JP2004140496A - 誘電体アンテナ及びそれを内蔵する移動体通信機 - Google Patents

誘電体アンテナ及びそれを内蔵する移動体通信機 Download PDF

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岡戸 広則
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Abstract

【課題】小型でありながら電波の輻射効率の低下と広帯域化の妨げを可及的に排除可能な誘電体アンテナを提供する。
【解決手段】積層誘電体(7)のアンテナ形成面(9)上において、当該アンテナ形成面外周に隣接して延びる線状エレメント(11)と、当該アンテナ形成面(9)上において、当該線状エレメント(11)から分岐部(33)を介して分岐し当該アンテナ形成面(9)の内部領域に向かって延びる面状エレメント(31)と、を設ける。線状エレメントに囲まれた領域を有効利用して面状エレメントを形成してあるので、エレメント間の相互干渉が少ない。つまり、輻射効率の低下が少ない。また、面状エレメントを採用することにより広帯域化を図っている。
【選択図】    図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話機や携帯無線通信機等に代表される移動体通信機が内蔵する誘電体アンテナ、及びその誘導体アンテナを内蔵する移動体通信機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年における移動体通信機の普及とともに、携帯や移動のとき便利なように、その小型軽量化が望まれている。そのような移動体通信機が内蔵する電子部品群のうち、半導体集積回路等の小型化は急速に進んでいる。特許文献1には、アンテナを小型化するために螺旋状又はミアンダ状に形成したエレメントが開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−196339号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、限られたアンテナ形成面上に螺旋状又はミアンダ状のエレメントを形成すると、エレメント同士が隣接することになるため、両エレメント間の容量結合等による相互干渉を起こしかねない。両エレメント同士の相互干渉は、電波の輻射効率を低下させたり広帯域を妨げたりするため、できるだけ避けたい。本発明が解決しようとする課題は、上述した問題を解決することであって、小型でありながらエレメント間の相互干渉を抑制することにより、電波の輻射効率の低下と広帯域化の妨げを可及的に排除可能な誘電体アンテナと、そのようなアンテナを内蔵する移動体通信機を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために本発明は、次の構成を備えている。なお、何れかの請求項に係る発明の説明にあたって行う用語の定義等は、その性質上可能な範囲において他の請求項に係る発明にも適用があるものとする。
【0006】
(請求項1に記載した発明の特徴)
請求項1に記載した発明に係る誘電体アンテナは、矩形のアンテナ形成面を有する積層誘電体と、当該アンテナ形成面上において、当該アンテナ形成面外周に隣接して延びるとともに第1共振周波数に共振可能な線状エレメントと、当該線状エレメント基端に接続した給電端子と、当該線状エレメント基端の近傍から当該アンテナ形成面上で分岐する線状導電体と、当該線状導電体先端に接続したグランド端子と、当該アンテナ形成面上において、当該線状エレメントから分岐部を介して分岐し当該アンテナ形成面の内部領域に向かって延びるとともに当該第1共振周波数とは異なる第2共振周波数に共振可能な面状エレメントと、を含むことを特徴とする。「面状」のエレメントとは、線状(帯状)のエレメントよりも幅広に形成したエレメントのことをいう。
【0007】
請求項1の誘電体アンテナは、いわゆる逆F型アンテナである。線状エレメントは第1共振周波数に共振し、面状エレメントは第2共振周波数に共振する。線状エレメントは、矩形のアンテナ形成面外周に隣接して延びているため、アンテナ形成面上において線状エレメントに囲まれた領域(内部領域)を有効活用することができる。内部領域を有効活用することにより、エレメント間の相互干渉を抑制して輻射効率の低下を排除することができる。請求項1の誘電体アンテナでは、この内部領域内に面状エレメントを設けてある。面状エレメントを流れる高周波電流は、これを分岐部から見ると長さが異なる幾通りもの電流路に沿って流れる。これらの電流路を流れる高周波電流は互いに長さが異なり、かつ、その異なりは連続的なものとなる。つまり、異なる共振周波数に共振する複数の高周波電流の束が形成されることになり、これが面状エレメントの共振範囲を広帯域化する。
