JP2004144504A - ガスセンサの制御装置 - Google Patents

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JP2004144504A JP2002306857A JP2002306857A JP2004144504A JP 2004144504 A JP2004144504 A JP 2004144504A JP 2002306857 A JP2002306857 A JP 2002306857A JP 2002306857 A JP2002306857 A JP 2002306857A JP 2004144504 A JP2004144504 A JP 2004144504A
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Satoshi Haneda
羽田 聡
Hidekazu Kurokawa
黒川 英一
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Abstract

【課題】ガス濃度の検出精度を向上することである。
【解決手段】被測定ガス中の特定成分のガス濃度に応じて変化するガスセンサ1の電流等からガス濃度を検出するとともに、ガスセンサ1の電流変化に伴う電圧変化に基づいてガスセンサ1の素子インピーダンスを検出するガスセンサの制御装置2に、素子インピーダンス検出期間には、ガス濃度検出信号を、素子インピーダンス検出期間に入る前のガス濃度検出信号にてホールドするホールド手段25を具備せしめる。素子インピーダンス検出期間に前記電流変化により前記ガス濃度とは無関係にガスセンサ1の電流が変化しても、このときのガス濃度検出信号は使用されない。また、素子インピーダンス検出期間はごく短時間であり、その間にガス濃度が大きく変化することはない。これにより、検出精度が向上する。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスセンサの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガスセンサは種々の分野に適用され、例えば、内燃機関の排気管に設けられて、気筒から排出される被測定ガスである排気ガス中の酸素濃度(A/F)やNOx 、HC、CO等の特定成分のガス濃度の検出に用いられる。ガスセンサには、今日、酸素イオン導電性を有するジルコニア等の固体電解質体を有するものが一般的である。このものでは、固体電解質体により、被測定ガス中の特定成分のガス濃度に応じて電流または電圧が変化することをガス濃度の検出に利用しており、ガスセンサに付設される制御装置が、前記ガス濃度に応じたガス濃度検出信号を出力する。ガス濃度検出信号は、機関本体各部の制御に供される。
【0003】
ガス濃度の検出精度はガスセンサの温度状態に依存し、固体電解質体を活性温度域の所定の温度に維持することが必要になる。ガスセンサの制御装置は、ガスセンサの素子インピーダンスとガスセンサの温度状態との相関を利用し、素子インピーダンスを検出して、加熱用のヒータの通電制御を行っている。
【0004】
素子インピーダンスを検出する技術として、ガスセンサにおける変化電流と変化電圧とに基づいて素子インピーダンスを検出するものが開示されている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−292364号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、素子インピーダンスの検出時にガスセンサにおいて電流または電圧の変化を伴うので、その影響を受けてガス濃度の検出精度が低下する。また、ノイズの重畳により素子インピーダンスが高精度に検出されなれば、ガスセンサを所定温度に安定化することができず、ガス濃度の検出精度が低下する。
【0007】
本発明は前記実情に鑑みなされたもので、ガス濃度の検出精度のよいガスセンサの制御装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、固体電解質体により電流または電圧から被測定ガス中の特定成分のガス濃度を検出するガスセンサを制御し、前記ガスセンサの電流変化に伴う電圧変化に基づいて前記ガスセンサの素子インピーダンスを検出するガスセンサの制御装置であって、
ガス濃度検出信号をホールドするホールド手段を具備せしめ、
素子インピーダンスの検出時には、ガス濃度検出信号を、素子インピーダンスの検出実施前のガス濃度検出信号にてホールドするようにする。
【0009】
素子インピーダンスの検出時には電流が変化せしめられて、特定成分のガス濃度とは無関係にガスセンサで電流または電圧が変化し、その間は、ガス濃度検出信号は真のガス濃度を表していない。本発明では、かかる素子インピーダンスの検出時のガスセンサの電流または電圧に応じたガス濃度検出信号は使用されずに、素子インピーダンスの検出時以前、例えば当該検出時の直前のガス濃度検出信号が使用される。素子インピーダンスの検出がなされている期間の長さは、ガス濃度の変化速度と比べれば比較的、短いから、素子インピーダンスの検出期間中、ガス濃度検出信号がホールドされていても、実際にその間にガス濃度が変化する量との差は比較的少ない。これにより、ガス濃度の検出精度を向上することができ、誤判定や誤った制御状態となることを防止することができる。
【0010】
請求項2記載の発明では、固体電解質体により電流または電圧から被測定ガス中の特定成分のガス濃度を検出するガスセンサを制御し、前記ガスセンサの電流変化に伴う電圧変化に基づいて前記ガスセンサの素子インピーダンスを検出するガスセンサの制御装置であって、
素子インピーダンスの検出時には、ガス濃度検出信号の使用を禁止とする禁止信号を出力するようにする。
【0011】
素子インピーダンスの検出時には電流が変化せしめられて、特定成分のガス濃度とは無関係にガスセンサで電流または電圧が変化し、その間は、ガス濃度検出信号は真のガス濃度を表していない。本発明では、かかる素子インピーダンスの検出時のガスセンサの電流または電圧に基因したガス濃度検出信号は使用されない。これにより、ガス濃度の検出精度を向上することができ、誤判定や誤った制御状態となることを防止することができる。
【0012】
請求項3記載の発明では、固体電解質体により電流または電圧から被測定ガス中の特定成分のガス濃度を検出するガスセンサを制御し、前記ガスセンサの電流変化に伴う電圧変化に基づいて前記ガスセンサの素子インピーダンスを検出するガスセンサの制御装置であって、
