JP2004146013A - 光ピックアップ及びそれを用いた光学的情報再生装置 - Google Patents

光ピックアップ及びそれを用いた光学的情報再生装置 Download PDF

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泉 克彦
Tomohito Kawamura
川村 友人
Yukinobu Tada
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Abstract

【課題】光ディスクのディスク欠陥に対して、ディスク欠陥があった場合においてもサーボ系への影響が小さく、ディスク欠陥に強い光ピックアップ及びそれを用いた光ディスク装置を実現する。
【解決手段】上記の課題を解決する手段として、3ビームを用いた光ピックアップにおいて、+1次光あるいは−1次光もしくは両方が照射される光検出器の受光領域からの出力によりディスク欠陥部分を判別し、ディスク欠陥があった場合にはフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号をホールド回路によりホールドするようにする。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光学的情報記録媒体(以下、光ディスクと記す)に記録された情報信号を再生するために用いられる光ピックアップ及びそれを用いた光学的情報再生装置(以下、光ディスク装置と記す)に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスク装置は、非接触、大容量、高速アクセス、低コストメディアを特徴とする情報記録再生装置として普及しているが、情報の記録容量や波長の違いによって様々な種類の光ディスクが存在している。例えばCD−ROMやCD−Rなどでは12cmの光ディスクに780nm帯のレーザ光を用いることにより記憶容量650MBを実現しており、DVD−ROMやDVD−RAMなどでは650nm帯のレーザ光を用いることにより記憶容量4.7GBを実現している。光ディスクにはディスク記録面上に螺旋形状あるいは同心円状からなるトラックに記録ピットが配置されており、光ディスク装置ではこの記録ピットにレーザ光を集光しディスク記録面からの反射光を光検出器にて検出することにより情報信号を生成し、光ディスクからの情報再生を実現している。そのため、光ディスク装置に搭載された光ピックアップにおいては、光ディスクにレーザ光を正確に集光するためのフォーカスエラー信号によるフォーカスサーボや、光ディスク上の記録トラックを正確にトレースするためのトラッキングエラー信号によるトラッキングサーボの技術が必須となっている。
【0003】
ここで、光ディスクに傷や汚れなどのディスク欠陥部分が存在する場合、ディスク欠陥部分はフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号に対して外乱要因となるため、フォーカスサーボやトラッキングサーボに多大な影響を及ぼし、光ディスクの記録情報信号の正確な再生動作に支障をきたしてしまうという問題があった。
【0004】
このような問題に対しては、従来から様々な対策案が提案されている。例えば、第1の従来技術としては、ディスク上データの記録再生を行うメイン光学系とは別に、メインビームに対して同一トラック上を先行するビームを投射する先行光学系を設け、この先行ビーム光学系にてディスクの欠陥を検出したときにフォーカス及びトラッキングサーボをホールドすることにより、フォーカス及びトラッキングが異常動作となることを防止し、記録再生に支障が無いようにするものが提案されている。(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、第2の従来技術としては、2つのサブビームの出力信号差によりトラッキングを行う3ビーム方式において、先行サブビームの出力信号を遅延させることにより、2つのサブビームからの出力信号におけるディスク欠陥部分への突入・脱出時間のずれを無くし、ディスク欠陥によりトラッキング動作が異常となりトラックジャンプしてしまうことを防止するものが提案されている。(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−73935広報(第5−7頁、第1図)
【特許文献2】
特開平8−55351広報(第3−4、第1図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、上記第1の従来技術においては、ディスク上データの記録再生を行うメイン光学系とは別に、メインビームに対して同一トラック上を先行するビームを投射する先行光学系を設ける構成である。そのため、通常の光ピックアップの光学系に対して、光学系の大きさが大きくならざるを得ず、光ディスク装置の小型化に対して妨げとなるという問題がある。
【0008】