【0008】
(請求項2に記載した発明の特徴)
請求項2に記載した発明に係る誘電体アンテナは、請求項1の誘電体アンテナであって、前記面状エレメントの幅寸法が、前記分岐部において最小に設定されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2の誘電体アンテナによれば、請求項1の誘電体アンテナの作用効果に加え、面状エレメントの幅寸法が分岐部において最小であるから、面状エレメントのインピーダンス調整が行いやすい。つまり、分岐部の幅寸法が広すぎると、それだけインピーダンス値の幅も広くなって最適ポイントに合わせづらいので、分岐部において最小に設定した。
【0010】
(請求項3に記載した発明の特徴)
請求項3に記載した発明に係る誘電体アンテナは、請求項2の誘電体アンテナであって、前記面状エレメントが、前記分岐部から前記アンテナ形成面の内部領域に向かって幅寸法が拡幅する拡幅部と、当該拡幅部と連続する終端部と、を含むことを特徴とする。
【0011】
請求項3の誘電体アンテナは、請求項2の誘電体アンテナの作用効果に加え、拡幅部を有することにより、最小幅寸法の分岐部から放射状に長さの異なる高周波電流が発生する。これらの高周波電流は、互いの長さが微妙に異なっており、これにより面状エレメントが広帯域化する。高周波電流は、拡幅部から終端部へ流れる。
【0012】
(請求項4に記載した発明の特徴)
請求項4に記載した発明に係る誘電体アンテナは、矩形の第1アンテナ形成面を有する積層誘電体と、当該第1アンテナ形成面上において、当該アンテナ形成面外周に隣接して延びるとともに第1共振周波数に共振可能な線状エレメントと、当該線状エレメント基端に接続した給電端子と、当該線状エレメント基端の近傍から当該第1アンテナ形成面上で分岐する線状導電体と、当該線状導電体先端に接続したグランド端子と、当該第1アンテナ形成面とは異なる第2アンテナ形成面上において、当該線状エレメントと結合部を介して結合するとともに当該第1共振周波数とは異なる第2共振周波数に共振可能な面状エレメントと、を含み、当該第2面状エレメントが、当該第2アンテナ形成面の内部領域に向かって延びていることを特徴とする。
【0013】
請求項4の誘電体アンテナも、請求項1のアンテナと同じく、いわゆる逆F型アンテナである。線状エレメントは第1共振周波数に共振し、面状エレメントは第2共振周波数に共振する。線状エレメントは、矩形の第1アンテナ形成面外周に隣接して延びているため、第2アンテナ形成面の内部領域を有効活用することができる。請求項4の本発明では、この第2アンテナ形成面の領域を使って面状エレメントを設けている。請求項4の誘電体アンテナの面状エレメントは、第1アンテナ形成面とは異なる第2アンテナ形成面上に形成してあるが、第1アンテナ形成面から第2アンテナ形成面を透視したとした場合に、結合部を除き両者が重なり合わないように面状エレメントを形成してある。両者の干渉を可及的に排除するためである。線状エレメントからの途中から結合部を介して面状エレメントに入った高周波電流は、これを分岐部から見たときに長さが異なる幾通りもの電流路に沿って流れる。これらの電流路は互いに長さが異なり、かつ、その異なりは連続的なものとなる。つまり、異なる共振周波数に共振する複数の高周波電流の束が形成されることになり、これが面状エレメントを広帯域化する。
【0014】
(請求項5に記載した発明の特徴)
請求項5に記載した発明に係る誘電体アンテナは、請求項4の誘電体アンテナであって、記結合部が、コンデンサ構造を含むことを特徴とする。結合部が含むコンデンサ構造とは、誘電体層を用いた容量結合のほかに、電子部品としてコンデンサを用いた容量結合のことをいう。
【0015】
請求項5の誘電体アンテナによれば、請求項4の誘電体アンテナの作用効果に加え、第1アンテナ形成面上の線状エレメントと、第2アンテナ形成面上の面状エレメントとがコンデンサ構造により容量結合される。特に、誘電体層を用いて容量結合させる場合には、面状エレメントの基部(結合部)を線状エレメントの途中に誘電体層を挟んで対向させるだけで両者を結合させることができるので、製造が極めて簡単である。
