JP2004133132A - 液晶表示装置の電極基材、液晶表示装置及び液晶表示装置の電極基材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プラスチックフィルム10と、プラスチックフィルム10の上に形成された接着層36と、接着層36の上又は上方に形成され、無機粒子28xが分散された複合ポリマーからなる透明保護膜28と、透明保護膜28内に埋め込まれて形成された透明電極26と、透明保護膜28及び透明電極26の上に形成された無機絶縁膜25とを含む。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶表示装置の電極基材、液晶表示装置及び液晶表示装置の電極基材の製造方法に係り、更に詳しくは、プラスチックフィルムを基材として用いた単純マトリックス型の液晶表示装置の電極基材、液晶表示装置及び液晶表示装置の電極基材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、低消費電力、低電圧動作、軽量、薄型及びカラー表示などを特徴とする液晶表示装置は、情報機器などへ急速にその用途を拡大している。この中で、携帯電話、電子手帳又はICカードなどは、軽量、薄型及び廉価が求められている市場であり、単純マトリックス型の液晶表示装置が主に採用されている。
【0003】
この単純マトリックス型液晶表示装置では、2枚の電極基材が対向して配置されていて、これらの電極基材上にはストライプ状の透明電極がお互いに略直交するようにしてそれぞれ形成されている。そして、この2枚の電極基材の間には液晶が封入され、この2つの透明電極の交差部が画素電極となって液晶を制御することに基づいて画像を表示させることができる。
【0004】
単純マトリックス型の液晶表示装置には、軽量化や破損防止などのために、基材としてガラス基板の代わりにプラスチックフィルムを用いたものがある。プラスチックフィルムは、剛性が弱く、また熱変形温度が低いため熱処理を伴う製造工程において反りや膨張収縮のような熱変形を生じ易い。このため、プラスチックフィルム上に直接カラーフィルタ層や低抵抗の透明電極などを形成する製造方法では、熱処理を伴う製造工程などの条件が制限され、また高精度の位置合わせが困難になり、所望の特性を有する電極基材を製造できない場合がある。
【0005】
このような問題を回避するために、剛性が強く耐熱性が高いガラス基板などの上に製造条件が制限されないで透明電極、透明保護膜及びカラーフィルタ層などを高精度で位置合わせして形成して転写層とした後、ガラス基板上の転写層をプラスチックフィルム上に転写して形成する方法がある。
【0006】
このような転写技術を用いることにより、熱処理を伴う製造工程はガラス基板上で行われることからプラスチックフィルムに熱変形が生じなくなるので、プラスチックフィルム上にカラーフィルタ層、透明保護膜及び透明電極などを所望の膜特性で、かつ高精度で位置合わせして形成することができるようになる。
【0007】
なお、転写技術を使用するのではなく、プラスチックフィルム上に直接カラーフィルタや透明電極などを形成する製造方法においては、プラスチックフィルムの変形防止のためにプラスチックフィルムに対して上下対称にコーティング層を施しているものがある(特許文献1参照)。
【0008】
また、従来の液晶表示装置の電極基材の構成の一例としては、透明基板上にカラーフィルタ層、透明保護膜及び透明電極が形成され、該透明電極の断線を防止する目的で透明保護膜として無機粒子を含んだ有機高分子膜を使用しているものがある(特許文献2参照)。
【0009】
【特許文献1】
特許第3027444号公報
【特許文献2】
特許公平6−46274号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記したようなガラス基板上に形成された転写層をプラスチックフィルム上に転写する製造方法において、ガラス基板上に形成される転写層のうちの透明保護膜は、樹脂などの有機絶縁膜が使用されるので比較的大きな残留応力をもった状態で成膜される。このため、転写技術を用いる場合、ガラス基板上の転写層がプラスチックフィルム上に転写された後に、透明保護膜の残留応力の影響で可撓性を有するプラスチックフィルムに反りが発生しまうという問題がある。プラスチックフィルムに反りが発生すると、液晶表示装置を製造する工程で各種製造装置のステージにプラスチックフィルムが上手く吸着できなくなり、液晶表示装置の製造に支障をきたしてしまう。
【0011】
さらに、樹脂などの有機絶縁膜からなる透明保護膜は、耐湿性が低いため水分を吸収することでシワが発生しやすく、またこの透明保護膜上に形成されている透明電極に応力によるクラックが発生しやすくなる。このため、電極基材に対して行われる所定の高温高湿試験での電極基材の信頼性を満たすことが困難になる。
【0012】
なお、前述した特許文献1及び特許文献2では、上記したような転写技術を利用して電極基材を製造する際における透明保護膜の残留応力によるプラスチックフォルムの反りや透明保護膜にシワが発生する問題に関しては何ら考慮されていない。
【0013】
本発明は上記した問題点を鑑みて創作されたものであり、透明保護膜の残留応力によるプラスチックフィルムの反りを防止でき、かつ該透明保護膜にシワが発生することを防止できる液晶表示装置の電極基材、液晶表示装置及び液晶表示装置の電極基材の製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するため、本発明は液晶表示装置の電極基材に係り、プラスチックフィルムと、前記プラスチックフィルムの上に形成された接着層と、前記接着層の上又は上方に形成され、無機粒子が分散された複合ポリマーからなる透明保護膜と、前記透明保護膜内に埋め込まれて形成された透明電極と、前記透明保護膜及び前記透明電極の上に形成された無機絶縁膜とを有することを特徴とする。