また、上記第2の従来技術においては、光ディスクの回転数に応じて遅延量を変更しなければならないため、高速化に対応した光ディスク装置においてはトラッキングサーボの回路が複雑になるという問題がある。さらに、フォーカスサーボに関しては何ら対策がなされていないため、ディスク欠陥がある場合にフォーカスサーボに多大な影響があり、情報信号の再生が困難になるという問題がある。
【0009】
以上の状況を鑑み、本発明の目的は簡単な構成でディスク欠陥を検出し、ディスク欠陥があった場合においてもフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号に外乱の影響をできるだけ低減し、良好にディスクへの情報の記録再生をすることが可能な光ピックアップ及び光ディスク装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために本発明では、レーザ光源から出射された光ビームが0次光、+1次光、−1次光の少なくとも3本の光ビームに分岐されて光学的情報記録媒体に照射され、前記光学的情報記録媒体で反射された前記3本の光ビームが照射される光検出器を有する光ピックアップ及びそれを用いた光学的情報再生装置において、前記0次光による光ビームが照射される前記光検出器の第1の受光領域と、前記+1次光の光ビームが照射される前記光検出器の第2の受光領域と、前記−1次光の光ビームが照射される前記光検出器の第3の受光領域と、前記第1、第2、第3の何れかもしくは全ての受光領域からの出力によりフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号を生成するサーボ信号生成手段と、前記第2あるいは第3の受光領域からの出力を判別し判別結果に応じた切替え信号を出力するディスク欠陥検出手段と、前記フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号をそれぞれ異なる端子に切替えて出力する切替え手段とを備え、前記第2あるいは第3もしくは両方の受光領域からの出力が所定の範囲から逸脱していると前記ディスク欠陥検出手段により判別した場合に、前記切替え手段により前記フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号をそれぞれ異なる端子に出力するようにする。
【0011】
また、上記課題を解決するために本発明では、前記切替え手段の後段に前記フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号の出力レベルを所定の値に維持するようにするホールド手段とを備え、前記第2あるいは第3もしくは両方の受光領域からの出力が所定の範囲から逸脱していると前記ディスク欠陥検出手段により判別した場合に、前記ホールド手段により前記フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号の出力レベルを所定の値に維持するようにする。
【0012】
さらに、上記課題を解決するために本発明では、前記第1、第2及び第3の受光領域より各々独立してプッシュプル方式によるトラッキングエラー信号を生成できる信号を出力可能なようにする。
【0013】
また、上記課題を解決するために本発明では、前記第1の受光領域より非点収差方式によるフォーカスエラー信号を生成できる信号を出力可能なようにする。
【0014】
さらに、上記課題を解決するために本発明では、前記第1、第2及び第3の受光領域より各々独立して非点収差方式によるフォーカスエラー信号を生成できる信号を出力可能なようにする。
【0015】
また、上記課題を解決するために本発明では、前記第1、第2及び第3の光ビームが前記光学的情報記録媒体の同一トラック上に配置されるようにする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施形態としての光ピックアップの構成ならびに動作について図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1において、半導体レーザ2は650nm帯の波長で発振するものであり、点灯している状態を示している。半導体レーザ2より出射した光ビームは、回折格子3を透過してハーフミラー4に至る。ここで、回折格子3を透過した光ビームは、格子上に形成された回折溝によりそのまま透過する0次光及び所定の回折角で0次光から分離進行する±1次回折光の少なくとも3つの光ビームとなる構成である。ハーフミラー4は光ビームの光軸12に対して、45°の角度をなすように配置されており、その表面に形成された反射膜で650nm帯の波長のレーザ光を約80%反射すると同時に約20%透過させる光学素子である。光ビームの約80%はハーフミラー4の反射膜において反射した後、コリメートレンズ5によって平行な光ビームに変換され対物レンズ6に達する。対物レンズ6は駆動コイル8と一体となっているアクチュエータ7に保持されており、駆動コイル8と対向する位置にマグネット9が配置されている。