JP2004139803A - ワークコイルユニットの製造方法 - Google Patents

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Shozo Ohashi
大橋 省三
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Tiger Vacuum Bottle Co Ltd
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Abstract

【課題】平面型の設置形態を採用した内外多重構造のワークコイルを製造するに際し、リール構造の組立式ワークコイルユニットを採用し、製造効率の改善と製造装置の簡素化を図る。
【解決手段】半径方向中心部側に第1のリッツ線巻成部を有する第1のリールプレートと、同第1のリールプレートとの間で半径方向外周部側に第2のリッツ線巻成部を形成する第2のリールプレートとからなり、それら第1,第2のリールプレートを係合一体化した状態で、そのまま電磁調理器のワークコイル設置部に取り付けられるリール構造のワークコイル巻成保持部材を備え、先ず上記第1のリールプレートの上記第1のリッツ線巻成部に対してリッツ線を巻成することにより第1のワークコイル部を形成した後、該第2のリッツ線巻成部に対してリッツ線を巻成することにより第2のワークコイル部を形成するようにした。
【選択図】    図15

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、電磁誘導加熱式の電気炊飯器やホットプレート、クッキングテーブル等の各種電磁調理器に使用されるワークコイルユニットの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近の電気炊飯器では、高出力で加熱効率が高く、加熱出力制御の応答性も高いために、早く、しかも美味しい御飯を炊き上げることができる,などの理由から、内鍋(飯器)に磁性金属部材を採用するとともに、その加熱手段として、電磁誘導によって当該内鍋内に渦電流を誘起させて自己発熱させる誘導加熱手段を採用した電磁誘導加熱式のものが多くなっている。
【0003】
このような電気炊飯器等の電磁調理器の場合、上記誘導加熱手段として、内鍋を収納する有底筒状の保護枠の底面に対し、巻き幅の広い1組のワークコイルを沿わせて設置するか、または同底面の中心部側に位置して巻かれた第1のワークコイルと同底面の外周部側(第1のワークコイルの半径方向外側)に第1のワークコイルと所定の間隔を置いて巻かれた第2のワークコイルとの内外2組のワークコイルを内鍋の底面形状に沿わせて曲面型に設置する、さらには同第1,第2のワークコイルに加えて上記保護枠の側面側に第3のワークコイルを設置する、などのワークコイル構造が採用されている。
【0004】
また、一方最近では、上記電気炊飯器の場合と同様に加熱効率が高く、加熱出力の制御が容易であり、炎や赤熱部がないので吹きこぼれなどによる炎の立消えや不完全燃焼による酸欠の心配もなく安全性にすぐれている、上面のトッププレート部に凹凸がなく、吹きこぼれてもふきん等でふき取れば足りるので、手入れが簡単である、などの理由から、ホットプレートやクッキングテーブル等の調理器にも、同様のワークコイル構造を備えた電磁誘導加熱式のものが多くなっている。
【0005】
このようなホットプレートやクッキングテーブル等の電磁調理器の場合、磁性金属部材よりなる鍋等をのせるトッププレートの下面に対して、上記同様のワークコイルを対応させて設置するワークコイル構造が採用されている。
【0006】
ところで、上記のようなワークコイルを構造を採用し、それらを保護枠又はトッププレート等の下面に設置するようにした場合において、その加熱効率を可及的有効に向上させるためには、上記保護枠又はトッププレート等との関係において、当該ワークコイルを最適な位置関係に設置することが必要であり、そうでないと、高出力かつ高効率の高い加熱性能を有効に実現することはできない。
【0007】
したがって、そのためにも、当該ワークコイルは、上記保護枠又はトッププレート等に対する設置が容易であり、しかも、設置後も各リッツ線が安定した巻成状態に保たれることが必要である。
【0008】
そこで、従来は、同リッツ線の表面に結合用のニス等特殊な樹脂を塗布した上で、例えば巻線機を使用してコイル巻成用の金型に巻き付けて行くことによってドーナツ状のコイルに形成し、その後、同金型に巻成されたままの状態で、その両端側を電源に接続することによって発熱させる。そして、その熱により上記表面のニス等特殊な樹脂を熔融させて各リッツ線間を結合し、安定したワークコイル形状に保持し、その後金型から外す。そして、これをワークコイルユニットとして例えば金属テープ等の耐熱性テープで保護枠又はトッププレート等の下面に止着して固定するようにしていた(第1の従来例・・・・公知文献なし)。
【0009】
ところが、上記のような従来のワークコイルユニットの製造方法では、次のようなデメリットがある。
【0010】
(1) リッツ線をコイル形状に巻成して加熱するまで保持するための金型や、保形用の通電加熱手段が必要であり、設備コスト、加工コストが高い。
【0011】
(2) 表面に結合用のニス等特殊な樹脂を塗布した特別なリッツ線が必要であり、リッツ線そのもののコストが高い。
【0012】
(3) 表面に塗布されたニス等特殊な樹脂の自己溶着により、リッツ線相互間が結合されているだけであるから、コイル形状の保持力が弱い。そのため、運搬時の取扱いや設置時の取り付け作業にも慎重な操作を必要とする。
【0013】
(4) 調理器本体への設置後もテープ等により止着されているだけであるから、ワークコイルの取り付け状態が不安定である。
【0014】
そこで、このような問題を解決するために、例えば相互に重合してネジにより締結一体化される保護枠およびコイルベースと、相互に屈曲可能に連結された複数の円弧状体よりなるスペーサ部材とからなるリール構造のワークコイル巻成保持部材を備え、上記スペーサ部材を介して上記保護枠およびコイルベース間の内外方向に半径方向の位置を異にする複数のリッツ線巻成部を形成し、該複数のリッツ線巻成部に対して、順次リッツ線をコイル状に巻成することにより、当該ワークコイル巻成保持部材を介して、そのまま誘導加熱式の電磁調理器本体側に取り付けられるようにしたワークコイルユニットおよびその製造方法が提案されている(第2の従来例・・・・特許文献1参照)。
【0015】
このような構成のワークコイルユニットおよびその製造方法によると、少なくとも、それまでのようなリッツ線をコイル形状に巻成して加熱するまで保持するための製造専用の金型は不要になり、その点では、製造のための設備コスト、加工コストが安くなる。
【0016】
また、一応コイル部全体がリール構造体として一体化されているので、リッツ線単体のものに比べると、ワークコイルのコイル形状の保持力が高い。そのため、運搬時の取扱いや、設置時の取り付け作業にも以前ほどの慎重な操作を必要としなくなる。
【0017】
さらに、リール構造体のワークコイルユニットをそのまま取り付ければ良いから、調理器本体への設置も容易で、取り付け状態も安定する。
【0018】
【特許文献1】
特開平7−85959号公報(第1〜第5頁、図1〜図10参照)
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記第2の従来例(特許文献1)の構成では、保護枠およびコイルベースよりなるワークコイル巻成保持部材としてのリール構造体が、相互に適切な嵌合構造を有しておらず、単に中央のハブ部分で相互にネジを介して締結させれるだけの構造となっていて、両者の間に必ずしも適切な位置関係で、適切な本数のリッツ線を均一な密度で巻成して行くことができない。
【0020】
また、内周側第1のワークコイル部を巻成した後に、別途独立したスペーサ部材を保護枠およびコイルベースの間に介装係合する必要があり、多くの部材を必要とする欠点があるとともに、製造時の操作が複雑で、製造時の作業工数が増大する。したがって、製造装置の自動化が困難である。しかも、上記スペーサ部材は、複数の円弧状部材を拡開可能に相互に連結してなり、複雑な構造をしている。したがって、それ自体の製造も大変であり、製造コストが高い。
【0021】
さらに、上記のように必ずしも正確なワークコイル部の巻成(本数、位置、密度)が可能でないこと、また同巻成状態での保持力が充分ではないことから、折角リール構造のワークコイルユニットを形成して置きながらも、やはり、それまでのものと同様に表面にニス等の特殊な樹脂を塗布し、該塗布されたニス等の特殊な樹脂の自己溶着により、リッツ線相互間を結合して固型一体化するようにしている。
【0022】
したがって、やはり従来のものと同様に、保形用の通電加熱手段とともに表面に結合用のニス等特殊な樹脂を塗布した特別なリッツ線が必要であり、設備およびリッツ線のコストが高い、というそれまでのワークコイルユニット構造の問題は、そのまま残されている。
【0023】
本願発明は、このような問題を解決するためになされたもので、そのまま電磁調理器のワークコイル設置部に取り付けられるリール構造のワークコイル巻成保持部材を、半径方向中心部側に第1のリッツ線巻成部を有する第1のリールプレートと、該第1のリールプレートに係合一体化され、同第1のリールプレートとの間で半径方向外周部側に第2のリッツ線巻成部を形成する第2のリールプレートとから構成し、第1のリールプレートの上記第1のリッツ線巻成部に対してリッツ線を巻成することにより第1のワークコイル部を形成した後、同第1のリールプレートに対して第2のリールプレートを係合一体化することによって第1のリールプレートと当該第2のリールプレートとの間に第2のリッツ線巻成部を形成し、その後、該第2のリッツ線巻成部に対してリッツ線を巻成することにより第2のワークコイル部を形成するようにすることによって、スペーサー等の多部材や特殊なリッツ線、通電加熱設備等を使うことなく、第1,第2の2組のリールプレートのみで、安定したコイル形状を保持することができるようにしたワークコイルユニットの製造方法を提供することを目的とするものである。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、同目的を達成するために、次のような課題解決手段を備えて構成されている。
【0025】
(1) 請求項1の発明
