JP2004131827A - 切削性、耐食性の良好な析出硬化型ステンレス鋼 - Google Patents

切削性、耐食性の良好な析出硬化型ステンレス鋼 Download PDF

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Tadanori Kida
木田 忠伯
Kazuo Nakama
中間 一夫
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Abstract

【課題】船舶用のシャフト、ポンプシャフトなど耐食性と強度を有し、かつ固溶化状態での切削性に優れた析出硬化型ステンレス鋼を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.001〜0.030%、Si:0.05〜1.00%、Mn:0.05〜1.00%、Ni:4.50〜6.50%、Cr:14.00〜17.00%、Mo:0.20〜2.00%、Cu:2.00〜4.00%、N:0.05%以下、O:0.010%以下、および、Nb:0.15〜0.50%、Ti:0.15〜0.50%の1種または2種を合計で0.15〜0.50%含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ、下記式(1)を満足することを特徴とする切削性、耐食性の良好な析出硬化型ステンレス鋼である。
0.811[75(14.6−Cr)+110(8.9−Ni)+60(1.33−Mn)+50(0.47−Si)+3000{0.068−(C+N)}−32]−220.8≧100     …   (1)
【選択図】  なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、船舶用のシャフト、ポンプシャフトなど耐食性と強度を有し、かつ固溶化状態での切削性に優れた析出硬化型ステンレス鋼に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、船舶用のシャフトやその他の部品で、強度、耐食性の両方の特性が必要な場合、SUS630という析出硬化型ステンレス鋼が使用されているが、この鋼種は切削性が非常に悪い材料であり、そのために切削性の改善が求められていた。その改善策として、例えば特許文献1に開示されているように、低C,Nによって固溶化処理後の硬さを低減する方法や、特許文献2に開示されているように、C,Nを低減して軟化させ、Oを添加することにより被削性を改善する方法、並びに特許文献3に開示されているように、C,Nを低減し、S添加により切削性を改善する方法が提案されている。
【0003】
【引用文献】(1)特許文献1(特開昭61−147855号公報)
(2)特許文献2(特開平10−306351号公報)
(3)特許文献3(特開平3−72700号公報)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した特許文献1および特許文献2のような、硬度を下げるためにC,Nの単純な低減では、切削性を大幅に改善することは困難であるし、また、C,Nの低減では、強度特性を劣化させるという問題がある。特に特許文献2の場合には、Oを添加することにより冷間加工性、靱性、疲労強度特性をも劣化する可能性がある。さらに、特許文献3にように、C,Nを低減し、S添加により切削性を改善する方法では、S添加によって耐食性を劣化させるという問題がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述したような問題を解消するために、発明者らは鋭意開発を進めた結果、低C,N化、Mo添加および合金成分バランスを制御することで、固溶化処理後の組織が切削性に対し、最も良好な組織となり、さらに、その後の時効処理でも高硬度、高耐食性となる特性が得られる固溶化状態での切削性に優れた析出硬化型ステンレス鋼を提供するものである。その発明に要旨とするところは、
(1)質量%で、C:0.001〜0.030%、Si:0.05〜1.00%、Mn:0.05〜1.00%、Ni:4.50〜6.50%、Cr:14.00〜17.00%、Cu:2.00〜4.00%、N:0.05%以下、O:0.010%以下、および、Nb:0.15〜0.50%、Ti:0.15〜0.50%の1種または2種を合計で0.15〜0.50%含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ、下記式(1)を満足することを特徴とする切削性、耐食性の良好な析出硬化型ステンレス鋼。
0.811[75(14.6−Cr)+110(8.9−Ni)+60(1.33−Mn)+50(0.47−Si)+3000{0.068−(C+N)}−32]−220.8≧100     …   (1)
【0006】
(2)前記(1)記載の鋼に、Mo:0.20〜2.00%を含有させたことを特徴とする切削性、耐食性の良好な析出硬化型ステンレス鋼。
(3)前記(1)または(2)記載の鋼に、B:0.001〜0.006%を含有させたことを特徴とする切削性、耐食性の良好な析出硬化型ステンレス鋼。
(4)前記(1)〜(3)記載の鋼に、S:0.010%以下、Pb:0.2%以下、Bi:0.2%以下の1種または2種以上、合計で0.2%を含有させたことを特徴とする切削性、耐食性の良好な析出硬化型ステンレス鋼である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る成分組成の限定理由について述べる。
C:0.001〜0.030%
Cは、強度を高める基本的な元素である。従って、0.001%未満では十分な強度を得ることができない。しかし、固溶化処理後の硬さを低減させるために、その上限を0.030%とした。
Si:0.05〜1.00%
Siは、脱酸元素として添加するもので、0.05%未満ではその効果が十分得られない。しかし、多いとδフェライトが多量に生成し、熱間加工性、強度、靱性および耐食性を低下させることから、その上限を1.00%とした。
【0008】
Mn:0.05〜1.00%
Mnは、Siと同様に、脱酸元素として添加するものであり、また、δフェライトを抑制する。しかし、0.05%未満ではその効果が十分得られない。一方、多過ぎると残留γが増加し強度が低下することから、その上限を1.00%とした。
Ni:4.50〜6.50%
Niは、オーステナイト生成元素であり、δフェライトを抑制する。しかし、4.50%未満ではその効果が十分でなく、多いと残留γが増加し強度が低下することから、その上限を6.50%とした。
【0009】
Cr:14.00〜17.00%
Crは、耐食性の改善のために有効な元素である。しかし、14.0%未満ではその効果が十分でなく、また、多いとδフェライトが増加し悪影響を与えることから、その上限を17.00%とした。
Cu:2.00〜4.00%
Cuは、析出硬化に寄与する元素である。しかし、2.00%未満では硬度化が減少し、多いと残留オーステナイトが増加することから、その上限を4.00%とした。
【0010】
Nb:0.15〜0.50%およびTi:0.15〜0.50%の1種または2種を合計で0.15〜0.50%
Nb、Tiは、C,Nを固定し、耐食性の向上に寄与する。しかし、0.15%未満ではその効果が十分でなく、多過ぎると大きな炭化物などが生成し加工性が劣化することから、その上限を0.50%とした。また、両者合計で0.15〜0.50%とする。
N:0.05%以下
Nは、Cと同様の効果を示す。しかし、多過ぎると硬度アップとなることから、その上限を0.05%とした。
【0011】
O:0.010%以下
Oは、酸化物を形成し、冷間加工性、靱性および疲労強度特性などを劣化させることから、その上限を0.010%とした。
Mo:0.20〜2.00%
Moは、耐食性の改善のために添加する。しかし、0.20%未満ではその効果は十分に得られず、また、多いとコストアップとなると共に、固溶化処理後の硬度アップとなることから、その上限を2.00%とした。
【0012】
B:0.001〜0.006%
Bは、熱間加工性を改善するために添加する。しかし、0.001%未満ではその効果は十分でなく、0.006%を超えるとその効果が飽和することから、その上限を0.006%とした。
S:0.010%以下、Pb:0.2%以下、Bi:0.2%以下の1種または2種以上
S、Pb、Biは、快削元素として有効であるが、熱間加工性、靱性および耐食性を劣化させるため極低に制限する必要があり、その上限をそれぞれ0.010%、0.2%、0.2%とした。
【0013】
式1は、組織を決定するために使用する指標であり、この値が100以上になるように、C,Si,Mn,Ni,Cr,Nを調整すれば、固溶化処理後の組織が切削性に適した組織となる。しかし100未満では、その効果が十分に得られないことから、その下限を100とした。好ましくは、100〜300である。
【0014】
【実施例】
以下、本発明について実施例によって具体的に説明する。
表1に示す成分組成の鋼を100kg真空溶解炉にて溶製し、100kg鋼塊を得た後、鍛伸温度1200℃にて角40mmおよびφ20mmに鍛伸し、900〜1050℃の温度域で30分保持後水冷にて固溶化処理を行った。ドリル寿命試験片は、固溶化処理後のTPを用いて角35mmに試験片加工した。耐食性試験および硬さ試験はφ20mmの固溶化処理材を用い、時効処理(480℃×1h保持空冷)し、試験片を作製した。この試験結果を表1に示す。その試験としては、ドリル寿命試験、耐食性試験および硬さ試験を行った。
【0015】
(1)ドリル寿命試験条件
ドリル:φ5mm ストレートドリル、周速:20mm/min
送り:0.03mm/rev
穿孔深さ:15mm
切削油:なし
評価方法:ドリルの溶損により穿孔不可となるまでに開けた穴数で評価
【0016】
(2)塩水噴霧試験
5%NaCl、35℃、96時間
試験片形状:φ12×21mm
評価方法:発錆の有無を確認
(3)硬さ試験(HRC)
【0017】
【表1】
Figure 2004131827
【0018】
表1に示すように、No.1〜6は本発明例であり、No.7〜10は比較例である。比較例No.7は通常のSUS630の成分組成であり、比較例No.8は低C化されているが、式(1)を満足していないために、ドリル寿命が悪い。また、比較例No.9はドリル寿命については改善されているが、S添加が高いために耐食性が劣る。さらに、比較例No.10はドリル寿命については改善されているが、快削元素添加量が多いために耐食性が劣る。
【0019】
これに対し、本発明例であるNo.1〜6のいずれもドリル寿命は、比較例No.7と比較すると5倍以上となっており、また、耐食性は比較例No.7と比較すると改善されており、さらに、析出硬化硬さは比較例No.7と比較すると同等以上のレベルを有している。このように、本発明鋼はいずれも、析出硬化型ステンレス鋼SUS630(比較例No.7)と同等の強度特性を持ちながら、耐食性および切削性が改善されていることが判る。
【0020】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明により通常のSUS630の強度特性を持ちながら、耐食性および切削性の優れた析出硬化型ステンレス鋼を得ることが出来た。

