JP2004245107A - 筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents

筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】1サイクル中に燃料を複数回噴射する運転中の燃料カット開始/復帰タイミングを適正化する。
【解決手段】1サイクル中に燃料を吸気行程と圧縮行程に分割して噴射する吸気+圧縮行程噴射パターンで運転している時に、燃料カット要求が発生した時点で、既に吸気行程の噴射が実行されていれば、圧縮行程の噴射セットタイミング前であっても、圧縮行程の噴射をカットせずに実行し、次のサイクルの吸気行程の噴射セット時に、燃料カットを許可して燃料カットを開始する。その後、燃料カット復帰要求が発生した時点で、既に吸気行程の噴射セットタイミングを過ぎていれば、圧縮行程の噴射セットタイミング前であっても、圧縮行程の噴射セット(燃料カット復帰)を行わず、燃料カットを継続し、次のサイクルの吸気行程の噴射セット時に、燃料カット復帰を許可して燃料噴射を再開する。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料を筒内に直接噴射する筒内噴射式内燃機関における燃料カットの実行方法を改善した筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、低燃費、低排気エミッション、高出力の特長を兼ね備えた筒内噴射式エンジン(直噴エンジン)の需要が急増している。この筒内噴射式エンジンは、エンジン運転状態に応じて成層燃焼モードと均質燃焼モードとを切り換え、成層燃焼モードでは、少量の燃料を圧縮行程で筒内に直接噴射して点火プラグの近傍に成層混合気を形成して成層燃焼させ、均質燃焼モードでは、燃料噴射量を増量して吸気行程で筒内に燃料を直接噴射して均質混合気を形成して均質燃焼させるようにしている。
【0003】
この筒内噴射式エンジンの燃料噴射制御は、1サイクル(720℃A)中に吸気又は圧縮のいずれか一方の行程で燃料噴射を1回のみ行うものが多いが、1サイクル中に複数回の噴射を行うようにしたものがある。例えば、特許文献1(特開2001−248482号公報)等に示すように、1サイクル中に、燃料を吸気行程と圧縮行程に分割して筒内に噴射する“吸気+圧縮行程噴射”を行ったり、或は、吸気行程中に燃料を複数回に分割して筒内に噴射する“吸気行程分割噴射”を行うことによって、噴射燃料の霧化を向上させたり、ノック限界出力領域を拡大するようにしたものがある。
【0004】
また、特許文献2(特開2002−13431号公報)等に示すように、触媒早期暖機や触媒硫黄被毒回復等を行うために、吸気行程又は圧縮行程で燃料を噴射した後に膨張行程又は排気行程で少量の燃料を噴射することで、排気管内で後燃えを生じさせて排気温度を上昇させたり、排出ガス中の未燃HC濃度を増加させて触媒内部で発生する未燃HCの酸化反応の反応熱を増加させるようにしたものもある。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−248482号公報(第2頁〜第3頁等)
【特許文献2】
特開2002−13431号公報(第2頁〜第3頁等)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、筒内噴射式エンジンにおいても、吸気ポート噴射式エンジンと同様に、減速時に燃費向上、減速性能向上等の目的から燃料カットを実行するようにしている。一般に、燃料カットの開始/復帰タイミングは、エンジン回転速度やアクセル開度(スロットル開度)等によって決定されるため、1サイクル中に複数回の噴射を行う噴射パターンで運転している場合には、燃料カットの開始/復帰タイミングが複数回噴射の途中(1サイクル中の2回目以降の噴射時期)になることがある。
【0007】
例えば、吸気+圧縮行程噴射や吸気行程分割噴射で運転しているときに、1サイクル中の2回目以降の燃料噴射タイミングから燃料カットの開始/復帰を実行すると、そのサイクルでの噴射量が1サイクル分の要求噴射量よりも少なくなって、要求空燃比や要求トルクを満足することができず、ドライバビリティや排気エミッションが悪くなるという問題があった。また、吸気行程又は圧縮行程で燃料を噴射した後に膨張行程又は排気行程で燃料を後噴射する場合は、膨張行程又は排気行程の燃料噴射タイミングから燃料カット復帰を実行すると、燃料カット中に温度低下した排気管内に未燃HCが排出されることになるため、未燃HCの後燃えや触媒内での未燃HCの酸化反応を促進することができず、未燃HCの排出量が増加して排気エミッションが悪くなるという問題があった。
