JP2004139924A - 薄型電池の支持構造及びそれを備えた組電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】薄型電池の支持構造を備えた組電池20aは、複数のセパレータを有する発電要素が電池外装内に収容された2つの薄型電池10と、バスバー21と、組電池用端子22、23と、薄型電池10に接触して支持する組電池下ケース24a及び組電池用上ケース25aと、を備えており、2つの薄型電池10は、バスバー21及び組電池用端子22、23により直列接続されて、組電池ケース24a、25aに収容されている。組電池下ケース24aは、組電池ケース24a、25aに収容される前の薄型電池10の厚さより小さな深さD1を有しており、上記のように接続された薄型電池10が組電池ケース24a、25aに収容されると、薄型電池10はその厚さがTa’に圧縮され、組電池ケース24a、25aが各薄型電池の複数のセパレータに所定の圧力を印加する。
【選択図】 図1
Description
【技術分野】
本発明は、薄型電池の支持構造に関し、特に、薄型電池の電気的特性の維持を図ることが可能な薄型電池の支持構造に関する。
【0002】
【背景技術】
上ケースと下ケースとから構成されるパックケースに複数の薄型電池を収容する場合に、パックケースと各薄型電池との間に弾性材からなる制振部材を介在させた薄型電池の支持構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような支持構造により、パックケースの上ケースと下ケースとを超音波接合する際に、薄型電池に伝達する超音波振動を減衰させ、薄型電池の電池外装に損傷が発生するのを防止している。
【0003】
しかしながら、上記の薄型電池の支持構造は、制振部材により薄型電池の電池外装に伝達される超音波振動を制振し、電池外装の損傷を防止したにすぎず、外部からの一般的な振動等の外力に対する薄型電池の電気的特性の維持に関する考慮はなされていない。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−256939号公報
【発明の開示】
本発明は、外力による薄型電池のセパレータの変形・損傷を防止することで当該薄型電池の電気的特性の維持を図ることが可能な薄型電池の支持構造を提供することを目的とする。
【0005】
上記目的を達成するために、本発明によれば、薄型電池の支持構造は、複数のセパレータを有する発電要素が電池外装内に収容された少なくとも1つの薄型電池と、前記少なくとも1つの薄型電池の表面及び裏面に接触して支持する第1の支持部材と、を備えており、前記第1の支持部材により、前記各薄型電池の前記発電要素が有する前記複数のセパレータに所定の圧力を印加している。
【0006】
また、上記目的を達成するために、本発明によれば、薄型電池の支持構造が、複数のセパレータを有する発電要素が電池外装内に収容された少なくとも1つの薄型電池と、前記薄型電池に所定の圧力を印加する第1の弾性体と、前記薄型電池の表面側及び裏面側に位置して前記少なくとも1つの薄型電池を支持する支持手段と、を備えており、前記第1の弾性体により、前記各薄型電池の前記発電要素が有する前記複数のセパレータに所定の圧力を印加している。
【0007】
薄型電池のセパレータに所定の圧力を印加して、当該セパレータが薄型電池の内部で暴れないように固定することにより、薄型電池に外力が加わった場合でも、薄型電池の正極と負極とを分離しているセパレータが変形したり、損傷するのを防止し、薄型電池の短絡による電気的特性の維持を図ることが可能となる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0009】
[第1実施形態]
図1は本発明の第1実施形態における薄型電池の支持構造を用いた組電池を示す図であり、図1(A)は組電池の上部断面図、図1(B)は図1(A)のIB−IB線に沿う横断面図であり、図2(A)は本発明の第1実施形態における薄型電池の全体を示す平面図、図2(B)は図2(A)のIIB−IIB線に沿う断面図、図3は本発明の第1実施形態における組電池ケースの薄型電池との接触面の粗さと薄型電池の電池外装の膜厚との関係を示す図である。
【0010】
図1に示すように、組電池20aは、2つの薄型電池10と、バスバー21と、端子22、23と、組電池ケース24a、25a(第1の支持部材)とを有し、組電池ケース24a、25aの内部にバスバー21及び組電池用端子22、23で電気的に接続された2つの薄型電池10が収容されている。薄型電池10は、組電池20aを構成する単位電池であって、所定の電圧で所定の容量のリチウム系の薄型二次電池である。この薄型電池10を複数接続することにより所望の電圧、容量の組電池20aが構成される。
