JP2004141517A - 昇降装置と昇降操作方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】医療用輸液容器などの小型軽量の吊下物を任意高さに簡単自在に制御でき、電源が不要で操作音が小さくメンテナンスフリーの昇降装置を開発する。
【解決手段】本発明に係る昇降装置2は、一端に吊下物を吊下げるための係止手段8を装着したワイヤ4と、このワイヤ4を巻き上げるための巻取ドラム22と、前記ワイヤ4を巻き取るために巻取ドラム22を巻取方向に回転付勢する巻取付勢手段24と、前記ワイヤ4を拘束してワイヤ4の巻取を停止させ、またワイヤ4の拘束を解除してワイヤ4の巻取を行うストッパー50と、前記巻取ドラム22がワイヤ4の巻取方向に回転するときに巻取ドラム22の回転に制動を加えて回転速度を低速に調整する制動手段34から構成される。ワイヤ拘束状態でも、多少の力でワイヤ4は下降し、力の解除でワイヤ4は直ちに停止する。ワイヤ4の拘束解除ではワイヤ4は制動力により低速で安全に騒音無く上昇する。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明に係る昇降装置2は、一端に吊下物を吊下げるための係止手段8を装着したワイヤ4と、このワイヤ4を巻き上げるための巻取ドラム22と、前記ワイヤ4を巻き取るために巻取ドラム22を巻取方向に回転付勢する巻取付勢手段24と、前記ワイヤ4を拘束してワイヤ4の巻取を停止させ、またワイヤ4の拘束を解除してワイヤ4の巻取を行うストッパー50と、前記巻取ドラム22がワイヤ4の巻取方向に回転するときに巻取ドラム22の回転に制動を加えて回転速度を低速に調整する制動手段34から構成される。ワイヤ拘束状態でも、多少の力でワイヤ4は下降し、力の解除でワイヤ4は直ちに停止する。ワイヤ4の拘束解除ではワイヤ4は制動力により低速で安全に騒音無く上昇する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は治療用輸液容器(点滴容器とも云う)、就寝状態の読書用書籍架台などの任意の小型軽量な吊下物を任意位置に昇降配置する昇降装置に関し、更に詳細には、小さな力により簡単な操作で吊下物を上昇・下降でき、しかも操作音が小さく電源が不要な昇降装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、昇降装置としては、工場や作業場におけるクレーン装置が一般的である。この種のクレーン装置は、鉄骨などの重量物を吊り上げて所定位置に搬送制御するものであり、大型・大重量であるため極めて高価である。従って、病院や家庭や事務所などでは、小型軽量な吊下物を吊下げ制御するために、このようなクレーン装置を簡易に使用できるものではない。
【0003】
例えば、病院や家庭で、就寝状態で本を読む場合には、寝た状態で本を手に取って読んだり、高価な読書用書籍架台を特定位置に固定配置して、この上に本を装着して使用することが多い。このような場合、手が疲れたりして長時間の読書は無理であり、また読書用書籍架台が場所を取って邪魔になるケースが多い。このため、読書用書籍架台を天井から吊下げて簡易に高さ調整できる昇降装置が要望されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特に、病院で行われる点滴の場合を説明する。病院では、患者に対し点滴を行う場合、点滴用の治療用輸液容器をスタンドに吊下げることが多い。スタンドには、床やベッドに固定されたスタンドや、キャスターを設けて床に対し移動可能なスタンドがある。
【0005】
図10は治療用輸液容器を従来の固定スタンドに吊下げる場合の使用状態図である。床96からスタンド97が立設され、このスタンド97から吊フック99を設けた水平バー98が配置されている。
【0006】
点滴をする場合には、吊紐部92を吊フック99に係止して治療用輸液容器90を吊下げる。治療用輸液容器90から点滴チューブ100を垂下して患者94に点滴操作を施す。治療用輸液容器90の取り付け位置は可変調節できないから、容器口部90aと患者94との間隔は高さHに固定されてしまう。
【0007】
治療用輸液の供給流量(点滴速度)は高さHに依存するから、高さHを可変調整できないため、このままでは治療用輸液の供給流量を可変調整することができない。供給流量を可変するためには、スタンド97の高さを可変調整するか、吊紐部92の長さを可変調整する以外に無い。しかし、このような操作は面倒であり、忙しい看護士の仕事を加重にする原因の一つになっている。
【0008】
また、スタンド97はかなり大きな容積を必要とするから、このようなスタンド97を病室に配置すると、狭い病室が更に狭くなるといった風である。特に、スタンド97が病室に存在すると、人がスタンドと衝突したり、その際にスタンドが転倒して不測の事態が生じる危険性もある。
【0009】
従って、本発明は、小型軽量の吊下物を任意の高さに簡単にしかも自在に調節制御できる昇降装置を提供することを目的とする。また、本発明は、電源が不要で操作音が小さく、更に天井や壁面に固定配置することによって、未使用時には天井や壁面にコンパクトに収納でき、吊下げ具の転倒や衝突などの事故を防止できる昇降装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、第1の発明は、一端に吊下物を吊下げるための係止手段を装着したワイヤと、このワイヤを巻き上げるための巻取ドラムと、前記ワイヤを巻き取るために巻取ドラムを巻取方向に回転付勢する巻取付勢手段と、前記ワイヤを拘束してワイヤの巻取を停止させ、またワイヤの拘束を解除してワイヤの巻取を行うストッパーと、前記巻取ドラムがワイヤの巻取方向に回転するときに巻取ドラムの回転に制動を加えて回転速度を低速に調整する制動手段から構成される昇降装置である。従って、ワイヤの拘束状態では、ワイヤの拘束力よりも大きな力でワイヤを下方に引っ張ればワイヤは下降し、しかもその力を外せばワイヤは直ちに拘束されて下降を停止するから、吊下物を任意の高さ位置に可変調節できる。ワイヤ拘束力を小さく設定すればこの引張力も小さくて済むから、大人から子供に至る広範囲の人たちが小さな力で簡単に操作できる。またワイヤの拘束を解除すれば、巻取付勢手段によりワイヤは上昇し、しかも制動手段により制動力を受けた状態で上昇するから、ワイヤの上昇速度は低速になるため極めて安全にワイヤを収納することができる。また、ワイヤ拘束状態で吊下物を下降させ過ぎた場合に、拘束解除によって吊下物を任意の正しい位置まで低速で安全に上昇させることもできる。この装置は電源が不要であるから、どのような場所にでも対応でき、近代的設備の家屋や病院でも、また電気設備の無い任意の場所でも使用できる利点を有する。特に、医療用輸液容器の昇降装置として使用した場合には、病院や電源の無い場所でも医療用輸液容器を任意の高さに配置できるから、点滴速度の調整が極めて容易になる利点がある。
【0011】
第2の発明は、前記昇降装置と、この昇降装置を内部に固定配置するハウジングと、このハウジングの所要部に穿設された固定孔から構成され、固定孔を介して建造物に固着できる昇降装置である。ハウジングの固定孔を介して室内の壁面や天井にボルトで固定すると、吊下げ具を設置する余分なスペースが不要になり、また未使用時にはワイヤと係止手段は上方に収納されるから収納がコンパクトであるだけでなく、室内において邪魔にならない特徴がある。特に、病院などで医療用輸液容器の吊下げに使用する場合には、第1の発明の作用効果に加えて狭い病室の邪魔にならず、しかも装置との衝突事故などを防止できるため、従来からよく生起した吊下げ具の転倒事故が無くなり、病院の安全性をより一層に高める効果がある。
【0012】
第3の発明は、巻取付勢手段が、巻取ドラムに同軸に固定配置されて一体に回転する補助付勢ドラムと、この補助付勢ドラムと分離して配置される主付勢ドラムと、この主付勢ドラムに巻回されて主付勢ドラムをその巻回方向に巻回付勢するテープスプリングから構成され、テープスプリングの一端を補助付勢ドラムに固定して補助付勢ドラムをワイヤの巻取方向に回転付勢して巻取ドラムに回転付勢力を与える昇降装置である。テープスプリングの機械的弾性力を巻取付勢手段の原動力とするから、ワイヤの巻取に電源が不要になるため電源の無い地域でも本装置を使用することができ、しかもテープスプリングの長期安定性はゼンマイを原動力とする装置群で従来から実証済みであるから、この装置の長期耐久性が保証される。従って、電源の無い遠方の地域で使用されても故障の心配が無く、メンテナンスフリーの昇降装置である。
【0013】