【0008】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、従ってその目的は、1サイクル中に燃料を複数回噴射する噴射パターンで運転しているときの燃料カット開始/復帰タイミングを適正化して、燃料カットによるドライバビリティ悪化や排気エミッション悪化の問題を解決することができる筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置は、燃料を噴射する行程及び/又は1サイクル中の噴射回数が異なる複数の噴射パターンの中から内燃機関の運転状態に応じた噴射パターンを設定する噴射パターン設定手段を備えたものにおいて、燃料カットを開始するタイミングを前記噴射パターン設定手段により設定された噴射パターンに応じて変化させるようにしたものである。つまり、請求項1に係る発明は、燃料カット要求の発生タイミングがその時点の噴射パターンにおける適切な燃料カット開始タイミングでなければ、適切な燃料カット開始タイミングになるまで待って燃料カットを開始する。これにより、運転中に燃料カット要求がどの様なタイミングで発生しても、常に実際の燃料カット開始タイミングをその時点の噴射パターンに応じた適切な燃料カット開始タイミングに設定することができ、燃料カット開始タイミングの悪さから引き起こされるドライバビリティ悪化や排気エミッション悪化の問題を解決することができる。
【0010】
更に、請求項2,3のように、燃料カット状態から燃料噴射を再開するタイミングを、噴射パターン設定手段により設定された噴射パターンに応じて変化させるようにすると良い。つまり、請求項2,3に係る発明は、燃料カット復帰要求の発生タイミングがその時点の噴射パターンにおける適切な燃料カット復帰タイミングでなければ、適切な燃料カット復帰タイミングになるまで待って燃料カット状態から復帰する。これにより、運転中に燃料カット復帰要求がどの様なタイミングで発生しても、常に実際の燃料カット復帰タイミングをその時点の噴射パターンに応じた適切な燃料カット復帰タイミングに設定することができ、燃料カット復帰タイミングの悪さから引き起こされるドライバビリティ悪化や排気エミッション悪化の問題を解決することができる。
【0011】
具体的には、請求項4のように、1サイクル中の噴射回数が2回以上の噴射パターンに設定されているときは、1サイクル中の2回目以降の燃料噴射タイミングから燃料カットを開始することを禁止し、1回目の燃料噴射タイミングからのみ燃料カットを許可するようにすると良い。同様に、請求項5のように、1サイクル中の2回目以降の燃料噴射タイミングから燃料カットを復帰することを禁止し、1回目の燃料噴射タイミングからのみ燃料カット復帰を許可するようにすると良い。
【0012】
上記請求項4,5のように構成すれば、運転中に燃料カット要求や燃料カット復帰要求がどの様なタイミングで発生しても、常に実際の燃料カット開始タイミングや燃料カット復帰タイミングを最適なタイミングである1回目の燃料噴射タイミングに設定することができる。
【0013】
また、請求項6のように、1サイクル中の噴射回数が2回以上の噴射パターンに設定されているときは、1サイクル中の2回目以降の燃料噴射タイミングから燃料カット復帰要求が発生した場合に、当該サイクル内の燃料カットされた噴射回数分の噴射量を当該サイクル内の残りの噴射量に加算して燃料噴射を再開するようにしても良い。このようにすれば、1サイクル中の2回目以降の燃料噴射タイミングからの燃料カット復帰を実現して、燃料カット復帰の応答性を高めながら、燃料カット復帰時のサイクルの実噴射量を1サイクル分の要求噴射量に一致させることができ、サイクル途中からの燃料カット復帰によるドライバビリティ悪化や排気エミッション悪化の問題を解決することができる。
【0014】
この場合、請求項7のように、1サイクル中の2回目以降の燃料噴射タイミングから燃料カット復帰要求が発生した場合に、当該サイクル内の燃料カットされた噴射回数分の噴射量をそれ以降の噴射量に加算した合計噴射量が所定値以上であれば、当該サイクル途中からの燃料カット復帰を禁止するようにすると良い。つまり、2回目以降の噴射動作で噴射可能な燃料量には限界があり、また、2回目以降の噴射量が多くなり過ぎると、噴射燃料の霧化状態が悪くなって燃焼状態が悪化する懸念があるため、燃料カットされた噴射回数分の噴射量をそれ以降の噴射量に加算した合計噴射量が多くなり過ぎるような場合は、当該サイクル途中からの燃料カット復帰を禁止し、次のサイクルまで燃料カット復帰を待つことで、燃焼状態悪化や排気エミッション悪化の問題を解決することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
[実施形態(1)]
以下、本発明の実施形態(1)を図1乃至図7に基づいて説明する。まず、図1に基づいてエンジン制御システム全体の概略構成を説明する。筒内噴射式の内燃機関である筒内噴射式エンジン11の吸気管12の最上流部には、エアクリーナ13が設けられ、このエアクリーナ13の下流側に、吸入空気量を検出するエアフローメータ14が設けられている。このエアフローメータ14の下流側には、DCモータ等のモータ15によって駆動されるスロットルバルブ16が設けられ、このスロットルバルブ16の開度(スロットル開度)がスロットル開度センサ17によって検出される。
【0016】
また、スロットルバルブ16の下流側には、サージタンク18が設けられ、このサージタンク18に、吸気管圧力を検出する吸気管圧力センサ19が設けられている。また、サージタンク18には、エンジン11の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド20が設けられ、各気筒の吸気マニホールド20に、筒内の気流強度(スワール流強度やタンブル流強度)を制御する気流制御弁31が設けられている。
