JP2004146981A - D級増幅器 - Google Patents

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岡村 孝治
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Abstract

【課題】残留雑音を低減でき、電力効率が良く、オーディオ特性が良いD級増幅器を提供する。
【解決手段】D級増幅器の増幅回路に供給する電源を与える電源回路を、前記電源の電圧を可変できるスイッチング電源回路とし、D級増幅器の出力量を小さくしたときに前記電圧を低くすることにより、残留電圧を低減できる。また、電源効率の良いスイッチング電源回路とすることにより、D級増幅器の電力効率を良くすることができる。また、前記電源回路のスイッチング回路を、逆導通の一対のMOSトランジスタで構成する事により、前記電源回路の周波数特性を良くすることができ、オーディオ帯域の信号を増幅する場合において、オーディオ特性の良いD級増幅器を実現できる。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、D級増幅器に関するものであり、特に、D級増幅器に供給する電源を与える電源回路を備えたD級増幅器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来よりオーディオ機器等に使用されるD級増幅器において、増幅器の出力量を絞ったときの残留雑音低減のため、出力量を小さくするときは、増幅器の増幅回路に供給する直流電源の電圧値を低くするように制御する方法が用いられている。また、前記電圧値を低くするように制御すると、前記電圧値を固定とする場合に比して、消費電力が低減する。更に、簡単に音量を下げることもできる。また、前記直流電源は固定の定電圧電源とし、増幅回路を構成するスイッチング回路に与えられる制御信号であって、前記定電圧電源をスイッチングするパルス状の制御信号のパルス幅を、音量ボリューム等の出力量を調整する調整器から与えられる信号に応じて変化させ、増幅回路に接続されたスピーカ等の負荷に供給する電力を調整しているものもある(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、特許文献1に記載の方法は、前記定電圧電源をスイッチングするパルス状の制御信号が、PDM方式により変調された信号である場合に限定される。
【0003】
出力量を絞るときは、増幅回路に供給する直流電源の電圧値を低くするように制御する方法を用いたD級増幅器において、このような制御に使用する可変の直流安定化電源としては、シリーズレギュレーター方式の直流電源が一般的であるが、電圧を低下させた分は熱損失となるので効率が悪く、低消費電力を特徴とするD級増幅器の電源として適当ではない。また、省エネルギーが要請されている昨今の状況から、可能な限り消費電力を低減すべきであり、こうした要請からみても、適当ではない。
【0004】
そこで、損失の少ない直流安定化電源として、スイッチング電源であるDC/DCコンバーターを電源とすることが考えられる。図6は、スイッチング素子としてPMOSトランジスタを使用したダウン型DC/DCコンバーター回路を電源回路とした従来のD級増幅器の構成を示す図である。図6において、ブロックで示した60は増幅回路であり、61は増幅回路60に供給する電源を与える電源回路である。
【0005】
図6に示す電源回路61を説明する。図6において、1は固定の直流電圧Vccが供給される電源端子であり、2は増幅回路60へ直流電圧Vssを供給する電源端子である。可変抵抗器VR1は、電源端子1とグランド間に接続され、D級増幅器の出力量を調整する調整ボリューム(図示せず)と連動して調整される。この回路例では、前記出力量を大きくすると可変抵抗器VR1から導出される電圧は高くなる。その可変抵抗器VR1の出力電圧は、抵抗R5とR6によって分圧された後、PWM信号発生回路10の接続端子11に入力される。この電圧がPWM信号発生回路10で発生するPWM信号のパルス幅を制御する基準電圧となる。尚、接続端子11とグランド間にノイズ除去用のコンデンサC3が接続されている。
【0006】
PWM信号発生回路10は、更に直流電圧Vssに比例した電圧(抵抗R1とR2で電圧Vssを分圧した電圧)を印加する接続端子12を有する。尚、抵抗R1と並列に位相補償用のコンデンサC1が接続されている。また、PWM信号発生回路10は、非反転入力端子(+端子)が接続端子11に接続され、反転入力端子(−端子)が接続端子12に接続され、接続端子11と接続端子12とに印加される電圧を差動増幅する差動増幅器A1と、差動増幅器A1の出力端子に接続する接続端子13と、鋸歯状波電圧を発生する発振器OSCと、差動増幅器A1の出力信号と発信器OSCからの鋸歯状波電圧とからPWM信号を発生するPWM信号発生回路P1と、前記PWM信号が通るバッファBF1と、バッファBF1の出力端子が接続された接続端子14とを有する。尚、接続端子12と接続端子13間にコンデンサC2と抵抗R4とが直列に接続され、差動増幅器A1の負帰還回路が構成されている。コンデンサC2と抵抗R4は、接続端子12に接続された抵抗R3とともに、差動増幅器A1の増幅度及び特性を決める要素となっている。
【0007】
PWM信号発生回路10の接続端子14は、PMOSトランジスタFET1のゲートに接続され、トランジスタFET1のソースは電源端子1に接続され、ドレインはエネルギー蓄積用のコイルL1の一端に接続され、コイルL1の他端は平滑コンデンサC5を介してグランドに接続される。コイルL1と平滑コンデンサC5との接続点が電源端子2に接続される。トランジスタFET1のドレインとグランド間には、フライホイールダイオードD1がアノード側をグランド側にして接続される。尚、接続端子1とグランド間に、コンデンサC4が接続されている。
【0008】
この構成により、トランジスタFET1が前記PWM信号に基づきスイッチング動作すると、電源端子1に印加される直流電圧Vccに前記PWM信号のデューティ比を乗じた値の直流電圧Vssが電源端子2に発生する。即ち、トランジスタFET1がオンのときには、直流電圧Vccによって、トランジスタFET1を介してコイルL1に電流が流れ、コイルL1にエネルギーが蓄積されるとともに、平滑コンデンサC5が充電される。トランジスタFET1がオフのときには、グランド、フライホイールダイオードD1、コイルL1、平滑コンデンサC5の経路で電流が流れ、コイルL1に蓄積されたエネルギーにより、平滑コンデンサC5が充電される。トランジスタFET1のオン・オフが繰り返されることにより、電源端子2に所定の直流電圧Vssが発生する。
【0009】
直流電圧Vssは、抵抗R1とR2によって分圧された後、抵抗R3を介してPWM信号発生回路10へフィードバックされる。この構成により、PWM信号発生回路10は、接続端子11に印加される基準電圧に応じた目標電圧と、直流電圧Vssとの誤差を修正するように、PWM信号を制御するので、PWM信号のデューティに基づいた電圧値となる直流電圧Vssは、その分圧電圧が前記目標電圧と等しくなるように制御される。上述のようにして電源端子2には目標電圧に応じた所定の直流電圧Vssが発生し、電源端子2に接続される増幅回路60に電力が供給される。
【0010】
次に、D級増幅器の出力量に応じて増幅回路60に供給する電源電圧である直流電圧Vssを可変する動作を説明する。D級増幅器の出力量を小さくするときは、それに連動する可変抵抗器VR1から導出される電圧が低くなる。すると、PWM信号発生回路10は、接続端子11に印加される基準電圧が低くなるので、生成するPWM信号のデューティを上げる。前記PWM信号により駆動されるトランジスタFET1は、PMOSトランジスタであるので、PWM信号のデューティが上がるとトランジスタFET1のオン率は下がる。トランジスタFET1のオン率が下がると、電源端子2に発生する直流電圧Vssは低くなる。
【0011】
次に、D級増幅器の出力量を上げるときは、可変抵抗器VR1から導出される電圧が高くなる。すると、PWM信号発生回路10は、接続端子11に印加される基準電圧が高くなるので、生成するPWM信号のデューティを下げる。PWM信号のデューティが下がるとトランジスタFET1のオン率は上がり、電源端子2に発生する直流電圧Vssは高くなる。もっとも、図6に示す電源回路61はダウン型のDC/DCコンバーター回路なので、電源端子1に供給される電源電圧Vccを越えた電圧にまで高くなることはない。
【0012】
以上述べたような電源回路をD級増幅器の増幅回路へ供給する電源回路として備えると、D級増幅器の出力量に応じて増幅回路へ供給する電源電圧を可変できる。そして、出力量を小さくするときは、増幅回路に供給する電源電圧を低くすることができるので、D級増幅器の出力量を絞ったときの残留雑音を低減することができる。
