JP2004142255A - 筆記具 - Google Patents

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飯田 仙史
Shigeru Okumura
奥村 茂
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小林 雄介
Yoshihiro Kawakita
川北 美裕
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Abstract

【課題】視覚的な意外性を与えることができるうえ、これ以外の付加価値も付加できる筆記具の提供。
【解決手段】インク用液体16と、このインク用液体16に着色するための着色剤の主体とが分離されて収納され、インク用液体16が筆記先端へ誘導される途中で、着色剤がインク用液体16に添加されるように設けられている筆記具のインク用液体16に香料を含ませる。これにより、インク用液体16が透明でも、筆記先端では、所定の色彩をはっきり呈するインクで筆記することが出来るうえ、インク用液体16中に香料が入ることで、描線に香りを付与することが可能となり、更なる付加価値を付けることが出来るようになる。
【選択図】  図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、筆記具、更に詳しくは、インクを用いた筆記具であって、インク中に含まれるインク用液体と着色剤とが分離して収納されているものの、インク用液体が筆記先端へ誘導される途中で、着色剤がインク用液体に添加されることにより、筆記先端では所定の色彩を呈するインクで筆記できるようにしてある筆記具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、インクを用いた筆記具には、種々のものが提供されている。このような筆記具は、インクとの関係では、大きく2つに分けることができる。1つは、古くからある筆のように、筆記具自体にはインクが備えられておらず、筆記先端にインクを付着させた後に、その付着させたインクを用いて筆記するものである。
【0003】
このような筆記具としては、具体的には、例えば、筆、鋼筆、つけペン、又は烏口などがある。もう1つは、筆記具自体がインクを保有し、その筆記具自体が保有するインクを筆記先端へ導いて筆記するものである。このような筆記具としては、具体的には、例えば、万年筆、ボールペン、フェルトペン、サインペン(マーカーペン)、又はニードルペンなどがある。
【0004】
ここで、後者の筆記具に用いられるインクは、染料又は顔料を、ビヒクル(溶剤、媒体)中にあらかじめほぼ均一に溶解又は分散させたものであり、筆記具内に保有されているときと、筆記面に転写されたときとで、ほぼ同一の色彩を呈するように調整されている。
【0005】
ところで、上述したような従来の筆記具は、その内部に保有されているインクの色彩を見ることによって、筆記面に転写された際のインクの色彩を判断することが出来るので、この点は便利である。
特に、直液式と呼ばれるタイプの筆記具は、インク収容筒に直接インクを収容出来るため、インクの色や量を外から視認することが可能である。
【0006】
一方、近年、従来の筆記具とは見た感じがまったく異なる新しい筆記具が利用されている。
具体的には、インク用液体と着色剤との主体を分離して収納すると共に、インク用液体が筆記先端へ誘導される途中で、着色剤がインク用液体に添加されるように形成した筆記具が利用されている。
このような筆記具では、筆記具の軸筒の外からインク用液体を視認できるようにするとともに、インク用液体の色を、無色透明、着色剤と同系の薄い色彩、あるいは、着色剤とは異なる色彩にすれば、筆記先端では意外な色彩あるいは濃さを有するインクで筆記が行われるようになり、見た感じが従来とはまったく異なる筆記具にできる(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−260586号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前述のような筆記具では、軸筒の外から視認できる色や濃さとは異なるインクで筆記が行われ、これにより視覚的な意外性を使用者に与えることができるという付加価値を付与できるが、更に、視覚的な意外性以外の付加価値を筆記具に付加したいという要望がある。
【0009】