【0015】
本発明の液晶表示装置の電極基材が製造される場合、まず、耐熱性の基板上に剥離できる状態で無機絶縁膜、透明電極、透明保護膜及び接着層により構成される転写層が形成される。その後、プラスチックフィルムと接着層とが貼着され、転写層が基板から剥離されてプラスチックフィルム上に転写層が形成される。本発明の液晶表示装置の電極基材では、例えば、上記した転写技術により製造されるため、透明電極は基板上に形成されたときと上下反転して透明保護膜に埋め込まれた状態でプラスチックフィルム上に形成される。
【0016】
透明保護膜が全体にわたって例えば樹脂膜からなる場合、上記したように、透明保護膜がプラスチックフィルムに転写される際に、樹脂膜の残留応力によりプラスチックフィルムに反りが発生することに加えて、樹脂膜は耐湿性が低いことに起因して透明保護膜にシワが発生したり、その上に形成される透明電極にクラックが発生したりしやすい。
【0017】
本発明では、透明保護膜として無機粒子(例えばシリカ粒子)が分散された複合ポリマーを使用するため、透明保護膜の残留応力を低減させることができる共に、透明保護膜の耐湿性を向上させることができる。このため、透明保護膜を含む転写層がプラスチックフィルム上に転写された際に、透明保護膜の残留応力によってプラスチックフィルムに反りが発生する不具合が解消される。これに加えて、透明保護膜を高温高湿の雰囲気に放置しても水分の吸着量が低減されて透明保護膜にシワが発生しなくなり、またその上に形成される透明電極にもクラックが発生しなくなる。
【0018】
ところで、無機粒子にはナトリウムなどのアルカリ金属が比較的多く含まれている場合がある。このため、無機粒子を含む透明保護膜を使用すると、電極基材が液晶表示装置に組み込まれた際に、無機粒子に含まれるアルカリ金属が液晶層に溶出して液晶表示装置の表示特性が劣化する場合が想定される。
【0019】
しかしながら、本発明では、透明保護膜及び透明電極上に無機絶縁膜が全面にわたって形成されていて、この無機絶縁膜が透明保護膜から液晶層へのアルカリ金属の溶出を防止するバリア膜として機能するようにしている。このため、たとえ無機粒子がアルカリ金属を含んでいるとしても、アルカリ金属の溶出によって液晶表示装置の表示特性が劣化する恐れはない。
【0020】
上記した液晶表示装置の電極基材において、前記透明電極は、該透明電極が前記電極基材の周縁部に延在する、導電性粒子を含む異方性導電材を介して外部端子に接続された外部接続部を有し、前記透明電極の外部接続部と前記外部端子とは、前記異方性導電材に含まれる導電性粒子が前記外部接続部上の前記無機絶縁膜を突き破った状態で電気的に接続されているようにしてもよい。
【0021】
本発明では、透明電極上に無機絶縁膜が形成されているため、透明電極の外部接続部と外部端子との接続に関しては、一見、不都合のようではあるが、透明電極の外部接続部と外部端子とを異方性導電材を介して容易に接続することができる。つまり、異方性導電材に含まれる導電性粒子が無機絶縁膜を突き破って透明電極の外部接続部と外部端子とを容易に接続することができる。このように、透明電極上に無機絶縁膜が形成されていても、透明電極の外部接続部と外部端子との接続に関して何ら不都合は発生しない。
【0022】
また、同様に、本発明の電極基材を組み立てて液晶表示装置を製造する場合においても、一方の電極基材の透明電極の接続部を他方の電極基材の外部接続電極に下導通材を介して電気的に接続された構造を容易に製造することができる。
【0023】
しかも、透明電極の下の透明保護膜には無機粒子が分散されていることから、透明保護膜に無機粒子が分散していない場合に比べて、異方性導電材の導電性粒子はより少ない加重で無機絶縁膜を突き破ることができ、上記したような接続を容易に行うことができるようになる。
【0024】
また、上記した液晶表示装置の電極基材において、前記接着層と前記透明保護膜との間に、前記接着層内に埋め込まれて形成されたカラーフィルタ層をさらに有するようにしてもよい。例えば、基板上に転写層が形成される際に、透明保護膜と接着層との間にカラーフィルタ層がさらに形成され、この転写層がプラスチックフィルム上に転写されて、このような構造の電極基材が製造される。
【0025】
また、上記した液晶表示装置の電極基材において、無機粒子の粒径は100nm程度以下であることが好ましい。無機粒子の粒径を可視光波長よりも小さい100nm程度以下とすることにより、無機粒子に光透過性をもたせて透明保護膜の透明性を維持することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
【0027】
(第1の実施の形態)
1.液晶表示装置の電極基材
図1〜図3は本発明の第1実施形態の液晶表示装置の電極基材の製造方法を順に示す部分断面図である。本発明の第1実施形態の液晶表示装置の電極基材の製造方法は、図1(a)に示すように、まず、耐熱性のガラス基板20(基板)を用意し、このガラス基板20上に膜厚が4μm程度のポリイミド樹脂からなる剥離層24を形成する。続いて、剥離層24上に膜厚が10〜30nmの無機絶縁膜25を形成する。この無機絶縁膜25としてはシリコン酸化膜(SiOX膜)やシリコン窒化膜(SiNx膜)を使用することができる。
【0028】
次いで、無機絶縁膜25上に膜厚が100〜400nmのITO(Indium TinOxide)膜をスパッタ法により形成する。このとき、耐熱性のガラス基板20を用いているので基板温度が200℃程度のスパッタ法でITO膜を成膜することができ、スパッタ条件が制限されることはない。このため、シート抵抗値で例えば10〜15Ω/口の低抵抗のITO膜を形成することができる。また、基板温度が200〜250℃のイオンプレーティング法を用いても同様な膜特性のITO膜を成膜することができる。
