JP2004138191A - 流体封入式防振装置 - Google Patents

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堤田 讓治
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Abstract

【課題】インナ軸部材の外周側に配設された環状のアウタ部材の内部において、壁部の一部が本体ゴム弾性体で構成されて振動が入力される受圧室と壁部の一部が可撓性膜で構成されて容積可変とされた平衡室を形成すると共に、それら両室をオリフィス通路で連通せしめた流体封入式防振装置において、その構造の簡略化を図ることを目的とする。
【解決手段】軸方向下方に向かって開口する逆凹形断面で周方向に延びる環状溝金具14によってアウタ部材を構成すると共に、該環状溝金具14の上底部26に開口窓55を設けて、該開口窓55を本体ゴム弾性体16で流体密に覆蓋することによりアウタ部材14の内部に受圧室66を形成した。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、例えば自動車のエンジンマウントやボデーマウント等に用いられる防振装置に係り、特に、それぞれ非圧縮性流体が封入された受圧室と平衡室をオリフィス通路で連通せしめて、該オリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の共振作用を利用して防振効果を得るようにした流体封入式の防振装置に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装される防振連結体乃至は防振支持体として、例えば特許文献1の図3に示されているように、振動が入力される受圧室と容積可変の平衡室を設けて、それら両室に非圧縮性流体を封入すると共に、それら受圧室と平衡室をオリフィス通路で接続することにより、オリフィス通路を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて防振効果を得るようにした流体封入式防振装置が知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−170684号公報
【0004】
ところで、自動車のエンジンマウント等においては、一般に、過大な振動荷重の入力時における本体ゴム弾性体の変形量を緩衝的に制限するストッパ機能が要求される。上述の如き流体封入式防振装置において、そのような要求に対処するための一つの方策として、特許文献1の図1には、インナ軸部材の外周側に離隔して環状のアウタ部材を配設すると共に、インナ軸部材の軸方向一端部に設けた加圧作用板をアウタ部材に対して軸方向で対向位置せしめて、それら加圧作用板とアウタ部材の軸方向対向面間を本体ゴム弾性体で連結する一方、かかるアウタ部材に内部空所を設けて、そこに非圧縮性流体を充填すると共に、該内部空所を仕切部材で仕切ることにより、本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて振動が入力される受圧室と、可撓性膜で壁部の一部が構成されて容積可変とされた平衡室を形成し、それら受圧室と平衡室をオリフィス通路によって相互に連通せしめた構造の流体封入式の防振装置が提案されている。
【0005】
このような流体封入式の防振装置においては、インナ軸部材の外周側に離隔して環状のアウタ部材が配設されることから、インナ軸部材とアウタ部材を軸直角方向で緩衝材を介して当接させることにより、インナ軸部材とアウタ部材の軸直角方向での相対変位量を緩衝的に制限するストッパ機構が有利に実現可能となると共に、軸方向のストッパ機構も容易に実現され得る、などといった利点がある。
【0006】
ところが、かかる特許文献1の図1に示されている従来構造のものは、平衡室の内外周壁部を構成するアウタ部材の内周壁と外周壁が、互いに別体の筒状金具で形成されており、内周壁を構成する筒状金具の軸方向下端部を径方向外方に延び出させて底壁部とし、該底壁部の外周縁部を、外周壁を構成する筒状金具の軸方向下端部に対してかしめ固定することによって構成されていることから、部品点数と組立工程数が多くなって製造が面倒であるという問題があった。特に、アウタ部材の外周壁を構成する筒状金具には本体ゴム弾性体が加硫接着される一方、アウタ部材の内周壁を構成する筒状金具にはシールゴムが加硫接着されることから、ゴム弾性体の加硫成形も各筒状金具に対して個別に行わなければならず、製造工程だけでなく製造設備も複雑となることが避けられない。
【0007】
加えて、アウタ部材には、内周壁を構成する筒状金具と外周壁を構成する筒状金具のかしめ固定部位が径方向外方に向かって突出位置せしめられることから、アウタ部材をブラケット等に圧入固定することが困難となり、ボルトや溶接等でブラケット等に固定する必要があることから、構造がより複雑となり、製造も一層面倒になるという問題があったのである。
【0008】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、インナ軸部材とその外周側に配設した環状のアウタ部材を本体ゴム弾性体で連結すると共に、オリフィス通路で接続された受圧室と平衡室をアウタ部材の内部に形成した構造の流体封入式防振装置であって、アウタ部材の構造の簡略化を図り、部品点数の減少と製造の容易化を達成せしめ得た、新規な構造の流体封入式防振装置を提供することにある。
