JP2004134852A - 圧電デバイスとその製造方法ならびに圧電デバイスを利用した携帯電話装置および圧電デバイスを利用した電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】外部からの衝撃に強い構造の圧電デバイスとその製造方法、ならびに、外部からの衝撃に強い構造の圧電デバイスを利用した携帯電話と電子機器を提供すること。
【解決手段】上端と下端とが開放された枠体36と、この枠体の内側に、前記枠体と一体に設けられるとともに、前記枠体の厚みよりも厚みが薄くなるように形成された圧電振動片32と、前記圧電振動片に接続され、前記枠体の上端面及び下端面に引き回された電極とを有しており、前記枠体の前記上端面36cと、前記下端面36dとに前記電極に駆動電圧を印加するための上側電極板37と下側電極板38とをそれぞれ固定する。
【選択図】 図1
【解決手段】上端と下端とが開放された枠体36と、この枠体の内側に、前記枠体と一体に設けられるとともに、前記枠体の厚みよりも厚みが薄くなるように形成された圧電振動片32と、前記圧電振動片に接続され、前記枠体の上端面及び下端面に引き回された電極とを有しており、前記枠体の前記上端面36cと、前記下端面36dとに前記電極に駆動電圧を印加するための上側電極板37と下側電極板38とをそれぞれ固定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電振動片を気密に収容した圧電デバイスとその製造方法、ならびに、圧電デバイスを利用した携帯電話と電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
HDD(ハード・ディスク・ドライブ)、モバイルコンピュータ、あるいはICカード等の小型の情報機器や、携帯電話、自動車電話、またはページングシステム等の移動体通信機器において、パッケージ内に圧電振動片を収容した圧電振動子や圧電発振器等の圧電デバイスが広く使用されている。
図16は、このような圧電デバイスの構成例を示す概略断面図である。
図において、圧電デバイス1は、パッケージ2の内部に、圧電振動片3を収容している。この圧電振動片3は、例えば水晶基板を利用して形成されている。この圧電振動片3は、パッケージ2の内側底部に形成された電極部6に対して、導電性接着剤6aを用いて、その基部3aが接合されている。
【0003】
パッケージ2は、セラミックグリーンシートを金型で枠状に抜き、内側に内部空間を形成するために複数枚積層した後、焼結して形成されている。パッケージ2の内部空間S1には、上述した圧電振動片3が収容され、収容後に、パッケージ2の開口部5は蓋体4により塞がれている。
この蓋体4は、具体的には、パッケージ2の開口部5に隣接したパッケージ2の上端に、ロウ材4aを適用し、このロウ材4aにより接合されている。
これにより、圧電振動片3を収容した内部空間S1は、蓋体4によって、気密に封止されるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような構造の圧電デバイス1では、蓋体4がパッケージ2を構成する材料と線膨張係数の近いセラミックで形成されたり、蓋体4の封止後に、圧電振動片3にレーザ光を当てて、圧電振動片3の電極部を一部蒸散させることで行う周波数調整に対応できるように、レーザ光を透過するガラスで形成されることがある。
【0005】
この場合、パッケージ2の上面にガラス製の蓋体4が露出することになるが、このような構造であると、外部から加えられる衝撃で、蓋体4が破損するおそれがある。そして、蓋体4が破損すると、製品の外観を損なうだけでなく、損傷が大きいと気密性が損なわれ、所定の振動性能を得られない場合がある。
【0006】
そこで、図17のような構成も考えられる。
図17は、パッケージの形態を工夫することで、蓋体の損傷をできるだけ防止しようとする圧電デバイスの構造の一例であり、図16と同一の符号を付した箇所は、図16の圧電デバイス1と同じ構造である。
【0007】
図17において、圧電デバイス10のパッケージ2は、枠部7を備えている。つまり、パッケージ2の開口部5の外側に上向き段部5aを備え、その外側に低い壁状の内周を備える枠部7が形成されている。
この上向き段部5aにロウ材4aを適用して、蓋体4を接合する構造とされている。
したがって、圧電デバイス10においては、蓋体4が、枠部7に囲まれることから、外部から衝撃を受けやすい蓋体4の側面が枠部7により保護されることになり、従来の圧電デバイス1よりも蓋体4が損傷しにくい。
【0008】
しかしながら、広い面積を示す蓋体4の上面4bが外部に晒されたままであり、この部分に衝撃を受けると、依然として損傷しやすい。また、蓋体4の上面4bが損傷しやすいのに、パッケージ2が枠部7を備える分、サイズが大きくなり、圧電デバイスの小型化に不利であるという欠点が付加される。このため、パッケージの大型化を許容するにしても得られる利点が少ないという問題がある。
【0009】
本発明は、外部からの衝撃に強い構造の圧電デバイスとその製造方法、ならびに、外部からの衝撃に強い構造の圧電デバイスを利用した携帯電話と電子機器を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述の目的は、本発明によれば、上端と下端とが開放された枠体と、この枠体の内側に、前記枠体と一体に設けられるとともに、前記枠体の厚みよりも厚みが薄くなるように形成された圧電振動片と、前記圧電振動片に接続され、前記枠体の上端面及び下端面に引き回された電極とを有しており、前記枠体の前記上端面と、前記下端面とに前記電極に駆動電圧を印加するための上側電極板と下側電極板とをそれぞれ電気的な導通を取り、固定することにより、前記枠体内の空間を封止する構造とした、圧電デバイスにより、達成される。
【0011】
上述の構成によれば、枠体は、薄板状の内側の材料を除去した矩形の形態であり、枠体の内側には、枠体の厚みより薄い厚みを備える圧電振動片が一体に設けられて収容されるようになっている。これにより、枠体の内側で、枠体より薄い圧電振動片は支障なく振動することができる構成である。そして、圧電振動片には、これを励振するための電極が形成され、この圧電振動片の電極と接続された電極が、前記枠体の上端面及び下端面に引き回されている。前記枠体の上端面及び下端面の電極には、この枠体の上端面及び下端面に固定される上側電極板と下側電極板とが電気的に接続され、かつ気密に固定される。この上側電極板と下側電極板に外部から給電することで、圧電振動片が駆動される。このような構成であるため、従来の圧電振動片を収容するパッケージのように、ガラス製の蓋体を使用していないため、外部からの衝撃に極めて強い蓋を実現することができる。また、従来のパッケージのように、内部に圧電振動片を固定するための特別な構造を必要としないので、その分、薄型に形成することができる。
このため、本発明によれば、外部からの衝撃に強い構造の圧電デバイスを得ることができるという効果を発揮する。
尚、この発明で、「上側電極板」と表現した場合の「上側」は、圧電デバイスを実装基板等に実装した状態で基板側と反対の側を意味し、「下側電極板」と表現した場合の「下側」は、圧電デバイスを実装基板等に実装した状態の基板側を意味する。
【0012】
この発明の他の構成は、前記下側電極板が、ほぼ水平に延長された延長部を備え、前記上側電極板は、下向きの曲折部と前記曲折部につながるほぼ水平に延長された延長部を備えることを特徴とする。
上述の構成によれば、前記下側電極板が、ほぼ水平に延長されて、実装基板側との実装電極を形成することができる。また、前記上側電極板は、下向きに曲折された延長部を備えることで、この延長部が前記実装基板に対する実装電極を形成することができる。
【0013】
この発明の他の構成は、前記下側電極板が、前記枠体の前記下端面に固定される薄板部と、この薄板部より外側で、前記枠体の一方の側面に沿って設けられた厚板部とを備え、前記上側電極板が、前記枠体の前記上端面に固定される薄板部と、この薄板部より外側で、前記枠体の他方の側面に沿って設けられた厚板部とを備えることを特徴とする。
上述の構成によれば、前記下側電極板の薄板部と、前記上側電極板の薄板部との間に前記枠体を挟んで固定することにより、圧電デバイスを形成することができる。この場合、前記下側電極板の厚板部と前記上側電極板の厚板部の各下面を利用して、実装基板等への実装電極を形成することができるので、上側電極も下側電極も折り曲げ加工することなく、簡単に圧電デバイスを構成することができる。
【0014】
この発明の他の構成は、前記枠体の前記上側電極板との固定箇所の近傍に、孔封止を行うための貫通孔を設けたことを特徴とする。
上述の構成によれば、枠体をエッチング加工する等の比較的簡単な工程により、孔封止用の貫通孔を設けることができる。このため、上側電極板と下側電極板を固定した後で、熱処理工程等の熱が加わる工程を経た場合においても、この孔封止用の貫通孔から、ガスを外部に排出した上で、この貫通孔を気密に封止することが可能となる。
【0015】
この発明の他の構成は、前記上側電極板に、孔封止を行うための貫通孔を設けたことを特徴とする。
上述の構成によれば、上側電極板を形成する工程で予め孔封止用の貫通孔を設けることができる。このため、上側電極板と下側電極板を固定した後で、熱処理工程等の熱が加わる工程を経た場合においても、この上側電極板の孔封止用の貫通孔から、ガスを外部に排出した上で、この貫通孔を気密に封止することが可能となる。
【0016】
この発明の他の構成は、前記貫通孔が前記枠体内に配置された圧電振動片の周波数調整用の金属被覆部に対応した位置に配置されていることを特徴とする。
上述の構成によれば、前記上側電極板の孔封止用の貫通孔を介して、例えばレーザ光を枠体内部に照射し、さらに、圧電振動片の周波数調整用の金属被覆部に照射することができる。これにより、前記金属被覆部の一部を蒸散させることで、質量を減らして、周波数調整を行うことで、圧電振動片の振動周波数を精密に調整することができる。尚、「周波数調整用の金属被覆部」とは、周波数調整のために設けられる金属被覆部であってもよいし、圧電振動片に設けた励振電極の一部を利用したものであってもよい。
