JP2004135096A - 赤外線受信回路および赤外線受信機器 - Google Patents

赤外線受信回路および赤外線受信機器 Download PDF

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Abstract

【課題】小型化が容易で複雑な制御システムを必要としない、製造・維持コストの安価な赤外線受信回路を提供する。
【解決手段】本発明の赤外線受信回路は、増幅器のゲインを、低周波数の入力信号に対する第1ゲインと、高周波数の入力信号に対する第2ゲインとの2段階に調整するラグリードフィルタ回路を備えている。これにより、入力信号の振幅値が周波数に応じて2段階に変化しても、出力信号の振幅値を、信号の周波数によらずに同程度に制御できる。また、ラグリードフィルタ回路を用いているので、ゲインを切り替えるために、スイッチや切り替え信号の入力端子を備えることも、また、増幅器に備えるべき電源を増加させることも、さらに、切り替えのための制御システムも不要となる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、受信した赤外線信号に応じた入力信号を増幅して出力する赤外線受信回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
赤外線通信において、送受信モジュールの小型化,高性能化,通信速度(伝送データレート)の高速化が進んでいる。
これらのうち、通信速度については、従来の低速対応機器との通信互換性を確保するために、低速通信も可能であり、かつ、高速通信可能であることが必要不可欠である。すなわち、1つの送受信モジュールで、低速通信から高速通信までをサポートする必要がある。
【0003】
それについての一番大きな課題は、受信機の性能である。受信機では、通常、通信速度にあわせて、周波数帯域などを最適化する必要がある。従って、1つの受信機で多種の通信速度に対応するためには、何らかの工夫が必要となる。
【0004】
図11は、従来の赤外線通信における受信装置のブロック図(システムブロック図)である。
このような従来の受信装置では、一般的に、フォトダイオードチップPDから入力される光電流信号を、集積化された受信チップ内のアンプamp1・amp2で増幅する。そして、増幅した信号をコンパレータcmp1でパルス整形し、出力端子VOからパルス出力する。なお、出力端子VOからの出力信号は、コントローラLSI(図示せず)に入力(接続)され、処理される。
【0005】
このような受信装置では、通信速度を高速化する場合、アンプamp1・amp2の周波数帯域を拡張することとなる。しかしながら、帯域拡張を行うと、受信機の内部ノイズレベルを増加させてしまう。
【0006】
そこで、一般的に普及している赤外線通信規格IrDAでは、このノイズレベルの変化にあわせて、伝送速度毎に、異なる受信感度および送信信号出力を規定している。
【0007】
すなわち、IrDAでは、2.4Kbps〜115.2Kbpsの低速通信では、4μW/cmの受信感度(受信機感度)を規定している(4μW/cm以上の光信号を受けた場合に、同一のパルス波(例えばHi)を出力する)。
【0008】
一方、115.2kbpsを超える高速通信(576kbps、1.152Mbps、4Mbps、16Mbps)では、受信感度は10μW/cmとなっている。すなわち、高速通信時の受信感度は、低速通信時における1/2.5倍に規定されている。
また、受信感度は、アンプのゲインを減少させることで低減できる(コンパレータに入力させる信号出力を小さくすることで、感度を小さくできる)。
【0009】
また、図12は、IrDAで規定された、様々な通信速度に関する送信信号(受信装置において受信する信号)のスペクトルを示すグラフである。
このグラフに示すように、高周波側の送信信号(高速通信(115.2kbps以上)に使用される信号)の振幅値は、低周波側の信号(低速通信(2.4Kbps〜115.2Kbps)に使用される入力信号)の振幅値に比して大きくなっている。
【0010】
具体的には、高周波側の送信信号の出力値は、100mW/srである一方、低周波側の信号の出力値は、40mW/srである。すなわち、前者の振幅値は、後者の2.5倍となっている。
【0011】
すなわち、IrDAでは、高速通信時においては、アンプの周波数帯域を拡張するとともにそのゲインを下げて受信感度を減少させる一方(これによりノイズの影響を抑制)、入力信号の振幅値を大きくするように設定されている。
これにより、受信側での出力信号(アンプで増幅された後の信号)における振幅値を、適切な値(低速通信時と同様の値)調整できるようになっている。
【0012】
なお、図12に示したスペクトルは、パルスによるベースバンド方式の通信方式に関するものである。また、実際の信号のスペクトルは、DCレベルを含み、また、低周波から高周波まで広がった形状となっている。図12では、簡単のため、基本周波数スペクトルによって代表させて記述している。
【0013】
さて、上記したように、IrDAでは、高速通信時と低速通信時とで、送信信号の出力値が大きく異なっている。
従って、図11に示すような従来の受信装置において、アンプamp2の周波数帯域を拡張する際、上記したような通信速度に応じた感度差(ゲインの差に相当)をつけないと、高速通信時と低速通信時とで、出力信号の振幅値に大差をつけてしまう。
【0014】
ここで、図13は、従来のアンプにおける周波数特性(入力信号の周波数帯域と相対ゲインとの関係)を示すグラフである。
この図に示した周波数特性では、図12に示したほぼ全ての入力信号に関して同様のゲインを有するようになっている。
従って、このような周波数特性を有するアンプ(全ての入力信号に対して同様のゲインを有するアンプ)では、高周波側の入力信号に応じた出力信号を、低周波側のそれよりも2.5倍の振幅値にまで増幅してしまうこととなる。
【0015】
そこで、図11のような従来の装置では、高速通信のためにアンプamp2の周波数帯域を拡張する際、IrDAの規格にあわせて、そのゲインを小さくするよう切り替えるように設定されている。図11に示す切り替え端子MODEは、この切り替え用の端子である。
【0016】
また、図14は、高速・低速のそれぞれの通信速度に応じて最適化された場合における、アンプの周波数特性を示すグラフである。
すなわち、図11に示した装置では、切り替え端子MODEを用いてアンプamp2のゲインを調整することで、図14に示したような周波数特性を得るように設定されている。
【0017】
また、図15は、アンプamp2の構成を示す回路図である。
この図に示すように、アンプamp2は、トランジスタT11・(T12),抵抗R11,容量C11・C12,スイッチS2を備えた1対の増幅回路と、定電流電源PS11・PS12およびスイッチS1を有する電源回路とを備えた差動増幅回路である。
【0018】
このアンプamp2では、通信速度に応じて、切り替え端子MODEを介してスイッチS1・S2を切り替えることで、ゲインを調整するようになっている。すなわち、低速通信時では、スイッチS1・S2をともにONすることによって、ゲインを上げるとともに、対応する周波数帯域を下げている。一方、高速通信の場合には、スイッチS1・S2をともにOFFとしてゲインを下げ、かつ、対応する周波数帯域を上げている。
【0019】
また、図16は、従来の受信装置における他の例を示すブロック図である。この装置は、amp3アンプと波形整形用コンパレータとの組み合わせを2系統備えている。
すなわち、たとえば、アンプamp2は、低速通信(2.4Kbps〜115.2Kbps)用のアンプゲインおよび帯域に設定されており、コンパレータcmp2の出力端子VOXは、低速信号の出力端子となっている。
また、アンプamp3は、115.2kbpsを超える高速通信用の帯域・ゲインに設定されており、コンパレータcmp3の出力端子VOYは、高速通信用端子となっている。図17に、これらアンプamp2・amp3の回路図を示す。
【0020】
なお、上記した従来技術は、文献公知発明に係るものではない。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図11に示した装置では、ゲインを2段階に切り替えるための構成(端子MODE,スイッチS1・S2)を備えなくてはならず、さらに、定電流電源を2つ設置しなければならない(電源I1・I2)。特に、使用する電源を切り替えるために、非常に複雑な機構が必要である。このため、装置の大型化を招来してしまうという問題がある。
さらに、この装置では、切り替え制御を実行するためにシステムを複雑化する必要があるという欠点もある。