そのため、駆動コイル8に通電しマグネット9から駆動力を発生させることにより対物レンズ6を所望の方向に移動することが可能な構成となっている。対物レンズ6を透過した光ビームは、光ディスク1の情報記録面上に合焦し0次光及び±1次回折光の3つの光スポットを形成している。光ディスク1を反射した光ビームは、往路光と同様の光路を逆にたどって対物レンズ6、コリメートレンズ5を経て、ハーフミラー4に到達し、光ビームの戻り光量の約20%はハーフミラー4を透過する。ハーフミラー4を透過する光ビームはコリメートレンズ5によりすでに収束光となっているため、光ビームの進行方向に対して45°方向に傾斜しているハーフミラー4を透過する際に光ビームには非点収差が与えられる。その後、光ビームは光検出器10の所定の位置に集光されるようになっている。これら光学部品により光ピックアップ11が構成されている。
【0018】
図2は、光ディスクの情報記録面におけるスポットの配置を示したものである。先述したように回折格子3を透過した光ビームは、0次光及び±1次光の3つの光ビームに分岐され光ディスク1の記録面においては3つのスポットを形成している。図2において、グルーブ20a、20b、20cと、ランド21a、21bと呼ばれる溝が光ディスクの半径方向に対して交互に存在しトラックを形成している。ここで、スポット30は0次光のディスク上スポット、スポット31は+1次光のディスク上スポット、スポット32は−1次光のディスク上スポットを示している。±1次光の2つのスポット31、32は、0次光のスポット30に対して2分の1トラックピッチずれた位置となるように回折格子3を回転調整しているため、図のように0次光30がグルーブ20bにある場合、+1次光のスポット31はランド21b、−1次光のスポット32はランド21aに配置されるようになる。
【0019】
図3は、光検出器の受光面パターン及び演算回路を示したものである。光検出器10には、図のように各分割受光面が記号A、B、C、Dで表されている田の字型に4分割された受光領域50と、受光面AおよびDの外側の離れた位置に各分割受光面が記号E、Fで表されている上下に2分割された受光領域51と、受光面BおよびCの外側の離れた位置に各分割受光面が記号G、Hで表されている上下に2分割された受光領域52が配置されている。これら受光領域51、50、52は、略一直線上に配置されている。ここで、受光領域50上には、ディスク上光スポット30のディスク反射光が集光され検出光スポット40を形成している。同様に受光領域51上にはディスク上光スポット31のディスク反射光が、受光領域52上にはディスク上光スポット32のディスク反射光がそれぞれ集光され、検出光スポット41および42を形成している。
【0020】
受光面A、B、C、Dの各々で光電変換されて検出された各検出電流は、光検出器10に設けられた電流−電圧変換増幅器60、61、62、63によって電圧に変換され、それぞれ光検出器10の出力端子に送られる。同様に受光面E、F、G、Hの出力線は電流−電圧変換増幅器64、65、66、67に接続されている。(以下、説明を簡単にするため、これら電圧変換された検出信号については、その検出信号が検出された受光面と同一の記号で示す。)結局、光検出器10の8本の出力端子には、それぞれ A、B、C、D、E、F、G、Hが出力されることになる。
【0021】
次に演算回路について説明する。
【0022】
光検出器10の出力端子から出力される8本の検出信号のうち、出力信号A、B、C、Dを加算器70により加算し和信号(A+B+C+D)によりRF信号を生成することにより、光ディスクに記録されている情報信号を所定の信号再生回路により再生可能となっている。尚、本実施形態では示されていないが、前記加算器70を光検出器10内に格納し、光検出器10の信号出力端子に和信号(A+B+C+D)の出力端子を追加する構成であってもかまわない。一方、加算器71、72、減算器73によって信号(A+C)−(B+D)が出力され、加算器74、75、減算器76によって信号(A+D)−(B+C)が出力される。ここで、信号(A+C)−(B+D)は、いわゆる非点収差方式によって検出されるディスク上光スポット30のフォーカスエラー信号に相当するものである。また(A+D)、(B+C)は、検出光スポット30をディスクのトラッキング方向(半径方向)に2分割した場合の各々の領域における検出光量に相当し、この2個の信号の差信号(A+D)−(B+C)はいわゆるプッシュプル方式によって検出されるディスク上光スポット30のトラッキングエラー信号に相当するものである。
【0023】
出力信号E、Fからは減算器77によって信号E−Fが出力され、出力信号G、Hからは減算器78によって信号G−Hが出力されている。信号E−F及びG−Hは加算器79によって信号(E−F)+(G−H)として出力されており、更に増幅器80によって所定の増幅率αで増幅されている。この増幅器80の増幅率αは信号(E−F)+(G−H)が信号(A+D)−(B+C)とほぼ同一の信号振幅になるように定められている。減算器81から出力される信号は、
