JP2004146007A - 情報記録媒体用基板の製造方法、情報記録媒体用基板及び情報記録媒体 - Google Patents

情報記録媒体用基板の製造方法、情報記録媒体用基板及び情報記録媒体 Download PDF

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Ryoji Kobayashi
小林 良治
Koichi Tsuda
津田 孝一
Yoichi Tei
鄭 用一
Shoji Sakaguchi
坂口 庄司
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Abstract

【課題】高Tgプラスチック材料を用いても、プラスチックに微量添加したフェノール系酸化防止剤の溶出を抑制することにより、スタンパ寿命を長くし、これによって高磁気記録密度に対応した低価格の情報記録媒体用基板の製造方法、及びこれを用いた情報記録媒体用基板、情報記録媒体を提供する。
【解決手段】酸化防止剤を熱可塑性樹脂に添加し、前記熱可塑性樹脂を成形金型内に射出し、情報記録媒体用基板を成形する情報記録媒体用基板の製造方法において、前記酸化防止剤として、前記成形金型内の成形面温度よりも高い融点を有する酸化防止剤を用いることを特徴とする。
【選択図】    図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンピュータの外部記憶装置などの各種磁気記録装置に搭載される情報記録媒体用基板の製造方法、及びそれを用いた情報記録媒体用基板、情報記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、磁気ディスクの高密度記録化が進み、これに伴いディジタル信号を記録する磁性層の性能向上のみならず、記録の読み出しを司る磁気ヘッド、更には基板の性能向上が要求されている。このようなニーズに応える手段として、基板に関しては、従来から使用されているアルミニウム基板、ガラス基板の高度化・高精密化が推進されている。
【0003】
一方、これまでのようなコンピュータの外部記憶分野ではなく、VTRやMD(Mini Disc)に代わるAV用途向けのHDDも注目されている。AV用のHDDの普及のためには、記録密度が高いだけではなく、価格が安いことも重要な要素となっている。低価格の媒体を供給するために、従来の基板材料であるアルミニウム基板、ガラス基板を用いた媒体の低価格化の取り組みはもちろん、新規材料である樹脂(プラスチック)による低価格化基板の取り組みも始まっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
ここで、アルミニウム基板やガラス基板では、磁気記録媒体として使用可能な表面粗さ(Ra)を確保するためには、長時間の研磨が必要なため価格が下がり難いと考えられている。一方、プラスチック基板は研磨工程を必要としないほど転写性の高い表面粗さを達成できる可能性を有しているため、研磨工数が大幅に削減でき、低価格の基板が供給できる可能性がある。
【0005】
このようにプラスチック基板は低価格な基板を供給できるポテンシャルを持っているが、その一方で、成形時に使用する金型、及びスタンパの初期投資が大きく、また、これらの寿命はプラスチック基板の価格を左右する大きな要因となっている。
【0006】
これまでに用いられてきた光ディスク基板においては、成形金型、あるいはスタンパの寿命は金型へのスタンパ取り付け面の磨耗、あるいは磨耗破片による微小変形などが寿命を決定する主な要因である。これを解決するために耐磨耗性が高く、また摩擦性が低いDLC(ダイヤモンドライクカーボン)を金型にスタンパを固定する面に被膜する方法が開示されている(例えば、特許文献2〜4参照。)。ここで、光ディスク基板の場合には、使用している波長の1/10程度の表面粗さ(赤色レーザの場合にはRa≒60〜80nm、青色レーザの場合にはRa≒40nm)であっても、問題にならないため、現在ではスタンパ表面欠陥の経時変化よりも、むしろスタンパを金型に取り付ける面の磨耗や欠陥が寿命を決めている。
【0007】
