JP2004140250A - 熱電交換モジュール用セラミック基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】隣接した電極の側面間が半田によってショートするのを有効に防止できる小型化された熱電交換モジュール用セラミック基板を提供すること。
【解決手段】熱電交換モジュール用セラミック基板は、セラミック基板1の一方の主面に熱電素子3が錫を含む半田4を介して固定される電極2がそれぞれ独立して複数形成されたものにおいて、電極2は、銅層2a、銅層2aの露出した表面を覆っているニッケル層2b、ニッケル層2bの電極2の側面となる部位が露出するようにして被着された、金、錫または錫を含む半田から成る金属メッキ層2cが順次積層されている。
【選択図】 図1
【解決手段】熱電交換モジュール用セラミック基板は、セラミック基板1の一方の主面に熱電素子3が錫を含む半田4を介して固定される電極2がそれぞれ独立して複数形成されたものにおいて、電極2は、銅層2a、銅層2aの露出した表面を覆っているニッケル層2b、ニッケル層2bの電極2の側面となる部位が露出するようにして被着された、金、錫または錫を含む半田から成る金属メッキ層2cが順次積層されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信分野等に使用される半導体レーザ(LD)、フォトダイオード(PD)等の光半導体素子を作動時に冷却するための熱電交換モジュール用セラミック基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の光通信分野等に使用されるLD,PD等の光半導体素子を作動時に冷却するための熱電交換モジュールは、光半導体素子が作動時に発する熱を外部へ伝えることにより、光半導体素子を常に一定の温度に保持する熱電冷却装置として機能する。この熱電交換モジュールは、セラミック基板の主面においてp型とn型の熱電素子を電気的に直列または並列に接続して一体構造とした状態で、ペルチェ効果を利用して高温端の電極および低温端の電極に印加した電圧に依存して温度差を生じさせることにより一端を冷却するものである(例えば、下記の特許文献1参照)。
【0003】
そして、従来の熱電交換モジュール用セラミック基板は、図2,図3に電極部の断面図を示すように、アルミナ(Al2O3)質焼結体や窒化アルミニウム(AlN)質焼結体等の焼結体(セラミックス)から成るセラミック基板101の一方の主面に、複数の電極102を成す銅(Cu)層102aが被着されている。
【0004】
このCu層102aは以下の工程[1]〜[5]のようにして形成される。
【0005】
[1]まず、セラミック基板101の一方の主面および側面の全面に無電解メッキ法によりCu層102aを被着させる。
【0006】
[2]次に、結果的にCu層102aを形成しない部位にメッキレジスト層を形成する。
【0007】
[3]さらに、電解メッキ法によりCu層102aを、電極102の部位においてはメッキレジスト層の高さよりも低くなるように被着させる。
【0008】
[4]次に、電解メッキ法でCu層102a上に表層を形成する場合、Cu層102a上に連続してニッケル(Ni)層102bと、金(Au)等から成る金属メッキ層102cを被着する。
【0009】
[5]その後、メッキレジスト層を剥離し、メッキレジスト層直下の無電解メッキによるCu層102aをエッチング法等により除去する。これにより、それぞれ独立した(電気的に絶縁された)複数の電極102が形成される。
【0010】
この場合、図2に示すように電極102の側面はCu層102aが露出しており、そのため、熱電素子103を半田を介して固着させる際に電極102の側面が酸化されるという問題があるため、電極102の側面に無電解メッキ法でSnメッキ層を被着させてCu層102aを露出させないようにすることもある。また、電極102の最表面がCu層102aやNi層102bの場合、半田の濡れ性が確保できないため、電極102の最表面には金属メッキ層102cが必要となる。
【0011】
また、上記工程[4]において、無電解メッキ法でCu層102a上に表層を形成する場合、メッキレジスト層を剥離するとともにメッキレジスト層直下の無電解メッキによるCu層102aをエッチング法等により除去し、さらに、Cu層102aの露出した表面にNi層102bと金属メッキ層102cを順に被着させることにより、それぞれ独立した複数の電極102を形成する。この場合、図3に示すように、電極102の露出した最表面は全面が金属メッキ層102cとなっている。