第4の発明は、ストッパーが、ワイヤを移動可能に挿通した状態で固定配置されるケーシングと、同時にワイヤを移動可能に挿通した状態で前記ケーシングに先端部を挿入されるワイヤ拘束体と、このワイヤ拘束体の先端部に配置されしかもワイヤとケーシング内のテーパ部に接触可能に配置された転動自在な複数のボールと、前記ケーシング内に配置されてワイヤ拘束体をケーシングに吸引付勢するスプリングから構成され、通常はスプリングの付勢力により前記先端部が吸引されてボールがテーパ部とワイヤに同時圧接してワイヤを拘束し、ワイヤ拘束体をケーシングから分離する方向に引っ張ってスプリングの前記付勢力を緩めてボールを自由にしてワイヤの拘束を解除する昇降装置である。ボールがワイヤに圧接することによりワイヤを拘束するから、この圧接摩擦力より大きな外力でワイヤを下降させれば、ワイヤは簡単に下降し、しかもその外力を取りさればボールの圧接摩擦力は直ちに回復作用してワイヤを瞬時に停止できる利点がある。つまり、手動でワイヤを下降させれば下降し、手を外せばワイヤはその位置で停止する極めて俊敏な機械的動作が実現できる。また、ワイヤ拘束体を手動で下方に引っ張るだけで、ボールの圧接は無くなってワイヤは自動的に上昇し、ワイヤの収納が自動的に為される。
【0014】
第5の発明は、制動手段が、前記巻取ドラムの軸心部に挿入されて軸回転駆動に対し制動作用を発揮する制動軸と、この制動軸に対し着脱自在に連結される制動部材と、この制動部材を回転ドラムに一体化する固定手段から構成され、回転ドラムが巻取方向に回転するときに制動軸の回転により回転制動力が生じる昇降装置である。従って、制動部材が制動軸と連結している限り、ワイヤの低速上昇が安定して実現でき、逆に制動部材を制動軸から取り外せば制動作用が無くなってワイヤの高速上昇が発現する。制動作用によるワイヤの低速上昇はワイヤの収納の安全性を高め、また吊下物の上昇動作でも微妙な高さ調整を可能にする。制動軸には油圧ダンパー、機械摩擦ダンパー、磁石による電磁ダンパー、機械的締付ダンパーなどの各種の制動用ダンパーが利用できる。
【0015】
第6の発明は、前記昇降装置を室内の所要部に固定し、ハウジングの下面からワイヤと係止手段を垂下させ、ワイヤを手動下降させて係止手段に吊下物を吊下げ、ストッパーを操作してワイヤの拘束や拘束解除を行って吊下物を任意位置に固定配置すべく昇降制御する昇降装置の昇降操作方法である。昇降装置を室内にコンパクトに配置でき、また手動により係止手段を任意位置まで簡単に下降でき、ストッパー解除による上昇操作と手動による下降操作の組み合わせだけで、年少から年長に至る任意の人達が小さな力で極めて簡単に吊下物の高さ調整や、ワイヤの収納操作を実施できる利点がある。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る昇降装置及び昇降操作方法の実施形態を添付する図面に従って詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明に係る昇降装置2の分解斜視図である。昇降装置2の下側には、ワイヤ4が重錘6により鉛直下方に垂下され、重錘6の下には吊下物を吊下げるフック状の係止手段8が取り付けられている。大きな基板10の上には、水平板14と垂直板16からL字状に構成された取付部材12が配置される。
【0018】
基板10の中央には複数本のボルト状突起18が突設され、これらのボルト状突起18に水平板14を挿通して重ね、上からナット19で締め付けて、基板10と取付部材12とが一体に固定される。
【0019】
ワイヤ挿通用ナット20は基板10と水平板14と一体に固定され、ワイヤ4はこのワイヤ挿通用ナット20を通して巻取ドラム22に巻回されている。ワイヤ4の最終端は巻取ドラム22に固着される。この巻取ドラム22を巻取方向に回転するとワイヤ4は上昇して収納され、逆に反巻取方向に回転するとワイヤ4は下降して吊下物を吊下げる態勢に入る。
【0020】
巻取ドラム22の背後には、巻取付勢手段24が配置されている。この巻取付勢手段24は補助付勢ドラム26と主付勢ドラム28からなり、補助付勢ドラム26は前記巻取ドラム22と同軸に一体に形成され、主付勢ドラム28は補助付勢ドラム26と別体に分離して配置される。即ち、補助付勢ドラム26と主付勢ドラム28は垂直板16に回転自在に取り付けられる。
【0021】
主付勢ドラム28にはテープスプリング30が巻回され、テープスプリング30のテープ端部30aは補助付勢ドラム26の軸部にネジ32により固定される。テープスプリング30の残りの端部は主付勢ドラム28の軸部に固定されている。
【0022】
テープスプリング30は常に主付勢ドラム28に巻回されるように付勢されており、図1に示される状態が回転付勢力により完全に巻回されたテープスプリング30の状態を示している。従って、この回転付勢力により、巻取ドラム22と補助付勢ドラム26は一体となってワイヤ4の巻取方向に回転するように常時付勢されている。
【0023】
巻取ドラム22と補助付勢ドラム26の軸位置には制動手段34が配置されている。図1には、制動手段34を構成する制動部材35が巻取ドラム22の側面にネジ35aで固定される状態が示されている。制動手段34の詳細は図3を用いて後述する。
【0024】
固定部材36はn字状に形成された部材で、天板38と側板39、39から構成される。天板38には固定孔38aが穿設され、この天板38aにボルトを挿通して壁面や天井面、その他の部材に固着すれば、この装置を室内や室外の邪魔にならない位置にコンパクトに配置することができる。
【0025】
側板39、39の下部は内方に曲げられて折曲板40、40が形成されている。折曲板40にはネジ孔40aが穿設されている。一方、基板10にも複数のネジ孔41が穿設されており、複数のネジ42をネジ孔41、40aに挿通すれば、固定部材36を基板10と一体化できる。勿論、ネジ42をナット締めしても良い。
【0026】
このように、固定部材36と基板10は、この昇降装置2のハウジングを形成する。前述した昇降装置の実質を為す構造はこのハウジングの内部に一体的に組み込まれた状態にあり、ワイヤ4と重錘6と係止手段8がハウジングの下方に垂下する。従って、ハウジングを壁面、天井又は他の部材に固定すれば、本昇降装置2が邪魔にならないように配設されることができる。
【0027】
図2は本発明に係る昇降装置2の内部構造の平面図である。ワイヤ4が巻取ドラム22に巻回されており、その先端がワイヤ挿通用ナット20から送り出されている。また、制動手段34は制動部材35と破線で描かれた制動軸37から構成されている。更に、テープスプリング30が主付勢手段28から巻き出されてそのテープ端部30aが補助付勢ドラム26にネジ32により固定される様子が示されている。
【0028】
図3は本発明に係る昇降装置2の制動機構近傍の横断面図である。巻取ドラム22と補助付勢ドラム26は一体に研削形成されているが、別部材として形成された後に一体化されてもよい。ワイヤ4が巻取ドラム22に巻回されている状態が示されている。
【0029】
制動手段34は制動部材35と制動軸37から構成される。制動部材35は、制動板35bと、制動突出部35cと、その先端に形成された制動キー35dから一体に形成されている。この制動部材35はネジ35aにより巻取ドラム22に固定されている。
【0030】
巻取ドラム22と補助付勢ドラム26は同軸に形成されており、その軸心部に制動軸37が軸装されている。制動軸37の軸長は図では補助付勢ドラム26の軸長程度であるが、更に延出して巻取ドラム22の近辺に達してもよい。
【0031】
制動軸37の一端である軸端部37bは垂直板16に軸支されている。また、制動軸37の他端にはキー溝37aが刻設され、このキー溝37aに制動キー35cが噛合して一体化される。つまり、補助付勢ドラム26の作用で巻取ドラム22が巻取方向に回転すると、キーとキー溝の連結で、制動軸37も同方向に回転する。
【0032】
制動軸37の制動作用は次のようにして生じる。図示される制動軸37は、軸端部37bが垂直板16に締付状態で軸支されている。軸端部37bが巻取方向に回転すると、垂直板16との締付状態により強力な接触摩擦力が生じる。この摩擦力によって制動軸37の巻取方向回転が制動を受けるため、その回転速度は高速になることは無く、低速に保持される。
【0033】
ワイヤ4の手動引出により、巻取ドラム22が反巻取方向に回転した場合でも、制動軸37は反巻取方向に回転し、同様の制動力が生じる。しかし、この反巻取方向では後述するストッパー50のワイヤ拘束力が主たる制動力を与えるから、制動軸37の制動力は付加的な要素となる。しかし、上述した巻取方向ではワイヤ拘束力は無くなるため制動軸37による制動力が主たる制動効果を発現し、ワイヤ4や重錘6や係止手段8の上昇速度を顕著に低下させて、安全性を十分に実現する。
【0034】
図3では、制動軸37として機械的締付ダンパーが利用されてが、制動軸37の端面と垂直板16との圧接面摩擦力を利用した機械摩擦ダンパーを利用することもできる。その他、公知の種々の機械摩擦ダンパが適宜利用できることは云うまでもない。尚、上述では、制動軸は巻取方向と反巻取方向の両回転に対し制動作用を発揮する双方向制動軸を利用したが、巻取方向にだけ制動作用が発現する一方向制動軸が用いられても同様の効果を奏する。反巻取方向では、ワイヤ拘束力が制動力となるから、ワイヤの引き出し制動を加重にしないためには一方向制動軸が有効な場合もある。
【0035】
油圧ダンパーや電磁ダンパーも利用できる。油圧ダンパーは、制動軸37の中にオイルを封入し、制動軸37の内部に翼を一体に形成して構成される。制動軸37の回転と同時に翼が回転し、この翼がオイル中を回転通過するため、オイルから強い流体摩擦を受け、制動軸37の回転にブレーキが作用する。
【0036】
