JP2004131394A - ジアルキルカーボネートおよびジオールを製造する方法 - Google Patents

ジアルキルカーボネートおよびジオールを製造する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】原料として、環状カーボネートと脂肪族1価アルコールを用いたジアルキルカーボネートとジオールの製造方法に際し、高紫外線透過率を有すると同時にアルデヒド含量の低い高純度のジオールを収率を低下させることなく製造する方法を提供する。
【解決手段】環状カーボネートと脂肪族1価アルコールとを触媒の存在下にエステル交換反応器内で反応させてジアルキルカーボネートとジオールを生成し、該反応器から抜き出した該ジオールを含む反応液をジオール蒸留精製工程で分離することによりジオールを得、一方該反応器から抜き出した該ジアルキルカーボネートを含む反応液の分離によりジアルキルカーボネートを得るジアルキルカーボネートとジオールの製造方法であって、該ジオールを含む反応液をジオール蒸留精製工程で分離するに際して、該蒸留精製工程に酸素濃度100重量ppm以下の水を供給することを特徴とするジアルキルカーボネートとジオールの製造方法、及びそれにより得られたジオール。
【選択図】    なし

Description

【0001】
【発明の属する技術的分野】
本発明は、環状カーボネートと脂肪族1価アルコールとを反応させてなるジアルキルカーボネートとジオールの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
環状カーボネートと脂肪族1価アルコール類の反応から、ジアルキルカーボネートとジオール類を製造する方法については、いくつかの提案がなされているが、そのほとんどが触媒に関するものである。このような触媒としては、例えば、アルカリ金属またはアルカリ金属を含む塩基性化合物(特許文献1、特許文献2)、3級脂肪族アミン(特許文献3)、タリウム化合物(特許文献4)、錫アルコキシド類(特許文献5)、亜鉛、アルミニウム、チタンの各アルコキンド(特許文献6)、ルイス酸と含窒素有機塩基から成る複合触媒(特許文献7)、ホスフィン化合物(特許文献8)、4級ホスホニウム塩(特許文献9)、環状アミジン(特許文献10)、ジルコニウム、チタンおよび錫の化合物(特許文献11)、4級アンモニウム基を有する固体強塩基性アニオン交換体(特許文献12)、3級アミンまたは4級アンモニウム基を有するイオン交換樹脂、強酸性または弱酸性イオン交換樹脂、シリカ中に含浸せしめられたアルカリ金属またはアルカリ土類金属のケイ酸塩、アンモニウム交換ゼオライトから選ばれた固体触媒(特許文献13)、3級ホスフィン、3級アルシン、3級スチビン、2価の硫黄またはセレン化合物から選ばれた均一系触媒(特許文献14)などが提案されている。
また、反応方式としては、これまで4つの方式が提案されている。これら4つの反応方式は、最も代表的な反応例であるエチレンカーボネートとメタノールからのジメチルカーボネートとエチレングリコールの製造方法において用いられている。
【0003】
すなわち、第1の方式は、エチレンカーボネート、メタノールおよび触媒をバッチ式反応容器であるオートクレーブに仕込み、メタノールの沸点以上の反応温度において加圧下で所定の反応時間保持することによって反応を行う完全なバッチ式反応方式である(特許文献1、2、5〜9)。
第2の方式は、反応釜の上部に蒸留塔を設けた装置を用いるものであって、エチレンカーボネート、メタノールおよび触媒を反応容器に仕込み、所定の温度に加熱することによって反応を進行させる。この方式では、生成するジメチルカーボネートと共沸して留出するメタノールを補うために、反応釜にメタノールを連続的またはバッチ的に添加することも行なわれているが、いずれにしても、この方式では触媒、エチレンカーボネートおよびメタノールが存在しているバッチ式の反応釜中でのみ反応を進行させている。従って反応はバッチ式であり、3〜20数時間もの長時間をかけて、還流下で大過剰のメタノールを用いて反応を行っている(特許文献15、3、4)。
【0004】
第3の方式は、所定の反応温度に保たれた管状リアクターにエチレンカーボネートとメタノールの混合溶液を連続的に供給し、他方の出口より未反応のエチレンカーボネートとメタノールと生成物であるジメチルカーボネートおよびエチレングリコールとを含む反応混合物を液状で連続的に抜き出す連続反応方式である。用いる触媒の形態によって2つの方法が行われている。すなわち、均一系触媒を用いて、エチレンカーボネートとメタノールの混合溶液と一緒に管状リアクターを通過させ、反応後、反応混合物中から触媒を分離する方法(特許文献11、14)と、管状リアクター内に固定させた不均一触媒を用いる方法(特許文献12、13)がある。エチレンカーボネートとメタノールとの反応によるジメチルカーボネートとエチレングリコールの生成反応は平衡反応であることから、この管状リアクターを用いる連続流通反応方式では、エチレンカーボネートの反応率は、仕込組成比と反応温度によって決まる平衡反応率以上に高めることは不可能である。例えば、特許文献11の実施例1によれば、仕込みモル比メタノール/エチレンカーボネート=4/1の原料を用いる130℃での流通反応においては、エチレンカーボネートの反応率は25%である。このことは、反応混合物中に未反応で残存する大量のエチレンカーボネートおよびメタノールを分離・回収して反応器へ再循環させる必要があることを意味しており、事実、特許文献13の方法では、分離・精製・回収・再循環のためのたくさんの設備が用いられている。
【0005】
第4の方式は、反応蒸留方式すなわち、多段蒸留塔内にエチレンカーボネートとメタノールをそれぞれ連続的に供給し該蒸留塔の複数段で触媒の存在下に反応を行なうと同時に生成物であるジメチルカーボネートとエチレングリコールを分離する、連続的製造方法(特許文献16〜19)である。
このように、環状カーボネートと脂肪族1価アルコールとからジアルキルカーボネートとジオール類を製造するこれまでに提案された方法は、
(1)完全なバッチ反応方式
(2)蒸留塔を上部に設けた反応釜を用いるバッチ反応方式
(3)管式リアクターを用いる液状流通反応方式
(4)反応蒸留方式
の4方式であるが、それぞれ、以下に述べるような問題点があった。
【0006】
すなわち、(1)、(3)の場合には、環状カーボネートの反応率の上限は仕込み組成と温度から決まるため、反応を完全に終結させることはできず、反応率が低い。また、(2)の場合には環状カーボネートの反応率を高めるためには、生成するジアルキルカーボネートを、極めて大量の脂肪族1価アルコールを使用して留去しなければならず、長い反応時間を必要とする。
(4)の場合には、(1)、(2)、(3)と比較して、高い反応率で反応を進行させることが可能である。しかしながら、(4)の方法も、可逆な平衡反応を用いてジアルキルカーボネートとジオールを製造する方法であるから、たとえ純粋な脂肪族1価アルコールを用いて環状カーボネートを実質的に100%転化させるようにした場合においても、微量の未反応環状カーボネートが生成ジオール中に残存することを防ぐことはできない。そのために、純度の高いジオールを得るためには通常、ジオールと未反応環状カーボネートの精密な蒸留分離が不可欠である。特許文献20では、未反応環状カーボネートを加水分解することによってジオールへ転化させることで、この問題の解決を図っている。また、特許文献21では、未反応環状カーボネートをジオールと反応させてエーテルへ転化させることによりこの問題の解決を図っている。
【0007】
