JP2004144210A - トロイダル型無段変速機の組立方法 - Google Patents

トロイダル型無段変速機の組立方法 Download PDF

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Abstract

【課題】変速比制御を安定して行なえる構造で、組立作業が面倒になる事なく、小型化を図る。
【解決手段】トラニオン22を支持する1対の支持板56a、56bを、ケーシングに固定する1対の支柱59、59に、ピン66、66により揺動自在に支持する。組立時には、上記各支柱59、59の支持環部61、61及び出力側ディスク17cの内周面に、円筒状の治具85を挿通する事により、上記出力側ディスク17cを上記各支柱59、59同士の間に支持する。この結果、組立時に上記出力側ディスク17cを長時間手で支持する必要がなくなり、組立作業が容易になる。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、自動車用の自動変速装置やポンプ等の各種産業機械の運転速度を調節する為の変速装置を構成する変速ユニットとして利用する、トロイダル型無段変速機の組立方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用変速機を構成する変速機の一種としてトロイダル型無段変速機が知られ、一部で実施されている。この様な既に一部で実施されているトロイダル型無段変速機は、入力部から出力部への動力の伝達を互いに並列に設けられた2系統に分けて行なう、所謂ダブルキャビティ型と呼ばれているものである。この様なトロイダル型無段変速機は従来から、特許文献1〜3等、多数の刊行物に記載されて周知であるが、その基本構造に就いて、図7〜9により説明する。
【0003】
この図7〜9に示したトロイダル型無段変速機は、請求項に記載した回転軸である入力回転軸1を有する。そして、この入力回転軸1の中間部基端寄り(図7〜8の左寄り)部分及び先端寄り(図7〜8の右寄り)部分の周囲に、それぞれ入力側ディスク2a、2bを支持している。これら両入力側ディスク2a、2bは上記入力回転軸1に対し、請求項に記載した軸方向片側面であってトロイド曲面である入力側面3、3同士を互いに対向させた状態で、それぞれボールスプライン4、4を介して支持している。従って上記両入力側ディスク2a、2bは、上記入力回転軸1の周囲に、この入力回転軸1の軸方向の変位自在に、且つ、この入力回転軸1と同期した回転自在に支持されている。
【0004】
又、上記入力回転軸1の基端部(図7〜8の左端部)と上記入力側ディスク2aの外側面との間に、転がり軸受5と、ローディングカム式の押圧装置6とを設けている。そして、この押圧装置6を構成するカム板7を、駆動軸8により回転駆動自在としている。これに対して、上記入力回転軸1の先端部(図7〜8の右端部)と上記別の入力側ディスク2bの外側面との間に、ローディングナット9と、大きな弾力を有する皿板ばね10とを設けている。
【0005】
上記入力回転軸1の中間部は、トロイダル型無段変速機を収納したケーシング11内に設置した隔壁部12に設けた通孔13を挿通している。この通孔13の内径側には円筒状の出力筒14を、1対の転がり軸受15、15により回転自在に支持しており、この出力筒14の中間部外周面に出力歯車16を固設している。又、この出力筒14の両端部で上記隔壁部12の両外側面から突出した部分に、請求項に記載した内側ディスクである1対の出力側ディスク17a、17bを、スプライン係合により、上記出力筒14と同期した回転自在に支持している。
【0006】
この状態で、請求項に記載した軸方向両側面であってそれぞれがトロイド曲面である、上記各出力側ディスク17a、17bの出力側面18、18が、前記各入力側面3、3に対向する。又、これら両出力側ディスク17a、17bの内周面のうちで上記出力筒14の端縁よりも突出した部分と上記入力回転軸1の中間部外周面との間に、それぞれニードル軸受19、19を設けている。そして、上記各出力側ディスク17a、17bに加わる荷重を支承しつつ、上記入力回転軸1に対するこれら各出力側ディスク17a、17bの回転及び軸方向変位を自在としている。
【0007】
又、上記入力回転軸1の周囲で上記入力、出力両側面3、18同士の間部分(キャビティ)に、それぞれ複数個(一般的には2個又は3個)ずつのパワーローラ20、20を配置している。これら各パワーローラ20、20はそれぞれ、上記入力、出力両側面3、18に当接する周面21、21を球状凸面とされたもので、請求項に記載した支持部材であるトラニオン22、22の側面部分に、支持軸23、23と、ラジアルニードル軸受24、24と、スラスト玉軸受25、25と、スラストニードル軸受26、26とにより、回転及び若干の揺動変位自在に支持されている。即ち、上記各支持軸23、23は基半部と先半部とが互いに偏心した偏心軸であり、このうちの基半部を上記各トラニオン22、22の中間部に、図示しない別のラジアルニードル軸受により、揺動変位自在に支持している。
【0008】
上記各パワーローラ20、20は、この様な支持軸23、23の先半部に、上記ラジアルニードル軸受24、24と上記スラスト玉軸受25、25とにより、回転自在に支持している。又、構成各部材の弾性変形に基づく、上記入力回転軸1の軸方向に関する上記各パワーローラ20、20の変位を、上記別のラジアルニードル軸受と上記各スラストニードル軸受26、26とにより、自在としている。
【0009】
