JP2004145491A - 不動産価格評価方法およびそのシステム、評価サーバ、並びにプログラム - Google Patents

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久恒 新
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Abstract

【課題】適正な収益価格を容易に算出することができる不動産価格評価方法およびそのシステム、評価サーバ、並びにプログラムを提供すること。
【解決手段】表示手段21に表示された変動幅入力設定部で、入力項目としての予測値の変動幅を入力手段22を用いて設定し、予測値自動選択手段44により、設定した変動幅の範囲内から複数通り(例えば百通り等)の予測値を自動的に選択し、不動産価格算出処理手段45により、これらの複数通りの予測値に基づき複数通りの不動産価格を算出した後、結果表示処理手段46により、算出結果を表示手段21の画面上に集計表示(例えばヒストグラム表示等)するようにした。なお、予測値が選択される確率分布を設定可能とすることが好ましい。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、収益還元法を含む評価法により不動産価格の評価を行う不動産価格評価方法およびそのシステム、評価サーバ、並びにプログラムに係り、例えば、割引キャッシュ・フロー法(DCF法:ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法)により不動産価格の評価を行う場合等に利用できる。
【0002】
【背景技術】
従来、戦後の日本では、不動産価格の評価を行う際には、建物の建築費用や土地代等のような不動産の取得・整備・維持等に要したコストを積み上げて算出される積算価格に基づく評価を行ってきた。このような評価法は、公示地価、路線価、取引価格を主とした評価ともいえる。このため、従来より、銀行等の金融機関が不動産を担保にして融資を行う際には、積算価格に基づき担保評価を行ってきた。
【0003】
しかし、バブル崩壊により、不動産市場の混乱と低迷、不良債権処理の遅れ、金融機関の融資余力の減少等の様々な問題が招来され、公的評価・旧価格水準への不信が高まり、これを契機として、従来より行われてきたコストの面からアプローチした価格水準である積算価格に基づく評価法を見直す必要性が生じてきた。すなわち、我国の不動産市場は、価格と賃料水準(収益性)との連動がなく、欧米のような不動産の利回り市場を形成してこなかったためにバブルを生じるとともに、バブル崩壊後においては、価格体系を大混乱に陥らせ、自立回復メカニズムを持ち得ないまま価格が毎年毎年下落し続ける状態となり、これにより我国企業のバランスシートの悪化と金融機関の不良債権問題を引き起こし、ひいてはこの平成不況を長期化させている。
【0004】
一方、欧米では、収益面からアプローチした価格水準である収益価格に基づく評価が行われている。この収益価格は、収益還元という手法を用いて算出されるものであり、その不動産が生み出す収益を現在価値に戻したものである。不動産が生み出す収益には二通りあり、一つ目は通常の賃料収入等から経費を差し引いて残る純収益であり、これは毎年生み出されるものである。二つ目は、保有終了時の売却益である。これらの利益を各種データで分析して求め、各々を現在価値に戻した総和が収益価格であり、この求め方をDCF(割引キャッシュ・フロー)分析という。そして、米国では、このDCF法をベースとした投資魅力のある価格である収益価格と利回り(割引率)の公開により、不動産市場の回復、育成に成功している。
【0005】
そこで、近年、我国でも収益価格を導入しないと不良債権処理が進まないという提案がなされ(例えば、非特許文献1参照)、収益価格の検討が始まっている。そして、収益価格の算出結果に幅を持たせるという提案もなされている(例えば、非特許文献2参照)。
【0006】
【非特許文献1】
久恒新著、「こうすれば土地は動く」、日本経済新聞社発行、1999年8月25日(1版1刷)、p.123−168
【非特許文献2】
井上利浩、金建河、田畑智章、大野高裕著、「不動産証券化に関するショッピングセンターの価値評価」、「JAREFE 2002 春季大会プログラム」、日本不動産金融工学学会(JAREFE:The Japanese Association of RealEstate Financial Engineering)、平成14年3月16日、p.81−84
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、これまで我国の不動産鑑定評価で行われてきた収益還元法は、欧米で行われているようなDCF法ではなく、直接還元法または単年度法といわれる永久保有を前提とする評価式によるものでしかなかった。この評価式は、純収益÷還元利回り率=収益価格というものであり、還元利回り率が価格に対して重要性を担うものであることが分かるが、我国では、不動産市場、特に投資市場が殆ど成立していないため、客観的な利回り率、あるいは説得力のある利回り率というもの自体が実は存在していなかった。従って、従来の我国でいうところの収益価格は、利回り率自体への信頼が得られないのと同様に、その価格自体が説得力を持ち得ないものであった。
【0008】
このため、混乱、低迷している不動産市場を活性化して再生し、また、不良債権処理を終わらせるためにも、欧米の如く、DCF法による収益価格の市場を形成し、価格および各種利回りを公開してこれらの信頼性を高めていく必要があり、そのためには、不動産市場、あるいはその投資市場を担う者に対し、収益価格の適正な求め方を提供する必要がある。
【0009】
すなわち、崩壊しつつある公的評価額(積算価格の市場)に頼らずに、自ら価格評価を行うことができるようにするため、前述した非特許文献1に記載されているように収益価格の市場を形成することが望まれる。
【0010】
また、資産の適正な評価額を誰でも、しかも容易に判断できるようにするため、信頼性が高く、かつ、使い勝手のよい評価用ソフトウェアやシステムの開発が望まれている。
【0011】
さらに、変化の予測される時代、リスク変動が予測される時代には、不動産鑑定による唯一の評価額では不充分であり、幅(評価額レンジ)を持った評価を行うことが要求されている。しかし、前述した非特許文献2に記載された評価額の提示方法では、算出結果に幅を持たせることはできるものの、その算出処理に必要な各入力項目についての状況変化やリスク変動を評価額に適切に反映させることはできないので、充分な満足が得られないという問題がある。このため、予測される変化やリスク変動を、より一層充分かつ的確に評価額に反映させることができる評価法が望まれている。
【0012】
そして、収益データ、経費データ、稼働率等の経緯データ等のような価格評価に必要なデータについては、不動産の所有者等の当事者であれば、通常、保有しているので、このような場合には、価格評価に必要なのは、その不動産に適用すべき割引率や還元利回り率のみである。従って、割引率や還元利回り率のみの評価依頼のニーズに応える必要性も生じる。この際、前述したように、従来より我国では、客観的な利回り率、あるいは説得力のある利回り率は存在せず、不動産は永久に存在するものであるということを前提として利回り率は固定的なものとされていた。しかし、欧米諸国の不動産市場(収益価格の市場)に見られるように、割引率や還元利回り率は、不動産の種類や置かれている状況、あるいは時期等によって変化するのが常識であるため、割引率や還元利回り率を現実の状況に追従させて常に更新して変化させ、最新の値を提示していくことが望まれる。
【0013】
また、我国の混乱している価格水準を整理分析し、収益価格のみならず、積算価格、競売価格、特定価格を含め、4つの構成市場毎の価格水準を同時に提示することができれば、不動産の所有者や投資家等にとって有益な情報となり、不動産の流動化が、より一層促進される。
【0014】
本発明の目的は、適正な収益価格を容易に算出することができる不動産価格評価方法およびそのシステム、評価サーバ、並びにプログラムを提供するところにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、入力項目としての予測値の変動幅を設定し、この変動幅の範囲内から複数通りの予測値を自動的に選択し、これらの複数通りの予測値に基づき複数通りの不動産価格を算出して集計表示することにより前記目的を達成しようとするものである。
【0016】
具体的には、本発明は、収益還元法を含む評価法により不動産価格の評価を行う不動産価格評価方法であって、入力手段を用いて不動産価格の評価に必要な各項目の値を入力する際に、表示手段の画面上に表示された変動幅入力設定部で、各項目の値に含まれる少なくとも一つの予測値の変動幅を入力設定した後、予測値自動選択手段により、変動幅入力設定部で入力設定された変動幅の範囲内から不動産価格の算出処理に用いる複数通りの予測値を自動的に選択し、続いて、不動産価格算出処理手段により、予測値自動選択手段により選択された複数通りの予測値に基づき複数通りの不動産価格を算出し、その後、結果表示処理手段により、不動産価格算出処理手段による処理結果として得られた複数通りの不動産価格を表示手段の画面上に集計表示することを特徴とするものである。
【0017】
ここで、「収益還元法を含む評価法により」とは、収益還元法による評価(収益価格の算出)のみならず、他の評価法による評価(積算価格、競売価格、特定価格の算出)を併せて行ってもよい趣旨である。
【0018】
また、「入力手段」としては、例えば、マウス、キーボード、トラックボール、ライトペン、トラックパッド、トラックポイント、タブレットおよびスタイラス、ジョイスティック、音声認識装置、あるいはこれらの組合せ等、各種のものを採用することができる。なお、タッチパネルのように、表示手段と一体化された入力手段であってもよい。
【0019】
さらに、「表示手段」としては、例えば、液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ、有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、ECL(エレクトロケミルミネッセンス)ディスプレイ、プロジェクタおよびスクリーン、あるいはこれらの組合せ等を採用することができる。
【0020】
そして、「変動幅入力設定部」での変動幅の入力設定方法は、例えば、変動幅の上限および下限を直接に入力するようにしてもよく、変動幅の中央および幅の大きさ(全幅はたは片幅)を入力するようにしてもよく、変動幅の上限および幅の大きさ(全幅)を入力するようにしてもよく、変動幅の下限および幅の大きさ(全幅)を入力するようにしてもよく、要するに、結果的に上限および下限が定まればよい。
【0021】
このような本発明の不動産価格評価方法においては、入力項目としての予測値の変動幅を設定し、この変動幅の範囲内から複数通りの予測値を自動的に選択し、これらの複数通りの予測値に基づき複数通りの不動産価格を算出して集計表示するので、入力段階から幅を持った設定をし、かつ、出力段階でも算出結果としての評価額に幅を持たせることができるようになる。
【0022】
このため、予測される変化やリスク変動を評価額に適切に反映させることが可能となり、DCF法による評価額の算出処理に適用することで、適正な収益価格の提示が可能となる。従って、入力段階で幅を持った設定をすることはできない前述した非特許文献2に記載された評価額の提示方法に比べ、より一層ダイナミックな評価法が実現される。なお、以下、本発明の不動産価格評価方法をDCF法に適用した評価法を、レンジ−DCF法、またはDDCF(ダイナミックDCF)法と称するものとする。
【0023】
さらに、設定した変動幅の範囲内からの複数通りの予測値の選択は、予測値自動選択手段により自動的に行い、また、複数通りの予測値に基づく複数通りの不動産価格の算出も、不動産価格算出処理手段により行うので、膨大な計算処理を迅速かつ正確に行うことができるため、信頼性の高い評価額を容易に得ることが可能となり、これらにより前記目的が達成される。
【0024】
また、以上に述べた本発明の不動産価格評価方法を実現するシステムとして、以下のような本発明の不動産価格評価システムを挙げることができる。
【0025】
すなわち、本発明は、収益還元法を含む評価法により不動産価格の評価を行う不動産価格評価システムであって、不動産価格の評価に必要な各項目の値を入力する入力手段と、不動産価格の評価結果を画面表示する表示手段と、入力手段を用いて入力された各項目の値に基づき不動産価格の算出を含む処理を行う処理手段とを備え、各項目の値には、少なくとも一つの予測値が含まれ、表示手段の画面上には、入力手段を用いて予測値の変動幅を入力設定するための変動幅入力設定部が表示され、処理手段は、変動幅入力設定部で入力設定された変動幅の範囲内から不動産価格の算出処理に用いる複数通りの予測値を自動的に選択する予測値自動選択手段と、この予測値自動選択手段により選択された複数通りの予測値に基づき複数通りの不動産価格を算出する不動産価格算出処理手段と、この不動産価格算出処理手段による処理結果として得られた複数通りの不動産価格を表示手段の画面上に集計表示する結果表示処理手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0026】
このような本発明の不動産価格評価システムにおいては、前述した本発明の不動産価格評価方法で得られる作用・効果がそのまま得られ、これにより前記目的が達成される。
【0027】
また、前述した不動産価格評価システムにおいて、表示手段の画面上には、変動幅の範囲内から各予測値が選択される確率を決める確率分布を入力設定するための確率分布入力設定部が表示され、予測値自動選択手段は、確率分布入力設定部で入力設定された確率分布に基づき複数通りの予測値を自動的に選択する構成とされていることが望ましい。
【0028】
ここで、確率分布入力設定部での確率分布の入力設定は、例えば、予め用意された複数の確率分布曲線の中から、適用する確率分布曲線を選択して行われるようになっていてもよく、入力手段を用いて確率分布曲線を描いて行われるようになっていてもよく、あるいは予め用意された確率分布曲線を変形・拡大・縮小・回転・反転・移動等させて行われるようになっていてもよく、要するに、確率分布を設定できればよい。
【0029】
このように確率分布入力設定部で確率分布を入力設定する構成とした場合には、価格を算出しようとするシステム利用者は、自己の意図や希望あるいは予測に近い形で予測値の発生確率(自動選択される確率)を設定することができるため、評価額の算出結果を、より一層現実の状況に近づけ、信頼性の高いものにすることが可能となる。
【0030】
さらに、上記のように確率分布入力設定部で確率分布を入力設定する構成とした場合において、確率分布入力設定部は、入力手段を用いて確率分布曲線の極大値をとる位置を指定する構成とされていることが望ましい。
【0031】
ここで、極大値をとる位置を指定して設定される「確率分布曲線」は、予め用意された所定の形状を有する確率分布曲線をその曲線形状を保持したまま移動させて形成された確率分布曲線でもよく、あるいは極大値をとる位置の指定に基づきその都度形状を変化させて形成される確率分布曲線でもよい。前者の場合に、予め用意しておく所定の形状を有する確率分布曲線としては、例えば、正規分布曲線、スチューデントのt分布曲線、χ(カイ2乗)分布曲線等を採用することができるが、最も一般的で簡易であるという点で、正規分布曲線とすることが好ましい。後者の場合には、例えば、指定された極大値をとる位置を頂点とする山形(三角形)の形状を有する確率分布曲線等が挙げられる。
【0032】
また、極大値をとる位置の指定方法は、スライダーバーおよびスライダを用いる方法でもよく、極大値をとる位置を示す数値を入力(キーによる打ち込み入力や音声入力)する方法でもよい。さらには、カーソルキー(例えば「→」、「←」キー等)を連続して押すことにより、表示手段の画面上に表示されている数値(極大値をとる位置を示す数値)を変化させたり、あるいは表示手段の画面上に表示されているインジケータ(例えば、設定された変動幅の範囲を示すスケール(目盛りの有無は問わない。)上を移動するスライドバーや三角マークや矢印マーク等)を移動させて指示位置(極大値をとる位置を示す指示位置)を変化させる方法でもよい。
