JP2004131789A - ナトリウムを用いた熱処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】安全で信頼性が高く、液体金属ナトリウムの優れた熱処理特性を生かすことのできる金属材料の熱処理装置を提供する。
【解決手段】固体の金属材料1を加熱する加熱部2と、液体金属ナトリウムを擁し金属材料をナトリウム中に浸漬して第1の冷却温度まで冷却する冷却容器10を有する第1の冷却部4と、第1の冷却温度まで冷却された金属材料を第2の冷却温度までさらに冷却する第2の冷却部6と、金属材料を、加熱部、第1の冷却部および第2の冷却部の間で移動させる移動機構7と、加熱部、第1の冷却部および第2の冷却部の相互の間で各々随時に、金属材料を移動できるように開放し、また遮断できる開閉装置8と、を内蔵した気密性の処理容器9を具備する。また、冷却容器内の液体金属ナトリウムを処理容器の外に取り出して循環し、液体金属ナトリウムを冷却する冷却装置15を有する循環系統14を具備する。
【選択図】 図1
【解決手段】固体の金属材料1を加熱する加熱部2と、液体金属ナトリウムを擁し金属材料をナトリウム中に浸漬して第1の冷却温度まで冷却する冷却容器10を有する第1の冷却部4と、第1の冷却温度まで冷却された金属材料を第2の冷却温度までさらに冷却する第2の冷却部6と、金属材料を、加熱部、第1の冷却部および第2の冷却部の間で移動させる移動機構7と、加熱部、第1の冷却部および第2の冷却部の相互の間で各々随時に、金属材料を移動できるように開放し、また遮断できる開閉装置8と、を内蔵した気密性の処理容器9を具備する。また、冷却容器内の液体金属ナトリウムを処理容器の外に取り出して循環し、液体金属ナトリウムを冷却する冷却装置15を有する循環系統14を具備する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体金属ナトリウムを用いて固体金属材料の熱処理を行なう装置に係り、特に、固体金属材料の強度、硬さおよび寸法精度などを向上させ、表面の耐摩耗性や耐腐食性などの材料性能を改善することに適した熱処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属材料の熱処理の方法としては、電気炉、ガス炉、真空炉または直接の直火や高周波で加熱した金属材料をガス、水、油、ポリマーなどの冷却剤で冷却する方法が採られている。この金属材料の熱処理性能は、冷却速度や冷却温度や冷却パターンに大きく依存していることが知られている。冷却速度を上げる手段としては、冷却剤を攪拌したり、ジェットで吹き付けたりしている。また、より高温でも沸騰せずに急冷が可能な溶融塩や金属の錫や鉛を溶融して冷却剤として用いられている冷却方法も知られている。
【0003】
その一つとして、冷却速度が高い、焼き割れがない、熱処理変形が非常に少ないという熱処理特性の優れた液体金属ナトリウムを用いる方法も提案されている。特開2002−12917号公報の図5に示されているように、液体金属ナトリウムは、水や油やポリマーなどの他の冷却剤に比べて格段に冷却速度が高い。これは、水や油やポリマーでは、冷却の際に、金属表面との間で蒸気膜が形成されるからである。この事象は、冷却速度を遅くするだけでなく熱処理金属に部分的な温度差を生じさせ、その結果、変形や割れが発生する要因にもなっている。液体金属ナトリウムを用いる熱処理方法は、上記公報のほかに、例えば、特開2000−345236号公報にも開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
液体金属ナトリウムは、前述のように優れた熱処理特性を持っているが、水と激しく反応するという特性をもっているため、取扱いが困難である。したがって金属材料の熱処理にナトリウムを使用するためには、その物性を考慮して、安全でかつ信頼性が高い装置が必要となる。また、液体金属ナトリウムの優れた熱処理特性を十分に生かすことができる熱処理装置が望まれる。
【0005】
本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、その目的は、安全でかつ信頼性が高く、液体金属ナトリウムの優れた熱処理特性を十分に生かすことのできるナトリウムを用いた金属材料の熱処理装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するものであって、請求項1に記載の発明は、固体の金属材料を融点よりも低い所定の温度まで加熱する加熱部と、冷却用液体金属ナトリウムを内蔵し前記金属材料を前記液体金属ナトリウム内に浸漬することによって前記金属材料を第1の冷却温度まで冷却するための冷却容器を有する第1の冷却部と、前記液体金属ナトリウムで第1の冷却温度まで冷却された前記金属材料を前記第1の冷却部から取り出した後に前記金属材料を前記第1の冷却温度よりも低い第2の冷却温度まで冷却する第2の冷却部と、前記金属材料を、前記加熱部、第1の冷却部および第2の冷却部の間で移動させる移動機構と、前記加熱部、第1の冷却部および第2の冷却部の相互の間で各々随時に、前記金属材料を移動できるように開放し、また随時に遮断することのできる開閉装置と、を内蔵した気密性の処理容器を具備し、前記冷却容器内の液体金属ナトリウムを前記処理容器の外に取り出して循環し、当該液体金属ナトリウムを冷却する冷却装置を有する循環系統を前記処理容器の外に具備すること、を特徴とする。
【0007】
また、請求項35に記載の発明は、冷却用液体金属ナトリウムを内蔵し、固体の金属材料を前記冷却用液体金属ナトリウム内に浸漬することによって前記金属材料を冷却するように構成された容器と、前記金属材料を、前記冷却容器内で、前記冷却用液体金属ナトリウムの液面の上方から下方に移動する移動手段と、前記金属材料が前記容器内で、前記冷却用液体金属ナトリウムの液面の上方にあるときに前記金属材料を加熱するための加熱用液体金属ナトリウムを前記金属材料の表面に流す加熱ナトリウム供給手段と、前記加熱用液体金属ナトリウムを加熱する加熱手段と、を具備すること、を特徴とする。
【0008】
また、請求項36に記載の発明は、気密性の処理容器と、この処理容器内に配置され、固体の金属材料を融点よりも低い所定の温度まで加熱する手段と、前記処理容器内に配置され、前記加熱手段で加熱された前記金属材料の表面に冷却用液体金属ナトリウムを噴射する複数の噴射ノズルと、前記複数の噴射ノズルの前記金属材料に対する相対位置および向きのうちの少なくとも一方を変化させる駆動手段と、を具備すること、を特徴とする。
【0009】
また、請求項38に記載の発明は、加熱用液体金属ナトリウムを内蔵し、固体の金属材料を前記加熱用液体金属ナトリウム内に浸漬することによって前記金属材料を加熱するように構成された容器と、前記加熱用液体金属ナトリウムを加熱する加熱手段と、前記加熱用液体金属ナトリウム内に浸漬された金属材料を、前記容器内で前記加熱用液体金属ナトリウムの液面の上方に引き上げる移動手段と、前記金属材料を前記液面の上方に引き上げた後に、前記加熱用液体金属ナトリウムよりも低温の冷却用液体金属ナトリウムを前記金属材料に噴射する噴射手段と、を具備すること、を特徴とする。
【0010】
また、請求項39に記載の発明は、固体の金属材料を収容する容器と、前記金属材料の表面に前記容器内で高温の液体金属ナトリウムを噴射して前記金属材料を加熱する手段と、前記加熱された前記金属材料の表面に前記容器内で低温の液体金属ナトリウムを噴射して前記金属材料を冷却する手段と、を具備すること、を特徴とする。
【0011】
また、請求項40に記載の発明は、加熱用液体金属ナトリウムを内蔵し、固体の金属材料を前記加熱用液体金属ナトリウム内に浸漬することによって、前記金属材料をその融点よりも低い所定の加熱温度まで加熱するように構成された加熱容器と、冷却用液体金属ナトリウムを内蔵し、前記金属材料を前記冷却用液体金属ナトリウム内に浸漬することによって、前記加熱温度まで加熱された前記金属材料を所定の冷却温度まで冷却するように構成された冷却容器と、前記金属材料を前記加熱容器から前記冷却容器に移動する手段と、を具備し、前記加熱容器には、高周波加熱手段が設けられていること、を特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、全図面にわたり、同一または類似の構成要素には同一符号を付し、重複説明は省略する。
図1は、本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置の一実施の形態の概略構成図である。
【0013】
本実施の形態におけるナトリウムを用いた熱処理装置は、気密性を有する処理容器9を有し、処理容器9内に、固体の金属材料1を所定の温度(金属材料1の融点より低い温度)まで加熱する1個または複数個の加熱部2と、冷却用液体金属ナトリウム3を内蔵し金属材料1を第1の温度まで冷却する1個または複数個の冷却容器10を有した冷却部(第1の冷却部)4とが配置されている。処理容器9内にはさらに、加熱部2と冷却部4とを接続するホットセル部5と、冷却用液体金属ナトリウム3で熱処理された金属材料1からナトリウムを除去し第2の温度(第1の温度より低い温度)まで冷却するナトリウム除去・冷却部(第2の冷却部)6とが配置されている。
【0014】
上記各構成部分は、熱処理工程に従って配置されており、熱処理の対象になる金属材料1は、移動機構7によってその間の移動が行なわれる。また、おのおのの構成部分は1個または複数個の扉(開閉装置)8で遮断されている。また、処理容器9には、金属材料1を搬出入するために気密扉もしくはエアロック8aが設けられている。なお、図1は、移動機構7によって金属材料1が冷却容器10内の液体金属ナトリウム3中に浸漬された状態を示している。また、別の金属材料1が加熱部2に配置された状態を示している。
【0015】
なお、この図は、扉8、8aがすべて開いた状態を示しているが、扉8、8aは、それぞれ随時に開閉でき、金属材料1を移動できるようになっている。実際の運用では、例えば、扉8、8aは一つずつ開き、他は閉じておく。
【0016】
この装置において、熱処理のための金属材料1は、加熱部2で加熱された後、冷却部4で液体金属ナトリウム中に浸漬されて冷却される。その後、さらに常温まで下げるとともにナトリウムウムを除去するためにナトリウム除去・冷却部6へ移動される。
【0017】
以上のように構成されているため、熱処理工程の中で発生するナトリウムを外気と接触させずに容器の中で一連の熱処理を完成させることができる。また、冷却工程に対して処理時間の長い加熱工程を複数化することで、冷却部の稼働率を上げることができ、ひいては、全体の効率を上げることができる。さらに、複数の冷却部を持つことで、異なる冷却条件を用意できるという利点もある。加えて、加熱部、冷却部とも複数とすることで、各部の単一故障による全工程停止を防ぐこともできる。また、生産工程に大幅な調整代を設けることができる。
【0018】
この装置は、各部ごとに隔離されているので、ナトリウム雰囲気の拡散を防止できるとともに、万一災害が発生した場合でも、その被害を最小限に抑えることができる。冷却容器10は、上部が開放された円筒容器であり下部は鏡板をなしている。冷却容器10の上端にはフランジまたは溶接継手が設けられ、上部から支持できるとともに、気密性を有した接続ができる構成となっている。また、胴部にスカートを設けて地上の基礎台に固定し支持することもできる(図示せず)。この場合は、冷却容器10上端に伸縮継手を設けることにより、冷却容器10の熱変位差を吸収できる。
【0019】
さらに、冷却容器10の上端のフランジ継手面に二重Oリング(図示せず)を設けることで気密性を高められるとともに、二重Oリング間の雰囲気をサンプリングすることにより、処理容器9内の雰囲気ガスまたは内蔵されるナトリウムの漏洩を検知することができる。
【0020】
また、冷却容器10には、金属材料1を冷却するための冷却用液体金属ナトリウム3を供給する1個または複数個の供給ノズル11と、金属材料1の冷却に使用し温度が上昇した冷却用液体金属ナトリウム3を回収する1個または複数個の回収ノズル12を備えている。冷却容器10内の通常時のナトリウム液面201は、供給ノズル11および回収ノズル12の上方に位置する。
【0021】
冷却容器10の外側で回収ノズル12から供給ノズル11に至る間は、冷却装置15、純化装置25を介して配管で接続される循環ループ(循環系統)14が構成される。この間の液体金属ナトリウム3の循環は電磁ポンプ13により行なわれる。
【0022】
このため、処理容器9に多くの貫通部を設ける必要がなく、高い信頼性が期待できる。また、液体金属ナトリウムの駆動に電磁ポンプ13を使用していることから、装置側に可動部分がなく、アクセスが難しいナトリウム取扱いにおいて安定した運転が期待できる。また、必要に応じ流量を変化させることができ、さらに、電磁ポンプの場合は保守がほとんど不要になる。
【0023】
冷却容器10内の冷却用液体金属ナトリウム供給ノズル11は、その吐出方向を調整することで、冷却容器10内の液体金属ナトリウムを攪拌することもできる。これにより、金属材料を瞬時に冷却させることが可能である。
【0024】
ナトリウム冷却装置15には、冷却容器10の回収ノズル12より、電磁ポンプ13を駆動源として熱処理の冷却に使用し温度が上昇した冷却用液体金属ナトリウム3が移送されてくる。この液体金属ナトリウム3は、冷却装置15のケーシング18内のナトリウムヘッダ16に供給され、複数のフィン付きチューブ17を経由して、冷却容器10に戻される。ケーシング18内では、送風機20から排気ダクト19に向かって冷却用の空気が送られ、熱交換される。冷却装置15のナトリウム出口温度が予め設定された温度となるように送風機20の出口には、送風量を調整できるダンパ21が設けられている。
【0025】
ナトリウム純化装置25は、金属材料1の冷却に使用した不純物を含んだ冷却用液体金属ナトリウム3を回収する回収ノズル12からの循環ループ14の途中から、一部または全部を純化系配管22にて分岐し、コールドトラップ25aを通過させることにより、液体金属ナトリウム3中の不純物を析出し純化するものである。純化系配管22のナトリウム純化装置25上流側には、冷却用液体金属ナトリウム3を駆動させる電磁ポンプ23と、熱効率を高めるための熱交換器24が設けられている。ナトリウム純化装置25で純化された液体金属ナトリウム3は循環ループ14に戻される。
【0026】