【0012】
電極102を形成した後、錫−銀(Ag)系,錫−アンチモン(Sb)系,錫−ビスマス(Bi)系,錫−鉛(Pb)系等の半田104を介して、p型,n型の熱電素子103を固着することにより、製品としての熱電交換モジュールが作製される。そして、図3の構成においては、電極102の側面にまで半田104が濡れることとなる。
【0013】
この熱電交換モジュールにより、光半導体素子等の発熱体の熱は、熱電素子103からCu層102a、セラミック基板101を介して外部へ効率良く伝えられる。
【0014】
【特許文献1】
特開平3−263882号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、熱電交換モジュールの小型化に伴う電極102の高密度化によって電極102間距離を小さくする必要があるが、図3に示した従来の熱電交換用モジュールセラミック基板では、電極102の側面が金属メッキ層102cで覆われているため、半田104の濡れ性が良好な電極102の側面にまで半田104が濡れることとなる。その結果、隣接した電極102の側面の半田104同士が結合してしまい、隣接した電極102同士がショートするという不具合が発生し、熱電交換モジュールの製造歩留が著しく低下するという問題点が発生していた。
【0016】
従って、本発明は上記従来の問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、隣接した電極の側面間が半田によってショートするのを有効に防止できる小型化された熱電交換モジュール用セラミック基板を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の熱電交換モジュール用セラミック基板は、セラミック基板の一方の主面に熱電素子が錫を含む半田を介して固定される電極がそれぞれ独立して複数形成された熱電交換モジュール用セラミック基板において、前記電極は、銅層、該銅層の露出した表面を覆っているニッケル層、該ニッケル層の前記電極の側面となる部位が露出するようにして被着された、金、錫または錫を含む半田から成る金属メッキ層が順次積層されていることを特徴とする。
【0018】
本発明の熱電交換モジュール用セラミック基板は、熱電素子が錫を含む半田を介して固定される、それぞれ独立して複数形成された電極は、銅層、銅層の露出した表面を覆っているニッケル層、ニッケル層の電極の側面となる部位が露出するようにして被着された、金、錫または錫を含む半田から成る金属メッキ層が順次積層されていることから、電極の主面では半田が良好に濡れるため熱電素子を強固に接合でき、電極の側面では半田が濡れにくいため隣接した電極間が半田を介して短絡するのを防ぐことができ、その結果熱電交換モジュール用セラミック基板の製造歩留を向上させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の熱電交換モジュール用セラミック基板について以下に詳細に説明する。図1は、本発明の熱電交換モジュール用セラミック基板の電極部の断面図であり、アルミナ質焼結体や窒化アルミニウム質焼結体等のセラミックスから成るセラミック基板1の一方の主面に、それぞれ独立した複数の電極2が形成されている。
【0020】
本発明の熱電交換モジュール用セラミック基板は、セラミック基板1の一方の主面に熱電素子3が固定される電極2がそれぞれ独立して複数形成されたものにおいて、電極2は、銅層2a、銅層2aの露出した表面を覆っているニッケル層2b、ニッケル層2bの電極2の側面となる部位が露出するようにして被着された、金、錫または錫を含む半田から成る金属メッキ層2cが順次積層されている構成である。
【0021】
本発明の電極2は以下の工程[1]〜[6]のようにして形成される。
【0022】
[1]セラミック基板1の一方の主面および側面の全面に無電解メッキ法により厚さ約0.5μmのCu層2aを被着する。
【0023】
[2]次に、結果的にCu層2aを形成しない部位にCu層2aの高さよりも高いメッキレジスト層を形成する。
【0024】
[3]さらに、電解メッキ法によりCu層2aを、電極2の部位においてはメッキレジスト層の高さよりも低くなるようにして被着する。
【0025】
[4]その後、メッキレジスト層を剥離するとともにメッキレジスト層直下の無電解メッキ法によるCu層2aをエッチング法等により除去することにより、それぞれ独立した(電気的に絶縁された)Cu層2aが形成される。
【0026】