電磁ダンパーは、磁石と導電体が相対運動を生起した場合に、導電体に渦電流が発生して相対運動を停止させる電磁制動力が作用するダンパーである。制動軸37にこのような電磁制動構造を採用することもできる。このように、制動手段24には公知の多様なダンパー機構を採用することができる。
【0037】
図4は本発明に係る昇降装置2の正面図である。この正面図に初めて出る構造は、ストッパー50である。このストッパー50は、ワッシャー44を介して基板10に固定されるケーシング51と、このケーシング51に対し上下に微動操作できるワイヤ拘束体60と、このワイヤ拘束体60にピン72により回動自在に接続されたリング70から構成されている。ストッパー50以外の部材は既に説明されている。
【0038】
図5は本発明に係る昇降装置2のストッパー50の拡大縦断面図である。ケーシング51の先端には雄ネジ管突出部57が形成され、この雄ネジ管突出部57をワッシャ44を介して基板10と水平板14に挿通し、ワイヤ挿通用ナット20で締結してケーシング51は装置本体に固定されている。
【0039】
ケーシング51の内部には雌ネジ部52とテーパ部53により先細りの縮径空間54が形成され、その先端に段部55を介して細空間56が連続して形成されている。雄ネジ管突出部57と細空間56及び縮径空間54にはワイヤ4が挿通されている。
【0040】
ケーシング51の下方にはワイヤ4を挿通させたワイヤ拘束体60が配置されている。ワイヤ拘束体60は内部に空間62を有した基部61を中心に構成され、基部61の上部には、細い突出管63とテーパ管64と先端管67が一体に突設され、その中心軸にワイヤ4が挿通されている。
【0041】
テーパ管64は大径のテーパ管下端65から小径のテーパ管上端66に向かって先細り状に形成されている。このテーパ管64の途中部に3個の孔部68が穿設されており、この孔部68にボール69が転動自在に配置される。このボール69はテーパ管64の軸心に挿通されているワイヤ4に転接している。
【0042】
基部61の下部には、ピン72によりリング70が揺動自在に連結されている。また、基部61の上端には雄ネジ管体74が上下動自在に別体として配置され、この雄ネジ管体74の上端75とテーパ管下端65の間にスプリング76が配置されている。
【0043】
スプリング76はテーパ管下端65を常に上方へ押圧するように付勢しており、図5の状態で基部61を固定して雄ネジ管体74を上方へ押圧して上昇させると、雄ネジ管体上端75とテーパ管下端65の間でスプリング76は更に圧縮される。従って、スプリング76がテーパ管下端65を上方に押圧する付勢力は増大することになる。
【0044】
図6は本発明に係る昇降装置2のストッパー50におけるワイヤ拘束体60の外観図である。このワイヤ拘束体60には、一体部材ではない雄ネジ管体74とスプリング76は省略されている。テーパ管64の孔部68にボール69が配置されている状態が示されている。また、右側のA−A線矢視図では、3個のボールがテーパ管64に放射状に配置され、中心にあるワイヤ4と転接している状態が示されている。
【0045】
図7は、ワイヤ4を固定又は下降させる場合においてワイヤ4を拘束した状態のストッパー50の拡大縦断面図である。雄ネジ管体74をケーシング51の雌ネジ部52に螺合すると、雄ネジ管体74はケーシング51と一体化する。リング70を下方に引っ張らない状態では、スプリング76はテーパ管64を上方(矢印a方向)へ押圧し、先端管67が細空間56に深く進入して、ワイヤ拘束体60の基部61が雄ネジ管体74に最接近する。
【0046】
テーパ管64が上動すると、ボール69はテーパ部53とワイヤ4の間に狭持され、ワイヤ4の周囲がボール69の圧接力により強く狭着される。この状態をワイヤ拘束状態といい、ワイヤ4はボール69の圧接力によりその動きを停止し、吊下物があってもワイヤ4はその位置で停止し、吊下物は吊下げられたまま静止状態を保持する。勿論、吊下物が無い場合でも停止状態になる。
【0047】
より詳細に説明する。この状態でワイヤ4を無理に上昇させると、ボール69はテーパ部53のより細い空間に挟みこまれるから、ボール69の圧接力は更に増大してワイヤ4を無理に上昇させることは不可能になる。つまり、ワイヤ4の拘束状態では、ワイヤ4を手動でも機械力でも上昇させることはできない。
【0048】
ワイヤ4を手動で下方向(矢印b方向)に引っ張る場合には、その引張力の大きさで二通りに分かれる。今、ボール69のワイヤ4に対する圧接力で、ワイヤ4には移動方向と逆向きに圧接摩擦力が作用している。つまり、この圧接摩擦力より小さな引張力ではワイヤ4を下降させることはできない。
【0049】
この圧接摩擦力より大きな力でワイヤ4を下向きに引っ張ると、ワイヤ4は下降を始める。しかし、手を離すとボール69は直ちにワイヤ4を拘束して、ワイヤ4は停止する。換言すれば、手で下方に引っ張ればワイヤ4は下がり、手を離すとその位置に停止したままになる。
【0050】
このように、リング70に力を加えない自由状態では、ボール69がワイヤ4を拘束し、ワイヤ4は停止状態となる。また、この拘束状態でも、ワイヤ4を手動で引き下げることができる。従って、当初、ワイヤ4は完全に巻き取られた初期位置にあるから、リング70に力を掛けないで、ワイヤ4の先端にある係止手段8を手動で引張って、係止手段8を適当な高さまで降下させる。
【0051】
この手動降下の過程では、巻取ドラム22は反巻取方向に回転し、補助付勢ドラム26にテープスプリング36が巻き込まれてゆく。この巻き込みにより、巻取方向への回転付勢力が作用するが、ボール69がワイヤ4を拘束してワイヤ4は巻き取られることがない。また、ワイヤ4の下降過程ではボール69のワイヤ拘束力がワイヤに対する主たる制動力となり、ワイヤ4を高速に降下させることはできず、極めて安全な手動降下が達成できる。
【0052】
図8はワイヤ4を巻き取る場合においてワイヤ4の拘束を解除した状態のストッパー50の拡大縦断面図である。ワイヤ4と係止手段8を降下させた後、その係止手段8に吊下物を吊下げる。この段階では、吊下物は停止している。
【0053】
この停止状態で、リング70を下方(矢印c方向)に引くと、この引張力によりワイヤ拘束体60が下動し、テーパ管下端65がスプリング76を圧縮させるこの圧縮量だけ、ワイヤ拘束体60とケーシング51の間に隙間Bが形成される。従って、ボール69も下動し、ボール69はテーパ部53とワイヤ4の狭着状態から離れて自由状態へと移行する。これをワイヤ4の拘束解除状態という。
【0054】
ボール69が自由になると、巻取付勢手段24の巻取付勢力がワイヤ4を強制的に矢印d方向に引き上げて、ワイヤ4を巻取ドラム22に巻き取ってゆく。リング70に対する下方引張力が作用している間、この巻取は継続する。
【0055】
また、この巻取過程においては、制動手段34の制動力が顕著に作用するから、ワイヤ4の上昇速度は低速になり、吊下物は安全確実に上昇してゆく。この制動力による低速効果は反巻取方向と比較して顕著に現れる。反巻取方向(下降過程)では、ストッパー50によるワイヤ拘束力が主たる制動作用を示すから、制動手段34による制動効果は目立たない。しかし、巻取方向(上昇過程)ではワイヤ拘束力は解除されるから、制動手段34が主たる制動力を付与するのである。制動手段34として一方向制動手段を使用すると、巻取方向には制動力を発現するが、反巻取方向には制動力を発現しない。この場合には、反巻取方向ではワイヤ拘束力だけがワイヤ制動効果を発揮する。吊下物が適当な高さまで吊り上げられたとき、下方引張力を解除してリング70を自由にすると、ボール69がワイヤ4を拘束してその巻取は停止し、吊下物はその位置に保持された状態になる。
【0056】
吊下位置を微調整するには、ワイヤ4を手動で降下させる操作と、またリング70を引張ってワイヤ4を上昇させる操作を繰り返せばよい。つまり、ワイヤ拘束状態では手動降下操作を行い、ワイヤの拘束解除状態ではワイヤの上昇操作が行える。
【0057】
最後に、吊下物を係止手段8から取り外した後、リング70に矢印c方向への引張力を作用させ続けると、ワイヤ4は上昇を続ける。ワイヤ4が最上昇位置にまで達すると、巻取付勢手段24の巻取付勢力が消失し、巻取操作は停止する。この段階で、昇降装置2はワイヤ4の収納状態、即ち初期状態に復帰したことになる。
【0058】
図9は本発明に係る昇降装置を用いて吊下物の一種である治療用輸液容器を昇降調整する場合の使用説明図である。この昇降装置2は小型の軽量物であればどのような吊下物でも昇降制御することができる。吊下物としては、例えば、治療用輸液容器、就寝状態の読書用書籍架台、百貨店や量販店などの宣伝広告物など、天井や壁面などから吊下げるものであれば何でもよい。以下では、その典型例として、治療用輸液容器について説明する。
【0059】
(9A)では、昇降装置2はボルト82により天井80に固定されている。係止手段8やワイヤ4は最上位置に巻き上げられており、病室内で人の動きがあっても、収納状態にある昇降装置2が人の邪魔になることはなく、衝突事故や転倒事故なども全く生じる余地が無い。この昇降装置2は小型であるから、天井80に固定されるとほとんど目立たないので、病室の環境美化に貢献できる。
【0060】