この発明のワークコイルユニットの製造方法は、半径方向中心部側に第1のリッツ線巻成部を有する第1のリールプレートと、該第1のリールプレートに係合一体化され、同第1のリールプレートとの間で半径方向外周部側に第2のリッツ線巻成部を形成する第2のリールプレートとからなり、それら第1,第2のリールプレートを係合一体化した状態で、そのまま電磁調理器のワークコイル設置部に取り付けられるリール構造のワークコイル巻成保持部材を備え、先ず上記第1のリールプレートの上記第1のリッツ線巻成部に対してリッツ線を巻成することにより第1のワークコイル部を形成した後、同第1のリールプレートに対して上記第2のリールプレートを係合一体化することによって上記第1のリールプレートと当該第2のリールプレートとの間に上記第2のリッツ線巻成部を形成し、その後、該第2のリッツ線巻成部に対してリッツ線を巻成することにより第2のワークコイル部を形成するようにしたことを特徴とするものである。
【0026】
該ワークコイルユニットの製造方法では、相互に係合される第1,第2のリールプレートよりなるワークコイル巻成保持部材そのものに、半径方向中心部側第1のリッツ線巻成部と半径方向外周部側第2のリッツ線巻成部が、順次その係合状態を利用して設けられて行くようになっており、それら第1,第2のリッツ線巻成部を利用して順次第1,第2のワークコイル部が上記第1,第2のリールプレートと一体に形成されて行くようになっているために、従来のようなワークコイル巻成用の金型や、スペーサ部材、リッツ線への通電発熱手段、リッツ線表面への結合用ニス等特殊な樹脂の塗布等が不要になる。
【0027】
その結果、設備、加工、材料各々のコストが共に低下する。
【0028】
また、上記第1,第2のリッツ線巻成部は、確実に係合一体化された上記第1,第2のリールプレートよりなるワークコイル巻成保持部材に一体的に形成され、それらの各々にリッツ線が一体に巻成されて上記第1,第2のワークコイル部が形成されるので、形成された第1,第2のワークコイル形状は極めて安定かつ固定されたものとなり(高保形力)、運搬時や取付け時にも型崩れを生じる心配がなくなり、取扱性に優れたものとなる。
【0029】
また、保護枠等への取付けは、ワークコイル部そのものを問題とすることなく、リール構造のワークコイル巻成保持部材自体を保護枠等に取付ければ足りるから、取付け作業も極めて容易になり、取付け状態も安定したものとなる。
【0030】
さらに、同リール構造のワークコイル巻成保持部材は、上述のように、第1のリッツ線巻成部を有して第1のワークコイル部を形成する第1のリールプレートと該第1のリールプレートとの間で第2のリッツ線巻成部を有して第2のワークコイル部を形成する第2のリールプレートとの2枚のリールプレートから構成されるようになっていて、上記リッツ線の巻成工程に対応して、当該第1のリールプレートに第2のリールプレートを係合させるのみの簡単な作業で、それらが一体化され、さらに、それに続いて第2のワークコイル部が形成されたワークコイル巻成保持部材が形成されるようになっている。
【0031】
したがって、このようなワークコイルユニットの製造方法では、例えば第1のリールプレートを支持固定するターンテーブル、第2のリールプレートを押圧支持する昇降可能なクランパー部材としてのプレート押え、リッツ線を供給するリッツ線供給ドラム等を有し、先ず上記第1のリールプレートを上記ターンテーブル上に支持固定して所定回数回転させ、同第1のリールプレートの第1のリッツ線巻成部にリッツ線を巻成して上記第1のワークコイル部を形成した後、同第1のリールプレートに上記第2のリールプレートを係合し、上記プレート押えを下降させて上記第2のリールプレートを第1のリールプレートとの間で適正な間隔にクランプ保持する。
【0032】
そして、同クランプ保持状態において上述のように第1,第2のリールプレート相互の間に第2のリッツ線巻成部を形成し、さらに同クランプ保持状態で上記ターンテーブルを所定回数回転させることによって上記第2のワークコイル部を形成するようにした上述のような比較的簡単な構成のワークコイルユニット製造装置によって容易に製造することができるようになる。
【0033】
(2) 請求項2の発明
この発明のワークコイルユニットの製造方法は、上記請求項1の発明の構成において、上記第1又は第2のリールプレートの最外周部には、さらに軸方向外側へ延びた第3のリッツ線巻成部が設けられ、上記第2のワークコイル部を形成した後に、さらに同第3のリッツ線巻成部に対してリッツ線を巻成することによって第3のワークコイル部を形成するようにしたことを特徴とするものである。
【0034】
このような構成によると、上記第2のワークコイル部の形成に続いて略同様の方法で容易に第3のワークコイル部を形成することができるようになる。
【0035】
(3) 請求項3の発明
この発明のワークコイルユニットの製造方法は、上記請求項1又は2の発明の構成において、上記第1のリールプレートに対する第2のリールプレートの係合は、ヘリコイド係合であることを特徴としている。
【0036】
したがって、上記第1のワークコイル部形成後の上記第1のリールプレートに対する第2のリールプレートの係合は、所定の位置関係で上記第1のリールプレートに対して上記第2のリールプレートを嵌合し、少し回転させるだけで、容易に、しかも確実に係合することができる。
【0037】
(4) 請求項4の発明
この発明のワークコイルユニットの製造方法は、上記請求項1,2又は3の発明の構成において、巻成を開始してから巻成を終了するまで全て相互に連続する1本のリッツ線が使用されていることを特徴としている。
【0038】
したがって、同構成では、1台のリッツ線供給手段を使用して、複数のワークコイル部各々の連続したリッツ線巻成作業が可能になる。
【0039】
【発明の効果】
以上の結果、本願発明のワークコイルユニットの製造方法によると、第1,第2のリールプレートを相互に係合一体化するのみで、スペーサ等の多部材を要することなく、複数のワークコイル巻成部を形成してワークコイルを巻成して行くことができ、かつニス等の特殊な樹脂による結合材を使用しなくてもワークコイルの保形力が高く、取付け後の状態も安定し、かつ取付け作業も容易な、高性能のワークコイルを低コストに提供することができるようになる。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の実施の形態について説明する。
【0041】
(適用例の構成)
先ず図1〜図15は、本願発明の実施の形態に係るワークコイルユニットの製造方法によって製造されたワークコイルユニットが適用される電磁調理器の一例としての誘導加熱式電気炊飯器の構成および同電気炊飯器に適用されたワークコイルユニットの構成をそれぞれ示している。
【0042】
(炊飯器本体の概略的な構成・・・・図1および図2参照)
すなわち、同電気炊飯器の炊飯器本体は、先ず図1に示すように、大きく分けると、内部に誘起されるうず電流によって自己発熱が可能な例えばステンレス鋼板等の磁性金属部材よりなる内鍋(飯器ないし保温容器となる)3部分と、該内鍋3部分を任意に収納セットし得るように略当該内鍋3の外形面に対応した内形面に形成された合成樹脂製の有底筒状の保護枠(内ケース)4部分と、該保護枠4部分を所定の間隔を置いて内側に保持する外部筺体である有底筒状の外ケース1部分と、該外ケース1部分と上記保護枠4部分とを肩部側および底部側で連結することにより相互に一体化して形成された炊飯器下部側器体と、該炊飯器下部側器体の上方側開口端部14に対して開閉可能に設けられた上部側器体としての蓋ユニット(蓋部材)2部分とから構成されている。
【0043】
上記内鍋3は、例えば図1および図2に示されるように、その底壁部3a側外周縁部のアール面部3Cの曲率が大きく形成された丸がま形状になっているとともに、さらに同底壁部3aの中央部所定半径部分が、図示のように、内鍋3内上方に所定の高さ突出したドーム面部3Aに形成され、さらに該ドーム面部3Aから上記外周縁部側アール面部3Cまでの外周域全体も少し上方に凹んだ緩やかな凹面部3Bとなっていて、例えば炊き上げ工程の飯米加熱時において、それら中央部側のドーム面部3Aおよび緩やかな凹面部3Bによる飯米中央部への良好な伝熱作用および内対流促進作用と外周部側のアール面部(丸がま形状部)3Cによる外対流促進作用とにより、内鍋3内に活発な内外2層状態の対流を効率良く形成することができるように構成されている。
【0044】
また、後述するように、上記ドーム面部3Aの下方には、上記内鍋3内の飯米の温度や内鍋3自体の収納状態を検知するセンタセンサ12が設けられるようになっており、該設置されたセンタセンサ12の上端側センシング部が上記ドーム面部3Aの下面に所定の付勢圧を伴って当接せしめられることによって、上記内鍋3内の飯米の温度等が検出される。
【0045】
したがって、このような内鍋構造では、上記ドーム面部3Aおよび凹面部3Bによる内鍋底壁部3aの飯米との接触面積の拡大に加えて、上記センタセンサ12の温度検知センサのセンシング位置が飯米中央部側に近くなるだけ飯米中央部の温度が検知しやすくなり(より検知感度が向上して)、炊飯時および保温時各々の加熱量の制御精度が向上する。
【0046】
また上記外ケース1は、例えば合成樹脂材により肩部1bまで一体に形成された上下方向に略筒状のカバー部材1aと、該カバー部材1aの下端側開口部に嵌合一体化された合成樹脂製の底部材1cとからなっている。そして、該外ケース1のカバー部材1a上端側肩部1bの内周壁部分は、上記保護枠4の筒状の側壁部4b上端の肩部係合段部内に上方側から係合されて一体化されているとともに、また保護枠4は、その底部側支柱構造のボス部4c4c・・等所定の支持部材を介して上記底部材1c上に支持されている。そして、その状態において、上記外ケース1の底部材1cと上記保護枠4の底壁部(底部)4aとの間には、所定の広さの断熱および通風空間部が形成されている。
【0047】
また、上記外ケース1(そのカバー部材1a)の前面側上方部には、操作パネル部5が設けられている。該操作パネル部5には、特に図示はしないが、所定の表示面をもつ液晶表示部と、炊飯スイッチ、タイマー予約スイッチ、取消スイッチ、保温スイッチ、再加熱スイッチ、メニュー選択スイッチ、時スイッチ、分スイッチ等の各種入力スイッチの操作キー(タッチスイッチのタッチキー部分)が設けられている。
【0048】
一方、符号2は蓋ユニットであり、該蓋ユニット2は、その外周面を構成する合成樹脂製の外カバー21と、該外カバー21の外周縁部下側に設けられた内枠22と、該内枠22の内側に設けられた金属製の放熱板24と、該放熱板24と上記外カバー21との間に設けられた断熱部材23とによって内側が中空の断熱構造体に形成されている。
【0049】
この蓋ユニット2は、上記外ケース1上部の肩部1bの後端部分に対してヒンジ機構25を介して前方側から後方側に回動自在に取付けられており、同肩部1bの前方側中央端部には、当該蓋ユニット2の前端側開放端部2a下部の所定の位置に係合して当該蓋ユニット2の上下方向への開閉状態のロックおよびロック解除を行う開閉レバー機構18が設けられている。