【0016】
(請求項6に記載した発明の特徴)
請求項6に記載した発明に係る誘電体アンテナは、請求項4の誘電体アンテナであって、前記結合部が、前記面状エレメントの基部と前記線状エレメントの途中とを連結する連結導電体と、を含み、当該連結導電体の一部又は全部が当該誘電体アンテナの外周端面上に配されていることを特徴とする。
【0017】
請求項6の誘電体アンテナによれば、請求項4の誘電体アンテナの作用効果に加え、連結導電体の働きによって面状エレメントが面状エレメントとに結合される。連結導電体の一部又は全部を誘電体アンテナの外周端面上に配したことにより、その分だけ面状アンテナの長さを短くすることができる。面状アンテナが短くなれば、それだけ線状アンテナとの干渉の恐れが少なくなる。
【0018】
(請求項7に記載した発明の特徴)
請求項7に記載した発明に係る移動体通信機によれば、請求項1乃至6の何れかの誘電体アンテナを内蔵していることを特徴とする。移動体通信機の例としては、携帯電話機や通信機能を備える小型コンピューターなどがある
【0019】
請求項7の移動体通信機によれば、請求項1乃至6の何れかの誘電体アンテナを内蔵しており、これらの誘電体アンテナは、前述したように従来のものに比べて小型化が図られ広帯域化している。このため、このような誘電体アンテナを内蔵する移動体通信機は、誘電体アンテナが小型化した分、小型化すること、換言すると、狭いスペースしかない場合でも誘電体アンテナを内蔵させることが可能となる。さらに、広帯域化したことにより、広い帯域内において安定した通信を可能とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1乃至3を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施形態に係る誘電体アンテナの斜視図である。図2は、積層誘電体の構造を示す斜視図である。図3は、図2に示す誘電体アンテナの上層基板を省略した状態の平面図である。図4は、図1に示す誘電体アンテナの周波数特性を示す図表である。図5及び6は、図2に示す面状アンテナの変形例を示す図である。図7は、第1変形例に係る積層誘電体の斜視図である。図8は、図7に示す積層誘電体の構造を示す斜視図である。図9は、図7に示す誘電体アンテナの上層基板を省略した状態の平面図である。図10は、第2変形例に係る積層誘電体の斜視図である。図11は、図10に示す積層誘電体の構造を示す斜視図である。図12は、図10に示す誘電体アンテナの上層基板を省略した状態の平面図である。
【0021】
(本実施形態の概略構造)
図1乃至3に基づいて、第1実施形態に係る誘電体アンテナについて説明する。誘電体アンテナ1は、誘電体セラミック材料からなる絶縁性の上層基板3と下層基板5とを積層した直方体状の積層誘電体7を備えている。上層基板3と下層基板5は、何れも平面視したときに同じ大きさの長方形(矩形)に形成してあるため、三者を積層してなる積層誘電体7は直方体形状になる。図1乃至3に示す上層基板3と下層基板5は、それぞれを単層体により構成してあるが、積層体により構成してもよい。下層基板5の上面(上層基板3と対向する面)は、後述する線状エレメントを形成するためのアンテナ形成面9としてある。また、下層基板5の上面(上層基板3と対向する面)は、同じく後述する第2エレメントを形成するための第2アンテナ形成面9としてある。上層基板3はアンテナを形成するためのものではなく、アンテナ形成面9上に形成する線状エレメント等を保護することを主目的とする誘電体層である。積層誘電体7は2層構造としたが、上層基板3を省略して単層構造としてもよいし、下層基板5の下に他の基板を設けて3層構造としてもよい。また、他の層基板をさらに積層して4層又は5層以上の構造としも構わない。積層誘電体7を直方体形状に形成したのは、いわゆるダイサーカット等による多数個取りをし易くするためであって、これら以外の形状に形成できることはいうまでもない。
【0022】
なお、下層基板5の裏面(図3の紙面裏側の面)には、誘電体アンテナ1を、親基板(図示を省略)にしっかりとハンダ付けするためのダミー電極(図示を省略)を設けてある。親基板(図示を省略)に実装する際には、給電端子19は親基板の給電部Pに、グランド端子21は同じくグランド部Gに、それぞれハンダ付けにより接続する。
