JP2004148187A - 破砕用ビット - Google Patents

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Masaharu Amano
昌春 天野
Takanori Nagata
貴則 永田
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Abstract

【課題】被処理物の破砕に際しての耐摩耗性と耐衝撃性を一層向上させて、超硬体の機能をより有効にすることで大幅に寿命を延長できるようにされる破砕用ビットを提供する。
【解決手段】ビット本体2の先端部に形成される凹部6に超硬体8を装着して回転方向前側に硬質材料による肉盛溶接(硬質肉盛部9)してなる破砕用ビット1において、ビットの回転方向に対して超硬体8が、その基部後面(下半部8a)を傾斜面に形成されてビット本体2の軸芯Cよりも回転方向寄りでほぼ直交する向きで配置され、かつその超硬体8の上半部前面8cと側面8dが露出するようにしてビット本体2に装着されている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、産業廃棄物破砕用あるいは道路工事などの土工用に使用して耐久性を向上させた破砕用ビットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば解体家屋やその他廃材としての木材などを破砕するのに用いられる産業廃棄物破砕機は、その被処理廃棄物が供給される上方が開口するタブと、このタブの底部に配される多数の回転ハンマーと、これらハンマーに装着される多数のビットを備える構成とされ、前記ハンマーを回転させることによって、タブ内に供給される被処理廃棄物を破砕して機外に排出するようにされている。前記ハンマーに装着されるビットとしては、ビット本体の先端部に先端を弾丸状に尖らせた円柱状の超硬体を一軸上に挿入してろう付され、かつその超硬体の装着部の後方を取巻くようにして表面硬化を施した環体を配したものが用いられている(例えば、特許文献1参照)。あるいは、図11(a)に示されるように、超硬体52をきのこ状に形成してビット本体50の先端部に設けた穴51に超硬体基部53を挿入してろう付装着したものが知られている。
【0003】
また、本出願人の先願発明にかかるものとして、図11(b)に示されるように、ビット本体60の先端部に、ほぼ板状で将棋の駒型に形成された超硬体62をビットの回転方向に直交する向きとなるように設けられる切込み開口部61に嵌め込んでろう付配置し、その回転方向前側の先端部にぬすみ部63を形成して、そのぬすみ部63に高硬度材または超硬粒子分散材を混入してなる高硬度材にて肉盛溶接64されたものがある(特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特公平6−63414号公報
【特許文献2】
特開2000−342986号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記先行技術にあって、特公平6−63414号公報によって知られる破砕用ビットにおいては、図11(c)に示されるように、超硬体を支える部分の回転方向前側先端部a並びに両側先端部bに発生する摩耗が早く進行し、超硬体の支持部分における保持強度が不足して、その結果、超硬体が折損・脱落してビットの寿命が短くなってしまうという問題点がある。
【0006】
また、前記特開2000−342986号公報により提案される破砕用ビットは、前述のようなビットの問題点を解決するために提案されているものであるが、解体家屋やその他廃材など産業廃棄物を破砕処理する回転ハンマー式の破砕装置(産業廃棄物処理装置)に使用すると、超硬体62の前方に位置する構成材料(硬質材または超硬粒子分散材による肉盛溶接部64、およびビット本体60を構成する鋼)が超硬体62よりも早く摩耗して、図11(d)に示されるように、その前方部が露出する状態となる。その結果、超硬体62の前面露出基部aやその反対側の隅角部bに応力が集中する形状となり、被処理物中に例えば補強などに使用された金属製の部品や流木・掘り起こされた木の根などに付着している岩石が混入していることが多いと、破砕時におけるビットに対する衝撃力が大きくて、超硬体が破損してしまうという問題がある。したがって、先に述べた先行技術よりは改善されているものの耐久性においてさらに改良する必要がある。
【0007】