【0013】
また、このような電源回路は、損失が少なく、発熱も少ないので、軽量且つコンパクト且つ低コストで製作できる。また、電源効率の良いスイッチング電源回路であるので、低消費電力を特徴とするD級増幅器の電源回路として、消費電力の面からは適当な電源回路である。
【0014】
【特許文献1】
特開平6−335082号公報 (第3−5頁、第1図)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図6に示すような電源回路を増幅回路に供給する電源としたD級増幅器は、周波数特性において、オーディオ信号等の増幅に使用されるD級増幅器としては適当ではない。以下にその理由を説明する。図6に示す増幅回路60は、入力されるオーディオ信号等の入力信号を増幅した出力信号を発生させ、負荷(図示せず)を動作させる。負荷電流は電源回路61から供給されるので、負荷電流の変動が電源回路61の電源端子2に発生する直流電圧Vssを変動させるが、電源回路61は上述のように直流電圧Vssをフィードバックした制御を行い、直流電圧Vssの電圧変動を抑えることができる。但し、電源回路61がある一定以上のループゲインを有しなければ、前記電圧変動を抑えることができなくなる。
【0016】
高い周波数の入力信号を増幅する場合、当然、負荷電流が変動する周波数も高くなる。すると、前記電圧変動の周波数が高くなるが、電源回路61のループゲインは前記電圧変動の周波数が上がるに従って低減するので、前記ループゲインがある値以下になる周波数を越える周波数の入力信号を増幅する場合には、直流電圧Vssが入力信号周波数に応じた電圧変動をすることになる。また、D級増幅器の場合、増幅を行う制御方式はオープンループ制御方式であるので、前記電圧変動による出力信号の変動を補正することができず、前記電圧変動が、そのまま出力信号の変動になる。換言すれば、高い入力信号を増幅する場合には、歪み、S/N比といったオーディオ特性が悪化する。
【0017】
図7は、図6に示すD級増幅器の電源回路61の周波数特性を測定した結果を示すボード線図である。測定条件は、図6に示す電源端子1に、2.5Vの直流電源(図示せず)を接続し、電源端子2から増幅回路60への接続は外し、その代わりに負荷として270Ωの抵抗(図示せず)を電源端子2とグランド間に接続し、発振器OSCの発振周波数を176KHzとした。以上の条件で、図6に示すD級増幅器の電源回路61の周波数特性を、FFTサーボアナライザで測定した。尚、FFTサーボアナライザとは、測定用の信号源を内部に持ち、被測定回路の入力及び出力の各信号をデジタル演算(フーリエ変換)して、ゲイン特性及び位相特性を測定する測定器である。
【0018】
図7(a)、(b)は、図6に示す直流電圧Vssを1.8Vとしたときの電源回路61の周波数特性を示したボード線図である。図7(c)、(d)は、直流電圧Vssを0.2Vとしたときの電源回路61の周波数特性を示したボード線図である。図7(a)と(c)とが位相特性を示し、縦軸は位相角であり、1目盛りが50度である。縦軸の上限は180度であり、下限は−180度である。図7(b)と(d)とがゲイン特性を示し、縦軸はループゲインであり、1目盛りが10dBである。縦軸の上限は50dBであり、下限は−30dBである。いずれの図も、横軸は周波数の対数座標となっている。
【0019】
ループゲインが0dBとなる周波数での位相角は、位相余裕を示し、フィードバック制御系の発振のしにくさを表す。図7(a)に示す電源端子2の電圧を1.8Vとしたときの位相余裕は約69度、図7(c)に示す電源端子2の電圧を0.2Vとしたときの位相余裕は約71度であり、位相余裕に関しては、問題のない数値である。
【0020】
ゲイン特性を示すゲイン曲線が0dBと交わる周波数(以下、ゲイン交点周波数という。)は、これ以上高い周波数の負荷電流の変動が電源回路61に与えられると、直流電圧Vssが電圧変動してしまう周波数である。D級増幅器をオーディオ機器等に使用する場合は、オーディオ帯域の高域側周波数である20KHzに近いゲイン交点周波数を有する電源回路を備えていることが望ましい。
【0021】
図7(b)におけるゲイン交点周波数は、図中の点線で示すように11KHzであり、図7(d)におけるゲイン交点周波数は、同じく図中の点線で示すように3.65KHzである。ゲイン交点周波数が3.65KHzであるということは、オーディオ特性の良い周波数帯域が狭すぎ、図6に示すD級増幅器の電源回路61をオーディオ機器等に使用するD級増幅器の電源とするのは適当ではないということになる。
【0022】
以上述べたように、図6に示すD級増幅器は、オーディオ帯域の高域側の周波数の信号を増幅する場合には、増幅回路60に電源供給する電源回路61に入力信号周波数に応じた電源電圧変動が生じ、そのために増幅回路60の出力変動が生じるので、オーディオ特性が悪くなるという問題があった。
【0023】
本発明は、上記の点に鑑み、残留雑音を低減でき、電力効率が良く、オーディオ特性が良いD級増幅器を提供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、電源とグランド間に直列に接続された第1、第2のトランジスタの接続中点を負荷に接続し、前記第1、第2トランジスタを、入力信号に応じて一方をオン、他方をオフとする第1の期間と、前記一方をオフ、他方をオンとする第2の期間と、を交互に繰り返すD級増幅器において、前記電源を与える電源回路を、直流電源とグランド間に直列に接続された逆導通型の一対のMOSトランジスタと、該一対のMOSトランジスタの接続中点に一端が接続され他端がグランドに接続されたコイルと平滑コンデンサの直列回路と、前記平滑コンデンサの出力電圧と基準電圧との比較出力に基づいたPWM信号であって、前記一対のMOSトランジスタをその一方をオン、他方をオフとする関係でスイッチング制御するPWM信号を発生するPWM信号発生回路とで構成し、前記平滑コンデンサの出力電圧を前記電源とするものである。
【0025】
このようにすると、前記電源回路から、前記第1、第2トランジスタのオン・オフにより入力信号を増幅する増幅回路への電力供給に際して、低抵抗で導通する前記一対のMOSトランジスタを通じて電流を流すことにより、前記電源回路のループゲインを上げることができる。そして、入力信号に応じた負荷電流の変動に対して、前記電源回路の電圧変動を生じない周波数帯域をオーディオ帯域の高域側に広げることができる。従って、オーディオ帯域の信号を増幅するときに、前記D級増幅器のオーディオ特性が良くなる。また、D級増幅器の出力量を絞ったときには、増幅回路に供給する電源電圧を低くするので、残留雑音を低減することができる。また、損失の少ない高効率電源であるスイッチング電源であるので、電力効率の良いD級増幅器が実現できる。
【0026】
また例えば、第1、第2トランジスタの直列回路と、第3、第4トランジスタの直列回路と、を電源とグランド間に並列に接続し、前記第1、第2トランジスタの接続中点と前記第3、第4トランジスタの接続中点とを負荷の両端に接続し、入力信号に応じて、第1、第4トランジスタをオン、第2、第3トランジスタをオフとする第1の期間と、第1、第4トランジスタをオフ、第2、第3トランジスタをオンとする第2の期間と、を交互に繰り返すD級増幅器において、前記電源を与える電源回路を、直流電源とグランド間に直列に接続された逆導通型の一対のMOSトランジスタと、該一対のMOSトランジスタの接続中点に一端が接続され他端がグランドに接続されたコイルと平滑コンデンサの直列回路と、前記平滑コンデンサの出力電圧と基準電圧との比較出力に基づいたPWM信号であって、前記一対のMOSトランジスタをその一方をオン、他方をオフとする関係でスイッチング制御するPWM信号を発生するPWM信号発生回路とで構成し、前記平滑コンデンサの出力電圧を前記電源とするとよい。
【0027】
このようにすると、前記電源回路から、前記第1、第4トランジスタ、及び第2、第3トランジスタのオン・オフにより入力信号を増幅する増幅回路への電力供給に際して、低抵抗で導通する前記一対のMOSトランジスタを通じて電流を流すことにより、前記電源回路のループゲインを上げることができる。そして、入力信号に応じた負荷電流の変動に対して、前記電源回路の電圧変動を生じない周波数帯域をオーディオ帯域の高域側に広げることができ、オーディオ帯域の信号を増幅するときに、前記D級増幅器のオーディオ特性が良くなる。また、D級増幅器の出力量を絞ったときには、増幅回路に供給する電源電圧を低くするので、残留雑音を低減することができる。また、損失の少ない高効率電源であるスイッチング電源であるので、電力効率の良いD級増幅器が実現できる。
【0028】