【0017】
エンジン11の各気筒の上部には、それぞれ燃料を筒内に直接噴射する燃料噴射弁21が取り付けられている。エンジン11のシリンダヘッドには、各気筒毎に点火プラグ22が取り付けられ、各点火プラグ22の火花放電によって筒内の混合気に着火される。また、エンジン11の吸気バルブ37と排気バルブ38には、それぞれバルブタイミングを可変する可変バルブタイミング機構39,40が設けられている。
【0018】
エンジン11のシリンダブロックには、ノッキングを検出するノックセンサ32と、冷却水温を検出する冷却水温センサ23とが取り付けられている。また、クランク軸(図示せず)の外周側には、所定のクランク角毎にクランク角信号を出力するクランク角センサ24が取り付けられている。このクランク角センサ24の出力信号に基づいてクランク角やエンジン回転速度が検出される。
【0019】
一方、エンジン11の排気管25には、排出ガスを浄化する上流側触媒26と下流側触媒27が設けられ、上流側触媒26の上流側に、排出ガスの空燃比又はリッチ/リーン等を検出する排出ガスセンサ28(空燃比センサ、酸素センサ等)が設けられている。本実施形態では、上流側触媒26として理論空燃比付近で排出ガス中のCO,HC,NOx等を浄化する三元触媒が設けられ、下流側触媒27としてNOx吸蔵還元型触媒が設けられている。このNOx吸蔵還元型触媒27は、排出ガスの空燃比がリーンのときに排出ガス中のNOxを吸蔵し、空燃比が理論空燃比付近又はリッチになったときに吸蔵NOxを還元浄化して放出する特性を持っている。
【0020】
また、排気管25のうちの上流側触媒26の下流側と吸気管12のうちのスロットルバルブ16の下流側のサージタンク18との間に、排出ガスの一部を吸気側に還流させるためのEGR配管33が接続され、このEGR配管33の途中に排出ガス還流量(EGR量)を制御するEGR弁34が設けられている。また、アクセルペダル35の踏込量(アクセル開度)がアクセルセンサ36によって検出される。
【0021】
前述した各種センサの出力は、エンジン制御回路(以下「ECU」と表記する)30に入力される。このECU30は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵されたROM(記憶媒体)に記憶された各種の制御ルーチンを実行することで、エンジン運転状態に応じて燃料噴射弁21の燃料噴射量や燃料噴射時期、点火プラグ22の点火時期等を制御する。
【0022】
本実施形態(1)では、ECU30は、図2に示すように、燃料を噴射する行程と1サイクル中の噴射回数が異なる例えば8種類の噴射パターン▲1▼〜▲8▼の中から、エンジン運転状態に応じていずれか1つの噴射パターンを設定するようにしている(この機能が特許請求の範囲でいう噴射パターン設定手段に相当する)。
【0023】
ここで、噴射パターン▲1▼は、吸気行程で1回のみ噴射する通常の吸気行程噴射であり、噴射パターン▲2▼は、圧縮行程で1回のみ噴射する通常の圧縮行程噴射である。噴射パターン▲3▼は、1サイクル中に燃料を吸気行程と圧縮行程に分割してそれぞれ少なくとも1回ずつ噴射する吸気+圧縮行程噴射であり、噴射パターン▲4▼は、吸気行程中に燃料を複数回に分割して噴射する吸気行程分割噴射である。
【0024】
一方、噴射パターン▲5▼は、圧縮行程で燃料を1回噴射して成層燃焼させた後、膨張行程で少量の燃料を噴射して排気温度を上昇させる圧縮+膨張行程噴射であり、噴射パターン▲6▼は、吸気行程で燃料を1回噴射して均質燃焼させた後、膨張行程で少量の燃料を噴射して排気温度を上昇させる吸気+膨張行程噴射である。これら2つの噴射パターン▲5▼,▲6▼は、触媒早期暖機制御等に用いられる。
【0025】
噴射パターン▲7▼は、吸気行程で燃料を1回噴射して均質燃焼させた後、排気行程で少量の燃料を噴射する吸気+排気行程噴射噴射であり、噴射パターン▲8▼は、圧縮行程で燃料を1回噴射して成層燃焼させた後、排気行程で少量の燃料を噴射する圧縮+排気行程噴射噴射である。これら2つの噴射パターン▲7▼,▲8▼は、いずれも、排気行程で少量の燃料を噴射することで、排出ガス中の未燃HC濃度を増加させて触媒27内部で未燃HCの酸化反応を発生させ、その反応熱で触媒27の硫黄被毒を回復させる。
【0026】
更に、ECU30は、エンジン運転中に燃料カット要求が発生したとき(燃料カットフラグがOFFからONに切り換えられたとき)、燃料カットを実行すると共に、燃料カット復帰要求が発生したとき(燃料カットフラグがONからOFFに切り換えられたとき)、燃料噴射を再開する。
【0027】
本実施形態(1)では、ECU30は、図3乃至図7に示すように、燃料カット要求が発生したときに、燃料カット開始タイミングをその時点の噴射パターンに応じて変化させ、その後、燃料カット復帰要求が発生したときに、燃料カット復帰タイミングをその時点の噴射パターンに応じて変化させる。
【0028】
以下、本実施形態(1)の燃料カット開始/復帰タイミングの制御例を図3乃至図7を用いて説明する。