【0022】
また、図16に示した装置においても、2つの出力端子VOX・VOYを備えているため、通信速度に応じて使用する出力端子を切り替えるための構成を備えなくてはならず、さらに、2つのコンパレータを備える必要がある。
すなわち、この装置では、出力端子を切り替えるための構成および2つのコンパレータの存在によって小型化が阻害されるとともに、使用する出力端子の切り替え制御を実行するためにシステムを複雑化する必要がある。
【0023】
本発明は、上記のような従来の問題点を解決するために成されたものである。そして、その目的は、小型化が容易で複雑な制御システムを必要としない、製造・維持コストの安価な赤外線受信回路を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明にかかる第1の赤外線受信回路(第1受信回路)は、受信された赤外線信号に応じた入力信号を増幅して出力する赤外線受信回路において、入力信号を増幅する増幅器を備えており、さらに、この増幅器のゲインを、低周波数の入力信号に対する第1ゲインと、高周波数の入力信号に対する、第1ゲインより小さい第2ゲインとの2段階に調整するラグリードフィルタ回路を備えていることを特徴としている。
【0025】
第1受信回路は、赤外線受信機器(受信機器)に備えられるものである。受信機器は、外部の赤外線発信機から送信された赤外線通信用の信号(赤外線信号)を受信・処理するものである。
【0026】
ここで、赤外線通信は、パーソナルコンピューター,PDA(personal digital assistant;携帯情報処理端末),デジタルカメラ等のデジタル機器に関する無線データ通信に使用されるものである。
そして、受信機器は、これらのようなデジタル機器における外部インターフェイスとして利用可能なものである。
【0027】
このような受信機器では、フォトデテクタ等によって赤外線信号を受信して、電圧信号からなる入力信号を生成するようになっている。
そして、第1受信回路は、生成された入力信号を、増幅器によって所定レベルにまで増幅し、受信機器の他の部材(コンパレータなど)に出力する機能を有するものである。
【0028】
ところで、一般的な通信規格(IrDAなど)では、所定の閾値より高い周波数の入力信号(高周波信号;高速通信時の入力信号)の振幅値を、より低い周波数の入力信号(低周波信号;低速通信時の入力信号)の振幅値よりも大きく設定している(実際は赤外線信号の振幅値をそのように設定している)。
従って、高速通信および低速通信の双方に対応するためには、上記のような通信規格に沿って、高速通信時における増幅器のゲインを、低速通信時に比して小さくする必要がある。
【0029】
そこで、このような規格に対応するために、第1受信回路は、増幅器のゲインを調整するための、ラグリードフィルタ回路を備えている。
そして、このラグリードフィルタ回路は、増幅器のゲインを、低周波信号に応じた第1ゲインと、高周波信号に応じた第2ゲイン(第1ゲインより小)との、2段階に調整するようになっている。
【0030】
これにより、第1受信回路では、入力信号の振幅値が周波数に応じて2段階に変化しても、ラグリードフィルタ回路によって増幅器のゲインを2段階に調整できる。従って、増幅器から出力される信号の振幅値を、信号の周波数によらずに同程度に制御できる。
【0031】
また、ラグリードフィルタ回路を用いているので、増幅器のゲインを切り替えるために、切り替え信号の入力端子やスイッチを備えることも、また、増幅器に備えるべき電源を増加させることも、さらに、切り替えのための制御システムも不要となる。
これにより、第1受信回路は、小型化が容易で複雑な制御システムを必要としない、製造・維持コストの安価な赤外線受信回路となっている。
【0032】
なお、第1受信回路のラグリードフィルタ回路におけるゲインの調整については、後述する発明の実施の形態において詳細に説明する。
また、上記した閾値(低周波と高周波とを分ける閾値)は、通信規格に応じた周波数値である(複数設定される場合もある)。すなわち、この閾値より低い低周波信号の振幅値は、みなほぼ同一である。また、同様に、これより高い高周波信号の振幅値も、みなほぼ同レベルとなっている(上記したように、低周波信号と高周波信号との振幅値は異なる)。
【0033】
また、第1受信回路では、増幅器を、ラグリードフィルタ回路を含むように形成するようにしてもよい。これにより、第1受信回路の小型化・低価格化を促進できる。
【0034】
また、この場合、増幅器を、以下に示すような差動増幅回路から構成できる。すなわち、この差動増幅回路は、第1および第2電源ラインの間に、互いに並列に接続されている1対の増幅回路と、定電流電源とを配置している。
そして、両増幅回路は、トランジスタ,第1および第2抵抗ならびに容量を備えており、第1電源ラインとトランジスタのコレクタとの間に第1抵抗が配され、この第1抵抗と並列に、直列接続された第2抵抗と容量とが設けられている。
さらに、両増幅回路におけるトランジスタのエミッタと第2電源ラインとの間には、上記の定電流電源が接続されている。そして、両増幅回路におけるトランジスタのベースに入力端子,コレクタに出力端子がそれぞれ設けられている構成である。
このような構成とすることにより、ラグリードフィルタ回路を含む増幅器を容易に形成できる。
【0035】
また、上記のような構成の増幅器では、第1および第2抵抗の抵抗値R1・R2,容量の容量値C1が、
0.40≦R2/(R1+R2)≦1.00
を満たすような値に設定されていることが好ましい。
なお、このR2/(R1+R2)は、上記の増幅器における、低周波信号に対するゲインと高周波信号に対するゲインとの比である。
【0036】
すなわち、一般的な通信規格であるIrDAでは、低周波信号の振幅値と、高周波信号の振幅値とが、0.4:1.0となるように規定されている。従って、これらに関する増幅器のゲインの比は、基本的には、1.0:0.4であることが好ましいといえる。
【0037】
しかしながら、高速通信時では、赤外線信号のなまりや、受信回路におけるフォトデテクタの応答速度の低下等の条件によって、高周波信号の振幅値がなまる(小さくなる)ことがある。
従って、このような場合には、高速通信時における増幅器のゲインを、低速通信時の40%より大きな値に調整することが好ましい。
【0038】
すなわち、上記の増幅器では、R1,R2,C1の値を上記のような条件に応じて適切に選択することで、低周波信号と高周波信号との増幅後の振幅値をほぼ同様とするようなR2/(R1+R2)の値を実現することが好ましい。
【0039】
また、上記の増幅器では、入力信号の周波数に応じてゲインを変化させるようにしているが、その変化点(区分点)となる周波数(分岐周波数)は、R1,R2,C1の値に応じて変化する。
すなわち、入力信号の周波数が1/{2×π×(R1+R2)×C1}までの範囲にある場合には、増幅器のゲインは、比較的高い第1ゲインとなる。一方、入力信号の周波数が1/{2×π×R2×C1}より高い範囲にある場合には、増幅器のゲインは、比較的低い第2ゲインとなる。
【0040】
また、第1受信回路では、増幅器の分岐周波数は、通信規格において規定される閾値(高周波と低周波とを分ける値)に設定されていることが好ましい。そして、IrDAでは、この閾値は、307kHz〜1.15MHzの範囲となる。すなわち、307kHz以下の赤外線信号(入力信号)の振幅値が、1.15MHz以上の赤外線信号(入力信号)の振幅値よりも大きくなっている。また、307kHz〜1.15MHzの範囲内の周波数を有する赤外線信号はない。
【0041】
従って、上記の増幅器では、1/{2×π×(R1+R2)×C1}の値、または、1/{2×π×R2×C1}の値が、307kHz〜1.15MHzの範囲に設定されていることが好ましいといえる。
そして、1/{2×π×(R1+R2)×C1}および1/{2×π×R2×C1}の双方の値が、307kHz〜1.15MHzの範囲に設定されていることがさらに好ましいといえる。
【0042】
また、上記の増幅器では、両増幅回路が、第1抵抗と並列に接続された第2容量を有していることが好ましい。
【0043】
この構成では、第1抵抗と並列に第2容量を接続しているため、増幅器は、入力信号におけるノイズの原因となる高周波成分を除去する、ローパスフィルタとしての機能を有することとなる。従って、別途にローパスフィルタを備える必要がなく、受信機器全体の製造コストを抑制できる。
【0044】
また、第1受信回路では、増幅器とラグリードフィルタ回路とが、別体に形成されていてもよい。この構成は、例えば、周波数特性を持たない増幅器の出力端子にラグリードフィルタ回路を付加することで実現できる。
【0045】