また例えば、前記一対のMOSトランジスタを1チップに集積化されたCMOSトランジスタにすると、前記電源回路の構成が簡単になり、低コストでオーディオ特性が良く、また、残留雑音が少なく、電力効率の良いD級増幅器が実現できる。
【0029】
また例えば、前記一対のMOSトランジスタを、個別のPMOSトランジスタとNMOSトランジスタとにすると、周波数特性や電源効率を損なうことなく前記電源回路の電流容量を大きくすることができるので、大きい負荷に対応できる出力の大きいD級増幅器であって、オーディオ特性が良く、また、残留雑音が少なく、電力効率の良いD級増幅器が実現できる。
【0030】
また例えば、前記一対のMOSトランジスタを構成する2個のMOSトランジスタの各ゲートに接続し、前記PWM信号に応じて前記一対のMOSトランジスタをオン・オフ制御する際に、その一方のMOSトランジスタをオフしてから所定時間経過後に他方のMOSトランジスタをオンするように、前記一対のMOSトランジスタに与えるPWM信号を制御する制御回路を設けるとよい。
【0031】
このようにすると、前記一対のMOSトランジスタのオン・オフ状態が切り換わるときに、前記一対のMOSトランジスタを構成する2個のMOSトランジスタが同時にオン状態となることを防止できる。従って、前記一対のMOSトランジスタを貫通する貫通電流を無くすことができるので、前記電源回路の電源効率が改善され、更に電力効率の良いD級増幅器が実現できる。
【0032】
また例えば、前記一対のMOSトランジスタのうち、前記グランド側に接続されたMOSトランジスタは、前記直流電源側に接続されたMOSトランジスタの定格電流に比して小さい定格電流のMOSトランジスタにすると、周波数特性を損なうことなく電源効率を上げることができ、更に電力効率の良いD級増幅器が実現できる。また、D級増幅器のコスト低減が図れる。
【0033】
また例えば、電源とグランド間に直列に接続された第1、第2のトランジスタの接続中点を負荷に接続し、前記第1、第2トランジスタを、入力信号に応じて一方をオン、他方をオフとする第1の期間と、前記一方をオフ、他方をオンとする第2の期間と、を交互に繰り返すD級増幅器において、前記電源を与える電源回路を、直流電源とグランド間に直列に接続された逆導通型の第1の一対のMOSトランジスタと、前記直流電源と前記グランド間に直列に接続され、前記第1の一対のMOSトランジスタの電流容量より大きい電流容量を有する逆導通型の第2の一対のMOSトランジスタと、前記第1、第2の一対のMOSトランジスタの接続中点に一端が接続され他端がグランドに接続されたコイルと平滑コンデンサの直列回路と、前記平滑コンデンサの出力電圧と基準電圧との比較出力に基づいたPWM信号であって、前記第1、第2の一対のMOSトランジスタの一対を構成するMOSトランジスタをその一方をオン、他方をオフとする関係でスイッチング制御するPWM信号を発生するPWM信号発生回路と、前記D級増幅器の出力量が小さいときは前記第2の一対のMOSトランジスタのいずれのMOSトランジスタもオフとなるように前記第2の一対のMOSトランジスタのゲートを制御するゲート制御回路とで構成し、前記平滑コンデンサの出力電圧を前記電源とするとよい。
【0034】
このようにすると、前記電源回路から、前記第1、第2トランジスタのオン・オフにより入力信号を増幅する増幅回路への電力供給に際して、低抵抗で導通する前記第1、第2の一対のMOSトランジスタを通じて電流を流すことにより、前記電源回路のループゲインを上げることができ、前記D級増幅器のオーディオ特性を良くすることができる。また、D級増幅器の出力量を絞ったときには、増幅回路に供給する電源電圧を低くするので、残留雑音を低減することができる。また、損失の少ない高効率電源であるスイッチング電源であるので、電力効率の良いD級増幅器が実現できる。また更に、小さい負荷に対応する場合や、出力量を小さくする場合等の大きい電流容量を必要としない場合には、前記第2の一対のMOSトランジスタの駆動を停止し、消費電力を低減できる。従って、大きい負荷に対応できるD級増幅器であるとともに、更に電力効率の良いD級増幅器が実現できる。
【0035】
また例えば、第1、第2トランジスタの直列回路と、第3、第4トランジスタの直列回路と、を電源とグランド間に並列に接続し、前記第1、第2トランジスタの接続中点と前記第3、第4トランジスタの接続中点とを負荷の両端に接続し、入力信号に応じて、第1、第4トランジスタをオン、第2、第3トランジスタをオフとする第1の期間と、第1、第4トランジスタをオフ、第2、第3トランジスタをオンとする第2の期間と、を交互に繰り返すD級増幅器において、前記電源を与える電源回路を、直流電源とグランド間に直列に接続された逆導通型の第1の一対のMOSトランジスタと、前記直流電源と前記グランド間に直列に接続され、前記第1の一対のMOSトランジスタの電流容量より大きい電流容量を有する逆導通型の第2の一対のMOSトランジスタと、前記第1、第2の一対のMOSトランジスタの接続中点に一端が接続され他端がグランドに接続されたコイルと平滑コンデンサの直列回路と、前記平滑コンデンサの出力電圧と基準電圧との比較出力に基づいたPWM信号であって、前記第1、第2の一対のMOSトランジスタの一対を構成するMOSトランジスタをその一方をオン、他方をオフとする関係でスイッチング制御するPWM信号を発生するPWM信号発生回路と、前記D級増幅器の出力量が小さいときは前記第2の一対のMOSトランジスタのいずれのMOSトランジスタもオフとなるように前記第2の一対のMOSトランジスタのゲートを制御するゲート制御回路とで構成し、前記平滑コンデンサの出力電圧を前記電源とするとよい。
【0036】
このようにすると、前記電源回路から、前記第1、第4トランジスタ、及び第2、第3トランジスタのオン・オフにより入力信号を増幅する増幅回路への電力供給に際して、低抵抗で導通する前記第1、第2の一対のMOSトランジスタを通じて電流を流すことにより、前記電源回路のループゲインを上げることができ、前記D級増幅器のオーディオ特性を良くすることができる。また、D級増幅器の出力量を絞ったときには、増幅回路に供給する電源電圧を低くするので、残留雑音を低減することができる。また、損失の少ない高効率電源であるスイッチング電源であるので、電力効率の良いD級増幅器が実現できる。また更に、小さい負荷に対応する場合や、出力量を小さくする場合等の大きい電流容量を必要としない場合には、前記第2の一対のMOSトランジスタの駆動を停止し、消費電力を低減できる。従って、大きい負荷に対応できるD級増幅器であるとともに、更に電力効率の良いD級増幅器が実現できる。
【0037】
また例えば、前記第1の一対のMOSトランジスタを、1チップに集積化されたCMOSトランジスタとし、前記第2の一対のMOSトランジスタを、個別のPMOSトランジスタとNMOSトランジスタとで構成すると、大きい負荷に対応できるD級増幅器であるとともに、小さい負荷を駆動する場合や、出力量を絞った場合において、更に低消費電力であるD級増幅器が実現できる。また、前記電源回路の構成が簡単になり、コスト低減が図れる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。説明の便宜上、従来例の図6と同一の部分については同一の符号を付している。
【0039】
図1は、本発明の第1の実施形態を示す回路図である。図1において、100は増幅回路であり、101は増幅回路100に供給する電源を与える電源回路である。まず、電源回路101を説明する。図1に示す電源回路101において、図6に示す電源回路61と相違する点は、図1の反転バッファBF2で示された、1チップに集積化されたCMOSトランジスタ(汎用CMOSトランジスタとも呼称される)でスイッチング回路を構成した点である。周知のように、CMOSトランジスタは、その内部に、ソースが電源側に接続されたPMOSトランジスタと、ソースがグランド側に接続されたNMOSトランジスタとが相補的に接続された構造を有する。反転バッファBF2の電源端子は、一端が電源端子1に接続され、他端がグランドに接続される。更に、反転バッファBF2の入力端子はPWM信号が導出される接続端子14に接続され、反転バッファBF2の出力端子はコイルL1の一端に接続される。コイルL1の他端は、平滑コンデンサC5を介してグランドに接続され、コイルL1と平滑コンデンサC5との接続点は電源端子2に接続されている。
【0040】
このような回路構成であると、接続端子14から導出されるPWM信号がLレベルのときは、反転バッファBF2内部の電源側PMOSトランジスタがオンとなり、電源端子1に印加された直流電圧Vccによって、反転バッファBF2を介して、コイルL1に電流が流れ、コイルL1にエネルギーが蓄積されるとともに、平滑コンデンサC5が充電される。一方、前記PWM信号がHレベルのときは、反転バッファBF2内部のグランド側NMOSトランジスタがオンとなり、コイルL1に蓄積されたエネルギーによって、グランド、反転バッファBF2、コイルL1、平滑コンデンサC5の経路で電流が流れ、平滑コンデンサC5が充電される。上述のようにして、直流電圧Vccに前記PWM信号のデューティを乗じた値の直流電圧Vssが電源端子2に発生する。
