JP2004143407A - アクリル樹脂微粒子 - Google Patents
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Abstract
【課題】イオンレスの用途にも用いることが可能であり、塗料等に用いた場合に高い耐候性や耐水性を発現するアクリル樹脂微粒子を提供する。
【解決手段】界面活性剤及び懸濁安定剤を含有しないアクリル樹脂微粒子。好ましくは平均粒径が1μm以下であり、粒子径のCV値が5%以下であり、真球度が1.25以下のものである。ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル樹脂と、常温常圧ではアクリル樹脂を溶解しない液体とを超臨界状態にして製造することが出来る。
【選択図】 なし
【解決手段】界面活性剤及び懸濁安定剤を含有しないアクリル樹脂微粒子。好ましくは平均粒径が1μm以下であり、粒子径のCV値が5%以下であり、真球度が1.25以下のものである。ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル樹脂と、常温常圧ではアクリル樹脂を溶解しない液体とを超臨界状態にして製造することが出来る。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、イオンレスの用途にも用いることが可能であり、塗料等に用いた場合に高い耐候性や耐水性を発現するアクリル樹脂微粒子に関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂微粒子は、滑り性付与剤、トナー、塗料用艶消し剤、光拡散用の添加剤、低密度ポリエチレンからなる包装材のブロッキング防止材をはじめ、絶縁フィラー、結晶核剤、クロマトグラフィー用充填剤や免疫診断試薬用担体等の用途に広く利用されている。とりわけ近年では、液晶パネル用のスペーサや導電性微粒子の基材粒子等のIT分野での用途も拡大している。なかでもアクリル樹脂微粒子は、接着剤や塗料等の分野において広く用いられている。
【0003】
アクリル樹脂微粒子を作製する方法としては、例えば、粉砕機等を用いて物理的に粉砕する方法が挙げられる。この方法によれば、低コストかつ容易にアクリル樹脂微粒子を得ることができる。しかしながら、得られるアクリル樹脂微粒子の形状は不定形で真球度が低く、粒子径も大きく、粒子径分布の狭いものを得るには分級等の作業を必要とし、更に得られたアクリル樹脂微粒子の強度も弱くなる傾向があるという問題点があった。
【0004】
近年、アクリル樹脂微粒子のほとんどは乳化重合、マイクロエマルション重合、逆相乳化重合、ミニエマルション重合、マイクロサスペンション重合、非水系分散重合、懸濁重合等の方法により製造されている。例えば、特許文献1には、予め所望の大きさの液滴を含むモノマー分散液を作製し、次いでこの分散液を重合槽に導入して通常の攪拌下に重合を行うことによって、得られる樹脂微粒子の粒子径や粒度分布を制御する方法が提案されている。この方法によれば、真球度が高く、かつ、粒子径分布の狭いアクリル樹脂微粒子を作製することができる。しかしながら、乳化重合法等ではモノマーを媒体中に安定して分散させるために界面活性剤や懸濁安定剤を用いる必要があることから、得られるアクリル樹脂微粒子は、必ず界面活性剤や懸濁安定剤を含有していることになる。
【0005】
界面活性剤や懸濁安定剤を含有したアクリル樹脂微粒子を塗料等の用途に用いると、界面活性剤や懸濁安定剤の親水性により塗料の耐候性や耐水性に悪影響を及ぼすことがある。また、特殊な用途のバインダー等のイオンレスの用途には使うことができず、用途にも制約があった。アクリル樹脂微粒子から界面活性剤や懸濁安定剤を除去するためには、大量の水を用いて繰り返し洗浄を行う等の煩雑な操作が必要であり、このような操作を行ったとしても、完全に界面活性剤を除去するのは困難であった。
また、乳化重合等では、モノマーを懸濁するためのノウハウが非常に難しく、用いることができる界面活性剤や懸濁安定剤、モノマー、開始剤の種類が極端に限定され、また、処方の順番が異なるだけで微粒子が生成しないという問題もあった。
【0006】
近年では、樹脂微粒子の製造方法として、界面活性剤や懸濁安定剤を用いないソープフリー重合法も提案されている。しかしながら、この方法も、界面活性剤や懸濁安定剤を用いる代わりに界面活性効果を有するモノマーを用いるものであり、結局アクリルモノマー自身がスルホン系界面活性剤であることから、界面活性剤や懸濁安定剤に起因する問題を根本的に解決するものではなかった。また、このような界面活性効果を有するモノマーと共重合可能なモノマーを用いる必要があることから、アクリル樹脂の組成にも制限があった。
【0007】
【特許文献1】
特開平3−131603号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑み、イオンレスの用途にも用いることが可能であり、塗料等に用いた場合に高い耐候性や耐水性を発現するアクリル樹脂微粒子を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、界面活性剤及び懸濁安定剤を含有しないアクリル樹脂微粒子である。以下に本発明を詳述する。