【0033】
このように極大値をとる位置を指定して確率分布曲線を設定する構成とした場合には、システム利用者は、極大値をとる位置を指定するだけの容易な作業で、所望の確率分布曲線を設定することができるので、システムの使い勝手の向上が図られる。
【0034】
そして、極大値をとる位置の指定方法は、上述したように種々あるが、その中でも特に次のような指定方法を採用することが望ましい。すなわち、上記のように極大値をとる位置を指定して確率分布曲線を設定する構成とした場合において、確率分布入力設定部は、確率分布曲線の横軸に沿う方向に配置されたスライダーバーと、このスライダーバー上を摺動するスライダとを備え、極大値をとる位置の指定は、入力手段を用いてスライダをドラッグ操作することによりスライダの位置に対応させて極大値をとる位置を移動させて行われる構成とされていることが望ましい。
【0035】
ここで、「横軸」とは、絶対空間で見た場合の横方向の軸を意味するのではなく、確率分布曲線が拡がる方向の軸を意味し、確率の大きさを示す方向を縦軸とした場合の横軸を意味する。従って、確率分布曲線が90度寝かせて画面表示される場合には、スライダーバーは、絶対空間で見た場合の縦方向の軸に沿って配置される。
【0036】
このように確率分布入力設定部をスライダーバーおよびスライダを備えた構成とした場合には、システム利用者は、スライダをドラッグ操作して移動させることにより、極大値をとる位置を移動させることができるので、極大値をとる位置を容易に指定することができるようになり、システムの使い勝手が、より一層向上する。
【0037】
また、以上に述べた不動産価格評価システムにおいて、予測値自動選択手段は、乱数を用いて複数通りの予測値を自動的に選択する構成とされていることが望ましい。
【0038】
このように乱数を用いて予測値を自動選択する構成とした場合には、偏りのない選択が実現され、また、確率分布を設定した場合には、その設定した確率分布に従った選択が実現されるので、信頼性の高い算出結果を得ることが可能となる。
【0039】
さらに、以上に述べた不動産価格評価システムにおいて、結果表示処理手段による集計表示には、横軸を不動産価格とし、かつ、縦軸を度数としたヒストグラム表示が含まれることが望ましい。
【0040】
ここで、「度数」には、相対度数、あるいは度数に比例する値が含まれる。また、「横軸」、「縦軸」は、絶対空間で見た場合の横方向の軸、縦方向の軸を意味しないことは、前述した「確率分布曲線の横軸」の場合と同様である。
【0041】
このように算出結果をヒストグラム表示する構成とした場合には、システム利用者は、幅を持って提示された算出結果を容易に把握し、確認することが可能となる。
【0042】
そして、上記のように算出結果をヒストグラム表示する構成とした場合において、入力手段を用いて各項目の値を入力変更した状態で不動産価格算出処理手段による複数通りの予測値に基づく複数通りの不動産価格の算出処理を複数パターンについて行った各結果を個別に一時的に記憶する複数パターン算出処理結果記憶手段を設けておき、結果表示処理手段を、複数パターン算出処理結果記憶手段に記憶された各パターンの算出処理結果を積み重ねるか、または横方向に並べてヒストグラム表示を行う構成とすることが望ましい。
【0043】
ここで、「積み重ねるか、または横方向に並べて」とは、積み重ね表示または並列表示のうちのいずれか一方の表示のみを行うことができる構成としてもよく、あるいは、双方の表示を選択的に行うことができる構成としてもよい趣旨である。
【0044】
このように各パターンの算出処理結果を積み重ねるか、または横方向に並べてヒストグラム表示を行う構成とした場合には、各入力項目の値を変更した際の算出結果を比較表示することができるので、システム利用者は、より一層的確に評価額を判断することが可能となる。
【0045】
また、上記のように算出結果をヒストグラム表示する構成とした場合において、結果表示処理手段による集計表示には、横軸を収益還元法のうちの割引キャッシュ・フロー法により算出した収益価格としたヒストグラム表示に加え、特定価格表示が含まれることが望ましい。
【0046】
ここで、「特定価格」とは、不良債権市場における価格水準であり、不良債権化した不動産の売買に外資が参入して形成された概念である。つまり、外資の参入により形成された特定価格の概念は、不良債権化した不動産を、利回りを大きくみて、リスクを高くみて評価して購入し、将来、転売して大きな利益を得ることを目的とする場合の評価法である。
【0047】
また、「特定価格表示」は、ヒストグラム表示としてもよく、単純に幅を持たせて値を示す表示(ゾーン表示等)としてもよく、あるいは唯一の値を示す表示(バー表示等)としてもよいが、判断材料の高度化の観点から、収益価格と同様にヒストグラム表示とすることが好ましい。
【0048】
このように収益価格のヒストグラム表示に加え、特定価格表示を行う構成とした場合には、システム利用者は、収益価格および特定価格の2つの市場を同時に把握することができ、より一層多くの判断材料を得ることが可能となる。
【0049】
さらに、上記のように収益価格および特定価格を同時に表示する構成とした場合において、結果表示処理手段による集計表示には、横軸を収益価格としたヒストグラム表示および特定価格表示に加え、積算価格表示および/または競売価格表示が含まれることが望ましい。
【0050】
ここで、「競売価格」とは、例えば、積算価格水準で購入した住宅のローンが支払えなくなり、競売にかけられた場合等の価格であり、概ね積算価格の6割〜7割に相当する価格である。
【0051】
また、「積算価格表示」および「競売価格表示」は、ヒストグラム表示としてもよく、単純に幅を持たせて値を示す表示(ゾーン表示等)としてもよく、あるいは唯一の値を示す表示(バー表示等)としてもよい。
【0052】
このように積算価格表示および/または競売価格表示を行う構成とした場合には、システム利用者は、収益価格、特定価格、積算価格および/または競売価格の3つまたは4つの市場を同時に把握することができ、より一層多くの判断材料を得ることが可能となる。
【0053】
そして、以上に述べた不動産価格評価システムは、一台のコンピュータにより実現されてもよいが、次のようにネットワークで接続された複数のコンピュータ等により実現されてもよい。
【0054】
すなわち、以上に述べた不動産価格評価システムにおいて、利用者の操作する利用者端末装置と、この利用者端末装置とネットワークで接続されて不動産価格の評価のための処理を行う評価サーバとを備え、表示手段および入力手段は、利用者端末装置に設けられ、処理手段は、評価サーバに設けられ、評価サーバは、ネットワークを介して利用者端末装置から送られてきた利用者による入力情報を記憶する入力情報記憶手段と、不動産価格算出処理手段による処理結果を記憶する不動産価格算出処理結果記憶手段と、収益還元法による評価を行う際の割引率および/または還元利回り率を記憶する割引率・還元利回り率記憶手段と、入力情報記憶手段に記憶された入力情報および不動産価格算出処理結果記憶手段に記憶された処理結果を含む情報に基づき割引率・還元利回り率記憶手段に記憶された割引率および/または還元利回り率を更新する割引率・還元利回り率更新手段とを備えた構成としてもよい。
【0055】
ここで、「入力情報記憶手段に記憶された入力情報および不動産価格算出処理結果記憶手段に記憶された処理結果を含む情報に基づき」とは、入力情報記憶手段に記憶された入力情報および不動産価格算出処理結果記憶手段に記憶された処理結果のみならず、システム利用者から積極的に提供された事後情報、システム管理者がシステム利用者から収集・調査した事後情報、システム管理者が独自に収集・調査した事後情報をも考慮して割引率および/または還元利回り率を更新してもよい趣旨である。
【0056】
また、割引率・還元利回り率更新手段による更新処理は、システム管理者の判断を介在させずに完全に自動的に行ってもよく、あるいはシステム管理者の判断を一部加味しながら行ってもよい。さらに、更新処理を行うタイミングについては、一定の時間間隔で定期的に行うようにしてもよく、新しいデータが増える都度に行うようにしてもよく、システム管理者が必要と判断した時期に行うようにしてもよく、要するに、市場の状況に対応して最新の割引率および/または還元利回り率が割引率・還元利回り率記憶手段に記憶され、システム利用者に提供可能な状態となっていればよい。また、割引率・還元利回り率更新手段により、一旦更新した割引率および/または還元利回り率は、システム管理者の判断で適宜修正できるようにしておいてもよい。
【0057】
さらに、「ネットワーク」には、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(MAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、インターネット、イントラネット、エクストラネット、あるいはこれらの組合せ等、様々な形態のものが含まれ、有線であるか無線であるか、さらには有線および無線の混在型であるかは問わず、要するに、複数地点(距離の長短は問わない。)間で、ある程度の速度をもって情報を伝送することができるものであればよい。
【0058】
そして、「利用者端末装置」は、主として通常のコンピュータにより実現されるが、これに限定されるものではなく、例えば、携帯電話機(パーソナル・ハンディフォーン・システム(PHS)も含む。)、パーソナル・デジタル・アシスタンス(PDA)、電子手帳、ゲーム機、腕時計、デジタル・テレビ等であっても、中央演算処理装置(CPU)の性能、画面の解像度、記憶手段の容量等が本発明に適するものであれば採用することができる。
【0059】
また、「評価サーバ」は、一台のコンピュータあるいは一つのCPUにより実現されるものに限定されず、複数のコンピュータ等で分散処理を行うことにより実現されるものであってもよい。
【0060】
このように不動産価格評価システムを利用者端末装置と評価サーバとをネットワークで接続して構成した場合には、システム利用者による入力情報をシステムに蓄積し、その蓄積データに基づき割引率および/または還元利回り率を更新することができるようになるため、システム利用者に対し、市場の状況に対応した最新の割引率および/または還元利回り率を提供することが可能となる。
【0061】
また、本発明は、利用者の操作する利用者端末装置とネットワークで接続され、収益還元法を含む評価法により不動産価格の評価を行う不動産価格評価システムを構成する評価サーバであって、利用者端末装置の入力手段を用いて入力された不動産価格の評価に必要な各項目の値に基づき不動産価格の算出を含む処理を行う処理手段を備え、各項目の値には、少なくとも一つの予測値が含まれ、処理手段は、利用者端末装置の表示手段の画面上に表示された変動幅入力設定部で入力設定された予測値の変動幅の範囲内から不動産価格の算出処理に用いる複数通りの予測値を自動的に選択する予測値自動選択手段と、この予測値自動選択手段により選択された複数通りの予測値に基づき複数通りの不動産価格を算出する不動産価格算出処理手段と、この不動産価格算出処理手段による処理結果として得られた複数通りの不動産価格を表示手段の画面上に集計表示する結果表示処理手段と、収益還元法による評価を行う際の割引率および/または還元利回り率を更新する割引率・還元利回り率更新手段とを備え、処理手段には、ネットワークを介して利用者端末装置から送られてきた利用者による入力情報を記憶する入力情報記憶手段と、不動産価格算出処理手段による処理結果を記憶する不動産価格算出処理結果記憶手段と、割引率および/または還元利回り率を記憶する割引率・還元利回り率記憶手段とが接続され、割引率・還元利回り率更新手段は、入力情報記憶手段に記憶された入力情報および不動産価格算出処理結果記憶手段に記憶された処理結果を含む情報に基づき割引率・還元利回り率記憶手段に記憶された割引率および/または還元利回り率を更新する構成とされていることを特徴とするものである。
【0062】
さらに、本発明は、収益還元法を含む評価法により不動産価格の評価を行う不動産価格評価システムとして、コンピュータを機能させるためのプログラムであって、不動産価格の評価に必要な各項目の値を入力する入力手段と、不動産価格の評価結果を画面表示する表示手段と、入力手段を用いて入力された各項目の値に基づき不動産価格の算出を含む処理を行う処理手段とを備え、各項目の値には、少なくとも一つの予測値が含まれ、表示手段の画面上には、入力手段を用いて予測値の変動幅を入力設定するための変動幅入力設定部が表示され、処理手段は、変動幅入力設定部で入力設定された変動幅の範囲内から不動産価格の算出処理に用いる複数通りの予測値を自動的に選択する予測値自動選択手段と、この予測値自動選択手段により選択された複数通りの予測値に基づき複数通りの不動産価格を算出する不動産価格算出処理手段と、この不動産価格算出処理手段による処理結果として得られた複数通りの不動産価格を表示手段の画面上に集計表示する結果表示処理手段とを備えたことを特徴とする不動産価格評価システムとして、コンピュータを機能させるためのものである。
【0063】
そして、本発明は、利用者の操作する利用者端末装置とネットワークで接続され、収益還元法を含む評価法により不動産価格の評価を行う不動産価格評価システムを構成する評価サーバとして、コンピュータを機能させるためのプログラムであって、利用者端末装置の入力手段を用いて入力された不動産価格の評価に必要な各項目の値に基づき不動産価格の算出を含む処理を行う処理手段を備え、各項目の値には、少なくとも一つの予測値が含まれ、処理手段は、利用者端末装置の表示手段の画面上に表示された変動幅入力設定部で入力設定された予測値の変動幅の範囲内から不動産価格の算出処理に用いる複数通りの予測値を自動的に選択する予測値自動選択手段と、この予測値自動選択手段により選択された複数通りの予測値に基づき複数通りの不動産価格を算出する不動産価格算出処理手段と、この不動産価格算出処理手段による処理結果として得られた複数通りの不動産価格を表示手段の画面上に集計表示する結果表示処理手段と、収益還元法による評価を行う際の割引率および/または還元利回り率を更新する割引率・還元利回り率更新手段とを備え、処理手段には、ネットワークを介して利用者端末装置から送られてきた利用者による入力情報を記憶する入力情報記憶手段と、不動産価格算出処理手段による処理結果を記憶する不動産価格算出処理結果記憶手段と、割引率および/または還元利回り率を記憶する割引率・還元利回り率記憶手段とが接続され、割引率・還元利回り率更新手段は、入力情報記憶手段に記憶された入力情報および不動産価格算出処理結果記憶手段に記憶された処理結果を含む情報に基づき割引率・還元利回り率記憶手段に記憶された割引率および/または還元利回り率を更新する構成とされていることを特徴とする評価サーバとして、コンピュータを機能させるためのものである。
【0064】
なお、以上に述べたプログラムまたはその一部は、例えば、光磁気ディスク(MO)、コンパクトディスク(CD)を利用した読出し専用メモリ(CD−ROM)、CDレコーダブル(CD−R)、CDリライタブル(CD−RW)、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)を利用した読出し専用メモリ(DVD−ROM)、DVDを利用したランダム・アクセス・メモリ(DVD−RAM)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、ハードディスク、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去および書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)等の記録媒体に記録して保存や流通等させることが可能であるとともに、例えば、LAN、MAN、WAN、インターネット、イントラネット、エクストラネット等の有線ネットワーク、あるいは無線通信ネットワーク、さらにはこれらの組合せ等の伝送媒体を用いて伝送することが可能であり、また、搬送波に載せて搬送することも可能である。さらに、以上に述べたプログラムは、他のプログラムの一部分であってもよく、あるいは別個のプログラムと共に記録媒体に記録されていてもよい。
