JP2004148386A - 耐疵付き性に優れたアルミニウム合金板 - Google Patents
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Abstract
【課題】アルミニウム合金板の塗装鮮映性やプレス成形性などの特性を阻害せずに、積層時などの耐疵付き性を高めたアルミニウム合金板を提供することを目的とする。
【解決手段】アルミニウム合金板表面の粗さをJIS B0601 に規定された表面粗さ測定法により測定した際の、中心線平均粗さRaが0.6 μm 以上であるとともに、特定のピークカウントが10山以上であることとする。但し、ピークカウントとは、図1(b)に示す通り、アルミニウム合金板表面の粗さ曲線の中心線C1に対し、ピークカウントレベル(h) で2.0 μm 離して、中心線C1の上方に、中心線C1に平行な上側ピークカウントレベルC2を設けた際の、上側ピークカウントレベルC2と粗さ曲線A とが交叉する点が2 回存在する時 (凸部B1、B2など) を各々1 山としてカウントした際の、基準長さL が8.0mm における、合計カウント数を言う。
【選択図】 図1
【解決手段】アルミニウム合金板表面の粗さをJIS B0601 に規定された表面粗さ測定法により測定した際の、中心線平均粗さRaが0.6 μm 以上であるとともに、特定のピークカウントが10山以上であることとする。但し、ピークカウントとは、図1(b)に示す通り、アルミニウム合金板表面の粗さ曲線の中心線C1に対し、ピークカウントレベル(h) で2.0 μm 離して、中心線C1の上方に、中心線C1に平行な上側ピークカウントレベルC2を設けた際の、上側ピークカウントレベルC2と粗さ曲線A とが交叉する点が2 回存在する時 (凸部B1、B2など) を各々1 山としてカウントした際の、基準長さL が8.0mm における、合計カウント数を言う。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐疵付き性に優れたアルミニウム合金板(以下、アルミニウムをAlとも言う)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、自動車、船舶あるいは車両などの輸送機、家電製品、建築、構造物のパネル構造体 (パネル材) として、パネル成形性に優れたAl−Mg 系のAA乃至JIS 規格でいう5000系や、成形性や焼付硬化性に優れたAl−Mg−Si系のAA乃至JIS 規格でいう 6000 系 (以下、単に5000系乃至6000系と言う) のAl合金板 (Al合金圧延板) が使用されている。
【0003】
ただ、これらのAl合金板は、Al合金板自体の製造工程や、パネル構造体への成形加工工程において、切り板として互いに積み重ねられた場合や、コイル化されて互いに積層された場合などに、Al合金板同士の摩擦により、表面に微細な疵がつきやすい。例えば、自動車のボディーパネルなどでは、Al合金板をプレス成形後に、脱脂、エッチングなどの前処理が施され、焼き付け塗装されるが、前記微細な疵があると、その疵部分が逆に塗装後に強調されたりして、ボディーパネルとしての商品価値を損なわせる。
【0004】
この表面疵に対しては、Al合金板表面に潤滑油や防錆油などを塗布するか、Al合金板同士の間にスペーサを敷くなどの汎用手段によって解決可能な場合もある。しかし、上記工程や工程条件によっては、これら汎用手段でも解決できない場合もある。また、これら汎用手段自体が採用できない場合も有り、これら汎用手段の採用が、工程の効率を著しく阻害する場合も多い。
【0005】
このため、Al合金板表面自体を傷つきにくいものとすることが望まれる。この点、Al合金板の表面粗度を細かくした場合に疵が生じやすいため、Al合金板の表面粗度を中心線平均粗さRaで0.75μm 以上と比較的粗くすることが一般的である。ただ、このように、Al合金板の表面粗度を粗くしても、条件によっては、Al合金板の積層時 (パイリング時) に疵が発生しやすい。
【0006】
また、Al合金板の表面は、塗装鮮映性、プレス成形性などの基本特性に大きな影響が有り、単に傷つきにくいものとする訳にはいかない。実際に、これら塗装鮮映性やプレス成形性を向上させるために、従来から、ダル仕上げなど、Al合金板表面粗度の制御が行なわれている。
【0007】
これに対し、上記基本特性を阻害せずに、耐疵付き性を高める技術として、Al合金板の表面粗度の内から、特定の凹凸要素を制御することが提案されている。より具体的には、塗装鮮映性を阻害せずに耐疵付き性を高めるために、亜鉛系めっきを施したAl合金板の表面の規則正しい凹凸の内、凸部頂面の大きさ、凹凸差、凸部ピーク間距離、凹部面積を制御することが提案されている (例えば特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平6−210304号公報 (1 〜2 頁、図6)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特許文献の手段では、Al合金板の積層時 (パイリング時) の疵発生に対し、必ずしも効果的ではない。上記特許文献1は、本発明で意図する、Al合金板の積層時の疵発生も意図しているものの、主として意図するのは、プレス成形時に生じる疵の防止である。しかも、疵発生防止の直接の対象としているのは、表面に亜鉛系めっきを施したAl合金板であり、裸のAl合金板ではない。また、その耐疵付き性の評価も、実施例においては、種々の亜鉛系めっきを施したAl合金板を対象とし、鋼製のダイス、ポンチと接触することを想定した、鋼製のポンチによる引き抜き加工試験により評価している。
【0010】
本発明で意図する、Al合金板の積層時において、本発明で意図するめっきを施さないAl合金板表面と、上記特許文献1で意図する亜鉛系めっきを施したAl合金板表面との挙動は全く異なる。Al合金板の積層時において、めっきを施さないAl合金板同士の接触は、酸化皮膜を含めたAl合金素地表面同士である。これに対し、亜鉛系めっきを施したAl合金板同士の接触は、亜鉛系めっき皮膜同士であるためである。
【0011】
したがって、Al合金板の塗装鮮映性やプレス成形性などの特性を阻害せずに、Al合金板表面の粗度なり凹凸なりを制御して、めっきを施さない、言い換えると、酸化皮膜を含めたAl合金素地表面同士が直接接触するようなAl合金板積層時の耐疵付き性を高めることは、これまで、結構難しい技術課題であった。
【0012】