【0009】
【解決手段】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0010】
(本発明の態様1)
本発明の態様1は、同心状に位置せしめた内周壁と外周壁の間に内部空所を有する環状のアウタ部材をインナ軸部材の外周側に離隔配置せしめて、該インナ軸部材の軸方向上端部を該アウタ部材から上方に突出させ、該インナ軸部材の軸方向上端部で軸直角方向外方に広がるように形成した加圧作用板を該アウタ部材の軸方向上端部分に対して軸方向で対向位置せしめて本体ゴム弾性体で連結すると共に、該アウタ部材の軸方向上側に設けた該内部空所の開口部を該本体ゴム弾性体で閉塞する一方、該アウタ部材の軸方向下側に設けた該内部空所の開口部を可撓性膜で閉塞せしめて、外部空間に対して密閉した該内部空所に非圧縮性流体を封入すると共に、該内部空所に仕切部材を収容配置して該内部空所を仕切ることにより、該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて振動が入力される受圧室と、該可撓性膜で壁部の一部が構成されて容積可変とされた平衡室を形成し、更にそれら受圧室と平衡室を相互に連通するオリフィス通路を設けた流体封入式防振装置において、前記アウタ部材における前記内周壁と前記外周壁の両上端縁部を相互に一体的に連結する上底部を設けて、軸方向下方に向かって開口する逆凹形断面で周方向に延びる環状溝金具によって該アウタ部材を構成すると共に、該環状溝金具の該上底部に対して開口窓を形成して該開口窓を前記本体ゴム弾性体で流体密に覆蓋せしめた流体封入式防振装置を、特徴とする。
【0011】
このような本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、アウタ部材を単一の環状溝金具で構成せしめ得たのであり、それによって、特許文献1に開示の従来構造の防振装置に比して、部品点数の減少と製作作業性の向上が有利に実現され得て、目的とする流体封入式防振装置を、容易に且つ安価に提供することが可能となるのである。
【0012】
しかも、かかる流体封入式防振装置においては、環状溝金具の上底部に形成される開口窓の大きさや形状、位置、数などを容易に設定変更することが可能であり、それによって防振特性を容易に調節することが出来、防振特性の設計自由度が大きく、実際の特性変更も容易に行うことが可能となる。
【0013】
また、アウタ部材の外周面から突出するかしめ部位等を設ける必要がないことから、例えばアウタ部材に対してブラケットを圧入固定して簡便に組み付けることも可能であり、ブラケットを用いた防振装置の装着が簡単な構造をもって有利に実現可能となるのである。
【0014】
(本発明の態様2)
本発明の態様2は、前記態様1に係る流体封入式防振装置であって、前記環状溝金具における前記開口窓を覆蓋する前記本体ゴム弾性体において、該開口窓を通じて該環状溝金具の内部に向かって開口するポケット部を形成したことを、特徴とする。このよう本態様においては、ポケット部を設けたことで、環状溝金具の内部だけでなく本体ゴム弾性体の内部まで入りこんだ構造をもって受圧室が形成されることから、受圧室の容積を有利に確保することが出来る。また、受圧室における本体ゴム弾性体によって構成された周壁部の割合を大きくとることが可能となって、振動入力時に本体ゴム弾性体の弾性変形に基づいて受圧室に生ぜしめられる圧力変動、ひいてはオリフィス通路を流動せしめられる流体量を一層有利に確保することが出来、オリフィス通路を流動せしめられる流体の流動作用に基づく防振効果の向上が図られ得る。
【0015】
(本発明の態様3)
本発明の態様3は、前記態様1又は2に係る流体封入式防振装置において、前記環状溝金具における前記開口窓を通じて前記本体ゴム弾性体を該環状溝金具の内面まで延び出させて該環状溝金具の内面を覆うシールゴム層を形成する一方、前記仕切部材を該環状溝金具に嵌め込んで該仕切部材の内周縁部と外周縁部を該シールゴム層を介して該環状溝金具の前記内周壁と前記外周壁に対して流体密に固定すると共に、前記可撓性膜の内周縁部と外周縁部にそれぞれ環状の内周嵌着金具と外周嵌着金具を固着せしめて該内周嵌着金具と該外周嵌着金具を該シールゴム層を介して該環状溝金具の該内周壁と該外周壁に対して流体密に固定したことを、特徴とする。このような本態様においては、受圧室や平衡室の流体密性を向上させるためのシールゴム層が、本体ゴム弾性体と一体形成されることにより容易に実現可能となる。また、仕切部材と可撓性膜を、環状溝金具に対して嵌め込んでシールゴム層を介して組み付けたことにより、受圧室や平衡室の流体密性を充分に確保しつつ、それら仕切部材と可撓性膜を容易に組み付けることが可能となるのである。
【0016】
(本発明の態様4)
本発明の態様4は、前記態様1乃至3の何れかに係る流体封入式防振装置において、略円環板形状を有する上仕切板と下仕切板を軸方向に重ね合わせることによって前記仕切部材を構成すると共に、該仕切部材の周上の少なくとも一部において、それら上仕切板と下仕切板の重ね合わせ面間に可動板を配設して板厚方向に所定量の変位を許容せしめ、更に該上仕切板および下仕切板に通孔を設けてそれら通孔を通じて該受圧室と該平衡室の圧力が該可動板の各一方の面に及ぼされるようにしたことを、特徴とする。このような本態様においては、オリフィス通路のチューニング周波数よりも高周波数域でオリフィス通路の流通抵抗が著しく大きくなった場合に、可動板の各一方の面に及ぼされる受圧室と平衡室の内圧差に基づく微小変位に基づいて受圧室の圧力変動を吸収軽減せしめることにより、動ばね定数の大幅な増大を回避して、防振性能の悪化を軽減乃至は回避することが可能となる。