【0065】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
【0066】
[第一実施形態]
図1には、本発明の第一実施形態の不動産価格評価システム10の全体構成が示されている。図2には、システム10による処理に伴う画面遷移の説明図が示され、図3には、システム10によりオンライン評価を行う際の処理の流れがフローチャートで示されている。また、図4〜図19には、システム10による処理に伴う画面例が示されている。
【0067】
不動産価格評価システム10は、収益還元法のうちの、特に、レンジ−DCF法による不動産価格の評価額としての収益価格レンジを算出することができるシステムであり、その他に、特定価格、積算価格、競売価格の提示も併せて行うことができるシステムである。
【0068】
図1において、不動産価格評価システム10は、システム利用者の操作する一つまたは複数の利用者端末装置20と、不動産価格の評価のための処理を行う評価サーバ30と、システム管理者の操作する管理者端末装置70とを備えて構成され、これらはネットワーク1で接続されている。ネットワーク1は、本実施形態では、主としてインターネットおよびこれに接続されたLANや無線通信網等により構成されているが、これに限定されるものではない。
【0069】
利用者端末装置20は、例えば、パーソナル・コンピュータ、あるいは携帯電話機やPDA等により構成され、不動産価格の評価結果を含む各種情報を画面表示する表示手段21と、不動産価格の評価に必要な各項目の値の入力等を行う入力手段22とを備えている。また、プリンタやプロッタ等の出力手段を適宜設けておいてもよい。
【0070】
表示手段21としては、例えば、液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ、有機ELディスプレイ、ECLディスプレイ、プロジェクタおよびスクリーン、あるいはこれらの組合せ等を採用することができる。
【0071】
入力手段22としては、例えば、マウス、キーボード、トラックボール、ライトペン、トラックパッド、トラックポイント、タブレットおよびスタイラス、ジョイスティック、音声認識装置、あるいはこれらの組合せ等、各種のものを採用することができる。なお、タッチパネル等のように表示手段と一体化された入力手段としてもよく、この場合には、スライダ254(図9参照)のドラッグ操作には、指でスライダ254に触れてスライダ254を動かす操作が含まれる。
【0072】
評価サーバ30は、コンピュータにより構成され、入力手段22を用いて利用者端末装置20で利用者により入力された各項目の値に基づき不動産価格の算出を含む処理を行う処理手段40と、この処理手段40に接続された入力フォーム記憶手段61、入力情報記憶手段62、複数パターン算出処理結果記憶手段63、不動産価格算出処理結果記憶手段64、割引率・還元利回り率記憶手段65、および事後情報記憶手段66とを備えている。
【0073】
処理手段40は、前提条件入力処理手段41と、変動幅入力設定処理手段42と、確率分布入力設定処理手段43と、予測値自動選択手段44と、不動産価格算出処理手段45と、結果表示処理手段46と、割引率・還元利回り率更新手段47と、割引率・還元利回り率修正手段48と、事後情報追加手段49と、割引率・還元利回り率提供手段50と、土壌汚染情報処理手段51とを備えている。
【0074】
前提条件入力処理手段41は、利用者端末装置20からの利用者の要求に応じて前提条件設定画面160(図7参照)を利用者端末装置20に送信し、利用者端末装置20から送られてくる利用者による画面160での入力情報を受信する処理を行うものである。
【0075】
変動幅入力設定処理手段42は、利用者端末装置20からの利用者の要求に応じて上限下限設定画面230(図8参照)を利用者端末装置20に送信し、利用者端末装置20から送られてくる利用者による画面230での入力情報を受信する処理を行うものである。
【0076】
確率分布入力設定処理手段43は、利用者端末装置20からの利用者の要求に応じて確率分布設定画面250(図9参照)を利用者端末装置20に送信し、利用者端末装置20から送られてくる利用者による画面250での入力情報を受信する処理を行うものである。
【0077】
予測値自動選択手段44は、上限下限設定画面230(図8参照)の変動幅入力設定部231で入力設定された予測値の変動幅の範囲内(上限値と下限値との間)から、不動産価格の算出処理に用いる複数通り(例えば、百通り等)の予測値を自動的に選択する処理を行うものである。この予測値自動選択手段44は、確率分布設定画面250(図9参照)の確率分布入力設定部251で利用者により設定された確率分布に従って選択処理を行う。なお、予測値とは、不動産価格の評価に必要な各項目の値のうち、入力時点では確定できず、予測して入力しなければならない値であり、かつ、変動が予測される値である。
【0078】
不動産価格算出処理手段45は、予測値自動選択手段44により選択された複数通りの予測値に基づき複数通りの不動産価格(収益価格)を算出する処理を行うものである。本実施形態では、上限下限設定画面230(図8参照)で変動幅を設定する項目数は、例えば8項目とされているので、例えば100通りのシミュレーションを行う場合には、8項目の各々について100通りの予測値が選択される。さらに詳細には、投資予定期間内において毎年の変動が予測される項目については、毎年の予想値を異なる値にする必要があるので、そのような項目については、一つの項目の各年度について、100通りの予測値が選択される。例えば、初年度の入居率(図8の入力部232A,232Bで入力設定する項目)については、初年度について100通りの予測値が選択されるだけであるのに対し、入居率増減率(図8の入力部237A,237Bで入力設定する項目)については、投資予定期間内の各年度について100通りの予測値が選択される。但し、これらの各項目の各年度の予測値は、総当りで計算されるのではないため、100の、べき乗通りではなく、100通りの収益価格が算出される。つまり、ある一つの項目の、ある年度について選択された一つの予測値に対しては、別の一つの項目の、その年度について選択された予測値が一つだけ対応する。従って、一回のシミュレーションでは、8項目の各々(毎年の変動がある項目の場合には、その項目の各年度の各々となる。)について一つずつの予測値が選択され、これらにより一つの収益価格が算出されるので、この処理を複数回(例えば100回)繰り返すことにより、複数通り(例えば100通り)の収益価格が算出される。なお、計算の処理能力や処理時間に問題がなければ、総当りの計算を行ってもよい。
【0079】
結果表示処理手段46は、不動産価格算出処理手段45による処理結果として得られた複数通りの不動産価格を、利用者端末装置20の表示手段21の画面上に集計表示する処理を行うものであり、利用者端末装置20からの利用者の要求に応じて、純収益変動表示画面(図10参照)、ヒストグラム表示画面(図11参照)、複数パターン比較用ヒストグラム表示画面(図12、図13参照)、結果表示画面(図14参照)、特定価格表示画面(図15参照)、積算・競売価格表示画面(図17参照)の各画面を利用者端末装置20に送信する。
【0080】
割引率・還元利回り率更新手段47は、割引率・還元利回り率記憶手段65に記憶される割引率および還元利回り率のデータを更新する処理を行うものである。ここで、割引率は、DCF法(レンジ−DCF法を含む。)で評価を行う際に用いられる割引率であり、自己資金割引率も含まれる。また、還元利回り率には、直接還元法(単年度法)で評価を行う際に用いられる還元利回り率、およびDCF法(レンジ−DCF法を含む。)で評価を行う際に用いられる還元利回り率の双方が含まれる。
【0081】
この割引率・還元利回り率更新手段47は、入力情報記憶手段62に記憶された入力情報と、不動産価格算出処理結果記憶手段64に記憶された処理結果と、事後情報記憶手段66に記憶された事後情報とに基づき、割引率および還元利回り率のデータを自動的に更新する。更新処理は、例えば、毎日17時あるいは毎週金曜日等のように定期的に行われることに加え、例えば事後情報が追加された場合等のように新しいデータが増えた際にも行われる。さらに、システム管理者が必要であると判断した時に、管理者端末装置70からのシステム管理者の命令によっても行われる。
【0082】
割引率・還元利回り率修正手段48は、割引率・還元利回り率更新手段47で自動的に更新された割引率および還元利回り率のデータについて、人為的な修正を加える必要が生じた場合等に、管理者端末装置70からのシステム管理者による修正入力を受け付ける処理を行うものである。
【0083】
事後情報追加手段49は、システム10による評価(オンライン評価およびシステム管理者による鑑定評価の双方を含む。)を行った際にシステム利用者により情報を入力された不動産について、事後的に別の情報が得られた場合に、その事後情報を事後情報記憶手段66に記憶させ、システムに追加登録する処理を行うものである。この事後情報追加手段49による処理には、利用者端末装置20で所定の事後情報入力フォームを用いてシステム利用者から積極的に提供された事後情報を、オンラインで追加処理する場合、システム利用者から電話、ファクシミリ、電子メール、郵便等の手段で積極的な事後情報の提供を受けたシステム管理者が、管理者端末装置70を操作してこの事後情報を入力する場合、電話や訪問調査やアンケート調査等を行ってシステム管理者がシステム利用者から収集・調査した事後情報を、システム管理者が管理者端末装置70を操作して入力する場合、システム管理者が独自に収集・調査した事後情報を、システム管理者が管理者端末装置70を操作して入力する場合のいずれも含まれる。
【0084】
割引率・還元利回り率提供手段50は、利用者端末装置20からのシステム利用者の要求に応じ、割引率等鑑定依頼内容選択画面540(図19参照)を利用者端末装置20に送信し、この画面540で入力されたシステム利用者の依頼内容を受信し、その依頼内容に従って、システム利用者に提供する割引率・還元利回り率回答画面570(図2参照)を作成する処理を行うものである。この際、割引率・還元利回り率回答画面570は、割引率・還元利回り率記憶手段65に記憶された割引率および還元利回り率のデータをそのまま用いて自動的に作成してもよく、あるいは必要に応じてシステム管理者が人為的に修正を加えて作成してもよい。また、作成した割引率・還元利回り率回答画面570は、電子メールやファクシミリや郵送でシステム利用者に提供してもよく、あるいは評価サーバ30に保存しておき、システム利用者が利用者端末装置20を操作して閲覧するようにしてもよい。
【0085】
土壌汚染情報処理手段51は、利用者端末装置20からのシステム利用者の要求に応じ、土壌汚染情報入力画面520(図2参照)を利用者端末装置20に送信し、この画面520で入力された土壌汚染情報(調査依頼の申込みを含む。)を受信し、その土壌汚染情報に基づいてシステム管理者が行った調査結果を表示する調査結果表示画面530(図2参照)を作成する処理を行うものである。また、作成した調査結果表示画面530は、電子メールやファクシミリや郵送でシステム利用者に提供してもよく、あるいは評価サーバ30に保存しておき、システム利用者が利用者端末装置20を操作して閲覧するようにしてもよい。さらに、土壌汚染情報処理手段51は、図7の前提条件設定画面160で利用者により「土壌汚染」ボタン209がクリックされた際に、利用者端末装置20の表示手段21の画面上に表示される土壌汚染減価入力フォームを、評価サーバ30から利用者端末装置20に送信する処理も行う。
【0086】
入力フォーム記憶手段61は、利用者端末装置20でのシステム利用者による入力に用いられる各種の入力フォーム、および管理者端末装置70でのシステム管理者による入力に用いられる各種の入力フォームを記憶するものである。これらの入力フォームには、システム利用者用のものとして、例えば、前提条件設定画面160(図7参照)、上限下限設定画面230(図8参照)、確率分布設定画面250(図9参照)、不動産情報入力画面410(図16参照)、不動産情報詳細入力画面490(図2参照)、土壌汚染情報入力画面520(図2参照)、土壌汚染減価入力フォーム(不図示)、収益データ入力画面560(図2参照)、事後情報入力フォーム(不図示)等があり、システム管理者用のものとして、例えば、割引率・還元利回り率修正入力フォーム(不図示)、事後情報入力フォーム(不図示)、土壌汚染調査結果入力フォーム(不図示)、各種回答の入力フォーム(不図示)等がある。
【0087】
入力情報記憶手段62は、ネットワーク1を介して利用者端末装置20から送られてきたシステム利用者による上記の各入力フォームでの入力情報(但し、事後情報を除く。)を記憶するものである。
【0088】
複数パターン算出処理結果記憶手段63は、利用者端末装置20でシステム利用者が入力手段22を用いて各項目の値を入力変更した状態で、不動産価格算出処理手段45による複数通りの予測値に基づく複数通りの不動産価格の算出処理を複数パターンについて行った場合に、これらの複数パターンの各算出結果を個別に一時的に記憶するものである。従って、各パターンの算出結果は、それぞれが複数通り(例えば百通り等)の価格を算出した結果である。この複数パターン算出処理結果記憶手段63は、前提条件設定画面160(図7参照)の読み込み・書き込み先設定部223でチェックを入れて選択される「profit1」〜「profit5」により構成され、本実施形態では、最大5つのパターンの算出処理結果を記憶できるようになっているが、比較可能なパターン数は5つに限定されるものではなく任意である。
【0089】
不動産価格算出処理結果記憶手段64は、不動産価格算出処理手段45による処理結果を記憶するものである。この不動産価格算出処理結果記憶手段64には、複数パターン算出処理結果記憶手段63に一時的に記憶された各パターンの算出結果のうち、システム利用者が蓄積保存することを選択したパターンの算出結果を記憶する。この際のシステム利用者による蓄積保存の指令は、図7の前提条件設定画面160の「保存」ボタン208をクリックすることにより行われる。
【0090】
割引率・還元利回り率記憶手段65は、割引率・還元利回り率更新手段47により更新され、または割引率・還元利回り率修正手段48により修正される割引率および還元利回り率を記憶するものである。ここで、割引率および還元利回り率は、不動産の所在、種類、種別、用途、規模、利用の状態等が相違すると異なる値をとるので、これらの要素毎に分類・整理されている。
【0091】
事後情報記憶手段66は、事後情報追加手段49により追加登録された事後情報を記憶するものである。ここで、事後情報とは、例えば、現実の売買取引価格または担保の場合には現実の担保評価額、実際に購入・保有してわかった現実の利回り率、実際に購入・保有してわかった総収益、総費用、または純収益、さらには、利用転換の有無(例えば、オフィスから住宅への用途転換等)、リフォームの有無、現在の稼働率、現在の賃貸料水準等のように、評価額を求めた不動産について実際に生じたか、または生じている現実のデータである。
【0092】
そして、処理手段40を構成する各手段41〜51は、評価サーバ30を構成するコンピュータ本体(パーソナル・コンピュータのみならず、その上位機種のものも含む。)の内部に設けられた中央演算処理装置(CPU)、およびこのCPUの動作手順を規定する一つまたは複数のプログラムにより実現される。
【0093】
また、処理手段40に接続された各記憶手段61〜66は、例えばハードディスク等により好適に実現されるが、記憶容量やアクセス速度等に問題が生じない範囲であれば、ROM、EEPROM、フラッシュ・メモリ、RAM、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、FD、磁気テープ、あるいはこれらの組合せ等を採用してもよい。