{(A+D)−(B+C)}−α・{(E−F)+(G−H)}
となる。この信号は、受光領域50から得られたディスク上スポット30のプッシュプル法によるトラッキングエラー信号から、受光領域51および52から得られたディスク上スポット31および32のプッシュプル法によるトラッキングエラー信号を減算した信号に相当するものであり、いわゆるディファレンシャル・プッシュプル方式によるトラッキングエラー信号である。そのため、対物レンズ変位に伴うオフセットが大幅に除去された良好なトラッキングエラー信号を得ることが可能である。
【0024】
さらに、出力信号E、Fからは加算器82によってディスク欠陥突入信号E+Fが出力され、出力信号G、Hからは加算器83によってディスク欠陥脱出信号G+Hが出力されている。
【0025】
図4に本発明の第1の実施形態における光ピックアップを搭載した光ディスク装置の概略ブロック図を示す。コントロール回路90は、スピンドルモータ制御回路91によりスピンドルモータ14を回転制御しディスク1を回転させる。また、コントロール回路90はレーザ点灯回路92を駆動し、光ピックアップ11の半導体レーザ2を最適な光出力で点灯させている。
【0026】
光ピックアップ11で検出された各種検出信号は、サーボ信号生成回路93、情報信号検出回路98に送られる。情報信号検出回路98では、光ピックアップ11の検出信号から光ディスク1に記録された情報信号を検出し再生信号出力端子へ出力する。
【0027】
一方、サーボ信号生成回路93では光ピックアップ11で検出された各種信号から光ディスク1に適したフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号、及び後述するディスク欠陥突入信号やディスク欠陥脱出信号が生成される。フォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号は切替えスイッチ100に送られる。
【0028】
ディスク欠陥検出回路94は、後述するディスク欠陥突入信号及びディスク欠陥脱出信号のレベルが所定の値以下になった場合に出力レベルが大きな値をとるディフェクト信号を生成する。ディフェクト信号はコントロール回路90に送られると同時に切替えスイッチ100に送られる。切替えスイッチ100では、ディフェクト信号のレベルに応じてスイッチを端子(i)と端子(ii)を切替えており、ディフェクト信号のレベルが大きくなった場合にはホールド回路95につながる端子(ii)の側にスイッチを切替えている。ホールド回路95では、コントロール回路90からの信号に従い、端子(ii)より入力した信号を所定の時間維持した状態で出力するようにしている。そのため、ディフェクト信号のレベルが大きくなった場合は、切替えスイッチ100によりフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号を端子(ii)を経てホールド回路95に送り、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号をある時間における出力の状態に所定時間維持することが可能である。
【0029】
コントロール回路90は、アクチュエータ駆動回路96を経由して光ピックアップ11内のアクチュエータ7を駆動し、対物レンズ6の位置制御を行う。また、コントロール回路90は、アクセス制御回路97にも接続されており、光ピックアップ11のアクセス方向位置制御を行っている。
【0030】
次にディスク欠陥検出方法について説明する。
【0031】
図5は、光ディスク上のスポットとディスク欠陥部分の位置関係を示した図である。図において、ディスク欠陥部分80は光ディスク1の回転に伴い図中に矢印で示した方向に移動する。本発明の第1の実施形態においては、光ディスク上に3つのスポットを形成しているため、ディスク欠陥部分80はディスク1の回転に伴い+1次光スポット31、0次光スポット30、−1次光スポット32の順番にある時間間隔を持って通過することとなる。図5(a)は先行スポットである+1次光スポット31がディスク欠陥部分80に突入する直前の状態、図5(b)は+1次光スポット31がディスク欠陥部分80に突入した状態、図5(c)は+1次光スポット31、0次光スポット30、−1次光スポット32の3つのスポット全てがディスク欠陥部分80に位置している状態、図5(d)は後行スポットである−1次光スポット32がディスク欠陥部分80から脱出する直前の状態、図5(e)は−1次光スポット32がディスク欠陥部分80から出した直後の状態を示している。
【0032】
図6及び図7は、ディスク欠陥を通過する場合の各種信号を示したものである。図6は切替えスイッチ100を端子(i)にして、ホールド回路95を未使用の場合であり、図7は切替えスイッチ100を端子(ii)にして、ホールド回路96を使用している場合である。また、図中の(a)〜(e)の記号は、図5にて示した各ディスク位置に対応している。
