JP2004134559A - チップ型電子部品およびその製造方法 - Google Patents

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Shigeru Kanbara
蒲原 滋
Toshihiro Hanamura
花村 敏裕
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Abstract

【課題】電極や抵抗膜が形成された面を下向きにした姿勢で回路基板などに実装する場合に、電極へのハンダ付けを適切に行なうことが可能なチップ型電子部品を提供する。
【解決手段】基板1の片面11に形成された少なくとも1つの抵抗膜3a〜3cと、この抵抗膜3a〜3cに導通する複数の電極2a,2bと、抵抗膜3a〜3cを覆う絶縁膜4と、を有しているチップ型電子部品Xであって、各電極2a,2bは、抵抗膜3a〜3cに接触するようにして基板1の片面11に形成された第1の導電膜21と、この第1の導電膜21上に積層され、かつ絶縁膜4の側方に位置するように形成された第2の導電膜22とを含んで構成されている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、チップ型アッテネータなどのチップ型電子部品およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
チップ型アッテネータは、たとえば携帯電話機や車両のスマートキーシステムにおける無線通信回路に組み込まれるなどして、高周波信号の減衰に用いられる。また、インピーダンス整合を図る用途に用いられる場合もある。このようなチップ型アッテネータの従来例としては、本願の図9に示すものがある(特許文献1参照)。
【0003】
図9に示すチップ型アッテネータ100は、基板101の表面101aに設けられた略T字状の抵抗膜102と、この抵抗膜102に導通する複数の電極103とを備えている。これらの電極103は、その全体または一部分が断面コ字状を有しており、基板101の表面101a、側面101bおよび裏面101cにわたって形成されている。各電極103の一部および抵抗膜102の全体は、絶縁膜104(クロスハッチング部分)によって覆われている。
【0004】
このチップ型アッテネータ100は、図10に示すように、回路基板105に実装するときには、基板101の表面101aが下向きとなる姿勢とする。このようにすれば、抵抗膜102と回路基板105の各端子部106との間の距離を短くし、このチップ型アッテネータ100の接合に用いられるハンダの電気抵抗の影響を受け難くすることが可能となる。すなわち、チップ型アッテネータ100を図9に示した姿勢のまま回路基板105に実装したのでは、各端子部106上に形成されるハンダフィレットを通過した電流が抵抗膜102に流れることとなる。これでは、減衰量などの特性値に大きな狂いを生じる虞れがある。これに対し、図10に示した姿勢で実装を行なえば、そのような虞れを回避することができる。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−243001号公報(第2−3頁、図2)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術においては、次のような不具合があった。
【0007】
すなわち、従来においては、絶縁膜104は、各電極103の一部を覆うように設けられており、各電極103よりも基板101上において突出している。このため、図10に示されているように、基板101の表面101aを下向きにした姿勢でチップ型アッテネータ100を実装するときには、回路基板105に絶縁膜104が当接し、各電極103と端子部106との間に隙間Hが生じる場合がある。このような隙間Hが生じたのでは、チップ型アッテネータ100の適切かつ強固なハンダ付けが行なえなくなる虞れがある。従来において、上記したような隙間Hの発生を防止するには、たとえば端子部106の厚みをかなり大きくし、かつこの端子部106が絶縁膜104と干渉しないようにその形状やサイズを工夫するといった配慮が必要となるが、このような配慮は煩雑である。
【0008】
本願発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、電極や抵抗膜が形成された面を下向きにした姿勢で回路基板などに実装する場合に、電極へのハンダ付けを適切に行なうことが可能なチップ型電子部品およびその製造方法を提供することをその課題としている。
【0009】
【発明の開示】