【0017】
(本発明の態様5)
本発明の態様5は、前記態様1乃至4の何れかに係る流体封入式防振装置において、前記環状溝金具における前記外周壁の内周面に沿って周方向に延びるオリフィス通路を、前記仕切部材を利用して形成したことを、特徴とする。このような本態様においては、仕切部材を利用して流体封入領域の最外周部分を周方向に延びる形態をもってオリフィス通路が形成されることから、オリフィス通路形成用の部品点数を抑えることが出来ると共に、オリフィス通路の長さを大きく設定することも可能となって、オリフィス通路のチューニング自由度も大きく確保され得る。
【0018】
(本発明の態様6)
本発明の態様6は、前記態様1乃至5の何れかに係る流体封入式防振装置であって、前記環状溝金具における前記上底部において、前記開口窓を、それぞれ周方向に所定長さをもって且つ相互に独立して複数形成したことを、特徴とする。このような本態様においては、開口窓の位置や大きさの設計自由度が一層有利に確保され得て、それにより、流体封入式防振装置の防振特性のチューニング自由度が一層向上され得るのである。
【0019】
(本発明の態様7)
本発明の態様7は、前記態様1乃至6の何れかに係る流体封入式防振装置において、前記環状溝金具における前記上底部に形成した前記開口窓を、該上底部から前記内周壁にまで延び出す大きさとしたことを、特徴とする。このような本態様においては、開口窓の大きさ、ひいては受圧室において本体ゴム弾性体で構成された壁部の大きさを一層有利に確保することが可能となって、振動入力に際して本体ゴム弾性体の弾性変形に基づく受圧室の圧力変動を一層有利に生ぜしめることが出来る。また、例えばインナ軸部材と環状溝金具の軸直角方向対向面間を本体ゴム弾性体で連結すると共に、かかる本体ゴム弾性体によって、環状溝金具の内周壁に延び出した開口窓を覆蓋せしめることにより、軸直角方向や斜め軸直角方向の振動入力時にも受圧室に圧力変動を及ぼして流体の流動作用に基づく防振効果を得ることも可能となる。
【0020】
(本発明の態様8)
本発明の態様8は、前記態様1乃至7の何れかに係る流体封入式防振装置において、前記インナ軸部材と前記環状溝金具における前記内周壁との軸直角方向対向面間に空間を形成すると共に、それらインナ軸部材と環状溝金具の少なくとも一方の軸直角方向対向面に緩衝ゴムを設けることにより、該インナ軸部材と該環状溝金具の軸直角方向での相対変位量を緩衝的に制限する第一のストッパ機構を構成したことを、特徴とする。本態様においては、インナ軸部材の外周側にアウタ筒部材(環状溝金具)を離隔配置せしめた特定構造を巧く利用して、軸直角方向の相対変位量を緩衝的に制限する第一のストッパ機構が、少ない部品点数をもって実現され得るのであり、また、大きな耐荷重性能も有利に実現可能となる。
【0021】
(本発明の態様9)
本発明の態様9は、前記態様1乃至8の何れかに係る流体封入式防振装置において、前記インナ軸部材を前記環状溝金具に対して軸方向に貫通配置せしめて、該インナ軸部材の軸方向下端部を該環状溝金具から軸方向下方に突出させると共に、かかる突出部位に軸直角方向に広がるストッパ部を設けて、該ストッパ部を該環状溝金具に対して軸方向で対向位置せしめると共に、それらストッパ部と環状溝金具の少なくとも一方の軸方向対向面に緩衝ゴムを設けることにより、該インナ軸部材と該環状溝金具の軸方向での相対変位量を緩衝的に制限する第二のストッパ機構を構成したことを、特徴とする。本態様においては、インナ軸部材をアウタ筒部材(環状溝金具)に挿通配置せしめた特定構造をを巧く利用して、軸方向の相対変位量を緩衝的に制限する第二のストッパ機構が、少ない部品点数をもって実現され得るのであり、また、大きな耐荷重性能も有利に実現可能となる。
【0022】
【発明の実施形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0023】
先ず、図1〜3には、本発明の一実施形態としての自動車用エンジンマウント10が示されている。このエンジンマウント10は、インナ軸部材としてのインナ軸金具12に対して環状溝金具(アウタ部材)としてのアウタ金具14を外挿配置せしめて、それらインナ軸金具12とアウタ金具14を本体ゴム弾性体16で連結せしめた構造とされており、インナ軸金具12が自動車のパワーユニットに固定される一方、アウタ金具14が自動車のボデーに固定されることにより、パワーユニットをボデーに対して防振支持せしめるようになっている。なお、以下の説明中、上下方向とは、原則として、マウント装着状態下で略鉛直方向とされる、図1中の上下方向をいうものとする。
【0024】
より詳細には、インナ軸金具12は、厚肉の小径円筒形状を有するストレートな管状体であって、その軸方向上端部には、加圧作用板18が取り付けられている。加圧作用板18は、略円板形状を有しており、インナ軸金具12の軸方向一端面に重ね合わされて、インナ軸金具12の径方向外方(軸直角方向外方)に向かって広がる状態で、インナ軸金具12に対して溶接等で固着されている。なお、加圧作用板18は、径方向一方向で対向位置する部分が所定量だけ大径とされており、それによって、加圧作用板18の外周縁部において、径方向外方に延び出す一対のバウンド方向当接部20,20が一体形成されている。