【0017】
この発明の他の構成は、前記圧電振動片が、前記枠体の内面に一体に形成される基部と、この基部から平行に延びる一対の振動腕とを備えた音叉型振動片であり、前記各振動腕には、長さ方向に延びる溝が形成されていることを特徴とする。
上述の構成によれば、圧電振動片を音叉型振動片として構成し、さらに、その各振動腕に長さ方向に延びる溝を形成することにより、電界効率を向上させることができる。
【0018】
この発明の他の構成は、前記基部には、前記枠体の内面と一体に形成された領域と、前記振動腕との間に、切欠き部を備えることを特徴とする。
上述の構成によれば、圧電振動片を音叉型振動片とした場合に、その基部に前記切欠き部を形成することで、振動腕からの振動が基部に漏れ込むことを有効に防止でき、クリスタルインピーダンス値を抑制することができる。
【0019】
また、上述の目的は、本発明によれば、上端と下端とが開放された枠体とこの枠体に対して、枠体の内側に一体に設けられるとともに、前記枠体の厚みよりも厚みが薄くなるように形成された圧電振動片を用意し、前記圧電振動片に接続されるとともに、前記枠体の上端面及び下端面に引き回された電極を形成し、前記圧電振動片の電極もしくはこの電極と別に設けた周波数調整用の金属被覆部の質量を削減することで、周波数調整を行い、前記枠体の前記上端面と、前記下端面とに前記電極に駆動電圧を印加するための上側電極板と下側電極板とをそれぞれ電気的な導通を取り、固定することで封止する、圧電デバイスの製造方法により、達成される。
【0020】
上述の構成によれば、枠体の内側にこの枠体の厚みよりも厚みが薄くなるように形成された圧電振動片を形成したので、従来のように圧電振動片のパッケージへの接合工程を行う必要がなくなる。また、前記圧電振動片に接続されるとともに、前記枠体の上端面及び下端面に引き回された電極を形成して、前記枠体の前記上端面と、前記下端面とに前記電極に駆動電圧を印加するための上側電極板と下側電極板とをそれぞれ固定することで、ガラス製の蓋体を使用することなく、枠体を封止する構成を実現できる。このため金属製の丈夫な蓋体を用いることになり、外部からの衝撃に対して、従来より強い構造の圧電デバイスを容易に製造することができる。しかも、上側電極板と下側電極板とをそれぞれ固定する封止工程に先行して、前記圧電振動片の電極もしくはこの電極と別に設けた周波数調整用の金属被覆部の質量を削減することで、圧電振動片の振動周波数を調整することができる。
このため、本発明によれば、外部からの衝撃に強い構造の圧電デバイスの製造方法を提供することができるという効果を発揮する。
【0021】
この発明の他の構成は、前記上側電極板と前記下側電極板とをそれぞれ、前記枠体に固定する封止工程の後で、前記圧電振動片の熱処理を行うことを特徴とする。
上述の構成によれば、上側電極板と下側電極板とをそれぞれ固定する封止工程の後で、圧電振動片の熱処理を行うと、枠体内部からのガスを前記枠体、前記上側電極板、前記下側電極板のいずれかに形成した封止用の貫通孔を介して外部に排出することができる。これにより、この貫通孔を塞いだ後は、枠体の内部でガスが発生して、圧電振動片に付着して、振動性能に悪影響を与えることを有効に防止することができる。
【0022】
この発明の他の構成は、前記上側電極板と前記下側電極板とをそれぞれ前記枠体に固定する工程の後で、あるいは前記熱処理工程の後で、前記枠体、前記上側電極板、前記下側電極板のいずれかに形成した封止用の貫通孔を介して、前記圧電振動片の電極もしくはこの電極と別に設けた周波数調整用の金属被覆部の質量を削減して、さらに周波数調整を行い、前記周波数調整の後で、前記封止用の貫通孔を封止することを特徴とする。
【0023】
上述の構成によれば、前記枠体、前記上側電極板、前記下側電極板のいずれかに形成した封止用の貫通孔を介して、例えばレーザ光を枠体内部に照射し、さらに、圧電振動片の周波数調整用の金属被覆部に照射することができる。これにより、前記金属被覆部の一部を蒸散させることで、質量を減らして、周波数調整を行うことで、圧電振動片の振動周波数を、さらに精密に調整することができる。しかも、前記貫通孔を介して、周波数調整をして、圧電振動片の周波数を精密に合わせた後で、この貫通孔を塞げば、枠体の内部でガスが発生して、ガス成分が精密に調整した圧電振動片に付着して、振動性能に悪影響を与えることを有効に防止することができる。
【0024】
また、上述の目的は、本発明によれば、内部に圧電振動片を気密に収容する構成とした圧電デバイスを利用した携帯電話装置であって、上端と下端とが開放された枠体と、この枠体の内側に、前記枠体と一体に設けられるとともに、前記枠体の厚みよりも厚みが薄くなるように形成された圧電振動片と、前記圧電振動片に接続され、前記枠体の上端面及び下端面に引き回された電極とを有しており、前記枠体の前記上端面と、前記下端面とに前記電極に駆動電圧を印加するための上側電極板と下側電極板とをそれぞれ電気的に導通を取り、固定することで、前記枠体内の空間を封止する構造とした圧電デバイスにより、制御用のクロック信号を得るようにした、携帯電話装置により、達成される。
このため、本発明によれば、外部からの衝撃に強い構造の圧電デバイスを利用した携帯電話装置を得ることができるという効果を発揮する。
【0025】
また、上述の目的は、本発明によれば、内部に圧電振動片を気密に収容する構成とした圧電デバイスを利用した電子機器であって、上端と下端とが開放された枠体と、この枠体の内側に、前記枠体と一体に設けられるとともに、前記枠体の厚みよりも厚みが薄くなるように形成された圧電振動片と、前記圧電振動片に接続され、前記枠体の上端面及び下端面に引き回された電極とを有しており、前記枠体の前記上端面と、前記下端面とに前記電極に駆動電圧を印加するための上側電極板と下側電極板とをそれぞれ電気的に導通を取り、固定することで、前記枠体内の空間を封止する構造とした圧電デバイスにより、制御用のクロック信号を得るようにした、電子機器により、達成される。
このため、本発明によれば、外部からの衝撃に強い構造の圧電デバイスを利用した電子機器を得ることができるという効果を発揮する。
【0026】
【発明の実施の形態】
図1及び図2は、本発明の圧電デバイスの第1の実施の形態を示しており、図1はその概略斜視図、図2は図1の手前側から見た概略正面図である。また、図3は、圧電デバイスの一部を構成する枠体の概略平面図、図4は図3のA−A線概略断面図、図5は図1の概略底面図である。
図1おいて、圧電デバイス30は、圧電振動子を構成した例を示している。この圧電デバイス30は、枠体36の上下の開口(後述)を、それぞれ上側電極板37と下側電極板38とで塞ぐように固定して形成されている。
【0027】
上側電極板37と下側電極板38は、それぞれ同じ材質で形成されており、少なくとも電極として機能する程度に導通性に優れた丈夫な金属により形成されており、好ましくは、折り加工性や成形性に優れたものが好ましく、例えば、銅やアルミニウムの薄い板材で形成されている。
上側電極板37は、少なくとも図4で示す枠体36の上側開口36aを塞ぐ大きさの平面部分を備えており、この実施形態では、枠体36が矩形であることから、上側電極板37も矩形の形状とされている。下側電極板38は、少なくとも図4で示す枠体36の下側開口36bを塞ぐ大きさの平面部分を備えており、この実施形態では、枠体36が矩形であることから、下側電極板38も矩形の形状とされている。
【0028】
上側電極板37は、図1及び図2に示されているように、枠体36の上側開口36a(図4参照)を塞ぐ平面部分37cと、これと一体に延長され、下側へ曲折された第1の延長部分37aと、第1の延長部分37aから水平に延長された第2の延長部分37bを有している。
下側電極板38は、図1及び図2に示されているように、枠体36の下側開口36b(図4参照)を塞ぐ平面部分38cと、これと一体に水平に延長された延長部分38aを有している。
そして、上側電極板37の第2の延長部分37bと、下側電極板38の延長部分38aの各裏面は、半田63,62が適用されることで、それぞれ、実装対象である実装基板61等への電気的接続のための実装端子として機能するようになっている。
【0029】
図3ないし図5に示されているように、枠体36は、上端と下端とが開放され、内側に隙間ないし空間S2を有する矩形の枠である。枠体36は、開放された上端と下端とに、図1及び図2に示されているように上側電極板37と下側電極板38とを固定されることで、この空間S2が密閉された空間となるようにされている。
枠体36は、必ずしも図1のように、4角形である必要はなく、角の丸い楕円や長円形等でもよい。本実施形態の場合は、枠体36は、図1に示されているように一方向に長い長方形で、厚みの薄い枠体として形成されている。
【0030】
この枠体36は、特に、内部に圧電振動片32を形成するために、圧電材料が使用されている。使用される圧電材料としては、例えば、本実施形態のように水晶が適しており、水晶以外にもタンタル酸リチウム,ニオブ酸リチウム等の圧電材料を利用することができる。枠体36は、本実施形態の場合、水晶の薄板をエッチングすることにより、内部空間S2と圧電振動片32の外形を形成している。
【0031】
圧電振動片32は、枠体36と同じ材料で一体に形成されており、本実施形態の場合、圧電振動片32は、小型に形成して、必要な性能を得るために、特に図示する形状とされている。
すなわち、圧電振動片32は、図3において、枠体36の一端部の内側と一体とされている基部51と、この基部51を基端として、図において右方に向けて、二股に別れて平行に延びる一対の振動腕34,35を備えており、全体が音叉のような形状とされた、所謂、音叉型圧電振動片とされている。