【0011】
まず、以下に薄型電池10の構造について説明する。
図2に示すように、本実施形態における薄型電池10は、2枚の正極板101と、5枚のセパレータ102と、2枚の負極板103と、正極端子104と、負極端子105と、上部電池外装106と、下部電池外装107と、特に図示しない電解質とから構成されており、全体として厚さTaを有している。このうちの正極板101、セパレータ102、負極板103および電解質を特に発電要素109と称する。なお、正極板101、セパレータ102、負極板103の枚数には何ら限定されず、1枚の正極板101、3枚のセパレータ102、1枚の負極板104でも発電要素109を構成することができ、必要に応じて正極板、負極板およびセパレータの枚数を選択して構成することができる。
【0012】
発電要素109を構成する正極板101は、金属酸化物などの正極活物質に、カーボンブラックなどの導電材と、ポリ四フッ化エチレンの水性ディスパージョンなどの接着剤とを、重量比でたとえば100:3:10の割合で混合したものを、正極側集電体としてのアルミニウム箔などの金属箔の両面に塗着、乾燥させ、圧延したのち所定の大きさに切断したものである。なお、上記のポリ四フッ化エチレンの水性ディスパージョンの混合比率は、その固形分である。
【0013】
正極活物質としては、例えば、スピネル構造のマンガン酸リチウム(LiMnO2)、層状構造のニッケル酸リチウム(LiNiO2)やコバルト酸リチウム(LiCoO2)などのリチウム複合酸化物や、カルコゲン(S、Se、Te)化物を挙げることができる。これらの材質は、薄型電池10内部の発熱を比較的拡散し易く、端子104、105への伝達による端子の膨張による延びを少なくでき、端子104、105から後述する電池外装部材106、107へ伝達する引張り応力を極力抑制することが可能となる。
【0014】
発電要素109を構成する負極板103は、例えば非晶質炭素、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、または黒鉛などのように、正極活物質のリチウムイオンを吸蔵および放出する負極活物質に、有機物焼成体の前駆体材料としてのスチレンブタジエンゴム樹脂粉末の水性ディスパージョンをたとえば固形分比100:5で混合し、乾燥させたのち粉砕することで、炭素粒子表面に炭化したスチレンブタジエンゴムを担持させたものを主材料とし、これに、アクリル樹脂エマルジョンなどの結着剤をたとえば重量比100:5で混合し、この混合物を、負極側集電体としてのニッケル箔或いは銅箔などの金属箔の両面に塗着、乾燥させ、圧延したのち所定の大きさに切断したものである。
【0015】
特に負極活物質として非晶質炭素や難黒鉛化炭素を用いると、充放電時における電位の平坦特性に乏しく放電量にともなって出力電圧も低下するので、通信機器や事務機器の電源には不向きであるが、電気自動車等の電源として用いると急激な出力低下がないので有利である。
【0016】
また、発電要素109のセパレータ102は、上述した正極板101と負極板103との短絡を防止するもので、電解質を保持する機能を備えてもよい。セパレータ102は、例えばポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン等から構成される、厚さtaが20μm〜50μmの微多孔性膜であり、過電流が流れると、その発熱によって膜の空孔が閉塞され電流を遮断する機能をも有する。
【0017】
なお、本発明に係るセパレータ102は、ポリオレフィンなどの単層膜にのみ限られず、ポリプロピレン層をポリエチレン層でサンドイッチした三層構造や、ポリオレフィン微多孔膜と有機不織布などを積層したものも用いることができる。セパレータ102を複層化することで、過電流の防止機能、電解質保持機能およびセパレータの形状維持(剛性向上)機能などの諸機能を付与することができる。また、セパレータ102の代わりにゲル電解質又は真性ポリマー電解質等を用いることもできる。
【0018】
