JP2004131523A - 粉体塗料組成物 - Google Patents

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Koichi Yamaguchi
山口 浩一
Tetsuro Agawa
阿河 哲朗
Kazuo Yamamura
山村 和夫
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Abstract

【課題】耐ブロッキング性、塗装作業性等の粉体塗料組成物としての要求特性に優れ、かつ特に低温硬化性に優れた粉体塗料組成物を提供すること
【解決手段】一分子中に2個以上の水酸基を有する化合物(A)、一分子中に2個以上のカルボン酸エステル基を有する化合物(B)、及び特定金属元素のフッ素置換有機スルフォネート類からなる硬化触媒(C)を含有することを特徴とする粉体塗料組成物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬化性に優れ、耐酸性などの諸特性に優れる硬化塗膜を与えることができる新規な粉体塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
粉体塗料組成物は、塗装時に有機溶剤を大気中に揮散することのない、環境調和型塗料として金属塗装全般に広く使用されている。なかでも、エポキシ基含有ビニル共重合体やポリエステル樹脂を樹脂成分とした形の粉体塗料組成物が、とりわけ、加工性、耐溶剤性など諸物性に優れた塗膜を形成し得るものであるという処から、広範に適用し利用されている。
【0003】
また、近年はエネルギーロスの低減化や耐熱性の低いプラスティックへの適用など低温硬化可能な塗料組成物が望まれている。
【0004】
一般に、塗料組成物の内でも低温硬化性に優れるものは、硬化剤としてアミノ樹脂を用いるアミノ樹脂硬化タイプが知られており、通常120℃以下の乾燥、焼き付け条件で用いられている。また、低温硬化性に優れるものとして、硬化剤を使用の直前に混合するウレタン硬化2コンポーネントタイプなども知られている。いずれのタイプも溶剤系あるいは水系の塗料組成物として用いられている。
【0005】
ところで、粉体塗料組成物は、他の溶剤系や水系の塗料組成物と異なり、各原料の混合物を、押し出し混練機にて溶融、固化、粉砕し、数10μmの粉末として調製されるものである。この粉体塗料組成物は、常温での貯蔵時等において粉体粒子同士がブロッキングすることなく、粉体粒子として安定に存在することが必要である。
【0006】
かかる耐ブロッキング性の要請から、粉体塗料組成物に使用する原料は軟化する温度がある程度高温であることが必要であるが、上記の低温硬化性に優れるアミノ樹脂として知られているものはいずれも軟化温度が低く、粉体塗料組成物に適用することは困難である。
【0007】
また、上述した粉体塗料組成物の調製方法から、粉体塗料組成物では、使用の直前に主剤樹脂と硬化剤を均一に混合することは不可能であることから、2コンポーネントタイプの硬化系の材料を適用することはできない。
【0008】
そのため、現在、一般的な粉体塗料の焼き付け条件は180℃程度であり、比較的低温硬化可能なエポキシ基含有ビニル共重合体と二塩基酸の硬化系ですら、焼き付け条件は140℃以上で行われている。
【0009】
以上のように、従来の粉体塗料組成物で低温硬化性の充分なものは無く、高温の焼き付け炉が必要であった。このように、比較的耐熱性の低い基材には粉体塗料組成物の使用が困難であり、粉体塗料組成物の適用範囲が限られていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、耐ブロッキング性、塗装作業性等の粉体塗料組成物としての要求特性に優れ、かつ特に低温硬化性に優れた粉体塗料組成物を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述した課題を解決するべく、鋭意、研究を重ねた結果、水酸基を有する化合物とカルボン酸エステル基を有する化合物、あるいは、水酸基・カルボン酸エステル基併有化合物と、特定の硬化触媒を含んでなる粉体塗料組成物が前記の課題を解決出来ることを見出すに及んで、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明は、一分子中に2個以上の水酸基を有する化合物(A)、一分子中に2個以上のカルボン酸エステル基を有する化合物(B)、及び下記一般式(I)で表される硬化触媒(C)を含有することを特徴とする粉体塗料組成物を提供するものである。
【0013】
(RSOM   (I)
【0014】
[式中、Rはフッ素置換された有機基を表し、Mは3b属元素、銅、鉄、亜鉛、錫、および鉛なる群から選ばれる少なくとも一種の元素を表し、nは2、3、または4を表す。]
【0015】
さらに本発明は、一分子中に平均して1.5個以上の水酸基と平均して1.5個以上のカルボン酸エステル基とを併有する化合物(D)、及び上記一般式(I)で表される硬化触媒(C)を含有することを特徴とする粉体塗料組成物をも提供するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について詳述する。
まず、本発明において使用する、化合物(A)とは、一分子中に2個以上の水酸基を有するものを指称するものであって、かかる化合物(A)として特に代表的なものとしては、多価アルコールおよび水酸基含有重合体などを挙げる事が出来る。
【0017】
これらのうちで、多価アルコールとして代表的なものとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオールなどに代表されるような各種アルカンジオール類;
【0018】
シクロヘキサンジオール、メチルヘキサンジオール、の如き各種シクロアルカンジオール類;
【0019】
トリメチロールプロパンに代表される各種トリオール類;
【0020】
これらジオール類やトリオール類のラクトン付加体、等が挙げられ、得られる粉体塗料の塗料安定性を損なわない範囲で使用できる。
【0021】
そして前記した水酸基含有重合体として代表的なものとしては、水酸基含有ビニル系重合体、水酸基含有ポリエステル樹脂、水酸基含有アルキド樹脂、水酸基含有ポリウレタン樹脂、水酸基含有ポリエーテル系重合体、セルロースアセテートブチレートまたはニトロセルロースの如き各種の繊維素誘導体、等が挙げられる。
【0022】