この昇降装置2を使用する場合には、手88でフック棒84を把握し、先端のフック86を天井80付近にぶら下がっている係止手段8に係合させる。係合させた後、フック棒86を矢印e方向に引き下ろし、ストッパー50をワイヤ拘束状態のまま、ワイヤ4を吊下作業位置まで下降させる。このような操作は僅かな力で行えるから、女性・男性を問わず、また年少から年配に至る人までが簡単に操作することができる。
【0061】
この下降状態では、主としてワイヤ拘束力によりワイヤ4はゆっくり安全に下降する。また、フック86を係止手段から外すと、その位置で直ちにワイヤ拘束力が強力に働き、ワイヤ4はその位置で停止する。
【0062】
(9B)では、停止している係止手段8に治療用輸液容器90を吊下げる。吊紐部92を係止手段92に引っ掛けるだけでよい。係止手段8の形状は、フック形状であるだけでなく、吊下物の種類によって異なる。例えば、百貨店の宣伝広告物は板や厚紙が多いから、その両端を把持するために、係止手段8はクリップ状が適当である。
【0063】
(9C)では、手でフック棒84を把握し、フック86をリング70に引っ掛ける。フック棒84を矢印f方向に引くと、リング70が引き下げられ、このリング70の引き下げ状態では、ストッパー50は拘束解除状態(フリー状態)となる。従って、制動力を受けながら、ワイヤ4はゆっくりと安全確実に巻き取られてゆき、治療用輸液容器90は矢印g方向に低速で安全に上昇する。ワイヤ移動が低速で行われるから、発生音が小さくなり、病院における静寂性を確保できる。
【0064】
治療用輸液容器90が目的高さhにまで達すると、フック86をリング70から取り外す。取り外しと同時に、ストッパー50は直ちに拘束状態となり、ワイヤ4の上昇は停止する。もし、目的高さhを微調整する場合には、フック86でリング70を引けばワイヤ4は上昇するし、また係止手段8を手動で下降させればワイヤ4は下降する。この操作を繰り返して微調整が行われる。
【0065】
点滴操作では、目的高さhによって点滴速度が異なり、治療用輸液容器90の上下調整はかなり重要な操作である。この昇降装置2を使用すれば、上下調整だけでなく、このような微調整も容易に行える利点がある。
【0066】
この昇降装置2は電源が不要であるから、電気系統の故障がなく、しかも繰り返し耐久回数は数千回から1万回に及ぶ。従って、この装置はメンテナンスフリーであるから、この昇降装置2を壁や天井にボルトで固定した場合に最適な耐久性を発揮する。また、昇降装置2の動作には潤滑油が不要であり、病室に油汚れを引き起こさない。
【0067】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々の変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。
【0068】
【発明の効果】
第1の発明によれば、ストッパーの拘束状態では、その拘束力よりも大きな力でワイヤは下降し、その力を外すとワイヤは直ちに拘束されて下降を停止し、係止手段や吊下物を任意位置に可変調節できる。ワイヤ拘束力を小さくすれば引張力も小さくて済むから、どんな人達でも小さな力で簡単に操作できる。またストッパーの拘束を解除すれば、巻取付勢手段によりワイヤは自動的に上昇し、しかも制動力を受けた状態で上昇するから、ワイヤの上昇速度は低速になるため騒音がなく、極めて安全にワイヤを収納したり、吊下物を上昇させることができる。また、拘束と拘束解除を微妙に繰り返すことにより昇降微調整を行える。この装置は電源が不要であるから、近代的設備の家屋や病院でも、また電気設備の無い任意の場所でも使用できる利点を有する。潤滑材を用いないでも数千回から1万回程度の繰り返し耐久性を有し、油汚れがなくメンテナンスフリーの昇降装置を提供できる。特に、医療用輸液容器の昇降装置として使用した場合には、病院や電源の無い場所でも医療用輸液容器を任意の高さに配置できるから、点滴速度の調整が極めて容易になる利点がある。
【0069】
第2の発明によれば、この昇降装置をハウジングの固定孔を介して室内の壁面や天井にボルトで固定すると、余分なスペースが不要になり、また未使用時には装置全体がコンパクトであるから、室内において邪魔にならず、環境美化に貢献できる特徴がある。特に、病院などで医療用輸液容器の吊下げに使用する場合には、狭い病室の邪魔にならず、装置との衝突事故などを防止できるため、従来からよく生起した吊下げ具の転倒事故が無くなり、病院の安全性をより一層に高める効果がある。
【0070】
第3の発明によれば、テープスプリングの機械的弾性力を巻取付勢手段の原動力とするから、ワイヤの巻取に電源が不要であり、電源の無い地域でも本装置を使用することができる。また、テープスプリングはゼンマイの一種であり、この種の装置の耐久性は極めて高く、本装置も数千回から1万回の繰り返し耐久性能を有する。従って、電源の無い遠方の地域で使用されても故障の心配が無く、メンテナンスフリーの昇降装置である。
【0071】
第4の発明によれば、ワイヤに対するボールの圧接力によりワイヤを拘束するから、圧接摩擦力より大きな手動力でワイヤを下降させればワイヤは簡単に下降し、しかもその手動力を取りさればボールの圧接摩擦力が直ちに作用してワイヤを瞬時に停止できる。つまり、手動でワイヤを下降させ、手を外せばワイヤはその位置で停止するから、極めて俊敏な下降・停止動作が実現できる。また、ワイヤ拘束体を手動で下方に引っ張るだけでボールの圧接は無くなり、ワイヤは自動的に上昇するから、ワイヤの収納や吊下物の上昇が自動的に為される。
【0072】
第5の発明によれば、制動部材を制動軸と連結する限り、ワイヤの低速上昇が安定して実現でき、安全確実で騒音の無い昇降操作が実現できる。また、制動部材を制動軸から取り外せば、制動軸による制動作用が無くなり、ワイヤの高速上昇が発現する。制動作用によるワイヤの低速上昇はワイヤの収納の安全性を高め、また吊下物の上昇動作でも微妙な高さ調整を可能にする。制動軸には油圧ダンパー、機械摩擦ダンパー、磁石による電磁ダンパー、機械的締付ダンパーなどの各種の制動用ダンパーが利用できる。
【0073】
第6の発明によれば、昇降装置を天井や壁面など室内にコンパクトに配置でき、また手動により係止手段を任意位置まで簡単に下降でき、ストッパー解除による上昇操作と手動による下降操作の組み合わせだけで、年少から年長に至る任意の人達が小さな力で極めて簡単に吊下物の高さ調整や、ワイヤの収納操作を実施できる利点がある。特に、医療用輸液容器を吊下物とした場合には、点滴操作が極めて簡単に実現できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る昇降装置2の分解斜視図である。
【図2】本発明に係る昇降装置2の内部構造の平面図である。
【図3】本発明に係る昇降装置2の制動機構近傍の横断面図である。
【図4】本発明に係る昇降装置2の正面図である。
【図5】本発明に係る昇降装置2のストッパー50の拡大縦断面図である。
【図6】本発明に係る昇降装置2のストッパー50におけるワイヤ拘束体60の外観図である。
【図7】ワイヤ4を固定又は下降させる場合においてワイヤ4を拘束した状態のストッパー50の拡大縦断面図である。
【図8】ワイヤ4を巻き取る場合においてワイヤ4の拘束を解除した状態のストッパー50の拡大縦断面図である。
【図9】本発明に係る昇降装置を用いて吊下物の一種である治療用輸液容器を昇降調整する場合の使用説明図である。
【図10】治療用輸液容器を従来の固定スタンドに吊下げる場合の使用状態図である。
【符号の説明】
2は昇降装置、4はワイヤ、6は重錘、8は係止手段、10は基板、12は取付部材、14は水平板、16は垂直板、18はボルト状突起、19はナット、20はワイヤ挿通用ナット、22は巻取ドラム、24は巻取付勢手段、26は補助付勢ドラム、28は主付勢ドラム、30はテープスプリング、30aはテープ端部、32はネジ、34は制動手段、35は制動部材、35aはネジ、35bは制動板、35cは制動突出部、35dは制動キー、36は固定部材、37は制動軸、37aはキー溝、37bは軸端部、38は天板、38aは固定孔、39は側板、40は折曲板、40aはネジ孔、42はネジ、44はワッシャ、50はストッパー、51はケーシング、52は雌ネジ部、53はテーパ部、54は縮径空間、55は段部、56は細空間、57は雄ネジ突出部、60はワイヤ拘束体、61は基部、62は空間、63は突出管、64はテーパ管、65はテーパ管下端、66はテーパ管上端、67は先端管、68は孔部、69はボール、70はリング、72はピン、74は雄ネジ管体、75は雄ネジ管体上端、76はスプリング、80は天井、82はボルト、84はフック棒、86はフック、88は手、90は治療用輸液容器、90aは容器口部、92は吊紐部、94は患者、96は床、97はスタンド、98は水平バー、99は吊フック、100は点滴チューブ。
【発明の属する技術分野】
