JP2004136155A - ダム放流水改質装置およびダム放流水改質方法 - Google Patents

ダム放流水改質装置およびダム放流水改質方法 Download PDF

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梨子木 久恒
Kazunori Yaretsu
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Abstract

【課題】電源などの動力源を使用することなくダム放流水の水質を改善することができ、耐久性にも優れたダム放流水改質技術を提供する。
【解決手段】放流用取水口3aから流入したダム湖2の水は放流用管路3、止水弁4および放流管5を経由して、ダム1の下流側に配置された堤外バルブ室6b内へ送り込まれ、その一部は止水弁13を通過してダム放流水改質装置7へ送給され、残部はコーンスリーブバルブ8で水勢、水量を調整されて水槽9内に放流される。ダム放流水改質装置7へ送給されたダム放流水は放流水送給路14を通過して微細気泡発生器12内へ流入して改質処理され微細気泡含有水BWとなって水槽9内へ放出され、ダム放流水と混合された後、放流水路10,11を経由して余剰水、維持用水、上水用水などとして放流される。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダム放流水の流下水域の水質を魚介類などの生息に適した水質に改善する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
図17に示すように、一般にダム90の上流側には流れ込む水によってダム湖91が形成されており、梅雨などの増水時期にはダム90の上部に設けられた越流部90aよりダム湖90の水は放流されるが、平常時はダム90に設けられた複数の放流用取水口92aから放流用管路92を経由して下流側へ放流されている。放流用管路92は堤内バルブ室94a内の止水弁93を経由して、堤外バルブ室94bへ配管されている。
【0003】
放流用取水口92aから流入したダム湖91の水は放流用管路92および止水弁93を通り、ダム90の下流側に配置された堤外バルブ室94b内のコーンスリーブバルブ95によって水勢、水量が調整されて水槽96内に放流された後、放流水路97,98などを経由し余剰水、維持用水、上水用水などとして放流されている。
【0004】
ダム湖91に貯留されている水に溶存している酸素は、ダム湖91の底部に流入する有機物を分解する微生物によって消費されていくため、時間経過に伴って溶存酸素量は徐々に減少していく傾向にあり、ダム湖91における滞留時間の長期化に伴って酸素不足の状態となっている。
【0005】
一方、ダム湖91からの放流水に空気が混在していると放流過程においてキャビテーション・エロージョンなどを生じて放流用管路92などを破損するおそれがあるため、放流経路を通過中の放流水に空気が混入するのを防止する様々な工夫がなされている。したがって、通常の河川を流れる水に比べ、ダム放流水は極度の酸素不足状態となっている。
【0006】
このように酸素不足状態にあるダム湖91の水を下流域へ放流しているため、ダム放流水が流れ込む河川の水質は徐々に悪化していき、魚介類やその他の水棲生物が生息できない状態となっているのが実状である。なお、ダム放流水が流入する河川の水質が悪化する原因は溶存酸素量の極度の低下と富栄養化にあるものと考えられる。
【0007】
従来、河川や閉鎖水域などの水質を改善する技術としては、プランジャポンプを用いるとともにセラミックスおよび磁石などを併用して水中へ微細気泡を送り込むもの(例えば、特許文献1参照。)、ブロワーを用いて微細気泡を供給するもの(例えば、特許文献2参照。)あるいは旋回気液混合流形成装置を用いて発生させた微細気泡を水中へ供給するもの(例えば、特許文献3参照。)などがある。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−79557号公報(第4−6頁、第3図)
【特許文献2】
特開2001−321790号公報(第3−5頁、第1図)
【特許文献3】
特開平9−314190号公報(第3−5、第2図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1,2に記載されている浄化装置はいずれもモータで稼動するものであるため、実際に使用する場合には何らかの電源設備が必要である。また、これらの河川浄化装置は複雑な構造であり部品点数も多いので故障要因も多く、定期的なメンテナンスなども必要であり耐久性にも不安がある。さらに、導入するに当たっては重機の使用や大掛かりな工事などを必要とするので、既設のダムなどに簡単に導入することが困難である。
【0010】
また、特許文献1,2に記載の浄化装置は、水中の溶存酸素を高め、微生物による汚濁物質の分解を促進したり、汚濁物質を酸化安定化したりすることによって水質浄化を行うものであるが、微生物による分解作用は微生物が活発に活動する春から秋までの期間は活発であるものの、冬になると分解作用が大幅に低下するので水質浄化機能が低下することとなり、水棲生物に有害なアンモニアなどを除去する機能もない。さらに、梅雨時期などに汚濁水が流入すると、酸化によって安定化された汚濁物質が還元されて河川水中へ再溶出するおそれもある。
【0011】
特許文献3に記載の浄化装置は、数μm〜数100μmの径を有する微細気泡を水中へ供給することができるので、特許文献1,2に記載の浄化装置より優れた浄化機能を発揮するのであるが、水と空気との混合物を当該浄化装置に送給する方式であるため、水の送給経路に何らかの空気混合手段を設ける必要がある。また、水と空気との混合物の通過経路などにおいてはキャビテーションが発生しやすくなるので、キャビテーション・エロージョンや振動などの弊害が生じる可能性が高い。
【0012】