【0029】
続いて、図1(b)に示すように、フォトリソグラフィ及びエッチングによりITO膜をパターニングしてストライプ状の透明電極26を形成する。
【0030】
次に、透明電極26及び無機絶縁膜25上に透明保護膜を形成する工程の説明を行う。まず、透明保護膜を形成するための塗布液を用意する。この塗布液は、1)アクリル系熱硬化性樹脂(ノフキュアーKI−02:日本油脂社製)、2)粒径が10〜20nmのシリカ粒子(無機粒子)を含むシリカゾル(PMA−ST:日産化学工業社製)、3)シランカップリング剤(KBM−403:信越化学社製)が所定の重量比で調合されて作成される。シランカップリング剤の添加はシリカ粒子を塗布液中で均一に分散させるために有効である。このようにして、シリカ粒子は、塗布液中にコロイダルシリカとして浮遊し、塗布液中にほぼ均一な状態で分散された状態となる。この塗布液を構成する上記した各成分の重量比の一例は、後述する本願発明者の調査の項で説明する。
【0031】
その後、この塗布液をスピンコート法などにより、無機絶縁膜25及び透明電極26上に塗布して塗布膜を形成する。続いて、図1(b)に示すように、この塗布膜を230℃、10分間、加熱・硬化することにより、膜厚が2〜5μmの複合ポリマーからなる透明保護膜28を形成する。
【0032】
複合ポリマーとは、異なる材料を組み合わせることにより単一の材料よりも優れた特性をもたせた材料である。本実施形態では、透明保護膜28として有機物(樹脂)に無機物(無機粒子)を含ませた複合ポリマーを使用することで、膜の残留応力が低減された状態で透明電極26の段差を容易に平坦化することができる。
【0033】
なお、複合ポリマーを形成するためのアクリル系樹脂としては、上記した例の他に、JSR社製の「SS6917」又は東京応化工業社製の「CFPR CL−016S」などを使用してもよい。また、複合ポリマーを形成するための無機粒子としては、上記した例の他に、扶桑化学工業社製のコロイダルシリカ「PL−1−PGME」又は多摩化学工業社製のコロイダルシリカ「TCSOL 242」などを使用してもよい。
【0034】
このとき、透明保護膜28は、アクリル樹脂中に粒径が10〜20nmのシリカ粒子28xがほぼ均一に分散された状態で形成される。
【0035】
なお、シリカ粒子28xに光透過性をもたせて透明保護膜28の透明性を維持するために、シリカ粒子28xの粒径を可視光波長よりも小さい100nm程度以下とすることが好ましい。本実施形態では、好適な条件として10〜20nmの粒径のシリカ粒子28xが分散された透明保護膜28を例示している。
【0036】
このようにして形成された透明保護膜28は、その膜中にシリカ粒子28xが含まれていない場合に比べて、膜の応力が低減された状態で成膜される。これは、塗布膜中には硬化・収縮しないシリカ粒子が所定量含まれていて、塗布膜中に硬化・収縮する樹脂が少なくなるようにしているためである。
【0037】
このように、透明保護膜28はその膜の残留応力が低減された状態で成膜されるため、後で説明するように、透明保護膜28などがプラスチックフィルム上に転写された際に、プラスチックフィルムに大きな応力がかからなくなって反りが発生しなくなる。
【0038】
また、透明保護膜28は、シリカ粒子を所定量含むようにしたので水分を吸収しやすいアクリル樹脂の比率が少なくなって耐湿性が向上し、その結果、透明保護膜28にシワが発生することが防止され、さらにこの上に形成される透明電極26にクラックが発生することが防止される。
【0039】
さらに、透明保護膜28にシランカップリング剤を含ませることは、上記したようにシリカ粒子28xを透明保護膜28中に均一に分散させるために有効であると共に、透明保護膜28とその下の透明電極26及び無機絶縁膜25との密着性を向上させるという観点からも都合がよい。また、透明保護膜28とその上に形成されるカラーフィルタ層及び接着層との密着性も向上させることができる。
【0040】
なお、透明保護膜28中のシリカ粒子28xには、濃度が数百ppm程度のナトリウムなどのアルカリ金属が含まれている場合があるが、後述するように無機絶縁膜25がアルカリ金属の溶出を防止するバリア膜として機能する。
【0041】
次いで、図1(c)に示すように、透明保護膜28上に黒色顔料を分散したレジスト層または黒色染料を溶解したポリイミド層を形成する。続いて、これをパターニングして透明電極26のパターン間上に透明電極26のパターン間の幅より大きなパターン幅を有する遮光層34dを形成する。
【0042】
続いて、遮光層34dのパターン間上に端部が遮光層34dにオーバーラップするようにして、顔料分散タイプの感光性赤色溶液を塗布・露光・現像して赤色画素部を構成する赤色カラーフィルタ層34aを形成する。
【0043】
次いで、緑色画素部を構成する位置に、顔料分散タイプの感光性緑色溶液を塗布・露光・現像して緑色カラーフィルタ層34bを形成する。続いて、青色画素部を構成する位置に、顔料分散タイプの感光性青色溶液を塗布・露光・現像して青色カラーフィルタ層34cを形成する。
【0044】
このようにして、透明電極26に平行でストライプ状の赤色カラーフィルタ層34a、緑色カラーフィルタ層34b、青色カラーフィルタ層34c及び遮光層34dからなるカラーフィルタ層34が形成される。なお、カラーフィルタ層34を形成しない形態としてもよい。
【0045】
その後に、図2(a)に示すように、カラーフィルタ層34上に紫外線硬化型樹脂(旭電化社製:KR−400)に粒径が2〜15μmの範囲のスペーサ粒子(日本触媒社製:エポスターGP−H)を少量混入分散させたものをスプレーにより2〜15μmの膜厚の範囲になるように調整して接着層36を形成する。このとき、カラーフィルタ層10の上面の凹凸は接着層36により埋め込まれて平坦化される。