コールドトラップ25aは、冷却された金属メッシュや金網などで構成するフィルタを内蔵する。コールドトラップ25aの金属メッシュや金網などの冷却は、空気冷却、窒素またはアルゴンなどのナトリウムに対して不活性ガス(以下、単に「不活性なガス」と呼ぶ)などの気体状冷却冷媒による冷却または油などの液体状冷却媒体による冷却が利用される。
【0027】
ナトリウム純化装置は、以上のように構成されているため、純化後のナトリウムを系統に戻す際の昇温補助ができ、経済性改善が図れる。
また、純化系統は、好ましくは複数設ける。純化系統を複数設けることにより、熱処理装置連続運転中の保守も容易に行なうことができる。
【0028】
冷却容器10と循環ループ14内の液体金属ナトリウム3を一時的に系統外に貯留できるようドレンタンク26が設けられている。ドレンタンク26までの液体金属ナトリウム3の移送は、ドレン配管27a、27bを介してして行なわれる。移送手段としては、各種のポンプが考えられるがここでは、ドレンタンク26の位置を最下部におき、ドレン配管27a、27b途中のドレン弁28a、28bを開放することで、重力により落下させることとしている。
【0029】
ドレン系統の設置により、系統内の液体金属ナトリウムの量を調整することができる。また、自由落下による移送であれば、装置の保守も不要となる。また、このドレン系統は、図には記載していない液体金属ナトリウム3漏洩検出装置により、処理容器9からの漏洩が確認された場合に、安全確保のため一時的に系統外へ残留液体金属ナトリウムをすべて移送する手段としても使用され、安全性が確保される。
【0030】
さらに、このドレンタンク26内にナトリウム純化装置29を設けることもできる。これにより、別置の純化装置25などを省略して合理化を図ることもできる。
【0031】
また、ドレンタンク26に内蔵する冷却用液体金属ナトリウム3を循環ループ14の配管を経由して冷却容器10内に供給できるように、配管30および弁31と、供給用の電磁ポンプ57を設けている。
【0032】
さらに、ドレンタンク26には、初期に液体金属ナトリウムを充填する場合もしくは不足した液体金属ナトリウムの補充を行なうために、外部のナトリウムコンテナと接続が可能なナトリウム供給口32と配管33と弁34を設ける。
【0033】
また、密閉性のある容器であるナトリウム除去・冷却部6には、空間を真空に引くことのできる真空ポンプ35と、その際にあわせて吸引される可能性のあるナトリウムを捕集するベーパトラップ36を備えている。
【0034】
これにより、冷却容器10内で金属材料1に付着して、この金属材料1とともにナトリウム除去・冷却部6内に持ち込まれるナトリウムを、真空蒸発させて除去することができる。ベーパトラップ36は、冷却させて金属ナトリウムを固化、捕集するもので、真空ポンプ吸引配管の途中に設置することで、ナトリウム蒸気の外部への漏出を防ぐことができる。
【0035】
また、本図には記載していないが、熱処理後のナトリウム除去の手段としてナトリウム除去・冷却部6において、金属材料1に水またはアルコール水溶液を噴霧する装置や、水またはアルコール水溶液を貯蔵した容器を設置し、熱処理後の金属材料1に水またはアルコール水溶液を接触もしくはその中に浸漬させることができる。これにより、ナトリウムが除去できるとともに、金属材料表面に不動態層を形成させ、表面状態の改善が期待できる。
【0036】
また、ここでは、一連の熱処理作業を密閉された処理容器9内ですべて行なうこととしたが、各工程ごとに処理区画を独立させてもよい。その場合は、金属材料1を処理区画間で移動させるために気密性を有した容器に内包して行なう。これにより、金属表面に付着した残留ナトリウムの水分との接触による反応を抑制することができる。
【0037】
上記、ナトリウムによる金属材料の熱処理装置は、処理容器9および付帯設備を一式、ユニット化し可搬式とすることもできる。これにより、装置ごと船舶、車両への搭載可能となり、必要な場所への移動が容易となり、さらに移動先での運転開始までの期間を短くすることができる。
【0038】
また、本図には記載していないが、処理容器9の外には電子計算機を配置し、処理容器9内に設けた圧力や温度などの環境や移動機構7の動きを検出する計器から信号を受け取り、一連の熱処理作業の状態を表示するとともに、遠隔または自動でその進行を行なうことができる。本熱処理作業は、ナトリウム雰囲気下での作業となるため、遠隔・自動操作により、作業員の大幅な負担軽減となる。
【0039】
さらに、上記計算機は、金属材料1の材質、質量、形状、体積、温度などの固有のデータをもとに液体金属ナトリウム3浸漬時のナトリウム温度・液位また金属材料1そのものの温度などの変化を演算し、予め記憶された熱処理に最適な冷却終息温度など熱処理に必要なデータと照らし合わせて冷却容器内の液体金属ナトリウム供給温度、供給流量、浸漬前液位、浸漬方法などを自動で制御する機能も有している。これにより、最適な熱処理が容易に行なえる。
【0040】
加えて、上記計算機は、冷却容器10内の液体金属ナトリウム3の固化温度を測定する温度計からも信号を受け取り、不純物が増えると固化温度が変化する性質を利用して、前記液体金属ナトリウム3の純度を判断し、その純度に応じて純化装置25への前記液体金属ナトリウム3の流量を調整するとともに、純化装置25において不純物析出のために必要な除熱風量を制御する機能を有している。これにより、ナトリウムを安定した状態で純化することが可能となる。
【0041】
さらに、上記計算機は、予め設定された金属材料1の熱処理条件や熱処理中の状態を監視する計器からのデータを記録・保管・出力する機能も有している。これによれば、熱処理状況の記録を明確に残すことができ、現物と照らし合わせて、それ以降の熱処理作業の改善に役立てることが可能である。
【0042】
図2は、図1に示したナトリウムを用いた熱処理装置のうち、主に付帯設備の系統構成を示した図である。
処理容器9内部および液体金属ナトリウム3が充填される設備から液体金属ナトリウム3を排出する際に生じる空間に不活性なガスを充填するガス供給設備74を設けている。ガス供給設備74は、処理容器9の外部に設置され、ガス流量調整弁75を介して配管によって処理容器9内に接続さている。これにより、処理容器9内でナトリウムを使用する際には、処理容器9内を不活性なガスで充填することができ、ナトリウムの活性化の抑制を図り、安全に作業を行なうことができる。
【0043】
また、図には記載していないが処理容器9の外に計算機を設置し、処理容器9内に設置した温度変化に伴う冷却用液体金属ナトリウム3の体積変化または前記液体金属ナトリウムの排出作業などによる処理容器9内の圧力変化を検出する圧力計からの信号をもとにガス流量調整弁75の開閉動作を制御し、処理容器9内を適切な圧力に維持することができる。
【0044】
また、処理容器9内には、油などの液体冷却媒体で冷却して雰囲気ガス中のナトリウム蒸気を捕獲することができる結露装置76や、雰囲気ガスを攪拌する装置89を備えている。これにより、処理容器9内のナトリウム蒸気が壁面などに付着することを防止するとともにナトリウム蒸気雰囲気を緩和することができる。
【0045】
また、処理容器9には、配管を介して真空ポンプ77が接続されている。加えて、液体金属ナトリウム3が充填される設備・系統の最上部には、ガス抜き用のベント管79がベント弁78およびガス抜きポット80を介して設けられている。ガス抜きポット80は、ドレンタンク26にも接続されている。
【0046】
上記のように構成されているため、液体金属ナトリウムを初期の段階で充填しようとする際は、予め処理容器9内の空気を真空ポンプ77で引くことができ、水分を含んだ空気と接触させることなく安全に液体金属ナトリウムを充填することができる。
【0047】
また、液体金属ナトリウムを系統・設備に充填していくと、最上部にあるベント管79から、残留空気が抜けていくことになる。最終的には、ここから、充填している液体金属ナトリウムも漏出してしまうことになるが、本装置では、上記のように構成されているため、液体金属ナトリウムは、ガス抜きポット80で滞留し、系統外に漏出することなく、ドレンタンク26に回収される。
【0048】
また、処理容器9と外部空間との間には開放型マノメータシール82が設けられている。これにより、外部雰囲気空間との差圧が計測できるとともに、処理容器9内圧力上昇時の放出ライン83として機能できる。
【0049】
また、冷却容器10上部全周にわたってガス噴出口87が設けられている。このガス噴出口87には、ガス供給装置84から不活性なガスを供給できるようになっている。上記のように構成されているため、冷却容器10内で金属材料1を冷却している際は、帯状の噴出ガスによってガスカーテンを形成することで冷却容器10内の液体金属ナトリウム3のミストを含んだガスの拡散を防止できるとともに、冷却後の金属材料1を取り出す際は、ガスカーテンを通過する際に付着ナトリウムを除去できる。
【0050】
また、処理容器9内でナトリウム蒸気が回り込む恐れがある場所に設けられた可動部には不活性なガスを吹き付けシールする設備74aを設けている。これにより、ナトリウム蒸気の付着による可動部の作動不良を防止することができる。
【0051】
図3は、本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置のうち、サイホン管による液体金属ナトリウムを排出する手段を示した図である。
冷却容器10に内蔵される冷却用液体金属ナトリウム3を冷却容器10の外に排出するための手段として、一端は冷却容器10内の最下部で開放され、冷却容器10の直胴を貫通して冷却容器10外に引き回されるサイホン配管38を設け、もう一端はドレンタンク26底部に開放される構成としている。サイホン配管38が冷却容器10の壁を貫通するサイホン管貫通部202は通常時のナトリウム液面201よりも高い位置にある。
【0052】
これにより、可動部分を使った駆動装置を使用せずに、冷却容器10に内蔵される冷却用液体金属ナトリウム3を冷却容器10の外に排出することができる。液体金属ナトリウムと接触する部分に可動部がないため、保守の必要がなく高い信頼性を期待できる。また、サイホン管貫通部202が通常時のナトリウム液面201よりも高い位置にあることから、サイホン管貫通部202での冷却容器10の損傷によるナトリウムの漏洩を防ぐことができる。
【0053】
図4は、本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置のうち、オーバフローを利用した溢流防止および浮遊不純物回収手段を示した図である。冷却容器10内壁面上方にオーバフロー受口39とそれに接続され溢流ナトリウムを前記冷却容器10外に排出できるオーバフロー配管40を1系統または複数系統設け、オーバフロー配管40の端部はドレンタンク26底部で開放される構成とする。これにより、冷却容器10内のナトリウム液面201がオーバフロー受口39の高さ位置に形成される。したがって、液体金属ナトリウム3の液位を容易に制御できるとともに、オーバフロー受口39もしくはオーバフロー配管40にフィルタ(図示せず)を設けることで、冷却用液体金属ナトリウム3の浮遊不純物を容易に捕集することができる。
【0054】
図5は、本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置のうち、冷却容器10に内蔵する液体金属ナトリウムの温度制御方法を示した図である。冷却容器10内の通常時のナトリウム液面201の下方に複数の温度計41a、41b、41c、41d、41eが配置されている。外部に設けられた計算機(図示せず)が、温度計41a、41b、41c、41d、41eからの情報を受け入れ、冷却用液体金属ナトリウム3に生じる金属材料1からの入熱による温度変化を検出し、予め設定されたナトリウム温度となるようにポンプ43により冷却用液体金属ナトリウム3の供給量を調整し、その結果、冷却容器10内の温度制御を行なうことができる。
【0055】
また、上記計算機は、温度計41a、41b、41c、41d、41eからの情報を受け入れ、冷却容器10内の温度分布を把握するとともに、必要に応じて冷却容器10の外周に設けた複数に分割されたブロック単位毎の電気ヒータ42a、42b、42c、42d、42eを個別にON/OFF制御または出力制御し、熱処理に必要な、温度分布に調整する機能も有している。
【0056】
図6は、本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置のうち、冷却容器10内に交換可能な保護ライナ46を設置した図である。冷却容器10内側に、下端が取り外し可能なフランジ45を有した円筒状の保護ライナ46を液密に接続して立設する。保護ライナ46の上端は開いていて、通常時のナトリウム液面201よりも高い位置にある。また、保護ライナ46をオーバフローして保護ライナ46と冷却容器10の間の環状部に入った液体金属ナトリウムを回収するために、冷却容器10にオーバフローノズル47を設けている。
【0057】
これにより、熱処理に伴う液体金属ナトリウム3の温度変化による冷却容器10内壁の繰返し熱負荷の軽減が図れる。保護ライナ46は固定でもかまわないが、フランジで冷却容器10と接合する構造とすることで、劣化による交換も容易となる。
【0058】
また、冷却容器10の供給ノズル11より、冷却容器10内に冷却用液体金属ナトリウム3を供給し、保護ライナ46内のナトリウム液面201を図6の状態よりも上昇させて、保護ライナ46の上端から強制的にオーバフローさせることで、冷却用液体金属ナトリウム3を保護ライナ46と冷却容器10壁の隙間に冷却用液体金属ナトリウム3液面に浮遊する不純物を強制的に溢流させ効率的に捕集することもできる。
【0059】
図7は、本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置のうち、液体金属ナトリウムが保護ライナ46からオーバフローした時にも冷却容器10の内壁を保護する構造を示した図である。保護ライナ46の直胴部上端に複数の三角堰状の切り込み49を設け、保護ライナ46外側には切り込み49部に接続される桶50および配管51によって、冷却容器10から溢流する液体金属ナトリウム3を直接冷却容器10内壁に接触させることなく、冷却容器10外に排出することができる。これにより、万一保護ライナ46から液体金属ナトリウム3が溢流した場合でも、冷却容器10内壁を保護することができる。
【0060】