以上の発電要素109は、上から正極板101と負極板103とが交互に、且つ当該正極板101と負極板102との間にセパレータ102が位置するような順序で積層され、さらに、その最上部及び最下部にセパレータ102が一枚ずつ積層されている。そして、2枚の正極板101のそれぞれは、正極側集電部104aを介して、金属箔製の正極端子104に接続される一方で、2枚の負極板103は、負極側集電部105aを介して、同じく金属箔製の負極端子105に接続されている。なお、正極端子104も負極端子105も電気化学的に安定した金属材料であれば特に限定されないが、正極端子104としてはアルミニウムやアルミニウム合金などを挙げることができ、負極端子105としてはニッケル、銅またはステンレスなどを挙げることができる。また、本例の正極側集電部104aも負極側集電部105aの何れも、正極板104および負極板105の集電体を構成するアルミニウム箔やニッケル箔、銅箔を延長して構成されているが、別途の材料や部品により当該集電部104a、105aを構成することもできる。
【0019】
発電要素109は、上部電池外装106及び下部電池外装107により封止されている。これら上部電池外装106および下部電池外装107は、例えばポリエチレンやポリプロピレンなどの樹脂フィルムや、アルミニウムなどの金属箔の両面をポリエチレンやポリプロピレンなどの樹脂でラミネートした、樹脂−金属薄膜ラミネート材など、柔軟性を有する材料で形成されている。
【0020】
特に、図3に示すように、電池外装106、107の内面を構成する最内層106a、107aを、電解質に対する耐薬品性に優れ、外周縁のヒートシール性にも優れた、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂等により構成するとともに、中間層106b、107bにたとえばアルミニウム箔やステンレス箔などの可撓性及び強度に優れた金属箔を介在させ、電池外装106、107の外面を構成する最外層106c、107cを、電気絶縁性に優れたたとえばポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等で構成することができる。
【0021】
そして、これらの上部電池外装106及び下部電池外装107によって、上述した発電要素109、正極側集電部104a、正極端子104の一部、負極側集電部105aおよび負極端子105の一部を包み込み、当該電池外装106、107により形成される空間に、有機液体溶媒に過塩素酸リチウム、ホウフッ化リチウム等のリチウム塩を溶質とした液体電解質を注入したのち、上部電池外装106及び下部電池外装107の外周縁を熱融着などの方法により封止する。
【0022】
有機液体溶媒として、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)などのエステル系溶媒を挙げることができるが、本発明の有機液体溶媒はこれにのみ限定されることなく、エステル系溶媒に、γ−ブチラクトン(γ−BL)、ジエトシキエタン(DEE)等のエーテル系溶媒その他を混合、調合した有機液体溶媒も用いることができる。
【0023】
図2に示されるように、封止された電池外装106、107の一方の端部から、正極端子104が導出するが、正極端子104の厚さ分だけ上部電池外装106と下部電池外装107との接合部に隙間が生じるので、薄型電池10内の封止性を維持するために、当該正極端子104と電池外装106、107とが接触する部分に、ポリエチレンやポリプロピレンから構成されたシールフィルムを熱融着などの方法により介在させることもできる。
【0024】
同様に、封止された電池外装106、107の他方の端部からは、負極端子105が導出するが、ここにも正極端子104側と同様に、当該負極端子105と電池外装106、107とが接触する部分にシールフィルムを介在させることもできる。なお、正極端子104および負極端子105の何れにおいても、シールフィルムは電池外装106、107の内面を構成する樹脂と同系統の樹脂から構成することが熱融着性の点から望ましい。
【0025】
このような構造の2つの薄型電池10は、次のように接続されている。図1に示すように、まず、一方の薄型電池10の正極端子104と他方の薄型電池10の負極端子105とが同一方向に導出するような向きで、一方の薄型電池10と他方の薄型電池10とが実質的に同一平面上に配置されている。そして、一方の薄型電池10の正極端子104と他方の薄型電池10の負極端子105とが、板状導電部材であるバスバー21により電気的に接続されており、これらの薄型電池10は、直列接続されている。さらに、一方の薄型電池10の負極端子105には、組電池用負極端子23が電気的に接続されており、他方の薄型電池10の正極端子104には、組電池用正極端子22が電気的に接続されている。なお、バスバー21及び端子22、23と、薄型電池10の端子104、105とは、例えば、抵抗溶接や超音波溶接などの手段により接合されている。
【0026】
