JP2004146654A - 電子線装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】保護用ウエハをウエハチャックに載置して調整を行う場合も装置のスループットの低下が少ない電子線装置の実現。
【解決手段】真空チャンバ30と、真空チャンバに収容され、試料を載置して保持する絶縁性部材34と、真空チャンバに付属して設けられ、試料の表面に電子ビームを照射する電子ビーム照射機構21とを備える電子線装置であって、真空チャンバ31に収容され、絶縁性部材34に載置する保護板73を保持し、試料を載置していない状態の絶縁性部材に保護板を載置し、絶縁性部材に載置された前記保護板を回収して保持する保護板保持機構70を備える電子線装置。
【選択図】 図3
【解決手段】真空チャンバ30と、真空チャンバに収容され、試料を載置して保持する絶縁性部材34と、真空チャンバに付属して設けられ、試料の表面に電子ビームを照射する電子ビーム照射機構21とを備える電子線装置であって、真空チャンバ31に収容され、絶縁性部材34に載置する保護板73を保持し、試料を載置していない状態の絶縁性部材に保護板を載置し、絶縁性部材に載置された前記保護板を回収して保持する保護板保持機構70を備える電子線装置。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子ビーム露光装置や電子顕微鏡などの、絶縁性部材に保持された試料に電子線(電子ビーム)を照射する電子線装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子ビーム露光装置や電子顕微鏡などの各種の電子線装置が使用されている。
これらの電子線装置では、ステージに保持した試料を所定の位置に移動し、電子ビームを照射する。ステージは、静電チャックなどで試料を保持する必要があり、表面が絶縁性の部材で作られる。本発明は、絶縁性の部材に試料を保持した上で電子線を照射する電子線装置であればどのような装置にも適用可能であるが、ここでは電子ビーム露光装置を例として説明を行うが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0003】
半導体集積回路の集積度は微細加工技術により規定されており、微細加工技術には一層の高性能が要求されている。特に、露光技術においては、ステッパなどに用いられるフォトリソグラフィの技術的な限界が予想されており、一層の微細化を難しくしている。この限界を打ち破る技術として電子ビーム露光技術が注目されている。電子ビーム露光装置では、感光剤(レジスト)を塗布した試料(半導体ウエハ)に電子ビームを照射して所定のパターンを露光する。
【0004】
図1は、従来の電子ビーム露光装置の構成例を示す図であり、この例はブロック露光法による電子ビーム露光装置である。図1に示すように、この電子ビーム露光装置は、コラム10と、真空チャンバ30と、ロードチャンバ42と、プリロードチャンバ45とを有する。コラム10内には、電子銃11と、整形用電磁レンズ12,14と、整形用アパーチャ13と、ブロックパターンを選択するための偏向器15と、ブロックマスク16と、ブロックマスクを通過した電子ビームを光軸に戻すための偏向器17と、アパーチャ18と、偏向器19,20とが設けられている。真空チャンバ30内には、ベース32と移動部材33とウエハチャック34で構成される移動ステージ31と、ロードチャンバ42から未露光ウエハをウエハチャック34上に搬送すると共に露光済みウエハをウエハチャック34からロードチャンバ42に戻すためのウエハ搬送機構50とが設けられている。コラム10内と真空チャンバ30内は高真空状態になっている。コラムの各要素により所望の形状に整形された電子ビームは偏向されて、ウエハチャック34に固定されたウエハ100上の所望の位置に照射される。露光パターンをつなぎ合わせて1チップ(ダイ)分のパターンが露光される。
【0005】
真空チャンバ30又はコラム10には、ウエハ100に照射された電子ビームの反射電子や2次電子を検出するためのセンサ35が設けられており、電子ビームでウエハ上の基準パターンなどを走査した時のセンサ35の出力から基準パターンなどの位置が検出できるようになっている。また、センサ35は、コラムの各要素の調整などに使用される。
【0006】
ウエハ搬送機構50は、ロボットベース51に複数段のアーム52,53,54を設けたロボットアーム機構であり、アームの先端にウエハ100を保持するための静電チャック機構を有する保持部材55が設けられている。
【0007】
真空チャンバ30とロードチャンバ42の間には扉41が設けられ、ロードチャンバ42とプリロードチャンバ45の間には扉44が設けられている。未露光ウエハをウエハチャック34上に搬送する場合には、扉41を閉めた状態でロードチャンバ42内を大気圧状態にしてから扉44を開けて、大気圧状態のプリロードチャンバ45から未露光ウエハを、ロードチャンバ42内の保持台上に搬送する。次に扉44を閉めてロードチャンバ42内を真空状態にしてから扉41を開け、ウエハ搬送機構50により未露光ウエハを取り上げて破線の部分に移動しているウエハチャック34上に搬送する。ウエハチャック34上の露光済みウエハをプリロードチャンバ45に戻す時には、逆の動作を行う。
【0008】
電子ビーム露光装置については、広く知られているので、ここではこれ以上の説明を省略し、本発明に直接関係する点についてのみ更に説明する。
【0009】