他方、本発明が対象としている磁気記録媒体用基板では、磁気記録密度が高くなるにつれて、ヘッドの浮上高さが低下し、現在では浮上高さが10nmをきっている。このため、現状ではスタンパの寿命はスタンパ表面の粗さが寿命を決定する主な要因となっている。したがって、浮上量低下に伴い表面粗さは、Rmax(最大高さ)<10nm、Ra(中心線平均粗さ)<1nmが要求されてきている。アルミニウム基板やガラス基板では、加工工数はかかるものの、研磨によってRmax<10nm、Ra<1nmは十分可能であるが、プラスチック基板の場合には、プラスチック材料がやわらかいため、研磨により表面を加工することができない。したがって、プラスチック基板の場合には、スタンパ表面の欠陥、異物等によってできた凹凸欠陥を除去することは難しい。このため、磁気記録媒体用プラスチック基板の場合には、光ディスク用プラスチック基板の場合とは異なり、スタンパ表面欠陥がスタンパ寿命を左右するウェイトが非常に高い。このような背景のために、スタンパ表面欠陥が生じないような技術が熱望されている。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−235656号公報
【0009】
【特許文献2】
特許第2826827号公報
【0010】
【特許文献3】
特許第2857138号公報
【0011】
【特許文献4】
特開2000−228037号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
スタンパ母材として、例えばSUS基板を用い、これを鏡面研磨後、この表面にNiをスパッタ法により、数nmの膜厚のコート膜を施したものをスタンパとして用いると、成形回数が少ない時点から、Raが急激に増加し、5千回以内にRa>1nmとなってしまい、磁気ディスク用基板としては使用できなくなってしまう。
【0013】
この原因は樹脂に添加してある0.4wt.%程度のフェノール系酸化防止剤が溶出、酸化分解し、堆積したものであることが、FT−IR分光法やGC−MASS法により分析することで明らかとなった。
【0014】
一般的な射出成形では、ガラス転移点(以後、Tgと称する)が140℃前後の樹脂を用い、射出成形時の樹脂温度を300℃前後、スタンパ温度を100℃前後に制御して成形するが、このときには添加されているフェノール系酸化防止剤の融点よりスタンパ温度が低く制御されているため、酸化防止剤はそれほど急激には酸化分解が進まない。したがって、スタンパ表面には酸化防止剤に起因する付着物はそれほど生成せず、このため表面粗さは問題とならない。
【0015】
しかし、磁気ディスクの高密度化に伴い基板表面のRaの低減と同様、基板の平坦度も高い精度で要求がなされている。例えば、3.5インチ径の基板で、平坦度は10μm以内が要求されている。これは、ヘッド浮上高さの低下につれて、平坦度も小さくしないと、ヘッドが基板に衝突する確立が高くなるためである。このような観点から、信頼性評価の一つとして、80℃、80%RHの条件下で、プラスチック基板を500h放置するHot−Wet試験があるが、この試験後でも平坦度が±10μmを超えることは許容されない。したがって、必然的に樹脂のTgを上げ、高温でも応力緩和等による熱変形のし難い樹脂材料系に替えざるを得ない状況となっている。即ち、光ディスク用プラスチック基板に対して、磁気記録基板用プラスチック基板を安価に安定して供給できるようにするためには、下記のようなトレードオフの関係にある樹脂の高Tg化と酸化防止剤の溶出の関係をより高度に解決しなくてはならないことである。
【0016】
(1)平坦度の観点から、高Tg化が必要で、これに伴い、樹脂加熱温度、スタンパ温度を高めることが必要である。
【0017】
(2)一方、スタンパの表面欠陥、異物付着の観点からは、酸化防止剤の溶出を抑制することが必要である。
【0018】
ここで、現在、幅広く使用されているフェノール系の酸化防止剤(例えば、Irganox1010、Irganox1076;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)の融点は十分に高くなく(Irganox1010;110〜125℃、Irganox1076;50〜55℃)、高Tgプラスチック材料を用いた射出成形条件、特にスタンパ温度とは十分整合がとれない。さらに、有機材料には自動酸化と呼ばれる自己増殖酸化作用があり、フェノール系酸化防止剤の場合にも同じことが起こり、酸化が進む。特に、上述したようにスタンパ温度が酸化防止剤の融点以上に制御されている場合、即ち成形中は常に酸化防止剤が溶融しているような状況では、一度酸化が始まると酸化が急激に溶融液全体に広がっていく。したがって、酸化のトリガーとなるような原因は極力取り除く必要がある。
【0019】