このように接続された薄型電池10は、組電池ケースの内部に収容されている。図1に示すように、組電池ケースは、平面状の底面を有する深さD1の箱型形状の組電池下ケース24aと、平板状の組電池上ケース25aとから構成されており、組電池上ケース25aが、蓋として、組電池下ケース24aを閉じることにより、薄型電池10を収容する組電池ケースの内部空間が形成されている。そして、一方の薄型電池10の負極端子105に接続された組電池用負極端子23と、他方の薄型電池10の正極端子104に接続された組電池用正極端子22とが、組電池ケース24a、25aの外部に導出するように、バスバー21で接続された2つの薄型電池10が組電池ケース24a、25aの内部空間に収容されている。組電池用端子22、23により、外部と当該組電池20aとが電気的に接続される。
【0027】
図3に示すように、薄型電池10の上部電池外装106に密着する組電池上ケース25aの下面は、当該面の粗さにおける最上点と最下点との差Rが、薄型電池10の上部電池外装106の最外層106cの膜厚tbより小さくなっている(R<tb)。同様に、薄型電池10の下部電池外装107に密着する組電池下ケース24aの底面は、当該面の粗さにおける最上点と最下点との差Rが、薄型電池10の下部電池外装107の最外層107cの膜厚tbより小さくなっている(R<tb)。これにより、薄型電池の封止性を保持するために用いられている中間層106b、107bに、組電池ケース24a、25aの接触面の粗さにおける最上点が到達するのを防ぐことができ、薄型電池10の良好な封止性と絶縁性を確保することができる。
【0028】
組電池ケース24a、25aに収容前の薄型電池10は、上述のように、全体として厚さTaを有している。これに対し、組電池下ケース24aは、薄型電池10の厚さTaより小さな深さD1である(Ta>D1)。従って、組電池ケース24a、25aに薄型電池10が収容されると、薄型電池10の表面及び裏面が組電池ケース24a、25aの平面により実質的に均一に押圧され、薄型電池10の厚さがTaからTa’に圧縮される。なお、収容後の薄型電池10の厚さTa’は、組電池下ケース24aの深さD1に実質的に等しい。組電池下ケース24aの深さD1は、組電池ケース24a、25aの押圧による薄型電池10の圧縮量Ta−Ta’が、収容前の薄型電池10の5枚のセパレータ102の厚さtaの総和Σta(=5×ta)より小さくなるように(Ta−Ta’<Σta)、設定されている。
【0029】
このように、非押圧時の薄型電池10の厚さTaと押圧時の薄型電池10の厚さTa’との差が、非押圧時の薄型電池10の発電要素109が有するセパレータ102の厚さtaの総和Σtaより小さくすることにより、薄型電池10の発電要素109が有する各セパレータ102に適切な圧力を印加して、当該セパレータ102が薄型電池10の内部で暴れないように固定することができる。これにより、薄型電池10に外力が加わった場合でも、薄型電池10のセパレータ102が変形したり、損傷するのを防止し、薄型電池10の短絡による電気的特性の維持を図ることが可能となる。
【0030】
[第2実施形態]
図4は、本発明の第2実施形態における薄型電池の支持構造を用いた組電池を示す図であり、図4(A)は組電池の上部断面図、図4(B)は図4(A)のIIIB−IIIB線に沿う横断面図である。
【0031】
図4に示すように、組電池20bは、2つの薄型電池10と、バスバー21と、組電池用端子22、23と、組電池ケース24b、25b(第2の支持部材)と、第1の樹脂材30a(第1の弾性体)と、を有している。各薄型電池10は、上述の第1実施形態と同様の構造である。当該2つの薄型電池10は、第1実施形態と同様に、バスバー21及び組電池用端子22、23を用いて直列接続されている。なお、組電池ケース24b、25bは、組電池下ケース24bの深さが異なる以外は、第1実施形態と同様のものである。
【0032】
バスバー21及び端子22、23で直列接続された薄型電池10は、組電池用端子22、23が組電池ケース24b、25bの外部に導出するように、組電池ケース24b、25bの内部空間に収容されている。そして、第1の樹脂材30aが、組電池ケース24b、25bと薄型電池10との間に形成される空間に満たされ、さらに、薄型電池10の各セパレータ102に所定の圧力が印加される程度に充填されている。第1の樹脂材30aとして、例えば、ゴム系樹脂やエラストマー系樹脂などの柔軟性を有する樹脂を用いることが出来る。
【0033】
第1の樹脂材30aの所定の圧力の印加により、薄型電池10の表面及び裏面が実質的に均一に押圧され、薄型電池10の厚さはTaからTa’に圧縮される。第1の樹脂材30aの充填量は、第1の樹脂材30aの押圧による薄型電池10の圧縮量Ta−Ta’が、収容前の薄型電池10の5枚のセパレータ102の厚さtaの総和Σta(=5×ta)より小さくなるように(Ta−Ta’<Σta)、設定されている。
