JP2004136678A - 透湿性シート及びそれを用いた吸収性物品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 開孔の為に用いられる添加剤を含まない結晶性ポリオレフィン樹脂により形成された微多孔質ポリオレフィン透湿性樹脂膜4aと不織布4bとを積層したことを特徴とする透湿性シート、及び、液透過性の表面材2と、防漏性の裏面材4と、これらの両面材の間に配置される吸収体3とからなる吸収性物品において、上記裏面材4として、上記透湿性シートを用いることを特徴とする吸収性物品。
【選択図】 図1
Description
このように従来の微多孔性シートでは、柔軟性、引き裂き強度、及び透湿性、尿等低表面張力液の防漏性等吸収性物品の透湿・防漏シートの要望する物性を全て満足するに至っていない。
本発明の目的はまた、吸収した体液を漏らさずに気化放出して、ムレること無く、快適な装着感を与える吸収性物品を提供することにある。
本発明はまた、液透過性の表面材と、防漏性の裏面材と、これらの両面材の間に配置される吸収体とからなる吸収性物品において、上記裏面材として、上記透湿性シートを用いることを特徴とする吸収性物品を提供するものである。
本発明の吸収性物品は、吸収した体液を漏らさず気化放出して、ムレることなく、快適な装着感を与えるものである。
また、上記の透湿性シートを裏面材に用いた本発明の吸収性物品としての使い捨てオムツは、水蒸気を通すためムレることなく、柔軟なためフィット性に富み、高強度で良好な風合いを有し、防漏性に優れ快適な装着感を与える。
本発明の透湿性シートは、微多孔質ポリオレフィン透湿性樹脂膜(以下、単に「透湿性樹脂膜」ということがある)と不織布とを積層したものである。
上記透湿性樹脂膜は、結晶性ポリオレフィン樹脂により形成される超微多孔質樹脂膜である。上記透湿性樹脂膜は、その膜厚が好ましくは5〜100μm、更に好ましくは10〜40μmであり、透湿度が好ましくは0.8g/100cm2 ・Hr以上、更に好ましくは1.0〜3.0g/100cm2 ・Hrであり、防漏性が、表面張力45dyne/cmの人工尿で水圧35g/cm2 のとき、好ましくは30分以上、更に好ましくは60分以上、最も好ましくは120分以上である。
なお、本発明において、メルトインデックスとは、JIS K6758に準拠して230℃、2.16kgfで測定した値(単位はg/10min)をいう。
上記ポリオレフィン系不織布の中でも、コア/シェル型のフィラメントからなり、該シェルがポリエチレン又は低融点ポリプロピレンからなるものが好ましく、その代表例としては、PET/PE、PP/PE、PP/PP等のコア/シェル型のフィラメントからなる不織布が挙げられる。
また、上記不織布の坪量は、5〜200g/m2 が好ましく、10〜50g/m2 が特に好ましく、見かけ厚さは10〜500μmが好ましく、20〜300μmが特に好ましい。
具体的には、図1(a)に示すように、本発明の透湿性シート4は、微多孔質ポリオレフィン透湿性樹脂膜4aの片面に不織布4bを積層した構成や、図1(b)に示すように、本発明の透湿性シート4は、微多孔質ポリオレフィン透湿性樹脂膜4aの両面に不織布4bを積層した構成となっている。本発明の透湿性シート4を使い捨てオムツの裏面材として用いる場合であって、上記構成(1) の積層体を用いるときには、微多孔質ポリオレフィン透湿性樹脂膜4aが吸収体3(図2参照)側になるように用いられるのが好ましい。(図2については、後述の実施例において説明する。)
また、上記積層体の接着部の面積は、接着強度、風合い及び透湿性に応じて適宜選択される。即ち、上記の接着部の面積が増えると、接着強度は増すが風合いが悪くなり、透湿度も低下する。