【0033】
図6において、時間(a)から(b)にて+1次光スポット31がディスク欠陥部分80に突入するため、+1次スポット31の受光領域の出力から生成されるディスク欠陥突入信号が急激に零となる。また、0次光スポット30、+1次光スポット31、及び−1次光スポット32の各受光領域の出力より生成されるトラッキングエラー信号も変化する。
【0034】
時間(b)から(c)において、0次光スポット30の受光領域の出力と−1次光スポット32の受光領域の出力が順次零となるため、それらから生成されるRF信号及びディスク欠陥脱出信号も零となる。そのため、トラッキングエラー信号やフォーカスエラー信号が変化する。
【0035】
時間(c)付近においては、3つのスポットがいずれもディスク欠陥部分80にあるため、3つのスポットの受光領域からの出力も全て零となり、トラッキングエラー信号及びフォーカスエラー信号が零となる。
【0036】
時間(c)から(d)において、+1次光スポット31と0次光スポット30はディスク欠陥部分80を順次脱出している。一方、−1次光スポット32はディスク欠陥部分80にあるため、トラッキングエラー信号やフォーカスエラー信号は時間により変化する。
【0037】
時間(d)から(e)において、−1次光スポット32もディスク欠陥部分80を脱出するため、トラッキングエラー信号も零に戻るようになる。
【0038】
ここで、対物レンズ駆動信号はトラッキングエラー信号を基にしてトラッキングエラー信号が零となるように生成されるため、時間(a)から(e)になるに従い実際の対物レンズの位置とは関係なしに対物レンズ駆動信号自体が大きく変化してしまう。そのため、図6に示したホールド回路がない状態では、ディスク欠陥部分を通過するときに対物レンズ位置が大きくずれたり、フォーカスがはずれたりするようになってしまう。
【0039】
本発明の第1の実施形態においては、図7に示したようにディスク欠陥検出回路94において所定のスライスレベルを設定し、そのスライスレベルとディスク欠陥突入信号及びディスク欠陥脱出信号を比較することによりディスク欠陥部分の通過時のみに出力が大きくなるディフェクト信号を生成している。このディフェクト信号により、切替えスイッチ100を端子(ii)に切替え、ホールド回路95によりフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号を一定時間ホールドすることにより、ディスク欠陥部分通過時における対物レンズ駆動信号の変動を極力小さくでき、結果的に対物レンズ位置も大きくずれることがなく、フォーカスがはずれることもない。
【0040】
図8は、本発明の第2の実施形態における光ピックアップを搭載した光ディスク装置の概略ブロック図である。第1の実施形態との違いは、サーボ信号生成回路93より出力されるディスク欠陥脱出信号を遅延回路99経由でディスク欠陥検出回路94に入力している点と、コントロール回路90からの出力を逆起波形発生回路101経由でアクチュエータ駆動回路96に入力しているところである。
【0041】
図9は、本発明の第2の実施形態におけるディスク欠陥を通過する場合の各種信号を示したものである。第2の実施形態においては、逆起波形発生回路101にてディフェクト信号に基づきトラッキングエラー信号をホールドする時点で、直前のトラッキングエラー信号波形の逆波形を出力するようにしている。これにより、対物レンズ位置のずれを最小限に留めることが可能である。
【0042】
また、ディスク欠陥脱出信号に対しては、所定時間の遅延を加えるようにするために、完全にディスク欠陥部分80を脱出した時点で、トラッキングエラー信号やフォーカスエラー信号を得ることができるため、よりいっそう安定に対物レンズ位置を制御することが可能である。
【0043】
図10は、本発明の第3の実施形態を示したものであり、光検出器の受光面パターン及び演算回路を示している。図10においては、ディスク欠陥突入信号を受光領域51の受光面Eにより出力し、ディスク欠陥脱出信号を受光領域52の受光面Gより出力する構成である点が、図3にて示した第1の実施形態と異なる点である。本図においても、第1の実施形態と同一のものに関しては同一の符号を付し、説明は省略する。図10に示した構成にすることにより、ディスク欠陥突入信号及びディスク欠陥脱出信号の生成に加算器を必要としないために演算回路を簡素にすることが可能である。
【0044】
図11は、本発明の第4の実施形態を示したものであり、光検出器の受光面パターン及び演算回路を示している。受光面EとGを光検出器10の内部で結線し、受光面FとHも同様に光検出器10の内部で結線している点が第1の実施形態と異なる点である。本図においても、第1の実施形態と同一のものに関しては同一の符号を付し、説明は省略する。
【0045】
