JP2004132091A - 継手構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】セグメント1には、接合面1aの内側に窪ませて受け穴1bを設け、その底部中心に軸状の雄型継手3を固設し、受け穴1bに弾性部材5を介して挿着される外形を備え、内部にリング継手4よりなる雌型継手を設けた継手ユニット2をそれぞれのセグメント1の間に介して、継手を係合し、継手ユニット2には、係合時に厚さ方向が対向する受け穴1bの両方の内部に収納される板状部2bとそこから両端へ延設された円筒部2cを設けて外荷重を効率的に負担するように構成された手段を用いる。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、雌雄継手による継手構造、特に自動結合が容易となり、とりわけトンネルのセグメントブロックの接合に好適な継手構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、トンネル施工において、鋼、鉄筋コンクリートなどで製作されたセグメントを円筒状に接合して覆工を形成することが行われている。図6はその組立の様子の概要を示すものである。
【0003】
符号31はセグメントであり、円周方向に隣接させられるとともに、既設のセグメント31の接合面31aに矢印方向から接合されて接合方向に延ばされ、セグメントリング30を形成する。
【0004】
このような接合面31aにおける接合方式には、例えば、特許文献1に記載されているように、接合面同士をボルト・ナットで締結する方式、接合面に穴を設けピン部材を嵌合させて接着により固定する方式があった。また、特許文献2に記載されているように、三角錐状のガイドピンを同じく三角錐状の穴に密着させて嵌合させる方式があった。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−238789号公報(第2−4頁、図1−4、図9)
【特許文献2】
特開平10−169380号公報(第2−4頁、図1−2)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの従来の継手構造には、以下の問題があった。
特許文献1に記載のボルト・ナット締結では、セグメントを対向させて支持した状態でトンネル内側から締結を行うため、非常に手間のかかる作業になるという問題があった。
また特許文献1、2に記載のピン部材を用いる方式は、いずれの方式も、ピン部材を密着するように嵌合させるため、ピン部材と嵌合穴の間に高精度の位置精度が必要になるので、セグメントの製作コストが高くつき、接合作業時の位置合わせにも手間がかかって作業性が悪いという問題があった。また、ピン部材は一方のセグメントに嵌合されると固定されるので、他方のセグメントを押し込む際、わずかでも位置がずれるだけで、互いを損傷してしまうという問題があった。
また、従来の継手構造は、樹脂化に適していなかったので、樹脂化して低コストで製作することができないという問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、接合の作業性が向上され、低コストでの製作が可能となる継手構造を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、互いに接合される一対の被接合部材をそれぞれの接合面で対向させて接合するための継手構造であって、前記被接合部材が、前記それぞれの接合面を窪ませて形成した受け穴と、該受け穴の底部中心に固設された一方の継手とを備え、前記被接合部材の相互間に、前記それぞれの受け穴に挿着可能とされた2つの挿着部と、該挿着部のそれぞれの中心に設けられ前記一方の継手と係合する他方の継手とを備える継手ユニットを介して、前記被接合部材同士が接合された構成を用いる。
