JP2004148665A - 印字装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】サーマルヘッドの各発熱体の通電時間の累積値の差をできるだけ小さくすることにより、サーマルヘッドの寿命を延ばすことができるようにする。
【解決手段】印字データに対応して、サーマルヘッド5を構成する各発熱体51の所定の部分に電流が供給されて発熱し、印字データがラベル52に印字される。印字データが例えば特定の発熱体51(5番目の発熱体)の発熱によって印字される場合、発熱体51の発熱部分をシフトさせる(6番目の発熱体を発熱させる)ことにより、各発熱体51の通電時間の累積値の差を小さくする。このとき、シフト量に応じてサーマルヘッド5を幅方向に距離Lだけ移動させることにより、ラベル52上での印字位置が変化しないようにすることができる。
【選択図】 図6
【解決手段】印字データに対応して、サーマルヘッド5を構成する各発熱体51の所定の部分に電流が供給されて発熱し、印字データがラベル52に印字される。印字データが例えば特定の発熱体51(5番目の発熱体)の発熱によって印字される場合、発熱体51の発熱部分をシフトさせる(6番目の発熱体を発熱させる)ことにより、各発熱体51の通電時間の累積値の差を小さくする。このとき、シフト量に応じてサーマルヘッド5を幅方向に距離Lだけ移動させることにより、ラベル52上での印字位置が変化しないようにすることができる。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印字装置に関し、特に、サーマルヘッドを構成する発熱体を所定の印字データに対応して発熱させることにより印字を行う印字装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、印字装置としてのサーマルプリンタは、図7に示すように、複数の発熱体51からなるサーマルヘッド5を備えており、所定の印字データに対応して各発熱体51を発熱させることにより、ラベル52に対して印字を行うようになっている。
また、サーマルヘッド14を構成する各発熱抵抗体の異常を検知した場合、正常な発熱抵抗体のみを用いて所望の画像を記録するよう、画像の印画位置を変えることにより、異常な発熱抵抗体による印画方向のスジ状の濃度変化や印画抜けのない所望の記録画像を得るようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、印字データの2値化データにより、べた印字をする領域が所定以上連続するか否かを判断し、そのべた領域が所定以上連続したと判断された場合に、べた領域が多く連続するほど、また印字速度が遅いほど、間引率の高い間引パターンを使用して、そのべた領域のデータを間引いて2値化データを作成し直し、その2値化データに基づいてサーマルヘッドの発熱素子を発熱させて印字を行うことにより、べた印字を行う際のヘッド切れ、色むらやにじみの発生を防止し、さらに蓄熱要因の多様化に対応できるようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−112541号公報(図1)
【特許文献2】
特開2001−96788号公報(図3)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来のサーマルプリンタは、印字データに対応する発熱体51を発熱させるので、図7に示すように、同一の印字データを繰り返し印字する場合、特定の発熱体51(この例では5番目の発熱体51)に常に電圧が印加され、他の発熱体51に比べて早く劣化してしまう場合がある。そのため、他の発熱体51が未だ劣化していないにも拘わらず、サーマルヘッド5を交換しなければならなくなり、コストがかかるという問題があった。
【0005】
また、サーマルヘッド14を構成する各発熱抵抗体の異常を検知した場合、正常な発熱抵抗体のみを用いて所望の画像を記録するよう、画像の印画位置を変えるようにした場合、所定の発熱抵抗体に異常が検知された場合でも正常印字が可能ではあるが、特定の発熱抵抗体にのみ負荷がかかる印字データを繰り返し印字する場合には、やはりその特定の発熱抵抗体が早く劣化してしまうという問題がある。
【0006】
また、べた印字をする場合に、間引パターンを用いてべた領域のデータを間引いて印字する場合でも、特定の発熱素子のみに負荷がかかる印字データを繰り返し印字する場合には、その特定の発熱素子が早く劣化してしまうという問題があった。
【0007】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、特定の発熱体にのみ負荷がかかるような印字データを印字する場合でも、その負荷を他の発熱体に分散させることにより、特定の発熱体のみが他の発熱体よりも著しく劣化することがないようにするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の印字装置は、一列に配置された複数の発熱体からなるサーマルヘッドを用いて所定の印字データを所定の媒体に印字する印字装置であって、印字データに対応するビットマップイメージデータを記憶する記憶手段と、記憶手段によって記憶されたビットマップイメージデータに対応してサーマルヘッドを構成する各発熱体への電流の供給を制御するサーマルヘッド制御手段と、一定頻度で、ビットマップイメージデータに対応してサーマルヘッド制御手段によって電流が供給されて発熱する発熱体の発熱部分を所定ドット数分だけシフトさせるシフト手段とを備えることを特徴とする。
また、シフト手段は、印字データが媒体に印字される毎に、ビットマップイメージデータに対応してサーマルヘッド制御手段によって電流が供給される発熱体の発熱部分を所定ドット数分だけシフトさせるようにすることができる。
また、各発熱体に対して電流が供給された通電時間の累積値を各発熱体毎に記憶する記憶手段をさらに備え、シフト手段は、通電時間の累積値に基づいて、各発熱体に対して供給される通電時間の差が小さくなるように、制御手段によって電流が供給されて発熱する発熱体の発熱部分を所定ドット数分だけシフトさせるようにすることができる。
また、シフト手段は、各発熱体の通電時間の累積値が所定の基準値を越えたとき、制御手段によって電流が供給されて発熱する発熱体の発熱部分を所定ドット数分だけシフトさせるようにすることができる。
また、基準値は、各発熱体の耐久時間より短い所定の時間とすることができる。