Claims (4)

  1. 質量%で、
    C:0.001〜0.030%、
    Si:0.05〜1.00%、
    Mn:0.05〜1.00%、
    Ni:4.50〜6.50%、
    Cr:14.00〜17.00%、
    Cu:2.00〜4.00%、
    N:0.05%以下、
    O:0.010%以下、
    および、Nb:0.15〜0.50%、
    Ti:0.15〜0.50%
    の1種または2種を合計で0.15〜0.50%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ、下記式(1)を満足することを特徴とする切削性、耐食性の良好な析出硬化型ステンレス鋼。
    0.811[75(14.6−Cr)+110(8.9−Ni)+60(1.33−Mn)+50(0.47−Si)+3000{0.068−(C+N)}−32]−220.8≧100     …   (1)
  2. 請求項1記載の鋼に、Mo:0.20〜2.00%を含有させたことを特徴とする切削性、耐食性の良好な析出硬化型ステンレス鋼。
  3. 請求項1または2記載の鋼に、B:0.001〜0.006%を含有させたことを特徴とする切削性、耐食性の良好な析出硬化型ステンレス鋼。
  4. 請求項1〜3記載の鋼に、S:0.010%以下、Pb:0.2%以下、Bi:0.2%以下の1種または2種以上、合計で0.2%を含有させたことを特徴とする切削性、耐食性の良好な析出硬化型ステンレス鋼。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103866198B (zh) * 2012-12-17 2015-10-14 中国科学院金属研究所 一种外科手术用沉淀硬化马氏体不锈钢及其热处理工艺

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