そのため、それぞれの被接合部材の接合面には、受け穴と一方の継手が設けられ、他方の継手は継手ユニットに設けるので、継手種類による方向性のない被接合部材とすることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の継手構造において、前記継手ユニットが、接合時に接合面方向の移動が規制されるべく、厚さ方向に前記対向する受け穴の両方の内部にわたって収納されるとともに、前記受け穴の接合面の内周に近接するように、接合面方向に延在されて設けられた板状部と、該板状部から接合方向に延設された軸方向支持体とを備えてなる構成を用いる。
そのため、板状部によって接合面方向のせん断力を担荷し、前記軸方向支持体によって接合方向の軸力を担荷することが可能となる。
また接合面方向に板状部が近接して設けられているので、接合面にずれが生じても、板状部で支持されてずれが止まる。
【0010】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の継手構造において、弾性部材を介して、前記挿着部と前記受け穴が係合されるよう構成され、前記継手ユニットが前記受け穴に対して浮動的に支持された構成を用いる。
そのため、継手の係合時に接合面方向に継手ユニットが芯ずれしても、継手ユニットは、外力が加われば弾性部材の変形範囲で位置や姿勢が変えられるように浮動的に支持されているから、芯ずれを吸収することができる。
【0011】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜3のいずれかに記載の継手構造において、前記継手ユニットが、合成樹脂からなり、前記挿着部が、複数のフィンにより構成されてなるものを用いる。
そのため、樹脂成形により複雑な構造の継手を製作することができ、挿着部にフィン構造を採用することにより材料の使用量を減らすことが可能となる。
【0012】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜4のいずれかに記載の継手構造において、前記一方の継手が、軸状部材に係合突条が設けられた雄型継手からなり、前記他方の継手が、前記係合突条に係合して接合方向に抜け止めされるとともに、前記軸状部材の軸径方向に弾性力が付勢される爪状部材を備える雌型継手からなる構成を用いる。
そのため、被接合部材に設ける一方の継手は軸状部材からなる単純な構造とされ、より複雑な、弾性力を付勢する爪状部材は、継手ユニットに設けられる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。なおすべての図面を通して、同一または相当する部材は、同一の符号を付している。
図1は、本発明に係る継手構造の実施の形態の一例を示す斜視図である。本発明では、セグメント1…(被接合部材)の接合面1a…に所定間隔を明けて受け穴1b…がその内部に不図示の雄型継手(一方の継手)が設けられている。接合を行うセグメント1同士は、それぞれの受け穴1b…を対向させ、その間に、両端に雌型継手(他方の継手)が配されている継手ユニット2…が介され、接合が行われるものである。
【0014】
図2に示したのは、継手ユニット2の近傍の断面図である。
セグメント1、1は、例えば鉄筋コンクリートなどで形成され、それぞれ互いに対向する位置に受け穴1bが設けられている。受け穴1bは、接合面1a側により大きな径を備え、その中心軸が接合面1aの法線とされて接合面1aに窪まされて設けられた円錐台状の穴である。受け穴1b内部には、その底部から接合面1aに向けて、接合面1aの法線方向に、大略円柱軸状の雄型継手3が延ばされている。雄型継手3の先端の外周には、接合面1a側にテーパを備え、その反対側に接合面1aと平行な端面が備えられて、外周方向に突出された係合突条3aが設けられている。
【0015】
雄型継手3は、所定の引抜強度を備えるならば、どのように固定してもよい。例えば、突起などの抜け止め形状を備えた端部をセグメント1に埋め込んで一体化させて取り付けてもよいし、端部にねじを形成してセグメント1にねじ締結してもよいし、端部で取付ボルトを介して締結してもよく、あるいは、溶接などによって固定してもよい。
【0016】