本発明の目的は、視覚的な意外性を与えることができるうえ、これ以外の付加価値も付加できる筆記具を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、各発明の特徴点を図面に示した発明の実施の形態を用いて、以下に説明する。
なお、符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0011】
(請求項1)
(特徴点)
請求項1記載の発明は、次の点を特徴とする。
すなわち、請求項1に記載の発明は、インク用液体(16)と、このインク用液体(16)に着色するための着色剤の主体とが分離されて収納され、インク用液体(16)が筆記先端へ誘導される途中で、着色剤がインク用液体(16)に添加されるように設けられている筆記具であって、前記インク用液体(16)が香料を含んでいることを特徴とする。
【0012】
(請求項2)
(特徴点)
請求項2記載の発明は、次の点を特徴とする。
すなわち、請求項2に記載の発明は、インク用液体(16)と、このインク用液体(16)に着色するための着色剤の主体とが分離されて収納され、インク用液体(16)が筆記先端へ誘導される途中で、着色剤がインク用液体(16)に添加されるように設けられている筆記具に於いて、インク用液体(16)が筆記先端へ誘導される途中で、香料がインク用液体(16)に添加されるように設けられていることを特徴とする。
【0013】
以上のような請求項1又は2に記載の発明において、「インク用液体」とは、従来のインクのビヒクルに相当するものであり、従来のインクから染料又は顔料を除いた部分を主体とするものを言う。
また、「着色剤」とは、従来のインクの染料又は顔料に相当するものであり、従来のインクからビヒクルを除いた
部分を主体とするものを言う。
【0014】
また、前述のインク用液体であるビヒクルとしては、例えば、水、水溶性有機溶剤、潤滑剤、防腐剤、防錆剤、pH調整剤、乾燥防止剤及び増粘剤等を適宜配合して調整した低粘度水性タイプのインク用液体、並びに、低級アルコール、グリコールエーテル、高沸点アルコール及び樹脂を適宜配合して調整したアルコール系タイプのインク用液体が採用できる。
【0015】
さらに、香料としては、例えば、次の(1)〜(6)のものが挙げられる。これらの(1)〜(6)は、それぞれ単独で用いることができるだけでなく、2種類以上を組み合わせて用いることもできる。
(1) グレープフルーツ油、オレンジ油、レモン油、ライム油、イランイラン油、カモミル油、ジャスミン油、ヒバ油、ペパーミント油、ラベンダー油、及び、ローズマリー油等の精油類。
(2) α−ピネン、β−ピネン、及び、リモネン等のテルペン類。
(3) リナロール、1−メントール、ゲラニオール、ボルネオール、ランバズロール、ヘキシルアルコール、フェニルエチルアルコール(ローズP)、フルフリルアルコール、シクロテン、マルトール、オイゲノール、及び、α−フェニルエタノール等のアルコール類。
(4) ヘプタナール、オクタナール、ドデカナール、テトラデカナール、ヘキサデカナール、シトラール、リラール、ベンズアルデヒド、シクラメンアルデヒド、及び、バニリン等のアルデヒド類。
(5) エチルアセテート(酢酸エチル)、プロピルアセテート(酢酸プロピル)、アミルアセテート、リナリルアセテート、ベンジルアセテート(酢酸ベンジル)、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、及び、ベンジルプロオピオネート等のエステル類。
(6) ヌートカトン、エチルピラジン、レモンターペンレス、オレンジターペンレス、ワニリン、エチルワニリン、フルフリルメルカプタン、ボーネオール、及び、ヘリオール等の芳香族化合物。
【0016】
また、香料としては、上記香料の各々を好適に組み合わせた調合香料、例えば、バナナ香料、ブルーベリー香料、バニラ香料、ミント香料、アップル香料、ピーチ香料、メロン香料、パイナップル香料、グレープ香料、ライラック香料、及び、ジャスミン香料などの各種配合香料を処方して採用することもできる。
例えば、バナナ香料としては、バニリン、エチルバニリン、n−ヘキサナール、イソアミルアルコール、トランス−2−ヘキセナール、n−ブタノール、酢酸イソアミル、イソ吉草酸イソアミル、シス−3−ヘキセノール、酢酸シス−3−ヘキセニル、酢酸、イソオイゲノール、酪酸エチル、溶剤などを好適に配合したものが採用できる。