ウエハチャック34は真空状態に配置されるので、半導体製造装置で広く使用される真空チャックは使用できず、ウエハ100を固定するために静電チャック機構が使用される。静電チャック機構は、絶縁性の表面の下に電極を設けて高電圧を印加することによりウエハを固定する。そのため、ウエハチャックは絶縁性のセラミックなどで作られる。また、露光装置に使用されるウエハチャックは非常に高精度であることと熱膨張が非常に小さいことが要求されるので、このような要求を満たすためにも、ウエハチャックはセラミックなどで作られるのが一般的である。
【0010】
電子線(電子ビーム)は電子の流れであり、絶縁性の部分に照射すると、その部分に電子が蓄積され、不用な電界を発生して、露光パターンを劣化させるという問題を発生する。また、近接露光の場合、帯電の影響からマスク・メンブレンが吸着、剥離されてしまうという問題も発生する。ウエハは半導体であり、電子ビームを照射しても表面に電荷が蓄積されることはない。しかし、ウエハの裏面は酸化されて、絶縁性の酸化ケイ素の層が形成されており、ウエハをセラミックで作られたウエハチャック上に載置して電子ビームを照射すると、ウエハに電荷(電子)が蓄積される。そこで、ウエハの裏面以外の部分をグランドに接続することが行われる。ブロック露光方式の電子ビーム露光装置などでは、グランドに接続された端子をウエハの表面に接触させている。
【0011】
電子ビーム露光装置は、スループットが低いことが大きな問題であり、米国特許5831272号(日本特許第2951947号)は、そのような問題を解決する高スループットの電子ビーム近接露光装置を開示している。電子ビーム近接露光装置では後述するように、露光パターンと同一の開口パターンを有する露光マスクをウエハに非常に近接して配置する必要がある。そのため、電子ビーム近接露光装置では、上記のように端子をウエハの表面に接触させるのが難しい。そこで、図2に示すように、ウエハチャック34内に、グランドに接続された針61をウエハの裏面から押し当てる裏面導通機構を設け、ウエハ100をウエハチャック34の表面に固定した状態で針61をウエハ100の裏面に押し当て、針61の先端がウエハ100の裏面の絶縁層を破って内部に接触するようにしている。図示の機構では、ウエハチャック34の表面に穴64を設け、針61を取り付けたネジ部材62が駆動機構63により回転して上下移動する機構を穴64に設ける。実際にはウエハ100を抑える機構なども設けられるが、ここでは図示を省略している。また、図示のような機構でなく、針の先端でウエハの裏面を引っ掻いて絶縁層を除去して内部に接触する機構や、外部からのアクチュエータにより駆動する機構などがある。
【0012】
【特許文献1】
特許第2951947号(全体)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
電子ビーム露光装置は、コラムの各要素の状態が時間と共に変化する場合がある。そこで、所望の状態を維持するように、コラムの各要素を随時調整することが行われる。このような調整の中には、電子ビームを出射した状態で行うものもある。図1に示すように、コラムの下側には移動ステージが配置されており、電子ビームを出射すると電子ビームが移動ステージの一部、例えばウエハチャック34の表面に照射されることになる。上記のように、ウエハチャック34の表面に電子ビームを照射すると電荷(電子)がウエハチャック34の表面に蓄積されるという問題を発生する。そこで、上記のような調整を行う場合には、保護用ウエハを載置したウエハチャック34をコラムの下側に移動した状態で電子ビームを出射して調整を行うようにしている。
【0014】
上記のような調整は、電子ビーム露光装置の稼動中に随時行う必要があり、その場合には、ウエハチャック34をウエハ受け渡し位置に移動した上でウエハを回収し、その後保護用ウエハをウエハチャック34上に載置し、ウエハチャック34をコラムの下側に移動させる。そして調整が終了すると、再びウエハチャック34をウエハ受け渡し位置に移動した上で保護用ウエハを回収し、その後露光するウエハをウエハチャック34上に載置し、ウエハチャック34をコラムの下側に移動させた後、露光を再開する。上記の動作において、回収されたウエハは一旦ロードチャンバ42内に移動された後更にプリロードチャンバ45に移動される。次に、保護用ウエハはプリロードチャンバ45からロードチャンバ42内に移動され、更にロードチャンバ42からウエハチャック34に載置される。保護用ウエハを回収して露光するウエハをウエハチャック34に載置する場合も同様の動作が行われる。このように、保護用ウエハをウエハチャック34に載置して回収するには、ロードチャンバ42を何度も真空状態と大気圧状態の間で変化させる必要がある。ロードチャンバ42内の状態を真空状態と大気圧状態の間で変化させるにはかなりの時間を要する。従って、保護用ウエハをウエハチャック34に載置して調整を行うには長時間を要することになり、その分装置のスループットが低下するという問題を生じる。
【0015】
また、電子ビーム露光装置では内部のクリーン度が重要であり、例えばウエハチャック34の表面にパーティクルと呼ばれる小さなゴミが付着すると露光精度を低下させる。調整作業のためにウエハをプリロードチャンバに移動して保護用ウエハを真空チャンバ内に入れる場合、外部からパーティクルが真空チャンバ内に入る可能性が高くなるという問題がある。この問題は近接露光方式の場合には非常に重要である。
【0016】
このような問題は、電子ビーム露光装置に限らず、絶縁性のステージ表面を有する装置において電子線を照射しながら調整を行う場合には発生する。
【0017】