これにより、増幅器で設定されるゲインと、ラグリードフィルタ回路で設定される周波数特性とを、それぞれ独立に設計できる。このため、回路設計の自由度を向上させられる。
【0046】
また、本発明にかかる第2の赤外線受信回路(第2受信回路)は、受信された赤外線信号に応じた入力信号を増幅して出力する赤外線受信回路において、低周波数の入力信号のみを第1ゲインで増幅する低周波アンプと、高周波数の入力信号のみを、第1ゲインよりも小さい第2ゲインで増幅する高周波アンプと、これら両アンプの出力を加算する加算器とを備えていることを特徴としている。
【0047】
第2受信回路は、上記した第1受信回路と同様に、赤外線受信機器(受信機器)に備えられ、フォトデテクタ等によって生成された入力信号を、増幅器によって所定レベルにまで増幅し、受信機器の他の部材(コンパレータなど)に出力する機能を有するものである。
【0048】
そして、第2受信回路では、一般的な通信規格に沿って、高速通信時における増幅器のゲインを低速通信時に比して小さくするために、低周波アンプと、高周波アンプと、これら両アンプの出力を加算する加算器とを備えている。
【0049】
ここで、低周波アンプは、低周波信号を第1ゲインで増幅する一方、高周波信号を遮断する機能を有している。また、高周波アンプは、高周波数の入力信号を第2ゲイン(第1ゲインより小さい)で増幅する一方、低周波信号を遮断するようになっている。
【0050】
従って、第2受信回路では、低速通信に応じた低周波信号を処理する場合、この信号を第1ゲインで増幅した信号が低周波アンプから出力される一方、高周波アンプからの出力はない。従って、加算器からは、第1ゲインで増幅された低周波アンプからの出力信号が、そのまま出力される。
【0051】
一方、高速通信に応じた高周波信号を処理する場合、この信号を第2ゲインで増幅した信号が高周波アンプから出力される一方、低周波アンプからの出力はない。従って、加算器からは、第2ゲインで増幅された高周波アンプからの出力信号だけが出力される。
【0052】
これにより、第2受信回路では、入力信号の振幅値が周波数に応じて2段階に変化しても、その周波数に応じた適切なゲインで増幅した信号だけを出力できるようになっている。
【0053】
また、第2受信回路では、加算器を用いて2種類のアンプからの出力を足し合わせて出力するため、アンプの切り替えを行う必要がない。従って、切り替えのためのスイッチや切り替え信号の入力端子を備えることも、また、切り替えのための制御システムも不要となる。
これにより、第2受信回路は、小型化が容易で複雑な制御システムを必要としない、製造・維持コストの安価な赤外線受信回路となっている。
【0054】
また、第1受信回路および第2受信回路では、第2ゲインが、第1ゲインの40%以上かつ100%未満に設定されていることが好ましい。
これは、上記したように、IrDAでは、低周波信号の振幅値と高周波信号の振幅値とが0.4:1.0となっている一方、高速通信時では、赤外線信号のなまりや受信回路におけるフォトデテクタの応答速度の低下等の条件によって、高周波信号の振幅値がなまることがあるからである。
すなわち、第1受信回路および第2受信回路では、上記のような条件に応じて、高速通信時における増幅器のゲイン(第2ゲイン)を、低速通信時のゲイン(第1ゲイン)の40%以上かつ100%未満の範囲で調整することで、低周波信号と高周波信号との増幅後の振幅値をほぼ同様とすることが好ましいといえる。なお、この際、第1ゲインにあわせて第2ゲインを調整するようにしてもよい。
【0055】
また、第1受信回路および第2受信回路の増幅器では、入力信号の周波数に応じてゲインを変化させるようにしているが、その区分点(高周波と低周波とを分ける点)となる周波数(分岐周波数)は、通信規格において規定される閾値に設定されていることが好ましい。そして、IrDAでは、上記したように、この閾値は、307kHz〜1.15MHzの範囲となる。
従って、第1受信回路および第2受信回路では、低周波数の入力信号と高周波数の入力信号とを、307KHz〜1.15MHzの範囲内のいずれかの周波数で区分するように設定されていることが好ましいといえる。
【0056】
また、本発明の赤外線受信機器(本受信機器)は、上記した第1受信回路あるいは第2樹脂回路を含むものである。本受信機器は、第1・第2受信回路を有しているので、低周波信号および高周波信号の双方を処理できるとともに、小型化が容易で複雑な制御システムを必要としない、製造・維持コストの安価な赤外線受信機器となっている。
【0057】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態について説明する。
本実施の形態にかかる赤外線受信機器(本受信機器)は、外部から送信された赤外線通信用の信号(赤外線信号)を受信・処理するものであり、集積回路として形成された受信チップ(後述)を有している。
【0058】
ここで、赤外線通信は、パーソナルコンピューター,PDA(personal digital assistant;携帯情報処理端末),デジタルカメラ等のデジタル機器に関する無線データ通信に使用されるものである。
そして、本受信機器は、これらのようなデジタル機器における外部インターフェイスとして利用可能なものである。
【0059】
まず、本受信機器の受信チップについて説明する。
図2は、この受信チップ10の構成を示すブロック図である。
この図に示すように、受信チップ10は、フォトダイオード(PD;受光素子)11,PDアンプ12,メインアンプ13およびコンパレータ14を備えている。
【0060】
PD11は、赤外線を集めるための受光用レンズ(図示せず)を備えており、外部の赤外線発信機器から発信された赤外線通信を受信し、電圧信号に変換するものである。なお、PD11の受光用レンズは、PD11の表面に樹脂などで形成される。
PDアンプ12は、PD11によって生成された電圧信号を、所定の増幅率で初期増幅して出力するものである。
【0061】
メインアンプ13は、PDアンプ12から出力された電圧信号を、その信号の周波数に応じた増幅率で増幅するものである。
コンパレータ14は、メインアンプ13から出力された電圧信号のパルスを整形し、出力端子VOからパルス出力するものである。なお、出力端子VOからの出力信号は、本受信機器に備えられたコントローラLSI(信号処理部;図示せず)に入力され、処理される。
【0062】
次に、本受信機器の特徴的な構成である、受信チップ10のメインアンプ13について詳細に説明する。
図3は、メインアンプ13の構成を示すブロック図(原理ブロック図)である。この図に示すように、メインアンプ13は、ハイパスフィルタ21,増幅器22およびローパスフィルタ23を備えている。
【0063】
ハイパスフィルタ(HPF)21は、図2に示したPDアンプ12から出力された電圧信号を入力し、一定周波数以下の信号成分を除去してノイズを低減させるものである。
増幅器22は、ハイパスフィルタ21から出力された電圧信号を増幅して出力するものである。
ローパスフィルタ(LPF)23は、増幅器22から出力された電圧信号を入力し、一定周波数以上の信号成分を除去してノイズを低減させ、図2に示したコンパレータ14に出力するものである。
【0064】
また、図4は、増幅器22の構成を示す回路図である。
この図に示すように、増幅器22は、電源ラインL1・L2の間に、互いに並列に接続されている1対の増幅回路ZK1・ZK2と、定電流電源PS1とを配置した差動増幅回路である。
【0065】
増幅回路ZK1(ZK2)は、NPN型のトランジスタT1(T2),抵抗R1・R2および容量C1を備えている(なお、本実施の形態では、R1,R2,C1等の符号を、各抵抗・容量を識別するための参照符号として使用するとともに、各抵抗の抵抗値,容量の容量値を示す符号としても使用する)。
そして、電源ラインL1とトランジスタT1(T2)のコレクタとの間に抵抗R1が配されており、さらに、この抵抗(負荷抵抗)R1と並列に、直列接続された抵抗R2と容量C1とが設けられている。
【0066】
また、増幅器22では、増幅回路ZK1(ZK2)におけるトランジスタT1(T2)のエミッタと電源ラインL2との間に、定電流電源PS1が接続されている。
【0067】
このような構成の増幅器22では、ハイパスフィルタ21から出力される電圧信号(入力信号Vin)が、増幅回路ZK1・ZK2におけるトランジスタT1・T2のベースに入力される。また、トランジスタT1・T2のコレクタに出力端子が設けられ、ここから、入力信号Vinを増幅した電圧信号(出力信号Vo)を取り出すように設定されている。
【0068】