[5]次に、Cu層2aの露出した表面を覆って、無電解メッキ法によるNi層2b、Au,Sn,Au−Sn合金または半田から成る金属メッキ層2cを順次積層する。
【0027】
[6]その後、金属メッキ層2cの側面を除く主面にメッキレジスト層を印刷してマスクを形成し、電極2の側面となる部位の金属メッキ層2cをエッチング法等で除去し、メッキレジスト層を剥離し除去することにより電極2が形成されて、熱電交換モジュール用セラミック基板が作製される。
【0028】
そして、これらの独立した各電極2に、Sn−Ag系合金,Sn−Sb系合金,Sn−Bi系合金,Sn−Pb系合金等のSn(錫)を含む半田4を介して、p型,n型の熱電素子3を固着することにより、製品としての熱電交換モジュールが作製される。
【0029】
本発明において、金属メッキ層2cが錫を含む半田から成る場合、Sn−Au系合金,Sn−Ag系合金,Sn−Sb系合金,Sn−Bi系合金,Sn−Pb系合金等の半田から成る。これらは、Snを含む半田4と同様のSnを含むものであり、半田4の金属メッキ層2cへの濡れ性を良好なものとできる。
【0030】
また、金属メッキ層2cは、電極2の最表面がCu層やNi層である場合には半田4の濡れ性が確保できないため、電極2の最表面には金属メッキ層2cが必要となり、半田4の濡れ性が確保できるAu、SnまたはSnを含む半田から成る。
【0031】
金属メッキ層2cの厚さは、例えばAuの場合0.2〜0.7μmがよく、0.2μm未満では、半田4が濡れにくくなり、0.7μmを超えると、例えばAuから成る金属メッキ層2c中のAuと半田4中のSnによる硬くてもろい合金層が厚く形成されることになり、接合強度が低下し易くなる。
【0032】
Ni層2bの厚さは3〜8μmがよく、3μm未満では、下地のCu層2aが金属メッキ層2cの表面まで拡散し易くなり、半田4の濡れを阻害することとなり易い。8μmを超えると、電極2全体の熱伝導度が低下する。
【0033】
本発明において、金属メッキ層2cはNi層2bの電極2の側面となる部位(以下、部位Sともいう)が露出するようにして被着されるが、部位Sの全面が露出していなくてもよく、例えば部位Sの上側に金属メッキ層2cが延出していてもよい。この場合、余分な半田4が部位Sの上側の金属メッキ層2cの延出部に濡れることにより、余分な半田4が電極2から溢れ出るのを防ぐことができるとともに、半田4の接合面積が増大するため熱電素子3の接合強度が向上することとなる。この場合、部位Sの上側の金属メッキ層2cの延出部は、上下方向の幅が部位Sの高さの70%以下であることがよい。70%を超えると、金属メッキ層2cの下端まで流れた半田4が、表面張力により丸みを帯びてセラミック基板1の主面に達し易くなる。そして、セラミック基板1に接触した半田4は隣接した電極2の方向に押し広げられ、その結果、隣接した電極2同士の半田4が結合しやすくなる。
【0034】
また本発明において、隣接する電極2間の間隔は0.10〜1mm程度となり、従来の図3のものの0.15〜数mm程度と比較して小さくすることができる。従って、熱電交換モジュール用セラミック基板の小型化が達成される。
【0035】
かくして、本発明は、電極2の主面では半田4が良好に濡れるため熱電素子3を強固に接合でき、電極2の側面では半田4が濡れにくいため隣接した電極2間が半田4を介して短絡するのを防ぐことができ、その結果、熱電交換モジュール用セラミック基板の製造歩留を向上させることができる。
【0036】
【発明の効果】
本発明の熱電交換モジュール用セラミック基板は、熱電素子が錫を含む半田を介して固定される、それぞれ独立して複数形成された電極は、銅層、銅層の露出した表面を覆っているニッケル層、ニッケル層の電極の側面となる部位が露出するようにして被着された、金、錫または錫を含む半田から成る金属メッキ層が順次積層されていることにより、電極の主面では半田が良好に濡れるため熱電素子を強固に接合でき、電極の側面では半田が濡れにくいため隣接した電極間が半田を介して短絡するのを防ぐことができ、その結果、熱電交換モジュール用セラミック基板の製造歩留を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱電交換モジュール用セラミック基板について実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】従来の熱電交換モジュール用セラミック基板の一例の断面図である。
【図3】従来の熱電交換モジュール用セラミック基板の他の例の断面図である。
【符号の説明】
1:セラミック基板
