JP2004141042A - 扁平気泡入りカプセル皮膜を備えたソフトカプセル及びその製造方法 - Google Patents

扁平気泡入りカプセル皮膜を備えたソフトカプセル及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来のソフトカプセルは、保存安定性は良好であったが、カプセル皮膜が強固でありすぎるために、噛み切りにより内容液を放出するチュウアブル用や、ねじ切りや押し潰しにより内容液を放出する化粧品や入浴剤用や、更には、速溶性が要求される口中清涼剤等の用途には使用性が今一歩であった。
【解決手段】カプセル皮膜3中の膜厚方向に扁平面が向いた状態で扁平な微小気泡5が多数混入されており、且つカプセル皮膜の外表面に微小凹凸7が形成されていることを特徴とするソフトカプセル1。好ましくは、気泡混入率が5〜80重量%であり、気泡の膜厚方向の最大径が500μm以下である。
【選択図】       図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ソフトカプセルに係り、特に、溶解性や、食感や、切断性が良いソフトカプセルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ソフトカプセルは、液体(広くスラリー等も含む)を内容物とするものであり、一定量の液体を気軽に摂取できることや液体を安定的に保存できること等の点から、健康食品、調味料などの一般食品、医薬品、医薬部外品、化粧品、入浴剤、雑貨など幅広い用途に使用されている。
【0003】
ところで、ソフトカプセルは、内容物が液体なので、カプセル皮膜に僅かでも穴があくと、内容液(カプセルの内容物である液体を意味する。以下、同意味で記載する。)が漏れ出してしまう。また、内容液が昼間と夜の温度変化により膨張・収縮を繰り返すため、カプセル皮膜がひび割れ、やはり内容液が漏れ出すことがある。これを防ぐためには、カプセル皮膜にある程度の厚みと弾力を付すことで強度を高める必要があり、そのため、従来のソフトカプセルは、ハードカプセルのカプセル皮膜の約4倍以上もの膜厚を有し、更に、グリセリン等の可塑剤が添加されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このため、口の中で噛むチュウアブルカプセル用とすると、噛み切るのに大きな力を要し且つ噛み切った後も溶け難いため、口内残存感が非常に強く、食感が悪い。また、使用時にカプセルの首部をねじ切ることで内容液を放出させ使用する化粧品用ソフトカプセルがあるが、ねじ切るのは容易ではない。更に、使用時に押し潰すことで内容液を放出させ使用するシャンプー入りカプセルやエアーガン用ペイント弾カプセルがあるが、押し潰すのも容易ではない。
【0005】
経口用医薬品や入浴剤のように、ソフトカプセルを容器として利用し、口、食道、胃、腸等の内部や手や洗面器や浴槽等の水(湯を含む)中でカプセル皮膜を溶かすことで内容液を放出させるものがあるが、カプセル皮膜が溶けて内容液を放出するまでに時間がかかる。即ち、崩壊性が今一歩である。
【0006】
カプセル皮膜の素材としては、造膜性、シール性、カプセル強度、可食性等の点からゼラチンが現在のところは圧倒的に使用されているが、ゼラチンは特有の不快な味を呈する。ソフトカプセルのカプセル皮膜として成形する場合には、かかる不快な味のゼラチンを厚いカプセル皮膜に対して40重量%以上も含ませなければならない。
【0007】
更に、カプセル皮膜に可塑剤が含まれていると、付着し易くなり、工場内におけるソフトカプセルの搬送性やビン等に詰めた後のソフトカプセルの保存安定性が損なわれることから、実際に市販されているソフトカプセルには、カプセル皮膜の外表面にカルナバロウ等が被覆されたり、小麦粉などの粉末が付着されたりしているが、これらの付着防止剤の存在も呈味性を損なわせている。
【0008】