【0025】
一方、アウタ金具14は、それぞれ円筒形状を有する内周壁部22と外周壁部24を、各軸方向上端縁部において、円環板形状を有する上底部としての上底壁部26で相互に一体的に連結せしめた形状とされている。即ち、かかるアウタ金具14は、軸方向下方に向かって開口するコ字形断面形状をもって、中心軸周りの全周に亘って略一定断面で延びる円環形状とされており、その内部には、下方に向かって開口する矩形状断面の凹溝が、周方向の全周に亘って環状に形成されている。
【0026】
また、アウタ金具14の内外周壁部22,24は、軸方向で略同一長さとされており、何れも、インナ軸金具12の軸方向長さよりも充分に短い。内周壁部22は、インナ軸金具12の外径寸法よりも充分に大きな内径寸法の円筒状面とされている。更にまた、外周壁部24は、インナ軸金具12に固設された加圧作用板18の外径寸法と略同じで、且つバウンド方向当接部20よりは小さな外径寸法をもって形成されている。
【0027】
そして、アウタ金具14は、インナ軸金具12に対して、軸方向下方から外挿されて、略同一中心軸上に配設されており、インナ軸金具12の軸方向中間部分をアウタ金具14が取り囲むようにして、インナ軸金具12の軸方向中間部分で外周側に所定距離だけ離れた位置にアウタ金具14が配設されている。かかる配設状態下では、アウタ金具14の内周壁部22が、インナ軸金具12に対して、全周に亘って、径方向で所定距離だけ隔てて、対向位置せしめられている。また、アウタ金具14の上底壁部26が、インナ軸金具12に固設された加圧作用板18に対して、軸方向で所定距離だけ離れて対向位置せしめられている。なお、これらインナ軸金具12とアウタ金具14における径方向および軸方向での各対向面は、何れも、互いに略平行とされている。
【0028】
さらに、インナ軸金具12とアウタ金具14は、本体ゴム弾性体16によって弾性的に連結されている。この本体ゴム弾性体16は、全体として略円環ブロック形状を有しており、インナ軸金具12の加圧作用板18とアウタ金具14の上底壁部26の軸方向対向面間に配設されて、それら加圧作用板18と上底壁部26に対して加硫接着されている。要するに、本実施形態では、本体ゴム弾性体16が、加圧作用板18とアウタ金具14を備えた一体加硫成形品として形成されている。
【0029】
また、本体ゴム弾性体16は、インナ軸金具12の外周面に対して被着されておらず、インナ軸金具12の外周面上には、本体ゴム弾性体16およびアウタ金具14との径方向対向面間の全体に亘って広がる空間28が形成されている。この空間28が形成されていることにより、インナ軸金具12とアウタ金具14が、本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づいて軸方向および軸直角方向で比較的容易に相対変位せしめられ得るように、マウントばね特性が調節されている。
【0030】
なお、アウタ金具14の内周壁部22の内周面上には、本体ゴム弾性体16が所定厚さで延び出しており、第一の緩衝ゴム30が形成されている。即ち、インナ軸金具12とアウタ金具14が軸直角方向で相対変位せしめられた際、それら両金具12,14が、第一の緩衝ゴム30を介して軸直角方向で相互に当接することにより、インナ軸金具12とアウタ金具14の軸直角方向での相対変位量を緩衝的に制限する第一のストッパ機構32が構成されている。
【0031】
また、インナ軸金具12は、アウタ金具14から軸方向下方にも所定長さで突出せしめられており、図1に示されているように、アウタ金具14から突出したインナ軸金具12の下端部に対して、ストッパ部としてのストッパプレート34が取り付けられるようになっている。なお、かかるストッパプレート34の取り付けは、例えば、図示されているように、エンジンマウント10の自動車への装着状態下において、自動車のパワーユニット側部材36にインナ軸金具12を固定する固定ボルト38を利用して行うことが出来る。
【0032】
このストッパプレート34は、厚肉の円板形状を有しており、その外周縁部には、表面を全周に亘って被覆する第二の緩衝ゴム40が加硫接着されている。そして、自動車への装着に際してアウタ金具14に外嵌固定されるボデー側部材42に対して、ストッパプレート34の外周部分が軸方向に所定距離を隔てて対向位置せしめられる。これにより、インナ軸金具12とアウタ金具14が、リバウンド方向(パワーユニット荷重とは反対向きの軸方向)で相対変位せしめられた際、ストッパプレート34がボデー側部材42に対して、第二の緩衝ゴム40を介して軸方向で相互に当接することにより、インナ軸金具12とアウタ金具14のリバウンド方向での相対変位量を緩衝的に制限する第二のストッパ機構44が構成されている。
【0033】