2:電極
2a:Cu層
2b:Ni層
2c:金属メッキ層
3:熱電素子
4:錫を含む半田
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信分野等に使用される半導体レーザ(LD)、フォトダイオード(PD)等の光半導体素子を作動時に冷却するための熱電交換モジュール用セラミック基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の光通信分野等に使用されるLD,PD等の光半導体素子を作動時に冷却するための熱電交換モジュールは、光半導体素子が作動時に発する熱を外部へ伝えることにより、光半導体素子を常に一定の温度に保持する熱電冷却装置として機能する。この熱電交換モジュールは、セラミック基板の主面においてp型とn型の熱電素子を電気的に直列または並列に接続して一体構造とした状態で、ペルチェ効果を利用して高温端の電極および低温端の電極に印加した電圧に依存して温度差を生じさせることにより一端を冷却するものである(例えば、下記の特許文献1参照)。
【0003】
そして、従来の熱電交換モジュール用セラミック基板は、図2,図3に電極部の断面図を示すように、アルミナ(Al2O3)質焼結体や窒化アルミニウム(AlN)質焼結体等の焼結体(セラミックス)から成るセラミック基板101の一方の主面に、複数の電極102を成す銅(Cu)層102aが被着されている。
【0004】
このCu層102aは以下の工程[1]〜[5]のようにして形成される。
【0005】
[1]まず、セラミック基板101の一方の主面および側面の全面に無電解メッキ法によりCu層102aを被着させる。
【0006】
[2]次に、結果的にCu層102aを形成しない部位にメッキレジスト層を形成する。
【0007】
[3]さらに、電解メッキ法によりCu層102aを、電極102の部位においてはメッキレジスト層の高さよりも低くなるように被着させる。
【0008】
[4]次に、電解メッキ法でCu層102a上に表層を形成する場合、Cu層102a上に連続してニッケル(Ni)層102bと、金(Au)等から成る金属メッキ層102cを被着する。
【0009】
[5]その後、メッキレジスト層を剥離し、メッキレジスト層直下の無電解メッキによるCu層102aをエッチング法等により除去する。これにより、それぞれ独立した(電気的に絶縁された)複数の電極102が形成される。
【0010】
この場合、図2に示すように電極102の側面はCu層102aが露出しており、そのため、熱電素子103を半田を介して固着させる際に電極102の側面が酸化されるという問題があるため、電極102の側面に無電解メッキ法でSnメッキ層を被着させてCu層102aを露出させないようにすることもある。また、電極102の最表面がCu層102aやNi層102bの場合、半田の濡れ性が確保できないため、電極102の最表面には金属メッキ層102cが必要となる。
【0011】
また、上記工程[4]において、無電解メッキ法でCu層102a上に表層を形成する場合、メッキレジスト層を剥離するとともにメッキレジスト層直下の無電解メッキによるCu層102aをエッチング法等により除去し、さらに、Cu層102aの露出した表面にNi層102bと金属メッキ層102cを順に被着させることにより、それぞれ独立した複数の電極102を形成する。この場合、図3に示すように、電極102の露出した最表面は全面が金属メッキ層102cとなっている。
【0012】
電極102を形成した後、錫−銀(Ag)系,錫−アンチモン(Sb)系,錫−ビスマス(Bi)系,錫−鉛(Pb)系等の半田104を介して、p型,n型の熱電素子103を固着することにより、製品としての熱電交換モジュールが作製される。そして、図3の構成においては、電極102の側面にまで半田104が濡れることとなる。
【0013】
この熱電交換モジュールにより、光半導体素子等の発熱体の熱は、熱電素子103からCu層102a、セラミック基板101を介して外部へ効率良く伝えられる。
【0014】
【特許文献1】
特開平3−263882号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、熱電交換モジュールの小型化に伴う電極102の高密度化によって電極102間距離を小さくする必要があるが、図3に示した従来の熱電交換用モジュールセラミック基板では、電極102の側面が金属メッキ層102cで覆われているため、半田104の濡れ性が良好な電極102の側面にまで半田104が濡れることとなる。その結果、隣接した電極102の側面の半田104同士が結合してしまい、隣接した電極102同士がショートするという不具合が発生し、熱電交換モジュールの製造歩留が著しく低下するという問題点が発生していた。
