JP2004132275A - 内燃機関の始動時燃料噴射制御装置 - Google Patents

内燃機関の始動時燃料噴射制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】内燃機関の始動時に実際に燃焼室内に供給される燃料を安定させ、始動性向上及びエミッション改善を図ること。
【解決手段】吸気行程より以前で、かつ吸気バルブが閉じているときにインジェクタ7から燃料噴射されるような内燃機関1の燃料噴射タイミングによれば、特に、内燃機関1の始動時の燃料噴射開始時期においては、インテークマニホルド6の壁面等が冷えているため壁面ウエットに成易いという現象がある。この際、壁面ウエット分も考慮された燃料噴射量が噴射供給されるのに加えて、燃料噴射開始時期が所定期間だけ早められることで、内燃機関1の燃焼室内に燃料導入されるまでの時間的余裕が増大し、実際に燃焼室内に供給される燃料量が安定されることとなる。この結果、内燃機関1の始動性向上、更には、エミッション改善が期待できる。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の始動時の燃焼室内に安定した燃料を供給する内燃機関の始動時燃料噴射制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、内燃機関の始動時燃料噴射制御装置に関連する先行技術文献としては、特開平10−318021号公報にて開示されたものが知られている。
【0003】
このものでは、複数の気筒を備えた内燃機関の始動時燃料噴射時期において、各気筒の吸気行程と同期して燃料噴射を行い、燃料噴射回数が所定回数以上のとき燃料噴射開始時期を早めることで、各気筒に必要な燃料を確実に気筒内に供給し、始動性の向上とエミッションの改善を図る技術が示されている。
【特許文献1】特開平10−318021号公報(第3頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述のものでは、内燃機関の機関回転速度の上昇に伴って、燃料噴射時期が吸気行程に完全に同期する場合と、その一部が吸気行程に同期しない場合とが存在するため、燃焼室内に流入される燃料量が安定せず、結果として、混合気の燃焼に際して空燃比がばらつくこととなり始動性、更にはエミッションが悪化するという不具合があった。
【0005】
そこで、この発明はかかる不具合を解決するためになされたもので、内燃機関の始動時に実際に燃焼室内に供給される燃料を安定させ、始動性向上及びエミッション改善可能な内燃機関の始動時燃料噴射制御装置の提供を課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の内燃機関の始動時燃料噴射制御装置によれば、燃料噴射制御手段によって内燃機関の各気筒に対して、吸気行程より以前で、かつ吸気バルブが閉じているときに燃料噴射が行われるが、このときの内燃機関の始動開始からの全気筒に対する燃料噴射回数の総和が噴射回数計数手段にて計数され、燃料噴射回数が所定回数以上となり着火が実行される際、かつ機関回転速度が所定回転速度未満であるときには、噴射時期変更手段にて燃料噴射開始時期が所定期間早められる。このように、内燃機関には吸気行程より以前で、かつ吸気バルブが閉じているときに燃料噴射されるような燃料噴射タイミングによれば、特に、内燃機関の始動時の燃料噴射開始時期においては、インテークマニホルド壁面等が冷えているため壁面ウエットに成易いという現象がある。この際、壁面ウエット分も考慮された燃料噴射量が噴射供給されるのに加えて、燃料噴射開始時期が所定期間だけ早められることで、内燃機関の燃焼室内に燃料導入されるまでの時間的余裕が増大し、内燃機関の始動時に実際に燃焼室内に供給される燃料量が安定され、内燃機関の始動性向上、更には、エミッション改善が達成される。
【0007】
請求項2の内燃機関の始動時燃料噴射制御装置における噴射時期変更手段では、燃料噴射回数の増加に伴って燃料噴射時期が早められ、つまり、機関回転速度が上昇した際の燃料噴射の遅れが考慮されるため、実際に燃焼室内に供給される燃料量がより安定されるという効果が得られる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
【0009】
図1は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の始動時燃料噴射制御装置が適用された内燃機関及びその周辺機器を示す概略構成図である。
【0010】
図1において、内燃機関1は4サイクル4気筒(#1気筒〜#4気筒)の火花点火式として構成され、その吸入空気は上流側からエアクリーナ2、吸気通路3、スロットルバルブ4、サージタンク5及びインテークマニホルド6を通過し、インテークマニホルド6内でインジェクタ(燃料噴射弁)7a,7b,7c,7d(以下、単に『インジェクタ7』と記す)から噴射された燃料と混合され、所定空燃比の混合気として各気筒に分配供給される。各インジェクタ7には駆動回路8a,8b,8c,8d(以下、単に『駆動回路8』と記す)がそれぞれ接続され、駆動回路8からの駆動電流によりインジェクタ7が開弁/閉弁される。
【0011】
また、内燃機関1の各気筒に配設された点火プラグ9a,9b,9c,9d(以下、単に『点火プラグ9』と記す)には、図示しない点火回路から所定タイミングにて供給される高電圧が分配供給され、各気筒の燃焼室内の混合気が所定タイミングにて点火される。そして、内燃機関1の各気筒で燃焼後の排気ガスはエキゾーストマニホルド11、排気通路12、その途中に配設された三元触媒13を通って排出される。この三元触媒13には、白金やロジウム等の触媒成分とセリウムやランタン等の添加物が担持されており、排気ガス中に含まれる有害成分であるCO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、NOx (窒素酸化物)等の成分が浄化される。