図3は、吸気+圧縮行程噴射パターン(図2の▲3▼)で運転しているときの燃料カット開始/復帰タイミングの制御例を示している。図3(a)に示すように、燃料カットフラグがOFFからONに切り換えられて燃料カット要求が発生した時点で、既に吸気行程の噴射が実行されていれば、圧縮行程の噴射セットタイミング前であっても、圧縮行程の噴射をカットせずに実行する。そして、次のサイクルの最初(1回目)の噴射である吸気行程の噴射セット時に、燃料カットを許可して燃料カットを開始する。一方、燃料カット要求が吸気行程の噴射セット前に発生すれば、その吸気行程の噴射セット時に、直ちに燃料カットを許可して燃料カットを開始する。
【0029】
その後、図3(b)に示すように、燃料カットフラグがONからOFFに切り換えられて燃料カット復帰要求が発生した時点で、既に吸気行程の噴射セットタイミングを過ぎていれば、圧縮行程の噴射セットタイミング前であっても、圧縮行程の噴射セット(燃料カット復帰)を行わず、燃料カットを継続する。そして、次のサイクルの最初(1回目)の噴射である吸気行程の噴射セット時に、燃料カット復帰を許可して燃料噴射を再開する。一方、燃料カット復帰要求が吸気行程の噴射セット前に発生すれば、その吸気行程の噴射セット時に、直ちに燃料カット復帰を許可して燃料噴射を再開する。
【0030】
図4は、吸気+膨張行程噴射パターン(図2の▲6▼)で運転しているときの燃料カット開始/復帰タイミングの制御例を示している。図4(a)に示すように、燃料カットフラグがOFFからONに切り換えられて燃料カット要求が発生した時点で、既に吸気行程の噴射が実行されていれば、膨張行程の噴射セットタイミング前であっても、膨張行程の噴射をカットせずに実行する。そして、次のサイクルの最初(1回目)の噴射である吸気行程の噴射セット時に、燃料カットを許可して燃料カットを開始する。一方、燃料カット要求が吸気行程の噴射セット前に発生すれば、その吸気行程の噴射セット時に、直ちに燃料カットを許可して燃料カットを開始する。
【0031】
その後、図4(b)に示すように、燃料カットフラグがONからOFFに切り換えられて燃料カット復帰要求が発生した時点で、既に吸気行程の噴射セットタイミングを過ぎていれば、膨張行程の噴射セットタイミング前であっても、膨張行程の噴射セット(燃料カット復帰)を行わず、燃料カットを継続する。そして、次のサイクルの最初(1回目)の噴射である吸気行程の噴射セット時に、燃料カット復帰を許可して燃料噴射を再開する。一方、燃料カット復帰要求が吸気行程の噴射セット前に発生すれば、その吸気行程の噴射セット時に、直ちに燃料カット復帰を許可して燃料噴射を再開する。
【0032】
以上説明した吸気+膨張行程噴射パターン(図2の▲6▼)の燃料カット開始/復帰タイミングの制御方法は、吸気+排気行程噴射パターン(図2の▲7▼)についても同様である。
【0033】
図5は、圧縮+膨張行程噴射パターン(図2の▲5▼)で運転しているときの燃料カット開始/復帰タイミングの制御例を示している。図5(a)に示すように、燃料カットフラグがOFFからONに切り換えられて燃料カット要求が発生した時点で、既に圧縮行程の噴射が実行されていれば、膨張行程の噴射セットタイミング前であっても、膨張行程の噴射をカットせずに実行する。そして、次のサイクルの最初(1回目)の噴射である圧縮行程の噴射セット時に、燃料カットを許可して燃料カットを開始する。一方、燃料カット要求が圧縮行程の噴射セット前に発生すれば、その圧縮行程の噴射セット時に、直ちに燃料カットを許可して燃料カットを開始する。
【0034】
その後、図5(b)に示すように、燃料カットフラグがONからOFFに切り換えられて燃料カット復帰要求が発生した時点で、既に圧縮行程の噴射セットタイミングを過ぎていれば、膨張行程の噴射セットタイミング前であっても、膨張行程の噴射セット(燃料カット復帰)を行わず、燃料カットを継続する。そして、次のサイクルの最初(1回目)の噴射である圧縮行程の噴射セット時に、燃料カット復帰を許可して燃料噴射を再開する。一方、燃料カット復帰要求が圧縮行程の噴射セット前に発生すれば、その圧縮行程の噴射セット時に、直ちに燃料カット復帰を許可して燃料噴射を再開する。
【0035】
以上説明した圧縮+膨張行程噴射パターン(図2の▲5▼)の燃料カット開始/復帰タイミングの制御方法は、圧縮+排気行程噴射パターン(図2の▲8▼)についても同様である。
【0036】
図6は、吸気行程で燃料を2回に分割して噴射する吸気行程分割噴射パターン(図2の▲4▼)で運転しているときの燃料カット開始/復帰タイミングの制御例を示している。図6(a)に示すように、燃料カットフラグがOFFからONに切り換えられて燃料カット要求が発生した時点で、既に吸気行程の1回目の噴射が実行されていれば、2回目の噴射セットタイミング前であっても、2回目の噴射をカットせずに実行する。そして、次のサイクルの吸気行程の1回目の噴射セット時に、燃料カットを許可して燃料カットを開始する。一方、燃料カット要求が吸気行程の1回目の噴射セット前に発生すれば、その1回目の噴射セット時に、直ちに燃料カットを許可して燃料カットを開始する。
【0037】
