JP2004136539A - 成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)分子中に少なくとも2個の、水酸基およびアミノ基からなる群より選ばれる官能基を有するポリエーテル;(B)特定量のポリエステルポリオール;および(C)分子中に少なくとも2個のイソシアナト基を有するイソシアネート化合物を含む硬化性組成物を、積層硬化させることを特徴とする、ポリウレタンまたはポリウレア系高分子成形体の製造方法;ならびにそのような方法によって製造された成形品。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形体の製造方法に関し、さらに詳細には、逐次積層して硬化させる際に、層間剥離を生じないポリウレタンまたはポリウレア系の高分子成形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリウレタン樹脂、ポリウレタンゴム、ポリウレタン・ウレア樹脂またはポリウレア樹脂の成形体は、官能基として、分子中に少なくとも2個の水酸基および/またはアミノ基を有するポリオールおよび/またはポリアミン化合物を、ポリイソシアネート化合物と反応させることによって、製造することができる。成形方法としては、硬化反応を伴う射出成形、トランスファー成形、圧縮成形、注型、スプレイアップ成形、ハンドレイアップ成形などの方法が行われている。
【0003】
スプレイアップ成形のような、未硬化の液状樹脂組成物を型や基材に吹き付けて硬化させる方法は、非特許文献1に記載されているように、ポリウレタン樹脂やポリウレタンゴムに用いられ、速硬化性で積層が可能なので、成形体を効率よく形成することができるという利点がある。しかしながら、特にバンパーのような大形の成形体を、速硬化性の樹脂組成物を用いて成形する場合、先に吹き付けた樹脂の硬化が進行して、次に樹脂組成物を吹き付けて生じる未硬化樹脂層の、硬化した樹脂層に対する接着性が不充分になり、層間剥離を生じ、また硬化の際に膨れを生じる。
【0004】
層間剥離を防止するには、硬化速度を下げることが有効である。しかしながら、このような方法では、液垂れを生じるために成形品の板厚のばらつきが大きくなり、かつ成形サイクル時間が長くなる。
【0005】
【非特許文献1】
桧垣寅雄編、岩田敬治監修、「最新ポリウレタン応用技術」(株)シーエムシー発行、p.121〜124
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、積層硬化させる方法によってポリウレタンまたはポリウレア系の高分子成形体を製造する際に、硬化速度を下げることなく、硬化した高分子層に対する未硬化ないし半硬化の硬化性組成物層の接着性を向上させて、層間剥離や膨れを防止することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決するために研究を重ねた結果、成形用の硬化性組成物に、ポリエステルポリオールを配合することにより、その課題を解決しうることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明のポリウレタンまたはポリウレア系高分子成形体の製造方法は、
(A)分子中に少なくとも2個の、水酸基およびアミノ基からなる群より選ばれる官能基を有するポリエーテル 100重量部;
(B)ポリエステルポリオール 1.0〜10.0重量部;および
(C)分子中に少なくとも2個のイソシアナト基を有するイソシアネート化合物
必要量
を含み、(A)1分子あたりの官能基の数および/または(C)1分子あたりのイソシアナト基の数が、平均2個を越える硬化性組成物を、積層硬化させることを特徴とする。また、本発明は、このようにして得られた成形体に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法は、ポリウレタンまたはポリウレア系高分子成形体の成形に適用される。ここで、上記高分子成形体とは、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンゴム、ポリウレタン・ウレア樹脂、ポリウレア樹脂のように、ウレタン結合および/またはウレア結合によって網状構造を形成する樹脂、ゴム(エラストマー)ならびにプラストエラストマーを包含し、形成された網状構造中にビウレット結合、イソシアヌレート環などが形成されていてもよい。
【0010】
本発明の製造方法が適用される成形法は、スプレイアップ成形、ハンドレイアップ成形のように、液状ないし流動性の未硬化の硬化性組成物を型や基材に塗布し、積層して硬化させることにより、樹脂状ないしゴム状の成形体を得る成形法である。
【0011】