この圧電振動片32は、図4を参照して理解されるように、その厚みが、枠体36の厚みよりも薄く形成されることで、枠体36の上面と下面とから段差を生じて、上下に隙間が設けられるようになっている。これにより、上側電極板37と下側電極板38が固定された際に、圧電振動片32と接触して、その振動を阻害しないようにされている。
【0032】
図3に示されているように、枠体36の上端面36cには、第1の電極41が形成されている。この第1の電極41は図3に符号41aで示すように、枠体36の上端面36cに引き回された端面電極41aと、この端面電極41aから延長されて、圧電振動片32の基部51の表面を通り、振動腕34の両側面及び振動腕35の上面と下面とに引きまわされた第1の励振電極41bとを有している。
また、図5に示されているように、枠体36の下端面36dには、第2の電極42が形成されている。この第2の電極42は図5に符号42aで示すように、枠体36の下端面36dに引き回された端面電極42aと、この端面電極42aから延長されて、圧電振動片32の基部51の裏面を通り、振動腕35の両側面及び振動腕34の上面と下面とに引きまわされた第2の励振電極42bとを有している。
これらの電極は、圧電材料の表面に、例えば、タングステンメタライズ上にニッケル及び金を蒸着により成膜して形成されている。
【0033】
そして、このような構成とした枠体36の上端面36cには、図1及び図2で説明した上側電極板37の平面部37cが固定されている。この場合、例えば、枠体36の上端面36cに、半田等のロウ材や導電性接着剤が適用されることにより上側電極板37が電気的導通を取り、固定されている。
また、枠体36の下端面36dには、図1及び図2で説明した下側電極板38の平面部38cが固定されている。この場合、例えば、枠体36の下端面36dに、半田等のロウ材や導電性接着剤が適用されることにより下側電極板38が電気的導通を取り、固定されている。
このようにして、枠体36の内部空間S2は、上側電極板37と下側電極板38により気密状態で封止されている。
【0034】
本実施形態の圧電デバイス30は、以上のように構成されており、上述したように、圧電振動片32には、これを励振するための励振電極41b,42bが形成されており、励振電極41b,42bと接続された第1の電極41の端面電極41aと、第2の電極42の端面電極42aとが、枠体36の上端面36c及び下端面36dに引き回されている。そして、枠体36の端面電極41aと、42aには、上側電極板37と下側電極板38とが接続される。したがって、この上側電極板37と下側電極板38に、図2で説明したように、実装基板61等から給電することで、圧電振動片32が駆動される。このような構成であるため、従来の圧電振動片を収容するパッケージのように、ガラス製の蓋体を使用しないために、外部からの衝撃で損傷することがない。また、従来のパッケージのように、内部に圧電振動片を固定するための特別な構造を必要としないので、全体として薄型に形成することができ、低背化をはかることができる。
【0035】
図6は、圧電振動片の変形例を備えた圧電デバイス30の概略平面図、図7は図6のB−B線で切断した切断端面を示す端面図である。この変形例において、第1の実施形態と同一の符号を付した箇所は共通する構成であるから、重複する説明は省略し、相違する点を中心に説明する。
図6に示されているように、圧電振動片132の枠体36の内面と一体に固定された領域である基部51と一対の振動腕34,35との間には、基部51の幅方向に縮幅して設けた切り欠き部もしくはくびれ部52,52を設けるようにしている。
【0036】
これにより、基部51側への圧電振動片132の振動の漏れを防止して、CI(クリスタルインピーダンス)値を低減することができる。
また、一対の振動腕34,35には、図7に示すように、それぞれ、長手方向に延びる長溝34a,35aを形成してもよい。この場合、各長溝34a,35aは、図7に示されているように、各振動腕34,35の上面と下面に同様の態様でそれぞれ形成される。
このように、一対の振動腕34,35に、それぞれ長手方向に延びる長溝34a,35aを形成し、この長溝34a,35aにそれぞれ電極膜41b、42bを形成することによって、振動腕34,35における電界効率が向上する利点がある。
その他の作用効果は、図1ないし図5で説明した圧電デバイス30と同じである。
【0037】
図8及び図9は、圧電デバイスの第2の実施形態を示している。
第2の実施形態において、第1の実施形態と同じ符号を付した箇所は共通する構成であるから、重複する説明は省略し、相違点を中心に説明する。
第2の実施形態に係る圧電デバイス70においては、第1の実施形態の圧電デバイス30と比較すると、枠体36と、圧電振動片32もしくは132の構成は全く同一であり、上側電極板と下側電極板の構成のみが相違している。
【0038】
図8は、第2の実施形態の圧電デバイス70の概略斜視図、図9は図8のC−C線概略断面図である。
これらの図において、圧電デバイス70では、下側電極板78が、枠体36の下端面に固定される薄板部78aと、この薄板部78aより外側で、枠体36の一方の側面に沿って設けられた厚板部78bとを備えている。
また、上側電極板77が、枠体の上端面に固定される薄板部77aと、この薄板部77aより外側で、枠体36の他方の側面に沿って設けられた厚板部77bとを備えている。
【0039】
本実施形態は以上のように構成されており、第1の実施形態と比較すると、下側電極板78の薄板部78aと、上側電極板77の薄板部77aとの間に枠体36を挟んで固定するだけで、圧電デバイス70を形成することができる。この場合、図9に示すように、下側電極板78の厚板部78bと上側電極板77の厚板部77bの各下面を利用して、実装基板61に半田62,63をそれぞれ適用するだけで実装電極を形成することができる。このため、上側電極77も下側電極78も折り曲げ加工することなく、簡単に圧電デバイスを構成することができる。その他の作用効果は、第1の実施形態と同じである。
【0040】
図10及び図11は、圧電デバイスの第2の実施形態の変形例1を示している。
この変形例1において、第1の実施形態及び第2の実施形態と同じ符号を付した箇所は共通する構成であるから、重複する説明は省略し、相違点を中心に説明する。
変形例1では、図8及び図9の圧電デバイス70と比較すると、上側電極板77に、孔封止用の貫通孔71を形成した点のみ相違し、他の構成は全く同一である。
【0041】
図10は、圧電振動片70の変形例1の概略斜視図、図11は図10のD−D線概略断面図である。
これらの図において、上側電極板77には、後述する孔封止を行うための貫通孔71が形成されている。このような貫通孔71は、上側電極板77を形成する工程で予め穿孔するだけの簡単な作業で設けることができる。このような貫通孔71を形成すると、上側電極板77と下側電極板78を枠体36に固定した後で、熱処理工程等の熱が加わる工程を経た場合においても、この上側電極板77の孔封止用の貫通孔71から、ガスを外部に排出した上で、この貫通孔71を孔封止工程において気密に封止することが可能となる。この点については、後述する製造工程でさらに説明する。
【0042】
ここで、図11の場合には、上側電極板77の孔封止用の貫通孔71は単純なひとつの貫通孔として図示されているが、これに限らず、上向きの段部を備えるように、内径の異なる2つの貫通孔を連続した形態としてもよい。すなわち、外部に開口した上側の貫通孔の内径を大きくし、枠体36の内部空間S2に開口する側の貫通孔の内径をより小さくした構成とすることもできる。
これにより、上側電極板77の孔封止用の貫通孔71の外部への開口周縁もしくは上向き段部の開口周縁に、金属ボール等の封止材を配置して、上方から、レーザ光や電子ビームをこの封止材に照射することで、封止材を溶融し、孔封止用の貫通孔71を孔封止することができる。これにより、容易に孔封止工程を実行できる。
【0043】
また、上側電極板77の孔封止用の貫通孔71を形成する位置は、枠体36の内側の圧電振動片32や132の先端付近の励振電極41b,42b(図3,図5等参照)の上に設けることが好ましい。これにより製造工程において、孔封止用の貫通孔71を介して、周波数調整用のレーザ光を励振電極41b,42bに照射することで、後述するように周波数調整を容易に行うことができる。また、圧電振動片32や132においては、上記励振電極41b,42bを周波数調整に使用する場合に限らず、励振電極とは別に、周波数調整用の金属被覆部を予め設けておいてもよい。
【0044】
図12及び図13は、圧電デバイスの第2の実施形態の変形例2を示している。
この変形例2において、第1の実施形態及び第2の実施形態と同じ符号を付した箇所は共通する構成であるから、重複する説明は省略し、相違点を中心に説明する。
変形例2では、図10及び図11で説明した変形例1と比較すると孔封止用の貫通孔の構成のみが相違し、他の構成は全く同一である。
【0045】
図12は、圧電振動片70の変形例2の概略斜視図、図13は図12のE−E線概略断面図である。
この変形例2では、孔封止用の貫通孔72が、図示されているように枠体36に形成されている。すなわち、枠体36の圧電振動片132よりも図において上の位置に、側面から貫通する孔封止用の貫通孔72が設けられている。
この場合、孔封止用の貫通孔72は、枠体36を形成する過程で、水晶材料をエッチングすることにより、簡単に形成することができる。
【0046】
次に、本発明の各実施形態における圧電デバイスの製造方法について説明する。製造方法は圧電デバイスの各実施形態についてほぼ共通であるから、圧電デバイス30を選んでその製造方法について説明する。
図14は、圧電デバイスの製造方法の実施形態を示すフローチャートである。
図において、枠体の形成ST10は、枠体36の外形と圧電振動片32の外形をエッチングにより形成する工程である。
【0047】