【0050】
さらに、上述した保護枠4の底壁部4aの中央部は、上記内鍋3の底壁部3aの中央部と同様に上方に突出してドーム面部4Aを形成しており、その中心部には、上下方向に同心状に貫通したセンタセンサ嵌装孔15が形成されているとともに、さらに、その下方には略上記ドーム面部4Aの直径に対応した所定の直径の筒状壁51によって囲まれたセンタセンサ収納空間部16が形成されている。そして、該センタセンサ収納空間部16中には、上下方向に昇降自在な状態で、かつ常時コイルスプリングにより上方に上昇付勢された状態で、上述した内鍋3内の飯米の温度を検知する温度検知センサおよび上記保護枠4内に内鍋3が収納されているか否かを検知する内鍋検知スイッチを備えたセンタセンサ12が設けられ、その先端側センシング部が上記センタセンサ嵌装孔15から上方に所定高さ突出して上記内鍋3のドーム面部3Aの下面に当接するようになっている。
【0051】
なお、該センタセンサ12のホルダー部12aは、その下部外周に取付用のフランジを有し、次に述べるリール構造のワークコイルユニット30の本体側第1のリールプレート31の半径方向中央部側第1のハブ31a部分に形成した上下方向の開口部31bを介して下方側から上方側に嵌装した後、同フランジ部を例えばビスにより保護枠4の底壁部4a側に取り付けることによって固定されている。
【0052】
(ワークコイルユニット30部分の構成・・・図2〜図15参照)
ところで、上記保護枠4の底壁部4a下面側の上記センタセンサ収納空間16の外周部には、上記内鍋3の底壁部(底部)3aの上記中央部側ドーム面部3A外周の緩やかな凹面部3Bと外周部側アール面部3Cとの内外2つの底壁面に対してフラットに対応するように、第1,第2のワークコイル(第1,第2のワークコイル部)C,Cが、それら相互の間に所定の間隔Bを保って、同心状で、かつ同一平面上に巻成されているとともに、さらに同第2のワークコイルCの半径方向外周側には第3のワークコイル(第3のワークコイル部)Cが若干上方に偏位して巻成されたリール構造のワークコイルユニット30が設けられており、その下部には、さらに同リール構造のワークコイルユニット30の上記第1,第2,第3の各ワークコイルC,C,Cから下方に広がる磁束を上記内鍋3の底壁部3aから側壁部3b方向に効果的に吸収し、収束させて上記内鍋3にに効率良く作用させるための複数本(4本)のフェライトコア8,8・・が、コアカバーを兼用したコア押え9,9・・を介して、所定の間隔(90°間隔)で半径方向に設けられている。
【0053】
また、上記ワークコイルユニット30最外周部側の若干上方に偏位して巻成された上記第3のワークコイルCは、上記第1,第2のワークコイルC,Cと異なり、上下方向に所定の幅を有して巻成されている。
【0054】
そして、それら第1〜第3のワークコイルC〜Cにより、通電時には、上記内鍋3の底壁面から側壁面の略全体に効果的にうず電流を誘起して、その全体を可能な限り均一に加熱するようになっている。
【0055】
その結果、十分に高出力かつ高効率な内鍋内の飯米等の加熱が可能になるとともに、内鍋はその底部側と側部側の両方で均一に発熱し、かつ、その内鍋形状との相互の作用により、その内部に活発な内外2層状態の対流を形成して、当該内鍋中の中央部を含む飯米の全体を加熱ムラなく有効に加熱して、効率良く良質の御飯を炊き上げることができるようになる。
【0056】
また、上記のように、上記第2のワークコイルCの外周側上方に、さらに第3のワークコイルCが設置されると、特に大炊飯量時の加熱効率が高くなる。
【0057】
ところで、該ワークコイルユニット30の上記第1,第2,第3のワークコイルC,C,C部分は、従来のような加熱結合用のニス等が塗布されることなく、通常のエナメル素線よりなっていて、それぞれ相互に連続する1本のリッツ線を、リール構造のワークコイル巻成保持部材を形成する第1,第2のリールプレート31,32各々の構造およびそれら第1,第2のリールプレート31,32相互の組合せ構造をそれぞれ適切に利用して、適宜半径方向の位置と若干の高さ方向の位置を変えて所定の巻き幅A,C,Eでかつ相互の間に適切な所定の間隔B,Dをあけて巻成することにより形成されており、電気的に相互に直列なものとなっている。そして、そのリッツ線Lの一端は、図示しない整流回路および平滑回路を介したワークコイル駆動回路の電源ラインに、また同リッツ線Lの他端は当該ワークコイル駆動回路中のIGBT(パワートランジスタ)にそれぞれ接続されている。
【0058】
このように、上記第1,第2,第3の各ワークコイルC,C,Cを、加熱結合用のニス等を使用しない通常のエナメル素線からなり、その巻成始端部から巻成終端部まで相互に連続する1本のリッツ線Lを使用して半径方向の位置を変えて巻成するようにすると、後述のようなワークコイル巻成機(図16〜図24参照)を使用して行うワークコイルユニットの製造作業が容易になり、比較的簡単な構造のワークコイル巻成機の採用で足りるようになることは素より、第1,第2,第3のワークコイルC,C,Cが相互に直列に接続されるので、その駆動回路も単一のもので足りることになる。従って、製造設備および製品の低コスト化が可能になる。
【0059】
ところで、以上のようなワークコイル巻成保持部材としての上記ワークコイルユニット30は、以下に述べるように、第1,第2のリールプレート31,32を組み合わせて構成されている。
【0060】
すなわち、先ず第1のリールプレート31は、例えば図5、図6(それぞれ設置状態を基準として表側から見た図)および図7、図8(同裏側から見た図)、図9(縦断面図)に示すように、全体として所定板厚の円形のプレートよりなり、その中央部(中心軸部)側2重壁筒状の第1のハブ31aの半径方向内方部分には、上記センターセンサー12のホルダー部12aを嵌装し得るに十分な円形の開口部31bが形成されている。また、同第1のハブ31aの半径方向外周には、上記保護枠底壁部4a中央に設けられた筒状壁51部分の嵌合用スリット51a内に嵌合される薄肉筒状の嵌合用リブ52および同リブ52を有する所定幅の溝31cを介して1重壁筒状の第2のハブ31dの上端側外周には、上記第1のリールプレート31全体の外径の1/2程度の外径の円形の補助プレート31eが上記第1のリールプレート31の本体側大径のメインプレート部と平行に所定の間隔を保って設けられている。
【0061】
そして、それによって当該第1のリールプレート31の半径方向中央部側に、上記第2のハブ31dの筒状部外周面を巻成ドラム面とし、その両側を上記第1のリールプレート31のメインプレート部と上記補助プレート31eのプレート部とにより囲まれた小径リール構造の半径方向中央部側第1のリッツ線巻成部41が形成され、該第1のリッツ線巻成部41に対して、上記所定の巻き幅Aとなるように所定のターン数N回所定の直径φのリッツ線Lが巻成されて、上記半径方向中央部側第1のワークコイル部Cが形成される。
【0062】
該第1のリッツ線巻成部41へのリッツ線Lの巻成開始に際しては、先ず、その巻成側始端部La側を、次のようにして上記第1のリールプレート31の中央部側第2のハブ31d部分に係止する。
【0063】
すなわち、上記第1のリールプレート31には、例えば図5〜図8に示されているように、上記第2のハブ31dの上記第1のリールプレート31側周方向適所に同第1のリッツ線巻成部41内から外部に貫通して切欠穴33が形成されており、該切欠穴33に対して、上記リッツ線Lの巻成側始端部Laを所定長さ挿通し、その外方側部分を折り曲げることによって係止し、その後、後述するように第1のリールプレート31自体を上記ターン数Nに応じた所定回数Nだけ回転させることによって巻成する。この第1のリールプレート31の回転駆動は、後述するように例えばワークコイル巻成機のターンテーブル等の所定のワーク回転駆動装置を使用してなされる。このため同第1のリールプレート31のプレート部裏面側には、例えば図7および図8に示したように、上述したフェライトコア8,8・・設置用の左右に突条壁53a,53aを有して半径方向に延びるフェライトコア嵌合溝53,53・・が、周方向に90°間隔で十字状に設けられており、同十字状のフェライトコア嵌合溝53,53・・を利用して、当該ターンテーブル上の十字状の係合溝に係合させて回転可能に支持されるようになっている。
【0064】
また、上記補助プレート31eの外周側縁部には、その周方向の複数箇所(4個所)に所定の間隔(90°間隔)で、後述する第2のリールプレート32の内側開口部32aを形成している内周側縁部の円弧状の複数のヘリコイド係合用凹部35a,35a・・の深さと幅に対応した複数のヘリコイド係合片34,34・・が設けられており、同ヘリコイド係合片34,34・・を利用して、次に述べるドーナツ形状の第2のリールプレート32が、着脱可能にヘリコイド係合されるようになっている。
【0065】
なお、上記補助プレート31eおよび第1のリールプレート31各々の各プレート部に上記第1のリッツ線巻成部41部分に対応して同軸方向に幾つか形成されている円形孔36,36・・・、36,36・・・は、例えば同第1のリッツ線巻成部41におけるリッツ線の巻成状態を外部から確認しやすくするためのものである。
【0066】
一方、上記第1のリールプレート31にヘリコイド係合される第2のリールプレート32は、例えば図10、図11(それぞれ設置状態を基準として表側から見た図)および図12、図13(同裏側から見た図)、図14(縦断面図)に示すように、その外径は上記第1のリールプレート31と略等しく、全体として所定板厚のドーナツ形状をした円形プレートよりなり、その中央部(中心軸部)側には、上記第1のリールプレート31側の上記補助プレート31eを嵌合するに適した内径の円形の開口部32aが形成されており、該開口部32aの内周縁には、上述した第1のリールプレート31側補助プレート31e外周のヘリコイド係合片34,34・・を、先ず最初に少なくとも板厚分の寸法だけ軸方向に遊嵌させるヘリコイド係合用凹部35a,35a・・と、該ヘリコイド係合用凹部35a,35a・・間にあって、少なくとも板厚分下方に偏位して設けられ、上記ヘリコイド係合片34,34・・が同ヘリコイド係合用凹部35a,35a・・に上記のように遊嵌された位置から当該第2のリールプレート32を左側に所定角(40°)回転させることによって上記第1のリールプレート31のヘリコイド係合片34,34・・の下方側に重合され、当該第2のリールプレート32自体を軸方向に外れないようにガタツキなく係合する所定幅の円弧状のヘリコイド係合用係合片35b,35b・・とを備えて構成されている。該ヘリコイド係合用係合片35b,35b・・の上記回転方向後端には、上記第1のリールプレート31のヘリコイド係合片34,34・・の端部に係合してストッパ機能を果たす係止部35c,35c・・が設けられている。