図8は、本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置のうち、冷却容器10内のナトリウム液面201の制御により金属材料を浸漬する手段を示した図である。冷却容器10への液体金属ナトリウム3供給配管55の途中に、追加用液体金属ナトリウム52を内蔵したバッファタンク53が設けられている。バッファタンク53は、圧縮機54で加圧されており、また、冷却容器10内のナトリウム液面201よりも高い位置に配置されている。バッファタンク53と供給配管55の間は、弁56bで仕切られている。
【0061】
上記構成において、熱処理する金属材料1を冷却容器10内のナトリウム液面201の上方に移動させた後、供給配管55側の弁56aを閉鎖し、バッファタンク53側の弁55bを開放すると、バッファタンク53内の追加用液体金属ナトリウム52は、圧縮ガスの圧力と重力とによって冷却容器10に供給される。これにより、冷却容器10内のナトリウム液面201を瞬時に上昇させることができ、金属材料1を浸漬できる。
【0062】
図9は、本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置のうち、冷却容器10に内蔵する液体金属ナトリウムを循環させるためにインペラ66を具備する攪拌装置67を設置した図である。
【0063】
冷却容器10内にインペラ66を具備する攪拌装置67を設けることにより、冷却容器10内の冷却用液体金属ナトリウム3を攪拌することができる。これにより、ホットスポットを防ぐとともに金属材料1の冷却が促進され、均一で高い冷却速度を得ることができる。
【0064】
また、攪拌装置67の配置を考慮することで、冷却容器10内の液体金属ナトリウム3に旋回流を生じさせ、液体金属ナトリウム3に浮遊している不純物を遠心力を利用して、分離し、図には記載していない捕集装置により捕集することで、効率よくナトリウムを純化することもできる。
【0065】
図10は、本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置のうち、冷却容器10に内蔵する液体金属ナトリウムを循環させるために電磁ポンプ65を設置した図である。
【0066】
冷却容器10の内側に円筒状の流路形成ライナ64を設け、流路形成ライナ64の上端は冷却容器10内のナトリウム液面201より低いレベルとし、下端は冷却容器10下部空間に開放され、冷却容器10と流路形成ライナ64とで形成される環状の間隙部205に環状の電磁ポンプ65を設ける。流路形成ライナ64内側の冷却用液体金属ナトリウム3が間隙部205に下部から流入し、電磁ポンプ65で上方に駆動された冷却用液体金属ナトリウム3が流路形成ライナ64の内側上部に戻る。これにより、冷却容器10内の冷却用液体金属ナトリウム3を攪拌することができる。
【0067】
以上のような構造となっているため、熱処理時には、ホットスポットを防ぐとともに金属材料1の冷却が促進され、均一で高い冷却速度を得ることができる。また、本装置は、可動部分がないため保守も容易である。
【0068】
図11は、本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置のうち、冷却容器10内の液体金属ナトリウム中の沈殿物を捕集するために窪み68を設置した図である。冷却容器10の最底部に下方に向かって窪み68を設け、冷却容器10外に設けた沈殿物回収容器69と窪み68を配管70で接続している。沈殿物回収容器69を最下部に配置し、自由落下で移送することとしている。配管70の途中には弁71が設けられ、これを開操作して沈殿物を冷却容器10外に排出することができる。
【0069】
上記のように構成されているため、冷却容器10内の液体金属ナトリウム3中の沈殿物は、冷却の際の攪拌にもかかわらず窪み68に確実に捕集され、効率よく、容器外へ排出することができる。
なお、窪み68と沈殿物回収容器69の間の沈殿物の移送のために、配管70の途中にポンプ(図示せず)を配置することもできる。
【0070】
図12は、本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置のうち、冷却容器10に内蔵する液体金属ナトリウムの沈殿物の捕集用に磁石を設置した図である。すなわち、冷却容器10内に沈殿する鉄粉などの磁性体沈殿物を捕集するために、冷却容器10の外側に磁力吸着装置73を設けている。このため、液体金属ナトリウム3中に沈殿している磁性体不純物は、冷却容器10内の磁力吸着装置73の周辺に集められ、攪拌によっても移動することがない。
【0071】
また、冷却容器10内に液体金属ナトリウム3中の鉄粉などの磁性体の沈殿物を捕集するための手段として、電磁石72を浸漬して砺磁する。これにより、磁性体沈殿物を捕集することができ、冷却容器10外に取り出した後、消磁することで容易に分離することもできる。
【0072】
なお、図12では、ナトリウム中に浸漬する電磁石72と、冷却容器10外の磁力吸着装置73の両方を設置した例を示しているが、これらの一方だけを利用してもよいことはいうまでもない。
【0073】
図13は、本発明に係るナトリウム加熱、冷却による金属材料の熱処理装置のうち、液体金属ナトリウムを滴下中に加熱して金属材料1に降りかけて加熱した後に、冷却容器10に内蔵する液体金属ナトリウム中に浸漬して冷却をする場合の図である。冷却用の液体金属ナトリウム3を内蔵した冷却容器10の上に、液体金属ナトリウムを流下させるナトリウム流下装置100と、流下されたナトリウムを途中で熱処理に必要な温度に加熱できる加熱装置101を設けている。
【0074】
上記のように構成されているので、金属材料1は、冷却容器10内のナトリウム液面201の上方で、液体金属ナトリウム流下装置から流下され、加熱装置101で加熱された加熱用の液体金属ナトリウム3を降りかけられて加熱される。金属材料1は、所定の加熱温度に達した後、冷却用の液体金属ナトリウム3に浸漬され冷却が行なわれる。
【0075】
これにより、短時間で効率よく加熱・冷却することができる。加熱・冷却とも液体金属ナトリウムを用いているため、冷却容器10内に加熱用の液体金属ナトリウムが落下しても問題ない。
【0076】
図14は、本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置のうち、金属材料1を冷却するための可動型スプレイ冷却装置を示した図である。冷却容器に内蔵した液体金属ナトリウムに熱処理対象の金属材料を浸漬する方法に代わり、以下の方法をとっている。すなわち、冷却容器10内に液体金属ナトリウム3を微細な小滴状にしてスプレイできる複数の噴射ノズル62を備え、熱処理の対象となる金属材料1を取り囲むようにリング状のヘッダ61を設けている。さらにこのヘッダ61は、駆動装置63により昇降できるようになっている。このヘッダ61には、冷却容器10外部から供給配管58、ホース59、ヘッダ供給配管60を介して液体金属ナトリウム3が供給される。
【0077】
以上のように構成されているため、加熱された金属材料1は、冷却容器10内に移動した後、ヘッダ61から、昇降しながら、冷却用の液体金属ナトリウムを噴霧され短時間で効率よく冷却される。
【0078】
上記説明ではヘッダ61を上下方向に移動できるものとしたが、変形例として、ヘッダ61を動かさずに、噴射ノズル62の向きを動かすことも考えられる。さらに、ヘッダ61や噴射ノズル62を動かさずに、金属材料1を動かすことも考えられる(図示せず)。これらの組合せも可能である。
【0079】
また、図には示していないが、熱処理対象の金属材料のうち、熱処理を行ないたくない部分については、熱処理前に、熱伝達率の低いステンレス鋼材などの金属製カバーを取付けることにより、部分的に熱処理されることを防止することもできる。
【0080】
図15は、本発明に係るナトリウム加熱、冷却による金属材料の熱処理装置のうち、加熱容器に冷却用液体金属ナトリウムを噴霧冷却する手段を設けた図である。
【0081】
液体金属ナトリウム3を内蔵する加熱容器91には、金属材料1を所定の温度まで上げることのできる加熱装置93が加熱容器91外側に設けられている。この加熱容器91に金属材料1を移動し、浸漬する装置として移動装置7が設けられている。
【0082】
加熱容器91内には、金属材料1が浸漬できるだけの加熱用の液体金属ナトリウム3が貯蔵されており、ナトリウム液面201の上方には冷却用の液体金属ナトリウム3を噴霧できる噴射ノズル95を持ったヘッダ94が設置されている。このヘッダ94には、冷却用液体金属ナトリウム3のはいった供給タンク97から、配管98、ポンプ96、弁99を介して冷却用の液体金属ナトリウム3が供給される。
【0083】
以上のように構成されているため、金属材料1は加熱容器91中の液体金属ナトリウム3で加熱された後、移動機構7で、直上にナトリウム液面201の上方に持ち上げられ、その後すぐに、冷却用の液体金属ナトリウム3を噴射ノズル95から噴霧される。これにより、短時間で効率よく加熱・冷却することができる。加熱冷却とも液体金属ナトリウムを用いているため、加熱容器91内で冷却のために液体金属ナトリウムを噴霧しても問題ない。
【0084】
図16は、本発明に係るナトリウム加熱、冷却による金属材料の熱処理装置のうち、ナトリウム噴霧により加熱と冷却を行なうこととした場合の図である。冷却容器10内に加熱用液体金属ナトリウムを噴霧できる複数の噴射ノズル103を持った複数個の加熱用ヘッダ102を設け、その加熱用ヘッダ102には冷却容器10の外側に設けた加熱用液体金属ナトリウム供給装置104から加熱用液体金属ナトリウムを供給できる。
【0085】
さらに、加熱用ヘッダ102の下方には、冷却用液体金属ナトリウムを噴霧できる複数の噴射ノズル106を持った複数個の冷却用ヘッダ105を設け、冷却用ヘッダ105には冷却容器10の外側に設けた冷却用液体金属ナトリウム供給装置106aから冷却用液体金属ナトリウムを供給できる。ヘッダ102、105はいずれも冷却容器10の内壁に沿って設けられている。
【0086】
上記構成において、金属材料1は、移動機構7で初めに加熱用ヘッダ102に位置合わせされ、加熱用液体金属ナトリウムを噴霧され、所定の温度に加熱される。引き続いて、移動機構7で冷却用ヘッド105に位置合わせされ、冷却用液体金属ナトリウムを噴霧され、所定の温度に冷却される。
【0087】
加熱・冷却とともに液体金属ナトリウムを噴霧するため、効率よく加熱・冷却することができる。また、ともに液体金属ナトリウムを使用するため一つの容器で熱処理作業が行なえ、スペースメリットも大きい。
【0088】
加熱用ヘッダ102と冷却用ヘッダ105の上下関係を逆にすることもできる。また、上記説明では、移動機構7を用いて、初めに加熱用ヘッダ102に位置合わせし、次に冷却用ヘッダ105に位置合わせするように金属材料1を移動するものとしたが、噴射ノズル103、106の向きを調整することにより、金属材料1を移動することなしに加熱と冷却を行なうことも可能である。
【0089】
図17は、本発明に係るナトリウム加熱よる金属材料の熱処理装置のうち、高周波を用いて液体金属ナトリウムを加熱する場合の図である。液体金属ナトリウム3を内蔵する加熱容器91の内に高周波発生装置90を設け、高周波発生装置90間を例えば板状の金属材料1を浸漬し、連続通過した状態で高周波を加えることにより、液体金属ナトリウムを介して板状の金属材料1を加熱することができる。引き続き、ガイドローラ115で方向転換され加熱された板状の金属材料1を、冷却用の液体金属ナトリウム3を内蔵する冷却容器10内に浸漬して、連続通過した状態で冷却することができる。
【0090】
これにより、効果的に金属材料を加熱できるとともに、金属材料の生産工程においても連続的に熱処理を行なうことができる。なお、高周波発生装置90の設置位置は、容器外とすることもできる。また、熱処理対象の材料は、上記説明では、板状としたが、線状や管状など種々の形状の部品などでもかまわない。
【0091】
図18は、本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置のうち、漏洩したナトリウムの回収および漏洩検知と窒素ガスを自動放出することができる気密セルを示した図である。ナトリウムを内蔵する設備については、すべて気密性を持った気密セル107内に収容する。また、その中は不活性なガスで充填するものとする。これにより、水と激しく反応する液体金属を閉じ込め、水分と隔離することができる。
【0092】
また、気密セル107の底部を構成する部分には、漏出したナトリウムの回収を容易にするための勾配を設けるとともに最下部には漏洩ナトリウム収集升108を設けている。さらに、漏洩ナトリウム収集升108には接触式ナトリウム漏洩検知器109を設け、その信号は漏洩監視回路に接続し警報を発生させるとともに、万一、気密セル107中の雰囲気ガスも漏れている場合は、手動または自動で不活性なガスを放出するガス供給装置110を備えている。
【0093】
これにより、漏洩した液体金属ナトリウムの収集を容易にするとともに、漏洩の早期検出が図れる。また、警報を出すこともできるので、早期対応が図れるとともに、ガス供給装置により早期消火が期待できる。
【0094】
図19は、本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置のうち、ナトリウムを含んだガスを冷却するにあたり不活性なガスを使用した図である。ナトリウム冷却設備またはナトリウム純化設備などのナトリウム循環ループ14の配管の途中に熱交換器111を設け、熱交換器111と空気冷却器15の間は循環ループ112を構成している。循環ループ112には循環ブロア113が設けられるとともに、ガス供給設備114を設け、ガス供給設備114から供給される不活性なガスを用いた冷媒により、循環ブロア113の駆動源を利用して循環させ、熱交換器111にて液体金属ナトリウムの除熱を行ない、空気冷却器15にて、外気に放熱することにより液体金属ナトリウムを冷却することができる。
【0095】
以上のようにナトリウム冷却において、直接冷却する部分に不活性なガスを使用しているため、安全性が向上する。
以上、本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置の種々の実施の形態を説明したが、これらの実施の形態の構成の特徴を適宜組み合わせることも可能である。
なお、この明細書で「ナトリウム」は、純粋ナトリウムに限らず、カリウムやリチウムなどを含有するものも含む。
【0096】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、安全でかつ信頼性が高く、液体金属ナトリウムの優れた熱処理特性を十分生かすことのできる金属材料の熱処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置の一実施の形態の概略構成図。