これらのうち、水酸基含有ビニル系重合体として特に代表的なものとしては、水酸基含有アクリル系重合体、水酸基含有ビニルエステル系重合体、水酸基含有α−オレフィン系重合体、水酸基含有フルオロオレフィン系重合体などが挙げられる。
【0023】
かかる水酸基含有ビニル系重合体は、水酸基含有ビニル系単量体を単独重合するとか、あるいは、該単量体を、これらと共重合可能な他のビニル系単量体とを共重合させる事によって得られるものが特に代表的なるものであるが、その際に使用される水酸基含有ビニル系単量体として特に代表的なものとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、エチル−α−ヒドロキシメチルアクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル若しくは2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、さらには、これら各種の水酸基含有ビニル単量体と、ε−カプロラクトンとを反応させて得られるような、各種の水酸基含有ビニル系単量体などが挙げられる。
【0024】
これら各種の水酸基含有ビニル系単量体と、共重合可能なる他のビニル系単量体として、特に代表的なものとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートの如き、C1〜C22なる各種のアルキル(メタ)アクリレート類;
【0025】
シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、の如き各種の脂環式アルキル(メタ)アクリレート類;
【0026】
ベンジル(メタ)アクリレート、フェネチル(メタ)アクリレートの如き、各種のアラルキル(メタ)アクリレート類;
【0027】
2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、1−メトキシエチル(メタ)アクリレート、1−エトキシエチル(メタ)アクリレート、の如き各種のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;
【0028】
2−クロロエチル(メタ)アクリレート、2−フルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2−ジフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、の如き各種のハロゲン置換アルキル(メタ)アクリレート類;
【0029】
クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、の如きクロトン酸の各種のアルキルエステル類;
【0030】
ジメチルマレート、ジブチルマレート、ジメチルフマレート、ジブチルフマレート、ジメチルイタコネート、ジブチルイタコネート、の如き各種の不飽和ジカルボン酸のジアルキルエステル類;
【0031】
スチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、の如き各種の芳香族ビニル系単量体類;
【0032】
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、の如き各種の(メタ)アクリルアミド類;
【0033】
(メタ)アクリロニトリル、クロトノニトリル、の如き各種のシアノ基含有ビニル系単量体類;
【0034】
フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチエレン、ヘキサフルオロプロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、の如き各種のハロオレフィン類;
【0035】
エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、の如き各種のα−オレフィン類;
【0036】
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサテイック酸ビニル、の如き各種のカルボン酸ビニルエステル類;
【0037】
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、の如き各種の不飽和カルボン酸類;
【0038】
コハク酸、アヂピン酸、セバシン酸、の如き各種の飽和ジカルボン酸のモノビニルエステル類;
【0039】
マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、の如き各種の不飽和ジカルボン酸類;
【0040】
あるいは、上掲したような不飽和ジカルボン酸類と、1価アルコール類との、各種のハーフエステル類;
【0041】
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートで代表されるような水酸基含有単量体類と、無水コハク酸ないしは無水フタル酸、の如き各種の酸無水物との付加反応物のような種々のカルボキシル基含有単量体類;
【0042】
2−フォスフォリルオキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルスルフォン酸、アリールスルフォン酸、などの如き、カルボキシル基以外の酸基を有する、種々の単量体類;
【0043】
エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、の如き各種のアルキル−、ないしは、シクロアルキルビニルエーテル類などである。
【0044】
そして、当該水酸基含有単量体を用いて、あるいは該単量体と、これらと共重合可能な他のビニル系単量体類とを用いて、本発明の化合物(A)たるビニル系重合体を調製するには、公知慣用の重合法を適用することができる。
【0045】
即ち、溶液重合法、溶液分散重合法または塊状重合法などのような常法に従い、ラジカル重合、イオン重合または光重合によって、目的とするビニル系重合体を調製することが出来るが、とりわけ、溶液ラジカル重合法によるのが、最も簡便である。
【0046】
このようにして得られたビニル系重合体は必要に応じ溶剤を除去し、最終的には固形物とする。
【0047】
このようにして調製されるビニル系重合体中に導入される、水酸基の量としては、重合体固形分の1,000グラム当たり、水酸基が、0.2モル〜8.0モルなる範囲内が好ましく、さらにまた、0.4モル〜5.0モルがより好ましい。
【0048】