パイナップル香料としては、酢酸ベンジル、オレンジオイル3−フォールド、バニリン、酢酸イソアミル、酪酸イソアミル、酢酸エチル、ヘプタン酸エチル、ヘキサン酸エチル、酪酸エチル、ヘキサン酸アリルなどを好適に配合配合したものが採用できる。
【0017】
さらに、予め処方されている市販の各種調合香料も採用できる。例えば、バニラ香料〔バニラ:BVK−3359(高砂香料工業社製)〕、ミント香料〔ミント:THP−8148(長谷川香料社製)〕、バナナ香料〔バナナ:T−1510(山本香料社製)〕、及び、ブルーベリー香料〔ブルーベリー:V−647(山本香料社製)〕なども採用することができる。
【0018】
上記のような香料は、筆記具の製造の際、筆記具に充填するにあたり、予め、インク用液体(16)中に直接添加して撹拌・混合しておき、香料入りのインク用液体として筆記具の内部に充填してもよい。
【0019】
または、上記のように香料入りインク用液体とはせずに、着色剤を収納する着色剤収納部に着色剤とともに香料を含有させる、あるいは、着色剤収納部の近傍に着色剤収納部と同様の構造を有する香料専用の香料収納部を別に設け、この香料収納部に香料を含有させることもできる。
【0020】
そして、このように、インク用液体(16)と着色剤とを分離して収納すると共に、インク用液体(16)が筆記先端に至る途中で、着色剤がインク用液体(16)に添加されるように形成することにより、インク用液体(16)が透明や極めて薄い色であるにもかかわらず、筆記先端では、所定の色彩をはっきり呈するインクで筆記することが出来る。また、インク用液体(16)を筆記の際に呈する色とは異なった色にすることで筆記の際に驚きや不思議感を与えることも出来る。
そのうえ、インク用液体(16)中に香料が入ることで、描線に香りを付与することが可能となり、更なる付加価値を付けることが出来るようになる。
【0021】
ここで、「インク用液体と着色剤の主体とが分離して収納され」とは、筆記具の内部に、インク中に含まれるインク用液体と着色剤の主体とが分けられて別々に収容されることを意味する。
また、「インク用液体が筆記先端へ誘導される途中で着色剤がインク用液体に添加される」とは、インク用液体が筆記先端に至るまでの過程において、インク用液体が、固形状の着色剤が収容されている部分を通過することにより、固形状の着色剤が少しずつ溶解又は分散しながら添加されること、あるいはインク用液体が筆記先端に至るまでの過程において、インク用液体が、液状の着色剤が収納されている部分を通過することにより、液状の着色剤が少しずつ混ざりながら添加されていること、あるいはインク用液体が筆記先端に至るまでの過程において、液状の着色剤が直接インク用液体に添加されることなどを意味する。
【0022】
同様に、「インク用液体が筆記先端へ誘導される途中で香料がインク用液体に添加される」とは、インク用液体が筆記先端に至るまでの過程において、インク用液体が、固形状の香料が収容されている部分を通過することにより、固形状の香料が少しずつ溶解又は分散しながら添加されること、あるいはインク用液体が筆記先端に至るまでの過程において、液状の香料が収納されている部分を通過することにより、インク用液体に液状の香料が少しずつ混ざりながら添加されていること、あるいはインク用液体が筆記先端に至るまでの過程において、液状の香料が直接インク用液体に添加されることなどを意味する。
香料の収納場所は、着色剤収納場所と同じでも良く、またその近傍でも構わない。
【0023】
そして、このように、インク用液体(16)と、着色剤及び香料とを分離して収納すると共に、インク用液体(16)が筆記先端に至る途中で、着色剤、香料がインク用液体に添加されるように形成することにより、インク用液体(16)が透明や極めて薄い色であるにもかかわらず、筆記先端では、所定の色彩をはっきり呈するインクで筆記することが出来る。また、インク用液体(16)を筆記の際に呈する色とは異なった色にすることで筆記の際に驚きや不思議感を与えることも出来る。
また、香料が入ることで、描線に香りを付与することが可能となり、更なる付加価値を付けることが出来るようになる。
【0024】
(請求項3)
(特徴点)
請求項3記載の発明は、前述した請求項1又は2に記載の発明において、次の点を特徴とする。
すなわち、請求項3記載の発明は、インク用液体(16)中に、当該インク用液体(16)に溶解しない液体非溶解物が浮遊していることを特徴とする。
【0025】