【0023】
(線状エレメントの構成)
図2及び3に示すように、アンテナ形成面9上には、このアンテナ形成面9の外周(9a,9b,9c,9d)に隣接する(沿う)線状エレメント11を形成してある。線状エレメント11は、第1共振周波数に共振可能な長さに設定する。線状エレメント11の形成は、導電ペーストを印刷することにより行うのが便利であり、その際の印刷ズレを吸収するために外周9a,9b,9c,9dとの間にマージンを残しておくことが好ましい。
【0024】
図2及び3に示すように、線状エレメント11は、第1部分13、第3部分14、第2部分15及び第4部分16から構成してある。ここで、数字を順に並べていないのは、説明の都合から、そのようにしたものであって、順に並べていないことが線状エレメント11の形状に影響を与えるものではない。線状エレメント11の第1部分13は基端部12と第1屈曲部k1との間に位置する部分であり、同じく第3部分14は第1屈曲部k1と第2屈曲部k2との間に位置する部分である。さらに、同じく第2部分15は第2屈曲部k2と第3屈曲部k3との間に位置する部分であり、同じく第4部分16は第3屈曲部k3と開放端17との間に位置する部分である。換言すると、第1部分13は外周9aに、第3部分14は外周9bに、第2部分15は外周9cに、及び第4部分15は外周9dに、それぞれ隣接している。これに加え、各屈曲部k1,k2,k3を、アンテナ形成面9の各角部に位置させてあるので、線状エレメント11は、アンテナ形成面9上において、その外周9a,9b,9c,9dに沿って外巻き状に延びている。線状エレメント11の基端部12は、図1乃至3に示すように、積層誘電体7の端面に形成した給電端子19に接続してある。給電端子19の形成は、積層誘電体7の端面に導電性ペーストを塗布することにより行うのが一般的である。
【0025】
上記のように、線状エレメント11を外巻き状に形成したのは、同じ面積のアンテナ形成面上に形成する場合であっても、外巻き状に形成していない他の形状の線状エレメントに比べて遠回りすることになるので、遠回りの分だけその長さを長くすることができるからである。線状エレメントの長さが長くなれば、その分、共振周波数が下がるので、アンテナ自体が小型化する。さらに、線状エレメント11を外巻き状に形成することにより、対向する第1部分13と第2部分15との距離、及び、第3部分14と第4部分16との距離が、それぞれアンテナ形成面9上において最大となる。距離が最大であるため、同じアンテナ形成面9上における第1部分13と第2部分15、及び第3部分14と第4部分16との間の相互干渉を効果的に排除することが可能となる。なお、高い共振周波数に共振させる場合や、共振周波数は同じでもアンテナ形成面9を広く設定できる場合には、エレメントを折り曲げる必要は必ずしもない。その場合は、たとえば第4部分16が不要となったり、これに加えて第2部分15が短くなったりすることになる。
【0026】
(線状導電体の構成)
図2及び3に基づいて、線状導電体について説明する。アンテナ形成面9上に設けた線状導電体25は、給電端子19におけるインピーダンス整合を取るための導電体である。線状導電体25は、線状エレメント基端部12の近傍の結合部23からアンテナ形成面9上で分岐しており、その先端は、積層誘電体7の端面に設けたグランド端子21に屈曲部27を介して接続してある。線状導電体25は、線状エレメント11と別工程により形成することもできるが、導電ペーストを用いて線状エレメント11と同時に印刷形成するほうが便利である。給電点インピーダンスの調整は、結合部23の位置を線状エレメント11の長さ方向にずらすことにより行うことができる。さらに、線状導電体25は、線状エレメント11の共振に寄与する部分でもあるので、その長さを調整することにより線状エレメント11の共振周波数の調整ができる。他方、線状導電体25は電波の輻射には寄与しないので、線状エレメント11に隣接させても相互干渉を生じさせる恐れはない。また、相互干渉の恐れがないことから、その一部を屈曲又は蛇行等させることにより、同じ第2アンテナ形成面9上において線状導電体25の長さを長くすることも可能である。なお、グランド端子21の形成は、給電端子19と同様に、積層誘電体7の端部に導電性ペーストを塗布することにより行うのが便利である。
【0027】
(面状エレメントの構成)