継手ユニット2は、例えば、軸方向に2つ割りされたハウジング2aを組み合わせて、その内部に、雄型継手3、3に係合可能な雌型継手とされたリング継手4、4を納め、外周部に、ハウジング2a、2aを受け穴1b内で浮動的に挿着するための弾性部材5を備えたものである。ハウジング2a、2aの外形は、受け穴1bの内面よりわずかに小さい同心の円錐台状の形状を両端に備えたもので、受け穴1bに両端方向から容易に挿着可能とされている。図2に示した挿着状態で、弾性部材5が弾性変形した状態で、受け穴1bの内壁に当接するような寸法関係とされている。
【0017】
次に図3を参照して、ハウジング2aの詳細構成を説明する。図3(a)、(b)に示したのは、それぞれ、継手ユニット2からリング継手4、4を取り去った状態の軸方向断面図、その側面視部分断面図である。
ハウジング2aの構造は、大きくは、その軸方向中央に半円板状の板状部2bを備え、板状部2bから軸方向両端に向かって、2分割された円筒状の形状をなす円筒部2c(軸方向支持体)が延設されてなるものである。
【0018】
板状部2bは、セグメント1に係合時には、厚さ方向が受け穴1b、1bの内部にわたって収納されて接合面方向の移動が規制される位置にあり、受け穴1bの内面に近接する大きさを備えているものである。
【0019】
板状部2bは、地震その他の外力によりセグメント1同士が接合面1a内でずれた場合に、そのずれが広がることを食い止められるように設けるものである。したがって、それぞれのセグメント1へわたる厚さ方向の幅と全体の厚さは、互いにずれる受け穴1bの内面で押圧されて板状部2bがせん断力を受けるとき、所定荷重内で破壊したり座屈したりしないように適宜選定しておく。
【0020】
また、板状部2bと受け穴1bとの隙間は、接合面1aの許容ずれ量の大きさから決められる。通常の接合状態では微量しかずれないので、この場合の許容ずれ量は事故などの異常事態の安全を考慮して設定するものである。しかしあまり離れていると、ずれたときの衝撃荷重が大きくなるから、なるべく近接するように設定して、板状部2bをなるべく薄く設計できるようにすることが好ましい。
【0021】
また、円筒部2cには、そこから軸径方向外部に向けて受け穴1bの内面にほぼ合わせた形状となるようにテーパ状の挿着部2d、2dがそれぞれ設けられ、挿着部2d、2d上に弾性部材5を係止するための凹溝2h、2hが外周方向にわたって設けられている。また、円筒部2cの内部には、リング継手4を支持するための円筒部2cと同心に設けられた凹溝からなる保持溝2g、2gが板状部2bに対して対称に設けられている。なお、円筒部2cの長さは、受け穴1bの深さの2倍よりわずかに短く設定されている。
【0022】
また、ハウジング2a同士を係合するために、それぞれの合わせ面に互いに嵌合可能とされた係止穴2e、係止ピン2fが設けられている。
【0023】
次に図4を参照して、リング継手4の詳細構成を説明する。図4(a)、(b)、(c)は、それぞれ、接合面方向視の平面図、軸方向断面図、受け穴1bの底部方向視の平面図である。
リング継手4は、ハウジング2aの保持溝2gに嵌合可能とされた円筒部4aと、ハウジング2aに納められたとき受け穴1bの底部に向けられる側の円筒部4a端部から、スリット4e…を隔てて周方向に6分割されて斜め内側に延ばされた係止爪部4b…(爪状部材)とを、備えている。
【0024】
係止爪部4b…の先端は、軸径方向内側に円弧面4c…が、軸方向に係止平面4d…が、それぞれ形成されている。円弧面4c…は、部材単独状態では、雄型継手3の軸径よりわずかに大きい径の円周上に整列している。係止爪部4b…は、その板厚や円筒部4aと接続する部分の形状を適切に設定することにより、軸径方向に適度の弾性が備えられるように構成され、円弧面4c…に内側方向から外力を受けるとき、軸径方向外側に撓んで、軸径方向内側には反力として弾性力を付勢するものである。
【0025】
また、係止爪部4b…の先端の軸方向には、係止平面4dが形成され、軸方向に受けた面圧を係止爪部4b…に伝達する構成とされている。
【0026】
以上に説明した構成では、種々の材質を採用することができる。例えば、ハウジング2a、リング継手4、雄型継手3は、いずれも、金属や合成樹脂などを採用することができる。弾性部材5は、弾性的性質を備える部材ならどのようなものでもよく、例えば、エラストマーなどの合成樹脂や合成ゴムのソリッド材または発泡材や、金属や合成樹脂で製作した板ばねなどを用いることができる。