そして、増幅器22では、入力信号Vinの電圧値に応じて、トランジスタT1・T2におけるエミッタ−コレクタ間のインピーダンス値が変化する。このため、コレクタの電圧は、上記のインピーダンス値に応じた値、すなわち、入力信号Vinの電圧値に応じた値となる。
従って、増幅器22では、定電流電源PS1の出力値を適切に設定することによって、コレクタ側に生じる電圧を、入力信号Vinを増幅した出力信号Voとして使用できるようになっている。
【0069】
なお、増幅器22のゲイン(Vo/Vin)は、定電流電源PS1の出力値、トランジスタT1・T2の特性、増幅回路ZK1・ZK2における抵抗R1,容量C1・C2からなるRC回路の物性値,および、入力信号Vinの周波数によって決定される(信号の周波数は、通信速度の増加に応じて高くなる)。
【0070】
図1は、増幅器22の相対ゲインにおける周波数特性の例を示すグラフである。この図に示すように、増幅器22の相対ゲイン(低速通信時を100%とする)は、高速通信時において、低速通信時の40%〜100%程度に小さくなるような、2段階の周波数特性を有している。
すなわち、増幅器22では、そのゲインが、入力信号Vinの周波数に応じた2段階の周波数特性を有するようになっている。
【0071】
また、図12に示したように、IrDAで規定された高速通信に使用される高周波数の赤外線信号の振幅値は、ノイズを低減させるために、低速通信に使用される低周波数の赤外線信号の振幅値に比して大きくなっている。具体的には、高周波側の赤外線信号の出力値は、100mW/srである一方、低周波側の赤外線信号の出力値は、40mW/srである。すなわち、前者の振幅値は、後者の2.5倍となっている。
そして、増幅器22では、図1に示したような、高速通信時において小さくなるような周波数特性を有するゲインを備えているので、通信速度に関わらず、出力信号Voの振幅値を同程度に維持できるようになっている。
【0072】
なお、表1に、各通信速度に応じた、入力信号Vinの最小パルス幅,入力信号Vinの周波数(基本周波数スペクトル),および設定すべき相対ゲイン(相対感度)を示す。この表より、入力信号Vinの周波数が307kHz以下の場合と1.15MHz以上の場合とで、ゲインの値を1:0.4に調整する(ゲインの分岐周波数を、約307KHz〜1.15MHzに設定する)ことが好ましいといえる。
【0073】
【表1】
Figure 2004135096
【0074】
ここで、増幅器22におけるゲインの周波数特性について詳細に説明する。
増幅器22では、図4に示した増幅器22における1対のRC回路のそれぞれが、後述するラグリードフィルタに相当する構造となっている。このため、各RC回路によって、増幅器22のゲインを、入力信号Vinの周波数に応じて、図1に示したように2段階に変化させられるようになっている。
【0075】
図5は、ラグリードフィルタの一般的な構成を示す回路図である。
この図に示すように、ラグリードフィルタは、入力信号VINの入力端子とアースとの間に、抵抗Ra,抵抗Rb,容量Caを全て直列に接続し、抵抗Ra・Rb間から出力信号VOUTを取り出す構成である。
【0076】
このようなラグリードフィルタでは、入力信号VIN,出力信号VOUT,抵抗Ra・Rbおよび容量Caの関係を、以下の式[1]で表せる。ここで、jは虚数単位、ωは信号の角周波数を表す。
【0077】
【数1】
Figure 2004135096
【0078】
この式[1]をラプラス変換すると、ゲインを変換した値(伝達関数f)を求めるための、以下の式[2]が導かれる。
【0079】
【数2】
Figure 2004135096
【0080】
この式[2]では、jωをラプラス演算子sで置き換えている。また、この伝達関数fは、全初期値を0としたときの、入力信号VINと出力信号VOUTとのラプラス変換の比である。
【0081】
この式[2]より、図6の複素平面に示すように、伝達関数fは、
s=−1/(Ca×Rb)のときゼロ点を取り、
s=−1/Ca×(Ra+Rb)のとき極を取るという特性を持つことがわかる。
【0082】
なお、伝達関数における極とゼロ点とが決まれば、回路定数については自由に決定できる。また、
T1=(Ra+Rb)×Ca
T2=Rb×Ca
とすると、ラグリードフィルタの伝達関数f=HLPS(s)は、次の式[3]で表される(LPSは、ラグリードフィルタの略号)。
【0083】
【数3】
Figure 2004135096
【0084】
この式[3]より、ラグリードフィルタのゲインに対応する伝達関数fは、s=1/(2πT1)付近までの低周波領域では高い一方、周波数が高くなるにつれて減衰し、s=1/(2πT2)付近からの高周波領域で一定ゲインに収束する特性をもつことがわかる。
【0085】
一方、図4に示した増幅器22では、トランジスタT1・T2のコレクタに接続された抵抗R1・R2および容量C1からなるRC回路のインピーダンス(Z(s))を計算することにより、以下の式[4]に示すような、ゲインの周波数特性を求められる(ここでは、簡単のため、差動対の片側だけについて示す)。
【0086】
【数4】
Figure 2004135096
【0087】
この式[4]は、上記した式[3]と同様の形となっている。従って、増幅器22のゲインは、s=1/(2π×C1×(R1+R2))付近までの低周波領域では高い一方、周波数が高くなるにつれて減衰し、s=1/(2π×R2×C1)付近からの高周波領域で一定ゲインに収束する特性をもつ。このため、増幅器22よれば、図1に示したような相対ゲインを実現することが可能となる。
また、増幅器22のゲインにおける高周波での収束値は、低周波でのゲインにR2/(R1+R2)を乗算した値となる。
【0088】
例えば、R1=R2=50kΩ、C1=5pFとすると、
1/(2πC1×(R1+R2))=318kHz
1/(2π×R2×C1)=637kHz
となる。さらに、高周波での相対ゲインは、
R2/(R1+R2)=1/2
となり、所望の周波数特性を得られる。
【0089】
以上のように、受信チップ10における増幅器22は、そのゲインを、低周波数の入力信号に対するゲイン(第1ゲイン)と、高周波数の入力信号に対するゲイン(第2ゲイン;第1ゲインより小)との2段階に調整するラグリードフィルタ回路を備えている増幅器である。
【0090】
これにより、増幅器22では、入力信号Vinの振幅値が周波数に応じて2段階に変化しても、出力信号Voの振幅値を、信号の周波数によらずに同程度に制御できる。
【0091】
また、増幅器22では、ラグリードフィルタ回路を用いているので、ゲインを切り替えるために、スイッチや切り替え信号の入力端子を備えることも、また、増幅器22に備えるべき電源を増加させることも、さらに、切り替えのための制御システムも不要となる。
これにより、増幅器22を備えた受信チップ10は、小型化が容易で複雑な制御システムを必要としない、製造・維持コストの安価な赤外線受信回路となっている。
【0092】
また、受信チップ10では、増幅器22を、ラグリードフィルタ回路を含むように形成している。このため、受信チップ10の小型化・低価格化を促進できるようになっている。
【0093】
なお、高速通信では、PD11に入力される赤外線信号(発光信号)のなまりや、PD11(受信用PD)の応答低下(応答速度の減少による信号の振幅値の低下)等の生じることがある。このような場合、赤外線信号の波形、あるいは、PD11から出力される電圧信号(光電流)の波形が、図7(a)に示すような理想的な形状とはならず、図7(b)に示すように歪んでしまう。
【0094】
そして、このような場合には、高速通信時におけるメインアンプ13(増幅器22)のゲインは、赤外線信号における規定された振幅値に応じた値(低速通信時の40%)からずれた値に調整することが好ましい。
【0095】
以下の表2に、上記した赤外線信号のなまりやPD11の応答速度の低下による信号振幅値の低下量、および、PD11の応答速度の低下量などの受信条件と、各低下量の大小に応じた、高速通信時での好ましい相対ゲインの値(低速通信時を100%とした場合)とを示す。
【0096】
【表2】
Figure 2004135096
【0097】
この表2に示すように、増幅器22では、高速通信時の相対ゲインを、赤外線信号のなまりやPD11の特性などに応じて、低速通信時の40%〜100%の間(あるいは100%以上)の範囲で最適な値に設定することが望ましいといえる。
【0098】
なお、PD11から出力される電圧信号の振幅値は、受光用レンズの条件によっても変化する。しかしながら、この条件は、電圧信号(受信信号)の振幅値における絶対値に関わるものであり、振幅値の周波数特性に直接的には関係しない。
【0099】