また、上記積層体の接着における接着パターンは、風合いの点から接着部が非連続の点状であるのが好ましく、更に、MD方向に平行又は垂直に点在するよりも斜めに点在する方が引き裂き強度と風合いの点から好ましい。
また、上記積層体の接着点の形状は、特に制限されないが、風合いの点からは、円、ひし形、亀甲型等が好ましい。また、上記接着点1点の面積は、好ましくは0.1〜5mm2 、更に好ましくは0.5〜2mm2 である。更に上記接着点の間隔も、接着強度、風合い、引き裂き強度から選択される。
上記積層体の接着における接着面積比(接着部面積:非接着部面積)は、好ましくは1:99〜40:60、更に好ましくは5:95〜20:80である。
本発明の透湿性シートは、ポリオレフィン樹脂のみからなる樹脂を製膜してフィルムとなし(以下、この工程を「フィルム成形工程」という)、該フィルムを熱処理し(以下、この工程を「熱処理(1)工程」という)、次いで延伸し(以下、この工程を「延伸工程」という)、更に熱処理する(以下、この工程を「熱処理(2)工程」という)ことにより、微多孔質ポリオレフィン透湿性樹脂膜を得、然る後、該微多孔質ポリオレフィン透湿性樹脂膜と上記不織布とを積層することにより製造することができる。
上記フィルムを成形するには、上記結晶性ポリオレフィン樹脂を、従来から熱可塑性樹脂のフィルム成形法として知られているインフレーション成形法、Tダイ法等により実施することができる。
上記フィルム成形工程における成形条件は、例えば上記インフレーション成形法を用いた場合には、ドラフト比が好ましくは20以上、更に好ましくは40以上であり、ブロー比が好ましくは1.2〜0.7、更に好ましくは1.1〜0.8であり、フィルム引き取り速度が好ましくは5〜100m/min、更に好ましくは10〜50m/minであり、成形温度が融点より好ましくは30〜100℃高い温度、更に好ましくは50〜80℃高い温度である。尚、上記ドラフト比及び上記ブロー比はそれぞれ下記の式で表される値をいう。
ドラフト比=フィルム引き取り速度/ダイから押し出される樹脂の線速度
ブロー比=成形されたフィルムの径/ダイリップ(樹脂吐出部)径
上記熱処理(1)工程は、従来公知の如何なる方法によっても実施することができ、例えば、加熱されたロールや金属板にシートを接触させる方法、シートを空気や不活性ガス中で加熱する方法やシートを芯体上に巻取り、これを気相中で加熱する方法等が採用できる。
上記延伸工程における延伸方法は特に制限されず、従来から知られているロール式延伸法、テンター式延伸法等により実施することができる。
また、上記延伸工程における延伸条件(延伸温度/延伸倍率)は、用いられる結晶性ポリオレフィンの種類及び目標透湿度等によって異なるが、延伸温度は好ましくは融点より130〜50℃低い温度であり、延伸倍率は好ましくは50〜500%である(ここで、延伸倍率50%とは、例えば、延伸前の長さ100に対し、延伸後の長さが150となることをいう)。
上記熱処理(2)工程における温度は、用いられる結晶性ポリオレフィン樹脂の種類によって異なり、上記延伸温度より10℃以上高い温度〜融点より10℃低い温度が好ましい。
上記熱処理(2)工程においては、熱処理(2)後の上記多孔質フィルムの長さが該熱処理(2)前の長さの好ましくは5〜50%、更に好ましくは10〜40%減少するように張力を制御しながら行うのが好ましい。
本発明の吸収性物品は、液透過性の表面材と、防漏性の裏面材と、これらの両面材の間に配置される吸収体とからなるものである。このような構成及び上記表面材及び上記吸収体の形成材料等は従来公知の構成及び形成材料と同様である。
而して、本発明の吸収性物品においては、上記裏面材として上記の本発明の透湿性シートが用いられている。
尚、本発明の吸収性物品としては、生理用ナプキン、大人用又は乳幼児用の使い捨ておむつ、失禁パッド等が挙げられ、上記透湿性シートは、吸収性物品の用途に応じて所望の形状として用いられる。