上記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0010】
本願発明の第1の側面によって提供されるチップ型電子部品は、基板の片面に形成された少なくとも1つの抵抗膜と、この抵抗膜に導通する複数の電極と、上記抵抗膜を覆う絶縁膜と、を有しているチップ型電子部品であって、上記各電極は、上記抵抗膜に接触するようにして上記基板の上記片面に形成された第1の導電膜と、この第1の導電膜上に積層され、かつ上記絶縁膜の側方に位置するように形成された第2の導電膜とを含んで構成されていることを特徴としている。ここで、「上記絶縁膜の側方に位置する」とは、上記基板の片面が広がる方向において上記第2の導電膜が上記絶縁膜の横または周囲に位置することを意味しており、上記絶縁膜に対して上記第2の導電膜が接触している場合と離れている場合とのいずれであってもよい。
【0011】
このような構成によれば、上記各電極は、上記第1の導電膜上に上記第2の導電膜が積層している分だけその厚みが大きくなり、上記絶縁膜が上記各電極に対して大きな段差で突出しないようにすることが可能となる。したがって、上記基板の上記片面が下向きとなる姿勢でこのチップ型電子部品を回路基板に実装する場合には、従来技術とは異なり、絶縁膜が回路基板に当接することによって回路基板の端子部と上記各電極との間に大きな隙間が生じるといった不具合が発生しないようにすることができる。その結果、上記各電極へのハンダ付けを適切に行ない、適切かつ強固な実装が可能となる。
【0012】
本願発明の好ましい実施の形態においては、上記基板上における上記第2の導電膜の表面の高さは、上記絶縁膜の表面の高さと同一またはそれ以上とされている。このような構成によれば、このチップ型電子部品を上記基板の上記片面が下向きとなる姿勢にしたときに、上記電極の第2の導電膜は上記絶縁膜と面一または上記絶縁膜よりも下方に突出することとなる。したがって、上記各電極へのハンダ付けを適切に行なわせるのにより好ましいものとなる。
【0013】
本願発明の好ましい実施の形態においては、上記各第1の導電膜は、上記基板の側縁から離間するように形成されており、かつ上記各第2の導電膜は、上記各第1の導電膜上から上記側縁まで延びている。このような構成によれば、上記各第1の導電膜に比べて上記第2の導電膜を大きな面積に形成することができ、上記各電極へのハンダ付けを確実かつ強固に行なうのにより好適となる。また、上記基板の側面に側面電極と称される導電膜をさらに追加して設ける場合に、この導電膜を上記第2の導電膜と導通させることも簡単に行なうことが可能となる。上記構成においては、上記各第1の導電膜が上記基板の側縁から離間するように形成されているが、これは次のような意義がある。すなわち、チップ型電子部品を製造するには、まず集合基板上に複数の導電膜や抵抗膜をパターン形成することによって、1つのチップ型電子部品に対応した所定の構成を有する単位領域を上記集合基板上に複数並べて形成する。その後は、それら複数の単位領域どうしの境界部分において上記集合基板を分断するように、上記集合基板を複数のチップに分割する。このような製造過程において、互いに隣り合う2つの単位領域の第1の導電膜どうしが導通していたのでは、これら第1の導電膜に測定プローブを接触させることによって各単位領域ごとの抵抗値などの測定を行なおうとしても、そのような測定を適切に行なうことが困難となる。これを解消するには、上記した2つの第1の導電膜どうしが導通しないように離間させる必要があり、上記第1の導電膜を上記基板の側縁から離間して形成する構成は、それに対応するものである。
【0014】
本願発明の好ましい実施の形態においては、上記基板の上記片面とは反対の面には、上記第2の導電膜に対応する第3の導電膜が設けられており、かつ上記基板の側面には、上記第2および第3の電極に繋がった第4の導電膜が形成されている。上記第4の導電膜は、いわゆる側面電極に相当する部分であり、上記構成によれば、この第4の導電膜が適切に形成されていることにより、上記各電極へのハンダ付け時にはこの第4の導電膜に沿って立ち上がるハンダフィレットの形成が可能となる。したがって、ハンダの接合強度、ひいては実装強度を高めるのにより好ましいものとなる。
【0015】
本願発明の好ましい実施の形態においては、上記基板の上記片面とは反対の面には、標印が設けられている。このような構成によれば、上記基板の上記片面を下向きとする姿勢でこのチップ型電子部品を回路基板などに実装する場合に、上記標印が上向きとなる。上記標印は、たとえばチップ型電子部品の種別や製造番号を示すものである。したがって、上記標印に基づき、製品管理などを適切に行なうことが可能となる。
【0016】