従って、従来のソフトカプセルは、内容液の漏れ出し防止や保存安定性についてはある程度満足できたが、それに比べて使用性は満足できるものではなく、お菓子のような特に嗜好性の重視される製品に、ソフトカプセルを適用して商業的に成功した例は未だ聞かない。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、ソフトカプセルの使用性を改善すべく試行錯誤の末、皮膜液を多数の微小な気泡を含ませた状態で調製し、ソフトカプセルを成形する際に所定の引張力を加えたり又は後乾燥工程で衝撃を加えることで多数の微小気泡を扁平に変形した形態でカプセル皮膜に混入させると、得られたソフトカプセルは、以下の特性を有することが分った。
【0010】
(1)多数の微小気泡を混入させることで、可塑剤を必須成分とせずに、カプセル皮膜に適度な弾力を付与できる。
(2)気泡をカプセル皮膜の膜厚方向に扁平面が向いた状態で混入させることで、カプセル皮膜の見掛けの膜厚を従来の気泡なしカプセル皮膜の膜厚より有意的に大きくせずに済む。内容液の膨張・収縮に伴いカプセル皮膜に付加される力はカプセル皮膜に概ね垂直な膜厚方向なので、扁平な気泡を膜厚方向に対して扁平面が向くように配置することで、従来の気泡なしカプセル皮膜と同程度の膜厚で十分な保存安定性を確保できるものと思われる。
その結果として、従来の気泡なしカプセル皮膜よりゲル化剤の配合量を大幅に減らし、更に(1)と相俟って、可塑剤の配合量を大幅に減らす又は配合しないことを可能とする。
(1)と(2)により、噛み切りやねじ切りや押し潰しを容易にすると共に溶解性を改善できた。
【0011】
更に、食品用に関して言えば、多数の微小気泡を混入させることで、ふわっとした食感で口溶けや舌触りが良く、ゼラチン系でもゼラチンの配合量の相対的大幅減少も相俟って食感を著しく改善できた。
【0012】
本発明のソフトカプセルのカプセル皮膜の形態上の主な特徴は、扁平な微小気泡が膜厚方向に扁平面が向いた状態で多数混入されていることである。
以下に本発明を請求項毎に記載する。
【0013】
請求項1の発明は、カプセル皮膜中の膜厚方向に扁平面が向いた状態で扁平な微小気泡が多数混入されており、且つカプセル皮膜の外表面に微小凹凸が形成されていることを特徴とするソフトカプセルである。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1に記載したソフトカプセルにおいて、カプセル皮膜の気泡混入率が5〜80重量%であることを特徴とするソフトカプセルである。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載したソフトカプセルにおいて、気泡の膜厚方向の最大径が500μm以下であることを特徴とするソフトカプセルである。
【0016】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれかに記載したソフトカプセルにおいて、カプセル皮膜の外表面の表面粗さが50μm以上であることを特徴とするソフトカプセルである。
【0017】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれかに記載したソフトカプセルにおいて、カプセル皮膜には可塑剤が含まれていないことを特徴とするソフトカプセルである。
【0018】
請求項6の発明は、扁平気泡入りカプセル皮膜を備えたソフトカプセルのロータリー式製造方法において、皮膜液を粘度が60℃、気泡なしの液換算で1,000〜50,000cpsとなる割合で調製する工程と、機械的に撹拌して微小気泡を多数混入させる工程と、シート状に延ばして一対のムース状皮膜シートを作製する工程と、該一対の皮膜シートを一軸の同方向に引っ張りながら、内容液の充填及び成型によりソフトカプセルを成形する工程とを含むことを特徴とする製造方法である。
【0019】
請求項7の発明は、請求項6に記載したソフトカプセルのロータリー式製造方法において、ソフトカプセルの成形工程で、皮膜シートを0.0005〜0.09kgf/mmの力で引っ張ることを特徴とする製造方法である。
【0020】