本発明において、硬化性組成物の調製に用いられる(A)成分は、ポリウレタンまたはポリウレア系高分子の骨格を形成するための、水酸基およびアミノ基からなる群より選ばれる官能基を有する官能性ポリエーテルであり、代表的には、ポリエーテルポリオールまたはポリエーテルポリアミンであるが、両者の混成ポリエーテルであってもよい。該官能性ポリエーテルは、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。(A)成分に含まれる上記官能基の数は、分子中に少なくとも2個である。ただし、(C)成分として2個のイソシアナト基を有するイソシアネート化合物のみを用いる場合は、硬化して得られるポリウレタンに網状構造を与えるために、少なくとも一部の官能性ポリエーテルとして、分子中に分岐単位を有する分岐鎖状の官能性ポリエーテルを用いることにより、(A)成分1分子あたりの官能基の数は、平均2を越える。
【0012】
ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位の共重合体が例示され、部分的に、他の構成単位、たとえばオキシトリメチレン単位やオキシテトラメチレン単位を含む共重合体であってもよい。共重合体は、ランダム共重合体でもブロック共重合体でも差し支えない。直鎖状ポリエーテルジオールは、開始剤としてエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールのような二価アルコールを用い、または開始剤を用いないで、エチレンオキシド、プロピレンオキシドのような環状オキシド化合物を開環重合させて合成することができ、通常、両末端に水酸基を有する。分岐鎖状ポリエーテルポリオールは、開始剤としてグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ソルビトール、グルコース、スクロースのような三価以上の多価アルコールを用い、上記と同様の環状オキシド化合物を開環重合させて合成することができ、上記の多価アルコールに由来する分岐単位を分子中に含むので、分子中に3個以上の水酸基を有する。
【0013】
ポリエーテルポリアミンとしては、上記のポリエーテルポリオールの水酸基をアミノ基で置き換えたものが挙げられ、同様に、直鎖状の二官能性のものと、分子中に分岐単位を有するものとがある。また、分子中に水酸基とアミノ基を有するポリエーテルを用いることもできる。
【0014】
(A)成分として用いられるポリエーテルポリオールおよびポリエーテルポリアミンの重量平均分子量は、通常250〜8,000であり、好ましくは250〜3,000である。
【0015】
本発明ににおいて、硬化性組成物の調製に用いられる(B)成分は、ポリエステルポリオールである。該ポリエステルポリオールは、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオ−ル、1,8−オクタンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ジエチレングリコールのような二価アルコールと、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸のような脂肪族二塩基酸;ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸のような脂環式二塩基酸;もしくはフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸のような芳香族二塩基酸;またはそれらの低級アルキルエステルもしくは酸無水物とを、二価アルコールが僅かに過剰になるように重縮合反応させるか、ε−カプロラクトンやメチルバレロラクトンのようなラクトン類を、少量の二価アルコールの存在下に開環重合させて合成することができる。これらの二価アルコールと酸またはその誘導体は、それぞれ1種を用いても、2種以上を併用してもよい。さらに、分子中に3個以上の水酸基を与えるために、アルコールの一部として三価以上の多価アルコール、および/または酸の一部として三価以上の多塩基酸を用いることができる。このような多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトールなどが;また多塩基酸としては、ベンゼントリカルボン酸などが例示される。また、ポリエステルポリオールは、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。ポリエステルポリオールとしては、1,6−ヘキサンジオール−イソフタル酸系のものが好ましく、1,6−ヘキサンジオール−イソフタル酸−アジピン酸ポリエステルポリオールが特に好ましい。(B)成分として用いられるポリエステルポリオールの重量平均分子量は、通常、300〜1,000であり、好ましくは500〜800である。
【0016】
(B)成分の配合量は、(A)成分100重量部に対して、1.0〜10.0重量部、好ましくは2.0〜6.0重量部の範囲である。(B)成分が1重量部未満では、接着性の充分な向上効果が得られないので、層間剥離を防止することができない。10重量部を越えると、未硬化の組成物の粘度が高くて取り扱いにくいうえ、成形体の耐加水分解性が低下する。
【0017】