また、本実施の形態では、受信チップ10のメインアンプ13が、図4に示すような増幅器22を備えているとしている。しかしながら、これに限らず、増幅器22に代えて、メインアンプ13に、図8に示すような増幅器31を備えるようにしてもよい。
この増幅器31は、図4に示した増幅器22の構成において、容量C1・抵抗R2、および、抵抗R1と並列に、容量C2を接続した構成である。
以下の式[5]に、増幅器31の伝達関数fを示す。
【0100】
【数5】
Figure 2004135096
【0101】
この式[5]に示すように、増幅器31の伝達関数fは、上記した式[3]に比較して、2次の伝達関数となっている。ここで、C2がC1に比べて十分に小さいと仮定すると、増幅器31のゲインは、s=1/((R1+R2)・C1)付近までの低周波領域では高い一方、周波数が高くなるにつれて減衰し、s=1/((R1+R2)・C1)付近からの高周波領域で一定ゲインに収束する特性をもつ。このため、増幅器31によっても、図1に示したような相対ゲインを実現することが可能である。
また、増幅器31のゲインにおける高周波での収束値は、低周波でのゲインにR2/(R1+R2)を乗算した値となる。
【0102】
また、この増幅器31では、抵抗R1と並列に容量C2を接続しているため、S=1/(R2・C2)付近から高周波領域でゲインがさらに減衰する。このため、増幅器31は、入力信号Vinにおける、ノイズの原因となる高周波成分を除去する、ローパスフィルタとしての機能を有している。
従って、増幅器31を備えた受信チップ10では、ローパスフィルタ23を備える必要がなく、その製造コストを抑制できるようになっている。
【0103】
また、本実施の形態では、受信チップ10が、図3に示したようなメインアンプ13を備えているとしている。しかしながら、これに限らず、メインアンプ13に代えて、受信チップ10に、図9に示すようなメインアンプ41を備えるようにしてもよい。
【0104】
この図9のブロック図(原理ブロック図)に示すように、メインアンプ41は、図3に示したメインアンプ13の構成において、増幅器22に代えて、直列接続された増幅器42およびラグリードフィルタ43を備えた構成である。
【0105】
すなわち、このメインアンプ41では、周波数特性を持たない増幅器である増幅器42の後段に、図5に示した構成のラグリードフィルタ43を備えるようになっている。このラグリードフィルタ43は、上記したように、前述の式[2]に示したような伝達関数fを有している。このため、増幅器42およびラグリードフィルタ43からなる回路によっても、図1に示すような周波数特性を有する相対ゲインを実現することが可能なる。
【0106】
メインアンプ41では、増幅器42で設定されるゲインと、ラグリードフィルタ43で設定される周波数特性とを、それぞれ独立に設計できる。このため、回路設計の自由度を向上させられる。
【0107】
また、ラグリードフィルタ43では、増幅器42からの出力信号における直流レベルを、容量CaによってGNDレベルと分離できる。このため、増幅器42の出力とローパスフィルタ23の入力との間にそのまま挿入することが可能となっている。
【0108】
また、本実施の形態では、本受信機器が、図2に示したような受信チップ10を備えているとしている。しかしながら、これに限らず、受信チップ10に代えて、本受信機器に、図10に示すような受信チップ50を備えるようにしてもよい。
【0109】
図10のブロック図(原理ブロック図)に示すように、受信チップ50は、図2に示した受信チップ10の構成において、メインアンプ13に代えて、PD11とコンパレータ14との間に、低周波アンプ51,高周波アンプ52および加算器53を備えた構成である。
【0110】
また、受信チップ50では、アンプ51・52は、PDアンプ12の後段に、互いに並列になるよう接続されている。また、加算器53は、アンプ51・52と直列に配されている。
【0111】
アンプ51・52は、PDアンプ12から入力信号Vinを入力して増幅した後、加算器53に出力するものである。
そして、低周波アンプ51は、低周波数の入力信号Vin(例えば307kHz以下)を所定ゲインで増幅する一方、高周波数の入力信号Vin(例えば1.15MHz以上の場合)を遮断する機能を有している。
また、高周波アンプ52は、高周波数の入力信号Vin(例えば1.15MHz以上の場合)を、所定ゲイン(低周波アンプ51のゲインにおける40%程度の大きさ)で増幅する一方、低周波数の入力信号Vin(例えば307kHz以下)を遮断する機能を有している。
【0112】
従って、受信チップ50では、低速通信に応じた低周波数の入力信号Vinを受信した場合、この入力信号Vinを相対ゲイン100%で増幅した信号が低周波アンプ51から出力される一方、高周波アンプ52からの出力はない。従って、加算器53からは、相対ゲイン100%で増幅された低周波アンプ51からの出力信号が、そのままコンパレータ14に出力されることとなる。
【0113】
一方、高速通信に応じた高周波数の入力信号Vinを受信した場合、この入力信号Vinを相対ゲイン40%で増幅した信号が高周波アンプ52から出力される一方、低周波アンプ51からの出力はない。従って、加算器53からは、相対ゲイン40%で増幅された高周波アンプ52からの出力信号がコンパレータ14に出力される。
【0114】
これにより、受信チップ50では、入力信号Vinの振幅値が周波数に応じて2段階に変化しても、その周波数に応じたゲインで入力信号Vinを増幅した信号だけを出力信号Voとするようになっている。
【0115】
また、受信チップ50では、加算器53を用いて2種類のアンプ51・52からの出力を足し合わせて出力するため、アンプの切り替えを行う必要がない。従って、切り替えのためのスイッチや切り替え信号の入力端子を備えることも、また、切り替えのための制御システムも不要となる。
これにより、受信チップ50は、小型化が容易で複雑な制御システムを必要としない、製造・維持コストの安価な赤外線受信回路となっている。
【0116】
また、本実施の形態では、一般的な赤外線通信規格であるIrDAに沿って、増幅器22の相対ゲインを、低速通信時において100%,高速通信時において40%〜100%とするとしている。
【0117】
しかしながら、本発明の赤外線受信機は、IrDAに沿ったものに限らない。すなわち、本発明の赤外線受信機は、入力される赤外線信号の振幅値がその周波数によって変化する場合、赤外線信号の周波数に応じたゲイン(相対ゲイン)を有し、コンパレータに出力する電圧信号の振幅値を、通信速度(入力信号の周波数)によらずにほぼ一定とできるようなゲイン調整回路付きの増幅器を備えていればよい。
【0118】
例えば、低速通信時に入力される信号の振幅が、高速通信時より大きくなるような規格に対応する場合、赤外線受信機は、低速通信時における増幅器のゲインを、高速通信時でのゲインより小さくするようなゲイン調整回路を備えることが好ましい。
【0119】
また、通信速度(周波数)に応じて、入力信号の振幅値がn段階に分かれているような規格(nは自然数)に対応する場合、赤外線受信機器は、増幅器のゲインを、入力信号の周波数に応じてn段階に調整するゲイン調整回路を備えていることが好ましい(この調整は、コンパレータに出力する電圧信号の振幅値を、通信速度(入力信号の周波数)によらずにほぼ一定とするように行われる)。
【0120】
そして、本発明の赤外線受信回路を、受信した赤外線信号に応じた入力信号を増幅して出力する赤外線受信回路において、入力信号を増幅する増幅器と、入力信号の周波数に応じて、上記増幅器のゲインを複数段階に調整するゲイン調整回路とを備えている構成である、と表現することもできる。
【0121】
また、本発明の受信装置を、赤外線通信用の受信装置において、受信信号の周波数に応じたゲインを有するアンプを備えており、このアンプのゲインが、周波数の低い信号に対しては高く、同じく高い信号に対しては低くなる構成である、と表現することもできる。
【0122】
また、本発明の赤外線受信回路を、受信した赤外線信号に応じた入力信号を増幅して出力する赤外線受信回路において、低周波数の入力信号のみを第1ゲインで増幅する低周波アンプと、高周波数の入力信号のみを第2ゲインで増幅する高周波アンプと、これら両アンプの出力を加算する加算器とを備えている構成である、と表現することもできる。
【0123】
また、本発明の赤外線受信方法を、受信された赤外線信号に応じた入力信号を増幅して出力する赤外線受信方法において、ラグリードフィルタ回路によって、入力信号を増幅する増幅器のゲインを、低周波数の入力信号に対する第1ゲインと、高周波数の入力信号に対する、第1ゲインより小さい第2ゲインとの2段階に調整する方法である、と表現することもできる。
【0124】