ディスク欠陥突入信号とディスク欠陥脱出信号は、受光領域51及び受光領域52の受光面(E+G)、(F+H)を加算器82により加算した(E+F+G+H)から生成している。ディスク欠陥部分通過時に得られるディスク欠陥突入信号及び脱出信号は、サブスポット41及び42の光量を加算したものであるが、ディスク欠陥部分突入時あるいは脱出時に一方のサブスポットの信号が完全に欠落するため第1の実施形態と同様にディスク欠陥部分を検出可能である。本構成により光検出器10から出力する信号数を6本に低減できるため、光検出器10の小型化を図ることが可能である。
【0046】
尚、本構成ではディスク欠陥突入信号を受光面E、F、G、Hからの出力和信号(E+F+G+H)としているが、加算器82を削除して(E+G)あるいは(F+H)より検出するような構成であってもかまわない。
【0047】
図12は、第5の実施形態を示したものであり、光検出器の受光面パターン及び演算回路を示している。第1の実施形態と比較して、受光領域51が4つの受光面E、F、I、Jからなり、受光領域52が4つの受光面G、H、K、Lから構成されている点が異なっている。本図においても、第1の実施形態と同一のものに関しては同一の符号を付し、説明は省略する。
【0048】
受光領域51を構成する受光面E、F、I、Jの出力線は電流−電圧変換増幅器64、65、55、56に接続されており、受光領域52を構成する受光面G、H、K、Lの出力線は電流−電圧変換増幅器66、67、57、58に接続されている。(以下、説明を簡単にするため、これら電圧変換された検出信号については、第1の実施形態と同様その検出信号が検出された受光面と同一の記号で示す。)結局、光検出器10の12本の出力端子には、それぞれ A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、Lが出力されることになる。
【0049】
次に演算回路について説明する。
【0050】
加算器71、72、減算器73によって信号(A+C)−(B+D)が出力され、加算器74、75、減算器76によって信号(A+D)−(B+C)が出力される。ここで、信号(A+C)−(B+D)は、いわゆる非点収差方式によって検出されるディスク上光スポット30のフォーカスエラー信号に相当するものである。また、(A+D)−(B+C)はいわゆるプッシュプル方式によって検出されるディスク上光スポット30のトラッキングエラー信号に相当するものである。
【0051】
出力信号E、F、I、Jからは加算器35、36、減算器39によって信号(F+I)−(E+J)が出力され、出力信号G、H、K、Lからは加算器45、46、減算器49によって信号(H+K)−(G+L)が出力されている。信号(F+I)−(E+J)及び(H+K)−(G+L)は加算器84によって信号(F+I)−(E+J)+(H+K)−(G+L)として出力されており、更に増幅器85によって所定の増幅率βで増幅されている。この増幅器85の増幅率βは信号(F+I)−(E+J)+(H+K)−(G+L)が信号(A+C)−(B+D)とほぼ同一の信号振幅になるように定められている。加算器86から出力される信号は、
(A+C)−(B+D)+β・{(F+I)−(E+J)+(H+K)−(G+L)}
となる。この信号は、受光領域50から得られたディスク上スポット30の非点収差法によるフォーカスエラー信号から、受光領域51および52から得られたディスク上スポット41および42の非点収差法によるフォーカスエラー信号を減算した信号に相当するものであり、いわゆる差動非点収差方式によるフォーカスエラー信号である。そのため、フォーカスエラー信号へのトラッキングエラー信号のもれ込みを低減した良好なフォーカスエラー信号を得ることが可能である。
【0052】
また、出力信号E、F、I、Jからは加算器37、38、減算器77によって信号(E+I)−(F+J)が出力され、出力信号G、H、K、Lからは加算器47、48、減算器78によって信号(G+K)−(H+L)が出力されている。信号(E+I)−(F+J)及び(G+K)−(H+L)は加算器79によって信号(E+I)−(F+J)+(G+K)−(H+L)として出力されており、更に増幅器80によって所定の増幅率αで増幅されている。この増幅器80の増幅率αは信号(E+I)−(F+J)+(G+K)−(H+L)が信号(A+D)−(B+C)とほぼ同一の信号振幅になるように定められている。減算器81から出力される信号は、
(A+D)−(B+C)−α・{(E+I)−(F+J)+(G+K)−(H+L)}
となる。この信号は、受光領域50から得られたディスク上スポット30のプッシュプル法によるトラッキングエラー信号から、受光領域51および52から得られたディスク上スポット41および42のプッシュプル法によるトラッキングエラー信号を減算した信号に相当するものであり、いわゆるディファレンシャル・プッシュプル方式によるトラッキングエラー信号である。そのため、対物レンズ変位に伴うオフセットが大幅に除去された良好なトラッキングエラー信号を得ることが可能である。