さらに、ビニル系重合体の数平均分子量としては、300〜30,000なる範囲内が好ましく、より好ましくは、500〜10,000なる範囲内であり、さらにより好ましくは、1000〜5,000なる範囲内である。
【0049】
さらに、ビニル系重合体の軟化点としては、約50℃〜130℃なる範囲が好ましく、より好ましくは、約90℃〜120℃の範囲である。
【0050】
かかる分子量、軟化点が上記範囲であれば、得られる粉体塗料の貯蔵安定性(耐ブロッキング性)及び流動性が良好であり、塗膜の平滑性が優れたものとなる。
【0051】
化合物(A)としての、水酸基含有ポリエステル、水酸基含有アルキド樹脂、水酸基含有ポリウレタン樹脂、水酸基含有ポリエーテル樹脂などのような、いわゆる水酸基含有ビニル系重合体以外の、一分子中に少なくとも2個の水酸基を有する重合体類は、公知慣用の方法で調整することができる。
【0052】
例えば、水酸基含有ポリエステルとしては、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、エイコサン二酸等の脂肪族二塩基酸;テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸等の脂環式ジカルボン酸類;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸類;また、トリメリット酸やピロメリット酸等の3官能以上のカルボン酸、さらにP−オキシ安息香酸、酒石酸などのヒドロキシカルボン酸などで代表される、種々の多価カルボン酸類と、
【0053】
エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、などで代表される多価アルコールとを、アルコール成分を、多価カルボン酸に対して過剰となるような条件で縮合せしめることによって得られるものなどを使用することができる。
【0054】
また、例えば水酸基含有ポリウレタン樹脂について更に説明すれば、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートやこれらの水添物、そして、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどのポリイソシアネート類や、上述したポリイソシアネートと2官能以上のポリオールとをイソシアネートがポリオールに対して過剰となるよう反応せしめたもの、ジイソシアネートのイソシアヌレート化物などで代表されるジイソシアネートなど、各種のイソシアネート成分と、上掲した多価アルコールや、ビニル系重合体、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂など上掲した水酸基含有重合体とを、アルコール成分を、ジイソシアネートに対して過剰となるような条件で反応せしめることによって得られるものなどが用いられる。
【0055】
このようにして得られる水酸基含有ポリエステル、水酸基含有アルキド樹脂、水酸基含有ポリウレタン樹脂、水酸基含有ポリエーテル樹脂などのような、いわゆる水酸基含有ビニル系重合体以外の、一分子中に少なくとも2個の水酸基を有する重合体類の調製方法は溶液反応法、固層反応法など公知慣用な方法を用いることが出来る。しかし、溶剤を用いた場合は、脱溶剤除去するなど、重合体類は本発明の粉体塗料組成物に用いるために最終的には固形物とする。
【0056】
このようにして調製される上掲の一分子中に少なくとも2個の水酸基を有する重合体類の、水酸基の量としては、水酸基価が10〜400であることが好ましく、20〜300なる範囲内がより好ましい。
【0057】
さらに、その数平均分子量としては、1000〜20,000なる範囲内が好ましく、より好ましくは、2000〜10,000なる範囲内であり、さらにより好ましくは、2000〜7,000なる範囲内である。
【0058】
さらに、その軟化点としては、約50℃〜130℃なる範囲が好ましく、より好ましくは、約90℃〜120℃の範囲である。
【0059】
かかる分子量、軟化点が上記範囲であれば、得られる粉体塗料の貯蔵安定性(耐ブロッキング性)及び流動性が良好であり、塗膜の平滑性が優れたものとなる。
【0060】
次に、前記した、一分子中に2個以上のカルボン酸エステル基を有する化合物(B)として、特に代表的なものとしては、多価カルボン酸エステル化合物およびカルボン酸エステル基含有重合体等が挙げられる。
【0061】
かかる多価カルボン酸エステル化合物として特に代表的なものとしては、シュウ酸ジメチル、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、セバシン酸ジメチル、の如き各種のアルカンジカルボン酸アルキルエステル類;
【0062】
プロパントリカルボン酸トリメチル、ブタンテトラカルボン酸テトラメチル、の如き各種のポリカルボン酸アルキルエステル類;
【0063】
マレイン酸ジメチル、フタル酸ジメチル、の如き各種のアルケンジカルボン酸アルキルエステル類;
【0064】
フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、イソフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジブチル、の如き各種のアリールジカルボン酸アルキルエステル類;
【0065】
トリメリット酸トリメチルエステル、ピロメリット酸テトラメチルエステル、の如き各種のアリールポリカルボン酸アルキルエステル類が挙げられる。
【0066】
これらは、各種の多価カルボン酸類とアルカノールとから得られるアルキルエステル類の代表例のみであるが、これに加えて、これら各種の多価カルボン酸類と置換アルカノールとのエステル類をも使用出来る事は勿論である。
【0067】
そして、かかる置換アルカノール類の代表例としては、2−メトキシエタノール、2−メトキシプロパノール、3−メトキシプロパノール、の如き各種のアルコキシ基置換アルカノール類;
【0068】
2−クロロエタノール、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、の如き各種のハロゲン置換アルカノール類;
【0069】
グリコール酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、ヒドロキシプロピオン酸メチルエステル、リンゴ酸ジメチルエステル、の如き各種のカルボン酸エステル置換アルカノール類などが挙げられ、得られる粉体塗料の塗料安定性を損なわない範囲で使用できる。
【0070】