更に、上記各トラニオン22、22は、両端部に設けた枢軸27、27を、前記ケーシング11内に設置した支持板28a、28bに、揺動並びに軸方向の変位自在に支持している。即ち、上記各トラニオン22、22は、図8の時計方向及び反時計方向の揺動変位自在に支持すると共に、油圧式のアクチュエータ29、29により、上記各枢軸27、27の軸方向(図7、9の上下方向、図8の表裏方向)に変位させられる様にしている。
【0010】
上述の様に構成するトロイダル型無段変速機の運転時には、前記駆動軸8により前記入力側ディスク2aを、前記押圧装置6を介して回転駆動する。この押圧装置6は、軸方向の推力を発生させつつ上記入力側ディスク2aを回転駆動するので、上記入力側ディスク2aを含む1対の入力側ディスク2a、2bが、前記各出力側ディスク17a、17bに向け押圧されつつ、互いに同期して回転する。この結果、上記各入力側ディスク2a、2bの回転が、上記各パワーローラ20、20を介して上記各出力側ディスク17a、17bに伝わり、前記出力筒14を介してこれら各出力側ディスク17a、17bと結合された、前記出力歯車16が回転する。
【0011】
運転時には上記押圧装置6が発生する推力により、上記各パワーローラ20、20の周面21、21と上記入力、出力両側面3、18との各当接部の面圧が確保される。又、この面圧は、上記駆動軸8から上記出力歯車16に伝達する動力(トルク)が大きくなる程高くなる。この為、トルク変化に関わらず、良好な伝達効率を得られる。又、伝達すべきトルクが0若しくは僅少の場合にも、前記皿板ばね10及び上記押圧装置6の内径側に設けた予圧ばね30により、上記各当接部の面圧を或る程度確保する。従って、上記各当接部でのトルク伝達は、起動直後から、過大な滑りを伴う事なく、円滑に行なわれる。
【0012】
上記駆動軸8と上記出力歯車16との間の変速比を変える場合には、図示しないアクチュエータにより上記各トラニオン22、22を、図7、9の上下方向、図8の表裏方向に変位させる。この場合、図8の上半部のトラニオン22、22と下半部のトラニオン22、22とは、互いに逆方向に、同じ量だけ変位させる。この変位に伴って、上記各パワーローラ20、20の周面21、21と上記入力、出力両側面3、18との当接部の接線方向に加わる力の向きが変化する。そして、この接線方向の力によって、上記各トラニオン22、22が、それぞれの両端部に設けた枢軸27、27を中心として揺動する。
【0013】
この揺動に伴って、上記各パワーローラ20、20の周面21、21と上記入力、出力両側面3、18との当接部の、これら両側面3、18の径方向に関する位置が変化する。これら各当接部が、上記入力側面3の径方向外側に、上記出力側面18の径方向内側に、それぞれ変化する程、上記変速比は増速側に変化する。これに対して、図8に示す様に、上記各当接部が、上記入力側面3の径方向内側に、上記出力側面18の径方向外側に、それぞれ変化する程、上記変速比は減速側に変化する。
【0014】
更に、上述の様に構成され作用するトロイダル型無段変速機を実際の自動車用の無段変速機に組み込む場合、遊星歯車機構と組み合わせて無段変速装置を構成する事が、従来から提案されている。図10は、この様な従来から提案されている無段変速装置のうち、特許文献4に記載されたものを示している。この無段変速装置は、所謂ギヤード・ニュートラルと呼ばれ、入力軸を一方向に回転させたまま、出力軸の回転状態を、停止状態を挟んで正転、逆転に切り換えられるもので、トロイダル型無段変速機31と遊星歯車式変速ユニット32とを組み合わせて成る。このうちのトロイダル型無段変速機31は、入力回転軸1と、1対の入力側ディスク2a、2bと、出力側ディスク17cと、複数のパワーローラ20、20とを備える。図示の例では、この出力側ディスク17cは、1対の出力側ディスクの外側面同士を突き合わせて一体とした如き構造を有する。
【0015】
又、上記遊星歯車式変速ユニット32は、上記入力回転軸1及び一方(図10の右方)の入力側ディスク2bに結合固定されたキャリア33を備える。このキャリア33の径方向中間部に、その両端部にそれぞれ遊星歯車素子34a、34bを固設した第一の伝達軸35を、回転自在に支持している。又、上記キャリア33を挟んで上記入力回転軸1と反対側に、その両端部に太陽歯車36a、36bを固設した第二の伝達軸37を、上記入力回転軸1と同心に、回転自在に支持している。そして、上記各遊星歯車素子34a、34bと、上記出力側ディスク17cにその基端部(図10の左端部)を結合した中空回転軸38の先端部(図10の右端部)に固設した太陽歯車39又は上記第二の伝達軸37の一端部(図10の左端部)に固設した太陽歯車36aとを、それぞれ噛合させている。又、一方(図10の左方)の遊星歯車素子34aを、別の遊星歯車素子40を介して、上記キャリア33の周囲に回転自在に設けたリング歯車41に噛合させている。
【0016】
一方、上記第二の伝達軸37の他端部(図10の右端部)に固設した太陽歯車36bの周囲に設けた第二のキャリア42に遊星歯車素子43a、43bを、回転自在に支持している。尚、この第二のキャリア42は、上記入力回転軸1及び第二の伝達軸37と同心に配置された、出力軸44の基端部(図10の左端部)に固設されている。又、上記各遊星歯車素子43a、43bは、互いに噛合すると共に、一方の遊星歯車素子43aが上記太陽歯車36bに、他方の遊星歯車素子43bが、上記第二のキャリア42の周囲に回転自在に設けた第二のリング歯車45に、それぞれ噛合している。又、上記リング歯車41と上記第二のキャリア42とを低速用クラッチ46により係脱自在とすると共に、上記第二のリング歯車45とハウジング等の固定の部分とを、高速用クラッチ47により係脱自在としている。
【0017】