環状カーボネートと脂肪族1価アルコールの反応により得られたジオールの紫外線透過率やアルデヒド含量についてはこれまで全く知られていなかった。然るに、本発明者らにより、該反応により得られたジオールは特定の紫外線透過率が低く、アルデヒドを含有するという問題点が明らかとなった。
このように、原料として環状カーボネートと脂肪族1価アルコールを用い、ジアルキルカーボネートとジオールを製造する際に、高紫外線透過率を有すると同時にアルデヒド含量の低い高純度のジオールを得る方法は、これまで全く提案されていなかったのである。
【0008】
【特許文献1】
米国特許第3642858号明細書
【特許文献2】
特開昭54−48715号公報(米国特許第4181676号明細書)
【特許文献3】
特開昭51−122025号公報(米国特許第4062884号明細書)
【特許文献4】
特開昭54−48716号公報(米国特許第4307032号明細書)
【特許文献5】
特開昭54−63023号公報
【特許文献6】
特開昭54−148726号公報
【特許文献7】
特開昭55−64550号公報
【特許文献8】
特開昭55−64551号公報
【特許文献9】
特開昭56−10144号公報
【特許文献10】
特開昭59−106436号公報
【0009】
【特許文献11】
特開昭63−41432号公報(米国特許第4661609号明細書)
【特許文献12】
特開昭63−238043号公報
【特許文献13】
特開昭64−31737号公報(米国特許第4691041号明細書)
【特許文献14】
米国特許第4734518号明細書
【特許文献15】
米国特許第3803201号明細書
【特許文献16】
特開平4−198141号公報
【特許文献17】
特開平4−230243号公報
【特許文献18】
特開平5−213830号公報(ドイツ特許第4129316号明細書)
【特許文献19】
特開平6−9507号公報(ドイツ特許第4216121号明細書)
【特許文献20】
国際公開97/23445号パンフレット
【特許文献21】
国際公開00/51954号パンフレット
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、原料として、環状カーボネートと脂肪族1価アルコールを用いたジアルキルカーボネートとジオールの製造方法に際し、高紫外線透過率を有すると同時にアルデヒド含量の低い高純度のジオールを収率を低下させることなく製造する方法を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、環状カーボネートと脂肪族1価アルコールとを触媒の存在下にエステル交換反応器内で反応させてジアルキルカーボネートとジオールを生成し、該反応器から抜き出した該ジオールを含む反応液を蒸留分離工程で分離することによりジオールを得、一方該反応器から抜き出した該ジアルキルカーボネートを含む反応液の分離によりジアルキルカーボネートを得る、ジアルキルカーボネートとジオールの製造方法を実施するに当たり、該ジオールを含む反応液を蒸留分離工程で分離するに際して、該蒸留分離工程に水を供給することにより、高い紫外線透過率を有すると同時にアルデヒド含量の低いジオールを製造できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
1.環状カーボネートと脂肪族1価アルコールとを触媒の存在下にエステル交換反応器内で反応させてジアルキルカーボネートとジオールを生成し、該反応器から抜き出した該ジオールを含む反応液をジオール蒸留精製工程で分離することによりジオールを得、一方該反応器から抜き出した該ジアルキルカーボネートを含む反応液の分離によりジアルキルカーボネートを得る、ジアルキルカーボネートとジオールの製造方法であって、該ジオールを含む反応液を蒸留分離工程で分離するに際して、該ジオール蒸留精製工程に酸素濃度100重量ppm以下の水を供給することを特徴とするジアルキルカーボネートとジオールの製造方法。
2.ジオール蒸留精製工程が、ジオールと低沸点化合物の分離を行う低沸点成分分離塔とジオール精製塔とによる工程を含み、水を該ジオール精製塔に供給することを特徴とする上記1のジアルキルカーボネートとジオールの製造方法。
【0013】
3.ジオール蒸留精製工程が、ジオールと低沸点化合物の分離を行う低沸点成分分離塔とジオール精製塔とによる工程を含み、水を低沸点成分分離塔に供給することを特徴とする上記1のジアルキルカーボネートとジオールの製造方法。
4.蒸留分離工程で分離することにより得られるジオール中の水濃度が50重量ppm〜2000重量ppmであることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載のジアルキルカーボネートとジオールの製造方法。
5.環状カーボネートがエチレンカーボネートであることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載のジアルキルカーボネートとジオールの製造方法。
6.エステル交換反応器が反応蒸留塔であることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載のジアルキルカーボネートとジオールの製造方法。
7.請求項1〜6のいずれかの方法で製造されたことを特徴とする水濃度が50重量ppm〜2000重量ppmであるジオール。
【0014】
本発明の反応は、環状カーボネート(A)と脂肪族1価アルコール類(B)から、ジアルキルカーボネート(C)とジオール類(D)が生成する、下記一般式(I)で表わされる可逆平衡なエステル交換反応である。
【化1】
Figure 2004131394
[ここで、R1 は2価の基−(CH2 m −(mは2〜6の整数)を表わし、その1個以上の水素は炭素数1〜10のアルキル基やアリール基によって置換されていてもよい。また、R2 は炭素数1〜12の1価の脂肪族基を表わし、その1個以上の水素は炭素数1〜10のアルキル基やアリール基で置換されていてもよい。]
【0015】
本発明において、蒸留分離工程に酸素濃度100重量ppm以下の水を供給することにより高紫外線透過率を有すると同時にアルデヒド含量の低いジオールが製造できる理由は明らかとはなっていないが、次のような理由が考えられる。
すなわち、酸素濃度100重量ppm以下の水が存在することにより、(1)紫外線領域に吸収を有する不純物の生成が抑制されること、(2)酸化反応によるアルデヒドの生成が抑制されること、あるいは、(3)ジオールと不純物の蒸留分離を容易にすることなどである。
本発明で用いられるエステル交換反応器の形式に特に制限はなく、固定床と蒸留塔を組み合わせた方式、攪拌槽方式、多段攪拌槽方式、多段蒸留塔を用いる方式、及びこれらを組み合わせた方式等、公知の種々の方法が用いられる。これらの反応器はバッチ式、連続式のいずれでも使用できる。平衡を生成系側にずらすという点で多段蒸留塔を用いる方法が好ましく、多段蒸留塔を用いた連続法が特に好ましい。多段蒸留塔とは、蒸留の段数が2段以上の複数段を有する蒸留塔であって、連続蒸留が可能なものであるならばどのようなものであってもよい。本発明でいう段とは理論段であり、充填塔のように物理的段を有しない蒸留塔の場合には、用いる充填材のH.E.T.P.(1理論段あたりの高さ)で充填高さを除した数値が段数として用いられる。
【0016】