次に、前記したカルボン酸エステル基含有重合体として特に代表的なものとしては、カルボン酸エステル基含有ビニル系重合体、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂などが挙げられる。
【0071】
これらのうち、カルボン酸エステル基含有ビニル系重合体として特に代表的なものとしては、カルボン酸エステル基含有アクリル系重合体、カルボン酸エステル基含有フルオロオレフィン系重合体、カルボン酸エステル基含有ビニルエステル系重合体などが挙げられる。
【0072】
かかるカルボン酸エステル基含有ビニル系重合体は、カルボン酸エステル基含有ビニル系単量体を単独重合するとか、あるいは、該単量体を、これらと共重合可能な他のビニル系単量体とを共重合させる事によって得られるものが特に代表的なるものであるが、その際に使用されるカルボン酸エステル基含有ビニル系単量体として特に代表的なものとしては、
【0073】
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、の如き、C1〜C22なる各種のアルキル(メタ)アクリレート類;
【0074】
シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、の如き各種の脂環式アルキル(メタ)アクリレート類;
【0075】
クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、の如きクロトン酸の各種のアルキルエステル類;
【0076】
ジメチルマレート、ジブチルマレート、ジメチルフマレート、ジブチルフマレート、ジメチルイタコネート、ジブチルイタコネート、の如き各種の不飽和ジカルボン酸のジアルキルエステル類が挙げられる。
【0077】
これらは、いずれも(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの各種の不飽和カルボン酸とアルカノールとから得られるカルボン酸アルキルエステル類の代表例であるが、これに加えて、これら不飽和カルボン酸と各種の置換アルカノール類とのカルボン酸エステル類をも使用出来る。
【0078】
かかる置換アルカノールの代表例としては、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、の如きアリール基置換アルカノール類;
【0079】
2−メトキシエチルアルコール、2−エトキシエチルアルコール、1−メトキシエチルアルコール、1−エトキシエチルアルコール、の如きアルコキシ基置換アルカノール類;
【0080】
2−クロロエタノール、2−フルオロエタノール、2,2−ジフルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、の如きハロゲン置換アルカノール類;
【0081】
グリコール酸、乳酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、の如きカルボキシル基置換アルカノール類;
【0082】
2−シアノエタノール、3−シアノプロパノール、の如きシアノ基置換アルカノール類が挙げられる。
【0083】
また、カルボン酸エステル基含有ビニル系単量体として、不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル類を使用する事も出来る。
【0084】
かかる不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステルの代表的なものとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、の如きアルカンジオールと(メタ)アクリル酸とのモノエステル類;
【0085】
クロトン酸2−ヒドロキシエチルエステル、クロトン酸2−ヒドロキシプロピルエステル、クロトン酸4−ヒドロキシブチルエステル、の如き、アルカンジオールとクロトン酸とのモノエステル類;
【0086】
マレイン酸2−ヒドロキシエチルエステル、マレイン酸2−ヒドロキシプロピルエステル、マレイン酸4−ヒドロキシブチルエステル、の如き、アルカンジオールとマレイン酸とのモノエステル類;
【0087】
フマル酸2−ヒドロキシエチルエステル、フマル酸2−ヒドロキシプロピルエステル、フマル酸4−ヒドロキシブチルエステル、の如き、アルカンジオールとフマル酸とのモノエステル類;
【0088】
イタコン酸2−ヒドロキシエチルエステル、イタコン酸2−ヒドロキシプロピルエステル、イタコン酸4−ヒドロキシブチルエステル、の如き、アルカンジオールとイタコン酸とのモノエステル類などが挙げられる。
【0089】
そして、これら各種のカルボン酸エステル基含有ビニル系単量体と、共重合可能なる他のビニル系単量体としては、先に、水酸基含有ビニル系重合体を調製するに際して、水酸基含有ビニル系重合体と共重合可能な他のビニル系単量体として掲げた、芳香族ビニル系単量体類、(メタ)アクリルアミド類、シアノ基含有ビニル系単量体類、ハロオレフィン類、α−オレフィン類、不飽和カルボン酸類、不飽和ジカルボン酸類、カルボキシル基以外の酸基を有する、各種の単量体類、アルキル−ないしはシクロアルキルビニルエーテル類、など各種のビニル系単量体類を使用することが出来る。
【0090】
これら単量体類からエステル基含有ビニル系重合体を調製するに際しては、先に水酸基含有ビニル系重合体を調製するに際に適用できるものとして掲げたような重合方法、重合溶剤、重合開始剤、連鎖移動剤などを採用する事が出来る。
【0091】
一分子中に2個以上のカルボン酸エステル基を有する化合物(B)としての、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、カルボン酸エステル基含有ポリウレタン樹脂などの、いわゆるカルボン酸エステル基含有ビニル系重合体以外の、一分子中に2個以上のカルボン酸エステル基を有する重合体類は、先に、水酸基含有ポリエステル樹脂、水酸基含有ポリウレタン樹脂など水酸基含有重合体を調製するに際して、例として揚げた原料などを用い、公知慣用の方法で調製することができる。
【0092】
かくして、調製される一分子中に2個以上のカルボン酸エステル基を有する化合物(B)が重合体である場合には、当該官能基の導入量としては、重合体固形分の1,000グラム当たり、0.2モル〜12.0モルなる範囲内が好ましく、さらにまた、0.4モル〜10モルがより好ましい。
【0093】