【0046】
このようにして、ガラス基板20上に、下から順に、剥離層24、無機絶縁膜25、透明電極26、透明保護膜28、カラーフィルタ層34及び接着層36から構成される転写層38が形成される。
【0047】
次に、ガラス基板20上に形成された転写層38をプラスチックフィルム上に転写する方法を説明する。まず、ガラス基板20の大きさに対応したプラスチックフィルム10を用意する。プラスチックフィルム10としては、膜厚が100〜200μmのポリエーテルスルホンフィルム(住友ベークライト社製)やポリカーボネートフィルム(帝人社製)などを使用することができる。
【0048】
その後、図2(a)に示すように、ガラス基板20の接着層36側の面にプラスチックフィルム10を対向させ重ねて配置する。次いで、プラスチックフィルム10側から高圧水銀灯によりUV照射を行うことで紫外線硬化型樹脂である接着層36を硬化させることにより、プラスチックフィルム10と転写層38を有するガラス基板20とを貼り合わせる。
【0049】
なお、高圧水銀灯の代わりにパルスキセノン光源を用いてもよい。このパルスキセノン光源は発光強度が大きく、少ない照射時間で接着層36を硬化させることができるので、照射に伴うプラスチックフィルム10の温度上昇を抑えることができる。
【0050】
続いて、同じく図2(b)に示すように、ガラス基板20上の接着層36に貼り合わせたプラスチックフィルム10の一端に直径200mm程度のロール41を固定し、このロール41を回転させながらプラスチックフィルム10を引き剥がす。このとき、ガラス基板20と剥離層24との界面(図2(b)のA部)に沿って剥離される。
【0051】
本実施形態のように剥離層24としてポリイミド樹脂を用いる場合、水中で剥離することにより、ガラス基板20と剥離層24との界面の密着力が低下することから、転写時のダメージをより低減することが可能となる。
【0052】
これにより、図3(a)に示すように、プラスチックフィルム10上に、下から順に、接着層36、カラーフィルタ層34、透明保護膜28、透明電極26、無機絶縁膜25及び剥離層24からなる転写層38が転写されて形成される。
【0053】
前述したように、透明保護膜28は、シリカ粒子28xが分散された樹脂塗布液が硬化・収縮して形成されたものであるため、膜の残留応力が低減された状態で成膜される。このため、プラスチックフィルム10上に透明保護膜28を含む転写層38が形成された後に、透明保護膜28の残留応力によりプラスチックフィルム10に反りが発生することが防止される。従って、後工程の液晶表示装置の製造工程において、各種製造装置のステージにプラスチックフィルム10が吸着できなくなるなどの不具合は発生しなくなる。
【0054】
次いで、図3(b)に示すように、プラスチックフィルム10上の剥離層24を酸素プラズマによりエッチングして除去する。あるいは、ヒドラジンとエチレンジアミンとの混合液やアルカリ水溶液に浸漬させることにより剥離層24を除去してもよい。このとき、剥離層24の下には無機絶縁膜25が全面にわたって形成されているため、透明電極26などが酸素プラズマやアルカリ液などによりダメージを受けることが防止される。
【0055】
次いで、図3(c)に示すように、無機絶縁膜25上に膜厚が100nm程度の液晶材料を配向させる配向膜40を形成し、この配向膜40の表面をラビング処理する。これにより、本実施形態の液晶表示装置の電極基材1が得られる。
【0056】
次に、本願発明者の調査結果について説明する。本願発明者は、前述した転写技術と同様な方法により、ガラス基板20上に、下から順に、剥離層24、無機絶縁膜25、透明電極26、透明保護膜28及び接着層36から構成される転写層を形成した後、接着層36にプラスチックフィルム10を貼り付け、ガラス基板20からプラスチックフィルム上に転写層を転写して形成した。
【0057】
ここで、透明保護膜28を成膜する際に、その塗布液を構成する前述したアクリル系熱硬化性樹脂及びシリカゾルの重量比を変化させることにより、シリカ粒子28xの含有量の異なる複数の実験サンプルを作成した。なお、シランカップリング剤は各実験サンプルにおいて同量添加した。そして、各実験サンプルを60℃、90%の高温高湿の雰囲気に100時間放置した後、プラスチックフィルム10の反り及び透明保護膜28のシワの発生状況を調査した。
【0058】
表1は、透明保護膜のシワ及びプラスチックフィルムの反りの発生におけるシリカ粒子含有量の依存性を示すものである。
【0059】
【表1】
【0060】
透明保護膜28のシワの発生に関しては、表1に示すように、シリカ粒子含有量が0%、15%及び30%の条件では、透明電極26間の透明保護膜28にシワが発生していた。一方、シリカ粒子含有量を45%、60%に増加させた条件では、透明保護膜28にシワは発生していなかった。
【0061】
また、プラスチックフィルムの反りに関しては、表1に示すように、シリカ粒子含有量が0%の場合は、プラスチックフィルム10に反りが発生していた。しかし、シリカ粒子含有量が15〜60%の範囲の条件では、プラスチックフィルム10に反りは発生していなかった。このように、透明保護膜28にシリカ粒子28xを分散させて含ませることにより、透明保護膜28の残留応力を低減させることができるので、プラスチックフィルム10上に透明保護膜28などを転写した後にプラスチックフィルムに反りが発生しなくなる。
【0062】
なお、シリカ粒子含有量を70%に増加させた条件では、透明保護膜28にクラックが発生したので透明保護膜28としては使用するのは困難であった。
【0063】
以上のことより、透明保護膜28に分散されるシリカ粒子28xの粒径が10〜20nm程度の場合では、シリカ粒子含有量が40〜60%程度の範囲の条件で、プラスチックフィルム10に反りが発生せず、かつ透明保護膜28にシワやクラックが発生しないことが分かった。