その後、図6(b)に示すように、燃料カットフラグがONからOFFに切り換えられて燃料カット復帰要求が発生した時点で、既に吸気行程の1回目の噴射セットタイミングを過ぎていれば、2回目の噴射セットタイミング前であっても、2回目の噴射セット(燃料カット復帰)を行わず、燃料カットを継続する。そして、次のサイクルの吸気行程の1回目の噴射セット時に、燃料カット復帰を許可して燃料噴射を再開する。一方、燃料カット復帰要求が吸気行程の1回目の噴射セット前に発生すれば、その1回目の噴射セット時に、直ちに燃料カット復帰を許可して燃料噴射を再開する。
【0038】
以上説明した燃料カット開始/復帰タイミングの制御は、ECU30により図7に示す燃料カット制御ルーチンに従って実行される。本ルーチンは、エンジン運転中に例えば噴射セットタイミングに同期して起動され、特許請求の範囲でいう燃料カット手段及び燃料カット復帰手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まずステップ101で、燃料カットフラグがON(燃料カット要求有り)であるか否かを判定し、燃料カットフラグがONであれば、ステップ102に進み、既に燃料カットが開始されているか否かを判定し、既に燃料カットが開始されていれば、そのまま燃料カットを継続する(ステップ109)。
【0039】
これに対して、上記ステップ102で、まだ燃料カットが開始されていないと判定されれば、ステップ103に進み、1サイクル中の噴射回数が複数回であるか否か(噴射パターンが図2の▲3▼〜▲8▼のいずれかであるか否か)を判定し、1サイクル中の噴射回数が1回のみ(噴射パターンが図2の▲1▼又は▲2▼)であれば、ステップ109に進み、直ちに燃料カットを開始する。
【0040】
上記ステップ103で、1サイクル中の噴射回数が複数回であると判定されれば、ステップ104に進み、現在の時刻が1回目の噴射セット後であるか否かを判定し、1回目の噴射セット後であれば、ステップ105に進み、燃料カットを禁止し、2回目の噴射をカットせずに実行する。この場合は、次のサイクルで本ルーチンが最初に起動されたときに、ステップ101→102→103→104へと進み、このステップ104で、「No」と判定されて、ステップ109に進み、1回目の噴射から燃料カットが開始される。
【0041】
このように、本ルーチンでは、燃料カットフラグがOFFからONに切り換えられて燃料カット要求が発生した時点で、既に1回目の噴射が実行されていれば、2回目の噴射セットタイミング前であっても、2回目の噴射をカットせずに実行した後、次のサイクルの1回目の噴射セット時に、燃料カットを許可して燃料カットを開始する(ステップ101〜105、109)。
【0042】
一方、ステップ101で、燃料カットフラグがOFF(燃料カット要求無し)と判定されれば、ステップ106に進み、既に燃料噴射が開始されているか否か(燃料カット中でないか否か)を判定し、既に燃料噴射が開始されていれば、そのまま燃料噴射を継続する(ステップ110)。
【0043】
上記ステップ106で、まだ燃料噴射が開始されていない(燃料カット中である)と判定されれば、ステップ107に進み、1サイクル中の噴射回数が複数回であるか否か(噴射パターンが図2の▲3▼〜▲8▼のいずれかであるか否か)を判定して、1サイクル中の噴射回数が1回のみ(噴射パターンが図2の▲1▼又は▲2▼)であれば、ステップ110に進み、直ちに燃料噴射を再開する(燃料カットから復帰する)。
【0044】
一方、上記ステップ107で、1サイクル中の噴射回数が複数回であると判定されれば、ステップ108に進み、現在の時刻が1回目の噴射セットタイミング後であるか否かを判定し、1回目の噴射セットタイミング後であれば、ステップ109に進み、燃料カット復帰を禁止し、燃料カットを継続する。この場合は、次のサイクルで本ルーチンが最初に起動されたときに、ステップ101→106→107→108へと進み、このステップ108で、「No」と判定されて、ステップ110に進み、1回目の噴射から燃料噴射を再開する(燃料カットから復帰する)。
【0045】
このように、本ルーチンでは、燃料カットフラグがONからOFFに切り換えられて燃料カット復帰要求が発生した時点で、既に1回目の噴射セットタイミングを過ぎていれば、2回目の噴射セットタイミング前であっても、2回目の噴射セット(燃料カット復帰)を行わず、燃料カットを継続した後、次のサイクルの1回目の噴射セット時に、燃料カット復帰を許可して燃料噴射を再開する(ステップ101、106〜110)。
【0046】
以上説明した本実施形態(1)によれば、1サイクル中の2回目の噴射セットタイミングからの燃料カット開始/復帰を禁止し、1回目の噴射セットタイミングからのみ燃料カット開始/復帰を許可するようにしたので、エンジン運転中に燃料カット要求や燃料カット復帰要求がどの様なタイミングで発生しても、常に実際の燃料カット開始タイミングや燃料カット復帰タイミングを最適なタイミングである1回目の噴射セットタイミングに設定することができて、燃料カットによるドライバビリティ悪化や排気エミッション悪化の問題を解決することができる。
【0047】
尚、本実施形態(1)では、1サイクル中の噴射回数を2回としたが、これを3回以上としても良く、また、図2の▲3▼〜▲8▼のうちの一部の噴射パターンについてのみ、本実施形態(1)の燃料カット開始/復帰制御を適用するようにしても良い。