【0027】
特に効果的な組み合わせは、引張強度が大きいために比較的小径に構成できる、例えば軟鋼などの金属によって雄型継手3を形成し、複雑な形状を一体成形できる合成樹脂でハウジング2a、リング継手4を形成する組み合わせである。
【0028】
次に、上記に説明した本発明に係る継手構造の作用を説明する。
まず、継手ユニット2の組立は、次のように行う。ハウジング2aの一方に備えられた保持溝2g、2gに、それぞれリング係止爪部4bの先端が板状部2b側に向くような姿勢でリング継手4を嵌合する。そして、他方のハウジング2aをそれぞれ係止穴2eと係止ピン2fが嵌合するように対向させて嵌め合わせる。さらに、その外周に弾性部材5を配置する。
【0029】
このとき、弾性部材5を合成ゴムによってバンド状に構成し、弾性部材5、5をハウジング2a、2aの外周の凹溝2h、2hに巻き掛けるようにして配置し、そのゴム弾性によってハウジング2a同士の固定を兼ねるようにすると、組付性がよい。
【0030】
次に、セグメント1と継手ユニット2の係合について説明する。
本発明に係る継手ユニット2は、中心軸に対して軸対称で、両端方向に対しても面対称だから、組み付けの方向性がない。そこで、係合に関しては、継手ユニット2のいずれかの端部を、受け穴1bに合わせて受け穴1bの奥側に押し込んでいくことにより行う。
【0031】
受け穴1bは接合面1a側に、より大きな径を備えるから、その大きさに応じて、継手ユニット2の芯ずれなどの配置誤差を吸収して、受け穴1b内に挿入することができる。そのまま押し込んでいくと、継手ユニット2の内部に雄型継手3が侵入する状態となる。そして雄型継手3の先端の係合突条3aと係止爪部4b…の内側面が接触して、軸径方向に力を及ぼしあう結果、それぞれの芯ずれが次第に矯正されながら、継手ユニット2が受け穴1bの中央に案内されていく。
【0032】
さらに継手ユニット2の押し込みを続けると、係合突条3aの外径が円弧面4c…の部材単独状態の内径より大きいために、係合突条3aによって係止爪部4b…が軸径方向外側に押し広げられる。係止爪部4b…が係合突条3aを乗り越えると、雄型継手3の径は小さくなるので、係止爪部4b…の弾性復元力が働き、係止爪部4b…がその円弧面4c…が雄型継手3の軸表面に近接する位置に戻る。そして係合突条3aと係止平面4dが当接することにより、押し込み方向とは逆方向には係止状態となる。
【0033】
また、板状部2bは、係合時にはその厚さの範囲内で受け穴1bの内側に入り込むが、上記の押し込みの過程では大部分の間、受け穴1bの内面と離れているから、係合時に受け穴1bの内面と近接する程度の大きさであっても、押し込みの支障とはならない。板状部2bが受け穴1bの内面と近接する押し込みの最終段階では、すでに継手ユニット2は受け穴1bの中心軸にほぼ案内されているので、同様に押し込みの支障とならないものである。
【0034】
またこのとき、継手ユニット2の端部は受け穴1bの底部にわずかの余裕を残して近接する状態となるとともに、弾性部材5が受け穴1bの内面に当接して、弾性変形している状態となる。
【0035】
このようにして、継手ユニット2のセグメント1への係合が完了する。この状態では、リング継手4が雄型継手3と引き抜き方向に係合されているため、継手ユニット2を引き抜くことはできない。また、接合面方向には、挿着部2dと受け穴1bの間に弾性部材5が介在して弾性支持されているので、継手ユニット2はセグメント1に対して浮動的に支持されているものである。したがって継手ユニット2に接合面方向に外力が加えられた場合、弾性部材5の弾性変形の範囲で移動することが可能となっている。このとき、雄型継手3と係止爪部4aは接合面方向には隙間を備えるとともに、係止爪部4aは軸径方向に弾性変形可能だから、上記の移動を拘束するものではない。
【0036】
上記のようにして継手ユニット2が係合されたセグメント1に、別のセグメント1の接合面1aを対向させ、いずれかのセグメント1を受け穴1bと継手ユニット2を合わせながら押し込めば、上記と同じ過程をたどってそれぞれの係合が行われ、結果として、セグメント1同士の接合が行われる。