図1乃至3に示すように、面状エレメント31は、アンテナ形成面9上に形成してある。面状エレメント31は、分岐部33を介して線状エレメント11から分岐しアンテナ形成面9の内部領域に向かって延ばさせてあり、第1共振周波数とは異なる第2共振周波数に共振するように形成してある。面状エレメント31は、線状エレメント11に囲まれた領域(内部領域)に向かって拡幅する三角形状の拡幅部35と、この拡幅部35につながるほぼ矩形状の終端部37と、を備えている。その形成は、線状エレメント11とともに導電ペーストを印刷することにより行うのが便利である。面状エレメント31の幅寸法は、分岐部33において最小となるように設定してある。これは、面状エレメント31のインピーダンス調整を行いやすくするためである。つまり、分岐部33の幅寸法が広すぎると、それだけ線状エレメント11との結合範囲が広くなるためインピーダンス値の幅も広くなりやすい。面状エレメント31を形成するに当って最適なインピーダンスポイントは限られた狭い範囲内でなければ得られないが、ため、インピーダンスポイントだけに着目すれば分岐点33の幅寸法は狭いほうがよい。しかし、面状エレメント31の広帯域化と製造の容易化とを図るためには、分岐部33以外の部分にある程度の幅寸法を持たせることが好ましい。そこで、分岐点33の幅寸法を最小とすることにより、両者の調和を図った。なお、分岐点33の幅寸法を最小とした理由は上記の通りであるが、インピーダンスの整合に多少の手間はかかるかもしれないが、共振周波数や帯域幅等に応じて面状エレメント31以外の形状、たとえば、図5に示す面状エレメント41のような形状や図6に示す面状エレメントのような形状を採用してもよい。
【0028】
ここで、給電部Pから供給される高周波電流は、給電部19から線状エレメント11の基端部12、第1屈曲部k1、第2屈曲部k2、第3屈曲部k3、そして開放端17へと順に流れる。他方、面状エレメント31を流れる高周波電流は、基端部12から分岐部33を通って拡幅部35へ抜け、さらに、終端部37へと順に流れる。このようにして流れる高周波電流は、これを分岐部33から見ると長さが異なる幾通りもの電流路に沿って流れている。これらの電流路を流れる高周波電流(図3に矢印で示す)は互いに長さが異なり、かつ、その異なりは連続的なものとなる。つまり、異なる共振周波数に共振する複数の高周波電流の束が形成されることになり、これが面状エレメント31の共振範囲を広帯域化する。
【0029】
前述した第1周波数と第2周波数との関係は、誘電体アンテナ1の使用目的に合わせて決定する。図4に示すように、第1共振周波数F1と第2共振周波数F2とを適度に離すことにより、誘電体アンテナ1を二つの周波数に共振させること、つまり、デュアルバンド化することができる。発明者が行った実験によれば、ノートパソコンやLANカードのような無線通信に使用される2.45GHzを第1共振周波数F1とし、同じく5.25GHzを第2共振周波数F2とするデュアルバンド化を実現することができた。また、図示は省略するが、第1共振周波数F1を、たとえば、1.98GHzとした場合に、第2共振周波数を2.10GHzのように近接させることにより、VSWR2以下の帯域を1.92〜2.17GHzのように広帯域化することができた。なお、前記した面状エレメント31を、線状エレメント11とほぼ同じ幅の線状エレメントと交換してF2に共振させたところ、図4に破線で示すように帯域が狭くなった。つまり、第2エレメント51を面状とすることにより、広帯域化したことが確認できた。
【0030】
(本実施形態の第1変形例)
図7乃至9を参照しながら、本実施形態の第1変形例について説明する。第1変形例に係る誘電体アンテナ51が図1乃至3に示す誘電体アンテナ1と異なるのは、エレメント同士の結合形態である。ここでは、異なる点についてのみ説明し、共通する部分についての説明は省略する。すなわち、誘電体アンテナ51は、誘電体セラミック材料からなる絶縁性の上層基板54と中層基板55と下層基板56とを積層した積層誘電体53を備えている。中層基板55の第1アンテナ形成面57には、この第1アンテナ形成面57の外周に隣接する(沿う)線状(帯状)エレメント58を形成してある。符号60は、線状エレメント58に接続したインピーダンス整合用の線状導電体を示している。
【0031】