【0012】
そして、エアクリーナ2の下流側の吸気通路3にはエアフローメータ21が配設され、このエアフローメータ21にてエアクリーナ2を通過する吸気量が検出される。また、スロットルバルブ4にはスロットル開度センサ22が配設され、このスロットル開度センサ22にてスロットル開度が検出されると共に、スロットルバルブ4がほぼ全閉であることが図示しないアイドルスイッチによって検出される。また、サージタンク5には吸気圧センサ23が配設され、この吸気圧センサ23にてサージタンク5内の吸気圧が検出される。
【0013】
更に、内燃機関1には、図示しないクランクシャフトの所定クランク角(例えば、10〔°CA(Crank Angle)〕回転毎のクランク角信号を検出するクランク角センサ24と、図示しないカムシャフトの所定回転位置に対応するカム角信号を検出するカム角センサ25とが配設されている。これらクランク角センサ24からのクランク角信号及びカム角センサ25からのカム角信号に基づき、周知のように気筒判別され後述の気筒判別カウンタCCRNK(=1,2,3,4)により現在の制御気筒が4気筒(#1気筒〜#4気筒)のうちの何れの気筒に該当するかが分かる。また、内燃機関1のシリンダブロックには水温センサ26が配設され、この水温センサ26にて内燃機関1の冷却水温が検出される。そして、排気通路12の三元触媒13の上流側には空燃比センサ27が配設され、その通路を流れる排気ガスの空燃比が検出される。
【0014】
エアフローメータ21からの吸気量信号、スロットル開度センサ22からのスロットル開度信号、吸気圧センサ23からの吸気圧信号、クランク角センサ24からのクランク角信号、カム角センサ25からのカム角信号、水温センサ26からの冷却水温信号、空燃比センサ27からの空燃比信号等は、ECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)40の入力ポート45に入力されている。更に、ECU40の入力ポート45には、スタータスイッチ31からのON(オン)/OFF(オフ)信号、イグニッションスイッチ32からのON/OFF信号が入力され、ECU40にはバッテリ33からの電源電圧が供給されている。
【0015】
このECU40は、周知の各種演算処理を実行する中央処理装置としてのCPU41、制御プログラムや制御マップ等を格納したROM42、各種データ等を格納するRAM43、B/U(バックアップ)RAM44、入力ポート45、出力ポート46及びそれらを接続するバスライン47等からなる論理演算回路として構成されている。ECU40では、入力された各種センサ信号等に基づき各気筒の燃料噴射量、燃料噴射時期及び点火時期等の各種制御信号が演算される。そして、ECU40の出力ポート46から出力される燃料噴射量、燃料噴射時期に応じた制御信号によって各気筒のインジェクタ7に接続された駆動回路8が制御される。
【0016】
本実施例の4サイクル4気筒からなる内燃機関1においては、吸気行程→圧縮行程→膨張行程→排気行程順で、例えば、#1気筒→#3気筒→#4気筒→#2気筒順に、各気筒の燃料噴射量及び燃料噴射時期に基づき燃料噴射され、吸入空気と共に燃焼室内に導入された混合気が、所定の点火時期に応じた図示しない点火プラグの放電火花の発生によって点火燃焼される。
【0017】
次に、本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の始動時燃料噴射制御装置で使用されているECU40内のCPU41における始動時燃料噴射時期制御の処理手順を示す図2のフローチャートに基づき、図3を参照して説明する。ここで、図3は図2の処理に対応する各種センサ信号や各種制御量等の遷移状態を示すタイミングチャートである。なお、この始動時燃料噴射時期制御ルーチンは所定時間毎にCPU41にて繰返し実行される。
【0018】
図2において、ステップS101で、まず、始動時噴射カウンタCINJSTが「0」にセットされる(図3に示す#1気筒の点火時期)。この始動時噴射カウンタCINJSTは、後述の始動時燃料噴射時期制御中に燃料噴射された総回数を表わす。次にステップS102に移行して、始動時であるかが判定される。ステップS102の判定条件が成立、即ち、このときの機関回転速度NEが始動判定回転速度NEth未満で始動時フラグXSTAが「ON(始動時)」であり、始動時燃料噴射時期制御中であるときにはステップS103に移行し、始動時噴射カウンタCINJSTが「3」未満であるかが判定される。ステップS103の判定条件が成立、即ち、図3に示す始動時噴射カウンタCINJSTが「3」未満と小さいときにはステップS104に移行し、燃料噴射タイミングが吸気行程より以前で、かつ吸気バルブ(図示略)が閉じているときで、内燃機関1の始動時に対応するように設定される。
【0019】
一方、ステップS103の判定条件が成立せず、即ち、図3に示す始動時噴射カウンタCINJSTが「3」以上と大きいときにはステップS105に移行し、燃料噴射タイミングの『早出し』として、このときの始動時に対応する燃料噴射タイミングがステップS104における始動時に対応する燃料噴射タイミングよりも早い時期となるよう設定される(図3に斜線を施した長方形ブロックにて示す燃料噴射時期のうち左向き矢印が添えられている燃料噴射時期参照)。ステップS104またはステップS105による処理ののちステップS106に移行し、始動時噴射カウンタCINJSTが「+1」インクリメントされ、ステップS101に戻り同様の処理が繰返し実行される。