本発明は、保護用ウエハをウエハチャックに載置して調整を行う場合も、装置のスループットの低下が少ない電子線装置の実現を目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を実現するため、本発明の電子線装置は、あらかじめ真空チャンバ内に保護用部材(保護用ウエハ)を保持する保持機構を設けておき、調整を行う時には真空チャンバ内で試料を退避させ、保護用部材を絶縁性部材(移動ステージ)に載置する。調整が終了すると、保護用部材を保持機構に戻し、退避させた試料を再び移動ステージに載置する。なお、試料を退避する必要がない場合には、保護用部材を直ちに移動ステージに載置する。
【0019】
すなわち、本発明の電子線装置は、真空チャンバと、前記真空チャンバに収容され、試料を載置して保持する絶縁性部材と、前記真空チャンバに付属して設けられ、前記試料の表面に電子ビームを照射する電子ビーム照射機構とを備える電子線装置であって、前記真空チャンバに収容され、前記絶縁性部材に載置する保護板を保持し、前記試料を載置していない状態の前記絶縁性部材に前記保護板を載置し、前記絶縁性部材に載置された前記保護板を回収して保持する保護板保持機構を備えることを特徴とする。
【0020】
本発明の電子線装置は、真空チャンバ内に保護板を保持しているので、絶縁性部材に保護板を載置し、調整終了後保護板を回収する動作を短時間に行うことができる。
【0021】
保護板は、保持の点からは試料と同じ形状であることが望ましいが、単に保護する役割を行うだけであるので、試料とまったく同じ必要はない。例えば、半導体ウエハの替わりに同じ形状の金属板を使用すれば保護板の接地が容易に行える。半導体ウエハを使用する場合には、表面は導電性であるが裏面は絶縁性であるから、絶縁性部材は載置された保護板の導電性の表面を接地する接地機構を備える必要がある。上記の近接露光方式の電子ビーム露光装置の場合には、接地機構は図2に示すような裏面導通機構で実現できる。
【0022】
電子線装置には、絶縁性部材に保持されている試料を一時的に退避させるための試料退避機構を設けることが望ましい。
【0023】
なお、電子ビーム近接露光装置では、ステージに保持された試料だけでなく、露光マスクをマスクステージに保持して搬送し、ステージ上のウエハに近接して配置する。上記のような調整を行う時、電子ビームをマスクを通してウエハに照射するのでは調整が行えない。そこで、調整時にはマスクを退避させるが、マスクがないためセラミックなどで作られた絶縁性のマスクステージに反射電子や2次電子が当たり電荷が蓄積されるという問題が生じる。そこで、電子ビームが通過する穴を有する保護マスクを真空チャンバ内に保持する保護マスク保持機構と、露光マスクを一時的に退避させるための試料退避機構を設けることが望ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】
図3は、本発明の実施例の近接露光方式の電子ビーム露光装置の構成を示す図である。図1の従来の電子ビーム露光装置とは、コラム21内の構成が異なると共に、真空チャンバ30に、保護板75を保持する保護板保持機構71,72と、更に露光マスク200を搬送する機構と、保護マスク92を保持する保護マスク保持機構が設けられている点が異なる。従って、異なる部分につてのみ説明する。
【0025】
米国特許5831272号に開示された電子ビーム近接露光装置は、露光するパターンと同一の開口パターンを有する露光マスク200をウエハ200に近接して配置し、露光マスク200に電子ビームを照射して露光マスク200のパターンを転写する方式であり、高スループットであると共に、コラムは単に電子ビームを露光マスクに照射するだけであるので、コラムの構成が非常に簡単で低コストであるという特徴を有する。
【0026】
図1に示すように、実施例のコラム21は、電子ビームを発生する電子ビーム源22と、電子ビームを収束する収束レンズ23と、整形用アパーチャ24と、平行ビームにする照射レンズ25と、2つの偏向器26,27で構成され、電子ビームを偏向した後再び光軸に平行なビームに戻す主偏向器と、2つの偏向器26,27で構成され、電子ビームの露光マスクへの入射角を調整するための副偏向器と、露光マスク200が設けられている。露光マスク200は交換する必要があり、露光マスク200を保持して搬送するマスクステージ91と、露光マスクを200をマスクロードチャンバ97とマスクステージ91の間で搬送するマスク用ロボットアーム95とが更に設けられている。真空チャンバ30とマスクロードチャンバ97の間には扉96が設けられている。露光用マスクを交換する場合の動作は、ウエハと同じであるので説明は省略する。
【0027】
また、他にも露光マスクとウエハ上のダイとの位置合わせ機構や反射電子及び2次電子を検出するセンサなどが設けられているがここでは図示を省略している。
【0028】
図示のように、真空チャンバ30内のウエハ受け渡し位置に移動したウエハチャック34の上方には、保護板保持機構70が設けられている。保護板保持機構70は、静電吸着により保護板73を保持する保持板72と、保持板72を上下方向に移動する保護板移動機構71を有する。保持板72を下方向に移動して静電吸着を解除することにより保護板73をウエハチャック34上に載置することができる。ウエハチャック34上の保持板72を回収するには、保持板72を載置したウエハチャック34をウエハ受け渡し位置に移動して静電吸着を解除する。そして、保持板72を下方向に移動して保持板72に接触させ、静電吸着により保持して上方に移動する。なお、保持板72は、ばねなどにより静電吸着が解除されても保護板73を保持するように構成され、保護板73を離す時にはばねなどを解除した後静電吸着を解除することが望ましい。これにより、保護板73を保持している間静電吸着を動作させる必要がないので省電力化が可能であると共に、電源が切れた場合でも保護板73を保持し続けることが可能である。
【0029】
また、ウエハチャック34には、図2に示すような裏面導通機構が設けられている。
【0030】