このような連続多段蒸留塔としては、例えば、泡鐘トレイ、多孔板トレイ、バルブトレイ、向流トレイ等のトレイを使用した棚段塔式のものや、ラシヒリング、レッシングリング、ポールリング、ベルルサドル、インタロックスサドル、ディクソンパッキング、マクマホンパッキング、ヘリパック、スルザーパッキング、メラパック等の各種充填物を充填した充填塔式のものなど、通常、連続式の多段蒸留塔として用いられるものならばどのようなものでも使用することができる。さらには、棚段部分と充填物の充填された部分とを合わせ持つ蒸留塔も好ましく用いられる。また固体触媒を用いる場合、この固体触媒を充填物の一部または全部とする充填塔式蒸留塔も好ましく用いられる。また、本発明で用いられる多段蒸留塔は、上記の蒸留塔を単独で用いてもよいし、複数の該蒸留塔を直列または並列に接続することで複数組み合わせて用いることもできる。
【0017】
本発明で原料として用いられる環状カーボネートとは、前記式(I)において(A)で表わされる化合物であって、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のアルキレンカーボネート類や、1,3−ジオキサシクロヘキサ−2−オン、1,3−ジオキサシクロヘプタ−2−オンなどが好ましく用いられ、エチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートが入手の容易さなどの点からさらに好ましく使用され、エチレンカーボネートが特に好ましく使用される。
【0018】
また、もう一方の原料である脂肪族1価アルコール類とは、前記式(I)において(B)で表わされる化合物であって、生成するジオールより沸点が低いものが用いられる。したがって、使用する環状カーボネートの種類にもよっても変わり得るが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール(各異性体)、アリルアルコール、ブタノール(各異性体)、3−ブテン−1−オール、アミルアルコール(各異性体)、ヘキシルアルコール(各異性体)、ヘプチルアルコール(各異性体)、オクチルアルコール(各異性体)、ノニルアルコール(各異性体)、デシルアルコール(各異性体)、ウンデシルアルコール(各異性体)、ドデシルアルコール(各異性体)、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘプタノール、シクロオクタノール、メチルシクロペンタノール(各異性体)、エチルシクロペンタノール(各異性体)、メチルシクロヘキサノール(各異性体)、エチルシクロヘキサノール(各異性体)、ジメチルシクロヘキサノール(各異性体)、ジエチルシクロヘキサノール(各異性体)、フェニルシクロヘキサノール(各異性体)、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール(各異性体)、フェニルプロパノール(各異性体)などがあげられ、さらにこれらの脂肪族1価アルコール類において、ハロゲン、低級アルコキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アシロキシ基、ニトロ基等の置換基によって置換されていてもよい。
【0019】
このような脂肪族1価アルコール類の中で、好ましく用いられるのは炭素数1〜6のアルコール類であり、さらに好ましいのはメタノール、エタノール、プロパノール(各異性体)、ブタノール(各異性体)の炭素数1〜4のアルコール類である。環状カーボネートとしてエチレンカーボネートやプロピレンカーボネートを使用する場合に、好ましいのはメタノール、エタノールであり、特に好ましいのはメタノールである。
本発明の方法においては、エステル交換反応器内に触媒を存在させる。触媒を存在させる方法はどのような方法であってもよいが、例えば、反応条件下で反応液に溶解するような均一系触媒の場合、エステル交換反応器内に連続的に触媒を供給することにより、エステル交換反応器内の液相に触媒を存在させることもできるし、あるいは反応条件下で反応液に溶解しないような不均一系触媒の場合、エステル交換反応器内に固体触媒を配置することにより、反応系に触媒を存在させることもできるし、これらを併用した方法であってもよい。
【0020】
均一系触媒をエステル交換反応器内に連続的に供給する場合には、環状カーボネートおよび/または脂肪族アルコールと同時に供給してもよいし、原料とは異なる位置に供給してもよい。また、エステル交換反応器として多段蒸留塔を用いる場合には、塔底から少くとも1段以上の理論段を有する位置であればどの位置にエステル交換触媒を供給してもよい。しかし、該蒸留塔内で実際に反応が進行するのは触媒供給位置から下の領域であることから、塔頂から原料供給位置までの間の領域に該触媒を供給することが好ましい。
また、不均一系の固体触媒を用いる場合、該触媒は該反応器の任意の位置に必要量設置することができ、さらにエステル交換反応器として多段蒸留塔を用いる場合には該触媒の存在する段の理論段数が少くとも1段以上あればよく、好ましくは2段以上あればよい。蒸留塔の充填物としての効果をも併せ持つ固体触媒を用いることもできる。
【0021】
本発明において用いられる触媒としては、これまでに知られている種々のものを使用することができる。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ金属およびアルカリ土類金属類;アルカリ金属およびアルカリ土類金属の水素化物、水酸化物、アルコキシド化物類、アリーロキシド化物類、アミド化物類等の塩基性化合物類;アルカリ金属およびアルカリ土類金属の炭酸塩類、重炭酸塩類、有機酸塩類等の塩基性化合物類;トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリヘキシルアミン、ベンジルジエチルアミン等の3級アミン類;N−アルキルピロール、N−アルキルインドール、オキサゾール、N−アルキルイミダゾール、N−アルキルピラゾール、オキサジアゾール、ピリジン、アルキルピリジン、キノリン、アルキルキノリン、イソキノリン、アルキルイソキノリン、アクリジン、アルキルアクリジン、フェナントロリン、アルキルフェナントロリン、ピリミジン、アルキルピリミジン、ピラジン、アルキルピラジン、トリアジン、アルキルトリアジン等の含窒素複素芳香族化合物類;
【0022】
ジアザビシクロウンデセン(DBU)、ジアザビシクロノネン(DBN)等の環状アミジン類;酸化タリウム、ハロゲン化タリウム、水酸化タリウム、炭酸タリウム、硝酸タリウム、硫酸タリウム、タリウムの有機酸塩類等のタリウム化合物類;トリブチルメトキシ錫、トリブチルエトキシ錫、ジブチルジメトキシ錫、ジエチルジエトキシ錫、ジブチルジエトキシ錫、ジブチルフェノキシ錫、ジフェニルメトキシ錫、酢酸ジブチル錫、塩化トリブチル錫、2−エチルヘキサン酸錫等の錫化合物類;ジメトキシ亜鉛、ジエトキシ亜鉛、エチレンジオキシ亜鉛、ジブトキシ亜鉛等の亜鉛化合物類;アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリブトキシド等のアルミニウム化合物類;テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラブトキシチタン、ジクロロジメトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、酢酸チタン、チタンアセチルアセトナート等のチタン化合物類;
【0023】
トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルメチルホスホニウムハライド、トリオクチルブチルホスホニウムハライド、トリフェニルメチルホスホニウムハライド等のリン化合物類;ハロゲン化ジルコニウム、ジルコニウムアセチルアセトナート、ジルコニウムアルコキシド、酢酸ジルコニウム等のジルコニウム化合物類;鉛および鉛を含む化合物類、例えば、PbO、PbO2 、Pb3 2 などの酸化鉛類;PbS、Pb2 3 、PbS2 などの硫化鉛類;Pb(OH)2 、Pb3 2 (OH)2 、Pb2 [PbO2 (OH)2 ]、Pb2 O(OH)2 などの水酸化鉛類;Na2 PbO2 、K2 PbO2 、NaHPbO2 、KHPbO2 などの亜ナマリ酸塩類;Na2 PbO3 、Na2 2 PbO4 、K2 PbO3 、K2 [Pb(OH)6 ]、K4 PbO4 、Ca2 PbO4 、CaPbO3 などの鉛酸塩類;PbCO3 、2PbCO3 ・Pb(OH)2 などの鉛の炭酸塩およびその塩基性塩類;Pb(OCH3 2 、(CH3 O)Pb(OPh)、Pb(OPh)2 などのアルコキシ鉛類、アリールオキシ鉛類;Pb(OCOCH3 2 、Pb(OCOCH3 4 、Pb(OCOCH3 2 ・PbO・3H2 Oなどの有機酸の鉛塩およびその炭酸塩や塩基性塩類;
【0024】
Bu4 Pb、Ph4 Pb、Bu3 PbCl、Ph3 PbBr、Ph3 Pb(またはPh6 Pb2 )、Bu3 PbOH、Ph2 PbOなどの有機鉛化合物類(Buはブチル基、Phはフェニル基を示す);Pb−Na、Pb−Ca、Pb−Ba、Pb−Sn、Pb−Sbなどの鉛の合金類;ホウエン鉱、センアエン鉱などの鉛鉱物類、およびこれらの鉛化合物の水和物類;3級アミノ基を有する陰イオン交換樹脂、アミド基を有するイオン交換樹脂、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基のうちの少なくとも一つの交換基を有するイオン交換樹脂、第4級アンモニウム基を交換基として有する固体強塩基性アニオン交換体等のイオン交換体類;シリカ、シリカ−アルミナ、シリカーマグネシア、アルミノシリケート、ガリウムシリケート、各種ゼオライト類、各種金属交換ゼオライト類、アンモニウム交換ゼオライト類などの固体の無機化合物類等が用いられる。
【0025】
固体触媒として、特に好ましく用いられるのは第4級アンモニウム基を交換基として有する固体強塩基性アニオン交換体であり、このようなものとしては、例えば、第4級アンモニウム基を交換基として有する強塩基性アニオン交換樹脂、第4級アンモニウム基を交換基として有するセルロース強塩基性アニオン交換体、第4級アンモニウム基を交換基として有する無機質担体担持型強塩基性アニオン交換体などが挙げられる。
第4級アンモニウム基を交換基として有する強塩基性アニオン交換樹脂としては、例えば、スチレン系強塩基性アニオン交換樹脂などが好ましく用いられる。スチレン系強塩基性アニオン交換樹脂は、スチレンとジビニルベンゼンの共重合体を母体として、交換基に第4級アンモニウム(I型、或いはII型)を有する強塩基性アニオン交換樹脂であり、例えば、次の式(II)で模式的に示される。
【0026】
【化2】
Figure 2004131394
【0027】
上記式中、Xはアニオンを示し、通常、Xとしては、F− 、Cl− 、Br− 、I− 、HCO3  − 、CO3  2−、CH3 CO2  − 、HCO2  − 、IO3  − 、BrO3  − 、ClO3  − の中から選ばれた少なくとも1種のアニオンが使用され、好ましくはCl− 、Br− 、HCO3  − 、CO3  2−の中から選ばれた少なくとも1種のアニオンが使用される。また、樹脂母体の構造としては、ゲル型、マクロレティキュラー型(MR型)いずれも使用できるが、耐有機溶媒性が高い点からMR型が特に好ましい。
第4級アンモニウム基を交換基として有するセルロース強塩基性アニオン交換体としては、例えば、セルロースの−OH基の一部または全部をトリアルキルアミノエチル化して得られる、−OCH2 CH2 NR3 Xなる交換基を有するセルロースが挙げられる。ただし、Rはアルキル基を示し、通常、メチル、エチル、プロピル、ブチルなどが用いられ、好ましくはメチル、エチルが使用される。また、Xは前述のとおりである。
【0028】
本発明において使用できる、第4級アンモニウム基を交換基として有する無機質担体担持型強塩基性アニオン交換体とは、無機質担体の表面水酸基−OHの一部または全部を修飾することにより、4級アンモニウム基−O(CH2 n NR3 Xを導入したものを意味する。ただし、R、Xは前述のとおりであり、nは通常1〜6の整数であり、好ましくはn=2である。無機質担体としては、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、チタニア、ゼオライトなどを使用することができ、好ましくはシリカ、アルミナ、シリカアルミナが用いられ、特に好ましくはシリカが使用される。
【0029】
無機質担体の表面水酸基の修飾方法としては、任意の方法を用いることができる。例えば、無機質担体とアミノアルコールHO(CH2 n NR2 を塩基触媒存在下に脱水反応を進行させることによりアミノアルコキシ化した後に、ハロゲン化アルキルRX′(X′はハロゲンを示し、通常はCl、Br、Iなどが使用される。)と反応させて−O(CH2 n NR3 X′基とする。さらに、アニオン交換を行なうことにより、所望のアニオンXを有する4級アンモニウム基−O(CH2 n NR3 Xとする。また、n=2の場合には、無機質担体をN、N−ジアルキルアジリジンで処理することにより、N、N−ジアルキルアミノエトキシ化して−OCH2 CH2 NR2 基とした後に、上述の方法により−O(CH2 n NR3 X基とする。
【0030】
第4級アンモニウム基を交換基として有する固体強塩基性アニオン交換体は、市販のものを使用することもできる。その場合には、前処理として予め所望のアニオン種でイオン交換を行なった後に、エステル交換触媒として使用することもできる。
また、少くとも1個の窒素原子を含む複素環基が結合している巨大網状およびゲルタイプの有機ポリマー、または少くとも1個の窒素原子を含む複素環基が結合している無機質担体から成る固体触媒もエステル交換触媒として好ましく用いられる。また、さらにはこれらの含窒素複素環基の一部または全部が4級塩化された固体触媒も同様に用いられる。
【0031】
本発明で用いられる触媒の量は、使用する触媒の種類によっても異なるが、反応条件下で反応液に溶解するような均一系触媒を連続的に供給する場合には、供給原料である環状カーボネートと脂肪族1価アルコールの合計重量に対する割合で表わして、通常0.0001〜50重量%で使用される。固体触媒を用いる場合には反応器の内容積に対して通常10〜95体積%、好ましくは50〜90体積%充填される。また、固体触媒を該蒸留塔内に設置して使用する場合には、該蒸留塔の空塔容積に対して、0.01〜75体積%の触媒量が好ましく用いられる。
【0032】
エステル交換反応器として連続多段蒸留塔を用いる場合、環状カーボネートおよび脂肪族1価アルコールを連続的に供給する方法については、特別な限定はなく、それらが該蒸留塔の少なくとも1段以上、好ましくは2段以上の領域において触媒と接触させることができるような供給方法であれば、どのような方法であってもよい。すなわち、該環状カーボネートと該脂肪族1価アルコールは、連続多段蒸留塔の上記の条件を満たす段に必要な数の導入口から連続的に供給することができる。また、該環状カーボネートと該脂肪族1価アルコールは該蒸留塔の同じ段に導入されてもよいし、それぞれ別の段に導入されてもよい。
【0033】