また、当該一分子中に2個以上のカルボン酸エステル基を有する化合物(B)が重合体類である場合における、こうした重合体類の数平均分子量としては、約1000〜約200,000なる範囲内が好ましく、さらに好ましくは、約1500〜約100,000なる範囲である。
【0094】
さらに、当該カルボン酸エステル基を有する化合物(B)が重合体類である場合における、こうした重合体類の軟化点としては、約50℃〜130℃なる範囲が好ましく、より好ましくは、約90℃〜120℃の範囲である。
【0095】
かかる分子量、軟化点が上記範囲であれば、得られる粉体塗料の貯蔵安定性(耐ブロッキング性)及び流動性が良好であり、塗膜の平滑性が優れたものとなる。
【0096】
次に、本発明で使用する化合物(D)とは、一分子中に平均して1.5個以上の水酸基と、平均して1.5個以上のカルボン酸エステル基を併有するものを指称するものであって、かかる化合物(D)として特に代表的なものとしては、水酸基・カルボン酸エステル基併有低分子化合物、水酸基・カルボン酸エステル基併有重合体が挙げられる。
【0097】
水酸基・カルボン酸エステル基併有低分子化合物として特に代表的なものを例示すると、ジヒドロキシマロン酸ジメチル、ジヒドロキシマロン酸ジエチル、の如きジヒドロキシアルカンジカルボン酸ジエステル類;
【0098】
ジヒドロキシフマル酸ジメチル、ジヒドロキシフマル酸ジエチル、の如きジヒドロキシアルケンジカルボン酸ジエステル類;
【0099】
2,5−ジヒドロキシテレフタル酸ジメチル、2,5−ジヒドロキシテレフタル酸ジエチル、2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゼンジ酢酸ジメチル、2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゼンジ酢酸ジエチル、の如きジヒドロキシ芳香族ジカルボン酸ジエステル類などが挙げられ、得られる粉体塗料の塗料安定性を損なわない範囲で使用できる。
【0100】
これらは、ジヒドロキシアルカンジカルボン酸、ジヒドロキシアルケンジカルボン酸、ジヒドロキシ芳香族ジカルボン酸など、各種の、ジヒドロキシジカルボン酸類と、アルカノールとのジエステル類であるが、これに加えて、これらジヒドロキシジカルボン酸と、前記した如き、各種の置換アルカノール類とのジエステル類をも使用出来る。
【0101】
次に、水酸基・カルボン酸エステル基併有重合体の代表的なものとしては、水酸基・カルボン酸エステル基併有ビニル系重合体、水酸基・カルボン酸エステル基併有ポリエステル樹脂などが挙げられる。
【0102】
これらのうち、水酸基・カルボン酸エステル基併有ビニル系重合体として特に代表的なものとしては、水酸基・カルボン酸エステル基併有アクリル系重合体、水酸基・カルボン酸エステル基併有ビニルエステル系重合体、水酸基・カルボン酸エステル基併有α―オレフィン系重合体、水酸基・カルボン酸エステル基併有フルオロオレフィン系重合体、などが挙げられる。
【0103】
かかる水酸基・カルボン酸エステル基併有ビニル系重合体を調製するには、水酸基含有ビニル系重合体を調製する場合に使用するものとして前掲した如き、不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステルを単独重合させる方法や、カルボン酸エステル基含有重合体を調製する場合に使用するものとして前掲した如き、カルボン酸エステル基含有ビニル系単量体類と、水酸基含有ビニル系重合体を調製する場合に使用するものとして前掲した如き、水酸基含有ビニル系単量体との混合物を共重合せしめる方法が簡便である。
【0104】
その際には、水酸基含有ビニル系重合体を調製する場合やカルボン酸エステル基含有重合体を調整する場合に使用するものとして前掲した如き、共重合可能なる他のビニル系単量体類との混合物を共重合せしめても良い。
【0105】
これら単量体類から、水酸基・カルボン酸エステル基併有ビニル系重合体を調製するに際しては、先に水酸基含有ビニル系重合体を調製するに際して適用できるものとして掲げたような重合方法、重合溶剤、重合開始剤、連鎖移動剤などを採用する事が出来る。
【0106】
かくして、調製される水酸基とカルボン酸エステル基とを併有する化合物(D)が重合体である場合には、それぞれの官能基の導入量としては、重合体固形分の1,000グラム当たり、水酸基と、カルボン酸エステル基との合計が、0.2モル〜12.0モルなる範囲内が好ましく、さらにまた、0.4モル〜8.0モルがより好ましい。
【0107】
また、当該、水酸基とカルボン酸エステル基とを併有するビニル系重合体の数平均分子量としては、約300〜約300,000なる範囲内が好ましく、さらに好ましくは、約500〜約100,000なる範囲内であり、さらにより好ましくは、1000〜5,000なる範囲内である。
【0108】
さらに、当該水酸基とカルボン酸エステル基とを併有する化合物(D)が重合体類である場合における、こうした重合体類の軟化点としては、約50℃〜130℃なる範囲が好ましく、より好ましくは、約90℃〜120℃の範囲である。
【0109】
かかる分子量、軟化点が上記範囲であれば、得られる粉体塗料の貯蔵安定性(耐ブロッキング性)及び流動性が良好であり、塗膜の平滑性が優れたものとなる。
【0110】
次に、前記した硬化触媒(C)とは、一般式(I)で表される、特定元素Mのフッ素置換有機スルフォネート類を指称する。
(RSOM  (I)
[式中、Rはフッ素置換された有機基を表し、Mは3b属元素、銅、鉄、亜鉛、錫、および鉛なる群から選ばれる少なくとも一種の元素を表し、nは2、3、または4を表す。]
【0111】
硬化触媒(C)を構成する元素Mとは、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタニド(Ln)などの3b属元素、銅、鉄、亜鉛、錫、および鉛からなる群から選ばれる少なくとも一種である。
【0112】
そして、ランタニド(Ln)とは、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd),テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy),ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er),ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)等の元素を包含するものである。
【0113】