【0034】
このように、非押圧時の薄型電池10の厚さTaと押圧時の薄型電池10の厚さTa’との差が、非押圧時の薄型電池10の発電要素109が有するセパレータ102の厚さtaの総和Σtaより小さくすることにより、薄型電池10の発電要素109が有する各セパレータ102に適切な圧力を印加して、当該セパレータ102が薄型電池10の内部で暴れないように固定することができる。これにより、薄型電池10に外力が加わった場合でも、薄型電池10のセパレータ102が変形したり、損傷するのを防止し、薄型電池10の短絡による電気的特性の維持を図ることが可能となる。
【0035】
[第3実施形態]
図5は、本発明の第3実施形態における薄型電池の支持構造を用いた組電池を示す図であり、図5(A)は組電池の分解横断面図、図5(B)は当該組電池の横断面図である。
【0036】
図5(A)及び(B)に示すように、組電池20cは、2つの薄型電池10と、バスバー21と、組電池用端子22、23と、組電池ケース24c、25c(第2の支持部材)と、第1の樹脂材30b、30c(第1の弾性体)と、第2の樹脂材31(第2の弾性体)と、を有している。各薄型電池10は、上述の第1実施形態と同様の構造である。当該2つの薄型電池10は、第1実施形態と同様に、バスバー21及び組電池用端子22、23を用いて直列接続されている。なお、組電池ケース24c、25cは、組電池下ケース24cの深さが異なる以外は、第1実施形態と同様のものである。
【0037】
図5(A)に示すように、バスバー21及び端子22、23で直列接続された薄型電池10は、その下部電池外装107に第1の樹脂材30bが密着しており、当該第1の樹脂材30bを介して、組電池用下ケース24cに支持されている。同様に、薄型電池10は、薄型電池10の上部電池外装106に第1の樹脂材30cが密着しており、当該第1の樹脂材30cを介して、組電池用上ケース25cに支持されている。そして、組電池用端子22、23が組電池ケース24c、25cから外部に導出するように、組電池ケース24c、25cに収容されている。第1の樹脂材30b、30cとして、例えば、ゴム系樹脂やエラストマー系樹脂などの柔軟性を有する樹脂を用いることができる。
【0038】
組電池ケースに収容前の薄型電池10は、第1実施形態と同様に、全体として厚さTaを有している。また、図5(A)に示すように、薄型電池10の下部電池外装107に密着する収容前の第1の樹脂材30bは、厚さTbを有しており、上部電池外装106に密着する収容前の第1の樹脂材30cは、厚さTcを有している。
【0039】
これに対し、組電池下ケース24cは、薄型電池10の厚さTaと、第1の樹脂材30b、30cの厚さTb、Tcとの総和より小さな深さD2である(Ta+Tb+Tc>D2)。従って、組電池ケース24c、25cに薄型電池10が収容されると、薄型電池10の表面及び裏面が第1の樹脂材30b、30cにより実質的に均一に押圧され、薄型電池10の厚さがTaからTa’に圧縮される。なお、収容後の薄型電池10の厚さTa’と、収容後の第1の樹脂材30b、30cの厚さTb’、Tc’との総和は、組電池下ケース24cの深さD2に実質的に等しい。組電池下ケース24cの深さD2は、第1の樹脂材30b、30cの押圧による薄型電池10の圧縮量Ta−Ta’が、収容前の薄型電池10の5枚のセパレータ102の厚さtaの総和Σta(=5×ta)より小さくなるように(Ta−Ta’<Σta)、設定されている。
【0040】
このように、非押圧時の薄型電池10の厚さTaと押圧時の薄型電池10の厚さTa’との差が、非押圧時の薄型電池10の発電要素109が有するセパレータ102の厚さtaの総和Σtaより小さくすることにより、薄型電池10の発電要素109が有する各セパレータ102に適切な圧力を印加して、当該セパレータ102が薄型電池10の内部で暴れないように固定することができる。これにより、薄型電池10に外力が加わった場合でも、薄型電池10のセパレータ102が変形したり、損傷するのを防止し、薄型電池10の短絡による電気的特性の維持を図ることが可能となる。
【0041】
さらに、図5(A)及び(B)に示すように、本実施形態における組電池20cでは、第2の樹脂材31が、2つの薄型電池10の各端子104、105におけるバスバー21及び組電池用端子22、23による接続部と、組電池ケース24c、25cと、で形成される空間に満たされている。第2の樹脂材31としては、例えば、ゴム系樹脂やエラストマー系樹脂などの柔軟性を有する樹脂を用いることが出来る。