また、制御手段によって電流が供給されて発熱する発熱体の発熱部分のシフト量は、印字データに基づいて決定されるようにすることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明が適用されるラベルプリンタの一実施の形態の構成例を示している。同図に示すように、ラベルプリンタ100は、各部を制御する制御部10と、用紙1に印字を行うサーマルヘッド5と、制御部10の制御により駆動されるステッピングモータ7と、タイミングベルト(以下では、適宜単にベルトと記載する)8を介して伝達されるステッピングモータ7の回転駆動力によって回転し、後述する供給軸2にセットされた用紙1を搬送するとともに、用紙1をサーマルヘッド5に押圧するプラテンローラ6と、用紙1を回転自在に支持する供給軸2と、用紙1をサーマルヘッド5に案内する案内ローラ3と、インクリボン17を供給するリボン供給部11と、リボン供給部11より供給されたインクリボン17をサーマルヘッド5と用紙1の間に案内する案内ローラ13と、インクリボン17を巻き取るインクリボン巻き取り部12と、サーマルヘッド5と用紙1の間を通過したインクリボン17をインクリボン巻き取り部12に案内する案内ローラ14と、所定の光を出射する発光部と、発光部から出射された光の用紙1からの反射光を受光し、受光した光の強度(単位時間当たりの受光量)に対応する電気信号を出力する受光部とからなり、用紙1の裏面の側に発光部と受光部を配し、用紙1の裏面に印刷等によって形成されたアイマーク(黒の矩形のマーク)を、受光部の受光量に基づいて検出するピッチセンサ9と、所定の光を出射する発光部と、発光部から出射された光を受光し、受光した光の強度に対応する電気信号を出力する受光部とからなり、用紙1の裏面の側に発光部を、用紙1の表面の側に受光部を配し、用紙1の終了を受光部の受光量に基づいて検出するエンドセンサ15と、所定の光を出射する発光部と、発光部から出射された光を受光し、受光した光の強度に対応する電気信号を出力する受光部とからなり、インクリボン17の裏面の側に発光部を、インクリボン17の表面の側に受光部を配し、インクリボン17の終了を、受光部の受光量に基づいて検出するリボンエンドセンサ16とを備えている。
【0010】
図2は、図1の実施の形態の電気的な構成例を示すブロック図である。同図に示すように、制御部10は、所定の制御プログラムを記憶するROM(readonly memory)22と、ROM22に記憶されている制御プログラムに従って動作し、各部を制御するCPU(central processing unit)21と、CPU21が動作する上で必要となる各種データを記憶するRAM(random access memory)23と、電源がオフされても保持しておきたい各種データを記憶するEEPROM(electrically erasable and programmable read only memory)33と、ステッピングモータ7にパルス信号を供給し、ステッピングモータ7を回転させるモータ制御部24と、CPU21から供給される印字すべき文字、図形、及びバーコードなどの印字データに対応する制御信号を生成し、サーマルヘッド5に供給し、印字動作を行わせるヘッド制御部25と、CPU21の制御下、ピッチセンサ9の発光部を制御し、光を出射させるとともに、受光部から出力される電気信号を受け取り、ディジタルのデータに変換してピッチ検出データとしてCPU21に供給するセンサ制御部26と、CPU21の制御下、エンドセンサ15の発光部を制御し、光を出射させるとともに、受光部から出力される電気信号を受け取り、ディジタルのデータに変換してエンド検出データとしてCPU21に供給するエラー検出部31と、CPU21の制御下、リボンエンドセンサ16の発光部を制御し、光を出射させるとともに、受光部から出力される電気信号を受け取り、ディジタルのデータに変換してリボンエンド検出データとしてCPU21に供給するリボンエンド検出部32と、CPU21の制御下、後述するメディアセンサ34を制御し、メディアセンサ34より取得したメディア検出データをCPU21に供給するメディア検出部35と、外部インタフェース27と、インタフェース30とを備えている。また、制御部10には、各種データやコマンドを入力するための入力部28と、入力部28から入力された入力データや、各種情報を表示するための表示部29とがインタフェース30を介して接続されている。入力部28より入力された入力データは、インタフェース30を介してCPU21に供給され、表示部29に表示される各種情報に対応する表示データは、インタフェース30を介してCPU21より供給されるようになっている。また、外部インタフェース27を介して、外部に接続されたパーソナルコンピュータ(PC)200等の各種機器との間で各種データやコマンドの送受信を行うことができるようになっている。
【0011】
図3は、ラベルプリンタ100を構成するサーマルヘッド5と用紙1の相対的な位置関係を示している。サーマルヘッド5は、図3に示すように、1列に配置された複数の発熱体51を有しており、印字データに対応して各発熱体51に所定の電流を供給して発熱させ、インクリボン17のインクを加熱し、用紙1に転写するようになっている。用紙1が、図3に示すようにラベル52と台紙53から構成されている場合、ラベル52にインクが転写されることになる。
【0012】
また、サーマルヘッド5は、用紙1が搬送される方向(用紙送り方向)に対して直角の方向(幅方向)に、1つの発熱体51の幅方向の長さを最小単位として移動させることができるようになっている。即ち、1つの発熱体51の幅方向の長さをLとすると、Lの整数倍(L×N;Nは任意の自然数。ただし、N<発熱体数)の長さだけ、幅方向に手動または図示せぬサーマルヘッド移動用モータ等により機械的に移動させることができるようになっている。
【0013】
次に、印字データに応じて、印字位置をずらす方法について説明する。所定の印字データをラベル52に印字する場合、CPU21は、印字データをRAM23の描画領域にビットマップイメージデータとして展開し、ヘッド制御部25に対して印字データを印字するよう指令する。ヘッド制御部25は、RAM23の描画領域に展開されたビットマップイメージデータに対応して、サーマルヘッド5を制御し、各発熱体51の所定のものに電流を供給して発熱させ、印字データをラベル52に印字させる。
【0014】