【図2】図1のナトリウムを用いた熱処理装置における、主に付帯設備の系統構成を示した概略構成図。
【図3】本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置において、サイホン管による液体金属ナトリウム排出手段を設置した場合の一実施の形態を示す模式的立断面図。
【図4】本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置において、オーバフローを利用した溢流防止および浮遊不純物回収手段を設置した場合の一実施の形態を示す模式的立断面図。
【図5】本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置において、冷却容器内の液体金属ナトリウムの温度制御手段を設置した場合の一実施の形態を示す模式的立断面図。
【図6】本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置において、冷却容器内に交換可能な保護ライナを設置した場合の一実施の形態を示す模式的立断面図。
【図7】本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置において、ナトリウムが保護ライナからオーバフローした時にも冷却容器の内壁を保護する構造の一実施の形態を示す模式的立断面図。
【図8】本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置において、冷却容器内のナトリウム液面の制御により金属材料を浸漬する手段を設置した場合の一実施の形態を示す模式的立断面図。
【図9】本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置において、冷却容器内の液体金属ナトリウムを循環させるためにインペラを具備する攪拌装置を設置した場合の一実施の形態を示す模式的立断面図。
【図10】本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置において、冷却容器内の液体金属ナトリウムを循環させるために電磁ポンプを設置した場合の一実施の形態を示す模式的立断面図。
【図11】本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置において、冷却容器内の液体金属ナトリウム中の沈殿物を捕集するために窪みを設置した場合の一実施の形態を示す模式的立断面図。
【図12】本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置において、冷却容器内の液体金属ナトリウム中の沈殿物の捕集用に磁石を設置した場合の一実施の形態を示す模式的立断面図。
【図13】本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置において、液体金属ナトリウムを滴下中に加熱して金属材料に降りかけるとともに、冷却容器内の液体金属ナトリウムで冷却をする手段を設置した場合の一実施の形態を示す模式的立断面図。
【図14】本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置において、金属材料を冷却するための可動型スプレイ冷却装置を設置した場合の一実施の形態を示す模式的立断面図。
【図15】本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置において、加熱容器に冷却用液体金属ナトリウムを噴霧して冷却する手段を設置した場合の一実施の形態を示す模式的立断面図。
【図16】本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置において、ナトリウム噴霧により加熱と冷却を行なう手段を設置した場合の一実施の形態を示す模式的立断面図。
【図17】本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置において、高周波を用いて液体金属ナトリウムを加熱する手段を設置した場合の一実施の形態を示す模式的立断面図。
【図18】本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置において、漏洩したナトリウムの回収および漏洩検知と不活性なガスを自動放出することができる気密セルを設置した場合の一実施の形態を示す模式的立断面図。
【図19】本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置において、ナトリウムを含んだガスを冷却するにあたり不活性なガスを使用する手段を設置した場合の一実施の形態を示す模式的立断面図。
【符号の説明】
1…金属材料、2…加熱部、3…液体金属ナトリウム、4…冷却部(第1の冷却部)、5…ホットセル部、6…ナトリウム除去・冷却部(第2の冷却部)、7…移動機構、8…扉(開閉装置)、8a…気密扉(エアロック)、9…処理容器、10…冷却容器、11…供給ノズル、12…回収ノズル、13…電磁ポンプ、14…循環ループ(循環系統)、15…冷却装置、16…ナトリウムヘッダ、17…フィン付きチューブ、18…ケーシング、19…排気ダクト、20…送風機、21…ダンパ、22…配管、23…電磁ポンプ、24…熱交換器、25…純化装置、25a…コールドトラップ、26…ドレンタンク、27a,27b…ドレン配管、28a,28b…ドレン弁、29…純化装置、30…配管、31…弁、32…ナトリウム供給口、33…配管、34…弁、35…真空ポンプ、36…ベーパトラップ、38…サイホン配管、39…オーバフロー受口、40…オーバフロー配管、41a,41b,41c,41d,41e…温度計、42a,42b,42c,42d,42e…電気ヒータ、43…ポンプ、45…フランジ、46…保護ライナ、47…オーバフローノズル、49…切り込み、50…桶、51…配管、52…追加用液体金属ナトリウム、53…バッファタンク、54…圧縮機、55…配管、56a,56b…弁、57…電磁ポンプ、58…供給配管、59…ホース、60…ヘッダ供給配管、61…ヘッダ、62…噴射ノズル、63…駆動装置、64…流路形成ライナ、65…電磁ポンプ、66…インペラ、67…攪拌装置、68…窪み、69…沈殿物回収容器、70…配管、71…弁、72…電磁石、73…磁力吸着装置、74…ガス供給設備、74a…ガスシール、75…ガス流量調整弁、76…結露装置、77…真空ポンプ、78…ベント弁…、79…ベント管、80…ガス抜きポット、82…開放型マノメータシール、83…放出ライン、84…ガス供給装置、85…配管、86…弁、87…ガス噴出口、89…雰囲気ガス攪拌装置、90…高周波発生装置、91…加熱容器、93…加熱装置、94…ヘッダ、95…噴射ノズル、96…ポンプ、97…冷却用液体ナトリウム供給タンク、98…配管、99…弁、100…ナトリウム流下装置、101…加熱装置、102…加熱用ヘッダ、103…噴射ノズル、104…加熱用液体金属ナトリウム供給装置、105…冷却用ヘッダ、106…噴射ノズル、106a…冷却用液体金属ナトリウム供給装置、107…気密セル、108…漏洩ナトリウム収集升、109…接触式ナトリウム漏洩検知器、110…ガス供給装置、111…熱交換器、112…循環ループ、113…循環ブロア、114…ガス供給設備、115…ガイドローラ、116…金属材料の供給装置、117…金属材料の巻取り装置、201…ナトリウム液面、202…サイホン管貫通部、205…環状の間隙部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体金属ナトリウムを用いて固体金属材料の熱処理を行なう装置に係り、特に、固体金属材料の強度、硬さおよび寸法精度などを向上させ、表面の耐摩耗性や耐腐食性などの材料性能を改善することに適した熱処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属材料の熱処理の方法としては、電気炉、ガス炉、真空炉または直接の直火や高周波で加熱した金属材料をガス、水、油、ポリマーなどの冷却剤で冷却する方法が採られている。この金属材料の熱処理性能は、冷却速度や冷却温度や冷却パターンに大きく依存していることが知られている。冷却速度を上げる手段としては、冷却剤を攪拌したり、ジェットで吹き付けたりしている。また、より高温でも沸騰せずに急冷が可能な溶融塩や金属の錫や鉛を溶融して冷却剤として用いられている冷却方法も知られている。
【0003】
その一つとして、冷却速度が高い、焼き割れがない、熱処理変形が非常に少ないという熱処理特性の優れた液体金属ナトリウムを用いる方法も提案されている。特開2002−12917号公報の図5に示されているように、液体金属ナトリウムは、水や油やポリマーなどの他の冷却剤に比べて格段に冷却速度が高い。これは、水や油やポリマーでは、冷却の際に、金属表面との間で蒸気膜が形成されるからである。この事象は、冷却速度を遅くするだけでなく熱処理金属に部分的な温度差を生じさせ、その結果、変形や割れが発生する要因にもなっている。液体金属ナトリウムを用いる熱処理方法は、上記公報のほかに、例えば、特開2000−345236号公報にも開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
液体金属ナトリウムは、前述のように優れた熱処理特性を持っているが、水と激しく反応するという特性をもっているため、取扱いが困難である。したがって金属材料の熱処理にナトリウムを使用するためには、その物性を考慮して、安全でかつ信頼性が高い装置が必要となる。また、液体金属ナトリウムの優れた熱処理特性を十分に生かすことができる熱処理装置が望まれる。
【0005】
本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、その目的は、安全でかつ信頼性が高く、液体金属ナトリウムの優れた熱処理特性を十分に生かすことのできるナトリウムを用いた金属材料の熱処理装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するものであって、請求項1に記載の発明は、固体の金属材料を融点よりも低い所定の温度まで加熱する加熱部と、冷却用液体金属ナトリウムを内蔵し前記金属材料を前記液体金属ナトリウム内に浸漬することによって前記金属材料を第1の冷却温度まで冷却するための冷却容器を有する第1の冷却部と、前記液体金属ナトリウムで第1の冷却温度まで冷却された前記金属材料を前記第1の冷却部から取り出した後に前記金属材料を前記第1の冷却温度よりも低い第2の冷却温度まで冷却する第2の冷却部と、前記金属材料を、前記加熱部、第1の冷却部および第2の冷却部の間で移動させる移動機構と、前記加熱部、第1の冷却部および第2の冷却部の相互の間で各々随時に、前記金属材料を移動できるように開放し、また随時に遮断することのできる開閉装置と、を内蔵した気密性の処理容器を具備し、前記冷却容器内の液体金属ナトリウムを前記処理容器の外に取り出して循環し、当該液体金属ナトリウムを冷却する冷却装置を有する循環系統を前記処理容器の外に具備すること、を特徴とする。
【0007】
また、請求項35に記載の発明は、冷却用液体金属ナトリウムを内蔵し、固体の金属材料を前記冷却用液体金属ナトリウム内に浸漬することによって前記金属材料を冷却するように構成された容器と、前記金属材料を、前記冷却容器内で、前記冷却用液体金属ナトリウムの液面の上方から下方に移動する移動手段と、前記金属材料が前記容器内で、前記冷却用液体金属ナトリウムの液面の上方にあるときに前記金属材料を加熱するための加熱用液体金属ナトリウムを前記金属材料の表面に流す加熱ナトリウム供給手段と、前記加熱用液体金属ナトリウムを加熱する加熱手段と、を具備すること、を特徴とする。
【0008】
また、請求項36に記載の発明は、気密性の処理容器と、この処理容器内に配置され、固体の金属材料を融点よりも低い所定の温度まで加熱する手段と、前記処理容器内に配置され、前記加熱手段で加熱された前記金属材料の表面に冷却用液体金属ナトリウムを噴射する複数の噴射ノズルと、前記複数の噴射ノズルの前記金属材料に対する相対位置および向きのうちの少なくとも一方を変化させる駆動手段と、を具備すること、を特徴とする。
【0009】
また、請求項38に記載の発明は、加熱用液体金属ナトリウムを内蔵し、固体の金属材料を前記加熱用液体金属ナトリウム内に浸漬することによって前記金属材料を加熱するように構成された容器と、前記加熱用液体金属ナトリウムを加熱する加熱手段と、前記加熱用液体金属ナトリウム内に浸漬された金属材料を、前記容器内で前記加熱用液体金属ナトリウムの液面の上方に引き上げる移動手段と、前記金属材料を前記液面の上方に引き上げた後に、前記加熱用液体金属ナトリウムよりも低温の冷却用液体金属ナトリウムを前記金属材料に噴射する噴射手段と、を具備すること、を特徴とする。
【0010】
また、請求項39に記載の発明は、固体の金属材料を収容する容器と、前記金属材料の表面に前記容器内で高温の液体金属ナトリウムを噴射して前記金属材料を加熱する手段と、前記加熱された前記金属材料の表面に前記容器内で低温の液体金属ナトリウムを噴射して前記金属材料を冷却する手段と、を具備すること、を特徴とする。
【0011】
また、請求項40に記載の発明は、加熱用液体金属ナトリウムを内蔵し、固体の金属材料を前記加熱用液体金属ナトリウム内に浸漬することによって、前記金属材料をその融点よりも低い所定の加熱温度まで加熱するように構成された加熱容器と、冷却用液体金属ナトリウムを内蔵し、前記金属材料を前記冷却用液体金属ナトリウム内に浸漬することによって、前記加熱温度まで加熱された前記金属材料を所定の冷却温度まで冷却するように構成された冷却容器と、前記金属材料を前記加熱容器から前記冷却容器に移動する手段と、を具備し、前記加熱容器には、高周波加熱手段が設けられていること、を特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、全図面にわたり、同一または類似の構成要素には同一符号を付し、重複説明は省略する。
図1は、本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置の一実施の形態の概略構成図である。
【0013】