〔微多孔質ポリプロピレン透湿性樹脂膜〕
フィルム成形工程;ポリプロピレン樹脂(メルトインデックス:0.4、mp:169℃、チッソ(株)製ホモポリマー)を、ダイリップ径200mm、ダイリップクリアランス1mmのサーキュラーダイを付けた50mm単軸押出機(L/D:28)にて、250℃でドラフト比:40、ブロー比:1.0にて厚さ25μmのフィルムを成形、チューブの一端を切開して1枚のフィルムに巻取った。
熱処理(1)工程;このフィルムを100℃のオーブン中で2Hr加熱した。
延伸工程及び熱処理(2)工程;径500mmの余熱ロール(2本)、径100mmの延伸ロール(2本)、径500mmの熱処理ロール(2本)、径500mmの冷却ロール(2本)からなる働き幅1500mmのロール延伸機を用い、フィルム供給速度;2m/minで2.0倍延伸、熱処理(2)で25%収縮させて熱固定した。ロール表面温度は余熱ロール:50℃、延伸ロール:50℃、熱処理(2)ロール120℃、冷却ロール:27℃で行った。得られたフィルムは均一に白化し、厚さ21〜22μmであった。
mp:161℃のPPをコアに、mp148℃の低融点PPをシェルに用い、コア/シェルの断面積比が60/40、2デニールのフィラメントを38mmにカットし、カード機で22g/m2 のウエブを形成し、ヒートロールを通して見かけ厚さ0.29mmとした。
上記超微多孔質ポリプロピレン透湿性樹脂膜と上記不織布を各々300mm幅にスリットし、径100mm、働き幅600mmのエンボスロール/バックロールからなる部分ヒートシール機に通した。
径1mm高さ0.5mmの円柱が各々円柱間隔が2mmでロール回転方向に斜め(45度)に点在する鉄製ロールを表面温度154℃、バックロール(ペーパーロール)との線圧を33kg/cm、搬送速度30m/minで処理した。得られたシートは見かけ厚さ0.30mm、接着部面積/非接着部面積=20/80であった。得られた透湿性シートを次の評価基準に従って評価した。その結果を〔表1〕に示す。
(1)透湿度;JIS Z0208に準拠して測定した。
(2)防漏性;シートを径3cmのシリンダー端部にシリコーンゴムバッキン付リングで固定し、シート通気面が径3cmとした。シリンダーに人工尿を35cmの高さまで入れ、他端からシートを通して液滴が漏れてくる迄の時間を測定した。用いた人工尿は、尿素1.94%、塩化ナトリウム0.795%、硫酸マグネシウム0.110%、塩化カルシウム0.062%、硫酸カリウム0.197%、赤色2号(染料)0.010%、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルで表面張力を45dyne/cmに調整した。
(3)引き裂き強度;延伸方向(MD方向)に30mm幅×60mm長さの試験片の長手方向の一端における短片の中央から長片に平行に内部へ向けて30mmの切込みを入れる。次いで、試験片の切込みを入れた片の両側が裏表になるように引張試験機に取り付け引張速度300mm/分で引き裂き、平均応力を求める。
(4)風合い;透湿性シートを指触感触により下記基準に従って評価した。
◎;柔軟で風合いが非常に良好
○;柔軟で風合いが良好
△;やや硬く風合いがやや悪い
×;硬く風合いが悪い
〔微多孔質ポリプロピレン透湿性樹脂膜〕
実施例1と同じ樹脂、同じ成形設備を用い、同じ温度、ドラフト比、ブロー比で厚さ45μmのフィルムを成形した。このフィルムを実施例1と同じ条件で熱処理(1)工程、延伸工程、及び熱処理(2)工程を行い厚さ40〜41μmの均一に白化したフィルムを得た。このフィルムを実施例1と同様に評価した。その結果を〔表1〕に示す。
〔微多孔質ポリプロピレン透湿性樹脂膜〕