また、特許文献3に記載の浄化装置においては、有蓋円筒体内に出現する竜巻状または縄状の気液分離形状(負圧空洞部)の上端部分が有蓋円筒体の蓋部内面に接触しているため、この接触部分にキャビテーション・エロージョンが発生しやすく、短期間のうちに蓋部などが破壊されるおそれがある。
【0013】
本発明が解決しようとする課題は、電源などの動力源を使用することなくダム放流水の水質を改善することができ、耐久性にも優れたダム放流水改質装置と、微細気泡含有水を放出する機能を有する装置を用いたダム放流水改質方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る第1のダム放流水改質装置は、中心軸の周りを流体が旋回可能な筒状旋回室と、筒状旋回室の周面の接線方向から筒状旋回室内に水を導入するため筒状旋回室の周面に開設された水導入口と、筒状旋回室内へ空気を供給するため筒状旋回室の中心軸方向の一方の隔壁に開設された空気導入口と、筒状旋回室から流体を放出するため筒状旋回室の中心軸方向の他方の隔壁に開設された流体放出口とを有する微細気泡発生器と、微細気泡発生器の水導入口へダム放流水の少なくとも一部を送給する放流水送給路と、微細気泡発生器の空気導入口へ空気を送給する空気導入路とを備えたことを特徴とする。
【0015】
放流水送給路を経由して送給されるダム放流水を水導入口を経由して筒状旋回室内へ導入すると、ダム放流水が有する水頭差エネルギにより筒状旋回室内に旋回流が発生し、この旋回流のほぼ中心軸に沿って両端が括れた円筒状の負圧空洞部が出現し、この負圧空洞部の一方の端部は筒状旋回室の一方の隔壁にある空気導入口付近に位置するとともに負圧空洞部の他方の端部は筒状旋回室の他方の隔壁にある流体放出口付近に位置する。このため、負圧空洞部の負圧によって空気導入口付近にも負圧が生じ、この負圧に起因する吸引力により空気導入路を経由して吸引された空気が空気導入口から筒状旋回室内の負圧空洞部内へ流入し、筒状旋回室内に導入された放流水とともに旋回流を形成する。
【0016】
負圧空洞部内へ流入した空気は、筒状旋回室内に発生している旋回流に連行され流体放出口から放出されるのであるが、このとき、負圧空洞部の流体放出口側の端部において旋回流によってねじ切られて微細気泡となり、旋回流を形成する水とともに流体放出口から微細気泡含有水となって放出される。
【0017】
一方、負圧空洞部と旋回流の気液界面付近における旋回流内の液圧は負圧空洞部の負圧によって減圧されるため、旋回流を形成するダム放流水中に溶存している窒素、アンモニアなどの空気は減圧沸騰現象によって微細気泡となって旋回流中に出現するとともに、これらの微細気泡は気液の比重差により旋回流の中心軸付近に集積され、負圧空洞部内へ気化した後、微細気泡含有水とともに流体放出口から放出されることで、水中を浮上して大気中への放散が可能となるため、過剰の窒素などを除去することができる。
【0018】
また、旋回流中にアンモニアが溶存している場合、前述の減圧沸騰現象により微細気泡となって旋回流中に出現し、これらの微細気泡は気液の比重差により、旋回流の中心軸付近に集積され負圧空洞部分内へと気化するが、負圧空洞部内へ気化したアンモニアは減圧されることによって反応式2NH⇔N+3Hの平衡状態が右に移動して窒素と水素とに分解されるため、ダム放流水中に溶存しているアンモニアを分解除去することもできる。
【0019】
微細気泡発生器から放出される微細気泡含有水は従来のダム放流水よりも溶存酸素量が大幅に増大しているだけでなく、過剰な窒素などは除去され、水棲生物に有害なアンモニアなども分解除去された状態にあり、微細気泡により浮遊物を凝集沈殿させたり、凝集浮上させたりする作用も具備しているため、このような微細気泡含有水をダム放流水に混入させて放流することによりダム放流水の水質を大幅に改善することができる。
【0020】
このように第1のダム放流水改質装置を構成する微細気泡発生器は、ダム放流水が有する水頭差エネルギを利用して微細気泡含有水を生成するため、電源などの動力源を使用することなくダム放流水の水質を改善することができる。また、このダム放流水改質装置は、空気溶存量が極めて少ない状態にあるダム放流水をそのまま放流水送給路を経由して導入するので、放流水送給経路などにキャビテーション・エロージョンなどが発生しない。さらに、微細気泡発生器の筒状旋回室内に出現する負圧空洞部の一方の端部から空気を導入しながら他方の端部の延長方向に向かって微細気泡含有水を放出するのでこの負圧空洞部は筒状旋回室の中心軸付近に安定的に存在し続け、その両端もそれぞれ空気導入口付近および流体放出口付近に安定的に位置して壁面などに接触することがないので、微細気泡発生器内においてもキャビテーション・エロージョンが発生せず、耐久性に優れている。
【0021】
また、本発明に係る第2のダム放流水改質装置は、中心軸の周りを流体が旋回可能な筒状旋回室と、筒状旋回室内へ水を導入するため筒状旋回室の一方の隔壁から筒状旋回室内へ突設され筒状旋回室の中心軸に対してねじれの位置をなす方向へ水を噴出可能な水噴出口を設けた水導入管と、水導入管側から筒状旋回室内の中心軸に沿って空気を供給するため筒状旋回室に連通して設けられた空気導入管と、筒状旋回室から流体を放出するため筒状旋回室の中心軸方向の他方の隔壁に開設された流体放出口とを有する微細気泡発生器と、微細気泡発生器の水導入管へダム放流水の少なくとも一部を送給する放流水送給路と、微細気泡発生器の空気導入管へ空気を送給する空気導入路とを備えたことを特徴とする。
【0022】
このような構成とすることにより、放流水送給路から微細気泡発生器の水導入管を経由して導入されたダム放流水を水噴出口から筒状旋回室内へ噴出させると、筒状旋回室内に旋回流が形成されるとともにその中心軸付近に負圧空洞部が出現し、前述した第1のダム放流水改質装置と同様の作用により、空気導入管を通して空気が筒状旋回室内へ吸い込まれ、流体放出口から微細気泡含有水が放出されるため、ダム放流水の改善を行なうことができる。また、筒状旋回室内に突設した水導入管の水噴出口から筒状旋回室の中心軸に対してねじれの位置をなす方向へ水を噴出するので、筒状旋回室内への水導入量が増加しても旋回流の形成に悪影響を及ぼすことがなく、大量のダム放流水を改質する場合に好適である。
