JP2004130868A - ワイヤハーネスの車体固定構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】自動車のインナーパネルとアウターパネルを樹脂成形し、該インナーパネルとアウターパネルに囲まれる空間をワイヤハーネスの配索空間とし、上記インナーパネルとアウターパネルより配索空間に向けてワイヤハーネス配索方向と直交方向の内側リブと外側リブとを、配索方向に沿って間隔をあけて一体的に突設し、該内側リブと外側リブの間に上記ワイヤハーネスを通して上記内側リブと外側リブとでワイヤハーネスを狭持固定している。
【選択図】 図5
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワイヤハーネスの車体固定構造に関し、詳しくは、車体を構成するインナーパネルあるいはアウターパネルに対してワイヤハーネスを別部材を用いることなく固定するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車のパネルは金属製で、自動車に配索されるワイヤハーネスは、ドアに穿設された係止穴にワイヤハーネスに取り付けているクランプを挿入係止して取り付けている。
【0003】
例えば、ハッチバック式自動車の後部ドア(テールゲート)の場合、アウターパネル及びインナーパネルからなるドアパネルに、ハイマウントストップランプ、ワイパー、リア熱線、キースイッチ等に電力を供給するためのワイヤハーネスを、カーメーカーにおける車体組み立てライン(本ライン)においてワイヤハーネスをクランプでパネルに係止しながら配索している。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−336721号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ワイヤハーネスを車体パネルに配索する作業は、ワイヤハーネス・メーカーにおいて予め所要間隔をあけてバンドクランプを巻き付けて係止し、或いは基板型クランプをテープ巻き固定しておき、カーメーカーの本ラインで、これら多数のクランプを車体パネルのパネル孔に挿入係止する等して位置決め固定を行っているため、ワイヤハーネス固定のために多くの部品点数が必要となると共に、本ラインにおける作業工程も多くなる問題があった。
よって、特に本ラインにおける作業工程を削減するため、パネルにワイヤハーネスを予め固定した状態で配索しているモジュール化が求められている。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、アウターパネルとインナーパネルから構成される車体パネルへのワイヤハーネスの配索容易性を向上させることを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、自動車のインナーパネルとアウターパネルを樹脂成形し、該インナーパネルとアウターパネルに囲まれる空間をワイヤハーネスの配索空間とし、上記インナーパネルとアウターパネルより上記配索空間に向けてワイヤハーネス配索方向と直交方向の内側リブと外側リブとを、配索方向に沿って間隔をあけて一体的に突設し、該内側リブと外側リブの間に上記ワイヤハーネスを通して上記内側リブと外側リブとでワイヤハーネスを狭持固定していることを特徴とするワイヤハーネスの車体固定構造を提供している。
【0008】
上記インナーパネルとアウターパネルは繊維強化樹脂により成形してもよく、上記インナーパネルとアウターパネルとは接着剤で固着している。
【0009】
本発明では、車体パネルを樹脂成形しているため、上記内側リブと外側リブをパネルと一体成形で簡単に設けることが出来る。かつ、インナーパネルとアウターパネルとを樹脂成形しているので、車体の軽量化を図ることができる。
上記インナーパネルとアウターパネルとで囲まれる空間にワイヤハーネスを配索してモジュール化を図っている。 該ワイヤハーネスは上記内側リブと外側リブにより上下から挟み込んで位置決め支持するだけでワイヤハーネスをパネルに配索することができる。このように、パネルにワイヤハーネスを組みつけたモジュール化した状態でカーメーカーの本ラインに納入でき、本ラインでの車体へのワイヤハーネスの配索固定作業を不要とでき作業工程を大幅に削減できる。また、ワイヤハーネス組み立て時においても、従来必要としていたワイヤハーネスにクランプを取り付ける工程を廃止でき、さらに、接着材等も必要としないので部品点数の大幅削減および作業工数の削減も図ることができる。
【0010】
上記インナーパネルから突設する上記内側リブと上記アウターパネルから突設する上記外側リブとは交互に配置している。