【0067】
したがって、該第2のリールプレート32は、上記内側開口部32aのヘリコイド係合用凹部35a,35a・・を上記第1のリールプレート31側補助プレート31eのヘリコイド係合片34,34・・に合わせて軸方向に略板厚寸法分だけ遊嵌し、その後、同第2のリールプレート32を、例えば作業者が手で左方向に所定角(例えば40°)回転させると、板厚分下方側に位置して隣合うヘリコイド係合用係合片35b,35b・・が、同ヘリコイド係合片34,34・・の下方側(軸方向内側)に重合されるとともにストッパ部35c,35c・・により回転方向に係止されて、第1,第2のリールプレート31,32が一体化される。そして、それによって、上記ターンテーブルの回転駆動により、第1のリールプレート31と一体に第2のリールプレート32も回転されるようになる。
【0068】
ところで、上記第2のリールプレート32のプレート部裏面側には、例えば図12〜図14に示すように、上記ヘリコイド係合用係合片35b,35b・・よりも所定寸法半径方向外側に位置して、少なくとも上記リッツ線Lの直径φ分だけ第1のリールプレート31のプレート面側に突出して周方向にリング状に延びるリブ37が設けられている。
【0069】
そして、同リブ37によって上記第1のリールプレート31のメインプレート部との間に同リブ37の外周面をドラム面とし、その両側を当該第1,第2のリールプレート31,32のプレート部で囲まれた大径リール構造の第2のリッツ線巻成部42が形成されている。
【0070】
なお、上記リブ37は、例えば周方向の1個所が所定幅切り欠かれてC字形状となっており、同切り欠き部37aを利用して、上記第1のリッツ線巻成部41側からのリッツ線Lが、当該第2のリッツ線巻成部42側に斜め接線方向に引き出して移送されるようになっている。
【0071】
そして、上述のようにして第1のリッツ線巻成部41に巻成されて上記第1のワークコイル部Cを形成しているリッツ線Lの供給端側は、上記リブ機能を兼ねたヘリコイド係合用係合片35b,35b・・の間から、斜め接線方向に当該リブ37の切り欠き部37a部分を通して当該リブ37上に引き出される。そして、その後、上記ターンテーブルの回転により、同第2のリールプレート32を下部側第1のリールプレート31とともに上記第2のワークコイル部Cの所定の巻き幅Cに対応したターン数Nだけ右方向に回転させることによってコイル状に巻成し、同第2のリッツ線巻成部42に上記巻き幅Cの第2のワークコイル部Cを形成する。
【0072】
なお、この第2のリッツ線巻成部42と上記第1のリッツ線巻成部41との間に対応して上記第1,第2の各リールプレート31,32各々のプレート部の周方向4個所に同軸に形成されている円形の穴は、当該ワークコイルユニット30を上記保護枠4側に取り付けるために必要なボス挿通穴38,38・・、38,38・・であり、該ボス挿通穴38,38・・、38,38・・を介して上記保護枠4の底壁部4a側から下方に延びるボス50,50・・の先端側螺合溝部を所定寸法下方側に突出させ、同ボス50,50・・に対して上記下方側に設けられるフェライトコア8,8・・およびコア押え9を介して、当該ワークコイルユニット30を、ビス17,17・・で螺合して締結固定することにより、上記保護枠4の底壁部4aに対して取り付けられるようになっている。
【0073】
また、上記第1のリッツ線巻成部41から第2のリッツ線巻成部42側に斜め接線方向に渡るリッツ線Lの移送部分に対応した第2のリールプレート32のプレート部分(リブ37の切欠部37a間部分)には、同リッツ線L移送部分の状態を外部から容易に確認するためのスリット形状の覗き穴39が設けられている。
【0074】
また上記第1のリールプレート31の大径のメインプレート部には、上記第2のハブ31d部分から半径方向外周端付近まで延びたスリット形状の覗き穴40が設けられており、やはり上記第1,第2のワークコイル部C,C全体の巻成状態を外部から容易に確認することができるようになっている。
【0075】
さらに、上記第2のリールプレート32の最外周端には、例えば軸方向上方に所定幅筒状に延び、その上下両端側に若干の水平方向のリブ43a,43bを設けた断面コ字状の第3のリッツ線巻成部43が設けられている。そして、該第3のリッツ線巻成部43の下端側リブ43bの周方向の所定位置には、上記第2のリッツ線巻成部42からのリッツ線Lを周方向に位置ズレを生じさせることなく位置決めして引き出すための所定の幅の切欠部45が設けられており、上記第2のリッツ線巻成部42から引き出されたリッツ線Lが同第3のリッツ線巻成部43に所定ターン数N回巻成されて第3のワークコイル部Cが形成される。一方、同第3のリッツ線巻成部43の上記上端側リブ43aには、さらに第3のリッツ線巻成部43から引き出されたリッツ線Lの巻成終端部Lbを係止するための半径方向外方にT字形に突出した係止部46が各々設けられており、同第3のリッツ線巻成部43からのリッツ線Lの巻成終端部Lbが、同T字形の係止部43aの内側係合溝部分に挟み込んで、また必要に応じ巻き付けて各々係止されることにより、上記第1〜第3の各ワークコイルC〜Cの巻成作業を終了し、上記リッツ線Lの巻成始端部La側および巻成終端部Lb側の各々に、所定の長さの絶縁チューブ48a,48bを被せ、かつ各々の先端側に接続用の金属端子49a,49bを半田付けして、最終的に図3および図4のようなリール構造のワークコイルユニット30が完成される。
【0076】
そして、このワークコイルユニット30が、前述のようにして図1および図2に示すような状態で、上記炊飯器本体側保護枠4の底壁部4aに取り付けられる。
【0077】
(ワークコイルユニット製造装置の構成)
次に図16〜図24は、本願発明のワークコイルユニットの製造方法を実施するワークコイルユニット製造装置の全体および要部の構成を示している。
【0078】
すなわち、該ワークコイルユニット製造装置は、先ず大きく分けて、駆動側回転ディスクである下方側ターンテーブル61aと従動側回転ディスクであるプレート押え61bよりなり、例えばサーボモータ59により水平な状態で回転駆動されるワークコイルユニット・クランパ(ワークである第1,第2のリールプレートをそれら相互の間に適正なリッツ線巻成間隔を保った状態にクランプするワーククランパ)61を備え、該ワークコイルユニット・クランパ61の上記ターンテーブル61a上に固定されて、また同ターンテーブル61aとプレート押え61bの両方により上下両方向からクランプされて、それぞれ水平に保持された上記第1のリールプレート31および第1,第2のリールプレート31,32間の第1,第2,第3の各リッツ線巻成部41,42,43に対して順次中央部側から外周側にかけてリッツ線Lを巻いて行くことによって、最終的に前述のような第1,第2,第3のワークコイル部C,C,Cを有するワークコイルユニット30を形成するワークコイル巻成機本体60と、所定の量のリッツ線Lを巻成保持し、上記ワークコイル巻成機本体60上の第1,第2のリールプレート31,32よりなるコイル巻成用リールに対して必要な量のリッツ線Lを供給するリッツ線供給装置64と、上記コイル巻成用リールに巻かれるリッツ線Lを供給方向下流側である上記ワークコイル巻成機本体60側でガイドする第1のリッツ線ガイド62と、同じくコイル巻成用リールに巻かれるリッツ線Lを供給方向上流側である上記リッツ線供給装置64側でガイドする第2のリッツ線ガイド63とから構成されている。
【0079】
上記ワークコイルユニット・クランパ61は、先ず下部側にあって上述したワークコイルユニット30の上述した第1のリールプレート31部分を例えば図28に示すように上部に固定セットして適切な回転速度で適切な時間内水平方向に回転駆動し、同第1のリールプレート31の中央部側第1のリッツ線巻成部41部分にリッツ線Lを巻成して上述した第1のワークコイル部Cを形成するとともに、さらに該第1のワークコイル部Cが形成された当該第1のリールプレート31に対して例えば図32に示すように上述した第2のリールプレート32をヘリコイド係合して相互に一体化し、該相互に一体化された第1,第2のリールプレート31,32を適切な回転速度、適切なタイミングで、適切な時間内回転駆動し、当該第1,第2のリールプレート31,32間の第2のリッツ線巻成部42にリッツ線Lを巻成することによって上述した第2のワークコイル部Cを形成し、さらに同様にして当該第1,第2のリールプレート31,32を回転駆動し、その内の第2のリールプレート32外周の第3のリッツ線巻成部43にリッツ線Lを巻成することによって上述した第3のワークコイル部Cを形成する、例えば図19および図20に示すような構造のターンテーブル61aと、上記第1のワークコイル部Cが形成された第1のリールプレート31に対して例えば図32に示すように第2のリールプレート32をヘリコイド係合して相互に一体化した段階において、当該相互に一体化された第1,第2のリールプレート31,32を、例えば図33に示すように、それらの各プレート部間に設定寸法値通りの適正なリッツ線巻成間隔が保たれるように特に上方側第2のリールプレート32部分を上方側から適切にクランプ保持して(第2のリールプレート32のプレート部が上方側に広がらないように受け止めて)、適切な回転速度、適切なタイミングで、適切な時間内安定して回転駆動できるようにし、前述の如く当該第1,第2のリールプレート31,32間に形成された第2のリッツ線巻成部42にリッツ線Lを巻成することによって第2のワークコイル部Cを形成し、さらに若干上方にリッツ線Lの巻成位置を変えて上方側第2のリールプレート32外周の第3のリッツ線巻成部43にリッツ線Lを巻成することによって第3のワークコイル部Cを巻成するプレート押え61bとの2つのクランプ部材から構成されている。
【0080】
先ず上記ターンテーブル61aは、第1のリールプレート31の外径よりも若干小さい直径の金属製の所定の厚さの円形プレートよりなり、例えば図16および図17に詳細に示されるように、上記ワークコイル巻成機本体60の机台構造の作業テーブル60a上部のテーブル面60b上の手前側中央位置にあって、同テーブル面60bの下方側に回転駆動手段としてのサーボモータ59を、また同テーブル面60bの上部に回転軸受59aをそれぞれ備え、該回転軸受59aを介して上記下方側サーボモータ59の下方から上方に延びる回転駆動軸59bが水平方向に回転自由に支持され、同回転駆動軸59bの先端部上に一体に固定されて水平回転可能に支持されている。
【0081】