本発明は上記のような従来技術の問題点に鑑みて、高Tgプラスチック材料を用いても、プラスチックに微量添加したフェノール系酸化防止剤の溶出を抑制することにより、スタンパ寿命を長くし、これによって高磁気記録密度に対応した低価格の情報記録媒体用基板の製造方法、及びこれを用いた情報記録媒体用基板、情報記録媒体を提供することを目的とするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の情報記録媒体用基板の製造方法は、酸化防止剤を熱可塑性樹脂に添加し、前記熱可塑性樹脂を成形金型内に射出し、情報記録媒体用基板を成形する情報記録媒体用基板の製造方法において、前記酸化防止剤として、前記成形金型内の成形面温度よりも高い融点を有する酸化防止剤を用いることを特徴とする。
【0021】
ここで、前記熱可塑性樹脂のガラス転移点は150℃〜200℃の範囲であり、かつ前記成形面温度は120℃〜170℃の範囲に制御されていてもよい。
【0022】
また、前記酸化防止剤の添加重量比率が、前記熱可塑性樹脂に対して0.01〜5%であってもよい。
【0023】
さらに、本発明の情報記録媒体用基板は、上述の方法により製造されてもよい。
【0024】
さらにまた、本発明の情報記録媒体は、上述の基板を有することができる。
【0025】
これにより、熱可塑性樹脂に添加する酸化防止剤の融点が成形時のスタンパ温度よりも高いため、スタンパヘの酸化防止剤の溶出が抑制され、その結果、スタンパ表面に付着物は生成せず、成形回数を重ねても基板の表面粗さが変化することがない。
【0026】
【発明の実施の形態】
上述した高Tg化と酸化防止剤の溶出のトレードオフ関係を断ち切るには、熱可塑性樹脂のTgに整合した融点を持つ酸化防止剤を用いることにより達成されることを見出した。
【0027】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂は、射出成形できる熱可塑性樹脂であれば特に限定されるものではないが、一般的には高耐熱性・低吸湿性の熱可塑性樹脂である。好適に用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリオレフィンなどを挙げることができる。特に高耐熱性・低吸湿性で剛直構造であるポリオレフィン系樹脂が好ましく、例えばノルボルネン系ポリシクロオレフィン樹脂などを用いることがさらに好ましい。ガラス転移温度は、好ましくは135〜200℃であり、この範囲内であれば高い程好ましい。すなわち、成形用樹脂の高Tg化を満足しつつ、高Tg化に伴う成形装置の複雑化・大型化等に伴うコストアップ等を考慮すると、150〜200℃の範囲であることがさらに好ましい。
【0028】
60℃、相対湿度80%での吸湿率は、好ましくは0.001〜0.01%、さらに好ましくは0.001〜0.002%であり、この範囲内であれば低い程好ましい。
【0029】
本発明において、熱可塑性樹脂は、本発明の目的を害さない範囲内で、他の慣用の添加剤と混合されてもよい。具体的には、ベンゾフェノン系などの紫外線安定剤、アミン系などの帯電防止剤、脂肪族アルコール、エステルなどの滑剤などを挙げることができる。これらの配合剤は単独、または2種以上組合せて用いることができ、その割合は、本発明の目的を損なわれない範囲で適宜選択される。配合量は、本発明の目的を損なわれない範囲で適宜選択されるが、ポリマー成分100に対して通常0.001〜5wt.%、好ましくは0.01〜1wt.%の範囲である。
【0030】
本発明において酸化防止剤としては、酸化防止剤の融点が射出成形に用いるスタンパ表面温度よりも高ければ良い。一般的には射出成形に用いるスタンパ表面温度は、射出成形機に使用する熱可塑性樹脂のガラス転移温度より10〜100℃低く、好ましくは20〜80℃低く、使用する樹脂の成形性等を考慮すると、より好ましくは30〜70℃低く、さらに好ましくは30℃程度低くすることが望ましい。
【0031】