請求項8の発明は、扁平気泡入りカプセル皮膜を備えたソフトカプセルの滴下式製造方法において、皮膜液を粘度が60℃、気泡なしの液換算で300〜10,000cpsとなる割合で調製する工程と、機械的に撹拌して微小気泡を多数混入させる工程と、二重ノズルの内側ノズルから内容液を外側ノズルから皮膜液をそれぞれ吐き出せることにより、界面張力を利用してソフトカプセルを成形する段階と、成形したソフトカプセルを回転容器内で回転させ、衝撃を与えながら乾燥させることを特徴とする製造方法である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のソフトカプセルに関する実施の形態を説明する。
A.カプセル皮膜の成分
カプセル皮膜の必須成分は、皮膜基剤と、水とからなる。
皮膜基剤は、ゲル形成能を有する高分子炭水化物やタンパク質であれば使用可能であり、コラーゲン(加水分解物を含む)、ゼラチン(加水分解物を含む)、カゼイン、ポリアミノ酸、寒天、カラギーナン、ジェランガム、CMC、アラビアガム、カルボキシエチルセルロース、糖類、澱粉、澱粉誘導体、小麦粉、ポリビニルアルコール等が例示されるが、中でも、造膜性、シール性、カプセル強度、弾力性等の点からゼラチンが好ましい。なお、ゼラチンにはアルカリ処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、ペプタイドゼラチン、低分子ゼラチン、ゼラチン誘導体、化学修飾ゼラチン等も含まれる。ゼラチンを使用する場合には、その分子量は、約5万〜40万が好ましい。勿論、ゼラチンに寒天その他の基剤を添加することも可能である。
【0022】
可塑剤は、カプセル皮膜の保湿性を高め、その結果として弾力性を保持するために配合するものであり、本発明では、混入した多数の微小気泡の存在により十分な弾力性を付与することができるので、必ずしも配合する必要はない。
但し、配合する場合には、グリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどの多価アルコールやショ糖等が例示されるが、中でもグリセリンが好ましい。なお、これらの可塑剤は単独に限られず、任意の2種類以上の組合せで使用することもできる。
【0023】
乾燥後の水の量は適量であり、通常はカプセル皮膜の全重量中(気泡は除く)5〜20重量%である。
更に、カプセル皮膜には、着色剤、防腐剤や芳香剤など、従来からソフトカプセルのカプセル剤用の添加剤として知られたものも適宜配合できる。
なお、カプセル皮膜の成分の種類やその配合割合は、従来の気泡を含まないソフトカプセルのカプセル皮膜と基本的に同様であり、ソフトカプセルの用途(例えば、食品用、経口医薬品用、入浴剤等)に応じて適宜調整する。
【0024】
B.カプセル皮膜の形態・外観
図1と図2に示すように、本発明のソフトカプセル1のカプセル皮膜3中には、微小気泡5が多数含まれている。気泡5は、球を引っ張ったときにできるような扁平なものであり、カプセル皮膜3の膜厚方向に扁平面が向いた状態で多数混入されていることを特徴とするソフトカプセルである。なお、本発明では、皮膜シートを引張ったり、ソストカプセル全体に衝撃を加えたりすることで結果として気泡を扁平に変形させているので、気泡全てが扁平で且つ扁平面が膜厚方向に対して垂直(90°)になっていなければならないと限定的に解釈されるべきではない。
写真等による多数の試料の観察により、気泡の50%以上が扁平で且つ扁平気泡が膜厚方向に対して45〜90°の角度で配置されていれば、期待された良好な結果が得られていることが確認されている。
【0025】
カプセル皮膜3中への気泡5の混入率は一定容量での重量の変化を基に算出したものであり、以下のように定義する。
【数1】
Figure 2004141042
【0026】
気泡混入率は小さすぎると所望の効果が得られず、一方大きすぎると、軟らかくなり過ぎ、搬送時に不可避的に受ける衝撃により破壊される危険性がある。従って、気泡混入率は5〜80重量%が好ましく、40〜60重量%がより好ましい。