【0010】
本発明のアクリル樹脂微粒子は、界面活性剤及び懸濁安定剤を含有しないものである。界面活性剤及び懸濁安定剤を含有しないことにより、本発明のアクリル樹脂微粒子は、イオンフリーの用途にも用いることができ、塗料等の用途に用いた場合に極めて高い耐候性や耐水性を発現する。
【0011】
上記界面活性剤としては、通常乳化重合等に用いられるものが挙げられるが、例えば、脂肪酸塩、高級アルコールの硫酸エステル塩、液体脂肪油の硫酸エステル塩、脂肪族アミン及び脂肪族アミドの硫酸塩、脂肪族アルコールのリン酸エステル、二塩基性脂肪エステルのスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩等のアニオン性界面活性剤;第1アミン塩、第2アミン塩、第3アミン塩、第4アンモニウム塩、ピリジニウム塩等のカチオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、オキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル等のノニオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0012】
上記懸濁安定剤としては、通常乳化重合等に用いられるものが挙げられるが、例えば、ポリビニルアルコール、部分けん化ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリメタクリルアミド、ゼラチン、トラガント、メチルセルロール、でんぷん等の水溶性高分子型懸濁安定剤;硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、水酸化アルミニウム等の難溶性無機塩の型懸濁安定剤等が挙げられる。
【0013】
特に、現在乳化重合等に用いられる界面活性剤及び懸濁安定剤の大部分は、スルホニウム塩及び硫酸塩であることから、本発明のアクリル樹脂微粒子は、スルホニウム塩及び硫酸塩を含有しないことが好ましい。
【0014】
本明細書においてアクリル樹脂とは、アクリル酸及びその誘導体を重合して得られる樹脂を意味し、アクリル酸及びそのエステル、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸及びそのエステル等の重合体や共重合体が含まれる。
上記アクリル樹脂としては特に限定されないが、ポリメタクリル酸メチルを重合してなるものが好ましい。これにより、得られるアクリル樹脂は、耐候性に優れ、例えば屋外用樹脂フィルムの物性改質剤等としても用いることができ、また、極性基を有することから各種の顔料や塗料の分散性にも優れ、更に、接着性等を付与することができる。
【0015】
本発明のアクリル樹脂微粒子の平均粒子径の好ましい上限は1μmである。1μmを超えると、凝集が起こりやすくなり分散安定性が維持できないことがある。平均粒子径の下限は特に限定されないが、50nm以上であることが好ましい。50nm未満であると、取扱い性が悪くなることがある。
【0016】
本発明のアクリル樹脂微粒子は、粒子径のCV値が5%以下であることが好ましい。CV値が5%以下にまで流指定が揃っている場合には、本発明のアクリル樹脂微粒子は諸性質が揃ったものになり、IT分野等におけるスペーサ、高感熱フィラー、均質な結晶核剤等の用途に好適に用いることができる。より好ましくは3%以下である。なお、上記粒子径のCV値は、下記式により求められる。
粒子径のCV値(%)=(σD/Dn)×100
式中、σDは粒子径の標準偏差を表し、Dnは数平均粒子径を表す。
【0017】
本発明のアクリル樹脂微粒子は、真球度が1.25以下であることが好ましい。1.25以下であると、例えば、めっきを行って導電性微粒子等にして電極の接続に用いたときに極めて高い接続安定性が得られたり、液晶基板のギャップを作るスペーサとして用いたときに極めて精度の高いギャップが得られたりする等、多くの用途への展開ができる。より好ましくは1.1以下である。
なお、上記真球度とは、幾何学的球に対する狂い(偏差)の度合いを示すパラメータであり、数値が1に近いほど真球に近い。上記真球度は、3次元スキャン等の方法により撮影した画像を、コンピュータ等を用いて画像解析することにより計測することにより測定することができる。また、3次元スキャン等を用いることができないときには、2次元スキャン等の方法により撮影した画像を、コンピュータ等を用いて画像解析することにより計測した真円度をもって代用することもできる。
【0018】
本発明のアクリル樹脂微粒子を製造する方法としては、例えば、アクリル樹脂と、常温常圧ではアクリル樹脂を溶解しない流体との混合物を加熱及び/又は加圧して、上記流体の少なくとも一成分を超臨界状態又は亜臨界状態にした後、上記流体を降温して解圧する方法が好適である。