更にまた、本実施形態では、インナ軸金具12に固設された加圧作用板18における一対のバウンド方向当接部20,20と、アウタ金具14の上底壁部26が、本体ゴム弾性体16に設けられたえぐれ状の肉抜部46を挟んで軸方向で対向位置せしめられている。また、それらバウンド方向当接部20,20とアウタ金具14(上底壁部26)の対向面には、それぞれ、第三の緩衝ゴム48,48が、本体ゴム弾性体16によって被着形成されている。これにより、インナ軸金具12とアウタ金具14が、バウンド方向(パワーユニット荷重が作用する軸方向)で相対変位せしめられた際、加圧作用板18がアウタ金具14に対して、第三の緩衝ゴム48を介して軸方向で相互に当接することにより、インナ軸金具12とアウタ金具14のバウンド方向での相対変位量を緩衝的に制限する第三のストッパ機構50が構成されている。
【0034】
一方、アウタ金具14には、内外周壁部22,24と上底壁部26で囲まれた中空領域により、下方に開口する略矩形状断面をもって周方向の全周に亘って延びる凹溝52が形成されている。また、凹溝52の内周面には、その略全面に亘って、薄肉のシールゴム層54が、本体ゴム弾性体16によって形成されている。
【0035】
また、図4に示されているように、アウタ金具14における凹溝52の上底壁部26には、複数の開口窓55が形成されている。特に本実施形態では、上底壁部26の径方向中間部分を周方向に半周弱の長さで延びる一対の開口窓55,55が形成されている。そして、これら各開口窓55は、本体ゴム弾性体16によって軸方向上方から覆蓋されており、流体密に閉塞されている。これにより、凹溝52を形成する壁部が、開口窓55,55の形成部位においては、本体ゴム弾性体16によって構成されているのである。
【0036】
また一方、軸方向下方に向かって開口せしめられた凹溝52の開口部には、可撓性膜としてのダイヤフラム56が配設されている。このダイヤフラム56は、全体として略円環板形状を有する薄肉ゴム膜であるが、径方向中間部分が逆向きのポケット状に上方に向かって湾曲せしめられて、充分な弛みが設けられており、この弛みによって弾性変形が容易に許容されるようになっている。また、ダイヤフラム56の内周縁部と外周縁部には、それぞれ円環状の嵌着金具としての嵌着リング58,60が加硫接着されており、これら内外周の嵌着リング58,60が、アウタ金具14の軸方向下方の開口端部に嵌着固定されることにより、凹溝52が、ダイヤフラム56で流体密に覆蓋されている。
【0037】
これにより、アウタ金具14の凹溝52が外部空間に対して密閉されて、内部に非圧縮性流体が充填された流体封入領域62が形成されている。なお、封入流体としては、水やアルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーン油等が好適に採用される。
【0038】
また、かかる流体封入領域62には、仕切部材64が収容配置されており、この仕切部材64によって流体封入領域62が略上下に二分されることにより、受圧室66と平衡室68が形成されている。
【0039】
仕切部材64は、図5〜7に示されているように、上仕切板70と下仕切板72を含んで構成されている。これら上下の仕切板70,72は、何れも、アウタ金具14に形成された凹溝52の内周側寸法に対応した内径寸法と、該凹溝52の外周側寸法に対応した外径寸法を備えた略円環板形状であるが、各径方向の略全体に亘ってテーパが付されることによってテーパ筒形状を呈している。また、これら上下の仕切板70,72には、内周縁部において径方向内方に突出する環状の内周鍔部74,76が形成されていると共に、外周縁部には、軸方向下方に延び出す円筒形状の筒部78,80と該筒部78,80の下端縁部から径方向外方に突出する環状の外周鍔部82,84が形成されている。更に、上下の仕切板70,72には、テーパ筒形状とされた領域において、板厚方向に貫通する通孔86,88が、それぞれ多数形成されている。
【0040】
そして、上仕切板70と下仕切板72は、軸方向で互いに重ね合わされて、各内周鍔部74,76が相互に密接して重ね合わされると共に、各筒部78,80が相互に嵌着されており、全体として逆漏斗形状とされている。
【0041】
ここにおいて、上仕切板70の内周鍔部74の外径寸法が、下仕切板72の内周鍔部76の外径寸法よりも大きくされており、それによって、上下の仕切板70,72の重ね合わせ面間には、テーパが付された径方向中央部分の全体に亘って広がる配設空所90が形成されている。そして、かかる配設空所90には、可動板92が収容配置されている。この可動板92は、上下仕切板70,72に付されたテーパ角に対応したテーパ角をもって広がるテーパ付きの円環板形状乃至は円筒形状とされており、その肉厚寸法は、配設空所90の内法寸法よりも所定量だけ小さく設定されている。それにより、可動板92は、配設空所90に組み込まれた状態下で、上下の仕切板70,72への当接によって規定される領域内で、所定量だけ自由に独立して微小変位可能とされている。なお、可動板92は、合成樹脂等で形成しても良いが、ゴム板で形成することが望ましく、それによって、可動板92の上下仕切板70,72への当接に際しての打音等が軽減され得る。
【0042】
また、下仕切板72の筒部80は、上仕切板70の筒部78よりも軸方向長さが大きくされており、それによって、上下仕切板72,74の外周鍔部82,84の間には、外周面に開口して周方向に延びる周溝94が形成されている。更にまた、下仕切板72の筒部80には、周上の一カ所において、外周側に突出する仕切凸部98が形成されており、この仕切凸部98で周溝94が遮断されている。要するに、周溝94は、周方向に一周弱の長さとされている。また、周溝94の周方向一方の端部には、上仕切板70の外周鍔部82に対して、切欠形状の連通路100が形成されている一方、周溝94の周方向他方の端部には、下仕切板72の筒部80に対して、貫通孔形状の連通路102が形成されている。