また、本発明の赤外線受信方法を、受信された赤外線信号に応じた入力信号を増幅して出力する赤外線受信方法において、低周波数の入力信号のみを第1ゲインで増幅する一方、高周波数の入力信号のみを、第1ゲインよりも小さい第2ゲインで増幅し、増幅後の上記両信号を加算して出力する方法である、と表現することもできる。
【0125】
また、本実施の形態では、増幅器22における1/{2×π×(R1+R2)×C1}の値、および、1/{2×π×R2×C1}の値が、307KHz〜1.15MHzの範囲に設定されていることが好ましいとしている。
しかしながら、これに限らず、これらの値の少なくとも一方が、上記の範囲にあればよい。
【0126】
また、本実施の形態では、抵抗R1・R2,容量C1が、(a)『0.40≦R2/(R1+R2)≦1.00を満たし』、かつ、(b)『1/{2×π×(R1+R2)×C1}および1/{2×π×R2×C1}が307KHz〜1.15MHzの範囲となる』ように設定されていることが好ましい。しかしながら、抵抗R1・R2,容量C1は、これら(a)(b)のいずれか一方だけを満たすように設定されていてもよい。
【0127】
また、1/{2×π×(R1+R2)×C1}および1/{2×π×R2×C1}が約300KHz〜1.15MHzの範囲となるように、抵抗R1・R2,容量C1を設定してもよい。
【0128】
また、本実施の形態では、受信チップ50における低周波アンプ51が、低周波数の入力信号Vinを所定ゲインで増幅する一方、高周波数の入力信号Vinを遮断するとしている。また、高周波アンプ52が、高周波数の入力信号Vinを所定ゲイン(低周波アンプ51のゲインにおける40%程度の大きさ)で増幅する一方、低周波数の入力信号Vinを遮断すると記載している。しかしながら、これに限らず、低周波アンプ51は、低周波数の入力信号Vinのみを所定ゲインで増幅する一方、高周波数の入力信号Vinをほとんど出力しない構成であれば、どのような構成であってもかまわない。同様に、高周波アンプ52は、高周波数の入力信号Vinのみを相対ゲイン40%で増幅する一方、低周波数の入力信号Vinをほとんど出力しない構成であれば、どのような構成であってもよい。
【0129】
また、従来の赤外線受信装置には、通信速度の高速化に伴い周波数帯域の拡張が必要であり、そのため雑音が増加する、雑音低減のため、高速通信時にアンプのゲインを低減する設定をすると、切り替え端子が必要であり、デバイスの小型化の障害となる(あるいは、切り替え制御のためシステムが複雑化する)、雑音低減のため、高速通信用のアンプと出力を別に設けると、受信回路のコストUP、デバイスの小型化への障害となる、といった問題があるともいえる。
【0130】
また、本受信機器では、図12に示した信号スペクトルの周波数毎の強度に対して、低周波でのゲインを高く設定し、高周波でのゲインを低く設定しているといえる。すなわち、低速(2.4kbps〜115.2kbps)の感度規格に対して、高速(115.2kbpsを超える速度)の感度規格は1/2.5となっているため、ゲインを40%まで低下させることにより、雑音を最小に押さえて、感度規格を満足できるといえる。また、本受信機器では、感度設定の分岐周波数は、およそ300KHz〜1.15MHzに設定することが望ましいともいえる。
【0131】
また、図3に示したメインアンプ13は、増幅器22の前段にハイパスフィルタ21、増幅器22の出力段にローパスフィルタ23を設け、増幅器22内部で、ゲインを2段階設けたラグリードフィルタを設けた構成であるといえる。
【0132】
また、図4に示した増幅器22は、トランジスタによる差動増幅回路において、トランジスタT1・T2のコレクタに接続された負荷抵抗R1に対して、抵抗R2と容量C1とを直列接続したインピーダンス素子をそれぞれ並列に接続して伝達関数式[3]を実現するものであるともいえる。また、この回路においては、トランジスタのコレクタに接続された抵抗と容量のインピーダンス(Z(s))を計算することにより(上記の式[4])、ゲインの周波数特性を示されるといえる。
【0133】
また、図8に示した増幅器31では、増幅器22の抵抗R1に対して並列に第2の容量C2が付加されており、高周波での帯域を制限しているといえる。さらに、図9に示したメインアンプ41では、増幅器42の出力端子にラグリードフィルタ43を付加することにより、ゲイン周波数特性を持たせているといえる。この場合、増幅器42で設定されるゲイン設計と、ラグリードフィルタ43で設定される周波数特性とを独立に設計でき、また、直流レベルが容量C3によってGNDレベルと分離されているため、増幅器22の出力とローパスフィルタ23の入力との間にそのまま挿入して構成できる利点があるといえる。
【0134】
また、図10に示した受信チップ50は、図1に示す周波数特性を実現するために、ゲインと周波数帯域を複数種設定したアンプを加算した構成であるり、周波数毎のゲイン設計とゲインに対応した周波数帯域の設定が容易となるともいえる。また、図11および図16は、赤外線通信受信システム全体の等価回路ブロック例を示す図であるともいえる。また、本実施形態は、一般的な赤外線通信規格であるIrDAを例とした実施例であるともいえる。
【0135】
また、本発明によれば、一般的に普及している赤外線通信の規格であるIrDAにおいて、以下の効果を得るともいえる。すなわち、
(A)通信速度の高速化に伴い周波数帯域の拡張が必要であるが、それに伴って雑音が増加することに対して、通信速度毎の受信機のゲインと周波数帯域を最適化できるため、結果としてS/N比を改善できる。
(B)雑音低減のため、高速通信時にアンプのゲインを低減する設定をすると、切り替え端子が必要であり、デバイスの小型化の障害となる。これに対して、本発明により切り替え端子を必要としなくなるため、端子の増加を防止してデバイスの小型に貢献できる。
(C)雑音低減のため、高速通信用のアンプと出力を別に設けると、受信回路のコストアップ、デバイスの小型化への障害となる。これに対して、本発明により受信回路を簡単化できて、コストアップの防止とデバイスの小型とに貢献できる。
【0136】
また、本発明を、以下の第1〜11赤外線通信受信回路および第1電子機器として表現することもできる。すなわち、第1赤外線通信受信回路は、通信速度に応じて、受信増幅器のゲインを複数設定するか、もしくは、その自動設定手段を備えている構成である。これにより、通信速度に応じて受信機の最適化ができる。
【0137】
第2赤外線通信受信回路は、第1赤外線通信受信回路において、低周波でゲインを高く設定し、高周波でのゲインを低く設定した構成である。これにより、高周波での雑音を低減でき、S/N比を改善できる。
【0138】
また、第3赤外線通信受信回路は、第1あるいは第2赤外線通信受信回路において、高周波でのゲインを低周波でのゲインに対して、40%以上、100%未満に設定した構成である。これにより、赤外線通信として一般的に普及しているIrDA規格における通信速度に応じた受信機の性能を最適化できる。
【0139】
また、第4赤外線通信受信回路は、第1〜第3赤外線通信受信回路のいずれかにおいて、ゲイン設定の分岐周波数を300KHz〜1.15MHzの範囲に設定した構成である。これにより、IrDAの低速通信と高速通信のゲインの最適化ができる。
【0140】
また、第5赤外線通信受信回路は、第1〜4赤外線通信受信回路のいずれかにおいて、1つのアンプでゲイン周波数特性を複数設定した構成である。これにより、受信機を複雑にせずに特性の最適化ができる。
【0141】
また、第6赤外線通信受信回路は、第5赤外線通信受信回路において、トランジスタによる差動増幅回路において、第1、第2のそれぞれのトランジスタのコレクタに接続された第1の負荷抵抗(R1)に対して、第2の抵抗(R2)と第1の容量(C1)を直列接続したインピーダンス素子(Z)をそれぞれ並列に接続して実現した構成である。
【0142】
また、第7赤外線通信受信回路は、第6赤外線通信受信回路において、第1の抵抗(R1)の値に対して、第1の抵抗(R1)第2の抵抗(R2)を並列接続したインピーダンス値を40%以上100%未満に設定した構成である。
また、第8赤外線通信受信回路は、第6あるいは第7赤外線通信受信回路において、1/{2×π×(R1+R2)×C1}の値、もしくは、1/{2×π×R2×C1}の値が、307KHz〜1.15MHzの値に設定された構成である。第6〜8赤外線通信受信回路によって、集積回路内の通常のアンプ回路1段を利用して、容易に、第1〜5赤外線通信受信回路を実現できる。
【0143】
