JP2004148252A - ダイノズル及びダイノズル設計方法 - Google Patents

ダイノズル及びダイノズル設計方法 Download PDF

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JP2004148252A JP2002318310A JP2002318310A JP2004148252A JP 2004148252 A JP2004148252 A JP 2004148252A JP 2002318310 A JP2002318310 A JP 2002318310A JP 2002318310 A JP2002318310 A JP 2002318310A JP 2004148252 A JP2004148252 A JP 2004148252A
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Tomohito Shimizu
智仁 清水
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Abstract

【課題】本発明は、ダイノズル巾方向コーティングギャップのばらつきが少ないダイノズル、及び該ダイノズルを設計するに際し高精度に巾方向膜厚均一性を予測可能なダイノズル設計方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のダイノズルは、巾方向に塗布液を分配せしめるマニホールドと、該塗布液をマニホールドからダイ先端に向かって押出す為のスロットとを有し、連続的にバックアップロールに支持され走行するウェブに液を塗布するためのダイを構成し、ダイ先端からの理論液吐出ばらつき:Qと、巾方向スロット開度ばらつき:Sσと、巾方向コーティングギャップばらつき:Gと、要求される巾方向膜厚ばらつき:S(±%)とが、下記(1)式で定められる関係を満足する。
【数1】
(±%)=Q+Sσ +G (1)
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチックフィルム、紙、金属箔等の可撓性支持体又は被塗布体、即ちウェブに、種々の塗料を塗布する為のダイを構成するダイノズル、及び該ダイノズルの設計方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
可撓性支持体であるウェブに塗布液を塗布する装置としては、各種装置が知られているが、これらの中で特に塗布液をスロットより押出すタイプの塗布装置としては、例えば、ダイ型塗布装置、スライドコート型塗布装置がある。
【0003】
上記ダイ型塗布装置においては、その巾方向の膜厚を均一にする方法として、従来より、スロットの塗布液吐出部分の開口巾をダイ巾方向に渡って膜厚が均一になるよう調節することが行われてきた。また、マニホールド形状を含むダイキャビティ(例えば、コートハンガー型マニホールドが挙げられる。)については、塗布液がダイノズル巾方向全巾に渡って均一に吐出されるように、ダイノズルを最適化設計したり、マニホールド内へ筒状体等を挿入することによりダイノズル巾方向の液吐出量分布を均一化することが行われてきた。
【0004】
また、例えば、特開平9−271702号公報(特許文献1)においては、マニホールド内に筒状体等を挿入することによりダイノズル巾方向の液吐出量分布を均一化する方法が提案されている。更に多くの文献において、巾方向膜厚均一性はダイキャビティ形状、スロット開口巾の加工精度によって決定されることが報告されている。かかる文献としては、例えばKistler and Schweizer著「LIQUID FILM COATING」CHAPMAN & HALL出版、1997年、p.735〜768(非特許文献1)が挙げられる。
【0005】
しかし、近年、特に巾方向膜厚均一性に関しては、非常に高い精度が要求されるようになった。その結果、前記スロット液吐出口の開口巾調節による方法では、多大な調整時間を必要とし、著しく生産性を低下させるという問題が発生した。
【0006】
一方、前記マニホールド形状を含むダイキャビティの場合には、ダイ巾方向の液吐出量が均一化されているにも関わらず、所望の膜厚均一性を上回る膜厚ばらつきが生じ設計通りの膜厚均一性が得られないという問題が発生した。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−271702号公報