そして、上記のフッ素置換された有機基Rとして特に代表的なものとしては、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2−フルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル基などが挙げられる。
【0114】
これら特定元素Mのフッ素置換有機スルフォネート類は、その性質として、価数nが2、3、4の数値をとる事が知られている。
【0115】
かかる特定元素Mのフッ素置換有機スルフォネート類は、フッ素置換有機スルフォン酸(RSOH)を、元素Mを構成原子として含む化合物と反応させる事によって得られる。
【0116】
その際に用いられるMを構成原子として含む化合物の代表例としては、元素Mの酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、又は、アンモニウム硝酸塩、アンモニウム硫酸塩などが挙げられる。
【0117】
反応方法は以下の例の如く、公知の方法を用いることが出来る。
【0118】
例えば、米国特許3,615,169号において、ランタニド(III)元素の酸化物とフッ素化アルキルスルフォン酸とを水中で反応させる事によってランタニド(III)アルキルスルフォネートを得る方法が開示されている。
【0119】
米国特許4,219,540号においては、ランタン(III)、セリウム(III)、ジジミウム(III)のトリフルオロメタンスルフォネートを得る方法として、これら元素の炭酸塩または硫化塩と、トリフルオロメタンスルフォン酸とを反応させる方法、または、これら元素の硫酸塩と、バリウムトリフルオロメタンスルフォネートとのイオン交換反応が開示されている。
【0120】
特公平3−340983号においては、炭酸セリウム(III)をポリフルオロアルカンスルフォン酸と反応させた後、電解酸化してセリウム(IV)ポリフルオロアルカンスルフォネートを得る方法が開示されている。
【0121】
Helvetica Chimica Acta誌、第66巻、1296−1306頁、1983年においては、ランタン(III)、プラセオジム(III)、ジスプロジム(III)、ユーロピウム(III)、イッテルビウム(III)のトリフルオロメタンスルフォネートを、これら元素の酸化物とトリフルオロメタンスルフォン酸とから得る方法が記載されている。
【0122】
Journal of Organometallic Chemistry,第501巻、271−276頁、1995年においては、セリウム(III)トリフルオロメタンスルフォネートを炭酸セリウム(III)とトリフルオロメタンスルフォン酸とから得る方法が記載されている。
【0123】
希土類、第16巻、122−123頁、1990年においては、セリウム(IV)トリフルオロメタンスルフォネートを、アンモニウムセリウム(IV)ナイトレート、炭酸カリウム、トリフルオロメタンスルフォン酸とから得る方法が記載されている。
【0124】
次に、本発明で使用する化合物(A)、化合物(B)、および硬化触媒(C)の配合比率や、化合物(D)と硬化触媒(C)の配合比率について、それぞれ詳述する。
【0125】
まず、化合物(A)、化合物(B)および硬化触媒(C)成分の配合比率は、まず化合物(A)、化合物(B)両成分を、化合物(A)成分が含有する水酸基の当量と、化合物(B)成分が含有するカルボン酸エステル基との当量の比率が、前者と後者との当量比で約1:0.1〜約1:10なる範囲内が好ましく、より好ましくは、1:0.2〜1:5なる範囲内である。
【0126】
硬化触媒(C)成分は化合物(A)および化合物(B)なる両成分の固形分の合計量(固形分総量)100グラムに対して、約300マイクロモル〜約60ミリモルなる範囲内が好ましく、より好ましくは、約350マイクロモル〜約50ミリモルなる範囲内である。
【0127】
次に、前記した化合物(D)成分と硬化触媒(C)成分の配合比率は、化合物(D)成分の固形分の100グラムに対して、硬化触媒(C)成分を、約300マイクロモル〜約60ミリモルなる範囲内が好ましく、より好ましくは、約350マイクロモル〜約50ミリモルなる範囲内である。
【0128】
ここにおいて、化合物(A)成分と化合物(B)成分のうち、化合物(A)成分と化合物(B)成分の少なくともいずれか、化合物(D)成分の主体は塗料の保存安定性を考慮し、重合体が主成分とする。
【0129】
次に各成分を用いて本発明の粉体塗料組成物を作成する方法について述べる。
【0130】
本発明の粉体塗料組成物を作成するには、たとえば公知慣用の種々の方法がそのまま利用できる。
【0131】
すなわち、種々の粉体塗料組成物構成成分を混合し、溶融混練せしめたのちに、さらに微粉砕せしめるという、いわゆる機械的粉砕方式や、種々の粉体塗料構成成分含む溶液を噴霧乾燥し粉体塗料組成物を得る方法などを採用することにより、本発明の粉体塗料組成物を製造することができる。
【0132】
かくして得られる、本発明の粉体塗料組成物は、そのままで、クリヤー組成物として使用することも出来るし、さらに、顔料が配合された形で以て、着色組成物として使用することも出来る。
【0133】
さらにまた、本発明組成物には、必要に応じて、レベリング剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン型光安定剤によって代表されるような種々の光安定剤、酸化防止剤または顔料分散剤のような、公知慣用の各種の添加剤類などをも配合せしめることが出来る。
【0134】
さらにまた、本発明の目的を逸脱しないような範囲内で、あるいは、本発明の特徴や効果を損なわない範囲内で、公知慣用の種々の硬化剤を含ませた形で以て、本発明の粉体塗料組成物を使用することが可能である。
【0135】
その際に併用される硬化剤としては、水酸基と反応し得るものであれば、いずれのものでもよく、それらのうちでも特に代表的な硬化剤としては、
【0136】
トリレンジイソシアネートなどによって代表される種々の芳香族ジイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネートなどによって代表される脂肪族ジイソシアネート類、またはイソホロンジイソシアネートなどによって代表される脂環式(環状脂肪族)ジイソシアネート類などの種々のジイソシアネート類またはポリイソシアネート類;
【0137】
前記した如き、ジ−ないしはポリイソシアネート類から誘導される、種々のイソシアネート・プレポリマー類や種々のブロックイソシアネート・プレポリマー類;
【0138】
メラミン樹脂や、尿素樹脂等の、種々のアミノ樹脂類;シリコン樹脂類やエポキシ樹脂などがある。