また、第9赤外線通信受信回路は、第5〜8赤外線通信受信回路のいずれかにおいて、トランジスタによる差動増幅回路において、第1、第2のそれぞれのトランジスタのコレクタに接続された第1の負荷抵抗(R1)に対して、並列に第2の容量が付加された構成である。これにより、アンプ1段で容易に高周波数のイズ低減が可能となる。
【0144】
また、第10赤外線通信受信回路は、第1〜4赤外線通信受信回路のいずれかにおいて、アンプの出力端子にRCフィルタ回路を付加することにより、ゲイン周波数特性を持たせた構成である。これにより、低周波数のゲイン設計と周波数特性を独立にて設計できるため、設計が容易となる。
【0145】
また、第11赤外線通信受信回路は、第1〜4赤外線通信受信回路のいずれかにおいて、ゲインと周波数帯域を複数種設定したアンプを加算することにより実現した構成である。これにより、周波数毎のゲイン設計がさらに容易となる。
【0146】
また、第1電子機器は、第1〜第11赤外線通信受信回路のいずれかを含む電子機器である。これにより、周波数毎のゲイン設計とゲインに対応した周波数帯域の設定が容易となる。
【0147】
【発明の効果】
以上のように、本発明にかかる第1の赤外線受信回路(第1受信回路)は、受信された赤外線信号に応じた入力信号を増幅して出力する赤外線受信回路において、入力信号を増幅する増幅器を備えており、さらに、この増幅器のゲインを、低周波数の入力信号に対する第1ゲインと、高周波数の入力信号に対する、第1ゲインより小さい第2ゲインとの2段階に調整するラグリードフィルタ回路を備えている構成である。
【0148】
この第1受信回路は、増幅器のゲインを調整するための、ラグリードフィルタ回路を備えている。そして、このラグリードフィルタ回路は、増幅器のゲインを、低周波信号に応じた第1ゲインと、高周波信号に応じた第2ゲイン(第1ゲインより小)との、2段階に調整するようになっている。
【0149】
これにより、第1受信回路では、入力信号の振幅値が周波数に応じて2段階に変化しても、ラグリードフィルタ回路によって増幅器のゲインを2段階に調整できるので、増幅器から出力される信号の振幅値を、信号の周波数によらずに同程度に制御できる。
【0150】
また、ラグリードフィルタ回路を用いているので、増幅器のゲインを切り替えるために、切り替え信号の入力端子やスイッチを備えることも、また、増幅器に備えるべき電源を増加させることも、さらに、切り替えのための制御システムも不要となる。
これにより、第1受信回路は、小型化が容易で複雑な制御システムを必要としない、製造・維持コストの安価な赤外線受信回路となっている。
【0151】
また、第1受信回路では、増幅器を、ラグリードフィルタ回路を含むように形成するようにしてもよい。これにより、第1受信回路の小型化・低価格化を促進できる。
【0152】
また、この場合、増幅器を、以下に示すような差動増幅回路から構成できる。すなわち、この差動増幅回路は、第1および第2電源ラインの間に、互いに並列に接続されている1対の増幅回路と、定電流電源とを配置している。
そして、両増幅回路は、トランジスタ,第1および第2抵抗ならびに容量を備えており、第1電源ラインとトランジスタのコレクタとの間に第1抵抗が配され、この第1抵抗と並列に、直列接続された第2抵抗と容量とが設けられている。
さらに、両増幅回路におけるトランジスタのエミッタと第2電源ラインとの間には、上記の定電流電源が接続されている。そして、両増幅回路におけるトランジスタのベースに入力端子,コレクタに出力端子がそれぞれ設けられている構成である。
このような構成とすることにより、ラグリードフィルタ回路を含む増幅器を容易に形成できる。
【0153】
また、上記のような構成の増幅器では、第1および第2抵抗の抵抗値R1・R2,容量の容量値C1が、
0.40≦R2/(R1+R2)≦1.00
を満たすような値に設定されていることが好ましい。
なお、このR2/(R1+R2)は、上記の増幅器における、低周波信号に対するゲインと高周波信号に対するゲインとの比である。
【0154】
すなわち、一般的な通信規格であるIrDAでは、低周波信号の振幅値と、高周波信号の振幅値とが、0.4:1.0となるように規定されている。従って、これらに関する増幅器のゲインの比は、基本的には、1.0:0.4であることが好ましい。
【0155】
しかしながら、高速通信時では、赤外線信号のなまりや、受信回路におけるフォトデテクタの応答速度の低下等の条件によって、高周波信号の振幅値がなまる(小さくなる)ことがある。
従って、このような場合には、高速通信時における増幅器のゲインを、低速通信時の40%より大きな値に調整することが好ましい。
【0156】
すなわち、上記の増幅器では、R1,R2,C1の値を上記のような条件に応じて適切に選択することで、低周波信号と高周波信号との増幅後の振幅値をほぼ同様とするようなR2/(R1+R2)の値を実現することが好ましい。
【0157】
また、上記の増幅器では、入力信号の周波数に応じてゲインを変化させるようにしているが、その変化点となる周波数(分岐周波数)は、R1,R2,C1の値に応じて変化する。
すなわち、入力信号の周波数が1/{2×π×(R1+R2)×C1}までの範囲にある場合には、増幅器のゲインは、比較的高い第1ゲインとなる。一方、入力信号の周波数が1/{2×π×R2×C1}より高い範囲にある場合には、増幅器のゲインは、比較的低い第2ゲインとなる。
【0158】
また、第1受信回路では、増幅器の分岐周波数は、通信規格において規定される閾値(高周波と低周波とを分ける値)に設定されていることが好ましい。そして、IrDAでは、この閾値は、307kHz〜1.15MHzの範囲となる。すなわち、307kHz以下の赤外線信号(入力信号)の振幅値が、1.15MHz以上の赤外線信号(入力信号)の振幅値よりも大きくなっている。また、307kHz〜1.15MHzの範囲内の周波数を有する赤外線信号はない。
【0159】
従って、上記の増幅器では、1/{2×π×(R1+R2)×C1}の値、または、1/{2×π×R2×C1}の値が、307kHz〜1.15MHzの範囲に設定されていることが好ましいといえる。
そして、1/{2×π×(R1+R2)×C1}および1/{2×π×R2×C1}の双方の値が、307kHz〜1.15MHzの範囲に設定されていることがさらに好ましいといえる。
【0160】
また、上記の増幅器では、両増幅回路が、第1抵抗と並列に接続された第2容量を有していることが好ましい。
【0161】
この構成では、第1抵抗と並列に第2容量を接続しているため、増幅器は、入力信号におけるノイズの原因となる高周波成分を除去する、ローパスフィルタとしての機能を有することとなる。従って、別途にローパスフィルタを備える必要がなく、受信機器全体の製造コストを抑制できる。
【0162】
また、第1受信回路では、増幅器とラグリードフィルタ回路とが、別体に形成されていてもよい。この構成は、例えば、周波数特性を持たない増幅器の出力端子にラグリードフィルタ回路を付加することで実現できる。
【0163】
これにより、増幅器で設定されるゲインと、ラグリードフィルタ回路で設定される周波数特性とを、それぞれ独立に設計できる。このため、回路設計の自由度を向上させられる。
【0164】
また、本発明にかかる第2の赤外線受信回路(第2受信回路)は、受信された赤外線信号に応じた入力信号を増幅して出力する赤外線受信回路において、低周波数の入力信号のみを第1ゲインで増幅する低周波アンプと、高周波数の入力信号のみを、第1ゲインよりも小さい第2ゲインで増幅する高周波アンプと、これら両アンプの出力を加算する加算器とを備えている構成である。
【0165】
この第2受信回路では、一般的な通信規格に沿って、高速通信時における増幅器のゲインを低速通信時に比して小さくするために、低周波アンプと、高周波アンプと、これら両アンプの出力を加算する加算器とを備えている。
【0166】
ここで、低周波アンプは、低周波信号を第1ゲインで増幅する一方、高周波信号を遮断する機能を有している。また、高周波アンプは、高周波数の入力信号を第2ゲイン(第1ゲインより小さい)で増幅する一方、低周波信号を遮断するようになっている。
【0167】
従って、第2受信回路では、低速通信に応じた低周波信号を処理する場合、この信号を第1ゲインで増幅した信号が低周波アンプから出力される一方、高周波アンプからの出力はない。従って、加算器からは、第1ゲインで増幅された低周波アンプからの出力信号が、そのまま出力される。
【0168】
一方、高速通信に応じた高周波信号を処理する場合、この信号を第2ゲインで増幅した信号が高周波アンプから出力される一方、低周波アンプからの出力はない。従って、加算器からは、第2ゲインで増幅された高周波アンプからの出力信号だけが出力される。
【0169】
これにより、第2受信回路では、入力信号の振幅値が周波数に応じて2段階に変化しても、その周波数に応じた適切なゲインで増幅した信号だけを出力できるようになっている。