すなわち、図3ないし図5で説明したように、内側に圧電振動片32を一体に有する上側と下側とが開放された枠体36に対して、枠体36の内側に一体に設けられるとともに、枠体36の厚みよりも厚みが薄くなるように形成された圧電振動片32を形成する。この場合、枠体36の周囲部分をマスクして、エッチングを行い、所定時間後に、圧電振動片32の外形に沿ったマスクを追加して、さらにエッチングすることで、枠体36の厚みよりも厚みが薄い圧電振動片32と、その外形の外側に内部空間S2となる領域を形成することができる(ST10)。
次いで、フォトリソグラフィーにより、図3ないし図5で説明した形態の電極構造を形成する(ST11)。
【0048】
続いて、第1の周波数調整を行う(ST12)。第1の周波数調整は、ST11で形成した圧電振動片32の電極(励振電極41b,42b)もしくはこの電極と別に設けた周波数調整用の金属被覆部に対して、レーザ光や電子ビームを照射してトリミングすることにより、これらの金属の一部を蒸散させ、その質量を削減することで、周波数調整を行う。
【0049】
次に、枠体36の上端面36cと、枠体36の下端面36dとに、それぞれ半田等のロウ材や導電性接着剤が適用し、枠体36の上端面36cに、図1及び図2で説明した上側電極板37の平面部37cを固定し、枠体36の下端面36dに図1及び図2で説明した下側電極板38の平面部38cを固定する。これにより、枠体36の内部空間S2は、上側電極板37と下側電極板38により気密状態で封止される(ST13)。
【0050】
続いて、ST13で封止した圧電デバイス30を加熱炉等を利用して、加熱することにより、内部の圧電振動片32を熱処理する。これにより、内部の揮発成分がガスとなって、封止用の貫通孔71(図10参照)、や貫通孔72(図12参照)から外部に排出される。このため、ガス成分が圧電振動片32に付着して悪影響を与えることを防止することができる(ST14)。
【0051】
さらに、図10の構成の封止用の貫通孔71を備えている場合には、第2の周波数調整を行う(ST15)。すなわち、孔封止用の貫通孔71を介して、圧電振動片32の電極(励振電極41b,42b)もしくはこの電極と別に設けた周波数調整用の金属被覆部に対して、レーザ光や電子ビームを照射してトリミングすることにより、これらの金属の一部を蒸散させ、その質量を削減することで、第1の周波数調整と同様に、さらに精密に周波数調整を行うことができる。これにより、上側電極板37と下側電極板38とを固定した封止後において、熱処理工程(ST14)を経た後において、最終的な周波数の微調整をすることができる。
【0052】
そして、上側電極板77の孔封止用の貫通孔71の外部への開口周縁に、金属ボール等の封止材を配置して、上方から、レーザ光や電子ビームをこの封止材に照射することで、封止材を溶融し、孔封止用の貫通孔71を孔封止する(ST16)。孔封止工程が終了したら、検査工程に送り、製品検査を経て、圧電デバイス30が最終的に完成する(ST17)。
【0053】
このように、以上の製造方法によれば、枠体36の内側にこの枠体36の厚みよりも厚みが薄くなるように形成された圧電振動片32を形成したので、従来のように圧電振動片のパッケージへの接合工程を行う必要がなくなる。また、圧電振動片32に接続されるとともに、枠体36の上端面36c及び下端面36dに引き回された端面電極41a,42aを形成して、枠体36の上端面36c及び下端面36dとに端面電極41a,42aに駆動電圧を印加するための上側電極板37と下側電極板38とをそれぞれ固定することで(図3及び図5参照)、ガラス製の蓋体を使用することなく、枠体36を封止するようにしたから、金属製の丈夫な蓋体を用いることになり、外部からの衝撃に対して従来よりも強い構造の圧電デバイス30を容易に製造することができる。
【0054】
図15は、本発明の上述した実施形態に係る圧電デバイスを利用した電子機器の一例としてのデジタル式携帯電話装置の概略構成を示す図である。
図において、送信者の音声を受信するマイクロフォン308及び受信内容を音声出力とするためのスピーカ309を備えており、さらに、送受信信号の変調及び復調部に接続された制御部としての集積回路等でなるCPU(Central
Processing Unit)301を備えている。
CPU301は、送受信信号の変調及び復調の他に画像表示部としてのLCDや情報入力のための操作キー等でなる情報の入出力部302や、RAM,ROM等でなるメモリ303の制御を行うようになっている。このため、CPU301には、圧電デバイス30が取り付けられて、その出力周波数をCPU301に内蔵された所定の分周回路(図示せず)等により、制御内容に適合したクロック信号として利用するようにされている。このCPU301に取付けられる圧電デバイス30は、圧電デバイス30等単体でなくても、圧電デバイス30等と、所定の分周回路等とを組み合わせた発振器であってもよい。
【0055】
CPU301は、さらに、温度補償水晶発振器(TCXO)305と接続され、温度補償水晶発振器305は、送信部307と受信部306に接続されている。これにより、CPU301からの基本クロックの周波数が、環境温度の変化により変動しても、温度補償水晶発振器305により修正されて、送信部307及び受信部306に与えられるようになっている。
【0056】
このように、制御部を備えたディジタル式携帯電話装置300のような電子機器に、上述した実施形態に係る圧電デバイス30を利用することにより、その蓋体が損傷することを有効に防止できるので、動作品質を損なうことなく、正確なクロック信号を生成することができる。
【0057】
本発明は上述の実施形態に限定されない。各実施形態の各構成はこれらを適宜組み合わせたり、省略し、図示しない他の構成と組み合わせることができる。
また、この発明は、パッケージ内に圧電振動片を収容するものであれば、圧電振動子、圧電発振器等の名称にかかわらず、全ての圧電デバイスに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧電デバイスの第1の実施形態を示す概略斜視図。
【図2】図1の圧電デバイスの手前側から見た概略正面図。
【図3】図1の圧電デバイスの一部を構成する枠体の概略平面図。
【図4】図3のA−A線概略断面図。
【図5】図1の圧電デバイスの概略底面図。
【図6】圧電デバイスの第1の実施形態に係る圧電振動片の変形例を備えた圧電デバイスの概略平面図。
【図7】図6のB−B線切断端面図。
【図8】本発明の第2の実施形態の圧電振動片の概略斜視図。
【図9】図8のC−C線概略断面図。
【図10】本発明の第2の実施形態の変形例1に係る圧電振動片の概略斜視図。
【図11】図10のD−D線概略断面図。
【図12】本発明の第2の実施形態の変形例2に係る圧電振動片の概略斜視図。
【図13】図12のE−E線概略断面図。
【図14】本発明の圧電デバイスの製造方法の実施形態を示すフローチャート。
【図15】本発明の実施形態に係る圧電デバイスを利用した電子機器の一例としてのデジタル式携帯電話装置の概略構成を示す図。
【図16】従来の圧電デバイスの一例を示す概略断面図。
【図17】蓋体を保護する構造を有する圧電デバイスの例を示す概略断面図。
【符号の説明】
30,70・・・圧電デバイス、32,132・・・圧電振動片、36・・・枠体、37,77・・・上側電極板、38,78・・・下側電極板、41a,42a・・・端面電極、41b・・・第1の励振電極、42b・・・第2の励振電極、51・・・基部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電振動片を気密に収容した圧電デバイスとその製造方法、ならびに、圧電デバイスを利用した携帯電話と電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
HDD(ハード・ディスク・ドライブ)、モバイルコンピュータ、あるいはICカード等の小型の情報機器や、携帯電話、自動車電話、またはページングシステム等の移動体通信機器において、パッケージ内に圧電振動片を収容した圧電振動子や圧電発振器等の圧電デバイスが広く使用されている。
図16は、このような圧電デバイスの構成例を示す概略断面図である。
図において、圧電デバイス1は、パッケージ2の内部に、圧電振動片3を収容している。この圧電振動片3は、例えば水晶基板を利用して形成されている。この圧電振動片3は、パッケージ2の内側底部に形成された電極部6に対して、導電性接着剤6aを用いて、その基部3aが接合されている。
【0003】
パッケージ2は、セラミックグリーンシートを金型で枠状に抜き、内側に内部空間を形成するために複数枚積層した後、焼結して形成されている。パッケージ2の内部空間S1には、上述した圧電振動片3が収容され、収容後に、パッケージ2の開口部5は蓋体4により塞がれている。
この蓋体4は、具体的には、パッケージ2の開口部5に隣接したパッケージ2の上端に、ロウ材4aを適用し、このロウ材4aにより接合されている。
これにより、圧電振動片3を収容した内部空間S1は、蓋体4によって、気密に封止されるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような構造の圧電デバイス1では、蓋体4がパッケージ2を構成する材料と線膨張係数の近いセラミックで形成されたり、蓋体4の封止後に、圧電振動片3にレーザ光を当てて、圧電振動片3の電極部を一部蒸散させることで行う周波数調整に対応できるように、レーザ光を透過するガラスで形成されることがある。
【0005】
この場合、パッケージ2の上面にガラス製の蓋体4が露出することになるが、このような構造であると、外部から加えられる衝撃で、蓋体4が破損するおそれがある。そして、蓋体4が破損すると、製品の外観を損なうだけでなく、損傷が大きいと気密性が損なわれ、所定の振動性能を得られない場合がある。
【0006】
そこで、図17のような構成も考えられる。
図17は、パッケージの形態を工夫することで、蓋体の損傷をできるだけ防止しようとする圧電デバイスの構造の一例であり、図16と同一の符号を付した箇所は、図16の圧電デバイス1と同じ構造である。