スタンパ温度が高過ぎると基板が反りやすくなり、スタンパ温度が低過ぎると転写不良を起こしやすくなることを考慮しつつ、酸化防止剤の融点をスタンパ温度よりも高くするという条件を加味すると、酸化防止剤の融点は{(熱可塑性樹脂のTg)−(30〜40℃)}程度であることが好ましい。好適に用いられる酸化防止剤としては、ヒンダートフェノール系酸化防止剤であるIRGANOX3790(159〜162℃);1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ハイドロキシ−2,6−ジメチルベンゾイル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、IRGANOX1098(156〜161℃);N,N−ヘキサン−1,6−ジリルビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4ハイドロオキシオフェニルプロピオンアミド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)等であるが、この限りではない。配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択されるが、ポリマー成分に対して通常0.01〜5wt.%、好ましくは0.01〜1wt.%の範囲である。
【0032】
酸化防止剤の添加量として0.01wt.%以下の添加量では、成形時の樹脂酸化を抑えることが出来ずに成形基板が変色したり、また、樹脂酸化分解物により欠陥が生じたりしまう。また、添加量として5wt.%以上の添加は、その機能を果たすには十分量であるが、コストアップとなってしまう他にも耐侯性試験において酸化防止剤が溶出してくるという問題がある。
【0033】
本発明を、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明は本実施例にのみ限定されるものではない。
【0034】
(実施例1)
スタンパ表面にはNi膜を用いて、成形回数とスタンパ表面粗さの変化を調べた。
【0035】
図1は本発明の検討において用いたインラインスクリュー式の射出成形機断面模式図である。このインラインスクリュー式射出成形機は、加熱手段14、及び金型に対する射出口16を備えた加熱シリンダ13と、該加熱シリンダ13内にあり、樹脂の溶融、計量、及び射出を行うための可動スクリュー11と、スクリュー11に対して樹脂を供給する手段15(ホッパなど)と、スクリュー11の計量、及び射出駆動を行うためのスクリュー駆動手段12とを具える。
【0036】
金型としては、分離可能な2つの部分(固定部17、及び可動部18)からなる金型を用い、さらに金型に型締め圧を与え、および可動部18を駆動するための駆動手段19を具えることが好ましいが、それに限定されるものではない。この金型内部に表面コート膜を有する成形面であるスタンパ25、26がセットされている。スタンパ25、26の表面にはNi膜が成膜してあり、この表面粗さRaを原子間力顕微鏡(AMF)にて測定したところ、初期表面粗さはRa=0.16nmであった。
【0037】
本発明において用いることのできる金型の模式的断面図を図2に示す。図2は、樹脂充填時の金型を示している。金型は、製作される基板形状に対応する空間(以後、基板キャビティ22と称する)と、基板キャビティ22と射出口16を連絡する空間(以後、スプール21と称する)とを有する。基板キャビティ22と基板スプール21との間に、ゲート23が配置され、基板キャビティ22に充填された樹脂とスプール部21の樹脂とを切り離す(ゲートカット)ためのゲートカット手段24が設けられている。
【0038】
本発明の磁気ディスク基板を作製する際には、スクリュー11を用いて溶融、及び計量された樹脂を、射出口16を通して金型へと射出して、スプール部21、及び基板キャビティ22に樹脂を充填する。その後に、充填された溶融樹脂を金型内で冷却硬化させる。冷却硬化中に、ゲートカット手段であるパンチ24を前進させてスプール部21の樹脂と基板キャビティ部22の樹脂とを切り離し、さらに冷却硬化させて、磁気ディスク基板を得ることができる。
【0039】
成形に用いた樹脂は、ポリオレフィン系の樹脂で、Tgは160〜165℃である。樹脂加熱温度は350℃、スタンパ加熱温度は130℃とした。酸化防止剤はIRGANOX3790;1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ハイドロキシ−2,6−ジメチルベンゾイル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン(0.4wt.%)が添加されており、その融点は159〜162℃であり、スタンパ温度は130℃であるので、成形中において酸化防止剤は固体状態である。このような条件下で、3万回程度成形を行い、その後にスタンパ表面および成型基板の表面粗さRaを原子間力顕微鏡(AFM)にて測定した。その結果、図3に示すように、スタンパ表面および成形基板のRaには全く変化が無いことが確認できた。また、スタンパ表面についてFT−IRによる直接分析とスタンパ表面残留物のメチレンクロライドによる抽出物質のGC−MASS分析からは酸化防止剤およびその酸化生成物は全く検出できなかった。さらに、成形回数10,000回目の成型基板の表面欠陥を確認したところ、成形に由来される欠陥は見つからなかった。