また、ロータリー式製造方法では、2枚の皮膜シートをシールするが、気泡混入率が大きくなりすぎると、シール部分の接合面積が小さくなり、接合強度が低下して、その部分にひび割れが発生し易くなる。従って、ロータリー式製造方法で製造する場合には、気泡混入率は、特に70重量%以下が好ましい。
【0027】
また、各気泡は大きすぎると、気泡混入率が大きすぎた場合と同様の欠点が生じ易い。従って、気泡の膜厚方向の最大径は500μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましい。
【0028】
図1と図2に示すように、カプセル皮膜3の外表面には凹凸7が形成されている。この凹凸7は、後述する製造方法の気泡の扁平化処理段階で一部の気泡が弾かれることで不可避的に形成されたものである。凹凸7の存在により、高温高湿度下においても保存時のビン等の容器やソフトカプセル1どうしの付着が阻止される。なお、上記の効果を期待する場合には、表面粗さを50μm以上に設定するのが好ましい。
【0029】
なお、上記の気泡の最大径や表面粗さはカプセル皮膜を切断した上で撮影した顕微鏡写真に基づいて算出したものである。
【0030】
カプセル皮膜3の膜厚(T)(見掛けの膜厚)は、従来の気泡なしカプセル皮膜と同様、通常0.03〜2.0mm程度である。図3で模式的に示すが、カプセル皮膜3の見掛けの膜厚(T)が同じ場合には、図3(A)(比較品)に示す真球の気泡9(直径:t0)が混入されている場合の実際の膜厚(T−t0)より、図3(B)(本発明品)に示す扁平な楕円形の気泡5(真球が潰れた気泡で、直径:t1(<t0))が混入されている場合の実際の膜厚の方が大きい。即ち、楕円形に変形することにより、膜厚方向に垂直な方向の気泡5の断面積を減少している。
その結果、図3(B)(本発明品)のカプセル皮膜の方が図3(A)(比較品)のカプセル皮膜より破裂して内容液を漏らす危険性は低い。
【0031】
カプセル皮膜中に含まれる気泡は、製造の容易さから市販用のソフトカプセルには現在のところ空気を想定しているが、それに限定されず、不活性なら二酸化炭素やアルゴンや窒素などでもよい。
【0032】
C.ソフトカプセルの製造方法
本発明のソフトカプセルの製造方法の二例を説明する。
(1)ソフトカプセルのロータリー式製造方法
皮膜基剤と水とから主になる皮膜液を粘度が60℃、気泡なしの液換算で1,000〜50,000cpsとなる割合で混合して調製する。次に、撹拌混合器、乳化器、連続圧力泡立て器等のムース菓子等の分野で周知の機械的泡立て器を用いて気泡を皮膜液に含ませる。その際、装置の駆動条件を適宜調整することで、気泡の混入率や気泡の大きさを所望の程度に調整する。なお、気泡なしカプセル皮膜の場合には、上記の皮膜液では粘度が低すぎてシートに加工できないが、本発明はムース状の流動可能なシートに加工できる。
【0033】
次に、一対の皮膜シートを一軸の同方向に引っ張りながら、内容液の充填及び成型打ち抜きによりソフトカプセルを成形する。このときの引張力は、0.0005〜0.09kgf/mmに設定することが好ましい。0.0005kgf/mm未満では期待した効果が得られず、0.09kgf/mm超では残留応力が残り、保存時に却ってひび割れが発生し易くなるからである。なお、引張力の範囲は、製造時の皮膜シートを採取し、15mm×50mmの検体を作製し、(株)サン科学社製のSUN RHEOM METER(型番CR−500DX)を用いた測定により得た数値に基づき決定したものである。
この後、静置乾燥して水分量を調整する。
【0034】
図4に典型的なロータリー式製造装置11を示す。符号13は一対の円筒形成形ダイロールを、符号15はポンプを、符号17は充填量調整バルブを、19はタンクをそれぞれ示す。
上記の装置11を使用すると、冷却してフィルム状に成形された皮膜シートSは一対のダイロール13の回転によりダイロール13の両側より狭間に送られ、同時に、タンク19内の内容液Lはポンプ15の動作により一対の皮膜シートSの間に圧入される。そしてセグメント21による熱の予備的付与と一対のダイロール13の圧力とにより圧着されてカプセルCが成形された後、打ち抜きネットにより皮膜シートSから分離される。