本発明はこの様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、Al合金板の塗装鮮映性やプレス成形性などの特性を阻害せずに、Al合金板の積層時などの耐疵付き性を高めたAl合金板を提供しようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明の耐疵付き性に優れたアルミニウム合金板の要旨は、アルミニウム合金板表面の粗さをJIS B0601 に規定された表面粗さ測定法により測定した際の、中心線平均粗さRaが0.6 μm 以上であるとともに、ピークカウントが10山以上であることとする。
【0014】
本発明で言う上記ピークカウントとは、図1(b)に示す通り、アルミニウム合金板表面の粗さ曲線の中心線C1に対し、ピークカウントレベル(h) で2.0 μm 離して、中心線C1の上方に、中心線C1に平行な上側ピークカウントレベルC2を設けた際の、上側ピークカウントレベルC2と粗さ曲線A とが交叉する点が2 回存在する時 (凸部B1、B2など) を各々1 山としてカウントした際の、基準長さL が8.0mm における、合計カウント数を言う。
【0015】
JIS B0601 に規定されたピークカウントの測定方法は、図1(a)、(b) 、(c) に各々示す通り、3 つの種類がある。図1(a)、(b) 、(c) の測定方法は、同じAl合金板表面の粗さ曲線A の中心線C1に対し、ピークカウントレベルで2.0 μm 離して、中心線C1の上方あるいは下方に、中心線C1に平行な2 本のピークカウントレベルC2、C3をいずれかまたは各々設ける点では、いずれの方法も共通している。また、ピークカウントレベルC2、C3と粗さ曲線A とが交叉する点を基準として、凹凸が形成する山を 1山としてカウントする点も共通している。
【0016】
但し、図1(a)、(b) 、(c) の測定方法は、上記山のカウント方法が互いに異なる。即ち、図1(a)では、上方と下方のピークカウントレベルC2、C3と粗さ曲線A とが交叉する2 点間において、各々のピークカウントレベルC2、C3と粗さ曲線A が交叉する点が1 回以上存在する時を1 山としてカウントする。このため、粗さ曲線A に二つの凸部B1、B2が存在しても、凸部B2が下方のピークカウントレベルC2と交叉していないため、2 山とはカウントされず、1 山としてカウントする。このため、カウントされる山の数は、本発明の図1(b)の測定方法に比して、少なめとなる。
【0017】
また、図1(c)では、上方のピークカウントレベルC2を用いず、下方のピークカウントレベルC3のみを用いて、下方のピークカウントレベルC3と粗さ曲線A とが交叉する2 点間において、各々のピークカウントレベルC2、C3と粗さ曲線A が交叉する点が2 回存在する時を1 山としてカウントする。このため、カウントされる山の数は、本発明の図1(b)の測定方法に比して、やはり少なめとなる。
【0018】
ここで、本発明者らの知見によれば、表面粗さの種々の要素の内でも、上記特定のピークカウントが、酸化皮膜を含めたAl合金素地表面同士が直接接触するようなAl合金板積層時の耐疵付き性に大きく影響する。
【0019】
上記特定のピークカウントとは、Al合金板表面の凹凸によって形成される、一定以上の大きさ (高さ) の山の数である。即ち、図1 における、粗さ曲線A における一定以上の大きさを有する二つの凸部B1、B2などの数である。
【0020】
このピークカウント数が少ないと、1 山当たり (1 凸部当たり) の頂部の面積が大きくなり、Al合金素地表面同士の接触面積が大きくなるため、接触抵抗が増して、Al合金板積層時の疵が発生しやすくなる。このため、本発明では、ピークカウント数を多くして、1 山当たり (1 凸部当たり) の頂部の面積を小さくして、Al合金素地表面同士の接触面積を小さくし、接触抵抗を減らして、Al合金板積層時の疵発生を抑制する。
【0021】
前記図1 において、粗さ曲線A における一定以上の大きさを有する二つの凸部B1、B2の存在は、ピークカウントとして、各々がAl合金板積層時の疵の発生に影響する。したがって、これらの凸部B1、B2を各々1 山と独立してカウントできる図1(b)の測定方法の方が、凸部B1、B2を1 山としてまとめてカウントしてしまう図1(a)、図1(c)の測定方法よりも、精度良く、Al合金板積層時の疵発生に対応することとなる。したがって、本発明では、上記ピークカウントとして、図1(b)の測定方法を採用した。
【0022】
なお、上記中心線平均粗さRaも、JIS B0601 に規定されるように、Al合金板表面の凹凸の大きさや数を表す。ただ、Raはあくまで凹部も含めた凹部と凸部の大きさである。したがって、Raは、Al合金板積層時の疵の発生に影響しない、凹部や極く小さな凸部を含め、影響する凸部B1、B2のような大きな山を含めた平均的なものである。このため、上記中心線平均粗さRaは、後述する通り、本発明で規定するピークカウントを満足するために前提として必要ではあるものの、上記図1(a)、図1(c)の測定方法よりも更に、Al合金板積層時の疵発生への対応はあいまいとなり、直接の尺度とはなり難い。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明では、先ず、パネルとして必要なAl合金板の鮮映性を確保するために、Al合金板表面の粗さをJIS B0601 に規定された表面粗さ測定法により測定した際の、中心線平均粗さRaを0.6 μm 以上とする。また、これによって、Al合金板積層時の疵の発生を抑制するための前提となる、表面粗さを確保する。
【0024】
このRaが0.6 μm 未満であれば、Al合金板の表面粗さが細かくなり、鏡面状態となる。このため、特に、焼き付け塗装した際のアウタパネル (外板) としての美観上必要な鮮映性は向上するものの、潤滑性が低下して、パネルへの成形性に悪影響を及ぼす。また、更に重大には、本発明で規定するピークカウント数を満たせなくなり、Al合金板積層時の疵の発生を抑制できなくなる。
【0025】
本発明では、更に、Al合金板積層時の疵の発生を抑制するために、前記ピークカウントを10山以上とする。前記ピークカウントが10山未満であれば、Al合金素地表面同士の接触面積が大きくなるため、接触抵抗が増して、Al合金板積層時の疵が発生しやすくなる。また、通常は前記Raが大きくなるとAl合金板の鮮映性は低下する。しかし、本発明では、このRaが大きくても、ピークカウント数が多いため、即ち、一定以上の大きさ (高さ) の山の数が多く、山のピッチが細かいため、塗装時にAl合金板表面の凹凸が減少して、鮮映性が改善される( 低下することがない) 。
【0026】