ガス濃度検出信号をホールドするホールド手段を具備せしめ、
素子インピーダンスの検出時には、ガス濃度検出信号を、素子インピーダンスの検出実施前のガス濃度検出信号にてホールドするとともに、ガス濃度検出信号の使用を禁止とする禁止信号を出力するようにする。
【0013】
素子インピーダンスの検出時には電流が変化せしめられて、特定成分のガス濃度とは無関係にガスセンサで電流または電圧が変化し、その間は、ガス濃度検出信号は真のガス濃度を表していない。本発明では、かかる素子インピーダンスの検出時のガスセンサの電流または電圧に応じたガス濃度検出信号は使用されない。
【0014】
また、ガス濃度検出信号が入力する装置では、ローパスフィルタ等の応答遅延を生ずる手段にガス濃度検出信号を通過させてノイズ等の影響を排除することが望ましいが、この場合、ホールド手段によるガス濃度検出信号の保持状態が解除されて、ガス濃度検出信号が実際のガス濃度を十分に反映したものとなったときに、前記応答遅延に基因した検出誤差を含んだガス濃度検出信号が使用されることになると、十分に検出精度を向上することができない。本発明では、ホールド手段によるガス濃度検出信号の保持状態が解除された後でも禁止信号を出力状態とすることで、前記応答遅延に基因した検出誤差を含んだガス濃度検出信号が使用されることを回避することができる。これにより、ガス濃度の検出精度を向上することができる。
【0015】
請求項4記載の発明では、固体電解質体により電流または電圧から被測定ガス中の特定成分のガス濃度を検出するガスセンサを制御し、前記ガスセンサの電流変化に伴う電圧変化に基づいて前記ガスセンサの素子インピーダンスを検出するガスセンサの制御装置であって、
検出された素子インピーダンスに対し、その変化量を制限する処理をする変化量制限手段を具備せしめる。
【0016】
素子インピーダンスの検出時の前記電圧変化にノイズが重畳しても、検出された素子インピーダンスの変化量が制限されるので、大きな検出誤差を含む素子インピーダンスに基づいてヒータ等が制御されることを防止することができる。これにより、ガス濃度の検出精度を向上することができる。
【0017】
請求項5記載の発明では、請求項4の発明の構成において、前記変化量の制限値を、所定の条件に基づき変更自在とする。
【0018】
ガスセンサの状態によって、例えば、ガスセンサを固体電解質体の活性温度域に向けて昇温中か、所定温度に維持する状態かによって素子インピーダンスの変化量は異なるから、変化量の制限値を変更自在とすることで、さらに素子インピーダンスに基づくヒータ等の制御を適正化することができる。
【0019】
請求項6記載の発明では、請求項4または5の発明の構成において、前記変化量制限した素子インピーダンスに対して高側の周波数成分を除去する処理をするローパスフィルタを具備せしめる。
【0020】
前記電圧変化にノイズが重畳しても、高側の周波数成分が除去されて検出素子インピーダンスがなまされるので、さらに、ガス濃度の検出精度を向上することができる。ここで、予め検出素子インピーダンスの変化量が制限されることで、カットオフ周波数をあまり低くする必要がない。このため、応答性も十分確保することができる。
【0021】
請求項7記載の発明では、固体電解質体により電流または電圧から被測定ガス中の特定成分のガス濃度を検出するガスセンサを制御し、前記ガスセンサの電流変化に伴う電圧変化に基づいて前記ガスセンサの素子インピーダンスを検出するガスセンサの制御装置であって、
検出された素子インピーダンスに対し、その高側の周波数成分を除去する処理をするローパスフィルタを具備せしめる。
【0022】
前記電圧変化にノイズが重畳しても、高側の周波数成分が除去されて検出素子インピーダンスがなまされるので、大きさ検出誤差を含む素子インピーダンスに基づいてヒータ等が制御されることを防止することができる。これにより、ガス濃度の検出精度を向上することができる。
【0023】
請求項8記載の発明では、請求項7の発明の構成において、前記ローパスフィルタのカットオフ周波数を、所定の条件に基づき変更自在とする。
【0024】
ガスセンサの状態によって、例えば、ガスセンサを固体電解質体の活性温度域に向けて昇温中か、所定温度に維持する状態かによって必要ななまし量や応答性が異なるから、カットオフ周波数を変更自在とすることで、さらに素子インピーダンスに基づくヒータ等の制御を適正化することができる。
【0025】
請求項9記載の発明では、固体電解質体により電流または電圧から被測定ガス中の特定成分のガス濃度を検出するガスセンサを制御し、前記ガスセンサの電流変化に伴う電圧変化に基づいて前記ガスセンサの素子インピーダンスを検出するガスセンサの制御装置であって、
検出された素子インピーダンスを平均化する平均化手段を具備せしめる。
【0026】
前記電圧変化にノイズが重畳しても、平均化により、素子インピーダンスがなまされるので、大きな検出誤差を含むインピーダンスに基づいてヒータ等が制御されることを防止することができる。これにより、ガス濃度の検出精度を向上することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1、図2に本発明のガスセンサの制御装置を適用したガス濃度検出装置を示す。本実施形態は例えば自動車の内燃機関用に適用したものである。
【0028】
ガスセンサ1は例えばエンジンから排出される排気ガスが流通する排気管に設けられ、車室等側に設けられたガスセンサ1の制御装置2と配線用のケーブルにより接続される。制御装置2から出力される信号に基づいて酸素濃度検出装置3が被測定ガスとしての排気ガス中の酸素濃度を検出し、その結果を出力する。
【0029】
ガスセンサ1は、図2に示すように、ジルコニア等の酸素イオン導電性の固体電解質体である固体電解質層111,112、アルミナ等の絶縁材料からなる絶縁層113,114等が板厚方向に積層する積層構造を有し、面方向に細長の全体形状が与えられている。固体電解質層111,112で挟まれた絶縁層113は一部が板厚方向に打ち抜かれており、固体電解質層111,112の間にチャンバー101が形成される。
【0030】
チャンバー101位置で固体電解質層111には、これを板厚方向に貫通するピンホール103が形成されており、ピンホール103を介して当該ガスセンサ1の周囲の排気ガスがチャンバー101内に導入される。
【0031】