このターンテーブル61aの上面部には、例えば図19および図20に示すように、中央部に上下方向に延びる円柱体状の凸部82が設けられ、その上端には、さらに所定寸法上方に突出する直径方向に所定幅の係合キー82aが形成されている一方、同凸部82の外周には所定の幅の円形のハブ係合溝83aと該円形のハブ係合溝83aを介してクロス方向に延びる所定の幅の突条壁係合溝83b,83b・・が各々形成されている。また何れか1ケ所の上記突条壁係合溝83b,83b間には、上記第1のリールプレート31の切欠穴33に挿通したリッツ線Lの巻成始端部La先端を下方に引き出して、その下部の所定の巻き付け部に巻き付けるための半径方向に長い作業穴Cが設けられている。
【0082】
そして、例えば図28のように、該ターンテーブル61aに対して、上記ワークコイルユニット30の上記第1のリールプレート31をセットするに際しては、先ず上記円柱体状の凸部82に上記第1のリールプレート31の円形の開口部31bが、また上記円形のハブ係合溝83aに上記第1のリールプレート31の第2のハブ31dの裏面側凸部31fが、さらに上記突条壁係合溝83b,83b・・に上記第1のリールプレート31のフェライトコア嵌合溝53,53・・両側の梯子形状の突条壁53a,53a・・・が、それぞれ適切に係合されて上記第1のリールプレート31の全体が例えば図28のようにリッツ線Lの巻成始端部La側を係止した状態で位置決め固定される。そして、この時、上記の如く第1のリールプレート31の切欠穴33から下方に所定長さ突出したリッツ線Lの巻成始端部Laの先端は、例えば上記作業穴83Cを介して当該ターンテーブル61a下部の所定の巻き付け部に巻き付けて係止される。
【0083】
一方、上記プレート押え61bは、例えば図21および図22に示されるように、上記ターンテーブル61aに対応した直径の所定の厚さの金属製の円形プレートよりなり、そのプレート本体91の下面側中央部には、上記ターンテーブル61a側の凸部82が嵌合する凹部92が設けられ、該凹部92内には同凸部82上端の上記係合キー82aに対応して相互にスプライン嵌合するキー溝92aが設けられている。
【0084】
該プレート押え61bは、その本体91部上端91aを回転軸67cの下部に連結して固定され、回転軸67c部分を軸受部材67fを介して昇降プレート67aに取り付けて支持されている。そして、同昇降プレート67aとともに上方から下方に下降して、例えば図33のように上記ターンテーブル61aに係合した状態では、上記スプライン嵌合により当該ターンテーブル61aの回転に従動して一体に同期回転するようになっている。
【0085】
すなわち、同プレート押え61bを軸受部材67fを介して上述のように従動回転可能に支持する上記昇降プレート67aは、例えば図16および図18に示されるように、上記ワークコイル巻成機本体60の前後方向に長く形成され、その前端側に軸受部材67fを介して同プレート押え61bを水平回転自在に支持している一方、その後部側を昇降作動手段としてのシリンダロッド70a(シリンダ部70)およびダンパ機能付きの昇降ガイド60c,60c・・(ダンパー部60e,60e・・)を介して昇降自在に構成されている方形の昇降プレート支持部材60dによって、上下方向に昇降可能に支持されている。
【0086】
また、上記昇降プレート支持部材60dの下方部には、複数本のストッパロッド71,71が設けられており、昇降プレート67aおよび昇降プレート支持部材60dの下降位置が規制されるようになっている。そして、それによって上記プレート押え61bが、上記ターンテーブル61aに適切な位置に対応するようになっている。
【0087】
さらに、上記プレート押え61bの上記回転軸67cの上端側は、上記昇降プレート67aの上面側部分において、半月形状の位置決めカム67bが同軸に固定して設けられており、該位置決めカム67bに対して、同位置決めカム67bの扁平面と対応して同位置決めカム67bの回転を常に所定の軸回転角位置で停止させて、同停止位置で上記プレート押え61bの回転停止位置、すなわちキー溝92aの回転角位置を常にターンテーブル61aの係合キーに対応した所定の位置にセットするプランジャロッド67aが設けられている。このプランジャロッド67aは、例えば図16中の前後方向にスライド作動して、上述の作用を果たす。
【0088】
(第1のリッツ線ガイドの構成)
先ず第1のリッツ線ガイド62は、例えば図23および図24に詳細に示されるように、上記ワークコイルユニット30に供給されるリッツ線Lに所望の巻き取りテンションを与える巻取テンション付与機構62Aと上記ワークコイルユニット30の第1〜第3の各リッツ線巻成部41〜43へのリッツ線供給位置(直径方向および上下方向の最終繰り出し位置)を相手側巻成部位置に合わせて追従調節するリッツ線供給位置可変調節機構62Bとから構成されている。
【0089】
先ず巻取テンション付与機構62Aは、所定の幅の前後一対の支持壁62a,62a間の左右方向に所定の間隔を保って2本のスライドレール62b,62bを平行に架橋し、同スライドレール62b,62bに対して、その両端間に所定のスライドスペースを保ってスライド自在に各々スライダー62d,62dを遊嵌設置し、その上に供給方向上流側から下流側にかけて水平軸ローラ62h、それぞれ前後一対のローラを組み合わせてなる第1,第2,第3の各垂直軸ローラ62j,62j、62l,62l、62n,62n等を各々設けて構成されている。
【0090】
スライダー62d,62dは、上記のようにスライドレール62b,62bの両端間に所定のスライドスペースを保ってスライド自在に遊嵌して支持されており、同スライドスペースを利用して上記ターンテーブル61a上にセットされた上記ワークコイルユニット30の各リッツ線巻成部41,42,43の前後直径方向の位置および巻き幅の変化に対応して自由にスライドし(追従し)、常時一定の方向から安定かつスムーズにリッツ線Lを供給するようになっており、その上部のローラ支持テーブル62d部分には、上記のようにリッツ線供給装置64側から上記ワークコイル巻成機本体60側にかけて、水平軸ローラ62h、前後一対の第1の垂直軸ローラ62j,62j、同じく前後一対の第2の垂直軸ローラ62l,62l、同じく前後一対の第3の垂直軸ローラ62n,62nが順々に設置されている。上記水平軸ローラ62hは、上記支持テーブル62dの一端(図示右端)から上記リッツ線供給装置64側に所定寸法突出して設けられた支持プレート62e,62e上に前後方向に所定の間隔を保って立設された前後一対の支持壁62f,62f間の前後方向に架橋状態で設けられた回転支軸62gによって回転可能に支持されている。そして、その前後方向所定幅のローラ部62iの上部面側にリッツ線Lを通して供給方向にガイドするようになっている。
【0091】
また前後一対の第1の垂直軸ローラ62j,62jは、上記水平軸ローラ62hのローラ部62i間の中間にあって、それぞれ相互に対向接触して回転するローラ面には各々断面V字形のリッツ線ガイド溝62k,62kを有し、垂直軸62r,62rにより上記ローラ支持テーブル62dの上部に位置して水平回転自在に支持されている。そして、その相互のローラ面上の上記リッツ線ガイド溝62k,62k間にリッツ線Lを挟み込んだ状態でガイド供給するようになっている。
【0092】
また前後一対の第2の垂直軸ローラ62l,62lも、同じように、それぞれそのローラ面に断面V字形のリッツ線ガイド溝62l,62lを有し、上記ローラ支持テーブル62dの上部に位置して垂直軸62r,62rにより水平回転自在に支持されている。そして、その相互のローラ面上のリッツ線ガイド溝62m,62m間にリッツ線Lを挟み込んでガイド供給するが、該第2の垂直軸ローラ62l,62lは、そのローラ支持テーブル62d上の設置位置が、上記第1の垂直軸62j,62jおよび次に述べる第3の垂直軸ローラ62n,62nとは前後方向に所定距離(例えばローラの半径分)ズレており、そのズレ量に応じて図示のように、リッツ線Lの途中を一方側ローラに半周分程度掛け回すようにすることによってワークコイルユニット30側の回転速度および回転トルクとの関係で引張方向に所定の制動力を実現し、それにより必要なテンションを付与した状態で供給するようになっている。この結果、巻成される各ワークコイルC,C,C部分に適度な巻き圧が実現される。
【0093】
また、前後一対の第3の垂直軸ローラ62n,62nも、上記第1,第2の垂直軸ローラ62j,62j、62l,62lと同様にそれぞれそのローラ面に断面V字形のリッツ線ガイド溝62p,62pを有し、上記ローラ支持テーブル62dの上部に位置して垂直軸62r,62rにより水平回転自在に支持されている。そして、その相互のローラ面上のリッツ線ガイド溝62p,62p間にリッツ線Lを挟み込んだ状態で上記ワークコイル巻成機本体60側に供給するようになっている。この第3の垂直軸ローラ62n,62nは、上記第1の垂直軸62j,62jと同じ前後方向の位置に設置されている。
【0094】
一方、このような巻取テンション付与機構62Aを備えた第1のリッツ線ガイド62の他端側には、上記ワークコイル巻成機本体60上の上記ワークコイルユニット30に臨んで、当該第1のリッツ線ガイド62を介して供給されるリッツ線Lの上記ワークコイルユニット30の第1,第2,第3の各リッツ線巻成部41,42,43位置への前後および上下両方向の最終的なリッツ線供給位置(繰り出し位置)の調整を行うリッツ線供給位置調節機構62Bが設けられている。このリッツ線供給位置調節機構62Bは、上記スライダー62c,62c上のローラ支持テーブル62dの他端部後端側から上記ワークコイルユニット30方向に第1,第2,第3の各アーム部材62s,62t,62uを全体として上下クランク形状に連結して形成したアーム部材を延設し、その先端側(第3のアーム部材62uの先端側)に、先ず上下方向に延びる所定の長さの棒状の支持プレート62vを設ける。そして、その下部側一側に、上下両端が扁平で同上下方向の半径が小さく、他方、左右両端側が丸くて半径が大きい略楕円形状の昇降作動用カム(以下、単に昇降カムという)66aと、該昇降カム66aを図24に示すように回転作動させる回動操作レバー68aと、該回動操作レバー68aの取付ハブ68と、これら昇降カム66a、回動操作レバー取付ハブ68、回動操作レバー68aの各々を回動可能に軸支する回動軸66bをそれぞれ設けているとともに、その上部側一側に幅の広い側壁プレート66lを上記支持プレート62vに対して昇降可能に嵌合して設け、該側壁プレート66lの一側に水平方向手前に回転支軸66fを介して所定のローラ幅の水平軸ローラ66gを、また同側壁プレート66lの下端側に水平方向手前に延びる垂直軸ローラ設置テーブル66eを、それぞれ一体に設けている。そして、同垂直軸ローラ設置テーブル66eを上記昇降カム66a上に昇降可能に載置した状態で支持させるとともに、同垂直軸ローラ設置テーブル66eの上には、上記水平軸ローラ66gよりもワークコイルユニット30側に位置して上下方向に立設された垂直支軸66k,66kを介して相互に対向接触して回転する前後一対の垂直軸ローラ66i,66iが設けられている。同前後一対の垂直軸ローラ66i,66iのローラ面上には、上述の各垂直軸ローラ62j,62j、62l,62l、62n,62n等と同様の断面V字形のリッツ線ガイド溝66j,66jが設けられている。