【0043】
そして、このような構造とされた仕切部材64は、アウタ金具14の凹溝52に対して開口部からはめ込まれて、流体封入領域62内の軸方向中間部分に位置して組み付けられている。かかる組付状態下、上下仕切板70,72の内周縁部74,76および外周縁部82,84は、凹溝52の内周面および外周面に対して、それぞれ、シールゴム層54を挟んで流体密に当接されている。また、仕切部材64の軸方向下端部では、下仕切板72の外周鍔部84に対して、ダイヤフラム56の外周縁部に固着された嵌着リング60が軸方向に重ね合わされており、下仕切板72の外周鍔部84が嵌着リング60と共に、アウタ金具14における外周壁部24のかしめ部位104により、抜出不能にかしめ固定されている。
【0044】
すなわち、仕切部材64は、その内周縁部が流体封入領域62の上端内周隅部に対して流体密に重ね合わされている一方、その外周縁部が流体封入領域62の下端外周隅部に対して流体密に重ね合わされており、流体封入領域62内で、径方向外方に行くに従って次第に本体ゴム弾性体16から下方に離隔するように傾斜して配設されている。そして、かかる仕切部材64を挟んで、上方には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成された受圧室66が画成されている一方、下方には、壁部の一部がダイヤフラム56で構成された平衡室68が画成されている。また、仕切部材64に組み込まれた可動板92は、その上面が、上仕切板70の通孔86を通じて、受圧室66に露呈されており、受圧室66の内圧が可動板92の上面に対して直接に及ぼされるようになっている一方、かかる可動板92の下面は、下仕切板72の通孔88を通じて、平衡室68に露呈されており、平衡室68の内圧が可動板92の下面に対して直接に及ぼされるようになっている。
【0045】
また、仕切部材64に形成された周溝94がアウタ金具14の外周壁部84で覆蓋されることにより、周方向に一周弱の長さで延び、一端部が連通路100を通じて受圧室66に接続されると共に、他端部が連通路102を通じて平衡室68に接続されて、それら受圧室66と平衡室68を相互に連通せしめるオリフィス通路106が形成されている。
【0046】
このような構造とされたエンジンマウント10にあっては、図1に示されているように、インナ軸金具12をパワーユニットに固定すると共に、アウタ金具14をボデーに固定せしめて自動車に装着した状態下で、軸方向の振動が入力されると、インナ軸金具12とアウタ金具14が軸方向に相対変位せしめられて本体ゴム弾性体16が弾性変形することにより、受圧室66と平衡室68の間に相対的な圧力変動が生ぜしめられることとなり、この相対的な圧力変動に基づいてオリフィス通路106を流動せしめられる流体の共振作用によって有効な防振効果が発揮され得るのである。なお、かかる流体の共振作用に基づいて発揮される防振効果は、公知の通り、オリフィス通路106の通路長さや通路断面積を調節すること等によってチューニングすることが可能であり、例えば、エンジンシェイク等の低周波振動に対して有効な減衰効果を発揮し得るようにチューニングされる。
【0047】
また、入力振動の周波数が、オリフィス通路106のチューニング周波数を超えた高周波数域である場合には、オリフィス通路106の流動抵抗が著しく増大するが、その場合には、振動入力に際して惹起される受圧室66の圧力変動が、仕切部材64に組み込まれた可動板92の上面に及ぼされることにより、かかる可動板92が、その下面に及ぼされる平衡室68との圧力差に基づいて、受圧室66と平衡室68の対向方向である板厚方向に変位せしめられることとなる。その結果、可動板92の変位量に相当する分だけ、受圧室66の圧力変動が軽減乃至は解消され得るのであり、以て、受圧室66の圧力変動の増大に起因する高動ばね化が回避され得て、高周波数域の振動に対しても、良好な防振性能が発揮され得るのである。
【0048】
ここにおいて、上述の如き構造とされたエンジンマウント10においては、流体封入領域62を形成するアウタ金具14が単一部材で形成されていることから、前述の特許文献1(特開平8−170684号公報)に記載の如き従来構造の防振装置に比して、部品点数が少なく構造が簡略とされて、製造が容易となる。
【0049】
また、アウタ金具14の上底壁部26に設けた開口窓55,55を本体ゴム弾性体16で覆蓋したことにより、振動入力時における本体ゴム弾性体16の弾性変形に際し、受圧室66に対して圧力変動がダイレクトに及ぼされることとなり、以て、受圧室66と平衡室68の圧力差に基づいてオリフィス通路105を流動せしめられる流体の流動作用に基づく防振効果が有効に発揮され得るのである。
【0050】
更にまた、アウタ金具14が単一部材で形成されていることから、特許文献1に記載の如き従来構造の防振装置のようにアウタ金具の外周面上に突出するかしめ部を設ける必要がなく、それ故、筒状のブラケット(ボデー側部材)42に対してアウタ金具14を圧入により容易に固定することが可能となり、エンジンマウント10のボデー側部材への組付構造の簡略化も図られ得る。
【0051】