本発明は、前述のような状況に鑑みてなされたもので、被処理物の破砕に際しての耐摩耗性と耐衝撃性を一層向上させて、超硬体の機能をより有効にすることで大幅に寿命を延長できるようにされる破砕用ビットを提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
前述された目的を達成するために、本発明による破砕用ビットは、
ビット本体の先端部に形成される凹部に超硬体を装着して回転方向前側に硬質材料による肉盛溶接してなる破砕用ビットにおいて、
ビットの回転方向に対して前記超硬体が、その基部背面を傾斜面に形成されてビット本体の軸芯よりも回転方向寄りでほぼ直交する向きで配置され、かつその超硬体の上半部前面と側面が露出するようにしてビット本体に装着されていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明によれば、回転ハンマー式の破砕装置に用いて被処理物の破砕に際し、処理物から受ける衝撃力と処理物と擦れる速度が最も大きいビット先端部の回転方向前面に超硬体が露出した形態で位置しているため、耐摩耗性が著しく向上される。
【0010】
また、本発明では、ビット先端部の回転方向前面に超硬体が露出した形態で配置することにより、前述された先願発明のビットのように、回転方向前面が超硬体以外の材料、すなわち鋼と硬質肉盛材で構成されために、これら構成材料が超硬体より相対的に耐摩耗性が劣ることから、その超硬体を残す形で摩耗が進行して、図11(d)における符号aで示されるように超硬体とビット本体との境界部に隅部を形成され、この部分に応力集中が発生して、超硬体がこの位置から破損するというような現象を防止できる。すなわち、本発明では、早期に先願発明のビットのような応力集中部を形成することがなく、超硬体の折損を防止することができる。
【0011】
さらに、本発明のビットでは、前述の先願発明によるビットの耐衝撃性を向上させるため、前記超硬体をビット本体の軸芯から回転方向寄りに位置させて、かつその基部背面を傾斜面にされている。超硬体のヤング率はビット本体を構成する鋼の2〜3倍であるため超硬体はほとんど変形することがなく、超硬体に作用した負荷は超硬体底部の背面側の角、すなわち図11(b)における符号bで示される部分に集中することになる。また、ある程度磨耗が進行して前述の図11(d)で示されるように超硬体前面に応力集中部が形成された場合も、その超硬体はほとんど変形できないため、超硬体が折損するか否かは超硬体背面のビット本体の剛性に依存している。本発明によれば、超硬体をビット本体の軸心から回転方向寄りに位置させて、かつその基部背面を傾斜面にされるので超硬体の背後を受けるビット本体部分が厚肉になり強度が向上する。また、傾斜面を設けることによって、傾斜しない場合と比較して応力集中が軽減されるので、単に厚肉にした以上の強度向上の効果が得られる。
【0012】
前記発明において、ビット本体の先端部の回転方向背面側には、硬質材料による肉盛溶接部を形成されているのがよい。こうすると、超硬体の装着部背後の肉厚が増し、かつ摩耗が抑制され、超硬体背後を受けるビット本体部分を厚肉の状態で長時間維持するという効果を奏する。また、前記硬質材料による肉盛溶接部にはタングステンカーバイドを主体とする超硬粒が分散されているのが好ましい。こうすることによって、耐摩耗性をさらに向上させてビット本体の強度を維持させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による破砕用ビットの具体的な実施の形態につき、図面を参照しつつ説明する。
【0014】
図1には本発明にかかる破砕用ビットの一実施形態の全体斜視図(a)および超硬体の斜視図(b)が示され、図2にはビット要部の拡大縦断面図が、また図3にはビット要部に施されている肉盛溶接部の分布状態を表わす側面図(a)とそのb−b視図(b)が、それぞれ示されている。
【0015】
この実施形態の破砕用ビット1(以下、単にビット1という)は、図1に示されるように、取付軸部3の先端にフランジ部4を介してほぼ紡錘状に形成される頭部5が軸芯Cを一致させて設けられるビット本体2と、このビット本体2の前記頭部5の先端に形成される凹部6に挿入されてろう付固着される超硬体8とにより構成され、かつ前記頭部5からフランジ部4の所要表面に肉盛溶接された硬質肉盛部9が形成されている。なお、前記取付軸部3の後部はねじ軸3aにされ、破砕装置のハンマーにナットにて締結固着されるようになっている。
【0016】