【0095】
したがって、該第1のリッツ線ガイド62によると、図示のように、上記巻取テンション付与機構62A側第3の垂直軸ローラ62n,,62nからのリッツ線Lは、先ず同リッツ線供給位置調節機構62Bの水平軸ローラ66gのローラ面上方側を経て前後一対の垂直軸ローラ66i,66iのガイド溝66j,66j間から、上記ターンテーブル61a上の上記ワークコイルユニット30に供給される。
【0096】
この時、該垂直軸ローラ66i,66iおよび水平軸ローラ66g部分は、上記巻取テンション付与機構62A側スライドレール62b,62b部分の自由なスライド作用によって、ワークコイルユニット30の前後直径方向に任意に移動することができるとともに、上記回動操作レバー68aを、例えば図24の仮想線矢印のように、下方に例えば90°程度回動操作することにより、それと同軸上に設けられている上述の楕円形状の昇降カム66aが仮想線矢印のように短軸側の安定した扁平面から長軸側の円弧面方向に回動し、その上部の水平プレート66e全体を上方に持ち上げる。その結果、前後一対の垂直軸ローラ66i,66i等も一緒に上昇する。
【0097】
したがって、それによって、上記垂直軸ローラ66i,66i部分の高さ、すなわちリッツ線Lのワークコイルユニット30部分への最終的な供給位置(繰り出し位置)を所望の高さに調節操作することができるようになる。
【0098】
これらの構成により、後述するワークコイルユニットの製造に際し、直径方向に巻き幅および巻成位置を異にする第1,第2のワークコイル部C,C、さらに高さ位置をも異にする第3のワークコイル部C各々の連続した効率の良い巻成作業が可能となる。
【0099】
(第2のリッツ線ガイドの構成)
次に第2のリッツ線ガイド63は、次に述べるリッツ線供給装置64の基台64aの一端部上に、先ず所定の長さの脚部材63a,63a・・を介して所定の高さの方形の設置テーブル63bを設け、該方形の設置テーブル63b上に、さらに上記第1のリッツ線ガイド62のものと同様の第1の水平軸ローラ63e、前後一対の第1の垂直軸ローラ63g,63g、前後一対の第2の垂直軸ローラ63h,63h、第2の水平軸ローラ63f,63fを、各々軸外周回り方向に回転可能に設置して構成されている。
【0100】
上記第1の水平軸ローラ63eは、上記方形のローラ設置テーブル63b上の後述するリッツ線保持ドラム64d側にあって、前後一対の支持壁63c,63c間に支持された回転軸によって回転自在に支持されている。
【0101】
また、上記第2の水平軸ローラ63fは、上記ローラ設置テーブル63b上の前述のワークコイル巻成機本体60側にあって、前後一対の支持壁63d,63d間に支持された回転軸によって回転自在に支持されている。
【0102】
また、上記前後一対の第1,第2の垂直軸ローラ63g,63g、63h,63hは、それぞれ上記ローラ設置テーブル63b上の上記第1,第2の水平軸ローラ63e,63f間にあって相互に対向して接触回転し得るように各々垂直な支持軸63i,63i、63i,63iを介して回転可能に支持されて前後に並設されている。
【0103】
そして、該第2のリッツ線ガイド63は、後述するリッツ線供給装置64のリッツ線保持ドラム64dのドラム面上から供給されるリッツ線Lを、先ず上記第1の水平軸ローラ63eのローラ面上部から、第1,第2の各垂直軸ローラ63g,63g、63h,63h間を通して上記第2の水平軸ローラ63fのローラ面下部を経て、上述の第1のリッツ線ガイド62部分にスムーズに供給するようになっている。
【0104】
(リッツ線供給装置の構成)
一方、リッツ線供給装置64は、例えば図16および図17に示すように、上記第2のリッツ線ガイド63を共通に設置するようにした基台64a上の反対端上に位置して前後両方向に所定の間隔を保って立設された一対の支持板64b,64bの上端間にドラム回転軸64cを設け、該ドラム回転軸64cに所定の直径のリッツ線保持ドラムと側板を備えたリッツ線保持ドラム64dが固定されて、両端部で回転可能に軸支されている。該リッツ線保持ドラム64dの大径の側板部分と上記支持板64b,64bとの間には所定の間隔が空けられていて、その間のドラム回転軸64c部分には、回転方向に所望の大きさの制動力を作用させる重垂65a付きのベルト部材65が吊り掛けられている。
【0105】
したがって、該構成のリッツ線供給装置64では、上記リッツ線保持ドラム64d上に巻成保持されているリッツ線Lは、上記ワークコイル巻成機本体60側のワークコイルユニット30の回転により生じる引張力に応じて、上記ベルト部材65の制動力に抗しながら、たるみなく第2,第1のリッツ線ガイド63,62を介して、スムーズにワークコイルユニット30に供給されてゆくようになる。
【0106】
(ワークコイルユニットの製造方法)
次に、上記ワークコイルユニットの製造装置を使用してなされる本願発明の実施の形態に係るワークコイルユニットの製造方法について説明する。
【0107】
以上のように、本願発明の実施の形態におけるワークコイルユニット30は、第1,第2のリールプレート31,32を段階的に組み合わせて構成されるようになっている。
【0108】
したがって、以下に述べるように、その特徴を活用して、上述の製造装置により比較的簡単に製造することができる。
【0109】
すなわち、先ず第1のリールプレート31は、前述の図5〜図9に示すように、全体として所定板厚の円形のプレートよりなり、その中央部(中心軸部)側2重壁筒状の第1のハブ31aの半径方向内方部分には、上述のように、炊飯器本体側のセンターセンサー12のホルダー部12aを嵌装し得るに十分な円形の開口部31bが形成されているが、この開口部31bは、また上記製造装置のターンテーブル61aの円柱体状の凸部82に嵌合するための嵌合口となるようになっている。また、同第1のハブ31aの半径方向外周には、上記保護枠底壁部4a中央に設けられた筒状壁51部分の嵌合用スリット51a内に嵌合される薄肉筒状の嵌合用リブ52および同リブ52を有する所定幅の溝31cを介して1重壁筒状の第2のハブ31dの上端側外周には、上記第1のリールプレート31全体の外径の1/2程度の外径の円形の補助プレート31eが上記第1のリールプレート31の本体側大径のメインプレート部と平行に所定の間隔を保って設けられている。
【0110】
そして、それによって当該第1のリールプレート31の半径方向中央部側に、上記第2のハブ31dの筒状部外周面を巻成ドラム面とし、その両側を上記第1のリールプレート31のメインプレート部と上記補助プレート31eのプレート部とにより囲まれた小径リール構造の半径方向中央部側第1のリッツ線巻成部41が形成され、該第1のリッツ線巻成部41に対して、上記所定の巻き幅Aとなるように所定のターン数N回所定の直径φのリッツ線Lが巻成されて、上記半径方向中央部側第1のワークコイルCが形成されるようになっている。
【0111】
(1) 巻成開始工程
したがって、第1工程としての該第1のリッツ線巻成部41へのリッツ線Lの巻成開始に際しては、先ず、予じめ上述したリッツ線供給装置64側から、第2のリッツ線ガイド63、第1のリッツ線ガイド62を介して、例えば図17に示すように、ワークコイル巻成機本体60のターンテーブル61a付近にリッツ線Lの始端部La側を繰り込み、アプローチさせて置く。
【0112】
そして、その後、当該巻成側始端部Laに必要に応じてリッツ線保護のための保護チューブTをかぶせ、その上で、次のようにして上記第1のリールプレート31の中央部側第2のハブ31d部分に仮係止する。
【0113】
すなわち、上記第1のリールプレート31には、前述のように、上記第2のハブ31dの上記第1のリールプレート31側周方向適所に同第1のリッツ線巻成部41内から外部に貫通して切欠穴33が形成されている。そこで、該切欠穴33に対して、例えば図25〜図27に示すように上記保護チューブTをかぶせたリッツ線Lの巻成側始端部Laを所定長さ挿通し、その外方側部分を折り曲げることによって軽く係止する。そして、その後、同リッツ線Lの巻成側始端部Laを係止した第1のリールプレート31を、例えば図28に示すように、上述した図16〜図18のワークコイル巻成機本体60のターンテーブル61a上に回転駆動可能にセットする。そして、同セット後に、当該ターンテーブル61aの作業穴83cを介してリッツ線Lの巻成側始端部Laを所定の長さ下方に引き出し、該下方に引き出されたリッツ線Lの巻成側始端部La先端をターンテーブル61a下部の巻き付け部に巻き付ける。
【0114】
(2) 第1のワークコイルの巻成工程
そして、次に第2工程として同ターンテーブル61aを回転駆動し、当該第1のリールプレート31を上記必要なターン数Nに応じた所定回数Nだけ回転させることによって上述した第1のリッツ線巻成部41にリッツ線Lを巻成する。
【0115】
この結果、例えば図29〜図31に示すように、同第1のリッツ線巻成部41に第1のワークコイルCが形成される。この第1のワークコイルCの巻成時、当該第1のリールプレート31のプレート部裏面側には、上述したフェライトコア8,8・・設置用の左右に突条壁53a,53aを有して半径方向に延びるフェライトコア嵌合溝53,53・・が、周方向に90°間隔でクロス方向に設けられており、同フェライトコア嵌合溝53,53・・の左右の突条壁53a,53a・・を利用して、当該ターンテーブル61a上の十字状の突条壁係合溝83b,83b・・に確実に位置決め係合されて回転可能に支持されている。
【0116】
(3) 第2のリールプレート係合工程
一方、前述のように、上記第1のリールプレート31の補助プレート31eの外周側縁部には、その周方向の複数箇所(4個所)に所定の間隔(90°間隔)で、後述する第2のリールプレート32の内側開口部32aを形成している内周側縁部の円弧状の複数のヘリコイド係合用凹部35a,35a・・の深さと幅に対応した複数のヘリコイド係合片34,34・・が設けられており、第3工程として、同ヘリコイド係合片34,34・・を利用して、ドーナツ形状の第2のリールプレート32が、着脱可能にヘリコイド係合される。
【0117】