本願発明の好ましい実施の形態においては、上記抵抗膜および上記複数の電極が減衰回路を形成しているチップ型アッテネータとして構成されている。むろん、本願発明に係るチップ型電子部品は、チップ型アッテネータに代えて、抵抗膜を一つのみ有するチップ型抵抗器など、他の種類の電子部品として構成することもできる。
【0017】
本願発明の第2の側面によって提供されるチップ型電子部品の製造方法は、基板の片面に少なくとも1つの抵抗膜と複数の電極とを導通させて形成する工程と、上記抵抗膜を覆う絶縁膜を形成する工程と、を有しているチップ型電子部品の製造方法であって、上記各電極を形成する工程は、上記基板の上記片面に上記抵抗膜に接触させるための第1の導電膜を形成する工程と、上記絶縁膜の形成後において上記第1の導電膜上に第2の導電膜を積層させて形成する工程と、を含んでいることを特徴としている。
【0018】
このような構成によれば、本願発明の第1の側面によって提供されるチップ型電子部品を適切に製造することが可能であり、チップ型電子部品について述べたのと同様な効果が期待できる。
【0019】
本願発明のその他の特徴および利点については、以下に行う発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0021】
図1〜図3は、本願発明に係るチップ型電子部品の具体例としてのチップ型アッテネータを示している。本実施形態のチップ型アッテネータXは、基板1と、一対ずつの電極2a,2bと、3つの抵抗膜3a〜3cと、絶縁膜4とを備えている。一対ずつの電極2a,2bと3つの抵抗膜3a〜3cにより、いわゆるπ型の減衰回路が構成されている。
【0022】
基板1は、たとえばアルミナセラミック製であり、1mm角あるいは数mm角程度のサイズを有するチップ状である。この基板1の一対の側縁部のそれぞれには、略半円状の切り欠き部13が形成されている。基板1の他の一対の側縁部には、そのような切り欠き部は形成されておらず、切り欠き部13は、チップ型アッテネータXの向きを判断するのに役立つ。
【0023】
一対の電極2aは、グランド接続用の端子として利用される部分である。一対の電極2bの一方は入力端子として利用され、かつその他方は出力端子として利用される部分である。これら計4つの電極2a,2bは、第1の導電膜21(21a,21b)、第2の導電膜22、第3の導電膜23、第4の導電膜24、および第5の導電膜25を有している。この第5の導電膜25の表面には、実装時のハンダ付け性を向上させるための手段として、ハンダメッキ膜6が形成されている。
【0024】
第1の導電膜21は、抵抗膜3a〜3cに直接接触する導電膜であり、基板1の四隅部分の近傍に分散配置されるようにして基板1の下向きの面11上に形成されている。ただし、これら第1の導電膜21は、基板1の側縁(エッジ)から適当な寸法S1,S2だけ離間するように形成されている。
【0025】
第2の導電膜22は、その一部分が第1の導電膜21上に積層されるようにして基板1の面11上に形成されている。この第2の導電膜22は、第1の導電膜21が未形成とされた上記の寸法S1,S2の領域上にも形成されており、この第2の導電膜22の一部分は基板1の側縁まで延びている。この第2の導電膜22のうち、基板1の側縁上に位置する端面は基板1の側面と面一状となっている。この第2の導電膜22は、絶縁膜4の外面に接触するようにして絶縁膜4の側方に位置しており、この第2の絶縁膜22の表面高さ(図1においては下方への高さ)は、絶縁膜4の表面の高さと同一、またはそれ以上の高さとされている。
【0026】
第3の導電膜23は、基板1の上向きの面12のうち、第2の導電膜22の真裏に相当する部分に設けられている。第4の導電膜24は、いわゆる側面電極となる導電膜であり、その下部および上部が第2および第3の導電膜22,23に重なるようにして基板1の側面に形成されている。第5の導電膜25は、電極2a,2bの全体の導電性を良好にするために形成されたものであり、第4の導電膜24の表面の略全面を覆うように形成されている。上記した第1ないし第4の導電膜は、後述するように、たとえは銀などの金属粒子を含有する導電性ペースト材料を用いて製造されるのに対し、この第5の導電膜25の材質はそれらよりも導電率の高いニッケルのメッキ層とされている。
【0027】
抵抗膜3a〜3cは、それらの両端の一部が第1の導電膜21上に重なるようにして基板1の面11上に形成されている。これらの抵抗膜3a〜3cは、いわゆるπ型の減衰回路が構成されるように、抵抗膜3a,3bのそれぞれが電極2a,2bと導通し、かつ抵抗膜3cが一対の電極2bと導通した構成となっている。抵抗膜3a,3bの抵抗値は同一であるのに対し、抵抗膜3cの抵抗値はそれらとは異なっている。抵抗膜3a〜3cの抵抗値は、このチップ型アッテネータXに要求される特性インピーダンスの値に応じて適宜選択される事項であり、その具体的な値は特定されるものではない。