超臨界状態又は亜臨界状態にある流体は気体の有する拡散性と液体の有する溶解性とを併せ持つ。従って、常温常圧ではアクリル樹脂に対して貧溶媒であっても超臨界状態又は亜臨界状態にすることにより良溶媒となり、アクリル樹脂を溶解、分散することができる。その後、降温、解圧すれば、再び液状流体は貧溶媒となることから、溶解していたアクリル樹脂が析出する。超臨界状態又は亜臨界状態にある流体中ではアクリル樹脂は極めて高い分散状態にあったことから、析出してくるアクリル樹脂は極めて小さく、また、その表面張力によってほぼ完全な球形になるものと考えられる。
【0019】
なお、本明細書において、超臨界流体とは、臨界圧力(以下、Pcともいう)以上、かつ臨界温度(以下、Tcともいう)以上の条件の流体を意味する。また、亜臨界流体とは、超臨界状態以外の状態であって、反応時の圧力、温度をそれぞれP、Tとしたときに、0.5<P/Pc<1.0かつ0.5<T/Tc、又は、0.5<P/Pcかつ0.5<T/Tc<1.0の条件の流体を意味する。上記亜臨界流体の好ましい圧力、温度の範囲は、0.6<P/Pc<1.0かつ0.6<T/Tc、又は、0.6<P/Pcかつ0.6<T/Tc<1.0である。ただし、流体が水である場合には、亜臨界流体となる温度、圧力の範囲は、0.5<P/Pc<1.0かつ0.5<T/Tc、又は、0.5<P/Pcかつ0.5<T/Tc<1.0である。なお、ここで温度は摂氏を表すが、Tc又はTのいずれかが摂氏ではマイナスである場合には、上記亜臨界状態を表す式はこの限りではない。
【0020】
以下にこの方法により本発明のアクリル樹脂微粒子を作製する方法を詳しく説明する。
上記流体としては、常温常圧では上記樹脂を溶解しないものであれば特に限定されないが、水やアルコール等の有機媒体等の常温常圧で液体であるものであってもよいし、二酸化炭素、窒素、酸素、ヘリウム、アルゴン、空気等の常温常圧で気体であるものであってもよいし、また、これらの混合流体であってもよい。ただし、常温常圧では液体であるものを少なくとも1種含有することが好ましい。上記流体が常温常圧で気体であるもののみからなる場合には、流体中に樹脂を溶解させるために極めて高い圧力や温度を要する場合がある。
なお、上記流体として混合流体を用いる場合には、混合流体を構成する流体の少なくとも1成分が超臨界状態又は亜臨界状態になればよい。
【0021】
上記常温常圧で液体である流体としては水及び/又はアルコールが好ましい。水は使いやすい媒体であるうえ、安価であるので経済的であり、環境に与える影響の点でも好ましい。また、メタノール等のアルコールも、同様の理由により好ましい。更に、2級アルコールであるイソプロパノールを用いれば、加水分解性樹脂の加水分解を抑制することができる。
また、常温常圧で上記アクリル樹脂を溶解しない限りにおいて、ヘキサン、ヘプタン、イソブタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロヘキサン、ブテン等の飽和、不飽和、直鎖、分岐、環状飽和炭化水素;トルエン、ベンゼン、スチレン、キシレン等の芳香族炭化水素系有機溶剤;アセトン、イソブチルメチルケトン、イソプロピルメチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン系有機溶剤;イソ吉草酸、酢酸等のカルボン酸系化合物;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系有機溶剤;ヘキサメチレンジアミン等のアミン系有機溶剤;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等のアクリル系有機溶剤;ジメチルスルホキシド、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等も用いることができる。これらの有機溶媒は、ハロゲン化等によりその一部又は全部が変性されていても構わない。
【0022】
上記液状流体と混合するアクリル樹脂の形状としては、比表面積(単位体積あたりの表面積)を大きくした方が好ましい。比表面積を大きくすることで流体と樹脂との接触を高効率で行うことができ処理時間を短縮できる。処理時間を短縮することで、エネルギー効率を高め、かつ、樹脂の分解や劣化を抑制することができる。比表面積を大きくする方法としては特に限定されず、例えば、直径1〜5mm程度の粉体状の樹脂を用いる方法や、予め1mm以下のフィルムに成形された樹脂を用いる方法等が挙げられる。
【0023】
上記アクリル樹脂微粒子の製造方法では、上記アクリル樹脂と流体との混合物を加熱及び/又は加圧して上記流体を超臨界状態又は亜臨界流体にする。上記流体が混合流体である場合には、少なくとも一成分が超臨界状態又は亜臨界流体になればよい。例えば、水は約374℃以上の温度かつ約22MPa以上の圧力により、メタノールは約240℃以上の温度かつ約8MPa以上の圧力により超臨界状態になることが知られている。
なお、上記混合物を耐圧容器に密封すれば、加熱することにより容易に超臨界状態又は亜臨界状態を達成することができる。上記耐熱容器としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、オートクレーブ等を用いることができる。
【0024】