すなわち、上記第1のリールプレート31にヘリコイド係合される第2のリールプレート32は、その外径は上記第1のリールプレート31と略等しく、全体として所定板厚のドーナツ形状をした円形プレートよりなり、その中央部(中心軸部)側には、上記第1のリールプレート31側の上記補助プレート31eを嵌合するに適した内径の円形の開口部32aが形成されており、該開口部32aの内周縁には、上述した第1のリールプレート31側補助プレート31e外周のヘリコイド係合片34,34・・を、先ず最初に少なくとも板厚分の寸法だけ軸方向に遊嵌させるヘリコイド係合用凹部35a,35a・・と、該ヘリコイド係合用凹部35a,35a・・間にあって、少なくとも板厚分下方に偏位して設けられ、上記ヘリコイド係合片34,34・・が同ヘリコイド係合用凹部35a,35a・・に上記のように遊嵌された位置から当該第2のリールプレート32を左側に所定角(40°)回転させることによって上記第1のリールプレート31のヘリコイド係合片34,34・・の下方側に重合され、当該第2のリールプレート32自体を軸方向に外れないようにガタツキなく係合する所定幅の円弧状のヘリコイド係合用係合片35b,35b・・とを備えて構成されている。該ヘリコイド係合用係合片35b,35b・・の上記回転方向後端には、上記第1のリールプレート31のヘリコイド係合片34,34・・の端部に係合してストッパ機能を果たす係止部35c,35c・・が設けられている。
【0118】
したがって、該第2のリールプレート32は、上記内側開口部32aのヘリコイド係合用凹部35a,35a・・を上記第1のリールプレート31側補助プレート31eのヘリコイド係合片34,34・・に合わせて軸方向に略板厚寸法分だけ遊嵌し、その後、同第2のリールプレート32を、例えば作業者が手で左方向に所定角(例えば40°)回転させると、例えば図32に示されるように、板厚分下方側に位置して隣合うヘリコイド係合用係合片35b,35b・・が、同ヘリコイド係合片34,34・・の下方側(軸方向内側)に重合されるとともにストッパ部35c,35c・・により回転方向に係止されて、第1,第2のリールプレート31,32が相互に一体化される。そして、それによって、さらに上記ターンテーブル61aの回転駆動により、第1のリールプレート31と一体に第2のリールプレート32も回転されるようになる。
【0119】
そして、上記第2のリールプレート32のプレート部裏面側には、上記ヘリコイド係合用係合片35b,35b・・よりも所定寸法半径方向外側に位置して、少なくとも上記リッツ線Lの直径φ分だけ第1のリールプレート31のプレート面側に突出して周方向にリング状に延びるリブ37が設けられている。
【0120】
したがって、同リブ37によって上記第1のリールプレート31のメインプレート部との間に同リブ37の外周面をドラム面とし、その両側を当該第1,第2のリールプレート31,32のプレート部で囲まれた大径リール構造の第2のリッツ線巻成部42が形成されている。
【0121】
なお、すでに述べたように、上記リブ37は、例えば周方向の1個所が所定幅切り欠かれてC字形状となっている。したがって、上記第1のワークコイルC部分の巻成が終了した段階で、同切り欠き部37aを利用して、上記第1のリッツ線巻成部41側からのリッツ線Lcは、当該第2のリッツ線巻成部42側に斜め接線方向に引き出されて移送される(図35のリッツ線Lc部分を参照)。
【0122】
すなわち、上述のようにして第1のリッツ線巻成部41に巻成されて上記第1のワークコイルCを形成しているリッツ線Lの供給端側は、上記リブ機能を兼ねたヘリコイド係合用係合片35b,35b・・の間から、斜め接線方向に当該リブ37の切り欠き部37a部分を通して当該リブ37上に引き出される。
【0123】
(4) 第2のリールプレートのクランプ工程
上記のように、第1のリールプレート31に係合一体化された第2のリールプレート32は、第1のリールプレート31に確実にヘリコイド係合されているとは言っても、同係合部は中央部側であり、第1のリールプレート31のメインプレートとの間で第2のリッツ線巻成部42を形成している外周部側は何らの係合機能を持たない。
【0124】
したがって、もしも同第2のリールプレート32のプレート部が、図32の状態で上方側に反り上がったり、ゆがんだりすると、上記第2のリッツ線巻成部42の隙間寸法が広がり、巻成されるリッツ線Lが外れて中央部側にダブったり、場合によっては上記リブ37と第1のリールプレート31側メインプレート部との間に隙間が出来て、適正に第2のワークコイルCを巻成できないと言った事情も生じる。
【0125】
そこで、同図32の状態に続いて、第4工程として、上記ワークコイル巻成機本体60のワーククランパ61を構成しているプレート押え61bを上方側から下方に下降させて、例えば図33に示すように第2のリールプレート32の全体を上方側から受け止めるようにクランプする。
【0126】
これにより、上記第2のリッツ線巻成部42の上下隙間間隔がリッツ線Lの直径に対応した適正な寸法に保たれる。
【0127】
(5) 第2のワークコイルの巻成工程
次に、第5工程として、上記のように第2のリールプレート32をクランプした状態で、上記ターンテーブル61aを回転駆動することにより、上記第2のリールプレート32を上記下部側第1のリールプレート31とともに上記第2のワークコイルCの所定の巻き幅Cに対応したターン数Nだけ右方向に回転させてコイル状に巻成する。そして、これによって、同第2のリッツ線巻成部42に例えば図34および図35に示されるように、上述した巻き幅Cの第2のワークコイルCが形成される。
【0128】
なお、前述したように、上記第1のリッツ線巻成部41から第2のリッツ線巻成部42側に斜め接線方向に渡るリッツ線Lの移送部分Lcに対応した第2のリールプレート32のプレート部分(リブ37の切欠部37a間部分)には、上記リッツ線L移送部分Lcの状態を外部から容易に確認するためのスリット形状の覗き穴39が設けられている。
【0129】
したがって、作業者は、この第2のワークコイルCの巻成に際して、その適正な移送状況を、当該巻成作業開始時に確認チェックした上で作業を行うことができる。
【0130】
また上記第1のリールプレート31の大径のメインプレート部には、上記第2のハブ31d部分から半径方向外周端付近まで延びたスリット形状の覗き穴40が設けられており、やはり上記第2のワークコイルCの巻成状態を外部から容易に確認チェックすることができる。
【0131】
(6) 第3のリッツ線巻成部へのリッツ線の移送工程
次に、上記第2のリールプレート32の最外周端には、例えば軸方向上方に所定幅筒状に延び、その上下両端側に若干の水平方向のリブ43a,43bを設けた断面コ字状の第3のリッツ線巻成部43が設けられている。そして、該第3のリッツ線巻成部43の下端側リブ43bの周方向の所定位置には、上記第2のリッツ線巻成部42からのリッツ線Lを周方向に位置ズレを生じさせることなく位置決めして引き出すための所定の幅の切欠部45が設けられており、上記第2のリッツ線巻成部42から終端のリッツ線Ld部分が、上記第1のリッツ線ガイド62の供給位置可変調節機構62Bの図24の仮想線に示すような回動操作レバー68aの回動操作と、それに対応した昇降カム66aのリッツ線繰り出し位置アップ動作とにより、例えば図36のように所定の高さだけ上方にアップさせられて、上記第3のリッツ線巻成部43部分に移送され、その後、所定ターン数N回巻成される。そして、これによって、例えば図37のように、第3のワークコイルCが形成される。
【0132】
(7) リッツ線巻成終端部の係止工程
一方、同第3のリッツ線巻成部43の上記上端側リブ43aには、さらに第3のリッツ線巻成部43から引き出されたリッツ線Lの巻成終端部Lbを係止するための半径方向外方にT字形に突出した係止部46が各々設けられており、同第3のリッツ線巻成部43からのリッツ線Lの巻成終端部Lbが、同T字形の係止部46の内側係合溝46a部分に挟み込んで、また必要に応じ巻き付けて各々係止されることにより、上記第1〜第3の各ワークコイルC〜Cの巻成作業を終了する。
【0133】
そして、その際、上記リッツ線Lの巻成始端部La側および巻成終端部Lb側の各々に、例えば先の図3および図4に示すように所定の長さの絶縁チューブ48a,48bを被せ、かつ各々の先端側に接続用の金属端子49a,49bを半田付けして、同最終的に図3および図4に示されるようなリール構造のワークコイルユニット30が完成される。
【0134】
以上のように、この発明のワークコイルユニットの製造方法は、半径方向中心部側に第1のリッツ線巻成部を有する第1のリールプレートと、該第1のリールプレートに係合一体化され、同第1のリールプレートとの間で半径方向外周部側に第2のリッツ線巻成部を形成する第2のリールプレートとからなり、それら第1,第2のリールプレートを係合一体化した状態で、そのまま電磁調理器のワークコイル設置部に取り付けられるリール構造のワークコイルユニット(ワークコイル巻成保持部材)を使用し、先ず上記第1のリールプレートの上記第1のリッツ線巻成部に対してリッツ線を巻成することにより第1のワークコイル部を形成した後、同第1のリールプレートに対して上記第2のリールプレートを係合一体化することによって上記第1のリールプレートと当該第2のリールプレートとの間に上記第2のリッツ線巻成部を形成し、その後、該第2のリッツ線巻成部に対してリッツ線を巻成することにより第2のワークコイル部を形成するようになっている。
【0135】
このようなワークコイルユニットの製造方法では、相互に係合される第1,第2のリールプレートよりなるワークコイル巻成保持部材そのものに、半径方向中心部側第1のリッツ線巻成部と半径方向外周部側第2のリッツ線巻成部が、順次その係合状態を利用して設けられて行くようになっており、それら第1,第2のリッツ線巻成部を利用して順次第1,第2のワークコイル部が上記第1,第2のリールプレートと一体に形成されて行くようになっているために、従来のようなワークコイル巻成用の金型や、スペーサ部材、リッツ線への通電発熱手段、リッツ線表面への結合用ニス等特殊な樹脂の塗布等が不要になる。
【0136】
その結果、設備、加工、材料各々のコストが共に低下する。
【0137】
また、上記第1,第2のリッツ線巻成部は、確実に係合一体化された上記第1,第2のリールプレートよりなるワークコイル巻成保持部材に一体的に形成され、それらの各々にリッツ線が一体に巻成されて上記第1,第2のワークコイル部が形成されるので、形成された第1,第2のワークコイル形状は極めて安定かつ固定されたものとなり(高保形力)、運搬時や取付け時にも型崩れを生じる心配がなくなり、取扱性に優れたものとなる。
【0138】
また、保護枠等への取付けは、ワークコイル部そのものを問題とすることなく、リール構造のワークコイルユニット自体を保護枠等に取付ければ足りるから、取付け作業も極めて容易になり、取付け状態も安定したものとなる。