【0023】
このダム放流水改質装置においては、水導入管および流体放出口を筒状旋回室の中心軸と同軸上に配置することにより、水導入管の配管方向と筒状旋回室の中心軸方向とを一致させることが可能であるため装置のコンパクト化を図ることができ、特に、複数のダム放流水改質装置を配置する必要がある場合に、配置スペースの増大を最小限に抑制することができる。
【0024】
また、本発明に係る第3のダム放流水改質装置は、中心軸の周りを流体が旋回可能な筒状旋回室と、筒状旋回室の周面の接線方向から筒状旋回室内に水を導入するため筒状旋回室の周面に開設された水導入口と、筒状旋回室から流体を放出するため筒状旋回室の中心軸方向の両隔壁に開設された流体放出口と、流体放出口に開口部を臨ませて配置した空気供給管とを有する微細気泡発生器と、微細気泡発生器の水導入口へダム放流水の少なくとも一部を送給する放流水送給路と、微細気泡発生器の空気供給管へ空気を導入する空気導入路とを備えたことを特徴とする。
【0025】
このような構成において、放流水送給経路から微細気泡発生器の水導入口を経由して筒状旋回室内へダム放流水を送給すると、ダム放流水が有する水頭差エネルギにより筒状旋回室内に旋回流が発生し、この旋回流のほぼ中心軸に沿って両端が括れた円筒状の負圧空洞部が出現し、負圧空洞部の両端部はそれぞれ筒状旋回室の両方の隔壁にある流体放出口付近に位置した状態となる。
【0026】
このような負圧空洞部と旋回流の気液界面付近における旋回流内の液圧は負圧空洞部の負圧によって減圧されるため、旋回流を形成するダム放流水中に溶存している窒素、アンモニアなどの空気は減圧沸騰現象によって微細気泡となって旋回流中に出現するとともに、これらの微細気泡は気液の比重差により旋回流の中心軸付近に集積され、負圧空洞部内へ気化した後、微細気泡含有水となって流体放出口から放出されることで、水中を浮上し大気中への放散が可能となるため、過剰の窒素などを除去することができる。
【0027】
一方、負圧空洞部の存在により流体放出口付近は負圧状態となるため、流体放出口に開口部を臨ませて配置された空気供給管には吸引力が発生し、この吸引力によって空気導入路を経由して吸い込まれた空気が開口部から流体放出口付近に供給されるが、負圧空洞部の負圧によりその端部と空気供給管の開口部との間に空気柱が出現し、この空気柱が流体放出口から放出される旋回流によってねじ切られることによって空気の微細気泡が発生し、前述した微細気泡含有水中に溶け込んで放出されるため、ダム放流水の改善を行なうことができる。
【0028】
また、旋回流中にアンモニアが溶存している場合、前述の減圧沸騰現象により微細気泡となって旋回流中に出現し、これらの微細気泡は気液の比重差により、旋回流の中心軸付近に集積され負圧空洞部分内へと気化するが、負圧空洞部内へ気化したアンモニアは減圧されることによって反応式2NH⇔N+3Hの平衡状態が右に移動して窒素と水素とに分解されるため、ダム放流水中のアンモニアを分解除去することもできる。
【0029】
第3のダム放流水改質装置の場合、流体放出口は筒状旋回室の中心軸方向の両隔壁に合計2カ所開設されているため、流入量の増大にも対処可能であり、大量のダム放流水を改質することができる。空気供給管は流体放出口に開口部を臨ませて配置しているため、万一、空気導入路が閉塞して空気の供給が停止することがあっても筒状旋回室内の負圧が異常増大することがなく、負圧による微細気泡発生器の破壊を回避することができる。
【0030】
さらに、本発明に係る第4のダム放流水改質装置は、中心軸の周りを流体が旋回可能な筒状旋回室と、筒状旋回室の周面の接線方向から筒状旋回室内に水を導入するため筒状旋回室の周面に開設された水導入口と、筒状旋回室内へ空気を供給するため水導入口に臨む位置に設けられた空気導入口と、筒状旋回室から流体を放出するため筒状旋回室の中心軸方向の他方の隔壁に開設された流体放出口とを有する微細気泡発生器と、微細気泡発生器の水導入口へダム放流水の少なくとも一部を送給する放流水送給路と、微細気泡発生器の空気導入口へ空気を送給する空気導入路とを備えたことを特徴とする。
【0031】
このような構成とすることにより、放流水送給路から微細気泡発生器の水導入口を経由して筒状旋回室内へダム放流水を送給すると、前述した第1のダム放流水改質装置と同様の作用により、筒状旋回室内に旋回流および負圧空洞部が生じ、空気導入路から空気導入口を経由して筒状旋回室内へ空気が吸い込まれ、流体放出口から微細気泡含有水となって放出されるため、ダム放流水の改善を行なうことができる。また、空気導入口が水導入口に臨む位置に設けられているため、旋回室内に形成される負圧空洞部の負圧が極度に高まることがあっても水中の浮遊物などが空気導入口へ吸引されることがなく、浮遊物による空気導入路の閉塞が生じない。なお、第3のダム放流水改質装置では、空気供給管はその開口部を流体放出口に臨ませ、筒状旋回室の外部に露出した状態で配置されているが、このダム放流水改質装置では、外部に露出しない位置に空気導入口を配置しているため、取り扱いも容易である。
【0032】
また、筒状旋回室の中心軸方向の一方の隔壁に開設された空気導入口を、筒状旋回室の中心軸に沿って内側へ突出させて配置するとともに、筒状旋回室の周面と空気導入口との間に凹曲面を設けることが望ましい。このような構成とすれば、筒状旋回室内に形成される負圧空洞部の一方の端部は流体放出口に位置し、他方の端部は筒状旋回室内側に突出した空気導入口に安定的に位置するようになるため、負圧空洞部の空気導入口側の端部が不安定に移動して筒状旋回室の隔壁にキャビテーション・エロージョンなどが生じるのを防止することができる。
【0033】
次に、本発明のダム放流水改質方法は、ダム放流水の少なくとも一部および空気を導入し、ダム放流水の水頭差エネルギを利用して微細気泡含有水を放出する機能を有するダム放流水改質装置をダム下流に設置し、ダム放流水の少なくとも一部および空気をダム放流水改質装置に送給しダム放流水改質装置から放出される微細気泡含有水をダム放流水に混入させて放流することを特徴とする。