【0041】
また、図1に示す電源回路101は更に、ほぼ直流電圧Vssの電圧値に直流電圧Vccの電圧値を加えた電圧値の直流電圧Vhhを発生する電源端子3を有する。直流電圧Vhhは、後述する可変の直流電圧Vssに接続されたトランジスタの制御端子に、直流電圧Vssに応じた電圧レベルを与え、該トランジスタを駆動するために必要である。以下に、直流電圧Vhhの発生回路と電圧発生動作を説明する。
【0042】
電源端子1が、ダイオードD11のアノードに接続され、ダイオードD11のカソードとコイルL12と電源端子3とが直列に接続される。電源端子3とグランド間に平滑コンデンサC17が接続される。更に、ダイオードD11のカソードと反転バッファBF2の出力端子間にコンデンサC16が接続されている。
【0043】
以上の回路構成により、反転バッファBF2内部の電源側PMOSトランジスタがオフ(グランド側NMOSトランジスタはオン)すると、電源端子1からダイオードD11、コンデンサC16、コイルL1、コンデンサC5を通じてグランドに電流が流れ、コンデンサC16が直流電圧VccからダイオードD11の電圧降下分を差し引いた電圧に充電される。同時に、電源端子1からダイオードD11、コイルL12、コンデンサC17の経路でグランドに電流が流れ、コンデンサC17が、同じく直流電圧VccからダイオードD11の電圧降下分を差し引いた電圧に充電される。次に、反転バッファBF2内部の電源側PMOSトランジスタがオン(グランド側NMOSトランジスタはオフ)すると、反転バッファBF2の出力端子の電圧は直流電圧Vccになり、コンデンサC16の放電電流が、電源端子1、反転バッファBF2、コンデンサC16、コイルL12、コンデンサC17の経路でグランドに流れることにより、コンデンサC17が更に充電される。更に充電される電圧は、直流電圧Vccに反転バッファBF2のスイッチングのデューティを乗じた値の電圧、即ち直流電圧Vssになるので、直流電圧VccからダイオードD11の電圧降下分を差し引いた電圧に、直流電圧Vssを重畳した直流電圧Vhhが、接続端子3に発生する。
【0044】
次に、増幅回路100の説明をする。まず、増幅回路100の出力側から説明する。図1に示すM21、M22、M23、M24はトランジスタである。前記4個のトランジスタが、H型ブリッジ回路の形の出力回路を構成する。本実施例は、4個のトランジスタ全てがNMOSトランジスタである。トランジスタM21のドレインは電源端子2に接続され、トランジスタM21のソースがトランジスタM22のドレインに接続され、トランジスタM22のソースがグランドに接続されている。また、トランジスタM23のドレインは電源端子2に接続され、トランジスタM23のソースがトランジスタM24のドレインに接続され、トランジスタM24のソースがグランドに接続されている。
【0045】
トランジスタM21のソースとコイルL22と出力端子OUT2が直列に接続される。また、トランジスタM23のソースとコイルL21と出力端子OUT1が直列に接続される。そして、出力端子OUT1とグランド間にコンデンサC21が接続され、出力端子OUT2とグランド間にコンデンサC22が接続される。更に、出力端子OUT1と出力端子OUT2間に負荷Z1が接続されている。また、電源端子2とグランド間にコンデンサC23が接続されている。尚、本実施例では出力回路のトランジスタは全てNMOSトランジスタであるが、他のスイッチング素子であってもよい。
【0046】
次に、増幅回路100の入力側を説明する。入力端子IN1及び入力端子IN2は、オーディオ信号としてPWM又はPDMされた2値信号が入力される入力端子である。入力端子IN2に入力される信号は、入力端子IN1に入力される信号の逆相の信号である。G21、G22、G23、G24は、いずれも汎用CMOSトランジスタの論理素子で、2個の論理入力端子と1個の論理出力端子を有するEXOR(エクスクルーシブオア)素子である。尚、本実施例では全てEXOR素子であるが、AND素子やNAND素子等の他の論理素子で構成してもよい。
【0047】
電源端子3とグランド間に、抵抗R21とR22が直列に接続される。そして、EXOR素子G21の論理入力端子の一端は電源端子3に接続され、他端はEXOR素子G22の論理入力端子の一端に接続されるとともに、レベルシフト用のコンデンサC20の一端と、アンダーシュート防止用のダイオードD21のアノードと、抵抗R21とR22との接続点とに接続されている。コンデンサC20の他の一端は入力端子IN1に接続され、ダイオードD21のカソードは、電源端子3に接続される。EXOR素子G22の論理入力端子の他端はグランドに接続されている。更に、EXOR素子G23の論理入力端子の一端は電源端子1に接続され、他端はEXOR素子G24の論理入力端子の一端と入力端子IN2とに接続される。EXOR素子G24の他端はグランドに接続されている。
【0048】
EXOR素子G21の論理出力端子はトランジスタM21のゲートに接続され、EXOR素子G22の論理出力端子はトランジスタM23のゲートに接続されている。また、EXOR素子G23の論理出力端子はトランジスタM22のゲートに接続され、EXOR素子G24の論理出力端子はトランジスタM24のゲートに接続されている。
【0049】
次に、以上述べた増幅回路100の動作を説明する。オーディオ信号としてPWM又はPDMされた2値信号が、入力端子IN1に入力される。また、入力端子IN2にも同時に入力端子IN1に入力される2値信号と逆相となる2値信号が入力される。
【0050】
第1の期間として、入力端子IN1に入力された信号がHレベルであり、入力端子IN2に入力された信号がLレベルであるときを考える。EXOR素子G21の論理入力端子の一端の電圧は、直流電圧VhhであるのでHレベルである。また、EXOR素子G22の論理入力端子の一端の電圧は、グランド電圧であるのでLレベルである。EXOR素子G21の論理入力端子の他端の電圧、及びEXOR素子G22の論理入力端子の他端の電圧は、入力端子IN1がHレベルなので、直流電圧Vhhを抵抗R21とR22で分圧した電圧となり、Hレベルとなる。従って、EXOR素子G21の論理出力端子はLレベルとなり、EXOR素子G22の論理出力端子はHレベルとなる。
【0051】
一方、EXOR素子G23の論理入力端子の一端の電圧は、直流電圧VccであるのでHレベルである。また、EXOR素子G24の論理入力端子の一端の電圧は、グランド電圧であるのでLレベルである。EXOR素子G23の論理入力端子の他端、及びEXOR素子G24の論理入力端子の他端は、入力端子IN2のレベルとなるので、Lレベルである。従って、EXOR素子G23の論理出力端子はHレベルとなり、EXOR素子G24の論理出力端子はLレベルとなる。以上述べた論理素子の出力端子のレベルによって、トランジスタM21とトランジスタM24とがオフとなり、トランジスタM22とトランジスタM23とがオンとなる。
【0052】
次に第2の期間として、入力端子IN1に入力された信号がLレベルであり、入力端子IN2に入力された信号がHレベルであるとき、EXOR素子G21の論理入力端子の一端の電圧は、直流電圧VhhであるのでHレベルである。また、EXOR素子G22の論理入力端子の一端の電圧は、グランド電圧であるのでLレベルである。EXOR素子G21の論理入力端子の他端、及びEXOR素子G22の論理入力端子の他端は、入力端子IN1がLレベルなので、Lレベルとなる。従って、EXOR素子G21の論理出力端子はHレベルとなり、EXOR素子G22の論理出力端子はLレベルとなる。
【0053】
一方、EXOR素子G23の論理入力端子の一端の電圧は、直流電圧VccであるのでHレベルである。また、EXOR素子G24の論理入力端子の一端の電圧は、グランド電圧であるのでLレベルである。EXOR素子G23の論理入力の他端、及びEXOR素子G24の論理入力端子の他端は、入力端子IN2のレベルとなるので、Hレベルである。従って、EXOR素子G23の論理出力端子はLレベルとなり、EXOR素子G24の論理出力端子はHレベルとなる。すると、トランジスタM21とトランジスタM24とがオンとなり、トランジスタM22とトランジスタM23とがオフとなる。
【0054】
入力される2値信号に応じて前記第1の期間と前記第2の期間が交互に繰り返されることにより、トランジスタM21とトランジスタM22との接続点と、トランジスタM23とトランジスタM24との接続点との間に、直流電圧Vssの電圧パルスが極性を交互に換えて発生する。そして、前記電圧パルスは、次段のコイルL21とコンデンサC21で構成された第1のローパスフィルタ、及びコイルL22とコンデンサC22で構成された第2のローパスフィルタによって、高周波成分をカットされ、元のオーディオ信号が増幅された信号が抽出され、その信号が負荷Z1に印加される。