上述の様な、図10に示した無段変速装置の場合、上記低速用クラッチ46を接続すると共に上記高速用クラッチ47の接続を断った、所謂低速モード状態では、上記入力回転軸1の動力が上記リング歯車41を介して上記出力軸44に伝えられる。そして、前記トロイダル型無段変速機31の変速比を変える事により、無段変速装置全体としての速度比、即ち、上記入力回転軸1と上記出力軸44との間の速度比が変化する。この際のトロイダル型無段変速機31の変速比(CVU速度比)と無段変速装置全体としての速度比(T/M速度比)との関係は、図11の線分αに示す様になる。この様な低速モード状態では、無段変速装置全体としての変速比は、無限大に変化する。即ち、上記トロイダル型無段変速機31の変速比を調節する事により、上記入力回転軸1を一方向に回転させた状態のまま上記出力軸44の回転状態を、停止状態を挟んで、正転、逆転の変換自在となる。
【0018】
これに対して、上記低速用クラッチ46の接続を断ち、上記高速用クラッチ47を接続した、所謂高速モード状態では、上記入力回転軸1の動力が上記第一、第二の伝達軸35、37を介して上記出力軸44に伝えられる。そして、上記トロイダル型無段変速機31の変速比を変える事により、無段変速装置全体としての速度比が変化する。この際のトロイダル型無段変速機31の変速比と無段変速装置全体としての速度比との関係は、図11の線分βに示す様になる。この場合には、上記トロイダル型無段変速機31の変速比を大きくする程、無段変速装置全体としての速度比が大きくなる。
【0019】
又、特許文献5には、図12に示す様に、トラニオン22を支持する為の支持板28a、28bを、ケーシング11に固定された支持ポスト部48、48に、ピン49、49により支持する構造が記載されている。即ち、入力側ディスク2a及び出力側ディスク17aの中心軸に平行に設けられた上記ピン49、49により、上記支持板28a、28bを、上記トラニオン22の両端部に設けた枢軸27、27(図9参照)の軸方向に、揺動自在に支持している。この様に支持板28a、28bをピン49、49により揺動自在に支持する構造の場合には、これら各支持板28a、28bに支持された上記トラニオン22の変位を円滑にして、このトラニオン22の変位に基づく変速比制御の安定性確保を図れる。
【0020】
【特許文献1】
特開平2−283949号公報
【特許文献2】
特開平8−4869号公報
【特許文献3】
特開平8−61453号公報
【特許文献4】
特開2000−220719号公報
【特許文献5】
特開平9−317837号公報
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
前述の図10に示した様な、一体型の出力側ディスク17cに中空回転軸38を回転力の伝達を可能に結合する事により、この中空回転軸38から動力の取り出しを自在とした構造に、上述の特許文献5に記載された様な、支持板28a、28bをピン49、49により支持する構造を採用する場合、組立作業が面倒になる可能性がある。即ち、上記一体型の出力側ディスク17cに中空回転軸38を結合する構造の場合、この一体型の出力側ディスク17cを入力回転軸1の中間部周囲に、この出力側ディスク17cを軸方向両側から挟む位置に設けた1対の支柱59、59(本発明の実施の形態の1例を示す図1参照)により、回転自在に支持する事が考えられる。そして、この様な構造の場合、この出力側ディスク17cと上記中空回転軸38との結合作業を、予めこの出力側ディスク17cを上記支柱59、59同士の間の所定位置に配置した状態で行なう必要があると考えられる。
【0022】
この様に出力側ディスク17cを所定位置に配置すべく、この出力側ディスク17cを手で支持しつつ、この出力側ディスク17cと上記中空回転軸38との結合作業を行なうと、この出力側ディスク17cと中空回転軸38との中心同士の位置合わせが面倒になったり、この出力側ディスク17cの出力側面18、18と他の部材等とが接触して、この出力側面18、18に損傷が生じ易くなる可能性がある。しかも、上述の様な支持板28a、28bをピン49、49により支持する構造の場合、上述の様な出力側ディスク17cと上記中空回転軸38との結合作業をする前に、この出力側ディスク17cを所定位置に支持した状態で、上記支柱59、59に上記支持板28a、28bを取り付ける必要がある。この理由は、上記出力側ディスク17cと上記中空回転軸38との結合作業を先に行なうと、この出力側ディスク17cの外径寄り部分や入力側ディスク2bの外径寄り部分が、上記支柱59の一部で上記ピン49、49(図1では66)を挿入すべき部分に近接対向し、このピン49、49を所定の位置に取り付けられなくなる為である。
【0023】
この為、上述した様に、上記出力側ディスク17cと上記中空回転軸38との結合作業を、予めこの出力側ディスク17cを上記支柱59、59同士の間の所定位置に配置した状態で行なう必要がある。この様な状態で行なう結合作業は、上記出力側ディスク17cを支持する者と、この出力側ディスク17cに上記中空回転軸38を結合する者との、少なくとも2人以上の作業者を必要とすると考えられる。しかも、この様な作業の際には、各作業者の手が互いに邪魔になる可能性もあり、作業効率の向上や製造コストの低減の面からは好ましくない。
本発明のトロイダル型無段変速機の組立方法は、この様な事情に鑑みて発明したものである。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明のトロイダル型無段変速機の組立方法により組み立てられるトロイダル型無段変速機は、前述した従来から知られているトロイダル型無段変速機と同様に、ケーシングと、回転軸と、1対の外側ディスクと、内側ディスクと、複数個の支持部材と、1対の支持板と、複数のパワーローラと、中空回転軸とを備える。