【0064】
さらに、本願発明者は、透明保護膜28にシリカ粒子28xが分散されている様子をTEM(Transmission Electron Microscope)により撮影して確認した。実験サンプルとしては、シリカ粒子含有量が45%程度のものを使用した。図6は透明保護膜中にシリカ粒子が分散されている様子をTEMで撮影したものである。
【0065】
図6に示すように、透明保護膜28のアクリル樹脂中に粒径が10〜20nm程度の個々のシリカ粒子28が接触することなく、ほぼ均一な状態で分散されていることが確認された。透明保護膜28中にシリカ粒子28xが均一に分散されていない場合は、シリカ粒子28xが凝集して大きな固まり(凝集体)となりやすく、シリカ粒子28xの凝集体で光が散乱するようになる。このため、透明保護膜28が白濁して透明性を維持できなくなってしまうので、液晶表示装置の表示特性が劣化してしまう。
【0066】
このように、液晶表示装置の表示特性を向上させるためには、透明保護膜28にシリカ粒子28xが所定の間隔をもってほぼ均一に分散されていることが重要である。
【0067】
以上説明したように、第1実施形態の液晶表示装置の電極基材1では、図3(c)に示すように、プラスチックフィルム10上に接着層36が形成されていて、接着層36内に埋め込まれた状態でカラーフィルタ層34が形成されている。そして、カラーフィルタ層34上にはシリカ粒子(無機粒子)がほぼ均一に分散された透明保護膜28が形成されている。また、透明保護膜28内に埋め込まれた状態で透明電極26が形成されている。この透明電極26及び透明保護膜25上には無機絶縁膜25が形成されている。さらに、無機絶縁膜25上には配向膜40が形成されている。
【0068】
第1実施形態の液晶表示装置の電極基材1は、前述したように、ガラス基板20上に形成された転写層38がプラスチックフィルム10上に転写されることに基づいて製造される。透明保護膜28は、シリカ粒子28xが膜中にほぼ均一な状態で分散されているため、その膜の残留応力が低減された状態で成膜されるようになる。
【0069】
このため、プラスチックフィルム10上に透明保護膜28を含む転写層38が転写されて形成された後に、プラスチックフィルム10に反りが発生するほどの応力がかからなくなるのでプラスチックフィルム10の反りが防止される。
【0070】
また、透明保護膜28は、その膜中にシリカ粒子28xが分散されているため、耐湿性を向上させることができる。その結果、透明保護膜28を高温高湿の雰囲気に放置しても、透明保護膜28にシワが発生しなくなり、さらにこの上に形成される透明電極26にクラックが発生しなくなる。
【0071】
2.液晶表示装置
次に、本実施形態の液晶表示装置の電極基材を用いて液晶表示装置を製造する方法について説明する。図4は本発明の第1実施形態の液晶表示装置を示す部分断面図である。まず、図4に示すように、上記した電極基材1を液晶表示装置の走査電極基材1a(第1の電極基材)として使用する。
【0072】
次いで、前述した転写技術と同様な方法を利用して、プラスチックフィルム10b上に、下から順に、接着層36a、シリカ粒子28xが分散された透明保護膜28a、透明電極26a(対向透明電極)及び無機絶縁膜25aを形成する。続いて、無機絶縁膜25上に配向膜40aを形成し、この配向膜40aの表面にラビング処理を施す。これにより、図4に示すように、走査電極基材1aの対向基材である信号電極基材1b(第2の電極基材)が得られる。信号電極基材1bにおいても、走査電極基材1aと同様な透明保護膜28aを使用するので同様な効果を奏する。
【0073】
その後、走査電極基材1aの所定領域に液晶材料を封じ込めるためのシール剤をディスペンサ装置やスクリーン印刷装置により塗布してシール層44を形成する。続いて、走査電極基材1a上に、粒径が5μm程度の接着性スペーサを塗布する。
【0074】
次いで、同じく図4に示すように、走査電極基材1aのシール層44が形成された面と信号電極基材1bの配向膜40aが形成された面とを、2つの電極基材1a,1bのそれぞれの透明電極26,26aがお互いに略直交するようにして位置合わせして配置し、加熱する。このとき、2つの電極基材1a,1b間には接着性スペーサがあるので、一定の間隔が保たれる。
【0075】
なお、信号電極基材1bの所定領域にシール層44を形成し、続いて、接着性スペーサを塗布し、その後、走査電極基材1aと信号電極基材1bとを同様に貼り合わせてもよい。
【0076】
続いて、貼着された走査電極基材1aと信号電極基材1bとの所定部を切断することにより、個々の液晶表示装置用部材を得る。次いで、走査電極基材1aと信号電極基材1bとの間に、予め、開けておいたシール層44の液晶注入口から液晶材料を注入した後、封止剤で液晶注入口を密閉して液晶層46を形成する。
【0077】
以上により、図4に示すような本実施形態の液晶表示装置2が完成する。
【0078】
本実施形態の液晶表示装置2では、走査電極基材1a及び信号電極基材1bにシリカ粒子28xが分散された透明保護膜28,28aがそれぞれ形成されている。このため、プラスチックフィルム10,10aの反りが防止されるので、プラスチックフィルムを基材に用いた液晶表示装置2の製造が容易になり、液晶表示装置2の製造歩留りを向上させることができる。これに加えて、透明保護膜28にシワが発生しなくなるばかりではなく、この上に形成される透明電極26にクラックが発生しなくなるので、液晶表示装置2の表示特性の劣化が防止される。
【0079】