特に、本実施形態では、ダイヤフラム56の外周縁部に固着された嵌着リング60が、仕切部材64によってアウタ金具14の内方への変位を規制された状態で、アウタ金具14の外周壁部24の下端縁部を内方に屈曲させただけのかしめ部位104で外方への抜け出しを阻止されて固定されていることから、かかるかしめ部位104のテーパ状外周面を案内面として利用して、アウタ金具14をブラケット42に対して容易に圧入して組み付けることが出来るのである。
【0052】
また、本実施形態のエンジンマウント10においては、インナ軸金具12をアウタ金具14に対して軸方向に貫通配置せしめたことにより、第一,第二及び第三のストッパ機構32,44,50を、インナ軸金具12とアウタ金具14を巧く利用して少ない部品点数と簡単な構造をもって、且つ大きな耐荷重性能で実現することが出来るのであり、かかる点にも、大きな技術的効果が存するのである。
【0053】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0054】
具体的に例示すると、前記実施形態では、仕切部材64に組み付けられる可動板92が、仕切部材64の周方向の全周に亘って連続して延びるテーパ筒形状とされていたが、その他、例えば、図8〜10に示されているように、仕切部材64における可動板の配設空所90を周方向で複数に分割せしめて、周方向に分割された複数の可動板92a,92aを、それら各配設空所90a,90aに組み込むようにしても良い。
【0055】
また、前記実施形態では、仕切部材64が、外周側に行くに従って次第に受圧室66から平衡室68側に向かって軸方向に傾斜したテーパ形状とされていたが、それと反対に、外周側に行くに従って次第に平衡室68から受圧室66側に向かって軸方向に傾斜したテーパ形状の仕切部材を採用したり、或いは、アウタ金具14の内周壁部22から外周壁部24に向かって軸直角方向に広がる仕切部材を採用することも可能である。尤も、本発明において、仕切部材64に組み込まれる可動板92による高周波数域での液圧吸収機構(動ばね低減機構)は必須のものでなく、必ずしも採用する必要はない。
【0056】
また、オリフィス通路106の具体的構造や形状,長さ等は、要求される防振性能等に応じて適宜に設定されるものであって限定されるものでなく、例えば、仕切部材64の内周部分を利用してオリフィス通路を形成しても良い。
【0057】
また、前記実施形態における第一,第二或いは第三のストッパ機構32,44,50などは、必ずしも設ける必要はない。
【0058】
また、マウントへの要求特性によっては、例えば、図11に示されているように、本体ゴム弾性体16をインナ軸金具12に加硫接着せしめて、インナ軸金具12とアウタ金具14を、本体ゴム弾性体16で弾性連結するようにしても良い。
【0059】
また、アウタ金具14の上底壁部26に形成される開口窓55の位置や数,形状,大きさ等は、要求される防振特性等に応じて適宜に設定されるものであり、例えば図11に示されているように、かかる開口窓55を、アウタ金具14の内周壁部22にまで至る大きさで形成するようにしても良い。そして、図11に示されているように開口窓55を内周壁部22まで至る形状とすると共に、内周壁部22に設けた開口窓55を覆蓋せしめる本体ゴム弾性体16をインナ軸金具12に固着させることにより、軸直角方向の入力振動に伴う本体ゴム弾性体16の弾性変形を受圧室66に及ぼして、軸直角方向の振動に対して流体の流動作用に伴う防振効果が発揮されるようにすることも可能である。なお、図11においては、その理解を容易とするために、前記実施形態と同様な構造とされた部材および部位に対して、それぞれ、図中に、前記実施形態と同一の符号を付しておく。
【0060】
また、前記実施形態では、受圧室66が周方向の全周に亘って連続した環状形態をもって形成されていたが、かかる受圧室66を周上で流体密に仕切って周方向に二分せしめ、それぞれ周方向に半周弱の長さで延びて軸直角方向一方向で対向位置する一対の受圧室を形成すると共に、それら一対の受圧室を相互に連通せしめる第二のオリフィス通路を形成することも可能である。特に、上述の図11に記載の如き軸直角方向の振動が受圧室66に及ぼされ得る構造を採用する場合には、そのように軸直角方向で対向位置する一対の受圧室を採用することは、軸直角方向の振動に対して、第二のオリフィス通路を流動せしめられる流体の流動作用に基づいて有効な防振効果を得るために有効である。
【0061】
加えて、本発明は、例示の如き自動車用のエンジンマウントの他、自動車用のボデーマウントやキャブマウント等、或いは自動車以外の各種装置における防振装置に対して、広い範囲で適用され得るものであることは、言うまでもない。
【0062】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、受圧室や平衡室を形成するアウタ部材を単一の環状溝金具で構成せしめ得たことから、従来構造の防振装置に比して、部品点数の減少による構造の簡略化が図られて、容易に製造することが可能となったのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての自動車用エンジンマウントを示す縦断面図であって、図2におけるI−I断面に相当する図である。
【図2】図1に示されたエンジンマウントの平面図である。
【図3】図1に示されたエンジンマウントの底面図である。
【図4】図1に示されたエンジンマウントを構成するアウタ金具を示す斜視図である。