【0055】
このようにして、オーディオ信号が増幅されるわけであるが、オーディオ信号の周波数が高いと、当然負荷Z1に印加される増幅信号の周波数も高くなる。すると、前記増幅信号の電力を供給する電源回路の周波数特性が悪いと、前記増幅信号の周波数に応じた電源電圧の変動が生じるので、出力も変動することになる。つまり、歪みやS/N比といったオーディオ特性が悪くなる。上述したように、図6に示した従来のD級増幅器の電源回路は、周波数特性が悪く、オーディオ帯域の高帯域の増幅に際して、安定した電源を供給できないという問題があった。
【0056】
しかしながら、上述した図1に示すD級増幅器においては、電源回路101の反転バッファBF2で表されたスイッチング回路を、オン時の抵抗が低抵抗となるCMOSトランジスタで構成することにより、周波数特性を改善することができるので、オーディオ帯域の高域側の周波数の入力信号を増幅するときでも、安定した電源を増幅回路100に供給でき、電源の電圧変動による出力変動が生じなくなり、D級増幅器のオーディオ特性が良くなる。
【0057】
以下に、電源回路101の周波数特性が改善されていることを、図2を参照して説明する。図2は、図1に示す電源回路101の周波数特性を測定した結果を示すボード線図である。測定条件は、図6に示す従来のD級増幅器の電源部61の周波数特性を測定したときと同様に、図1に示す電源端子1に、2.5Vの直流電源(図示せず)を接続し、電源端子2から増幅回路2への接続を外し、その代わりに負荷として270Ωの抵抗(図示せず)を電源端子2とグランド間に接続し、発振器OSCの発振周波数を176KHzとした。以上の条件で、図1に示す電源回路101の周波数特性を、FFTサーボアナライザで測定した。
【0058】
図2(a)、(b)は図1に示す電源端子2の直流電圧Vssを1.8Vとしたとき、また、図2(c)、(d)は直流電圧Vssを0.2Vとしたときの電源回路101の周波数特性を示したボード線図である。図2(a)と(c)とが位相特性を示し、縦軸は位相角であり、1目盛りが50度である。縦軸の上限は180度であり、下限は−180度である。図2(b)と(d)とがゲイン特性を示し、縦軸はループゲインであり、1目盛りが10dBである。縦軸の上限は50dBであり、下限は−30dBである。いずれの図も、横軸は周波数の対数座標となっている。
【0059】
図2(b)におけるゲイン交点周波数は、14.5KHzであり、図2(d)におけるゲイン交点周波数は、16KHzである。このことは、図1に示す電源回路101は、ゲイン交点周波数がオーディオ帯域の高域側である20KHz付近であるので、オーディオ帯域の周波数の信号を増幅する場合に、入力信号に追随した安定した電源供給ができ、電圧変動を生じないということを示している。特に、図7に示す従来のD級増幅器の電源回路61の周波数特性と比べると、直流電圧Vssが0.2Vのときのゲイン交点周波数が顕著に高くなっているのが分かる。図6に示す電源回路61のスイッチング回路を構成するフライホイールダイオードD1の代わりに、図1に示す電源回路101では、スイッチング回路をオン抵抗の低いMOSトランジスタで構成したので、スイッチング素子の損失が少なく、ゲイン低下の要素とならないためである。また、図2(a)に示す電源端子2の電圧を1.8Vとしたときの位相余裕は約55度、図2(c)に示す電源端子2の電圧を0.2Vとしたときの位相余裕は約57度であり、位相余裕に関しても問題ない数値であり、フィードバックループが安定していることを示している。
【0060】
従って、図1に示すようなD級増幅器は、オーディオ帯域の入力信号を増幅する際に、増幅回路100に供給される電源の電圧変動による出力変動が生じないので、オーディオ特性が良くなる。
【0061】
また、増幅回路100に供給する電源電圧、即ち電圧Vssを、出力量を小さくすると低下させるので、残留雑音を低減できる。例えば、ヘッドホン機器や小型ポータブル音響機器等のように、スピーカの近くで音を聞く装置の場合、残留雑音は−110dB以下にすることが望ましい。直流電圧Vssが固定の場合の図1に示すD級増幅器のS/N比は90dBほどであるが、直流電圧Vssを前記固定の場合の電圧より20dB落とした電圧にすることによって、残留雑音は−110dBとなり、望ましいレベルとすることができる。また、D級増幅器の出力量を大きくするときは、増幅回路100に供給する直流電圧Vssを高くすることができるので、増幅回路100より所定の電力を出力することができる。
【0062】
また、電源回路101はスイッチング電源であるので、その電源効率は、シリーズ型の電源回路に比して良く、電力効率の良いD級増幅器が実現できる。例えば、図1に示す直流電圧Vccが2.5V、直流電圧Vssが0.25V、発振器OSCの発振周波数が176KHz、負過電流が10mAのときの電源回路101の電源効率は50%以上を達成した。シリーズ電源であれば、同条件で10%未満となる。また、直流電圧Vssを1.9Vとし、負過電流を100mAとしたときでは、電源効率80%以上という高効率が得られた。
【0063】
また、1チップに集積化されたCMOSトランジスタを使用することによって、電源回路の構成が簡単になり、コストの低減も図れる。
【0064】
図3は、本発明の第2の実施形態を示す回路図である。図1に対応する部分には同一符号を付し、説明を省略する。図3において、100は増幅回路であり、301は増幅回路100に供給する電源を与える電源回路である。
【0065】
以下に電源回路301を説明する。電源回路301は、図1に示す電源回路101と基本構成は同じである。図3に示す電源回路301において、図1に示す電源回路101と相違する点は、個別のPMOSトランジスタM11とNMOSトランジスタM12とでスイッチング回路を構成した点である。
【0066】
図3において、PMOSトランジスタM11のソースは、固定の直流電圧Vccが供給される電源端子1に接続され、ドレインはNMOSトランジスタM12のドレインとコイルL1の一端とに接続される。NMOSトランジスタM12のソースはグランドに接続される。更に、PMOSトランジスタM11のゲートと、NMOSトランジスタM12のゲートと、PWM信号が導出されるPWM信号発生回路10の接続端子14とが接続されている。
【0067】
このようにすると、前記PWM信号がLレベルのときは、PMOSトランジスタM11がオン、NMOSトランジスタM12がオフとなり、電源端子1に印加された直流電圧Vccによって、電源端子1からPMOSトランジスタM11を通じてコイルL1に電流が流れ、コイルL1にエネルギーが蓄積されるとともに、平滑コンデンサC5が充電される。一方、前記PWM信号がHレベルのときは、PMOSトランジスタM11がオフ、NMOSトランジスタM12がオンとなり、コイルL1に蓄積されたエネルギーによって、グランド、NMOSトランジスタM12、コイルL1、平滑コンデンサC5の経路で電流が流れ、平滑コンデンサC5が充電される。上述のようにして、電源端子1に印加される直流電圧Vccに、前記PWM信号のデューティを乗じた値の直流電圧Vssが電源端子2に発生する。
【0068】
図3に示す電源回路301は、本発明の第1の実施形態の説明で述べたように、スイッチングを行う素子が、オン抵抗の低いMOSトランジスタであるので、周波数特性が良い。また、図1に示す第1の実施形態のD級増幅器と同様にVss電圧を出力量に応じて可変するので、図3に示すD級増幅器は、残留雑音が低減できる。従って、残留雑音が低減でき、電力効率が良く、オーディオ特性の良いD級増幅器が実現できる。
【0069】
更に、図3に示すD級増幅器は、大きい負荷に対応できる大出力のD級増幅器であるとともに電力効率の良いD級増幅器である。以下にその理由を説明する。図1に示すD級増幅器は、電源回路101のスイッチング回路に1チップの集積化されたCMOSトランジスタを使用する。前記CMOSトランジスタの電流容量は、汎用品と呼称されているもので、最大24mA程度であるので、負荷がヘッドホン機器のような軽負荷であれば問題ないが、大きい負荷に対応する場合は、前記CMOSトランジスタを複数個並列に接続して、前記スイッチング回路の電流容量を上げなければならない。しかしながら、部品点数が増えて回路構成が複雑になるばかりか、電源効率が低下するという問題があった。
【0070】