【0028】
絶縁膜4は、抵抗膜3a〜3cと各第1の導電膜21の一部分を覆うように形成されている。この絶縁膜4は、アンダコートガラス層41、ミドルコートガラス層42、およびオーバコートガラス層43が順次積層して構成された3層構造となっている。このような3層構造を採用すれば、チップ型アッテネータXの製造過程において、たとえばレーザトリミングを適切に行なうことができるとともに、必要かつ十分な厚さを有しながらも絶縁膜4の表面を平面状に仕上げることができる。すなわち、抵抗膜に対してレーザトリミングを行なう場合、そのトリミング時に飛散する抵抗膜物質が既になされたトリミング部分に再付着することをアンダコートガラス層41によって抑制することが可能となる。また、アンダコートガラス層41上にミドルコートガラス層42およびオーバコートガラス層43を順次積層する構造とすれば、アンダコートガラス層41上に多量のガラスのペーストを一度に印刷する場合と比較して、それぞれのガラス層42,43を薄くすることができる。したがって、ガラス層の表面は、表面張力によって凸曲面状になり難く、平面状に仕上げられる。
【0029】
基板1の面12には、標印5が設けられている。この標印5は、チップ型アッテネータXの製品番号などを示すものであり、その材質はたとえば顔料を含むガラスである。
【0030】
次に、チップ型アッテネータXの製造方法の一例について説明する。
【0031】
チップ型アッテネータXを製造するには、図4に示されているような集合基板10を準備する。この集合基板10は、たとえばアルミナセラミック製であり、チップ型アッテネータXを複数個取り可能なサイズを有している。同図の仮想線L1,L2は、この集合基板10を複数のチップに分割する際の切断線であり、これら切断線L1,L2によって囲まれた長矩形状の領域が、1つのチップ型アッテネータXの基板1となる単位領域Aである。集合基板10には、適当な幅および深さを有する縦横のスリットを切断線L1,L2に沿って形成しておくことにより、集合基板10を複数のチップに分割するときの分断作業の容易化が図られるようにすることもできる。集合基板10には複数の穴13aが形成されているが、これは切り欠き部13となる部分である。
【0032】
集合基板10の各単位領域Aの片面には、上述した複数の第3の導電膜23および標印5を形成する。切断線L1を挟んで隣り合う2つの第3の導電膜23については、繋がった状態に形成してもかまわない。第3の導電膜23は、たとえば金属粒子を含有するガラスペーストを印刷し、かつこれを焼成することにより形成する。標印5は、顔料を含むガラスペーストを印刷し、かつこれを焼成することにより形成する。第3の導電膜23と標印5との焼成を同時に行なうことも可能である。
【0033】
次いで、集合基板10の表裏を反転させてから、図5に示すように、各単位領域Aの上記片面とは反対の面に、複数の第1の導電膜21(21a,21b)および複数の抵抗膜3a〜3cを形成する。複数の第1の導電膜21は、第3の導電膜23と同様な手法により形成するが、切断線L1,L2に対しては寸法S1,S2だけ離間するように形成する。このことにより、隣り合う2つの単位領域Aの第1の導電膜21どうしは、非導通となる。抵抗膜3a〜3cの形成は、たとえばペースト状の抵抗材料を印刷することにより未焼成の抵抗膜3cを形成した後に、これと同様な印刷手法によって未焼成の抵抗膜3a,3bのそれぞれを同時に形成し、その後これらの抵抗膜3a〜3cを一括して焼成する、といった手順で行なう。
【0034】
その後は、図6に示すように、複数の絶縁膜4を形成する。絶縁膜4のアンダコートガラス層41、ミドルコートガラス層42、およびオーバコートガラス層43は、いずれもガラスペーストの印刷およびその焼成により形成することが可能であるが、ミドルコートガラス層42およびオーバコートガラス層43の焼成は、後述する第2および第4の導電膜22,24の焼成と同時に行なうことが可能である。
【0035】
絶縁膜4の形成途中において、アンダコートガラス層41の形成後には、抵抗膜3a〜3cに対するレーザトリミングを行ない、減衰回路が所望の電気特性となるように調整する。レーザトリミングは、必ずしも抵抗膜3a〜3cの全てに対して行なう必要はなく、たとえば抵抗膜3cのみをトリミング対象としてもかまわない。上記電気特性の調整は、第1の導電膜21に測定プローブをあてて抵抗値を測定しつつ、レーザ光をアンダコートガラス層41の上からたとえば抵抗膜3cに照射して行なう。既述したとおり、隣り合う2つの単位領域Aの第1の導電膜21どうしは非導通状態に設けられているために、各単位領域Aごとの抵抗値などの測定を適切に行なうことが可能である。