前記ビット本体2の頭部5の先端に超硬体8を挿入される凹部6は、図2に示されるように、軸芯Cより使用時における前面側(フランジ部4の一部を削がれた形状となっている側、以後この向きを基準として前後左右の方向をいう)に片寄せて全幅にわたって所要の深さ寸法に切込まれており、その内部後側面のほぼ下半(本発明の基部背面に対応)を前向きの傾斜面6a(下半部)に形成されている。
【0017】
前記超硬体8は、図1(b)に示されるように、外観が将棋の駒のような形状で、前記ビット本体2の凹部6内に装着されると頭部5の外周面にほぼ合致するように形成されている。したがって、超硬体8の後面側下半部8aは、斜め内向きの傾斜面にされ、頂部8bを小さな曲率の曲面にして、この頂部8bから両側を二段に傾斜させてビット本体2の頭部5の側面とほぼ合致するようにされ、かつ前面の上半部8cから両側に向った部分8d、8dが同様に頭部5の表面から露出するように形成されている。なお、ビット本体2のフランジ部4には切欠き部4aが設けられていて、この切欠き部4aによってビット1を破砕装置のハンマーへの装着時の向きを合わせられるようになっている。
【0018】
また、前記ビット本体2の頭部5からフランジ部4の外面には、図3(a)(b)に斜線でもって表わされる部位に、超硬粒子を分散させた硬質材料による肉盛溶接されてなる硬質肉盛部9が設けられている。これをより具体的に説明すれば、超硬体8が露出する部分を除いて頭部5の前面部5aから両側および後面部5bとフランジ部4の表面全体とに、頭部5の円柱部分5dの前面側以外の部分を除いて前記硬質肉盛部9が形成される。なお、前記超硬粒子としては、タングステンカーバイドを主体とする超硬粒を分散させて肉盛溶接を施すのが好ましい。
【0019】
このように構成されるビット1は、たとえば図4(a)(b)によって示されるような木材破砕機10において使用される。
【0020】
この実施形態の木材破砕機10は、装軌式の走行体11の上方に旋回自在に旋回基台12が設けられ、この旋回基台12上の前部に破砕機本体13が搭載されるとともに、後部にエンジンおよび駆動伝達機構が搭載されている。また、破砕機本体13の下方には旋回基台12に第1コンベア14の基端部が支持され、この第1コンベア14の先端部には、第2コンベア14aの基端部が上下方向に回動自在に軸支されている。ここで、第1コンベア14の先端部は、旋回基台12に固定されたオーバーハングビーム15と吊りビーム15’により支持されている。また、第2コンベア14aは、その基端部に固定されるアーム16と前記第1コンベア14の先端部に枢支されるリンク16’と、これらアーム16およびリンク16’の各他端を連結するピン16aとオーバーハングビーム15との間に装架される油圧シリンダ17とによって、前記第1コンベア14に対して揺動・折畳み可能とされている。
【0021】
前記破砕機本体13においては、飛散防止カバー18付きで上部開口状の回転式タブ19と、このタブ19の底部に配されるテーブル19’とが設けられ、このテーブル19’の開口部内に回転ハンマー式破砕装置20が配置されている。
【0022】
図5には、回転ハンマー式破砕装置の平面図が示され、図6(a)には図5のA−A視断面図が、図6(b)にはビットの配列状態を示す図が、それぞれ示されている。
【0023】
これらの図に示されるように、回転ハンマー式破砕装置20は、モータにより回転駆動される駆動軸23と、この駆動軸23に沿って配される複数枚の円形のプレート21と、これらプレート21を所定間隔に保持するハブ21aとを備えて、各プレート21に複数個のハンマー22が揺動自在に枢支され、各ハンマー22にはハンマービット(ビット1)がその回転方向に対して若干傾斜して取り付けられて、駆動軸23の回転によってスクリーン24(多数の孔が開いたプレート)の内側で矢印B方向(図6(a)参照)に回転され、この回転時にスクリーン24とビット1との協働によってタブ内に投入された被処理物としての木材が破砕されるようになっている。破砕物はスクリーン24の開口サイズよりも小さくなったときに、そのスクリーン24の開口部から下方へ落下する。なお、落下した破砕物は第1コンベア14および第2コンベア14aによって機外に搬出される。
【0024】