図示のように、真空チャンバ30内のマスク受け渡し位置の下側には保護マスク保持機構93が設けられている。保護マスク保持機構93は、静電吸着により保護マスク93を保持するマスク保持板と、マスク保持板を上下方向に移動する移動機構を有する。保持マスク92を上方向に移動してマスクステージに保持した後保護マスク保持機構93の静電吸着を解除することにより保護マスク93をマスクステージ91に固定することができる。保護マスク93を回収する時には逆の動作を行う。
【0031】
図4は、保護マスク92の形状を示す図であり、(A)は上面図を、(B)は断面図を示す。図4に示すように、保護マスク92通常のマスクと同じ外形形状を有するが、パターンの部分に電子ビームが通過するのに十分な大きさの穴94が設けられている。
【0032】
コラムの調整を行う場合には、ウエハ100を保持したウエハチャック34をウエハ受け渡し位置に移動して静電吸着を解除し、ウエハ搬送機構50がウエハ100を保持して退避させる。次に、保持板72を降下させてウエハチャック34に保護板73を載置し、ウエハチャック34をコラムの下に移動する。この動作と並行して、露光用マスク200をマスク受け渡し位置に移動してマスク用ロボットアーム95に渡し、退避させる。次に、保護マスク92を上昇させてマスクステージ91に保持し、コラム21の下側部分に移動させる。
【0033】
この状態で調整を行う。調整は、電子ビームを保護マスク92の穴94を通過させて保護板73に照射し、図示していないセンサで反射電子や2次電子を検出することにより行う。この調整では、例えば電子ビームの電流を検出したり、電子ビームの照射位置や傾きを調整する光軸調整などを行う。
【0034】
調整が終了すると、ウエハチャック34をウエハ受け渡し位置に移動して保持板72が保護板73を保持して上方に移動する。その後、ウエハ搬送機構50が保持しているウエハ100をウエハチャック34に載置して露光位置に移動する。それと共に、保護マスク92をマスク受け渡し位置に移動して保護マスク92を保護マスク保持機構93に渡し、マスク用ロボットアーム95に保持されている露光用マスク200をマスクステージに渡してコラムの下側に移動する。そして位置合わせなどが終了すると、露光動作を再開する。従って、調整動作のためにウエハチャック34に保護板73を載置する場合でも、ウエハ又は保護板82をロードチャンバ42に移動させる必要がなく、更に露光用マスク及び保護マスクをマスクロードチャンバ97に移動させる必要がなく、動作時間を短くできる。
【0035】
図5は、他の実施例の電子ビーム露光装置の上面図である。参照番号10はコラムを示し、このコラムはブロック露光用でも近接露光用でもよい。参照番号34は、ウエハ受け渡し位置に移動したウエハチャックを示す。この実施例では、保護板83を載置して保持する台81と、ウエハを一時的に保持する台83が設けられている。ウエハ搬送機構50は、ウエハ受け渡し位置に移動したウエハチャック34と、ロードチャンバ42内の台43と、台81,83との間で、ウエハ又は保護板82を搬送できる。保護板83をウエハチャック34に載置する場合には、ウエハ搬送機構50によりウエハチャック34上のウエハ100を一時的に台83に退避させた後、台81から保護板83をウエハチャック34に載置する。調整が終了したら、保護板83をウエハチャック34から台81に移動し、台83に退避させたウエハ100をウエハチャック34に戻す。
【0036】
なお、この実施例では、マスクについては示していないが、近接露光用であれば、マスク及び保護マスクについてもウエハ及び保護板と同様の機構を設ける。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、保護用ウエハをウエハチャックに載置して調整を行う場合も、保護用ウエハをウエハチャックに載置する動作及び回収する動作が短時間に行えるので、装置のスループットの低下が少ないという効果を奏する。
【0038】
更に、調整を行なう場合、真空チャンバと外部との間でウエハや保護ウエハを移動させる必要がないので、パーティクルが真空チャンバ内に入る可能性も低くなるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のブロック露光方式の電子ビーム露光装置の構成を示す図である。
【図2】近接露光方式の電子ビーム露光装置で使用する裏面導通機構を示す図である。
【図3】近接露光方式の電子ビーム露光装置に本発明を適用した実施例の装置の構成を示す図である。
【図4】実施例の電子ビーム露光装置で使用する保護マスクの形状を示す図である。
【図5】他の実施例の電子ビーム露光装置の上面図である。
【符号の説明】
21…コラム
22…電子ビーム源
30…真空チャンバ
30…真空チャンバ
70…保護板保持機構
72…保持板
73…保護板
100…ウエハ(試料)
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子ビーム露光装置や電子顕微鏡などの、絶縁性部材に保持された試料に電子線(電子ビーム)を照射する電子線装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子ビーム露光装置や電子顕微鏡などの各種の電子線装置が使用されている。
これらの電子線装置では、ステージに保持した試料を所定の位置に移動し、電子ビームを照射する。ステージは、静電チャックなどで試料を保持する必要があり、表面が絶縁性の部材で作られる。本発明は、絶縁性の部材に試料を保持した上で電子線を照射する電子線装置であればどのような装置にも適用可能であるが、ここでは電子ビーム露光装置を例として説明を行うが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0003】