下層基板56のアンテナ形成面61上には、面状エレメント63を形成してある。面状エレメント63の形状は、本実施形態の面状エレメント31と同じ形状である。面状エレメント63の基端部64は、線状エレメント58の結合部59と対向しており、両者間に誘電体である中層基板55を介したコンデンサ構造を形成させてある。すなわち、給電部Pから供給された高周波電流は、線状エレメント58の結合部59から中層基板55を介して面状エレメント63に流れるようになっている。基端部54と結合部59との間の対向面積の大小は、両者の整合に影響する。すなわち、基端部54の長さ(面積)を大きくしたり小さくしたりすることによりインピーダンスが変化するので、それを適性値に設定することにより両者の結合を整合させることができる。
【0032】
(本実施形態の第2変形例)
図10乃至12を参照しながら、本実施形態の第2変形例について説明する。第2変形例に係る誘電体アンテナ71が図1乃至3に示す誘電体アンテナ1と異なるのは、エレメント同士の結合形態である。ここでは、異なる点についてのみ説明し、共通する部分についての説明は省略する。すなわち、誘電体アンテナ71は、誘電体セラミック材料からなる絶縁性の上層基板74と中層基板75と下層基板76とを積層した積層誘電体53を備えている。中層基板75の第1アンテナ形成面77には、この第1アンテナ形成面77の外周に隣接する(沿う)線状(帯状)エレメント78を形成してある。符号80は、線状エレメント78に接続したインピーダンス整合用の線状導電体を示している。
【0033】
下層基板76のアンテナ形成面81上には、面状エレメント83を形成してある。面状エレメント83の形状は、本実施形態の面状エレメント31と同じ形状である。面状エレメント63の基端部84は、線状エレメント78の結合部79には、帯状の結合導電体87の一端を結合してある。この結合導電体87の他端は、中層基板75の外周端面を経由して面状エレメント81の基端部84に結合してある。図10及び11に示す結合導電体87は、中層基板75だけでなく、下層基板76と上層基板74の外周端面にも延びている。これは、本実施形態の結合導電体87を導電性ペースト印刷により形成しており、その際に中層基板75だけでなく他の基板にも形成したほうが塗布をし易いからそうしたまでである。結合導電体87のうち、中層基板75に係る部分だけの塗布又は他の手段による形成ができるのであれば、当該部分以外の他の部分は、これを省略してもよい。結合導電体87のうち中層基板75に係る部分は、面状エレメント83の一部を構成する。よって、この結合導電体87の分だけ、第2アンテナ形成面81上にある面状エレメント83の長さを短くすることができる。
【0034】
これまで説明した誘電体アンテナ1,51,71は、各種の移動体通信機に内蔵させることができる。移動体通信機として、たとえば、携帯電話機やアマチュア用・業務用の無線通信機、さらに、図13に示すような小型コンピューター101等がある。内蔵させる機種や内蔵環境等に合わせて、何れかの誘電体アンテナを選択するとよい。
【0035】
【発明の効果】
本発明に係る誘電体アンテナによれば、小型でありながらエレメント間の相互干渉を抑制することにより、電波の輻射効率の低下と広帯域化の妨げを可及的に排除する。したがって、そのような誘電体アンテを内蔵する移動体通信機によれば、その移動体通信機自体の小型化を図ることができるとともに、良好な電波の送受信を通じて快適な移動通信を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る誘電体アンテナの斜視図である。
【図2】積層誘電体の構造を示す斜視図である。
【図3】図2に示す誘電体アンテナの上層基板を省略した状態の平面図である。
【図4】図1に示す誘電体アンテナの周波数特性を示す図表である。
【図5】図2に示す面状アンテナの変形例を示す図である。
【図6】図2に示す面状アンテナの変形例を示す図である。
【図7】第1変形例に係る積層誘電体の斜視図である。
【図8】図7に示す積層誘電体の構造を示す斜視図である。
【図9】図7に示す誘電体アンテナの上層基板を省略した状態の平面図である。
【図10】第2変形例に係る積層誘電体の斜視図である。
【図11】図10に示す積層誘電体の構造を示す斜視図である。
【図12】図10に示す誘電体アンテナの上層基板を省略した状態の平面図である。
【図13】誘電体アンテナを内蔵する小型コンピューターの正面図である。
【符号の説明】
1,51,71            誘電体アンテナ
3,54,74            上層基板