【0094】
このような第一実施形態においては、以下のようにして不動産価格評価システム10により不動産価格の算出が行われる。
【0095】
図2には、システム10による処理に伴い、利用者端末装置20の表示手段21に表示される画面の遷移が示されている。ここでは、先ず、レンジ−DCF法によるオンライン評価を行う場合の処理について説明する。
【0096】
図3において、利用者は、利用者端末装置20を操作し、システム10の管理者(例えば、不動産価格の鑑定評価を行う研究所等)が開設するホームページにアクセスする。すると、評価サーバ30から利用者端末装置20にメニュー画面100が送信され(ステップS1)、これを受信した利用者端末装置20の表示手段21の画面上には、図4に示すようなメニュー画面100が表示される(ステップS2)。
【0097】
図4において、メニュー画面100には、「自分で評価額を算出したい」選択部101と、「鑑定評価を依頼したい」選択部102と、「レンジ−DCF評価ソフトを購入したい」選択部103と、「レンジ−DCF評価を依頼したい」選択部104と、「土壌汚染による減価を調査してもらいたい」選択部105と、「割引率だけ、還元利回り率だけ鑑定依頼したい」選択部106とが設けられている。
【0098】
利用者が、選択部101を選択した後、画面下部に設けられた「次へ」ボタン107をクリックすると、その選択信号が評価サーバ30に送信される(ステップS3)。評価サーバ30では、この選択信号を受信すると(ステップS4)、ソフト購入・オンライン評価選択画面120を利用者端末装置20に送信する(ステップS5)。すると、これを受信した利用者端末装置20の表示手段21の画面上には、図5に示すようなソフト購入・オンライン評価選択画面120が表示される(ステップS6)。
【0099】
図5において、ソフト購入・オンライン評価選択画面120には、ソフト購入選択部121と、オンライン評価選択部122とが設けられている。利用者は、オンライン評価を行いたい場合には、オンライン評価選択部122を選択した後、画面下部に設けられた「OK」ボタン123をクリックする。
【0100】
なお、画面120で、利用者が、ソフト購入選択部121を選択した後、「OK」ボタン123をクリックすると、表示手段21の画面上には、図6に示すような購入ソフト選択画面130が表示される。ここで、利用者は、「DCF ANALYSYS」ソフト選択部131または「RANGE−DCF 2002」ソフト選択部132のうちから、購入を希望するソフトウェアを選択した後、そのソフトウェアについて、「説明」ボタン133をクリックしてソフト説明画面140(図2参照)で詳細な説明を参照するか、あるいは「購入」ボタン134をクリックしてソフト購入画面150(図2参照)での購入手続へと進む。なお、後述する本発明の第二実施形態の不動産価格評価システム600(図20参照)は、「RANGE−DCF 2002」ソフト選択部132で選択して購入したソフトウェアを、コンピュータにインストールすることにより実現される。
【0101】
図5において、オンライン評価選択部122を選択して「OK」ボタン123をクリックすると、その選択信号が評価サーバ30に送信され(ステップS7)、評価サーバ30は、この選択信号を受信すると(ステップS8)、前提条件入力処理手段41により前提条件設定画面160を利用者端末装置20に送信する(ステップS9)。すると、これを受信した利用者端末装置20の表示手段21の画面上には、図7に示すような前提条件設定画面160が表示される(ステップS10)。
【0102】
図7において、前提条件設定画面160には、投資予定期間、割引率、還元利回り率、借入金割引率、借入金利率、自己資金割引率、年間可能駐車場収入、年間可能共益費収入、年間可能賃料収入、保証金・敷金合計、権利金、共益費、初年度総収入、売上原価、事業経費、人件諸費、運用利回り率、土地固定資産税、土地都市計画税、建物固定資産税、建物都市計画税、維持管理費、損害保険料、修繕費、取壊し費用積立金、その他経費、資本的支出、水道光熱費、広告宣伝費、その他原価、その他販売管理費、借入金、借入金返済期間、転売時費用の各入力部161〜192が設けられている。
【0103】
また、前提条件設定画面160には、上限下限設定画面230(図8参照)を表示するための「上限下限設定」ボタン200と、確率分布設定画面250(図9参照)を表示するための「確率分布設定」ボタン201と、純収益変動表示画面270(図10参照)を表示するための「純収益変動表示」ボタン202と、ヒストグラム表示画面280(図11参照)を表示するための「ヒストグラム表示」ボタン203と、オンライン評価の処理を終了させるための「終了」ボタン204と、入力した前提条件を評価サーバ30に送信するための「前提条件送信」ボタン205とが設けられている。さらに、複数パターン比較用ヒストグラム表示画面300,320(図12、図13参照)を表示するための「比較」ボタン206と、結果表示画面340(図14参照)を表示するための「結果表示」ボタン207と、算出結果を不動産価格算出処理結果記憶手段64に記憶保存するための「保存」ボタン208と、土壌汚染を考慮した算出処理を行うための「土壌汚染」ボタン209とが設けられている。
【0104】
そして、前提条件設定画面160には、借入金返済方法として「元本均等返済」または「元利均等返済」のいずれかを選択する借入金返済方法選択部220と、対象分類として「住宅」または「商業」のいずれかを選択する対象分類選択部221と、ヒストグラム表示における横軸の価格の間隔を設定する表示価格設定部222と、パターンを変えて算出処理を行った結果の読み込み先・書き込み先を設定する読み込み・書き込み先設定部223と、複数パターン比較用ヒストグラム表示を行う際に「積み重ね」(図13参照)または「並び」(図12参照)のいずれかの表示形式を選択する表示形式選択部224とが設けられている。
【0105】
なお、割引率、還元利回り率、自己資金割引率の各入力部162,163,166に入力する値は、図4のメニュー画面100で「割引率だけ、還元利回り率だけ鑑定依頼したい」選択部106を選択することにより、予め調べておくことができる。また、これらの各入力部162,163,166には、割引率・還元利回り率記憶手段65に記憶されているデータをデフォルト表示するようにしてもよい。さらに、「土壌汚染」ボタン209をクリックして土壌汚染を考慮した算出処理を行う場合には、図4のメニュー画面100で「土壌汚染による減価を調査してもらいたい」選択部105を選択することにより、予め土壌汚染による減価を調べておくことが好ましい。
【0106】
利用者が、各入力部161〜192に各項目の値を入力してから「前提条件送信」ボタン205をクリックすると、その入力情報は評価サーバ30に送信され(ステップS11)、前提条件入力処理手段41により受信される(ステップS12)。その後、利用者が、「上限下限設定」ボタン200をクリックすると、上限下限設定画面230の要求信号が評価サーバ30に送信され(ステップS13)、評価サーバ30は、この要求信号を受信すると(ステップS14)、変動幅入力設定処理手段42により上限下限設定画面230を利用者端末装置20に送信する(ステップS15)。すると、これを受信した利用者端末装置20の表示手段21の画面上には、図8に示すような上限下限設定画面230が表示される(ステップS16)。
【0107】
図8において、上限下限設定画面230には、収益価格レンジの算出処理に必要とされる予測値の変動幅を入力設定する変動幅入力設定部231が設けられている。この変動幅入力設定部231は、初年度の入居率の上限および下限を入力する入居率min入力部232Aおよび入居率max入力部232Bと、賃料水準変動率の上限および下限を入力する賃料水準変動率min入力部233Aおよび賃料水準変動率max入力部233Bと、共益費水準変動率の上限および下限を入力する共益費水準変動率min入力部234Aおよび共益費水準変動率max入力部234Bと、駐車場水準変動率の上限および下限を入力する駐車場水準変動率min入力部235Aおよび駐車場水準変動率max入力部235Bと、地価変動率の上限および下限を入力する地価変動率min入力部236Aおよび地価変動率max入力部236Bと、入居率増減率の上限および下限を入力する入居率増減率min入力部237Aおよび入居率増減率max入力部237Bと、次年度総収入変動率の上限および下限を入力する次年度総収入変動率min入力部238Aおよび次年度総収入変動率max入力部238Bと、各年度総収入増減率の上限および下限を入力する各年度総収入増減率min入力部239Aおよび各年度総収入増減率max入力部239Bとを備えて構成されている。
【0108】
利用者が、各入力部232A,232B〜239A,239Bに値を入力してから、画面230の右側部分に設けられた「送信」ボタン241をクリックすると、その入力情報は評価サーバ30に送信され(ステップS17)、変動幅入力設定処理手段42により受信されるとともに(ステップS18)、表示手段21に表示される画面は、図7の前提条件設定画面160に戻る。なお、画面230の右側部分に設けられた「戻る」ボタン240をクリックすると、評価サーバ30への入力情報の送信を行うことなく、図7の前提条件設定画面160に戻る。
【0109】
その後、利用者が、図7の画面160において、「確率分布設定」ボタン201をクリックすると、確率分布設定画面250の要求信号が評価サーバ30に送信され(ステップS19)、評価サーバ30は、この要求信号を受信すると(ステップS20)、確率分布入力設定処理手段43により確率分布設定画面250を利用者端末装置20に送信する(ステップS21)。すると、これを受信した利用者端末装置20の表示手段21の画面上には、図9に示すような確率分布設定画面250が表示される(ステップS22)。
【0110】
図9において、確率分布設定画面250には、図8の画面230で設定された変動幅の範囲内から各予測値が選択される確率を決める確率分布を入力設定するための確率分布入力設定部251が設けられている。この確率分布入力設定部251は、現在設定中の確率分布曲線を表示する確率分布曲線表示部252と、確率分布曲線の横軸に沿う方向に配置されたスライダーバー253と、このスライダーバー253上を摺動するスライダ254と、確率分布を現在設定中の項目(図示の例では、入居率)についての変動幅の上限および下限(図8の画面230で設定された値)を表示する最小値表示部255および最大値表示部256と、摺動させているスライダ254の現在位置を表示するスライダー位置表示部257とを備えて構成されている。
【0111】
利用者が、図中の二点鎖線の如く、マウス等の入力手段22を操作してスライダ254をドラッグさせると、図中の二点鎖線の如く、スライダ254の位置に対応して、現在設定中の確率分布曲線の極大値をとる位置が移動するので、これにより利用者は、極大値をとる位置を指定して確率分布曲線を設定する。この際、スライダ254の位置を動かしても、設定中の確率分布曲線の形状自体は変化せず、予め用意された所定形状のままであり、その形状を保持しながら左右に移動するだけである。この所定形状を有する確率分布曲線は、本実施形態では、正規分布曲線とされているが、これに限定されるものではない。
【0112】
そして、利用者は、以上のような極大値をとる位置の指定操作を、図8の画面230で変動幅を設定された全ての項目について行い、これらの全ての項目についての確率分布を設定した後、画面250の右側部分に設けられた「数値決定」ボタン259をクリックする。すると、各項目についての指定情報が、評価サーバ30に送信され(ステップS23)、確率分布入力設定処理手段43により受信されるとともに(ステップS24)、表示手段21に表示される画面は、図7の前提条件設定画面160に戻る。なお、画面250の右側部分に設けられた「戻る」ボタン258をクリックすると、評価サーバ30への指定情報の送信を行うことなく、図7の前提条件設定画面160に戻る。
【0113】
また、評価サーバ30では、指定情報を受信すると、予測値自動選択手段44による演算処理が行われる(ステップS24)。すなわち、予測値自動選択手段44により、図9の確率分布入力設定部251で入力設定された確率分布に基づき、図8の画面230で変動幅を設定された各項目(毎年の変動がある項目の場合には、その項目の各年度の各々となる。)につき、複数通りの予測値が乱数を用いて自動的に選択される。
【0114】
【数1】
Figure 2004145491
【0115】
上記の確率変数Xの密度関数の式(1)は、正規分布を示す式である。ここで、確率変数Xは、図8の画面230で変動幅を設定された各項目の予測値であり、図8の画面230で設定した変動幅の下限(例えば、入居率min入力部232A等に入力された値:以下、単にminという。)から上限(例えば、入居率max入力部232B等に入力された値:以下、単にmaxという。)までの値をとる。なお、本実施形態では、0.1%単位で値を設定し、0.1%を整数1として入力するので、例えば、下限を69.0%に設定する場合は、690と入力し、上限を71.0%に設定する場合は、710と入力し、このとき確率変数Xは、min=690からmax=710までの間の値(整数)をとる。また、mは、正規分布曲線が極大値をとる位置(正規分布の曲線形状についての線対称の中心軸の位置)であり、本実施形態では、図9の確率分布入力設定部251において、下限minから上限maxまでの範囲内の値を指定することができる。
【0116】
そして、本実施形態では、自然現象や社会現象で観測される変量の分布の中には正規分布に近い分布が多いことから、確率分布として正規分布を採用した。また、正規分布曲線の定数を式(1)のように設定した場合には、標準偏差σが(max−min)/6となるので、極大値をとる位置mを、下限minと上限maxとの中央の値(平均値)に設定すると、下限minから上限maxまでの値をとる確率変数Xは、±3σの間の値をとるようになり、99.73%の確率をカバーできることから、確率分布として正規分布を採用した。
【0117】
但し、式(1)の正規分布は、連続分布であるが、コンピュータでは数値は連続的には扱えず、離散的となるので、実際には、式(1)の中のxは、min(整数)からmax(整数)までの間の任意の値(整数)のみをとることになる。つまり、x=min,x=min+1,x=min+2,…,x=maxという値をとる。従って、連続分布では、分布曲線で囲まれる面積が確率となるが、本実施形態では、minからmaxまでの間の値(整数のみ)を式(1)に代入したときのyの値(高さ)を確率とする。これは、幅の寸法が1(0.1%に相当)の棒を考え、その棒の長さを示す値に、幅の寸法1を掛けて棒の面積を出したことに相当する。このようにコンピュータ処理を行う際には、離散的な分布に置き換えるため、極大値をとる位置mを、下限minと上限maxとの中央の値(平均値)に設定しても、確率変数Xがminからmaxまでの間の値をとる確率は、正確に0.9973にはならない。しかし、離散的ではあるが、正規分布の性質は備えているので、実用上は、この離散的な正規分布を使うことで、正規分布の採用に伴う効果を充分に得ることができる。
【0118】
ところで、極大値をとる位置mは、常に下限minと上限maxとの中央の値(平均値)に設定されるわけではなく、システム利用者の指定操作により、下限minと上限maxとの間の任意の値(整数)に設定されるので、minからmaxまでの間の各xの確率(式(1)による各yの値)の合計Sは、約99.73%になるわけではなく、100%になるわけでもない。従って、minからmaxまでの間の各xの確率の合計を100%(つまり、1)とするために、minからmaxまでの間の各xの確率(式(1)による各yの値)を、minからmaxまでの間の各xの確率(式(1)による各yの値)の合計Sでそれぞれ割った値(各y/S)を、新たに各xの確率として置き換えて使用するものとする。
【0119】