実施例1と同じ樹脂70重量部、鉱物油(出光興産(株)製ダイアナプロセスオイルpw−90、引火点272℃)30重量部を二軸混練押出機にて溶融混練しストランドに押出、冷却、カッティングしてペレットを得た。このペレットを実施例1と同じ押出機を用い230℃で43μmのフィルムを得た。このフィルムを実施例1と同じ延伸機にて1.6倍に延伸し、熱処理にて1.5倍(延伸前のフィルム長さの1.5倍)とした。得られたフィルムは厚さ38〜39μmで均一に白化していた。このフィルムを実施例1と同様に評価した。その結果を〔表1〕に示す。
実施例1、比較例1、比較例2で得られた透湿性シートを裏面材に用い、表面材、吸収体、裏面材及び止着テープからなる図2に示す吸収性物品としての使い捨てオムツをそれぞれ製造した(順に実施例2、比較例3、比較例4)。このオムツを10人のモニターにオーバーナイトで使用して下記項目の比較評価を行った。その結果を〔表2〕に示す。
尚、図2は、本発明の吸収性物品としての使い捨てオムツであって、その一部を切欠したものを示す斜視図である。
図2に示すように、この使い捨てオムツ1は、液透過性の表面材2と、防漏性の裏面材4と、これらの両面材2,4の間に配置される吸収体3とを具備し、ウエスト部5と、レッグ部6と、該ウエスト部5及び該レッグ部6において表面材2と裏面材4との間にそれぞれ張設された弾性部材7と、腹側胴まわり部8と、背側胴まわり部8’と、該腹側胴まわり部8と該背側胴まわり部8’とを結合するための結合手段として用いるテープファスナー9とから構成されるものである。
(5)漏れ率;20枚中の漏れ発生枚数を漏れ率として評価した。
(6)フィット性;装着した時のフィット性を下記基準で評価した。
・非常によくフィットする・・・◎
・良くフィットする・・・・・・○
・ややフィット性が劣る・・・・△
・フィット性が悪い・・・・・・×
(7)ムレ度;下記の基準で評価した。
・ムレ後が全くなし・・・・・・◎
・僅かにムレ後がみられる・・・○
・ムレ後がやや多くみられる・・△
・ムレ後が非常に多くみられる・×
2 表面材
3 吸収体
4 裏面材
4a 微多孔質ポリオレフィン透湿性樹脂膜
4b 不織布
5 ウエスト部
6 レッグ部
7 弾性部材
8 腹側胴まわり部
8’ 背側胴まわり部
9 テープファスナー
Claims (8)
- 開孔の為に用いられる添加剤を含まない結晶性ポリオレフィン樹脂により形成された微多孔質ポリオレフィン透湿性樹脂膜と不織布とを積層したことを特徴とする吸収性物品の裏面材用透湿性シート。
- 上記微多孔質ポリオレフィン透湿性樹脂膜が、結晶性ポリプロピレン樹脂からなることを特徴とする請求項1記載の透湿性シート。
- 上記結晶性ポリプロピレン樹脂が、メルトインデックス5以下のホモの結晶性ポリプロピレン樹脂であることを特徴とする請求項2記載の透湿性シート。
- 上記不織布が、ポリオレフィン系不織布であることを特徴とする請求項1〜3項の何れか1項に記載の透湿性シート。
- 上記ポリオレフィン系不織布が、コア/シェル型のフィラメントからなり、該シェルがポリエチレン又は低融点ポリプロピレンからなることを特徴とする請求項4記載の透湿性シート。
- 上記不織布が、3デニール以下のフィラメントからなることを特徴とする請求項4又は5記載の透湿性シート。
- 上記微多孔質ポリオレフィン透湿性樹脂膜の膜厚が10〜40μm、上記不織布の坪量が10〜50g/m2 であり、上記微多孔質ポリオレフィン透湿性樹脂膜と上記不織布とを積層した透湿性シートの透湿度が0.8g/100cm2 ・Hr以上、防漏性が30分以上であることを特徴とする請求項1〜6項の何れか1項に記載の透湿性シート。
- 液透過性の表面材と、防漏性の裏面材と、これらの両面材の間に配置される吸収体とからなる吸収性物品において、上記裏面材として、請求項1〜7の何れか1項に記載の透湿性シートを用いることを特徴とする吸収性物品。
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