【図5】図1に示されたエンジンマウントを構成する仕切部材を示す平面図である。
【図6】図4に示された仕切部材の正面図である。
【図7】図5におけるVII −VII 断面図である。
【図8】図1に示されたエンジンマウントに採用され得る仕切部材の別の具体例を示す、図5に対応する平面図である。
【図9】図8に示された仕切部材の正面図である。
【図10】図8におけるX−X断面図である。
【図11】本発明の別の実施形態の具体例の要部を示す縦断面説明図である。
【符号の説明】
10 エンジンマウント
12 インナ軸金具
14 アウタ金具
16 本体ゴム弾性体
52 凹溝
55 開口窓
56 ダイヤフラム
62 流体封入領域
64 仕切部材
66 受圧室
68 平衡室
106 オリフィス通路

Claims (9)

  1. 同心状に位置せしめた内周壁と外周壁の間に内部空所を有する環状のアウタ部材をインナ軸部材の外周側に離隔配置せしめて、該インナ軸部材の軸方向上端部を該アウタ部材から上方に突出させ、該インナ軸部材の軸方向上端部で軸直角方向外方に広がるように形成した加圧作用板を該アウタ部材の軸方向上端部分に対して軸方向で対向位置せしめて本体ゴム弾性体で連結すると共に、該アウタ部材の軸方向上側に設けた該内部空所の開口部を該本体ゴム弾性体で閉塞する一方、該アウタ部材の軸方向下側に設けた該内部空所の開口部を可撓性膜で閉塞せしめて、外部空間に対して密閉した該内部空所に非圧縮性流体を封入すると共に、該内部空所に仕切部材を収容配置して該内部空所を仕切ることにより、該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて振動が入力される受圧室と、該可撓性膜で壁部の一部が構成されて容積可変とされた平衡室を形成し、更にそれら受圧室と平衡室を相互に連通するオリフィス通路を設けた流体封入式防振装置において、
    前記アウタ部材における前記内周壁と前記外周壁の両上端縁部を相互に一体的に連結する上底部を設けて、軸方向下方に向かって開口する逆凹形断面で周方向に延びる環状溝金具によって該アウタ部材を構成すると共に、該環状溝金具の該上底部に対して開口窓を形成して該開口窓を前記本体ゴム弾性体で流体密に覆蓋せしめたことを特徴とする流体封入式防振装置。
  2. 前記環状溝金具における前記開口窓を覆蓋する前記本体ゴム弾性体において、該開口窓を通じて該環状溝金具の内部に向かって開口するポケット部を形成した請求項1に記載の流体封入式防振装置。
  3. 前記環状溝金具における前記開口窓を通じて前記本体ゴム弾性体を該環状溝金具の内面まで延び出させて該環状溝金具の内面を覆うシールゴム層を形成する一方、前記仕切部材を該環状溝金具に嵌め込んで該仕切部材の内周縁部と外周縁部を該シールゴム層を介して該環状溝金具の前記内周壁と前記外周壁に対して流体密に固定すると共に、前記可撓性膜の内周縁部と外周縁部にそれぞれ環状の内周嵌着金具と外周嵌着金具を固着せしめて該内周嵌着金具と該外周嵌着金具を該シールゴム層を介して該環状溝金具の該内周壁と該外周壁に対して流体密に固定した請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
  4. 略円環板形状を有する上仕切板と下仕切板を軸方向に重ね合わせることによって前記仕切部材を構成すると共に、該仕切部材の周上の少なくとも一部において、それら上仕切板と下仕切板の重ね合わせ面間に可動板を配設して板厚方向に所定量の変位を許容せしめ、更に該上仕切板および下仕切板に通孔を設けてそれら通孔を通じて該受圧室と該平衡室の圧力が該可動板の各一方の面に及ぼされるようにした請求項1乃至3の何れかに記載の流体封入式防振装置。
  5. 前記環状溝金具における前記外周壁の内周面に沿って周方向に延びるオリフィス通路を、前記仕切部材を利用して形成した請求項1乃至4の何れかに記載の流体封入式防振装置。
  6. 前記環状溝金具における前記上底部において、前記開口窓を、それぞれ周方向に所定長さをもって且つ相互に独立して複数形成した請求項1乃至5の何れかに記載の流体封入式防振装置。
  7. 前記環状溝金具における前記上底部に形成した前記開口窓を、該上底部から前記内周壁にまで延び出す大きさとした請求項1乃至6の何れかに記載の流体封入式防振装置。
  8. 前記インナ軸部材と前記環状溝金具における前記内周壁との軸直角方向対向面間に空間を形成すると共に、それらインナ軸部材と環状溝金具の少なくとも一方の軸直角方向対向面に緩衝ゴムを設けることにより、該インナ軸部材と該環状溝金具の軸直角方向での相対変位量を緩衝的に制限する第一のストッパ機構を構成した請求項1乃至7の何れかに記載の流体封入式防振装置。
  9. 前記インナ軸部材を前記環状溝金具に対して軸方向に貫通配置せしめて、該インナ軸部材の軸方向下端部を該環状溝金具から軸方向下方に突出させると共に、かかる突出部位に軸直角方向に広がるストッパ部を設けて、該ストッパ部を該環状溝金具に対して軸方向で対向位置せしめると共に、それらストッパ部と環状溝金具の少なくとも一方の軸方向対向面に緩衝ゴムを設けることにより、該インナ軸部材と該環状溝金具の軸方向での相対変位量を緩衝的に制限する第二のストッパ機構を構成した請求項1乃至8の何れかに記載の流体封入式防振装置。
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