また、本実施形態では、図9の確率分布入力設定部251を構成する確率分布曲線表示部252に表示される設定中の確率分布曲線は、スライダ254のドラッグ操作に対応して極大値をとる位置mが移動するようになっているが、この表示処理は、スライダ254を動かし、mに数値が入ったと同時に、式(1)のxにminからmaxまでの値(整数)が次々に代入され、各yの値、さらには各y/Sの値が自動的に計算されることにより実現される。このようにスライダ254の動きと連動してminからmaxまでの確率分布が求まるが、このような確率分布曲線表示部252における設定中の確率分布曲線の表示処理自体は、本実施形態では、利用者端末装置20で行っている。但し、スライダ254の動きに対する分布曲線の追従性に問題が生じなければ、表示のための計算処理は、評価サーバ30で行ってもよい。
【0120】
そして、評価サーバ30では、式(1)においてm,min,maxが決定した状態で、予測値自動選択手段44により、式(1)に基づき、乱数を用いてminからmaxまでの間の値(整数)の中から、収益価格の算出処理に用いる予測値が自動的に選択される。
【0121】
例えばC言語等のプログラミング言語の中には、0〜1までの数値をランダムに発生させる機能がある。従って、この疑似乱数発生機能を使い、先ず、0〜1の中からコンピュータに数値を選択させる(選択された数値をkとする)。次に、式(1)を用いて各xに対する確率(各y/S)が求まるので、x=minの確率、x=min+1の確率、x=min+2の確率、…、x=min+iの確率を次々に合計していき、その合計の数値が、コンピュータの選んだ数値k(0〜1の乱数)を越えたら、そのときのiをコンピュータが選択したものとする。この際、プログラム上で収益価格の計算に用いる予測値としては、x=min+i(但し、0.1%を整数1として扱っている。)が選択されたことになる。そして、このような処理を各項目(本実施形態では、図8に示された8項目:毎年の変動がある項目の場合には、その項目の各年度の各々となる。)について行う。なお、各項目(各項目の各年度)について一通りずつの予測値を選択して一通りの収益価格を算出し、さらに、これを複数回(例えば100回)繰り返すことにより、結局、各項目(各項目の各年度)について複数通り(例えば100通り)の予測値が選択され、複数通り(例えば100通り)の収益価格が算出されることになる。
【0122】
続いて、以上のようにして予測値自動選択手段44により自動的に選択された各項目(各項目の各年度)についての予測値、および図7の前提条件設定画面160で入力された各項目の値に基づき、以下のようにして不動産価格算出処理手段45により収益価格を算出する。なお、以下の計算が実行されるのは、図7の前提条件設定画面160で、「純収益変動表示」ボタン202または「ヒストグラム表示」ボタン203のいずれかをクリックしたときであるが、予測値自動選択手段44による予測値の自動選択処理を終了した時点で、以下の計算を実行するようにしてもよい。また、「純収益変動表示」ボタン202、「ヒストグラム表示」ボタン203をクリックしたときは、以下の計算をそれぞれ個別に実行しているが、一旦、以下の計算を実行してから、次の表示をするまでに計算条件に変化がない場合には、再計算せずに、既に一旦計算されて記憶されているデータを用いて表示を行う構成としてもよい。
【0123】
<賃料ベースの場合>
先ず、賃料ベースの場合の収益価格の算出方法を説明する。
【0124】
<営業収入の算出>
営業収入は、賃料収入と、共益費収入と、駐車場収入と、権利金と、保証金・敷金運用益とに分けられる。従って、各年度の営業収入は、各年度のこれらの要素の額の合計となり、次のように求められる。
【0125】
各年度の賃料収入=年間可能賃料収入×各年度の入居率×各年度の賃料水準
・・・(2)
【0126】
ここで、式(2)中の「年間可能賃料収入」は、図7の入力部169への入力値であり、「各年度の賃料水準」は、図8の入力部233A,233Bで入力設定した変動幅の範囲内で選択される賃料水準変動率の予測値に基づき求められる。「各年度の入居率」については、初年度の場合は、図8の入力部232A,232Bで入力設定した変動幅の範囲内で選択される入居率の予測値であり、二年度以降の場合は、前年度入居率×(1+入居率増減率)で求められる。「入居率増減率」は、図8の入力部237A,237Bで入力設定した変動幅の範囲内で選択される入居率増減率の予測値である。
【0127】
各年度の共益費収入=年間可能共益費収入×各年度の共益費水準×各年度の賃料水準                           ・・・(3)
【0128】
ここで、式(3)中の「年間可能共益費収入」は、図7の入力部168への入力値であり、「各年度の共益費水準」は、図8の入力部234A,234Bで入力設定した変動幅の範囲内で選択される共益費水準変動率の予測値に基づき求められる。「各年度の賃料水準」は、前記式(2)中のものと同様である。
【0129】
各年度の駐車場収入=年間可能駐車場収入×各年度の駐車場水準×各年度の賃料水準                           ・・・(4)
【0130】
ここで、式(4)中の「年間可能駐車場収入」は、図7の入力部167への入力値であり、「各年度の駐車場水準」は、図8の入力部235A,235Bで入力設定した変動幅の範囲内で選択される駐車場水準変動率の予測値に基づき求められる。「各年度の賃料水準」は、前記式(2)中のものと同様である。
【0131】
各年度の権利金は、図7の入力部171への入力値であり、固定額である。
【0132】
各年度の保証金・敷金運用益=各年度の保証金支払い準備金残高×運用利回り率                             ・・・(5)
【0133】
ここで、「運用利回り率」は、図7の入力部177への入力値である。「各年度の保証金支払い準備金残高」については、初年度の場合は、保証金・敷金合計×初年度の入居率であり、二年度以降の場合は、保証金・敷金合計×初年度の入居率が変動した分+前年度の保証金支払い準備金残高で求められる。「保証金・敷金合計」は、図7の入力部170への入力値である。例えば、保証金・敷金合計が200千円、初年度の入居率が80%、二年目の入居率が85%であったとすると、初年度の保証金支払い準備金残高=200×0.8=160千円となり、二年目の保証金支払い準備金残高=200×0.05+160=170千円となる。
【0134】
<営業支出の算出>
営業支出は、土地の固定資産税・都市計画税、建物の固定資産税・都市計画税、維持管理費、共益費、損害保険料、修繕費、貸倒し準備金、その他経費に分けられる。従って、各年度の営業支出は、各年度のこれらの要素の額の合計となり、次のように求められる。
【0135】
各年度の土地固定資産税については、初年度の場合は、図7の入力部178への入力値であり、二年度以降の場合は、前年度の土地固定資産税×(1+地価変動率)で求められる。「地価変動率」は、図8の入力部236A,236Bで入力設定した変動幅の範囲内で選択される地価変動率の予測値である。
【0136】
各年度の土地都市計画税については、初年度の場合は、図7の入力部179への入力値であり、二年度以降の場合は、前年度の土地都市計画税×(1+地価変動率)で求められる。「地価変動率」は、図8の入力部236A,236Bで入力設定した変動幅の範囲内で選択される地価変動率の予測値である。
【0137】
各年度の建物固定資産税は、図7の入力部180への入力値であり、固定額である。
【0138】
各年度の建物都市計画税は、図7の入力部181への入力値であり、固定額である。
【0139】
各年度の維持管理費については、初年度の場合は、図7の入力部182への入力値であり、二年度以降の場合は、前年度の維持管理費×{1+(今年度の賃料収入−前年度の賃料収入)÷前年度の賃料収入}である。「各年度の賃料水準」は、前記式(2)で求められている。
【0140】
各年度の共益費は、図7の入力部172への入力値であり、固定額である。
【0141】
各年度の損害保険料は、図7の入力部183への入力値であり、固定額である。
【0142】
各年度の修繕費は、図7の入力部184への入力値であり、固定額である。
【0143】
各年度の取壊し費用積立金は、図7の入力部185への入力値であり、固定額である。
【0144】
各年度のその他の経費については、初年度の場合は、図7の入力部186への入力値であり、二年度以降の場合は、前年度のその他の経費×{1+(今年度の賃料収入−前年度の賃料収入)÷前年度の賃料収入}である。「各年度の賃料水準」は、前記式(2)で求められている。
【0145】
<純収益の算出>
純収益の算出要素は、営業収入と、営業支出と、資本的支出とに分けられる。従って、各年度の純収益は、次の式(6)により求められる。
【0146】
各年度の純収益=各年度の営業収入−各年度の営業支出−各年度の資本的支出・・・(6)
【0147】
ここで、式(6)中の「各年度の営業収入」および「各年度の営業支出」は、上述の通り求められる。「各年度の資本的支出」は、図7の入力部187への入力値であり、固定額である。
【0148】
<収益価格の算出>
収益価格は、次の式(7)で求められる。
【0149】
収益価格=自己資本投資額−借入金             ・・・(7)
【0150】
ここで、式(7)中の「借入金」は、図7の入力部192への入力値である。「自己資本投資額」は、次の式(8)で求められる。
【0151】
自己資本投資額=投資予定期間中の各年度の自己資本帰属収益1の合計+自己
資本帰属収益2                       ・・・(8)
【0152】
ここで、式(8)中の「投資予定期間」は、図7の入力部161への入力値であり、「自己資本帰属収益1」は、(純収益−借入金支払額)を現在価値に直したものであり、次の式(9)で求められる。
【0153】
【数2】
Figure 2004145491
【0154】
ここで、式(9)中の「純収益」は、前記式(6)で求められ、「自己資金割引率」は、図7の入力部166への入力値であり、「何年次」の部分には、二年目の自己資本帰属収益1であれば、2が入る。「借入金支払額」は、図7の入力部192へ入力した額の借入金についての各年の返済額であり、図7の借入金返済方法選択部220で「元本均等返済」または「元利均等返済」のいずれの借入金返済方法を選択するかにより異なる値となる。
【0155】
また、式(8)中の「自己資本帰属収益2」は、(復帰価格−借入金残債額)を現在価値に直したものであり、次の式(10)で求められる。
【0156】
【数3】
Figure 2004145491
【0157】
ここで、式(10)中の「割引率」は、図7の入力部162への入力値であり、「投資予定期間」は、図7の入力部161への入力値である。「借入金残債額」は、図7の入力部192へ入力した額の借入金のうち投資予定期間中で支払えなかった分であり、図7の借入金返済方法選択部220で「元本均等返済」または「元利均等返済」のいずれの借入金返済方法を選択するかにより異なる値となる。「復帰価格」は、次の式(11)で求められる。
【0158】
復帰価格=引継ぎ保証金考慮後売却価格−転売時費用    ・・・(11)
【0159】
ここで、式(11)中の「転売時費用」は、図7の入力部194への入力値である。「引継ぎ保証金考慮後売却価格」は、次の式(12)で求められる。
【0160】
引継ぎ保証金考慮後売却価格=売却価格−投資予定期間最終年次の前年の保証金支払い準備金残高                    ・・・(12)
【0161】
ここで、式(12)中の「売却価格」は、次の式(13)で求められる。
【0162】
売却価格=投資予定期間最終年次の純収益÷還元利回り率  ・・・(13)
【0163】
ここで、式(13)中の「純収益」は、前記式(6)で求められ、「還元利回り率」は、図7の入力部163への入力値である。
【0164】
<売上ベースの場合>
次に、売上ベースの場合の収益価格の算出方法を説明する。
【0165】
<営業収入の算出>
営業収入の項目には、総収入が加わる。総収入については、初年度の場合は、図7の入力部173へ入力した初年度総収入であり、二年度の場合は、初年度総収入×(1+次年度総収入変動率)であり、三年度以降の場合は、前年度の総収入×(1+前年度総収入変動率+各年度総収入増減率)である。「次年度総収入変動率」は、図8の入力部238A,238Bで入力設定した変動幅の範囲内で選択される次年度総収入変動率の予測値であり、「各年度総収入増減率」は、図8の入力部239A,239Bで入力設定した変動幅の範囲内で選択される各年度総収入増減率の予測値である。
【0166】
<営業支出の算出>
営業支出の項目には、売上原価、事業経費、人件諸費、水道光熱費、広告宣伝費、その他原価、その他販売管理費が加わる。
【0167】
各年度の売上原価については、初年度の場合は、図7の入力部174へ入力した売上原価であり、二年度の場合は、初年度の売上原価×(1+次年度総収入変動率)であり、三年度以降の場合は、前年度の売上原価×(1+前年度総収入変動率+各年度総収入増減率)である。「次年度総収入変動率」および「各年度総収入増減率」は、前述した営業収入の項目としての総収入の算出の場合と同様である。
【0168】
そして、各年度の事業経費、各年度の人件諸費、各年度の水道光熱費、各年度の広告宣伝費、各年度のその他原価、各年度のその他販売管理費についても、上述した各年度の売上原価の算出の場合と同様である。
【0169】
但し、売上ベースの場合、営業支出の項目としての維持管理費は、図7の入力部182へ入力した維持管理費で各年度固定する。
【0170】
以上により、不動産価格算出処理手段45による収益価格の算出処理の説明を終了する。
【0171】
その後、利用者が、図7の前提条件設定画面160において、「純収益変動表示」ボタン202をクリックすると、純収益変動表示要求信号が評価サーバ30に送信され(図3のステップS25)、評価サーバ30は、この要求信号を受信すると、上記のような不動産価格算出処理手段45による演算処理を行った後(ステップS26)、結果表示処理手段46により純収益変動表示画面270を利用者端末装置20に送信する(ステップS27)。すると、これを受信した利用者端末装置20の表示手段21の画面上には、図10に示すような純収益変動表示画面270が表示される(ステップS28)。
【0172】
図10において、純収益変動表示画面270には、純収益の各年の変動を折れ線で示す純収益変動折れ線グラフ271が表示されている。純収益変動折れ線グラフ271の横軸は、投資予定期間とされ、縦軸は、純収益とされている。純収益変動折れ線グラフ271は、不動産価格算出処理手段45により複数通りの予測値に基づき算出された複数通りの純収益の各年の変動を示す複数本の折れ線により構成されている。
【0173】
また、利用者が、図7の前提条件設定画面160において、読み込み・書き込み先設定部223で「profit1」〜「profit5」のいずれかにチェックを入れた後(書き込み先の設定)、「ヒストグラム表示」ボタン203をクリックすると、ヒストグラム表示要求信号が評価サーバ30に送信される(図3のステップS29)。評価サーバ30は、この要求信号を受信すると、不動産価格算出処理手段45による演算処理を行った後(ステップS30)、結果表示処理手段46によりヒストグラム表示画面280を利用者端末装置20に送信する(ステップS31)。すると、これを受信した利用者端末装置20の表示手段21の画面上には、図11に示すようなヒストグラム表示画面280が表示される(ステップS32)。また、評価サーバ30は、複数パターン算出処理結果記憶手段63のうち、読み込み・書き込み先設定部223でチェックを入れた「profit1」〜「profit5」のいずれかに、不動産価格算出処理手段45による収益価格の算出結果を一時的に記憶させる。
【0174】
図11において、ヒストグラム表示画面280には、不動産価格算出処理手段45により算出された複数通りの収益価格の度数分布を示す収益価格ヒストグラム281が表示されている。収益価格ヒストグラム281の横軸は、収益価格とされ、縦軸は、度数とされている。また、ヒストグラム表示画面280には、特定価格を併せて表示するための「特定価格表示」ボタン282と、積算価格および/または競売価格を併せて表示するための「積算・競売価格表示」ボタン283とが設けられている。