超臨界状態又は亜臨界状態は極めて活性の高い環境であり、化学反応が非常に促進されることから、長時間アクリル樹脂を高温高圧下に置くと加水分解や脱炭酸等の分解反応が起こったりすることがある。従って、超臨界状態又は亜臨界状態に置く時間はアクリル樹脂が反応しない程度の短い時間内とすることが好ましい。
【0025】
また、超臨界状態又は亜臨界状態において上記アクリル樹脂と液状流体との混合物を攪拌することが好ましい。撹拌し剪断力を与えることで系内を素早く均質に保つことができることから、粒子径の分布を狭くすることができる。本発明において撹拌は必須条件ではないが、超臨界状態又は亜臨界状態において均質化するまでの時間を短縮できることから、高温高圧によるアクリル樹脂の分解を抑制することができる。
上記攪拌の方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いることができ、例えば、オートクレーブ用の撹拌モーターを用いる方法や、予め超臨界状態又は亜臨界状態においても安定な硬質球(例えば、鋼鉄製ボール等)を少なくとも1つ耐圧容器中に入れておき超臨界状態又は亜臨界状態で耐圧容器を振とうさせる方法等が挙げられる。
【0026】
所定の時間超臨界状態又は亜臨界状態を保った後には、上記液状流体を速やかに降温又は解圧することが好ましい。上述のように超臨界状態又は亜臨界状態中に樹脂を長時間おくと、アクリル樹脂が反応してしまうことがある。所定の時間が経過した後には密封状態のまま急冷して常温常圧に戻すことにより、樹脂の反応を防止することができる。急冷する方法としては特に限定されず、例えば、上記耐圧容器を空冷又は水冷する方法等が挙げられる。
以上の工程により、アクリル樹脂微粒子の懸濁液が得られる。得られた懸濁液中のアクリル樹脂微粒子は、ほぼ完全な球状であり、また、粒子径分布も極めて狭いものである。この懸濁液を乾燥すれば、本発明のアクリル樹脂微粒子が得られる。
【0027】
本発明のアクリル樹脂微粒子は、界面活性剤を含まないソープフリーのものであり、また、粒子径や分子量が極めて揃っているものである。
本発明のアクリル樹脂微粒子は、シード重合の種粒子、接着剤、塗料、滑り性付与剤、トナー、光拡散用の添加剤、絶縁フィラー、結晶核剤、クロマトグラフィー用充填剤や免疫診断試薬用担体等の様々な用途に用いることができる。なかでも、塗料等の屋外に用いるようとでは、耐候性や塗膜強度に極めて優れたものになる。
【0028】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0029】
(実施例1)
内容積10mLの耐圧容器に、アクリル樹脂(住友化学社製、「スミペック」)0.2gと、液状流体として10%メタノール水溶液4gとを入れ密封した。耐厚容器中には予めSUS製のボールを1個入れておいた。耐圧容器を振動させて、アクリル樹脂と液状流体とを混合した後、オイルバス中で400℃に加熱した。このときの圧力は約30MPaであった。この状態で耐圧容器を振動させ、5分後に急冷して常温常圧に戻した。
これにより、流体中にアクリル樹脂微粒子が懸濁した樹脂微粒子懸濁液が得られた。この懸濁液を真空乾燥して、アクリル樹脂微粒子を得た。
【0030】
(比較例1)
攪拌機、乾留冷却器、温度計及び窒素導入器を有する2L容の四つ口フラスコに過硫酸アンモニウム1.5gを含む379.5mLの水と、300mLのメタクリル酸とを入れ、更に、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(ノニオン性界面活性剤)6gとラウリルスルホン酸塩(カチオン性界面活性剤)15gを加えた。反応器中の空気を充分窒素置換後、撹拌しながら70℃で6時間重合後、エマルション状態の微粒子を得た。この懸濁液を、充分洗浄した後、最終的に真空乾燥を行い、アクリル樹脂微粒子を得た。
【0031】
(評価)
実施例1及び比較例1で作製したアクリル樹脂微粒子について、以下の方法により平均粒子径、粒子径のCV値、真円度、及び、界面活性剤の含有の有無を測定した。
結果を表1に示した。
【0032】
(粒子径、粒子径のCV値の測定)
ELS800(大塚電子社製)を用いて、動的光散乱モードにより粒子径及び粒子径分布を測定し、その値から粒子径のCV値を算出した。
【0033】
(真円度の測定)
樹脂微粒子懸濁液を、走査型電子顕微鏡(日立社製「S−3500N」)の試料台上へ滴下した後、減圧乾燥した。乾燥後、樹脂微粒子の表面に蒸着器で金を蒸着した後、電子顕微鏡写真を撮影した。得られた電子顕微鏡写真をImage pro.(media cybernetic社製)を用いて画像解析し、樹脂微粒子の真円度を求めた。
【0034】
(界面活性剤の含有の有無を測定)
アクリル樹脂微粒子を蛍光X線測定し、スルホニウムイオンに帰属される硫黄の検出の有無を調べた。