【0036】
絶縁膜4の形成後には、図7に示されているように、未焼成である複数の第2の導電膜22を形成する。このように、絶縁膜4の形成後に第2の導電膜22を形成すれば、この第2の導電膜22を絶縁膜4の側方においてこの絶縁膜4と同等高さ、あるいはそれ以上の高さに形成することができる。なお、この第2の導電膜22の形成も、第1および第3の導電膜21,23と同様な手法で形成することが可能であるが、その焼成は、後述する第4の導電膜24の焼成と同時に行なうことができる。また、第2の導電膜22は、第1の導電膜21とは異なり、切断線L1を挟んで隣り合う2つの第2の導電膜22どうしが繋がるように形成する。
【0037】
その後は、集合基板10を各切断線L1に沿って切断することにより、複数の棒状基板に分割する。次いで、各棒状基板の側面には、複数の第4の導電膜24を形成する。各第4の導電膜24は、第2および第3の導電膜22,23と導通するように形成するが、これら第2および第3の導電膜22,23は、集合基板10の切断前に各切断線L1を挟んで繋がっており、これらの端面は上記棒状基板の側面と面一状である。このため、第4の導電膜24については、上記棒状基板の側面から第2および第3の導電膜22,23の端面にわたる一連の領域に対して適切に形成することができる。この第4の導電膜24の形成は、金属粒子を含有するガラスペーストを塗布してからこれを焼成して行なうが、この焼成時には、ミドルコートガラス層42、オーバコートガラス層43、および第2の導電膜22の焼成も同時に行なうことができる。
【0038】
次いで、第4の導電膜24の表面にニッケルメッキを施すことにより第5の導電膜25を形成してから、その上にハンダメッキ膜6を形成する。最後に、上記棒状基板を各切断線L2に沿って切断することにより複数の基板1に分割する。第5の導電膜25およびハンダメッキ膜6の形成は、上記棒状基板を複数の基板1に分割した後に行なってもよい。
【0039】
上記した一連の作業により、チップ型アッテネータXが製造される。好ましくは、このチップ型アッテネータXの製造後には、測定プローブを第2の導電膜22にあてることにより、チップ型アッテネータXの特性値を測定し、最終の品質検査を行なう。
【0040】
次に、上記のチップ型アッテネータXの作用について説明する。
【0041】
図1に示すように、このチップ型アッテネータXを回路基板7に実装するときには、抵抗膜3a〜3cが形成されている基板1の面11が下向きとなる姿勢とする。このような姿勢にすれば、端子部70から抵抗膜3a〜3cに至るまでの電流経路を短くし、ハンダの電気抵抗の影響を受け難くすることができるために、このチップ型アッテネータXの本来の電気特性またはそれに非常に近い電気特性が得られることとなる。
【0042】
このチップ型アッテネータXにおいては、電極2a,2bの第2の導電膜22は、絶縁膜4の表面と同一高さ、またはそれよりも下方に突出した高さとされていることにより、電極2a,2bの第4の導電膜24の下部は、絶縁膜4よりも下方に突出している。このため、既述した従来技術の場合とは異なり、絶縁膜4が回路基板7に当接することにより電極2a,2bが端子部70の上方に浮いてしまうといったことはなく、電極2a,2bを端子部70に対して適切に接触させることができる。したがって、端子部70に対する電極2a,2bのハンダ付けが適切に行なわれる。
【0043】
このハンダ付けに際しては、第4の導電膜24に沿って立ち上がるハンダフィレットを形成することが可能であり、このことによりハンダの接合強度をさらに高めることができる。上記ハンダフィレットは、端子部70から抵抗膜3a〜3cに向かう電流経路にはならないために、このハンダフィレットが大きく形成されているからといって、このチップ型アッテネータXによって得られる電気特性に大きな狂いは生じない。また、第2の導電膜22は、絶縁膜4の側方において第1の導電膜21よりも広い面積をもつように形成されているために、このことにより電極2a,2bに対するハンダの接合面積が大きくなり、ハンダ接合強度をより高めることが可能となる。上記したチップ型アッテネータXの実装姿勢においては、標印5が基板1の上向き面上に位置する。したがって、この標印5の確認が容易となり、製品管理などに際しても便利となる。
【0044】
本願発明は、上述した実施形態の内容に限定されるものではない。
【0045】