【0040】
(実施例2)
成形に用いた樹脂に添加した酸化防止剤がIRGANOX1098:N,N−−ヘキサン−1,6−ジリルビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4ハイドロオキシオフェニルプロピオンアミド(0.4wt.%)が添加されており、その融点は156〜161℃であり、スタンパ温度は130℃であるので、成形中において酸化防止剤は固体状態である。酸化防止剤以外は全て実施例1と同様な方法で実成形を行った。このような条件下で、3万回程度成形を行い、その後にスタンパ表面および成形基板の表面粗さRaを原子間力顕微鏡(AFM)にて測定した。その結果、図3に示すように、スタンパ表面および成形基板のRaには全く変化が無いことが確認できた。また、スタンパ表面についてFT−IRによる直接分析とスタンパ表面残留物のメチレンクロライドによる抽出物質のGC−MASS分析からは酸化防止剤およびその酸化生成物は全く検出できなかった。さらに、成形回数10,000回目の成型基板の表面欠陥を確認したところ、成形に由来される欠陥は見つからなかった。
【0041】
(実施例3)
成形に用いた樹脂に添加した酸化防止剤がIRGANOX1330;3,3’,3’,5,5’,5’−ヘキサ−t−ブチル−a,a’,a’−(メシチレン−2,4,6−トリル)トリ−p−クレソール(0.4wt.%)が添加されており、その融点は240〜245℃であり、スタンパ温度は130℃であるので、成形中において酸化防止剤は固体状態である。酸化防止剤以外は全て実施例1と同様な方法で実成形を行った。このような条件下で、3万回程度成形を行い、その後にスタンパ表面および成型基板の表面粗さRaを原子間力顕微鏡(AFM)にて測定した。その結果、図3に示すように、スタンパ表面および成形基板のRaには全く変化が無いことが確認できた。スタンパ表面についてFT−IRによる直接分析とスタンパ表面残留物のメチレンクロライドによる抽出物質のGC−MASS分析からは酸化防止剤およびその酸化生成物は全く検出できなかった。さらに、成形回数10,000回目の成型基板の表面欠陥を確認したところ、成形に由来される欠陥は見つからなかった。
【0042】
(比較例1)
成形に用いた樹脂に添加した酸化防止剤がIRGANOX1078;オタタデシル−3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート(0.4wt.%)が添加されており、その融点は50〜55℃であり、スタンパ温度は130℃であるので、成形中において酸化防止剤は溶融状態である。酸化防止剤以外は全て実施例1と同様な方法で実成形を行った。このような条件下で、3万回程度成形を行い、その後にスタンパ表面および成形基板の表面粗さRaを原子間力顕微鏡(AMF)にて測定した。その結果、図3に示すように、スタンパ表面および成形基板のRaは徐々に増加していき3万回成形後はRa=1.08nmになっていた。また、スタンパ表面についてFT−IRによる直接分析とスタンパ表面残留物のメチレンクロライドによる抽出物質のGC−MASS分析からは酸化防止剤およびその酸化生成物が検出された。さらには、成形回数10,000回目の成型基板の表面欠陥を確認したところ、成形に由来される欠陥幅1〜20μmの欠陥が多数見つかった。
【0043】
(比較例2)
成形に用いた樹脂に添加した酸化防止剤がIRGANOX1010;ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(0.4wt.%)が添加されており、その融点は(110〜125℃)であり、酸化防止剤以外は全て実施例1と同様な方法で実成形を行った。このような条件下で、3万回程度成形を行い、その後にスタンパ表面および成型基板の表面粗さRaを原子間力顕微鏡(AFM)にて測定した。その結果、図3に示すように、スタンパ表面および成形基板のRaは徐々に増加していき3万回成形後はRa=0.51nmになっていた。また、スタンパ表面についてFT−IRによる直接分析とスタンパ表面残留物のメチレンクロライトによる抽出物質のGC−MASS分析からは酸化防止剤およびその酸化生成物が検出された。さらには、成形回数10,000回目の成型基板の表面欠陥を確認したところ、成形に由来する欠陥が多数見つかった。