【0020】
そして、ステップS102で、図3に示すように、このときの機関回転速度NEが始動判定回転速度NEth以上となり、始動時フラグXSTAが「OFF(始動後)」となったときにはステップS107に移行し、ステップS105による『早出し』の燃料噴射タイミングの設定が解除される。そして、吸気行程より以前で、かつ吸気バルブが閉じているときで、内燃機関の始動後に対応するように設定された燃料噴射タイミングによる始動後燃料噴射時期制御処理が実行される。次にステップS108に移行して、始動時噴射カウンタCINJSTが「0」にクリアされ、本ルーチンを終了する。
【0021】
このように、本実施例の内燃機関の始動時燃料噴射制御装置は、4サイクル4気筒(複数の気筒)からなる内燃機関1の各気筒(#1気筒〜#4気筒)に対して吸気行程より以前で、かつ吸気バルブ(図示略)が閉じているときに燃料噴射を行うインジェクタ(燃料噴射弁)7、駆動回路8及びECU40等にて達成される燃料噴射制御手段と、内燃機関1の始動開始から、全気筒に対する燃料噴射回数の総和としての始動時噴射カウンタCINJSTを計数するECU40にて達成される噴射回数計数手段と、前記噴射回数計数手段により計数された始動時噴射カウンタCINJSTが所定回数としての「3」以上、かつ機関回転速度NEが所定回転速度としての始動判定回転速度NEth未満のとき、燃料噴射開始時期を所定期間早めるECU40にて達成される噴射時期変更手段とを具備するものである。
【0022】
つまり、内燃機関1の各気筒では、吸気行程より以前で、かつ吸気バルブが閉じているときにインジェクタ7から燃料噴射が実行されるが、このときの内燃機関1の始動開始からの始動時噴射カウンタCINJSTが所定回数「3」未満から所定回数「3」以上となり着火が実行される際、かつ機関回転速度NEが始動判定回転速度NEth未満であるときには、燃料噴射開始時期が所定期間早められる。
【0023】
このように、吸気行程より以前で、かつ吸気バルブが閉じているときにインジェクタ7から燃料噴射されるような内燃機関1の燃料噴射タイミングによれば、特に、内燃機関1の始動時の燃料噴射開始時期においては、インテークマニホルド6の壁面等が冷えているため壁面ウエットに成易いという現象がある。この際、本実施例の始動時燃料噴射制御によれば、壁面ウエット分も考慮された燃料噴射量が噴射供給されるのに加えて、燃料噴射開始時期が所定期間だけ早められることで、内燃機関1の燃焼室内に燃料導入されるまでの時間的余裕が増大し、実際に燃焼室内に供給される燃料量が安定されることとなる。これにより、内燃機関1の始動性向上、更には、エミッション改善が期待できる。
【0024】
また、本実施例の内燃機関の始動時燃料噴射制御装置のECU40からなる噴射時期変更手段は、燃料噴射回数を表わす始動時噴射カウンタCINJSTの増加に伴い、燃料噴射開始時期を早めるものである。これにより、始動時噴射カウンタCINJSTが増加し機関回転速度NEが上昇した際の燃料噴射の遅れが考慮され、実際に燃焼室内に供給される燃料量がより安定されることとなる。
【0025】
ところで、上記実施例では、4サイクル4気筒からなる内燃機関1に対応した始動時燃料噴射制御について述べたが、本発明を実施する場合には、これに限定されるものではなく、内燃機関の気筒数が複数であれば同様に適応することができ、同様の作用・効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の始動時燃料噴射制御装置が適用された内燃機関及びその周辺機器を示す概略構成図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の始動時燃料噴射制御装置で使用されているECU内のCPUにおける始動時燃料噴射時期制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】図3は図2の処理に対応する各種センサ信号や各種制御量等の遷移状態を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1              内燃機関
7(7a,7b,7c,7d) インジェクタ(燃料噴射弁)
8(8a,8b,8c,8d) 駆動回路
40             ECU(電子制御ユニット)

Claims (2)

  1. 複数の気筒からなる内燃機関の各気筒に対して吸気行程より以前で、かつ吸気バルブが閉じているときに燃料噴射を行う燃料噴射制御手段と、
    前記内燃機関の始動開始から、全気筒に対する燃料噴射回数の総和を計数する噴射回数計数手段と、
    前記噴射回数計数手段により計数された燃料噴射回数が所定回数以上、かつ、機関回転速度が所定回転速度未満のとき、燃料噴射開始時期を所定期間早める噴射時期変更手段と
    を具備することを特徴とする内燃機関の始動時燃料噴射制御装置。
  2. 前記噴射時期変更手段は、前記燃料噴射回数の増加に伴い、燃料噴射開始時期を早めることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の始動時燃料噴射制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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