アクリル樹脂微粒子0.01gを水10mL中に懸濁し、密閉したうえで23℃、24時間抽出を行った。この抽出液を透析膜を用いて23℃24時間透析した後、遠心分離し、上澄みをICP分析にかけて、スルホニウム塩に帰属される硫黄の検出の有無を調べた。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、イオンレスの用途にも用いることが可能であり、塗料等に用いた場合に高い耐候性や耐水性を発現するアクリル樹脂微粒子を提供できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、イオンレスの用途にも用いることが可能であり、塗料等に用いた場合に高い耐候性や耐水性を発現するアクリル樹脂微粒子に関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂微粒子は、滑り性付与剤、トナー、塗料用艶消し剤、光拡散用の添加剤、低密度ポリエチレンからなる包装材のブロッキング防止材をはじめ、絶縁フィラー、結晶核剤、クロマトグラフィー用充填剤や免疫診断試薬用担体等の用途に広く利用されている。とりわけ近年では、液晶パネル用のスペーサや導電性微粒子の基材粒子等のIT分野での用途も拡大している。なかでもアクリル樹脂微粒子は、接着剤や塗料等の分野において広く用いられている。
【0003】
アクリル樹脂微粒子を作製する方法としては、例えば、粉砕機等を用いて物理的に粉砕する方法が挙げられる。この方法によれば、低コストかつ容易にアクリル樹脂微粒子を得ることができる。しかしながら、得られるアクリル樹脂微粒子の形状は不定形で真球度が低く、粒子径も大きく、粒子径分布の狭いものを得るには分級等の作業を必要とし、更に得られたアクリル樹脂微粒子の強度も弱くなる傾向があるという問題点があった。
【0004】
近年、アクリル樹脂微粒子のほとんどは乳化重合、マイクロエマルション重合、逆相乳化重合、ミニエマルション重合、マイクロサスペンション重合、非水系分散重合、懸濁重合等の方法により製造されている。例えば、特許文献1には、予め所望の大きさの液滴を含むモノマー分散液を作製し、次いでこの分散液を重合槽に導入して通常の攪拌下に重合を行うことによって、得られる樹脂微粒子の粒子径や粒度分布を制御する方法が提案されている。この方法によれば、真球度が高く、かつ、粒子径分布の狭いアクリル樹脂微粒子を作製することができる。しかしながら、乳化重合法等ではモノマーを媒体中に安定して分散させるために界面活性剤や懸濁安定剤を用いる必要があることから、得られるアクリル樹脂微粒子は、必ず界面活性剤や懸濁安定剤を含有していることになる。
【0005】
界面活性剤や懸濁安定剤を含有したアクリル樹脂微粒子を塗料等の用途に用いると、界面活性剤や懸濁安定剤の親水性により塗料の耐候性や耐水性に悪影響を及ぼすことがある。また、特殊な用途のバインダー等のイオンレスの用途には使うことができず、用途にも制約があった。アクリル樹脂微粒子から界面活性剤や懸濁安定剤を除去するためには、大量の水を用いて繰り返し洗浄を行う等の煩雑な操作が必要であり、このような操作を行ったとしても、完全に界面活性剤を除去するのは困難であった。
また、乳化重合等では、モノマーを懸濁するためのノウハウが非常に難しく、用いることができる界面活性剤や懸濁安定剤、モノマー、開始剤の種類が極端に限定され、また、処方の順番が異なるだけで微粒子が生成しないという問題もあった。
【0006】
近年では、樹脂微粒子の製造方法として、界面活性剤や懸濁安定剤を用いないソープフリー重合法も提案されている。しかしながら、この方法も、界面活性剤や懸濁安定剤を用いる代わりに界面活性効果を有するモノマーを用いるものであり、結局アクリルモノマー自身がスルホン系界面活性剤であることから、界面活性剤や懸濁安定剤に起因する問題を根本的に解決するものではなかった。また、このような界面活性効果を有するモノマーと共重合可能なモノマーを用いる必要があることから、アクリル樹脂の組成にも制限があった。
【0007】
【特許文献1】
特開平3−131603号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑み、イオンレスの用途にも用いることが可能であり、塗料等に用いた場合に高い耐候性や耐水性を発現するアクリル樹脂微粒子を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、界面活性剤及び懸濁安定剤を含有しないアクリル樹脂微粒子である。以下に本発明を詳述する。
【0010】
本発明のアクリル樹脂微粒子は、界面活性剤及び懸濁安定剤を含有しないものである。界面活性剤及び懸濁安定剤を含有しないことにより、本発明のアクリル樹脂微粒子は、イオンフリーの用途にも用いることができ、塗料等の用途に用いた場合に極めて高い耐候性や耐水性を発現する。
【0011】
上記界面活性剤としては、通常乳化重合等に用いられるものが挙げられるが、例えば、脂肪酸塩、高級アルコールの硫酸エステル塩、液体脂肪油の硫酸エステル塩、脂肪族アミン及び脂肪族アミドの硫酸塩、脂肪族アルコールのリン酸エステル、二塩基性脂肪エステルのスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩等のアニオン性界面活性剤;第1アミン塩、第2アミン塩、第3アミン塩、第4アンモニウム塩、ピリジニウム塩等のカチオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、オキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル等のノニオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0012】