そこで、図3に示すように、大きい電流容量を備えることのできる個別のPMOSトランジスタとNMOSトランジスタとで、スイッチング回路を構成すると、大きい負荷に対応できる大出力のD級増幅器であるとともに、電力効率の良いD級増幅器が実現できる。例えば、図3に示すPMOSトランジスタM11にオン抵抗が0.63オーム/2.5V、入力容量が114pFのPMOSトランジスタを使用し、NMOSトランジスタM12にオン抵抗が0.6オーム/2.7V、入力容量が50pFのNMOSトランジスタを使用し、発振器OSCの発信周波数を176KHzとした条件で、直流電圧Vssが0.25V、負荷電流が10mAであったときの電源回路301の電源効率は45%であった。また、同条件で直流電圧Vssが1.9V、負荷電流が100mAであったときの電源回路301の電源効率は85%の高効率を得ることができた。
【0071】
電源回路の効率が良いということは、増幅器全体の電力効率が良いということである。個別のMOSトランジスタであれば電流容量の大きい素子があるので、このようにスイッチング回路を個別のMOSトランジスタで構成すると、大きい負荷に対応した大出力のD級増幅器であるとともに、電力効率の良いD級増幅器が実現できる。
【0072】
また、図3に示すNMOSトランジスタM12の電流容量を、PMOSトランジスタM11の電流容量に比して小さくすると、更に電力効率の良いD級増幅器が実現できる。例えば、PMOSトランジスタM11に、定格電流1A、オン抵抗0.25オーム/2.5V、入力容量330pFのPMOSトランジスタを使用し、NMOSトランジスタM12に、定格電流1A、オン抵抗0.3オーム/2.7V、入力容量200pFのNMOSトランジスタを使用した第1の電源回路と、PMOSトランジスタM11は、前述のPMOSトランジスタと同じものを使用し、NMOSトランジスタM12に、定格電流0.5A、オン抵抗0.6オーム/2.7V、入力容量50pFのNMOSトランジスタを使用した第2の電源回路との電源特性を比較した。
【0073】
周波数特性と電流容量においては、前記第1の電源回路と前記第2の電源回路とに優劣はないが、電源効率においては、直流電圧Vssが0.25V、負荷電流が10mAのときに、前記第1の電源回路よりも前記第2の電源回路の方が効率が良い。電源効率は、前記PMOSトランジスタM11とNMOSトランジスタM12の入力容量の和が小さいほど良くなるからである。電流容量に関しては、グランド側に接続されたNMOSトランジスタの電流容量は、電源側に接続されたPMOSトランジスタの電流容量の半分であっても、電源回路301としての電流容量は変わらない。また、MOSトランジスタの場合、電流容量を下げると、入力容量も下がる。従って、NMOSトランジスタM12の電流容量を下げても、電源回路301としての電流容量は変わらず、むしろ電源効率は良くなる。
【0074】
このように、グランド側に接続されたMOSトランジスタの電流容量を下げることにより、電源回路の電源効率を高められるので、更に電力効率の良いD級増幅器が実現できる。また、コストの低減も図れる。
【0075】
図4は、本発明の第3の実施形態を示す回路図である。図3に対応する部分には同一符号を付し、説明を省略する。図4において、100は増幅回路であり、401は増幅回路100に供給する電源を与える電源回路である。
【0076】
以下に電源回路401を説明する。電源回路401は、図3に示す電源回路301と基本構成は同じである。図4に示す電源回路401において、図3に示す電源回路301と相違する点は、PMOSトランジスタM11のゲートとNMOSトランジスタM12のゲートに接続され、PMOSトランジスタM11とNMOSトランジスタM12とが同時にオンになることを防止するように、PMOSトランジスタM11とNMOSトランジスタM12とに与えられるPWM信号を制御する制御回路402を設けた点である。
【0077】
以下に、制御回路402を説明する。PMOSトランジスタM11のゲートは、CMOSトランジスタである反転バッファBF41の出力端子に接続される。反転バッファBF41の入力端子は、コンデンサC41の一端と抵抗R41の一端とダイオードD41のアノードに接続される。そして、コンデンサC41の他端はグランドに接続され、抵抗R41の他端はダイオードD41のカソードとPWM発生回路10の接続端子14とに接続される。尚、反転バッファBF41の電源端子は接続端子1とグランドに接続されている。
【0078】
NMOSトランジスタM12のゲートは、CMOSトランジスタである反転バッファBF42の出力端子に接続される。反転バッファBF42の入力端子は、コンデンサC42の一端と抵抗R42の一端とダイオードD42のカソードに接続される。そして、コンデンサC42の他端はグランドに接続され、抵抗R42の他端はダイオードD42のアノードと接続端子14とに接続される。尚、反転バッファBF42の電源端子は、接続端子1とグランドに接続されている。
【0079】
次に、以上述べた制御回路402の動作と、PMOSトランジスタM11とNMOSトランジスタM12のオン・オフ状態の推移と、その効果を説明する。まず、PWM信号がHレベルとなって十分時間が経過した状態であるとする。反転バッファBF41の入力端子は、コンデンサC41が既に充電された状態であるのでHレベルである。すると出力端子はLレベルであるので、PMOSトランジスタM11はオンとなっている。一方、反転バッファBF42の入力端子は、コンデンサC42が既に充電された状態であるのでHレベルである。すると、出力端子はLレベルであるので、NMOSトランジスタM12はオフとなっている。
【0080】
次に、前述の状態からPWM信号がLレベルに変化した直後の状態を考える。反転バッファBF41の入力端子は、コンデンサC41からの放電電流が、順方向バイアスであるため低抵抗となるダイオードD41を通じて接続端子14に流れるので、その電位は急速にLレベルとなる。すると、反転バッファBF41の出力端子はHレベルとなり、PMOSトランジスタM11はオフとなる。
【0081】
一方、反転バッファBF42の入力端子は、コンデンサC42の放電電流が、逆方向バイアスであるダイオードD42には流れず、抵抗R42を通じて接続端子14に流れるので、その電位はコンデンサC42と抵抗R42との時定数に応じて下がることになる。すると、反転バッファBF42の出力端子は、その入力端子の電位が所定の電位に下がるまでLレベルを維持するので、NMOSトランジスタM12はオフ状態が維持される。従って、この状態ではPMOSトランジスタM11とNMOSトランジスタM12とはいずれもオフ状態となる。
【0082】
次に、コンデンサC42が放電し続けて、反転バッファBF42の入力端子電圧が反転バッファBF42の出力を反転する所定の電位にまで下がったとき、反転バッファBF42の出力端子はHレベルとなり、NMOSトランジスタM12がオンとなる。この状態で、PMOSトランジスタM11はオフ、NMOSトランジスタM12はオンとなっている。
【0083】
次に、前述の状態からPWM信号がHレベルに変化した直後の状態を考える。反転バッファBF42の入力端子は、コンデンサC42への充電電流が、順方向バイアスであるため低抵抗となるダイオードD42を通じて接続端子14から流れるので、その電位は急速にHレベルとなる。すると、反転バッファBF42の出力端子はLレベルとなり、NMOSトランジスタM12はオフとなる。
【0084】
一方、反転バッファBF41の入力端子は、コンデンサC41への充電電流が、逆方向バイアスであるダイオードD41には流れず、抵抗R41を通じて接続端子14から流れるので、その電位はコンデンサC41と抵抗R41との時定数に応じて上がることになる。すると、反転バッファBF41の出力端子は、入力端子の電位が所定の電位に上がるまでHレベルを維持するので、PMOSトランジスタM11はオフ状態が維持される。従って、この状態ではPMOSトランジスタM11とNMOSトランジスタM12とはいずれもオフ状態となる。
【0085】
次に、コンデンサC41が充電し続けて、反転バッファBF41の入力端子電圧が反転バッファBF41の出力を反転する所定の電位にまで上がったとき、反転バッファ41の出力端子はHレベルとなり、PMOSトランジスタM11がオンとなる。この状態で、PMOSトランジスタM11はオン、NMOSトランジスタM12はオフとなる。
【0086】
上述のようにして、PWM信号に応じてPMOSトランジスタとNMOSトランジスタとがスイッチングする際に、一方がオフになった後に他方がオンとなる動作をするので、PMOSトランジスタM11とNMOSトランジスタM12とが同時にオンする状態の発生がなくなる。すると、電源端子1から、PMOSトランジスタM11、NMOSトランジスタM12の経路でグランドに流れる貫通電流が流れなくなる。
【0087】
前記貫通電流が流れなくなるということは、電源効率を高めることになる。従って、図4に示すような、PMOSトランジスタM11とNMOSトランジスタM12とが同時にオンになることを防止するように、PMOSトランジスタM11とNMOSトランジスタM12とに与えられるPWM信号を制御する制御回路402を備えることにより、図3で示した実施形態のD級増幅器よりも更に損失の少ない、電力効率の良いD級増幅器が実現できる。