【非特許文献1】
Kistler and Schweizer著「LIQUID FILM COATING」CHAPMAN & HALL出版、1997年、p.735〜768
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記問題点に鑑みて、ダイノズル巾方向コーティングギャップのばらつきが少ないダイノズル、及び該ダイノズルを設計するに際し高精度に巾方向膜厚均一性を予測可能なダイノズル設計方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討の結果、実際の塗布においては、ダイノズルリップ面先端からウェブの被塗布面までのギャップ、即ちコーティングギャップが、バックアップロールの撓み、ダイリップの加工真直度の影響を受け、ダイノズル巾方向のコーティングギャップが均一でなくなることを発見し、このコーティングギャップの不均一が巾方向膜厚均一性に影響することを突き止め、本発明に到達した。
本発明によれば、以下に示すダイノズル及びダイノズル設計方法が提供される。
〔1〕巾方向に塗布液を分配せしめるマニホールドと、該塗布液をマニホールドからダイ先端に向かって押出す為のスロットとを有し、連続的にバックアップロールに支持され走行するウェブに液を塗布するためのダイを構成するダイノズルにおいて、ダイ先端からの理論液吐出ばらつき:Qと、巾方向スロット開度ばらつき:Sσと、巾方向コーティングギャップばらつき:Gと、要求される巾方向膜厚ばらつき:S(±%)とが、下記(1)式で定められる関係を満足することを特徴とするダイノズル。
【数17】
(±%)=Q+Sσ +G (1)
但し、(1)式において、Qは下記(2)式で定められ、Sσは下記(3)式で定められ、Gは下記(4)式で定められる。
【数18】
Q=〔(巾方向最大吐出量−巾方向最小吐出量)/平均吐出量/2〕×100(2)
【数19】
σ=〔(巾方向最大スロットギャップ−巾方向最小スロットギャップ)/平均スロットギャップ/2〕×100 (3)
【数20】
G=G (4)
但し、(4)式において、巾方向コーティングギャップばらつき設計値:Gは下記(5)式で定められる。
【数21】
=〔(巾方向最大コーティングギャップ−巾方向最小コーティングギャップ)/平均コーティングギャップ/2〕×100 (5)
〔2〕前記巾方向コーティングギャップばらつき:Gが、巾方向コーティングギャップばらつき設計値:Gと巾方向コーティングギャップばらつき依存性:Ggとから下記(6)式によって定まることを特徴とする前記〔1〕に記載のダイノズル。
【数22】
G=G×Gg (6)
但し、(6)式において、巾方向コーティングギャップばらつき依存性Ggは、下記(7)式又は(8)式によって定められる。
【数23】
Gg=1(hF≧5) (7)
【数24】
Gg=0.3・hF−0.53(hF<5) (8)
但し、(7)(8)式において、hFはスロットギャップSをwet膜厚で除した値である。又、Ggは負の値をとらず、計算上Ggが負の値になる場合は0として扱う。
〔3〕巾方向に塗布液を分配せしめるマニホールドと、該塗布液をマニホールドからダイ先端に向かって押出す為のスロットとを有し、連続的にバックアップロールに支持され走行するウェブに液を塗布するためのダイを構成するダイノズルの設計方法であって、該ダイ先端からの理論液吐出ばらつき:Qと、巾方向スロット開度ばらつき:Sσと、巾方向コーティングギャップばらつき:Gと、要求される巾方向膜厚ばらつき:Sとが、下記(1)式を満足するように、ダイノズル内部形状、寸法、公差、ダイノズル先端リップ真直度を設計することを特徴とするダイノズル設計方法。
【数25】
(±%)=Q+Sσ +G (1)
但し、(1)式において、Qは下記(2)式で定められ、Sσは下記(3)式で定められ、Gは下記(4)式で定められ、Gは下記(5)式によって定められる。
【数26】
Q=〔(巾方向最大吐出量−巾方向最小吐出量)/平均吐出量/2〕×100(2)
【数27】
σ=〔(巾方向最大スロットギャップ−巾方向最小スロットギャップ)/平均スロットギャップ/2〕×100 (3)
【数28】
G=G (4)
但し、(4)式において、巾方向コーティングギャップばらつき設計値:Gは下記(5)式で定められる。