【0053】
さらに、出力信号E、F、I、Jからは加算器82によってディスク欠陥突入信号E+F+I+Jが出力され、出力信号G、H、K、Lからは加算器83によってディスク欠陥脱出信号G+Hが出力されている。
【0054】
このような構成とすることにより、差動非点収差方式によるフォーカスエラー信号を出力可能でありながら、第1の実施形態と同様にディスク欠陥部分の検出が実現できる。
【0055】
図13は、本発明の第6の実施形態を示したものであり、光検出器の受光面パターン及び演算回路を示している。受光面EとG、受光面FとH、受光面IとK、受光面JとLは光検出器10の内部でそれぞれ結線されており、この部分が第5の実施形態と異なる点である。本図においても、第5の実施形態と同一のものに関しては同一の符号を付し、説明は省略する。
【0056】
ディスク欠陥突入信号とディスク欠陥脱出信号は、受光領域51及び受光領域52の検出面(E+G)、(F+H)、(I+K)、(J+L)を加算器82により加算した(E+F+G+H+I+J+K+L)から生成している。ディスク欠陥部分通過時に得られるディスク欠陥突入信号及び脱出信号は、サブスポット41及び42の光量を加算したものであるが、ディスク欠陥部分突入時あるいは脱出時に一方のサブスポットの信号が完全に欠落するため第4の実施形態と同様にディスク欠陥部分を検出可能である。本構成により光検出器10から出力する信号数を8本に低減できるため、第5の実施形態と比較してさらに光検出器10や演算回路の小型化を図ることが可能である。
【0057】
尚、本構成ではディスク欠陥突入信号あるいはディスク欠陥脱出信号を受光面E、F、G、H、I、J、K、Lからの出力和信号(E+F+G+H+I+J+K+L)としているが、加算器82への入力信号の組合せは任意であり、何れの構成も可能であるのはいうまでもない。
【0058】
次に発明の他の実施形態について説明する。
【0059】
図14及び図15は、本発明の第7の実施形態を示したものである。図14は、回折格子3のパターン形状、図15はディスク上のスポット配置を示している。図14において、回折格子3には左半分の領域15aと右半分の領域15bにそれぞれ同じピッチで回折溝が形成されており、右と左の各領域の回折溝は丁度略180°位相が反転するようになっている。そのため、回折格子3を透過する光ビーム16の±1次光は0次光に対して略180°の位相ずれを持ったものとなっている。
【0060】
図15において、ディスク上の+1次光スポット33、及び−1次光スポット34は、0次光スポット30と同一トラックのトラック20b上に配置されている。詳細な原理は、特開平9−81942に記載されているのでここでは省略する。このようなスポットの配置とすることで、ディファレンシャルプシュプル法と同様なトラッキング信号を得ることが可能である。
【0061】
第7の実施形態によれば、光ディスク上のサブスポットが同一トラックに配置されているため、ディスク欠陥突入信号及びディスク欠陥脱出信号の挙動は、0次光におけるRF信号の挙動と時間的なずれは生じるがほぼ同じ挙動となり、より正確にディスク欠陥を検出可能である。
【0062】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、光ピックアップ及びそれを用いた光ディスク装置において、3ビームの±1次光の検出光量によりディスクの欠陥を検出し、ディスク欠陥を完全に通過するまでサーボ信号をホールドすることが可能であるため、ディスク欠陥によるサーボ系への影響を低減することが可能であり、ディスク欠陥に強い光ディスク装置の実現が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における光ピックアップの構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における光ディスクの情報記録面におけるスポットの配置を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における光検出器の受光面パターン及び演算回路を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における光ピックアップを搭載した光ディスク装置の概略ブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施形態における光ディスク上のスポットとディスク欠陥部分の位置関係を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態におけるディスク欠陥を通過する場合の各種信号を示す図であり、ホールド回路を未使用の場合を示した図である。
【図7】本発明の第1の実施形態におけるディスク欠陥を通過する場合の各種信号を示す図であり、ホールド回路を使用の場合を示した図である。
【図8】本発明の第2の実施形態における光ピックアップを搭載した光ディスク装置の概略ブロック図である。