上記構成とすると、内側リブとは異なる位置で外側リブによりワイヤハーネスを押さえ込むので、内側リブと外側リブによる狭持によりワイヤハーネスを損傷させることがない。また、内側リブと外側リブによりワイヤハーネスの同一箇所を上下から狭持する構成とすると、所定の径のワイヤハーネスしか固定することができないが、上記構成とすることにより、ワイヤハーネスの蛇行幅を変えることで異なる径のワイヤハーネスにも対応することができる。
【0011】
上記インナーパネルの内側リブおよびアウターパネルの外側リブは、断面凹形状のインナーパネルおよびアウターパネルの底壁から両側壁に連続させて横断的に立設している。
上記構成とすると、パネルを補強するリブをワイヤハーネス支持枠として利用でき、ワイヤハーネスをパネルに接触させずにパネルより浮かせた状態で配索するため、ワイヤハーネスが車両走行時に振動によりパネルと接触して異音を発生することも防止される。よって、防音・保護用の弾性体をワイヤハーネスに外装する必要もなくなり、部品点数の低減および作業性の向上が図られると共に、外装材が無いことでワイヤハーネス外径も小さくなり配索レイアウトも容易になる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図7は本発明の実施形態を示し、図1は、ハッチバック式自動車の後部のドア10を示す。
ドア10は、図2に示すように、樹脂成形品からなるアウターパネル11の開口部にガラスGを接合すると共に、アウターパネル11の内面側に繊維強化樹脂成形品からなるインナーパネル12を接合して形成している。
【0013】
アウターパネル11は、スポイラー(空気抵抗調整板)やガーニッシュ(飾り板)を組み込んだ金型に樹脂を流し込んで一体成形しており、また、インナーパネル12はガラス繊維をポリプロピレン等の樹脂に混ぜたものである繊維強化樹脂で一体成形している。
【0014】
図3は、ドア10のピラー部分の断面を示し、断面凹形状のインナーパネル12とアウターパネル11とで囲まれる内部空間にワイヤハーネスW/Hを配索している。
インナーパネル12は、図4(A)(B)(C)に示すように、本体部12aは内面側に突出する底壁12a−1と、両側壁12a−2、該両側壁12a−2より突出する接着固定用の鍔部12a−3とからなる。
上記断面凹形状の本体部12aには、底壁12a−1から立設して両側壁12a−2を連結する補強用の内側リブ12bを設けている。これら内側リブ12bはワイヤハーネスの配索方向に沿って所要間隔をあけて設け、かつ、ワイヤハーネス配索方向と直交方向に立設している。また、該内側リブ12bのリブ高さは、両端を両側壁12a−2と同じ高さとし、両端から中央にいくに従って低くして、中央付近では一定の高さとしている。
【0015】
アウターパネル11は、図5(A)(B)(C)に示すように、本体部11aは外面側に突出する浅底の底壁11a−1と、両側壁11a−2、該両側壁11a−2より突出する接着固定用の鍔部11a−3とからなる。
上記断面凹形状の本体部11aには、底壁11a−1から立設して両側壁11a−2を連結する補強用の外側リブ11bを設けている。この外側リブ11bは、インナーパネル12とアウターパネル11を固着した状態で、インナーパネル12の隣接する内側リブ12b間のワイヤハーネス配索方向の中央位置に設け、かつ、ワイヤハーネス配索方向と直交方向に立設している。即ち、インナーパネル12の内側リブ12bとアウターパネル11の外側リブ11bとをワイヤハーネス配索方向に交互に配置している。また、外側リブ11bのリブ高さは、両端を両側壁11a−2と同じ高さとし、両端から中央にいくに従って高くして、中央付近では一定の高さとしている。
【0016】
なお、隣接するリブ12bの間隔L1は100mm〜250mmで、内側リブ12bの厚みL2は1mm〜5mmで、外側リブ11bの厚みL3は1mm〜5mmとしている。
内側リブ12bの端部12b−1と外側リブ11bの端部11b−1との間隔L4は、パネル内に配索するワイヤハーネスW/Hを確実に固定できるよう、ワイヤハーネスW/Hの径よりも小さくしている。
【0017】
上記インナーパネル12に対して、前記図2に示すように、ワイヤハーネスW/Hを内側リブ12bの中央位置に直進状に載置して配索し、図6に示すように、インナーパネル12の鍔部12a−3に接着剤13を塗布した後、アウターパネル11を貼り合わせて仮接着している。
このとき、図7に示すように、アウターパネル11の外側リブ11bがワイヤハーネスW/Hをインナーパネル12側に押し込んで、ワイヤハーネスW/Hを蛇行させてパネルに固定している。なお、アウターパネル11側に接着剤13を塗布しておいてもよい。また、ガラスGも同種の接着剤13を介在させてアウターパネル11に貼り付けて仮接着している。
【0018】
上記接着剤13としては、ポリウレタン、アミノ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、熱硬化性アクリル樹脂、ポリイミドあるいは/およびシリコン樹脂等の熱硬化性接着剤が挙げられ、特に、ウレタン系接着剤が好適に用いられる。