【0042】
このような構造により、第1の樹脂材30b、30cのみで2つの薄型電池10を支持する場合と比較して、当該薄型電池10を確実に支持できると共に、バスバー21や組電池用端子22、23等の薄型電池10の周辺の配線等も支持することができ、薄型電池10の電気的特性の維持をさらに図ることが可能となる。
【0043】
[第4実施形態]
図6は、本発明の第4実施形態における薄型電池の支持構造を用いた組電池を示す図であり、図6(A)は組電池の分解横断面図、図6(B)は当該組電池の横断面図である。
【0044】
図6に示すように、組電池20dは、2つの薄型電池10と、バスバー21と、組電池用端子22、23と、組電池ケース24d、25d(第1の支持部材)と、コイル状スプリング32a、32b(第2の弾性体)と、平板状の均圧板33a、b(第1の支持部材)と、を有している。薄型電池10は、上述の第1実施形態と同様の構造である。当該2つの薄型電池10は、第1実施形態と同様に、バスバー21及び組電池用端子22、23を用いて直列接続されている。なお、組電池ケース24d、25dは、組電池下ケース24dの深さが異なる以外は、第1実施形態と同様のものである。
【0045】
図6(A)に示すように、バスバー21及び端子22、23で直列接続された薄型電池10は、その下部電池外装107に均圧板33aが密着し、当該均圧板33aに接触しているコイル状スプリング32aを介して、組電池用下ケース24dに支持されている。同様に、当該薄型電池10は、その上部電池外装106に均圧板33bが密着しており、当該均圧板33bに接触しているコイル状スプリング32bを介して、組電池用上ケース25dに支持されている。そして、組電池用端子22、23が組電池ケース24d、25dから外部に導出するように、組電池ケース24d、25dに収容されている。なお、組電池用ケース24d、25dと、均圧板33a、33bとの間に介在するバネは、コイル状スプリングに限定されるものではなく、例えば、板バネ、皿バネ等の機械的バネを用いることができる。
【0046】
本実施形態における薄型電池10と密着する均圧板33a、33bの接触面は、第1実施形態と同様に、当該面の粗さにおける最上点と最下点との差Rが、薄型電池10の電池外装106、107の最外層106c、107cの膜厚tbより小さくなっている(R<tb)。これにより、薄型電池の封止性を保持するために用いられている中間層106b、107bに、組電池ケースの接触面の粗さにおける最上点が到達するのを防ぐことができ、薄型電池10の良好な封止性と絶縁性を確保することができる。
【0047】
組電池ケースに収容前の薄型電池10は、第1実施形態と同様に、全体として厚さTaを有している。また、図6(A)に示すように、薄型電池10の電池外装106、107に密着する各均圧板33a、33bは厚さTd、Teを有しており、収容前の、即ち、負荷が懸かっていない状態のコイル状スプリング32a、32bは長さL1、L2を有している。
【0048】
これに対し、組電池下ケース24dは、薄型電池10の厚さTaと、均圧板33a、33bの厚さTd、Teと、コイル状スプリング32a、32bの長さL1、L2との総和より小さな深さD3である(L1+Td+Ta+Te+L2>D3)。従って、図6(B)に示すように、組電池ケース22、23に薄型電池10が収容されると、薄型電池10の表面及び裏面が均圧板33a、33bを介してコイル状スプリング32a、32bにより実質的に均一に押圧され、薄型電池10の厚さがTaからTa’に圧縮される。なお、収容後の薄型電池10の厚さTa’と、収容後のコイル状スプリング32a、32bの長さL1’、L2’と、均圧板33a、33bの厚さTd、Teとの総和は、組電池下ケース24dの深さD3に実質的に等しい。組電池下ケース24dの深さD3は、コイル状スプリング32a、32bの押圧による薄型電池10の圧縮量Ta−Ta’が、収容前の薄型電池10の5枚のセパレータ102の厚さtaの総和Σta(=5×ta)より小さくなるように(Ta−Ta’<Σta)、設定されている。
【0049】
このように、非押圧時の薄型電池10の厚さTaと押圧時の薄型電池10の厚さTa’との差が、非押圧時の薄型電池10の発電要素109が有するセパレータ102の厚さtaの総和Σtaより小さくすることにより、薄型電池10の発電要素109が有する各セパレータ102に適切な圧力を印加して、当該セパレータ102が薄型電池10の内部で暴れないように固定することができる。これにより、薄型電池10に外力が加わった場合でも、薄型電池10のセパレータ102が変形したり、損傷するのを防止し、薄型電池10の短絡による電気的特性の維持を図ることが可能となる。