このような請求項3記載の発明によれば、筆記具の外観から見えるインク用液体(16)中にインク用液体(16)には溶解しない物質、例えば、プラスチック製の薄版、プラスチック製の小物、金属製の薄膜、金属製の小物、金属粉、ガラス製の小物等を封入しておくと、筆記時などにこれらがインク用液体(16)中で揺れ動くので、これにより、見た感じが非常におもしろい筆記具とすることができるのである。
また、インク用液体(16)に溶解しない物質と香料が関係することで、使用者の視覚及び嗅覚の両方に対して、同時に面白く感じさせることができる。
例えば、香料にバナナの香料を採用し、インク用液体(16)中にバナナを想像するような形状や色の物体を封入する事で、外観と筆記描線の香りとを結びつけることができる。
また、例えば、商品名、企業名、キャラクターなどを付したプラスチック製の薄板等を封入しておくと、従来のインクでは読みとることができなかったような文字などを認識させることができるので、これにより宣伝効果の高い筆記具を提供することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施の形態を、図示例と共に説明する。本実施形態においては、直液式低粘度水性ボールペンを参考にして説明するが、本発明は、これに限定されるものでは無い。
図1乃至図3は本発明の第1実施形態を示している。図1乃至図3において、本第1実施形態の筆記具は、円筒状の軸筒1を備え、この軸筒1の後方側の内部には、インク用液体16を収納するための液体収納部1aが設けられ、また、前方側の内部には、液体収納部1aの圧力変化によるインク用液体の筆記先端部からの漏れ出しを防止するためのコレクター5が固定されている。
【0027】
また、前記軸筒1は、例えば、ポリプロピレン(PP)などの合成樹脂を材料として、全体が無色透明に形成され、これにより、軸筒1の外部からその内部を視認できるようにしてある。
なお、軸筒1は、円筒状に形成される場合に限られず、例えば、その外周を多角形状に形成してもよい。
【0028】
また、軸筒1は、ポリプロピレン(PP)を材料として形成される場合に限られず、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ酢酸ビニル(PVAC)、ポリビニルホルマール(PVF)、ポリ二塩化ビニルなどのビニル系、ポリスチレン(PS)、スチレン・アクリロニトリル共重合体(AS)、ABSなどのポリスチレン系、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)などのポリエチレン系、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、変性アクリルなどのアクリル系、三ふっ化塩化エチレン(PCTFE)、四ふっ化エチレン(PTFE)、四ふっ化エチレン・六ふっ化プロピレン(FEP)、ふっ化ビニリデン(PVDF)などのふっ素樹脂、ポリアセタール(PA)、ポリカーボネート(PC)、フエノキシ、ポリエステル(PETP)、ポリウレタン(PU)、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂(PF)、尿素樹脂(UF)、メラニン・ホルムアルデヒド樹脂(MF)、エポキシ樹脂(EP)、フラン樹脂(FF)、キシレン樹脂(XF)、シリコーン樹脂、ナイロンなどを材料として形成してもよい。
【0029】
また、軸筒1は、無色透明に形成される場合に限られず、例えば、有色透明、あるいは半透明に形成してもよい。
また、軸筒1は、全体が透明に形成される場合に限られず、例えば、その一部に透明な窓を設けることにより、その内部を視認できるようにしてもよい。
また、軸筒1は、全体が透明に形成されると共に、その把持部となる位置の外周に透明あるいは不透明な弾性体グリップが設けられてもよい。
また、軸筒1の表面に、文字や図形や模様などを付してもよい。
即ち、軸筒1は、その内部が視認できるように形成されていることが望ましいものである。
【0030】
また、上述したコレクター5は、例えば、ABSなどの合成樹脂を材料として、全体が無色透明に形成されている。
また、図1乃至図3に示すように、コレクター5の外周には、液体収納部1a側の後端から筆記先端部側へ向けて形成されている液体誘導溝7と、筆記先端部側の前端から液体収納部1a側へ向けて形成されている空気置換溝8と、液体誘導溝7及び空気置換溝8の双方と交わるように形成されている多数の液体保留溝6とが設けられ、これらにより、液体収納部1a内の圧力変化を調整するようにしている。
【0031】