本発明は治療用輸液容器(点滴容器とも云う)、就寝状態の読書用書籍架台などの任意の小型軽量な吊下物を任意位置に昇降配置する昇降装置に関し、更に詳細には、小さな力により簡単な操作で吊下物を上昇・下降でき、しかも操作音が小さく電源が不要な昇降装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、昇降装置としては、工場や作業場におけるクレーン装置が一般的である。この種のクレーン装置は、鉄骨などの重量物を吊り上げて所定位置に搬送制御するものであり、大型・大重量であるため極めて高価である。従って、病院や家庭や事務所などでは、小型軽量な吊下物を吊下げ制御するために、このようなクレーン装置を簡易に使用できるものではない。
【0003】
例えば、病院や家庭で、就寝状態で本を読む場合には、寝た状態で本を手に取って読んだり、高価な読書用書籍架台を特定位置に固定配置して、この上に本を装着して使用することが多い。このような場合、手が疲れたりして長時間の読書は無理であり、また読書用書籍架台が場所を取って邪魔になるケースが多い。このため、読書用書籍架台を天井から吊下げて簡易に高さ調整できる昇降装置が要望されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特に、病院で行われる点滴の場合を説明する。病院では、患者に対し点滴を行う場合、点滴用の治療用輸液容器をスタンドに吊下げることが多い。スタンドには、床やベッドに固定されたスタンドや、キャスターを設けて床に対し移動可能なスタンドがある。
【0005】
図10は治療用輸液容器を従来の固定スタンドに吊下げる場合の使用状態図である。床96からスタンド97が立設され、このスタンド97から吊フック99を設けた水平バー98が配置されている。
【0006】
点滴をする場合には、吊紐部92を吊フック99に係止して治療用輸液容器90を吊下げる。治療用輸液容器90から点滴チューブ100を垂下して患者94に点滴操作を施す。治療用輸液容器90の取り付け位置は可変調節できないから、容器口部90aと患者94との間隔は高さHに固定されてしまう。
【0007】
治療用輸液の供給流量(点滴速度)は高さHに依存するから、高さHを可変調整できないため、このままでは治療用輸液の供給流量を可変調整することができない。供給流量を可変するためには、スタンド97の高さを可変調整するか、吊紐部92の長さを可変調整する以外に無い。しかし、このような操作は面倒であり、忙しい看護士の仕事を加重にする原因の一つになっている。
【0008】
また、スタンド97はかなり大きな容積を必要とするから、このようなスタンド97を病室に配置すると、狭い病室が更に狭くなるといった風である。特に、スタンド97が病室に存在すると、人がスタンドと衝突したり、その際にスタンドが転倒して不測の事態が生じる危険性もある。
【0009】
従って、本発明は、小型軽量の吊下物を任意の高さに簡単にしかも自在に調節制御できる昇降装置を提供することを目的とする。また、本発明は、電源が不要で操作音が小さく、更に天井や壁面に固定配置することによって、未使用時には天井や壁面にコンパクトに収納でき、吊下げ具の転倒や衝突などの事故を防止できる昇降装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、第1の発明は、一端に吊下物を吊下げるための係止手段を装着したワイヤと、このワイヤを巻き上げるための巻取ドラムと、前記ワイヤを巻き取るために巻取ドラムを巻取方向に回転付勢する巻取付勢手段と、前記ワイヤを拘束してワイヤの巻取を停止させ、またワイヤの拘束を解除してワイヤの巻取を行うストッパーと、前記巻取ドラムがワイヤの巻取方向に回転するときに巻取ドラムの回転に制動を加えて回転速度を低速に調整する制動手段から構成される昇降装置である。従って、ワイヤの拘束状態では、ワイヤの拘束力よりも大きな力でワイヤを下方に引っ張ればワイヤは下降し、しかもその力を外せばワイヤは直ちに拘束されて下降を停止するから、吊下物を任意の高さ位置に可変調節できる。ワイヤ拘束力を小さく設定すればこの引張力も小さくて済むから、大人から子供に至る広範囲の人たちが小さな力で簡単に操作できる。またワイヤの拘束を解除すれば、巻取付勢手段によりワイヤは上昇し、しかも制動手段により制動力を受けた状態で上昇するから、ワイヤの上昇速度は低速になるため極めて安全にワイヤを収納することができる。また、ワイヤ拘束状態で吊下物を下降させ過ぎた場合に、拘束解除によって吊下物を任意の正しい位置まで低速で安全に上昇させることもできる。この装置は電源が不要であるから、どのような場所にでも対応でき、近代的設備の家屋や病院でも、また電気設備の無い任意の場所でも使用できる利点を有する。特に、医療用輸液容器の昇降装置として使用した場合には、病院や電源の無い場所でも医療用輸液容器を任意の高さに配置できるから、点滴速度の調整が極めて容易になる利点がある。
【0011】
第2の発明は、前記昇降装置と、この昇降装置を内部に固定配置するハウジングと、このハウジングの所要部に穿設された固定孔から構成され、固定孔を介して建造物に固着できる昇降装置である。ハウジングの固定孔を介して室内の壁面や天井にボルトで固定すると、吊下げ具を設置する余分なスペースが不要になり、また未使用時にはワイヤと係止手段は上方に収納されるから収納がコンパクトであるだけでなく、室内において邪魔にならない特徴がある。特に、病院などで医療用輸液容器の吊下げに使用する場合には、第1の発明の作用効果に加えて狭い病室の邪魔にならず、しかも装置との衝突事故などを防止できるため、従来からよく生起した吊下げ具の転倒事故が無くなり、病院の安全性をより一層に高める効果がある。
【0012】
第3の発明は、巻取付勢手段が、巻取ドラムに同軸に固定配置されて一体に回転する補助付勢ドラムと、この補助付勢ドラムと分離して配置される主付勢ドラムと、この主付勢ドラムに巻回されて主付勢ドラムをその巻回方向に巻回付勢するテープスプリングから構成され、テープスプリングの一端を補助付勢ドラムに固定して補助付勢ドラムをワイヤの巻取方向に回転付勢して巻取ドラムに回転付勢力を与える昇降装置である。テープスプリングの機械的弾性力を巻取付勢手段の原動力とするから、ワイヤの巻取に電源が不要になるため電源の無い地域でも本装置を使用することができ、しかもテープスプリングの長期安定性はゼンマイを原動力とする装置群で従来から実証済みであるから、この装置の長期耐久性が保証される。従って、電源の無い遠方の地域で使用されても故障の心配が無く、メンテナンスフリーの昇降装置である。
【0013】
第4の発明は、ストッパーが、ワイヤを移動可能に挿通した状態で固定配置されるケーシングと、同時にワイヤを移動可能に挿通した状態で前記ケーシングに先端部を挿入されるワイヤ拘束体と、このワイヤ拘束体の先端部に配置されしかもワイヤとケーシング内のテーパ部に接触可能に配置された転動自在な複数のボールと、前記ケーシング内に配置されてワイヤ拘束体をケーシングに吸引付勢するスプリングから構成され、通常はスプリングの付勢力により前記先端部が吸引されてボールがテーパ部とワイヤに同時圧接してワイヤを拘束し、ワイヤ拘束体をケーシングから分離する方向に引っ張ってスプリングの前記付勢力を緩めてボールを自由にしてワイヤの拘束を解除する昇降装置である。ボールがワイヤに圧接することによりワイヤを拘束するから、この圧接摩擦力より大きな外力でワイヤを下降させれば、ワイヤは簡単に下降し、しかもその外力を取りさればボールの圧接摩擦力は直ちに回復作用してワイヤを瞬時に停止できる利点がある。つまり、手動でワイヤを下降させれば下降し、手を外せばワイヤはその位置で停止する極めて俊敏な機械的動作が実現できる。また、ワイヤ拘束体を手動で下方に引っ張るだけで、ボールの圧接は無くなってワイヤは自動的に上昇し、ワイヤの収納が自動的に為される。
【0014】
第5の発明は、制動手段が、前記巻取ドラムの軸心部に挿入されて軸回転駆動に対し制動作用を発揮する制動軸と、この制動軸に対し着脱自在に連結される制動部材と、この制動部材を回転ドラムに一体化する固定手段から構成され、回転ドラムが巻取方向に回転するときに制動軸の回転により回転制動力が生じる昇降装置である。従って、制動部材が制動軸と連結している限り、ワイヤの低速上昇が安定して実現でき、逆に制動部材を制動軸から取り外せば制動作用が無くなってワイヤの高速上昇が発現する。制動作用によるワイヤの低速上昇はワイヤの収納の安全性を高め、また吊下物の上昇動作でも微妙な高さ調整を可能にする。制動軸には油圧ダンパー、機械摩擦ダンパー、磁石による電磁ダンパー、機械的締付ダンパーなどの各種の制動用ダンパーが利用できる。
【0015】
第6の発明は、前記昇降装置を室内の所要部に固定し、ハウジングの下面からワイヤと係止手段を垂下させ、ワイヤを手動下降させて係止手段に吊下物を吊下げ、ストッパーを操作してワイヤの拘束や拘束解除を行って吊下物を任意位置に固定配置すべく昇降制御する昇降装置の昇降操作方法である。昇降装置を室内にコンパクトに配置でき、また手動により係止手段を任意位置まで簡単に下降でき、ストッパー解除による上昇操作と手動による下降操作の組み合わせだけで、年少から年長に至る任意の人達が小さな力で極めて簡単に吊下物の高さ調整や、ワイヤの収納操作を実施できる利点がある。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る昇降装置及び昇降操作方法の実施形態を添付する図面に従って詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明に係る昇降装置2の分解斜視図である。昇降装置2の下側には、ワイヤ4が重錘6により鉛直下方に垂下され、重錘6の下には吊下物を吊下げるフック状の係止手段8が取り付けられている。大きな基板10の上には、水平板14と垂直板16からL字状に構成された取付部材12が配置される。