【0050】
[第5実施形態]
図7は、本発明の第5実施形態における薄型電池の支持構造を用いた組電池を示す図であり、図7(A)は組電池の上部断面図、図7(B)は図7(A)のVIIB−VIIB線に沿う横断面図である。
【0051】
図7に示すように、組電池20eは、2つの薄型電池10と、バスバー21と、組電池用端子22、23と、第1の樹脂材30d(第1の弾性体)と、を有している。薄型電池10は、上述の第1実施形態と同様の構造である。当該2つの薄型電池10は、第1実施形態と同様に、バスバー21及び組電池用端子22、23を用いて直列接続されており、これらの全体が第1の樹脂材30dにより覆われており、当該第1の樹脂材30dにより所定の圧力が薄型電池10に印加されている。第1の樹脂材30dとして、例えば、ゴム系樹脂やエラストマー系樹脂などの柔軟性を有する樹脂を用いることができる。
【0052】
第1の樹脂材30dの所定の圧力の印加により、薄型電池10の表面及び裏面が実質的に均一に押圧され、薄型電池10の厚さはTaからTa’に圧縮される。第1の樹脂材30aの押圧による薄型電池10の圧縮量Ta−Ta’が、収容前の薄型電池10の5枚のセパレータ102の厚さtaの総和Σta(=5×ta)より小さくなるように(Ta−Ta’<Σta)、第1の樹脂材30aの充填量が設定されている。このように、非押圧時の薄型電池10の厚さTaと押圧時の薄型電池10の厚さTa’との差が、非押圧時の薄型電池10の発電要素109が有するセパレータ102の厚さtaの総和Σtaより小さくすることにより、薄型電池10の発電要素109が有する各セパレータ102に適切な圧力を印加して、当該セパレータ102が薄型電池10の内部で暴れないように固定することができる。これにより、薄型電池10に外力が加わった場合でも、薄型電池10のセパレータ102が変形したり、損傷するのを防止し、薄型電池10の短絡による電気的特性の維持を図ることが可能となる。
【0053】
さらに、当該第1の樹脂材30dは、樹脂に繊維を混入して剛性を強化させた繊維強化層34を有している。図7(A)及び(B)に示すように、接続された2つの薄型電池の全体を覆うように、第1の樹脂材30dの最外層に位置しており、第2〜4実施形態にて説明した組電池ケース(第2の支持部材)と同様の機能を果たしている。
【0054】
さらに、図7(B)に示すように、繊維強化層34は、組電池20eを構成する各薄型電池10の間を仕切るような隔壁35をも構成している。このような隔壁35を設けて各薄型電池10を互いに独立して支持することにより、隔壁35を設けない場合と比較して、薄型電池10に外力が加わった場合でも、薄型電池10のセパレータ102が変形したり、損傷するのをさらに防止し、薄型電池10の短絡による電気的特性の維持をさらに図ることが可能となる。なお、繊維強化層34の代わりに、第1の樹脂材30dを構成する樹脂より硬い硬質層を形成しても同様の効果を得ることができる。
【0055】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0056】
例えば、上記の実施形態においては、いずれの組電池も2つの薄型電池で構成しているが、特にこれに限定されることなく、薄型電池同士を積層するなどして、所望の電圧、容量が得られるように、3つ以上の薄型電池により組電池を構成することができる。また、上記の実施形態においては、いずれも薄型電池を直列接続したが、本発明は特にこれに限定されることなく、薄型電池を並列しても良く、或いは、直列接続及び並列接続を併用して、所望の電圧、容量が得られるように薄型電池を接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態における薄型電池の支持構造を用いた組電池を示す図であり、図1(A)は組電池の上部断面図、図1(B)は図1(A)のIB−IB線に沿う横断面図である。
【図2】図2(A)は本発明の第1実施形態における薄型電池の全体を示す平面図、図2(B)は図2(A)のIIB−IIB線に沿う断面図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態における組電池ケースとの接触面の粗さと薄型電池の電池外装の膜厚との関係を示す図である。
【図4】図4は、本発明の第2実施形態における薄型電池の支持構造を用いた組電池を示す図であり、図4(A)は組電池の上部断面図、図4(B)は図4(A)のIIIB−IIIB線に沿う横断面図である。
【図5】図5は、本発明の第3実施形態における薄型電池の支持構造を用いた組電池を示す図であり、図5(A)は組電池の分解横断面図、図5(B)は当該組電池の横断面図である。