半導体集積回路の集積度は微細加工技術により規定されており、微細加工技術には一層の高性能が要求されている。特に、露光技術においては、ステッパなどに用いられるフォトリソグラフィの技術的な限界が予想されており、一層の微細化を難しくしている。この限界を打ち破る技術として電子ビーム露光技術が注目されている。電子ビーム露光装置では、感光剤(レジスト)を塗布した試料(半導体ウエハ)に電子ビームを照射して所定のパターンを露光する。
【0004】
図1は、従来の電子ビーム露光装置の構成例を示す図であり、この例はブロック露光法による電子ビーム露光装置である。図1に示すように、この電子ビーム露光装置は、コラム10と、真空チャンバ30と、ロードチャンバ42と、プリロードチャンバ45とを有する。コラム10内には、電子銃11と、整形用電磁レンズ12,14と、整形用アパーチャ13と、ブロックパターンを選択するための偏向器15と、ブロックマスク16と、ブロックマスクを通過した電子ビームを光軸に戻すための偏向器17と、アパーチャ18と、偏向器19,20とが設けられている。真空チャンバ30内には、ベース32と移動部材33とウエハチャック34で構成される移動ステージ31と、ロードチャンバ42から未露光ウエハをウエハチャック34上に搬送すると共に露光済みウエハをウエハチャック34からロードチャンバ42に戻すためのウエハ搬送機構50とが設けられている。コラム10内と真空チャンバ30内は高真空状態になっている。コラムの各要素により所望の形状に整形された電子ビームは偏向されて、ウエハチャック34に固定されたウエハ100上の所望の位置に照射される。露光パターンをつなぎ合わせて1チップ(ダイ)分のパターンが露光される。
【0005】
真空チャンバ30又はコラム10には、ウエハ100に照射された電子ビームの反射電子や2次電子を検出するためのセンサ35が設けられており、電子ビームでウエハ上の基準パターンなどを走査した時のセンサ35の出力から基準パターンなどの位置が検出できるようになっている。また、センサ35は、コラムの各要素の調整などに使用される。
【0006】
ウエハ搬送機構50は、ロボットベース51に複数段のアーム52,53,54を設けたロボットアーム機構であり、アームの先端にウエハ100を保持するための静電チャック機構を有する保持部材55が設けられている。
【0007】
真空チャンバ30とロードチャンバ42の間には扉41が設けられ、ロードチャンバ42とプリロードチャンバ45の間には扉44が設けられている。未露光ウエハをウエハチャック34上に搬送する場合には、扉41を閉めた状態でロードチャンバ42内を大気圧状態にしてから扉44を開けて、大気圧状態のプリロードチャンバ45から未露光ウエハを、ロードチャンバ42内の保持台上に搬送する。次に扉44を閉めてロードチャンバ42内を真空状態にしてから扉41を開け、ウエハ搬送機構50により未露光ウエハを取り上げて破線の部分に移動しているウエハチャック34上に搬送する。ウエハチャック34上の露光済みウエハをプリロードチャンバ45に戻す時には、逆の動作を行う。
【0008】
電子ビーム露光装置については、広く知られているので、ここではこれ以上の説明を省略し、本発明に直接関係する点についてのみ更に説明する。
【0009】
ウエハチャック34は真空状態に配置されるので、半導体製造装置で広く使用される真空チャックは使用できず、ウエハ100を固定するために静電チャック機構が使用される。静電チャック機構は、絶縁性の表面の下に電極を設けて高電圧を印加することによりウエハを固定する。そのため、ウエハチャックは絶縁性のセラミックなどで作られる。また、露光装置に使用されるウエハチャックは非常に高精度であることと熱膨張が非常に小さいことが要求されるので、このような要求を満たすためにも、ウエハチャックはセラミックなどで作られるのが一般的である。
【0010】
電子線(電子ビーム)は電子の流れであり、絶縁性の部分に照射すると、その部分に電子が蓄積され、不用な電界を発生して、露光パターンを劣化させるという問題を発生する。また、近接露光の場合、帯電の影響からマスク・メンブレンが吸着、剥離されてしまうという問題も発生する。ウエハは半導体であり、電子ビームを照射しても表面に電荷が蓄積されることはない。しかし、ウエハの裏面は酸化されて、絶縁性の酸化ケイ素の層が形成されており、ウエハをセラミックで作られたウエハチャック上に載置して電子ビームを照射すると、ウエハに電荷(電子)が蓄積される。そこで、ウエハの裏面以外の部分をグランドに接続することが行われる。ブロック露光方式の電子ビーム露光装置などでは、グランドに接続された端子をウエハの表面に接触させている。
【0011】
電子ビーム露光装置は、スループットが低いことが大きな問題であり、米国特許5831272号(日本特許第2951947号)は、そのような問題を解決する高スループットの電子ビーム近接露光装置を開示している。電子ビーム近接露光装置では後述するように、露光パターンと同一の開口パターンを有する露光マスクをウエハに非常に近接して配置する必要がある。そのため、電子ビーム近接露光装置では、上記のように端子をウエハの表面に接触させるのが難しい。そこで、図2に示すように、ウエハチャック34内に、グランドに接続された針61をウエハの裏面から押し当てる裏面導通機構を設け、ウエハ100をウエハチャック34の表面に固定した状態で針61をウエハ100の裏面に押し当て、針61の先端がウエハ100の裏面の絶縁層を破って内部に接触するようにしている。図示の機構では、ウエハチャック34の表面に穴64を設け、針61を取り付けたネジ部材62が駆動機構63により回転して上下移動する機構を穴64に設ける。実際にはウエハ100を抑える機構なども設けられるが、ここでは図示を省略している。また、図示のような機構でなく、針の先端でウエハの裏面を引っ掻いて絶縁層を除去して内部に接触する機構や、外部からのアクチュエータにより駆動する機構などがある。