【図9】本発明の第2の実施形態におけるディスク欠陥を通過する場合の各種信号を示す図であり、ホールド回路を使用の場合を示した図である。
【図10】本発明の第3の実施形態における光検出器の受光面パターン及び演算回路を示す図である。
【図11】本発明の第4の実施形態における光検出器の受光面パターン及び演算回路を示す図である。
【図12】本発明の第5の実施形態における光検出器の受光面パターン及び演算回路を示す図である。
【図13】本発明の第6の実施形態における光検出器の受光面パターン及び演算回路を示す図である。
【図14】本発明の第7の実施形態における回折格子のパターン形状を示す図である。
【図15】本発明の第7の実施形態におけるディスク上のスポット配置を示す図である。
【符号の説明】
1 ……光ディスク、 2 ……半導体レーザ、 3 ……回折格子
10 ……光検出器、 11 ……光ピックアップ、
30 ……0次光スポット、 31 ……+1次光スポット、
32 ……−1次光スポット、 50、51、52 ……受光領域、
80 ……ディスク欠陥部分、 93 ……サーボ信号生成回路、
94 ……ディスク欠陥検出回路、 95 ……ホールド回路、
99 ……遅延回路、 100 ……切替えスイッチ、
102 ……逆起波形発生回路

Claims (6)

  1. レーザ光源から出射された光ビームが0次光、+1次光、−1次光の少なくとも3本の光ビームに分岐されて光学的情報記録媒体に照射され、前記光学的情報記録媒体で反射された前記3本の光ビームが照射される光検出器を有する光ピックアップ及びそれを用いた光学的情報再生装置において、
    前記0次光による光ビームが照射される前記光検出器の第1の受光領域と、
    前記+1次光の光ビームが照射される前記光検出器の第2の受光領域と、
    前記−1次光の光ビームが照射される前記光検出器の第3の受光領域と、
    前記第1、第2、第3の何れかもしくは全ての受光領域からの出力によりフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号を生成するサーボ信号生成手段と、前記第2あるいは第3の受光領域からの出力を判別し判別結果に応じた切替え信号を出力するディスク欠陥検出手段と、
    前記フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号をそれぞれ異なる端子に切替えて出力する切替え手段とを備え、
    前記第2あるいは第3もしくは両方の受光領域からの出力が所定の範囲から逸脱していると前記ディスク欠陥検出手段により判別した場合に、前記切替え手段により前記フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号をそれぞれ異なる端子に出力するようにすることを特徴とする光ピックアップ及びそれを用いた光学的情報再生装置。
  2. 前記切替え手段の後段に前記フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号の出力レベルを所定の値に維持するようにするホールド手段とを備え、
    前記第2あるいは第3もしくは両方の受光領域からの出力が所定の範囲から逸脱していると前記ディスク欠陥検出手段により判別した場合に、前記ホールド手段により前記フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号の出力レベルを所定の値に維持するようにすることを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ及びそれを用いた光学的情報再生装置。
  3. 前記第1、第2及び第3の受光領域より各々独立してプッシュプル方式によるトラッキングエラー信号を生成できる信号を出力可能なことを特徴とする請求項2に記載の光ピックアップ及びそれを用いた光学的情報再生装置。
  4. 前記第1の受光領域より非点収差方式によるフォーカスエラー信号を生成できる信号を出力可能なことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の光ピックアップ及びそれを用いた光学的情報再生装置。
  5. 前記第1、第2及び第3の受光領域より各々独立して非点収差方式によるフォーカスエラー信号を生成できる信号を出力可能なことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の光ピックアップ及びそれを用いた光学的情報再生装置。
  6. 前記第1、第2及び第3の光ビームが前記光学的情報記録媒体の同一トラック上に配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の光ピックアップ及びそれを用いた光学的情報再生装置。
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