本発明ににおいて、硬化性組成物の調製に用いられる(C)成分は、分子中に少なくとも2個のイソシアナト基を含み、該イソシアナト基が(A)成分の水酸基と反応してポリウレタンの網状構造を形成する成分であり、かつ、イソシアナト基の一部は、(B)成分の官能基とも反応して、(B)成分を網状構造に結合させるものである。(C)成分に含まれるイソシアナト基の数は、分子中に少なくとも2個である。ただし、(A)成分として2個の水酸基を有するポリオールのみを用いる場合は、硬化して得られるポリウレタンに網状構造を与えるために、少なくとも一部のイソシアネート化合物として、3個以上のイソシアナト基を有するものを用いることにより、(C)成分1分子あたりのイソシアナト基の数は、平均2を越える。
【0018】
(C)成分としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、上記二者の混合物、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4′−ジイソシアネート、上記二者の混合物、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネートのような芳香族イソシアネート化合物;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3,6−ヘキサントリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、リシントリイソシアネートのような脂肪族イソシアネート化合物;それらの二量体、三量体、カルボジイミド変性体などが例示される。また、これらをジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールのようなポリオールと反応させたウレタン変性イソシアネートを用いてもよい。これらのうち、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネートおよびそのウレタン変性体が好ましい。
【0019】
(C)成分の配合量は、良好な高分子成形体が得られることから、(A)成分および鎖延長剤の官能基と(B)成分の水酸基との合計数に対するイソシアナト基の数が、通常1.0〜3.0個、好ましくは1.0〜2.6個になる量である。
【0020】
本発明ににおいて、ポリウレタンまたはポリウレア系高分子成形体の製造に用いられる硬化性組成物は、上記(A)〜(C)成分を含み、それ以外に、必要に応じて、鎖延長剤、充填剤、補強材、難燃剤および各種の安定剤を配合することができる。また、硬化反応を促進するために、触媒量の触媒を用いる。該触媒は、通常、あらかじめ(A)成分と(B)成分を含むプレミックス中に配合しておき、使用直前に(C)成分を混合して反応させる方法が取られる。
【0021】
鎖延長剤は、低分子量の二官能性化合物であり、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングギコールのような低分子量エーテルジオール化合物;ジプロピレンエーテルジアミン、トリプロピレンエーテルジアミンのような低分子量エーテルジアミン化合物などが例示される。また、ジエチルトルエンジアミン、ビス(メチルチオ)トルエンジアミン、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ビス(s−ブチルアミノ)ジフェニルメタンのような芳香族ジアミン化合物が、成形性や成形体の物性を改良するために用いられる。
【0022】
充填剤、補強材としては、けいそう土、クレイ、タルク、炭酸カルシウムのような非補強性充填剤;煙霧質シリカ、沈殿シリカのような補強性充填剤;ガラス繊維のような補強材などが例示される。
【0023】
触媒は、(A)成分および(B)成分の官能基と、(C)成分のイソシアナト基との反応により、ポリウレタンの網状構造を形成する反応を促進するものである。触媒としては、トリエチルアミン、ビス(2−エチルアミノエチル)エーテル、N,N,N′−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルテトラメチレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチル−N′−ジメチルアミノエチルピペラジン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N,N−ジメチルアミノエチルモルホリン、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシプロピルイミダゾール、トリエチレンジアミン、2−メチルトリエチレンジアミン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン−7、のようなアミン類;それらの部分アンモニウム塩;酢酸カリウム、オクタン酸カリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム、オクタン酸スズ、オクタン酸鉛、オレイン酸スズのようなカルボン酸金属塩;ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズチオカルボキシレートのような有機金属化合物が例示され、1種を用いても、2種以上を併用しても差し支えない。さらに、トリエチレンジアミンのような常温で固体の化合物は、適宜、有機溶媒に溶解させて用いてもよい。触媒活性が高いことから、トリエチレンジアミン、2−メチルトリエチレンジアミンなどが好ましく、また、これらとカルボン酸金属塩や有機スズ化合物との併用が好ましい。