印字データに対応するビットマップイメージデータが記憶されているRAM23の描画領域の各アドレスと、サーマルヘッド5の各発熱体51のアドレスとは所定の対応付けがなされており、印字データに対応して、所定のレイアウトで文字、図形、バーコード、写真等を印字することができるようになっている。各発熱体51には各発熱体を識別するための識別番号、例えば、番号#1乃至#N(Nは発熱体51の数)が付けられており、以下ではこの識別番号をアドレスと称する。
【0015】
従って、印字データに対応するビットマップイメージデータが記憶されているRAM23の描画領域の各アドレスに対応するサーマルヘッド5の各発熱体51のアドレスをずらすことにより、印字データのラベル52上での印字位置を幅方向に移動させることができる。
【0016】
例えば、図4に示すように、印字データが、5番目の発熱体51(図中#5で示した発熱体51)のみに電流が供給されて発熱するようなものである場合、印字データに対応するビットマップイメージデータが記憶されているRAM23の描画領域の各アドレスに対応する各発熱体51のアドレスを1つずつずらすことにより、各発熱体51にかかる発熱による負荷を隣接する発熱体51に移動させることができる。これにより、5番目の発熱体51に対してかかっている負荷が、6番目の発熱体51に対してかかるようになり、各発熱体51に対する発熱による負荷を分散し、各発熱体51にかかる負荷の差が小さくなるようにすることができる。各発熱体51にかかる負荷の累積値は、各発熱体51に電流が供給されて発熱する時間の累積値により表される。
【0017】
このとき、印字データのラベル52上での印字位置が1ドット分(1つの発熱体51の幅方向の長さL)だけ移動することになる。このため、この方法は、印字データをラベル52に印字したときに、印字位置の移動方向に余白部分がある場合にだけ適用することが可能である。
【0018】
印字データのラベル52上での印字位置をずらすタイミングは、各発熱体51に対して電流が供給されて発熱した時間(各発熱体に通電された時間(通電時間))の累積値に基づいて決定することができる。即ち、CPU21は、サーマルヘッド5の各発熱体51に電流が供給された時間(通電時間)の累積値を、印字データ、及び印字枚数等に基づいて算出し、各発熱体51毎にEEPROM33に記憶させておく。
【0019】
次に、CPU21は、EEPROM33に記憶されている各発熱体51の通電時間の累積値が、所定の基準値を越えたか否かを判定し、各発熱体51の少なくともいずれか1つの通電時間が所定の基準値を越えている場合、印字位置を幅方向に移動させる。この基準値は、各発熱体51の耐久時間より短い所定の時間とされる。例えば、耐久時間の1/2などとすることができる。
【0020】
次に、印字位置を幅方向へ移動させるときの移動量を決定する方法について説明する。印字位置の幅方向への移動量は、印字データに応じて1ドットまたは2ドット以上とすることができる。通常、印字処理は例えば数百乃至数千枚単位で行われるため、印字処理実行前にオペレータによって印字枚数が指定されたとき、CPU21は、EEPROM33に記憶されている各発熱体51の通電時間の累積値と、指定された印字枚数、および印字データから、印字処理実行後において、各発熱体51の通電時間の累積値の差が最も小さくなるように、印字位置の移動量を決定する。
【0021】
まず、この印字データを1枚だけ印字したときに各発熱体51にかかる負荷(または各発熱体51に所定の電流が流されて発熱する時間(通電時間))を求める。そして、各発熱体51にかかる負荷に基づいて、指定枚数分の印字が終了した時点での各発熱体51の負荷の累積値(または通電時間の累積値)を演算する。そして、印字位置を1ドット単位で可能な範囲で移動させたと仮定したときの負荷の累積値を、印字位置の移動量毎に演算する。そして、印字処理終了後に各発熱体51の負荷の累積値の差が最も小さくなる移動量を演算によって求める。印字処理が実行される場合には、この移動量に対応するドット数分だけ印字位置が移動される。
【0022】
例えば、上記印字データをラベル52に印字する場合、5番目の発熱体51に100パーセントの負荷がかかり(常時発熱している状態になる)、隣の6番目の発熱体51に50パーセントの負荷がかかり(発熱している時間と発熱していない時間が同一の状態になる)、その隣の7番目の発熱体51に20パーセントの負荷がかかる(発熱している時間が発熱していない時間の1/5の状態になる)ものとし、上記演算の結果、印字位置を2ドット分だけ移動させ、7番目の発熱体51にかかる負荷を100パーセントにした場合に、印字終了後の各発熱体51の負荷の累積値の差が最も小さくなるようなとき、印字位置の移動量は2ドットと決定される。その後、印字位置が2ドット分だけ移動されて印字処理が実行される。
【0023】
印字位置の移動可能な範囲は印字データ毎に決まっており、印字データがラベル52に印字されたときの左余白部分の幅方向の長さ(ラベル52の左端と印字データの各行の左端との距離の最小値)が、印字データを左側(図4の下方向)に移動可能な範囲となる。また、印字データがラベル52に印字されたときの右余白部分の幅方向の長さ(ラベル52の右端と印字データの各行の右端との距離の最小値)が、印字データを右側(図4の上方向)に移動可能な範囲となる。
【0024】
従って、CPU21は、印字データのラベル52上での印字位置を移動させる場合、各発熱体51にかかっている負荷、および左右の余白部分の幅方向の長さ等に基づいて、印字位置の移動量を柔軟に決定することができ、より効果的に発熱体51の負荷を分散して各発熱体にかかる負荷の累積値の差をできるだけ少なくし、サーマルヘッド5の寿命を延ばすことができる。
【0025】
上述したように、RAM23の描画領域に展開された印字データに対応するビットマップイメージデータの各アドレスと、サーマルヘッド5の各発熱体51の各アドレスとの対応関係をずらすことにより、ラベル52上での実際の印字位置が幅方向に移動するが、ラベル52上での実際の印字位置を幅方向に変えないようにする必要がある場合もある。例えば、印字データをラベル52に印字したときに、幅方向に左右の余白部分が無い場合、実際の印字位置が幅方向に移動すると、印字データの一部分が印字されなくなってしまうことになる。
【0026】