たとえば、図8に示すように、第3ないし第5の導電膜を有しない構成とすることもできる。このような構成であっても、第2の導電膜22の表面の高さが絶縁膜4の表面の高さと同一か、またはそれ以上の高さであると、絶縁膜4が回路基板7に当接しないようにして電極2a,2bを端子部70に対して適切に接触させることが可能である。また、第2の導電膜22が絶縁膜4の表面の高さよりも低くされていてもかまわない。このような構成であっても、第2の導電膜22に相当する部分を有しない従来技術と比較すると、絶縁膜と電極との段差を小さくすることができるために、その分だけ電極へのハンダ付けを適切に行なうことが可能である。
【0046】
チップ型アッテネータの減衰回路は、π型と称されるものに限定されない。T型やL型と称されるタイプの減衰回路とすることも可能である。したがって、抵抗膜や電極の具体的な数も限定されない。さらには、既に述べたとおり、本願発明に係るチップ型電子部品は、1つの抵抗膜とこれに導通する一対の電極とを有するチップ型抵抗器として構成することもできる。
【0047】
絶縁膜は、アンダー、ミドル、およびオーバの各コート層からなる3層構造に限定されない。たとえばアンダコート層上にオーバコート層を積層した2層構造であってもよく、さらには一層構造にすることもできる。絶縁膜の材質もガラスに限定されない。抵抗膜や電極も、ガラスペーストなどを印刷・焼成したものに限らず、その具体的な形成方法などは問うものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係るチップ型電子部品の一例を示す断面図である。
【図2】図1のII−II矢視底面図である。
【図3】図1のIII−III矢視平面図である。
【図4】図1〜図3に示すチップ型電子部品の製造に用いられる集合基板の一例を示す要部平面図である。
【図5】図1〜図3に示すチップ型電子部品の製造方法の一工程を示す要部平面図である。
【図6】図1〜図3に示すチップ型電子部品の製造方法の他の工程を示す要部断面図である。
【図7】図1〜図3に示すチップ型電子部品の製造方法の他の工程を示す要部断面図である。
【図8】本願発明に係るチップ型電子部品の他の例を示す断面図である。
【図9】従来のチップ型電子部品の一例を示す斜視図である。
【図10】図9に示すチップ型電子部品の使用状態を示す断面図である。
【符号の説明】
X チップ型アッテネータ(チップ型電子部品)
1 基板
2a,2b 電極
3a〜3c 抵抗膜
4 絶縁膜
5 標印
11 面(片面)
12 面
21 第1の導電膜
22 第2の導電膜
23 第3の導電膜
24 第4の導電膜
25 第5の導電膜

Claims (7)

  1. 基板の片面に形成された少なくとも1つの抵抗膜と、この抵抗膜に導通する複数の電極と、上記抵抗膜を覆う絶縁膜と、を有しているチップ型電子部品であって、
    上記各電極は、上記抵抗膜に接触するようにして上記基板の上記片面に形成された第1の導電膜と、この第1の導電膜上に積層され、かつ上記絶縁膜の側方に位置するように形成された第2の導電膜とを含んで構成されていることを特徴とする、チップ型電子部品。
  2. 上記基板上における上記第2の導電膜の表面の高さは、上記絶縁膜の表面の高さと同一またはそれ以上とされている、請求項1に記載のチップ型電子部品。
  3. 上記各第1の導電膜は、上記基板の側縁から離間するように形成されており、かつ上記各第2の導電膜は、上記各第1の導電膜上から上記側縁まで延びている、請求項1または2に記載のチップ型電子部品。
  4. 上記基板の上記片面とは反対の面には、上記第2の導電膜に対応する第3の導電膜が設けられており、かつ上記基板の側面には、上記第2および第3の電極に繋がった第4の導電膜が形成されている、請求項3に記載のチップ型電子部品。
  5. 上記基板の上記片面とは反対の面には、標印が設けられている、請求項1ないし4のいずれかに記載のチップ型電子部品。
  6. 上記抵抗膜および上記複数の電極が減衰回路を形成しているチップ型アッテネータとして構成されている、請求項1ないし5のいずれかに記載のチップ型電子部品。
  7. 基板の片面に少なくとも1つの抵抗膜と複数の電極とを導通させて形成する工程と、上記抵抗膜を覆う絶縁膜を形成する工程と、を有しているチップ型電子部品の製造方法であって、
    上記各電極を形成する工程は、上記基板の上記片面に上記抵抗膜に接触させるための第1の導電膜を形成する工程と、上記絶縁膜の形成後において上記第1の導電膜上に第2の導電膜を積層させて形成する工程と、を含んでいることを特徴とする、チップ型電子部品の製造方法。
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