【0024】
本発明の製造方法を、スプレイアップ成形の標準的な例によって説明する。まず、撹拌混合機のような混合装置を用いて、(C)イソシアネート化合物を除く硬化性組成物に、触媒および必要に応じて各種添加剤を配合した組成のプレミックスを調製し、これをスプレイガンの一方の供給口に定量供給する。(C)イソシアネート化合物をスプレイガンの他方の供給口に定量供給して、スプレイガンのミキシングヘッド中で両者を混合することにより、硬化性組成物を連続的に調製し、該硬化性組成物を、スプレイガンのノズルから成形型にスプレイ塗布する。この際、必要に応じて、ガラスロービングを切断したガラスチョップのようなガラス繊維に代表される補強材を、たとえばノズルの外側に供給して硬化性組成物と混合し、スプレイ塗布するなどの方法により、配合してもよい。硬化性組成物は、成形型の表面で硬化して、樹脂層やゴム層のような硬化高分子層を形成する。硬化は、室温で行っても、加熱によって硬化を促進してもよい。1回のスプレイ塗布により厚さ0.5〜2mmの高分子層が形成されるので、必要な厚さの高分子層を得るためには、数回のスプレイ塗布を反復して、順次硬化させることにより、高分子層を積層する必要がある。
【0025】
スプレイ塗布の代わりに、刷毛塗りや含浸ロールを用いるハンドレイアップ成形などの方法により、同様に硬化性組成物を成形型に塗布して順次硬化させ、高分子層を積層させてもよい。
【0026】
【実施例】
以下、本発明を、実施例によってより詳細に説明する。実施例および比較例において、部は、重量部を表す。ただし、イソシアネート化合物の配合量は、イソシアネートインデックス、すなわち(A)成分および(B)成分の水酸基およびアミノ基、ならびに鎖延長剤のアミノ基を合計した官能基1個あたりの、イソシアナト基の数を百分率で表す。本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
【0027】
実施例および比較例に用いた(A)〜(C)成分、触媒およびその他の成分の内容は、次のとおりである。なお、下記の略称を用いる。
PO:オキシプロピレン単位
A−1:プロピレングリコール・PO付加物、末端水酸基数2、重量平均分子量700
A−2:グリセリン・PO付加物、末端水酸基数3、重量平均分子量250
A−3:ポリオキシプロピレンジアミン、アミノ基数2、重量平均分子量2,000
A−4:トリメチロールプロパン・PO付加物、末端アミノ基数3、重量平均分子量440
B−1:モル比1:4のイソフタル酸およびアジピン酸と、1,6−ヘキサンジオールの重縮合によるポリエステル、少量のトリメチロールプロパンを出発物質に加えることにより、分子中の平均水酸基数3、重量平均分子量700
C−1:ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート
C−2:分子末端がジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネートに由来するイソシアナト基であり、ポリオキシプロピレン鎖を有するプレポリマー、NCO当量182.6
D−1:2−メチルトリエチレンジアミン
D−2:トリエチレンジアミン・ジプロピレングリコール(1:2)溶液
D−3:1−イソブチル−2−メチルイミダゾール
D−4:ジブチルスズジラウレート
D−5:2−エチルヘキサン酸・ジエチレングリコール(3:1)溶液
E−1:3,5−ビス(メチルチオ)−2,4−トルエンジアミンと3,5−ビス(メチルチオ)−2,6−トルエンジアミンの80:20混合物
E−2:ジエチルトルエンジアミン
【0028】
実施例および比較例の硬化性組成物は、次のようにして評価した。
(1)タックフリータイム
アルミニウム製の300mmx300mmのテストピース型に、樹脂の厚さが1mmになるように、吐出量とスプレイガンの移動速度を調節して、硬化性組成物をスプレイ塗布し、これを3回繰返して室温で放置し、第1層を形成した。3分経過後、同様の塗布を2回繰返して室温で放置し、第2層を形成した。第2層を形成した後、室温で放置し、指触により指紋がつかなくなった時間をタックフリータイムとした。
(2)層間剥離性
タックフリータイムの測定の際に、第1層と第2層の間の室温における層間剥離の有無を目視で確認した。ついで、得られたテストピースを、80℃の加熱器中に入れて1時間加熱し、加熱後の層間剥離の有無を目視で確認した。
(3)ゲルコート密着性