そのような場合、サーマルヘッド5をラベル52に対して幅方向に印字位置が移動する向きとは逆の向きに機械的にドット単位で移動させることにより、ラベル52上での印字位置を変化させないようにすることができる。例えば、RAM23の描画領域に展開された印字データに対応するビットマップイメージデータの各アドレスと、サーマルヘッド5の各発熱体51のアドレスの対応関係を移動可能な範囲内でN(Nは任意の自然数、ただしN≦余白部分に対応するドット数)ドット分だけずらした場合、サーマルヘッド5をNドット分だけラベル52に対して幅方向に移動させる。このときの移動の向きは、サーマルヘッド5の印字部分がずれる向きとは逆の向きである。これにより、ラベル52上に印字される印字データの印字位置が変化しないようにすることができる。
【0027】
まず、CPU21は、ヘッド制御部25を制御し、印字データを印字するよう指令する。ヘッド制御部25は、CPU21からの指令に基づいてサーマルヘッド5に制御信号を供給し、5番目の発熱体51を発熱させ、図5に示すように、ラベル52に罫線を印字する。次に、CPU21は、図示せぬサーマルヘッド移動用モータに対して1ドット分だけサーマルヘッド5を幅方向に移動させるよう指令するとともに、RAM23の描画領域に展開された印字データに対応するビットマップイメージデータのアドレスと、各発熱体51のアドレスとの対応関係を1ドット分だけずらして印字するようヘッド制御部25に指令する。
【0028】
CPU21からの指令を受けたサーマルヘッド移動用モータは、サーマルヘッド5を幅方向に移動させる。また、CPU21からの指令を受けたヘッド制御部25は、5番目の発熱体51の隣の6番目の発熱体51を発熱させ、図6に示すように、次のラベル52に罫線を印字する。
【0029】
このように、罫線を印字する発熱体51が隣の発熱体51に切り替えられた場合、即ち、RAM23の描画領域に展開されている印字データに対応するビットマップイメージデータの各アドレスと、各発熱体52のアドレスとの対応関係をずらして、各発熱体51の発熱部分が1ドット分だけシフトした場合でも、逆方向にサーマルヘッド5を機械的に移動させることにより、ラベル52上での罫線の印字位置が変化しないようにすることができる。ここでは説明を簡単にするため、罫線を印字する場合について説明したが、他の印字データについても同様にして、印字位置を変化させることなく、発熱体51の発熱部分をシフトすることができる。
【0030】
次に、印字位置を移動させるその他のタイミングについて説明する。様々な印字データを印字する場合には、上述したように、各発熱体51毎に通電時間の累積値を記憶し、各発熱体51の通電時間の累積値が所定の基準値を越えたとき、発熱体51の発熱部分をずらすことにより、印字位置を移動させるようにすればよいが、同一の印字データのみを繰り返し印字する場合には、サーマルヘッド5の稼働時間や印字枚数等の情報を記憶し、これらの情報に基づいて印字位置を所定のタイミングで移動させるようにすることもできる。その場合、各発熱体51の発熱時間(通電時間)の累積値の差ができるだけ短くなるようにする。
【0031】
また、例えば、ラベル52を1枚印字する毎に印字位置を変えるようにすることもできるし、数百枚印字する毎に印字位置を変えるようにすることもできる。このように印字枚数に基づいて印字位置を移動させる場合、CPU21は印字枚数をカウントし、カウント値をEEPROM33に記憶させるようにする。
【0032】
また、サーマルヘッド5を幅方向に移動させる方法としては、上述したように、サーマルヘッド移動用モータを用いる方法の他に、手動で移動させるようにすることもできる。その場合、CPU21は、所定の警告音を図示せぬスピーカから出力したり、表示部29に例えばメッセージ「サーマルヘッドを1ドット分だけ左に移動させてください」を表示させ、オペレータに指示する。この指示を受けたオペレータは、手動でサーマルヘッド5を幅方向に移動させる。
【0033】
なお、上記実施の形態においては、本発明をラベルプリンタに適用する場合について説明したが、サーマルヘッド5を有するその他の印字装置にも本発明を適用することができる。
【0034】
また、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは言うまでもない。
【0035】
【発明の効果】
以上の如く、本発明に係る印字装置によれば、印字データに対応するビットマップイメージデータを記憶し、ビットマップイメージデータに対応してサーマルヘッドを構成する各発熱体への電流の供給を制御し、一定頻度で、ビットマップイメージデータに対応して電流が供給されて発熱する発熱体の発熱部分を所定ドット数分だけシフトさせるようにしたので、各発熱体が発熱する時間の累積値の差をできるだけ小さくしてサーマルヘッドの寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の印字装置を応用したラベルプリンタの一実施の形態の構成例を示す図である。
【図2】図1の制御部の構成例を示すブロック図である。
【図3】サーマルヘッドの各発熱体と用紙の位置関係を示す図である。
【図4】印字位置を1ドット分だけ移動させた様子を示す図である。
【図5】5番目の発熱体による印字結果を示す図である。
【図6】発熱体の発熱部分を移動させるとともにサーマルヘッドを移動させたときの印字結果を示す図である。
【図7】従来の印字方法で罫線を印字した様子を示す図である。
【符号の説明】
1 用紙
2 供給軸
3 案内ローラ
5 サーマルヘッド
6 プラテンローラ
7 ステッピングモータ
8 ベルト
9 ピッチセンサ
10 制御部
11 リボン供給部
12 リボン巻き取り部
13,14 案内ローラ
15 エンドセンサ
16 リボンエンドセンサ
17 インクリボン
21 CPU
22 ROM
23 RAM
24 モータ制御部
25 ヘッド制御部
26 センサ制御部
27 外部インタフェース
28 入力部
29 表示部
30 インタフェース
31 エラー検出部
32 リボンエンド検出部
33 EEPROM
34 メディアセンサ
35 メディア検出部
51 発熱体
52 ラベル
53 台紙
100 ラベルプリンタ
200 PC
【発明の属する技術分野】
本発明は、印字装置に関し、特に、サーマルヘッドを構成する発熱体を所定の印字データに対応して発熱させることにより印字を行う印字装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、印字装置としてのサーマルプリンタは、図7に示すように、複数の発熱体51からなるサーマルヘッド5を備えており、所定の印字データに対応して各発熱体51を発熱させることにより、ラベル52に対して印字を行うようになっている。