【0139】
かくして得られる本発明に係る粉体塗料用樹脂組成物、そして該粉体塗料用樹脂組成物から得られる粉体塗料は、公知慣用の種々の方法によって、被塗物基材上に塗装され、しかるのち、焼き付けされるということにより、目的とする硬化塗膜が、この被塗物基材上に形成されるということになる。
【0140】
ここにおいて、上記した被塗物基材として代表的なものを例示するにとどめれば、鉄、アルミニウム、ステンレス・スチール、クロム・メッキ、トタン板、ブリキ板の如き、各種の金属素材または金属製品類;瓦類;ガラス類;各種の無機質建材類;耐熱性のあるプラスチック、木材などがあり、具体的には、自動車車体または自動車(用)部品類;二輪車または二輪車(用)部品類;門扉またはフェンス類の如き、各種の建材類;アルミサッシ類の如き、各種の建築内外装用資材類;アルミホイールなどのような種々の鉄ないしは非鉄金属類の緒素材ないしはプラスチック製品、木工緒製品類などがある。また、それらに化成処理、リン酸亜鉛処理、クロメート処理などの表面処理したものや、電着塗装を施されたものも含まれる。
【0141】
【実施例】
次に、本発明を、参考例、実施例および比較例により、一層、具体的に説明することにするが、本発明は、これらの例のみに、決して、限定されるものではない。なお、以下において、部および%は、特に断りの無い限り、すべて重量基準であるものとする。
【0142】
〔水酸基価〕 ;無水酢酸とピリジンとの混合溶液に共重合体及び樹脂試料を溶解して、100℃で一時間加熱環流し、水酸基をアセチル化し、次いでイオン交換水を加えてさらに加熱環流した後、冷却し、水酸化カリウムのトルエン/メタノール溶液で逆滴定して求めた(単位:mgKOH/g)。
【0143】
〔酸価〕 ;シクロヘキサノンに樹脂試料を溶解して、0.1規定の水酸化カリウムメタノール溶液で滴定して求めた(単位:mgKOH/g)。
【0144】
〔軟化点〕 ;環球式自動軟化点試験機(明峰社製作所(株)製)を用い、グリセリンの加熱浴で3℃/分の昇温速度で昇温し、試料が軟化し始め、球が落下した時の温度を測定した(単位:℃)。
【0145】
参考例 1 [水酸基含有重合体(本発明を構成する(A)成分に相当)の調製例]
温度計、還流冷却器、撹拌機、滴下漏斗および窒素ガス導入管を備えた反応容器に、キシレンの100部を仕込み、窒素雰囲気下に、135℃まで昇温した。
【0146】
次いで、同温度で、スチレン75部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート25部と、tert−ブチルパーオキシ2エチルヘキサノエート(以下、TBOと略記する。)の4部とからなる混合物を、6時間に亘って滴下した。
【0147】
滴下終了後も、同温度に、15時間のあいだ保持して、反応を完結せしめた後、さらに、得られた共重合体溶液を、約20Torrの減圧下に保持し、キシレンを除去することによって軟化点106℃、水酸基価120のビニル系共重合体を得た。以下、これを重合体(A−1)と略記する。
【0148】
参考例 2 [カルボン酸エステル基含有重合体(本発明を構成する(B)成分に相当)の調製例]
参考例1と同様の反応容器に、キシレンの100部を仕込んで、窒素ガスの通気下に、135℃にまで昇温した。
【0149】
次いで、同温度で、メチルメタクリレート75部、n−ブチルメタクリレートの15部および2−エチルヘシシルアクリレート10部と、TBOの4部からなる混合物を、6時間に亘って滴下した。
【0150】
滴下終了後も、同温度に、15時間のあいだ保持して、反応を完結せしめた後、さらに、得られた共重合体溶液を、約20Torrの減圧下に保持し、キシレンを除去することによって軟化点109℃、水酸基価0のビニル系共重合体を得た。以下、これを重合体(B−1)と略記する。
【0151】
参考例 3 [水酸基・カルボン酸エステル基含有重合体(本発明を構成する(D)成分に相当)の調製例]
参考例1と同様の反応容器に、キシレンの100部を仕込み、窒素雰囲気下に、135℃まで昇温した。
【0152】
次いで、同温度で、スチレン46部、ジブチルフマレート26部、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート28部と、TBO4部とからなる混合物を、6時間に亘って滴下した。
【0153】
滴下終了後も、同温度に、15時間のあいだ保持して、反応を完結せしめた後、さらに、得られた共重合体溶液を、約20Torrの減圧下に保持し、キシレンを除去することによって軟化点108℃、水酸基価107のビニル系共重合体を得た。以下、これを重合体(D−1)と略記する。
【0154】
参考例 4 [水酸基・カルボン酸エステル基併有重合体(本発明を構成する(D)成分に相当)の調製例]
参考例1と同様の反応容器に、キシレンの100部を仕込み、窒素雰囲気下に、135℃まで昇温した。
【0155】
次いで、同温度で、スチレン30部、メチルメタクリレート27部、ブチルアクリレート18部、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート35部と、TBO3部とからなる混合物を、6時間に亘って滴下した。
【0156】
滴下終了後も、同温度に、15時間のあいだ保持して、反応を完結せしめた後、さらに、得られた共重合体溶液を、約20Torrの減圧下に保持し、キシレンを除去することによって軟化点111℃、水酸基価148のビニル系共重合体を得た。以下、これを重合体(D−2)と略記する。
【0157】
参考例 5[水酸基・カルボン酸エステル基併有重合体(本発明を構成する(D)成分に相当)の調製例]
参考例1と同様の反応容器に、キシレンの100部を仕込み、窒素雰囲気下に、135℃まで昇温した。
【0158】
次いで、同温度で、スチレン30部、メチルメタクリレート28部、ブチルアクリレート17部、「プラクセルFM−1」(ダイセル化学製2ヒドロキシエチルメタクリレートのεカプロラクタム付加物)25部と、TBO2.4部とからなる混合物を、6時間に亘って滴下した。
【0159】
滴下終了後も、同温度に、15時間のあいだ保持して、反応を完結せしめた後、さらに、得られた共重合体溶液を、約20Torrの減圧下に保持し、キシレンを除去することによって軟化点96℃、水酸基価57のビニル系共重合体を得た。以下、これを重合体(D−3)と略記する。
【0160】
参考例 6 [水酸基・カルボン酸エステル基併有ポリエステル樹脂(本発明を構成する(D)成分に相当)の調製例]