原料は液状、ガス状または液とガスとの混合物として該蒸留塔に連続的に供給される。このようにして原料を該蒸留塔に供給する以外に、付加的にガス状の原料を該蒸留塔の下部から断続的または連続的に供給することも好ましい方法である。また、環状カーボネートを触媒の存在する段よりも上部の段に液状または気液混合状態で該蒸留塔に連続的に供給し、該蒸留塔の下部に該脂肪族1価アルコールをガス状および/または液状で連続的に供給する方法も好ましい方法である。この場合、環状カーボネート中に、脂肪族1価アルコールが含まれていても、もちろん構わない。
【0034】
本発明において、供給原料中に、生成物であるジオール類が少量含まれていても良い。また、脂肪族1価アルコールに含まれるジアルキルカーボネートは、脂肪族1価アルコール/ジアルキルカーボネート混合物中のジアルキルカーボネートの重量%で表わして、通常、0〜40重量%、好ましくは0.1〜30重量%、さらに好ましくは1〜20重量%で用いられる。
エステル交換反応器に供給する環状カーボネートと脂肪族1価アルコール類との量比は、エステル交換触媒の種類や量および反応条件によっても異なるが、通常、供給される環状カーボネートに対して、脂肪族1価アルコール類はモル比で0.01〜1000倍の範囲で供給することができる。環状カーボネートの反応率を上げるためには脂肪族1価アルコール類を2倍モル以上の過剰量供給することが好ましいが、あまり大過剰に用いると装置を大きくする必要がある。このような意味において、特に好ましいのは、2〜20倍モル量の脂肪族1価アルコール類が使用される場合である。
【0035】
本発明のエステル交換反応器中に炭酸ガスが高濃度で存在すると、エステル交換反応の反応速度が低下してしまう。したがって、反応液中のCO2 濃度で表して通常500ppm以下、好ましくは200ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下で行われる。
また、本発明のエステル交換反応器中内の反応液に水が高濃度で存在すると、エステル交換反応と同時に環状カーボネートの加水分解反応も進行するためにジアルキルカーボネート選択率が低下してしまう。したがって、反応液中のH2 O濃度で表して通常200ppm以下、好ましくは100ppm以下で行われる。
【0036】
本発明において、エステル交換反応における環状カーボネートの転化率を100%に近づけようとすると、長い反応時間が必要となるため反応時間が大きくなったり、必要な脂肪族1価アルコールの量が過大となってしまう。また、転化率が低すぎる場合には、未反応環状カーボネートの分離回収装置が大きくなり好ましくない。したがって、エステル交換反応における環状カーボネートの転化率は、通常95〜99.999%、好ましくは98〜99.99%、さらに好ましくは99〜99.99%で行われる。
本発明において、生成物の一つであるジアルキルカーボネートは、エステル交換反応器から抜き出され、通常はガス状の低沸点成分として該反応器の上部から抜き出される。
反応器の上部から抜き出される低沸点成分はジアルキルカーボネート単独でも良いし、脂肪族1価アルコール類とジアルキルカーボネートとの混合物であってもよいし、また高沸点生成物を少量含んでいてもよい。
【0037】
エステル交換反応器として多段蒸留塔を用いる場合、該多段蒸留塔からジアルキルカーボネートを含む低沸点成分を抜き出す抜出口は、原料供給位置から塔頂の間または塔頂部にガス状物質の抜出口を設けることが好ましく、塔頂部に設けることがさらに好ましい。このようにして抜き出された低沸点成分の一部を該蒸留塔の上部に戻す、いわゆる還流操作を行ってもよい。この還流操作によって還流比を増加させると、低沸点生成物の蒸気相への蒸留効率が高くなるため、抜き出すガス成分中の低沸点生成物濃度を増加させることができる。しかしながら、あまりに還流比を増加させると必要な熱エネルギーが大きくなるので好ましくない。したがって、還流比は、通常0〜10が用いられ、好ましくは0〜5が、さらに好ましくは0〜3が用いられる。
【0038】
エステル交換反応器の上部から抜き出される低沸点混合物をジアルキルカーボネート分離装置に供給し、該ジアルキルカーボネート分離装置からジアルキルカーボネートを抜き出すことによって、ジアルキルカーボネートを得ることができる。該ジアルキルカーボネート分離装置としては、蒸留分離装置、抽出分離装置、液液抽出分離装置、晶析分離装置、吸着分離装置、膜分離装置などを用いることができる。これらの分離装置はそれぞれが同一種類の複数の装置から構成されていても良いし、複数の種類の分離装置の組合せを用いることもできる。これらの分離装置の中で特に好ましい分離装置として蒸留分離装置が用いられる。
【0039】
該ジアルキルカーボネート分離装置として蒸留分離装置を用いる場合には、エステル交換反応器の上部から抜き出される低沸点混合物を蒸留分離装置に導き、該反応液または該混合物に含まれるジアルキルカーボネートや脂肪族1価アルコールなどの各成分を、それぞれ単一成分またはこれらの成分の混合物から成る留分又は塔底液として分離することができる。原料の種類によっては共沸混合物が留分または塔底液として得られる場合もある。このようにして蒸留分離装置を用いて、反応液またはエステル交換反応器の上部から抜き出される低沸点混合物を各留分および塔底液に分離した後に、脂肪族1価アルコールを含む留分または塔底液をエステル交換反応器へ供給することができる。
【0040】
該蒸留分離装置としては、エステル交換反応器として用いることのできる多段蒸留塔と同様の多段蒸留塔を単独でまたは複数組み合わせて用いることができる。ここで、脂肪族1価アルコールとジアルキルカーボネートが最低沸点共沸混合物を形成する組合せである場合を、脂肪族1価アルコールとしてメタノールを使用してジメチルカーボネートが生成する場合について次に例示する。メタノールとジメチルカーボネートを含有するエステル交換反応器上部から抜き出される低沸点混合物をジメチルカーボネート分離塔に連続的に供給し、該ジメチルカーボネート分離塔の上部からメタノールとジメチルカーボネートの最低沸点共沸混合物を含む低沸点成分を連続的に抜き出し、該ジメチルカーボネート分離塔の下部からジメチルカーボネートを連続的に抜き出すことにより、ジメチルカーボネートを得ることができる。
【0041】
該ジメチルカーボネート分離塔としては、エステル交換反応器として用いることができるものと同様の多段蒸留塔を単独でまたは複数組み合わせて用いることができる。また、該ジメチルカーボネート分離塔の操作圧力は、通常、絶対圧力で表して0.5×105〜50×105Pa(0.51〜51kg/cm2 )の減圧または加圧下で操作される。メタノール/ジメチルカーボネート最低沸点共沸混合物の組成は操作圧力により変わるので、該ジメチルカーボネート分離塔の操作圧力は、塔下部からジメチルカーボネートを得ることができる操作圧力が選ばれる。すなわち、エステル交換反応器の塔上部抜き出し物中のメタノール/ジメチルカーボネート比に対応した圧力よりも高い圧力が選ばれる。
【0042】
前記ジメチルカーボネート分離塔の上部から抜き出したメタノールとジメチルカーボネートの最低沸点共沸混合物を含む低沸点成分を、本発明の方法の原料として、エステル交換反応器に供給することができる。
本発明において連続多段蒸留塔の上部とは、該蒸留塔の塔頂から塔高の約1/2の高さの位置までの範囲を指し、塔頂も含まれる。また連続多段蒸留塔の下部とは、該蒸留塔の塔底から塔高の約1/2の高さの位置までの範囲を指し、塔底も含まれる。
エステル交換反応器で生成するジオールは、液状高沸点成分として該反応器の下部から抜き出される。該高沸点混合物は、生成するジオールと未反応の環状カーボネートとを含んでおり、脂肪族1価アルコールまたは脂肪族1価アルコールとジアルキルカーボネートを含んでいても良い。
【0043】