ところで、透明保護膜28中に分散されたシリカ粒子28はナトリウムなどのアルカリ金属を比較的多く含む場合(例えば数百ppm程度)があり、このような場合、アルカリ金属が液晶層46に溶出して液晶表示装置2の表示特性に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0080】
本願発明者の調査によれば、無機絶縁膜25として膜厚が15nmのシリコン酸化膜(SiOX膜)を形成した場合、液晶表示装置2の表示特性の劣化は確認されなかった。これに対して、無機絶縁膜25を形成しない場合は、透明保護膜28中のシリカ粒子28xから液晶層46中にナトリウムなどのアルカリ金属が溶出することに起因して液晶表示装置2の表示特性の劣化が確認された。
【0081】
このように、本実施形態の液晶表示装置2では、透明保護膜28上の無機絶縁膜25がアルカリ金属の溶出をブロックするバリア膜として機能するようにしているため、アルカリ金属によって液晶表示装置2の表示特性が劣化する恐れがなくなる。なお、アルカリ金属の濃度が十分に低いシリカ粒子28xを使用する場合は、無機絶縁膜25を形成しない形態としてもよい。
次に、本実施形態の液晶表示装置の変形例を説明する。図5(a)は本発明の第1実施形態の液晶表示装置の変形例を示す部分断面図、図5(b)は透明電極の外部接続部と外部端子とが異方性導電材により接続された様子を示す部分断面図、図5(c)は信号電極基材の透明電極の接続部と走査電極基材に形成された外部接続電極とが上下導通材により接続された様子を示す部分断面図である。
である。なお、図5(a)において、図4と同一要素については同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。本実施形態の液晶表示装置の変形例は、図5(a)に示すように、走査電極基材1cではなく、信号電極基材1dがカラーフィルタ層34を備えた形態である。
【0082】
本実施形態の変形例の液晶表示装置の製造方法は、まず、前述した転写技術と同様な方法を利用して、プラスチックフィルム10上に、下から順に、接着層36、シリカ粒子28xが分散された透明保護膜28、透明電極26及び無機絶縁膜25を形成する。続いて、無機絶縁膜25上に配向膜40を形成し、ラビング処理を施すことにより、図5(a)に示すような走査電極基材1c(第1の電極基材)が得られる。
【0083】
その後、前述した転写技術と同様な方法により、プラスチックフィルム10a上に、下から順に、接着層36a、カラーフィルタ層34、シリカ粒子28xが分散された透明保護膜28a、透明電極26b及び無機絶縁膜25aを形成する。続いて、無機絶縁膜25a上に配向膜40bを形成し、ラビング処理を施すことにより、図5に示すような信号電極基材1d(第2の電極基材)が得られる。
【0084】
次いで、前述した方法と同様な方法により、走査電極基材1cと信号電極基材1dとをシール層44を介して貼り合わせ、切断した後、液晶を注入して液晶層46を形成する。
【0085】
これにより、図5(a)に示すように、信号電極基材1dがカラーフィルタ層34を備えた液晶表示装置2aが完成する。変形例の液晶表示装置2aにおいても、液晶表示装置2と同様な効果を奏する。
【0086】
次に、本実施形態の液晶表示装置2aの透明電極26の外部接続部が外部端子に接続される様子を説明する。図5(b)に示すように、走査電極基材1c側の透明電極26は、それが液晶表示部から外側の領域に向けて延在した外部接続部26xを有する。透明電極26の外部接続部26x上にも無機絶縁膜25が延在して形成されている。そして、外部接続部26xは、異方性導電材48(ACF)を介して外部端子50と電気的に接続されている。この異方性導電材48はバインダー層48aと導電性粒子48bとにより構成されている。
【0087】
本実施形態の液晶表示装置2aでは、透明電極26上に無機絶縁膜25が形成されているので、異方性導電材48に含まれる導電性粒子48aが透明電極26上の無機絶縁膜25を突き破って透明電極26に接触することで電気的な接続を可能にしている。このようにして、本実施形態の液晶表示装置2aでは、透明電極26の外部接続部26xが外部端子50に接続される。
【0088】
また、図5(c)に示すように、例えば、図5(a)の向って右側のシール材44が形成された領域に、導電性粒子49aを含む上下導通材49を設けるようにしてもよい。すなわち、この上下導通材49が含む導電性粒子49aは、走査電極基材1c側の無機絶縁膜25及び信号電極基材1d側の無機絶縁膜25aをそれぞれ突き破って、信号電極基材1d側の透明電極26の接続部26yと走査電極基材1c側に設けられた外部接続電極26zとに接触している。
【0089】
つまり、信号電極基材1d側の透明電極26aの接続部26yは、上下導通材48x中の導電性粒子48aを介して走査電極基材1c側に設けられた信号電極用の外部接続電極26zに電気的に接続されている。外部接続電極26zは透明電極26と同一材料で形成されたものであって、走査電極基材1c側の透明電極26の外部接続部26xと同様に、所定の外部端子50に接続される。
【0090】
このようにすることにより、走査電極基材1cの所定領域に走査電極用の透明電極26の外部接続部26xばかりではなく、信号電極用の透明電極26aの外部接続電極26zをまとめて配置することができるようになる。このため、液晶表示装置の実装構造を簡易なものとすることができる。
【0091】
本願発明者は、上記したような、信号電極基材1d側の透明電極26aの接続部26yと走査電極基材1c側の外部接続電極26zとを上下導通材49により導通させる実験を行った。実験サンプルとしては、シリカ粒子28x(無機粒子)が分散された透明保護膜28が形成されたものと、シリカ粒子28xを含まない透明保護膜が形成されたものを使用した。無機絶縁膜25,25aの膜厚は12nmとし、また上下導通材49に含ませる導電性粒子49aとしては、粒径が7μm程度の積水ファインケミカル社製の商品名「AuH607」を使用した。