【0048】
[実施形態(2)]
上記実施形態(1)では、1サイクル中の2回目の噴射セットタイミングからの燃料カット復帰を禁止し、1回目の噴射セットタイミングからのみ燃料カット復帰を許可するようにしたが、図8乃至図10に示す本発明の実施形態(2)では、1サイクル中の噴射回数が複数回(例えば2回)の噴射パターンに設定されているときは、1サイクル中の2回目以降の燃料噴射タイミングから燃料カット復帰要求が発生した場合に、当該サイクル内の燃料カットされた噴射回数分の噴射量を当該サイクル内の残りの噴射量に加算して燃料噴射を再開するようにしている。
【0049】
以下、本実施形態(2)の燃料カット復帰時の制御例を図8及び図9を用いて説明する。
【0050】
図8は、吸気行程分割噴射パターン(図2の▲4▼)で運転しているときの燃料カット復帰時の制御例を示している。燃料カットフラグがONからOFFに切り換えられて燃料カット復帰要求が発生した時点で、既に吸気行程の1回目の噴射セットタイミングを過ぎていても、2回目の噴射セットタイミング前であれば、カットされた1回目の噴射量を2回目の噴射量に加算して、その合計噴射量を2回目の噴射量としてセットし、2回目の噴射から燃料噴射を再開する(燃料カットから復帰する)。これにより、1サイクル中の2回目の噴射から燃料噴射を再開する場合でも、1サイクル分の要求噴射量に相当する噴射量を筒内に噴射することができる。
【0051】
図9は、吸気+圧縮行程噴射パターン(図2の▲3▼)で運転しているときの燃料カット復帰時の制御例を示している。燃料カットフラグがONからOFFに切り換えられて燃料カット復帰要求が発生した時点で、既に吸気行程の噴射セットタイミングを過ぎていても、圧縮行程の噴射セットタイミング前であれば、カットされた吸気行程の噴射量を圧縮行程の噴射量に加算して、その合計噴射量を圧縮行程の噴射量としてセットし、圧縮行程の噴射から燃料噴射を再開する(燃料カットから復帰する)。これにより、1サイクル中の2回目の噴射である圧縮行程の噴射から燃料噴射を再開する場合でも、1サイクル分の要求噴射量に相当する噴射量を筒内に噴射することができる。
【0052】
以上説明した本実施形態(2)の燃料カット復帰制御は、図10に示す燃料カット制御ルーチンに従って実行される。本ルーチンは、前記実施形態(1)の図7のステップ108以降の処理が異なるだけであり、それ以外の各ステップの処理は、前記実施形態(1)と同じである。但し、膨張行程や排気行程で後噴射する噴射パターン(図2の▲5▼〜▲8▼)については、本実施形態(2)の燃料カット復帰制御は適用されず、前記実施形態(1)の燃料カット復帰制御が適用される。
【0053】
1サイクル中の噴射回数が複数回(噴射パターンが図2の▲3▼又は▲4▼)で運転しているときに、燃料カットフラグがONからOFFに切り換えられて燃料カット復帰要求が発生すると、図10のステップ101→106→107→108へと進み、現在の時刻が1回目の噴射セットタイミング後であるか否かを判定し、1回目の噴射セットタイミング後であれば、ステップ111に進み、カットされた1回目の噴射量を2回目の噴射量に加算して、その合計噴射量を2回目の噴射量としてセットした後、ステップ110に進み、2回目の噴射から燃料噴射を再開する(燃料カットから復帰する)。
【0054】
以上説明した本実施形態(2)によれば、1サイクル中の2回目の噴射から燃料噴射を再開する場合でも、1サイクル分の要求噴射量に相当する噴射量を筒内に噴射することができて、燃料カット復帰の応答性を高めながら、燃料カット復帰時のサイクルの実噴射量を1サイクル分の要求噴射量に一致させることができ、サイクル途中からの燃料カット復帰によるドライバビリティ悪化や排気エミッション悪化の問題を解決することができる。
【0055】
尚、本実施形態(2)では、1サイクル中の噴射回数を2回としたが、1サイクル中の噴射回数が3回以上の噴射パターンに対しても、本実施形態(2)の燃料カット復帰時の制御を適用することができる。
【0056】
例えば、1サイクル中の噴射回数が3回となる噴射パターンに対して本実施形態(2)の燃料カット復帰時の制御を適用する場合は、1サイクル中の2回目の噴射から燃料噴射を再開するときは、カットされた1回目の噴射量を2回目の噴射量に加算するようにしても良いが、カットされた1回目の噴射量を2分割又は所定の比率で分割して2回目と3回目の噴射量に加算するようにしても良い。この場合、1サイクル中の2回目の噴射から燃料噴射を再開することのみを許容し、3回目の噴射から燃料噴射を再開することを禁止するようにしても良い。勿論、3回目の噴射のみで1サイクル分の要求噴射量に相当する噴射量を噴射する余裕がある場合は、3回目の噴射から燃料噴射を再開するようにしても良く、この場合は、カットされた1回目と2回目の合計噴射量を3回目の噴射量に加算すれば良い。1サイクル中の噴射回数が4回以上の噴射パターンに対しても、同様に制御すれば良い。
【0057】
[実施形態(3)]