【0012】
【特許文献1】
特許第2951947号(全体)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
電子ビーム露光装置は、コラムの各要素の状態が時間と共に変化する場合がある。そこで、所望の状態を維持するように、コラムの各要素を随時調整することが行われる。このような調整の中には、電子ビームを出射した状態で行うものもある。図1に示すように、コラムの下側には移動ステージが配置されており、電子ビームを出射すると電子ビームが移動ステージの一部、例えばウエハチャック34の表面に照射されることになる。上記のように、ウエハチャック34の表面に電子ビームを照射すると電荷(電子)がウエハチャック34の表面に蓄積されるという問題を発生する。そこで、上記のような調整を行う場合には、保護用ウエハを載置したウエハチャック34をコラムの下側に移動した状態で電子ビームを出射して調整を行うようにしている。
【0014】
上記のような調整は、電子ビーム露光装置の稼動中に随時行う必要があり、その場合には、ウエハチャック34をウエハ受け渡し位置に移動した上でウエハを回収し、その後保護用ウエハをウエハチャック34上に載置し、ウエハチャック34をコラムの下側に移動させる。そして調整が終了すると、再びウエハチャック34をウエハ受け渡し位置に移動した上で保護用ウエハを回収し、その後露光するウエハをウエハチャック34上に載置し、ウエハチャック34をコラムの下側に移動させた後、露光を再開する。上記の動作において、回収されたウエハは一旦ロードチャンバ42内に移動された後更にプリロードチャンバ45に移動される。次に、保護用ウエハはプリロードチャンバ45からロードチャンバ42内に移動され、更にロードチャンバ42からウエハチャック34に載置される。保護用ウエハを回収して露光するウエハをウエハチャック34に載置する場合も同様の動作が行われる。このように、保護用ウエハをウエハチャック34に載置して回収するには、ロードチャンバ42を何度も真空状態と大気圧状態の間で変化させる必要がある。ロードチャンバ42内の状態を真空状態と大気圧状態の間で変化させるにはかなりの時間を要する。従って、保護用ウエハをウエハチャック34に載置して調整を行うには長時間を要することになり、その分装置のスループットが低下するという問題を生じる。
【0015】
また、電子ビーム露光装置では内部のクリーン度が重要であり、例えばウエハチャック34の表面にパーティクルと呼ばれる小さなゴミが付着すると露光精度を低下させる。調整作業のためにウエハをプリロードチャンバに移動して保護用ウエハを真空チャンバ内に入れる場合、外部からパーティクルが真空チャンバ内に入る可能性が高くなるという問題がある。この問題は近接露光方式の場合には非常に重要である。
【0016】
このような問題は、電子ビーム露光装置に限らず、絶縁性のステージ表面を有する装置において電子線を照射しながら調整を行う場合には発生する。
【0017】
本発明は、保護用ウエハをウエハチャックに載置して調整を行う場合も、装置のスループットの低下が少ない電子線装置の実現を目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を実現するため、本発明の電子線装置は、あらかじめ真空チャンバ内に保護用部材(保護用ウエハ)を保持する保持機構を設けておき、調整を行う時には真空チャンバ内で試料を退避させ、保護用部材を絶縁性部材(移動ステージ)に載置する。調整が終了すると、保護用部材を保持機構に戻し、退避させた試料を再び移動ステージに載置する。なお、試料を退避する必要がない場合には、保護用部材を直ちに移動ステージに載置する。
【0019】
すなわち、本発明の電子線装置は、真空チャンバと、前記真空チャンバに収容され、試料を載置して保持する絶縁性部材と、前記真空チャンバに付属して設けられ、前記試料の表面に電子ビームを照射する電子ビーム照射機構とを備える電子線装置であって、前記真空チャンバに収容され、前記絶縁性部材に載置する保護板を保持し、前記試料を載置していない状態の前記絶縁性部材に前記保護板を載置し、前記絶縁性部材に載置された前記保護板を回収して保持する保護板保持機構を備えることを特徴とする。
【0020】
本発明の電子線装置は、真空チャンバ内に保護板を保持しているので、絶縁性部材に保護板を載置し、調整終了後保護板を回収する動作を短時間に行うことができる。
【0021】
保護板は、保持の点からは試料と同じ形状であることが望ましいが、単に保護する役割を行うだけであるので、試料とまったく同じ必要はない。例えば、半導体ウエハの替わりに同じ形状の金属板を使用すれば保護板の接地が容易に行える。半導体ウエハを使用する場合には、表面は導電性であるが裏面は絶縁性であるから、絶縁性部材は載置された保護板の導電性の表面を接地する接地機構を備える必要がある。上記の近接露光方式の電子ビーム露光装置の場合には、接地機構は図2に示すような裏面導通機構で実現できる。
【0022】
電子線装置には、絶縁性部材に保持されている試料を一時的に退避させるための試料退避機構を設けることが望ましい。
【0023】