本発明のピークカウント規定による疵発生抑制機構を、図2 、3 、4 を用いて以下に具体的に説明する。前記した通り、本発明で言うピークカウントとは、Al合金板表面の凹凸によって形成される、一定以上の大きさ (高さ) の山の数である。図2 は本発明のAl合金板表面のピークカウントと山 (凹凸) の状態を模式的に示す。また、比較のために、図3 にピークカウントが少な過ぎる場合と、図4 に中心線平均粗さRaが小さい場合とを、Al合金板表面の山 (凹凸) の状態で模式的に示す。
【0027】
本発明では、前記ピークカウントを10山以上として、図2 に三角形の連なりで模式的に示すピークカウント数を多くして、その下にB1、B2、B3で示す、Al合金板表面の高さh1の山 (実際の凹凸) のピッチを小さくするとともに、板同士の接触後 (板積層時) の1 山当たり (1 凸部当たり) の頂部の面積を小さくする。そして、Al合金素地表面同士の接触面積を小さくし、接触抵抗を減らして、Al合金板積層時の疵発生を抑制する。
【0028】
一方、前記ピークカウントが10山未満で、図3 に三角形の連なりで模式的に示すピークカウント数が少ないと、その下にB1、B2で示す、Al合金板表面の高さh2の山 (凹凸) のピッチが大きくなり、かつ、板同士の接触後の1 山当たり (1 凸部当たり) の頂部の面積が大きくなり、Al合金素地表面同士の接触面積が大きくなるため、接触抵抗が増して、Al合金板積層時の表面疵が発生しやすくなる。
【0029】
これは、上記中心線平均粗さRaでも同様であって、図4 に三角形の連なりで模式的に示すRaが小さいと、その下にB1、B2、B3で示す、Al合金板表面の高さh3の1 山当たり (1 凸部当たり) の頂部の面積が、板同士の接触後はやはり大きくなり、Al合金素地表面同士の接触面積が大きくなるため、接触抵抗が増して、Al合金板積層時の表面疵が発生しやすくなる。
【0030】
ここで、本発明で言うAl合金板とは、熱延 (熱間圧延上がり) 板、冷延 (冷間圧延上がり) 板などの、調質処理 (熱処理) 前の状態の板や、調質処理後の板のことを言い、コイル、切り板、などの適宜の形状状態を含む。また、この調質処理も、溶体化および焼き入れ処理、時効処理、焼鈍処理、などの任意の熱処理を施された板を含む。
【0031】
また、Al合金板表面の状態は、耐疵付き性が顕著に問題となる、表面処理の無い裸のAl合金板であって、積層の際に、Al合金板表面素地同士が直接接触する際に生じる疵が問題となるようなAl合金板を対象とする。前記した特許文献1などのように、めっきなどの表面処理が施された場合には、積層の際には、表面処理層同士の直接接触が問題となる。この場合には、めっきなどの表面処理層自体の硬度などの特性や表面粗度などの表面特性が耐疵付き性に影響するため、母材であるAl合金板表面素地の影響は低下する。したがって、めっきなどの表面処理されたAl合金板では、本発明の表面規定に効果があるとは必ずしも限らない。また、めっきなどの表面処理されたAl合金板では、積層の際の疵発生は、裸のAl合金板に比して、著しく軽減される。ただ、本発明Al合金板は、裸のAl合金板以外にも、母材であるAl合金板表面素地の影響が大きい、言い換えると、本発明の表面規定の効果があるような、潤滑油や防錆油を付着させる、あるいはクロメート等の化成処理など、極く薄い表面処理を施したAl合金板には適用されて意味があり、本発明範囲に含みうる。
【0032】
更に、プレス成形など、適宜のパネル成形加工によってパネル化された板も含む。このパネル成形は、板をパネルに成形するための任意の成形方法を含み、張出、絞りなどのプレス成形や、ハット型曲げ加工や90度曲げ加工あるいはヘミング加工などを含む種々の曲げ成形、更に、常温での成形や高温での成形を含みうる。
【0033】
本発明Al合金板が対象とするAl合金は特に限定しない。言い換えると、Al合金種によらず、Al合金板積層時の耐疵付き性に効果がある。したがって、パネル用板として汎用される、純Al系の1000系、2000系、3000系、5000系、6000系、7000系などの種々のAl合金に適用できる。ただ、この中でも、自動車用のボディーパネル用など、比較的広幅乃至大きい表面積でパネル用板として汎用されて、積層時の疵がつきやすい、5000系、あるいは6000系Al合金に適用されて好適である。Al−Mg 系の5000系はパネル成形性に優れ、Al−Mg−Si系の6000系は、成形性や塗装焼付硬化性 (人工時効硬化性) に優れ、自動車などの自動車用のボディーパネル用に最適である。
【0034】
本発明におけるAl合金板の製造方法は、本発明で規定するAl合金板表面の粗さ制御以外は、常法により製造が可能である。例えば、所望Al合金成分規格範囲内に溶解調整されたAl合金溶湯を、連続鋳造圧延法、半連続鋳造法(DC鋳造法)等の通常の溶解鋳造法を適宜選択して鋳造する。次いで、このAl合金鋳塊に均質化熱処理を施した後、熱間圧延、または必要により更に (必要により中間焼鈍後) 冷間圧延 (必要によりパス間で中間焼鈍) により、コイル状あるいは板状の所望Al合金板の形状 (大きさ、面積) や板厚に加工される。
【0035】
本発明で規定するAl合金板表面の粗さ制御 (中心線平均粗さRa、ピークカウント数) は、ショットダルや放電加工ダル、あるいは、マイクロリソグラフィー法などを用いて、ロール表面に、本発明で規定する表面の粗さ (凹凸) を微細に設け、このロールにより冷間圧延する、あるいは熱間圧延や冷間圧延の後に、このロールによりスキンパス軽圧下圧延を行なうことで簡便に行なえる。
【0036】
【実施例】
次に、本発明の実施例を説明する。表1 に示すように、6000系の6022 (これのみAA規格、調質T4材) 、5000系の5182 (調質O 材) 、3000系の3004 (調質H32 材) 、1000系の1050 (調質O 材) の各Al合金冷間圧延板 (板厚1mm)を、マイクロリソグラフィー法あるいはショットダルなどにより、表面に所定の表面の粗さを種々微細に設けたロールによりスキンパス圧延を行ない、各Al合金冷間圧延板表面に表1 に示す、種々の表面粗さを設けた。
【0037】
これらAl合金冷延板表面の粗さは、上記各板 (冷延コイルから採取) から試験用の幅50mm×長さ50mmの供試板 (ブランク) を3 枚切り出し、JIS B0601 に規定された表面粗さ測定法に従い、Al合金板表面両面の、圧延方向と直角方向の中心線平均粗さRa (μm)の3 枚の供試板の平均値を測定した。また、前記図1(b)で示した測定法に従い、3 枚の供試板表面両面の圧延方向と直角方向の平均値でピークカウント数 (山数) を測定した。なお、これらの測定機は、株式会社小坂研究所製表面粗さ測定機 (サーフコーダSE−30D) を用い、触針はR2.0μm を用い、測定基準長さL は8.0mm 、送り速度0.5mm/秒、カットオフ値0.8mm とした。