【0018】
基板10の中央には複数本のボルト状突起18が突設され、これらのボルト状突起18に水平板14を挿通して重ね、上からナット19で締め付けて、基板10と取付部材12とが一体に固定される。
【0019】
ワイヤ挿通用ナット20は基板10と水平板14と一体に固定され、ワイヤ4はこのワイヤ挿通用ナット20を通して巻取ドラム22に巻回されている。ワイヤ4の最終端は巻取ドラム22に固着される。この巻取ドラム22を巻取方向に回転するとワイヤ4は上昇して収納され、逆に反巻取方向に回転するとワイヤ4は下降して吊下物を吊下げる態勢に入る。
【0020】
巻取ドラム22の背後には、巻取付勢手段24が配置されている。この巻取付勢手段24は補助付勢ドラム26と主付勢ドラム28からなり、補助付勢ドラム26は前記巻取ドラム22と同軸に一体に形成され、主付勢ドラム28は補助付勢ドラム26と別体に分離して配置される。即ち、補助付勢ドラム26と主付勢ドラム28は垂直板16に回転自在に取り付けられる。
【0021】
主付勢ドラム28にはテープスプリング30が巻回され、テープスプリング30のテープ端部30aは補助付勢ドラム26の軸部にネジ32により固定される。テープスプリング30の残りの端部は主付勢ドラム28の軸部に固定されている。
【0022】
テープスプリング30は常に主付勢ドラム28に巻回されるように付勢されており、図1に示される状態が回転付勢力により完全に巻回されたテープスプリング30の状態を示している。従って、この回転付勢力により、巻取ドラム22と補助付勢ドラム26は一体となってワイヤ4の巻取方向に回転するように常時付勢されている。
【0023】
巻取ドラム22と補助付勢ドラム26の軸位置には制動手段34が配置されている。図1には、制動手段34を構成する制動部材35が巻取ドラム22の側面にネジ35aで固定される状態が示されている。制動手段34の詳細は図3を用いて後述する。
【0024】
固定部材36はn字状に形成された部材で、天板38と側板39、39から構成される。天板38には固定孔38aが穿設され、この天板38aにボルトを挿通して壁面や天井面、その他の部材に固着すれば、この装置を室内や室外の邪魔にならない位置にコンパクトに配置することができる。
【0025】
側板39、39の下部は内方に曲げられて折曲板40、40が形成されている。折曲板40にはネジ孔40aが穿設されている。一方、基板10にも複数のネジ孔41が穿設されており、複数のネジ42をネジ孔41、40aに挿通すれば、固定部材36を基板10と一体化できる。勿論、ネジ42をナット締めしても良い。
【0026】
このように、固定部材36と基板10は、この昇降装置2のハウジングを形成する。前述した昇降装置の実質を為す構造はこのハウジングの内部に一体的に組み込まれた状態にあり、ワイヤ4と重錘6と係止手段8がハウジングの下方に垂下する。従って、ハウジングを壁面、天井又は他の部材に固定すれば、本昇降装置2が邪魔にならないように配設されることができる。
【0027】
図2は本発明に係る昇降装置2の内部構造の平面図である。ワイヤ4が巻取ドラム22に巻回されており、その先端がワイヤ挿通用ナット20から送り出されている。また、制動手段34は制動部材35と破線で描かれた制動軸37から構成されている。更に、テープスプリング30が主付勢手段28から巻き出されてそのテープ端部30aが補助付勢ドラム26にネジ32により固定される様子が示されている。
【0028】
図3は本発明に係る昇降装置2の制動機構近傍の横断面図である。巻取ドラム22と補助付勢ドラム26は一体に研削形成されているが、別部材として形成された後に一体化されてもよい。ワイヤ4が巻取ドラム22に巻回されている状態が示されている。
【0029】
制動手段34は制動部材35と制動軸37から構成される。制動部材35は、制動板35bと、制動突出部35cと、その先端に形成された制動キー35dから一体に形成されている。この制動部材35はネジ35aにより巻取ドラム22に固定されている。
【0030】
巻取ドラム22と補助付勢ドラム26は同軸に形成されており、その軸心部に制動軸37が軸装されている。制動軸37の軸長は図では補助付勢ドラム26の軸長程度であるが、更に延出して巻取ドラム22の近辺に達してもよい。
【0031】
制動軸37の一端である軸端部37bは垂直板16に軸支されている。また、制動軸37の他端にはキー溝37aが刻設され、このキー溝37aに制動キー35cが噛合して一体化される。つまり、補助付勢ドラム26の作用で巻取ドラム22が巻取方向に回転すると、キーとキー溝の連結で、制動軸37も同方向に回転する。
【0032】
制動軸37の制動作用は次のようにして生じる。図示される制動軸37は、軸端部37bが垂直板16に締付状態で軸支されている。軸端部37bが巻取方向に回転すると、垂直板16との締付状態により強力な接触摩擦力が生じる。この摩擦力によって制動軸37の巻取方向回転が制動を受けるため、その回転速度は高速になることは無く、低速に保持される。
【0033】
ワイヤ4の手動引出により、巻取ドラム22が反巻取方向に回転した場合でも、制動軸37は反巻取方向に回転し、同様の制動力が生じる。しかし、この反巻取方向では後述するストッパー50のワイヤ拘束力が主たる制動力を与えるから、制動軸37の制動力は付加的な要素となる。しかし、上述した巻取方向ではワイヤ拘束力は無くなるため制動軸37による制動力が主たる制動効果を発現し、ワイヤ4や重錘6や係止手段8の上昇速度を顕著に低下させて、安全性を十分に実現する。
【0034】
図3では、制動軸37として機械的締付ダンパーが利用されてが、制動軸37の端面と垂直板16との圧接面摩擦力を利用した機械摩擦ダンパーを利用することもできる。その他、公知の種々の機械摩擦ダンパが適宜利用できることは云うまでもない。尚、上述では、制動軸は巻取方向と反巻取方向の両回転に対し制動作用を発揮する双方向制動軸を利用したが、巻取方向にだけ制動作用が発現する一方向制動軸が用いられても同様の効果を奏する。反巻取方向では、ワイヤ拘束力が制動力となるから、ワイヤの引き出し制動を加重にしないためには一方向制動軸が有効な場合もある。
【0035】
油圧ダンパーや電磁ダンパーも利用できる。油圧ダンパーは、制動軸37の中にオイルを封入し、制動軸37の内部に翼を一体に形成して構成される。制動軸37の回転と同時に翼が回転し、この翼がオイル中を回転通過するため、オイルから強い流体摩擦を受け、制動軸37の回転にブレーキが作用する。
【0036】
電磁ダンパーは、磁石と導電体が相対運動を生起した場合に、導電体に渦電流が発生して相対運動を停止させる電磁制動力が作用するダンパーである。制動軸37にこのような電磁制動構造を採用することもできる。このように、制動手段24には公知の多様なダンパー機構を採用することができる。
【0037】
図4は本発明に係る昇降装置2の正面図である。この正面図に初めて出る構造は、ストッパー50である。このストッパー50は、ワッシャー44を介して基板10に固定されるケーシング51と、このケーシング51に対し上下に微動操作できるワイヤ拘束体60と、このワイヤ拘束体60にピン72により回動自在に接続されたリング70から構成されている。ストッパー50以外の部材は既に説明されている。
【0038】
図5は本発明に係る昇降装置2のストッパー50の拡大縦断面図である。ケーシング51の先端には雄ネジ管突出部57が形成され、この雄ネジ管突出部57をワッシャ44を介して基板10と水平板14に挿通し、ワイヤ挿通用ナット20で締結してケーシング51は装置本体に固定されている。
【0039】
ケーシング51の内部には雌ネジ部52とテーパ部53により先細りの縮径空間54が形成され、その先端に段部55を介して細空間56が連続して形成されている。雄ネジ管突出部57と細空間56及び縮径空間54にはワイヤ4が挿通されている。
【0040】
ケーシング51の下方にはワイヤ4を挿通させたワイヤ拘束体60が配置されている。ワイヤ拘束体60は内部に空間62を有した基部61を中心に構成され、基部61の上部には、細い突出管63とテーパ管64と先端管67が一体に突設され、その中心軸にワイヤ4が挿通されている。
【0041】
テーパ管64は大径のテーパ管下端65から小径のテーパ管上端66に向かって先細り状に形成されている。このテーパ管64の途中部に3個の孔部68が穿設されており、この孔部68にボール69が転動自在に配置される。このボール69はテーパ管64の軸心に挿通されているワイヤ4に転接している。
【0042】
基部61の下部には、ピン72によりリング70が揺動自在に連結されている。また、基部61の上端には雄ネジ管体74が上下動自在に別体として配置され、この雄ネジ管体74の上端75とテーパ管下端65の間にスプリング76が配置されている。
【0043】