本実施の形態におけるナトリウムを用いた熱処理装置は、気密性を有する処理容器9を有し、処理容器9内に、固体の金属材料1を所定の温度(金属材料1の融点より低い温度)まで加熱する1個または複数個の加熱部2と、冷却用液体金属ナトリウム3を内蔵し金属材料1を第1の温度まで冷却する1個または複数個の冷却容器10を有した冷却部(第1の冷却部)4とが配置されている。処理容器9内にはさらに、加熱部2と冷却部4とを接続するホットセル部5と、冷却用液体金属ナトリウム3で熱処理された金属材料1からナトリウムを除去し第2の温度(第1の温度より低い温度)まで冷却するナトリウム除去・冷却部(第2の冷却部)6とが配置されている。
【0014】
上記各構成部分は、熱処理工程に従って配置されており、熱処理の対象になる金属材料1は、移動機構7によってその間の移動が行なわれる。また、おのおのの構成部分は1個または複数個の扉(開閉装置)8で遮断されている。また、処理容器9には、金属材料1を搬出入するために気密扉もしくはエアロック8aが設けられている。なお、図1は、移動機構7によって金属材料1が冷却容器10内の液体金属ナトリウム3中に浸漬された状態を示している。また、別の金属材料1が加熱部2に配置された状態を示している。
【0015】
なお、この図は、扉8、8aがすべて開いた状態を示しているが、扉8、8aは、それぞれ随時に開閉でき、金属材料1を移動できるようになっている。実際の運用では、例えば、扉8、8aは一つずつ開き、他は閉じておく。
【0016】
この装置において、熱処理のための金属材料1は、加熱部2で加熱された後、冷却部4で液体金属ナトリウム中に浸漬されて冷却される。その後、さらに常温まで下げるとともにナトリウムウムを除去するためにナトリウム除去・冷却部6へ移動される。
【0017】
以上のように構成されているため、熱処理工程の中で発生するナトリウムを外気と接触させずに容器の中で一連の熱処理を完成させることができる。また、冷却工程に対して処理時間の長い加熱工程を複数化することで、冷却部の稼働率を上げることができ、ひいては、全体の効率を上げることができる。さらに、複数の冷却部を持つことで、異なる冷却条件を用意できるという利点もある。加えて、加熱部、冷却部とも複数とすることで、各部の単一故障による全工程停止を防ぐこともできる。また、生産工程に大幅な調整代を設けることができる。
【0018】
この装置は、各部ごとに隔離されているので、ナトリウム雰囲気の拡散を防止できるとともに、万一災害が発生した場合でも、その被害を最小限に抑えることができる。冷却容器10は、上部が開放された円筒容器であり下部は鏡板をなしている。冷却容器10の上端にはフランジまたは溶接継手が設けられ、上部から支持できるとともに、気密性を有した接続ができる構成となっている。また、胴部にスカートを設けて地上の基礎台に固定し支持することもできる(図示せず)。この場合は、冷却容器10上端に伸縮継手を設けることにより、冷却容器10の熱変位差を吸収できる。
【0019】
さらに、冷却容器10の上端のフランジ継手面に二重Oリング(図示せず)を設けることで気密性を高められるとともに、二重Oリング間の雰囲気をサンプリングすることにより、処理容器9内の雰囲気ガスまたは内蔵されるナトリウムの漏洩を検知することができる。
【0020】
また、冷却容器10には、金属材料1を冷却するための冷却用液体金属ナトリウム3を供給する1個または複数個の供給ノズル11と、金属材料1の冷却に使用し温度が上昇した冷却用液体金属ナトリウム3を回収する1個または複数個の回収ノズル12を備えている。冷却容器10内の通常時のナトリウム液面201は、供給ノズル11および回収ノズル12の上方に位置する。
【0021】
冷却容器10の外側で回収ノズル12から供給ノズル11に至る間は、冷却装置15、純化装置25を介して配管で接続される循環ループ(循環系統)14が構成される。この間の液体金属ナトリウム3の循環は電磁ポンプ13により行なわれる。
【0022】
このため、処理容器9に多くの貫通部を設ける必要がなく、高い信頼性が期待できる。また、液体金属ナトリウムの駆動に電磁ポンプ13を使用していることから、装置側に可動部分がなく、アクセスが難しいナトリウム取扱いにおいて安定した運転が期待できる。また、必要に応じ流量を変化させることができ、さらに、電磁ポンプの場合は保守がほとんど不要になる。
【0023】
冷却容器10内の冷却用液体金属ナトリウム供給ノズル11は、その吐出方向を調整することで、冷却容器10内の液体金属ナトリウムを攪拌することもできる。これにより、金属材料を瞬時に冷却させることが可能である。
【0024】
ナトリウム冷却装置15には、冷却容器10の回収ノズル12より、電磁ポンプ13を駆動源として熱処理の冷却に使用し温度が上昇した冷却用液体金属ナトリウム3が移送されてくる。この液体金属ナトリウム3は、冷却装置15のケーシング18内のナトリウムヘッダ16に供給され、複数のフィン付きチューブ17を経由して、冷却容器10に戻される。ケーシング18内では、送風機20から排気ダクト19に向かって冷却用の空気が送られ、熱交換される。冷却装置15のナトリウム出口温度が予め設定された温度となるように送風機20の出口には、送風量を調整できるダンパ21が設けられている。
【0025】
ナトリウム純化装置25は、金属材料1の冷却に使用した不純物を含んだ冷却用液体金属ナトリウム3を回収する回収ノズル12からの循環ループ14の途中から、一部または全部を純化系配管22にて分岐し、コールドトラップ25aを通過させることにより、液体金属ナトリウム3中の不純物を析出し純化するものである。純化系配管22のナトリウム純化装置25上流側には、冷却用液体金属ナトリウム3を駆動させる電磁ポンプ23と、熱効率を高めるための熱交換器24が設けられている。ナトリウム純化装置25で純化された液体金属ナトリウム3は循環ループ14に戻される。
【0026】
コールドトラップ25aは、冷却された金属メッシュや金網などで構成するフィルタを内蔵する。コールドトラップ25aの金属メッシュや金網などの冷却は、空気冷却、窒素またはアルゴンなどのナトリウムに対して不活性ガス(以下、単に「不活性なガス」と呼ぶ)などの気体状冷却冷媒による冷却または油などの液体状冷却媒体による冷却が利用される。
【0027】
ナトリウム純化装置は、以上のように構成されているため、純化後のナトリウムを系統に戻す際の昇温補助ができ、経済性改善が図れる。
また、純化系統は、好ましくは複数設ける。純化系統を複数設けることにより、熱処理装置連続運転中の保守も容易に行なうことができる。
【0028】
冷却容器10と循環ループ14内の液体金属ナトリウム3を一時的に系統外に貯留できるようドレンタンク26が設けられている。ドレンタンク26までの液体金属ナトリウム3の移送は、ドレン配管27a、27bを介してして行なわれる。移送手段としては、各種のポンプが考えられるがここでは、ドレンタンク26の位置を最下部におき、ドレン配管27a、27b途中のドレン弁28a、28bを開放することで、重力により落下させることとしている。
【0029】
ドレン系統の設置により、系統内の液体金属ナトリウムの量を調整することができる。また、自由落下による移送であれば、装置の保守も不要となる。また、このドレン系統は、図には記載していない液体金属ナトリウム3漏洩検出装置により、処理容器9からの漏洩が確認された場合に、安全確保のため一時的に系統外へ残留液体金属ナトリウムをすべて移送する手段としても使用され、安全性が確保される。
【0030】
さらに、このドレンタンク26内にナトリウム純化装置29を設けることもできる。これにより、別置の純化装置25などを省略して合理化を図ることもできる。
【0031】
また、ドレンタンク26に内蔵する冷却用液体金属ナトリウム3を循環ループ14の配管を経由して冷却容器10内に供給できるように、配管30および弁31と、供給用の電磁ポンプ57を設けている。
【0032】
さらに、ドレンタンク26には、初期に液体金属ナトリウムを充填する場合もしくは不足した液体金属ナトリウムの補充を行なうために、外部のナトリウムコンテナと接続が可能なナトリウム供給口32と配管33と弁34を設ける。
【0033】
また、密閉性のある容器であるナトリウム除去・冷却部6には、空間を真空に引くことのできる真空ポンプ35と、その際にあわせて吸引される可能性のあるナトリウムを捕集するベーパトラップ36を備えている。
【0034】
これにより、冷却容器10内で金属材料1に付着して、この金属材料1とともにナトリウム除去・冷却部6内に持ち込まれるナトリウムを、真空蒸発させて除去することができる。ベーパトラップ36は、冷却させて金属ナトリウムを固化、捕集するもので、真空ポンプ吸引配管の途中に設置することで、ナトリウム蒸気の外部への漏出を防ぐことができる。
【0035】
また、本図には記載していないが、熱処理後のナトリウム除去の手段としてナトリウム除去・冷却部6において、金属材料1に水またはアルコール水溶液を噴霧する装置や、水またはアルコール水溶液を貯蔵した容器を設置し、熱処理後の金属材料1に水またはアルコール水溶液を接触もしくはその中に浸漬させることができる。これにより、ナトリウムが除去できるとともに、金属材料表面に不動態層を形成させ、表面状態の改善が期待できる。
【0036】
また、ここでは、一連の熱処理作業を密閉された処理容器9内ですべて行なうこととしたが、各工程ごとに処理区画を独立させてもよい。その場合は、金属材料1を処理区画間で移動させるために気密性を有した容器に内包して行なう。これにより、金属表面に付着した残留ナトリウムの水分との接触による反応を抑制することができる。
【0037】
上記、ナトリウムによる金属材料の熱処理装置は、処理容器9および付帯設備を一式、ユニット化し可搬式とすることもできる。これにより、装置ごと船舶、車両への搭載可能となり、必要な場所への移動が容易となり、さらに移動先での運転開始までの期間を短くすることができる。
【0038】
また、本図には記載していないが、処理容器9の外には電子計算機を配置し、処理容器9内に設けた圧力や温度などの環境や移動機構7の動きを検出する計器から信号を受け取り、一連の熱処理作業の状態を表示するとともに、遠隔または自動でその進行を行なうことができる。本熱処理作業は、ナトリウム雰囲気下での作業となるため、遠隔・自動操作により、作業員の大幅な負担軽減となる。
【0039】
さらに、上記計算機は、金属材料1の材質、質量、形状、体積、温度などの固有のデータをもとに液体金属ナトリウム3浸漬時のナトリウム温度・液位また金属材料1そのものの温度などの変化を演算し、予め記憶された熱処理に最適な冷却終息温度など熱処理に必要なデータと照らし合わせて冷却容器内の液体金属ナトリウム供給温度、供給流量、浸漬前液位、浸漬方法などを自動で制御する機能も有している。これにより、最適な熱処理が容易に行なえる。
【0040】
加えて、上記計算機は、冷却容器10内の液体金属ナトリウム3の固化温度を測定する温度計からも信号を受け取り、不純物が増えると固化温度が変化する性質を利用して、前記液体金属ナトリウム3の純度を判断し、その純度に応じて純化装置25への前記液体金属ナトリウム3の流量を調整するとともに、純化装置25において不純物析出のために必要な除熱風量を制御する機能を有している。これにより、ナトリウムを安定した状態で純化することが可能となる。
【0041】
さらに、上記計算機は、予め設定された金属材料1の熱処理条件や熱処理中の状態を監視する計器からのデータを記録・保管・出力する機能も有している。これによれば、熱処理状況の記録を明確に残すことができ、現物と照らし合わせて、それ以降の熱処理作業の改善に役立てることが可能である。
【0042】
図2は、図1に示したナトリウムを用いた熱処理装置のうち、主に付帯設備の系統構成を示した図である。
処理容器9内部および液体金属ナトリウム3が充填される設備から液体金属ナトリウム3を排出する際に生じる空間に不活性なガスを充填するガス供給設備74を設けている。ガス供給設備74は、処理容器9の外部に設置され、ガス流量調整弁75を介して配管によって処理容器9内に接続さている。これにより、処理容器9内でナトリウムを使用する際には、処理容器9内を不活性なガスで充填することができ、ナトリウムの活性化の抑制を図り、安全に作業を行なうことができる。
【0043】
また、図には記載していないが処理容器9の外に計算機を設置し、処理容器9内に設置した温度変化に伴う冷却用液体金属ナトリウム3の体積変化または前記液体金属ナトリウムの排出作業などによる処理容器9内の圧力変化を検出する圧力計からの信号をもとにガス流量調整弁75の開閉動作を制御し、処理容器9内を適切な圧力に維持することができる。
【0044】
また、処理容器9内には、油などの液体冷却媒体で冷却して雰囲気ガス中のナトリウム蒸気を捕獲することができる結露装置76や、雰囲気ガスを攪拌する装置89を備えている。これにより、処理容器9内のナトリウム蒸気が壁面などに付着することを防止するとともにナトリウム蒸気雰囲気を緩和することができる。
【0045】
また、処理容器9には、配管を介して真空ポンプ77が接続されている。加えて、液体金属ナトリウム3が充填される設備・系統の最上部には、ガス抜き用のベント管79がベント弁78およびガス抜きポット80を介して設けられている。ガス抜きポット80は、ドレンタンク26にも接続されている。
【0046】
上記のように構成されているため、液体金属ナトリウムを初期の段階で充填しようとする際は、予め処理容器9内の空気を真空ポンプ77で引くことができ、水分を含んだ空気と接触させることなく安全に液体金属ナトリウムを充填することができる。
【0047】
また、液体金属ナトリウムを系統・設備に充填していくと、最上部にあるベント管79から、残留空気が抜けていくことになる。最終的には、ここから、充填している液体金属ナトリウムも漏出してしまうことになるが、本装置では、上記のように構成されているため、液体金属ナトリウムは、ガス抜きポット80で滞留し、系統外に漏出することなく、ドレンタンク26に回収される。
【0048】
また、処理容器9と外部空間との間には開放型マノメータシール82が設けられている。これにより、外部雰囲気空間との差圧が計測できるとともに、処理容器9内圧力上昇時の放出ライン83として機能できる。
【0049】
また、冷却容器10上部全周にわたってガス噴出口87が設けられている。このガス噴出口87には、ガス供給装置84から不活性なガスを供給できるようになっている。上記のように構成されているため、冷却容器10内で金属材料1を冷却している際は、帯状の噴出ガスによってガスカーテンを形成することで冷却容器10内の液体金属ナトリウム3のミストを含んだガスの拡散を防止できるとともに、冷却後の金属材料1を取り出す際は、ガスカーテンを通過する際に付着ナトリウムを除去できる。
【0050】