上記懸濁安定剤としては、通常乳化重合等に用いられるものが挙げられるが、例えば、ポリビニルアルコール、部分けん化ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリメタクリルアミド、ゼラチン、トラガント、メチルセルロール、でんぷん等の水溶性高分子型懸濁安定剤;硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、水酸化アルミニウム等の難溶性無機塩の型懸濁安定剤等が挙げられる。
【0013】
特に、現在乳化重合等に用いられる界面活性剤及び懸濁安定剤の大部分は、スルホニウム塩及び硫酸塩であることから、本発明のアクリル樹脂微粒子は、スルホニウム塩及び硫酸塩を含有しないことが好ましい。
【0014】
本明細書においてアクリル樹脂とは、アクリル酸及びその誘導体を重合して得られる樹脂を意味し、アクリル酸及びそのエステル、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸及びそのエステル等の重合体や共重合体が含まれる。
上記アクリル樹脂としては特に限定されないが、ポリメタクリル酸メチルを重合してなるものが好ましい。これにより、得られるアクリル樹脂は、耐候性に優れ、例えば屋外用樹脂フィルムの物性改質剤等としても用いることができ、また、極性基を有することから各種の顔料や塗料の分散性にも優れ、更に、接着性等を付与することができる。
【0015】
本発明のアクリル樹脂微粒子の平均粒子径の好ましい上限は1μmである。1μmを超えると、凝集が起こりやすくなり分散安定性が維持できないことがある。平均粒子径の下限は特に限定されないが、50nm以上であることが好ましい。50nm未満であると、取扱い性が悪くなることがある。
【0016】
本発明のアクリル樹脂微粒子は、粒子径のCV値が5%以下であることが好ましい。CV値が5%以下にまで流指定が揃っている場合には、本発明のアクリル樹脂微粒子は諸性質が揃ったものになり、IT分野等におけるスペーサ、高感熱フィラー、均質な結晶核剤等の用途に好適に用いることができる。より好ましくは3%以下である。なお、上記粒子径のCV値は、下記式により求められる。
粒子径のCV値(%)=(σD/Dn)×100
式中、σDは粒子径の標準偏差を表し、Dnは数平均粒子径を表す。
【0017】
本発明のアクリル樹脂微粒子は、真球度が1.25以下であることが好ましい。1.25以下であると、例えば、めっきを行って導電性微粒子等にして電極の接続に用いたときに極めて高い接続安定性が得られたり、液晶基板のギャップを作るスペーサとして用いたときに極めて精度の高いギャップが得られたりする等、多くの用途への展開ができる。より好ましくは1.1以下である。
なお、上記真球度とは、幾何学的球に対する狂い(偏差)の度合いを示すパラメータであり、数値が1に近いほど真球に近い。上記真球度は、3次元スキャン等の方法により撮影した画像を、コンピュータ等を用いて画像解析することにより計測することにより測定することができる。また、3次元スキャン等を用いることができないときには、2次元スキャン等の方法により撮影した画像を、コンピュータ等を用いて画像解析することにより計測した真円度をもって代用することもできる。
【0018】
本発明のアクリル樹脂微粒子を製造する方法としては、例えば、アクリル樹脂と、常温常圧ではアクリル樹脂を溶解しない流体との混合物を加熱及び/又は加圧して、上記流体の少なくとも一成分を超臨界状態又は亜臨界状態にした後、上記流体を降温して解圧する方法が好適である。
超臨界状態又は亜臨界状態にある流体は気体の有する拡散性と液体の有する溶解性とを併せ持つ。従って、常温常圧ではアクリル樹脂に対して貧溶媒であっても超臨界状態又は亜臨界状態にすることにより良溶媒となり、アクリル樹脂を溶解、分散することができる。その後、降温、解圧すれば、再び液状流体は貧溶媒となることから、溶解していたアクリル樹脂が析出する。超臨界状態又は亜臨界状態にある流体中ではアクリル樹脂は極めて高い分散状態にあったことから、析出してくるアクリル樹脂は極めて小さく、また、その表面張力によってほぼ完全な球形になるものと考えられる。
【0019】
なお、本明細書において、超臨界流体とは、臨界圧力(以下、Pcともいう)以上、かつ臨界温度(以下、Tcともいう)以上の条件の流体を意味する。また、亜臨界流体とは、超臨界状態以外の状態であって、反応時の圧力、温度をそれぞれP、Tとしたときに、0.5<P/Pc<1.0かつ0.5<T/Tc、又は、0.5<P/Pcかつ0.5<T/Tc<1.0の条件の流体を意味する。上記亜臨界流体の好ましい圧力、温度の範囲は、0.6<P/Pc<1.0かつ0.6<T/Tc、又は、0.6<P/Pcかつ0.6<T/Tc<1.0である。ただし、流体が水である場合には、亜臨界流体となる温度、圧力の範囲は、0.5<P/Pc<1.0かつ0.5<T/Tc、又は、0.5<P/Pcかつ0.5<T/Tc<1.0である。なお、ここで温度は摂氏を表すが、Tc又はTのいずれかが摂氏ではマイナスである場合には、上記亜臨界状態を表す式はこの限りではない。