また、サーマルヘッド14を構成する各発熱抵抗体の異常を検知した場合、正常な発熱抵抗体のみを用いて所望の画像を記録するよう、画像の印画位置を変えることにより、異常な発熱抵抗体による印画方向のスジ状の濃度変化や印画抜けのない所望の記録画像を得るようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、印字データの2値化データにより、べた印字をする領域が所定以上連続するか否かを判断し、そのべた領域が所定以上連続したと判断された場合に、べた領域が多く連続するほど、また印字速度が遅いほど、間引率の高い間引パターンを使用して、そのべた領域のデータを間引いて2値化データを作成し直し、その2値化データに基づいてサーマルヘッドの発熱素子を発熱させて印字を行うことにより、べた印字を行う際のヘッド切れ、色むらやにじみの発生を防止し、さらに蓄熱要因の多様化に対応できるようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−112541号公報(図1)
【特許文献2】
特開2001−96788号公報(図3)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来のサーマルプリンタは、印字データに対応する発熱体51を発熱させるので、図7に示すように、同一の印字データを繰り返し印字する場合、特定の発熱体51(この例では5番目の発熱体51)に常に電圧が印加され、他の発熱体51に比べて早く劣化してしまう場合がある。そのため、他の発熱体51が未だ劣化していないにも拘わらず、サーマルヘッド5を交換しなければならなくなり、コストがかかるという問題があった。
【0005】
また、サーマルヘッド14を構成する各発熱抵抗体の異常を検知した場合、正常な発熱抵抗体のみを用いて所望の画像を記録するよう、画像の印画位置を変えるようにした場合、所定の発熱抵抗体に異常が検知された場合でも正常印字が可能ではあるが、特定の発熱抵抗体にのみ負荷がかかる印字データを繰り返し印字する場合には、やはりその特定の発熱抵抗体が早く劣化してしまうという問題がある。
【0006】
また、べた印字をする場合に、間引パターンを用いてべた領域のデータを間引いて印字する場合でも、特定の発熱素子のみに負荷がかかる印字データを繰り返し印字する場合には、その特定の発熱素子が早く劣化してしまうという問題があった。
【0007】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、特定の発熱体にのみ負荷がかかるような印字データを印字する場合でも、その負荷を他の発熱体に分散させることにより、特定の発熱体のみが他の発熱体よりも著しく劣化することがないようにするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の印字装置は、一列に配置された複数の発熱体からなるサーマルヘッドを用いて所定の印字データを所定の媒体に印字する印字装置であって、印字データに対応するビットマップイメージデータを記憶する記憶手段と、記憶手段によって記憶されたビットマップイメージデータに対応してサーマルヘッドを構成する各発熱体への電流の供給を制御するサーマルヘッド制御手段と、一定頻度で、ビットマップイメージデータに対応してサーマルヘッド制御手段によって電流が供給されて発熱する発熱体の発熱部分を所定ドット数分だけシフトさせるシフト手段とを備えることを特徴とする。
また、シフト手段は、印字データが媒体に印字される毎に、ビットマップイメージデータに対応してサーマルヘッド制御手段によって電流が供給される発熱体の発熱部分を所定ドット数分だけシフトさせるようにすることができる。
また、各発熱体に対して電流が供給された通電時間の累積値を各発熱体毎に記憶する記憶手段をさらに備え、シフト手段は、通電時間の累積値に基づいて、各発熱体に対して供給される通電時間の差が小さくなるように、制御手段によって電流が供給されて発熱する発熱体の発熱部分を所定ドット数分だけシフトさせるようにすることができる。
また、シフト手段は、各発熱体の通電時間の累積値が所定の基準値を越えたとき、制御手段によって電流が供給されて発熱する発熱体の発熱部分を所定ドット数分だけシフトさせるようにすることができる。
また、基準値は、各発熱体の耐久時間より短い所定の時間とすることができる。
また、制御手段によって電流が供給されて発熱する発熱体の発熱部分のシフト量は、印字データに基づいて決定されるようにすることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明が適用されるラベルプリンタの一実施の形態の構成例を示している。同図に示すように、ラベルプリンタ100は、各部を制御する制御部10と、用紙1に印字を行うサーマルヘッド5と、制御部10の制御により駆動されるステッピングモータ7と、タイミングベルト(以下では、適宜単にベルトと記載する)8を介して伝達されるステッピングモータ7の回転駆動力によって回転し、後述する供給軸2にセットされた用紙1を搬送するとともに、用紙1をサーマルヘッド5に押圧するプラテンローラ6と、用紙1を回転自在に支持する供給軸2と、用紙1をサーマルヘッド5に案内する案内ローラ3と、インクリボン17を供給するリボン供給部11と、リボン供給部11より供給されたインクリボン17をサーマルヘッド5と用紙1の間に案内する案内ローラ13と、インクリボン17を巻き取るインクリボン巻き取り部12と、サーマルヘッド5と用紙1の間を通過したインクリボン17をインクリボン巻き取り部12に案内する案内ローラ14と、所定の光を出射する発光部と、発光部から出射された光の用紙1からの反射光を受光し、受光した光の強度(単位時間当たりの受光量)に対応する電気信号を出力する受光部とからなり、用紙1の裏面の側に発光部と受光部を配し、用紙1の裏面に印刷等によって形成されたアイマーク(黒の矩形のマーク)を、受光部の受光量に基づいて検出するピッチセンサ9と、所定の光を出射する発光部と、発光部から出射された光を受光し、受光した光の強度に対応する電気信号を出力する受光部とからなり、用紙1の裏面の側に発光部を、用紙1の表面の側に受光部を配し、用紙1の終了を受光部の受光量に基づいて検出するエンドセンサ15と、所定の光を出射する発光部と、発光部から出射された光を受光し、受光した光の強度に対応する電気信号を出力する受光部とからなり、インクリボン17の裏面の側に発光部を、インクリボン17の表面の側に受光部を配し、インクリボン17の終了を、受光部の受光量に基づいて検出するリボンエンドセンサ16とを備えている。
【0010】