【0038】
更に、上記各板 (冷延コイルから採取) から試験用の幅500mm ×長さ500mm の供試板 (ブランク) を複数枚切り出し、各調質処理後に十分室温時効したAl合金板がプレス成形されることを想定して、前記した各調質処理後2 カ月間 (60日間) の室温時効後の、圧延方向に対し0 °、45°、90°の各方向の平均のAS引張強度( σB 、MPa)、耐力 (σ0.2 、MPa)および伸び (δ、%)を測定した。これらの結果を表1 に示す。
【0039】
なお、耐力、伸び測定のための引張試験はJIS Z 2201にしたがって行うとともに、試験片形状はJIS 5 号試験片で行った。また、クロスヘッド速度は5mm/分で、試験片が破断するまで一定の速度で行った。
【0040】
また、前記室温時効した供試板を、Al合金板積層時を模擬した、図5 に示す引き抜き試験装置を用い、耐疵付き性を評価した。これらの結果も表1 に示す。図5 に示す引き抜き試験装置の試験条件は、前記供試板を同図の2 に示すような試験片形状(30mm 幅×200mm 長さ) に切り出し、パネル表面となる板の表面2a側を、Al合金板積層時のAl合金板同士の接触よりもより厳しい条件とするために、表面を鏡面処理した鋼製矩形治具3a、3bにより、0.2kgf(1.96Ma)/mm2の押さえ面圧ではさみ付け、引き抜き速度500mm/分で、潤滑無しに図の上方向に引き抜いた後の、板の表面2a側の疵発生状態を評価した。
【0041】
疵発生状態評価は目視で行い、両表面側とも、微細あるいは大きな表面疵が全くなく、元の良好な表面状態が維持されていたものを○、いずれかの表面側あるいは両面に微細な表面疵が小さく部分的についていたものを△、いずれかの表面側あるいは両面に、大きな表面疵がついていたものを×として評価した。
【0042】
更に、前記室温時効した供試板を、自動車パネルとしてプレス成形されることを模擬して、張出成形試験を行い、張出成形性を評価した。これらの結果も表1 に示す。
【0043】
張出成形試験の条件は、前記供試板 (ブランク) を、中央部に一辺が300mm で高さが30mmと高い角筒状の張出部と、この張出部の四周囲に平坦なフランジ部 (幅30mm) を有するハット型のパネルに、メカプレスにより、ビード付き金型を用いて張出成形した。
【0044】
張出成形試験は、しわ押さえ力は49kN、潤滑油は一般防錆油、成形速度は20mm/ 分の同じ条件で行い、成形ハット型パネルの張出部角部など、成形品に割れがなく正常に成形できた例を〇、割れが生じて成形できなかったものを×として評価した。これらの結果も表1 に示す。
【0045】
また、鮮映性の評価は、前記張出成形試験による成形品 (パネル) に、洗浄後、同一条件でリン酸亜鉛処理、塗装処理を行った。リン酸亜鉛処理は、リン酸チタンのコロイド分散液による処理を行い、次いでフッ素を50ppm 含むリン酸亜鉛浴に浸漬してリン酸亜鉛皮膜を成形材表面に形成した。塗装処理は、カチオン電着塗装を行った後に、現状汎用されている条件である170 ℃×20分の焼き付けを行う塗装を施した。
【0046】
そして、これら塗装成形品外観を室内照明の中で照明に対し角度を種々変えて目視観察し、成形品全体で鮮映性が均一と認められるものを○、成形品に部分的に凹凸状に見える部分が存在する場合を×として評価した。これらの結果も表1 に示す。
【0047】
表1 から明らかな通り、中心線平均粗さRaが0.6 μm 以上であるとともに、ピークカウントが10山以上である発明例1 〜6 は、耐疵付き性に優れている。この結果は、実際のAl合金板積層時における疵発生を十分抑制できることを示している。
【0048】
そして、発明例1 〜6 は前記室温時効後でも張出成形性に優れている。前記張出成形の試験条件と評価は、自動車アウタパネルなどの大型パネルなど、実際の厳しい加工条件での張出成形性の評価につながるものである。したがって、発明例1 〜6 は、実際の張出成形や絞り成形などのプレス成形で、張出高さや張出面積などが大型化しても、張出成形性が優れ十分加工できることを示している。
【0049】
更に、発明例1 〜6 は鮮映性にも優れ、耐疵付き性改善のために、これら鮮映性や成形性を阻害していないことが分かる。なお、前記した通り、通常はRaが大きくなると鮮映性は低下する。しかし、各発明例はRaが大きくても、ピークカウント数 (山の数) が多く、前記した山のピッチが細かいため、塗装時にAl合金板表面の凹凸が減少して、鮮映性が改善されている 。ただ、同じ6000系合金同士の比較において、ピークカウントが14と下限値に近い発明例2 、あるいは 中心線平均粗さRaが0.61と下限値に近い発明例3 は、これらがいずれも比較的高い発明例1 に比して、耐疵付き性が若干劣っている。したがって、後述する比較例と合わせて、中心線平均粗さRaとピークカウントとの臨界的な意義が分かる。
【0050】
これに対し、比較例7 〜12は、いずれも、中心線平均粗さRaが0.6 μm 未満であるか、ピークカウントが10山未満であり、本発明範囲を外れている。特に、比較例7 、11、12は、中心線平均粗さRaが0.6 μm 以上と条件を満たすが、ピークカウントが10山未満であり、発明例に比して耐疵付き性が劣っている。したがって、耐疵付き性に対するピークカウントの大きな影響が裏付けられる。また、中心線平均粗さRaが比較的大きく、ピークカウントが10山未満である比較例7 、9 、11、12は鮮映性が劣っている。したがって、ピークカウントが10山未満であるものの、Raが0.31と小さく、鮮映性が良い比較例 8の結果と合わせて、前記した鮮映性に対するピークカウントの大きな影響が裏付けられる。
【0051】
【表1】
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、Al合金板の塗装鮮映性やプレス成形性などの特性を阻害せずに、Al合金板の積層時の耐疵付き性を高めたAl合金板を提供することができる。しかも、このAl合金板を従来の板製造工程を大きく変更せずに製造することができる。したがって、Al合金板のパネル成形用途 (自動車、船舶あるいは車両などの輸送機、家電製品、建築、構造物のパネル構造体など) への拡大を図ることができる点で、多大な工業的な価値を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るピークカウントの測定方法を示し、図1(b)は本発明測定方法、図1(a)、(c) は比較測定方法を示す説明図である。
【図2】本発明のピークカウント規定による疵発生抑制機構を示す説明図である。
【図3】比較例のピークカウントと表面凹凸との関係を示す説明図である。