【0034】
このような構成とすることにより、前述と同様の理由に基づき、電源などを用いることなくダム放流水の水質を大幅に改善することができる。この場合、前記ダム放流水改質装置として、前述した第1〜第4のダム放流水改質装置のいずれかを使用することが望ましい。
【0035】
また、第1〜第4のダム放流水改質装置を構成する微細気泡発生器をダム放流水の流下水域内に浸漬することが望ましい。このような構成とすれば、前記放流水導出口から流出する微細気泡含有水を水圧が加わった状態でダム放流水に混入させて放流することができるため、溶存酸素量のさらなる増大を図ることができるとともにBOD,COD,SS,T−Nを低減することができる。
【0036】
この場合、微細気泡発生器を水深0.5m〜1.0m程度の比較的浅い位置に配置すれば大気中への窒素などの排出が速やかに行われるが、水深8.0m〜10.0m程度の比較的深い位置に配置すれば負圧による空気自吸機能が低下するので、0.5m〜6.0m程度が好適である。
【0037】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第1実施形態であるダム放流水改質装置の構成を示す図、図2は図1の要部拡大図、図3は図1に示すダム放流水気質装置を構成する微細気泡発生器の斜視図、図4は図3におけるA−A線断面図、図5は図3に示す微細気泡発生器の筒状旋回室の中心軸を含む断面図、図6は図3に示す微細気泡発生器における微細気泡含有水の生成状態を示す説明図である。
【0038】
図1に示すように、ダム1の上流側にはダム湖2が形成され、梅雨などの増水時期にはダム1の上部に設けられた越流部1aよりダム湖2の貯留水が放流されるが、平常時はダム1に設けられた複数の放流用取水口3aから放流用管路3を経由して下流側へ放流されている。放流用管路3の開閉は、ダム1の堤内バルブ室6a内に設けられた止水弁4を操作することによって行われている。
【0039】
放流用取水口3aから流入したダム湖2の水は、放流用管路3、止水弁4および放流管5を経由して、ダム1の下流側に配置された堤外バルブ室6内へ送り込まれ、その一部は止水弁13を経てダム放流水改質装置7へ送給され、残部はコーンスリーブバルブ8で水勢、水量を調整されて水槽9内に放流される。ダム放流水改質装置7へ送給されたダム放流水は放流水送給路14を通過して微細気泡発生器12内へ流入して改質処理された後、水槽9内へ放出され、ダム放流水と混合された後、放流水路10,11を経由し余剰水、維持用水、上水用水などとして放流される。
【0040】
図2に示すように、ダム放流水改質装置7を構成する微細気泡発生器12は、その全体が水槽9内の水Wの中に浸漬された状態を保つ位置に配置され、水槽9の内壁に打ち込まれたアンカー部材18に係止された固定バンド17を巻き付けることによって固定されている。微細気泡発生器12は、後述する図3〜図5に示す空気導入口22を上に向け、流体放出口24を下に向け、筒状旋回室19の中心軸19cが垂直になる姿勢で固定されている。空気導入口22には垂直な空気導入路15が連結され、空気導入路15の上端は空気導入部16として大気中に開口している。空気導入路15には、空気供給量を調整するための空気量調整バルブ27と、空気の供給状態を表示する負圧計28および流量計29が取り付けられている。
【0041】
図3〜図5に示すように、微細気泡発生器12は、中心軸19cの周りを流体が旋回可能な筒状旋回室19と、筒状旋回室19の周面19a接線方向から筒状旋回室19内に水(ダム放流水)を導入するため筒状旋回室19の周面に開設された水導入口20と、筒状旋回室19内へ空気を供給するため筒状旋回室19の中心軸19c方向の一方の隔壁21の中心に開設された空気導入口22と、筒状旋回室19から流体を放出するため筒状旋回室19の中心軸19c方向の他方の隔壁23の中心に開設された流体放出口24とを有している。そして、微細気泡発生器12の水導入口20へダム放流水の少なくとも一部を送給するための放流水送給路14と、空気導入口22へ空気を送給するための空気導入路15とを設けることによってダム放流水改質装置7が形成されている。
【0042】
放流水送給路14を経由して送給されるダム放流水を水導入口20を経由して筒状旋回室19内へ導入すると、ダム放流水が有する水頭差エネルギにより、図4に示すように筒状旋回室19内に旋回流Rが発生し、図6に示すように、この旋回流Rのほぼ中心軸に沿って下端が括れた円筒状の負圧空洞部Vが出現し、この負圧空洞部Vの上端部は筒状旋回室19の上方の隔壁21にある空気導入口22付近に位置するとともに負圧空洞部Vの下端部は筒状旋回室19の下方の隔壁23にある流体放出口24付近に位置する。
【0043】
このため、負圧空洞部Vの負圧によって空気導入口22付近にも負圧が生じ、この負圧に起因する吸引力により空気導入路15を経由して大気中から吸引された空気が空気導入口22から筒状旋回室19内の負圧空洞部V内へ連続的に流入し、筒状旋回室19内に導入された放流水とともに旋回流Rを形成する。
【0044】
負圧空洞部V内へ流入した空気は、筒状旋回室19内に発生している旋回流Rに連行され流体放出口24から放出されるのであるが、このとき、負圧空洞部Vの流体放出口24側の端部において旋回流Rによってねじ切られて微細気泡となり、旋回流Rを形成する水とともに流体放出口24から微細気泡含有水BWとなって流体放出口24から水槽9内へ放出される。
【0045】
一方、負圧空洞部Vと旋回流Rの気液界面付近における旋回流R内の液圧は負圧空洞部Vの負圧によって減圧されるため、旋回流Rを形成するダム放流水中に溶存している窒素、アンモニアなどの空気は減圧沸騰現象によって微細気泡となって旋回流R中に出現するとともに、これらの微細気泡は気液の比重差により旋回流の中心軸付近に集積され、負圧空洞部V内へ気化した後、微細気泡含有水BWとともに流体放出口24から放出され、やがて水W中を浮上して大気中へ放散されるため、ダム放流水中の過剰な窒素などを除去することができる。