【0088】
図5は、本発明の第4の実施形態を示す回路図である。図3に対応する部分には同一符号を付し、説明を省略する。図5において、100は増幅回路であり、501は増幅回路100に供給する電源を与える電源回路である。
【0089】
以下に電源回路501を説明する。電源回路501は、図1に示す電源回路101と基本構成は同じである。図5に示す電源回路501において、図1に示す電源回路101と相違する点は、PMOSトランジスタM51と、NMOSトランジスタM52と、PMOSトランジスタM51とNMOSトランジスタM52とのゲートを制御するゲート制御回路502と、ゲート制御回路502に与える信号が印加される制御端子CTLとを設けた点である。尚、PMOSトランジスタM51とNMOSトランジスタM52の電流容量は、反転バッファBF2の電流容量よりも大きい。
【0090】
以下に、図5に示す電源回路501の回路を説明する。PMOSトランジスタM51のソースは、固定の直流電圧Vccが供給される電源端子1に接続され、ドレインはNMOSトランジスタM52のドレインに接続されるとともに、反転バッファBF2の出力端子に接続される。また、NMOSトランジスタM52のソースはグランドに接続されている。
【0091】
PMOSトランジスタM51のゲートは、2個の論理入力端子と1個の論理出力端子を有するNAND素子G51の論理出力端子に接続される。NAND素子G51の論理入力端子の一端は制御端子CTLに接続され、他端は2個の論理入力端子と1個の論理出力を有するNAND素子G52の論理出力端子に接続されている。更に、NAND素子G52の論理入力端子の一端は電源端子1に接続され、他端は、PWM信号が導出される接続端子14に接続されている。
【0092】
NMOSトランジスタM52のゲートは、2個の論理入力端子と1個の論理出力を有するAND素子G53の論理出力端子に接続される。AND素子G53の論理入力端子の一端は制御端子CNTに接続され、他端は接続端子14に接続されている。尚、前記NAND素子G51、NAND素子G52、AND素子G52は、全てCMOSトランジスタで構成された論理素子である。
【0093】
次に、以上述べた回路の動作を説明する。制御端子CNTには、PMOSトランジスタM51とNMOSトランジスタM52とを駆動するかどうかを決定する制御信号(2値信号)が印加される。まず、前記制御信号がHレベルである場合を説明する。NAND素子G51の論理入力端子の一端とAND素子G53の論理入力端子の一端は、いずれも制御端子CTLに接続されているので、Hレベルとなる。すると、いずれの論理出力端子のレベルも、各々の論理入力端子の他端のレベルに応じて反転することになる。また、NAND素子G51の論理入力端子の前記他端のレベルは、NAND素子G52によって、AND素子G53の論理入力端子の前記他端のレベルと反対のレベルとなる。
【0094】
従って、PWM信号がLレベルであると、NAND素子G53の論理入力端子の前記他端のレベルはLレベルであり、NAND素子G51の論理入力端子の前記他端のレベルはHレベルとなる。そして、NAND素子G51の論理出力端子はLレベルとなるので、PMOSトランジスタM51はオンとなる。また、AND素子G53の論理出力端子はLレベルとなり、NMOSトランジスタM52はオフとなる。尚、PMOSトランジスタM51とNMOSトランジスタM52との接続点の電圧は直流電圧Vccとなる。
【0095】
次に、PWM信号がHレベルのときは、NAND素子G53の論理入力端子の前記他端のレベルはHレベルであり、NAND素子G51の論理入力端子の前記他端のレベルはLレベルとなる。そして、NAND素子G51の論理出力端子はHレベルとなるので、PMOSトランジスタM51はオフとなる。また、AND素子G53の論理出力端子はHレベルとなり、NMOSトランジスタM52はオンとなる。尚、PMOSトランジスタM51とNMOSトランジスタM52との接続点はグランドと導通する。このようにして、制御端子CTLに印加される制御信号がHレベルである場合は、PMOSトランジスタM51とNMOSトランジスタM52は、PWM信号に応じて、一方がオンとなり他方がオフとなる動作をする。
【0096】
一方、反転バッファBF2もPWM信号に応じてスイッチングしており、反転バッファBF2内部の電源側PMOSトランジスタのオン・オフ状態は、PMOSトランジスタM51のオン・オフ状態と同じであり、また反転バッファBF2内部のグランド側NMOSトランジスタのオン・オフ状態は、NMOSトランジスタM52のオン・オフ状態と同じである。つまり、コイルL1に電源側から流れる電流の電流経路がPMOSトランジスタM51によって、また、グランド側からコイルL1に流れる電流の電流経路がNMOSトランジスタM52によって、各々反転バッファBF2と並列に追加されたことになる。従って、制御端子CTLに印加される制御信号がHレベルであるときは、電源回路501の電流容量がPMOSトランジスタM51とNMOSトランジスタM52の電流容量に応じて大きくなる。
【0097】
次に、制御端子CTLに印加される前記制御信号がLレベルである場合を説明する。この場合、NAND素子G51の論理入力端子の一端がLレベルとなるので、論理入力端子の他端のレベルに関わらず、NAND素子G51の論理出力端子はHレベルとなる。すると、PMOSトランジスタM51はオフとなる。つまり、PWM信号のレベルに関わらず、PMOSトランジスタM51はオフとなる。
【0098】
同様に、AND素子G53の論理入力端子の一端がLレベルとなるので、論理入力端子の他端のレベルに関わらず、AND素子G53の論理出力端子はLレベルとなる。すると、NMOSトランジスタM52はオフとなる。つまり、PWM信号のレベルに関わらず、NMOSトランジスタはオフとなる。
【0099】
このように、制御端子CTLに印加される前記制御信号がLレベルである場合は、PMOSトランジスタM51とNMOSトランジスタM52は、いずれもオフとなり、PMOSトランジスタM51とNMOSトランジスタM52の接続点は、電源端子1にもグランドにもつながらない状態になる。つまり、PMOSトランジスタM51とNMOSトランジスタM52は、無機能な状態となる。従って、コイルL1へ流れる電流の電流経路は、反転バッファBF2のみであり、電源回路501の電流容量は、反転バッファBF2の電流容量となる。
【0100】
このようにすると、大きい負荷に対応するときや、出力量を大きくするとき等の増幅回路100に大きい負荷電流を必要とするときは、制御端子CNTに印加する制御信号をHレベルとすることにより、PMOSトランジスタM51とNMOSトランジスタM52を駆動させて、電源回路501から増幅回路100に供給できる電流容量を大きくできる。一方、小さい負荷に対応する場合や、出力量を小さくするとき等の増幅回路100に大きい負荷電流が必要でないときは、前記制御信号をLレベルにすることにより、PMOSトランジスタM51とNMOSトランジスタM52の駆動を停止し、反転バッファBF2のみを駆動して増幅回路100に電源供給することにより、電源回路501での消費電力を低減することができる。
【0101】
従って、大きい負荷に対応できる大出力のD級増幅器であるとともに、負荷電流が小さいときは、更に消費電力を低減することのできる電力効率の良いD級増幅器が実現できる。尚、前記制御信号は、負荷の大きさや出力量に応じて手動で切り換えるものとしてもよいし、負荷電流の大きさを検知する手段を設け、検知した負荷電流の大きさに応じて、自動的に切り換えるものとしてもよい。
【0102】
尚、全ての実施例において、4個のトランジスタでH型ブリッジ回路の形を構成した出力回路の増幅回路を備えたD級増幅器についての説明を行ったが、2個のトランジスタでハーフブリッジ回路の形を構成した出力回路の増幅回路を備えたD級増幅器に関しても、全ての実施例で説明したものと同様の作用、効果が得られる。
【0103】
【発明の効果】
本発明によると、D級増幅器の増幅回路に供給する電源を与える電源回路を、前記電源の電圧を可変できるスイッチング電源回路とすることにより、D級増幅器の出力量を小さくしたときの残留電圧を低減できる。また、電源効率の良いスイッチング電源回路としたことにより、D級増幅器の電力効率を良くすることができる。また、前記電源回路を構成するスイッチング回路を逆導通の一対のMOSトランジスタで構成する事により、前記電源回路の周波数特性を良くすることができ、オーディオ帯域の信号を増幅する場合において、オーディオ特性の良いD級増幅器を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の第1の実施形態を示す回路図である。