図2は、図1の実施の形態の電気的な構成例を示すブロック図である。同図に示すように、制御部10は、所定の制御プログラムを記憶するROM(readonly memory)22と、ROM22に記憶されている制御プログラムに従って動作し、各部を制御するCPU(central processing unit)21と、CPU21が動作する上で必要となる各種データを記憶するRAM(random access memory)23と、電源がオフされても保持しておきたい各種データを記憶するEEPROM(electrically erasable and programmable read only memory)33と、ステッピングモータ7にパルス信号を供給し、ステッピングモータ7を回転させるモータ制御部24と、CPU21から供給される印字すべき文字、図形、及びバーコードなどの印字データに対応する制御信号を生成し、サーマルヘッド5に供給し、印字動作を行わせるヘッド制御部25と、CPU21の制御下、ピッチセンサ9の発光部を制御し、光を出射させるとともに、受光部から出力される電気信号を受け取り、ディジタルのデータに変換してピッチ検出データとしてCPU21に供給するセンサ制御部26と、CPU21の制御下、エンドセンサ15の発光部を制御し、光を出射させるとともに、受光部から出力される電気信号を受け取り、ディジタルのデータに変換してエンド検出データとしてCPU21に供給するエラー検出部31と、CPU21の制御下、リボンエンドセンサ16の発光部を制御し、光を出射させるとともに、受光部から出力される電気信号を受け取り、ディジタルのデータに変換してリボンエンド検出データとしてCPU21に供給するリボンエンド検出部32と、CPU21の制御下、後述するメディアセンサ34を制御し、メディアセンサ34より取得したメディア検出データをCPU21に供給するメディア検出部35と、外部インタフェース27と、インタフェース30とを備えている。また、制御部10には、各種データやコマンドを入力するための入力部28と、入力部28から入力された入力データや、各種情報を表示するための表示部29とがインタフェース30を介して接続されている。入力部28より入力された入力データは、インタフェース30を介してCPU21に供給され、表示部29に表示される各種情報に対応する表示データは、インタフェース30を介してCPU21より供給されるようになっている。また、外部インタフェース27を介して、外部に接続されたパーソナルコンピュータ(PC)200等の各種機器との間で各種データやコマンドの送受信を行うことができるようになっている。
【0011】
図3は、ラベルプリンタ100を構成するサーマルヘッド5と用紙1の相対的な位置関係を示している。サーマルヘッド5は、図3に示すように、1列に配置された複数の発熱体51を有しており、印字データに対応して各発熱体51に所定の電流を供給して発熱させ、インクリボン17のインクを加熱し、用紙1に転写するようになっている。用紙1が、図3に示すようにラベル52と台紙53から構成されている場合、ラベル52にインクが転写されることになる。
【0012】
また、サーマルヘッド5は、用紙1が搬送される方向(用紙送り方向)に対して直角の方向(幅方向)に、1つの発熱体51の幅方向の長さを最小単位として移動させることができるようになっている。即ち、1つの発熱体51の幅方向の長さをLとすると、Lの整数倍(L×N;Nは任意の自然数。ただし、N<発熱体数)の長さだけ、幅方向に手動または図示せぬサーマルヘッド移動用モータ等により機械的に移動させることができるようになっている。
【0013】
次に、印字データに応じて、印字位置をずらす方法について説明する。所定の印字データをラベル52に印字する場合、CPU21は、印字データをRAM23の描画領域にビットマップイメージデータとして展開し、ヘッド制御部25に対して印字データを印字するよう指令する。ヘッド制御部25は、RAM23の描画領域に展開されたビットマップイメージデータに対応して、サーマルヘッド5を制御し、各発熱体51の所定のものに電流を供給して発熱させ、印字データをラベル52に印字させる。
【0014】
印字データに対応するビットマップイメージデータが記憶されているRAM23の描画領域の各アドレスと、サーマルヘッド5の各発熱体51のアドレスとは所定の対応付けがなされており、印字データに対応して、所定のレイアウトで文字、図形、バーコード、写真等を印字することができるようになっている。各発熱体51には各発熱体を識別するための識別番号、例えば、番号#1乃至#N(Nは発熱体51の数)が付けられており、以下ではこの識別番号をアドレスと称する。
【0015】
従って、印字データに対応するビットマップイメージデータが記憶されているRAM23の描画領域の各アドレスに対応するサーマルヘッド5の各発熱体51のアドレスをずらすことにより、印字データのラベル52上での印字位置を幅方向に移動させることができる。
【0016】
例えば、図4に示すように、印字データが、5番目の発熱体51(図中#5で示した発熱体51)のみに電流が供給されて発熱するようなものである場合、印字データに対応するビットマップイメージデータが記憶されているRAM23の描画領域の各アドレスに対応する各発熱体51のアドレスを1つずつずらすことにより、各発熱体51にかかる発熱による負荷を隣接する発熱体51に移動させることができる。これにより、5番目の発熱体51に対してかかっている負荷が、6番目の発熱体51に対してかかるようになり、各発熱体51に対する発熱による負荷を分散し、各発熱体51にかかる負荷の差が小さくなるようにすることができる。各発熱体51にかかる負荷の累積値は、各発熱体51に電流が供給されて発熱する時間の累積値により表される。
【0017】
このとき、印字データのラベル52上での印字位置が1ドット分(1つの発熱体51の幅方向の長さL)だけ移動することになる。このため、この方法は、印字データをラベル52に印字したときに、印字位置の移動方向に余白部分がある場合にだけ適用することが可能である。
【0018】
印字データのラベル52上での印字位置をずらすタイミングは、各発熱体51に対して電流が供給されて発熱した時間(各発熱体に通電された時間(通電時間))の累積値に基づいて決定することができる。即ち、CPU21は、サーマルヘッド5の各発熱体51に電流が供給された時間(通電時間)の累積値を、印字データ、及び印字枚数等に基づいて算出し、各発熱体51毎にEEPROM33に記憶させておく。
【0019】