【0037】
このとき、受け穴1bが接合面1a側でより大きな径で開口していること、相手方の継手ユニット2が相手方のセグメント1に対して浮動的に支持されていること、によって、それぞれの係合には、ある程度の位置誤差が許容され、押し込みつづけることによって、上記に説明したように、自動的に芯合わせが行われるから、比較的多数の継手同士の接合であっても、きわめて円滑に接合でき、作業性が向上される利点がある。
【0038】
この点は、手動作業において優れた利点となることは言うまでもないが、接合作業を自動機によって自動的に行う場合にも、高精度の位置決めが不要となり、特殊な自動機を要することなく作業が行えるので、きわめて好都合である。
【0039】
次に、接合完了後の作用を図2、3を参照して説明する。
本発明に係る継手ユニット2は、剛体とみなし得るセグメント1に埋め込まれているので、地震その他の外力がセグメント1に作用し、そのセグメント1との接触を通して受ける外力は、主に、セグメント1、1がずれを起こす際に生じる接合面方向のせん断力と、セグメント1、1が離間しようとする際に生じる引張力とに分けて考えることができる。
【0040】
まず、せん断力は、板状部2bを設けることで主に担荷するようにした。この場合、板状部2bは、できるだけ受け穴1bの接合面1aの開口径に近い大きさとするのがよく、弾性部材5による支持位置は、接合面1aに近いほど効率よく担荷することができる。
【0041】
引張力は、係合突条3a、係止爪部4bを介して円筒部2cに伝達される。雄型継手3に対して係止爪部4bの傾斜を比較的浅くしているので、係止爪部4bにかかる圧縮力による弾性変形を抑制することが可能となっている。また円筒部2cを、雄型継手3を取り巻くように設けることによって、荷重を受ける断面面積を比較的大きく取ることが可能となっている。さらに、挿着部2dを加えることによってより担荷面積が増されるようにしている。
【0042】
本発明では上記のように、構成を工夫することにより、主要な荷重成分に効率的な部材配置を行うことができるようになった。そのため、材料の使用量を減らすことができるとともに、特に、樹脂成形によって製作するのに好都合な形状とすることができるという利点が生じることになった。
【0043】
また、板状部2bが受け穴1bの内面に近接する大きさの円板とされているので、外力が働いて接合面がずれを起こす場合には、板状部2bが受け穴1bに当接し、板状部2bが破壊されない限りそれ以上のずれを阻止できるという利点もある。
【0044】
次に、図5を参照して本発明に関する変形例を説明する。図5(a)、(b)に示したのは、それぞれ、本発明に係る変形例の斜視図および正面視部分断面図である。
本変形例は、継手ユニット2に代わって継手ユニット20を用いるところに特徴がある。継手ユニット20は、樹脂成形で製作された一体のハウジング20aに、リング継手4、4を取り付けてなるものであり、弾性部材5は省略される。ただし、弾性部材5の代わる弾性を備えた構成をハウジング20aに一体化して設けるものである。
【0045】
図5に示したように、ハウジング20aは、その中央部に円板状の板状部20bが設けられ、そこから垂直方向両端側に円筒部20cが設けられている。円筒部20cの外部側には、軸方向に適宜間隔を設けてそれぞれ周方向に延ばされた薄板状のフィン21…が設けられている。それぞれのフィン21…の先端をつなぐ包落面は、受け穴1bの内面よりわずかに大きい円錐台状とされている。フィン21の間は軸方向に連続するリブ22…が設けられている。リブ22…の先端は受け穴1bの内面よりわずかに小さい寸法とされており、リブ22…の配設間隔は、フィン21が軸方向にたわんで適度の弾性を備えることを妨げない程度に明けられている。リブ22…およびフィン21…は、その先端およびその包落面によって挿着部20dを構成している。
【0046】
円筒部20cの内部は、リング継手4を継手ユニット20の両端側から落とし込んで、板状部20bと適宜間隔を明けて保持するための段状の底部を備えてなる穴状の保持部20gが設けられている。保持部20gの軸方向端部側には、保持部20gに保持されたリング継手4を端部側から係止するための不図示の係止部材を取り付ける係止部材取付部20eが設けられている。