【0092】
透明電極26,26aの下にシリカ粒子28xが分散された透明保護膜28が形成されたものでは、導電性粒子1個に対して0.9〜1.5mNの加重をかけることにより、上下導通材49の導電性粒子49aが無機絶縁膜25,25aを突き破って導通がとれた。なお、導電性粒子1個に対する加重については、フィッシャー・インストルメント社製の硬さ試験機にて測定した。
【0093】
一方、透明電極26,26aの下にシリカ粒子28xを含まない透明保護膜が形成されたものでは、導電性粒子49aが無機絶縁膜25,25aを突き破って導通がとれるようになるには、導電性粒子1個に対して3.5〜5mNの加重をかける必要があった。
【0094】
このように、本実施形態のような透明電極26,26aの下にシリカ粒子28xが分散された透明保護膜28が形成された形態とすることにより、導電性粒子49aが無機絶縁膜25,25aを突き破って接続する際にかける加重をより少なくすることができ、電極基材にかかるストレスを緩和させることができることが確認された。
【0095】
(第2の実施の形態)
図7は本発明の第2実施形態の液晶表示装置の電極基材の製造方法を示す部分断面図、図8は本発明の第2実施形態の液晶表示装置を示す部分断面図である。第2実施形態が第1実施形態と異なる点は、本実施形態に係る電極基材を反射(半透過)型の液晶表示装置に適用したことにあるので、図7及び8において図1〜5と同一要素には同一符号を付してその詳しい説明を省略する。また、第1実施形態と同一工程についてはその詳しい説明を省略する。
【0096】
第2実施形態の液晶表示装置の電極基材の製造方法は、まず、図7(a)に示すように、第1実施形態と同様な方法により、図1(c)に示す構造体と同一のものを作成する。その後、図7(b)に示すように、カラーフィルタ層34上にポリイミド樹脂やアクリル樹脂などからなる表面に凹凸を備えた樹脂層35aを形成し、続いてこの樹脂層35a上にAlなどの金属層35bを形成する。これにより、カラーフィルタ34上に樹脂層35a及び金属層35bから構成される反射層35が形成される。
【0097】
続いて、第1実施形態と同様な方法により、反射層35上に接着層36を形成し、この接着層36にプラスチックフィルム10を貼リ付け、剥離層24とガラス基板20の界面から剥離した後、剥離層24を除去する。これにより、図7(c)に示すように、プラスチックフィルム10上に、下から順に、接着層36、反射層35、カラーフィルタ層34、シリカ粒子28xが分散された透明保護膜28、透明電極26及び無機絶縁膜25から構成される転写層38aが転写されて形成される。
【0098】
その後、無機絶縁膜25上に配向膜40を形成し、ラビング処理を施すことにより、図7(c)に示すような走査電極基材1e(第1の電極基材)が得られる。
【0099】
次いで、図8に示すように、図4の液晶表示装置2の信号電極基材1bと同一の電極基材(第2の電極基材)を用意し、第1実施形態と同様な方法により、走査電極基材1eと信号電極基材1bとをシール層44を介して貼り合わせ、切断した後、液晶を注入して液晶層46を形成することにより、第2実施形態の液晶表示装置2bが得られる。
【0100】
第2実施形態の液晶表示装置2bでは、信号電極基材1b側から入射した外光が反射層35で拡散反射され、この反射光がカラーフィルタ層34や液晶層24などを透過し、さらに信号電極基材1bを透過することに基づいて液晶画像が得られる。
【0101】
なお、信号電極基材1bの液晶層46側と反対面に位相差フィルム及び偏光フィルムを形成してもよい。また、第1実施形態の変形例の液晶表示装置2aと同様に、信号電極基材1bがカラーフィルタ層34を備えた形態としてもよい。
また、本実施形態の電極基材が半透過型の液晶表示装置に適用された形態としてもよい。この場合、各画素部ごとに、画素部の光透過部に対応する部分の反射層35の金属層35bに開口部を設けるようにすればよい。
【0102】
第2実施形態の電極基材及び液晶表示装置においても、第1実施形態と同様な効果を奏する。
【0103】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の液晶表示装置の電極基材では、透明保護膜として無機粒子が分散された複合ポリマーを使用するので透明保護膜は残留応力が低減された状態で形成される。このため、プラスチックフィルム上に透明保護膜を含む転写層が転写されて形成される際に、プラスチックフィルムには反りが発生する程度の大きな応力がかからなくなるので、プラスチックフィルムの反りの発生が防止される。
【0104】
また、透明保護膜として無機粒子が分散された複合ポリマーを使用することにより、透明保護膜の耐湿性を向上させることができ、これによって透明保護膜にシワが発生することやその上に形成される透明電極にクラックが発生することが防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の第1実施形態の液晶表示装置の電極基材の製造方法を示す部分断面図(その1)である。
【図2】図2は本発明の第1実施形態の液晶表示装置の電極基材の製造方法を示す部分断面図(その2)である。
【図3】図3は本発明の第1実施形態の液晶表示装置の電極基材の製造方法を示す部分断面図(その3)である。
【図4】図4は本発明の第1実施形態の液晶表示装置を示す部分断面図である。
【図5】図5(a)は本発明の第1実施形態の液晶表示装置の変形例を示す部分断面図、図5(b)は透明電極の外部接続部と外部端子とが異方性導電材により接続された様子を示す部分断面図、図5(c)は信号電極基材の透明電極の接続部と走査電極基材に形成された外部接続電極とが上下導通材により接続された様子を示す部分断面図である。
【図6】図6は透明保護膜中にシリカ粒子が分散されている様子をTEMで撮影したものである。