【0020】
以下にこの方法により本発明のアクリル樹脂微粒子を作製する方法を詳しく説明する。
上記流体としては、常温常圧では上記樹脂を溶解しないものであれば特に限定されないが、水やアルコール等の有機媒体等の常温常圧で液体であるものであってもよいし、二酸化炭素、窒素、酸素、ヘリウム、アルゴン、空気等の常温常圧で気体であるものであってもよいし、また、これらの混合流体であってもよい。ただし、常温常圧では液体であるものを少なくとも1種含有することが好ましい。上記流体が常温常圧で気体であるもののみからなる場合には、流体中に樹脂を溶解させるために極めて高い圧力や温度を要する場合がある。
なお、上記流体として混合流体を用いる場合には、混合流体を構成する流体の少なくとも1成分が超臨界状態又は亜臨界状態になればよい。
【0021】
上記常温常圧で液体である流体としては水及び/又はアルコールが好ましい。水は使いやすい媒体であるうえ、安価であるので経済的であり、環境に与える影響の点でも好ましい。また、メタノール等のアルコールも、同様の理由により好ましい。更に、2級アルコールであるイソプロパノールを用いれば、加水分解性樹脂の加水分解を抑制することができる。
また、常温常圧で上記アクリル樹脂を溶解しない限りにおいて、ヘキサン、ヘプタン、イソブタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロヘキサン、ブテン等の飽和、不飽和、直鎖、分岐、環状飽和炭化水素;トルエン、ベンゼン、スチレン、キシレン等の芳香族炭化水素系有機溶剤;アセトン、イソブチルメチルケトン、イソプロピルメチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン系有機溶剤;イソ吉草酸、酢酸等のカルボン酸系化合物;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系有機溶剤;ヘキサメチレンジアミン等のアミン系有機溶剤;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等のアクリル系有機溶剤;ジメチルスルホキシド、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等も用いることができる。これらの有機溶媒は、ハロゲン化等によりその一部又は全部が変性されていても構わない。
【0022】
上記液状流体と混合するアクリル樹脂の形状としては、比表面積(単位体積あたりの表面積)を大きくした方が好ましい。比表面積を大きくすることで流体と樹脂との接触を高効率で行うことができ処理時間を短縮できる。処理時間を短縮することで、エネルギー効率を高め、かつ、樹脂の分解や劣化を抑制することができる。比表面積を大きくする方法としては特に限定されず、例えば、直径1〜5mm程度の粉体状の樹脂を用いる方法や、予め1mm以下のフィルムに成形された樹脂を用いる方法等が挙げられる。
【0023】
上記アクリル樹脂微粒子の製造方法では、上記アクリル樹脂と流体との混合物を加熱及び/又は加圧して上記流体を超臨界状態又は亜臨界流体にする。上記流体が混合流体である場合には、少なくとも一成分が超臨界状態又は亜臨界流体になればよい。例えば、水は約374℃以上の温度かつ約22MPa以上の圧力により、メタノールは約240℃以上の温度かつ約8MPa以上の圧力により超臨界状態になることが知られている。
なお、上記混合物を耐圧容器に密封すれば、加熱することにより容易に超臨界状態又は亜臨界状態を達成することができる。上記耐熱容器としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、オートクレーブ等を用いることができる。
【0024】
超臨界状態又は亜臨界状態は極めて活性の高い環境であり、化学反応が非常に促進されることから、長時間アクリル樹脂を高温高圧下に置くと加水分解や脱炭酸等の分解反応が起こったりすることがある。従って、超臨界状態又は亜臨界状態に置く時間はアクリル樹脂が反応しない程度の短い時間内とすることが好ましい。
【0025】
また、超臨界状態又は亜臨界状態において上記アクリル樹脂と液状流体との混合物を攪拌することが好ましい。撹拌し剪断力を与えることで系内を素早く均質に保つことができることから、粒子径の分布を狭くすることができる。本発明において撹拌は必須条件ではないが、超臨界状態又は亜臨界状態において均質化するまでの時間を短縮できることから、高温高圧によるアクリル樹脂の分解を抑制することができる。
上記攪拌の方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いることができ、例えば、オートクレーブ用の撹拌モーターを用いる方法や、予め超臨界状態又は亜臨界状態においても安定な硬質球(例えば、鋼鉄製ボール等)を少なくとも1つ耐圧容器中に入れておき超臨界状態又は亜臨界状態で耐圧容器を振とうさせる方法等が挙げられる。