【0046】
また、旋回流R中にアンモニアが溶存している場合、前述の減圧沸騰現象により微細気泡となって旋回流R中に出現し、これらの微細気泡は気液の比重差により、旋回流Rの中心軸付近に集積され負圧空洞部V内へと気化するが、負圧空洞部V内へ気化したアンモニアは減圧されることによって反応式2NH⇔N+3Hの平衡状態が右に移動して窒素と水素とに分解されるため、ダム放流水中のアンモニアを分解除去することもできる。
【0047】
以上のようにして微細気泡発生器12から放出される微細気泡含有水BWは従来のダム放流水よりも溶存酸素量が大幅に増大しているだけでなく、過剰な窒素などは除去され、水棲生物に有害なアンモニアなども分解除去され水質が改善された状態にあり、微細気泡含有水BW中に存在する微細気泡により水中の浮遊物を凝集沈殿させたり、凝集浮上させたりする作用も具備しているため、このような微細気泡含有水BWをダム放流水に混入させて放流することによりダム放流水全体の水質を大幅に改善することができる。
【0048】
なお、図2に示すように、水槽9の下流側壁面には垂直断面が逆L字状の仕切板25を設けているため、微細気泡含有水BW中の微細気泡の働きにより凝集浮上した浮遊物Fは放流水路10の方へ流れ込むが、放流水路11へ流入することはない。本実施形態において、微細気泡発生器12を水槽9内の水深1.0m程度の比較的浅い位置に配置したところ、大気中への窒素などの排出が速やかに行われた。
【0049】
ダム放流水改質装置7を構成する微細気泡発生器12は、ダム放流水が有する水頭差エネルギを利用して微細気泡含有水BWを生成することができるため、電源などの動力源を一切使用することなくダム放流水の水質を改善することができる。また、このダム放流水改質装置7は、空気溶存量が極めて少ない状態にあるダム放流水をそのまま放流水送給路14を経由して導入するので、放流水送給経路14などにキャビテーション・エロージョンなどが発生せず、耐久性に優れている。
【0050】
また、図5に示すように、筒状旋回室19の隔壁21に開設された空気導入口22を、筒状旋回室19の中心軸19cに沿って内側へ突出させて配置するとともに、筒状旋回室19の周面19aと空気導入口22との間に滑らかに連続した凹曲面26を設けており、図6に示すように、筒状旋回室19内に形成される負圧空洞部Vの上方の端部から空気を導入し、下方の端部の延長方向に向かって微細気泡含有水BWを放出するので、負圧空洞部Vは筒状旋回室19の中心軸19c付近に安定的に存在し続け、その下方の端部も流体放出口24付近に安定的に位置するとともに、上方の端部も筒状旋回室内19側に突出した空気導入口22付近に安定的に位置する。したがって、負圧空洞部Vの空気導入口22側の端部が不安定に移動することがなく、筒状旋回室19の隔壁にキャビテーション・エロージョンなどが生じることもないので優れた耐久性を発揮する。
【0051】
次に、図7を参照して、ダム放流水改質装置7の応用例について説明する。なお、図7において図1〜図6で示した符号と同符号を付した部分の構造、機能などは前述と同様であるため説明を省略する。また、図7においては、図2で示した空気導入路15に取り付けられている空気量調整バルブ27、負圧計28および流量計29は省略している。
【0052】
図7に示す応用例においては、水槽9内に複数のダム放流水改質装置7を配置し、放流管5を通して送給されるダム放流水を放流水送給路14を経由してそれそれの微細気泡発生器12内へ導入して水質の改善を行っている。複数のダム放流水改質装置7を配置しているため、図1で示した減衰弁8などをなくすことが可能であり、放流管5を通して送給されるダム放流水の全てを確実に改質処理して放流することができるため、放流水の水質を大幅に改善することができる。したがって、図7に示す応用例は、放流管5を通して送給されるダム放流水の水量が比較的多い場合や、ダム放流水の水質が悪い場合などに好適である。
【0053】
次に図8〜図11を参照して、本発明の第2実施形態であるダム放流水改質装置30について説明する。本実施形態のダム放流水改質装置30は、微細気泡発生器38と、微細気泡発生器38の水導入管34へダム放流水の少なくとも一部を送給する放流水送給路14と、微細気泡発生器38の空気導入管35へ空気を送給する空気導入路15とを備えている。
【0054】
微細気泡発生器38は、中心軸31cの周りを流体が旋回可能な筒状旋回室31と、筒状旋回室31内へ水を導入するため筒状旋回室31の一方の隔壁32から筒状旋回室31内へ突設され筒状旋回室31の中心軸31cに対してねじれの位置をなす方向へ水を噴出可能な水噴出口33を設けた水導入管34と、水導入管34側から筒状旋回室31内の中心軸31cに沿って空気を供給するため筒状旋回室31に連通して設けられた空気導入管35と、筒状旋回室31から流体を放出するため筒状旋回室31の中心軸31c方向の他方の隔壁36に開設された流体放出口37とを有している。空気導入管35の先端開口部35aは、水導入管34の先端隔壁34aの中心に位置している。
【0055】
ダム放流水改質装置30を図1、図2に示すダム放流水改質装置7と同様に配置し、ダム放流水改質装置30を構成する放流水送給路14を止水弁13に連結し、空気導入路15の上端に空気導入部16を配置する。そして、放流水送給路14および微細気泡発生器38の水導入管34を経由して導入したダム放流水を水噴出口33を通して筒状旋回室31内へ噴出させると筒状旋回室31内に旋回流Rが形成されるとともに中心軸31c付近に負圧空洞部Vが出現し、前述したダム放流水改質装置7と同様の作用により、空気導入路15および空気導入管35を通して吸引された空気が先端開口部35aから筒状旋回室31内へ吸い込まれ、旋回流Rおよび負圧空洞部Vの作用により流体放出口37から微細気泡含有水BWとなって放出されるため、ダム放流水の改善を行なうことができる。
【0056】
微細気泡発生器38の場合、筒状旋回室31内に突設した水導入管34の水噴出口33から筒状旋回室31の中心軸31cに対してねじれの位置をなす方向へ水を噴出する方式であるため、筒状旋回室31内へのダム放流水の導入量が増加しても旋回流Rの形成に悪影響を及ぼすことがなく、比較的大量のダム放流水を改質処理することができる。