また、処理容器9内でナトリウム蒸気が回り込む恐れがある場所に設けられた可動部には不活性なガスを吹き付けシールする設備74aを設けている。これにより、ナトリウム蒸気の付着による可動部の作動不良を防止することができる。
【0051】
図3は、本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置のうち、サイホン管による液体金属ナトリウムを排出する手段を示した図である。
冷却容器10に内蔵される冷却用液体金属ナトリウム3を冷却容器10の外に排出するための手段として、一端は冷却容器10内の最下部で開放され、冷却容器10の直胴を貫通して冷却容器10外に引き回されるサイホン配管38を設け、もう一端はドレンタンク26底部に開放される構成としている。サイホン配管38が冷却容器10の壁を貫通するサイホン管貫通部202は通常時のナトリウム液面201よりも高い位置にある。
【0052】
これにより、可動部分を使った駆動装置を使用せずに、冷却容器10に内蔵される冷却用液体金属ナトリウム3を冷却容器10の外に排出することができる。液体金属ナトリウムと接触する部分に可動部がないため、保守の必要がなく高い信頼性を期待できる。また、サイホン管貫通部202が通常時のナトリウム液面201よりも高い位置にあることから、サイホン管貫通部202での冷却容器10の損傷によるナトリウムの漏洩を防ぐことができる。
【0053】
図4は、本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置のうち、オーバフローを利用した溢流防止および浮遊不純物回収手段を示した図である。冷却容器10内壁面上方にオーバフロー受口39とそれに接続され溢流ナトリウムを前記冷却容器10外に排出できるオーバフロー配管40を1系統または複数系統設け、オーバフロー配管40の端部はドレンタンク26底部で開放される構成とする。これにより、冷却容器10内のナトリウム液面201がオーバフロー受口39の高さ位置に形成される。したがって、液体金属ナトリウム3の液位を容易に制御できるとともに、オーバフロー受口39もしくはオーバフロー配管40にフィルタ(図示せず)を設けることで、冷却用液体金属ナトリウム3の浮遊不純物を容易に捕集することができる。
【0054】
図5は、本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置のうち、冷却容器10に内蔵する液体金属ナトリウムの温度制御方法を示した図である。冷却容器10内の通常時のナトリウム液面201の下方に複数の温度計41a、41b、41c、41d、41eが配置されている。外部に設けられた計算機(図示せず)が、温度計41a、41b、41c、41d、41eからの情報を受け入れ、冷却用液体金属ナトリウム3に生じる金属材料1からの入熱による温度変化を検出し、予め設定されたナトリウム温度となるようにポンプ43により冷却用液体金属ナトリウム3の供給量を調整し、その結果、冷却容器10内の温度制御を行なうことができる。
【0055】
また、上記計算機は、温度計41a、41b、41c、41d、41eからの情報を受け入れ、冷却容器10内の温度分布を把握するとともに、必要に応じて冷却容器10の外周に設けた複数に分割されたブロック単位毎の電気ヒータ42a、42b、42c、42d、42eを個別にON/OFF制御または出力制御し、熱処理に必要な、温度分布に調整する機能も有している。
【0056】
図6は、本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置のうち、冷却容器10内に交換可能な保護ライナ46を設置した図である。冷却容器10内側に、下端が取り外し可能なフランジ45を有した円筒状の保護ライナ46を液密に接続して立設する。保護ライナ46の上端は開いていて、通常時のナトリウム液面201よりも高い位置にある。また、保護ライナ46をオーバフローして保護ライナ46と冷却容器10の間の環状部に入った液体金属ナトリウムを回収するために、冷却容器10にオーバフローノズル47を設けている。
【0057】
これにより、熱処理に伴う液体金属ナトリウム3の温度変化による冷却容器10内壁の繰返し熱負荷の軽減が図れる。保護ライナ46は固定でもかまわないが、フランジで冷却容器10と接合する構造とすることで、劣化による交換も容易となる。
【0058】
また、冷却容器10の供給ノズル11より、冷却容器10内に冷却用液体金属ナトリウム3を供給し、保護ライナ46内のナトリウム液面201を図6の状態よりも上昇させて、保護ライナ46の上端から強制的にオーバフローさせることで、冷却用液体金属ナトリウム3を保護ライナ46と冷却容器10壁の隙間に冷却用液体金属ナトリウム3液面に浮遊する不純物を強制的に溢流させ効率的に捕集することもできる。
【0059】
図7は、本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置のうち、液体金属ナトリウムが保護ライナ46からオーバフローした時にも冷却容器10の内壁を保護する構造を示した図である。保護ライナ46の直胴部上端に複数の三角堰状の切り込み49を設け、保護ライナ46外側には切り込み49部に接続される桶50および配管51によって、冷却容器10から溢流する液体金属ナトリウム3を直接冷却容器10内壁に接触させることなく、冷却容器10外に排出することができる。これにより、万一保護ライナ46から液体金属ナトリウム3が溢流した場合でも、冷却容器10内壁を保護することができる。
【0060】
図8は、本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置のうち、冷却容器10内のナトリウム液面201の制御により金属材料を浸漬する手段を示した図である。冷却容器10への液体金属ナトリウム3供給配管55の途中に、追加用液体金属ナトリウム52を内蔵したバッファタンク53が設けられている。バッファタンク53は、圧縮機54で加圧されており、また、冷却容器10内のナトリウム液面201よりも高い位置に配置されている。バッファタンク53と供給配管55の間は、弁56bで仕切られている。
【0061】
上記構成において、熱処理する金属材料1を冷却容器10内のナトリウム液面201の上方に移動させた後、供給配管55側の弁56aを閉鎖し、バッファタンク53側の弁55bを開放すると、バッファタンク53内の追加用液体金属ナトリウム52は、圧縮ガスの圧力と重力とによって冷却容器10に供給される。これにより、冷却容器10内のナトリウム液面201を瞬時に上昇させることができ、金属材料1を浸漬できる。
【0062】
図9は、本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置のうち、冷却容器10に内蔵する液体金属ナトリウムを循環させるためにインペラ66を具備する攪拌装置67を設置した図である。
【0063】
冷却容器10内にインペラ66を具備する攪拌装置67を設けることにより、冷却容器10内の冷却用液体金属ナトリウム3を攪拌することができる。これにより、ホットスポットを防ぐとともに金属材料1の冷却が促進され、均一で高い冷却速度を得ることができる。
【0064】
また、攪拌装置67の配置を考慮することで、冷却容器10内の液体金属ナトリウム3に旋回流を生じさせ、液体金属ナトリウム3に浮遊している不純物を遠心力を利用して、分離し、図には記載していない捕集装置により捕集することで、効率よくナトリウムを純化することもできる。
【0065】
図10は、本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置のうち、冷却容器10に内蔵する液体金属ナトリウムを循環させるために電磁ポンプ65を設置した図である。
【0066】
冷却容器10の内側に円筒状の流路形成ライナ64を設け、流路形成ライナ64の上端は冷却容器10内のナトリウム液面201より低いレベルとし、下端は冷却容器10下部空間に開放され、冷却容器10と流路形成ライナ64とで形成される環状の間隙部205に環状の電磁ポンプ65を設ける。流路形成ライナ64内側の冷却用液体金属ナトリウム3が間隙部205に下部から流入し、電磁ポンプ65で上方に駆動された冷却用液体金属ナトリウム3が流路形成ライナ64の内側上部に戻る。これにより、冷却容器10内の冷却用液体金属ナトリウム3を攪拌することができる。
【0067】
以上のような構造となっているため、熱処理時には、ホットスポットを防ぐとともに金属材料1の冷却が促進され、均一で高い冷却速度を得ることができる。また、本装置は、可動部分がないため保守も容易である。
【0068】
図11は、本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置のうち、冷却容器10内の液体金属ナトリウム中の沈殿物を捕集するために窪み68を設置した図である。冷却容器10の最底部に下方に向かって窪み68を設け、冷却容器10外に設けた沈殿物回収容器69と窪み68を配管70で接続している。沈殿物回収容器69を最下部に配置し、自由落下で移送することとしている。配管70の途中には弁71が設けられ、これを開操作して沈殿物を冷却容器10外に排出することができる。
【0069】
上記のように構成されているため、冷却容器10内の液体金属ナトリウム3中の沈殿物は、冷却の際の攪拌にもかかわらず窪み68に確実に捕集され、効率よく、容器外へ排出することができる。
なお、窪み68と沈殿物回収容器69の間の沈殿物の移送のために、配管70の途中にポンプ(図示せず)を配置することもできる。
【0070】
図12は、本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置のうち、冷却容器10に内蔵する液体金属ナトリウムの沈殿物の捕集用に磁石を設置した図である。すなわち、冷却容器10内に沈殿する鉄粉などの磁性体沈殿物を捕集するために、冷却容器10の外側に磁力吸着装置73を設けている。このため、液体金属ナトリウム3中に沈殿している磁性体不純物は、冷却容器10内の磁力吸着装置73の周辺に集められ、攪拌によっても移動することがない。
【0071】
また、冷却容器10内に液体金属ナトリウム3中の鉄粉などの磁性体の沈殿物を捕集するための手段として、電磁石72を浸漬して砺磁する。これにより、磁性体沈殿物を捕集することができ、冷却容器10外に取り出した後、消磁することで容易に分離することもできる。
【0072】
なお、図12では、ナトリウム中に浸漬する電磁石72と、冷却容器10外の磁力吸着装置73の両方を設置した例を示しているが、これらの一方だけを利用してもよいことはいうまでもない。
【0073】
図13は、本発明に係るナトリウム加熱、冷却による金属材料の熱処理装置のうち、液体金属ナトリウムを滴下中に加熱して金属材料1に降りかけて加熱した後に、冷却容器10に内蔵する液体金属ナトリウム中に浸漬して冷却をする場合の図である。冷却用の液体金属ナトリウム3を内蔵した冷却容器10の上に、液体金属ナトリウムを流下させるナトリウム流下装置100と、流下されたナトリウムを途中で熱処理に必要な温度に加熱できる加熱装置101を設けている。
【0074】
上記のように構成されているので、金属材料1は、冷却容器10内のナトリウム液面201の上方で、液体金属ナトリウム流下装置から流下され、加熱装置101で加熱された加熱用の液体金属ナトリウム3を降りかけられて加熱される。金属材料1は、所定の加熱温度に達した後、冷却用の液体金属ナトリウム3に浸漬され冷却が行なわれる。
【0075】
これにより、短時間で効率よく加熱・冷却することができる。加熱・冷却とも液体金属ナトリウムを用いているため、冷却容器10内に加熱用の液体金属ナトリウムが落下しても問題ない。
【0076】
図14は、本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置のうち、金属材料1を冷却するための可動型スプレイ冷却装置を示した図である。冷却容器に内蔵した液体金属ナトリウムに熱処理対象の金属材料を浸漬する方法に代わり、以下の方法をとっている。すなわち、冷却容器10内に液体金属ナトリウム3を微細な小滴状にしてスプレイできる複数の噴射ノズル62を備え、熱処理の対象となる金属材料1を取り囲むようにリング状のヘッダ61を設けている。さらにこのヘッダ61は、駆動装置63により昇降できるようになっている。このヘッダ61には、冷却容器10外部から供給配管58、ホース59、ヘッダ供給配管60を介して液体金属ナトリウム3が供給される。
【0077】
以上のように構成されているため、加熱された金属材料1は、冷却容器10内に移動した後、ヘッダ61から、昇降しながら、冷却用の液体金属ナトリウムを噴霧され短時間で効率よく冷却される。
【0078】
上記説明ではヘッダ61を上下方向に移動できるものとしたが、変形例として、ヘッダ61を動かさずに、噴射ノズル62の向きを動かすことも考えられる。さらに、ヘッダ61や噴射ノズル62を動かさずに、金属材料1を動かすことも考えられる(図示せず)。これらの組合せも可能である。
【0079】
また、図には示していないが、熱処理対象の金属材料のうち、熱処理を行ないたくない部分については、熱処理前に、熱伝達率の低いステンレス鋼材などの金属製カバーを取付けることにより、部分的に熱処理されることを防止することもできる。
【0080】
図15は、本発明に係るナトリウム加熱、冷却による金属材料の熱処理装置のうち、加熱容器に冷却用液体金属ナトリウムを噴霧冷却する手段を設けた図である。
【0081】
液体金属ナトリウム3を内蔵する加熱容器91には、金属材料1を所定の温度まで上げることのできる加熱装置93が加熱容器91外側に設けられている。この加熱容器91に金属材料1を移動し、浸漬する装置として移動装置7が設けられている。
【0082】
加熱容器91内には、金属材料1が浸漬できるだけの加熱用の液体金属ナトリウム3が貯蔵されており、ナトリウム液面201の上方には冷却用の液体金属ナトリウム3を噴霧できる噴射ノズル95を持ったヘッダ94が設置されている。このヘッダ94には、冷却用液体金属ナトリウム3のはいった供給タンク97から、配管98、ポンプ96、弁99を介して冷却用の液体金属ナトリウム3が供給される。
【0083】
以上のように構成されているため、金属材料1は加熱容器91中の液体金属ナトリウム3で加熱された後、移動機構7で、直上にナトリウム液面201の上方に持ち上げられ、その後すぐに、冷却用の液体金属ナトリウム3を噴射ノズル95から噴霧される。これにより、短時間で効率よく加熱・冷却することができる。加熱冷却とも液体金属ナトリウムを用いているため、加熱容器91内で冷却のために液体金属ナトリウムを噴霧しても問題ない。