上記実施形態(2)では、1サイクル中の2回目以降の燃料噴射タイミングから燃料カット復帰要求が発生した場合に、当該サイクル内の燃料カットされた噴射回数分の噴射量を当該サイクル内の残りの噴射量に加算して燃料噴射を再開するようにしているが、2回目以降の噴射動作で噴射可能な燃料量には限界があり、また、2回目以降の噴射量が多くなり過ぎると、噴射燃料の霧化状態が悪くなって燃焼状態が悪化する懸念がある。
【0058】
そこで、図11乃至図12に示す本発明の実施形態(3)では、1サイクル中の2回目以降の燃料噴射タイミングから燃料カット復帰要求が発生した場合に、当該サイクル内の燃料カットされた噴射回数分の噴射量をそれ以降の噴射量に加算した合計噴射量が所定値以上(最大許容噴射量以上)であれば、当該サイクル途中からの燃料カット復帰を禁止するようにしている。
【0059】
以下、本実施形態(3)の燃料カット復帰時の制御例を図11を用いて説明する。
図11は、吸気+圧縮行程噴射パターン(図2の▲3▼)で運転しているときの燃料カット復帰時の制御例を示している。燃料カットフラグがONからOFFに切り換えられて燃料カット復帰要求が発生した時点で、既に吸気行程の噴射セットタイミングを過ぎていても、圧縮行程の噴射セットタイミング前であれば、カットされた吸気行程の噴射量を圧縮行程の噴射量に加算して、その合計噴射量が所定値以下(圧縮行程の最大許容噴射量以下)であるか否かを判定する。その結果、合計噴射量が所定値以下であると判定されれば、図11(a)に示すように、合計噴射量を圧縮行程の噴射量としてセットし、圧縮行程の噴射から燃料噴射を再開する。
【0060】
これに対して、合計噴射量が所定値よりも多いと判定された場合は、圧縮行程の噴射セット(燃料カット復帰)を行わず、燃料カットを継続し、次のサイクルの1回目の噴射である吸気行程の噴射セット時に、燃料カット復帰を許可して燃料噴射を再開する。
【0061】
以上説明した本実施形態(3)の燃料カット復帰制御は、図12に示す燃料カット制御ルーチンに従って実行される。本ルーチンは、前記実施形態(2)の図10のステップ111以降の処理が異なるだけであり、それ以外の各ステップの処理は、前記実施形態(1),(2)と同じである。但し、膨張行程や排気行程で後噴射する噴射パターン(図2の▲5▼〜▲8▼)については、本実施形態(3)の燃料カット復帰制御は適用されず、前記実施形態(1)の燃料カット復帰制御が適用される。
【0062】
1サイクル中の噴射回数が複数回(噴射パターンが図2の▲3▼又は▲4▼)で運転しているときに、燃料カットフラグがONからOFFに切り換えられて燃料カット復帰要求が発生すると、図12のステップ101→106→107→108へと進み、現在の時刻が1回目の噴射セットタイミング後であるか否かを判定し、1回目の噴射セットタイミング後であれば、ステップ111に進み、カットされた1回目の噴射量を2回目の噴射量に加算して2回目の合計噴射量を求める。この後、ステップ112に進み、2回目の合計噴射量が所定値以下(最大許容噴射量以下)であるか否かを判定する。その結果、2回目の合計噴射量が所定値以下であると判定されれば、ステップ110に進み、上記ステップ111で算出した合計噴射量を2回目の噴射量としてセットし、2回目の噴射から燃料噴射を再開する。
【0063】
これに対して、上記ステップ112で、2回目の合計噴射量が所定値よりも多いと判定された場合は、2回目の噴射セット(燃料カット復帰)を行わず、ステップ109に進み、燃料カットを継続する。この場合は、次のサイクルの1回目の噴射セット時に、燃料カット復帰を許可して1回目の噴射から燃料噴射を再開する。
【0064】
以上説明した本実施形態(3)では、燃料カットされた1回目の噴射量を2回目の噴射量に加算した合計噴射量が所定値以下(最大許容噴射量以下)であれば、前記実施形態(2)と同じように、その合計噴射量を2回目の噴射量としてセットして、2回目の噴射から燃料噴射を再開するので、燃料カット復帰の応答性を高めながら、燃料カット復帰時の実噴射量を要求噴射量に一致させることができる。一方、合計噴射量が所定値(最大許容噴射量)を越えるような場合は、2回目の噴射からの燃料カット復帰を禁止し、次のサイクルまで燃料カット復帰を待つようにしたので、燃焼状態悪化や排気エミッション悪化の問題を解決することができる。
【0065】
尚、ステップ112で合計噴射量と比較する所定値(最大許容噴射量)は、予め設定した固定値としても良いが、これをエンジン運転状態に応じてマップ等により設定するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態(1)におけるエンジン制御システム全体の概略構成図
【図2】噴射パターンの種類を説明する図
【図3】実施形態(1)の吸気+圧縮行程噴射パターンでの燃料カット開始/復帰タイミングの制御例を示すタイムチャート
【図4】実施形態(1)の吸気+膨張行程噴射パターンでの燃料カット開始/復帰タイミングの制御例を示すタイムチャート
【図5】実施形態(1)の圧縮+膨張行程噴射パターンでの燃料カット開始/復帰タイミングの制御例を示すタイムチャート
【図6】実施形態(1)の吸気行程分割噴射パターンでの燃料カット開始/復帰タイミングの制御例を示すタイムチャート
【図7】実施形態(1)の燃料カット制御ルーチンの処理の流れを示すフローチャート