前記ハンマー22に装着されるビット1は、この破砕操作に際して被処理物と接して、まず激しく当接する先端前面部5aには超硬体8の前面部分8cが露出しており、しかもその前下部から両側に掛けて超硬粒子を分散させた硬質材の肉盛溶接にてなる硬質肉盛部9が配されているので、ビット1の頭部5が被処理物と最初に接触する前側先端部分では超硬体8の前面露出部分(前面部分8c)が激しく接触し、続いてその前面下半部の硬質肉盛部9が接触してスクリーン24内壁に被処理物を押し付けるようにして破砕力が加えられる。しかし、このビット1では、このような高負荷が直接加えられる動作を繰り返しても、前述のように頭部5の前面部5a側には耐摩耗性を備えた部材(硬質肉盛部9)が配されているので容易に摩滅することがない。
【0025】
また、頭部5に装着される超硬体8は、その装着されている凹部6が軸芯Cより前寄りに大きく開口するようにして、その凹部6の後側面側が下半部を前側に傾斜する面にされて超硬体8の後面側下半部8aを受け止める部分で厚肉にされて後面下部に作用する応力集中が分散され、さらに頭部5の後面を、超硬粒子を分散させた硬質材による硬質肉盛部9で覆うようにされているので、当該部分の耐摩耗性が高められて頭部5の構成材が簡単に摩耗しない。そのために、大きな衝撃を受けてもそれに対向する保持力が確保される。その結果、耐久性が高められ、前記特開2000−342986号公報によって提案された従来のビットに較べて格段の耐久性向上が認められた。
【0026】
本実施形態のビットの耐久性を確認するために、本実施形態のビット1と前記従来型のビット(先出願によるビット並びに公知の他のビット)との比較耐久テストを、図7(a)ビットの配置図に示されるように、公知の破砕装置(回転ハンマー式破砕装置)に、図7(b)ビットの配列図で示されるように、本実施形態のビットAに対して先出願によるビットBと他の公知のビットCとを配列して行った。
【0027】
この比較テストでは、家屋解体廃材を破砕処理するのに用いられた。稼働時間は、159時間で、その稼働後の比較結果は、次の表1に示されるようなものであった。
【0028】
【表1】
Figure 2004148187
【0029】
このテスト結果によれば、公知のビットCは以下のように摩耗する。ビットCは超硬体の全周がビット本体(鋼で構成される)に埋め込まれろう付けされている。ビット本体の表面全周には高クロム鋳鉄肉盛材が施されている。ビット本体(鋼)と高クロム鋳鉄肉盛材は超硬体に比べると耐摩耗性が著しく劣る。そのため被処理物との衝突・擦れが激しいビットの回転方向前面と側面は、超硬体を残す形で高クロム鋳鉄肉盛材が摩滅してなくなり、次いでビット本体(鋼)が摩耗した。その結果、超硬体を支えるビット本体とのろう付け部は僅かとなり、早期に超硬体が脱落した。超硬体が脱落するとビット頭部は一気に摩滅した。6本のテスト品のうち4本がこのような態様で使用不可の状態であった。
【0030】
また、先願によるビットBは、板状で将棋の駒型に形成された超硬体をビットの回転方向に直交する向きとなるように設けられた切込み開口部に嵌め込んでろう付け配置され、その回転方向前側に超硬粒を分散した肉盛材を施したものである。このビットBの場合、超硬体がビット側面に露出しているため、ビットCのように側面が早期摩耗することはなかった。したがって、超硬体を支えるビット本体とのろう付け部は、少なくとも超硬体背面部がほぼ完全に維持されるため、ろう付け強度の低下による超硬体の脱落はまったく発生しなかった。超硬粒を分散した肉盛材は超硬体に比べると耐摩耗性が劣るため、ビットCと同様にビットの回転方向前面は超硬体を残す形で摩耗したが、高クロム鋳鉄肉盛材に対して2〜3倍の耐摩耗性を持っているのでビットCより摩耗速度が小さかった。また、ビットBの場合、摩耗が進行すると超硬体前面の上半分が露出した状態となり、超硬体前面とビット本体の境界部に隅部が形成されこの部分に応力集中が生じ(図11(d)参照)、ここを起点に超硬体が折損した。6本のテスト品のうち5本にこの現象がみられた。ただし、ビットCのように超硬体すべてが脱落するわけではなく、超硬体の根元は残っているので、5本のうち3本は継続使用可能であった。しかし、超硬体の折損によりビットの寿命は半減する。ビットの背面はビットが被処理物を打撃するときに超硬体で保護されるため、前面や側面と比較して格段に摩耗は少ない。しかしながら、ビットがスクリーン内側を高速で回転通過するときには、ビットとスクリーンの僅かな隙間に被処理物が介在しており、ビット背面と被処理物が激しく擦れ合うため、長時間の稼動によって摩耗が進行する。ビットBでは超硬体の背面に肉盛を施していなかったのでこの摩耗が進行し、超硬体を支えるビット本体(鋼)の肉厚が薄くなっていた。このことも超硬体が折損しやすくなる一因となっている。
【0031】