【0084】
図16は、本発明に係るナトリウム加熱、冷却による金属材料の熱処理装置のうち、ナトリウム噴霧により加熱と冷却を行なうこととした場合の図である。冷却容器10内に加熱用液体金属ナトリウムを噴霧できる複数の噴射ノズル103を持った複数個の加熱用ヘッダ102を設け、その加熱用ヘッダ102には冷却容器10の外側に設けた加熱用液体金属ナトリウム供給装置104から加熱用液体金属ナトリウムを供給できる。
【0085】
さらに、加熱用ヘッダ102の下方には、冷却用液体金属ナトリウムを噴霧できる複数の噴射ノズル106を持った複数個の冷却用ヘッダ105を設け、冷却用ヘッダ105には冷却容器10の外側に設けた冷却用液体金属ナトリウム供給装置106aから冷却用液体金属ナトリウムを供給できる。ヘッダ102、105はいずれも冷却容器10の内壁に沿って設けられている。
【0086】
上記構成において、金属材料1は、移動機構7で初めに加熱用ヘッダ102に位置合わせされ、加熱用液体金属ナトリウムを噴霧され、所定の温度に加熱される。引き続いて、移動機構7で冷却用ヘッド105に位置合わせされ、冷却用液体金属ナトリウムを噴霧され、所定の温度に冷却される。
【0087】
加熱・冷却とともに液体金属ナトリウムを噴霧するため、効率よく加熱・冷却することができる。また、ともに液体金属ナトリウムを使用するため一つの容器で熱処理作業が行なえ、スペースメリットも大きい。
【0088】
加熱用ヘッダ102と冷却用ヘッダ105の上下関係を逆にすることもできる。また、上記説明では、移動機構7を用いて、初めに加熱用ヘッダ102に位置合わせし、次に冷却用ヘッダ105に位置合わせするように金属材料1を移動するものとしたが、噴射ノズル103、106の向きを調整することにより、金属材料1を移動することなしに加熱と冷却を行なうことも可能である。
【0089】
図17は、本発明に係るナトリウム加熱よる金属材料の熱処理装置のうち、高周波を用いて液体金属ナトリウムを加熱する場合の図である。液体金属ナトリウム3を内蔵する加熱容器91の内に高周波発生装置90を設け、高周波発生装置90間を例えば板状の金属材料1を浸漬し、連続通過した状態で高周波を加えることにより、液体金属ナトリウムを介して板状の金属材料1を加熱することができる。引き続き、ガイドローラ115で方向転換され加熱された板状の金属材料1を、冷却用の液体金属ナトリウム3を内蔵する冷却容器10内に浸漬して、連続通過した状態で冷却することができる。
【0090】
これにより、効果的に金属材料を加熱できるとともに、金属材料の生産工程においても連続的に熱処理を行なうことができる。なお、高周波発生装置90の設置位置は、容器外とすることもできる。また、熱処理対象の材料は、上記説明では、板状としたが、線状や管状など種々の形状の部品などでもかまわない。
【0091】
図18は、本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置のうち、漏洩したナトリウムの回収および漏洩検知と窒素ガスを自動放出することができる気密セルを示した図である。ナトリウムを内蔵する設備については、すべて気密性を持った気密セル107内に収容する。また、その中は不活性なガスで充填するものとする。これにより、水と激しく反応する液体金属を閉じ込め、水分と隔離することができる。
【0092】
また、気密セル107の底部を構成する部分には、漏出したナトリウムの回収を容易にするための勾配を設けるとともに最下部には漏洩ナトリウム収集升108を設けている。さらに、漏洩ナトリウム収集升108には接触式ナトリウム漏洩検知器109を設け、その信号は漏洩監視回路に接続し警報を発生させるとともに、万一、気密セル107中の雰囲気ガスも漏れている場合は、手動または自動で不活性なガスを放出するガス供給装置110を備えている。
【0093】
これにより、漏洩した液体金属ナトリウムの収集を容易にするとともに、漏洩の早期検出が図れる。また、警報を出すこともできるので、早期対応が図れるとともに、ガス供給装置により早期消火が期待できる。
【0094】
図19は、本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置のうち、ナトリウムを含んだガスを冷却するにあたり不活性なガスを使用した図である。ナトリウム冷却設備またはナトリウム純化設備などのナトリウム循環ループ14の配管の途中に熱交換器111を設け、熱交換器111と空気冷却器15の間は循環ループ112を構成している。循環ループ112には循環ブロア113が設けられるとともに、ガス供給設備114を設け、ガス供給設備114から供給される不活性なガスを用いた冷媒により、循環ブロア113の駆動源を利用して循環させ、熱交換器111にて液体金属ナトリウムの除熱を行ない、空気冷却器15にて、外気に放熱することにより液体金属ナトリウムを冷却することができる。
【0095】
以上のようにナトリウム冷却において、直接冷却する部分に不活性なガスを使用しているため、安全性が向上する。
以上、本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置の種々の実施の形態を説明したが、これらの実施の形態の構成の特徴を適宜組み合わせることも可能である。
なお、この明細書で「ナトリウム」は、純粋ナトリウムに限らず、カリウムやリチウムなどを含有するものも含む。
【0096】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、安全でかつ信頼性が高く、液体金属ナトリウムの優れた熱処理特性を十分生かすことのできる金属材料の熱処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置の一実施の形態の概略構成図。
【図2】図1のナトリウムを用いた熱処理装置における、主に付帯設備の系統構成を示した概略構成図。
【図3】本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置において、サイホン管による液体金属ナトリウム排出手段を設置した場合の一実施の形態を示す模式的立断面図。
【図4】本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置において、オーバフローを利用した溢流防止および浮遊不純物回収手段を設置した場合の一実施の形態を示す模式的立断面図。
【図5】本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置において、冷却容器内の液体金属ナトリウムの温度制御手段を設置した場合の一実施の形態を示す模式的立断面図。
【図6】本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置において、冷却容器内に交換可能な保護ライナを設置した場合の一実施の形態を示す模式的立断面図。
【図7】本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置において、ナトリウムが保護ライナからオーバフローした時にも冷却容器の内壁を保護する構造の一実施の形態を示す模式的立断面図。
【図8】本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置において、冷却容器内のナトリウム液面の制御により金属材料を浸漬する手段を設置した場合の一実施の形態を示す模式的立断面図。
【図9】本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置において、冷却容器内の液体金属ナトリウムを循環させるためにインペラを具備する攪拌装置を設置した場合の一実施の形態を示す模式的立断面図。
【図10】本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置において、冷却容器内の液体金属ナトリウムを循環させるために電磁ポンプを設置した場合の一実施の形態を示す模式的立断面図。
【図11】本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置において、冷却容器内の液体金属ナトリウム中の沈殿物を捕集するために窪みを設置した場合の一実施の形態を示す模式的立断面図。
【図12】本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置において、冷却容器内の液体金属ナトリウム中の沈殿物の捕集用に磁石を設置した場合の一実施の形態を示す模式的立断面図。
【図13】本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置において、液体金属ナトリウムを滴下中に加熱して金属材料に降りかけるとともに、冷却容器内の液体金属ナトリウムで冷却をする手段を設置した場合の一実施の形態を示す模式的立断面図。
【図14】本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置において、金属材料を冷却するための可動型スプレイ冷却装置を設置した場合の一実施の形態を示す模式的立断面図。
【図15】本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置において、加熱容器に冷却用液体金属ナトリウムを噴霧して冷却する手段を設置した場合の一実施の形態を示す模式的立断面図。
【図16】本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置において、ナトリウム噴霧により加熱と冷却を行なう手段を設置した場合の一実施の形態を示す模式的立断面図。
【図17】本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置において、高周波を用いて液体金属ナトリウムを加熱する手段を設置した場合の一実施の形態を示す模式的立断面図。
【図18】本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置において、漏洩したナトリウムの回収および漏洩検知と不活性なガスを自動放出することができる気密セルを設置した場合の一実施の形態を示す模式的立断面図。
【図19】本発明に係るナトリウムを用いた熱処理装置において、ナトリウムを含んだガスを冷却するにあたり不活性なガスを使用する手段を設置した場合の一実施の形態を示す模式的立断面図。
【符号の説明】
1…金属材料、2…加熱部、3…液体金属ナトリウム、4…冷却部(第1の冷却部)、5…ホットセル部、6…ナトリウム除去・冷却部(第2の冷却部)、7…移動機構、8…扉(開閉装置)、8a…気密扉(エアロック)、9…処理容器、10…冷却容器、11…供給ノズル、12…回収ノズル、13…電磁ポンプ、14…循環ループ(循環系統)、15…冷却装置、16…ナトリウムヘッダ、17…フィン付きチューブ、18…ケーシング、19…排気ダクト、20…送風機、21…ダンパ、22…配管、23…電磁ポンプ、24…熱交換器、25…純化装置、25a…コールドトラップ、26…ドレンタンク、27a,27b…ドレン配管、28a,28b…ドレン弁、29…純化装置、30…配管、31…弁、32…ナトリウム供給口、33…配管、34…弁、35…真空ポンプ、36…ベーパトラップ、38…サイホン配管、39…オーバフロー受口、40…オーバフロー配管、41a,41b,41c,41d,41e…温度計、42a,42b,42c,42d,42e…電気ヒータ、43…ポンプ、45…フランジ、46…保護ライナ、47…オーバフローノズル、49…切り込み、50…桶、51…配管、52…追加用液体金属ナトリウム、53…バッファタンク、54…圧縮機、55…配管、56a,56b…弁、57…電磁ポンプ、58…供給配管、59…ホース、60…ヘッダ供給配管、61…ヘッダ、62…噴射ノズル、63…駆動装置、64…流路形成ライナ、65…電磁ポンプ、66…インペラ、67…攪拌装置、68…窪み、69…沈殿物回収容器、70…配管、71…弁、72…電磁石、73…磁力吸着装置、74…ガス供給設備、74a…ガスシール、75…ガス流量調整弁、76…結露装置、77…真空ポンプ、78…ベント弁…、79…ベント管、80…ガス抜きポット、82…開放型マノメータシール、83…放出ライン、84…ガス供給装置、85…配管、86…弁、87…ガス噴出口、89…雰囲気ガス攪拌装置、90…高周波発生装置、91…加熱容器、93…加熱装置、94…ヘッダ、95…噴射ノズル、96…ポンプ、97…冷却用液体ナトリウム供給タンク、98…配管、99…弁、100…ナトリウム流下装置、101…加熱装置、102…加熱用ヘッダ、103…噴射ノズル、104…加熱用液体金属ナトリウム供給装置、105…冷却用ヘッダ、106…噴射ノズル、106a…冷却用液体金属ナトリウム供給装置、107…気密セル、108…漏洩ナトリウム収集升、109…接触式ナトリウム漏洩検知器、110…ガス供給装置、111…熱交換器、112…循環ループ、113…循環ブロア、114…ガス供給設備、115…ガイドローラ、116…金属材料の供給装置、117…金属材料の巻取り装置、201…ナトリウム液面、202…サイホン管貫通部、205…環状の間隙部。
Claims (41)
- 固体の金属材料を融点よりも低い所定の温度まで加熱する加熱部と、
冷却用液体金属ナトリウムを内蔵し前記金属材料を前記液体金属ナトリウム内に浸漬することによって前記金属材料を第1の冷却温度まで冷却するための冷却容器を有する第1の冷却部と、
前記液体金属ナトリウムで第1の冷却温度まで冷却された前記金属材料を前記第1の冷却部から取り出した後に前記金属材料を前記第1の冷却温度よりも低い第2の冷却温度まで冷却する第2の冷却部と、
前記金属材料を、前記加熱部、第1の冷却部および第2の冷却部の間で移動させる移動機構と、
前記加熱部、第1の冷却部および第2の冷却部の相互の間で各々随時に、前記金属材料を移動できるように開放し、また随時に遮断することのできる開閉装置と、
を内蔵した気密性の処理容器を具備し、
前記冷却容器内の液体金属ナトリウムを前記処理容器の外に取り出して循環し、当該液体金属ナトリウムを冷却する冷却装置を有する循環系統を前記処理容器の外に具備すること、
を特徴とするナトリウムを用いた熱処理装置。 - 請求項1に記載のナトリウムを用いた熱処理装置において、前記加熱部、第1の冷却部および前記第2の冷却部を相互に接続するホットセル部をさらに有し、
前記開閉装置が、前記加熱部、第1の冷却部および前記第2の冷却部と前記ホットセル部との間に配置され、