【0007】
図17において、圧電デバイス10のパッケージ2は、枠部7を備えている。つまり、パッケージ2の開口部5の外側に上向き段部5aを備え、その外側に低い壁状の内周を備える枠部7が形成されている。
この上向き段部5aにロウ材4aを適用して、蓋体4を接合する構造とされている。
したがって、圧電デバイス10においては、蓋体4が、枠部7に囲まれることから、外部から衝撃を受けやすい蓋体4の側面が枠部7により保護されることになり、従来の圧電デバイス1よりも蓋体4が損傷しにくい。
【0008】
しかしながら、広い面積を示す蓋体4の上面4bが外部に晒されたままであり、この部分に衝撃を受けると、依然として損傷しやすい。また、蓋体4の上面4bが損傷しやすいのに、パッケージ2が枠部7を備える分、サイズが大きくなり、圧電デバイスの小型化に不利であるという欠点が付加される。このため、パッケージの大型化を許容するにしても得られる利点が少ないという問題がある。
【0009】
本発明は、外部からの衝撃に強い構造の圧電デバイスとその製造方法、ならびに、外部からの衝撃に強い構造の圧電デバイスを利用した携帯電話と電子機器を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述の目的は、本発明によれば、上端と下端とが開放された枠体と、この枠体の内側に、前記枠体と一体に設けられるとともに、前記枠体の厚みよりも厚みが薄くなるように形成された圧電振動片と、前記圧電振動片に接続され、前記枠体の上端面及び下端面に引き回された電極とを有しており、前記枠体の前記上端面と、前記下端面とに前記電極に駆動電圧を印加するための上側電極板と下側電極板とをそれぞれ電気的な導通を取り、固定することにより、前記枠体内の空間を封止する構造とした、圧電デバイスにより、達成される。
【0011】
上述の構成によれば、枠体は、薄板状の内側の材料を除去した矩形の形態であり、枠体の内側には、枠体の厚みより薄い厚みを備える圧電振動片が一体に設けられて収容されるようになっている。これにより、枠体の内側で、枠体より薄い圧電振動片は支障なく振動することができる構成である。そして、圧電振動片には、これを励振するための電極が形成され、この圧電振動片の電極と接続された電極が、前記枠体の上端面及び下端面に引き回されている。前記枠体の上端面及び下端面の電極には、この枠体の上端面及び下端面に固定される上側電極板と下側電極板とが電気的に接続され、かつ気密に固定される。この上側電極板と下側電極板に外部から給電することで、圧電振動片が駆動される。このような構成であるため、従来の圧電振動片を収容するパッケージのように、ガラス製の蓋体を使用していないため、外部からの衝撃に極めて強い蓋を実現することができる。また、従来のパッケージのように、内部に圧電振動片を固定するための特別な構造を必要としないので、その分、薄型に形成することができる。
このため、本発明によれば、外部からの衝撃に強い構造の圧電デバイスを得ることができるという効果を発揮する。
尚、この発明で、「上側電極板」と表現した場合の「上側」は、圧電デバイスを実装基板等に実装した状態で基板側と反対の側を意味し、「下側電極板」と表現した場合の「下側」は、圧電デバイスを実装基板等に実装した状態の基板側を意味する。
【0012】
この発明の他の構成は、前記下側電極板が、ほぼ水平に延長された延長部を備え、前記上側電極板は、下向きの曲折部と前記曲折部につながるほぼ水平に延長された延長部を備えることを特徴とする。
上述の構成によれば、前記下側電極板が、ほぼ水平に延長されて、実装基板側との実装電極を形成することができる。また、前記上側電極板は、下向きに曲折された延長部を備えることで、この延長部が前記実装基板に対する実装電極を形成することができる。
【0013】
この発明の他の構成は、前記下側電極板が、前記枠体の前記下端面に固定される薄板部と、この薄板部より外側で、前記枠体の一方の側面に沿って設けられた厚板部とを備え、前記上側電極板が、前記枠体の前記上端面に固定される薄板部と、この薄板部より外側で、前記枠体の他方の側面に沿って設けられた厚板部とを備えることを特徴とする。
上述の構成によれば、前記下側電極板の薄板部と、前記上側電極板の薄板部との間に前記枠体を挟んで固定することにより、圧電デバイスを形成することができる。この場合、前記下側電極板の厚板部と前記上側電極板の厚板部の各下面を利用して、実装基板等への実装電極を形成することができるので、上側電極も下側電極も折り曲げ加工することなく、簡単に圧電デバイスを構成することができる。
【0014】
この発明の他の構成は、前記枠体の前記上側電極板との固定箇所の近傍に、孔封止を行うための貫通孔を設けたことを特徴とする。
上述の構成によれば、枠体をエッチング加工する等の比較的簡単な工程により、孔封止用の貫通孔を設けることができる。このため、上側電極板と下側電極板を固定した後で、熱処理工程等の熱が加わる工程を経た場合においても、この孔封止用の貫通孔から、ガスを外部に排出した上で、この貫通孔を気密に封止することが可能となる。
【0015】
この発明の他の構成は、前記上側電極板に、孔封止を行うための貫通孔を設けたことを特徴とする。
上述の構成によれば、上側電極板を形成する工程で予め孔封止用の貫通孔を設けることができる。このため、上側電極板と下側電極板を固定した後で、熱処理工程等の熱が加わる工程を経た場合においても、この上側電極板の孔封止用の貫通孔から、ガスを外部に排出した上で、この貫通孔を気密に封止することが可能となる。
【0016】
この発明の他の構成は、前記貫通孔が前記枠体内に配置された圧電振動片の周波数調整用の金属被覆部に対応した位置に配置されていることを特徴とする。
上述の構成によれば、前記上側電極板の孔封止用の貫通孔を介して、例えばレーザ光を枠体内部に照射し、さらに、圧電振動片の周波数調整用の金属被覆部に照射することができる。これにより、前記金属被覆部の一部を蒸散させることで、質量を減らして、周波数調整を行うことで、圧電振動片の振動周波数を精密に調整することができる。尚、「周波数調整用の金属被覆部」とは、周波数調整のために設けられる金属被覆部であってもよいし、圧電振動片に設けた励振電極の一部を利用したものであってもよい。
【0017】
この発明の他の構成は、前記圧電振動片が、前記枠体の内面に一体に形成される基部と、この基部から平行に延びる一対の振動腕とを備えた音叉型振動片であり、前記各振動腕には、長さ方向に延びる溝が形成されていることを特徴とする。
上述の構成によれば、圧電振動片を音叉型振動片として構成し、さらに、その各振動腕に長さ方向に延びる溝を形成することにより、電界効率を向上させることができる。
【0018】
この発明の他の構成は、前記基部には、前記枠体の内面と一体に形成された領域と、前記振動腕との間に、切欠き部を備えることを特徴とする。
上述の構成によれば、圧電振動片を音叉型振動片とした場合に、その基部に前記切欠き部を形成することで、振動腕からの振動が基部に漏れ込むことを有効に防止でき、クリスタルインピーダンス値を抑制することができる。
【0019】
また、上述の目的は、本発明によれば、上端と下端とが開放された枠体とこの枠体に対して、枠体の内側に一体に設けられるとともに、前記枠体の厚みよりも厚みが薄くなるように形成された圧電振動片を用意し、前記圧電振動片に接続されるとともに、前記枠体の上端面及び下端面に引き回された電極を形成し、前記圧電振動片の電極もしくはこの電極と別に設けた周波数調整用の金属被覆部の質量を削減することで、周波数調整を行い、前記枠体の前記上端面と、前記下端面とに前記電極に駆動電圧を印加するための上側電極板と下側電極板とをそれぞれ電気的な導通を取り、固定することで封止する、圧電デバイスの製造方法により、達成される。
【0020】
上述の構成によれば、枠体の内側にこの枠体の厚みよりも厚みが薄くなるように形成された圧電振動片を形成したので、従来のように圧電振動片のパッケージへの接合工程を行う必要がなくなる。また、前記圧電振動片に接続されるとともに、前記枠体の上端面及び下端面に引き回された電極を形成して、前記枠体の前記上端面と、前記下端面とに前記電極に駆動電圧を印加するための上側電極板と下側電極板とをそれぞれ固定することで、ガラス製の蓋体を使用することなく、枠体を封止する構成を実現できる。このため金属製の丈夫な蓋体を用いることになり、外部からの衝撃に対して、従来より強い構造の圧電デバイスを容易に製造することができる。しかも、上側電極板と下側電極板とをそれぞれ固定する封止工程に先行して、前記圧電振動片の電極もしくはこの電極と別に設けた周波数調整用の金属被覆部の質量を削減することで、圧電振動片の振動周波数を調整することができる。
このため、本発明によれば、外部からの衝撃に強い構造の圧電デバイスの製造方法を提供することができるという効果を発揮する。
【0021】
この発明の他の構成は、前記上側電極板と前記下側電極板とをそれぞれ、前記枠体に固定する封止工程の後で、前記圧電振動片の熱処理を行うことを特徴とする。
上述の構成によれば、上側電極板と下側電極板とをそれぞれ固定する封止工程の後で、圧電振動片の熱処理を行うと、枠体内部からのガスを前記枠体、前記上側電極板、前記下側電極板のいずれかに形成した封止用の貫通孔を介して外部に排出することができる。これにより、この貫通孔を塞いだ後は、枠体の内部でガスが発生して、圧電振動片に付着して、振動性能に悪影響を与えることを有効に防止することができる。
【0022】
この発明の他の構成は、前記上側電極板と前記下側電極板とをそれぞれ前記枠体に固定する工程の後で、あるいは前記熱処理工程の後で、前記枠体、前記上側電極板、前記下側電極板のいずれかに形成した封止用の貫通孔を介して、前記圧電振動片の電極もしくはこの電極と別に設けた周波数調整用の金属被覆部の質量を削減して、さらに周波数調整を行い、前記周波数調整の後で、前記封止用の貫通孔を封止することを特徴とする。
【0023】