【数29】
=〔(巾方向最大コーティングギャップ−巾方向最小コーティングギャップ)/平均コーティングギャップ/2〕×100 (5)
〔4〕前記巾方向コーティングギャップばらつき:Gが、巾方向コーティングギャップばらつき設計値:Gと巾方向コーティングギャップばらつき依存性:Ggとから下記(6)式によって定まることを特徴とする請求項3に記載のダイノズル設計方法。

【数30】
G=G×Gg (6)
但し、(6)式において、巾方向コーティングギャップばらつき依存性:Ggは、下記(7)式又は(8)式によって定められる。
【数31】
Gg=1(hF≧5) (7)
【数32】
Gg=0.3・hF−0.53(hF<5) (8)
但し、(7)(8)式において、hFはスロットギャップSをwet膜厚で除した値である。又、Ggは負の値をとらず、計算上Ggが負の値になる場合は0として扱う。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は、連続的にバックアップロールに支持され走行するウェブに液を塗布するためのダイを構成するダイノズル、及び該ダイノズルの該設計方法を提供するものである。本発明の対象となるダイノズルは、巾方向に塗布液を分配せしめるマニホールドと、該塗布液をマニホールドからダイ先端に向かって押出す為のスロットとを有する。かかるダイノズルは、前述したように、近年、巾方向膜厚均一性に関して非常に高い精度が要求されるようになり、その要求特性を満たすためのダイノズルの設計方法が従来から開発されてきた。
【0011】
上記従来のダイノズル設計においては、巾方向スロット開度ばらつき(即ち、スロットギャップ加工精度、図1に示す。):Sσとダイ先端からの理論液吐出ばらつき(即ち、ダイ方向吐出精度、図1に示す。)Qとを制御因子として、ダイノズルの設計を行っていた。即ち、要求される巾方向膜厚ばらつき:S(±%)に対して、上記SσとQとが下記(9)式を満足するように、数値シミュレーション等を使ってダイノズル内部設計を行い、それに基づいて必要な巾方向スロット開度ばらつき(即ち、スロットギャップ加工精度、図1に示す。):Sσを設定していた。この方法は、ダイノズルより吐出した塗布液がそのままウェブに塗布されることを前提とするものである。従来は、このようにダイノズルより吐出した塗布液がそのままウェブに塗布されるとしてダイノズルの設計が行なわれてきた。
【0012】
【数33】
(±%)=Q+Sσ (9)
【0013】
但し、(9)式において、理論液吐出ばらつき:Qは下記(2)式により、巾方向スロット開度ばらつき:Sσは下記(3)式により定められる。
【数34】
Q=〔(巾方向最大吐出量−巾方向最小吐出量)/平均吐出量/2〕×100(2)
【数35】
σ=〔(巾方向最大スロットギャップ−巾方向最小スロットギャップ)/平均スロットギャップ/2〕×100 (3)
【0014】
しかし、実際に従来の上記設計方法にて設計されたダイノズルを用いて塗布液を塗布し、得られた塗布膜について巾方向膜厚ばらつきを測定したところ、設計値よりも実際の巾方向膜厚ばらつきが大きくなり、要求される巾方向膜厚ばらつき:Sが得られなかった。
【0015】
そこで、本発明者は、巾方向膜厚ばらつきに影響を与える因子を検討した結果、巾方向のコーティングギャップのばらつき:Gが重要であることに着目した。即ち、実際の塗布操作、条件では、一般的に塗布機の塗布巾は1mを超えるものが大半であり、それを考慮すると、前記バックアップロールの撓み、ダイ先端リップの巾方向加工真直度を10μm以下に加工することは非常に困難であり、これらに影響される巾方向のコーティングギャップ:Gばらつきが、得られる塗布膜の巾方向膜厚ばらつきに影響を与えることに着目した。
【0016】
かかる観点に基づき、巾方向コーティングギャップばらつき:Gが巾方向膜厚ばらつき:S(±%)に与える影響を調べる為に、図2に示すような、ダイノズルリップ面に深さ5μmと深さ10μmの凹部が形成されたダイノズルを作製し、該ダイノズルを用い、塗布条件(塗布液の粘度)、(塗布速度)、(スロットギャップ/Wet膜厚比)を変化させて塗布実験を行った。その塗布実験の結果、得られた代表例を図3(a)(b)に示す。図3(a)と図3(b)では、Wet膜厚のばらつきの均一性が大きく異なっている。即ち、図3(a)においては、ダイノズルリップ面の形状、即ち巾方向コーティングギャップばらつき:Gの影響がそのまま形成された膜厚(Wet膜厚)に現れているが、図3(b)においては、巾方向コーティングギャップばらつき:Gの影響が形成された膜厚(Wet膜厚)に現れていない。これは、塗布条件の違いにより現れる現象である。