【0139】
さらに、同リール構造のワークコイルユニットは、上述のように、第1のリッツ線巻成部を有して第1のワークコイル部を形成する第1のリールプレートと該第1のリールプレートとの間で第2のリッツ線巻成部を有して第2のワークコイル部を形成する第2のリールプレートとの2枚のリールプレートから構成されるようになっていて、上記リッツ線の巻成工程に対応して、当該第1のリールプレートに第2のリールプレートを係合させるのみの簡単な作業で、それらが一体化され、さらに、それに続いて第2のワークコイル部が形成されたワークコイルユニットが形成されるようになっている。
【0140】
したがって、このようなワークコイルユニットの製造方法では、例えば第1のリールプレートを支持固定するターンテーブル、第2のリールプレートを押圧支持する昇降可能なクランパー部材としてのプレート押え、リッツ線を供給するリッツ線供給ドラム等を有し、先ず上記第1のリールプレートを上記ターンテーブル上に支持固定して所定回数回転させ、同第1のリールプレートの第1のリッツ線巻成部にリッツ線を巻成して上記第1のワークコイル部を形成した後、同第1のリールプレートに上記第2のリールプレートを係合し、上記プレート押えを下降させて上記第2のリールプレートを第1のリールプレートとの間で適正な間隔にクランプ保持する。そして、同クランプ保持状態において上述のように第1,第2のリールプレート相互の間に第2のリッツ線巻成部を形成し、さらに同クランプ保持状態で上記ターンテーブルを所定回数回転させることによって上記第2のワークコイル部を形成するようにした上述のような比較的簡単な構成のワークコイルユニット製造装置によって容易に製造することができるようになる。
【0141】
また、この発明のワークコイルユニットの製造方法では、上記第1又は第2のリールプレートの最外周部には、さらに軸方向外側へ所定幅延びた第3のリッツ線巻成部が設けられ、上記第2のワークコイル部を形成した後に、さらに同第3のリッツ線巻成部に対して所定の回数リッツ線を巻成することによって第3のワークコイル部を形成することができるようになっている。
【0142】
このような構成によると、上記第2のワークコイル部の形成に続いて略同様の方法で容易に第3のワークコイル部を形成することができるようになる。
【0143】
また、この発明のワークコイルユニットの製造方法では、上記第1のリールプレートに対する第2のリールプレートの係合が、ヘリコイド係合となっている。
【0144】
したがって、上記第1のワークコイル部形成後の上記第1のリールプレートに対する第2のリールプレートの係合は、所定の位置関係で上記第1のリールプレートに対して上記第2のリールプレートを嵌合し、少し回転させるだけで、容易に、しかも確実に係合することができる。
【0145】
さらに、この発明のワークコイルユニットの製造方法では、上記第1,第2,第3のワークコイル部共に、巻成を開始してから巻成を終了するまで全て相互に連続する1本のリッツ線が使用されている。
【0146】
したがって、同構成では、1台のリッツ線供給手段を使用して、第1,第2,第3の複数のワークコイル部各々の連続したリッツ線巻成作業が可能になる。
【0147】
以上の結果、この発明のワークコイルユニットの製造方法によると、第1,第2のリールプレートを相互に係合一体化するのみで、スペーサ等の多部材を要することなく、複数のワークコイル巻成部を形成してワークコイルを巻成して行くことができ、かつニス等の特殊な樹脂による結合材を使用しなくてもワークコイルの保形力が高く、取付け後の状態も安定し、かつ取付け作業も容易な、高性能のワークコイルを低コストに提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の実施の形態に係るワークコイルユニットの製造方法によって製造されたワークコイルユニットが適用される電磁調理器の一例としての電磁誘導加熱式電気炊飯器本体の全体の構成を示す断面図である。
【図2】同電気炊飯器本体の要部であるワークコイルユニットと内鍋底部との関係を示す断面図である。
【図3】同電気炊飯器本体内のワークコイルユニット部分の構成を示す裏側から見た斜視図である。
【図4】同電気炊飯器本体内のワークコイルユニット部分の構成を示す裏側から見た斜視図である。
【図5】同ワークコイルユニットの下方側第1のリールプレート部分の構成を示す表側から見た斜視図である。
【図6】同ワークコイルユニットの下方側第1のリールプレート部分の構成を示す平面図である。
【図7】同ワークコイルユニットの下方側第1のリールプレート部分の構成を示す裏側から見た斜視図である。
【図8】同ワークコイルユニットの下方側第1のリールプレート部分の構成を示す底面図である。
【図9】同ワークコイルユニットの下方側第1のリールプレート部分の構成を示す縦断面図である。
【図10】同ワークコイルユニットの上方側第2のリールプレート部分の構成を示す表側から見た斜視図である。
【図11】同ワークコイルユニットの上方側第2のリールプレート部分の構成を示す平面図である。
【図12】同ワークコイルユニットの上方側第2のリールプレート部分の構成を示す裏側から見た斜視図である。
【図13】同ワークコイルユニットの上方側第2のリールプレート部分の構成を示す底面図である。
【図14】同ワークコイルユニットの上方側第2のリールプレート部分の構成を示す縦断面図である。
【図15】同ワークコイルユニットの第1,第2のリールプレートおよび第1,第2,第3のワークコイル各々の構成を示す分解斜視図である。
【図16】本願発明の実施の形態に係るワークコイルユニットの製造方法を実施するワークコイルユニットの製造装置の構成を示す平面図である。
【図17】同製造装置の構成を示す正面図である。
【図18】同製造装置の構成を示す側面図である。
【図19】同製造装置における第1のリールプレートセット用のターンテーブル部分の構成を示す平面図である。
【図20】同ターンテーブル部分の構成を示す断面図である。
【図21】同製造装置における第1,第2のリールプレートを上方側からクランプするプレート押え部分の構成を示す裏面図である。
【図22】同製造装置における同プレート押え部分の構成を示す断面図である。
【図23】同製造装置における第1のリッツ線ガイド装置部分の構成を示す平面図である。
【図24】同製造装置における同第1のリッツ線ガイド装置部分の構成を示す正面図である。
【図25】同製造装置を使用して上述のワークコイルユニットを製造する場合の巻成開始工程における第1のリールプレートとリッツ線の巻成始端部との関係を示す平面図である。
【図26】同関係を示す縦断面図である。
【図27】同関係を示す底面図である。
【図28】同製造装置を使用して上述のワークコイルユニットを製造する場合の巻成開始工程におけるターンテーブルへの第1のリールプレートのセット状態を示す縦断面図である。
【図29】同製造時の第1のワークコイル巻成工程におけるターンテーブル部の縦断面図である。
【図30】同製造時の第1のリールプレートに対する第1のワークコイル巻成終了状態を示す第1のリールプレートの平面図である。
【図31】同図30の状態を第1の補助プレートを除去して見た時の平面図である。
【図32】同製造時の第2のリールプレート係合工程における第1のリールプレートに対する第2のリールプレートの係合状態を示すターンテーブル部の縦断面図である。
【図33】同製造時の第2のリールプレートクランプ工程における第2のリールプレートに対するプレート押えの係合状態を示すターンテーブル部の縦断面図である。
【図34】同製造時の第2のワークコイル巻成工程における第2のリッツ線巻成部に対する第2のワークコイル巻成状態を示すターンテーブル部の縦断面図である。
【図35】同製造時の第2のワークコイル巻成工程における第2のリッツ線巻成部に対する第2のワークコイル巻成状態を示すワークコイルユニットの平面図である。
【図36】同製造時の第2のワークコイル巻成工程の終了時から第3のワークコイル巻成工程に移る間のリッツ線移送工程の作用を示す斜視図である。
【図37】同製造時の第3のワークコイル巻成状態を示すワークコイルユニットのターンテーブル部における縦断面図である。
【図38】同製造時の第1,第2,第3の各ワークコイル巻成終了後のリッツ線終端部の係止状態を示すワークコイルユニットの平面図である。
【符号の説明】
30はワークコイルユニット、31は第1のリールプレート、31eは補助プレート、32は第2のリールプレート、37はリブ、41は第1のリッツ線巻成部、42は第2のリッツ線巻成部、43は第3のリッツ線巻成部、60はワークコイル巻成機本体、61aはターンテーブル、61bはプレート押え、62は第1のリッツ線ガイド、63は第2のリッツ線ガイド、64はリッツ線供給装置、Cは第1のワークコイル、Cは第2のワークコイル、Cは第3のワークコイル、Lはリッツ線である。

Claims (4)

  1. 半径方向中心部側に第1のリッツ線巻成部を有する第1のリールプレートと、該第1のリールプレートに係合一体化され、同第1のリールプレートとの間で半径方向外周部側に第2のリッツ線巻成部を形成する第2のリールプレートとからなり、それら第1,第2のリールプレートを係合一体化した状態で、そのまま電磁調理器のワークコイル設置部に取り付けられるリール構造のワークコイル巻成保持部材を備え、先ず上記第1のリールプレートの上記第1のリッツ線巻成部に対してリッツ線を巻成することにより第1のワークコイル部を形成した後、同第1のリールプレートに対して上記第2のリールプレートを係合一体化することによって上記第1のリールプレートと当該第2のリールプレートとの間に上記第2のリッツ線巻成部を形成し、その後、該第2のリッツ線巻成部に対してリッツ線を巻成することにより第2のワークコイル部を形成するようにしたことを特徴とするワークコイルユニットの製造方法。
  2. 上記第1又は第2のリールプレートの最外周部には、さらに軸方向外側へ延びた第3のリッツ線巻成部が設けられ、上記第2のワークコイル部を形成した後に、さらに同第3のリッツ線巻成部に対してリッツ線を巻成することによって第3のワークコイル部を形成するようにしたことを特徴とする請求項1記載のワークコイルユニットの製造方法。
  3. 上記第1のリールプレートに対する第2のリールプレートの係合は、ヘリコイド係合であることを特徴とする請求項1又は2記載のワークコイルユニットの製造方法。
  4. 巻成を開始してから巻成を終了するまで全て相互に連続する1本のリッツ線が使用されていることを特徴とする請求項1,2又は3記載のワークコイルユニットの製造方法。
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