攪拌機、温度計、精留塔及び窒素ガス導入口を備えた反応容器にネオペンチルグリコール160部、エチレングリコール210部トリメチロールプロパン60部、テレフタル酸450部、イソフタル酸300部及びジブチル錫オキサイド0.5部を仕込んで、窒素雰囲気中で攪拌を行いながら240℃まで5時間を要して昇温した。240℃で脱水縮合反応を続行せしめて、酸価5mgKOH/g、水酸基価102mgKOH/g、軟化点115℃のポリエステル樹脂を得た。以下、これをポリエステル樹脂(D−4)と略記する。
【0161】
参考例 7[エポキシ基含有ビニル重合体(E)の調製例]
参考例1と同様の反応容器に、キシレンの100部を仕込み、窒素雰囲気下に、135℃まで昇温した。
【0162】
次いで、同温度で、スチレン25部、メチルメタクリレート20部、ブチルメタクリレート25部、グリシジルメタクリレート30部と、TBO4部とからなる混合物を、6時間に亘って滴下した。
【0163】
滴下終了後も、同温度に、15時間のあいだ保持して、反応を完結せしめた後、さらに、得られた共重合体溶液を、約20Torrの減圧下に保持し、キシレンを除去することによって軟化点110℃、エポキシ当量535のビニル系共重合体を得た。以下、これを重合体(E−1)と略記する。
【0164】
実施例1〜6および比較例1〜2
(粉体塗料組成物の調製)
それぞれ、第1表及び第2表に示す割合で配合せしめ、「APVニーダー・MP−2015型」(ツバコー横浜販売(株)製2軸押し出し混練機)を使用して、100℃で溶融混練せしめたのちに、微粉砕し、さらに200メッシュの金網で分級せしめることによって、平均粒径が30〜40μmなる、各種の粉体塗料組成物を調製した。これらの各粉体塗料組成物を(P−1)〜(P−6)、(p−1)、(p−2)と略記する。
【0165】
また、第1、2表中における、硬化触媒(C)成分として用いた化合物は、次の通りのものである。
(C−1)……Ce(CFSO
【0166】
【表1】
Figure 2004131523
【0167】
【表2】
Figure 2004131523
【0168】
1)DDA:ドデカンジ酸(宇部興産製)
2)EX−570:表面調整剤(トロイ製)
【0169】
次いで、得られた粉体塗料組成物(P−1)〜(P−6)、(p−1)、(p−2)を使用して、下記の塗膜形成方法に従って第3表及び第4表に示す各種の塗膜を作製した後、それぞれの塗膜について塗膜性能試験を行なった。
【0170】
被塗物として使用する基材としては、0.8mm(厚さ)×70mm×150mmの燐酸亜鉛処理鋼板を用いた。
【0171】
粉体塗料組成物(P−1)〜(P−6)、(p−1)、(p−2)を、それぞれ、基材に焼き付けた後の膜厚が60〜70μmとなるようにして静電粉体塗装せしめた後、120℃/20分間なる条件下に焼き付けを行ない、粉体塗料組成物からなる塗膜(以下、粉体塗膜と略記する。)を有する被塗物を得た。
【0172】
【表3】
Figure 2004131523
【0173】
【表4】
Figure 2004131523
【0174】
硬度・・・鉛筆(三菱ユニ)硬度。塗膜に鉛筆をあて、その際に傷が残らない鉛筆の硬さ
【0175】
耐溶剤性・・・キシレンを染み込ませたフエルトで以って、塗膜を、10往復に及ぶラビングを行ったのちの塗膜を、目視により判定した。
◎・・・塗膜に光沢感があり、塗膜に目立った損傷はない
○・・・塗膜に光沢感はあるが、溶剤によりエッチングされている
×・・・塗膜が溶剤により溶解し光沢感なし
【0176】
耐酸性・・・・塗膜表面に、10%硫酸水溶液の0.1ミリ・リットルを載せたパネルを、70℃の熱風乾燥機中に、30分間のあいだ保持したのち、塗膜表面を水洗し乾燥せしめてから、その塗膜の表面の状態を、目視により判定した。
◎・・・エッチングなし
○・・・ややエッチング有り
×・・・エッチングにより塗膜が溶解
【0177】
耐屈曲性・・・・25℃で塗膜面を上にしてを90°に折り曲げた部分の塗膜のワレを判定した。
◎・・・まったくワレが認められない。
○・・・一部にワレが認められる。
×・・・全面にワレが認められる。
【0178】
【発明の効果】
以上の結果から明らかなように、水酸基含有化合物とカルボン酸エステル基含有化合物、もしくは、水酸基とカルボン酸エステル基とを併有する化合物に、特定の硬化触媒を配合せしめて構成される本発明の粉体塗料組成物は、とりわけ、低温硬化性などに優れた、斬新にして、極めて実用性の高い硬化塗膜を与える。

Claims (7)

  1. 一分子中に2個以上の水酸基を有する化合物(A)、一分子中に2個以上のカルボン酸エステル基を有する化合物(B)、及び下記一般式(I)で表される硬化触媒(C)を含有することを特徴とする粉体塗料組成物。
    (RSOM   (I)
    [式中、Rはフッ素置換された有機基を表し、Mは3b属元素、銅、鉄、亜鉛、錫、および鉛なる群から選ばれる少なくとも一種の元素を表し、nは2、3、または4を表す。]
  2. 一分子中に平均して1.5個以上の水酸基と平均して1.5個以上のカルボン酸エステル基とを併有する化合物(D)、及び下記一般式(I)で表される硬化触媒(C)を含有することを特徴とする粉体塗料組成物。
    (RSOM   (I)
    [式中、Rはフッ素置換された有機基を表し、Mは3b属元素、銅、鉄、亜鉛、錫、および鉛なる群から選ばれる少なくとも一種の元素を表し、nは2、3、または4を表す。]
  3. 化合物(A)及び化合物(B)がビニル系重合体である請求項1に記載の粉体塗料組成物。
  4. 化合物(D)がビニル系重合体である請求項2に記載の粉体塗料組成物。
  5. 一般式(I)中のRがトリフルオロメチル基であり、かつ一般式(I)中のMがスカンジウム、イットリウム、ランタニド元素、及び錫からなる群から選ばれた少なくとも一種である請求項1〜4のいずれか1項に記載の粉体塗料組成物。
  6. 硬化触媒(C)がスカンジウム(III)トリフルオロメタンスルフォネート、セリウム(III)トリフルオロメタンスルフォネート、セリウム(IV)トリフルオロメタンスルフォネート、イッテルビウム(III)トリフルオロメタンスルフォネート、及び錫(II)トリフルオロメタンスルフォネートからなる群から選ばれた少なくとも一種である請求項1〜4のいずれか1項に記載の粉体塗料組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の粉体塗料組成物を用いて塗膜が形成された塗装物。
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