【0057】
また、ダム放流水改質装置38においては、水導入管34および流体放出口37を筒状旋回室31の中心軸31cと同軸上に配置し、水導入管34および放流水送給路34の配管方向と筒状旋回室31の中心軸31c方向とを一致させているため装置のコンパクト化を図ることができ、図7で示したように、複数のダム放流水改質装置を配置する場合に配置スペースの増大を最小限に抑制することができる。
【0058】
次に図12〜図15を参照して本発明の第3実施形態であるダム放流水改質装置40について説明する。本実施形態のダム放流水改質装置40は、微細気泡発生器41と、微細気泡発生器41の水導入口43へダム放流水を送給する放流水送給路14と、微細気泡発生器41の空気供給管47へ空気を導入する空気導入路15とを備えている。
【0059】
微細気泡発生器41は、中心軸42cの周りを流体が旋回可能な筒状旋回室42と、筒状旋回室42の周面42aの接線方向から筒状旋回室42内に水を導入するため筒状旋回室42の周面42aに開設された水導入口43と、筒状旋回室42から流体を放出するため筒状旋回室42の中心軸42c方向の両隔壁44,45に開設された流体放出口46と、流体放出口46に開口部47aを臨ませて配置した空気供給管47とを有している。
【0060】
ダム放流水改質装置40を図1、図2に示すダム放流水改質装置7と同様に配置し、ダム放流水改質装置40を構成する放流水送給路14を止水弁13に連結し、空気導入路15の上端に空気導入部16を配置する。このとき、微細気泡発生器41の筒状旋回室42の中心軸42cが水平状態となるように配置する。
【0061】
放流水送給路14から微細気泡発生器41の水導入口43を経由して筒状旋回室42内へダム放流水を送給すると、図13に示すように、ダム放流水が有する水頭差エネルギにより筒状旋回室42内に旋回流Rが発生し、図15に示すように、この旋回流Rのほぼ中心軸に沿って両端が括れた円筒状の負圧空洞部Vが出現し、負圧空洞部Vの両端部はそれぞれ流体放出口46付近に位置した状態となる。
【0062】
この負圧空洞部Vと旋回流Rの気液界面付近における旋回流R内の液圧は負圧空洞部Vの負圧によって減圧されるため、旋回流Rを形成するダム放流水中に溶存している窒素、アンモニアなどの空気は減圧沸騰現象によって微細気泡となって旋回流R中に出現する。そして、これらの微細気泡は気液の比重差により旋回流Rの中心軸付近に集積され、負圧空洞部V内へ気化した後、微細気泡含有水BWとなって流体放出口46から放出された後、水中を上昇して大気中へ放散されるため、過剰の窒素などを除去することができる。
【0063】
一方、負圧空洞部Vの存在により流体放出口46付近は負圧状態となるため、流体放出口46に開口部47aを臨ませて配置された空気供給管47には吸引力が発生し、この吸引力によって空気導入路15を経由して吸い込まれた空気が開口部47aから流体放出口46付近に供給されるが、負圧空洞部Vの負圧によりその端部と空気供給管47の開口部47aとの間に空気柱Pが出現し、この空気柱Pが流体放出口46から放出される旋回流によってねじ切られることによって空気の微細気泡が発生し、前述した微細気泡含有水BW中に溶け込んで放出されるため、ダム放流水の水質改善を行なうことができる。
【0064】
ダム放流水改質装置40の場合、流体放出口46は筒状旋回室42の中心軸42c方向の両隔壁44,45に合計2カ所開設されているため、流入量の増大にも対処可能であり、大量のダム放流水を改質処理することができる。また、空気供給管47は流体放出口46に開口部47aを臨ませて配置しているため、空気導入路15が閉塞して空気の供給が停止することがあっても筒状旋回室42内の負圧が異常増大することがなく、負圧による微細気泡発生器42の破壊を回避することができる。
【0065】
次に図16を参照して本発明の第4実施形態であるダム放流水改質装置50について説明する。本実施形態のダム放流水改質装置50は、微細気泡発生器51と、微細気泡発生器51の水導入口52へダム放流水を送給する放流水送給路14と、微細気泡発生器51の空気導入口53へ空気を導入する空気導入路15とを備えている。
【0066】
微細気泡発生器51は中心軸54cの周りを流体が旋回可能な筒状旋回室54と、筒状旋回室54の周面54aの接線方向から筒状旋回室54内に水を導入するため筒状旋回室54の周面54aに開設された水導入口52と、筒状旋回室54内へ空気を供給するため水導入口52に臨む位置に設けられた空気導入口53と、筒状旋回室54から流体を放出するため筒状旋回室54の中心軸54c方向の一方の隔壁55に開設された流体放出口56とを有する。
【0067】
ダム放流水改質装置50の流体放出口56を下に向け、中心軸54cが垂直状態となるようにして、図1で示したダム放流水改質装置7のように配置し、放流水送給路14から微細気泡発生器の水導入口52を経由して筒状旋回室54内へダム放流水を送給すると、前述したダム放流水改質装置7と同様の作用により、筒状旋回室54内に旋回流Rおよび負圧空洞部Vが出現し、空気導入路15を通じて吸い込まれた空気が空気導入口53から筒状旋回室54内へ供給され、流体放出口56から微細気泡含有水BWとなって放出されるため、ダム放流水の水質改善を行なうことができる。
【0068】
空気導入口53が水導入口52に臨む位置に設けられているため、旋回室54内に形成される負圧空洞部Vの負圧が極度に高まることがあっても水中の浮遊物などが空気導入口53へ吸引されることがなく、浮遊物による空気導入路15の閉塞が生じない。また、ダム放流水改質装置50では、外部に露出しない位置に空気導入口53を配置しているため、取り扱いも容易である。
【0069】