このうちの回転軸は、上記ケーシング内に回転自在に支持されている。
又、上記各外側ディスクは、それぞれが断面円弧形である互いの軸方向片側面同士を対向させた状態で上記回転軸の軸方向2個所位置に、この回転軸と同期した回転を自在として支持されている。
又、上記内側ディスクは、上記回転軸の中間部周囲に、断面円弧形である軸方向両側面を上記各外側ディスクの軸方向片側面に対向させた状態で、上記回転軸に対する相対回転を自在に支持されている。
又、上記各支持部材は、軸方向に関して、上記内側ディスクの軸方向両側面と各外側ディスクの軸方向片側面との間位置にそれぞれ複数個ずつ、上記回転軸に対し捩れの位置にある枢軸を中心とする揺動変位を自在に設けられている。
又、上記各支持板は、上記各支持部材の両端部に設けられた上記各枢軸を支持する為のものである。
又、上記各パワーローラは、上記各支持部材に回転自在に支持され、球状凸面としたそれぞれの周面を、上記内側ディスクの軸方向両側面と各外側ディスクの軸方向片側面とに当接させている。
更に、上記中空回転軸は、上記内側ディスクとの間での回転力の伝達を可能に結合した状態で上記回転軸の周囲に配置され、その中間部外周面に上記各外側ディスクのうちの一方の外側ディスクを回転自在に支持している。
【0025】
又、本発明の組立方法により組み立てられるトロイダル型無段変速機は、上記内側ディスクの軸方向両側面と上記各外側ディスクの軸方向片側面との間に、それぞれの中間部に支持環部を有する1対の支柱を、この支持環部に上記回転軸を挿通した状態で配置する。又、これと共に、これら両支柱の両端部近傍部分に上記各支持板を、上記各ディスクの中心軸に平行に設けられたピンにより揺動自在に支持している。
【0026】
そして、本発明のトロイダル型無段変速機の組立方法は、上記内側ディスクの中心孔を挿通自在な、筒状若しくは棒状の治具によりこの内側ディスクを所定位置に支持すると共に、上記各支柱に上記1対の支持板を組み付けた後、上記中空回転軸を上記内側ディスク内に挿入しつつ、上記治具を上記内側ディスクの中心孔から取り出す工程を有する。
【0027】
【作用】
上述の様な本発明のトロイダル型無段変速機の組立方法によれば、内側ディスクに結合した中空回転軸から動力を取り出す構造で、しかも、支持部材を支持する支持板を1対の支柱にピンにより揺動自在に支持する構造の場合でも、組立作業を容易に行なえる。即ち、筒状若しくは棒状の治具により内側ディスクを所定位置に支持した状態で、内側ディスクと中空回転軸との結合を行なえる。この為、この結合作業時に、上記内側ディスクを手で支持する必要がなくなり、この内側ディスクと中空回転軸との中心同士の位置合わせが容易になる。又、この内側ディスクの軸方向両側面と他の部材等とが接触して、この軸方向両側面を損傷する事も防止できる。しかも、この組立作業を1人で行なえる為、組立効率の向上に基づくトロイダル型無段変速機の製造コストの低減を図れる。
【0028】
【発明の実施の形態】
図1〜2は、本発明の組立方法により組み立てられるトロイダル型無段変速機31a及びこのトロイダル型無段変速機31aを組み込んだ無段変速装置の1例を示している。尚、このうちの図1は、上記トロイダル型無段変機31a部分を中心に、縦横比等の寸法関係を、実際の寸法関係で示している。本例の無段変速装置は、上記トロイダル型無段変速機31aと、第一〜第三の遊星歯車式変速ユニット50〜52とを組み合わせて成る。そして、このうちの第一、第二の遊星歯車式変速ユニット50、51を、上記トロイダル型無段変速機31aを構成する入力回転軸1aと、伝達軸53との間に掛け渡す状態で、上記第三の遊星歯車式変速ユニット52を、この伝達軸53と出力軸54との間に掛け渡す状態で、それぞれ設けている。
【0029】
又、上記トロイダル型無段変速機31aは、それぞれが外側ディスクである1対の入力側ディスク2a、2bと、内側ディスクである一体型の出力側ディスク17cと、複数個のトラニオン22、22と、複数個のパワーローラ20、20(図8〜9参照)とを備える。そして、上記1対の入力側ディスク2a、2bは、上記入力回転軸1aを介して互いに同心に、且つ、同期した回転を自在として結合されている。又、上記出力側ディスク17cは、上記両入力側ディスク2a、2b同士の間に、これら両入力側ディスク2a、2bと同心に、且つ、これら両入力側ディスク2a、2bに対する相対回転を自在として支持されている。更に、上記各パワーローラ20、20は、上記出力側ディスク17cの軸方向両側面(出力側面)18、18と上記両入力側ディスク2a、2bの軸方向片側面(入力側面)3、3との間に、それぞれ複数個(本例の場合は2個)ずつ挟持されている。そして、これら両入力側ディスク2a、2bの回転に伴って回転しつつ、これら両入力側ディスク2a、2bから上記出力側ディスク17cに動力を伝達する。
【0030】
又、本例の場合、図1に詳示する様に、上記出力側ディスク17cの軸方向両端部を、1対のラジアルアンギュラ玉軸受55a、55bにより、回転自在に支持している。この為に本例の場合には、上記各トラニオン22、22の両端部を支持する為の1対の支持板56a、56bを支持する為にケーシング11の内側に、アクチュエータボディー57及び後述する連結板58を介して1対の支柱59、59を設けている。これら各支柱59、59はそれぞれ、上記入力回転軸1aを挟んで径方向反対側に設けた1対の支持ポスト部60、60を、円環状の支持環部61、61により連結して成る。上記入力回転軸1aは、この支持環部61、61の内側を緩く挿通している。
【0031】