固体電解質層112を挟んでチャンバー101と反対側には固体電解質層112をダクト壁の一部とする大気ダクト102が形成されている。大気ダクト102はガスセンサ1の基端で大気に開放している。ガスセンサ1が内燃機関に適用される場合には、ガスセンサ1はこれを保持するホルダ部材等とともに排気管の管壁を貫通して設けられて、大気ダクト102は排気管外部と連通し、基準酸素濃度の空間となる。
【0032】
チャンバー101位置で固体電解質層111の上下面には固体電解質層111を挟んで対向する1対の電極121,122が形成されており、固体電解質層111と電極121,122とでポンプセル1aが構成される。チャンバー101および大気ダクト102位置で固体電解質層112の上下面には、固体電解質層112を挟んで対向する1対の電極123,124が形成されている。固体電解質層112と電極123,124とでモニタセル1bが構成される。
【0033】
また、固体電解質層112とともに大気ダクト102のダクト壁をなす絶縁層115,116には、層間にPt等の線パターンが形成されて、ガスセンサ1全体を加熱するヒータ13としてある。ヒータ13は通電によりジュール熱を発生する電気式のものである。
【0034】
ポンプセル1aの電極121,122間に電圧を印加するとチャンバー101内外間で、酸素イオンをキャリアとして電流が流れる。例えば、外部側の電極122側を正として電流を流すと、チャンバー101内の排気ガス中の酸素が、チャンバ101側の電極121で分解、イオン化して固体電解質層111を通りガスセンサ1外部へと汲み出される。電極121,122間に流れる電流Ip は酸素の汲み出し量に応じた値をとる。以下、適宜、電流Ip をポンプセル電流という。また、電極122を+電極122といい、電極121を−電極121という。
【0035】
また、モニタセル1bの電極123,124の間には、チャンバー101内と大気ダクト102内との間の酸素濃度の相違に応じて起電力が発生する。この起電力は、チャンバー101内が低濃度のとき、大気ダクト102側の電極124を正とする起電力である。以下、適宜、電極124を+電極124といい、電極123を−電極123という。
【0036】
制御装置2は、ポンプセル電流Ip を、前記モニタセル1bの起電力が規定値になるように調整するとともに、ヒータ13の通電制御を行う。
【0037】
ポンプセル1aの+電極122には、第1のオペアンプ212の出力端が接続され、オペアンプ212からポンプセル1aに電流を供給するようになっている。ポンプセル1aの−電極121は直列に接続された抵抗器213および抵抗器214を介してPID回路24の出力端と接続され、ポンプセル電流Ip が抵抗器213,214を介して流れる。
【0038】
前記オペアンプ212の一方の入力端子には基準電圧源211から基準電圧V0 が入力し、他方の入力端子は、両抵抗器213,214の接続点Pに接続されている。オペアンプ212は、接続点Pにおいて基準電圧V0 が維持されるように、出力電流すなわちポンプセル電流Ip を流す。ポンプセル電流Ip は次式(1)により表される。式中、VPID は、PID回路24の出力電圧(以下、適宜、PID出力電圧という)であり、Rは抵抗器214の抵抗値である。
Ip =(V0 −VPID )/R・・・(1)
【0039】
PID出力電圧VPID が高くなると、これが接続点Pの電位を上げる方向に作用してオペアンプ212が出力電流を下げる。これにより抵抗器214の電圧降下を下げ、接続点Pの電位を基準電圧V0 に向けて低下せしめる。逆に、PID出力電圧VPID が低くなると、前記とは逆方向の作用で、接続点Pの電位を基準電圧に向けて上昇せしめる。
【0040】
PID回路24はモニタセル1bの前記起電力に基づいてPID制御を行うもので、このため、モニタセル1bが+電極214側でサンプルホールド回路22の入力端子と接続され、サンプルホールド回路22の出力電圧が前記PID回路24に入力せしめてある。
【0041】
サンプルホールド回路22は、スイッチ221、コンデンサ222およびオペアンプ223からなる。コンデンサ222は、スイッチ221を介して、モニタセル1bの+電極214と接続されるとともに、第3の抵抗器232を介して定電圧電源231と接続されており、定電圧電源231から、+電極214の電位(以下、適宜、モニタセル電位という)Vm に充電される。このコンデンサ222の出力電圧が入力する電圧フォロアのオペアンプ223の出力電圧が前記PID回路24への入力電圧となる。
【0042】
PID回路24は、サンプルされたモニタセル電位Vm とその規定値との差分から比例項、積分項などを演算し、モニタセル電位Vm が前記規定値を保つように、ポンプセル電流Ip を決定するPID出力電圧VPID を調整する。ポンプセル電流Ip はチャンバー101からの酸素の輸送量に比例するが、該輸送量は、ピンホール103を介して流入する酸素の量すなわち被測定ガス中の酸素濃度に比例する。すなわち、ポンプセル電流Ip は被測定ガス中の特定成分である酸素のガス濃度に応じて変化する電気的状態を示すパラメータである。そして、PID出力電圧VPID は酸素濃度の検出信号となる。
【0043】
この出力電圧VPID を入力としてサンプルホールド回路25が設けてあり、出力電圧VPID がサンプルホールド回路25を介して酸素濃度検出装置3に入力するようになっている。酸素濃度検出装置3では、ROMに格納されたマップから対応する酸素濃度を検索し、この値を図示しないエンジン制御装置側へ出力する。サンプルホールド回路25はインピーダンス検出制御装置29のS/H制御信号発生部292から出力されるS/H制御信号によりサンプル状態とホールド状態とが切り換えられるようになっている。
【0044】
また、サンプルホールド回路22から出力されるモニタセル電位Vm と、サンプルホールド回路22に入力する前のモニタセル電位Vm とを入力として、第3のオペアンプ28が設けてある。オペアンプ28の出力電圧はインピーダンス検出制御装置29のヒータ制御部291に入力する。また、ヒータ制御部291にはオペアンプ212の出力も入力する。ヒータ制御部291では、これらの入力に基づいてヒータ13の通電が制御される。制御は例えばPWM制御でなされる。
【0045】
また、前記モニタセル1bの+電極214には2つの定電流源271,272が接続されており、それぞれ、スイッチ273,274により、断接切換え可能である。2つの定電流源271,272は電流の方向が逆の電源で、第1の定電流源271はモニタセル1bの−電極123から+電極124に向かう方向に電流を流し、第2の定電流源272はモニタセル1bの+電極124から−極123に向かう方向に電流を流すようになっている。