【0175】
さらに、利用者は、図7の前提条件設定画面160、図8の上限下限設定画面230、あるいは図9の確率分布設定画面250における入力情報や指定情報を変更してから、図3のステップS29〜S32の処理を繰り返し、図11のヒストグラム表示画面280に、別のパターンの収益価格ヒストグラム281を表示させる。この際、ステップS29で「ヒストグラム表示」ボタン203をクリックする前に、読み込み・書き込み先設定部223で「profit1」〜「profit5」の別のいずれかにチェックを入れる(書き込み先の設定)。すると、評価サーバ30は、複数パターン算出処理結果記憶手段63を構成する「profit1」〜「profit5」の別のいずれかに、別のパターンの算出結果を一時的に記憶させる。そして、利用者は、このような操作を複数回(上書きすることを除けば、最大5回)繰り返す。
【0176】
その後、利用者が、図7の前提条件設定画面160において、読み込み・書き込み先設定部223で、それぞれ異なるパターンの算出結果を記憶させた複数パターン算出処理結果記憶手段63の「profit1」〜「profit5」のうちの複数(2つ〜最大5つ)にチェックを入れ(読み込み先の設定)、かつ、表示形式選択部224で、「積み重ね」または「並び」のいずれかの表示形式を選択した後、「比較」ボタン206をクリックすると、複数パターン比較用ヒストグラム表示要求信号が評価サーバ30に送信される(図3のステップS33)。評価サーバ30は、この要求信号を受信すると(ステップS34)、結果表示処理手段46により複数パターン比較用ヒストグラム表示画面300,320を利用者端末装置20に送信する(ステップS35)。すると、これを受信した利用者端末装置20の表示手段21の画面上には、「並び」の表示形式を選択している場合には、図12に示すような並列表示による複数パターン比較用ヒストグラム表示画面300が表示され、「積み重ね」の表示形式を選択している場合には、図13に示すような積み重ね表示による複数パターン比較用ヒストグラム表示画面320が表示される(ステップS36)。
【0177】
図12において、複数パターン比較用ヒストグラム表示画面300には、不動産価格算出処理手段45により算出された複数通りの収益価格の度数分布を示す3つのパターンの収益価格ヒストグラム301,302,303が、横方向に並べて表示されている。これらの3つのパターンの収益価格ヒストグラム301,302,303は、それぞれ異なる条件で算出されたものである。例えば、図7の入力部166に入力する自己資金割引率を、6%、8%、10%等と変化させ、それぞれのパターンについて複数通りの収益価格を算出した場合等である。そして、例えば、これらの3つのパターンの算出結果を、「profit1」、「profit3」、「profit4」に書き込んで記憶させた場合には、「比較」ボタン206をクリックする前に、これらの「profit1」、「profit3」、「profit4」にチェックを入れ、これらから、記憶させた算出結果を読み込むようにする。なお、一つのパターンにおいて条件を変える項目は、複数であってもよく、例えば、「profit1」に記憶させるパターンは、自己資金割引率を6%で、かつ、還元利回り率を8%とし、「profit3」に記憶させるパターンは、自己資金割引率を7%で、かつ、還元利回り率を9%等とすることもできる。
【0178】
図13において、複数パターン比較用ヒストグラム表示画面320には、不動産価格算出処理手段45により算出された複数通りの収益価格の度数分布を示す3つのパターンの収益価格ヒストグラム321,322,323が、上下方向に積み重ねられて表示されている。各収益価格ヒストグラム321,322,323は、図12の場合と同様に、それぞれ異なる条件で算出されたものである。
【0179】
また、利用者が、図7の前提条件設定画面160において、読み込み・書き込み先設定部223で「profit1」〜「profit5」のいずれかにチェックを入れた後(読み込み先の設定)、「結果表示」ボタン207をクリックすると、結果表示要求信号が評価サーバ30に送信され(図3のステップS37)、評価サーバ30は、この要求信号を受信すると(ステップS38)、結果表示処理手段46により結果表示画面340を利用者端末装置20に送信する(ステップS39)。すると、これを受信した利用者端末装置20の表示手段21の画面上には、図14に示すような結果表示画面340が表示される(ステップS40)。
【0180】
図14において、結果表示画面340には、前提条件の表示部として、割引率、還元利回り率、自己資金割引率、土壌汚染の考慮の有無、転売時費用、復帰価格レンジの最小値、最大値の各表示部341〜347が設けられている。また、結果の表示部として、収益価格レンジの最小値、最大値、メディアン(中位値)、分散の各表示部351〜354が設けられている。さらに、その下側には、DCRの投資予定期間内における最小値、最大値、メディアン(中位値)、BERの投資予定期間内における最小値、最大値、メディアン(中位値)、LTVの投資予定期間内における最小値、最大値、メディアン(中位値)、OERの投資予定期間内における最小値、最大値、メディアン(中位値)の各表示部361〜372が設けられている。
【0181】
ここで、DCR(デット・カバレッジ・レイシオ)とは、DSCR(デット・サービス・カバレッジ・レイシオ)とも称され、年間元利返済額に対する年間純収益の割合をいい、DCR=年間純収益÷年間元利返済額=年間純収益÷(発行債権金利+約定返済金)で求められる。
【0182】
BER(ブレイク・イーブン・レイシオ)とは、損益分岐比率のことであり、各年度の営業支出と借入金返済額の合計額を可能総収益で割ることにより求められ、BER=(営業支出+借入金返済額)÷年間可能総収益である。
【0183】
LTV(ローン・トゥ・バリュー)とは、融資比率のことであり、DCRと並んでローンを証券化する際の重要な指標である。対象不動産の価値のうち、借入金が占める割合をいい、デフォルトに陥った際の損失の大きさを示す指標である。LTV=借入金÷不動産価格=債権発行額÷不動産価値で求められる。
【0184】
OER(オペレーティング・イクスペンス・レイシオ)とは、各年度の総収益に対する営業支出の割合をいい、OER=営業支出÷年間総収益で求められる。
【0185】
また、利用者が、図11のヒストグラム表示画面280において、「特定価格表示」ボタン282をクリックすると、利用者端末装置20の表示手段21の画面上には、結果表示処理手段46により評価サーバ30から送信されてきた図15に示すような特定価格表示画面380が表示される。
【0186】
図15において、特定価格表示画面380には、図中の実線の如く不動産価格算出処理手段45により算出された複数通りの収益価格の度数分布を示す収益価格ヒストグラム381と、図中の点線の如く特定価格の度数分布を示す特定価格ヒストグラム382とが表示されている。収益価格ヒストグラム381は、図11の収益価格ヒストグラム281と同じものである。なお、本実施形態では、特定価格ヒストグラム382は、例えば、収益価格ヒストグラム381に一定の値を乗じて作成されているが、これに限定されるものではない。
【0187】
さらに、利用者が、図11のヒストグラム表示画面280において、「積算・競売価格表示」ボタン283をクリックすると、利用者端末装置20の表示手段21の画面上には、積算・競売価格表示依頼画面400(図2参照)が表示されるので、利用者は、この画面400で48時間以内の表示か72時間以内の表示かを選択する。ここで、48時間以内の表示を選択した場合には、利用者端末装置20の表示手段21の画面上には、図16に示すような不動産情報入力画面410が表示される。
【0188】
図16において、不動産情報入力画面410には、不動産の所在を入力する所在入力部411と、種類(土地のみ、建物のみ、土地建物の別)を入力する種類入力部412と、種別(宅地、自用の建物及びその建物、建物、田畑農地、林地、宅地見込み地、借地権、地上権、その他の別)を入力する種別入力部413と、用途(オフィス、賃貸マンション、複合ビル、更地、S.C,店舗、倉庫・工場、ホテル、ゴルフ場、住宅、社宅、その他の別)を入力する用途入力部414と、土地の面積を入力する土地面積入力部415と、建物の面積を入力する建物面積入力部416と、利用の状態(利用してない、稼動中、不明の別、および稼動中の場合には、その稼働率)を入力する利用状態入力部417と、建物の名前を入力する建物名前入力部418と、その他の希望を入力するその他希望入力部419とが設けられている。
【0189】
利用者が、図16の不動産情報入力画面410において、各入力部411〜419に必要事項を入力した後、画面下部に設けられた「完了」ボタン420をクリックすると、入力情報が評価サーバ30に送信される。この利用者による入力情報は、管理者端末装置70でシステム管理者により確認され、さらに、システム管理者は、例えば現地調査等の所定の作業を行い、積算価格および/または競売価格を決定する。決定された積算価格および/または競売価格は、管理者端末装置70からシステム管理者により入力され、このシステム管理者による入力情報に基づき、評価サーバ30の結果表示処理手段46により、図17に示すような積算・競売価格表示画面430が作成される。作成された積算・競売価格表示画面430は、利用者端末装置20からの利用者の再アクセスにより、利用者端末装置20の表示手段21の画面上で利用者の閲覧に供されてもよく、あるいは評価サーバ30または管理者端末装置70から発信される電子メール等により利用者の閲覧に供されてもよい。
【0190】
図17において、積算・競売価格表示画面430には、図中の実線の如く不動産価格算出処理手段45により算出された複数通りの収益価格の度数分布を示す収益価格ヒストグラム431と、図中の点線の如く特定価格の度数分布を示す特定価格ヒストグラム432と、例えば縦の点線で積算価格を示す積算価格バー433と、例えば縦の実線で競売価格を示す競売価格バー434とが表示されている。収益価格ヒストグラム431および特定価格ヒストグラム432は、図15の収益価格ヒストグラム381および特定価格ヒストグラム382と同じものである。
【0191】
一方、積算・競売価格表示依頼画面400(図2参照)で、利用者が、72時間以内の表示を選択した場合には、利用者端末装置20の表示手段21の画面上には、必要書類リスト表示画面450(図2参照)が表示される。この必要書類リスト表示画面450には、例えば、直近の収益がわかる資料(可能な場合には、過去2〜3年分も合わせて)、直近の経費がわかる資料(可能な場合には、過去2〜3年分も合わせて)、固定資産税明細(可能な場合には、過去2〜3年分も合わせて)、地図(ある場合には)、写真(ある場合には)、建物の情報(例えば、建築年、改修・建替の経緯や内容等)等のように、システム管理者が不動産価格を評価するのに必要とされる書類が表示されている。
【0192】
この必要書類リスト表示画面450の内容を確認した利用者は、郵送または持参により必要書類をシステム管理者に提出する。必要書類を受け取ったシステム管理者は、例えば現地調査等の所定の作業を行い、積算価格および/または競売価格を決定する。以降は、48時間以内の表示の場合と同様な処理であり、最終的に、図17に示すような積算・競売価格表示画面430が作成されて利用者による閲覧に供される。
【0193】
また、図4のメニュー画面100において、利用者が、「鑑定評価を依頼したい」選択部102を選択した場合には、利用者端末装置20の表示手段21の画面上には、図18に示すような評価額鑑定依頼内容選択画面460が表示される。この評価額鑑定依頼内容選択画面460には、48時間以内の鑑定評価依頼を選択する48時間鑑定選択部461と、24時間以内の鑑定評価依頼を選択する24時間鑑定選択部462と、72時間以内の鑑定評価依頼を選択する72時間鑑定選択部463とが設けられている。
【0194】
図18の画面460において、利用者が、48時間鑑定選択部461を選択して画面下部の「OK」ボタン464をクリックすると、利用者端末装置20の表示手段21の画面上には、前述した図16の不動産情報入力画面410が表示されるので、利用者が、この画面410で必要事項を入力すると、その入力情報は評価サーバ30に送信される。
【0195】
この利用者による入力情報は、管理者端末装置70でシステム管理者により確認され、さらに、システム管理者は、例えば現地調査等の所定の作業を行い、不動産価格を評価する。評価結果は、管理者端末装置70からシステム管理者により入力され、このシステム管理者による入力情報に基づき、評価サーバ30の処理手段40により、評価結果を表示する48時間回答画面480(図2参照)が作成される。作成された48時間回答画面480は、利用者端末装置20からの利用者の再アクセスにより、利用者端末装置20の表示手段21の画面上で利用者の閲覧に供されてもよく、あるいは評価サーバ30または管理者端末装置70から発信される電子メール等により利用者の閲覧に供されてもよい。
【0196】
図18の画面460において、利用者が、24時間鑑定選択部462を選択して「OK」ボタン464をクリックすると、利用者端末装置20の表示手段21の画面上には、前述した図16の不動産情報入力画面410よりもさらに詳細な情報を入力するための不動産情報詳細入力画面490(図2参照)が表示されるので、利用者が、この画面490で必要事項を入力すると、その入力情報は評価サーバ30に送信される。
【0197】
この利用者による詳細な入力情報は、管理者端末装置70でシステム管理者により確認され、システム管理者は、この詳細な入力情報に基づき、不動産価格を評価する。この際、システム管理者は、48時間以内や72時間以内の鑑定評価の場合のような比較的時間のかかる作業(例えば現地調査等)は行うことなく、利用者から提供された詳細な入力情報のみに基づき評価を行う。評価結果は、管理者端末装置70からシステム管理者により入力され、このシステム管理者による入力情報に基づき、評価サーバ30の処理手段40により、評価結果を表示する24時間回答画面500(図2参照)が作成される。作成された24時間回答画面500は、利用者端末装置20からの利用者の再アクセスにより、利用者端末装置20の表示手段21の画面上で利用者の閲覧に供されてもよく、あるいは評価サーバ30または管理者端末装置70から発信される電子メール等により利用者の閲覧に供されてもよい。
【0198】
図18の画面460において、利用者が、72時間鑑定選択部463を選択して「OK」ボタン464をクリックすると、利用者端末装置20の表示手段21の画面上には、前述した必要書類リスト表示画面450(図2参照)が表示される。
【0199】
この必要書類リスト表示画面450の内容を確認した利用者は、郵送または持参により必要書類をシステム管理者に提出する。必要書類を受け取ったシステム管理者は、例えば現地調査等の所定の作業を行い、不動産価格を評価する。評価結果は、管理者端末装置70からシステム管理者により入力され、このシステム管理者による入力情報に基づき、評価サーバ30の処理手段40により、評価結果を表示する72時間回答画面510(図2参照)が作成される。作成された72時間回答画面510は、利用者端末装置20からの利用者の再アクセスにより、利用者端末装置20の表示手段21の画面上で利用者の閲覧に供されてもよく、あるいは評価サーバ30または管理者端末装置70から発信される電子メール等により利用者の閲覧に供されてもよい。
【0200】
また、図4のメニュー画面100において、利用者が、「レンジ−DCF評価ソフトを購入したい」選択部103を選択した場合には、利用者端末装置20の表示手段21の画面上には、前述した図6の購入ソフト選択画面130が表示されるので、前述した如くソフトウェアの購入手続をとることができる。
【0201】
また、図4のメニュー画面100において、利用者が、「レンジ−DCF評価を依頼したい」選択部104を選択した場合には、利用者端末装置20の表示手段21の画面上には、前述した不動産情報詳細入力画面490(図2参照)が表示されるので、前述した24時間以内の鑑定評価依頼の手続をとることができる。