なお、コレクター5は、無色透明に形成される場合に限られず、例えば、有色透明、半透明、あるいは不透明に形成してもよい。即ち、コレクター5は、その内部が視認できるものであってもよく、また、その内部が視認できないものであってもよい。
また、コレクター5の中心には、その後端部から筆記先端側の前端部まで貫通する孔部5aが設けられている。この孔部5aは、円筒状に形成される場合に限られず、例えば、その内周面を多角形状に形成してもよい。また、例えば、孔部5aの内周面に、液体収納部1a側の後端から筆記先端部側の前端まで連続する多数の溝を設けてもよい。
【0032】
また、その孔部5aの軸方向略中央に孔部を適宜縮径した状態の規制部9が設けられると共に、孔部5aの規制部9の後方側に着色剤吸着芯14が挿入され、その着色剤吸着芯14を固定する状態でコレクターの孔部5aの後端にコレクター用芯15が固定されている。なお、コレクター用芯15は、着色剤吸着芯14を固定する役目と共にインク用液体16を着色剤吸着芯14に誘導し、且つ着色剤吸着芯14に吸着されなかった着色剤が液体収納部1aのインク用液体16及びコレクター5の液体保留溝6内に混入するのを防ぐ更なる安全装置となる。
【0033】
また、孔部5aの規制部9の前方側には、液体収納部1aから着色剤吸着芯14を経由して筆記先端部側へインク用液体16を誘導するための着色剤添加芯13が挿入されている。液体収納部1aの内部に収納されたインク用液体16の中には、インク用液体16に溶解しない液体非溶解物である、図示しない広告用プレートが浮遊している。この広告用プレートには、商品の名称や図が描かれている。
また、着色剤添加芯13に着色剤を含浸させることにより、着色剤をインク用液体16とは分離して収納するようにしている。更には、これらにより、インク用液体16が筆記先端部側へ誘導される途中で、着色剤がインク用液体16に添加されるようにしている。
【0034】
前記着色剤添加芯13は、繊維束体によって、 円柱棒状に形成されている。
また、 着色剤添加芯13としての繊維束体には、 インク用液体16を誘導するための適正な気孔率が設けられている。
また、 着色剤添加芯13は、 繊維束体によって形成される場合に限られず、 例えば、 多孔質体によって形成してもよい。
また、着色剤添加芯13は、 ポリアセタール, ポリプロピレンあるいはポリエステルなどの合成樹脂によって形成してもよい。 この場合、 芯の外周面に、 一方の端部から他方の端部まで連続する多数の毛細管溝やスリットや凹状部を設けたり、 あるいは芯の内部に、 一方の端部から他方の端部まで貫通する多数の毛細管溝や毛細管孔や凹状部が設けられる。
【0035】
一方、筆記具を筆記せずに放置している状態が長く続くと着色剤がインク用液体に拡散し、見た感じの従来筆記具との差がなくなってしまう危険性がある。
そこで、着色剤吸着芯14は、着色剤を拡散途中で捕獲・吸着させる目的で、活性炭を主材とした粉末状や繊維状のものを多孔質状で円柱棒状体に形成してなるものであって、インク用液体16と着色剤添加芯13との間に配設され、着色剤吸着芯14の前端と着色剤添加芯13の後端が略接触するように設けられることによって、インク用液体16を液体収納部1aから着色剤添加芯13へ誘導可能とすると共に、 拡散された着色剤を吸着し、着色剤が液体収納部1a側へ移動するのを防止して、従来の筆記具とは見た感じがまったく異なる状態を長く維持可能とする。例えば、インク用液体16が無色透明または、インク用液体16に微着色した場合、その極めて薄い色の状態を長く維持することが可能である。
【0036】
また、上述したように、コレクターの孔部5aの軸方向略中央には、孔部5aを適宜縮径した状態の規制部9が設けられている。この規制部9は、孔部5aの内壁に一体に、前面にテーパー面を有して形成され、このテーパー面に密接するように着色剤添加芯13の後端もテーパー面で形成されて、着色剤添加芯13のテーパー状の後端が着色剤吸着芯14の前端に接触している。
着色剤添加芯13と着色剤吸着芯14の接触部をこのように設けることによって、着色剤吸着芯14が、液体収納部1aから着色剤添加芯13へインク用液体16を適正量で誘導することが可能となり、且つ着色剤が液体収納部1a側へ移動するのが抑制されるので、一層着色剤が液体収納部1a側へ移動するが防止される。なお、前記規制部9の形状は、本第1実施形態の形状に限定されず、設計都合により形状が選定可能である。
なお、このことは後述するコレクターを備えていない直液式のサインペン、マーカーペン、あるいはボールペンにも用いることができる。この場合、着色剤吸着芯の前端と着色剤添加芯の後端との接触面を適宜制限するように規制部が設けられる。