【図2】は、本発明のD級増幅器の電源回路の周波数特性を示すボード線図である。
【図3】は、本発明の第2の実施形態を示す回路図である。
【図4】は、本発明の第3の実施形態を示す回路図である。
【図5】は、本発明の第4の実施形態を示す回路図である。
【図6】は、従来のD級増幅器の構成を示す図である。
【図7】は、従来のD級増幅器の電源回路の周波数特性を示すボード線図である。
【符号の説明】
1,2,3  電源端子
10  PWM信号発生回路
11,12,13,14  接続端子
60  増幅回路
61  電源回路
100  増幅回路
101  電源回路
301  電源回路
401  電源回路
402  制御回路
501  電源回路
502  ゲート制御回路
A1  差動増幅器
P1  PWM信号発生回路
OSC  発振器
BF1  バッファ
PWM  PWM信号
R1,R2,R3,R4,R5,R6,R21,R22,R41,R42  抵抗
C1,C2,C3,C4,C5,C16,C17,C20,C21,C22,C23,C41,C42  コンデンサ
L1,L12,L21,L22  コイル
VR1  可変抵抗
Vcc,Vss,Vhh  直流電圧
D1,D11,D21,D41,D42  ダイオード
FET1  PMOSトランジスタ
IN1,IN2  入力端子
OUT1,OUT2  出力端子
Z1  負荷
G21,G22,G23,G24  EXOR(エクスクルーシブオア)素子
M21,M22,M23,M24  トランジスタ
BF2,BF41,BF42  反転バッファ
M11,M51  PMOSトランジスタ
M12,M52  NMOSトランジスタ
G51,G52  NAND素子
G53  AND素子
CTL  制御端子

Claims (9)

  1. 電源とグランド間に直列に接続された第1、第2のトランジスタの接続中点を負荷に接続し、前記第1、第2トランジスタを、入力信号に応じて一方をオン、他方をオフとする第1の期間と、前記一方をオフ、他方をオンとする第2の期間と、を交互に繰り返すD級増幅器において、
    前記電源を与える電源回路が、直流電源とグランド間に直列に接続された逆導通型の一対のMOSトランジスタと、該一対のMOSトランジスタの接続中点に一端が接続され他端がグランドに接続された、コイルと平滑コンデンサの直列回路と、前記一対のMOSトランジスタをその一方をオン、他方をオフとする関係でスイッチング制御するPWM信号を前記平滑コンデンサの出力電圧と基準電圧との比較出力に基づいて発生するPWM信号発生回路と、で構成され、前記平滑コンデンサの出力電圧を前記電源とすることを特徴とするD級増幅器。
  2. 電源に接続された第1トランジスタと、第1トランジスタとグランド間に接続された第2トランジスタと、前記電源に接続された第3トランジスタと、第3トランジスタと前記グランド間に接続された第4トランジスタとを具備し、前記第1、第2トランジスタの接続中点と前記第3、第4トランジスタの接続中点との間に負荷を接続し、入力信号に応じて、第1、第4トランジスタをオン、第2、第3トランジスタをオフとする第1の期間と、第1、第4トランジスタをオフ、第2、第3トランジスタをオンとする第2の期間と、を交互に繰り返すD級増幅器において、
    前記電源を与える電源回路が、直流電源とグランド間に直列に接続された逆導通型の一対のMOSトランジスタと、該一対のMOSトランジスタの接続中点に一端が接続され他端がグランドに接続された、コイルと平滑コンデンサの直列回路と、前記一対のMOSトランジスタをその一方をオン、他方をオフとする関係でスイッチング制御するPWM信号を前記平滑コンデンサの出力電圧と基準電圧との比較出力に基づいて発生するPWM信号発生回路と、で構成され、前記平滑コンデンサの出力電圧を前記電源とすることを特徴とするD級増幅器。
  3. 前記一対のMOSトランジスタは、1チップに集積化されたCMOSトランジスタであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のD級増幅器。
  4. 前記一対のMOSトランジスタは、個別のPMOSトランジスタと、NMOSトランジスタと、で構成された一対のMOSトランジスタであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のD級増幅器。
  5. 前記一対のMOSトランジスタを構成する2個のMOSトランジスタの各ゲートに接続し、前記PWM信号に応じて前記一対のMOSトランジスタをオン・オフ制御する際に、その一方のMOSトランジスタをオフしてから所定時間経過後に他方のMOSトランジスタをオンするように、前記一対のMOSトランジスタに与えるPWM信号を制御する制御回路を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のD級増幅器。
  6. 前記一対のMOSトランジスタの前記グランド側に接続されたMOSトランジスタは、前記直流電源側に接続されたMOSトランジスタの定格電流に比して小さい定格電流のMOSトランジスタであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のD級増幅器。
  7. 電源とグランド間に直列に接続された第1、第2のトランジスタの接続中点を負荷に接続し、前記第1、第2トランジスタを、入力信号に応じて一方をオン、他方をオフとする第1の期間と、前記一方をオフ、他方をオンとする第2の期間と、を交互に繰り返すD級増幅器において、
    前記電源を与える電源回路が、直流電源とグランド間に直列に接続された逆導通型の第1の一対のMOSトランジスタと、前記直流電源と前記グランド間に直列に接続され、前記第1の一対のMOSトランジスタの電流容量より大きい電流容量を有する逆導通型の第2の一対のMOSトランジスタと、前記第1の一対のMOSトランジスタの接続中点と前記第2の一対のMOSトランジスタの接続中点とに一端が接続され他端がグランドに接続された、コイルと平滑コンデンサの直列回路と、前記第1、第2の一対のMOSトランジスタの一対を構成するMOSトランジスタをその一方をオン、他方をオフとする関係でスイッチング制御するPWM信号を前記平滑コンデンサの出力電圧と基準電圧との比較出力に基づいて発生するPWM信号発生回路と、前記D級増幅器の出力量が小さいときは前記第2の一対のMOSトランジスタのいずれのMOSトランジスタもオフとなるように前記第2の一対のMOSトランジスタのゲートを制御するゲート制御回路と、で構成され、前記平滑コンデンサの出力電圧を前記電源とすることを特徴とするD級増幅器。
  8. 電源に接続された第1トランジスタと、第1トランジスタとグランド間に接続された第2トランジスタと、前記電源に接続された第3トランジスタと、第3トランジスタと前記グランド間に接続された第4トランジスタとを具備し、前記第1、第2トランジスタの接続中点と前記第3、第4トランジスタの接続中点との間に負荷を接続し、入力信号に応じて、第1、第4トランジスタをオン、第2、第3トランジスタをオフとする第1の期間と、第1、第4トランジスタをオフ、第2、第3トランジスタをオンとする第2の期間と、を交互に繰り返すD級増幅器において、
    前記電源を与える電源回路が、直流電源とグランド間に直列に接続された逆導通型の第1の一対のMOSトランジスタと、前記直流電源と前記グランド間に直列に接続され、前記第1の一対のMOSトランジスタの電流容量より大きい電流容量を有する逆導通型の第2の一対のMOSトランジスタと、前記第1の一対のMOSトランジスタの接続中点と前記第2の一対のMOSトランジスタの接続中点とに一端が接続され他端がグランドに接続された、コイルと平滑コンデンサの直列回路と、前記第1、第2の一対のMOSトランジスタの一対を構成するMOSトランジスタをその一方をオン、他方をオフとする関係でスイッチング制御するPWM信号を前記平滑コンデンサの出力電圧と基準電圧との比較出力に基づいて発生するPWM信号発生回路と、前記D級増幅器の出力量が小さいときは前記第2の一対のMOSトランジスタのいずれのMOSトランジスタもオフとなるように前記第2の一対のMOSトランジスタのゲートを制御するゲート制御回路と、で構成され、前記平滑コンデンサの出力電圧を前記電源とすることを特徴とするD級増幅器。
  9. 前記第1の一対のMOSトランジスタは、1チップに集積化されたCMOSトランジスタであり、前記第2の一対のMOSトランジスタは、個別のPMOSトランジスタと、NMOSトランジスタと、であることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載のD級増幅器。
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