生成したジオールを含む液状高沸点混合物をエステル交換反応器から抜き出す抜出口は、該反応器下部に設けられる。このようにして抜き出された反応混合物は、その一部をリボイラーで加熱することによって、ガス状または気液混合物の状態で該反応器の下部に戻してもよい。
エステル交換反応器として多段蒸留塔を用いる場合、該蒸留塔内の液速度およびガス速度は、使用する該蒸留塔の種類により、また充填塔を用いる場合には充填物の種類によっても異なるが、通常、フラッディングおよびウィーピングを起こさない範囲で実施される。
また、エステル交換反応器での反応液の平均滞留時間は、反応条件や該反応器の種類や内部構造(例えば棚段や充填物の種類)によっても異なるが、通常0.001〜50時間、好ましくは0.01〜10時間、より好ましくは0.05〜5時間である。
【0044】
エステル交換反応の反応温度は、用いる原料化合物の種類、反応圧力によっても異なるが、通常、−20から350℃、好ましくは、0から200℃の範囲で行われる。
また、エステル交換反応器の操作圧力は、減圧、常圧、加圧いずれであってもよく、絶対圧力で表して通常1Pa〜2×106 Pa、好ましくは1×103 〜1×106 Pa、さらに好ましくは1×104 〜5×105 Paである。
エステル交換反応器の下部から抜き出した液状高沸点混合物の一部を該エステル交換反応器へ供給することで未反応環状カーボネートおよび/または未反応脂肪族1価アルコールを該エステル交換反応器へ循環させることもできる。
【0045】
このようにして得られたジオールを含む高沸点混合物をジオール精製工程で分離するに際しては、通常、(1)原料である脂肪族アルコール等の低沸点成分が含まれる場合には、蒸留等の分離装置を用いて予め該脂肪族アルコール等を分離し、エステル交換反応器へリサイクルすることが好ましく、また、(2)該高沸点混合物に含まれる未反応環状カーボネートを予め分離した後に該精製工程へ供給されることが好ましい。該高沸点混合物に含まれる未反応環状カーボネートの分離方法としては、(i)蒸留分離、(ii)加水分解反応によりジオールへ転化させる方法、(iii)環状カーボネートとジオールのエーテル生成反応により未反応環状カーボネートを消失させる方法などを用いることができる。特に好ましくはエーテル生成反応が用いられる。
【0046】
すなわち、エステル交換反応器から抜き出される高沸点混合物をジオール精製工程へ供給する前に行う好ましい分離方法として、以下に示す2つの方法を用いることができる。
1.エステル交換反応器から抜き出される液状高沸点混合物をジオール精製工程に供給する前に、該液状高沸点混合物を、サイドカット抜き出し口を下部に設けた連続多段蒸留塔からなる低沸点成分分離塔に連続的に供給し、該高沸点混合物中に残存している脂肪族1価アルコールとジアルキルカーボネートを含む低沸点成分を低沸点成分分離塔の上部から連続的に抜き出すと共に、ジオールおよび環状カーボネートを含む留分をサイドカット口から抜き出し、低沸点成分分離塔の上部から抜き出した該低沸点成分を工程(1)の連続多段蒸留塔へ供給することによって循環させ、一方、該低沸点成分分離塔のサイドカット口から抜き出した留分をエーテル生成反応装置へ供給してエーテル生成反応を行わせた後に、ジオール精製工程へ供給する方法。
低沸点成分分離塔としては、エステル交換反応器として用いることのできる多段蒸留塔と同様の多段蒸留塔を用いることができる。
【0047】
2.エステル交換反応器から抜き出される液状高沸点混合物をジオール精製工程へ供給する前に、該液状高沸点混合物を多段蒸留塔からなる低沸点成分分離塔に連続的に供給し、該高沸点混合物中に残存している脂肪族1価アルコールとジアルキルカーボネートを含む低沸点成分を低沸点成分分離塔の上部から連続的に抜き出すとともに、ジオールおよび環状カーボネートを含む高沸点成分を該低沸点成分分離塔の下部から抜き出し、その際に該低沸点分離塔の下部でエーテル生成反応を行わせ、低沸点成分分離塔の上部から抜き出した該低沸点成分をエステル交換反応器に連続的に供給することによって循環させ、一方、該低沸点成分分離塔の下部から抜き出したジオールおよび生成したエーテルを含む高沸点成分をジオール精製工程に供給する方法。
【0048】
上記のエーテル生成反応を実施するに当たっては、特許文献21に記載のエーテル生成反応の方法、すなわち、生成したジオールと未反応の環状カーボネートを含む混合物をエーテル生成反応装置に供給し、未反応環状カーボネートを生成ジオールの一部とエーテル生成反応を行なわせて、次式
HO(R1 O)n 
[ただし、R1 は置換されていないかまたは炭素数1〜10のアルキル基及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基によって置換されている2価基−(CH2 m −(m及びnは2〜4の整数)を表す。]
で表される直鎖エーテルに転化させることにより、該未反応環状カーボネートを減少せしめる方法を用いることができる。
【0049】
エーテル生成反応装置の反応条件は、触媒の有無や触媒を用いる場合には該触媒の種類および量によっても異なるが、反応温度は通常、50〜350℃、好ましくは80〜300℃、より好ましくは100〜250℃で行なわれ、反応時間は、触媒の有無や触媒を用いる場合には該触媒の種類および量や、反応温度によっても異なるが、平均滞留時間で表現して通常、0.001〜50時間、好ましくは0.01〜10時間、さらに好ましくは0.02〜5時間である。反応圧力は、用いる反応温度によっても異なるが、絶対圧力で表わして通常、1×103 〜2×107 Pa 、好ましくは1×104 〜1×107 Paで行なわれる。
エーテル生成反応における環状カーボネートの転化率は通常90〜100%、好ましくは95〜100%、さらに好ましくは98〜100%で行われる。
また、二酸化炭素がエステル交換反応器へ導入されると、エステル交換反応が阻害され、反応速度が低下する。したがって、エーテル生成装置から抜き出される二酸化炭素を分離することは、好ましい方法である。
【0050】
本発明では、ジオールを含む反応液をジオール蒸留精製工程で分離するに際して、該ジオール精製工程に酸素濃度100重量ppm以下の水を供給する。供給する水の量が少なすぎると効果がなく、供給する水量があまり多いと、蒸留に必要な熱量が多くなってしまう。したがって、水の量はジオールに対して通常、0.01重量%〜10重量%が用いられる。供給される水は気相、液相または気液混相で供給される。供給される水に含まれる酸素濃度は通常100重量ppm以下が用いられる。製品であるジオールの紫外線透過率やアルデヒド含量の点からは酸素濃度のより低い水が好ましいが、酸素濃度の極めて低い水を製造するためには非常に複雑な脱気装置が必要となってしまう。したがって、供給される水に含まれる酸素濃度は、好ましくは0.01〜50重量ppm、さらに好ましくは0.1〜10重量ppmである。
【0051】
水は、ジオール蒸留精製工程においてジオールが存在する場所に供給される。好ましい方法としては、(1)ジオール蒸留精製工程が、ジオールと低沸点化合物の分離を行う低沸点成分分離塔とジオール精製塔とによる工程を含み、水を該ジオール精製塔に供給する方法、および(2)ジオール蒸留精製工程が、ジオールと低沸点化合物の分離を行う低沸点成分分離塔とジオール精製塔とによる工程を含み、水を低沸点成分分離塔に供給する方法が挙げられる。水をジオール精製塔および/または低沸点成分分離塔に供給する場合、各塔への供給位置は特に限定されないが、好ましくは塔底へ供給される。水がジオール蒸留精製工程へ供給されるに際し、該工程内の水以外の成分との混合状態を良好にするために、水を複数の位置へ分割供給したり、複数の孔を有する分散器を用いて供給することは好ましい方法である。