【0170】
また、第2受信回路では、加算器を用いて2種類のアンプからの出力を足し合わせて出力するため、アンプの切り替えを行う必要がない。従って、切り替えのためのスイッチや切り替え信号の入力端子を備えることも、また、切り替えのための制御システムも不要となる。
これにより、第2受信回路は、小型化が容易で複雑な制御システムを必要としない、製造・維持コストの安価な赤外線受信回路となっている。
【0171】
また、第1受信回路および第2受信回路では、第2ゲインが、第1ゲインの40%以上かつ100%未満に設定されていることが好ましい。
これは、上記したように、IrDAでは、低周波信号の振幅値と高周波信号の振幅値とが0.4:1.0となっている一方、高速通信時では、赤外線信号のなまりや受信回路におけるフォトデテクタの応答速度の低下等の条件によって、高周波信号の振幅値がなまることがあるからである。
すなわち、第1受信回路および第2受信回路では、上記のような条件に応じて、高速通信時における増幅器のゲイン(第2ゲイン)を、低速通信時のゲイン(第1ゲイン)の40%以上かつ100%未満の範囲で調整することで、低周波信号と高周波信号との増幅後の振幅値をほぼ同様とすることが好ましいといえる。なお、この際、第1ゲインにあわせて第2ゲインを調整するようにしてもよい。
【0172】
また、第1受信回路および第2受信回路の増幅器では、入力信号の周波数に応じてゲインを変化させるようにしているが、その区分点(高周波と低周波とを分ける点)となる周波数(分岐周波数)は、通信規格において規定される閾値に設定されていることが好ましい。そして、IrDAでは、上記したように、この閾値は、307kHz〜1.15MHzの範囲となる。
従って、第1受信回路および第2受信回路では、低周波数の入力信号と高周波数の入力信号とを、307KHz〜1.15MHzの範囲内のいずれかの周波数で区分するように設定されていることが好ましいといえる。
【0173】
また、本発明の赤外線受信機器(本受信機器)は、上記した第1受信回路あるいは第2樹脂回路を含むものである。本受信機器は、第1・第2受信回路を有しているので、低周波信号および高周波信号の双方を処理できるとともに、小型化が容易で複雑な制御システムを必要としない、製造・維持コストの安価な赤外線受信機器となっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる赤外線受信機器(本受信機器)における、受信チップ内のメインアンプに備えられた増幅器のゲインにおける、周波数特性の例を示すグラフである。
【図2】本受信機器における受信チップの構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示した受信チップに備えられた、メインアンプの構成を示すブロック図である。
【図4】図3に示したメインアンプに備えられた、増幅器の構成を示す回路図である。
【図5】ラグリードフィルタの一般的な構成を示す回路図である。
【図6】ラグリードフィルタの伝達関数に関する複素平面を示す説明図である。
【図7】図7(a)は、電圧信号(光電流)の理想的な波形を示す説明図であり、図7(b)は、同じく歪んだ波形を示す説明図である。
【図8】図3に示したメインアンプに備えることの可能な、他の増幅器の構成を示す回路図である。
【図9】図2に示した受信チップに備えることの可能な、他のメインアンプの構成を示すブロック図である。
【図10】本受信機器に備えることの可能な、他の受信チップの構成を示すブロック図である。
【図11】従来の赤外線通信における受信装置のブロック図(システムブロック図)である。
【図12】IrDAで規定された、様々な通信速度に関する送信信号のスペクトルを示すグラフである。
【図13】従来のアンプにおける周波数特性(入力信号の周波数帯域と相対ゲインとの関係)を示すグラフである。
【図14】高速・低速のそれぞれの通信速度に応じて最適化された場合における、アンプの周波数特性を示すグラフである。
【図15】図11に示した装置におけるアンプの構成を示す回路図である。
【図16】従来の受信装置における他の例を示すブロック図である。
【図17】図16に示した装置におけるアンプの構成を示す回路図である。
【符号の説明】
10    受信チップ(赤外線受信機器,赤外線受信回路)
11    フォトダイオード(PD)
12    PDアンプ
13    メインアンプ(赤外線受信回路)
14    コンパレータ
21    ハイパスフィルタ
22    増幅器
23    ローパスフィルタ
31    増幅器
41    メインアンプ(赤外線受信回路)
42    増幅器
43    ラグリードフィルタ
50    受信チップ(赤外線受信機器,赤外線受信回路)
51    低周波アンプ
52    高周波アンプ
53    加算器
C1    容量
C2    容量(第2容量)
Ca    容量
L1・L2 電源ライン
PS1   定電流電源
R1    抵抗(第1抵抗)
R2    抵抗(第2抵抗)
Ra・Rb 抵抗
T1・T2 トランジスタ
ZK1   増幅回路
ZK2   増幅回路
f     伝達関数
s     ラプラス演算子

Claims (11)

  1. 受信された赤外線信号に応じた入力信号を増幅して出力する赤外線受信回路において、
    入力信号を増幅する増幅器を備えており、
    さらに、この増幅器のゲインを、
    低周波数の入力信号に対する第1ゲインと、
    高周波数の入力信号に対する、第1ゲインより小さい第2ゲインとの2段階に調整するラグリードフィルタ回路を備えていることを特徴とする赤外線受信回路。
  2. 上記増幅器が、ラグリードフィルタ回路を含むように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の赤外線受信回路。
  3. 上記増幅器は、第1および第2電源ラインの間に、互いに並列に接続されている1対の増幅回路と、定電流電源とを配置した差動増幅回路であり、
    上記両増幅回路は、トランジスタ,第1および第2抵抗ならびに容量を備え、第1電源ラインとトランジスタのコレクタとの間に第1抵抗が配されており、この第1抵抗と並列に、直列接続された第2抵抗と容量とが設けられており、
    さらに、両増幅回路におけるトランジスタのエミッタと第2電源ラインとの間に、上記定電流電源が接続されている構造を有しており、
    両増幅回路におけるトランジスタのベースに入力端子,コレクタに出力端子がそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項2に記載の赤外線受信回路。
  4. 上記第1および第2抵抗の抵抗値R1・R2,容量の容量値C1が、
    0.40≦R2/(R1+R2)≦1.00
    を満たすような値に設定されていることを特徴とする請求項3に記載の赤外線受信回路。
  5. 上記第1および第2抵抗の抵抗値R1・R2,容量の容量値C1の値が、
    1/{2×π×(R1+R2)×C1}または1/{2×π×R2×C1}が307KHz〜1.15MHzの範囲となるように、設定されていることを特徴とする請求項4に記載の赤外線受信回路。
  6. 上記両増幅回路が、第1抵抗と並列に接続された第2容量を有していることを特徴とする請求項3に記載の赤外線受信回路。
  7. 上記増幅器とラグリードフィルタ回路とが、別体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の赤外線受信回路。
  8. 受信された赤外線信号に応じた入力信号を増幅して出力する赤外線受信回路において、
    低周波数の入力信号のみを第1ゲインで増幅する低周波アンプと、
    高周波数の入力信号のみを、第1ゲインよりも小さい第2ゲインで増幅する高周波アンプと、
    これら両アンプの出力を加算する加算器とを備えていることを特徴とする赤外線受信回路。
  9. 上記第2ゲインが、第1ゲインの40%以上かつ100%未満に設定されていることを特徴とする請求項1あるいは8に記載の赤外線受信回路。
  10. 上記低周波数の入力信号と高周波数の入力信号とを、307KHz〜1.15MHzの範囲内のいずれかの周波数で区分することを特徴とする請求項1あるいは8に記載の赤外線受信回路。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の赤外線受信回路を含むことを特徴とする赤外線受信機器。
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