上述の構成によれば、前記枠体、前記上側電極板、前記下側電極板のいずれかに形成した封止用の貫通孔を介して、例えばレーザ光を枠体内部に照射し、さらに、圧電振動片の周波数調整用の金属被覆部に照射することができる。これにより、前記金属被覆部の一部を蒸散させることで、質量を減らして、周波数調整を行うことで、圧電振動片の振動周波数を、さらに精密に調整することができる。しかも、前記貫通孔を介して、周波数調整をして、圧電振動片の周波数を精密に合わせた後で、この貫通孔を塞げば、枠体の内部でガスが発生して、ガス成分が精密に調整した圧電振動片に付着して、振動性能に悪影響を与えることを有効に防止することができる。
【0024】
また、上述の目的は、本発明によれば、内部に圧電振動片を気密に収容する構成とした圧電デバイスを利用した携帯電話装置であって、上端と下端とが開放された枠体と、この枠体の内側に、前記枠体と一体に設けられるとともに、前記枠体の厚みよりも厚みが薄くなるように形成された圧電振動片と、前記圧電振動片に接続され、前記枠体の上端面及び下端面に引き回された電極とを有しており、前記枠体の前記上端面と、前記下端面とに前記電極に駆動電圧を印加するための上側電極板と下側電極板とをそれぞれ電気的に導通を取り、固定することで、前記枠体内の空間を封止する構造とした圧電デバイスにより、制御用のクロック信号を得るようにした、携帯電話装置により、達成される。
このため、本発明によれば、外部からの衝撃に強い構造の圧電デバイスを利用した携帯電話装置を得ることができるという効果を発揮する。
【0025】
また、上述の目的は、本発明によれば、内部に圧電振動片を気密に収容する構成とした圧電デバイスを利用した電子機器であって、上端と下端とが開放された枠体と、この枠体の内側に、前記枠体と一体に設けられるとともに、前記枠体の厚みよりも厚みが薄くなるように形成された圧電振動片と、前記圧電振動片に接続され、前記枠体の上端面及び下端面に引き回された電極とを有しており、前記枠体の前記上端面と、前記下端面とに前記電極に駆動電圧を印加するための上側電極板と下側電極板とをそれぞれ電気的に導通を取り、固定することで、前記枠体内の空間を封止する構造とした圧電デバイスにより、制御用のクロック信号を得るようにした、電子機器により、達成される。
このため、本発明によれば、外部からの衝撃に強い構造の圧電デバイスを利用した電子機器を得ることができるという効果を発揮する。
【0026】
【発明の実施の形態】
図1及び図2は、本発明の圧電デバイスの第1の実施の形態を示しており、図1はその概略斜視図、図2は図1の手前側から見た概略正面図である。また、図3は、圧電デバイスの一部を構成する枠体の概略平面図、図4は図3のA−A線概略断面図、図5は図1の概略底面図である。
図1おいて、圧電デバイス30は、圧電振動子を構成した例を示している。この圧電デバイス30は、枠体36の上下の開口(後述)を、それぞれ上側電極板37と下側電極板38とで塞ぐように固定して形成されている。
【0027】
上側電極板37と下側電極板38は、それぞれ同じ材質で形成されており、少なくとも電極として機能する程度に導通性に優れた丈夫な金属により形成されており、好ましくは、折り加工性や成形性に優れたものが好ましく、例えば、銅やアルミニウムの薄い板材で形成されている。
上側電極板37は、少なくとも図4で示す枠体36の上側開口36aを塞ぐ大きさの平面部分を備えており、この実施形態では、枠体36が矩形であることから、上側電極板37も矩形の形状とされている。下側電極板38は、少なくとも図4で示す枠体36の下側開口36bを塞ぐ大きさの平面部分を備えており、この実施形態では、枠体36が矩形であることから、下側電極板38も矩形の形状とされている。
【0028】
上側電極板37は、図1及び図2に示されているように、枠体36の上側開口36a(図4参照)を塞ぐ平面部分37cと、これと一体に延長され、下側へ曲折された第1の延長部分37aと、第1の延長部分37aから水平に延長された第2の延長部分37bを有している。
下側電極板38は、図1及び図2に示されているように、枠体36の下側開口36b(図4参照)を塞ぐ平面部分38cと、これと一体に水平に延長された延長部分38aを有している。
そして、上側電極板37の第2の延長部分37bと、下側電極板38の延長部分38aの各裏面は、半田63,62が適用されることで、それぞれ、実装対象である実装基板61等への電気的接続のための実装端子として機能するようになっている。
【0029】
図3ないし図5に示されているように、枠体36は、上端と下端とが開放され、内側に隙間ないし空間S2を有する矩形の枠である。枠体36は、開放された上端と下端とに、図1及び図2に示されているように上側電極板37と下側電極板38とを固定されることで、この空間S2が密閉された空間となるようにされている。
枠体36は、必ずしも図1のように、4角形である必要はなく、角の丸い楕円や長円形等でもよい。本実施形態の場合は、枠体36は、図1に示されているように一方向に長い長方形で、厚みの薄い枠体として形成されている。
【0030】
この枠体36は、特に、内部に圧電振動片32を形成するために、圧電材料が使用されている。使用される圧電材料としては、例えば、本実施形態のように水晶が適しており、水晶以外にもタンタル酸リチウム,ニオブ酸リチウム等の圧電材料を利用することができる。枠体36は、本実施形態の場合、水晶の薄板をエッチングすることにより、内部空間S2と圧電振動片32の外形を形成している。
【0031】
圧電振動片32は、枠体36と同じ材料で一体に形成されており、本実施形態の場合、圧電振動片32は、小型に形成して、必要な性能を得るために、特に図示する形状とされている。
すなわち、圧電振動片32は、図3において、枠体36の一端部の内側と一体とされている基部51と、この基部51を基端として、図において右方に向けて、二股に別れて平行に延びる一対の振動腕34,35を備えており、全体が音叉のような形状とされた、所謂、音叉型圧電振動片とされている。
この圧電振動片32は、図4を参照して理解されるように、その厚みが、枠体36の厚みよりも薄く形成されることで、枠体36の上面と下面とから段差を生じて、上下に隙間が設けられるようになっている。これにより、上側電極板37と下側電極板38が固定された際に、圧電振動片32と接触して、その振動を阻害しないようにされている。
【0032】
図3に示されているように、枠体36の上端面36cには、第1の電極41が形成されている。この第1の電極41は図3に符号41aで示すように、枠体36の上端面36cに引き回された端面電極41aと、この端面電極41aから延長されて、圧電振動片32の基部51の表面を通り、振動腕34の両側面及び振動腕35の上面と下面とに引きまわされた第1の励振電極41bとを有している。
また、図5に示されているように、枠体36の下端面36dには、第2の電極42が形成されている。この第2の電極42は図5に符号42aで示すように、枠体36の下端面36dに引き回された端面電極42aと、この端面電極42aから延長されて、圧電振動片32の基部51の裏面を通り、振動腕35の両側面及び振動腕34の上面と下面とに引きまわされた第2の励振電極42bとを有している。
これらの電極は、圧電材料の表面に、例えば、タングステンメタライズ上にニッケル及び金を蒸着により成膜して形成されている。
【0033】
そして、このような構成とした枠体36の上端面36cには、図1及び図2で説明した上側電極板37の平面部37cが固定されている。この場合、例えば、枠体36の上端面36cに、半田等のロウ材や導電性接着剤が適用されることにより上側電極板37が電気的導通を取り、固定されている。
また、枠体36の下端面36dには、図1及び図2で説明した下側電極板38の平面部38cが固定されている。この場合、例えば、枠体36の下端面36dに、半田等のロウ材や導電性接着剤が適用されることにより下側電極板38が電気的導通を取り、固定されている。
このようにして、枠体36の内部空間S2は、上側電極板37と下側電極板38により気密状態で封止されている。
【0034】
本実施形態の圧電デバイス30は、以上のように構成されており、上述したように、圧電振動片32には、これを励振するための励振電極41b,42bが形成されており、励振電極41b,42bと接続された第1の電極41の端面電極41aと、第2の電極42の端面電極42aとが、枠体36の上端面36c及び下端面36dに引き回されている。そして、枠体36の端面電極41aと、42aには、上側電極板37と下側電極板38とが接続される。したがって、この上側電極板37と下側電極板38に、図2で説明したように、実装基板61等から給電することで、圧電振動片32が駆動される。このような構成であるため、従来の圧電振動片を収容するパッケージのように、ガラス製の蓋体を使用しないために、外部からの衝撃で損傷することがない。また、従来のパッケージのように、内部に圧電振動片を固定するための特別な構造を必要としないので、全体として薄型に形成することができ、低背化をはかることができる。
【0035】
図6は、圧電振動片の変形例を備えた圧電デバイス30の概略平面図、図7は図6のB−B線で切断した切断端面を示す端面図である。この変形例において、第1の実施形態と同一の符号を付した箇所は共通する構成であるから、重複する説明は省略し、相違する点を中心に説明する。
図6に示されているように、圧電振動片132の枠体36の内面と一体に固定された領域である基部51と一対の振動腕34,35との間には、基部51の幅方向に縮幅して設けた切り欠き部もしくはくびれ部52,52を設けるようにしている。
【0036】
これにより、基部51側への圧電振動片132の振動の漏れを防止して、CI(クリスタルインピーダンス)値を低減することができる。
また、一対の振動腕34,35には、図7に示すように、それぞれ、長手方向に延びる長溝34a,35aを形成してもよい。この場合、各長溝34a,35aは、図7に示されているように、各振動腕34,35の上面と下面に同様の態様でそれぞれ形成される。