【0202】
また、図4のメニュー画面100において、利用者が、「土壌汚染による減価を調査してもらいたい」選択部105を選択した場合には、利用者端末装置20の表示手段21の画面上には、土壌汚染情報処理手段51により、土壌汚染に関する情報(調査依頼の申込みを含む。)を入力する土壌汚染情報入力画面520(図2参照)が表示されるので、利用者が、この画面520で必要事項を入力すると、その入力情報は評価サーバ30に送信される。
【0203】
この利用者による入力情報は、管理者端末装置70でシステム管理者により確認され、システム管理者は、この入力情報に基づき、土壌汚染の調査等の作業を行う。この作業は、利用者に対するシステム管理者による聞き取り調査、聞き取り調査後の実地調査、さらには、こられの調査に基づく汚染の有無の確定、汚染の内容・程度の推定および汚染除去作業の見積り等である。なお、これらのシステム管理者による作業に要した費用と、見積もった汚染除去作業に要する費用との合計が、通常の収益価格から減じられる「土壌汚染による減価」となる。
【0204】
調査結果は、管理者端末装置70からシステム管理者により入力され、このシステム管理者による入力情報に基づき、土壌汚染情報処理手段51により、調査結果を表示する調査結果表示画面530(図2参照)が作成される。作成された調査結果表示画面530は、利用者端末装置20からの利用者の再アクセスにより、利用者端末装置20の表示手段21の画面上で利用者の閲覧に供されてもよく、あるいは評価サーバ30または管理者端末装置70から発信される電子メール等により利用者の閲覧に供されてもよい。
【0205】
なお、利用者が、この調査結果をシステム10による収益価格の算出処理に反映させたい場合には、図7の前提条件設定画面160の「土壌汚染」ボタン209をクリックし、調査結果として得られた土壌汚染による減価を入力する。この際、利用者端末装置20の表示手段21の画面上に表示される土壌汚染減価入力フォームは、土壌汚染情報処理手段51により、評価サーバ30から利用者端末装置20に送信される。
【0206】
また、図4のメニュー画面100において、利用者が、「割引率だけ、還元利回り率だけ鑑定依頼したい」選択部106を選択した場合には、利用者端末装置20の表示手段21の画面上には、割引率・還元利回り率提供手段50により、図19に示すような割引率等鑑定依頼内容選択画面540が表示される。
【0207】
図19において、割引率等鑑定依頼内容選択画面540には、依頼内容を選択する各選択部541〜543が設けられている。利用者が、選択部541〜543のいずれかを選択して画面下部の「OK」ボタン544をクリックすると、利用者端末装置20の表示手段21の画面上には、割引率・還元利回り率提供手段50により、前述した図16の不動産情報入力画面410が表示される。さらに、利用者が、この画面410で必要事項を入力した後に、表示手段21の画面上には、割引率・還元利回り率提供手段50により、収益データ入力画面560(図2参照)が表示される。この収益データ入力画面560には、直近1年間の粗収入、直近1年間の純収益(粗収入−総費用)、固定資産税額等の各入力部が設けられている。なお、この収益データ入力画面560によるデータ入力は、省略してもよいが、より適切な鑑定を行うことができるという点で、収益データ入力画面560によるデータ入力を行うことが好ましい。
【0208】
そして、利用者による入力情報は、管理者端末装置70でシステム管理者により確認され、システム管理者は、この入力情報に基づき、割引率・還元利回り率提供手段50による作成支援を受けて、システム利用者に提供する割引率・還元利回り率回答画面570(図2参照)を作成する。この際、システム管理者は、割引率・還元利回り率記憶手段65に記憶された割引率および還元利回り率のデータをそのまま用いて割引率・還元利回り率回答画面570を自動的に(つまり、自己の判断を介在させることなく)作成してもよく、あるいは必要に応じて自己の判断を介在させ、割引率・還元利回り率記憶手段65に記憶された割引率および還元利回り率のデータに修正を加えて作成してもよい。そして、作成された割引率・還元利回り率回答画面570は、利用者端末装置20からの利用者の再アクセスにより、利用者端末装置20の表示手段21の画面上で利用者の閲覧に供されてもよく、あるいは評価サーバ30または管理者端末装置70から発信される電子メール等により利用者の閲覧に供されてもよい。
【0209】
なお、割引率・還元利回り率回答画面570では、割引率および/または還元利回り率を、唯一の値として示してもよく、あるいは何%〜何%の如く、幅を持たせて示してもよい。幅を持たせて示した場合には、その回答を見たシステム利用者は、回答画面570に示された範囲内で、割引率および/または還元利回り率を変化させてシステム10に入力し、複数パターンの収益価格ヒストグラム表示を比較することができる(図12、図13参照)。
【0210】
このような第一実施形態によれば、次のような効果がある。すなわち、システム10は、変動幅入力設定処理手段42を備えているので、表示手段21の画面上に、変動幅入力設定部231を有する上限下限設定画面230(図8参照)を表示することができる。このため、システム利用者は、収益価格の算出に用いる入力項目の予測値の変動幅を自在に入力設定することができるので、つまり収益価格の算出にあたり、入力段階から幅を持った設定をすることができるので、予測される変化やリスク変動を評価額に適切に反映させることができる。
【0211】
また、システム10は、確率分布入力設定処理手段43を備えているので、表示手段21の画面上に、確率分布入力設定部251を有する確率分布設定画面250(図9参照)を表示することができる。このため、システム利用者は、変動幅入力設定部231で設定した変動幅の範囲内において、収益価格の算出に用いられる予測値が各値をとる確率分布を自在に設定することができる。従って、システム利用者は、自己の意図や希望あるいは予測に近い形で予測値の発生確率(自動選択される確率)を設定することができるため、評価額の算出結果を、より一層現実の状況に近づけ、信頼性の高い評価額を得ることができる。
【0212】
そして、確率分布入力設定部251は、スライダ254をドラッグ操作して移動させることにより、これに対応して確率分布曲線の極大値をとる位置を移動させることができる構成とされているので、システム利用者は、スライダ254をドラッグするだけの容易な操作で、極大値をとる位置を指定し、確率分布を設定することができる。
【0213】
また、スライダ254を操作して設定される確率分布曲線は、予め用意された所定の形状を有する確率分布曲線をその曲線形状を保持したまま移動させて形成されるようになっており、この際、予め用意しておく確率分布曲線には、正規分布曲線が採用されているので、自然現象や社会現象で観測される変量の分布の中には正規分布に近い分布が多いという実情からすると、最も現実の状況に近い確率分布設定を行うことができる。
【0214】
さらに、システム10は、予測値自動選択手段44を備えているので、変動幅入力設定部231で設定した変動幅の範囲内から、複数通り(例えば、百通り等)の予測値を自動的に選択することができる。
【0215】
そして、この予測値自動選択手段44は、乱数を用いて予測値を自動選択するので、偏りのない選択を実現でき、また、確率分布入力設定部251で確率分布が設定されているという観点からは、その設定した確率分布に従った選択を実現できるので、信頼性の高い算出結果を得ることができる。
【0216】
また、システム10は、不動産価格算出処理手段45を備えているので、予測値自動選択手段44により自動的に選択された複数通りの予測値に基づき、複数通りの不動産価格を自動的に算出することができる。このため、膨大な計算処理を迅速かつ正確に行うことができるので、信頼性の高い評価額を容易に得ることができる。
【0217】
さらに、システム10は、結果表示処理手段46を備えているので、不動産価格算出処理手段45による算出結果を集計表示することができる。このため、入力段階のみならず、出力段階においても、算出結果としての評価額に幅を持たせることができるので、適正な収益価格の提示を行うことができる。
【0218】
そして、この結果表示処理手段46は、収益価格をヒストグラム表示で提示することができるので(図11参照)、システム利用者は、幅を持って提示された算出結果を容易に把握し、確認することができる。
【0219】
また、結果表示処理手段46は、異なる入力条件で算出された複数パターンの収益価格レンジ(ヒストグラム)を同一画面上に表示することができるので(図12、図13参照)、システム利用者は、複数パターンの収益価格ヒストグラム表示を容易に比較することができる。
【0220】
さらに、結果表示処理手段46は、複数パターンの収益価格ヒストグラムを同一画面上に表示する際に、各パターンの収益価格ヒストグラムを積み重ねて表示することができるので(図13参照)、単なる比較表示ではなく、複数パターンの収益価格ヒストグラムの各度数を積み上げることにより形成された新しい収益価格ヒストグラム(複数パターンを融合させた収益価格ヒストグラム)を表示することができる。このため、システム利用者に、より一層高度な判断材料を提供することができる。
【0221】
また、結果表示処理手段46は、収益価格ヒストグラム表示に加え、特定価格表示(本実施形態では、特定価格ヒストグラム表示)を行うこともできるので(図15参照)、システム利用者は、収益価格および特定価格の2つの市場を同時に把握することができ、より一層多くの判断材料を得ることができる。
【0222】
さらに、結果表示処理手段46は、収益価格ヒストグラム表示および特定価格表示(本実施形態では、特定価格ヒストグラム表示)に加え、積算価格表示および/または競売価格表示を行うこともできるので(図17参照)、システム利用者は、収益価格、特定価格、積算価格および/または競売価格の3つまたは4つの市場を同時に把握することができ、さらに、より一層多くの判断材料を得ることができる。
【0223】
そして、システム10は、割引率・還元利回り率更新手段47を備えているので、システムに蓄積したデータに基づき、割引率および/または還元利回り率を更新することができる。このため、システム利用者に対し、市場の状況に対応した最新の割引率および/または還元利回り率を提供することができる。
【0224】
また、システム10は、割引率・還元利回り率提供手段50を備えているので、システム利用者からの割引率および/または還元利回り率だけの鑑定依頼に対応することができる。
【0225】
さらに、システム10は、土壌汚染情報処理手段51を備えているので、システム利用者からの土壌汚染による減価調査依頼に対応することができる。そして、図7の前提条件設定画面160には、「土壌汚染」ボタン209が設けられているので、土壌汚染による減価を考慮した収益価格の算出処理を行うことができる。
【0226】
[第二実施形態]
図20には、本発明の第二実施形態の不動産価格評価システム600の全体構成が示されている。不動産価格評価システム600は、収益還元法のうちの、特に、レンジ−DCF法による不動産価格の評価額としての収益価格レンジを算出することができるシステムであり、その他に、特定価格の提示も併せて行うことができるシステムである。この不動産価格評価システム600は、前記第一実施形態の図6の購入ソフト選択画面130において「RANGE−DCF 2002」ソフト選択部132を選択し、ここで購入したソフトウェアをコンピュータにインストールすることにより実現されるものである。
【0227】
図20において、不動産価格評価システム600は、表示手段610と、入力手段620と、処理手段630と、この処理手段630に接続された複数パターン算出処理結果記憶手段640とを備えて構成されている。
【0228】
表示手段610は、前記第一実施形態の利用者端末装置20に設けられた表示手段21と同様な構成および機能を有するものであり、例えば、液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ等を採用することができる。
【0229】
入力手段620は、前記第一実施形態の利用者端末装置20に設けられた入力手段22と同様な構成および機能を有するものであり、例えば、マウス、キーボード、トラックボール、あるいはこれらの組合せ等を採用することができる。
【0230】
処理手段630は、前記第一実施形態の評価サーバ30に設けられた処理手段40の一部の機能を有するものであり、前提条件入力処理手段631と、変動幅入力設定処理手段632と、確率分布入力設定処理手段633と、予測値自動選択手段634と、不動産価格算出処理手段635と、結果表示処理手段636と、土壌汚染情報処理手段637とを備えている。
【0231】
但し、処理手段630は、前記第一実施形態の処理手段40とは異なり、割引率・還元利回り率更新手段47、割引率・還元利回り率修正手段48、事後情報追加手段49、割引率・還元利回り率提供手段50に相当する機能は有していない。これは、本第二実施形態の不動産価格評価システム600が、前記第一実施形態のシステム10のようなネットワークにより構成されたシステムではないため、端末とサーバとの間での情報の送受信が行われないことによるものである。
【0232】
前提条件入力処理手段631、変動幅入力設定処理手段632、確率分布入力設定処理手段633、予測値自動選択手段634、不動産価格算出処理手段635、結果表示処理手段636、土壌汚染情報処理手段637は、それぞれ前記第一実施形態の前提条件入力処理手段41、変動幅入力設定処理手段42、確率分布入力設定処理手段43、予測値自動選択手段44、不動産価格算出処理手段45、結果表示処理手段46、土壌汚染情報処理手段51と略同様な機能を有するものであり、端末とサーバとの間での情報の送受信を行わないことに起因する処理の相違があるだけである。
【0233】
そして、処理手段630を構成する各手段631〜637は、システム600を構成するコンピュータ本体の内部に設けられた中央演算処理装置(CPU)、およびこのCPUの動作手順を規定する一つまたは複数のプログラムにより実現される。
【0234】
複数パターン算出処理結果記憶手段640は、前記第一実施形態の複数パターン算出処理結果記憶手段63と同様な構成および機能を有するものであり、例えば、ハードディスクやRAM等により実現される。
【0235】
このような第二実施形態によれば、前記第一実施形態の場合と同様に、入力項目としての予測値の変動幅を設定し、かつ、予測値が選択される確率分布を設定し、その後、設定した変動幅の範囲内から、設定した確率分布に従って複数通りの予測値を自動的に選択し、これらの複数通りの予測値に基づき複数通りの不動産価格を算出して集計表示することができる。このため、入力段階から幅を持った設定をし、かつ、出力段階でも算出結果としての評価額に幅を持たせることができ、前記第一実施形態と略同様な効果を得ることができる。つまり、本第二実施形態のシステム600の各構成要素に対応する前記第一実施形態のシステム10の各構成要素が発揮する効果(前記第一実施形態で述べた効果)を、前記第一実施形態の場合と同様に得ることができる。
【0236】
[変形の形態]
なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲内での変形等は本発明に含まれるものである。
【0237】
すなわち、前記第一実施形態では、収益価格のみならず、特定価格も表示でき(図15参照)、さらに積算価格または競売価格も表示できるようになっていたが(図17参照)、本発明の不動産価格評価システムは、少なくとも収益価格レンジの表示を行うことができるようになっていればよい。
【0238】
また、前記第一実施形態では、システム10は、割引率・還元利回り率更新手段47を備えていたが、この設置を省略してもよい。しかし、市場の状況に応じた最新の割引率や還元利回り率をシステム利用者に提供できるという点で、割引率・還元利回り率更新手段47を設けておくことが好ましい。
【0239】