【0037】
また、筆記具の前方部に於いて、前端に口先部2が固着された継ぎ手3が軸筒1の前端に固着され、口先部2の前端に筆記先端部としてのボールペンチップ10が固定されると共に、口先部2の後方に延設された軸部がコレクター5の前端に形成された軸部の内孔に固定されている。また、口先部2と継ぎ手3との接合部に外気と接続する空気孔4が形成され、その空気孔4からコレクター5に設けられた空気置換溝8に連通する通気路が形成されている。
また、 ボールペンチップ10は、 その前端に先端ボールを回転自在に保持し、 また、 ボールペンチップ10の内部には、 インク誘導芯12の前端部が挿入され、 これにより、 着色剤添加芯13を通過したインクが筆記先端部へ誘導されるようになっている。
【0038】
なお、筆記先端部は、ボールペンチップ10によって形成される場合に限られず、例えば、万年筆のペン先によって形成してもよく、また、フェルトからなる筆記用先端によって形成してもよく、また、繊維束体からなる筆記用先端によって形成してもよく、また、ニードルペンに用いられる細い管状の筆記用先端によって形成してもよい。
【0039】
ここで、香料は、インク用液体16を液体収納部1aに注入する前に、予めインク用液体16に混合しておき、香料入りインク用液体16として液体収納部1aに収納しておくことができる。
あるいは、香料は、インク用液体16に混合せずに、着色剤添加芯13として軸筒1内に収納することもできる。すなわち、軸筒1の内部に着色剤添加芯13を収納する前に、液体に溶かした状態の香料を、やはり液体に溶かした着色剤とともに着色剤添加芯13に含ませた後に乾燥し、着色剤添加芯13として軸筒1内に収納することもできる。
若しくは、着色剤を添加すべき添加芯を、軸筒1の軸方向又は径方向に分割し、分割した添加芯の一部に着色剤を含ませ、分割した添加芯の残りに、香料を含ませ、乾燥させた後に、元の状態に組み立てた添加芯を軸筒1内に収納することにより、香料を軸筒1内に収納してもよい。
【0040】
図4及び図5は、本発明の第2実施形態を示している。
図4及び図5において、第2実施形態に係る筆記具は、円筒状の軸筒19を備え、この軸筒19の前方側の内部には、液体収納部の圧力変化によるインク用液体の筆記先端部からの漏れ出しを防止するためのコレクター20が固定されている。
この第2実施形態は、上述した第1実施形態がコレクターの孔部5aの軸方向略中央に、孔部5aを適宜縮径した状態の規制部9を設け、液体収納部1aから着色剤添加芯13へのインク用液体16を適正量で誘導可能とし、且つ着色剤が液体収納部1a側へ移動するのを一層防止可能とするのに対し、着色剤添加芯22の後端が着色剤吸着芯23の前端とがそのまま接触した状態で設けられており、より好ましい第1実施形態に対し実質上は本発明の目的を達成可能とするものである。
【0041】
図6及び図7は、本発明の第3実施形態を示している。
図6及び図7において、第3実施形態に係る筆記具は、円筒状の軸筒24を備え、この軸筒24の前方側の内部には、液体収納部の圧力変化によるインク用液体の筆記先端部からの漏れ出しを防止するためのコレクター25が固定されている。
また、コレクター25の孔部の軸方向略中央に、孔部の内壁に密着してブッシュ29が固定され、そのブッシュ29の後端に着色剤吸着芯28の前端が略当接して設けられ、またブッシュ29の軸心に設けられた細孔部に着色剤添加芯27の後端に形成された細径部27a が嵌挿され、規制部として機能すると共に、細径部27a の後端が着色剤吸着芯28の前端に接触して設けられている。なお、ブッシュ29はゴムなどの弾性体で形成されるが、特に限定はされない。この第3実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の作用・効果(性能)を達成することができる。
【0042】
【実施例】
以下、さらに具体的な実施例1,2により、本発明を更に詳しく説明する。
(実施例1)
本実施例1は、第1実施形態で示した構造を有するボールペンに、香り付きインク用液体16及び無臭の着色剤添加芯13を採用したものである。
【0043】
(インク用液体16)
本実施例1で採用するインク用液体16は、下記の成分を下記の割合で配合した、バナナの香りのする透明なインク用の液体である。
−インク用液体16の成分(重量%)−
・グリセリン(溶剤)                10   %