【0046】
前記インピーダンス検出制御装置29は例えばマイクロコンピュータを中心に構成され、スイッチ221,273,274を切り換えることで、所定の周期T1 ごとにポンプセル1aおよびモニタセル1bのインピーダンスを検出する。また、このとき、併せて、サンプルホールド回路25のサンプル状態とホールド状態とを切り換える。図3はS/H制御信号の出力状態、スイッチ221,273,274の切り換え状態を含む各部の作動状態を示すタイミングチャートである。
【0047】
インピーダンス検出期間T2 以外の期間では、スイッチ221はオンでスイッチ273,274はオフであり、サンプルホールド回路25はサンプル状態である。先ず、このときの作動について説明する。サンプルホールド回路25がサンプル状態のため、PID出力電圧VPID がそのまま酸素濃度検出装置3の入力電圧となる。前記のごとく、被測定ガス中の酸素濃度に応じて、PID出力電圧VPID が変化し、第1オペアンプ212が、接続点Pの電位が基準電圧V0 に維持されるように出力電流Ip を流す。
【0048】
酸素濃度検出装置3は、マップから出力電圧VPID に対応する酸素濃度を検索し、この検索値を図示しないエンジン制御装置側へ出力する。
【0049】
次に素子インピーダンス検出期間T2 について説明する。なお、素子インピーダンス検出期間T2 はスイッチ221をオフに、スイッチ273をオンに切り換えることで開始されるが、S/H制御信号を「ホールド」側に切り換えるタイミングはスイッチ221等のスイッチ切り換えに先立ちなされる。さて、素子インピーダンス検出期間T2 においては、先ず、S/H制御信号を「ホールド」側に切り換え、サンプルホールド回路25がホールド状態に切り換わった状態で、サンプルホールド回路22のスイッチ221をオフに切り換える。これらのホールド状態およびオフ状態は素子インピーダンス検出期間T2 中、継続する。
【0050】
これにより、酸素濃度検出装置3は、これに入力する酸素濃度検出信号としてのPID出力電圧VPID が素子インピーダンス検出期間T2 に入る直前の値に保持される。なお、PID出力電圧VPID が素子インピーダンス検出期間T2 に入る直前の値に確実に保持されるように、サンプルホールド回路25の応答時間を考慮して、S/H制御信号の「ホールド」側への切り換え時期を設定する。サンプルホールド回路22は素子インピーダンス検出期間T2 に入る直前のモニタセル電位Vm を保持する。
【0051】
次いで、スイッチ273を、期間T3 の間、「オン」にして試験電流I0(−)をモニタセル1bに流す。この試験電流I0(−)の極性はモニタセル1bの起電力と逆極性であるから、モニタセル1bの素子インピーダンスに応じた電圧降下の分、モニタセル1bの電極123,124間電圧が、低下する方向にΔVm 変化する。以下、ΔVm を変化電圧ΔVm という。
【0052】
第3オペアンプ28の2つの入力は、この変化電圧ΔVm を伴うモニタセル電位Vm 、および、変化する直前のモニタセル電位Vm であり、前記変化電圧ΔVm が第3オペアンプ28の出力電圧として現れ、インピーダンス検出制御装置29のヒータ制御部291に取り込まれる。この変化電圧ΔVm は、モニタセル1bに流れる電流をI0(−)だけ変化させたときの、モニタセル1bにおける電圧降下の変化であるから、ΔVm /I0(−)より、モニタセル1bの前記素子インピーダンスが得られる。
【0053】
一方、第1オペアンプ212は、接続点Pの電位が一定となるように、すなわち、試験電流I0(−)を相殺するようにポンプセル1aを介して抵抗器214を流れる電流を増減することになる。すると、ポンプセル1aの素子インピーダンスに応じた電圧降下の変化の分、ポンプセル1aの+電極122の電位(以下、ポンプセル電位という)Vp が変化する。すなわち、オペアンプ212の出力電圧が変化する。この変化電圧ΔVp は、インピーダンス検出制御装置29のヒータ制御部291に取り込まれる。変化電圧ΔVp は、ポンプセル1aに流れる電流をI0(−)だけ変化させた時の、前記電圧降下の変化であるから、ポンプセル1aのインピーダンスの検出信号となる。
【0054】
ヒータ制御部291は、変化電圧ΔVm 、変化電圧ΔVp に基づいて、ヒータ13の通電量、例えば駆動デューティを調整する。なお、変化電圧ΔVm 、変化電圧ΔVp のうち、いずれか一方のみで通電制御を行っても勿論よい。ポンプセル1a、モニタセル1bは一体構造であり、いずれも、ガスセンサ1を代表する温度状態を示すからである。
【0055】
なお、試験電流I0(−)の供給はモニタセル1aの酸素ポンピング作用を伴い、チャンバー101内の酸素濃度を変化せしめる方向に作用するが、前記のごとく前記試験電流I0(−)を相殺する電流がポンプセル1aにも流れるから、これにより、チャンバー101内の酸素濃度の変化を相殺する。
【0056】
前記期間T3 に続いて、期間T4 の間、スイッチ273をオフするとともに、スイッチ274をオンし、それまでの試験電流I0(−)とは逆方向の試験電流I0(+)に切り換える。これにより、モニタセル電位Vm はそれまでとは逆方向に変化する。これは、試験電流I0(−)に基因したモニタセル1bの固体電解質層111における配向現象により起電力が影響を受けている状態から、チャンバー101と大気ダクト102との酸素濃度差に応じた適正な起電力を生成するまでの時間を短縮するためである。
【0057】
そして、期間T4 の後、スイッチ274を「オフ」にするとともに、再びスイッチ221を「オフ」とする。そして、所定のインターバルT5 後に、スイッチ221を「オン」に切り換えるとともに、サンプルホールド回路25をサンプル状態に切り換える。これにより、最初の状態に復する。以下、以上の制御がくり返される。
【0058】
このように、所定周期で素子インピーダンス検出期間T2 を設けることで、ガスセンサ1が適正な温度に維持された状態で酸素濃度が検出される。
【0059】
また、素子インピーダンス検出期間T2 中は、試験電流I0(−),I0(+)の供給の影響で、モニタセル電位Vm はチャンバー101内の酸素濃度を反映していない。また、ホールドされたモニタセル電位Vm に基づくPID出力電圧VPID が出力されていくことになるが、経過時間に応じて積分項が増大していくから、PID出力電圧VPID は素子インピーダンス検出期間T2 に入る直前の酸素濃度に応じたPID出力電圧VPID からどんどん離れていくことになる。