【0017】
図3(a)と図3(b)に現れている相違がなぜ現れるかについては、現時点では明らかではないが、巾方向のコーティングギャップ:Gがばらつくことにより発生する塗布ビード部の巾方向圧力差を打ち消すように、塗布ビード部若しくはスロット内でダイノズル巾方向に液流動が発生することによるものと考えられる。
【0018】
このように、同一のダイノズルを用いた場合であっても、図3(a)と図3(b)のような相違が現れる理由は明らかではない。しかしながら、これらの結果に基づいて、ダイノズルを設計するに際し、巾方向スロット開度ばらつき(即ち、スロットギャップ加工精度):Sσとダイ先端からの理論液吐出ばらつき(即ち、ダイ方向吐出精度)Qに加えて、巾方向コーティングギャップばらつき:Gも制御因子として考慮しなければならないことが明らかになった。即ち、ダイ巾方向のコーティングギャップばらつき:Gの影響を因子としてダイノズル設計に採り入れることで、ダイ巾方向の膜厚:S(±%)ばらつきをより高精度に設計することが可能となることが明らかになった。尚、ダイ巾方向の膜厚:S(±%)に対して要求される精度は通常±1〜±10%である。但し、本発明はこの範囲に限定するものではない。
【0019】
本発明のダイノズル設計方法においては、ダイ先端からの理論液吐出ばらつき:Qと、巾方向スロット開度ばらつき:Sσと、巾方向コーティングギャップばらつき:Gと、要求される巾方向膜厚ばらつき:Sとが、下記(1)式を満足するように、ダイノズル内部形状、寸法、公差、ダイノズル先端リップ真直度を設計する。尚、通常Gは±1〜±10%、Sσは±0.5〜±5%、Sは±1〜±10%の範囲である。但し、本発明はこれらの範囲に限定するものではない。
【0020】
尚、ダイノズル内部形状とは、マニホールドやスロットの形状をいう。寸法とは、マニホールドやスロットの寸法をいう。公差とは、それぞれの加工精度をいう。ダイノズル先端リップ真直度とは、ダイの液吐出方向のリップ面の加工精度をいう。
【0021】
【数36】
(±%)=Q+Sσ +G (1)
【0022】
但し、(1)式において、Qは下記(2)式で定められ、Sσは下記(3)式で定められ、Gは下記(4)式で定められ、Gは下記(5)式によって定められる。
【数37】
Q=〔(巾方向最大吐出量−巾方向最小吐出量)/平均吐出量/2〕×100(2)
【数38】
σ=〔(巾方向最大スロットギャップ−巾方向最小スロットギャップ)/平均スロットギャップ/2〕×100 (3)
【数39】
G=G (4)
【0023】
但し、(4)式において、巾方向コーティングギャップばらつき設計値:Gは下記(5)式で定められる。
【数40】
=〔(巾方向最大コーティングギャップ−巾方向最小コーティングギャップ)/平均コーティングギャップ/2〕×100 (5)
【0024】
本発明のダイノズルの設計方法は、精度よくまた効率よく設計できることから、液流動シミュレーションによることが好ましい。但し、本発明の設計方法は液流動シミュレーションに限定するものではない。又、ダイノズル加工方法も特に限定するものではない。更にダイノズルの材質に関しても特に限定するものではない。
【0025】
本発明のダイノズルの設計方法は上述した方法に従って行われる。ここで、巾方向膜厚ばらつき:Sは、得られる塗布膜について要求される品質である。又、上記(1)式を満足させるためには、ダイ先端からの理論液吐出ばらつき:Qと、巾方向スロット開度ばらつき:Sσと、巾方向コーティングギャップばらつき:Gとを調整する必要がある。その具体的な手段としては、巾方向スロット開度ばらつき:Sσと、巾方向コーティングギャップばらつき:Gの調整は、加工精度を設定することにより行われ、ダイ先端からの理論液吐出ばらつき:Qの調整は、例えばダイ内部形状の設計や、塗布液の粘度を調整すること等によって行われる。
【0026】
本発明者は、前記図3(a)(b)に示した実験結果を始めとして、様々な条件下で行った実験結果を定量的に解析し、巾方向コーティングギャップばらつき依存性:Ggと、スロットギャップ:Sをwet膜厚で除した値hFとの間の関係を整理することにより、図4に示す結果を得た。