スプリング76はテーパ管下端65を常に上方へ押圧するように付勢しており、図5の状態で基部61を固定して雄ネジ管体74を上方へ押圧して上昇させると、雄ネジ管体上端75とテーパ管下端65の間でスプリング76は更に圧縮される。従って、スプリング76がテーパ管下端65を上方に押圧する付勢力は増大することになる。
【0044】
図6は本発明に係る昇降装置2のストッパー50におけるワイヤ拘束体60の外観図である。このワイヤ拘束体60には、一体部材ではない雄ネジ管体74とスプリング76は省略されている。テーパ管64の孔部68にボール69が配置されている状態が示されている。また、右側のA−A線矢視図では、3個のボールがテーパ管64に放射状に配置され、中心にあるワイヤ4と転接している状態が示されている。
【0045】
図7は、ワイヤ4を固定又は下降させる場合においてワイヤ4を拘束した状態のストッパー50の拡大縦断面図である。雄ネジ管体74をケーシング51の雌ネジ部52に螺合すると、雄ネジ管体74はケーシング51と一体化する。リング70を下方に引っ張らない状態では、スプリング76はテーパ管64を上方(矢印a方向)へ押圧し、先端管67が細空間56に深く進入して、ワイヤ拘束体60の基部61が雄ネジ管体74に最接近する。
【0046】
テーパ管64が上動すると、ボール69はテーパ部53とワイヤ4の間に狭持され、ワイヤ4の周囲がボール69の圧接力により強く狭着される。この状態をワイヤ拘束状態といい、ワイヤ4はボール69の圧接力によりその動きを停止し、吊下物があってもワイヤ4はその位置で停止し、吊下物は吊下げられたまま静止状態を保持する。勿論、吊下物が無い場合でも停止状態になる。
【0047】
より詳細に説明する。この状態でワイヤ4を無理に上昇させると、ボール69はテーパ部53のより細い空間に挟みこまれるから、ボール69の圧接力は更に増大してワイヤ4を無理に上昇させることは不可能になる。つまり、ワイヤ4の拘束状態では、ワイヤ4を手動でも機械力でも上昇させることはできない。
【0048】
ワイヤ4を手動で下方向(矢印b方向)に引っ張る場合には、その引張力の大きさで二通りに分かれる。今、ボール69のワイヤ4に対する圧接力で、ワイヤ4には移動方向と逆向きに圧接摩擦力が作用している。つまり、この圧接摩擦力より小さな引張力ではワイヤ4を下降させることはできない。
【0049】
この圧接摩擦力より大きな力でワイヤ4を下向きに引っ張ると、ワイヤ4は下降を始める。しかし、手を離すとボール69は直ちにワイヤ4を拘束して、ワイヤ4は停止する。換言すれば、手で下方に引っ張ればワイヤ4は下がり、手を離すとその位置に停止したままになる。
【0050】
このように、リング70に力を加えない自由状態では、ボール69がワイヤ4を拘束し、ワイヤ4は停止状態となる。また、この拘束状態でも、ワイヤ4を手動で引き下げることができる。従って、当初、ワイヤ4は完全に巻き取られた初期位置にあるから、リング70に力を掛けないで、ワイヤ4の先端にある係止手段8を手動で引張って、係止手段8を適当な高さまで降下させる。
【0051】
この手動降下の過程では、巻取ドラム22は反巻取方向に回転し、補助付勢ドラム26にテープスプリング36が巻き込まれてゆく。この巻き込みにより、巻取方向への回転付勢力が作用するが、ボール69がワイヤ4を拘束してワイヤ4は巻き取られることがない。また、ワイヤ4の下降過程ではボール69のワイヤ拘束力がワイヤに対する主たる制動力となり、ワイヤ4を高速に降下させることはできず、極めて安全な手動降下が達成できる。
【0052】
図8はワイヤ4を巻き取る場合においてワイヤ4の拘束を解除した状態のストッパー50の拡大縦断面図である。ワイヤ4と係止手段8を降下させた後、その係止手段8に吊下物を吊下げる。この段階では、吊下物は停止している。
【0053】
この停止状態で、リング70を下方(矢印c方向)に引くと、この引張力によりワイヤ拘束体60が下動し、テーパ管下端65がスプリング76を圧縮させるこの圧縮量だけ、ワイヤ拘束体60とケーシング51の間に隙間Bが形成される。従って、ボール69も下動し、ボール69はテーパ部53とワイヤ4の狭着状態から離れて自由状態へと移行する。これをワイヤ4の拘束解除状態という。
【0054】
ボール69が自由になると、巻取付勢手段24の巻取付勢力がワイヤ4を強制的に矢印d方向に引き上げて、ワイヤ4を巻取ドラム22に巻き取ってゆく。リング70に対する下方引張力が作用している間、この巻取は継続する。
【0055】
また、この巻取過程においては、制動手段34の制動力が顕著に作用するから、ワイヤ4の上昇速度は低速になり、吊下物は安全確実に上昇してゆく。この制動力による低速効果は反巻取方向と比較して顕著に現れる。反巻取方向(下降過程)では、ストッパー50によるワイヤ拘束力が主たる制動作用を示すから、制動手段34による制動効果は目立たない。しかし、巻取方向(上昇過程)ではワイヤ拘束力は解除されるから、制動手段34が主たる制動力を付与するのである。制動手段34として一方向制動手段を使用すると、巻取方向には制動力を発現するが、反巻取方向には制動力を発現しない。この場合には、反巻取方向ではワイヤ拘束力だけがワイヤ制動効果を発揮する。吊下物が適当な高さまで吊り上げられたとき、下方引張力を解除してリング70を自由にすると、ボール69がワイヤ4を拘束してその巻取は停止し、吊下物はその位置に保持された状態になる。
【0056】
吊下位置を微調整するには、ワイヤ4を手動で降下させる操作と、またリング70を引張ってワイヤ4を上昇させる操作を繰り返せばよい。つまり、ワイヤ拘束状態では手動降下操作を行い、ワイヤの拘束解除状態ではワイヤの上昇操作が行える。
【0057】
最後に、吊下物を係止手段8から取り外した後、リング70に矢印c方向への引張力を作用させ続けると、ワイヤ4は上昇を続ける。ワイヤ4が最上昇位置にまで達すると、巻取付勢手段24の巻取付勢力が消失し、巻取操作は停止する。この段階で、昇降装置2はワイヤ4の収納状態、即ち初期状態に復帰したことになる。
【0058】
図9は本発明に係る昇降装置を用いて吊下物の一種である治療用輸液容器を昇降調整する場合の使用説明図である。この昇降装置2は小型の軽量物であればどのような吊下物でも昇降制御することができる。吊下物としては、例えば、治療用輸液容器、就寝状態の読書用書籍架台、百貨店や量販店などの宣伝広告物など、天井や壁面などから吊下げるものであれば何でもよい。以下では、その典型例として、治療用輸液容器について説明する。
【0059】
(9A)では、昇降装置2はボルト82により天井80に固定されている。係止手段8やワイヤ4は最上位置に巻き上げられており、病室内で人の動きがあっても、収納状態にある昇降装置2が人の邪魔になることはなく、衝突事故や転倒事故なども全く生じる余地が無い。この昇降装置2は小型であるから、天井80に固定されるとほとんど目立たないので、病室の環境美化に貢献できる。
【0060】
この昇降装置2を使用する場合には、手88でフック棒84を把握し、先端のフック86を天井80付近にぶら下がっている係止手段8に係合させる。係合させた後、フック棒86を矢印e方向に引き下ろし、ストッパー50をワイヤ拘束状態のまま、ワイヤ4を吊下作業位置まで下降させる。このような操作は僅かな力で行えるから、女性・男性を問わず、また年少から年配に至る人までが簡単に操作することができる。
【0061】
この下降状態では、主としてワイヤ拘束力によりワイヤ4はゆっくり安全に下降する。また、フック86を係止手段から外すと、その位置で直ちにワイヤ拘束力が強力に働き、ワイヤ4はその位置で停止する。
【0062】
(9B)では、停止している係止手段8に治療用輸液容器90を吊下げる。吊紐部92を係止手段92に引っ掛けるだけでよい。係止手段8の形状は、フック形状であるだけでなく、吊下物の種類によって異なる。例えば、百貨店の宣伝広告物は板や厚紙が多いから、その両端を把持するために、係止手段8はクリップ状が適当である。
【0063】
(9C)では、手でフック棒84を把握し、フック86をリング70に引っ掛ける。フック棒84を矢印f方向に引くと、リング70が引き下げられ、このリング70の引き下げ状態では、ストッパー50は拘束解除状態(フリー状態)となる。従って、制動力を受けながら、ワイヤ4はゆっくりと安全確実に巻き取られてゆき、治療用輸液容器90は矢印g方向に低速で安全に上昇する。ワイヤ移動が低速で行われるから、発生音が小さくなり、病院における静寂性を確保できる。
【0064】
治療用輸液容器90が目的高さhにまで達すると、フック86をリング70から取り外す。取り外しと同時に、ストッパー50は直ちに拘束状態となり、ワイヤ4の上昇は停止する。もし、目的高さhを微調整する場合には、フック86でリング70を引けばワイヤ4は上昇するし、また係止手段8を手動で下降させればワイヤ4は下降する。この操作を繰り返して微調整が行われる。
【0065】
点滴操作では、目的高さhによって点滴速度が異なり、治療用輸液容器90の上下調整はかなり重要な操作である。この昇降装置2を使用すれば、上下調整だけでなく、このような微調整も容易に行える利点がある。
【0066】