ジオール蒸留精製工程で分離することにより得られるジオール中の水濃度は、通常50〜2000重量ppm、好ましくは100〜1000重量ppmで行われる。
【0052】
本発明においては、必ずしも溶媒を使用する必要はないが、(1)反応操作を容易にするためや、(2)共沸蒸留や抽出蒸留を行ってジアルキルカーボネートやジオールを効率的に取得するため、等の目的で適当な不活性溶媒、例えば、エーテル類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類、ハロゲン化芳香族炭化水素類等を反応溶媒として用いることができる。
また、反応に不活性な物質である窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスを反応系に共存させてもよいし、生成する低沸点生成物の留去を加速する目的で連続多段蒸留塔の下部より、前記の不活性ガスや反応に不活性な低沸点有機化合物をガス状で導入してもよい。
本発明の方法で製造された、水濃度が50重量ppm〜2000重量ppmであるジオールは、高い紫外線透過率を有していると同時にアルデヒド含量が低く、ポリエステル原料として好ましく用いることができる。
【0053】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施例を具体的に説明する。
下記各例中、エチレングリコールの収率は仕込みのエチレンカーボネート基準の数値であり、エチレングリコールの選択率は消費されたエチレンカーボネート基準の数値であり、ジメチルカーボネートの収率は仕込みのエチレンカーボネート基準の数値であり、ジメチルカーボネートの選択率は消費されたメタノール基準の数値である。蒸留塔の各段の位置は、塔頂を1段として数えた当該段の段数で表す。
アルデヒド濃度は以下の比色法により測定した。
(1)50mlの蒸留水に、適量の試料と0.2重量%の塩化第二鉄(FeCl3 −6H2 O)−0.32重量%のスルファミン酸水溶液5mlを加えて均一混合後一時間静置し、(2)0.2重量%の塩化第二鉄(FeCl3 −6H2 O)−0.32重量%のスルファミン酸水溶液25mlを加え、さらに蒸留水を加えて100mlとし、(3)波長635nmでの吸光度を測定し、アセトアルデヒドを標準物質として作成した検量線を用いて、該試料に含まれるアルデヒド類の濃度をアセトアルデヒド重量濃度換算値として求める。
【0054】
【実施例1】
図1に示される装置を用いてエチレンカーボネート(EC)とメタノール(MeOH)から、ジメチルカーボネート(DMC)とエチレングリコール(EG)を連続的に製造した。
内径5cm、段数60段のオールダーショー蒸留塔からなる連続多段蒸留塔1の第5段へ、ECを流速231g/hで導管2から予熱器3を経て液状で連続的に供給し、同じく第5段へ水酸化カリウムの18重量%エチレングリコール溶液(触媒)を流速1.1g/hで導管2′を経て液状で連続的に供給し、MeOHとDMC(重量比:MeOH/DMC=97/3)からなる混合物を735.0g/hの流速で、導管5から予熱器6を経て、連続多段蒸留塔1の第30段へ液状で連続的に供給した。連続多段蒸留塔1の塔頂圧力は大気圧で、塔頂温度は63.8℃であった。
【0055】
塔頂4から留出するガス状低沸点混合物は凝縮器7で凝縮され、一部は導管8経由で塔頂部に還流され、残りは導管9から塔頂抜き出し液(MeOHを67.9重量%、DMCを32.1重量%含む)として流速803.1g/hで抜き出された。還流比は0.4であった。塔底10から導管11を経て抜き出された塔底液の一部をリボイラー12で加熱することにより蒸留に必要なエネルギーを供給し、残りの塔底液は液状高沸点混合物[EGを70.7重量%、MeOHを29.1重量%、ECを0.099重量%、DMCを0.04重量%、KOHを0.086重量%含む]は導管14を経て、充填物としてディクソンパッキング(3φ)を充填した、内径2.5cm、充填高160cmの充填塔型蒸留塔からなる低沸点成分分離塔17の塔頂から100cmの位置へ流速231.3g/hで供給された。エステル交換反応のEC転化率は99.9%であった。
【0056】
低沸点成分分離塔17は塔頂圧力大気圧、塔底温度201℃で運転され、低沸点成分分離塔17の塔底部でエチレンカーボネートとエチレングリコールとのエーテル生成反応を行わせ、ジエチレングリコール(DEG)へ転化させた。低沸点成分分離塔17の塔底部26での滞留時間は1.5時間であった。この塔頂から留出するガス状成分は凝縮器19で凝縮され、その一部を導管20を経て還流させ、残りは導管21を経て脱二酸化炭素カラム22の上部へ導入した。還流比は1であった。該カラム22の底部に設けた導管23から窒素ガスを導入し、バブリングさせた。該カラム22の上部に設けた導管24から二酸化炭素を含む窒素ガスが排出された。該カラム22の下部に設けられた導管23から、脱二酸化炭素された液を、連続多段蒸留塔1の第30段へ流速70.2g/hで循環した。
【0057】
低沸点成分分離塔17の塔底液(EGを67.6重量%、DEGを17.3重量%を含む。)をリボイラー28で加熱し、導管30から塔底液としてエーテル生成反応混合物[EGを99.7重量%、DEGを0.17重量%含み、ECは検出されなかった。]を流速163.9g/hで抜き出した。
該エーテル生成反応混合物は導管30を経て、充填物としてディクソンパッキング(3φ)を充填した、内径2.5cm、充填高120cmの充填塔型蒸留塔からなるEG精製塔41の塔頂から90cmの位置へ供給された。また、EG精製塔41の塔底43に設けられた導管62から、酸素濃度2重量ppmの水8.0g/hを供給した。
【0058】
EG精製塔41は塔頂圧力4000Pa(30torr)、塔底温度123.5℃で運転された。EG精製塔41の塔頂から50cmの位置に設けられた導管56から液状留分をサイド抜出液として流速160.9g/hで得た。また、EG精製塔41の塔頂留分の一部を凝縮器45、導管47を経由して塔頂42へ還流させ、残りを導管48から流速9.5g/hで得た。還流比は2であった。該塔頂留分の組成は、EG16.8重量%、水83.2重量%であった。EG精製塔41の塔底43から塔底液(EGを65.2重量%、DEGを20.3重量%含む。)を抜き出し、一部をリボイラー50、導管51を通して塔底43へ戻し、残りを導管52を通して2時間毎に2.8g抜き出した。
【0059】
これらの結果は、DMC収率が99.9%、DMC選択率が99%以上、極めて純度の高いEGが収率99.8%で得られたことを示す。
また、EG精製塔のサイド抜出液は、水を680ppm含むEGであり、ガスクロマトグラフ法ではその他の有機成分は検出限界(各成分1ppm)以下であった。このサイド抜出液のアルデヒド濃度を比色法により測定したところ0.3ppmであった。また、このサイド抜出液の220nmでの紫外線透過率は89%であった。
上記のEG精製塔サイド抜出液とテレフタル酸ジメチルを原料とし、触媒としてアンチモンを用いて、ポリエステルを製造した。得られたポリエステルは紫外・可視領域において高い透過率を有していた。
【0060】
【実施例2】
EG精製塔の導管62から供給した水の流量が0.8g/hであり、導管48から抜き出したEG精製塔の塔頂留分の流量が2.3g/hであった(該塔頂留分の組成は、EG69.6重量%、水30.4重量%であった。)ことの他は、実施例1と同様の方法でDMCとEGを製造した。
DMC収率が99.9%、DMC選択率が99%以上、EGが収率99.8%で得られた。