【図4】中心線平均粗さ(Ra)と表面凹凸との関係を示す説明図である。
【図5】耐疵付き性の試験装置を模式的に示す斜視図である。
【符号の説明】
1:Al合金板、A:粗さ曲線、B:凸部、C1: 粗さ曲線の中心線、
C2、C3: ピークカウントレベル、
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐疵付き性に優れたアルミニウム合金板(以下、アルミニウムをAlとも言う)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、自動車、船舶あるいは車両などの輸送機、家電製品、建築、構造物のパネル構造体 (パネル材) として、パネル成形性に優れたAl−Mg 系のAA乃至JIS 規格でいう5000系や、成形性や焼付硬化性に優れたAl−Mg−Si系のAA乃至JIS 規格でいう 6000 系 (以下、単に5000系乃至6000系と言う) のAl合金板 (Al合金圧延板) が使用されている。
【0003】
ただ、これらのAl合金板は、Al合金板自体の製造工程や、パネル構造体への成形加工工程において、切り板として互いに積み重ねられた場合や、コイル化されて互いに積層された場合などに、Al合金板同士の摩擦により、表面に微細な疵がつきやすい。例えば、自動車のボディーパネルなどでは、Al合金板をプレス成形後に、脱脂、エッチングなどの前処理が施され、焼き付け塗装されるが、前記微細な疵があると、その疵部分が逆に塗装後に強調されたりして、ボディーパネルとしての商品価値を損なわせる。
【0004】
この表面疵に対しては、Al合金板表面に潤滑油や防錆油などを塗布するか、Al合金板同士の間にスペーサを敷くなどの汎用手段によって解決可能な場合もある。しかし、上記工程や工程条件によっては、これら汎用手段でも解決できない場合もある。また、これら汎用手段自体が採用できない場合も有り、これら汎用手段の採用が、工程の効率を著しく阻害する場合も多い。
【0005】
このため、Al合金板表面自体を傷つきにくいものとすることが望まれる。この点、Al合金板の表面粗度を細かくした場合に疵が生じやすいため、Al合金板の表面粗度を中心線平均粗さRaで0.75μm 以上と比較的粗くすることが一般的である。ただ、このように、Al合金板の表面粗度を粗くしても、条件によっては、Al合金板の積層時 (パイリング時) に疵が発生しやすい。
【0006】
また、Al合金板の表面は、塗装鮮映性、プレス成形性などの基本特性に大きな影響が有り、単に傷つきにくいものとする訳にはいかない。実際に、これら塗装鮮映性やプレス成形性を向上させるために、従来から、ダル仕上げなど、Al合金板表面粗度の制御が行なわれている。
【0007】
これに対し、上記基本特性を阻害せずに、耐疵付き性を高める技術として、Al合金板の表面粗度の内から、特定の凹凸要素を制御することが提案されている。より具体的には、塗装鮮映性を阻害せずに耐疵付き性を高めるために、亜鉛系めっきを施したAl合金板の表面の規則正しい凹凸の内、凸部頂面の大きさ、凹凸差、凸部ピーク間距離、凹部面積を制御することが提案されている (例えば特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平6−210304号公報 (1 〜2 頁、図6)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特許文献の手段では、Al合金板の積層時 (パイリング時) の疵発生に対し、必ずしも効果的ではない。上記特許文献1は、本発明で意図する、Al合金板の積層時の疵発生も意図しているものの、主として意図するのは、プレス成形時に生じる疵の防止である。しかも、疵発生防止の直接の対象としているのは、表面に亜鉛系めっきを施したAl合金板であり、裸のAl合金板ではない。また、その耐疵付き性の評価も、実施例においては、種々の亜鉛系めっきを施したAl合金板を対象とし、鋼製のダイス、ポンチと接触することを想定した、鋼製のポンチによる引き抜き加工試験により評価している。
【0010】
本発明で意図する、Al合金板の積層時において、本発明で意図するめっきを施さないAl合金板表面と、上記特許文献1で意図する亜鉛系めっきを施したAl合金板表面との挙動は全く異なる。Al合金板の積層時において、めっきを施さないAl合金板同士の接触は、酸化皮膜を含めたAl合金素地表面同士である。これに対し、亜鉛系めっきを施したAl合金板同士の接触は、亜鉛系めっき皮膜同士であるためである。
【0011】
したがって、Al合金板の塗装鮮映性やプレス成形性などの特性を阻害せずに、Al合金板表面の粗度なり凹凸なりを制御して、めっきを施さない、言い換えると、酸化皮膜を含めたAl合金素地表面同士が直接接触するようなAl合金板積層時の耐疵付き性を高めることは、これまで、結構難しい技術課題であった。
【0012】
本発明はこの様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、Al合金板の塗装鮮映性やプレス成形性などの特性を阻害せずに、Al合金板の積層時などの耐疵付き性を高めたAl合金板を提供しようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明の耐疵付き性に優れたアルミニウム合金板の要旨は、アルミニウム合金板表面の粗さをJIS B0601 に規定された表面粗さ測定法により測定した際の、中心線平均粗さRaが0.6 μm 以上であるとともに、ピークカウントが10山以上であることとする。
【0014】
本発明で言う上記ピークカウントとは、図1(b)に示す通り、アルミニウム合金板表面の粗さ曲線の中心線C1に対し、ピークカウントレベル(h) で2.0 μm 離して、中心線C1の上方に、中心線C1に平行な上側ピークカウントレベルC2を設けた際の、上側ピークカウントレベルC2と粗さ曲線A とが交叉する点が2 回存在する時 (凸部B1、B2など) を各々1 山としてカウントした際の、基準長さL が8.0mm における、合計カウント数を言う。
【0015】
JIS B0601 に規定されたピークカウントの測定方法は、図1(a)、(b) 、(c) に各々示す通り、3 つの種類がある。図1(a)、(b) 、(c) の測定方法は、同じAl合金板表面の粗さ曲線A の中心線C1に対し、ピークカウントレベルで2.0 μm 離して、中心線C1の上方あるいは下方に、中心線C1に平行な2 本のピークカウントレベルC2、C3をいずれかまたは各々設ける点では、いずれの方法も共通している。また、ピークカウントレベルC2、C3と粗さ曲線A とが交叉する点を基準として、凹凸が形成する山を 1山としてカウントする点も共通している。