【図6】図6は、本発明の第4実施形態における薄型電池の支持構造を用いた組電池を示す図であり、図6(A)は組電池の分解横断面図、図6(B)は当該組電池の横断面図である。
【図7】図7は、本発明の第5実施形態における薄型電池の支持構造を用いた組電池を示す図であり、図7(A)は組電池の上部断面図、図7(B)は図7(A)のVIIB−VIIB線に沿う横断面図である。
【符号の説明】
10…薄型電池
101…正極板
102…セパレータ
103…負極板
104…正極端子
105…負極端子
106…上部電池外装
107…下部電池外装
109…発電要素
20a〜20e…組電池
21…バスバー
22…組電池用正極端子
23…組電池用負極端子
24a〜24d…組電池下ケース
25a〜25d…組電池上ケース
30a〜30d…第1の樹脂材
31…第2の樹脂材
32a、32b…コイル状スプリング
33a、33b…均圧板
34…繊維強化層
35…隔壁
Claims (15)
- 複数のセパレータを有する発電要素が電池外装内に収容された少なくとも1つの薄型電池と、
前記少なくとも1つの薄型電池の表面及び裏面に接触して支持する第1の支持部材と、を備え、
前記第1の支持部材が、前記各薄型電池の前記発電要素が有する前記複数のセパレータに所定の圧力を印加する薄型電池の支持構造。 - 複数のセパレータを有する発電要素が電池外装内に収容された少なくとも1つの薄型電池と、
前記薄型電池に所定の圧力を印加する第1の弾性体と、
前記薄型電池の表面側及び裏面側に位置して前記少なくとも1つの薄型電池を支持する支持手段と、を備え、
前記第1の弾性体が、前記各薄型電池の前記発電要素が有する前記複数のセパレータに所定の圧力を印加する薄型電池の支持構造。 - 前記第1の弾性体は、機械的バネ又は樹脂を有する請求項2記載の薄型電池の支持構造。
- 圧力非印加時の前記薄型電池の厚さと圧力印加時の前記薄型電池の厚さとの差が、圧力非印加時の前記薄型電池の前記発電要素が有する前記複数のセパレータの厚さの総和より小さい請求項1〜3の何れかに記載の薄型電池の支持構造。
- 前記支持手段が、
前記薄型電池の表面及び裏面に直接接触している第1の支持部材と、
前記第1の弾性体を介して、前記少なくとも1つの薄型電池を支持する第2の支持部材と、を有し、
圧力印加方向における前記第1の弾性体の一端が、前記第1の支持部材に接触し、圧力印加方向における前記第1の弾性体の他端が、前記第2の支持部材に接触している請求項2〜4の何れかに記載の薄型電池の支持構造。 - 前記薄型電池の前記電池外装は、電気的に絶縁された絶縁層を少なくとも有し、
前記第1の支持部材の前記薄型電池と接触する面の粗さにおける最上点と最下点との差が、前記電池外装の前記絶縁層の膜厚より小さい請求項1〜5の何れかに記載の薄型電池の支持構造。 - 前記支持手段が、前記第1の弾性体を介して、前記少なくとも1つの薄型電池を支持する第2の支持部材を有し、
圧力印加方向における前記第1の弾性体の一端が、前記薄型電池の表面及び裏面に接触し、圧力印加方向における前記第1の弾性体の他端が、前記第2の支持部材に接触している請求項2〜4の何れかに記載の薄型電池の支持構造。 - 前記支持手段と、前記薄型電池と、前記第1の弾性体と、によって形成される空間に第2の弾性体が設けられた請求項2〜7の何れかに記載の薄型電池の支持構造。
- 前記第1の弾性体の一部に、繊維強化層又は硬質層が形成された請求項2〜8の何れかに記載の薄型電池の支持構造。
- 前記支持手段の前記第2の支持部材が、前記第1の弾性体の一部に形成された繊維強化層又は硬質層である請求項9記載の薄型電池の支持構造。
- 2以上の前記薄型電池を有しており、
前記繊維強化層又は硬質層が、前記各薄型電池の間に介在して、前記各薄型電池を仕切っている請求項9又は10記載の薄型電池の支持構造。 - 前記薄型電池の前記発電要素は、負極として機能する負極活性物質を有し、
前記負極活性物質は、非晶質炭素である請求項1〜11の何れかに記載の薄型電池の支持構造。 - 前記薄型電池の前記発電要素は、正極として機能する正極活性物質を有し、
前記正極活性物質が、スピネル構造のマンガン酸リチウム、又は層状構造のニッケル酸リチウムである請求項1〜12の何れかに記載の薄型電池の支持構造。 - 前記薄型電池の前記発電要素が有する前記各セパレータの厚さが、20〜50μmである請求項1〜13の何れかに記載の薄型電池の支持構造。
- 請求項1〜14の何れかに記載の薄型電池の支持構造を少なくとも1つ備えた組電池。
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