このように、一対の振動腕34,35に、それぞれ長手方向に延びる長溝34a,35aを形成し、この長溝34a,35aにそれぞれ電極膜41b、42bを形成することによって、振動腕34,35における電界効率が向上する利点がある。
その他の作用効果は、図1ないし図5で説明した圧電デバイス30と同じである。
【0037】
図8及び図9は、圧電デバイスの第2の実施形態を示している。
第2の実施形態において、第1の実施形態と同じ符号を付した箇所は共通する構成であるから、重複する説明は省略し、相違点を中心に説明する。
第2の実施形態に係る圧電デバイス70においては、第1の実施形態の圧電デバイス30と比較すると、枠体36と、圧電振動片32もしくは132の構成は全く同一であり、上側電極板と下側電極板の構成のみが相違している。
【0038】
図8は、第2の実施形態の圧電デバイス70の概略斜視図、図9は図8のC−C線概略断面図である。
これらの図において、圧電デバイス70では、下側電極板78が、枠体36の下端面に固定される薄板部78aと、この薄板部78aより外側で、枠体36の一方の側面に沿って設けられた厚板部78bとを備えている。
また、上側電極板77が、枠体の上端面に固定される薄板部77aと、この薄板部77aより外側で、枠体36の他方の側面に沿って設けられた厚板部77bとを備えている。
【0039】
本実施形態は以上のように構成されており、第1の実施形態と比較すると、下側電極板78の薄板部78aと、上側電極板77の薄板部77aとの間に枠体36を挟んで固定するだけで、圧電デバイス70を形成することができる。この場合、図9に示すように、下側電極板78の厚板部78bと上側電極板77の厚板部77bの各下面を利用して、実装基板61に半田62,63をそれぞれ適用するだけで実装電極を形成することができる。このため、上側電極77も下側電極78も折り曲げ加工することなく、簡単に圧電デバイスを構成することができる。その他の作用効果は、第1の実施形態と同じである。
【0040】
図10及び図11は、圧電デバイスの第2の実施形態の変形例1を示している。
この変形例1において、第1の実施形態及び第2の実施形態と同じ符号を付した箇所は共通する構成であるから、重複する説明は省略し、相違点を中心に説明する。
変形例1では、図8及び図9の圧電デバイス70と比較すると、上側電極板77に、孔封止用の貫通孔71を形成した点のみ相違し、他の構成は全く同一である。
【0041】
図10は、圧電振動片70の変形例1の概略斜視図、図11は図10のD−D線概略断面図である。
これらの図において、上側電極板77には、後述する孔封止を行うための貫通孔71が形成されている。このような貫通孔71は、上側電極板77を形成する工程で予め穿孔するだけの簡単な作業で設けることができる。このような貫通孔71を形成すると、上側電極板77と下側電極板78を枠体36に固定した後で、熱処理工程等の熱が加わる工程を経た場合においても、この上側電極板77の孔封止用の貫通孔71から、ガスを外部に排出した上で、この貫通孔71を孔封止工程において気密に封止することが可能となる。この点については、後述する製造工程でさらに説明する。
【0042】
ここで、図11の場合には、上側電極板77の孔封止用の貫通孔71は単純なひとつの貫通孔として図示されているが、これに限らず、上向きの段部を備えるように、内径の異なる2つの貫通孔を連続した形態としてもよい。すなわち、外部に開口した上側の貫通孔の内径を大きくし、枠体36の内部空間S2に開口する側の貫通孔の内径をより小さくした構成とすることもできる。
これにより、上側電極板77の孔封止用の貫通孔71の外部への開口周縁もしくは上向き段部の開口周縁に、金属ボール等の封止材を配置して、上方から、レーザ光や電子ビームをこの封止材に照射することで、封止材を溶融し、孔封止用の貫通孔71を孔封止することができる。これにより、容易に孔封止工程を実行できる。
【0043】
また、上側電極板77の孔封止用の貫通孔71を形成する位置は、枠体36の内側の圧電振動片32や132の先端付近の励振電極41b,42b(図3,図5等参照)の上に設けることが好ましい。これにより製造工程において、孔封止用の貫通孔71を介して、周波数調整用のレーザ光を励振電極41b,42bに照射することで、後述するように周波数調整を容易に行うことができる。また、圧電振動片32や132においては、上記励振電極41b,42bを周波数調整に使用する場合に限らず、励振電極とは別に、周波数調整用の金属被覆部を予め設けておいてもよい。
【0044】
図12及び図13は、圧電デバイスの第2の実施形態の変形例2を示している。
この変形例2において、第1の実施形態及び第2の実施形態と同じ符号を付した箇所は共通する構成であるから、重複する説明は省略し、相違点を中心に説明する。
変形例2では、図10及び図11で説明した変形例1と比較すると孔封止用の貫通孔の構成のみが相違し、他の構成は全く同一である。
【0045】
図12は、圧電振動片70の変形例2の概略斜視図、図13は図12のE−E線概略断面図である。
この変形例2では、孔封止用の貫通孔72が、図示されているように枠体36に形成されている。すなわち、枠体36の圧電振動片132よりも図において上の位置に、側面から貫通する孔封止用の貫通孔72が設けられている。
この場合、孔封止用の貫通孔72は、枠体36を形成する過程で、水晶材料をエッチングすることにより、簡単に形成することができる。
【0046】
次に、本発明の各実施形態における圧電デバイスの製造方法について説明する。製造方法は圧電デバイスの各実施形態についてほぼ共通であるから、圧電デバイス30を選んでその製造方法について説明する。
図14は、圧電デバイスの製造方法の実施形態を示すフローチャートである。
図において、枠体の形成ST10は、枠体36の外形と圧電振動片32の外形をエッチングにより形成する工程である。
【0047】
すなわち、図3ないし図5で説明したように、内側に圧電振動片32を一体に有する上側と下側とが開放された枠体36に対して、枠体36の内側に一体に設けられるとともに、枠体36の厚みよりも厚みが薄くなるように形成された圧電振動片32を形成する。この場合、枠体36の周囲部分をマスクして、エッチングを行い、所定時間後に、圧電振動片32の外形に沿ったマスクを追加して、さらにエッチングすることで、枠体36の厚みよりも厚みが薄い圧電振動片32と、その外形の外側に内部空間S2となる領域を形成することができる(ST10)。
次いで、フォトリソグラフィーにより、図3ないし図5で説明した形態の電極構造を形成する(ST11)。
【0048】
続いて、第1の周波数調整を行う(ST12)。第1の周波数調整は、ST11で形成した圧電振動片32の電極(励振電極41b,42b)もしくはこの電極と別に設けた周波数調整用の金属被覆部に対して、レーザ光や電子ビームを照射してトリミングすることにより、これらの金属の一部を蒸散させ、その質量を削減することで、周波数調整を行う。
【0049】
次に、枠体36の上端面36cと、枠体36の下端面36dとに、それぞれ半田等のロウ材や導電性接着剤が適用し、枠体36の上端面36cに、図1及び図2で説明した上側電極板37の平面部37cを固定し、枠体36の下端面36dに図1及び図2で説明した下側電極板38の平面部38cを固定する。これにより、枠体36の内部空間S2は、上側電極板37と下側電極板38により気密状態で封止される(ST13)。
【0050】
続いて、ST13で封止した圧電デバイス30を加熱炉等を利用して、加熱することにより、内部の圧電振動片32を熱処理する。これにより、内部の揮発成分がガスとなって、封止用の貫通孔71(図10参照)、や貫通孔72(図12参照)から外部に排出される。このため、ガス成分が圧電振動片32に付着して悪影響を与えることを防止することができる(ST14)。
【0051】
さらに、図10の構成の封止用の貫通孔71を備えている場合には、第2の周波数調整を行う(ST15)。すなわち、孔封止用の貫通孔71を介して、圧電振動片32の電極(励振電極41b,42b)もしくはこの電極と別に設けた周波数調整用の金属被覆部に対して、レーザ光や電子ビームを照射してトリミングすることにより、これらの金属の一部を蒸散させ、その質量を削減することで、第1の周波数調整と同様に、さらに精密に周波数調整を行うことができる。これにより、上側電極板37と下側電極板38とを固定した封止後において、熱処理工程(ST14)を経た後において、最終的な周波数の微調整をすることができる。
【0052】
そして、上側電極板77の孔封止用の貫通孔71の外部への開口周縁に、金属ボール等の封止材を配置して、上方から、レーザ光や電子ビームをこの封止材に照射することで、封止材を溶融し、孔封止用の貫通孔71を孔封止する(ST16)。孔封止工程が終了したら、検査工程に送り、製品検査を経て、圧電デバイス30が最終的に完成する(ST17)。
【0053】
このように、以上の製造方法によれば、枠体36の内側にこの枠体36の厚みよりも厚みが薄くなるように形成された圧電振動片32を形成したので、従来のように圧電振動片のパッケージへの接合工程を行う必要がなくなる。また、圧電振動片32に接続されるとともに、枠体36の上端面36c及び下端面36dに引き回された端面電極41a,42aを形成して、枠体36の上端面36c及び下端面36dとに端面電極41a,42aに駆動電圧を印加するための上側電極板37と下側電極板38とをそれぞれ固定することで(図3及び図5参照)、ガラス製の蓋体を使用することなく、枠体36を封止するようにしたから、金属製の丈夫な蓋体を用いることになり、外部からの衝撃に対して従来よりも強い構造の圧電デバイス30を容易に製造することができる。
【0054】
図15は、本発明の上述した実施形態に係る圧電デバイスを利用した電子機器の一例としてのデジタル式携帯電話装置の概略構成を示す図である。