【0016】
但し、図1(a)、(b) 、(c) の測定方法は、上記山のカウント方法が互いに異なる。即ち、図1(a)では、上方と下方のピークカウントレベルC2、C3と粗さ曲線A とが交叉する2 点間において、各々のピークカウントレベルC2、C3と粗さ曲線A が交叉する点が1 回以上存在する時を1 山としてカウントする。このため、粗さ曲線A に二つの凸部B1、B2が存在しても、凸部B2が下方のピークカウントレベルC2と交叉していないため、2 山とはカウントされず、1 山としてカウントする。このため、カウントされる山の数は、本発明の図1(b)の測定方法に比して、少なめとなる。
【0017】
また、図1(c)では、上方のピークカウントレベルC2を用いず、下方のピークカウントレベルC3のみを用いて、下方のピークカウントレベルC3と粗さ曲線A とが交叉する2 点間において、各々のピークカウントレベルC2、C3と粗さ曲線A が交叉する点が2 回存在する時を1 山としてカウントする。このため、カウントされる山の数は、本発明の図1(b)の測定方法に比して、やはり少なめとなる。
【0018】
ここで、本発明者らの知見によれば、表面粗さの種々の要素の内でも、上記特定のピークカウントが、酸化皮膜を含めたAl合金素地表面同士が直接接触するようなAl合金板積層時の耐疵付き性に大きく影響する。
【0019】
上記特定のピークカウントとは、Al合金板表面の凹凸によって形成される、一定以上の大きさ (高さ) の山の数である。即ち、図1 における、粗さ曲線A における一定以上の大きさを有する二つの凸部B1、B2などの数である。
【0020】
このピークカウント数が少ないと、1 山当たり (1 凸部当たり) の頂部の面積が大きくなり、Al合金素地表面同士の接触面積が大きくなるため、接触抵抗が増して、Al合金板積層時の疵が発生しやすくなる。このため、本発明では、ピークカウント数を多くして、1 山当たり (1 凸部当たり) の頂部の面積を小さくして、Al合金素地表面同士の接触面積を小さくし、接触抵抗を減らして、Al合金板積層時の疵発生を抑制する。
【0021】
前記図1 において、粗さ曲線A における一定以上の大きさを有する二つの凸部B1、B2の存在は、ピークカウントとして、各々がAl合金板積層時の疵の発生に影響する。したがって、これらの凸部B1、B2を各々1 山と独立してカウントできる図1(b)の測定方法の方が、凸部B1、B2を1 山としてまとめてカウントしてしまう図1(a)、図1(c)の測定方法よりも、精度良く、Al合金板積層時の疵発生に対応することとなる。したがって、本発明では、上記ピークカウントとして、図1(b)の測定方法を採用した。
【0022】
なお、上記中心線平均粗さRaも、JIS B0601 に規定されるように、Al合金板表面の凹凸の大きさや数を表す。ただ、Raはあくまで凹部も含めた凹部と凸部の大きさである。したがって、Raは、Al合金板積層時の疵の発生に影響しない、凹部や極く小さな凸部を含め、影響する凸部B1、B2のような大きな山を含めた平均的なものである。このため、上記中心線平均粗さRaは、後述する通り、本発明で規定するピークカウントを満足するために前提として必要ではあるものの、上記図1(a)、図1(c)の測定方法よりも更に、Al合金板積層時の疵発生への対応はあいまいとなり、直接の尺度とはなり難い。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明では、先ず、パネルとして必要なAl合金板の鮮映性を確保するために、Al合金板表面の粗さをJIS B0601 に規定された表面粗さ測定法により測定した際の、中心線平均粗さRaを0.6 μm 以上とする。また、これによって、Al合金板積層時の疵の発生を抑制するための前提となる、表面粗さを確保する。
【0024】
このRaが0.6 μm 未満であれば、Al合金板の表面粗さが細かくなり、鏡面状態となる。このため、特に、焼き付け塗装した際のアウタパネル (外板) としての美観上必要な鮮映性は向上するものの、潤滑性が低下して、パネルへの成形性に悪影響を及ぼす。また、更に重大には、本発明で規定するピークカウント数を満たせなくなり、Al合金板積層時の疵の発生を抑制できなくなる。
【0025】
本発明では、更に、Al合金板積層時の疵の発生を抑制するために、前記ピークカウントを10山以上とする。前記ピークカウントが10山未満であれば、Al合金素地表面同士の接触面積が大きくなるため、接触抵抗が増して、Al合金板積層時の疵が発生しやすくなる。また、通常は前記Raが大きくなるとAl合金板の鮮映性は低下する。しかし、本発明では、このRaが大きくても、ピークカウント数が多いため、即ち、一定以上の大きさ (高さ) の山の数が多く、山のピッチが細かいため、塗装時にAl合金板表面の凹凸が減少して、鮮映性が改善される( 低下することがない) 。
【0026】
本発明のピークカウント規定による疵発生抑制機構を、図2 、3 、4 を用いて以下に具体的に説明する。前記した通り、本発明で言うピークカウントとは、Al合金板表面の凹凸によって形成される、一定以上の大きさ (高さ) の山の数である。図2 は本発明のAl合金板表面のピークカウントと山 (凹凸) の状態を模式的に示す。また、比較のために、図3 にピークカウントが少な過ぎる場合と、図4 に中心線平均粗さRaが小さい場合とを、Al合金板表面の山 (凹凸) の状態で模式的に示す。
【0027】
本発明では、前記ピークカウントを10山以上として、図2 に三角形の連なりで模式的に示すピークカウント数を多くして、その下にB1、B2、B3で示す、Al合金板表面の高さh1の山 (実際の凹凸) のピッチを小さくするとともに、板同士の接触後 (板積層時) の1 山当たり (1 凸部当たり) の頂部の面積を小さくする。そして、Al合金素地表面同士の接触面積を小さくし、接触抵抗を減らして、Al合金板積層時の疵発生を抑制する。
【0028】
一方、前記ピークカウントが10山未満で、図3 に三角形の連なりで模式的に示すピークカウント数が少ないと、その下にB1、B2で示す、Al合金板表面の高さh2の山 (凹凸) のピッチが大きくなり、かつ、板同士の接触後の1 山当たり (1 凸部当たり) の頂部の面積が大きくなり、Al合金素地表面同士の接触面積が大きくなるため、接触抵抗が増して、Al合金板積層時の表面疵が発生しやすくなる。
【0029】
これは、上記中心線平均粗さRaでも同様であって、図4 に三角形の連なりで模式的に示すRaが小さいと、その下にB1、B2、B3で示す、Al合金板表面の高さh3の1 山当たり (1 凸部当たり) の頂部の面積が、板同士の接触後はやはり大きくなり、Al合金素地表面同士の接触面積が大きくなるため、接触抵抗が増して、Al合金板積層時の表面疵が発生しやすくなる。