【0060】
本制御装置2では、酸素濃度検出装置3には、素子インピーダンス検出期間T2 に入る直前の酸素濃度に応じたPID出力電圧VPID を出力することになるから、異常なデータにより酸素濃度値を誤ることを防止することができる。ここで、素子インピーダンス検出期間T2 の実質的な長さは、試験電流I0(−)を供給している期間T3 であるが、これは変化電圧Vm ,Vp の応答時間や、インピーダンス検出制御装置29でのサンプリング時間を考慮しても数十〜数百μsec程度で十分であり、排気ガス中の酸素濃度の変化速度と比べればごく短い。したがって、素子インピーダンスの検出期間T2 中、ガス濃度信号がホールドされていても、実際にその間に変化するガス濃度の変化量はごく僅かである。これにより、ガス濃度の検出精度を向上することができる。
【0061】
(第2実施形態)
図4に本実施形態になるガスセンサの制御装置の構成を示す。本ガスセンサの制御装置は、基本的な構成は、第1実施形態と同じであり、第1実施形態と実質的に同じ作動をする部分には同じ番号を付して第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0062】
本ガスセンサの制御装置2Aは、酸素濃度検出信号としてのPID出力電圧VPID が直接に酸素濃度検出装置3Aに入力している。酸素濃度検出装置3Aは基本的には第1実施形態の酸素濃度検出装置と同一の構成であるが、相違点としては、インピーダンス検出制御装置29Aの禁止信号発生部292から禁止信号が入力している点である。酸素濃度検出装置3Aでは、禁止信号の入力期間中のPID出力電圧VPID の使用が禁止される。インピーダンス検出制御装置29Aもまた、S/H制御信号発生部に代えて禁止信号発生部293が設けられている点を除き、基本的に第1実施形態のインピーダンス検出制御装置と同じ構成を有する。
【0063】
図5は禁止信号の出力状態、スイッチ221,273,274の切り換え状態等、各部の作動状態を示すタイミングチャートである。禁止信号は、第1実施形態のS/H制御信号と同様に、応答時間等を考慮して、スイッチ221がオフするに先立ち、出力される。
【0064】
素子インピーダンスの検出時には電流が変化せしめられて、酸素濃度とは無関係にモニタセル電位Vm が変化し、その間は、PID出力電圧VPID は真の酸素濃度を表していない。本実施形態では、かかる真の酸素濃度を表していないPID出力電圧VPID は酸素濃度検出装置3Aで使用されない。これにより、誤判定や誤った制御状態となることを防止することができる。
【0065】
(第3実施形態)
図6に本実施形態になるガスセンサの制御装置の構成を示す。本ガスセンサの制御装置は、基本的な構成は、第1実施形態と同じであり、第1実施形態と実質的に同じ作動をする部分には同じ番号を付して第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0066】
本ガスセンサの制御装置2Bは、インピーダンス検出制御装置29Bが、S/H制御信号発生部292からサンプルホールド回路25にS/H制御信号を出力するとともに、禁止信号発生部293からは禁止信号が入力せしめてある。S/H制御信号および禁止信号は、第1、第2実施形態と同様に、サンプルホールド回路25のサンプル状態およびホールド状態の切り換え、およびPID出力電圧VPID の使用の許可および禁止の切り換えがなされる。
【0067】
図7はS/H制御信号、禁止信号の出力状態、スイッチ221,273,274の切り換え状態等、各部の作動状態を示すタイミングチャートである。
【0068】
禁止信号は、S/H制御信号が「サンプル」側に切り換わっても、これに対して所定の待ち時間の後、解除される。
【0069】
本実施形態の特徴を図8のタイミングチャートにより説明する。前半が酸素濃度が上昇するときのもので、後半が酸素濃度が下降するときのものである。本実施形態であればS/H制御信号、禁止信号とも図例のごとく出力され(本発明という)、第1実施形態であればS/H制御信号のみが出力される(比較例という)。ところで、酸素濃度検出装置がサンプルホールド回路25出力に基づいて酸素濃度を検出する場合、サンプルホールド回路25出力に対し、ローパスフィルタを通過させて、そのなまし効果により、ノイズ成分の除去を図るのが望ましいが、酸素濃度検出装置にかかるローパスフィルタを備えているものとして説明する。以下の説明においてローパスフィルタを通過させた後のサンプルホールド回路25出力をLPF出力という。なお、酸素濃度検出装置の、サンプルホールド回路25出力の入力回路の回路構成によって応答に遅延が生じる場合にも以下に説明する作用と同様の作用を発揮する。
【0070】
本発明、比較例のいずれもインピーダンス検出期間になると、サンプルホールド回路25がサンプル状態になることでサンプルホールド回路25出力は一定値を保持する。図中、破線は、インピーダンス検出がなされず、サンプルホールド回路25がサンプル状態であったとしたときのサンプルホールド回路25出力である。そしてS/H制御信号がサンプル状態側に切り換わると、LPF出力はその時定数で規定される速度で漸次、破線の値に収束していく。破線の値との差は酸素濃度の検出誤差となる。したがって、サンプルホールド回路25がサンプル状態に復した直後は、比較例では真値とは異なる酸素濃度検出信号が使用されることになる。これに対して、本発明では、禁止信号がS/H制御信号がサンプル状態側に切り換わり後、前記待ち時間だけ遅れて許可側に切り換わるから、真値とは異なる酸素濃度検出信号が使用されるのを回避することができる。ここで、待ち時間は、前記ローパスフィルタの時定数に応じて、したがってカットオフ周波数に応じて設定すればよい。カットオフ周波数が低いほど待ち時間を長くとることになる。
【0071】
なお、第1〜第3実施形態ではPID出力電圧VPID が酸素濃度検出信号として酸素濃度検出装置3,3Aに入力しているが、第1オペアンプ212の出力電圧を酸素濃度の検出信号としてもよい。これを図9に示す。図例のものは、基本構成は第1実施形態のものであり、酸素濃度検出装置3Cは、サンプルホールド回路25を介して入力する第1オペアンプ212の出力電圧に基づいて酸素濃度を検索することになる。
【0072】
(第4実施形態)
本実施形態は第1〜第3実施形態において素子インピーダンスの検出精度を高めて、さらにヒータ通電の適正化を図ったものである。本ガスセンサの制御装置は基本的な構成は、第1〜第3実施形態と同じである。なお、符号は説明の便宜のため、第1実施形態のものを用いるものとする。