【0047】
上記係止部材はリング継手4を端部側から係止できればよいので、種々の実施形態が考えられる。例えば、リング状の押圧部材を用いて、係止部材取付部20eにねじ穴を設けて継手ユニット20にねじ止めしたり、C型止め輪を用いて、係止部材取付部20eには内周に止め輪用の溝を設けたりすることができる。
【0048】
なお、板状部20bの大きさは、板状部2bと同様に、セグメント1に係合時には、厚さ方向が受け穴1b、1bの内部にわたって収納されて接合面方向の移動が規制される位置にあり、受け穴1bの内面に近接する大きさを備えているものである。また、円筒部20cの長さは、円筒部2cと同様に、受け穴1bの深さの2倍よりもわずかに短い長さとされている。
【0049】
次に、本変形例の作用を説明する。
まず、挿着部20dがフィン21…、リブ22…などの薄板状部材で構成されているので、材料が低減でき、かつ樹脂成形に好適な構造となっている。また、アンダーカットがないので、複数の部材に分けることなく一体ものとして成形できる。
【0050】
さらに、フィン21…が、弾性変形可能とされることにより、継手ユニット20を受け穴1bに挿着したときに接合面方向への移動を許容するから、弾性部材5が設けられたのと同様の作用があり、継手ユニット20を受け穴1bに対して浮動的に支持している。したがって、弾性部材5を削除できるので部品コストと製作コストを低減することができるという利点を備える。
【0051】
なお、本変形例の説明では、板状部20b、円筒部20cは、それぞれ、板状部2b、円筒部2cとほとんど同様の形状とされているので、同様の作用効果を備えることはいうまでもない。
【0052】
なお、上記の説明では、板状部2b、20bは、いずれも円板状として説明したが、受け穴1bに納まる大きさであれば、どのような外形でもよい。板状部2b、20bによって、継手ユニット2、20にかかるせん断力を担荷するという目的のためには、できるかぎり板部の面積を大きくするために、受け穴1bの開口形状に近づけることが好ましく、継手ユニット2、20の挿着に方向性を持たせないという目的のためには回転対称な形状が好ましいが、必ずしも円板に限るものではない。例えば、受け穴1bの形状を円形以外の楕円形や長方形としてもよく、それに合わせて板状部2b、20bを変えてもよい。
【0053】
なお、上記の説明では、セグメント1側に雄型継手3を設け、継手ユニット2側に雌型継手を設けた例で説明したが、本発明の技術的思想の根幹をなすのは、被接合部材同士の間に継手ユニットを介装して、被接合部材同士を接合するということであり、それぞれに設ける継手の雌雄種類を上記のように限定するものではない。
【0054】
なおさらに、上記の説明では、被接合部材の例として、トンネルの覆工などを構成するセグメントを挙げている。これは、重量の大きいセグメントを狭隘な作業環境下で効率よく組み立てる必要があるために、作業性の向上が特に強く望まれ、本発明により特に著しい効果を発揮する例として挙げられたものであって、被接合部材はこれに限定されるものではない。
【0055】
【発明の効果】
以上に述べたように、請求項1に記載の発明では、それぞれの被接合部材の接合面には、受け穴と一方の継手が設けられ、他方の継手は被接合部材とは別体化された継手ユニットに設けるので、継手種類による方向性のない被接合部材とすることができるから、方向性を考慮せずに被接合部材の製作や接合作業が行え、その結果、製作効率や作業性が格段に向上するという効果を奏する。
また、そのことによって製作・作業コストを低減できるという効果を奏する。
【0056】
請求項2に記載の発明では、継手ユニットを、板状部によって接合面方向のせん断力を担荷し、前記軸方向支持体によって接合方向の軸力を担荷するように構成するから、荷重方向に応じて部材を効率的に配置でき、その結果、比較的少量の材料で継手ユニットを製作できるという効果を奏する。
また、このような継手ユニットは偏肉を少なくすることができるので、樹脂成形で容易に製作できるという効果を奏する。