又、上記各支柱59、59の一端部(図1の下端部)は、上記アクチュエータボディー57の上面に、それぞれボルト62、62により結合固定している。この為に上記アクチュエータボディー57の上面には、上記各支柱59、59の下端部を内嵌する為の凹部63、63を形成している。又、これら各支柱59、59の下端部には、下端面に開口するねじ孔を形成している。これら各支柱59、59は、それぞれの下端部を上記各凹部63、63に内嵌した状態で、上記アクチュエータボディー57を下方から挿通して上記各ねじ孔に螺合し、更に緊締した上記各ボルト62、62により、上記アクチュエータボディー57の上面の所定位置に固定している。
【0032】
これに対して上記各支柱59、59の他端部(図1の上端部)は、ケーシング11に固定された前記連結板58の下面に、結合固定している。この為にこの連結板58の下面には、上記各支柱59、59の上端部を内嵌する為の凹部64、64を形成している。又、これら各支柱59、59の上端部には、上記凹部64、64にがたつきなく内嵌自在な凸部65、65を形成している。そして、これら各凸部65、65を上記各凹部64、64に内嵌した状態で、上記連結板58の下面に上記各支柱59、59を固定している。
【0033】
これら1対の支柱59、59は、上述の様に上記アクチュエータボディー57の上面と上記連結板58の下面との間に掛け渡す様に、連結固定している。この状態で、上記各支柱59、59の両端部近傍に設けた、前記各支持ポスト部60、60のうち、下側の支持ポスト部60、60は上記アクチュエータボディー57の上面の直上位置に存在する。そして、上記両支柱59、59の支持ポスト部60、60に、前記1対の支持板56a、56bのうちの下側の支持板56bを、前記入力側、出力側両ディスク2a、2b、17cの中心軸に平行に設けられたピン66、66により、前記トラニオン22、22に設けた枢軸27、27(図9参照)の軸方向(図1の上下方向)に揺動自在に支持している。
【0034】
又、同じく上側の支持ポスト部60、60は上記連結板58の下面の直下位置に存在する。そして、上記両支柱59、59の支持ポスト部60、60に、前記1対の支持板56a、56bのうちの上側の支持板56aを、同じくピン66、66により、上記トラニオン22、22に設けた枢軸27、27の軸方向に揺動自在に支持している。
【0035】
この様にして上記ケーシング11内の所定位置に固定した1対の支柱59、59の中間部に設けられ、それぞれが前記入力側ディスク2a、2bと前記出力側ディスク17cとの入力側、出力側両面3、18同士の間に存在する各キャビティ(空間)の中央部に存在する前記各支持環部61、61により、上記出力側ディスク17cを、回転自在に支持している。この為に、これら各支持環部61、61と、この出力側ディスク17cをその基端寄り部分(図1の左端寄り部分)に回転力の伝達を可能にスプライン係合した中空回転軸67との間に、前記各ラジアルアンギュラ玉軸受55a、55bを設けている。
【0036】
図示の例の場合、これら各ラジアルアンギュラ玉軸受55a、55bを構成する内輪68、68を、上記中空回転軸67にがたつきなく外嵌すると共に、同じく外輪69、69を、上記各支持環部61、61の端部にがたつきなく内嵌固定している。これら各ラジアルアンギュラ玉軸受55a、55bは、上記各外輪69、69の軸方向片端面(互いの反対側端面)を上記各支持環部61、61の端部にそれぞれ当接させる事により、同じく各内輪68、68の軸方向片端面(互いに対向する端面)を上記出力側ディスク17cの軸方向両端面にそれぞれ当接させる事により、正面組み合わせ(DF)型の接触角を付与している。又、上記中空回転軸67の先端部に係止した止め輪70により、上記中空回転軸67の軸方向変位を阻止している。
【0037】
又、図示の無段変速装置の場合、前記入力回転軸1aの基端部(図1の左端部)を図示しないエンジンのクランクシャフトに、トーションダンパ71を介して接続自在とし、このクランクシャフトにより上記入力回転軸1aを回転駆動する様にしている。又、前記両入力側ディスク2a、2bの入力側面3、3及び上記出力側ディスク17cの出力側面18、18と前記各パワーローラ20、20の周面21、21(図8〜9参照)との転がり接触部(トラクション部)に適正な面圧を付与する為の押圧装置6aとして、油圧式のものを使用している。又、ギヤポンプ等の油圧源により、この押圧装置6a及び変速の為に前記各トラニオン22、22を変位させる為の油圧式のアクチュエータ29、29(図9参照)、並びに後述する低速用クラッチ46及び高速用クラッチ47を断接させる為の油圧シリンダに、圧油を供給自在としている。
【0038】
又、前述の様に、上記出力側ディスク17cに中空回転軸67の基端寄り部(図1の左端寄り部)をスプライン係合させている。そして、この中空回転軸67を、エンジンから遠い側(図1〜2の右側)の入力側ディスク2bの内側に挿通して、上記出力側ディスク17cの回転力を取り出し(伝達)自在としている。更に、上記中空回転軸67の先端部(図1〜2の右端部)で上記入力側ディスク2bの外側面から突出した部分に、前記第一の遊星歯車式変速ユニット50を構成する為の、第一の太陽歯車72を固設している。
【0039】
一方、上記入力回転軸1aの先端部(図1〜2の右端部)で上記中空回転軸67から突出した部分と上記入力側ディスク2bとの間に、第一のキャリア73を掛け渡す様に設けて、この入力側ディスク2bと上記入力回転軸1aとが、互いに同期して回転する様にしている。そして、上記第一のキャリア73の軸方向両側面の円周方向等間隔位置(一般的には3〜4個所位置)に、それぞれがダブルピニオン型である前記第一、第二の遊星歯車式変速ユニット50、51を構成する為の遊星歯車74〜76を、回転自在に支持している。更に、上記第一のキャリア73の片半部(図1〜2の右半部)周囲に第一のリング歯車77を、回転自在に支持している。