【0073】
図10にインピーダンス制御装置29で実行される演算処理のフローを示す。ステップS101では、前記のごとく、素子インピーダンスの検出が実行され、ステップS102で、ガスセンサ1が昇温中か否かを判定する。これは、ガスセンサ1を活性温度域まで加熱する制御期間であれば、肯定判断され、当該期間が終了していれば、否定判断される。肯定判断されるとステップS103に進み、否定判断されると、ステップS104に進む。
【0074】
ステップS103では、変化量制限値ΔZをΔZ0 に設定し、ステップS104では、変化量制限値ΔZをΔZ0 よりも小さなΔZ1 に設定する。
【0075】
ステップS105では、ステップS101で得られた素子インピーダンスZと前回検出素子インピーダンスとの差が変化量制限値ΔZよりも小さいか否かを判定する。肯定判断されるとエンドに抜ける。否定判断されると、ステップS106に進む。
【0076】
ステップS106は変化量制限手段としての処理であり、素子インピーダンスZを、前回検出素子インピーダンス±ΔZに置き換える。今回検出素子インピーダンスが前回検出素子インピーダンスよりも大きければ(前回検出素子インピーダンス+ΔZ)であり、小さければ(前回検出素子インピーダンス−ΔZ)である。これにより、検出素子インピーダンスの変化量が±ΔZの範囲に抑えられることになる。
【0077】
モニタセル変化電圧ΔVm 、ポンプセル変化電圧ΔVp 、試験電流I0(−)へのノイズの重畳などにより素子インピーダンスの算出値が大きく変化しても、変化量が制限されることで、真値と大きく異なる検出素子インピーダンスに基づいてヒータ13の通電制御がなされるのが回避され、ガスセンサ1の温度がハンチングなど、異常な挙動をとることを防止することができる。これにより、酸素濃度の検出精度が向上する。
【0078】
また、ヒータ昇温以後には制限量をそれまでよりも小さな値に変えることで、ガスセンサ1の温度の収束性を高め、温度変動をより適切に防止することができる。しかも、ヒータ昇温時にはある程度大きな変化を許容することで、速やかに活性温度域まで昇温せしめることができる。
【0079】
なお、本実施形態では、素子インピーダンスの変化量の制限値を、所定の条件に基づき変更自在としているが、要求される仕様によっては必ずしもこれに限定されるものではなく、制限値を固定として制御負担を減じるのもよい。
【0080】
(第5実施形態)
第4実施形態では素子インピーダンスの変化量を制限することで、ヒータの通電制御を適正化したが、本実施形態では別の手段を用いてヒータ通電の適正化を図ったものである。本ガスセンサの制御装置は基本的な構成は、第1〜第3実施形態と同じである。なお、符号は説明の便宜のため、第1実施形態のものを用いるものとする。
【0081】
図11にインピーダンス検出制御装置29で実行される演算処理のフローを示す。ステップS201では、前記のごとく、素子インピーダンスの検出が実行され、次いで、ステップS202で、前記ステップS102と同様にガスセンサ1が昇温中か否かを判定する。肯定判断されるとステップS203に進み、否定判断されると、ステップS204に進む。
【0082】
ステップS203では、後述するステップS205のローパスフィルタ処理(LPF)のカットオフ周波数fc をfc0に設定し、ステップS204では、カットオフ周波数fc をfc0よりも低いfc1に設定する。
【0083】
ステップS205では、ステップS201で得られた素子インピーダンスZについてLPF処理を実行して、素子インピーダンスZを処理後の素子インピーダンスZに置き換える。このLPF処理におけるカットオフ周波数fc はステップS203若しくはステップS204で設定された値が用いられる。
【0084】
モニタセル変化電圧ΔVm 、ポンプセル変化電圧ΔVp 、試験電流I0(−)へのノイズの重畳などにより、ステップS201で得られた素子インピーダンスZに急激な変化を含んでいても、LPF処理を実行することで、真値と大きく異なる検出素子インピーダンスに基づいてヒータ13の通電制御がなされるのが回避され、ガスセンサ1の温度がハンチングなど、異常な挙動をとることを防止することができる。これにより、酸素濃度の検出精度が向上する。
【0085】
また、ヒータ昇温以後にはカットオフ周波数fc をそれまでよりも低い値に変えることで、ハンチングを回避してガスセンサ1の温度の収束性を高め、温度変動をより適切に防止することができる。しかも、ヒータ昇温時にはカットオフ周波数fc をある程度高くすることで、速やかに昇温せしめることができる。
【0086】
なお、本実施形態では、LPFのカットオフ周波数を、所定の条件に基づき変更自在としているが、要求される仕様によっては必ずしもこれに限定されるものではなく、カットオフ周波数を固定として制御負担を減じるのもよい。
【0087】
(第6実施形態)
本実施形態は実質的に第4実施形態と第5実施形態とを組み合わせて、さらにヒータ通電の適正化を図ったものである。
【0088】
図12にインピーダンス検出制御装置29で実行される演算処理のフローを示す。ステップS101〜S106では、前記のごとく、素子インピーダンスの検出が実行され、検出素子インピーダンスの変化量が±ΔZの範囲に抑えられる。
【0089】
そして、続くステップS107で、前記ステップS205と同様に、ステップS201で得られた素子インピーダンスZについてLPF演算処理を実行して、素子インピーダンスZを処理後の素子インピーダンスZに置き換える。このLPF演算処理におけるカットオフ周波数fc は固定である。
【0090】
これにより、真値と大きく異なる検出素子インピーダンスに基づいてヒータ13の通電制御がなされるのが、単に検出素子インピーダンスにLPF処理を行うものに比してより回避される。
【0091】
しかも、LPF処理に先立ち変化量制限がなされるので(ステップS106)、LPF処理がさらに効果的であり、カットオフ周波数fc をさほど低くする必要がないので、応答性を向上することができる。
【0092】
なお、本実施形態では、素子インピーダンスの変化量の制限値を、所定の条件に基づき変更自在としているが、要求される仕様によっては必ずしもこれに限定されるものではなく、制限値を固定として制御負担を減じるのもよい。また、カットオフ周波数fc を固定とするのではなく、第3実施形態のように、所定の条件に基づき変更自在とするのもよい。
【0093】