【図8】実施形態(2)の吸気行程分割噴射パターンでの燃料カット復帰時の制御例を示すタイムチャート
【図9】実施形態(2)の吸気+圧縮行程噴射パターンでの燃料カット復帰時の制御例を示すタイムチャート
【図10】実施形態(2)の燃料カット制御ルーチンの処理の流れを示すフローチャート
【図11】実施形態(3)の吸気+圧縮行程噴射パターンでの燃料カット復帰時の制御例を示すタイムチャート
【図12】実施形態(3)の燃料カット制御ルーチンの処理の流れを示すフローチャート
【符号の説明】
11…筒内噴射式エンジン(筒内噴射式内燃機関)、12…吸気管、16…スロットルバルブ、21…燃料噴射弁、22…点火プラグ、25…排気管、30…ECU(燃料カット手段,燃料カット復帰手段,噴射パターン設定手段)。

Claims (7)

  1. 燃料を筒内に噴射する燃料噴射弁を備え、その燃料噴射弁の燃料噴射量及び燃料噴射時期を制御する筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    内燃機関の運転中に所定の燃料カット要求が発生したときに燃料カットを実行する燃料カット手段と、
    燃料を噴射する行程及び/又は1サイクル中の噴射回数が異なる複数の噴射パターンの中から内燃機関の運転状態に応じた噴射パターンを設定する噴射パターン設定手段とを備え、
    前記燃料カット手段は、燃料カットを開始するタイミングを前記噴射パターン設定手段により設定された噴射パターンに応じて変化させることを特徴とする筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置。
  2. 前記燃料カットの実行中に所定の燃料カット復帰要求が発生したときに燃料噴射を再開する燃料カット復帰手段を備え、
    前記燃料カット復帰手段は、燃料噴射を再開するタイミングを前記噴射パターン設定手段により設定された噴射パターンに応じて変化させることを特徴とする請求項1に記載の筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置。
  3. 燃料を筒内に噴射する燃料噴射弁を備え、その燃料噴射弁の燃料噴射量及び燃料噴射時期を制御する筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    内燃機関の運転中に所定の燃料カット要求が発生したときに燃料カットを実行する燃料カット手段と、
    前記燃料カットの実行中に所定の燃料カット復帰要求が発生したときに燃料噴射を再開する燃料カット復帰手段と、
    燃料を噴射する行程及び/又は1サイクル中の噴射回数が異なる複数の噴射パターンの中から内燃機関の運転状態に応じた噴射パターンを設定する噴射パターン設定手段とを備え、
    前記燃料カット復帰手段は、燃料噴射を再開するタイミングを前記噴射パターン設定手段により設定された噴射パターンに応じて変化させることを特徴とする筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置。
  4. 前記燃料カット手段は、1サイクル中の噴射回数が2回以上の噴射パターンに設定されているときは、1サイクル中の2回目以降の燃料噴射タイミングから燃料カットを開始することを禁止し、1回目の燃料噴射タイミングからのみ燃料カットを許可することを特徴とする請求項1又は2に記載の筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置。
  5. 前記燃料カット復帰手段は、1サイクル中の噴射回数が2回以上の噴射パターンに設定されているときは、1サイクル中の2回目以降の燃料噴射タイミングから燃料カットを復帰することを禁止し、1回目の燃料噴射タイミングからのみ燃料カット復帰を許可することを特徴とする請求項2又は3に記載の筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置。
  6. 前記燃料カット復帰手段は、1サイクル中の噴射回数が2回以上の噴射パターンに設定されているときは、1サイクル中の2回目以降の燃料噴射タイミングから燃料カット復帰要求が発生した場合に、当該サイクル内の燃料カットされた噴射回数分の噴射量を当該サイクル内の残りの噴射量に加算して燃料噴射を再開することを特徴とする請求項2又は3に記載の筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置。
  7. 前記燃料カット復帰手段は、1サイクル中の噴射回数が2回以上の噴射パターンに設定されているときは、1サイクル中の2回目以降の燃料噴射タイミングから燃料カット復帰要求が発生した場合に、当該サイクル内の燃料カットされた噴射回数分の噴射量をそれ以降の噴射量に加算した合計噴射量が所定値以上であれば、当該サイクル途中からの燃料カット復帰を禁止することを特徴とする請求項6に記載の筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置。
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