また、筒状旋回室54の中心軸54c方向の他方の隔壁57の中心に、中心軸54cに沿って内側へ突き出した突起部58を設けるとともに、筒状旋回室54の周面54aと突起部58との間に滑らかに連続した凹曲面59を設けているため、筒状旋回室54内に形成される負圧空洞部Vの下方の端部は流体放出口56付近に位置し、上方の端部は突起部58付近に安定的に位置するようになる。したがって、負圧空洞部Vの上端部が不安定に移動して筒状旋回室54の隔壁にキャビテーション・エロージョンなどが生じるのを防止することができる。
【0070】
以上の実施の形態においては、ダム湖から放流される放流水を改質する場合について説明しており、本発明の改質対象物である水はダム放流水であるが、水頭差があって自然に落下あるいは流下する水であれば、例えば、水門や樋門から流下する水、干満差によって移動、落下する海水などの改質手段としても応用することができる。
【0071】
【発明の効果】
本発明により、以下の効果を奏する。
【0072】
(1)中心軸の周りを流体が旋回可能な筒状旋回室と、筒状旋回室の周面の接線方向から筒状旋回室内に水を導入するため筒状旋回室の周面に開設された水導入口と、筒状旋回室内へ空気を供給するため筒状旋回室の中心軸方向の一方の隔壁に開設された空気導入口と、筒状旋回室から流体を放出するため筒状旋回室の中心軸方向の他方の隔壁に開設された流体放出口とを有する微細気泡発生器と、微細気泡発生器の水導入口へダム放流水の少なくとも一部を送給する放流水送給路と、微細気泡発生器の空気導入口へ空気を送給する空気導入路とを備えたことにより、電源などの動力源を使用することなくダム放流水の水質を改善することができ、キャビテーション・エロージョンが発生せず、優れた耐久性を発揮する。
【0073】
(2)中心軸の周りを流体が旋回可能な筒状旋回室と、筒状旋回室内へ水を導入するため筒状旋回室の一方の隔壁から筒状旋回室内へ突設され筒状旋回室の中心軸に対してねじれの位置をなす方向へ水を噴出可能な水噴出口を設けた水導入管と、水導入管側から筒状旋回室内の中心軸に沿って空気を供給するため筒状旋回室に連通して設けられた空気導入管と、筒状旋回室から流体を放出するため筒状旋回室の中心軸方向の他方の隔壁に開設された流体放出口とを有する微細気泡発生器と、微細気泡発生器の水導入管へダム放流水の少なくとも一部を送給する放流水送給路と、微細気泡発生器の空気導入管へ空気を送給する空気導入路とを備えたことにより、前記(1)と同様の効果が得られるほか、比較的大量のダム放流水を改質処理することができ、装置のコンパクト化を図ることができる。
【0074】
(3)中心軸の周りを流体が旋回可能な筒状旋回室と、筒状旋回室の周面の接線方向から筒状旋回室内に水を導入するため筒状旋回室の周面に開設された水導入口と、筒状旋回室から流体を放出するため筒状旋回室の中心軸方向の両隔壁に開設された流体放出口と、流体放出口に開口部を臨ませて配置した空気供給管とを有する微細気泡発生器と、微細気泡発生器の水導入口へダム放流水の少なくとも一部を送給する放流水送給路と、微細気泡発生器の空気供給管へ空気を導入する空気導入路とを備えたことにより、前記(1)と同様の効果が得られるほか、前記(2)よりも大量のダム放流水を改質処理することができ、万一、空気導入路が閉塞して空気供給が停止しても筒状旋回室内の負圧が異常増大することがなく、負圧による微細気泡発生器の破壊を回避することができる。
【0075】
(4)中心軸の周りを流体が旋回可能な筒状旋回室と、筒状旋回室の周面の接線方向から筒状旋回室内に水を導入するため筒状旋回室の周面に開設された水導入口と、筒状旋回室内へ空気を供給するため水導入口に臨む位置に設けられた空気導入口と、筒状旋回室から流体を放出するため筒状旋回室の中心軸方向の他方の隔壁に開設された流体放出口とを有する微細気泡発生器と、微細気泡発生器の水導入口へダム放流水を送給する放流水送給路と、微細気泡発生器の空気導入口へ空気を送給する空気導入路とを備えたことにより、前記(1)と同様の効果が得られるほか、旋回室内に形成される負圧空洞部の負圧が極度に高まっても水中浮遊物などが空気導入口へ吸引されないので、浮遊物による空気導入路の閉塞が生じることがなく、取り扱いも容易である。
【0076】
(5)筒状旋回室の中心軸方向の一方の隔壁に開設された空気導入口を、筒状旋回室の中心軸に沿って内側へ突出させて配置するとともに、筒状旋回室の周面と空気導入口との間に凹曲面を設ければ、筒状旋回室内に形成される負圧空洞部の一方の端部は流体放出口に位置し、他方の端部は筒状旋回室内側に突出した空気導入口に安定的に位置するようになるため、負圧空洞部の空気導入口側の端部が不安定に移動して筒状旋回室の隔壁にキャビテーション・エロージョンなどが生じるのを防止することができる。
【0077】
(6)ダム放流水の少なくとも一部および空気を導入し、ダム放流水の水頭差エネルギを利用して微細気泡含有水を放出する機能を有するダム放流水改質装置をダム下流に設置し、ダム放流水の少なくとも一部および空気をダム放流水改質装置に送給しダム放流水改質装置から放出される微細気泡含有水をダム放流水に混入させて放流することにより、電源などを用いることなくダム放流水の水質を大幅に改善することができる。
【0078】
(7)前記(6)のダム放流水改質装置として前記(1)〜(4)のダム放流水改質装置のいずれかを使用すれば、それぞれ前記(1)〜(4)の効果が得られる。
【0079】
(8)前記(1)〜(4)のダム放流水改質装置を構成する微細気泡発生器をダム放流水の流下水域内に浸漬して配置すれば、放流水導出口から流出する微細気泡含有水を水圧が加わった状態でダム放流水に混入させて放流することができるため、溶存酸素量のさらなる増大を図ることができるとともにBOD,COD,SS,T−Nを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態であるダム放流水改質装置の構成を示す図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】図1に示すダム放流水気質装置を構成する微細気泡発生器の斜視図である。
【図4】図3におけるA−A線断面図である。
【図5】図3に示す微細気泡発生器の筒状旋回室の中心軸を含む断面図である。