【0026】
所定の時間超臨界状態又は亜臨界状態を保った後には、上記液状流体を速やかに降温又は解圧することが好ましい。上述のように超臨界状態又は亜臨界状態中に樹脂を長時間おくと、アクリル樹脂が反応してしまうことがある。所定の時間が経過した後には密封状態のまま急冷して常温常圧に戻すことにより、樹脂の反応を防止することができる。急冷する方法としては特に限定されず、例えば、上記耐圧容器を空冷又は水冷する方法等が挙げられる。
以上の工程により、アクリル樹脂微粒子の懸濁液が得られる。得られた懸濁液中のアクリル樹脂微粒子は、ほぼ完全な球状であり、また、粒子径分布も極めて狭いものである。この懸濁液を乾燥すれば、本発明のアクリル樹脂微粒子が得られる。
【0027】
本発明のアクリル樹脂微粒子は、界面活性剤を含まないソープフリーのものであり、また、粒子径や分子量が極めて揃っているものである。
本発明のアクリル樹脂微粒子は、シード重合の種粒子、接着剤、塗料、滑り性付与剤、トナー、光拡散用の添加剤、絶縁フィラー、結晶核剤、クロマトグラフィー用充填剤や免疫診断試薬用担体等の様々な用途に用いることができる。なかでも、塗料等の屋外に用いるようとでは、耐候性や塗膜強度に極めて優れたものになる。
【0028】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0029】
(実施例1)
内容積10mLの耐圧容器に、アクリル樹脂(住友化学社製、「スミペック」)0.2gと、液状流体として10%メタノール水溶液4gとを入れ密封した。耐厚容器中には予めSUS製のボールを1個入れておいた。耐圧容器を振動させて、アクリル樹脂と液状流体とを混合した後、オイルバス中で400℃に加熱した。このときの圧力は約30MPaであった。この状態で耐圧容器を振動させ、5分後に急冷して常温常圧に戻した。
これにより、流体中にアクリル樹脂微粒子が懸濁した樹脂微粒子懸濁液が得られた。この懸濁液を真空乾燥して、アクリル樹脂微粒子を得た。
【0030】
(比較例1)
攪拌機、乾留冷却器、温度計及び窒素導入器を有する2L容の四つ口フラスコに過硫酸アンモニウム1.5gを含む379.5mLの水と、300mLのメタクリル酸とを入れ、更に、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(ノニオン性界面活性剤)6gとラウリルスルホン酸塩(カチオン性界面活性剤)15gを加えた。反応器中の空気を充分窒素置換後、撹拌しながら70℃で6時間重合後、エマルション状態の微粒子を得た。この懸濁液を、充分洗浄した後、最終的に真空乾燥を行い、アクリル樹脂微粒子を得た。
【0031】
(評価)
実施例1及び比較例1で作製したアクリル樹脂微粒子について、以下の方法により平均粒子径、粒子径のCV値、真円度、及び、界面活性剤の含有の有無を測定した。
結果を表1に示した。
【0032】
(粒子径、粒子径のCV値の測定)
ELS800(大塚電子社製)を用いて、動的光散乱モードにより粒子径及び粒子径分布を測定し、その値から粒子径のCV値を算出した。
【0033】
(真円度の測定)
樹脂微粒子懸濁液を、走査型電子顕微鏡(日立社製「S−3500N」)の試料台上へ滴下した後、減圧乾燥した。乾燥後、樹脂微粒子の表面に蒸着器で金を蒸着した後、電子顕微鏡写真を撮影した。得られた電子顕微鏡写真をImage pro.(media cybernetic社製)を用いて画像解析し、樹脂微粒子の真円度を求めた。
【0034】
(界面活性剤の含有の有無を測定)
アクリル樹脂微粒子を蛍光X線測定し、スルホニウムイオンに帰属される硫黄の検出の有無を調べた。
アクリル樹脂微粒子0.01gを水10mL中に懸濁し、密閉したうえで23℃、24時間抽出を行った。この抽出液を透析膜を用いて23℃24時間透析した後、遠心分離し、上澄みをICP分析にかけて、スルホニウム塩に帰属される硫黄の検出の有無を調べた。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、イオンレスの用途にも用いることが可能であり、塗料等に用いた場合に高い耐候性や耐水性を発現するアクリル樹脂微粒子を提供できる。
Claims (6)
- 界面活性剤及び懸濁安定剤を含有しないことを特徴とするアクリル樹脂微粒子。
- スルホニウム塩及び硫酸塩を含有しないことを特徴とする請求項1記載のアクリル樹脂微粒子。
- アクリル樹脂は、ポリメタクリル酸メチルを重合してなることを特徴とする請求項1又は2記載のアクリル樹脂微粒子。
- 平均粒子径が1μm以下であることを特徴とする請求項1、2又は3記載のアクリル樹脂微粒子。
- 粒子径のCV値が5%以下であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のアクリル樹脂微粒子。
- 真球度が1.25以下であることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載のアクリル樹脂微粒子。
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