なお、電子ビーム近接露光装置では、ステージに保持された試料だけでなく、露光マスクをマスクステージに保持して搬送し、ステージ上のウエハに近接して配置する。上記のような調整を行う時、電子ビームをマスクを通してウエハに照射するのでは調整が行えない。そこで、調整時にはマスクを退避させるが、マスクがないためセラミックなどで作られた絶縁性のマスクステージに反射電子や2次電子が当たり電荷が蓄積されるという問題が生じる。そこで、電子ビームが通過する穴を有する保護マスクを真空チャンバ内に保持する保護マスク保持機構と、露光マスクを一時的に退避させるための試料退避機構を設けることが望ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】
図3は、本発明の実施例の近接露光方式の電子ビーム露光装置の構成を示す図である。図1の従来の電子ビーム露光装置とは、コラム21内の構成が異なると共に、真空チャンバ30に、保護板75を保持する保護板保持機構71,72と、更に露光マスク200を搬送する機構と、保護マスク92を保持する保護マスク保持機構が設けられている点が異なる。従って、異なる部分につてのみ説明する。
【0025】
米国特許5831272号に開示された電子ビーム近接露光装置は、露光するパターンと同一の開口パターンを有する露光マスク200をウエハ200に近接して配置し、露光マスク200に電子ビームを照射して露光マスク200のパターンを転写する方式であり、高スループットであると共に、コラムは単に電子ビームを露光マスクに照射するだけであるので、コラムの構成が非常に簡単で低コストであるという特徴を有する。
【0026】
図1に示すように、実施例のコラム21は、電子ビームを発生する電子ビーム源22と、電子ビームを収束する収束レンズ23と、整形用アパーチャ24と、平行ビームにする照射レンズ25と、2つの偏向器26,27で構成され、電子ビームを偏向した後再び光軸に平行なビームに戻す主偏向器と、2つの偏向器26,27で構成され、電子ビームの露光マスクへの入射角を調整するための副偏向器と、露光マスク200が設けられている。露光マスク200は交換する必要があり、露光マスク200を保持して搬送するマスクステージ91と、露光マスクを200をマスクロードチャンバ97とマスクステージ91の間で搬送するマスク用ロボットアーム95とが更に設けられている。真空チャンバ30とマスクロードチャンバ97の間には扉96が設けられている。露光用マスクを交換する場合の動作は、ウエハと同じであるので説明は省略する。
【0027】
また、他にも露光マスクとウエハ上のダイとの位置合わせ機構や反射電子及び2次電子を検出するセンサなどが設けられているがここでは図示を省略している。
【0028】
図示のように、真空チャンバ30内のウエハ受け渡し位置に移動したウエハチャック34の上方には、保護板保持機構70が設けられている。保護板保持機構70は、静電吸着により保護板73を保持する保持板72と、保持板72を上下方向に移動する保護板移動機構71を有する。保持板72を下方向に移動して静電吸着を解除することにより保護板73をウエハチャック34上に載置することができる。ウエハチャック34上の保持板72を回収するには、保持板72を載置したウエハチャック34をウエハ受け渡し位置に移動して静電吸着を解除する。そして、保持板72を下方向に移動して保持板72に接触させ、静電吸着により保持して上方に移動する。なお、保持板72は、ばねなどにより静電吸着が解除されても保護板73を保持するように構成され、保護板73を離す時にはばねなどを解除した後静電吸着を解除することが望ましい。これにより、保護板73を保持している間静電吸着を動作させる必要がないので省電力化が可能であると共に、電源が切れた場合でも保護板73を保持し続けることが可能である。
【0029】
また、ウエハチャック34には、図2に示すような裏面導通機構が設けられている。
【0030】
図示のように、真空チャンバ30内のマスク受け渡し位置の下側には保護マスク保持機構93が設けられている。保護マスク保持機構93は、静電吸着により保護マスク93を保持するマスク保持板と、マスク保持板を上下方向に移動する移動機構を有する。保持マスク92を上方向に移動してマスクステージに保持した後保護マスク保持機構93の静電吸着を解除することにより保護マスク93をマスクステージ91に固定することができる。保護マスク93を回収する時には逆の動作を行う。
【0031】
図4は、保護マスク92の形状を示す図であり、(A)は上面図を、(B)は断面図を示す。図4に示すように、保護マスク92通常のマスクと同じ外形形状を有するが、パターンの部分に電子ビームが通過するのに十分な大きさの穴94が設けられている。
【0032】
コラムの調整を行う場合には、ウエハ100を保持したウエハチャック34をウエハ受け渡し位置に移動して静電吸着を解除し、ウエハ搬送機構50がウエハ100を保持して退避させる。次に、保持板72を降下させてウエハチャック34に保護板73を載置し、ウエハチャック34をコラムの下に移動する。この動作と並行して、露光用マスク200をマスク受け渡し位置に移動してマスク用ロボットアーム95に渡し、退避させる。次に、保護マスク92を上昇させてマスクステージ91に保持し、コラム21の下側部分に移動させる。
【0033】
この状態で調整を行う。調整は、電子ビームを保護マスク92の穴94を通過させて保護板73に照射し、図示していないセンサで反射電子や2次電子を検出することにより行う。この調整では、例えば電子ビームの電流を検出したり、電子ビームの照射位置や傾きを調整する光軸調整などを行う。
【0034】
調整が終了すると、ウエハチャック34をウエハ受け渡し位置に移動して保持板72が保護板73を保持して上方に移動する。その後、ウエハ搬送機構50が保持しているウエハ100をウエハチャック34に載置して露光位置に移動する。それと共に、保護マスク92をマスク受け渡し位置に移動して保護マスク92を保護マスク保持機構93に渡し、マスク用ロボットアーム95に保持されている露光用マスク200をマスクステージに渡してコラムの下側に移動する。そして位置合わせなどが終了すると、露光動作を再開する。従って、調整動作のためにウエハチャック34に保護板73を載置する場合でも、ウエハ又は保護板82をロードチャンバ42に移動させる必要がなく、更に露光用マスク及び保護マスクをマスクロードチャンバ97に移動させる必要がなく、動作時間を短くできる。