尚、図4における横軸はスロットギャップ/ウェット膜厚比:hFを示し、縦軸は巾方向コーティングギャップ依存性:Ggを示す。
【0027】
次に、上記巾方向コーティングギャップばらつき依存性:Ggの算出方法について本発明内に示した実験に基づき説明する。
巾方向コーティングギャップ依存性Ggは、下記(10)式により導かれる。
【数41】
Figure 2004148252
【0028】
(10)式中、hは下記(11)式によって導かれ、Gは下記(12)式によって導かれる。
【数42】
Figure 2004148252
【0029】
(11)式中、hは膜厚変化率を、hMAXは5μmあるいは10μm段差部によって形成されるコーティングギャップ部の膜厚を、hminは最小コーティングギャップ部の膜厚をそれぞれ現す。
【0030】
【数43】
Figure 2004148252
【0031】
(12)式中、Gはコーティングギャップ変化率を、GMAXは5μmあるいは10μm段差部コーティングギャップを、Gminは最小コーティングギャップをそれぞれ現す。
【0032】
図4から、スロットギャップ/ウェット膜厚比hFにより、巾方向コーティングギャップ依存性Ggが変化することが判る。この巾方向コーティングギャップ依存性Ggは、スロットギャップSをwet膜厚で除した値:hFに対する巾方向コーティングギャップばらつき:Gの変化の具合を表す指標である。
【0033】
具体的には、図4において、縦軸に現れるコーティングギャップばらつき依存性:Ggが「0」であれば、所謂トコロテン塗布であり、巾方向コーティングギャップのばらつきに影響を受けることがなく、形成された膜厚の巾方向膜厚ばらつきはダイの巾方向液吐出プロファイルによって決まることを意味する(図3(b)の結果に相当する。)。
【0034】
一方、コーティングギャップばらつき依存性:Ggが「1」であれば、塗布技術で言う、ナイフ塗工であり、巾方向コーティングギャップのばらつきがそのまま形成された膜厚の巾方向膜厚ばらつきとなって現れることを意味する(図3(a)の結果に相当する。)。
【0035】
また、実験データにばらつきが見られるものの、概ねスロットギャップ/ウェット膜厚比hFが5以上の領域においては巾方向コーティングギャップばらつき依存性は0.8〜1.0の間に漸近しており、概ねhF=5以下の領域においては、0.25〜0.35の傾きを持った1次直線で近似できることができる。
【0036】
かかる知見から、本発明のダイノズル設計方法においては、前記(1)における巾方向コーティングギャップばらつき:Gは、巾方向コーティングギャップばらつき設計値:Gと巾方向コーティングギャップばらつき依存性:Ggとから下記(6)式によって定めることが好ましい。
【0037】
【数44】
G=G×Gg (6)
【0038】
但し、(6)式において、巾方向コーティングギャップばらつき依存性:Ggは、下記(7)式又は(8)式によって定められる。
【数45】
Gg=1(hF≧5) (7)
【数46】
Gg=0.3・hF−0.53(hF<5) (8)
【0039】
但し、(7)(8)式において、hFはスロットギャップSをwet膜厚で除した値である。又、Ggは負の値をとらず、計算上Ggが負の値になる場合は0として扱う。
【0040】
次に、本発明のダイノズルについて説明する。該ダイノズルは、前述したダイノズル設計方法により得られたものであり、巾方向に塗布液を分配せしめるマニホールドと、塗布液をマニホールドからダイ先端に向かって押出す為のスロットとを有する。該ダイノズルは、連続的にバックアップロールに支持され走行するウェブに液を塗布するためのダイを好適に構成するものである。
【0041】
本発明のダイノズルにおいては、ダイ先端からの理論液吐出ばらつき:Qと、巾方向スロット開度ばらつき:Sσと、巾方向コーティングギャップばらつき:Gと、要求される巾方向膜厚ばらつき:S(±%)とが、下記(1)式で定められる関係を満足する。
【0042】
【数47】
(±%)=Q+Sσ +G (1)
【0043】
(1)式を満足するダイノズルは、方向膜厚均一性に関して高い精度が要求される場合であっても、その要求に容易に対応することができる。
但し、(1)式において、Qは下記(2)式で定められ、Sσは下記(3)式で定められ、Gは下記(4)式で定められる。
【0044】
【数48】