【図7】図7は本発明の第2実施形態の液晶表示装置の電極基材の製造方法を示す部分断面図である。
【図8】図8は本発明の第2実施形態の液晶表示装置を示す部分断面図である。
【符号の説明】
1…電極基材,1a,1c,1e…走査電極基材(第1の電極基材)、1b,1d…信号電極基材(第2の電極基材)、2,2a,2b…液晶表示装置、10,10a…プラスチックフィルム、20…ガラス基板(基板)、24…剥離層、25,25a…無機絶縁膜、26,26a…透明電極、26x…外部接続部、26z…外部接続電極、26y…接続部、28,28a…透明保護膜、28x…シリカ粒子(無機粒子)、34a…赤色カラーフィルタ層、34b…緑色カラーフィルタ層、34c…青色カラーフィルタ層、34d…遮光層、34…カラーフィルタ層、34d…遮光層、35…反射層、35a…樹脂層、35b…金属層、36,36a…接着層、38,38a…転写層、40,40a…配向膜、41…ロール、44…シール層、46…液晶層、48a…バインダー層,48b,49a…導電性粒子、48…異方性導電材、49…上下導通材、50…外部端子。
Claims (15)
- プラスチックフィルムと、
前記プラスチックフィルムの上に形成された接着層と、
前記接着層の上又は上方に形成され、無機粒子が分散された複合ポリマーからなる透明保護膜と、
前記透明保護膜に埋め込まれて形成された透明電極と、
前記透明保護膜及び前記透明電極の上に形成された無機絶縁膜とを有することを特徴とする液晶表示装置の電極基材。 - 前記接着層と前記透明保護膜との間に、前記接着層内に埋め込まれて形成されたカラーフィルタ層をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置の電極基材。
- 前記接着層と前記カラーフィルタ層との間に反射層をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置の電極基材。
- 前記無機粒子の粒径は100nm程度以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液晶表示装置の電極基材。
- 前記透明保護膜に含まれる無機粒子の含有比率は、40〜60重量%であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液晶表示装置の電極基材。
- 前記透明保護膜は有機樹脂と無機粒子とからなる複合ポリマーであって、前記無機粒子がシリカ粒子であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の液晶表示装置の電極基材。
- 前記透明保護膜にはシランカップリング剤が添加されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の液晶表示装置の電極基材。
- 前記無機絶縁膜は、シリコン酸化膜又はシリコン窒化膜であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の液晶表示装置の電極基材。
- 前記透明電極は、該透明電極が前記電極基材の周縁部に延在する、導電性粒子を含む異方性導電材を介して外部端子に接続された外部接続部を有し、
前記透明電極の外部接続部と前記外部端子とは、前記異方性導電材に含まれる導電性粒子が前記外部接続部上の前記無機絶縁膜を突き破った状態で電気的に接続されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の液晶表示装置の電極基材。 - 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の電極基材の構造を備えた第1の電極基材と、
ストライプ状の対向透明電極を少なくとも備え、該対向透明電極が前記第1の電極基材の透明電極に略直交して配置された第2の電極基材と、
前記第1の電極基材と前記第2の電極基材との間に挟持された液晶層とを有することを特徴とする液晶表示装置。 - 前記第1の電極基材は走査電極基材であって、前記第2の電極基材は信号電極基材であることを特徴とする請求項10に記載の液晶表示装置。
- 前記液晶表示装置は、前記第2の電極基材の対向透明電極の接続部と、前記第1の電極基材の前記透明電極と同一材料からなる外部接続電極とが、導電性粒子を含む上下導通材を介して電気的に接続された構造を有し、
前記上下導通材に含まれる導電性粒子は、前記第2の電極基材の対向透明電極の接続部上の前記無機絶縁膜と、前記第1の電極基材の外部接続電極上の前記無機絶縁膜とを突き破って前記対向透明電極の接続部及び前記外部接続電極に接触していることを特徴とする請求項10又は11に記載の液晶表示装置。 - 無機絶縁膜と、前記無機絶縁膜の上に形成された透明電極と、前記透明電極を被覆して形成され、無機粒子が分散された複合ポリマーからなる透明保護膜と、前記透明保護膜の上に形成された接着層とにより構成される転写層を、基板の上に剥離可能な状態で形成する工程と、
前記基板から前記転写層を剥離し、プラスチックフィルムと前記接着層とを貼り合わせることにより、前記プラスチックフィルムの上に前記転写層を転写して形成する工程とを有することを特徴とする液晶表示装置の電極基材の製造方法。 - 前記転写層は、前記透明保護膜上に形成されたカラーフィルタ層をさらに有し、前記接着層は該カラーフィルタ層を被覆していることを特徴とする請求項13に記載の液晶表示装置の電極基材の製造方法。
- 前記無機粒子の粒径は100nm程度以下であって、前記無機粒子の含有比率は40乃至60%であることを特徴とする請求項13又は14に記載の液晶表示装置の電極基材の製造方法。
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