本実施形態のビットAは、ビットBと同様にビットの回転方向に直交する向きとなるように設けられた切込み開口部に超硬体を嵌め込んでろう付け配置しているが、以下の点で異なっている。まず被処理物を最初に打撃し最も摩耗が過酷なビット先端の回転方向側は超硬体が露出しているので、この部分の摩耗が抑制され、少なくともビット先端部においてはビットBで見られるようなビット前面の応力集中部が形成されない。超硬体はビット本体の軸心より回転方向寄りに位置されている。これによって、超硬体を支える超硬体背後のビット本体(鋼)を厚肉にでき、強度が向上している。また、超硬体背面は傾斜面にされているので、さらにビット本体(鋼)を厚肉にできる。厚肉になれば剛性が向上するので超硬体に亀裂が発生し難くなり、もしも亀裂が発生したとしてもそれを支えるビット本体(鋼)が破断するに至らず、継続して使用できる。長時間の稼働によりビット本体前面の摩耗が進行し、超硬体前面全部が露出した状態になったとしても、超硬体背面を傾斜面にすることによって、すなわちビット本体の切り込みの背面側を前方に傾斜させることによって、切り込みの背面側底(図11(b)b参照)の応力集中が緩和されるため、ビット本体が破損することなく使用できる。ビットAは超硬体の露出部分を除いてビット本体の前面と背面に超硬粒を分散した肉盛材が溶接されている。特にビット背面に肉盛材を溶着したことによって超硬体を背後から支えるビット本体(鋼)の摩耗が殆ど生じないため、超硬体の折損防止に有効である。ビットAは6本のテスト品すべてについて超硬体の折損も脱落もなく、継続して使用可能な状態にあり、異物が混入する過酷な作業条件下でも多大な効果を発揮することが検証できた。
【0032】
このように、本発明にかかる破砕用ビット1は、異物が混在する廃棄木材の破砕機に用いて、従来の問題点を解決し、ビッドを頻繁に交換することなく長期使用が可能になるという効果が得られたのである。
【0033】
図8には破砕用ビットの他の実施形態の要部縦断面図が示されている。この実施形態のビット1Aは、基本的に前述のビット1と同様の構成であり、超硬体8Aの部分的な形状および頭部5Aの後面側に肉盛溶接層を配していない点で相違するもので、その他については前述のものと同様である。したがって、同様構成については符号のみを付して説明を省略する。
【0034】
ビット本体2の先端部に開口する凹部6Aは、前記実施形態の場合とほぼ同様であるが後面と底面との交差する部分に大きく傾斜面6cを形成して、かつ前面側を内側に窄まる傾斜面6dにして両側に通じるように形成されている。また、超硬体8Aは、前記凹部6Aに挿入されてろう付装着されると頭部5Aの外周面に沿うように形成されている。したがって、超硬体8Aは、その前面部が、上半部8cを頭部5Aの傾斜周面の一部となるように形成され、下半部8eを後退傾斜面にされ、後面部は直立面にして底面との交差個所を大きな角面取りして凹部6Aの傾斜面6cに合致するように形成されたものである。
【0035】
そして、ビット本体2Aにおける頭部5Aの前面側に前記の実施形態と同様の硬質肉盛部9を設けて前側面部を覆うように構成されている。
【0036】
この実施形態のビット1Aは、頭部5Aの後面部に硬質肉盛部9を有さず、超硬体8Aも前面下半部を内側に窄まる傾斜面6dを設けて超硬体の体積を少なくして製造コスト低減を意識した実施例である。ビット本体2Aの背面側に硬質肉盛部がないので前記ビット1と比較して摩耗が進行した状態での超硬体を支える強度は低下するものの、公知のビットや先願のビットと比較して超硬体の脱落や折損を防止する効果は明らかである。
【0037】
さらに、図9には他の実施形態のビットを表わす側面図(a)とそのd−d視図(b)が示されている。
【0038】
この実施形態のビット1Bは、前述のビット1とその構成が同一であるが、頭部5の円柱部分5dからフランジ部4にかけての表面全周に硬質肉盛部9を配置するようにしたものである(図中斜線で表す範囲が硬質肉盛部9を示している)。前記ビット1では頭部5の円柱部分5dの前面側以外は硬質肉盛部がない。これは、この部分の摩耗が少ないことにある。しかしながら、円柱部分全周に硬質肉盛部を配置するようにすれば、ビットのフランジ部4から円柱部5dにかけてビットを回転させながら連続自動肉盛溶接が可能になり、肉盛施工の作業性をよくすることができるという利点がある。
【0039】
図10にはさらに他の実施形態のビットを表す要部断面図が示されている。
【0040】