次に、CPU21は、EEPROM33に記憶されている各発熱体51の通電時間の累積値が、所定の基準値を越えたか否かを判定し、各発熱体51の少なくともいずれか1つの通電時間が所定の基準値を越えている場合、印字位置を幅方向に移動させる。この基準値は、各発熱体51の耐久時間より短い所定の時間とされる。例えば、耐久時間の1/2などとすることができる。
【0020】
次に、印字位置を幅方向へ移動させるときの移動量を決定する方法について説明する。印字位置の幅方向への移動量は、印字データに応じて1ドットまたは2ドット以上とすることができる。通常、印字処理は例えば数百乃至数千枚単位で行われるため、印字処理実行前にオペレータによって印字枚数が指定されたとき、CPU21は、EEPROM33に記憶されている各発熱体51の通電時間の累積値と、指定された印字枚数、および印字データから、印字処理実行後において、各発熱体51の通電時間の累積値の差が最も小さくなるように、印字位置の移動量を決定する。
【0021】
まず、この印字データを1枚だけ印字したときに各発熱体51にかかる負荷(または各発熱体51に所定の電流が流されて発熱する時間(通電時間))を求める。そして、各発熱体51にかかる負荷に基づいて、指定枚数分の印字が終了した時点での各発熱体51の負荷の累積値(または通電時間の累積値)を演算する。そして、印字位置を1ドット単位で可能な範囲で移動させたと仮定したときの負荷の累積値を、印字位置の移動量毎に演算する。そして、印字処理終了後に各発熱体51の負荷の累積値の差が最も小さくなる移動量を演算によって求める。印字処理が実行される場合には、この移動量に対応するドット数分だけ印字位置が移動される。
【0022】
例えば、上記印字データをラベル52に印字する場合、5番目の発熱体51に100パーセントの負荷がかかり(常時発熱している状態になる)、隣の6番目の発熱体51に50パーセントの負荷がかかり(発熱している時間と発熱していない時間が同一の状態になる)、その隣の7番目の発熱体51に20パーセントの負荷がかかる(発熱している時間が発熱していない時間の1/5の状態になる)ものとし、上記演算の結果、印字位置を2ドット分だけ移動させ、7番目の発熱体51にかかる負荷を100パーセントにした場合に、印字終了後の各発熱体51の負荷の累積値の差が最も小さくなるようなとき、印字位置の移動量は2ドットと決定される。その後、印字位置が2ドット分だけ移動されて印字処理が実行される。
【0023】
印字位置の移動可能な範囲は印字データ毎に決まっており、印字データがラベル52に印字されたときの左余白部分の幅方向の長さ(ラベル52の左端と印字データの各行の左端との距離の最小値)が、印字データを左側(図4の下方向)に移動可能な範囲となる。また、印字データがラベル52に印字されたときの右余白部分の幅方向の長さ(ラベル52の右端と印字データの各行の右端との距離の最小値)が、印字データを右側(図4の上方向)に移動可能な範囲となる。
【0024】
従って、CPU21は、印字データのラベル52上での印字位置を移動させる場合、各発熱体51にかかっている負荷、および左右の余白部分の幅方向の長さ等に基づいて、印字位置の移動量を柔軟に決定することができ、より効果的に発熱体51の負荷を分散して各発熱体にかかる負荷の累積値の差をできるだけ少なくし、サーマルヘッド5の寿命を延ばすことができる。
【0025】
上述したように、RAM23の描画領域に展開された印字データに対応するビットマップイメージデータの各アドレスと、サーマルヘッド5の各発熱体51の各アドレスとの対応関係をずらすことにより、ラベル52上での実際の印字位置が幅方向に移動するが、ラベル52上での実際の印字位置を幅方向に変えないようにする必要がある場合もある。例えば、印字データをラベル52に印字したときに、幅方向に左右の余白部分が無い場合、実際の印字位置が幅方向に移動すると、印字データの一部分が印字されなくなってしまうことになる。
【0026】
そのような場合、サーマルヘッド5をラベル52に対して幅方向に印字位置が移動する向きとは逆の向きに機械的にドット単位で移動させることにより、ラベル52上での印字位置を変化させないようにすることができる。例えば、RAM23の描画領域に展開された印字データに対応するビットマップイメージデータの各アドレスと、サーマルヘッド5の各発熱体51のアドレスの対応関係を移動可能な範囲内でN(Nは任意の自然数、ただしN≦余白部分に対応するドット数)ドット分だけずらした場合、サーマルヘッド5をNドット分だけラベル52に対して幅方向に移動させる。このときの移動の向きは、サーマルヘッド5の印字部分がずれる向きとは逆の向きである。これにより、ラベル52上に印字される印字データの印字位置が変化しないようにすることができる。
【0027】
まず、CPU21は、ヘッド制御部25を制御し、印字データを印字するよう指令する。ヘッド制御部25は、CPU21からの指令に基づいてサーマルヘッド5に制御信号を供給し、5番目の発熱体51を発熱させ、図5に示すように、ラベル52に罫線を印字する。次に、CPU21は、図示せぬサーマルヘッド移動用モータに対して1ドット分だけサーマルヘッド5を幅方向に移動させるよう指令するとともに、RAM23の描画領域に展開された印字データに対応するビットマップイメージデータのアドレスと、各発熱体51のアドレスとの対応関係を1ドット分だけずらして印字するようヘッド制御部25に指令する。
【0028】
CPU21からの指令を受けたサーマルヘッド移動用モータは、サーマルヘッド5を幅方向に移動させる。また、CPU21からの指令を受けたヘッド制御部25は、5番目の発熱体51の隣の6番目の発熱体51を発熱させ、図6に示すように、次のラベル52に罫線を印字する。
【0029】
このように、罫線を印字する発熱体51が隣の発熱体51に切り替えられた場合、即ち、RAM23の描画領域に展開されている印字データに対応するビットマップイメージデータの各アドレスと、各発熱体52のアドレスとの対応関係をずらして、各発熱体51の発熱部分が1ドット分だけシフトした場合でも、逆方向にサーマルヘッド5を機械的に移動させることにより、ラベル52上での罫線の印字位置が変化しないようにすることができる。ここでは説明を簡単にするため、罫線を印字する場合について説明したが、他の印字データについても同様にして、印字位置を変化させることなく、発熱体51の発熱部分をシフトすることができる。
【0030】