さらに、接合面にずれが生じる場合でも、板状部によって支持されてずれが止まるから、過度のずれが生じないという効果を奏する。
【0057】
請求項3に記載の発明では、継手の係合時に接合面方向に継手ユニットが芯ずれしても、浮動的に支持されているため、弾性部材の変形範囲で芯ずれを吸収することができるから、接合作業での位置合わせが容易となり、その結果、作業性が格段に向上するという効果を奏する。
【0058】
請求項4に記載の発明では、樹脂一体成形により複雑な構造の継手を製作することができ、挿着部にフィン構造を採用することにより材料の使用量を減らすことができるから、部品点数と材料費を削減して安価な継手ユニットを製作することができるという効果を奏する。
【0059】
請求項5に記載の発明では、被接合部材に設ける一方の継手は軸状部材からなる単純な構造とされ、より複雑な、弾性力を付勢する爪状部材は、継手ユニットに設けられるから、より大きくて製作に手間のかかる被接合部材の製作が容易となり、より製作が複雑化する爪状部材を比較的小型の継手ユニットに設けることになり、全体として低コストでの製作が可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る継手構造の実施の形態の概略を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る継手構造の実施の形態の詳細を示す断面図である。
【図3】本発明に係る継手ユニットの一例を説明するための軸方向断面図、およびその側面視部分断面図である。
【図4】本発明に係る雌型継手の一例を説明するための、接合面方向視の平面図、軸方向断面図および受け穴底部方向視の平面図である。
【図5】本発明に係る変形例の斜視図および正面視部分断面図である。
【図6】セグメントの組立の様子の概要を示す説明図である。
【符号の説明】
1 セグメント(被接合部材)
1a 接合面
1b 受け穴
2、20 継手ユニット
2b、20b 板状部
2c、20c 円筒部(軸方向支持体)
2d、20d 挿着部
3 雄型継手
3a 係合突条
4 リング継手(雌型継手)
4b 係止爪部(爪状部材)
4c 円弧面
4d 係止平面
5 弾性部材
21 フィン
Claims (5)
- 互いに接合される一対の被接合部材をそれぞれの接合面で対向させて接合するための継手構造であって、
前記被接合部材が、前記それぞれの接合面を窪ませて形成した受け穴と、該受け穴の底部中心に固設された一方の継手とを備え、
前記被接合部材の相互間に、前記それぞれの受け穴に挿着可能とされた2つの挿着部と、該挿着部のそれぞれの中心に設けられ前記一方の継手と係合する他方の継手とを備える継手ユニットを介して、前記被接合部材同士が接合されたことを特徴とする継手構造。 - 請求項1に記載の継手構造において、
前記継手ユニットが、
接合時に接合面方向の移動が規制されるべく、厚さ方向に前記対向する受け穴の両方の内部にわたって収納されるとともに、前記受け穴の接合面の内周に近接するように、接合面方向に延在されて設けられた板状部と、
該板状部から接合方向に延設された軸方向支持体とを備えてなる継手構造。 - 請求項1または2に記載の継手構造において、
弾性部材を介して、前記挿着部と前記受け穴が係合されるよう構成され、
前記継手ユニットが前記受け穴に対して浮動的に支持されたことを特徴とする継手構造。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の継手構造において、
前記継手ユニットが、合成樹脂からなり、
前記挿着部が、複数のフィンにより構成されたことを特徴とする継手構造。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の継手構造において、
前記一方の継手が、軸状部材に係合突条が設けられた雄型継手からなり、
前記他方の継手が、前記係合突条に係合して接合方向に抜け止めされるとともに、前記軸状部材の軸径方向に弾性力が付勢される爪状部材を備える雌型継手からなる継手構造。
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