【0040】
上記各遊星歯車74〜76のうち、前記トロイダル型無段変速機31a寄り(図1〜2の左寄り)で上記第一のキャリア73の径方向に関して内側に設けた遊星歯車74は、上記第一の太陽歯車72に噛合している。又、上記トロイダル型無段変速機31aから遠い側(図1〜2の右側)で上記第一のキャリア73の径方向に関して内側に設けた遊星歯車75は、前記伝達軸53の基端部(図1〜2の左端部)に固設した第二の太陽歯車78に噛合している。又、上記第一のキャリア73の径方向に関して外側に設けた、残りの遊星歯車76は、上記内側に設けた遊星歯車74、75よりも軸方向寸法を大きくして、これら両遊星歯車74、75に噛合させている。更に、上記残りの遊星歯車76と上記第一のリング歯車77とを噛合させている。尚、径方向外寄りの遊星歯車を、第一、第二の遊星歯車ユニット50、51同士の間で互いに独立させる代りに、幅広のリング歯車をこれら両遊星歯車に噛合させる構造も、採用可能である。
【0041】
一方、前記第三の遊星歯車式変速ユニット52を構成する為の第二のキャリア79を、前記出力軸54の基端部(図2の左端部)に結合固定している。そして、この第二のキャリア79と上記第一のリング歯車77とを、低速用クラッチ46を介して結合している。又、上記伝達軸53の先端寄り(図2の右端寄り)部分に第三の太陽歯車80を固設している。又、この第三の太陽歯車80の周囲に、第二のリング歯車81を配置し、この第二のリング歯車81と前記ケーシング11等の固定の部分との間に、高速用クラッチ47を設けている。更に、上記第二のリング歯車81と上記第三の太陽歯車80との間に配置した復数組の遊星歯車82、83を、上記第二のキャリア79に回転自在に支持している。これら各遊星歯車82、83は、互いに噛合すると共に、上記第二のキャリア79の径方向に関して内側に設けた遊星歯車82を上記第三の太陽歯車80に、同じく外側に設けた遊星歯車83を上記第二のリング歯車81に、それぞれ噛合している。
【0042】
上述の様に構成する本例の無段変速装置の場合、入力回転軸1aから1対の入力側ディスク2a、2b、各パワーローラ20、20を介して一体型の出力側ディスク17cに伝わった動力は、前記中空回転軸67を通じて取り出される。そして、上記低速用クラッチ46を接続し、上記高速用クラッチ47の接続を断った状態では、前記トロイダル型無段変速機31aの変速比を変える事により、上記入力回転軸1aの回転速度を一定にしたまま、前記出力軸54の回転速度を、停止状態を挟んで正転、逆転に変換自在となる。
【0043】
即ち、この状態では、上記入力回転軸1aと共に正方向に回転する第一のキャリア73と、上記中空回転軸67と共に逆方向に回転する前記第一の太陽歯車72との差動成分が、前記第一のリング歯車77から、前記低速用クラッチ46、前記第二のキャリア79を介して、上記出力軸54に伝達される。この状態では、前述の図10に示した無段変速装置と同様に、上記トロイダル型無段変速機31aの変速比を所定値にする事で上記出力軸54を停止させられる他、このトロイダル型無段変速機31aの変速比を上記所定値から増速側に変化させる事により上記出力軸54を、車両を後退させる方向に回転させられる。これに対して、上記トロイダル型無段変速機31aの変速比を上記所定値から減速側に変化させる事により上記出力軸54を、車両を前進させる方向に回転させられる。
【0044】
更に、上記低速用クラッチ46の接続を断ち、上記高速用クラッチ47を接続した状態では、上記出力軸54を、車両を前進させる方向に回転させる。即ち、この状態では、上記入力回転軸1aと共に正方向に回転する第一のキャリア73と、上記中空回転軸67と共にこの第一のキャリア73と逆方向に回転する前記第一の太陽歯車72との差動成分に応じて回転する、前記第一の遊星歯車式変速ユニット50の遊星歯車74の回転が、別の遊星歯車76を介して、前記第二の遊星歯車式変速ユニット51の遊星歯車75に伝わり、前記第二の太陽歯車78を介して、前記伝達軸53を回転させる。そして、この伝達軸53の先端部に設けた第三の太陽歯車80と、この第三の太陽歯車80と共に前記第三の遊星歯車式変速ユニット52を構成する第二のリング歯車81及び遊星歯車82、83との噛合に基づき、前記第二のキャリア79及びこの第二のキャリア79に結合した上記出力軸54を、前進方向に回転させる。この状態では、上記トロイダル型無段変速機31aの変速比を増速側に変化させる程、上記出力軸54の回転速度を速くできる。
【0045】
上述の様に構成し作用する、本例の無段変速装置の組立時に、上記トロイダル型無段変速機31aを、前記ケーシング11内に収納するのに先立って、予めこのケーシング11外で組み立てる。この際に実施する本発明のトロイダル型無段変速機31aの組立手順に就いて、図3〜6を参照しつつ説明する。尚、これら図3〜6の斜視図は、図1と同方向に切断した状態で示している。
【0046】
先ず、第一工程では、1対の支持板56a、56bのうちの一方(図3〜6の下方、図1の上方)の支持板56aを、図3に示す様に、1対の支柱59、59の一方の端部近傍部分に設けた支持ポスト部60、60に、ピン66、66により支持する。
そして、第二工程として、同図に示す様に、上記一方の支持板56aに、各トラニオン22、22に設けた一方の枢軸27、27(図9参照)を支持する。即ち、パワーローラ20、20やアクチュエータ29、29(図9参照)を構成するロッド84等を予め組み付けたトラニオン22、22を、上記一方の支持板56aに取り付ける。
【0047】