さらに、前記各実施形態では、確率分布を自在に設定できる構成となっていたが、変動幅のみを自在に設定でき、確率分布を自在に設定することはできない構成としてもよい。しかし、確率分布を自在に設定できる構成としておくことが好ましく、そうすることで、評価額の算出結果を、より一層現実の状況に近づけ、信頼性の高い評価額を得ることができる。
【0240】
また、前記各実施形態では、極大値をとる位置の指定方法として、スライダーバー253およびスライダ254を用いる方法(図9参照)を採用していたが、これに限定されるものではなく、例えば、極大値をとる位置を示す数値を、キーによる打ち込みや音声により入力する方法でもよく、さらには、例えば「→」、「←」キー等のカーソルキーを連続して押すことにより、表示手段の画面上に表示されている数値(極大値をとる位置を示す数値)を変化させる方法でもよく、あるいは、カーソルキーを連続して押すことにより、表示手段の画面上に表示されているインジケータ(例えば、設定された変動幅の範囲を示すスケール(目盛りの有無は問わない。)上を移動するスライドバーや三角マークや矢印マーク等)を移動させて指示位置(極大値をとる位置を示す指示位置)を変化させる方法でもよい。
【0241】
さらに、前記第一実施形態では、図11に示すように、ヒストグラム表示画面280に、「特定価格表示」ボタン282および「積算・競売価格表示」ボタン283が設けられていたが、これらに相当するボタンは、図7の前提条件設定画面160に設けてもよい。
【0242】
【発明の効果】
以上に述べたように本発明によれば、入力項目としての予測値の変動幅を設定し、この変動幅の範囲内から複数通りの予測値を自動的に選択し、これらの複数通りの予測値に基づき複数通りの不動産価格を算出して集計表示するようにしたので、入力段階から幅を持った設定をし、かつ、出力段階でも算出結果としての評価額に幅を持たせることができるため、適正な収益価格を容易に算出し、提示することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態の不動産価格評価システムの全体構成図。
【図2】第一実施形態のシステム処理に伴う画面遷移の説明図。
【図3】第一実施形態のシステムによりオンライン評価を行う際の処理の流れを示すフローチャートの図。
【図4】第一実施形態のシステム処理に伴う画面例(メニュー画面)を示す図。
【図5】第一実施形態のシステム処理に伴う画面例(ソフト購入・オンライン評価選択画面)を示す図。
【図6】第一実施形態のシステム処理に伴う画面例(購入ソフト選択画面)を示す図。
【図7】第一実施形態のシステム処理に伴う画面例(前提条件設定画面)を示す図。
【図8】第一実施形態のシステム処理に伴う画面例(上限下限設定画面)を示す図。
【図9】第一実施形態のシステム処理に伴う画面例(確率分布設定画面)を示す図。
【図10】第一実施形態のシステム処理に伴う画面例(純収益変動表示画面)を示す図。
【図11】第一実施形態のシステム処理に伴う画面例(ヒストグラム表示画面)を示す図。
【図12】第一実施形態のシステム処理に伴う画面例(並列表示による複数パターン比較用ヒストグラム表示画面)を示す図。
【図13】第一実施形態のシステム処理に伴う画面例(積み重ね表示による複数パターン比較用ヒストグラム表示画面)を示す図。
【図14】第一実施形態のシステム処理に伴う画面例(結果表示画面)を示す図。
【図15】第一実施形態のシステム処理に伴う画面例(特定価格表示画面)を示す図。
【図16】第一実施形態のシステム処理に伴う画面例(不動産情報入力画面)を示す図。
【図17】第一実施形態のシステム処理に伴う画面例(積算・競売価格表示画面)を示す図。
【図18】第一実施形態のシステム処理に伴う画面例(評価額鑑定依頼内容選択画面)を示す図。
【図19】第一実施形態のシステム処理に伴う画面例(割引率等鑑定依頼内容選択画面)を示す図。
【図20】本発明の第二実施形態の不動産価格評価システムの全体構成図。
【符号の説明】
1 ネットワーク
10,600 不動産価格評価システム
20 利用者端末装置
21,610 表示手段
22,620 入力手段
30 評価サーバ
40,630 処理手段
44,634 予測値自動選択手段
45,635 不動産価格算出処理手段
46,636 結果表示処理手段
47 割引率・還元利回り率更新手段
62 入力情報記憶手段
63,640 複数パターン算出処理結果記憶手段
64 不動産価格算出処理結果記憶手段
65 割引率・還元利回り率記憶手段
231 変動幅入力設定部
251 確率分布入力設定部
253 スライダーバー
254 スライダ

Claims (14)

  1. 収益還元法を含む評価法により不動産価格の評価を行う不動産価格評価方法であって、
    入力手段を用いて前記不動産価格の評価に必要な各項目の値を入力する際に、表示手段の画面上に表示された変動幅入力設定部で、前記各項目の値に含まれる少なくとも一つの予測値の変動幅を入力設定した後、
    予測値自動選択手段により、前記変動幅入力設定部で入力設定された前記変動幅の範囲内から前記不動産価格の算出処理に用いる複数通りの前記予測値を自動的に選択し、
    続いて、不動産価格算出処理手段により、前記予測値自動選択手段により選択された複数通りの前記予測値に基づき複数通りの前記不動産価格を算出し、
    その後、結果表示処理手段により、前記不動産価格算出処理手段による処理結果として得られた複数通りの前記不動産価格を前記表示手段の画面上に集計表示する
    ことを特徴とする不動産価格評価方法。
  2. 収益還元法を含む評価法により不動産価格の評価を行う不動産価格評価システムであって、
    前記不動産価格の評価に必要な各項目の値を入力する入力手段と、
    前記不動産価格の評価結果を画面表示する表示手段と、
    前記入力手段を用いて入力された前記各項目の値に基づき前記不動産価格の算出を含む処理を行う処理手段とを備え、
    前記各項目の値には、少なくとも一つの予測値が含まれ、
    前記表示手段の画面上には、前記入力手段を用いて前記予測値の変動幅を入力設定するための変動幅入力設定部が表示され、
    前記処理手段は、
    前記変動幅入力設定部で入力設定された前記変動幅の範囲内から前記不動産価格の算出処理に用いる複数通りの前記予測値を自動的に選択する予測値自動選択手段と、
    この予測値自動選択手段により選択された複数通りの前記予測値に基づき複数通りの前記不動産価格を算出する不動産価格算出処理手段と、
    この不動産価格算出処理手段による処理結果として得られた複数通りの前記不動産価格を前記表示手段の画面上に集計表示する結果表示処理手段とを備えた
    ことを特徴とする不動産価格評価システム。
  3. 請求項2に記載の不動産価格評価システムにおいて、
    前記表示手段の画面上には、前記変動幅の範囲内から前記各予測値が選択される確率を決める確率分布を入力設定するための確率分布入力設定部が表示され、前記予測値自動選択手段は、前記確率分布入力設定部で入力設定された前記確率分布に基づき複数通りの前記予測値を自動的に選択する構成とされている
    ことを特徴とする不動産価格評価システム。
  4. 請求項3に記載の不動産価格評価システムにおいて、
    前記確率分布入力設定部は、前記入力手段を用いて確率分布曲線の極大値をとる位置を指定する構成とされていることを特徴とする不動産価格評価システム。
  5. 請求項4に記載の不動産価格評価システムにおいて、
    前記確率分布入力設定部は、前記確率分布曲線の横軸に沿う方向に配置されたスライダーバーと、このスライダーバー上を摺動するスライダとを備え、
    前記極大値をとる位置の指定は、前記入力手段を用いて前記スライダをドラッグ操作することにより前記スライダの位置に対応させて前記極大値をとる位置を移動させて行われる構成とされていることを特徴とする不動産価格評価システム。
  6. 請求項2〜5のいずれかに記載の不動産価格評価システムにおいて、
    前記予測値自動選択手段は、乱数を用いて複数通りの前記予測値を自動的に選択する構成とされていることを特徴とする不動産価格評価システム。
  7. 請求項2〜6のいずれかに記載の不動産価格評価システムにおいて、
    前記結果表示処理手段による集計表示には、横軸を前記不動産価格とし、かつ、縦軸を度数としたヒストグラム表示が含まれることを特徴とする不動産価格評価システム。
  8. 請求項7に記載の不動産価格評価システムにおいて、
    前記入力手段を用いて前記各項目の値を入力変更した状態で前記不動産価格算出処理手段による複数通りの前記予測値に基づく複数通りの前記不動産価格の算出処理を複数パターンについて行った各結果を個別に一時的に記憶する複数パターン算出処理結果記憶手段を備え、
    前記結果表示処理手段は、前記複数パターン算出処理結果記憶手段に記憶された各パターンの算出処理結果を積み重ねるか、または横方向に並べて前記ヒストグラム表示を行う構成とされている
    ことを特徴とする不動産価格評価システム。
  9. 請求項7または8に記載の不動産価格評価システムにおいて、前記結果表示処理手段による集計表示には、
    横軸を前記収益還元法のうちの割引キャッシュ・フロー法により算出した収益価格とした前記ヒストグラム表示に加え、特定価格表示が含まれる
    ことを特徴とする不動産価格評価システム。
  10. 請求項9に記載の不動産価格評価システムにおいて、
    前記結果表示処理手段による集計表示には、
    横軸を前記収益価格とした前記ヒストグラム表示および前記特定価格表示に加え、積算価格表示および/または競売価格表示が含まれる
    ことを特徴とする不動産価格評価システム。
  11. 請求項2〜10のいずれかに記載の不動産価格評価システムにおいて、
    利用者の操作する利用者端末装置と、この利用者端末装置とネットワークで接続されて不動産価格の評価のための処理を行う評価サーバとを備え、
    前記表示手段および前記入力手段は、前記利用者端末装置に設けられ、
    前記処理手段は、前記評価サーバに設けられ、
    前記評価サーバは、
    前記ネットワークを介して前記利用者端末装置から送られてきた前記利用者による入力情報を記憶する入力情報記憶手段と、
    前記不動産価格算出処理手段による処理結果を記憶する不動産価格算出処理結果記憶手段と、
    前記収益還元法による評価を行う際の割引率および/または還元利回り率を記憶する割引率・還元利回り率記憶手段と、
    前記入力情報記憶手段に記憶された前記入力情報および前記不動産価格算出処理結果記憶手段に記憶された前記処理結果を含む情報に基づき前記割引率・還元利回り率記憶手段に記憶された前記割引率および/または前記還元利回り率を更新する割引率・還元利回り率更新手段とを備えた
    ことを特徴とする不動産価格評価システム。
  12. 利用者の操作する利用者端末装置とネットワークで接続され、収益還元法を含む評価法により不動産価格の評価を行う不動産価格評価システムを構成する評価サーバであって、
    前記利用者端末装置の入力手段を用いて入力された前記不動産価格の評価に必要な各項目の値に基づき前記不動産価格の算出を含む処理を行う処理手段を備え、前記各項目の値には、少なくとも一つの予測値が含まれ、
    前記処理手段は、
    前記利用者端末装置の表示手段の画面上に表示された変動幅入力設定部で入力設定された前記予測値の変動幅の範囲内から前記不動産価格の算出処理に用いる複数通りの前記予測値を自動的に選択する予測値自動選択手段と、
    この予測値自動選択手段により選択された複数通りの前記予測値に基づき複数通りの前記不動産価格を算出する不動産価格算出処理手段と、
    この不動産価格算出処理手段による処理結果として得られた複数通りの前記不動産価格を前記表示手段の画面上に集計表示する結果表示処理手段と、
    前記収益還元法による評価を行う際の割引率および/または還元利回り率を更新する割引率・還元利回り率更新手段とを備え、
    前記処理手段には、
    前記ネットワークを介して前記利用者端末装置から送られてきた前記利用者による前記入力情報を記憶する入力情報記憶手段と、
    前記不動産価格算出処理手段による前記処理結果を記憶する不動産価格算出処理結果記憶手段と、
    前記割引率および/または前記還元利回り率を記憶する割引率・還元利回り率記憶手段とが接続され、
    前記割引率・還元利回り率更新手段は、前記入力情報記憶手段に記憶された前記入力情報および前記不動産価格算出処理結果記憶手段に記憶された前記処理結果を含む情報に基づき前記割引率・還元利回り率記憶手段に記憶された前記割引率および/または前記還元利回り率を更新する構成とされている
    ことを特徴とする評価サーバ。
  13. 収益還元法を含む評価法により不動産価格の評価を行う不動産価格評価システムとして、コンピュータを機能させるためのプログラムであって、
    前記不動産価格の評価に必要な各項目の値を入力する入力手段と、
    前記不動産価格の評価結果を画面表示する表示手段と、
    前記入力手段を用いて入力された前記各項目の値に基づき前記不動産価格の算出を含む処理を行う処理手段とを備え、
    前記各項目の値には、少なくとも一つの予測値が含まれ、
    前記表示手段の画面上には、前記入力手段を用いて前記予測値の変動幅を入力設定するための変動幅入力設定部が表示され、
    前記処理手段は、
    前記変動幅入力設定部で入力設定された前記変動幅の範囲内から前記不動産価格の算出処理に用いる複数通りの前記予測値を自動的に選択する予測値自動選択手段と、
    この予測値自動選択手段により選択された複数通りの前記予測値に基づき複数通りの前記不動産価格を算出する不動産価格算出処理手段と、
    この不動産価格算出処理手段による処理結果として得られた複数通りの前記不動産価格を前記表示手段の画面上に集計表示する結果表示処理手段とを備えた
    ことを特徴とする不動産価格評価システムとして、コンピュータを機能させるためのプログラム。
  14. 利用者の操作する利用者端末装置とネットワークで接続され、収益還元法を含む評価法により不動産価格の評価を行う不動産価格評価システムを構成する評価サーバとして、コンピュータを機能させるためのプログラムであって、
    前記利用者端末装置の入力手段を用いて入力された前記不動産価格の評価に必要な各項目の値に基づき前記不動産価格の算出を含む処理を行う処理手段を備え、前記各項目の値には、少なくとも一つの予測値が含まれ、
    前記処理手段は、
    前記利用者端末装置の表示手段の画面上に表示された変動幅入力設定部で入力設定された前記予測値の変動幅の範囲内から前記不動産価格の算出処理に用いる複数通りの前記予測値を自動的に選択する予測値自動選択手段と、
    この予測値自動選択手段により選択された複数通りの前記予測値に基づき複数通りの前記不動産価格を算出する不動産価格算出処理手段と、
    この不動産価格算出処理手段による処理結果として得られた複数通りの前記不動産価格を前記表示手段の画面上に集計表示する結果表示処理手段と、
    前記収益還元法による評価を行う際の割引率および/または還元利回り率を更新する割引率・還元利回り率更新手段とを備え、
    前記処理手段には、
    前記ネットワークを介して前記利用者端末装置から送られてきた前記利用者による前記入力情報を記憶する入力情報記憶手段と、
    前記不動産価格算出処理手段による前記処理結果を記憶する不動産価格算出処理結果記憶手段と、
    前記割引率および/または前記還元利回り率を記憶する割引率・還元利回り率記憶手段とが接続され、
    前記割引率・還元利回り率更新手段は、前記入力情報記憶手段に記憶された前記入力情報および前記不動産価格算出処理結果記憶手段に記憶された前記処理結果を含む情報に基づき前記割引率・還元利回り率記憶手段に記憶された前記割引率および/または前記還元利回り率を更新する構成とされている
    ことを特徴とする評価サーバとして、コンピュータを機能させるためのプログラム。
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