(第7実施形態)
第4〜第6実施形態では素子インピーダンスの変化量の制限やLPF処理により、ヒータの通電制御を適正化したが、本実施形態では別の手段を用いてヒータ通電の適正化を図ったものである。
【0094】
図13にインピーダンス検出制御装置29で実行される演算処理のフローを示す。ステップS301では、前記のごとく、素子インピーダンスの検出が実行される。
【0095】
ステップS302〜S304は平均化処理手段としての処理で、ステップS302で、今回検出された素子インピーダンスZと、(n−1)回前までの素子インピーダンスとのn個の素子インピーダンスを平均する(移動平均)。(n−1)回前までの素子インピーダンスは所定のバッファに格納されている。
【0096】
続くステップS303では、前記バッファから(n−1)回前の素子インピーダンスを消去し、代わりに、今回検出された素子インピーダンスを記憶する。ステップS304では、平均化された値を素子インピーダンスに置き換える。
【0097】
これにより、真値と大きく異なる検出素子インピーダンスに基づいてヒータ13の通電制御がなされるのが回避され、ガスセンサ1の温度がハンチングなど、異常な挙動をとることを防止することができる。また、ハンチングを回避してガスセンサ1の温度の収束性を高め、温度変動を適切に防止することができる。
【0098】
また、インピーダンスとその逆数であるアドミタンスとは実質的に等価な量であり、ガスセンサにおける電流変化に伴う電圧変化を検出してアドミタンスを検出し、ヒータ13の通電制御をアドミタンスに基づいて行う構成としてもよく、このものにおいても、前記各実施形態の特徴部分を適用することができる。
【0099】
なお、センサ構造は図例のものに限られない。図14(A)、図14(B)は本発明を適用し得るガスセンサの一例を示すもので、このガスセンサ1Aは、ジルコニア等の固体電解質体である固体電解質層151,152,153、多孔質アルミナ等の絶縁材料からなる多孔質拡散層154が板厚方向に積層する積層構造を有し、面方向に細長の全体形状が与えられている。
【0100】
多孔質拡散層154は固体電解質層151,152により挟まれており、これらをチャンバー壁としてチャンバー141が形成される。チャンバー141を囲む多孔質拡散層154から外部を流れる被測定ガスがチャンバー141内に導入される。
【0101】
チャンバー141位置で固体電解質層151の上下面には固体電解質層151を挟んで対向する1対の電極161,162が形成されており、固体電解質層151と電極161,162とでポンプセル1cが構成される。
【0102】
また、チャンバー141位置で固体電解質層152の上下面には固体電解質層152を挟んで対向する1対の電極163,164が形成されており、固体電解質層152と電極163,164とでモニタセル1dが構成される。電極164は固体電解質層152と固体電解質層153との層間に形成される。
【0103】
固体電解質層152の、チャンバー141側の面には、前記モニタセル1dの電極163とともに、電極165,166が形成してある。固体電解質層152と電極165,166とでセンサセル1eを構成する。電極165,166のうち、電極165は触媒活性を有し、ここでHC等の可燃性ガスが酸化される。一方、電極166は触媒不活性である。
【0104】
また、Pt等の線パターンにより形成されたヒータ13が埋設されたヒータユニット1fが、センサ本体14に接合されており、ヒータ13に通電することでセンサ本体14を加熱するようになっている。
【0105】
さて、本ガスセンサ1Aが適用される場合には、その制御装置は、ポンプセル1cに、電極162側から電流を供給し、チャンバー141内の酸素を外部に汲み出す。そして、供給電流を、モニタセルの起電力が一定となるように調整する。これにより、チャンバー141内を、酸素が希薄で酸素濃度が一定の状態にする。
【0106】
そして、前記センサセル1eの電極165,166は、同じチャンバー141の同じ雰囲気中に曝されていても、電極165は前記のごとく触媒活性を有するから、そのチャンバー141内に臨む表面では可燃性ガスの酸化に供する酸素の消費量が多く、電極165側では電極166側よりも、可燃性ガスの量に応じて酸素濃度が低くなる。したがって、電極165,166間に起電力が発生する。この起電力は、被測定ガス中の特定成分である可燃性ガスの濃度に応じて変化し、可燃性ガスの濃度検出信号ともなる。
【0107】
かかるガスセンサ1Aのポンプセル1d、モニタセル1eに対し、前記各実施形態の回路構成をとって、供給電流を変化させてこれに応じた電圧変化を検出することで素子インピーダンスを得、これに基づいてヒータ17の通電制御を行うことができる。したがって、前記各実施形態のごとく、素子インピーダンスの検出中はセンサセル1eからの可燃性ガス濃度の検出信号を素子インピーダンス検出期間の直前の値にホールドして、可燃性ガス濃度の検出用の装置に出力するのを禁止する等で、ガス濃度の検出精度を向上することができる。
【0108】
また、検出された素子インピーダンスに対し、変化量制限やLPF処理、移動平均処理を実行することで、ヒータ13を適正に制御することができる。
【0109】
あるいは、図15に示すガスセンサにも適用することができる。ガスセンサ1Bは、ジルコニア等の酸素イオン導電性の固体電解質体である固体電解質層181、緻密でガスシール性のアルミナ等のガス遮蔽層182、多孔質アルミナ等の多孔質拡散層183、アルミナ等の絶縁層184等が板厚方向に積層する積層構造を有し、面方向に細長の全体形状が与えられている。絶縁層184には固体電解質層181との対向面に溝184aが形成され、固体電解質層181と絶縁層184との間にチャンバー171が形成される。チャンバー171内には、ガス遮蔽層182および多孔質拡散層183を介して当該ガスセンサ1Bの周囲の排気ガスがチャンバー171内に導入される。
【0110】
チャンバー171位置で固体電解質層181の上下面には固体電解質層181を挟んで対向する1対の電極191,192が形成されており、固体電解質層181と電極191,192とでポンプセル1gが構成される。
【0111】
絶縁層184を挟んでチャンバー171とは反対側には、絶縁層184とヒータ基板185との層間にヒータ13が形成される。
【0112】
電極191,192間に、電極192側を正として電圧を印加することで、チャンバー171内の酸素を外部に汲み出し、電極191,192間に限界電流域の電流を流す。この限界電流は、被測定ガス中の酸素濃度に応じて変化し、酸素濃度の検出信号となる。