次いで、第三工程として、図4に示す様に、上記各支柱59、59の支持環部61、61及び出力側ディスク17cの中心孔86に円筒状の治具85を挿通する事により、上記出力側ディスク17cを上記各支柱59、59同士の間に支持する。即ち、上記各支柱59、59同士の間に上記出力側ディスク17cを、この出力側ディスク17cの中心孔86と上記各支持環部61、61とを同心に配置した状態で、前記中空回転軸67とほぼ同等の外径を有する上記治具85を、上記中心孔86及び上記各支持環部61、61に挿入する。尚、図示は省略するが、上記各支持環部61、61の端部内周面には、上記治具86を挿入するのに先立って、ラジアルアンギュラ玉軸受55a、55b(図1参照)を組み付けておく。
【0048】
そして、第四工程として、同図に示す様に、1対の支持板56a、56bのうちの他方(図3〜6の上方、図2の下方)の支持板56bに、上記各トラニオン22、22に設けた他方の枢軸27、27(図9参照)を支持する。又、これと共に、この他方の支持板56bを、上記各支柱59、59の他方の端部近傍部分に設けた支持ポスト部60、60に、ピン66、66により支持する。
【0049】
次いで、第五工程として、図5に示す様に、1対の入力側ディスク2a、2bのうちの一方(第一の遊星歯車式変速ユニット50側で、図1、5の右方)の入力側ディスク2bを、上記中空回転軸67の中間部に予め支持する。そして、この状態で、この中空回転軸67により上記治具85を軸方向他方(図5の左方)に押し出しつつ、この中空回転軸67を上記各支柱59、59の支持環部61、61及び上記出力側ディスク17cの中心孔86に挿通する。そして、この様に中空回転軸67を挿通しつつ、この中空回転軸67と上記出力側ディスク17cとをスプライン係合させると共に、上記治具85を上記出力側ディスク17cの中心孔86から取り出す。次いで、図示は省略するが、上記中空回転軸67の先端寄り部に止め輪70(図1参照)を係止する事により、この中空回転軸67を上記出力側ディスク17cに分離不能(軸方向に変位不能)に結合する。
【0050】
そして、図6に示す様に、第一、第二の遊星歯車式変速ユニット50、51の主要部(第一のキャリア73、遊星歯車74〜76)を組み付けた入力回転軸1を、上記中空回転軸67に挿入すると共に、この入力回転軸1の基端寄り部分(図1の左端寄り部分)に、上記1対の入力側ディスク2a、2bのうちの他方(第一の遊星歯車式変速ユニット50の反対側で、図1、6の左方)の入力側ディスク2aを、押圧装置6a(何れも図6には省略、図1参照)と共に組み付ける。そして、この様にして組み立てられた無段変速装置の主要部となるモジュール87を、ケーシング11内の所定の位置に固定する。この状態で、前記各支持板56a、56bが、上記各支柱59、59を介して上記ケーシング11内に揺動自在に支持される(第六工程)。
尚、前記第三の遊星歯車式変速ユニット52(図1参照)等、上記モジュール87に含まれない構成部分は、このモジュール87を上記ケーシング11内に組み付けた後、このケーシング11内に組み付ける。
【0051】
上述の様に組み立てる本例のトロイダル型無段変速機31aは、出力側ディスク17cに結合した中空回転軸67から動力を取り出す構造で、しかも、トラニオン22を支持する支持板56a、56bを1対の支柱59、59にピン66、66により揺動自在に支持する構造にも拘らず、組立作業を容易に行なえる。即ち、円筒状の治具85により上記出力側ディスク17cを所定位置に支持した状態で、出力側ディスク17cと上記中空回転軸67との結合、更には、これに先立つ、上記各支持板56a、56bと各支柱59、59との組み付けを行なえる。この為、これらの作業時に、上記出力側ディスク17cを手で支持する必要がなくなり、これら出力側ディスク17cと中空回転軸67との中心同士の位置合わせが容易になる。又、この出力側ディスク17cの出力側面18、18と他の部材等とが接触して、この出力側面18、18に損傷が生じる事も防止できる。しかも、これらの組立作業を1人で行なう事もできる。又、上記治具85は、安価で何度も使用できる。この為、製造コストの大幅な低減を図れる。
【0052】
尚、本例の場合、上記出力側ディスク17cに回転力の伝達を可能に結合した中空回転軸67を回転自在に支持する玉軸受を、ラジアルアンギュラ玉軸受55a、55bとしているが、この様なラジアル玉軸受に限定するものではない。必要に応じて、深溝型の玉軸受や4点接触式の玉軸受等、各種玉軸受を使用できる。又、治具85に関しても、上記出力側ディスク17cの径方向に関する位置決めを図れるものであれば良く、円筒状に限らず、多角筒状、丸棒状、多角棒状のものも使用できる。
【0053】
【発明の効果】
本発明は、以上に述べた通り構成され作用するので、変速比制御を安定して行なえる高性能のトロイダル型無段変速機の組立作業の容易化を図れ、トロイダル型無段変速機を、低コストで提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例を示す断面図。
【図2】本発明の対象となるトロイダル型無段変速機を組み込んだ無段変速装置の1例を示す半部略断面図。
【図3】トロイダル型無段変速機の組立作業の初期工程を、一部を切断して示す斜視図。
【図4】同じく続く工程を、一部を切断して示す斜視図。
【図5】同じく続く工程を、一部を切断して示す斜視図。
【図6】同じく終期工程を、一部を切断して示す断面図。
【図7】従来から広く知られているトロイダル型無段変速機の基本構成の1例を示す断面図。
【図8】図7のA−A断面図。
【図9】図7のB−B断面図。