【0035】
(2)ソフトカプセルの滴下式製造方法
皮膜基剤と水とから主になる皮膜液を粘度が60℃、気泡なしの液換算で300〜10,000cpsとなる割合で混合して調製する。滴下式の場合にはノズルから吐き出せるので、ロータリー式より粘度を低く設定する。なお、2,500cps以下に設定するのが好ましい。
次に、撹拌混合器、乳化器、連続圧力泡立て器等のムース菓子等の分野で周知の機械的泡立て器を用いて気泡を皮膜液に含ませる。その際、装置の駆動条件を適宜調整することで、気泡の混入率や気泡の大きさを所望の程度に調整する。
次に、二重ノズルの内側ノズルから内容液を外側ノズルから皮膜液をそれぞれ吐き出せることにより、界面張力を利用してソフトカプセルを成形する。
【0036】
図5に示す典型的な滴下式製造装置23を示す。符号25は二重ノズルを示し、この二重ノズル25は内側ノズル27と外側ノズル29とからなる。二重ノズル25の先端は、キャリヤ流体M(例えば、中鎖脂肪酸トリグリセリド)のプール31内に入り込んでいる。符号33はポンプを示し、符号35は網を示す。
上記の装置23を使用すると、ポンプ33の動作により内側ノズル27から内容液Lが吐き出され、外側ノズル29から皮膜液Hが吐き出され、プール31のキャリヤ流体M中で界面張力により球状のカプセルCに成形され、キャリヤ流体Mと共に移送され、網35上でカプセルCからキャリヤ流体Mが切られる。
【0037】
その後、成形したソフトカプセルを回転容器内で回転容器やカプセルどうしの衝突下で乾燥させて水分量を調整する。
図6に典型的な回転式乾燥機37(有限会社ヨシミ工業製、商品名:大型回転通風乾燥機)を示す。符号39は周面が金属網で構成される円筒形本体(直径が45cm、長手方向が1.8m程度)を示し、この円筒形本体39の周面上に投入及び排出用の図示しない開口と図示しない開閉自在のフタが設けられている。円筒形本体39は図示しない回転手段により回転可能である。符号41は円筒形本体39を支持するためのころを示す。符号43は送風機を示し、この送風機43の送風口45は円筒形本体39の周面に対向している。
上記の乾燥機37を使用すると、開口から円筒体本体39中に投入された多数のソフトカプセルCが円筒形本体39の回転により送風下で乾燥される。特に回転速度を、従来の気泡なしカプセル皮膜の製造のときより大きくすることで、カプセルどうし又は円筒形本体39の内壁との衝突の際の衝撃を大きくできる。
なお、このときの衝撃力により、カプセル皮膜3の表面の気泡5が弾かれて凹凸ができる。
【0038】
【実施例】
(サンプルの製造)
本発明品と比較品としてのソフトカプセルのサンプルを製造した。
本発明品1の製造
ゼラチン:100重量%
精製水:200重量%
の処方で合計30L(リットル)を60℃に保ちながら慣用的な撹拌混合器に入れて十分に撹拌した後、更に泡立て器に入れて最終的な皮膜液を得た。なお、この場合の粘度は、気泡なしの液換算で3,000cpsであった。
そして、皮膜液を仕込みタンクに入れて60℃で保温し、上記のロータリー式製造方法に従って、ダイの回転速度を3.0〜3.5rpmの範囲で調節することで一対の皮膜シートを約0.005kgf/mmの力で引張りながら送り出し、小麦胚芽油を1個のカプセル当たり100mg充填しながらカプセル成形し、その後乾燥板の上で静置乾燥して、見掛けの膜厚が0.8mm、水分率が5重量%の最終的な完成品(フットボール形)を得た。
【0039】
本発明品2の製造
精製水を130重量%と少なくした以外は、比較品1の製造方法と同様に処理してカプセル成形し、その後は本発明品1の製造方法と同様に処理して同じ膜厚及び水分率の最終的な完成品とした。なお、この場合の粘度は、気泡なしの液換算で19,000cpsであった。
【0040】
本発明品3の製造
本発明品1と、ソフトカプセルの形態をねじ切り型とした他は同様にして製造した。
【0041】
本発明品4の製造