図において、送信者の音声を受信するマイクロフォン308及び受信内容を音声出力とするためのスピーカ309を備えており、さらに、送受信信号の変調及び復調部に接続された制御部としての集積回路等でなるCPU(Central
Processing Unit)301を備えている。
CPU301は、送受信信号の変調及び復調の他に画像表示部としてのLCDや情報入力のための操作キー等でなる情報の入出力部302や、RAM,ROM等でなるメモリ303の制御を行うようになっている。このため、CPU301には、圧電デバイス30が取り付けられて、その出力周波数をCPU301に内蔵された所定の分周回路(図示せず)等により、制御内容に適合したクロック信号として利用するようにされている。このCPU301に取付けられる圧電デバイス30は、圧電デバイス30等単体でなくても、圧電デバイス30等と、所定の分周回路等とを組み合わせた発振器であってもよい。
【0055】
CPU301は、さらに、温度補償水晶発振器(TCXO)305と接続され、温度補償水晶発振器305は、送信部307と受信部306に接続されている。これにより、CPU301からの基本クロックの周波数が、環境温度の変化により変動しても、温度補償水晶発振器305により修正されて、送信部307及び受信部306に与えられるようになっている。
【0056】
このように、制御部を備えたディジタル式携帯電話装置300のような電子機器に、上述した実施形態に係る圧電デバイス30を利用することにより、その蓋体が損傷することを有効に防止できるので、動作品質を損なうことなく、正確なクロック信号を生成することができる。
【0057】
本発明は上述の実施形態に限定されない。各実施形態の各構成はこれらを適宜組み合わせたり、省略し、図示しない他の構成と組み合わせることができる。
また、この発明は、パッケージ内に圧電振動片を収容するものであれば、圧電振動子、圧電発振器等の名称にかかわらず、全ての圧電デバイスに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧電デバイスの第1の実施形態を示す概略斜視図。
【図2】図1の圧電デバイスの手前側から見た概略正面図。
【図3】図1の圧電デバイスの一部を構成する枠体の概略平面図。
【図4】図3のA−A線概略断面図。
【図5】図1の圧電デバイスの概略底面図。
【図6】圧電デバイスの第1の実施形態に係る圧電振動片の変形例を備えた圧電デバイスの概略平面図。
【図7】図6のB−B線切断端面図。
【図8】本発明の第2の実施形態の圧電振動片の概略斜視図。
【図9】図8のC−C線概略断面図。
【図10】本発明の第2の実施形態の変形例1に係る圧電振動片の概略斜視図。
【図11】図10のD−D線概略断面図。
【図12】本発明の第2の実施形態の変形例2に係る圧電振動片の概略斜視図。
【図13】図12のE−E線概略断面図。
【図14】本発明の圧電デバイスの製造方法の実施形態を示すフローチャート。
【図15】本発明の実施形態に係る圧電デバイスを利用した電子機器の一例としてのデジタル式携帯電話装置の概略構成を示す図。
【図16】従来の圧電デバイスの一例を示す概略断面図。
【図17】蓋体を保護する構造を有する圧電デバイスの例を示す概略断面図。
【符号の説明】
30,70・・・圧電デバイス、32,132・・・圧電振動片、36・・・枠体、37,77・・・上側電極板、38,78・・・下側電極板、41a,42a・・・端面電極、41b・・・第1の励振電極、42b・・・第2の励振電極、51・・・基部。
Claims (13)
- 上端と下端とが開放された枠体と、
この枠体の内側に、前記枠体と一体に設けられるとともに、前記枠体の厚みよりも厚みが薄くなるように形成された圧電振動片と、
前記圧電振動片に接続され、前記枠体の上端面及び下端面に引き回された電極と
を有しており、
前記枠体の前記上端面と、前記下端面とに前記電極に駆動電圧を印加するための上側電極板と下側電極板とをそれぞれ電気的な導通を取り、固定することにより、前記枠体内の空間を封止する構造とした
ことを特徴とする、圧電デバイス。 - 前記下側電極板が、ほぼ水平に延長された延長部を備え、前記上側電極板は、下向きの曲折部と前記曲折部につながるほぼ水平に延長された延長部を備えることを特徴とする請求項1に記載の圧電デバイス。
- 前記下側電極板が、前記枠体の前記下端面に固定される薄板部と、この薄板部より外側で、前記枠体の一方の側面に沿って設けられた厚板部とを備え、前記上側電極板が、前記枠体の前記上端面に固定される薄板部と、この薄板部より外側で、前記枠体の他方の側面に沿って設けられた厚板部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の圧電デバイス。
- 前記枠体の前記上側電極板との固定箇所の近傍に、孔封止を行うための貫通孔を設けたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の圧電デバイス。
- 前記上側電極板に、孔封止を行うための貫通孔を設けたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の圧電デバイス。
- 前記貫通孔が前記枠体内に配置された圧電振動片の周波数調整用の金属被覆部に対応した位置に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の圧電デバイス。
- 前記圧電振動片が、前記枠体の内面に一体に形成される基部と、この基部から平行に延びる一対の振動腕とを備えた音叉型振動片であり、前記各振動腕には、長さ方向に延びる溝が形成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の圧電デバイス。
- 前記基部には、前記枠体の内面と一体に形成された領域と、前記振動腕との間に、切欠き部を備えることを特徴とする請求項7に記載の圧電デバイス。
- 上端と下端とが開放された枠体と、この枠体に対して、枠体の内側に一体に設けられるとともに、前記枠体の厚みよりも厚みが薄くなるように形成された圧電振動片を用意し、
前記圧電振動片に接続されるとともに、前記枠体の上端面及び下端面に引き回された電極を形成し、
前記圧電振動片の電極もしくはこの電極と別に設けた周波数調整用の金属被覆部の質量を削減することで、周波数調整を行い、
前記枠体の前記上端面と、前記下端面とに前記電極に駆動電圧を印加するための上側電極板と下側電極板とをそれぞれ電気的な導通を取り、固定することで封止する
ことを特徴とする、圧電デバイスの製造方法。 - 前記上側電極板と前記下側電極板とをそれぞれ、前記枠体に固定する封止工程の後で、前記圧電振動片の熱処理を行うことを特徴とする、請求項9に記載の圧電デバイスの製造方法。
- 前記上側電極板と前記下側電極板とをそれぞれ前記枠体に固定する工程の後で、あるいは前記熱処理工程の後で、前記枠体、前記上側電極板、前記下側電極板のいずれかに形成した封止用の貫通孔を介して、前記圧電振動片の電極もしくはこの電極と別に設けた周波数調整用の金属被覆部の質量を削減して、さらに周波数調整を行い、周波数調整の後で、前記封止用の貫通孔を封止することを特徴とする請求項9または10のいずれかに記載の圧電デバイスの製造方法。
- 内部に圧電振動片を気密に収容する構成とした圧電デバイスを利用した携帯電話装置であって、
上端と下端とが開放された枠体と、
この枠体の内側に、前記枠体と一体に設けられるとともに、前記枠体の厚みよりも厚みが薄くなるように形成された圧電振動片と、
前記圧電振動片に接続され、前記枠体の上端面及び下端面に引き回された電極と
を有しており、
前記枠体の前記上端面と、前記下端面とに前記電極に駆動電圧を印加するための上側電極板と下側電極板とをそれぞれ電気的に導通を取り、固定することで、前記枠体内の空間を封止する構造とした圧電デバイスにより、制御用のクロック信号を得るようにした ことを特徴とする、携帯電話装置。 - 内部に圧電振動片を気密に収容する構成とした圧電デバイスを利用した電子機器であって、
上端と下端とが開放された枠体と、
この枠体の内側に、前記枠体と一体に設けられるとともに、前記枠体の厚みよりも厚みが薄くなるように形成された圧電振動片と、
前記圧電振動片に接続され、前記枠体の上端面及び下端面に引き回された電極と
を有しており、
前記枠体の前記上端面と、前記下端面とに前記電極に駆動電圧を印加するための上側電極板と下側電極板とをそれぞれ電気的に導通を取り、固定することで、前記枠体内の空間を封止する構造とした圧電デバイスにより、制御用のクロック信号を得るようにした ことを特徴とする、電子機器。
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JP2002294881A JP2004134852A (ja) | 2002-10-08 | 2002-10-08 | 圧電デバイスとその製造方法ならびに圧電デバイスを利用した携帯電話装置および圧電デバイスを利用した電子機器 |
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JP2006033354A (ja) * | 2004-07-15 | 2006-02-02 | Seiko Epson Corp | 圧電振動子の周波数調整方法、圧電振動子および電子機器 |
JP2009022003A (ja) * | 2007-07-11 | 2009-01-29 | Samsung Electro-Mechanics Co Ltd | 水晶振動子の製造方法 |
JP2020014257A (ja) * | 2019-10-25 | 2020-01-23 | セイコーエプソン株式会社 | 振動素子、振動子、発振器、電子機器および移動体 |
-
2002
- 2002-10-08 JP JP2002294881A patent/JP2004134852A/ja not_active Withdrawn
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