Q=〔(巾方向最大吐出量−巾方向最小吐出量)/平均吐出量/2〕×100(2)
【数49】
σ=〔(巾方向最大スロットギャップ−巾方向最小スロットギャップ)/平均スロットギャップ/2〕×100 (3)
【数50】
G=G (4)
【0045】
但し、(4)式において、巾方向コーティングギャップばらつき設計値:Gは下記(5)式で定められる。
【0046】
【数51】
=〔(巾方向最大コーティングギャップ−巾方向最小コーティングギャップ)/平均コーティングギャップ/2〕×100 (5)
【0047】
本発明のダイノズルにおいては、前記巾方向コーティングギャップばらつき:Gが、巾方向コーティングギャップばらつき設計値:Gと巾方向コーティングギャップばらつき依存性:Ggとから下記(6)式によって定まることが好ましい。
【0048】
【数52】
G=G×Gg (6)
【0049】
(6)式により定まる巾方向コーティングギャップばらつき:Gを用いた場合に(1)式を満足するダイノズルは、方向膜厚均一性に関してより高い精度が要求される場合であっても、その要求に容易に対応することができる。
但し、(6)式において、巾方向コーティングギャップばらつき依存性Ggは、下記(7)式又は(8)式によって定められる。
【0050】
【数53】
Gg=1(hF≧5) (7)
【数54】
Gg=0.3・hF−0.53(hF<5) (8)
但し、(7)(8)式において、hFはスロットギャップSをwet膜厚で除した値である。又、Ggは負の値をとらず、計算上Ggが負の値になる場合は0として扱う。
【0051】
【実施例】
次に、 次に、実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。
【0052】
塗布膜形成例1
下記条件で塗布を行い、塗布後サンプルの巾方向膜厚を測定した。
・塗布液 ポリビニルブチラール系樹脂液
・粘度:30mPa・s
・Wet膜厚:50μm
・塗布速度:25m/min
・スロットギャップ/Wet膜厚比:6
・塗布巾:300mm
・ウェブ:PETフィルム 厚さ50μm
【0053】
塗布膜形成例2
下記条件以外は塗布膜形成例1と同様に塗布を行った。
・粘度:70mPa・s
・塗布速度:20m/min
・スロットギャップ/Wet膜厚比:4.3
【0054】
塗布膜形成例3
下記条件以外は塗布膜形成例1と同様に塗布を行った。
・粘度:250mPa・s
・塗布速度:18m/min
・スロットギャップ/Wet膜厚比:3.3
【0055】
塗布膜形成例1〜3において形成された塗膜の巾方向膜厚を測定し、その測定値から巾方向膜厚ばらつきを求めた。結果を表1に示す。
【0056】
実施例1〜3
塗布膜形成例1〜3において、前記(1)式を用いて巾方向膜厚ばらつき:Sを計算した。結果を、表1に示す。尚、巾方向コーティングギャップばらつき:Gは、前記(6)式により求めた。
【0057】
比較例1〜3
塗布膜形成例1〜3において、従来用いられていた前記(9)式を用いて巾方向膜厚ばらつき:Sを計算した。結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
Figure 2004148252
【0059】
巾方向膜厚測定は次のように行った。
アンリツ製 K351Cを用い、塗布巾方向5mm間隔で6個所測定ウェブを含む総厚み測定後、メチルエチルケトンにて層をウェブよりハクリし、ウェブ厚みを測定し、総厚みからウェブ厚みを減じて求めた。幅方向の膜厚ばらつきは、下記(10)式により算出した。
【数55】
巾方向膜厚ばらつき(±%)=〔(最大膜厚−最小膜厚)/平均膜厚/2〕×100 (10)
【0060】
表1において、(9)式による従来の設計方法では、塗布膜形成例1〜3のいずれにおいても、巾方向膜厚ばらつき:Sが同程度の値となり、巾方向膜厚ばらつきの測定結果に対応していない。これに対し、前記(1)式、(6)式による本発明方法の設計方法では、塗布膜形成例1〜3において、巾方向膜厚ばらつき:Sが異なる値となり、しかも巾方向膜厚ばらつきの測定結果に対応している。従って、本発明方法によれば、高精度なダイノズル設計が可能となる。
【0061】
【発明の効果】