この実施形態のビット1Cは、その基本構成において前記実施形態のものと同様であり、超硬体8Cがその背面全面を傾斜面にされたもので、ビット本体2Cにおける超硬体の嵌め込み凹部6Cの形状を、前記超硬体8Cの背面の傾斜面に合わせて形成される点において異なるものである。このようにすれば、ビット1と同様の作用効果が得られ、超硬体の体積を減少できるので、コストの削減を図ることができる。
【0041】
上述のように、本発明による破砕用ビットは、破砕に際して最も激しく接触摩擦の生じるビットの先端前面に、超硬体の一部を露出させるとともに硬質肉盛部を配して摩滅の発生を低減させるとともに、ビット前面に摩耗によって生じる応力集中部の形成を防止することになり、同時に背後側での構成材の肉厚も多くして、超硬体を背面側からも保持されるようにすることで、超硬体が衝撃などによって脱落・破損するのを防止できるように構成することができ、耐久性の向上が図られ、長期使用を可能にして、運転コストの低減が実現できるようにされた効果大なるものであるといえる。
【0042】
なお、上記実施形態の説明では、産業廃棄物の破砕について記載したが、このほかに、例えば道路補修機械や岩盤掘削機械の回転体にこのビットを取り付けて路面の掘削破砕作業に使用するなど、他の分野の破砕・切断・切削・掘削用として有効に使用でき、耐久性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明にかかる破砕用ビットの一実施形態の全体斜視図(a)および超硬体の斜視図(b)である。
【図2】図2は、ビット要部の拡大縦断面図である。
【図3】図3は、ビット要部に施されている硬質肉盛部の分布状態を表わす側面図(a)とそのb−b視図(b)である。
【図4】図4は、木材破砕機の側面図(a)および平面図(b)である。
【図5】図5は、回転ハンマー式破砕装置の平面図である。
【図6】図6は、図5のA−A視断面図(a)とビットの配列状態を示す図(b)である。
【図7】図7は、比較テストにおけるビットの配置図(a)とビットの配列図(b)である。
【図8】図8は、破砕用ビットの他の実施形態の要部縦断面図である。
【図9】図9は、他の実施形態のビットを表わす側面図(a)とそのd−d視図(b)である。
【図10】図10は、他の実施形態のビットを表す要部断面図である。
【図11】図11は、従来公知のビットの要部断面図(a)と先願発明によるビットの要部断面図(b)、および従来公知のビットの摩耗形状模式図(c)と、先願発明によるビットの摩耗形状模式図(d)である。
【符号の説明】
1,1A,1B,1C ビット
2,2A,2C ビット本体
4 フランジ部
5,5A 頭部
5a 前面部
6,6A,6C 凹部
6a 凹部の後面側傾斜面
6d 凹部の前面側傾斜面
8,8A,8C 超硬体
8a 超硬体の後面側下半部(傾斜面)
8c 超硬体の前面部分の上半部
8d 超硬体の前面部分の両側部分
8e 超硬体の前面部分の下半部(傾斜面)
9 硬質肉盛部
C 軸芯

Claims (3)

  1. ビット本体の先端部に形成される凹部に超硬体を装着して回転方向前側に硬質材料による肉盛溶接してなる破砕用ビットにおいて、
    ビットの回転方向に対して前記超硬体が、その基部背面を傾斜面に形成されてビット本体の軸芯よりも回転方向寄りでほぼ直交する向きに配置され、かつその超硬体の上半部前面と側面が露出するようにしてビット本体に装着されていることを特徴とする破砕用ビット。
  2. 前記ビット本体の先端部の回転方向背面側には、硬質材料による肉盛溶接部を形成されている請求項1に記載の破砕用ビット。
  3. 前記硬質材料による肉盛溶接部にはタングステンカーバイドを主体とする超硬粒が分散されている請求項1または2に記載の破砕用ビット。
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JP2008194645A (ja) * 2007-02-15 2008-08-28 Komatsu Ltd 木材破砕用ビット
JP2017520389A (ja) * 2014-04-30 2017-07-27 サンドビック インテレクチュアル プロパティー アクティエボラーグ 耐摩耗性部品、及びこのような部品で提供される材料の機械的分解のための装置
CN114602606A (zh) * 2022-03-24 2022-06-10 四川皇龙智能破碎技术股份有限公司 一种破碎锥组合结构

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