【図10】従来から知られている、トロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速ユニットとを組み合わせて成る無段変速装置の1例を示す略断面図。
【図11】トロイダル型無段変速機の速度比と無段変速装置全体としての速度比との関係を示す線図。
【図12】支持板の支持構造の別例を示す、図7のC部に相当する断面図。
【符号の説明】
1、1a 入力回転軸
2a、2b 入力側ディスク
3  入力側面
4  ボールスプライン
5  転がり軸受
6、6a 押圧装置
7  カム板
8  駆動軸
9  ローディングナット
10  皿板ばね
11  ケーシング
12  隔壁部
13  通孔
14  出力筒
15  転がり軸受
16  出力歯車
17a、17b、17c 出力側ディスク
18  出力側面
19  ニードル軸受
20  パワーローラ
21  周面
22  トラニオン
23、23a 支持軸
24  ラジアルニードル軸受
25  スラスト玉軸受
26  スラストニードル軸受
27  枢軸
28a、28b 支持板
29  アクチュエータ
30  予圧ばね
31、31a トロイダル型無段変速機
32  遊星歯車式変速ユニット
33  キャリア
34a、34b 遊星歯車素子
35  第一の伝達軸
36a、36b 太陽歯車
37  第二の伝達軸
38  中空回転軸
39  太陽歯車
40  遊星歯車素子
41  リング歯車
42  第二のキャリア
43a、43b 遊星歯車素子
44  出力軸
45  第二のリング歯車
46  低速用クラッチ
47  高速用クラッチ
48  支持ポスト部
49  ピン
50  第一の遊星歯車式変速ユニット
51  第二の遊星歯車式変速ユニット
52  第三の遊星歯車式変速ユニット
53  伝達軸
54  出力軸
55a、55b ラジアルアンギュラ玉軸受
56a、56b 支持板
57  アクチュエ−タボディー
58  連結板
59  支柱
60  支持ポスト部
61  支持環部
62  ボルト
63  凹部
64  凹部
65  凸部
66  ピン
67  中空回転軸
68  内輪
69  外輪
70  止め輪
71  トーションダンパ
72  第一の太陽歯車
73  第一のキャリア
74  遊星歯車
75  遊星歯車
76  遊星歯車
77  第一のリング歯車
78  第二の太陽歯車
79  第二のキャリア
80  第三の太陽歯車
81  第二のリング歯車
82  遊星歯車
83  遊星歯車
84  ロッド
85  治具
86  中心孔
87  モジュール

Claims (2)

  1. ケーシングと、このケーシング内に回転自在に支持された回転軸と、それぞれが断面円弧形である互いの軸方向片側面同士を対向させた状態でこの回転軸の軸方向2個所位置に、この回転軸と同期した回転を自在として支持された1対の外側ディスクと、この回転軸の中間部周囲に、断面円弧形である軸方向両側面を上記各外側ディスクの軸方向片側面に対向させた状態で、上記回転軸に対する相対回転を自在に支持された内側ディスクと、軸方向に関してこれら内側ディスクの軸方向両側面と各外側ディスクの軸方向片側面との間位置にそれぞれ複数個ずつ、上記回転軸に対し捩れの位置にある枢軸を中心とする揺動変位を自在に設けられた支持部材と、これら各支持部材の両端部に設けられた上記各枢軸を支持する為の、1対の支持板と、これら各支持部材に回転自在に支持され、球状凸面としたそれぞれの周面を、上記内側ディスクの軸方向両側面と各外側ディスクの軸方向片側面とに当接させた複数のパワーローラと、上記内側ディスクとの間での回転力の伝達を可能に結合した状態で上記回転軸の周囲に配置され、その中間部外周面に上記各外側ディスクのうちの一方の外側ディスクを回転自在に支持した中空回転軸とを備え、
    上記内側ディスクの軸方向両側面と上記各外側ディスクの軸方向片側面との間に、それぞれの中間部に支持環部を有する1対の支柱を、この支持環部に上記回転軸を挿通した状態で配置すると共に、これら両支柱の両端部近傍部分に上記各支持板を、上記各ディスクの中心軸に平行に設けられたピンにより揺動自在に支持した
    トロイダル型無段変速機の組立方法であって、
    上記内側ディスクの中心孔を挿通自在な、筒状若しくは棒状の治具によりこの内側ディスクを所定位置に支持すると共に、上記各支柱に上記1対の支持板をピンにより組み付けた後、上記中空回転軸を上記内側ディスク内に挿入しつつ、上記治具を上記内側ディスクの中心孔から取り出す工程を有する
    トロイダル型無段変速機の組立方法
  2. 次の第一〜第六工程を順次行なう事により組み立てる、請求項1に記載したトロイダル型無段変速機の組立方法。
    1対の支持板のうちの一方の支持板を、1対の支柱の一方の端部近傍部分にピンにより支持する第一工程。
    上記一方の支持板に、各支持部材の一方の枢軸を支持する第二工程。
    上記各支柱同士の間に内側ディスクを、これら各支柱の支持環部及び内側ディスクの中心孔に治具を挿通する事により支持する第三工程。
    上記1対の支持板のうちの他方の支持板を、この他方の支持板に上記各支持部材の他方の枢軸を支持しつつ、上記各支柱の他方の端部近傍部分にピンにより支持する第四工程。
    一方の外側ディスクを中空回転軸の中間部に支持した状態で、この中空回転軸により上記治具を軸方向に押し出しつつ、この中空回転軸を上記各支柱の支持環部及び上記内側ディスクに挿通する事により、この中空回転軸と上記内側ディスクとを結合すると共に、上記治具を取り出す第五工程。
    上記各支持板をケーシング内に支持する第六工程。
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