この昇降装置2は電源が不要であるから、電気系統の故障がなく、しかも繰り返し耐久回数は数千回から1万回に及ぶ。従って、この装置はメンテナンスフリーであるから、この昇降装置2を壁や天井にボルトで固定した場合に最適な耐久性を発揮する。また、昇降装置2の動作には潤滑油が不要であり、病室に油汚れを引き起こさない。
【0067】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々の変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。
【0068】
【発明の効果】
第1の発明によれば、ストッパーの拘束状態では、その拘束力よりも大きな力でワイヤは下降し、その力を外すとワイヤは直ちに拘束されて下降を停止し、係止手段や吊下物を任意位置に可変調節できる。ワイヤ拘束力を小さくすれば引張力も小さくて済むから、どんな人達でも小さな力で簡単に操作できる。またストッパーの拘束を解除すれば、巻取付勢手段によりワイヤは自動的に上昇し、しかも制動力を受けた状態で上昇するから、ワイヤの上昇速度は低速になるため騒音がなく、極めて安全にワイヤを収納したり、吊下物を上昇させることができる。また、拘束と拘束解除を微妙に繰り返すことにより昇降微調整を行える。この装置は電源が不要であるから、近代的設備の家屋や病院でも、また電気設備の無い任意の場所でも使用できる利点を有する。潤滑材を用いないでも数千回から1万回程度の繰り返し耐久性を有し、油汚れがなくメンテナンスフリーの昇降装置を提供できる。特に、医療用輸液容器の昇降装置として使用した場合には、病院や電源の無い場所でも医療用輸液容器を任意の高さに配置できるから、点滴速度の調整が極めて容易になる利点がある。
【0069】
第2の発明によれば、この昇降装置をハウジングの固定孔を介して室内の壁面や天井にボルトで固定すると、余分なスペースが不要になり、また未使用時には装置全体がコンパクトであるから、室内において邪魔にならず、環境美化に貢献できる特徴がある。特に、病院などで医療用輸液容器の吊下げに使用する場合には、狭い病室の邪魔にならず、装置との衝突事故などを防止できるため、従来からよく生起した吊下げ具の転倒事故が無くなり、病院の安全性をより一層に高める効果がある。
【0070】
第3の発明によれば、テープスプリングの機械的弾性力を巻取付勢手段の原動力とするから、ワイヤの巻取に電源が不要であり、電源の無い地域でも本装置を使用することができる。また、テープスプリングはゼンマイの一種であり、この種の装置の耐久性は極めて高く、本装置も数千回から1万回の繰り返し耐久性能を有する。従って、電源の無い遠方の地域で使用されても故障の心配が無く、メンテナンスフリーの昇降装置である。
【0071】
第4の発明によれば、ワイヤに対するボールの圧接力によりワイヤを拘束するから、圧接摩擦力より大きな手動力でワイヤを下降させればワイヤは簡単に下降し、しかもその手動力を取りさればボールの圧接摩擦力が直ちに作用してワイヤを瞬時に停止できる。つまり、手動でワイヤを下降させ、手を外せばワイヤはその位置で停止するから、極めて俊敏な下降・停止動作が実現できる。また、ワイヤ拘束体を手動で下方に引っ張るだけでボールの圧接は無くなり、ワイヤは自動的に上昇するから、ワイヤの収納や吊下物の上昇が自動的に為される。
【0072】
第5の発明によれば、制動部材を制動軸と連結する限り、ワイヤの低速上昇が安定して実現でき、安全確実で騒音の無い昇降操作が実現できる。また、制動部材を制動軸から取り外せば、制動軸による制動作用が無くなり、ワイヤの高速上昇が発現する。制動作用によるワイヤの低速上昇はワイヤの収納の安全性を高め、また吊下物の上昇動作でも微妙な高さ調整を可能にする。制動軸には油圧ダンパー、機械摩擦ダンパー、磁石による電磁ダンパー、機械的締付ダンパーなどの各種の制動用ダンパーが利用できる。
【0073】
第6の発明によれば、昇降装置を天井や壁面など室内にコンパクトに配置でき、また手動により係止手段を任意位置まで簡単に下降でき、ストッパー解除による上昇操作と手動による下降操作の組み合わせだけで、年少から年長に至る任意の人達が小さな力で極めて簡単に吊下物の高さ調整や、ワイヤの収納操作を実施できる利点がある。特に、医療用輸液容器を吊下物とした場合には、点滴操作が極めて簡単に実現できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る昇降装置2の分解斜視図である。
【図2】本発明に係る昇降装置2の内部構造の平面図である。
【図3】本発明に係る昇降装置2の制動機構近傍の横断面図である。
【図4】本発明に係る昇降装置2の正面図である。
【図5】本発明に係る昇降装置2のストッパー50の拡大縦断面図である。
【図6】本発明に係る昇降装置2のストッパー50におけるワイヤ拘束体60の外観図である。
【図7】ワイヤ4を固定又は下降させる場合においてワイヤ4を拘束した状態のストッパー50の拡大縦断面図である。
【図8】ワイヤ4を巻き取る場合においてワイヤ4の拘束を解除した状態のストッパー50の拡大縦断面図である。
【図9】本発明に係る昇降装置を用いて吊下物の一種である治療用輸液容器を昇降調整する場合の使用説明図である。
【図10】治療用輸液容器を従来の固定スタンドに吊下げる場合の使用状態図である。
【符号の説明】
2は昇降装置、4はワイヤ、6は重錘、8は係止手段、10は基板、12は取付部材、14は水平板、16は垂直板、18はボルト状突起、19はナット、20はワイヤ挿通用ナット、22は巻取ドラム、24は巻取付勢手段、26は補助付勢ドラム、28は主付勢ドラム、30はテープスプリング、30aはテープ端部、32はネジ、34は制動手段、35は制動部材、35aはネジ、35bは制動板、35cは制動突出部、35dは制動キー、36は固定部材、37は制動軸、37aはキー溝、37bは軸端部、38は天板、38aは固定孔、39は側板、40は折曲板、40aはネジ孔、42はネジ、44はワッシャ、50はストッパー、51はケーシング、52は雌ネジ部、53はテーパ部、54は縮径空間、55は段部、56は細空間、57は雄ネジ突出部、60はワイヤ拘束体、61は基部、62は空間、63は突出管、64はテーパ管、65はテーパ管下端、66はテーパ管上端、67は先端管、68は孔部、69はボール、70はリング、72はピン、74は雄ネジ管体、75は雄ネジ管体上端、76はスプリング、80は天井、82はボルト、84はフック棒、86はフック、88は手、90は治療用輸液容器、90aは容器口部、92は吊紐部、94は患者、96は床、97はスタンド、98は水平バー、99は吊フック、100は点滴チューブ。
Claims (6)
- 一端に吊下物を吊下げるための係止手段を装着したワイヤと、このワイヤを巻き上げるための巻取ドラムと、前記ワイヤを巻き取るために巻取ドラムを巻取方向に回転付勢する巻取付勢手段と、前記ワイヤを拘束してワイヤの巻取を停止させ、またワイヤの拘束を解除してワイヤの巻取を行うストッパーと、前記巻取ドラムがワイヤの巻取方向に回転するときに巻取ドラムの回転に制動を加えて回転速度を低速に調整する制動手段から構成されることを特徴とする昇降装置。
- 請求項1に記載の昇降装置と、この昇降装置を内部に固定配置するハウジングと、このハウジングの所要部に穿設された固定孔から構成され、固定孔を介して建造物に固着できることを特徴とする昇降装置。
- 前記巻取付勢手段は、巻取ドラムに同軸に固定配置されて一体に回転する補助付勢ドラムと、この補助付勢ドラムと分離して配置される主付勢ドラムと、この主付勢ドラムに巻回されて主付勢ドラムをその巻回方向に巻回付勢するテープスプリングから構成され、テープスプリングの一端を補助付勢ドラムに固定して補助付勢ドラムをワイヤの巻取方向に回転付勢して巻取ドラムに回転付勢力を与える請求項1に記載の昇降装置。
- 前記ストッパーは、ワイヤを移動可能に挿通した状態で固定配置されるケーシングと、同時にワイヤを移動可能に挿通した状態で前記ケーシングに先端部を挿入されるワイヤ拘束体と、このワイヤ拘束体の先端部に配置されしかもワイヤとケーシング内のテーパ部に接触可能に配置された転動自在な複数のボールと、前記ケーシング内に配置されてワイヤ拘束体をケーシングに吸引付勢するスプリングから構成され、通常はスプリングの付勢力により前記先端部が吸引されてボールがテーパ部とワイヤに同時圧接してワイヤを拘束し、ワイヤ拘束体をケーシングから分離する方向に引っ張ってスプリングの前記付勢力を緩めてボールを自由にしてワイヤの拘束を解除する請求項1に記載の昇降装置。
- 前記制動手段は、前記巻取ドラムの軸心部に挿入されて軸回転駆動に対し制動作用を発揮する制動軸と、この制動軸に対し着脱自在に連結される制動部材と、この制動部材を回転ドラムに一体化する固定手段から構成され、回転ドラムが巻取方向に回転するときに制動軸の回転により回転制動力が生じる請求項1に記載の昇降装置。
- 請求項2に記載の昇降装置を室内の所要部に固定し、ハウジングの下面からワイヤと係止手段を垂下させ、ワイヤを手動下降させて係止手段に吊下物を吊下げ、ストッパーを操作してワイヤの拘束や拘束解除を行って吊下物を任意位置に固定配置すべく昇降制御することを特徴とする昇降装置の昇降操作方法である。
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20080610 |