【0035】
図5は、他の実施例の電子ビーム露光装置の上面図である。参照番号10はコラムを示し、このコラムはブロック露光用でも近接露光用でもよい。参照番号34は、ウエハ受け渡し位置に移動したウエハチャックを示す。この実施例では、保護板83を載置して保持する台81と、ウエハを一時的に保持する台83が設けられている。ウエハ搬送機構50は、ウエハ受け渡し位置に移動したウエハチャック34と、ロードチャンバ42内の台43と、台81,83との間で、ウエハ又は保護板82を搬送できる。保護板83をウエハチャック34に載置する場合には、ウエハ搬送機構50によりウエハチャック34上のウエハ100を一時的に台83に退避させた後、台81から保護板83をウエハチャック34に載置する。調整が終了したら、保護板83をウエハチャック34から台81に移動し、台83に退避させたウエハ100をウエハチャック34に戻す。
【0036】
なお、この実施例では、マスクについては示していないが、近接露光用であれば、マスク及び保護マスクについてもウエハ及び保護板と同様の機構を設ける。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、保護用ウエハをウエハチャックに載置して調整を行う場合も、保護用ウエハをウエハチャックに載置する動作及び回収する動作が短時間に行えるので、装置のスループットの低下が少ないという効果を奏する。
【0038】
更に、調整を行なう場合、真空チャンバと外部との間でウエハや保護ウエハを移動させる必要がないので、パーティクルが真空チャンバ内に入る可能性も低くなるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のブロック露光方式の電子ビーム露光装置の構成を示す図である。
【図2】近接露光方式の電子ビーム露光装置で使用する裏面導通機構を示す図である。
【図3】近接露光方式の電子ビーム露光装置に本発明を適用した実施例の装置の構成を示す図である。
【図4】実施例の電子ビーム露光装置で使用する保護マスクの形状を示す図である。
【図5】他の実施例の電子ビーム露光装置の上面図である。
【符号の説明】
21…コラム
22…電子ビーム源
30…真空チャンバ
30…真空チャンバ
70…保護板保持機構
72…保持板
73…保護板
100…ウエハ(試料)
Claims (7)
- 真空チャンバと、
前記真空チャンバに収容され、試料を載置して保持する絶縁性部材と、
前記真空チャンバに付属して設けられ、前記試料の表面に電子ビームを照射する電子ビーム照射機構とを備える電子線装置であって、
前記真空チャンバに収容され、前記絶縁性部材に載置する保護板を保持し、前記試料を載置していない状態の前記絶縁性部材に前記保護板を載置し、前記絶縁性部材に載置された前記保護板を回収して保持する保護板保持機構を備えることを特徴とする電子線装置。 - 請求項1に記載の電子線装置であって、
前記保護板は、表面が導電性であり、
前記絶縁性部材は、載置された前記保護板の前記導電性の表面を接地する接地機構を備える電子線装置。 - 請求項2に記載の電子線装置であって、
前記保護板は、裏面が絶縁性で、表面及び内部が導電性の半導体ウエハであり、
前記接地機構は、接地された導電性の針を備え、前記半導体ウエハの裏面の絶縁性の膜を破るように突き当てる電子線装置。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の電子線装置であって、
前記真空チャンバに、前記試料を一時的に退避させて保持する試料退避機構を備える電子線装置。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の電子線装置であって、
当該電子線装置は、前記試料の表面に近接して配置するマスクを保持するマスクステージを備える電子ビーム近接露光装置であり、
前記真空チャンバに収容され、前記マスクステージに載置する保護マスクを保持し、前記マスクを載置していない状態の前記マスクステージに前記保護マスクを載置し、前記マスクステージに載置された前記保護マスクを回収して保持する保護マスク保持機構を備える電子線装置。 - 請求項5に記載の電子線装置であって、
前記真空チャンバに、前記マスクを一時的に退避させて保持するマスク退避機構を備える電子線装置。 - 請求項5に記載の電子線装置であって、
前記保護マスクは、前記電子ビームが通過するのに十分な大きさの穴を中心部に有する電子線装置。
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JP2009124081A (ja) * | 2007-11-19 | 2009-06-04 | Sii Nanotechnology Inc | ウエハアース機構及び試料作製装置 |
JP2022546219A (ja) * | 2019-08-28 | 2022-11-04 | エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. | ウェーハ接地のための方法、装置、及びシステム |
-
2002
- 2002-10-25 JP JP2002310871A patent/JP2004146654A/ja active Pending
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