【0030】
ここで、本発明で言うAl合金板とは、熱延 (熱間圧延上がり) 板、冷延 (冷間圧延上がり) 板などの、調質処理 (熱処理) 前の状態の板や、調質処理後の板のことを言い、コイル、切り板、などの適宜の形状状態を含む。また、この調質処理も、溶体化および焼き入れ処理、時効処理、焼鈍処理、などの任意の熱処理を施された板を含む。
【0031】
また、Al合金板表面の状態は、耐疵付き性が顕著に問題となる、表面処理の無い裸のAl合金板であって、積層の際に、Al合金板表面素地同士が直接接触する際に生じる疵が問題となるようなAl合金板を対象とする。前記した特許文献1などのように、めっきなどの表面処理が施された場合には、積層の際には、表面処理層同士の直接接触が問題となる。この場合には、めっきなどの表面処理層自体の硬度などの特性や表面粗度などの表面特性が耐疵付き性に影響するため、母材であるAl合金板表面素地の影響は低下する。したがって、めっきなどの表面処理されたAl合金板では、本発明の表面規定に効果があるとは必ずしも限らない。また、めっきなどの表面処理されたAl合金板では、積層の際の疵発生は、裸のAl合金板に比して、著しく軽減される。ただ、本発明Al合金板は、裸のAl合金板以外にも、母材であるAl合金板表面素地の影響が大きい、言い換えると、本発明の表面規定の効果があるような、潤滑油や防錆油を付着させる、あるいはクロメート等の化成処理など、極く薄い表面処理を施したAl合金板には適用されて意味があり、本発明範囲に含みうる。
【0032】
更に、プレス成形など、適宜のパネル成形加工によってパネル化された板も含む。このパネル成形は、板をパネルに成形するための任意の成形方法を含み、張出、絞りなどのプレス成形や、ハット型曲げ加工や90度曲げ加工あるいはヘミング加工などを含む種々の曲げ成形、更に、常温での成形や高温での成形を含みうる。
【0033】
本発明Al合金板が対象とするAl合金は特に限定しない。言い換えると、Al合金種によらず、Al合金板積層時の耐疵付き性に効果がある。したがって、パネル用板として汎用される、純Al系の1000系、2000系、3000系、5000系、6000系、7000系などの種々のAl合金に適用できる。ただ、この中でも、自動車用のボディーパネル用など、比較的広幅乃至大きい表面積でパネル用板として汎用されて、積層時の疵がつきやすい、5000系、あるいは6000系Al合金に適用されて好適である。Al−Mg 系の5000系はパネル成形性に優れ、Al−Mg−Si系の6000系は、成形性や塗装焼付硬化性 (人工時効硬化性) に優れ、自動車などの自動車用のボディーパネル用に最適である。
【0034】
本発明におけるAl合金板の製造方法は、本発明で規定するAl合金板表面の粗さ制御以外は、常法により製造が可能である。例えば、所望Al合金成分規格範囲内に溶解調整されたAl合金溶湯を、連続鋳造圧延法、半連続鋳造法(DC鋳造法)等の通常の溶解鋳造法を適宜選択して鋳造する。次いで、このAl合金鋳塊に均質化熱処理を施した後、熱間圧延、または必要により更に (必要により中間焼鈍後) 冷間圧延 (必要によりパス間で中間焼鈍) により、コイル状あるいは板状の所望Al合金板の形状 (大きさ、面積) や板厚に加工される。
【0035】
本発明で規定するAl合金板表面の粗さ制御 (中心線平均粗さRa、ピークカウント数) は、ショットダルや放電加工ダル、あるいは、マイクロリソグラフィー法などを用いて、ロール表面に、本発明で規定する表面の粗さ (凹凸) を微細に設け、このロールにより冷間圧延する、あるいは熱間圧延や冷間圧延の後に、このロールによりスキンパス軽圧下圧延を行なうことで簡便に行なえる。
【0036】
【実施例】
次に、本発明の実施例を説明する。表1 に示すように、6000系の6022 (これのみAA規格、調質T4材) 、5000系の5182 (調質O 材) 、3000系の3004 (調質H32 材) 、1000系の1050 (調質O 材) の各Al合金冷間圧延板 (板厚1mm)を、マイクロリソグラフィー法あるいはショットダルなどにより、表面に所定の表面の粗さを種々微細に設けたロールによりスキンパス圧延を行ない、各Al合金冷間圧延板表面に表1 に示す、種々の表面粗さを設けた。
【0037】
これらAl合金冷延板表面の粗さは、上記各板 (冷延コイルから採取) から試験用の幅50mm×長さ50mmの供試板 (ブランク) を3 枚切り出し、JIS B0601 に規定された表面粗さ測定法に従い、Al合金板表面両面の、圧延方向と直角方向の中心線平均粗さRa (μm)の3 枚の供試板の平均値を測定した。また、前記図1(b)で示した測定法に従い、3 枚の供試板表面両面の圧延方向と直角方向の平均値でピークカウント数 (山数) を測定した。なお、これらの測定機は、株式会社小坂研究所製表面粗さ測定機 (サーフコーダSE−30D) を用い、触針はR2.0μm を用い、測定基準長さL は8.0mm 、送り速度0.5mm/秒、カットオフ値0.8mm とした。
【0038】
更に、上記各板 (冷延コイルから採取) から試験用の幅500mm ×長さ500mm の供試板 (ブランク) を複数枚切り出し、各調質処理後に十分室温時効したAl合金板がプレス成形されることを想定して、前記した各調質処理後2 カ月間 (60日間) の室温時効後の、圧延方向に対し0 °、45°、90°の各方向の平均のAS引張強度( σB 、MPa)、耐力 (σ0.2 、MPa)および伸び (δ、%)を測定した。これらの結果を表1 に示す。
【0039】
なお、耐力、伸び測定のための引張試験はJIS Z 2201にしたがって行うとともに、試験片形状はJIS 5 号試験片で行った。また、クロスヘッド速度は5mm/分で、試験片が破断するまで一定の速度で行った。
【0040】
また、前記室温時効した供試板を、Al合金板積層時を模擬した、図5 に示す引き抜き試験装置を用い、耐疵付き性を評価した。これらの結果も表1 に示す。図5 に示す引き抜き試験装置の試験条件は、前記供試板を同図の2 に示すような試験片形状(30mm 幅×200mm 長さ) に切り出し、パネル表面となる板の表面2a側を、Al合金板積層時のAl合金板同士の接触よりもより厳しい条件とするために、表面を鏡面処理した鋼製矩形治具3a、3bにより、0.2kgf(1.96Ma)/mm2の押さえ面圧ではさみ付け、引き抜き速度500mm/分で、潤滑無しに図の上方向に引き抜いた後の、板の表面2a側の疵発生状態を評価した。
【0041】