本発明品1の製造において用いたのと同じ皮膜液を仕込みタンクに入れて60℃で保温し、上記の滴下式製造方法に従って、小麦胚芽油を1個のカプセル当たり50mmg充填しながらカプセル成形し、その後上記の回転式乾燥機を用いて合計約60kgのカプセルを円筒形本体に入れ、2〜5rpmの回転速度で回転させて衝撃を与えながら乾燥すると共に気泡を楕円形にし、見掛けの膜厚が0.5mm、水分率が10重量%の最終的な完成品を得た。
【0042】
比較品1の製造
本発明品1と同じ処方で皮膜液を調製した。但し、従来のソフトカプセル用撹拌器を用いて混合し、混合の際にできた気泡はその後真空脱泡することで除いた。皮膜液を仕込みタンクに入れて60℃で保温し、上記のロータリー式製造方法に従ってカプセル成形を試みた。しかしながら、粘度が低すぎてシートに加工できず、そこで作業を終了した。
【0043】
比較品2(従来品)の製造
精製水を100重量%と少なくした以外は、比較品1の方法と同様に処理してカプセル成形した。その後は本発明品1の方法と同様に乾燥処理して、本発明品1と同じ膜厚及び水分率の最終的な完成品とした。なお、この場合のカプセル皮膜液の粘度は50,000cpsであった。
【0044】
比較品3(従来品)の製造
比較品2と、ソフトカプセルの形態をねじ切り型とした他は同様にして製造した。
【0045】
比較品4の製造
本発明品4と、回転式乾燥機の代わりに乾燥板の上で静置乾燥した他は同様にして製造した。
【0046】
(サンプルの評価)
食感:モニター20人に、ソフトカプセルを飲み込まずに自由に食べてもらい、総合的な食感を評価してもらった。
口内容解性:モニター20人に、ソフトカプセルを飲み込まずに口内で溶かしてもらった。
噛み切り性:モニター20人にソフトカプセルを噛み切ってもらった。
口内での溶解性:モニター20人に、ソフトカプセル30秒間口内に噛んだり、なめたりしてカプセル皮膜を溶かしてもらった。
ねじ切り性:モニター20人にねじ切り型のソフトカプセルをねじ切ってもらった。
付着性:6号透明ガラス瓶にソフトカプセルを各々20個ずつ入れ、栓をせずに、40℃、湿度75%下に24時間放置し、付着状態を調べた。
カプセルの安定性:6号透明ガラス瓶にソフトカプセルを各々10個ずつ入れ、栓をして夏の2ヶ月間保管して、内容液の漏れ出し状況を調べた。
外観:ソフトカプセルを肉眼観察した。
【0047】
浮遊性:1L(高さ15cm)の容器に水を入れ、その中にソフトカプセルを5個ずつ入れて、水中で沈降するか浮遊するかを肉眼観察し、また浮遊した場合には沈降して容器の底に至るまでの時間を測定した。なお、浮遊時間が長ければ、胃等の消化器官内における滞留時間が長く、その消化器官内での内容液の放出を長い間にわたって持続させることができる。
崩壊性:日本薬局方の崩壊試験法のカプセル剤の項に準じて試験をし、内容液の放出時間と、カプセル皮膜が完全に溶解するまでの溶解時間を測定した。
結果は、以下の通りであった。
【0048】
【表1】
Figure 2004141042
【0049】
【表2】
Figure 2004141042
【0050】
【発明の効果】
本発明のソフトカプセルは、保存安定性を損なわずに、ねじ切り性や噛み切り性と言った切断性や崩壊性を改善している。食感も良いので、お菓子等の嗜好品としても十分な商品価値を有しているものと考える。また、ゲル化剤や可塑剤の使用量を大幅に減らすことができるので、皮膜原料代が安くなる。更に、気泡の存在により皮膜が白くなるので、着色料や遮光剤を添加する必要はない。加えて、本発明のカプセル皮膜は従来の気泡なし皮膜に比べて大幅に軽量化が可能なので、胃液中に浮遊できる程度まで軽量化すれば、胃内での内容液の放出を長時間にわたって持続することができる。医薬品の場合には持続時間を長くすることで服用回数を減らすことが求められるものもあるので、そのような用途には本発明のソフトカプセルは有効である。
【0051】