・ジエチレングリコール(溶剤)           10   %
・2−ピロリドン(溶剤)              10   %
・ベンゾトリアゾール(防錆剤)            0.1 %
・トリエタノールアミン(pH調整剤)         0.5 %
・フォスファノールRE−610(潤滑剤;東邦化学工業(株)製)0.05%
・プロキセルGXL(防腐剤;ゼネカ(株)製)       0.1 %
・バナナT−1510(香料;山本香料社製)         1   %
・精製水                      68.25%
【0044】
(着色剤添加芯13)
本実施例1で採用する着色剤添加芯13は、下記の成分を下記の割合で配合した着色剤含浸用液体を添加芯に含有させた後、当該添加芯を乾燥させた無臭のものである。
−着色剤含浸用液体の成分(重量%)−
・食用赤104号(染料)     20%
・エチルアルコール(溶剤)    80%
【0045】
(実施例2)
本実施例2は、第1実施形態で示した構造を有するボールペンに、無臭のインク用液体16及び香り付き着色剤添加芯13を採用したものである。
(インク用液体16)
本実施例2で採用するインク用液体16は、下記の成分を下記の割合で配合した、透き通る薄紫色に着色された無臭の透明液体である。
−インク用液体16の成分(重量%)−
・N−メチル−2−ピロリドン(溶剤)         15   %
・グリセリン(溶剤)                 20   %
・ベンゾトリアゾール(防錆剤)                             0.1 %
・トリエタノールアミン(pH調整剤)                        0.5 %
・フォスファノールRE−610(潤滑剤;東邦化学工業(株)製)  0.05%
・プロキセルGXL(防腐剤;ゼネカ(株)製)        0.1 %
・スチレンマレイン酸樹脂アンモニウム塩(添加剤)    5   %
・スチレンアクリル酸樹脂アンモニウム塩(添加剤)    5   %
・食用青1号(染料)                  0.01%
・食用赤106号(染料)                                   0.02%
・食用赤103号(染料)                                   0.02%
・精製水                       54.2 %
【0046】
(着色剤添加芯13)
本実施例2で採用する着色剤添加芯13は、下記の成分を下記の割合で配合した着色剤含浸用液体を添加芯に含有させた後、当該添加芯を乾燥させた、僅かにブルーベリーの香りのするものである。
−着色剤含浸用液体の成分(重量%)−
・アイゼンスピロンバイオレットC−RH        18%
(染料;保土ヶ谷化学工業(株)社製)
・メチルアルコール(揮発性溶剤)           40%
・エチルアルコール(揮発性溶剤)           40%
・ブルーベリーV−647(香料;山本香料社製)     2%
【0047】
【作用及び結果】
実施例1によれば、ペン体の外観インク色は透明であるが、筆記すると赤色を呈した筆記描線を得ることが出来た。また、ボールペン本体の外からインク中にバナナ形状の物体を確認する事が出来たうえ、筆記描線にバナナの香りを付与することが出来た。
実施例2によれば、ボールペン本体の外から見えるインク色は薄い紫色であるが、筆記するとはっきりとした紫色を呈した筆記描線を得ることが出来た。また、筆記と同時に描線にブルーベリーの香りを付与することが出来た。
【0048】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
(請求項1の効果)
請求項1記載の発明によれば、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項1記載の発明によれば、インク用液体と着色剤とを分離して収納すると共に、インク用液体が筆記先端に至る途中で、着色剤がインク用液体に添加されるように形成することにより、インク用液体が透明や極めて薄い色であるにもかかわらず、筆記先端では、所定の色彩を呈するインクで筆記することが出来る。また、インク用液体を筆記の際に呈する色とは異なった色にすることで筆記の際に驚きや不思議感を与えることも出来る。
そのうえ、インク用液体中に香料が入ることで、描線に香りを付与することが可能となり、更なる付加価値を付けることが出来る。