疵発生状態評価は目視で行い、両表面側とも、微細あるいは大きな表面疵が全くなく、元の良好な表面状態が維持されていたものを○、いずれかの表面側あるいは両面に微細な表面疵が小さく部分的についていたものを△、いずれかの表面側あるいは両面に、大きな表面疵がついていたものを×として評価した。
【0042】
更に、前記室温時効した供試板を、自動車パネルとしてプレス成形されることを模擬して、張出成形試験を行い、張出成形性を評価した。これらの結果も表1 に示す。
【0043】
張出成形試験の条件は、前記供試板 (ブランク) を、中央部に一辺が300mm で高さが30mmと高い角筒状の張出部と、この張出部の四周囲に平坦なフランジ部 (幅30mm) を有するハット型のパネルに、メカプレスにより、ビード付き金型を用いて張出成形した。
【0044】
張出成形試験は、しわ押さえ力は49kN、潤滑油は一般防錆油、成形速度は20mm/ 分の同じ条件で行い、成形ハット型パネルの張出部角部など、成形品に割れがなく正常に成形できた例を〇、割れが生じて成形できなかったものを×として評価した。これらの結果も表1 に示す。
【0045】
また、鮮映性の評価は、前記張出成形試験による成形品 (パネル) に、洗浄後、同一条件でリン酸亜鉛処理、塗装処理を行った。リン酸亜鉛処理は、リン酸チタンのコロイド分散液による処理を行い、次いでフッ素を50ppm 含むリン酸亜鉛浴に浸漬してリン酸亜鉛皮膜を成形材表面に形成した。塗装処理は、カチオン電着塗装を行った後に、現状汎用されている条件である170 ℃×20分の焼き付けを行う塗装を施した。
【0046】
そして、これら塗装成形品外観を室内照明の中で照明に対し角度を種々変えて目視観察し、成形品全体で鮮映性が均一と認められるものを○、成形品に部分的に凹凸状に見える部分が存在する場合を×として評価した。これらの結果も表1 に示す。
【0047】
表1 から明らかな通り、中心線平均粗さRaが0.6 μm 以上であるとともに、ピークカウントが10山以上である発明例1 〜6 は、耐疵付き性に優れている。この結果は、実際のAl合金板積層時における疵発生を十分抑制できることを示している。
【0048】
そして、発明例1 〜6 は前記室温時効後でも張出成形性に優れている。前記張出成形の試験条件と評価は、自動車アウタパネルなどの大型パネルなど、実際の厳しい加工条件での張出成形性の評価につながるものである。したがって、発明例1 〜6 は、実際の張出成形や絞り成形などのプレス成形で、張出高さや張出面積などが大型化しても、張出成形性が優れ十分加工できることを示している。
【0049】
更に、発明例1 〜6 は鮮映性にも優れ、耐疵付き性改善のために、これら鮮映性や成形性を阻害していないことが分かる。なお、前記した通り、通常はRaが大きくなると鮮映性は低下する。しかし、各発明例はRaが大きくても、ピークカウント数 (山の数) が多く、前記した山のピッチが細かいため、塗装時にAl合金板表面の凹凸が減少して、鮮映性が改善されている 。ただ、同じ6000系合金同士の比較において、ピークカウントが14と下限値に近い発明例2 、あるいは 中心線平均粗さRaが0.61と下限値に近い発明例3 は、これらがいずれも比較的高い発明例1 に比して、耐疵付き性が若干劣っている。したがって、後述する比較例と合わせて、中心線平均粗さRaとピークカウントとの臨界的な意義が分かる。
【0050】
これに対し、比較例7 〜12は、いずれも、中心線平均粗さRaが0.6 μm 未満であるか、ピークカウントが10山未満であり、本発明範囲を外れている。特に、比較例7 、11、12は、中心線平均粗さRaが0.6 μm 以上と条件を満たすが、ピークカウントが10山未満であり、発明例に比して耐疵付き性が劣っている。したがって、耐疵付き性に対するピークカウントの大きな影響が裏付けられる。また、中心線平均粗さRaが比較的大きく、ピークカウントが10山未満である比較例7 、9 、11、12は鮮映性が劣っている。したがって、ピークカウントが10山未満であるものの、Raが0.31と小さく、鮮映性が良い比較例 8の結果と合わせて、前記した鮮映性に対するピークカウントの大きな影響が裏付けられる。
【0051】
【表1】
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、Al合金板の塗装鮮映性やプレス成形性などの特性を阻害せずに、Al合金板の積層時の耐疵付き性を高めたAl合金板を提供することができる。しかも、このAl合金板を従来の板製造工程を大きく変更せずに製造することができる。したがって、Al合金板のパネル成形用途 (自動車、船舶あるいは車両などの輸送機、家電製品、建築、構造物のパネル構造体など) への拡大を図ることができる点で、多大な工業的な価値を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るピークカウントの測定方法を示し、図1(b)は本発明測定方法、図1(a)、(c) は比較測定方法を示す説明図である。
【図2】本発明のピークカウント規定による疵発生抑制機構を示す説明図である。
【図3】比較例のピークカウントと表面凹凸との関係を示す説明図である。
【図4】中心線平均粗さ(Ra)と表面凹凸との関係を示す説明図である。
【図5】耐疵付き性の試験装置を模式的に示す斜視図である。
【符号の説明】
1:Al合金板、A:粗さ曲線、B:凸部、C1: 粗さ曲線の中心線、
C2、C3: ピークカウントレベル、
Claims (4)
- アルミニウム合金板表面の粗さをJIS B0601 に規定された表面粗さ測定法により測定した際の、中心線平均粗さRaが0.6 μm 以上であるとともに、下記ピークカウントが10山以上であることを特徴とする耐疵付き性に優れたアルミニウム合金板。
但し、上記ピークカウントとは、アルミニウム合金板表面の粗さ曲線の中心線に対し、ピークカウントレベルで2.0 μm 離して、中心線の上方に、中心線に平行な上側ピークカウントレベルを設けた際の、上側ピークカウントレベルと粗さ曲線とが交叉する点が2 回存在する時を1 山としてカウントした際の、基準長さ8.0mm における合計カウント数を言う。 - 前記耐疵付き性が、アルミニウム合金板表面素地同士が直接接触する際に生じる疵に対するものである請求項1記載の耐疵付き性に優れたアルミニウム合金板。
- 前記アルミニウム合金板がパネル成形用である請求項1または2に記載の耐疵付き性に優れたアルミニウム合金板。
- 前記アルミニウム合金板が、5000系または6000系アルミニウム合金からなる請求項1乃至3のいずれか1項に記載の耐疵付き性に優れたアルミニウム合金板。
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