【0016】
従って、本発明は上記従来の問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、隣接した電極の側面間が半田によってショートするのを有効に防止できる小型化された熱電交換モジュール用セラミック基板を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の熱電交換モジュール用セラミック基板は、セラミック基板の一方の主面に熱電素子が錫を含む半田を介して固定される電極がそれぞれ独立して複数形成された熱電交換モジュール用セラミック基板において、前記電極は、銅層、該銅層の露出した表面を覆っているニッケル層、該ニッケル層の前記電極の側面となる部位が露出するようにして被着された、金、錫または錫を含む半田から成る金属メッキ層が順次積層されていることを特徴とする。
【0018】
本発明の熱電交換モジュール用セラミック基板は、熱電素子が錫を含む半田を介して固定される、それぞれ独立して複数形成された電極は、銅層、銅層の露出した表面を覆っているニッケル層、ニッケル層の電極の側面となる部位が露出するようにして被着された、金、錫または錫を含む半田から成る金属メッキ層が順次積層されていることから、電極の主面では半田が良好に濡れるため熱電素子を強固に接合でき、電極の側面では半田が濡れにくいため隣接した電極間が半田を介して短絡するのを防ぐことができ、その結果熱電交換モジュール用セラミック基板の製造歩留を向上させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の熱電交換モジュール用セラミック基板について以下に詳細に説明する。図1は、本発明の熱電交換モジュール用セラミック基板の電極部の断面図であり、アルミナ質焼結体や窒化アルミニウム質焼結体等のセラミックスから成るセラミック基板1の一方の主面に、それぞれ独立した複数の電極2が形成されている。
【0020】
本発明の熱電交換モジュール用セラミック基板は、セラミック基板1の一方の主面に熱電素子3が固定される電極2がそれぞれ独立して複数形成されたものにおいて、電極2は、銅層2a、銅層2aの露出した表面を覆っているニッケル層2b、ニッケル層2bの電極2の側面となる部位が露出するようにして被着された、金、錫または錫を含む半田から成る金属メッキ層2cが順次積層されている構成である。
【0021】
本発明の電極2は以下の工程[1]〜[6]のようにして形成される。
【0022】
[1]セラミック基板1の一方の主面および側面の全面に無電解メッキ法により厚さ約0.5μmのCu層2aを被着する。
【0023】
[2]次に、結果的にCu層2aを形成しない部位にCu層2aの高さよりも高いメッキレジスト層を形成する。
【0024】
[3]さらに、電解メッキ法によりCu層2aを、電極2の部位においてはメッキレジスト層の高さよりも低くなるようにして被着する。
【0025】
[4]その後、メッキレジスト層を剥離するとともにメッキレジスト層直下の無電解メッキ法によるCu層2aをエッチング法等により除去することにより、それぞれ独立した(電気的に絶縁された)Cu層2aが形成される。
【0026】
[5]次に、Cu層2aの露出した表面を覆って、無電解メッキ法によるNi層2b、Au,Sn,Au−Sn合金または半田から成る金属メッキ層2cを順次積層する。
【0027】
[6]その後、金属メッキ層2cの側面を除く主面にメッキレジスト層を印刷してマスクを形成し、電極2の側面となる部位の金属メッキ層2cをエッチング法等で除去し、メッキレジスト層を剥離し除去することにより電極2が形成されて、熱電交換モジュール用セラミック基板が作製される。
【0028】
そして、これらの独立した各電極2に、Sn−Ag系合金,Sn−Sb系合金,Sn−Bi系合金,Sn−Pb系合金等のSn(錫)を含む半田4を介して、p型,n型の熱電素子3を固着することにより、製品としての熱電交換モジュールが作製される。
【0029】
本発明において、金属メッキ層2cが錫を含む半田から成る場合、Sn−Au系合金,Sn−Ag系合金,Sn−Sb系合金,Sn−Bi系合金,Sn−Pb系合金等の半田から成る。これらは、Snを含む半田4と同様のSnを含むものであり、半田4の金属メッキ層2cへの濡れ性を良好なものとできる。
【0030】