本発明においては、特定の計算式を用いてダイノズルを設計するので、従来のダイノズル設計方法とは異なり、高精度なダイノズル設計が可能となる。また、本発明のダイノズルを用いれば、従来のダイノズルとは異なり、連続的にバックアップロールに支持され走行するウェブに高精度の塗膜形成が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ダイノズル設計因子の説明図である。
【図2】本発明方法の検討実験に用いたダイノズルの説明図である。
【図3】検討実験結果の一例を示すグラフである。
【図4】検討実験結果を定量化したグラフである。
【符号の説明】
1 ダイノズル
2 バックアップノズル
3 ダイノズル先端リップ

Claims (4)

  1. 巾方向に塗布液を分配せしめるマニホールドと、該塗布液をマニホールドからダイ先端に向かって押出す為のスロットとを有し、連続的にバックアップロールに支持され走行するウェブに液を塗布するためのダイを構成するダイノズルにおいて、ダイ先端からの理論液吐出ばらつき:Qと、巾方向スロット開度ばらつき:Sσと、巾方向コーティングギャップばらつき:Gと、要求される巾方向膜厚ばらつき:S(±%)とが、下記(1)式で定められる関係を満足することを特徴とするダイノズル。
    Figure 2004148252
    但し、(1)式において、Qは下記(2)式で定められ、Sσは下記(3)式で定められ、Gは下記(4)式で定められる。
    Figure 2004148252
    Figure 2004148252
    Figure 2004148252
    但し、(4)式において、巾方向コーティングギャップばらつき設計値:Gは下記(5)式で定められる。
    Figure 2004148252
  2. 該巾方向コーティングギャップばらつき:Gが、巾方向コーティングギャップばらつき設計値:Gと巾方向コーティングギャップばらつき依存性:Ggとから下記(6)式によって定まることを特徴とする請求項1に記載のダイノズル。
    Figure 2004148252
    但し、(6)式において、巾方向コーティングギャップばらつき依存性Ggは、下記(7)式又は(8)式によって定められる。
    Figure 2004148252
    Figure 2004148252
    但し、(7)(8)式において、hFはスロットギャップSをwet膜厚で除した値である。又、Ggは負の値をとらず、計算上Ggが負の値になる場合は0として扱う。
  3. 巾方向に塗布液を分配せしめるマニホールドと、該塗布液をマニホールドからダイ先端に向かって押出す為のスロットとを有し、連続的にバックアップロールに支持され走行するウェブに液を塗布するためのダイを構成するダイノズルの設計方法であって、該ダイ先端からの理論液吐出ばらつき:Qと、巾方向スロット開度ばらつき:Sσと、巾方向コーティングギャップばらつき:Gと、要求される巾方向膜厚ばらつき:Sとが、下記(1)式を満足するように、ダイノズル内部形状、寸法、公差、ダイノズル先端リップ真直度を設計することを特徴とするダイノズル設計方法。
    Figure 2004148252
    但し、(1)式において、Qは下記(2)式で定められ、Sσは下記(3)式で定められ、Gは下記(4)式で定められ、Gは下記(5)式によって定められる。
    Figure 2004148252
    Figure 2004148252
    Figure 2004148252
    但し、(4)式において、巾方向コーティングギャップばらつき設計値:Gは下記(5)式で定められる。
    Figure 2004148252
  4. 該巾方向コーティングギャップばらつき:Gが、巾方向コーティングギャップばらつき設計値:Gと巾方向コーティングギャップばらつき依存性:Ggとから下記(6)式によって定まることを特徴とする請求項3に記載のダイノズル設計方法。

    Figure 2004148252
    但し、(6)式において、巾方向コーティングギャップばらつき依存性:Ggは、下記(7)式又は(8)式によって定められる。
    Figure 2004148252
    Figure 2004148252
    但し、(7)(8)式において、hFはスロットギャップSをwet膜厚で除した値である。又、Ggは負の値をとらず、計算上Ggが負の値になる場合は0として扱う。
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