また、EG精製塔のサイド抜出液は、水を300ppm含むEGであり、ガスクロマトグラフ法ではその他の有機成分は検出限界(各成分1ppm)以下であった。このサイド抜き出し液のアルデヒド濃度を比色法により測定したところ0.5ppmであった。このサイド抜出液の220nmでの紫外線透過率は89%であった。
【0061】
【実施例3】
導管62から供給した水の酸素濃度が0.5重量ppmであったことの他は、実施例1と同様の方法でDMCとEGを製造した。
DMC収率が99.9%、DMC選択率が99%以上、EGが収率99.8%で得られた。
また、EG精製塔のサイド抜出液は、水を710ppm含むEGであり、ガスクロマトグラフ法ではその他の有機成分は検出限界(各成分1ppm)以下であった。このサイド抜出液のアルデヒド濃度を比色法により測定したところ検出限界(0.1ppm)以下であった。このサイド抜出液の220nmでの紫外線透過率は89.5%であった。
【0062】
【実施例4】
導管62から供給した水の酸素濃度が5重量ppmであったことの他は、実施例1と同様の方法でDMCとEGを製造した。
DMC収率が99.9%、DMC選択率が99%以上、EGが収率99.8%で得られた。
また、EG精製塔のサイド抜出液は、水を720ppm含むEGであり、ガスクロマトグラフ法ではその他の有機成分は検出限界(各成分1ppm)以下であった。このサイド抜出液のアルデヒド濃度を比色法により測定したところ1.4ppmであった。このサイド抜き出し液の220nmでの紫外線透過率は88.5%であった。
【0063】
【比較例1】
EG精製塔の導管62からの水の供給を行わなかった他は、実施例1と同様の方法でジアルキルカーボネートとジオールを製造した。なお、水を供給しなかったので、導管48から抜き出したEG精製塔の塔頂留分の量は、実施例1のEG精製塔の塔頂留分中のEG量と同じ1.6g/hとした。該塔頂留分の組成はEG99.9重量%以上であった
また、EG精製塔のサイド抜出液は、水を10ppm含むEGであった。このサイド抜出液のアルデヒド濃度を比色法により測定したところ6ppmであった。このサイド抜出液の220nmでの紫外線透過率は84%であった。
【0064】
このサイド抜出液を用いて、実施例1と同様の方法でポリエステルを製造した。得られたポリエステルの紫外線透過率は実施例1で得られたポリエステルより低かった。
なお、EG精製塔の塔頂留分の抜出量を増やしたところ、サイド抜出液の220nmでの紫外線透過率を87.5%とすることができた。この時のEG精製塔の塔頂留分の抜出量は、8.1g/hであった。
この結果を実施例1と比較すると、EG精製塔の塔頂抜出量を同じとした場合、水を供給しない本比較例では、220nmでの紫外線透過率が実施例1の89%に対し、84%と低い。また、実施例の紫外線透過率に近づけようとすると、EG精製塔からの塔頂抜出量を5倍(8.1/1.6=5)に増大させなければならず、EGの取得量が低下してしまうことを意味している。
【0065】
【比較例2】
導管62から供給した水の酸素濃度が200重量ppmであったことの他は、実施例1と同様の方法でDMCとEGを製造した。
DMC収率が99.9%、DMC選択率が99%以上、EGが収率99.6%で得られた。
また、EG精製塔のサイド抜出液は、水を730ppm含むEGであった。このサイド抜出液のアルデヒド濃度を比色法により測定したところ15ppmであった。このサイド抜き出し液の220nmでの紫外線透過率は83%であった。
【0066】
【実施例5】
EG精製塔41の塔底43に設けた導管62の代わりに、低沸点成分分離塔17の塔底26に設けた導管61から酸素濃度1ppmの水を8g/hで供給し、低沸点成分分離塔17の塔頂から50cmの位置に設けられた導管31から水を含む液状混合物10g/hを抜き出し、連続多段蒸留塔1の第30段へ供給したMeOHとDMCの流速が737g/hであったことの他は、実施例1と同様の方法でDMCとEGを製造した。
DMC収率が99.9%、DMC選択率が99%以上、EGが収率99.8%で得られた。
また、EG精製塔のサイド抜出液は、水を90ppm含むEGであり、ガスクロマトグラフ法ではその他の有機成分は検出限界(各成分1ppm)以下であった。このサイド抜出液のアルデヒド濃度を比色法により測定したところ0.4ppmであった。このサイド抜き出し液の220nmでの紫外線透過率は89%であった。
【0067】
【発明の効果】
本発明の方法により、環状カーボネートと脂肪族1価アルコールから、ジアルキルカーボネートと高紫外線透過率を有すると同時にアルデヒド含量の低い高純度のジオールを収率を低下させることなく製造できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例および比較例で用いた装置の模式図である。
【符号の説明】
1  連続多段蒸留塔
3、6  予熱器
4、18、42  塔頂
7、19、45  凝縮器
10、26、43  塔底
12、28、50  リボイラー
17  低沸点成分分離塔
22  脱二酸化炭素カラム
41  EG精製塔
2、2′、5、8、9、11、13、14、16、20、21、23、24、25、27、29、30、31、46、47、48、49、51、52、56、61、62  導管

Claims (7)

  1. 環状カーボネートと脂肪族1価アルコールとを触媒の存在下にエステル交換反応器内で反応させてジアルキルカーボネートとジオールを生成し、該反応器から抜き出した該ジオールを含む反応液をジオール蒸留精製工程で分離することによりジオールを得、一方該反応器から抜き出した該ジアルキルカーボネートを含む反応液の分離によりジアルキルカーボネートを得るジアルキルカーボネートとジオールの製造方法であって、該ジオールを含む反応液をジオール蒸留精製工程で分離するに際して、該蒸留精製工程に酸素濃度100重量ppm以下の水を供給することを特徴とするジアルキルカーボネートとジオールの製造方法。
  2. ジオール蒸留精製工程が、ジオールと低沸点化合物の分離を行う低沸点成分分離塔とジオール精製塔とによる工程を含み、水を該ジオール精製塔に供給することを特徴とする請求項1記載のジアルキルカーボネートとジオールの製造方法。
  3. ジオール蒸留精製工程が、ジオールと低沸点化合物の分離を行う低沸点成分分離塔とジオール精製塔とによる工程を含み、水を低沸点成分分離塔に供給することを特徴とする請求項1記載のジアルキルカーボネートとジオールの製造方法。
  4. ジオール蒸留精製工程で分離することにより得られるジオール中の水濃度が50重量ppm〜2000重量ppmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のジアルキルカーボネートとジオールの製造方法。
  5. 環状カーボネートがエチレンカーボネートであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のジアルキルカーボネートとジオールの製造方法。
  6. エステル交換反応器が反応蒸留塔であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のジアルキルカーボネートとジオールの製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかの方法で製造されたことを特徴とする水濃度が50重量ppm〜2000重量ppmであるジオール。
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