【0019】
上記のように、ワイヤハーネスW/Hを内部に配索したインナーパネル12とアウターパネル11とを張り合わせた状態とした後、後部ドア10全体を雰囲気温度が70〜140℃程になるよう加熱処理を施して、接着剤13を熱硬化させ、複数の仮接着箇所を一括して固着している。
なお、本実施形態では、ウレタン系接着剤を用いて雰囲気温度80℃で熱硬化させているため、ワイヤハーネスW/Hに耐熱性のものを用いずに汎用のワイヤハーネスを用いることを可能にしている。
【0020】
上記構成とすると、インナーパネル12の内側リブ12bとアウターパネル11の外側リブ11bとでワイヤハーネスW/Hをパネルに狭持固定でき、予めワイヤハーネスが配索されたパネルとすることができモジュール化を図ることができる。よって、従来必要としていたワイヤハーネスにバンドクランプを巻き付ける工程や、該バンドクランプを車体パネルのパネル孔に挿入係止する工程等が廃止でき大幅な作業工程の削減が可能となると共に、バンドクリップ等の固定用部品が不要になるので、部品点数の大幅削減にもなる。
また、図7(A)に示すように、ワイヤハーネスW/Hはインナーパネル12の内側リブ12bとアウターパネル11の外側リブ11bの間に配索し、インナーパネル12の本体部12a及びアウターパネル11の本体部11aから間隔をあけているので、車両の振動がワイヤハーネスW/Hに伝わり難く、また、伝わったとしても本体部11a、12aに当たることがなく異音発生を防止できる。
【0021】
なお、上記構造を有するインナーパネル12の用途として、上述の後部ドアとして用いる他にも、サイドドア、ボンネット、ルーフ、トランクリッド等に用いても好適である。
また、アウターパネル側を繊維強化樹脂成形品とし、インナーパネル側を樹脂成形品としてもよいし、あるいは、アウターパネル側とインナーパネル側の両方を繊維強化樹脂成形品としてもよいし、あるいは、アウターパネル側とインナーパネル側の両方を樹脂成形品としてもよい。
【0022】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、ワイヤハーネスを樹脂成形したインナーパネルあるいはアウターパネルに予め配索してワイヤハーネス固定部で固定するだけで車体パネルに配索固定することができるので、簡単にモジュール化しておくことができる。よって、従来のワイヤハーネスにクランプを取り付ける工程や、該クランプを車体パネルのパネル孔に挿入係止する工程等が廃止でき、大幅な作業工程の削減が可能となる。また、クランプ等の固定用部品が不要になるので、部品点数の大幅削減にもなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態のテールゲートを示す斜視図である。
【図2】インナーパネルにアウターパネルを取り付ける状態を示す図面である。
【図3】図1のI−I線断面図である。
【図4】(A)はインナーパネルの要部斜視図、(B)は要部平面図、(C)は断面図である。
【図5】(A)はアウターパネルの要部斜視図、(B)は要部平面図、(C)は断面図である。
【図6】(A)はワイヤハーネスを配索したインナーパネルの要部平面図、(B)は断面図、(C)は断面図である。
【図7】(A)はワイヤハーネス固定後のインナーパネルの断面図、(B)は内側リブでの断面図、(C)は外側リブでの断面図である。
【符号の説明】
10 後部ドア
11 アウターパネル
11a 本体部
11b 外側リブ
12 インナーパネル
12a 本体部
12b 内側リブ
13 接着剤
G ガラス
W/H ワイヤハーネス
Claims (4)
- 自動車のインナーパネルとアウターパネルを樹脂成形し、該インナーパネルとアウターパネルに囲まれる空間をワイヤハーネスの配索空間とし、上記インナーパネルとアウターパネルより上記配索空間に向けてワイヤハーネス配索方向と直交方向の内側リブと外側リブとを、配索方向に沿って間隔をあけて一体的に突設し、該内側リブと外側リブの間に上記ワイヤハーネスを通して上記内側リブと外側リブとでワイヤハーネスを狭持固定していることを特徴とするワイヤハーネスの車体固定構造。
- 上記インナーパネルから突設する上記内側リブと上記アウターパネルから突設する上記外側リブとは交互に配置している請求項1に記載のワイヤハーネスの車体固定構造。
- 上記インナーパネルの内側リブおよびアウターパネルの外側リブは、断面凹形状のインナーパネルおよびアウターパネルの底壁から両側壁に連続させて横断的に立設している請求項1または請求項2に記載のワイヤハーネスの車体固定構造。
- 上記インナーパネルとアウターパネルとは接着剤で固着している請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のワイヤハーネスの車体固定構造。
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