また、前記第2の冷却部は、前記金属材料の表面に付着したナトリウムを除去できるように構成されていること、
を特徴とするナトリウムを用いた熱処理装置。 - 請求項1に記載のナトリウムを用いた熱処理装置において、前記循環系統はナトリウムを純化する手段を有すること、を特徴とするナトリウムを用いた熱処理装置。
- 請求項1に記載のナトリウムを用いた熱処理装置において、
前記冷却容器の外側に設置されたドレンタンクと、
前記冷却容器と前記ドレンタンクとを接続する配管系と、
をさらに具備し、
前記冷却容器内のナトリウムをすべて前記ドレンタンク内に移すことができ、また、前記ドレンタンク内のナトリウムを前記冷却容器内に戻すことができるように構成されていること、を特徴とするナトリウムを用いた熱処理装置。 - 請求項4に記載のナトリウムを用いた熱処理装置において、前記液体金属ナトリウム中の不純物を捕獲して、液体金属ナトリウムを純化する手段が、少なくとも前記ドレンタンク内に配置されていること、を特徴とするナトリウムを用いた熱処理装置。
- 請求項1に記載のナトリウムを用いた熱処理装置において、前記液体金属ナトリウムを冷却して液体金属ナトリウム中の不純物を捕獲して、液体金属ナトリウムを純化する純化手段と、
前記純化手段に入る前の液体金属ナトリウムを冷却し、前記純化手段を出た液体金属ナトリウムを加熱するべく液体金属ナトリウム同士で熱交換するための熱交換器と、
をさらに具備すること、を特徴とするナトリウムを用いた熱処理装置。 - 請求項1に記載のナトリウムを用いた熱処理装置において、前記液体金属ナトリウム中に溶解した不純物を捕獲し、液体金属ナトリウムを純化する純化手段を複数個具備すること、を特徴とするナトリウムを用いた熱処理装置。
- 請求項1に記載のナトリウムを用いた熱処理装置において、前記金属材料の固有のデータに基いて、前記金属材料の前記液体金属ナトリウムへの浸漬時のナトリウム温度および液位並びに前記金属材料の温度の変化のうちの少なくとも一つを演算し、予め記憶された熱処理に適する状態と照らし合わせて、前記冷却容器内の前記液体金属ナトリウムの供給温度、供給流量および浸漬前液位のうちの少なくとも一つを制御する手段を設けたこと、を特徴とするナトリウムを用いた熱処理装置。
- 請求項1に記載のナトリウムを用いた熱処理装置において、前記液体金属ナトリウムを前記冷却容器の外で循環させて冷却し、この液体金属ナトリウム中の不純物を析出させて除去し、この液体金属ナトリウムを純化させる純化系統と、
前記冷却容器内の液体金属ナトリウムの固化温度を測定する温度計と、
前記固化温度の値から前記液体金属ナトリウムの純度を判断する手段と、
前記純度に応じて、前記純化系統への前記液体金属ナトリウムの循環流量および前記純化系統における冷却の量の少なくとも一方を制御する手段と、
を具備すること、を特徴とするナトリウムを用いた熱処理装置。 - 請求項1に記載のナトリウムを用いた熱処理装置において、
前記処理容器および前記循環系統内の前記液体金属ナトリウムを選択的にすべて収容可能なドレンタンクと、
前記液体金属ナトリウムが前記処理容器または前記循環系統から漏出したことを検出する漏出検出手段と、
前記漏出が検出されたときに前記処理容器または前記循環系統に残留する液体金属ナトリウムを強制的に前記ドレンタンクに回収する手段と、
を具備すること、を特徴とするナトリウムを用いた熱処理装置。 - 請求項1に記載のナトリウムを用いた熱処理装置において、前記金属材料を前記第1の冷却部から第2の冷却部へ移動する際に、前記処理容器の気密を保持した状態で移動できるように構成されていること、を特徴とするナトリウムを用いた熱処理装置。
- 請求項1に記載のナトリウムを用いた熱処理装置において、液体金属ナトリウムにて熱処理された前記金属材料の表面に付着したナトリウムを除去するとともに不動態層を形成させるため、水またはアルコール水溶液で前記金属材料の表面を洗浄する手段を具備すること、を特徴とするナトリウムを用いた熱処理装置。
- 請求項1に記載のナトリウムを用いた熱処理装置において、
前記第1および第2の冷却部のうちの少なくとも一部を真空に引く真空ポンプと、
前記真空ポンプに前記液体金属ナトリウムが流れるのを抑制するためのナトリウム捕集手段を具備すること、を特徴とするナトリウムを用いた熱処理装置。 - 請求項1に記載のナトリウムを用いた熱処理装置において、
ナトリウムに対して不活性なガスを前記処理容器に供給するガス供給手段と、
前記処理容器内の圧力を測定する圧力計と、
前記圧力計の出力が所定の範囲内に入るように前記ガス供給手段によるガス供給量を制御する手段と、
を具備すること、を特徴とするナトリウムを用いた熱処理装置。 - 請求項1に記載のナトリウムを用いた熱処理装置において、
前記処理容器および前記循環系統の下方に配置されて液体金属ナトリウムを貯留するドレンタンクと、
前記処理容器および前記循環系統内を真空に引く真空手段と、
前記循環系統内に液体金属ナトリウムを充填する時に前記循環系統内に残留しているガスを排出するために前記循環系統の上部に設けられたベント管と、
前記ベント管から前記液体金属ナトリウムが流出するのを抑制するために前記ベント管の上流側に設けられたガス抜きポットと、
前記ガス抜きポットに貯留された前記液体金属ナトリウムを間欠的に前記ドレンタンクに導く配管と、
を具備すること、を特徴とするナトリウムを用いた熱処理装置。 - 請求項1に記載のナトリウムを用いた熱処理装置において、前記処理容器には開放型マノメータシールが接続されていること、を特徴とするナトリウムを用いた熱処理装置。
- 請求項1に記載のナトリウムを用いた熱処理装置において、前記処理容器内の前記液体金属ナトリウムの液面より上方に、ナトリウム蒸気結露装置および雰囲気ガス攪拌装置を配置したこと、を特徴とするナトリウムを用いた熱処理装置。
- 請求項1に記載のナトリウムを用いた熱処理装置において、前記冷却容器内の前記液体金属ナトリウムの液面より上方にあって少なくとも可動部分の付近に、ナトリウムに対して不活性なガスを噴出する手段を具備すること、を特徴とするナトリウムを用いた熱処理装置。
- 請求項1に記載のナトリウムを用いた熱処理装置において、
前記処理容器の外側で前記冷却容器の底面よりも低い位置に設置されたドレンタンクと、
前記冷却容器内の冷却容器底面付近で一端が開放され、前記冷却容器の通常の液体金属ナトリウム液面位置より上方で前記冷却容器から外に出て、前記ドレンタンク内でもう一端が開放されたサイホン管と、
をさらに具備すること、を特徴とするナトリウムを用いた熱処理装置。 - 請求項1に記載のナトリウムを用いた熱処理装置において、前記冷却容器に内蔵される前記液体金属ナトリウムの通常の液面位置付近に配置されたオーバフロー受口と、このオーバフロー受口に接続されて溢流ナトリウムを前記冷却容器外に排出するオーバフロー配管とを、さらに具備すること、を特徴とするナトリウムを用いた熱処理装置。
- 請求項1に記載のナトリウムを用いた熱処理装置において、
前記冷却容器内に配置された複数の温度計と、
前記冷却容器の外側に配置された複数の電気ヒータと、
前記複数の温度計の出力に応じて前記複数の電気ヒータの熱出力を個別に制御する手段と、
を、さらに具備すること、を特徴とするナトリウムを用いた熱処理装置。 - 請求項1に記載のナトリウムを用いた熱処理装置において、
前記冷却容器の内面に沿って配置され、下端が前記冷却容器の内面と液密に接続され、かつ、通常時に上端が前記液体金属ナトリウムの液面下に没しない位置に配置された保護ライナを具備すること、を特徴とするナトリウムを用いた熱処理装置。 - 請求項22に記載のナトリウムを用いた熱処理装置において、
前記保護ライナからオーバフローする前記液体金属ナトリウム液面付近に浮遊する不純物を捕集する手段をさらに具備すること、を特徴とするナトリウムを用いた熱処理装置。 - 請求項22に記載のナトリウムを用いた熱処理装置において、
前記保護ライナは、その上端部が開口していて、その上端部には少なくとも一つの下方に向かった切り込みが設けられており、
前記保護ライナの上端部を越えて前記保護ライナと前記冷却容器の内面の間の環状部に溢れ出たナトリウムを前記冷却容器の外に排出するオーバフロー配管が前記冷却容器に接続されていること、
を特徴とするナトリウムを用いた熱処理装置。 - 請求項1に記載のナトリウムを用いた熱処理装置において、前記冷却容器内の液体金属ナトリウム液面を急速に上昇させる手段をさらに具備すること、を特徴とするナトリウムを用いた熱処理装置。
- 請求項25に記載のナトリウムを用いた熱処理装置において、前記上昇させる手段は、加圧ガスによる圧入または重力による落下の少なくとも一方を用いるものであること、を特徴とするナトリウムを用いた熱処理装置。
- 請求項1に記載のナトリウムを用いた熱処理装置において、前記冷却容器内の液体金属ナトリウムを攪拌する攪拌手段をさらに具備すること、を特徴とするナトリウムを用いた熱処理装置。
- 請求項27に記載のナトリウムを用いた熱処理装置において、前記攪拌手段は、前記冷却容器内にインペラを具備する攪拌装置であること、を特徴とするナトリウムを用いた熱処理装置。
- 請求項27に記載のナトリウムを用いた熱処理装置において、前記循環系統から前記冷却容器へ流入する液体金属ナトリウムによって前記冷却容器内の液体金属ナトリウムが攪拌されるように構成されていること、を特徴とするナトリウムを用いた熱処理装置。
- 請求項27に記載のナトリウムを用いた熱処理装置において、
前記冷却容器内で、通常時にナトリウム液面下に没するように配置され、上端部および下端部が開口して軸をほぼ鉛直にした筒状の流路形成ライナと、
前記流路形成ライナと前記冷却容器の内面にはさまれた環状部に配置された電磁ポンプと、
を有し、前記金属材料がこの流路形成ライナの内側に配置され、前記電磁ポンプにより前記金属材料の周辺で液体金属ナトリウムの攪拌が生じるように構成されていること、を特徴とするナトリウムを用いた熱処理装置。 - 請求項1に記載のナトリウムを用いた熱処理装置において、前記冷却容器内の液体金属ナトリウムに旋回流を生じさせる手段と、その旋回流によって分離した浮遊不純物を捕集する手段と、を具備することを特徴とするナトリウムを用いた熱処理装置。
- 請求項1に記載のナトリウムを用いた熱処理装置において、
前記冷却容器の底部には下方に向かう窪みが形成され、
前記冷却容器の下方に配置された沈殿物回収容器と、前記窪みに沈殿した沈殿物を前記沈殿物回収容器に間欠的に移送する手段と、をさらに具備すること、
を特徴とするナトリウムを用いた熱処理装置。 - 請求項1に記載のナトリウムを用いた熱処理装置において、前記冷却容器の外側に、前記冷却容器内の液体金属ナトリウム中の磁性体の不純物を吸着できる磁力吸着装置を設けたこと、を特徴とするナトリウムを用いた熱処理装置。
- 請求項1に記載のナトリウムを用いた熱処理装置において、前記冷却容器内の前記液体金属ナトリウム中に、当該液体金属ナトリウム中の磁性体の不純物を吸着できる移動可能な磁力吸着装置を設けたこと、を特徴とするナトリウムを用いた熱処理装置。
- 冷却用液体金属ナトリウムを内蔵し、固体の金属材料を前記冷却用液体金属ナトリウム内に浸漬することによって前記金属材料を冷却するように構成された容器と、
前記金属材料を、前記冷却容器内で、前記冷却用液体金属ナトリウムの液面の上方から下方に移動する移動手段と、
前記金属材料が前記容器内で、前記冷却用液体金属ナトリウムの液面の上方にあるときに前記金属材料を加熱するための加熱用液体金属ナトリウムを前記金属材料の表面に流す加熱ナトリウム供給手段と、
前記加熱用液体金属ナトリウムを加熱する加熱手段と、
を具備すること、を特徴とするナトリウムを用いた熱処理装置。 - 気密性の処理容器と、
この処理容器内に配置され、固体の金属材料を融点よりも低い所定の温度まで加熱する手段と、
前記処理容器内に配置され、前記加熱手段で加熱された前記金属材料の表面に冷却用液体金属ナトリウムを噴射する複数の噴射ノズルと、
前記複数の噴射ノズルの前記金属材料に対する相対位置および向きのうちの少なくとも一方を変化させる駆動手段と、
を具備すること、を特徴とするナトリウムを用いた熱処理装置。 - 請求項36に記載のナトリウムを用いた熱処理装置において、前記金属材料の表面の一部に前記噴射ノズルからの噴射が当たらないようにカバーを具備すること、を特徴とするナトリウムを用いた熱処理装置。
- 加熱用液体金属ナトリウムを内蔵し、固体の金属材料を前記加熱用液体金属ナトリウム内に浸漬することによって前記金属材料を加熱するように構成された容器と、
前記加熱用液体金属ナトリウムを加熱する加熱手段と、
前記加熱用液体金属ナトリウム内に浸漬された金属材料を、前記容器内で前記加熱用液体金属ナトリウムの液面の上方に引き上げる移動手段と、
前記金属材料を前記液面の上方に引き上げた後に、前記加熱用液体金属ナトリウムよりも低温の冷却用液体金属ナトリウムを前記金属材料に噴射する噴射手段と、
を具備すること、を特徴とするナトリウムを用いた熱処理装置。 - 固体の金属材料を収容する容器と、
前記金属材料の表面に前記容器内で高温の液体金属ナトリウムを噴射して前記金属材料を加熱する手段と、
前記加熱された前記金属材料の表面に前記容器内で低温の液体金属ナトリウムを噴射して前記金属材料を冷却する手段と、
を具備すること、を特徴とするナトリウムを用いた熱処理装置。 - 加熱用液体金属ナトリウムを内蔵し、固体の金属材料を前記加熱用液体金属ナトリウム内に浸漬することによって、前記金属材料をその融点よりも低い所定の加熱温度まで加熱するように構成された加熱容器と、
冷却用液体金属ナトリウムを内蔵し、前記金属材料を前記冷却用液体金属ナトリウム内に浸漬することによって、前記加熱温度まで加熱された前記金属材料を所定の冷却温度まで冷却するように構成された冷却容器と、
前記金属材料を前記加熱容器から前記冷却容器に移動する手段と、
を具備し、
前記加熱容器には、高周波加熱手段が設けられていること、を特徴とするナトリウムを用いた熱処理装置。 - 請求項1ないし40のいずれかに記載のナトリウムを用いた熱処理装置において、
前記液体金属ナトリウムを内蔵する容器に気密に接続された気密性のセルを有し、
前記セルの底部にナトリウム収集升が設けられ、
前記セルにナトリウムが漏洩してきた場合にそのナトリウムが前記ナトリウム収集升に導かれるように、前記セルの底部が傾斜しており、
前記ナトリウム収集升内のナトリウムの存在を検出するナトリウム検出器を有すること、
を特徴とするナトリウムを用いた熱処理装置。
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