【図6】図3に示す微細気泡発生器における微細気泡含有水の生成状態を示す説明図である。
【図7】本発明のその他の実施の形態であるダム放流水発生装置の構成を示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態であるダム放流水改質装置を構成する微細気泡発生器を示す斜視図である。
【図9】図8におけるB−B線断面図である。
【図10】図8に示す微細気泡発生器の筒状旋回室の中心軸を含む断面図である。
【図11】(a)は図10におけるC−C線断面図であり、(b)は図10におけるD−D線断面図である。
【図12】本発明の第3実施形態であるダム放流水改質装置を構成する微細気泡発生器を示す斜視図である。
【図13】図12におけるE−E線断面図である。
【図14】図12に示す微細気泡発生器の筒状旋回室の中心軸を含む断面図である。
【図15】図12に示す微細気泡発生器における微細気泡含有水の生成状態を示す説明図である。
【図16】本発明の第4実施形態であるダム放流水改質装置を構成する微細気泡発生器の筒状旋回室の中心軸を含む断面図である。
【図17】従来のダム放流水の放流状態を示す図である。
【符号の説明】
1 ダム
1a 越流部
2 ダム湖
3 放流用管路
3a 放流用取水口
4,13 止水弁
5 放流管
6a 堤内バルブ室
6b 堤外バルブ室
7,30,40,50 ダム放流水改質装置
8 コーンスリーブバルブ
9 水槽
10,11 放流水路
12,38,41,51 微細気泡発生器
14 放流水送給路
15 空気導入路
16 空気導入部
17 固定バンド
18 アンカー部材
19,31,42,54 筒状旋回室
19a,42a,54a 周面
19c,31c,42c,54c 中心軸
20,43,52 水導入口
21,23,32,36,44,45,55,57 隔壁
22,53 空気導入口
24,37,46,56 流体放出口
25 仕切板
26,59 凹曲面
27 空気量調整バルブ
28 負圧計
29 流量計
33 水噴出口
34 水導入管
34a 先端隔壁
35 空気導入管
35a 先端開口部
47 空気供給管
W 水
R 旋回流
V 負圧空洞部
BW 微細気泡含有水
F 浮遊物
P 空気柱

Claims (8)

  1. 中心軸の周りを流体が旋回可能な筒状旋回室と、前記筒状旋回室の周面の接線方向から前記筒状旋回室内に水を導入するため前記筒状旋回室の周面に開設された水導入口と、前記筒状旋回室内へ空気を供給するため前記筒状旋回室の中心軸方向の一方の隔壁に開設された空気導入口と、前記筒状旋回室から流体を放出するため前記筒状旋回室の中心軸方向の他方の隔壁に開設された流体放出口とを有する微細気泡発生器と、前記微細気泡発生器の水導入口へダム放流水の少なくとも一部を送給する放流水送給路と、前記微細気泡発生器の空気導入口へ空気を送給する空気導入路とを備えたことを特徴とするダム放流水改質装置。
  2. 中心軸の周りを流体が旋回可能な筒状旋回室と、前記筒状旋回室内へ水を導入するため前記筒状旋回室の一方の隔壁から前記筒状旋回室内へ突設され前記筒状旋回室の中心軸に対してねじれの位置をなす方向へ水を噴出可能な水噴出口を設けた水導入管と、前記水導入管側から前記筒状旋回室内の中心軸に沿って空気を供給するため前記筒状旋回室に連通して設けられた空気導入管と、前記筒状旋回室から流体を放出するため前記筒状旋回室の中心軸方向の他方の隔壁に開設された流体放出口とを有する微細気泡発生器と、前記微細気泡発生器の水導入管へダム放流水の少なくとも一部を送給する放流水送給路と、前記微細気泡発生器の空気導入管へ空気を送給する空気導入路とを備えたことを特徴とするダム放流水改質装置。
  3. 中心軸の周りを流体が旋回可能な筒状旋回室と、前記筒状旋回室の周面の接線方向から前記筒状旋回室内に水を導入するため前記筒状旋回室の周面に開設された水導入口と、前記筒状旋回室から流体を放出するため前記筒状旋回室の中心軸方向の両隔壁に開設された流体放出口と、前記流体放出口に開口部を臨ませて配置した空気供給管とを有する微細気泡発生器と、前記微細気泡発生器の水導入口へダム放流水の少なくとも一部を送給する放流水送給路と、前記微細気泡発生器の空気供給管へ空気を導入する空気導入路とを備えたことを特徴とするダム放流水改質装置。
  4. 中心軸の周りを流体が旋回可能な筒状旋回室と、前記筒状旋回室の周面の接線方向から前記筒状旋回室内に水を導入するため前記筒状旋回室の周面に開設された水導入口と、前記筒状旋回室内へ空気を供給するため前記水導入口に臨む位置に設けられた空気導入口と、前記筒状旋回室から流体を放出するため前記筒状旋回室の中心軸方向の他方の隔壁に開設された流体放出口とを有する微細気泡発生器と、前記微細気泡発生器の水導入口へダム放流水の少なくとも一部を送給する放流水送給路と、前記微細気泡発生器の空気導入口へ空気を送給する空気導入路とを備えたことを特徴とするダム放流水改質装置。
  5. 前記空気導入口を、前記筒状旋回室の中心軸に沿って内側へ突出させて配置するとともに、前記筒状旋回室の周面と前記空気導入口との間に凹曲面を設けた請求項1記載のダム放流水改質装置。
  6. ダム放流水の少なくとも一部および空気を導入し、前記ダム放流水の水頭差エネルギを利用して微細気泡含有水を放出する機能を有するダム放流水改質装置をダム下流に設置し、ダム放流水の少なくとも一部および空気を前記ダム放流水改質装置に送給し前記ダム放流水改質装置から放出される前記微細気泡含有水をダム放流水に混入させて放流することを特徴とするダム放流水改質方法。
  7. 前記ダム放流水改質装置として請求項1〜5のいずれかに記載のダム放流水改質装置を用いた請求項6記載のダム放流水改質方法。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載のダム放流水改質装置を構成する微細気泡発生器をダム放流水の流下水域内に浸漬した請求項7記載のダム放流水改質方法。
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