【0044】
(比較例3)
成形に用いた樹脂に添加した酸化防止剤はIRGANOX3790;1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ハイドロキシ−2,6−ジメチルベンゾイル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン(0.05wt.%)が添加されておりその融点は110〜125℃であり、スタンパ温度は130℃であるので、成形中において酸化防止剤は溶融状態である。このような条件下で、3万回程度成形を行い、その後にスタンパ表面および成型基板の表面粗さRaを原子間力顕微鏡(AFM)にて測定した。その結果、図3に示すように、スタンパ表面および成形基板のRaには全く変化が無いことが確認できた。スタンパ表面についてFT−IRによる直接分析とスタンパ表面残留物のメチレンクロライトによる抽出物質のGC−MASS分析からは酸化防止剤およびその酸化生成物は全く検出できなかった。しかしながら、成形基板が酸化により黄色く変色してしまった。また、成形回数10,000回目の成型基板の表面欠陥を確認したところ、樹脂の酸化分解物に由来する欠陥幅1〜5μmの欠陥が多数見つかった。
【0045】
このことから、本発明者らが着目した、添加されている酸化防止剤の融点が成形用スタンパ温度よりも高い熱可塑性樹脂を用いた実成形におけるスタンパ表面粗さの経時変化は少なく、また欠陥数の増加も無く、したがってスタンパ寿命が長くなるとの予測は妥当であることが明らかとなった(表1参照)。したがって、この方法により高記録密度に対応した低価格の情報記録基板の作製が可能となる。
【0046】
【表1】
Figure 2004146007
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、成形に用いる熱可塑性樹脂に添加する酸化防止剤の融点を成形用スタンパ温度よりも高くすることにより、成形時にスタンパ表面への酸化防止剤の溶出が抑制されるので、スタンパ表面付着物が少なく、これによってスタンパ寿命が長くなる。この結果、低温成形と耐候性の相反する特性を満足する安価な情報記録媒体用ガラス基板、及び安価な情報記録媒体を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いたインラインスクリュー式の射出成形機の断面模式図である。
【図2】本発明において用いることのできる金型の模式的断面図である。
【図3】スタンパ表面および成型基板の表面粗さRaと成形回数との関係を示す図である。
【符号の説明】
11  可動スクリュー
12  スクリュー駆動手段
13  加熱シリンダ
14  加熱手段
15  ホッパ
16  射出口
17  固定部
18  可動部
19  駆動手段
21  スプール
22  基板キャビティ
23  ゲート
24  ゲートカット手段
25  スタンパ
26  スタンパ

Claims (5)

  1. 酸化防止剤を熱可塑性樹脂に添加し、前記熱可塑性樹脂を成形金型内に射出し、情報記録媒体用基板を成形する情報記録媒体用基板の製造方法において、
    前記酸化防止剤として、前記成形金型内の成形面温度よりも高い融点を有する酸化防止剤を用いることを特徴とする情報記録媒体用基板の製造方法。
  2. 前記熱可塑性樹脂のガラス転移点は150℃〜200℃の範囲であり、かつ前記成形面温度は120℃〜170℃の範囲に制御されていることを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体用基板の製造方法。
  3. 前記酸化防止剤の添加重量比率が、前記熱可塑性樹脂に対して0.01〜5%であることを特徴とする請求項1または2に記載の情報記録媒体用基板の製造方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載された方法により製造されたことを特徴とする情報記録媒体用基板。
  5. 請求項4に記載された基板を有することを特徴とする情報記録媒体。
JP2002311633A 2002-10-25 2002-10-25 情報記録媒体用基板の製造方法、情報記録媒体用基板及び情報記録媒体 Pending JP2004146007A (ja)

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