【0113】
かかるガスセンサ1Bにおいても、ポンプセル1gへの供給電流を変化させてこれに応じた電極191,192間の変化電圧を検出することで素子インピーダンスを得、これに基づいてヒータ13の通電制御を行うことができる。したがって、前記各実施形態のごとく、素子インピーダンスの検出期間中はガス濃度の検出信号をサンプルするのを禁止して、素子インピーダンス検出期間の直前の値にホールドする等で、ガス濃度の検出精度を向上することができる。また、検出された素子インピーダンスに対し、変化量制限やLPF処理、平均化処理を実行することで、ヒータ13を適正に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1のガスセンサの制御装置の構成図である。
【図2】前記ガスセンサの要部断面図である。
【図3】前記ガスセンサの制御装置の作動を示すタイミングチャートである。
【図4】本発明の第2のガスセンサの制御装置の構成図である。
【図5】前記ガスセンサの制御装置の作動を示すタイミングチャートである。
【図6】本発明の第3のガスセンサの制御装置の構成図である。
【図7】前記ガスセンサの制御装置の作動を示すタイミングチャートである。
【図8】前記ガスセンサの制御装置の作動を示す別のタイミングチャートである。
【図9】本発明の第1のガスセンサの制御装置の変形例の構成図である。
【図10】本発明の第4のガスセンサの制御装置で実行される処理内容を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第5のガスセンサの制御装置で実行される処理内容を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第6のガスセンサの制御装置で実行される処理内容を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第7のガスセンサの制御装置で実行される処理内容を示すフローチャートである。
【図14】(A)は前記ガスセンサの変形例の断面図であり、(B)は(A)におけるXIVB−XIVB線に沿う断面図である。
【図15】前記ガスセンサの別の変形例の断面図である。
【符号の説明】
1,1A,1B ガスセンサ
1a,1c,1g ポンプセル
1b,1d モニタセル
1e センサセル
13 ヒータ
101,141,171 チャンバー
111,112,151,152,153,181 固体電解質層(固体電解質体)
121,122,123,124,161,162,163,164,165,166,191,192 電極
2,2A,2B,2C 制御装置
25 サンプルホールド回路(ホールド手段)
271,272 定電流源
273,274 スイッチ
28 オペアンプ
29,29A,29B インピーダンス検出制御装置(変化量制限手段、ローパスフィルタ、平均化手段)
3,3A,3C 酸素濃度検出装置

Claims (9)

  1. 固体電解質体により電流または電圧から被測定ガス中の特定成分のガス濃度を検出するガスセンサを制御し、前記ガスセンサの電流変化に伴う電圧変化に基づいて前記ガスセンサの素子インピーダンスを検出するガスセンサの制御装置であって、
    ガス濃度検出信号をホールドするホールド手段を具備せしめ、
    素子インピーダンスの検出時には、ガス濃度検出信号を、素子インピーダンスの検出実施前のガス濃度検出信号にてホールドするようにしたことを特徴とするガスセンサの制御装置。
  2. 固体電解質体により電流または電圧から被測定ガス中の特定成分のガス濃度を検出するガスセンサを制御し、前記ガスセンサの電流変化に伴う電圧変化に基づいて前記ガスセンサの素子インピーダンスを検出するガスセンサの制御装置であって、
    素子インピーダンスの検出時には、ガス濃度検出信号の使用を禁止とする禁止信号を出力するようにしたことを特徴とするガスセンサの制御装置。
  3. 固体電解質体により電流または電圧から被測定ガス中の特定成分のガス濃度を検出するガスセンサを制御し、前記ガスセンサの電流変化に伴う電圧変化に基づいて前記ガスセンサの素子インピーダンスを検出するガスセンサの制御装置であって、
    ガス濃度検出信号をホールドするホールド手段を具備せしめ、
    素子インピーダンスの検出時には、ガス濃度検出信号を、素子インピーダンスの検出実施前のガス濃度検出信号にてホールドするとともに、ガス濃度検出信号の使用を禁止とする禁止信号を出力するようにしたことを特徴とするガスセンサの制御装置。
  4. 固体電解質体により電流または電圧から被測定ガス中の特定成分のガス濃度を検出するガスセンサを制御し、前記ガスセンサの電流変化に伴う電圧変化に基づいて前記ガスセンサの素子インピーダンスを検出するガスセンサの制御装置であって、
    検出された素子インピーダンスに対し、その変化量を制限する処理をする変化量制限手段を具備せしめたことを特徴とするガスセンサの制御装置。
  5. 請求項4記載のガスセンサの制御装置において、前記変化量の制限値を、所定の条件に基づき変更自在としたガスセンサの制御装置。
  6. 請求項4または5いずれか記載のガスセンサの制御装置において、前記変化量制限した素子インピーダンスに対して高側の周波数成分を除去する処理をするローパスフィルタを具備せしめたガスセンサの制御装置。
  7. 固体電解質体により電流または電圧から被測定ガス中の特定成分のガス濃度を検出するガスセンサを制御し、前記ガスセンサの電流変化に伴う電圧変化に基づいて前記ガスセンサの素子インピーダンスを検出するガスセンサの制御装置であって、
    検出された素子インピーダンスに対し、その高側の周波数成分を除去する処理をするローパスフィルタを具備せしめたことを特徴とするガスセンサの制御装置。
  8. 請求項7記載のガスセンサの制御装置において、前記ローパスフィルタのカットオフ周波数を、所定の条件に基づき変更自在としたガスセンサの制御装置。
  9. 固体電解質体により電流または電圧から被測定ガス中の特定成分のガス濃度を検出するガスセンサを制御し、前記ガスセンサの電流変化に伴う電圧変化に基づいて前記ガスセンサの素子インピーダンスを検出するガスセンサの制御装置であって、
    検出された素子インピーダンスに対し、これを平均化する処理をする平均化手段を具備せしめたことを特徴とするガスセンサの制御装置。
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