5,56,76            下層基板
7,53,73            積層誘電体
9                  アンテナ形成面
9a,9b,9c,9d        外周
11,58,78,83         線状エレメント
12,64,84            基端部
13                  第1部分
14                  第3部分
15                  第2部分
16                  第4部分
17                  開放端
19                  給電端子
21                  グランド端子
23,59,79            結合部
25,60,80            線状導電体
27                  屈曲部
31,41,43,63         面状エレメント
33                  分岐部
35                  拡幅部
37                  終端部
55,75               中層基板
57,77               第1アンテナ形成面
61,81               第2アンテナ形成面
87                  結合導電体
101                  小型コンピューター
k1                  第1屈曲部
k2                  第2屈曲部
k3                  第3屈曲部
k4                  第4屈曲部
G                   グランド部
P                   給電部

Claims (7)

  1. 矩形のアンテナ形成面を有する積層誘電体と、
    当該アンテナ形成面上において、当該アンテナ形成面外周に隣接して延びるとともに第1共振周波数に共振可能な線状エレメントと、
    当該線状エレメント基端に接続した給電端子と、
    当該線状エレメント基端の近傍から当該アンテナ形成面上で分岐する線状導電体と、
    当該線状導電体先端に接続したグランド端子と、
    当該アンテナ形成面上において、当該線状エレメントから分岐部を介して分岐し当該アンテナ形成面の内部領域に向かって延びるとともに当該第1共振周波数とは異なる第2共振周波数に共振可能な面状エレメントと、を含む
    ことを特徴とする誘電体アンテナ。
  2. 前記面状エレメントの幅寸法が、前記分岐部において最小に設定されている
    ことを特徴とする請求項1に記載された誘電体アンテナ。
  3. 前記面状エレメントが、前記分岐部から前記アンテナ形成面の内部領域に向かって幅寸法が拡幅する拡幅部と、当該拡幅部と連続する終端部と、を含む
    ことを特徴とする請求項2に記載された誘電体アンテナ。
  4. 矩形の第1アンテナ形成面を有する積層誘電体と、
    当該第1アンテナ形成面上において、当該アンテナ形成面外周に隣接して延びるとともに第1共振周波数に共振可能な線状エレメントと、
    当該線状エレメント基端に接続した給電端子と、
    当該線状エレメント基端の近傍から当該第1アンテナ形成面上で分岐する線状導電体と、
    当該線状導電体先端に接続したグランド端子と、
    当該第1アンテナ形成面とは異なる第2アンテナ形成面上において、当該線状エレメントと結合部を介して結合するとともに当該第1共振周波数とは異なる第2共振周波数に共振可能な面状エレメントと、を含み、
    当該第2面状エレメントが、当該第2アンテナ形成面の内部領域に向かって延びている
    ことを特徴とする誘電体アンテナ。
  5. 前記結合部が、コンデンサ構造を含む
    ことを特徴とする請求項4に記載した誘電体アンテナ。
  6. 前記結合部が、前記面状エレメントの基部と前記線状エレメントの途中とを連結する連結導電体と、を含み、
    当該連結導電体の一部又は全部が当該誘電体アンテナの外周端面上に配されている
    ことを特徴とする請求項4に記載した誘電体アンテナ。
  7. 請求項1乃至6の何れかに記載した誘電体アンテナを内蔵する移動体通信機。
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