タックフリータイムの測定に用いたテストピース型に、2液硬化型ウレタン系塗料であるゲルコート(日本ビーケミカル(株)製、主剤R240−01、硬化剤R−255、シンナーT−701)を塗布して硬化させ、その上に、厚さ1mmになるように、硬化性組成物をスプレー塗布した。これを3回繰返して、45℃で30分放置し、塗膜を得た。この塗膜について、JIS K 5400の碁盤目テープ法に順じてゲルコート密着性の測定を行った。ただし、数値は、100個の碁盤目に対する剥離した碁盤目の数を分子として示した。
(4)機械的性質
テストピースの引張強さ、伸び、曲げ強さおよび曲げ弾性率を、それぞれ表1に記載したJISによって測定した。
【0029】
実施例1〜3、比較例1〜3
2種のポリエーテルポリオールを用い、その相互の比、および該ポリエーテルポリオールに対する各種添加剤および触媒の配合量を一定にして、適正量のポリエステルポリオールを配合した実施例1〜3、ポリエステルポリオールを配合しない比較例1、少量を配合した比較例2、および過剰に配合した比較例3のプレミックスを、撹拌混合機によって調製した。それぞれのプレミックスとイソシアネート化合物をスプレイガンに定量供給して、スプレイガンのミキシングヘッド中で連続的に硬化性組成物を調製しつつ、前述の評価方法に応じてノズルから塗布して、硬化させて得られたテストピースの評価を行った。すなわち、タックフリータイムの測定法によって2層の樹脂層を形成し、タックフリータイムと層間剥離性の評価を行った。また、別途、ゲルコート密着性および機械的性質の評価を行った。硬化性組成物の組成および評価結果は、表1に示すとおりであった。
【0030】
【表1】
【0031】
実施例4,5、比較例4,5
ポリエーテルポリアミンを用い、その相互の比、および該ポリエーテルポリアミンに対する各種添加剤の配合量を一定にして、適正量のポリエステルポリオールを配合した実施例4,5、ポリエステルポリオールを配合しない比較例4、および過剰のポリエステルポリオールを配合した比較例5の硬化性組成物について、実施例1〜3および比較例1〜3と同様に、プレミックスの調製、硬化性組成物の調製、および硬化させて得られたテストピースの評価を行った。硬化性組成物の組成および評価結果は、表2に示すとおりであった。
【0032】
【表2】
【0033】
ポリエステルポリオールを配合しない比較例1および比較例4の硬化性組成物、ならびに少量のポリエステルポリオールを配合した比較例2の硬化性組成物から得られた樹脂成形体は、いずれも加熱後に層間剥離を生じ、ゲルコート密着性も劣っていた。また、過剰量のポリエステルポリオールを配合した比較例3および比較例5においては、ポリエーテルポリオールまたはポリエーテルポリアミンに該ポリエステルポリオールおよび触媒を配合したプレミックスの粘度が上昇し、イソシアネート化合物をミキシングヘッド中で均一に混合できなかったので、均質な硬化性組成物が得られず、樹脂は非硬化部分を含む不均質なものであった。
【0034】
これに対して、適正量のポリエステルポリオールを配合した実施例1〜5の硬化性組成物から得られた樹脂成形体は、加熱後も層間剥離が認められず、ゲルコート密着性も優れており、タックフリータイムはほぼ同等であった。また、ポリエステルポリオールの配合により、機械的性質の向上が認められた。
【0035】
【発明の効果】
本発明により、積層硬化させる方法によってポリウレタンまたはポリウレア系の高分子成形体を製造する際に、硬化速度を下げることなく、硬化した高分子層に対する未硬化高分子層の接着性を向上させて、層間剥離や膨れがなく、あらかじめ処理されたゲルコートに対する優れた密着性を示す高分子成形体を得ることができる。また、本発明によって得られた高分子成形体は、優れた機械的性質を有する。
【0036】
本発明の製造方法は、スプレイアップ成形のような積層硬化させる方法によって、各種の成形品、特に自動車バンパー、建材、ディスプレイ用成形品のような大形成形品を製造するのに極めて有用であり、その工業的価値は高い。
Claims (5)
- (A)分子中に少なくとも2個の、水酸基およびアミノ基からなる群より選ばれる官能基を有するポリエーテル 100重量部;
(B)ポリエステルポリオール 1.0〜10.0重量部;および
(C)分子中に少なくとも2個のイソシアナト基を有するイソシアネート化合物
必要量
を含み、(A)1分子あたりの官能基の数および/または(C)1分子あたりのイソシアナト基の数が、平均2個を越える硬化性組成物を、積層硬化させることを特徴とする、ポリウレタンまたはポリウレア系高分子成形体の製造方法。 - 高分子成形体が樹脂成形体である、請求項1記載の製造方法。
- (B)が2.0〜6.0重量部である、請求項1または2記載の製造方法。
- 硬化性組成物を積層硬化させる方法がスプレーアップ工法である、請求項1〜3のいずれか1項記載の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法によって製造された高分子成形体。
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