また、金属メッキ層2cは、電極2の最表面がCu層やNi層である場合には半田4の濡れ性が確保できないため、電極2の最表面には金属メッキ層2cが必要となり、半田4の濡れ性が確保できるAu、SnまたはSnを含む半田から成る。
【0031】
金属メッキ層2cの厚さは、例えばAuの場合0.2〜0.7μmがよく、0.2μm未満では、半田4が濡れにくくなり、0.7μmを超えると、例えばAuから成る金属メッキ層2c中のAuと半田4中のSnによる硬くてもろい合金層が厚く形成されることになり、接合強度が低下し易くなる。
【0032】
Ni層2bの厚さは3〜8μmがよく、3μm未満では、下地のCu層2aが金属メッキ層2cの表面まで拡散し易くなり、半田4の濡れを阻害することとなり易い。8μmを超えると、電極2全体の熱伝導度が低下する。
【0033】
本発明において、金属メッキ層2cはNi層2bの電極2の側面となる部位(以下、部位Sともいう)が露出するようにして被着されるが、部位Sの全面が露出していなくてもよく、例えば部位Sの上側に金属メッキ層2cが延出していてもよい。この場合、余分な半田4が部位Sの上側の金属メッキ層2cの延出部に濡れることにより、余分な半田4が電極2から溢れ出るのを防ぐことができるとともに、半田4の接合面積が増大するため熱電素子3の接合強度が向上することとなる。この場合、部位Sの上側の金属メッキ層2cの延出部は、上下方向の幅が部位Sの高さの70%以下であることがよい。70%を超えると、金属メッキ層2cの下端まで流れた半田4が、表面張力により丸みを帯びてセラミック基板1の主面に達し易くなる。そして、セラミック基板1に接触した半田4は隣接した電極2の方向に押し広げられ、その結果、隣接した電極2同士の半田4が結合しやすくなる。
【0034】
また本発明において、隣接する電極2間の間隔は0.10〜1mm程度となり、従来の図3のものの0.15〜数mm程度と比較して小さくすることができる。従って、熱電交換モジュール用セラミック基板の小型化が達成される。
【0035】
かくして、本発明は、電極2の主面では半田4が良好に濡れるため熱電素子3を強固に接合でき、電極2の側面では半田4が濡れにくいため隣接した電極2間が半田4を介して短絡するのを防ぐことができ、その結果、熱電交換モジュール用セラミック基板の製造歩留を向上させることができる。
【0036】
【発明の効果】
本発明の熱電交換モジュール用セラミック基板は、熱電素子が錫を含む半田を介して固定される、それぞれ独立して複数形成された電極は、銅層、銅層の露出した表面を覆っているニッケル層、ニッケル層の電極の側面となる部位が露出するようにして被着された、金、錫または錫を含む半田から成る金属メッキ層が順次積層されていることにより、電極の主面では半田が良好に濡れるため熱電素子を強固に接合でき、電極の側面では半田が濡れにくいため隣接した電極間が半田を介して短絡するのを防ぐことができ、その結果、熱電交換モジュール用セラミック基板の製造歩留を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱電交換モジュール用セラミック基板について実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】従来の熱電交換モジュール用セラミック基板の一例の断面図である。
【図3】従来の熱電交換モジュール用セラミック基板の他の例の断面図である。
【符号の説明】
1:セラミック基板
2:電極
2a:Cu層
2b:Ni層
2c:金属メッキ層
3:熱電素子
4:錫を含む半田
Claims (1)
- セラミック基板の一方の主面に熱電素子が錫を含む半田を介して固定される電極がそれぞれ独立して複数形成された熱電交換モジュール用セラミック基板において、前記電極は、銅層、該銅層の露出した表面を覆っているニッケル層、該ニッケル層の前記電極の側面となる部位が露出するようにして被着された、金、錫または錫を含む半田から成る金属メッキ層が順次積層されていることを特徴とする熱電交換モジュール用セラミック基板。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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2002
- 2002-10-18 JP JP2002304725A patent/JP2004140250A/ja active Pending
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