従来のソフトカプセルの製造方法においては、気泡が存在すると強度を損なうことから撹拌して皮膜液を調製した後時間のかかる脱泡処理を行っていたが、本発明では敢えて微小気泡を多数混入させているので、脱泡工程は設ける必要がない。また、ゲル化剤や可塑剤の使用量を大幅に減らすことができるので、当然のことながら乾燥時間が短くなる。従って、生産効率が上がる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るソフトカプセルのカプセル皮膜の断面を示す顕微鏡写真である。
【図2】本発明の実施の形態に係るソフトカプセルのカプセル皮膜の上面を示す顕微鏡写真である。
【図3】本発明の実施の形態に係るカプセル皮膜と比較品の断面を模式的に示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る製造方法に用いるロータリー式製造装置を示す模式図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る製造方法に用いる滴下式製造装置を示す模式図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る製造方法に用いる回転式乾燥機を示す模式図である。
【符号の説明】
1  ソフトカプセル
3  カプセル皮膜
5  気泡
7  凹凸
9  気泡
11 ロータリー式製造装置、13 一対のダイロール、15 ポンプ、
17 充填量調整バルブ、19 タンク、21 セグメント
23 滴下式製造装置、25 二重ノズル、27 内側ノズル、
29 外側ノズル、31 プール、33ポンプ、35 網
37 回転式乾燥機、39 円筒形本体、41 ころ、43 送風機、
45 送風口
C ソフトカプセル
S 皮膜シート
L 内容液
H 皮膜液
M キャリヤ流体

Claims (8)

  1. カプセル皮膜中の膜厚方向に扁平面が向いた状態で扁平な微小気泡が多数混入されており、且つカプセル皮膜の外表面に微小凹凸が形成されていることを特徴とするソフトカプセル。
  2. 請求項1に記載したソフトカプセルにおいて、カプセル皮膜の気泡混入率が5〜80重量%であることを特徴とするソフトカプセル。
  3. 請求項1または2に記載したソフトカプセルにおいて、気泡の膜厚方向の最大径が500μm以下であることを特徴とするソフトカプセル。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載したソフトカプセルにおいて、カプセル皮膜の外表面の表面粗さが50μm以上であることを特徴とするソフトカプセル。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載したソフトカプセルにおいて、カプセル皮膜には可塑剤が含まれていないことを特徴とするソフトカプセル。
  6. 扁平気泡入りカプセル皮膜を備えたソフトカプセルのロータリー式製造方法において、
    皮膜液を粘度が60℃、気泡なしの液換算で1,000〜50,000cpsとなる割合で調製する工程と、機械的に撹拌して微小気泡を多数混入させる工程と、シート状に延ばして一対のムース状皮膜シートを作製する工程と、該一対の皮膜シートを一軸の同方向に引っ張りながら、内容液の充填及び成型によりソフトカプセルを成形する工程とを含むことを特徴とする製造方法。
  7. 請求項6に記載したソフトカプセルのロータリー式製造方法において、ソフトカプセルの成形工程で、皮膜シートを0.0005〜0.09kgf/mmの力で引っ張ることを特徴とする製造方法。
  8. 扁平気泡入りカプセル皮膜を備えたソフトカプセルの滴下式製造方法において、
    皮膜液を粘度が60℃、気泡なしの液換算で300〜10,000cpsとなる割合で調製する工程と、機械的に撹拌して微小気泡を多数混入させる工程と、二重ノズルの内側ノズルから内容液を外側ノズルから皮膜液をそれぞれ吐き出せることにより、界面張力を利用してソフトカプセルを成形する段階と、成形したソフトカプセルを回転容器内で回転させ、衝撃を与えながら乾燥させることを特徴とする製造方法。
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