次に、印字位置を移動させるその他のタイミングについて説明する。様々な印字データを印字する場合には、上述したように、各発熱体51毎に通電時間の累積値を記憶し、各発熱体51の通電時間の累積値が所定の基準値を越えたとき、発熱体51の発熱部分をずらすことにより、印字位置を移動させるようにすればよいが、同一の印字データのみを繰り返し印字する場合には、サーマルヘッド5の稼働時間や印字枚数等の情報を記憶し、これらの情報に基づいて印字位置を所定のタイミングで移動させるようにすることもできる。その場合、各発熱体51の発熱時間(通電時間)の累積値の差ができるだけ短くなるようにする。
【0031】
また、例えば、ラベル52を1枚印字する毎に印字位置を変えるようにすることもできるし、数百枚印字する毎に印字位置を変えるようにすることもできる。このように印字枚数に基づいて印字位置を移動させる場合、CPU21は印字枚数をカウントし、カウント値をEEPROM33に記憶させるようにする。
【0032】
また、サーマルヘッド5を幅方向に移動させる方法としては、上述したように、サーマルヘッド移動用モータを用いる方法の他に、手動で移動させるようにすることもできる。その場合、CPU21は、所定の警告音を図示せぬスピーカから出力したり、表示部29に例えばメッセージ「サーマルヘッドを1ドット分だけ左に移動させてください」を表示させ、オペレータに指示する。この指示を受けたオペレータは、手動でサーマルヘッド5を幅方向に移動させる。
【0033】
なお、上記実施の形態においては、本発明をラベルプリンタに適用する場合について説明したが、サーマルヘッド5を有するその他の印字装置にも本発明を適用することができる。
【0034】
また、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは言うまでもない。
【0035】
【発明の効果】
以上の如く、本発明に係る印字装置によれば、印字データに対応するビットマップイメージデータを記憶し、ビットマップイメージデータに対応してサーマルヘッドを構成する各発熱体への電流の供給を制御し、一定頻度で、ビットマップイメージデータに対応して電流が供給されて発熱する発熱体の発熱部分を所定ドット数分だけシフトさせるようにしたので、各発熱体が発熱する時間の累積値の差をできるだけ小さくしてサーマルヘッドの寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の印字装置を応用したラベルプリンタの一実施の形態の構成例を示す図である。
【図2】図1の制御部の構成例を示すブロック図である。
【図3】サーマルヘッドの各発熱体と用紙の位置関係を示す図である。
【図4】印字位置を1ドット分だけ移動させた様子を示す図である。
【図5】5番目の発熱体による印字結果を示す図である。
【図6】発熱体の発熱部分を移動させるとともにサーマルヘッドを移動させたときの印字結果を示す図である。
【図7】従来の印字方法で罫線を印字した様子を示す図である。
【符号の説明】
1 用紙
2 供給軸
3 案内ローラ
5 サーマルヘッド
6 プラテンローラ
7 ステッピングモータ
8 ベルト
9 ピッチセンサ
10 制御部
11 リボン供給部
12 リボン巻き取り部
13,14 案内ローラ
15 エンドセンサ
16 リボンエンドセンサ
17 インクリボン
21 CPU
22 ROM
23 RAM
24 モータ制御部
25 ヘッド制御部
26 センサ制御部
27 外部インタフェース
28 入力部
29 表示部
30 インタフェース
31 エラー検出部
32 リボンエンド検出部
33 EEPROM
34 メディアセンサ
35 メディア検出部
51 発熱体
52 ラベル
53 台紙
100 ラベルプリンタ
200 PC
Claims (6)
- 一列に配置された複数の発熱体からなるサーマルヘッドを用いて所定の印字データを所定の媒体に印字する印字装置であって、
前記印字データに対応するビットマップイメージデータを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段によって記憶された前記ビットマップイメージデータに対応して前記サーマルヘッドを構成する各発熱体への電流の供給を制御するサーマルヘッド制御手段と、
一定頻度で、前記ビットマップイメージデータに対応して前記サーマルヘッド制御手段によって電流が供給されて発熱する前記発熱体の発熱部分を所定ドット数分だけシフトさせるシフト手段と
を備えることを特徴とする印字装置。 - 前記シフト手段は、前記印字データが前記媒体に印字される毎に、前記ビットマップイメージデータに対応して前記サーマルヘッド制御手段によって電流が供給される前記発熱体の発熱部分を所定ドット数分だけシフトさせる
ことを特徴とする請求項1に記載の印字装置。 - 各発熱体に対して電流が供給された通電時間の累積値を各発熱体毎に記憶する記憶手段をさらに備え、
前記シフト手段は、前記通電時間の累積値に基づいて、各発熱体に対して供給される通電時間の差が小さくなるように、前記制御手段によって電流が供給されて発熱する前記発熱体の発熱部分を所定ドット数分だけシフトさせる
ことを特徴とする請求項1に記載の印字装置。 - 各発熱体の通電時間の累積値が所定の基準値を越えたとき、前記シフト手段は、前記制御手段によって電流が供給されて発熱する前記発熱体の発熱部分を所定ドット数分だけシフトさせる
ことを特徴とする請求項3に記載の印字装置。 - 前記基準値は、各発熱体の耐久時間より短い所定の時間とされる
ことを特徴とする請求項4に記載の印字装置。 - 前記制御手段によって電流が供給されて発熱する前記発熱体の発熱部分のシフト量は、前記印字データに基づいて決定される
ことを特徴とする請求項3,4、または5に記載の印字装置。
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JP2019171742A (ja) * | 2018-03-29 | 2019-10-10 | サトーホールディングス株式会社 | プリンタ及びプリンタの制御方法 |
JP7231003B1 (ja) | 2021-12-21 | 2023-03-01 | カシオ計算機株式会社 | 印字制御装置、印字制御方法及びプログラム |
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2002
- 2002-10-30 JP JP2002316422A patent/JP2004148665A/ja active Pending
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