【0049】
(請求項2の効果)
請求項2記載の発明によれば、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項2記載の発明によれば、インク用液体と、着色剤及び香料とを分離して収納すると共に、インク用液体が筆記先端に至る途中で、着色剤、香料がインク用液体に添加されるように形成することにより、インク用液体が透明や極めて薄い色であるにもかかわらず、筆記先端では、所定の色彩を呈するインクで筆記することが出来る。また、インク用液体を筆記の際に呈する色とは異なった色にすることで筆記の際に驚きや不思議感を与えることも出来る。
また、香料が入ることで、描線に香りを付与することが可能となり、更なる付加価値を付けることが出来る。
【0050】
(請求項3の効果)
請求項3記載の発明によれば、上記した請求項1又は2記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項3記載の発明によれば、筆記具の外観から見えるインク用液体中にインク用液体には溶解しない物質、例えば、プラスチック製の薄版、プラスチック製の小物、金属製の薄膜、金属製の小物、金属粉、ガラス製の小物等を封入しておくと、筆記時などにこれらがインク用液体中で揺れ動くので、これにより、見た感じが非常におもしろい筆記具とすることができる。
また、インク用液体に溶解しない物質と香料が関係することで、使用者の視覚及び嗅覚の両方に対して、同時に面白く感じさせることができる。
例えば、香料にバナナの香料を採用し、インク用液体中にバナナを想像するような形状や色の物体を封入する事で、外観と筆記描線の香りとを結びつけることができる。
また、例えば、商品名、企業名、キャラクターなどを付したプラスチック製の薄板等を封入しておくと、従来のインクでは読みとることができなかったような文字などを認識させることができるので、これにより宣伝効果の高い筆記具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る筆記具の全体を示す断面図である。
【図2】前記第1実施形態の要部を拡大して示した断面図である。
【図3】図2のA−A線における断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る筆記具の全体を示す断面図である。
【図5】前記第2実施形態の要部を拡大して示した断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る筆記具の全体を示す断面図である。
【図7】前記第3実施形態の要部を拡大して示した断面図である。
【符号の説明】
1    軸筒
1a   液体収納部
2    口先部
3    継ぎ手
4    空気孔
5    コレクター
5a   孔部
6    液体保留溝
7    液体誘導溝
8    空気置換溝
9    規制部
10   ボールペンチップ
11   先端ボール
12   インク誘導芯
13   着色剤添加芯
14   着色剤吸着芯
15   コレクター用芯
16   インク用液体
17   キャップ
18   尾栓
19   軸筒
20   コレクター
21   インク誘導芯
22   着色剤添加芯
23   着色剤吸着芯
24   軸筒
25   コレクター
26   インク誘導芯
27   着色剤添加芯
27a  細径部
28   着色剤吸着芯
29   ブッシュ

Claims (3)

  1. インク用液体と、このインク用液体に着色するための着色剤の主体とが分離されて収納され、インク用液体が筆記先端へ誘導される途中で、着色剤がインク用液体に添加されるように設けられている筆記具であって、
    前記インク用液体が香料を含んでいることを特徴とする筆記具。
  2. インク用液体と、このインク用液体に着色するための着色剤の主体とが分離されて収納され、インク用液体が筆記先端へ誘導される途中で、着色剤がインク用液体に添加されるように設けられている筆記具に於いて、
    インク用液体が筆記先端へ誘導される途中で、香料がインク用液体に添加されるように設けられていることを特徴とする筆記具。
  3. インク用液体中に、当該インク用液体に溶解しない液体非溶解物が浮遊していることを特徴とする請求項1又は2記載の筆記具。
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