に基づく試験材料の性能情報に基づいて、第二の配合設計情報を決定する第二の配合設計手段、
    として機能させるためのプログラム。
  3. 請求項1または請求項2の配合設計装置またはプログラムにおいて、
    前記第二の配合設計手段は、複合物の目標性能情報と試験材料の性能情報との関係に基づいて修正配合条件情報を設定し、当該修正配合条件情報に基づいて、前記第二の配合設計情報を決定することを特徴とするもの。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかの配合設計装置またはプログラムにおいて、
    さらに、前記第一の配合設計情報に基づく試験材料の性能情報を取得する性能情報取得手段を備えていることを特徴とするもの。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかの配合設計装置またはプログラムにおいて、
    さらに、前記第一の配合設計情報に基づく試験材料の性能情報が、複合物の目標性能情報を満たすか否かを判別する性能判別手段を備え、
    前記第二の配合設計手段は、前記性能判別手段により、試験材料の性能情報が複合物の目標性能情報を満たさないと判別された場合に、前記第二の配合設計情報を決定することを特徴とするもの。
  6. 請求項5の配合設計装置またはプログラムにおいて、
    複合物の前記目標性能情報は、あらかじめ設定された数値範囲で表され、試験材料の前記性能情報は、数値で表され、
    前記性能判別手段は、前記目標性能情報の数値範囲内に、試験材料の前記性能情報である数値が含まれるか否かを判断することにより、試験材料の性能情報が複合物の目標性能情報を満たすか否かを判別することを特徴とするもの。
  7. 請求項3ないし請求項6のいずれかの配合設計装置またはプログラムにおいて、
    前記修正配合条件情報は、複合物の目標性能情報と試験材料の性能情報間の性能値差に応じて変動することを特徴とするもの。
  8. 請求項7の配合設計装置またはプログラムにおいて、
    第一の目標性能情報および第二の目標性能情報と関連性を有する配合条件情報についての修正配合条件情報を設定するための修正配合条件調整値を取得する修正配合条件調整値取得手段であって、
    第一の目標性能情報に関する性能値範囲情報および第二の目標性能情報に関する性能値範囲情報を関連付けて、操作者に対して提示し、操作者からの入力操作により、前記修正配合条件調整値を取得する修正配合条件調整値取得手段を備えたことを特徴とするもの。
  9. 複合物の配合設計をコンピュータを用いて行う配合設計方法であって、
    目的とする複合物を構成する構成材料についての配合条件情報、当該構成材料の構成材料基本情報および複合物の目標性能情報を受けて、これらに基づいて第一の配合設計情報を決定し、
    複合物の目標性能情報および前記第一の配合設計情報に基づく試験材料の性能情報に基づいて、第二の配合設計情報を決定する、
    ことを特徴とする配合設計方法。
  10. コンクリートの配合設計をコンピュータを用いて行う配合設計方法であって、
    目的とするコンクリートを構成する構成材料についての配合条件情報、当該構成材料の構成材料基本情報およびコンクリートの目標性能情報を取得するステップと、
    前記配合条件情報、コンクリートの目標性能情報および前記構成材料基本情報に基づいて、第一の配合設計を行うステップと、
    第一の配合設計に基づく試験材料の性能情報を取得するステップと、
    試験材料の性能情報が、コンクリートの目標性能情報を満たすか否かを判別するステップと、
    試験材料の性能情報がコンクリートの目標性能情報を満たさない場合に、コンクリートの目標性能情報および試験材料の性能情報に基づいて、前記配合条件情報を修正するステップと、
    修正した配合条件情報および前記構成材料基本情報に基づいて、第二の配合設計を行うステップと、
    を実行することを特徴とする配合設計方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008100884A (ja) * 2006-10-20 2008-05-01 Tobishima Corp 骨材/セメント混合割合設計方法
JP2017013420A (ja) * 2015-07-03 2017-01-19 株式会社リバティ 生コンクリート製造方法及び製造設備

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